JP4093184B2 - ガラス球の製造方法および製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はガラス球の製造方法及び製造装置に関し、特に光学レンズをプレス成形により製造するときのプリフォーム材としてのガラス球の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光学機器やディジタルカメラだけでなく、携帯電話等にもカメラが搭載されるようになり、小型・高性能で低コストのレンズが要求されている。このようなレンズの製造方法として、従来のガラス板を研磨する方法にかわりプリフォーム材を熱間モールドプレス成形する方法が広く行われている。これは、レンズと同じ曲面形状を有する金型間にプリフォーム材であるガラス球を配置した後、熱間プレス成形することでレンズを製造する方法である。この場合、最終的に形成されるレンズの形状精度を高めるためには、プリフォーム材であるガラス球ができるだけ真球で、かつ内部に気泡等の欠陥のないことが望ましい。これは以下の理由による。すなわち、ガラス球の真球度が高ければ、金型に配置してプレスするときの初期状態においてガラス球には偏った荷重が加わらないので、プレス成形により形成されるレンズの精度を向上できることによる。
【0003】
このようなガラス球のプリフォーム材を製造する方法として、ガラスを研削および研磨して真球形状とする方法がある。しかしながら、ガラスを研削および研磨する方法では、ガラスの材料ロスが大きいだけでなく、ガラス球を製造するために多くの時間を必要とし、生産性を向上できない。
【0004】
このために特開平2−14839号公報においては、ガラスを白金ルツボ内で溶解し、ルツボに接続した白金ノズルから溶融ガラスを空気中に滴下し、滴下された溶融ガラスを空気吹出し口が底面に設けられた受け型上で吹き出す空気流により浮上させた状態で冷却してガラス球を作製することが示されている。また、特開平10−291824号公報では、ガラス液滴を清浄性を有する液体中に投入して冷却固化させる方法が開示されている。この方法においては、液体としてアルコール単体またはアルコールと水の混合液を用いており、落下距離を短くしながら真球度の高いガラス球を製造できることが示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、空気中で浮上させながら冷却してガラス球を作製する方法の場合、溶融状態のガラス液滴を空気流により確実に浮上させた状態で冷却することは比較的困難である。このため、ガラス液滴が受け型の内面に対して直接接触することが生じる場合がある。このような接触が生じると、ガラス液滴が変形あるいは歪みを生じたまま固化するという課題がある。さらに、同じ受け型中に複数個のガラス液滴を滴下するとガラス液滴同士が接触して割れ、クラックまたは固着が生じるので、ガラス球を取出してから次のガラス液滴を滴下する必要がある。このため、生産性がよくないという課題もある。
【0006】
また、ガラス液滴をアルコールあるいはアルコールと水との混合液体中に投入して冷却しガラス球を製造する方法では、ガラス球に割れや真空泡等の欠陥が発生しやすく、プリフォーム材としての歩留まりを向上できず、高精度のレンズを安価に作製することが比較的困難である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、レンズ成形用プリフォーム材などに用いられるガラス球を真球度が高く、かつ連続的、高効率で製造するための製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のガラス球の製造方法および製造装置は以下の工程および構成からなる。
【0009】
本発明のガラス球の製造方法は、溶融状態のガラスをノズルより滴下させることによってガラス液滴を冷却液体中に落下させる滴下工程と、この冷却液体中で、前記ガラス液滴の周囲を前記冷却液体が蒸気化して発生する気泡層と、さらにこの気層の周囲を前記冷却液体による皮膜で覆うことにより浮力を生じさせて、前記ガラス液滴を冷却液体中で停止、そして浮上させた後再び落下させる、または前記ガラス液滴を停止させた後再び落下させることで、このガラス液滴を前記冷却液体中で徐々に落下させながらガラス転移温度以下まで徐冷する冷却工程を有し、前記冷却液体は、ガラス液滴が最初に接続する表面部である第1の液体と、この第1の液体の下部領域となる第2の液体との二層からなり、前記第1の液体の粘度を前記第2の液体の粘度より低くしたものである。
【0010】
このような製造方法により、冷却液体中においてガラス液滴の全周囲には気泡層が形成され、かつこの気泡層はガラスの転移温度以下になるまで継続的に形成されるので、ガラス液滴は徐冷され、その間に高温度のガラス液滴はその表面張力によって球形化して真球度の高いガラス球を製造することができる。
【0011】
また、本発明のガラス球の製造装置は、ガラスを加熱溶融させる溶融ルツボと、この溶融ルツボの下方に設けられ、溶融させたガラスを滴下させるノズルと、このノズルの下方に設けられ、前記ノズルから滴下されたガラス液滴が最初に接触する表面部の第1の液体と、この第1の液体の下部領域に設けた第2の液体との二層からなる冷却液体が充填され、前記ガラス液滴を徐冷するためのガラス液滴受け部とを備え、前記冷却液体は、第1の液体の粘度を第2の液体の粘度より低くするとともに、ガラス液滴がガラス転移温度以下まで冷却される期間、前記ガラス液滴の熱により冷却液体が蒸気化して周囲に気泡層と、この気泡層の周囲に前記冷却液体の構成成分により形成される皮膜とを形成する材料からなる構成を有する。
【0012】
このような製造装置とすることにより、冷却液体中においてガラス液滴の全周囲には気泡層が形成され、かつこの気泡層はガラスの転移温度以下になるまで継続的に形成されるので、ガラス液滴は徐冷され、その間に高温度のガラス液滴はその表面張力によって球形化して真球度の高いガラス球を製造することができる。
【0013】
さらに、密封された溶融ルツボにエアー供給部が連結され、このエアー供給部から高圧ガスを溶融ルツボ中に制御しながら導入して、溶融ガラスをノズルから滴下する滴下手段と、ガラス液滴受け部を水平方向で二次元的に移動可能とした移動機構をさらに備え、滴下手段と同期させてガラス液滴受け部を移動させる製造装置とすることで、量産性よくガラス球を製造することが可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は、本発明のガラス球の製造装置の概略構成図である。この製造装置は全体がほぼ縦方向に配置されている。すなわち、溶融るつぼ2としての白金ルツボと、この白金ルツボ2を取り囲むように配置された電気炉1とが、ガラス液滴受け部11の上部側に配置されている。白金ルツボ2の底面部には、この白金ルツボ2から延長して形成された滴下ノズル2Aが設けられている。白金ルツボ2中には融液状態の溶融ガラス4があり、この溶融ガラス4は白金製の攪拌羽5で攪拌されて、全体的な均質性を長時間保持されている。さらに、白金ルツボ2の上部には金属蓋7がオ−リングシール8を介して白金ルツボ2に締着されている。また、攪拌羽5を外部から自由に回転させられるように、金属蓋7と攪拌羽回転軸5Aとの隙間はゴム等の弾性材からなる公知のシール部材9で密閉されている。
【0015】
さらに、金属蓋7にはエアー供給部7Aが一体的に設けられている。このエアー供給部7Aを通して白金ルツボ2の空間部に高圧の空気を制御部6により制御しながら導入することが可能である。このエアー供給部7Aと制御部6とにより滴下手段を構成している。エアー供給部7Aにより白金るつぼ2中に導入された高圧空気の圧力により、溶融ガラス4は滴下ノズル2Aのノズル径により決まる量を任意の時間間隔で滴下させることができる。なお、オーリングシール8とシール部材9として有機材料を使用する場合には、その周囲を冷却することが望ましい。また、エアー供給部7Aは金属蓋7と一体的な構成でなく、別々に作製してシール材を介して締着する構成でもよい。さらに、溶融るつぼ2として白金るつぼを用いたが、溶融ガラスと反応しない材料からなるるつぼであれば特に制約はない。
【0016】
このような構成の装置において、溶融ガラス4を滴下ノズル2Aから滴下する場合、滴下ノズル2A先端から滴下されるガラス液滴10の重量は滴下ノズル2Aの外径と溶融状態のガラスの表面張力で決まり、その関係は(1)式で求められる。
【0017】
m・g=π・D・γ (1)
ここで、mはガラス液滴10の重量、gは重力加速度、Dは滴下ノズル2Aの外径、γは溶融状態のガラスの表面張力である。
【0018】
(1)式からわかるように、滴下ノズル2Aの外径Dにより決まる重量のガラス液滴10を滴下できる。しかし、溶融ガラス4の表面に圧力を加えずに自然に滴下させると滴下のための時間が長くなり、生産性を向上できない。本実施の形態の製造装置では、エアー供給部7Aから高圧の空気を白金ルツボ2の空間部に導入し、溶融ガラス4表面に圧力を加えることで任意の時間間隔で滴下可能としており、ガラス球の生産性を大幅に向上させることができる。
【0019】
滴下ノズル2Aの下方には、この滴下ノズル2Aの先端から一定の空間を隔ててガラス液滴受け部11が配置されている。このガラス液滴受け部11は、大径管11Aと、この大径管11Aの下部に形成された絞り部11Bと、その下部に接続されたコック11Cと、このコック11Cに接続された小径管11Dとを備えている。小径管11Dにはホース12が接続されており、さらにこのホース12にはコック13を介して交換ホース14が接続されている。また、滴下されるガラス液滴10は冷却液体150表面に向けて垂直に落下するように、滴下ノズル2Aの開口部を配置している。
【0020】
ガラス液滴受け部11には、粘度の異なる少なくとも2種類の液体からなる冷却液体150が満たされている。すなわち、ガラス液滴受け部11の上部側には低粘度の第1の液体151があり、その下部に第1の液体151よりも高粘度の第2の液体152が充填されている。なお、第1の液体151と第2の液体152との境界については比較的明瞭な界面153が形成される材料構成が選択される。また、ガラス液滴受け部11のコック11Cから交換ホース14までのホース内部には水17が充填されている。なお、この交換ホース14の一方の先端部には取り外し可能な締め具14Aが取り付けられており、ガラス球101の製造時には水漏れを防ぎ、製造したガラス球101を取り出すときには締め具14Aをはずすことで容易にガラス球101を取り出せるようになっている。
【0021】
さらに、ガラス液滴受け部11には、冷却液体150をあらかじめ設定した温度に制御する液体温度制御部18が設けられている。この液体温度制御部18は冷却液体150全体を均一な温度に制御することも可能であるだけでなく、例えば第1の液体151と第2の液体152とをそれぞれ所定の温度に保持することや、冷却液体150に連続的な温度勾配を有するようにすることも可能である。
【0022】
また、溶融ガラス4を連続的に冷却液体150に滴下するときに、ガラス液滴10同士がこの冷却液体150中でそれぞれ接触しないようにすることが要求される。このために、滴下手段の制御部6から移動機構19を制御して、滴下するタクトに合わせてガラス液滴受け部11を水平方向に二次元的に移動させ、滴下位置をかえていく移動機構19も設けられている。
【0023】
滴下ノズル2Aから滴下されたガラス液滴10は、第1の液体151と第2の液体152とからなる冷却液体150中で冷却されてガラス球101となる。このガラス球101は、開放状態のコック11C、ホース12および開放状態のコック13を通り交換ホース14まで落下し、この交換ホース14中で捕集される。本実施の形態の装置においては、この交換ホース14が捕集部である。ガラス球101が一定の捕集量となったときに、コック13を閉じて交換ホース14を取り外し、交換ホース14中にあるガラス球101を取り出す。この交換ホース14は必要な捕集量に応じてその長さを決めれば良い。ホース12および交換ホース14中に水17を充填しているのは、これらのホース中でのガラス球101の流動性を高めて流れやすくするためである。ガラス球101を捕集し取り出した後、新しく水17を充填した交換ホース14をコック13に取り付けて、コック13を開放すれば再びガラス球101を捕集することが可能となる。
【0024】
このような装置により、ガラス球101を製造するときの冷却液体150の作用について、図2から図4を用いて説明する。図2から図4は、ガラス液滴10がガラス液滴受け部11の冷却液体150中に滴下されて、ガラス球101を形成する過程を模式的に示す図である。なお、以下の説明においては、冷却液体150として、第1の液体を水とし、第2の液体152は馬鈴薯でんぷん30gを水1000ccに溶解させながら80℃に加熱、攪拌して糊化させた糊化でんぷん液(以下、第1の糊化でんぷん液とよぶ)を用いて、これらからなる冷却液体150を60℃に温度制御した場合を例とする。また、溶融ガラス4としてはホウケイ酸ガラスを用い、1150℃に加熱して溶融させた状態から滴下させる場合について説明する。
【0025】
滴下ノズル2Aからノズル径で決まる一定の重量を有して滴下されたガラス液滴10は、最初に第1の液体151である水と接触する。このとき、ガラス液滴10は高温度であるため、ガラス液滴10の周囲の第1の液体151である水が蒸気化して、図2に示すようにガラス液滴10の周囲には気泡層20が形成される。気泡層20からは微小気泡21が生じるが、この微小気泡21は第1の液体151表面上まで浮上して消滅する。この状態では、ガラス液滴10はまだ高温度であるので、第1の液体151の蒸気化と微小気泡21の発生とが生じて、その周囲に気泡層20を形成したまま第1の液体151中を落下していく。
【0026】
ガラス液滴10がさらに落下して界面153を通過すると、ガラス液滴10は気泡層20を周囲に形成した状態で第2の液体152である第1の糊化でんぷん液中に突入する。第2の液体152中に入っても、ガラス液滴10はまだ高温状態を維持しているため、第2の液体152の蒸気化が連続的に生じて周囲の気泡層20は維持される。このとき、気泡層20の周囲は高粘度の第2の液体152で取り囲まれているため、気泡層20から微小気泡21が生じても高粘度の第2の液体152中を突き抜けるために時間を要する。このため図3に示すように、気泡層20はその上部が膨らんだ形となる。すなわち、第2の液体152である第1の糊化でんぷん液が気泡層20の全周囲を閉じ込める皮膜となり、気泡層20の消失を防ぐ作用をする。このような状態でもガラス液滴10は高温度であるので、その周囲では連続的に蒸気が発生して気泡層20はさらに成長する。その結果、ガラス液滴10には浮力が働くようになり、ガラス液滴10の落下は停止する。
【0027】
ガラス液滴10が徐々に冷却されてガラスの転移温度以下になると、ガラス液滴10は固化してガラス球101になる。ガラス球101がこのような温度になると、その周囲の気泡層20は少しずつ周囲の第2の液体152である第1の糊化でんぷん液に吸収されて、気泡層20は小さくなっていく。その結果、浮力よりもガラス球101の重量の方が大きくなるので、図4に示すようにガラス球101はゆっくり落下し始める。このときには、ガラス球101の温度はガラス転移温度以下になっている。したがって、気泡層20がガラス球101の周囲から消失し、ガラス球101が直接第1の糊化でんぷん液と接触しても、でんぷんの成分であるアミロースまたはアミロペクチン等の有機物が焼け焦げることはない。
【0028】
ガラス液滴10の重量を60mg程度とした場合、ガラス液滴10がその周囲を気泡層20に囲まれながら浮遊して冷却される時間は、およそ12秒から14秒程度になる。すなわち、冷却液体150中での製造方法でありながら、空気中を12秒から14秒間自然落下しながら徐冷して製造する場合と同じ効果が得られる。この結果、真球度が良好で、かつクラックや真空泡等の欠陥の少ないガラス球101を得ることができる。
【0029】
また、上述したように、本発明の製造方法においてはガラス液滴10が気泡層20に囲まれて浮遊している時間はおよそ12秒から14秒である。したがって、滴下ノズル2Aからガラス液滴10を冷却液体150の同一個所に12秒以下のタクトで滴下すると、ガラス液滴10同士が接触してお互いが固着したり、割れる現象が生じることがある。固着が生じると球状でなくなりプリフォーム材としては使用できない。このような現象を生じさせず、かつ滴下タクトを短くするために、ガラス液滴10の滴下毎に冷却液体150の位置を水平方向に二次元的に移動させる移動機構19が設けられている。この移動機構19は、滴下手段の制御部6により滴下タクトに応じて移動させることができる。この移動の仕方としては、例えば滴下毎に、一定距離の直線的な移動、一定距離の回転移動またはこれらを組み合わせた移動等、ガラス液滴10が固化するまでの間に次のガラス液滴10が同一個所に滴下されないようにすれば、移動方法としては自由に選択してよい。
【0030】
なお、本実施の形態においては、ガラス液滴10がガラス球101になるまでの冷却液体150中での挙動として、第2の液体152が第1の糊化でんぷん液である場合について説明したが、本製造装置においては特にこの材料には限定されない。でんぷんとしては、第1の糊化でんぷん液である馬鈴薯でんぷんだけでなく、トウモロコシでんぷん、サツマイモでんぷん、もち米でんぷん等があり、同様に使用可能である。ただし、馬鈴薯でんぷんは、糊化したときに同一量でも粘度を大きくできる点で望ましい。
【0031】
また、冷却液体として、ガラス液滴が最初に接触する表面部分の粘度をその下部領域に比べて低くした液体を用いることもできる。さらに、ガラス液滴を冷却液体に対して垂直に落下させることが望ましい。このような構成とすることにより、ガラス液滴が冷却液体に落下するときに衝撃を受けて変形することを防止でき、より真球度の高いガラス球を得ることができる。さらに、ガラス液滴が冷却液体と最初に接触する表面部分に難燃性液体を用いることにより、1000℃程度の高温状態のガラス液滴が冷却液体中に落下しても発火等の発生を防止することができる。
【0032】
また、冷却液体として合成のりを用いることもでき、糊化でんぷん液の場合と同様な作用を得ることができる。さらに、冷却液体として、ガラス液滴が最初に接触する表面部分の粘度が小さなオイルと、その下部領域部は表面部分よりは粘度の大きなオイルからなる構成としても同様な効果を得ることができる。
【0033】
また、冷却液体として、界面活性剤を含む液体を用いてもよい。この場合、冷却液体として、ガラス液滴が最初に接触する表面部分は界面活性剤を含む水、その下部に糊化でんぷん液あるいは合成のり液からなる二層構成としてもよい。この場合、界面活性剤の作用によりガラス液滴を覆う気泡層の周囲に形成された糊化でんぷん液あるいは合成のり液の皮膜が安定化される。このため、ガラス液滴の表面全体を覆う気泡層がより継続的に長く保持される。この結果、さらに大きな気泡層が形成されるので、より強い浮力が働き、かつ全体が回転力を伴って浮上する。これにより、ガラス液滴はより徐冷され、かつ表面張力と回転による遠心力が効率的に作用して一層確実に真空泡やクラック発生を防ぐと同時に真球度の高いガラス球の製造が可能となる。
【0034】
また、ガラス液滴受け部の形状として、ガラス液滴が滴下されてガラス球となる領域部の面積を大きくし、下方に向かうほど小面積としているので、ガラス球を捕集部に容易に導入することができる。また、この捕集部を交換可能としているので、冷却液体が流れ出さないようにして捕集部である交換ホースのみを取り外し、取り付け可能であり、ガラス球の取出し作業を効率的にできる。
【0035】
(実施の形態2)
上述の製造装置を用いて、本発明の種々の冷却液体を用いてガラス球を製造する方法について、以下具体的に説明する。本実施の形態においては、ガラス液滴受け部11の大径管11Aに充填する冷却液体150を二層構成とし、その組成を種々変化させてガラス球を作製した。冷却液体150の下部側である第2の液体152の液位は150mmとし、第1の液体151はこの第2の液体152上に液位50mmとなるように入れた。さらに、冷却液体150の温度は、液体温度制御部18により60℃に制御した。また、滴下ノズル2Aから第1の液体151の表面までの距離は20mmとし、1150℃に溶融させたホウケイ酸ガラスからなるガラス液滴10を60mgの重量で滴下してガラス球の作製を行った。
【0036】
第1実験例の冷却液体150は、以下のようにして作製した。第2の液体152として、馬鈴薯デンプンを糊化した液体を用いた。馬鈴薯デンプン30gを水に溶かし全体として1000ccとした後、この液体を攪拌しながら80℃まで加熱し糊化させて用いた。すなわち、実施の形態1の第1の糊化デンプン液と同じである。また、第1の液体151は、第2の液体152である第1の糊化デンプン液よりも粘度が低く、難燃性である水を用いた。このようにして作製した冷却液体150は上部側の第1の液体151は水であり、下部側の第2の液体は第1の糊化デンプン液であるため、数時間から数十時間程度はお互いに混合してしまうことがなく、二層状態を安定して保持することができる。すなわち、この冷却液体150は実施の形態1で例示した組成および条件と同じである。したがって、ガラス液滴10が冷却液体150に滴下されたとき、ガラス液滴10が冷却液体150中でガラス球101になるまでの挙動は実施の形態1で説明した挙動と同じであるので説明は省略する。
【0037】
第2実験例の冷却液体150は、以下のようにして作製した。第2の液体152として、馬鈴薯デンプン20gを水に入れ全体として1000ccとしてから、この液体を攪拌しながら80℃まで加熱し糊化させた液体(以下、第2の糊化デンプン液とよぶ)を用いた。また、第1の液体151は、第1実験例と同様に水を用いた。このようにして作製した冷却液体150についても、第1実験例と同様に数時間から数十時間程度はお互いに混合してしまうことがなく、二層状態を安定して保持することができる。
【0038】
この第2実験例の場合に、ガラス液滴10を滴下してガラス球101を形成するときの挙動について、図5から図10を用いて説明する。ガラス液滴10が、第1の液体151である水中に滴下されると図5に示すように、ガラス液滴10の周りには気泡層20が形成される。気泡層20からは微小気泡21が発生して、第1の液体151である水中を上昇して表面に達して消滅する。これは、第1実験例の場合とまったく同様である。このような現象を生じながら、ガラス液滴10は第2の液体152である第2の糊化デンプン液中に落下していく。第2の糊化デンプン液中に落下すると、第2の糊化デンプン液は第1の液体151の水に比べて高粘度であるため、図6に示すように気泡層20から発生する微小気泡21は閉じ込められて、気泡層20の上部が大きく膨らむ。この結果、ガラス液滴10の落下は停止する。
【0039】
この第2実験例の第2の糊化でんぷん液は、第1実験例の第1の糊化でんぷん液に比べて濃度が低いので粘度も低い。このため、ガラス液滴10は気泡層20およびその外周部領域に形成された第2の糊化デンプン液の構成成分からなる皮膜23とともに第1の液体151である水中まで浮力により浮上する。この状態を図7に示す。この浮上が生じてから数秒後、図8に示すように皮膜23は崩れ、同時に気泡層20の厚みも減少する。この結果、浮力が減少して第2の糊化デンプン液に向かって再び落下する。
【0040】
図9に示すように、再度第2の液体152である第2の糊化デンプン液中に落下したガラス液滴10の周囲には、再び上部側に大きく膨らんだ気泡層20が形成されてガラス液滴10の落下は停止する。その後、ガラス液滴10がガラス転移温度以下に冷却されるとガラス液滴10の周囲の気泡層20は減少する。気泡層20の減少とともに、図10に示すようにガラス球101となり落下を始める。以上のように、この第2実験例では、ガラス液滴10が第2の液体152に落下してから再び第1の液体151中まで浮上することが第1実験例と大きく異なる点である。
【0041】
第3実験例の冷却液体150は、以下のようにして作製した。第2の液体152として、馬鈴薯デンプン30gを水に入れ全体として1000ccとしてから、この液体を攪拌しながら80℃まで加熱し糊化させた液体、すなわち第1実験例の第1の糊化でんぷん液を用いた。また、第1の液体151としては、馬鈴薯デンプン10gを水に入れ全体として1000ccとしてから、この液体を80℃まで加熱し糊化させた液体(以下、第3の糊化デンプン液とよぶ)を用いた。この第3の糊化デンプン液の粘度は、第2の液体152である第1の糊化デンプン液よりも小さいが、水よりは大きい。このようにして作製した冷却液体150についてもそれぞれが糊化しているので、上記の実験例とほぼ同様に数時間から数十時間程度はお互いに混合してしまうことがなく、二層状態を安定して保持することができる。
【0042】
この第3実験例の場合にガラス液滴10を滴下してガラス球を形成するときの挙動について、図11から図13を用いて説明する。ガラス液滴10が第1の液体151である第3の糊化でんぷん液に滴下されると、図11に示すようにガラス液滴10の周囲には上方が若干膨らんだ気泡層20が形成される。しかし、第1実験例や第2実験例の場合と異なり気泡層20から微小気泡は生じない。気泡層20が形成されたままゆっくりと落下していき界面153を通過して、第2の液体152である第1の糊化デンプン液中に突入した。この第1の糊化でんぷん液中では、図12に示すように気泡層20が上方に大きく膨らみ、その浮上力の作用によりガラス液滴10の落下は停止した。その後、図13に示すようにガラス液滴はガラスの転移温度以下に冷却されてガラス球101となり、同時に気泡層20も減少する。この結果、ガラス球101はゆっくり落下を開始する。図12以降の挙動は、第1実験例と同じであった。
【0043】
第4実験例の冷却液体150は、以下のようにして作製した。第2の液体152として、市販のポリビニールアルコールからなる合成のりを用いた。また、第1の液体として、この合成のりより粘度が低く、難燃性の液体である水を用いた。この構成においても数時間から数十時間程度は混合することなく、二層状態を安定して保持することができる。この実験例の場合に、ガラス液滴10が冷却液体150中に滴下されてガラス球101が形成されるときの挙動は第1実験例とほぼ同じであったので、説明は省略する。
【0044】
次に、第1比較実験例の冷却液体150を作製した。第2の液体152として、馬鈴薯デンプン10gを水に入れ全体として1000ccとした後、攪拌しながら80℃まで加熱し糊化させた液体、すなわち第3実験例で第1の液体151として用いた第3の糊化デンプン液を用いた。また、第1の液体151としては水を用いた。この構成においても数時間から数十時間程度は混合することなく、二層状態を安定して保持することができる。
【0045】
この第1比較実験例の場合にガラス液滴10を滴下してガラス球101を形成するときの挙動について、図14から図16を用いて説明する。第1の液体151である水中にガラス液滴10が滴下されると、図14に示すようにガラス液滴10の周囲には気泡層20が形成される。同時に、気泡層20からは微小気泡21が生じて第1の液体151である水表面上まで到達して消失する。ガラス液滴10は、この気泡層20が形成された状態で界面153を通過して、第2の液体152である第3糊化デンプン液中に落下する。ここまでの挙動は、第1実験例および第2実験例の場合と同じである。第3糊化でんぷん液中では、ガラス液滴10の周囲の気泡層20は上方に若干膨らむ程度で、第1実験例や第2実験例などのように大きく膨らむことはない。これは、糊化でんぷんの濃度が小さいためである。したがって、ガラス液滴10が停止するほどの浮力を得られず、ガラス液滴10の落下スピードがやや遅くなるのみで、ガラス液滴10の落下は進行する。ガラス液滴10は落下しながら冷却され、ガラスの転移温度以下になるとガラス球101となるとともに、気泡層20はほとんど生じなくなる。これを、図16に示す。
【0046】
上記の第1実験例から第4実験例および第1比較実験例について、それぞれ同一条件で280個のガラス球101を製造し、真球度と表面状態の観察を行った。真球度はガラス球101の最短径と最長径を測定し、最短径と最長径との比をパーセント表示で求めた。すなわち、100%に近づくほど真球度が良好となることを意味する。また、表面状態については、ガラス球101の割れ、表面に観察されるクラックおよび内部に形成される真空泡の有無について、目視観察と顕微鏡観察を行った。なお、真空泡はガラス球101が急冷されるときに生じやすいことが今までの実験から認められており、このような欠陥が発生すると精度の高いレンズの作製が困難となる。
【0047】
評価結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0004093184
【0049】
表1から分かるように、第1比較実験例においては、真球度が96〜98%であり、かつ、割れ、クラックおよび真空泡(以下、これらを含めて欠陥とよぶ)の発生率が100%であった。この結果は、第1実験例、第2実験例および第4実験例と比較すると、真球度は悪化し、かつ欠陥発生率が非常に大きいことが見出された。したがって、第1比較実験例では、ガラス球101の歩留まりが大きく低下し、量産性にかけることがわかった。一方、第1実験例から第4実験例では、第2の液体152である馬鈴薯でんぷんの濃度が少なくなるにつれて、真球度がやや悪化する傾向が見られた。しかし、欠陥発生率はともに許容限界値である5%より小さく良好な結果が得られた。なお、レンズを作製するためのプリフォーム材としてのガラス球101の場合には、真球度は95%以上であればよいので第1比較実験例も含めて、真球度についてはすべてクリアする値であった。
【0050】
第1実験例、第2実験例、第3実験例および第1比較実験例の結果を比較すると、ガラス球101の欠陥発生は糊化デンプン濃度に関係していることが見出された。すなわち、第1実験例、第2実験例および第3実験例から分かるように、第2の液体152である糊化でんぷん液の馬鈴薯でんぷんが水1000ccに対して20g以上の場合には、欠陥発生率は許容限界値である5%より小さな値が得られた。しかし、第1比較実験例から分かるように、馬鈴薯でんぷんが水1000ccに対して10g/1000ccの場合には、欠陥発生率は100%であった。これは、第2の液体152である糊化でんぷんの濃度が薄いため、ガラス液滴10がこの第2の液体152中に突入してその周囲に気泡層20を生じても、この気泡層20から生じる微小気泡21を閉じ込めるような皮膜が充分形成されないためである。ガラス液滴10の周囲の気泡層20から発生した微小気泡21は、この薄い皮膜を通過して逃げやすいため、ガラス液滴10は気泡層20で充分覆われなくなる。その結果、ガラス液滴10は表面部のみが急冷されることになり、欠陥が発生しやすくなったものと考えられる。このことから第1の液体として水を用いる場合は、ガラス液滴10が水中に留まっている時間をできるだけ短くして第2の液体152中に突入させ、第2の液体中で気泡層20の周囲に皮膜を充分形成させることが望ましい。
【0051】
一方、馬鈴薯でんぷん量が40gを超えると、第2の液体152である糊化でんぷん液の濃度が高くなり、ガラス球101の落下が非常に遅くなる。このため、量産性が大きく低下する。したがって、真球度が良好で、量産性を阻害しない濃度範囲としては、20g以上で40g以下とすることが望ましい。
【0052】
また、真球度はガラス液滴10が冷却液体150に突入するときの衝撃の影響も受ける。このことは、第1の液体151の粘度をかえた実験から見出された。これは、粘度が高いと突入時の衝撃力が大きく、これによりガラス液滴10が変形してしまうことによる。第3実験例の真球度が第1実験例および第2実験例より低下しているのは、第3実験例の第1の液体151として用いた第3の糊化でんぷん液の粘度が他の場合に用いた水より高いためである。したがって、第1の液体151としては、できるだけ粘度が低い液体とすることが望ましい。また、ガラス液滴を滴下するときに、冷却液体に対して垂直に滴下するほうが衝撃力を小さくできるので望ましい。ただし、楕円状のガラス球101を作製する場合には、ガラス液滴10の重量と冷却液体表面までの距離に応じて第1の液体151の粘度を設定すれば、この第1の液体151に突入するときの変形を有効に作用させて目標とする扁平率のガラス球101を得ることもできる。
【0053】
また、第4実験例は、第2の液体152としてポリビニールアルコールからなる合成のりを用いたが、第1実験例と同等な真球度であり、欠陥発生率も許容限界値の5%より小さい値であった。したがって、冷却液体150として、第1の液体151を水とし、第2の液体152を合成のりとしてもよい。また、第2の液体152の合成のりより粘度の低い合成のりを第1の液体151として用いる場合には、第3実験例とほぼ同じ結果が得られる。
【0054】
なお、本実施の形態ではでんぷんとしては馬鈴薯デンプンを用いたが、デンプンには馬鈴薯デンプンだけでなく、とうもろこしデンプン、さつまいもデンプン、もち米デンプン等があり、それぞれ適した割合で水と混合して糊化させれば同じように使用できる。ただし、糊化したときに少ない量で粘度を大きくできる馬鈴薯デンプンが最も好ましい。
【0055】
(実施の形態3)
本実施の形態においては、冷却液体150の温度による影響を調べた。製造条件としては、実施の形態2において説明した第1実験例と同じ冷却液体150を用い、同じ製造条件とした。ただし、冷却液体150の温度については、55℃、60℃、70℃と変化させた。このそれぞれの温度条件でサンプル数280個のガラス球を作製して、その真球度と表面観察を行った。なお、真球度および表面観察の方法は実施の形態2で説明した方法と同じである。
【0056】
冷却液体150の温度を55℃とした条件においては、ガラス液滴10は第1の液体151である水中に突入すると同時に突沸音を発しながら、そのまま第2の液体152である第1の糊化デンプン液に落下した。しかし、第1の糊化デンプン液中に突入した後は、実施の形態2の第1実験例と同様な挙動を示した。一方、冷却液体150の温度を70℃とした条件においては、ガラス液滴10の冷却液体中での挙動は実施の形態2の第1実験例とまったく同一であった。なお、冷却液体150の温度を60℃とした条件は、実施の形態2の第1実験例と同じである。これらの条件で作製したガラス球の評価結果を表2に示す。
【0057】
【表2】
Figure 0004093184
【0058】
表2から分かるように、冷却液体150の温度が55℃の場合には真球度は97%から99%であるが、欠陥発生率は100%であった。これに対して、液温が60℃では真球度が98%から99.5%であり、70℃では98.5%から99.5%となり、液温が高いほうが真球度が良好になる傾向が見られた。また、ガラス球101の欠陥発生率は許容限界値である5%より小さく、良好な結果が得られた。
【0059】
液温を55℃とした場合には、ガラス液滴10の表面のみが急激に冷やされるため真空泡が発生しやすくなり、このために欠陥発生率が大きく増加したことがわかった。これらの結果から、良好な真球度を有し、かつ欠陥発生率の小さいガラス球101を作製するためには、冷却液体150の温度を60℃以上とすることが要求される。なお、温度の上限については、冷却液体150を安定に保持できる温度であればよく、たとえば第1の液体として水を用いる場合には沸点である100℃以下とすればよい。また、冷却液体として、ガラス液滴が最初に接触する表面部も含めてオイルまたはでんぷん液等にした場合には、それぞれの沸点以下とすればよい。
【0060】
(実施の形態4)
本実施の形態では、二層構成からなる冷却液体の第1の液体中に界面活性剤を添加した場合について説明する。本実施の形態においては、第1の液体中への界面活性剤の添加濃度の影響について調べた。このため、以下の材料、条件については同じとした。すなわち、第2の液体152としては、実施の形態2の第1実験例と同じ第1の糊化でんぷん液を用いた。また、第2の液体152である第1の糊化デンプン液を液位150mmになるようにガラス液滴受け部11の大径管11Aに充填し、その液上に第1の液体151を液位50mmになるように注いだ。なお、これらからなる冷却液体150の温度は50℃、滴下ノズル2Aと第1の液体151との距離は20mmとした。また、溶融ガラス4としては1150℃に加熱して溶融させたホウケイ酸ガラスを用い、60mgを滴下した。
【0061】
第5実験例の冷却液体150の第1の液体151としては、0.01wt%の非イオン界面活性剤を添加した水(以下、第1の添加水とよぶ)を用いた。この構成の冷却液体150を用いた場合に、ガラス液滴10が冷却液体150に滴下されてガラス球101になるまでの挙動を図17から図21を用いて説明する。ガラス液滴10が第1の液体151である第1の添加水に突入すると、図17に示すようにガラス液滴10の周囲には気泡層20が形成される。さらに、この気泡層20からは微小気泡21が生じ、第1の添加水表面まで到達して消滅する。ガラス液滴10は、気泡層20を周囲に形成したまま界面153を通過し、第2の液体152である第1の糊化デンプン液中に落下した。この第1の糊化でんぷん液中では、図18に示すように気泡層20が上部側で大きく膨らみ浮力が発生し、ガラス液滴10の落下は停止した。
【0062】
その後、図19に示すように、ガラス液滴10はその周囲に形成された気泡層20と、さらにその外周部に形成された第1の糊化デンプン液の構成成分からなる皮膜23とともに第1の添加水中まで浮上した。ここまでの挙動は、実施の形態2の第2実験例の場合とほぼ同じであった。第1の添加水には非イオン界面活性剤が含まれており、この界面活性剤の作用により皮膜23が崩れることなく、ガラス液滴10は十数秒間第1の添加水中で小さな上下動を繰り返しながら浮遊した。ガラス液滴10の温度が低下していくとともに気泡層20の厚みは減少し浮力が低下して、図20に示すように第1の糊化デンプン液中に再突入した。その後、ガラス転移温度以下になると固化してガラス球101になるとともに、気泡層20の厚みはより減少して落下し始めた。これを図21に示す。図20から図21にかけての挙動は、第2実験例とほぼ同じであった。
【0063】
第6実験例の冷却液体150の第1の液体151としては、0.001wt%の非イオン界面活性剤を含んだ水(以下、第2の添加水とよぶ)を用いた。この構成からなる冷却液体150中でガラス液滴10が冷却されてガラス球101になる挙動は、第5実験例とほぼ同じであったので説明は省略する。
【0064】
第2比較実験例の冷却液体150の第1の液体としては、0.02wt%の非イオン界面活性剤を含んだ水(以下、第3の添加水とよぶ)を用いた。この冷却液体150を用いて、ガラス液滴10がガラス球101まで冷却されるときの挙動は、実施の形態2の第1比較実験例とほぼ同じであるので説明を省略する。
【0065】
第3比較実験例の冷却液体150の第1の液体151としては、非イオン界面活性剤を含まない水を用いた。すなわち、実施の形態2の第1実験例の場合と組成は同じであるが、液の温度が50℃である点が異なる。
【0066】
以上、第5実験例、第6実験例、第2比較実験例および第3比較実験例について、280個のガラス球を作製して真球度と表面状態の観察を行った。真球度の測定方法および表面状態の観察方法は実施の形態2と同じである。この結果を表3に示す。
【0067】
【表3】
Figure 0004093184
【0068】
表3からわかるように、ガラス球101の表面観察結果では、欠陥発生率は第1の液体151中に添加された非イオン界面活性剤の濃度に関係している。非イオン界面活性剤の濃度が0.01wt%である第1の添加水を用いた第5実験例を中心として、濃度が少ない場合も、また多い場合も欠陥発生率は増加する傾向が見られた。第1の液体151として界面活性剤が添加されていない水を用いた第3比較実験例の場合には、冷却液体150の温度を55℃とした結果(表2参照)とほぼ同じように真空泡が多発し、欠陥発生率は100%となった。この結果から添加濃度は、0.001wt%以上とすることが必要である。
【0069】
また、添加濃度が0.02wt%においては、欠陥発生率は10%程度となり、許容限界値である5%を超える結果となった。これは、以下の理由による。界面活性剤濃度を0.02wt%以上にすると糊化デンプンと界面活性剤との反応性が高くなり、このため糊化デンプン分子間の結合が容易に切断されてしまう。その結果、第1の液体中にガラス液滴10が気泡層20と皮膜23とを保持した状態で浮上してきても、皮膜23は界面活性剤と反応してでんぷん強度が低下し、皮膜23が崩れやすくなる。この結果、気泡層20からは微小気泡が皮膜23を通過して抜け出やすくなり、気泡層20は小さくなる。このような現象が生じるため、ガラス液滴10の表面層が急冷されて主として真空泡からなる欠陥が発生すると推定される。
【0070】
一方、界面活性剤濃度が0.001wt%から0.01wt%の範囲では、界面活性剤が適度な濃度であるため、皮膜23の安定化に有効に作用する。すなわち、周囲を気泡層20と皮膜23とで覆われたガラス液滴10が再び第1の液体151中に浮上しても、界面活性剤の作用により皮膜23は崩れにくく、気泡層20は安定的に保持される。その結果、ガラス液滴10には浮力が作用し、小さな上下動を繰り返しながら十数秒間第1の液体151中に浮遊することができる。この浮遊状態時にガラス液滴10は回転するので、回転による遠心力とガラス液滴10の表面張力とによって球形化が促進され、真球度が改善されると考えられる。これらの結果から、界面活性剤の添加濃度としては、0.001wt%から0.01wt%が望ましい範囲であることが見出された。
【0071】
(実施の形態5)
実施の形態4の第5実験例と同じ冷却液体150の組成において、その温度を変えたときの影響を調べた。冷却液体150の温度として、45℃、50℃および60℃の3条件として280個のガラス球を作製し、実施の形態4と同様な評価を行った。
【0072】
冷却液体150の温度を45℃としたとき、ガラス液滴10は第1の液体151である第1の添加水中に落下すると同時に突沸音を発するものや、第2の液体152である第1の糊化デンプン液中から再び第1の添加水中に浮上して皮膜23が崩れたときに突沸音を発するものもみられた。このように、ガラス液滴10の挙動はばらばらであり安定していなかった。この条件で作製したガラス球101の真球度は97.1%から98.2%であり、表面状態観察から欠陥発生率は58%であることが認められた。
【0073】
これは、冷却液体150の温度が45℃では低温すぎるために、ガラス液滴10が第1の添加水と接触しても気泡層の発生量が不十分となり、直接第1の添加水とガラス液滴10が接触しやすくなる。その結果、ガラス液滴10の表面領域部のみが急激に冷やされて突沸音を発し、ガラス液滴10の内部に真空泡が発生するためである。
【0074】
冷却液体150の温度を60℃としたときには、ガラス液滴10の冷却液体150中での挙動は、実施の形態4の第5実験例とほぼ同じであった。この条件で作製したガラス球101の真球度は98.5%から99.6%であった。また、欠陥発生率は1%未満であった。これらの結果から、界面活性剤を水中に添加した液体を第1の液体151として用いる場合には、少なくとも冷却液体150の第1の液体151を50℃以上とすることが必要であることが見出された。なお、温度の上限については、冷却液体150を安定に保持できる温度であればよく、たとえば第1の液体151として界面活性剤を添加した水を用いる場合には、水の沸点である100℃以下とすればよい。
【0075】
なお、実施の形態4および実施の形態5では、第2の液体152として糊化デンプン液、第1の液体151として界面活性剤を含んだ水を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ポリビニールアルコールを主成分とする合成のりを第2の液体152とし、界面活性剤を含んだ水を第1の液体151とした冷却液体150を用いてもよい。この冷却液体150の場合でも、真球度が高く、欠陥発生率の少ないガラス球を得ることができる。また、第1の液体として用いる水中に添加する界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤または両性界面活性剤等が用いてもよい。ただし、非イオン界面活性剤は安定性が高く、ガラス球を量産する上では最も好ましい材料である。
【0076】
なお、本発明は実施の形態2から実施の形態5までに説明した内容に限定されることはない。例えば、冷却液体としてオイルを用い、ガラス液滴が最初に接触する領域部の粘度を小さくし、その下方部のオイルの粘度を大きくするようにしてもよい。
【0077】
また、ガラス液滴の滴下量に応じて第1の液体の液位を設定し、第1の液体にガラス液滴が接触して発生した気泡層が消失する前に第2の液体中にガラス液滴を落下させるようにすれば、ガラス液滴の周囲に発生した気泡層を第2の液体中の構成成分の皮膜で覆うことができるため、安定に気泡層を維持できる。例えば、ガラス液滴の量を60mgとするとガラス球の直径は約3mmであるので、第1の液体として水を用いる場合には、その液位をガラス球の直径の3倍から20倍以下とすればよい。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のガラス球の製造方法および製造装置を用いることにより、従来の方法および装置と比較して真球度が良好で、かつクラックや真空泡等の欠陥発生率の非常に少ないガラス球を簡単な装置構成と方法で製造できる。このようにして形成したガラス球をプリフォーム材として用いることにより、研磨することなく熱間モールドプレス成形が可能であり、その結果、形状精度の優れたレンズを安価に作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のガラス球の製造装置の概略構成図
【図2】 本発明の実施の形態1におけるガラス球形成過程を示す模式図
【図3】 本発明の実施の形態1におけるガラス球形成過程を示す模式図
【図4】 本発明の実施の形態1におけるガラス球形成過程を示す模式図
【図5】 本発明の実施の形態2において、第2実験例の冷却液体を用いた場合のガラス球形成過程を示す模式図
【図6】 本発明の実施の形態2において、第2実験例の冷却液体を用いた場合のガラス球形成過程を示す模式図
【図7】 本発明の実施の形態2において、第2実験例の冷却液体を用いた場合のガラス球形成過程を示す模式図
【図8】 本発明の実施の形態2において、第2実験例の冷却液体を用いた場合のガラス球形成過程を示す模式図
【図9】 本発明の実施の形態2において、第2実験例の冷却液体を用いた場合のガラス球形成過程を示す模式図
【図10】 本発明の実施の形態2において、第2実験例の冷却液体を用いた場合のガラス球形成過程を示す模式図
【図11】 本発明の実施の形態2において、第3実験例の冷却液体を用いた場合のガラス球形成過程を示す模式図
【図12】 本発明の実施の形態2において、第3実験例の冷却液体を用いた場合のガラス球形成過程を示す模式図
【図13】 本発明の実施の形態2において、第3実験例の冷却液体を用いた場合のガラス球形成過程を示す模式図
【図14】 本発明の実施の形態2において、第1比較実験例の冷却液体を用いた場合のガラス球形成過程を示す模式図
【図15】 本発明の実施の形態2において、第1比較実験例の冷却液体を用いた場合のガラス球形成過程を示す模式図
【図16】 本発明の実施の形態2において、第1比較実験例の冷却液体を用いた場合のガラス球形成過程を示す模式図
【図17】 本発明の実施の形態4において、第5実験例の冷却液体を用いた場合のガラス球形成過程を示す模式図
【図18】 本発明の実施の形態4において、第5実験例の冷却液体を用いた場合のガラス球形成過程を示す模式図
【図19】 本発明の実施の形態4において、第5実験例の冷却液体を用いた場合のガラス球形成過程を示す模式図
【図20】 本発明の実施の形態4において、第5実験例の冷却液体を用いた場合のガラス球形成過程を示す模式図
【図21】 本発明の実施の形態4において、第5実験例の冷却液体を用いた場合のガラス球形成過程を示す模式図
【符号の説明】
1 電気炉
2 白金ルツボ
2A 滴下ノズル
4 溶融ガラス
5 攪拌羽
5A 攪拌羽回転軸
6 制御部
7 金属蓋
7A エアー供給部
8 オーリングシール
9 シール部材
10 ガラス液滴
11 ガラス液滴受部
11A 大径管
11B 絞り部
11C、13 コック
11D 小径管
12 ホース
14 交換ホース
14A 締め具
17 水
18 液体温度制御部
19 移動機構
20 気泡層
21 微小気泡
23 皮膜
101 ガラス球
150 冷却液体
151 第1の液体
152 第2の液体
153 界面

Claims (36)

  1. 溶融状態のガラスをノズルより滴下させることによってガラス液滴を冷却液体中に落下させる滴下工程と、この冷却液体中で、前記ガラス液滴の周囲を前記冷却液体が蒸気化して発生する気泡層と、さらにこの気層の周囲を前記冷却液体による皮膜で覆うことにより浮力を生じさせて、前記ガラス液滴を冷却液体中で停止、そして浮上させた後再び落下させる、または前記ガラス液滴を停止させた後再び落下させることで、このガラス液滴を前記冷却液体中で徐々に落下させながらガラス転移温度以下まで徐冷する冷却工程とを有し、前記冷却液体は、ガラス液滴が最初に接続する表面部である第1の液体と、この第1の液体の下部領域となる第2の液体との二層からなり、前記第1の液体の粘度を前記第2の液体の粘度より低くしたことを特徴とするガラス球の製造方法。
  2. 第1の液体は、少なくとも難燃性液体である請求項1に記載のガラス球の製造方法。
  3. 冷却液体は、糊化デンプン液または合成のり液からなり、第1の液体の濃度を第2の液体の濃度より低くした請求項1に記載のガラス球の製造方法。
  4. 第2の液体の濃度として水1000ccに対して糊化デンプン量を20g以上、40g以下とし、第1の液体の濃度として水1000ccに対して前記糊化デンプン量を20gより少なくした請求項1に記載のガラス球の製造方法。
  5. 糊化デンプン液として、馬鈴薯デンプンを水に溶解させて糊化させたものである請求項4に記載のガラス球の製造方法。
  6. 冷却液体はオイルからなり、このオイルは、ガラス液滴が最初に接続する表面部である第1の液体と、この第1の液体の下部領域となる第2の液体との二層からなり、前記第1の液体の粘度を前記第2の液体の粘度より低くした請求項1に記載のガラス球の製造方法。
  7. 冷却液体は、第1の液体を水、第2の液体を糊化デンプン液または合成のり液とした請求項1に記載のガラス球の製造方法。
  8. 第2の液体は、水1000ccに対して糊化デンプン量を20g以上、40g以下とした糊化デンプン液である請求項7に記載のガラス球の製造方法。
  9. 糊化デンプン液は、馬鈴薯デンプンを水に溶解させて糊化したものである請求項8に記載のガラス球の製造方法。
  10. 第1の液体は、ガラス液滴と最初に接触する表面部の温度を60℃以上、前記第1の液体の沸点以下とした請求項1に記載のガラス球の製造方法。
  11. 第1の液体は界面活性剤を含む水とし、第2の液体は糊化デンプン液または合成のり液とした請求項1に記載のガラス球の製造方法。
  12. 第1の液体は、ガラス液滴と最初に接触する表面部の温度を50℃以上、前記第1の液体の沸点以下とした請求項11に記載のガラス球の製造方法。
  13. 第1の液体の界面活性剤の濃度は、0.001wt%から0.01wt%の範囲とした請求項11または請求項12に記載のガラス球の製造方法。
  14. 界面活性剤は非イオン界面活性剤とした請求項11から請求項13のいずれかに記載のガラス球の製造方法。
  15. ガラス液滴を冷却液体の表面に対して垂直に滴下させる請求項1に記載のガラス球の製造方法。
  16. ガラス液滴の滴下量に応じて第1の液体の液位を設定し、この第1の液体に前記ガラス液滴が接触して発生した気泡層が消失する前に、第2の液体中に前記ガラス液滴を落下させる請求項1に記載のガラス球の製造方法。
  17. ガラスを加熱溶融させる溶融ルツボと、この溶融ルツボの下方に設けられ、溶融させたガラスを滴下させるノズルと、このノズルの下方に設けられ、前記ノズルから滴下されたガラス液滴が最初に接触する表面部の第1の液体と、この第1の液体の下部領域に設けた第2の液体との二層からなる冷却液体が充填され、前記ガラス液滴を徐冷するためのガラス液滴受け部とを備え、前記冷却液体は、第1の液体の粘度を第2の液体の粘度より低くするとともに、ガラス液滴がガラス転移温度以下まで冷却される期間、 前記ガラス液滴の熱により冷却液体が蒸気化して周囲に気泡層と、この気泡層の周囲に前記冷却液体の構成成分により形成される皮膜とを形成する材料からなることを特徴とするガラス球製造装置。
  18. 冷却液体のうち第1の液体は、少なくとも難燃性液体とした請求項17に記載のガラス球製造装置。
  19. 冷却液体は、糊化デンプン液または合成のり液からなり、第1の液体の濃度を第2の液体の濃度より低くした請求項17に記載のガラス球製造装置。
  20. 冷却液体は糊化デンプン液であって、第1の液体の濃度を水1000ccに対して糊化デンプン量を20g以上、40g以下とするとともに、第2の液体の濃度は水1000ccに対して糊化デンプン量を20gより少なくした請求項17に記載のガラス球製造装置。
  21. 糊化デンプン液は、馬鈴薯デンプンを水に溶解させて糊化させたものである請求項20に記載のガラス球製造装置。
  22. 冷却液体はオイルからなり、このオイルは、ガラス液滴が最初に接触する表面部である第1の液体と、この第1の液体の下部領域となる第2の液体との二層からなり、前記第1の液体の粘度を前記第2の液体の粘度より低くした請求項17に記載のガラス球製造装置。
  23. 冷却液体は、第1の液体を水、第2の液体を糊化デンプン液または合成のり液とした請求項17に記載のガラス球製造装置。
  24. 第2の液体は糊化デンプン液であって、その濃度を水1000ccに対して糊化デンプンを20g以上、40g以下とした請求項23に記載のガラス球製造装置。
  25. 第1の液体は、ガラス液滴と最初に接触する表面部の温度を60℃以上、前記第1の液体の沸点以下とした請求項17に記載のガラス球製造装置。
  26. ガラス液滴の滴下量に応じて第1の液体の液位を設定し、この第1の液体に前記ガラス液滴が接触して発生した気泡層が消失する前に、第2の液体中に前記ガラス液滴を落下させる請求項17に記載のガラス球製造装置。
  27. 第1の液体は界面活性剤を含む水とし、第2の液体は糊化デンプン液または合成のり液とした請求項17に記載のガラス球製造装置。
  28. 第1の液体は、ガラス液滴と最初に接触する表面部の温度を50℃以上、前記第1の液体の沸点以下とした請求項27に記載のガラス球製造装置。
  29. 第1の液体の界面活性剤の濃度は、0.001wt%から0.01wt%の範囲とした請求項27または請求項28のいずれかに記載のガラス球製造装置。
  30. 界面活性剤は非イオン界面活性剤とした請求項27から請求項29のいずれかに記載のガラス球製造装置。
  31. ガラス液滴受け部は、ガラス液滴が滴下、冷却されてガラス球が形成される領域部の面積を大きくし、下方部に向かうほど小面積とした請求項17に記載のガラス球製造装置。
  32. 溶融ルツボの上方は密閉され、かつエアー供給部を有し、このエアー供給部から高圧ガスを前記溶融ルツボ中に制御しながら導入して、溶融ガラスをノズルから滴下する滴下手段をさらに設けた請求項17に記載のガラス球製造装置。
  33. ガラス液滴受け部を水平方向で二次元的に移動可能とした移動機構をさらに備え、滴下手段と同期させて前記ガラス液滴受け部を移動させる請求項17に記載のガラス球製造装置。
  34. ガラス液滴受け部の下方部に連結してガラス球を採集し、取り出すための採集部を設けた請求項17に記載のガラス球製造装置。
  35. ガラス液滴受け部の冷却液体を保持したまま採集部を交換可能な構成とした請求項17に記載のガラス球製造装置。
  36. ガラス液滴受け部を鉛直方向に立設し、ノズルから滴下されるガラス液滴が冷却液体表面に対して垂直に落下する構成とした請求項17に記載のガラス球製造装置。
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