JP4094820B2 - マンホール等用足掛具の取付構造 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリートマンホールの内壁やコンクリート貯水槽、河川のコンクリート製法面等のコンクリート構造物にコ字形状の足掛具を取付け固定する構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、マンホール等用足掛具(以下、ステップという。)およびこれのマンホール等への取付構造としては、有底筒状体の合成樹脂製インサートガイドをマンホールや護岸等のコンクリート壁内に予め植設し、ステップの側部側に、外周にインサートガイドの雌ねじと螺合するねじを螺設した合成樹脂製ナットを嵌挿させ、ステップの脚部端部からの延出部にねじを螺設して、このねじと螺合する雌ねじを螺設した合成樹脂製キャップを脚部端部に配置し、前記合成樹脂性ナットをインサートガイドにねじ込むことによりステップをマンホール等に固定するようにしたものや、マンホールの外壁に設けられたほぼ直線状の貫通孔に、樹脂被覆をしたステップの埋込部を挿通し、埋込部の樹脂被覆層に設けたネジに樹脂ナットを螺合してステップをマンホールの外壁に取付け固定するようにしたものが知られている(例えば、特開2000−240080号公報および特開平10−280451号公報参照)。
【0003】
ところで、従来の技術で述べたもののうち前者においては、壁貫通構造のために、あらゆる止水処理を施しても、あくまで二次施工のため、長年のうちにはどうしても漏水の危険性があるという問題点を有していた。
【0004】
また、後者においては、合成樹脂製インサートガイドと螺合している合成樹脂製ナットが緩んでインサートガイド内から挿脱した場合、脚部端部からの延出部にねじ着された合成樹脂製キャップだけがインサートガイド内に部分的に挿入された状態となるため、ステップの上方向からの荷重に対しては勿論のこと、横方向の引き抜きに対しても僅かな耐力しかなく、強度性・安全性に劣るという問題点を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、マンホール等のコンクリート構造物に対するステップの取付け固定が簡易であり、しかも強度性に優れて安全であるマンホール等用足掛具の取付構造を提供することにある
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため請求項1に係る発明は、内周に雌ねじが螺刻され、外周には抜け止め用突起部が設けられ、かつマンホールや護岸等のコンクリート構造物に埋め込まれたインサートガイドにコ字形状の足掛具がソケットを介して取り付け固定される構造であって、前記足掛具は、足踏部と該足踏部の両端に連なり、かつそれぞれの先端部外周に雄ねじが螺刻された両脚部と、該両脚部端部からの延出部を介して該延出部端部に設けられた頭部とを含むコ字形状の足掛具本体と、前記両端脚部の雄ねじにそれぞれ螺着されたナットとを備え、前記インサートガイド内の雌ねじに、外周に雄ねじが螺刻され、かつ軸方向には前記足掛具本体の頭部の断面形状と適合する形状の貫通穴を有する前記ソケットがねじ込まれるとともに、前記足掛具本体の頭部に合わせた前記ソケットの貫通穴を介して前記足掛具本体の頭部と延出部が挿通され、前記ソケットの回動により前記足掛具本体の頭部とソケット貫通穴が直交状とされて、前記足掛具本体の頭部が前記ソケット貫通穴から抜け出ないようにされ、前記ナットが前記インサートガイド側に締着されて足掛具がマンホール等に取付け固定される構成を特徴とするものである。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、足掛具本体における頭部を有する延出部が、両端脚部の端部にそれぞれ同軸状にねじ着されていることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について説明すると、本発明に係るマンホール等用足掛具の取付構造は、ステップ本体における両端脚部に延出部を介して頭部が設けられ、該頭部と延出部がマンホールや護岸等のコンクリート構造物に埋め込まれたインサートガイド内のソケットに挿通され、かつソケットの回動を介してステップ本体の頭部とソケット貫通穴とが直交状とされて、ステップ本体の頭部がソケット貫通穴から抜け出ないようにされ、次いで、ステップ側のナットがインサートガイド側へ締着されて、ステップがコンクリート構造物に取付け固定されることに特徴を有している。
【0009】
このことによって、ステップ側頭部がインサートガイド内のソケットと係合してソケットよりの抜け防止となり、上方向からの荷重に対しては勿論のこと、横方向の耐力はインサートガイドのコンクリート引抜き耐力に相当し、強度性に優れる。
【0010】
【実施例】
以下に具体的実施例について図面を参照し、その作用と共に説明する。
図1は本発明に係るマンホール等用足掛具の取付構造の一例を示す取付完成状態における一部断面の平面図、図2はステップの平面図、図3はステップの側面図で、これら図において、ステップ1はコ字形状のステップ本体とナットを備えている。
【0011】
コ字形状のステップ本体2は、強度性と防錆性に優れた金属材、樹脂材或いは金属と樹脂との複合材から成り、足踏部3と該足踏部3の両端に連なり、かつそれぞれの先端部外周に雄ねじ4が螺刻された両脚部5と、該両脚部5の端部からの径の細い延出部6を介して該延出部6の端部に設けられた頭部7とを有している。更に説明すれば、ステップ本体2は、例えば1本の丸鋼を使用して、その両先端が削り加工により丸径の細い延出部6とされ、次いで、延出部6の端部にプレス加工により頭部7が形成され、次いで、雄ねじ4が螺刻される。次いで、曲げ加工により足踏部3と両脚部5を有するコ字形状に形成される。
【0012】
なお、頭部7を有する延出部6は、脚部5と一体に設けられているが、頭部7を有する延出部6は、図4に示されているように、脚部5とは別体に形成し、脚部5の端面軸方向に螺刻された盲雌ねじ穴8に、延出部6の外周に螺刻の雄ねじ9をねじ込み一体的に形成するようにしてもよい。
【0013】
また、頭部7の形状は、図5に例示されているように、断面視長方形に形成されているが、後述のソケットの貫通穴と係合して貫通穴よりの抜け防止しとなる形状であれば球状、正方形、多角形等であってもよい。
【0014】
両脚部5の雄ねじ4にはそれぞれナット10が螺着される。このナット10は一般的な六角ナットでよいが、量産品の低コスト品で内ねじであれば丸ナットでもよく、また、多角形ナットでもよい。
【0015】
このように構成されたステップ1は、マンホールや護岸等のコンクリート構造物に埋め込まれたインサートガイドにソケットを介して取付け固定される。
【0016】
ソケット20は、図6及び図7に示されているように、外周に雄ねじ21が螺刻された円柱形であって、軸方向にはステップ本体2の頭部7の形状と適合する形状(本実施例では長方形である)の貫通穴22を有するとともに、いずれか一方の端面にして、かつ直径方向の両側には、回転治具挿入用の浅い小さな穴23、23を有している。
【0017】
インサートガイド30は、雌ねじ穴31を有する有底筒状体であって、その外周にはコンクリートとの付着力を高めるための凹凸状の抜け止め用突起部32を有している。
【0018】
次に、ステップ1をマンホールや護岸等のコンクリート構造物40に取付け固定する方法について説明する。
【0019】
先ず、図1に示されているように、コンクリート構造物40にインサートガイド30が所定の間隔(ステップ1の脚部5、5間の幅)で埋め込まれる。
【0020】
次いで、図8に示されているように、インサートガイド30の雌ねじ穴31に、ソケット20がその穴23のない端面を向けた状態で雄ねじ21との螺合をもってねじ込まれ、かつ貫通穴22の向きがステップ1におけるステップ本体2の頭部7と適合するように位置合わせされる。
【0021】
次いで、図9に示されているように、ナット10がステップ本体2の雄ねじ4に深めに螺着された状態で、ステップ本体2の頭部7がソケット20の貫通穴22を通して延出部6と共に奥深く差し込まれる。
【0022】
次いで、図10に示されているように、ステップ頭部7とソケット20との当接間の隙間を無くするために、ソケット20がその穴23に挿入の回転治具(図示しない。)により、同図の矢印方向に回動されて締め付けられ、更にステップ本体2の頭部7とソケット貫通穴22との位置関係が図11および図12の状態からソケット20が同様に回動されて図13に示されているように、頭部7とソケット貫通穴22が直交状に係合して頭部7が貫通穴22から抜け出ないようにされる。
【0023】
そして、最後に図14に示されているように、ステップ側のナット10が同図の矢印方向に回動されてインサートガイド30側にねじ込まれ、ガタ付きがないように強固に締着され、これによりステップ1の取付け固定は完了する。
【0024】
【発明の効果】
しかして、本発明によれば、コンクリート構造物に埋め込まれたインサートガイド内にソケットが螺着され、該ソケットの貫通穴を通してステップ本体の頭部と延出部が挿通されて頭部と貫通穴とが直交状の係合状態とされ、この状態でステップ側のナットがインサートガイド側に締着されてステップが取付け固定されるものであるから、取付けが簡易で、しかもステップはその頭部がソケット貫通穴と直交状に係合していて抜け防止となるために大きな強度が得られる。
【0025】
また、延出部はその径が若干細くて、一見、強度的に不安がありそうであるが、取付け完了時においては、図示のように、その延出部は全てソケットとナットの内部に収まってしまうため、強度低下は全くなく、強固に取付け固定される。
【0026】
また、取付け固定は全てねじ継ぎ手の構造であるから、十分な強度があって非常に安全で、ステップの固定位置調整が容易であるばかりか、最終締め付け時に正確な直角度が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマンホール等用足掛具の取付構造の一例を示す取付完成状態における一部断面の平面図である。
【図2】ステップの平面図である。
【図3】ステップの側面図である。
【図4】ステップの他例を示す側面図である。
【図5】ステップ本体における頭部の断面形状を示す拡大正面図である。
【図6】ソケットの拡大側面図である。
【図7】図7における一方から見た端面図である。
【図8】ステップのコンクリート構造物への取付方法を説明する略式側面図で、インサートガイド内のソケット貫通穴とステップにおける頭部とが適合するように位置合わせされた状態を示す。
【図9】ステップのコンクリート構造物への取付方法を説明する略式側面図で、インサートガイド内のソケット貫通穴にステップにおける頭部と延出部が挿通された状態を示す。
【図10】ステップのコンクリート構造物への取付方法を説明する略式側面図で、インサートガイド内のソケットが更にねじ込まれた状態を示す。
【図11】図10におけるインサートガイド部分を断面して示す一部省略の拡大側面図である。
【図12】図11の状態におけるステップの頭部とソケット貫通穴との位置関係を示す一部断面の拡大正面図である。
【図13】図12の状態からソケットが回動されてソケット貫通穴とステップの頭部が直交状とされた位置関係を示す一部断面の拡大正面図である。
【図14】ステップのコンクリート構造物への取付方法を説明する略式側面図で、ステップ側のナットがインサートガイド側に締着されて取付け固定が完了した状態を示す。
【符号の説明】
1 ステップ
2 ステップ本体
3 足踏部
4 足踏部の雄ねじ
5 脚部
6 延出部
7 頭部
8 盲雌ねじ穴
9 延出部の雄ねじ
10 ナット
20 ソケット
21 ソケットの雄ねじ
22 ソケットの貫通穴
23 回転治具挿入用穴
30 インサートガイド
31 インサートガイドの雌ねじ穴
32 抜け止め用突起部
40 コンクリート構造物
Claims (2)
- 内周に雌ねじが螺刻され、外周には抜け止め用突起部が設けられ、かつマンホールや護岸等のコンクリート構造物に埋め込まれたインサートガイドにコ字形状の足掛具がソケットを介して取付け固定される構造であって、前記足掛具は、足踏部と該足踏部の両端に連なり、かつそれぞれの先端部外周に雄ねじが螺刻された両脚部と、該両脚部端部からの延出部を介して該延出部端部に設けられた頭部とを含むコ字形状の足掛具本体と、前記両端脚部の雄ねじにそれぞれ螺着されたナットとを備え、
前記インサートガイド内の雌ねじに、外周に雄ねじが螺刻され、かつ軸方向には前記足掛具本体の頭部の断面形状と適合する形状の貫通穴を有する前記ソケットがねじ込まれるとともに、前記足掛具本体の頭部に合わせた前記ソケットの貫通穴を介して前記足掛具本体の頭部と延出部が挿通され、前記ソケットの回動により前記足掛具本体の頭部とソケット貫通穴が直交状とされて、前記足掛具本体の頭部が前記ソケット貫通穴から抜け出ないようにされ、前記ナットが前記インサートガイド側に締着されて足掛具がマンホール等に取付け固定される構成を特徴とするマンホール等用足掛具の取付構造。 - 前記足掛具本体における頭部を有する延出部が、両端脚部の端部にそれぞれ同軸状にねじ着されている請求項1のマンホール等用足掛具の取付構造。
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