JP2008110901A - 球状粒の製造方法および球状粒の製造装置 - Google Patents

球状粒の製造方法および球状粒の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】誘導路および/またはノズルを振動させることにより、一定の形状や質量を有する球状粒を製造する球状粒の製造方法およびこの製造方法に使用する球状粒製造装置を提供すること。
【解決手段】溶融物を保持する保持容器から、溶融物を保持容器と接続されている誘導路に流出させる工程と、溶融物を誘導路に接続されているノズルより流出させ、溶融物を落下させることにより球状粒に変化させ、球状粒を回収する工程と、を含む球状粒の製造方法において、誘導路および/またはノズルを溶融物の落下方向に振動させることにより、溶融物を落下させることにより球状粒を製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、球状粒の製造方法および球状粒の製造装置に関する。
近年、DVD、CD、光磁気ディスク等の光ピックアップレンズ、カメラ付携帯電話用レンズ、光通信用レンズや光学機器等に用いられるレンズ等は、微小な球状のプリフォームから成形されることが多くなり、直径が約0.8〜4mm程度の球状のガラスを製造する技術が急速に求められている。
また、半導体装置等で行われるマイクロソルダリング用のはんだボール、熱間静水圧プレス成形等による焼結合金製造用の金属粉、マイクロマシン等に用いられる微細ボールベアリング用のボール、ハロゲン化金属ランプ用の封入発光粒子、スクリーン印刷や浸漬塗布、その他の一般塗布機用のペースト、クリームあるいはペイントに用いられる粉体等、非常に多くの分野で狭い粒度分布と高い真球度が要求される微細金属球のニーズが高まっている。
このような球状粒の製造方法として、例えば、特許文献1には、保持容器内に保持した溶融ガラスを、振動を付与しながら保持容器の一部に設けたオリフィスにより気相中に排出してガラス液滴を形成し、ガラス液滴を気相中または液相中を落下させながら凝固する球体ガラスの製造技術が開示されている。
また、特許文献2には振動発生器に接続されたノズルにより球状粒子を製造する方法が開示されているが、この文献にはノズルの振動方向についての詳細は議論されていない。
特開2003−104744号公報 特開平4−227043号公報
特許文献1に記載の製造方法は、溶融ガラスに振動を付与することにより、排出口から連続する柱状のガラス流の側面において、柱状のガラス流の断面半径を小さくするように、振動に連動する窪みを形成し、窪みを形成した柱状のガラス流は、落下速度の増加にしたがって振動により形成を制御された窪み部分で分断され、体積の制御された液滴を形成する。
しかしながら、このような方法を用いても、液滴の大きさや質量は、重力や表面張力等に起因し、常に一定の形状や質量を有するガラス液滴を流出することが困難であり、製造される球状ガラスの質量を一定にすることは困難であるといった課題があった。また、ガラス液滴に気泡が入り込み、球状ガラス中に泡が混入し易くなるといった課題があった。また、特許文献1によれば、保持容器内の溶融ガラスに振動棒を挿入し、溶融ガラスを直接振動させているが、この方法では振動棒の成分が溶融ガラスに溶け出し溶融ガラスを汚染するという課題もあった。
本発明は、上述したような課題を解決するためになされたものであり、組成や形状、質量の変動幅が非常に小さく、気泡の混入が非常に少ない、球状粒の製造方法およびこの製造方法に使用する球状粒製造装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、ノズルを特定の方向に振動させることで、球状粒への気泡の混入を抑制し、流出する球状粒の組成や形状、質量の変動幅を非常に小さくすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 溶融物を保持する保持容器から、前記溶融物を前記保持容器と接続されている誘導路に流出させる工程と、前記溶融物を前記誘導路に接続されているノズルより流出し、前記溶融物を落下させることにより球状粒に変化させ、前記球状粒を回収する工程と、を含む球状粒の製造方法において、前記誘導路および/または前記ノズルを前記溶融物の落下方向に振動させることにより、前記溶融物を落下させる球状粒の製造方法。
(2) 前記誘導路および/または前記ノズルに加振器を接続し、前記誘導路および/または前記ノズルを振動させる(1)に記載の球状粒の製造方法。
(3) 前記誘導路を10〜500Hzの間の任意の周波数で振動させる(1)または(2)に記載の球状粒の製造方法。
(4) 前記振動はノズルの先端から10mm上部の位置の振幅が0.1〜250μmである(1)から(3)のいずれかに記載の球状粒の製造方法。
(5) 単位時間当たりの前記溶融物の流出量Qと、前記球状粒の100個当たりの平均質量aと、前記誘導路または前記ノズルを振動させる周波数fとの関係が、下記数式の関係にある、(1)から(4)のいずれかに記載の球状粒の製造方法。
(6) 前記溶融物を落下させる距離は、0.1〜100mである(1)から(5)のいずれかに記載の球状粒の製造方法。
(7) 溶融物を保持する保持容器と、前記保持容器を加熱および/または支持する炉体と、前記保持容器に接続され、前記溶融物を前記保持容器から流出させる誘導路と、前記誘導路中の前記溶融物を流出するノズルと、前記ノズルから流出した前記溶融物を落下させることにより球状粒に変化させ、前記球状粒を回収する回収手段と、前記誘導路および/または前記ノズルを前記溶融物の落下方向に振動させるための加振器が前記誘導路に接続されている球状粒製造装置。
(8) 前記加振器は、前記誘導路の屈曲部の上方に接続されている(7)に記載の球状粒製造装置。
本発明によれば、組成や形状、質量の変動幅が非常に小さく、気泡の混入が非常に少ない球状粒を得ることができる。また、溶融物が汚染されることがなくなり、組成変動の少ない球状粒を得ることができる。
本発明の球状粒の製造方法は、溶融物を保持する保持容器から、溶融物を保持容器と接続されている誘導路に流出させる工程と、溶融物を誘導路に接続されているノズルより流出し、溶融物を落下させることにより球状粒に変化させ、球状粒を回収する工程と、を含む球状粒の製造方法において、誘導路および/またはノズルを溶融物の落下方向に振動させることにより、溶融物を落下させることを特徴とする。
また、本発明の球状粒製造装置は、溶融物を保持する保持容器と、保持容器を加熱および/または支持する炉体と、保持容器に接続され、溶融物を保持容器から流出させる誘導路と、誘導路中の溶融物を流出するノズルと、ノズルから流出した溶融物を落下させることにより球状粒に変化させ、球状粒を回収する回収手段と、誘導路および/またはノズルを溶融物の落下方向に振動させるための加振器が誘導路および/またはノズルに接続されていることを特徴とする。
以下、本発明の球状粒の製造方法および球状粒製造装置の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。
[全体構成]
本発明の球状粒の製造方法は、図1に示したように球状粒製造装置1を使用して球状粒を製造する。球状粒製造装置1は、ガラスや金属、樹脂等からなる原料を溶融し、溶融物Aを保持する保持容器11と、保持容器11を加熱し、保持容器11を接続(支持)する炉体12を備える。また、保持容器11の下部には、溶融物Aを流出させるための誘導路13が接続されており、溶融物Aは、保持容器11から誘導路13を経て、ノズル14から柱状に流出される。流出された溶融物Aは、空中を落下し、落下している間に重力や表面張力により分離し、球状に形成される。成形された溶融物Aは、必要に応じて軌道を変更させる軌道変更手段15により軌道を変更させられ、回収手段16中の溶媒161中に落下する。
[球状粒の製造方法および球状粒の製造装置]
本発明では、加振器17により、ノズル14および/または誘導路13(図2および3では誘導路13に加振器17が設置された場合を例示している。)を溶融物の落下方向に振動させる。すなわち、ノズル14の流出部において、溶融物Aが放出される直線方向に振動させる。例えば、溶融物Aを鉛直方向下向きに落下させる場合、ノズル14を鉛直方向に上下に振動させればよい。
例えば、図5に示すように、ノズル14を溶融物Aの落下方向に対して垂直方向に振動させた場合、そして図6に示すようにノズル14に振動を付与しない場合は、柱状の溶融物Aから表面張力によって球状に分離する際に、取得しようとする球状粒の大きさよりも小さい球状粒が分離してしまう。そして、溶融物Aが落下する過程で小さい球状粒が再度大きな球状粒とくっついたり合体した場合、質量や形状が変動したり、くっついたり合体した時に気泡を巻き込んでしまう場合がある。
それに対して、図4に示すように、ノズル14を溶融物Aの落下方向に振動させた場合、ノズル14の振動方向と溶融物Aの落下方向が同一であるため、柱状の溶融物Aから球状粒への分離が安定し、組成や形状、質量の変動幅が非常に小さく、気泡の混入が非常に少ない球状粒を得ることができる。
本発明は、広範囲の直径の球状粒の製造において上述したような効果を有するものであり、特に球状粒の直径が数mm程度、さらに好ましくは4mm以下の微細な球状粒を製造する際に顕著な効果を有する。
ノズル14を振動させるために、ノズル14に加振器17を接続しても所望の効果が得られるが、図2および図3に示すように保持容器11からノズル15へと溶融物Aを導く誘導路13に加振器17を接続することがより好ましい。誘導路13はノズル14に比較して機械的強度が高いからである。なお、誘導路13は、図1および図2のように直線状であっても図3のように屈曲部131を有する曲線状であってもよい。誘導路13に加振器17を接続し、振動させることにより、誘導路13に接続されているノズル14が振動する。なお、加振器17をノズル14および/または誘導路13に直接取り付けても、所望の効果が得られる。
その他、ノズル14を振動させるためには加振器17を接続する以外にも、ノズル14または誘導路13へ通電することによって、ノズル14または誘導路13自体を振動させる構成とすることもできる。
また、本発明の球状粒の製造方法であれば、ノズル14を振動させるのみで溶融物A中に振動棒等を挿入させる必要はないので溶融物Aの汚染を防ぐことができる。
誘導路13および/またはノズル14の周波数の下限が10Hz以上であると、ノズル14から落下する柱状の溶融物Aが球状粒へと安定して分離することが容易となりやすい。上述したような効果をより得やすくするためには、周波数の下限は20Hz以上がより好ましく、30Hz以上が最も好ましい。
また、周波数の上限が500Hz以下であると、振動に対しての溶融物Aの応答性が良好になり、柱状の溶融物Aが球状粒へと安定して分離することが容易となりやすい。上述した効果を得やすくするためには周波数の上限は400Hz以下がより好ましく、300Hz以下が最も好ましい。
さらに前記周波数は、単位時間当たりの溶融物の流出量Qと、球状粒100個当たりの平均質量aとの関係において、前記周波数をfとした時、以下の関係を満たすことが好ましい。
(流出量Qの単位は(mg/sec)であり、平均質量aの単位は(mg)であり、周波数fの単位は(Hz)である。)
上記数式より、Q/fの値が、0.8aを超えていれば、ノズル14から流出した柱状の溶融物Aが分離した後で、近接する球状粒同士が結合してしまうという現象がより少なくなる傾向となり、取得した球状粒の形状が良好となりやすく、気泡の混入も少ない傾向となる。上述したような効果をより得やすくするためには前記Q/fの値の下限は0.85a以上である事がより好ましく、0.87a以上であることが最も好ましい。
また、前記Q/fの値が1.2a未満であれば、ノズル14から流出した柱状の溶融物Aが分離する際に、取得しようとする球状粒の大きさよりも小さい球状粒が分離する現象がより少なくなる傾向となり、取得した球状粒質量の変動が起こりにくい。上述したような効果をより得やすくするためには前記Q/fの値の上限は1.17a以下であることがより好ましく、1.15a以下であることが最も好ましい。
なお、「単位時間当たりの溶融物の流出量Q」とは、1秒当たりにノズルから流出する溶融物Aの流出量のことをいう。
また、ノズル14を振動させる振幅は、0.1〜250μmであること好ましい。振幅の下限が0.1μm以上であれば、ノズル14から落下する柱状の溶融物Aが球状粒へと安定して分離することが容易となりやすい。上述したような効果を得やすくするためには振幅の下限が0.5μm以上であるとより好ましく、1μm以上であると最も好ましい。
また、振幅の上限が250μm以下であると、ノズル14から落下する柱状の溶融物Aが乱れる事が無く球状粒へと安定して分離し良好な球形となりやすい。上述したような効果を得やすくするためには振幅の上限は240μm以下が好ましく、230μmが最も好ましい。
ノズル14の先端部は振動計測装置の振動検出器を取り付けるのが困難であるため、振幅はノズル14の先端(流出口)から10mm上部(ノズル14が鉛直方向に設置されていない場合は10mm上流側)の位置を基準とすることが好ましい。ただし、ノズル14の全長が10mmに満たない場合はノズル14の先端になるべく近い位置について測定した値とする。測定は、振動計測装置を用いて行う。具体的には、例えばIMV社製 Card Vibro Neo VM−2004Neoを使用することができる。
落下距離H(ノズル14の先端から回収手段16中の溶媒161の最上面の距離)は、溶融物Aを球状粒に変化させることができる距離であれば特に限定されず、溶融物Aの組成等に応じて適宜変更できるが、0.1〜100mであることが好ましい。溶融物Aを落下させる距離の下限が0.1m以上であれば、ノズル14から流出した溶融物Aが落下するまでの間に、表面張力によって球状粒となりやすい。上述したような効果をより得やすくするためには、溶融物Aを落下させる距離の下限は、1m以上がより好ましく、5m以上が最も好ましい。また、溶融物を落下させる距離としては、100m以上でもかまわないが、設備費用が増大するだけとなるので、溶融物Aを落下させる距離の上限は100m以下が好ましく、50m以下がより好ましく、35m以下が最も好ましい。
溶融物Aは、球状粒を製造したいものであれば、特に限定されず、溶融ガラス、溶融金属等であってもよい。
まず、溶融物Aを保持する保持容器11から、保持容器11と接続されている誘導路13に流出させる。
保持容器11は、保持容器11内の溶融物Aを攪拌するための攪拌機111と、加熱装置(図示せず)とを備えている。保持容器11は、溶融物Aを保持できればよく、例えば、耐火物容器、金坩堝、白金坩堝、白金合金坩堝、イリジウム坩堝等公知の保持容器を使用することができる。他の溶融手段によって原料を溶融し溶融物Aとしたものを保持容器11に移し替えてもよいし、保持容器11中で原料を溶融してもよい。
保持容器11は、例えば、溶融物Aが溶融ガラスの場合、ガラスを溶融、清澄することができるとともに、例えばヒータ(図示せず)等周知のものを使用して、溶融物Aの温度を所定の温度に保つことができるようにしてもよい。また、攪拌機111は、水平方向に回転して攪拌翼(図示せず)により溶融物Aを攪拌して均質化するが、必要に応じて省略してもよい。
また、保持容器11は、原料投入口(図示せず)が設けられている。図1に示すように、原料投入口が閉じられた場合は密閉状態となるような構造をとるようにしてもよい。さらに、保持容器11に圧力調整手段112が設けられている場合、保持容器11は、圧力調整手段112によって加圧または減圧された場合、構造的に耐えられるような耐圧性を備えた構造をとるようにしてもよい。
圧力調整手段112は、保持容器11内の溶融物Aの液面に圧力を付与し、保持容器11内の溶融物Aの貯蔵量に関わらず一定量の溶融物Aを誘導路13へ流出させることができる。
例えば、保持容器11内の溶融物Aの貯蔵量が多い場合、圧力調整手段112により保持容器11内を減圧にし、溶融物Aが誘導路13へ大量に流出することを防ぐことができる。また、保持容器11内の溶融物Aの貯蔵量が少ない場合、圧力調整手段112により保持容器11内に加圧し、溶融物Aが誘導路13へ流出しにくくなることを防ぐことができる。なお、圧力調整は密封された炉体内部の圧力で調整することも可能である。
保持容器11の周囲を覆う耐火レンガ等の耐熱材からなる炉体12は、保持容器11の温度に耐えることができれば、材質等特に限定されない。なお、炉体12および/または保持容器11の下部に振動抑制手段(図示せず)を設けてもよい。振動抑制手段を設けることにより、外乱による振動を抑制することができ、球状粒の質量を精度よく調整することができる。
誘導路13は、保持容器11の下部に接続されており保持容器11中の溶融物Aをノズル14へと誘導させる。誘導路13には、図示しないヒータが設けられており、誘導路13の温度を制御することにより誘導路13中の溶融物Aの粘性を制御するとともに、誘導路13中の溶融物Aの流速を制御できるようになっている。
次に、溶融物Aを保持する保持容器11から、溶融物Aを保持容器11と接続されている誘導路13に流出させた後、溶融物Aを誘導路13に接続されているノズル14より流出し、溶融物Aを落下させることにより球状粒に変化させ、球状粒を回収する。
ノズル14は、誘導路13と接続されており、誘導路13内の溶融物Aの流路とノズル14内の流路とは連通している。ノズル14は、先端に向かうにつれて細くなる円錐状となっており、先端に溶融物Aを流出する流出口が形成されている。なお、ノズル14は、誘導路13と一体となっていてもよい。
また、ノズル14には、ヒータ(図示せず)が設けられていてもよく、ノズル14の先端から流出される溶融物Aの温度を制御できるようになっている。また、ノズル14はその先端の内径が例えば0.1〜5.0mmであることが好ましく、ノズル14の先端の内径を必要に応じて適宜変更し、併せて誘導路13の温度を制御することにより、溶融物Aの流量、流速の調整と、連続流が液滴状に変化した球状粒の粒径(質量)を変更することができるようになっている。
誘導路13またはノズル14には、図2および図3に示すように加振器17が接続されている。加振器17は、誘導路13および/またはノズル14に接続されていれば、接続箇所は特に限定されないが、例えば図3に示すように、誘導路13が屈曲部131を有する場合は、屈曲部131の上方に加振器17を接続することが好ましい。屈曲部131の上方に加振器17を接続することにより、効果的に誘導路を振動させることができ、容易に流出する球状粒の形状、質量等を一定に調整することができる。
加振器17は、誘導路13またはノズル14を10〜500Hzで振動させることが好ましい。このような範囲内で誘導路13またはノズル14を振動させることにより、誘導路13またはノズル14の振幅を0.1〜250μmとすることができる。
加振器17により誘導路13またはノズル14を振動させながら、ノズル14から溶融物Aを流出し、回収手段16に向けて落下させる。溶融物Aを落下させることにより、重力と表面張力により、溶融物Aを球状粒にする。
空中に落下した溶融物Aは、重力および表面張力により球状に成形される。
なお、必要に応じて、溶融物Aが落下する途中に軌道変更手段15を設けて溶融物Aの落下軌道を変更させるようにしてもよい。軌道変更手段15を設けることにより、複数の溶融物Aか重なったりすることを防止することができる。軌道変更手段15は、落下している溶融物Aにエアーを吹き付けて溶融物Aの軌道を変更させるもの等公知の種々の軌道変更手段15を使用することができ、これらは単独で使用してもよいが複数組み合わせて使用してもよい。
回収手段16内は、溶媒161が満たされている。回収手段16は、溶媒161内に球状に形成された溶融物Aを落下させることにより、溶媒161により衝撃を吸収するとともに球状に形成された溶融物Aを冷却して球状粒として回収する。
また、回収手段16内に回収される球状粒の温度と溶媒161との温度差を減少させて温度差による影響を少なくするために加熱装置(図示せず)を設けて、回収手段16内の溶媒161を加熱するようにしてもよい。
回収手段16中の溶媒161は、球状粒と反応せず、落下した溶融物Aを冷却することができれば、種類等は特に限定されず、例えば、水、イソプロピルアルコール、油等公知の種々の溶媒を使用することができる。これらは単独で使用してもよく、複数組み合わせて使用してもよい。なお溶媒161の代わりにスポンジ等の緩衝材を使用してもよい。
なお、回収手段16中の溶媒161は、溶融物Aが放熱することによって低温の球状粒を回収できることから、水またはイソプロピルアルコールを用いることが好ましい。極めて低コストで、安全で取り扱いが非常に容易であり、環境負荷が小さいという観点からは水が好ましく、回収した球状粒を洗浄することなく乾燥させ、あるいは、簡単に洗浄して乾燥させ、プリフォーム材またはレンズ等の光学素子として使用できる観点からはイソプロピルアルコールを用いることが好ましい。また、球状粒製造装置1全体の高さ等の制約から、落下距離を短くして比較的高温の球状粒を回収しなければならない場合は、溶媒161はその沸点までしか加温できないので、落下する溶融物Aとの温度差を小さくするために、沸点の比較的高い溶媒で、取り扱いおよび回収後の洗浄が容易な溶媒を用いてもよい。
ノズル14より落下した溶融物Aは、回収手段16中の溶媒161に球状に形成された溶融物Aを落下させることにより、溶媒161により衝撃を吸収するとともに球状に形成された溶融物Aを冷却して球状粒として回収する。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
白金製のるつぼからなり、炉体で覆われている保持容器11内にガラス原料を投入し、ガラス溶融物Aを調整、貯蔵した。
保持容器11から誘導路13へガラス溶融物(溶融物A)を流出させ、誘導路13に接続されている加振器17(SL−0505 (有)旭製作所)により、誘導路13をガラス溶融物の落下方向(鉛直方向)に100Hz、振幅150μmで振動させながら、ノズル14からガラス溶融物Aを流出し、25m落下させた。落下させた後、溶媒161(なお、溶媒161は、水を使用した。)中の球状ガラスを任意に100個取り出し、各球状ガラスの質量を測定し、標準偏差を求めた。また、ガラス内部に泡等が混入しているか球状ガラスに光を当て顕微鏡にて観察する外観不良試験を行った。また、落下させた後に、この加振条件においてノズルの先端から10mm上部の位置の振幅を測定したところ、3.3μmであった。
外観不良試験は、100個の球状ガラスのうち、ガラス内部に泡等が混入している球状ガラスがない場合を「○」、ガラス内部に泡等が混入している球状ガラスが1個以上ある場合を「×」とした。
[実施例2]
流出量、周波数、落下距離を代えた以外は、実施例1と同様に行った。
[実施例3]
流出量、周波数、落下距離を代えた以外は、実施例1と同様に行った。
[実施例4]
流出量、周波数、落下距離を代えた以外は、実施例1と同様に行った。
比較例として、誘導路13を溶融物落下方向に対し垂直方向(横方向)に振動させてガラス溶融物を落下させた場合(比較例1)および誘導路13に加振器17を接続せず、誘導路13またはノズル14を振動させずにガラス溶融物を流出した場合(比較例2)についても実施例と同様の試験を行った。以下、結果を表1、および表2に示す。
表1より、加振器17を誘導路13に接続し、誘導路13またはノズル14を落下方向に振動させると、形状不良の数が減少し、球状粒(球状ガラス)の質量もほぼ一定で精度が高いことがわかる。また、球状ガラス内に泡等の混入がなく、外観不良の数も少ないことがわかる。一方、比較例1の場合は、横方向の振動により、溶融物Aが、ノズル14から流出され切断される際に複数の滴状の溶融物Aが合わさり、気泡等を巻き込むことがわかる。また、比較例2の場合は、ノズル14からのガラス溶融物の流出量を制御することができず、質量が安定しないことがわかる。また、ガラス溶融物内に気泡等が混入し、気泡等が混入した球状ガラス、すなわち、外観不良の球状ガラスが多く含まれることがわかる。
本発明の球状粒製造装置の断面図である。 誘導路付近の拡大図である。 誘導路付近の拡大図である。 ノズルを溶融物の落下方向に振動させた時の溶融物の球状化状態を高速度カメラで捉えた画像である。 ノズルを溶融物の落下方向に対して垂直方向に振動させた時の溶融物の球状化状態を高速度カメラで捉えた画像である。 ノズルに振動を付与しない時の溶融物の球状化状態を高速度カメラで捉えた画像である。
符号の説明
1 球状粒製造装置
11 保持容器
111 攪拌機
112 圧力調整手段
12 炉体
13 誘導路
131 屈曲部
14 ノズル
15 軌道変更手段
16 回収手段
161 溶媒
17 加振器
A 溶融物
H 落下距離

Claims (8)

  1. 溶融物を保持する保持容器から、前記溶融物を前記保持容器と接続されている誘導路に流出させる工程と、
    前記溶融物を前記誘導路に接続されているノズルより流出し、前記溶融物を落下させることにより球状粒に変化させ、前記球状粒を回収する工程と、を含む球状粒の製造方法において、
    前記誘導路および/または前記ノズルを前記溶融物の落下方向に振動させることにより、前記溶融物を落下させる球状粒の製造方法。
  2. 前記誘導路および/または前記ノズルに加振器を接続し、前記誘導路および/または前記ノズルを振動させる請求項1に記載の球状粒の製造方法。
  3. 前記誘導路を10〜500Hzの間の任意の周波数で振動させる請求項1または2に記載の球状粒の製造方法。
  4. 前記振動はノズルの先端から10mm上部の位置の振幅が0.1〜250μmである請求項1から3のいずれかに記載の球状粒の製造方法。
  5. 単位時間当たりの前記溶融物の流出量Qと、前記球状粒の100個当たりの平均質量aと、前記誘導路または前記ノズルを振動させる周波数fとの関係が、下記数式の関係にある、請求項1から4のいずれかに記載の球状粒の製造方法。
  6. 前記溶融物を落下させる距離は、0.1〜100mである請求項1から5のいずれかに記載の球状粒の製造方法。
  7. 溶融物を保持する保持容器と、
    前記保持容器を加熱および/または支持する炉体と、
    前記保持容器に接続され、前記溶融物を前記保持容器から流出させる誘導路と、
    前記誘導路中の前記溶融物を流出するノズルと、
    前記ノズルから流出した前記溶融物を落下させることにより球状粒に変化させ、前記球状粒を回収する回収手段と、
    前記誘導路および/または前記ノズルを前記溶融物の落下方向に振動させるための加振器が前記誘導路に接続されている球状粒製造装置。
  8. 前記加振器は、前記誘導路の屈曲部の上方に接続されている請求項7に記載の球状粒製造装置。
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