JP4092885B2 - 産業車両用のインチング操作フィーリング調整装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業車両用のインチング操作フィーリング調整装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図15は、従来使用されていたインチング制御装置の構成を模式的に示す概略構成図である。フォークリフト(図示省略)にはブレーキペダル81と機械的に連動するインチングペダル82が装備され、このインチングペダル82が単独で作動するインチング領域では、前進クラッチ83および後進クラッチ84のうち接続中のクラッチ83,84が半クラッチ状態となる。このインチングペダル82を大きく踏込むことでブレーキペダル81と連動するブレーキ領域では、ドラムブレーキ85が作動して図示しない駆動輪に制動力が加わるようになっている。
【0003】
インチングペダル82のペダルストローク(以下、インチングストロークという)はインチングセンサ86により検出され、インチングセンサ86からの検出値がコントローラ87に出力される。そしてコントローラ87は、この検出値に基づき前進用バルブ88および後進用バルブ89を制御し、前進クラッチ83および後進クラッチ84がインチングストロークに応じたクラッチ圧となる。また、ブレーキペダル81にはマスタシリンダ90が接続され、このマスタシリンダ90に管路91を介してドラムブレーキ85のホイールシリンダ92が接続されている。そして、マスタシリンダ90内の油圧はブレーキペダル81またはインチングペダル82を踏込んだときのブレーキ踏力に応じて変化し、ブレーキ踏力に応じた制動力がドラムブレーキ85から発生する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図16は、インチングストロークに対するクラッチ油圧とブレーキ油圧の関係図である。同図では、グラフ線95が各クラッチ83,84に供給されるクラッチ油圧で、グラフ線96がドラムブレーキ85に供給されるブレーキ油圧である。ところで、インチングペダル82を踏込み操作したときに、インチング領域からブレーキ領域にスムーズに移行するには、クラッチ83,84が切れたとほぼ同時に制動力が生じるようにする必要がある。つまり図16に示すように、両クラッチ83,84が切れるときのクラッチ油圧をA、ドラムブレーキ85により制動力が生じるときのブレーキ油圧をBとすると、クラッチ油圧がAのときのX点と、ブレーキ油圧がBのときのY点とを、同じインチングストロークのときにほぼ同一線上に位置させる必要がある。
【0005】
ところが、各クラッチ83,84とドラムブレーキ85との間に調整不良があると、図17に示すように両クラッチ83,84が切れる前に制動力がかかる場合がある。このとき、例えばインチングペダル82を踏込んでフォークリフトを一旦停止させ、ペダル82の踏込みを解除して再発進させるときに、ショックが生じてしまう問題があった。また、調整不良があると、図18に示すように両クラッチ83,84が切れても、制動力が暫くの間発生しない場合もある。このとき、インチングペダル82の踏込みを解除して再発進させると、タイムラグが生じてしまう問題があった。また、ドラムブレーキ85の長期使用によりシュー93に摩耗が生じ、この摩耗に起因してクラッチ83,84が切れるタイミングと制動力が生じるタイミングとにずれが生じる問題もあった。
【0006】
本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであって、その第1の目的は、インチング操作したときに、インチング領域からブレーキ領域にスムーズに移行できる産業車両用のインチング操作フィーリング調整装置を提供することにある。また第2の目的は、第1の目的を達成するとともに、インチング領域からブレーキ領域に移行する際のフィーリング変化を発生し難くできることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明では、車輪と走行駆動手段との間に介在するクラッチと、前記クラッチの接続状態を接続から切断まで連続的に変化させるために操作されるインチング操作手段と、車輪にブレーキ力を与える制動手段と、操作量を大きくする方向に前記インチング操作手段を操作する過程で、前記クラッチが切断されるタイミングと略同時期のタイミングでブレーキがかかるように、該インチング操作手段と連動操作されるブレーキ操作手段と、前記インチング操作手段の操作に応じて作動制御される前記クラッチと、前記ブレーキ操作手段の操作に応じて作動される前記制動手段とを、それぞれの対応する前記操作手段の操作量を基にして電気的に制御する制御手段と、前記インチング操作手段を操作する過程で、前記クラッチが切断されるタイミングと、前記制動手段にブレーキがかかるタイミングとのずれを補正する際に必要となる検出値を検出する検出手段と、前記クラッチが切断されるタイミングと前記制動手段にブレーキがかかるタイミングとのずれが、目標の操作フィーリングに応じたずれになるように、前記検出手段の検出値を基に前記制御手段の制御内容を補正する補正手段とを備え、前記制動手段はクラッチ圧により制動力を発生させるクラッチ式制動手段であり、前記補正手段は、前記クラッチが切断されるタイミングと前記クラッチ式制動手段にブレーキがかかるタイミングとを近づけるように前記クラッチを制御するための制御内容及び前記クラッチ式制動手段を制御するための制御内容の両方を補正可能に構成されるとともに、前記クラッチが切断されるタイミングにおける前記インチング操作手段の操作量が常に同じとなるように前記制御内容を補正する。
【0008】
この発明によれば、インチング操作手段を踏込み操作するとクラッチが半接続状態となり、さらに踏込むとクラッチが切断されるタイミングと略同時期のタイミングで、インチング操作手段がブレーキ操作手段と連動して制動手段が作動する。この略同時期とは、運転者が許容できる範囲内の値とする。このとき検出手段は、前記クラッチが切断されるタイミングと、前記制動手段にブレーキがかかるタイミングとのずれを補正する際に必要となる検出値を検出する。そして補正手段はこの検出手段からの検出値を基にして、クラッチが切断されるタイミングと、制動手段にブレーキがかかるタイミングとのずれが目標の操作フィーリングに応じたずれになるように、そのタイミングを決める制御内容を補正する。そして、制御手段はこの補正された制御内容に従って、クラッチ及び制動手段のうち少なくとも一方を、両操作手段のうち少なくとも一方の操作量(操作検出値)を基に電気的に制御する。これにより、クラッチと制動手段との間に調整不良があっても、インチング操作時にインチング領域からブレーキ領域にスムーズに移行し、好適なインチングフィーリングが得られる。また、制御手段により電気制御可能なクラッチを用い、制動手段に電気制御可能なクラッチ式制動手段を用いていることから、クラッチが切断されるタイミングとクラッチ式制動手段にブレーキがかかるタイミングとの両方を補正することが可能になる。よって、この両タイミングを近づける補正方法に、クラッチが切断されるタイミングを補正する方法と、クラッチ式制動手段にブレーキがかかるタイミングを補正する方法のどちらのパターンでも補正が行える。また、制御内容に補正を加えても、クラッチが切断されて制動手段が作動するタイミングを、インチング操作手段が同一操作量のときに切り変えられるようになる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記補正手段により補正された後の制御内容を記憶手段に記憶し、該記憶手段に記憶された前記制御内容を当該補正手段により再び補正し、この補正と記憶の動作を所定サイクルで繰り返し実行する学習手段を備えた。
【0010】
この発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、学習手段は補正手段により補正された後の制御内容を記憶手段に記憶し、その記憶された制御内容を補正手段により再び補正し、この補正と記憶の動作を所定サイクルで繰り返し実行する。これにより、制御内容の補正が逐次行われる構成となり、制動手段の摩耗部品に摩耗が生じても、インチング操作時にフィーリング変化が発生し難くなる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、車輪と走行駆動手段との間に介在するクラッチと、前記クラッチの接続状態を接続から切断まで連続的に変化させるために操作されるインチング操作手段と、車輪にブレーキ力を与える制動手段と、操作量を大きくする方向に前記インチング操作手段を操作する過程で、前記クラッチが切断されるタイミングと略同時期のタイミングでブレーキがかかるように、該インチング操作手段と連動操作されるブレーキ操作手段と、前記インチング操作手段の操作に応じて作動制御される前記クラッチと、前記ブレーキ操作手段の操作に応じて作動される前記制動手段のうち少なくとも一方を、それぞれの対応する前記操作手段の操作量を基にして電気的に制御する制御手段と、前記インチング操作手段を操作する過程で、前記クラッチが切断されるタイミングと、前記制動手段にブレーキがかかるタイミングとのずれを補正する際に必要となる検出値を検出する検出手段と、前記クラッチが切断されるタイミングと前記制動手段にブレーキがかかるタイミングとのずれが、目標の操作フィーリングに応じたずれになるように、前記検出手段の検出値を基に前記制御手段の制御内容を補正する補正手段と、目標の操作フィーリングを選択操作するための選択手段とを備え、前記クラッチが切断されるタイミングと前記制動手段にブレーキがかかるタイミングとの関係が、当該選択手段からの選択値から決まる目標の操作フィーリングとなる関係を有するように、前記補正手段により前記制御内容が補正される。
【0012】
この発明によれば、インチング操作手段を踏込み操作するとクラッチが半接続状態となり、さらに踏込むとクラッチが切断されるタイミングと略同時期のタイミングで、インチング操作手段がブレーキ操作手段と連動して制動手段が作動する。この略同時期とは、運転者が許容できる範囲内の値とする。このとき検出手段は、前記クラッチが切断されるタイミングと、前記制動手段にブレーキがかかるタイミングとのずれを補正する際に必要となる検出値を検出する。そして補正手段はこの検出手段からの検出値を基にして、クラッチが切断されるタイミングと、制動手段にブレーキがかかるタイミングとのずれが目標の操作フィーリングに応じたずれになるように、そのタイミングを決める制御内容を補正する。そして、制御手段はこの補正された制御内容に従って、クラッチ及び制動手段のうち少なくとも一方を、両操作手段のうち少なくとも一方の操作量(操作検出値)を基に電気的に制御する。これにより、クラッチと制動手段との間に調整不良があっても、インチング操作時にインチング領域からブレーキ領域にスムーズに移行し、好適なインチングフィーリングが得られる。また、選択手段を選択操作することによって、インチング操作時のフィーリングが自由に設定可能になる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の発明において、前記補正手段により補正された後の制御内容を記憶手段に記憶し、該記憶手段に記憶された前記制御内容を当該補正手段により再び補正し、この補正と記憶の動作を所定サイクルで繰り返し実行する学習手段を備えた。
【0014】
この発明によれば、請求項3に記載の発明の作用に加え、学習手段は補正手段により補正された後の制御内容を記憶手段に記憶し、その記憶された制御内容を補正手段により再び補正し、この補正と記憶の動作を所定サイクルで繰り返し実行する。これにより、制御内容の補正が逐次行われる構成となり、制動手段の摩耗部品に摩耗が生じても、インチング操作時にフィーリング変化が発生し難くなる。
【0015】
請求項5に記載の発明では、車輪と走行駆動手段との間に介在するクラッチと、前記クラッチの接続状態を接続から切断まで連続的に変化させるために操作されるインチング操作手段と、車輪にブレーキ力を与える制動手段と、操作量を大きくする方向に前記インチング操作手段を操作する過程で、前記クラッチが切断されるタイミングと略同時期のタイミングでブレーキがかかるように、該インチング操作手段と連動操作されるブレーキ操作手段と、前記インチング操作手段の操作に応じて作動制御される前記クラッチと、前記ブレーキ操作手段の操作に応じて作動される前記制動手段のうち少なくとも一方を、それぞれの対応する前記操作手段の操作量を基にして電気的に制御する制御手段と、前記インチング操作手段を操作する過程で、前記クラッチが切断されるタイミングと、前記制動手段にブレーキがかかるタイミングとのずれを補正する際に必要となる検出値を検出する検出手段と、前記クラッチが切断されるタイミングと前記制動手段にブレーキがかかるタイミングとのずれが、目標の操作フィーリングに応じたずれになるように、前記検出手段の検出値を基に前記制御手段の制御内容を補正する補正手段と、制動部品の摩耗量を推定し、該摩耗量が所定値を超えたか否かを判断する摩耗測定手段と、前記摩耗測定手段の判断結果に基づき、前記制動部品の部品交換が必要と判断されたときにその旨を報知する報知手段とを備えた。
【0016】
この発明によれば、インチング操作手段を踏込み操作するとクラッチが半接続状態となり、さらに踏込むとクラッチが切断されるタイミングと略同時期のタイミングで、インチング操作手段がブレーキ操作手段と連動して制動手段が作動する。この略同時期とは、運転者が許容できる範囲内の値とする。このとき検出手段は、前記クラッチが切断されるタイミングと、前記制動手段にブレーキがかかるタイミングとのずれを補正する際に必要となる検出値を検出する。そして補正手段はこの検出手段からの検出値を基にして、クラッチが切断されるタイミングと、制動手段にブレーキがかかるタイミングとのずれが目標の操作フィーリングに応じたずれになるように、そのタイミングを決める制御内容を補正する。そして、制御手段はこの補正された制御内容に従って、クラッチ及び制動手段のうち少なくとも一方を、両操作手段のうち少なくとも一方の操作量(操作検出値)を基に電気的に制御する。これにより、クラッチと制動手段との間に調整不良があっても、インチング操作時にインチング領域からブレーキ領域にスムーズに移行し、好適なインチングフィーリングが得られる。また、制動部品の摩耗量を推定し、その摩耗量が所定値を超えたか否かが摩耗測定手段によって判断される。その摩耗量が所定値を超えて、制動部品の部品交換が必要と判断されたとき、報知手段によってその旨が報知される。これにより、制動部品の交換時期を報知することが可能になる。
【0017】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の発明において、前記補正手段により補正された後の制御内容を記憶手段に記憶し、該記憶手段に記憶された前記制御内容を当該補正手段により再び補正し、この補正と記憶の動作を所定サイクルで繰り返し実行する学習手段を備え、前記摩耗測定手段は、前記補正手段が最初に補正したときに決まる制御内容と、前記学習手段により所定回数補正が繰り返された後の制御内容との差を基に前記摩耗量を演算する。
【0018】
この発明によれば、請求項5に記載の発明の作用に加え、学習手段は補正手段により補正された後の制御内容を記憶手段に記憶し、その記憶された制御内容を補正手段により再び補正し、この補正と記憶の動作を所定サイクルで繰り返し実行する。これにより、制御内容の補正が逐次行われる構成となり、制動手段の摩耗部品に摩耗が生じても、インチング操作時にフィーリング変化が発生し難くなる。また、前記補正手段が最初に補正したときに決まる制御内容と、前記学習手段により所定回数補正が繰り返された後の制御内容との差を求めることで、摩耗測定手段により摩耗量が演算される。そして、その摩耗量が所定値を超えて、制動部品の部品交換が必要と判断されたとき、報知手段によってその旨が報知される。
【0019】
請求項7に記載の発明では、請求項3〜6のうちいずれか一項に記載の発明において、前記制御手段により電気的に制御されるものは前記クラッチであり、前記制動手段は前記ブレーキ操作手段の操作量に応じて機械的に作動される機械的制動手段であって、前記補正手段は、前記クラッチが切断されるタイミングを、前記機械的制動手段にブレーキがかかるタイミングに近づけるように、前記クラッチを制御するための前記制御内容を補正する。
【0020】
この発明によれば、請求項3〜6のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加え、機械的制動手段を用いた場合には、この機械的制動手段にブレーキがかかるタイミングを補正することはできないが、制御手段により電気制御可能なクラッチを用い、このクラッチが切断されるタイミングを補正することで、両タイミングを近づけることが可能になる。
【0021】
請求項8に記載の発明では、請求項3〜6のうちいずれか一項に記載の発明において、前記制御手段により制御されるものは前記クラッチであり、前記制動手段は前記ブレーキ操作手段の操作量に応じて機械的に作動される機械的制動手段と、前記制御手段に制御されてクラッチ圧により制動力を発生させるクラッチ式制動手段とにより構成されており、前記補正手段は、前記クラッチが切断されるタイミングを、前記機械的制動手段及びクラッチ式制動手段にブレーキがかかるタイミングに近づけるように、前記クラッチを制御するための前記制御内容を補正する。
【0022】
この発明によれば、請求項3〜6のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加え、制動手段に機械的制動手段及びクラッチ式制動手段を用いた場合には、この両制動手段のうち機械的制動手段にブレーキがかかるタイミングを補正することはできない。しかし、制御手段により電気制御可能なクラッチを用い、このクラッチが切断されるタイミングを補正することで、両タイミングを近づけることが可能になる。
【0023】
請求項9に記載の発明では、請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の発明において、前記補正手段は、前記クラッチが切断されるタイミングと、前記制動手段にブレーキがかかるタイミングとがほぼ同時となるように前記制御内容を補正する。
【0024】
この発明によれば、請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加え、補正された制御内容に従ってクラッチ及び制動手段のうち少なくとも一方が制御手段により制御されることで、クラッチが切断されるタイミングと制動手段にブレーキがかかるタイミングがほぼ同時となる。これにより、インチング操作時にインチング領域からブレーキ領域に移行する際のフィーリングが、一層好適なものとなる。
【0027】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した産業車両用のインチング操作フィーリング調整装置の第1実施形態を図1〜図9に従って説明する。
【0028】
図3は、フォークリフトの側面図である。産業車両としてのフォークリフト1は、前側に車輪としての駆動輪2、後側に従動輪3を有する前輪駆動式の4輪車である。フォークリフト1は車体4の前部にマスト装置5を備え、リフトシリンダ6が駆動されてインナマスト7がアウタマスト8に対して昇降することによって、フォーク9が上下方向に移動する。マスト装置5にはティルトシリンダ10が配設され、このティルトシリンダ10が駆動されることでフォーク9が上下方向に傾動する。
【0029】
運転室11の前部にはインストルメントパネル12が配設され、このパネル12にハンドル13、リフトレバー14、ティルトレバー15、前後進レバー16が配設されている。そして、リフトレバー14が操作されると、リフトシリンダ6が駆動されてフォーク9の高さが調節され、ティルトレバー15が操作されると、ティルトシリンダ10が駆動されてフォーク9の傾度が調整される。前後進レバー16は、フォークリフト1を前進または後進させるときに切換え操作される。ハンドル13の下方の操作パネル17には報知手段としての表示装置18が配設され、この表示装置18に車両の走行状況などが表示される。
【0030】
車体4には駆動輪2の駆動源となる走行駆動手段としてのエンジン20と、トルクコンバータ21を有する変速機22とが装備され、エンジン20からの出力が変速機22を介して駆動輪2に伝達される。変速機22にはクラッチとしての前進クラッチ23および後進クラッチ24が内蔵され、車両前進時に前進クラッチ23が係合され、車両後進時に後進クラッチ24が係合される。車体4には前進用電磁比例弁25および後進用電磁比例弁26が配設され、各クラッチ23,24の油圧(クラッチ圧)がこの電磁比例弁25,26により調節される。車体4にはコントローラ27が内蔵され、このコントローラ27は後述する各種センサから検出される検出値に基づき、各電磁比例弁25,26を制御する。
【0031】
図2は、フォークリフトの概略構成図である。エンジン20の出力軸20aは、トルクコンバータ21を介して変速機22に連結されている。エンジン20にはエンジン20の回転数を検出するエンジン回転数センサ31が配設され、回転数に応じた検出信号がエンジン回転数センサ31により出力される。エンジン20にはスロットルアクチュエータ32が配設され、スロットルアクチュエータ32の作動によってスロットル開度が調節されて、エンジン20の回転数(つまり出力軸20aの回転数)が調節される。エンジン20には、同エンジン20により駆動される油圧ポンプ33が接続され、この油圧ポンプ33の吐出側には図示しない管路を介してリフトシリンダ6およびティルトシリンダ10が接続されている。
【0032】
変速機22は入力軸(メインシャフト)22aおよび出力軸(カウンタシャフト)22bを備え、入力軸22aに前進クラッチ23および後進クラッチ24が配設されている。これらクラッチ23,24は油圧式クラッチ(例えば湿式多板クラッチ)が用いられ、受圧室23a,24a内の油圧が電磁比例弁25,26により調節され、受圧室23a,24a内の油圧力を高めたときにクラッチ23,24のクラッチ圧が強まるようになっている。出力軸22bには、前進用ギヤ列34と後進用ギヤ列35が配設され、これらギヤ列34,35を介して入力軸22aの回転が出力軸22bに伝達される。
【0033】
変速機22の出力軸22bには差動装置36を介して車軸37が連結され、この車軸37の両側に駆動輪2が配設されている。そして、エンジン20からの出力が変速機22の出力軸22bを介して車軸37に伝達され、出力軸22bの回転方向に応じた方向に駆動輪2が駆動される。車体4には、フォークリフト1の車速を検出するための車速センサ38が各駆動輪2ごとに配設されている。この2つの車速センサ38は各駆動輪2の回転数をそれぞれ検出し、その回転数に応じた検出値を出力する。また、各駆動輪2には、制動手段および機械的制動手段としての油圧式のドラムブレーキ39がそれぞれ配設されている。
【0034】
リフトレバー14とティルトレバー15には各レバー14,15の操作量を検出するレバーセンサ14a,15aが配設され、各レバーセンサ14a,15aによりレバー14,15の操作量に応じた検出信号がそれぞれ出力される。前後進レバー16には、このレバー16が前進位置F、後進位置R、中立位置(ニュートラル位置)のいずれにあるかを検知するシフトスイッチ16aが配設され、このシフトスイッチ16aはレバー16のシフト位置に応じた検出信号を出力する。リフトシリンダ6には、フォーク9の積載荷重を検出する圧力センサ40が配設されている。圧力センサ40は、リフトシリンダ6の内部の油圧を検出し、フォーク9の積載荷重に応じた検出信号を出力する。
【0035】
運転室11の床には、アクセルペダル41、インチング操作手段としてのインチングペダル42、ブレーキ操作手段としてのブレーキペダル43が配設されている。アクセルペダル41にはアクセルセンサ41aが配設され、このアクセルセンサ41aはアクセルペダル41の踏込み量を検出し、その踏込み量に応じた検出信号を出力する。インチングペダル42は、荷役作業を行いながらフォークリフト1の微速走行を行う際に、クラッチ23,24を半接続状態(半クラッチ状態)にするために使用される。インチングペダル42には、インチングペダル42の踏込み量(ペダルストローク)を検出するインチング開度センサ42aが配設されている。インチング開度センサ42aはポテンショメータよりなり、インチングペダル42の踏込み量に応じた検出値(電圧値)を出力する。
【0036】
駆動輪2に生じる制動力は、ドラムブレーキ39と、前進クラッチ23および後進クラッチ24の同時係合(以下、FR同時係合と記す)とにより発生するようになっている。ブレーキペダル43にはマスタシリンダ44が接続され、このマスタシリンダ44の下流側に検出手段としてのブレーキ油圧センサ45が配設されている。マスタシリンダ44は油圧式のシリンダからなり、ブレーキペダル43の踏力に応じて内部の油圧が変化する。そして、ブレーキ油圧センサ45はブレーキ操作時のブレーキ踏力を検出し、この踏力に応じた検出信号を出力する。また、ブレーキペダル43にはブレーキスイッチ43aが配設され、ブレーキペダル43を踏込んだときにブレーキスイッチ43aがオンされてその検出信号を出力する。
【0037】
コントローラ27には、その入力側に各種センサ14a,15a,31,38,40,41a,42a,45およびスイッチ16a,43aが接続され、出力側にスロットルアクチュエータ32、前進用電磁比例弁25、後進用電磁比例弁26などが接続されている。そして、コントローラ27はこれらセンサやスイッチからの検出値(検出信号)に基づき、エンジン20、変速機22、リフトシリンダ6、ティルトシリンダ10、ドラムブレーキ39などを駆動して、フォークリフト1の走行制御や荷役制御を行う。
【0038】
図1は、インチング制御装置の要部を示す概略構成図である。インチングペダル42およびブレーキペダル43は、機械的に連動するように構成されている。つまり、インチングペダル42を踏込んで前進クラッチ23(後進クラッチ24)が半クラッチ状態となるインチング領域では、ドラムブレーキ39が作動せず駆動輪2に制動力が生じない。そして、所定位置まで踏込むとブレーキ領域となって、当接部材46aがブレーキペダル43の規制部材46bに当ることで、マスタシリンダ44が作動してドラムブレーキ39が作動するようになっている。
【0039】
ドラムブレーキ39は制動部品としての2つのシュー47とドラム48を備え、2つのシュー47の間にはホイールシリンダ49が介装されている。ホイールシリンダ49は、管路50を介してマスタシリンダ44と接続されている。インチングペダル42またはブレーキペダル43が踏込まれると、ホイールシリンダ49に油圧が供給されて、シュー47が互いに離間する方向に移動する。そして、シュー47に取り付けられたライニング(図示省略)がドラム48の内周面に当接することで、摩擦が生じてドラムブレーキ39が作動する。ブレーキ油圧センサ45は管路50の途中に配設され、この管路50内の油圧を検出することでブレーキ踏力を検出している。
【0040】
前進用電磁比例弁25および後進用電磁比例弁26は、ソレノイド25a,26aへの通電量に比例した弁開度となる比例ソレノイド弁により構成されている。電磁比例弁25,26には、変速機22の入力軸22aの回転力を駆動源とする油圧ポンプ51が流路52を介して接続されている。そして、各電磁比例弁25,26にはこの油圧ポンプ51により油が供給され、これら電磁比例弁25,26の弁開度に応じた油圧が流路52を介して受圧室23a,24aに供給されることによって、前進および後進クラッチ23,24の係合状態が調節される。ここで、図1および図2では、トルクコンバータ21、変速機22、電磁比例弁25,26、油圧ポンプ51が独立して図示されているが、これら装置が一つのハウジング内に組込まれることで、オートマチックトランスミッションが構成されている。
【0041】
コントローラ27には、CPU53、ROM54、RAM55、記憶手段としてのEEPROM56、入力インターフェイス(入力I/F)57および出力インターフェイス(出力I/F)58が内蔵されている。ROM54には所定の制御プログラムや制御プログラムを実行する際に必要な各種データ等が記憶され、RAM55にはCPU53の演算結果が一時記憶される。また、EEPROM56には、前進用電磁比例弁25および後進用電磁比例弁26を制御するための図4に示す制御内容としてのマップMが記憶されている。なお、CPU53は、制御手段、補正手段、学習手段、摩耗測定手段に相当する。
【0042】
インチング開度センサ42aおよびブレーキ油圧センサ45は、図示しないA/D変換器と入力インターフェイス57を介してCPU53に接続されている。CPU53は、出力インターフェイス58と図示しない駆動回路を介して前進用電磁比例弁25と後進用電磁比例弁26の各ソレノイド25a,26aに接続されている。CPU53は、インチング開度センサ42aとブレーキ油圧センサ45から出力される検出信号に基づき、EEPROM56に記憶された図4に示すマップMに従って各電磁比例弁25,26を制御する。
【0043】
図4に示すように、マップMはその縦軸がクラッチ23,24に通電される指令電流値(クラッチ油圧)、横軸がインチングペダル42のペダルストローク(以下、インチングストロークという)およびブレーキ踏力となっている。そして、同図に示すAをクラッチ23,24が切れるときの指令電流値の値とすると、指令電流値がAとなる以前のインチングストロークの領域がインチング領域となり、それ以降がブレーキ領域となる。これによりマップMは、インチング領域ではクラッチ23,24への指令電流値とインチングストロークとの関係、ブレーキ領域ではクラッチ23,24への指令電流値とブレーキ踏力との関係となる。
【0044】
つまり、インチング領域ではインチングストロークに応じた電流値がマップMにより求められ、2つのクラッチ23,24のうち進行方向側のクラッチにこの値の電流が通電される。また本例では、駆動輪2に制動力を生じさせるブレーキとしてドラムブレーキ39の他にFR同時係合を採用している。このためブレーキ領域では、ブレーキ踏力に応じた電流値がマップMにより求められ、2つのクラッチ23,24にこの値の電流値が通電されて、FR同時係合によるブレーキが加わるようになっている。マップMは、インチング領域ではインチングペダル42を踏込むに連れて指令電流値が小さくなるように設定され、ブレーキ領域では指令電流値が大きくなるように設定されている。
【0045】
ここでは、クラッチ23,24が切れるタイミングと、ドラムブレーキ39およびFR同時係合によりブレーキがかかるタイミングとをほぼ同時の発生タイミングとするためにマップMを補正している。つまり、ブレーキペダル43とドラムブレーキ39の関係は機械的に決まって変更できないので、インチングペダル42の操作量と電流値の関係を決めているマップMを変更することで、クラッチ23,24の切れるタイミングをブレーキのかかるタイミングに合わせ込むようにしている。図4では、実線のマップM1が補正前のものであり、このマップM1に対して所定量だけ平行にシフトされた一点鎖線のマップM2が補正後のものである。
【0046】
図5および図6は、マップMの補正の仕方を説明するための説明図である。図5は、両クラッチ23,24が切れる前にブレーキがかかって、発進時にショックが生じる場合である。同図では、左側の縦軸が指令電流値(クラッチ油圧)となったマップMを図示しており、右側の縦軸をブレーキ油圧として同図のグラフ線60がブレーキ油圧の特性グラフとなっている。ところで、インチングペダル42を踏込み操作したときに、インチング領域からブレーキ領域にスムーズに移行するには、前進クラッチ23および後進クラッチ24が切れたとほぼ同時に、ドラムブレーキ39が作動して駆動輪2に制動力が生じるようにする必要がある。
【0047】
つまり、同図において両クラッチ23,24が切れたときのクラッチ油圧をA、駆動輪2に制動力が生じるときのブレーキ油圧をBとすると、クラッチ油圧がAのときのマップ上のX点と、ブレーキ油圧がBのときの特性グラフ上のY点とを、同じインチングストロークのときにほぼ同一線上に位置させる必要がある。このために、クラッチ油圧のマップM1をマップM2に補正することによって、クラッチ油圧がAのときのマップ上の点をY点と同一線上に位置させる。このマップ補正によって、マップM2上のクラッチ油圧がAとなるときのX1点がY点と同一線上に位置することになり、駆動輪2に制動力が生じるとほぼ同時に両クラッチ23,24が切られる。このときマップMは、ブレーキ領域側もシフトされるため、FR同時係合のタイミングも移動することから、クラッチ23,24が切れたとほぼ同時にFR同時係合も生じるようになる。
【0048】
また図6は、両クラッチ23,24が切れても、制動力が暫くの間発生せず、発進時にタイムラグが生じる場合である。同図の場合においても同様に、クラッチ油圧のマップM1をマップM2に補正することによって、クラッチ油圧がAのときのマップ上の点をY点と同一線上に位置させる。これにより、マップM2上のクラッチ油圧がAとなるときのX2点が、ブレーキ油圧の特性グラフ上のY点とほぼ同一線上に位置することになり、両クラッチ23,24が切れたとほぼ同時に駆動輪2に制動力が生じる。
【0049】
次に、マップM1を補正するときに実行される手順を図8に示すフローチャートに従って説明する。このフローはフォークリフト1が前進するときについてのものであるが、後進の場合も同様である。なお、このフローは例えば0.1〜0.2秒に一回のサイクルで実行される。
【0050】
ステップ(以下、単にSと記す)100では、ブレーキ油圧センサ45から検出値Sを読込む。
S110では、B−α≦S≦B+αが成立するか否かを判断する。つまり、ブレーキ油圧センサ45から求まる検出値Sが、駆動輪2に制動力が生じるときのブレーキ油圧の値であるBに±αの許容を持たせた範囲内の値になるか否かを判断する。ここでαの値は、例えばブレーキ油圧の値のBに対して約10%の値としている。そして、B−α≦S≦B+αが成立するときはS120に進み、B−α≦S≦B+αが不成立のときはこのルーチンを終了する。
【0051】
S120では、ブレーキ油圧センサの検出値SがB±αとなるときに、前進用電磁比例弁25に通電される指令電流値Cを記憶する。
S130では、前進クラッチ23が切れるときに、このクラッチ23に通電される指令電流値Dを読込む。つまり、図7に示す電磁比例弁特性を基にして、前進クラッチ23が切れる際のクラッチ油圧の値であるAとなるときの指令電流値Dを読込む。なお、この指令電流値Dは、値としてROM54に記憶させておいてもよい。
【0052】
S140では、指令電流値C,Dの差をとって、補正値Eを算出する。
S150では、補正値Eが「0」か否かを判断する。つまり、指令電流値C,Dの差をとって、前進クラッチ23が切れるタイミングと、駆動輪2に制動力が発生するタイミングとの間にずれが生じていないか判断する。そして、E=「0」が成立するときはマップMの補正が必要ないと判断してこのルーチンを終了し、E=「0」が不成立のときはS160に移行する。なお、このS150で補正値Eの比較対象は「0」であることに限らず、マップMの補正が必要なしとみなし得る値であればどのような値でもよい。
【0053】
S160では、補正値Eに基づきマップMを補正する。つまり、前進クラッチ23が切れる前に制動力が加わる図5の場合には、マップM1を補正値Eの分だけ同図の下側にシフトさせることでマップM2に補正する。一方、前進クラッチ23が切れても、制動力が暫くの間生じない図6の場合には、マップM1を補正値Eの分だけ同図の上側にシフトさせることでマップM2に補正する。そして、CPU53はこの補正後のマップM2に基づき前進用電磁比例弁25を制御し、この結果、前進クラッチ23が切れるタイミングと制動力が発生するタイミングとがほぼ同時となる。
【0054】
S170では、この補正後のマップMをEEPROM56に記憶する。そしてCPU53は、この補正されたマップM2に従って前進用電磁比例弁25を制御する。一方、CPU53は所定サイクルでこのフローを繰り返し実行し、マップMの補正が必要となる場合には補正を行い、補正が行われた場合はその補正後のマップMをEEPROM56に記憶する学習補正を実行している。また、キーをオフした(ECUがオフした)後に、再びフォークリフト1を動かすときには、補正後のマップMでインチング制御が行われる。
【0055】
本例では、両クラッチ23,24が切れるときのタイミングと、制動力が発生するときのタイミングとがほぼ同時となるように、マップMが補正される構成である。これにより、クラッチ23,24とドラムブレーキ39との間の関係に調整不良があっても、電磁比例弁25,26に通電される電流値が補正後のマップM2により決まることから、インチング領域からブレーキ領域にスムーズに移行し、良好な操作フィーリングが得られる。また、ドラムブレーキ39には使用に応じて摩耗が生じるが、マップMは学習補正により逐次補正される構成であるため、ドラムブレーキ39の摩耗に起因するインチングペダル42のフィーリング変化も生じ難くなる。
【0056】
また図9(a),(b)に示すように、マップMを補正するときのシフト量を基にして、ドラムブレーキ39のシュー47の交換時期を報知する構成としている。つまりCPU53は、最初にマップMを補正した後に、補正値Eを逐次加算することによって、図9(a)に示すように最初に補正した後のマップMoと、所定期間経た後の補正後のマップMxとの差であるシフト量Kを算出する。このシフト量Kは、同じインチングストロークにおいてブレーキ使用初期の指令電流値と、ある一定期間経た後の補正後の指令電流値との間の差であって、図9(b)に示すようにシュー47の摩耗量と比例関係を有している。
【0057】
そして、CPU53はそのシフト量Kが所定値を超える場合にシュー47の交換が必要と判断して、表示装置18にその旨を表示させる。これにより、シュー47の交換時期が分かることになる。なお、シュー47の交換後は、リセットスイッチ(図示省略)の操作によってシフト量Kがリセットされ、その後最初に補正したときの値を基準「0」として、シュー交換後のシフト量が求められるようになっている。
【0058】
従って、この実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)本例では、クラッチ23,24が切れるときのタイミングと、制動力が発生するときのタイミングとがほぼ同時となるようにマップMが補正され、補正されたマップM2によって各電磁比例弁25,26に通電される電流値が決められる。これにより、クラッチ23,24とドラムブレーキ39との間に調整不良があっても、インチング領域からブレーキ領域にスムーズに移行でき、良好な操作フィーリングが得られる。また、マップMを学習補正する構成であるので、ドラムブレーキ39のシュー47に摩耗が生じても、インチングペダル42の操作時のフィーリング変化を発生し難くできる。
【0059】
(2)ドラムブレーキ39の使用初期のマップMoと、一定期間経た後の補正後のマップMxとの間のシフト量Kを算出し、そのシフト量Kが所定値を超える場合に、シュー47の交換が必要と判断して表示装置18にその旨を表示させる構成としている。これにより、シュー47の的確な交換時期をユーザ側に報知することができる。
【0060】
(3)補正後のマップM2をEEPROM56に記憶しておく構成であるので、キーをオフして次にエンジン20を再始動した後も、その補正後のマップM2を使用することができる。
【0061】
(4)ブレーキとしてドラムブレーキ39を使用しているが、電気的に制御されるクラッチ23,24側の制御内容(本例ではマップM)を補正することによって、クラッチ23,24の切れるタイミングと制動力が発生するときのタイミングとの合わせ込みが実施できる。
【0062】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図10〜図12に従って説明する。本例ではブレーキとしてドラムブレーキの代りに駐車ブレーキを用いる点が第1実施形態と異なっており、同一部分には同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0063】
図10は、フォークリフトの概略構成図である。変速機22の出力軸22bには、制動手段およびクラッチ式制動手段としてのクラッチ式の駐車ブレーキ61が配設されている。駐車ブレーキ61の受圧室61aの油圧はブレーキ用バルブ62により調節され、このブレーキ用バルブ62は油圧ポンプ51(図1参照)を油圧供給源としている。そして、受圧室61aに油圧が供給されない状態で、図示しないバネのバネ力により付勢されたブレーキパッド63が、出力軸22bに固定されたディスク64に当接することによって、駐車ブレーキ61にクラッチ圧が生じて駆動輪2に制動力が発生する。一方、ブレーキ用バルブ62により受圧室61aに油圧が供給されるとディスク64とパッド63が離間し、クラッチの係合状態が解除されて制動力が発生しなくなる。なお、制動部品は、ブレーキパッド63およびディスク64により構成される。
【0064】
ブレーキ用バルブ62には電磁比例弁が用いられ、このバルブ62のソレノイド(図示省略)がコントローラ27に接続されている。そして、ブレーキ用バルブ62の弁開度がコントローラ27によって調節され、その弁開度に応じた油圧が駐車ブレーキ61に供給される。変速機22の出力軸22bには、前進クラッチ23および後進クラッチ24に対して係合可能な図示しないギヤ列が各クラッチ23,24ごとに配設され、これらギヤ列を介して入力軸22aの回転が出力軸22bに伝達される。ここで図10では、トルクコンバータ21、変速機22、電磁比例弁25,26、ブレーキ用バルブ62、油圧ポンプ51(図1参照)が独立して図示されているが、これら装置が一つのハウジング内に組込まれることで、オートマチックトランスミッションが構成されている。
【0065】
図11は、ブレーキ構成を模式的に示す構成図である。インチングペダル42およびブレーキペダル43は機械的に連動するように構成されており、インチングペダル42がブレーキ領域となったとき、またはブレーキペダル43を踏込んだとき、駐車ブレーキ61が作動して制動力が生じるようになっている。ブレーキペダル43にはマスタシリンダ44が接続され、このマスタシリンダ44にブレーキ油圧センサ45が配設されている。ブレーキ油圧センサ45はコントローラ27に接続され、マスタシリンダ44の内部の油圧を検出して、ブレーキ踏力に応じた検出信号をコントローラ27に出力する。
【0066】
図12は、コントローラのEEPROMに記憶されたマップMである。なお同図では、図中のマップMaが各電磁比例弁25,26用のマップであり、マップMbがブレーキ用バルブ62用のマップである。マップMは、同図に示すAをクラッチ23,24が切れるときに電磁比例弁25,26に通電される指令電流値(クラッチ油圧)の値とすると、指令電流値がAとなる以前のインチングストロークの領域がインチング領域となり、それ以降がブレーキ領域となる。
【0067】
これによりマップMは、インチング領域ではインチングストロークに対する各電磁比例弁25,26に通電される指令電流値の関係を示し、ブレーキ領域ではブレーキ踏力(マスタシリンダ油圧)に対するブレーキ用バルブ62に通電される指令電流値の関係を示すものとなっている。インチング領域では、マップMaに従って電磁比例弁25,26に通電する指令電流値が求められ、ブレーキ領域ではマップMbに従ってブレーキ用バルブ62に通電する指令電流値が求められる。マップMは、インチング領域ではインチングペダル42を踏込むに連れて指令電流値が小さくなるように設定され、ブレーキ領域では指令電流値が大きくなるように設定されている。
【0068】
マップMは、前進クラッチ23および後進クラッチ24が非係合状態になるとほぼ同時に、駐車ブレーキ61による制動力が発生するように補正される。つまり、ある踏力でインチングペダル42が踏込まれてマスタシリンダ油圧がBとなったとき、駆動輪2に制動力が生じるとすると、そのマスタシリンダ油圧がBのときのマップ上のY点と、クラッチ油圧がAのときのマップ上のX点とを、同じインチングストロークのときにほぼ同一線上に位置させるように補正する。なお本例では、ブレーキとして電気的に制御可能な駐車ブレーキ61を使用していることから、ブレーキ用バルブ62に通電する電流値を変えることで、制動力の発生タイミングをずらして補正を行うようにしている。
【0069】
ここでは、ブレーキ用バルブ62のマップMb0を、同図の一点鎖線で示すマップMb1に補正することによって、駆動輪2に制動力が発生するときのマップ上の点をX点と同一線上に位置させている。このマップ補正によって、駆動輪2に制動力が生じるときの点であるマップMb1上のY1点が、X点と同一線上に位置することになる。そしてCPU53は、ブレーキ踏力に応じた指令電流値を補正後のマップMb1から求め、この指令電流値に基づきブレーキ用バルブ62を制御する。これにより、クラッチ23,24が切れるタイミングと駆動輪2に制動力が発生するタイミングとがほぼ同時となる。
【0070】
次に、本例で実行されるマップMの補正手順を説明するが、本例の構成においても第1実施形態の図8に示すフローチャートとほぼ同様の手順に沿ってマップMの補正が行われることから、図8のフローを用いて説明する。
【0071】
S100では、ブレーキ油圧センサ45から検出値Sを読込む。S110では、B−α≦S≦B+αが成立するか否かを判断する。このS110でB−α≦S≦B+αが成立するとき、S120ではブレーキ油圧センサ45の検出値SがB±αとなるときに、ブレーキ用バルブ62に通電される指令電流値Cを記憶する。S130では、前進クラッチ23(後進クラッチ24)が切れるときに、このブレーキ用バルブ62に通電される指令電流値Dを読込む。
【0072】
S140では、指令電流値C,Dの差をとって、補正値Eを算出する。S150では、補正値Eが「0」か否かを判断し、このS150でE=「0」が成立しないとき、S160で補正値Eに基づきマップMを補正する。S170では、補正後のマップMをEEPROM56に記憶する。そしてCPU53は、この補正されたマップMに従って前進用電磁比例弁25、後進用電磁比例弁26、ブレーキ用バルブ62を制御する。
【0073】
これにより、クラッチ23,24と駐車ブレーキ61との間の関係に調整不良があっても、ブレーキ用バルブ62に通電される電流値が補正後のマップMb1により決まることから、インチング領域からブレーキ領域にスムーズに移行し、良好な操作フィーリングが得られる。また、駐車ブレーキ61のディスク64やブレーキパッド63に摩耗が生じても、マップMは学習補正により逐次補正される構成であるため、駐車ブレーキ61の摩耗に起因するインチングペダル42のフィーリング変化も生じ難くなる。なお本例では、ブレーキ用バルブ62へ通電する電流値を決めるためのマップMbを補正する構成としたが、第1実施形態と同様の手順をとって、電磁比例弁25,26へ通電する電流値を決めるためのマップMaを補正する構成としてもよい。
【0074】
ところで、制動力が生じるタイミングをクラッチ23,24が切れるタイミングに合わせ込んだり、逆にクラッチ23,24が切れるタイミングを制動力が生じるタイミングに合わせ込む方法では、インチング領域からブレーキ領域に切り変わるときのインチングストロークがフォークリフト1の機台ごとに異なってしまう。しかし本例のように、マップ補正により制動力の発生タイミングを変えられる駐車ブレーキ61をブレーキとして採用すれば、制動力が発生するタイミングと、クラッチ23,24が切れるタイミングの両方を調整することが可能である。これにより、マップMを補正した後であっても、所定のインチングストロークのときに、インチング領域からブレーキ領域に切り変わるタイミングを合わせ込むようにすることも可能となる。
【0075】
よって、第2実施形態においても、第1実施形態に記載した(1)良好なインチングフィーリングの確保、摩耗によるインチングフィーリング変化の抑制、(2)駐車ブレーキ61の摩耗検出、(3)補正後のマップを次運転時に使用できる、等の効果が得られる他に次の効果が得られる。
【0076】
(5)本例では、電気的に制御可能な駐車ブレーキ61を使用しているので、制動力が発生するタイミングをずらすことができる。そして、ブレーキ用バルブ62への通電量を決めるマップMbを補正することにより、クラッチ23,24の切れるタイミングと制動力が発生するときのタイミングとの合わせ込みが実施できる。
【0077】
(6)CPU53によりクラッチ圧が調整されるクラッチ23,24と駐車ブレーキ61を採用していることから、クラッチ23,24が切れるときのタイミングと、制動力が発生するときのタイミングとの両方をずらせる構成となる。従って、マップMに補正を加えた後であっても、同一インチングストロークのときに、インチング領域からブレーキ領域に移行するタイミングを位置させることができる。
【0078】
なお、実施形態は前記に限定されず、例えば次の態様に変更してもよい。
○ 第1実施形態において、制動手段はドラムブレーキ39およびFR同時係合の両方を用いることに限らず、図13に示すようにFR同時係合のみで駆動輪2に制動力を加える構成でもよい。同じく第1実施形態において、ドラムブレーキ39のみで制動力を加える構成としてもよい。また、第2実施形態において、制動手段は駐車ブレーキ61のみに限らず、この駐車ブレーキ61とFR同時係合や、駐車ブレーキ61とドラムブレーキ39により制動力を加える構成でもよい。また、ドラムブレーキ39、FR同時係合、駐車ブレーキ61の3つにより制動力を加える構成でもよい。
【0079】
○ 前記した各実施形態において、図1,2,10,13に示す選択手段としての調整つまみ71を設けることで、インチング領域からブレーキ領域に移行する際のつなぎのタイミングを自由に調整可能な構成としてもよい。つまり、この調整つまみ71を一方に回して、図14に示すようにクラッチ23,24が切れるときのX3点を、制動力が発生するときのY点に対して少量だけ踏込み側に位置させる。これにより、クラッチ23,24が切れる前に制動力が生じるようにしてもよい。また、この調整つまみ71を他方に回して、図14に示すようにクラッチ23,24が切れるときのX4点を、制動力が発生するときのY点に対して少量だけ反踏込み側に位置させる。これにより、クラッチ23,24が切れた後に、所定間隔だけタイムラグが生じるようにしてもよい。この場合、調整つまみ71を操作することによって、インチングフィーリングを好みに応じて調整することができる。
【0080】
○ 第1および第2実施形態において、調整つまみ71は、インチングストロークに対してインチング領域からブレーキ領域に移行するタイミングを切り変えるつまみとしてもよい。つまり、この調整つまみ71を操作することで、インチング領域からブレーキ領域に移行するタイミングを、所望のインチングストロークに合わせ込む構成にすることもできる。
【0081】
○ 第1および第2実施形態において、記憶手段はEEPROM56に限定されず、例えばバックアップ電源付きのRAMやEPROM等の他のメモリを採用してもよい。また、バックアップ電源のないRAMでもよい。
【0082】
○ 第1及び第2実施形態において、駆動輪2に制動力が生じるときのブレーキ油圧(マスタシリンダ油圧)の値Bを複数取込んでその平均値を求め、この平均値を基に電磁比例弁25,26に通電される指令電流値Cを求める構成でもよい。つまり、駆動輪2に制動力が生じるときのブレーキ油圧(マスタシリンダ油圧)の値Bにフィルタをかける構造としてもよい。この場合、駆動輪2に制動力が生じるときのブレーキ油圧(マスタシリンダ油圧)を検出する際に、誤検出が生じ難くなる。
【0083】
○ 第1および第2実施形態において、ドラムブレーキ39や駐車ブレーキ61の摩耗を測定する方法は、最初に補正したマップと、補正が何度も繰り返された一定期間経た後のマップとの間のシフト量Kを算出し、そのシフト量Kに基づき摩耗を測定することに限定されない。例えば、インチング開度センサ42aからの検出値を基にして、ブレーキ使用初期からのインチングストロークの変化量を測定し、この変化量が所定値を超える場合に、ブレーキ交換が必要と判断して表示装置18にその旨を表示させる構成としてもよい。
【0084】
○ 第1および第2実施形態において、報知手段は表示装置18により視覚的に表示されることに限らず、例えば車体4に内蔵されたスピーカにより音で報知する構成としてもよい。
【0085】
○ 第1および第2実施形態において、マップMの補正方法は指令電流値の差をとって補正値Eを求め、その補正値E分だけマップMを縦軸方向にシフトさせる方法に限定されない。例えば、クラッチ23,24が切れるときのインチングストロークと、制動力が生じるときのインチングストロークとの間の差を求め、その差分だけマップMを横軸方向にシフトすることで補正を行ってもよい。
【0086】
○ 第1および第2実施形態において、マップMを補正するときに、そのマップ線を平行にシフトさせることに限らず、元のマップ線に対して所定の傾斜を有するように補正するようにしてもよい。
【0087】
○ 第1および第2実施形態において、クラッチ23,24が切れるときのタイミングと、駆動輪2に制動力が生じるときのタイミングがほぼ同時となるように、マップMを補正する構成に限定されない。例えば、運転者が許容できる範囲内であれば、この両タイミングが若干ずれる構成としてもよい。
【0088】
○ 第1および第2実施形態において、補正する制御内容はマップに限定されない。例えばマップMは補正せず、マップMから得られた値に補正値Eによる補正を加える演算をして、電磁比例弁25,26に通電する電流値を調整する構成でもよい。
【0089】
○ 第1および第2実施形態において、産業車両はフォークリフトに限定されず、例えばショベルローダ等の他の産業車両に本例のインチング制御装置を採用することもできる。
【0090】
前記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(1)前記制動手段の作動時に、前記インチング操作手段を踏込んだ際のブレーキ踏力を検出するブレーキ踏力検出手段を備え、前記制御手段は前記ブレーキ踏力検出手段からの検出値に基づき、前記制動手段による制動力の発生タイミングを検出する。
【0091】
(2)前記検出手段は、前記インチング操作手段の操作量を検出するインチング操作量検出手段(42a)と、前記ブレーキ操作手段の操作量を検出するブレーキ操作量検出手段(45)とにより構成され、前記補正手段は、前記インチング操作量検出手段の検出値を基に前記クラッチが切断されるタイミングを求め、前記ブレーキ操作量検出手段の検出値を基に前記制動手段にブレーキがかかるタイミングを求める。
【0092】
(3)インチング領域からブレーキ領域に移行するタイミングを選択操作する調整手段(71)を備え、当該調整手段からの選択値に基づき、インチング領域からブレーキ領域に移行するタイミングが、所定のインチングストロークのときに位置するように、前記補正手段により前記制御内容が補正される。
【0093】
(4)制動部品の摩耗量を推定し、該摩耗量が所定値を超えたか否かを判断する摩耗測定手段と、前記摩耗測定手段の判断結果に基づき、前記制動部品の部品交換が必要と判断されたときにその旨を報知する報知手段とを備えた産業車両用のインチング操作フィーリング調整装置。
【0094】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、クラッチが切断されるタイミングと、制動手段にブレーキがかかるタイミングとのずれが、目標の操作フィーリングに応じたずれとなるように制御内容が補正されるので、インチング操作したときに、インチング領域からブレーキ領域にスムーズに移行できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態のインチング制御装置の要部を示す概略構成図。
【図2】 フォークリフトの概略構成図。
【図3】 フォークリフトの側面図。
【図4】 EEPROMに記憶されたマップ。
【図5】 マップの補正の仕方を説明するための説明図。
【図6】 マップの補正の仕方を説明するための説明図。
【図7】 電磁比例弁特性図。
【図8】 マップ補正時に実行されるフローチャート。
【図9】 (a)はドラムブレーキの摩耗を測定するときの説明図、(b)はシフト量と摩耗量の関係図。
【図10】 第2実施形態のフォークリフトの概略構成図。
【図11】 ブレーキ構成を模式的に示す構成図。
【図12】 EEPROMに記憶されたマップ。
【図13】 別例におけるフォークリフトの概略構成図。
【図14】 調整つまみを用いてフィーリングを変えるときの説明図。
【図15】 従来のインチング制御装置の構成を模式的に示す概略構成図。
【図16】 インチングストロークに対するクラッチ油圧とブレーキ油圧の関係図。
【図17】 調整不良があったときの関係図。
【図18】 調整不良があったときの関係図。
【符号の説明】
1…産業車両としてのフォークリフト、2…車両としての駆動輪、18…報知手段としての表示装置、20…走行駆動手段としてのエンジン、23…クラッチとしての前進クラッチ、24…クラッチとしての後進クラッチ、42…インチング操作手段としてのインチングペダル、39…制動手段を構成するとともに機械的制動手段としてのドラムブレーキ、43…ブレーキ操作手段としてのブレーキペダル、45…検出手段としてのブレーキ油圧センサ、47…制動部品としてのシュー、53…補正手段、学習手段、および摩耗測定手段を構成するとともに制御手段としてのCPU、56…記憶手段としてのEEPROM、61…制動手段を構成するとともにクラッチ式制動手段としての駐車ブレーキ、63…制動部品としてのブレーキパッド、64…制動部品としてのディスク、71…選択手段としての調整つまみ、M…制御内容としてのマップ。
Claims (9)
- 車輪と走行駆動手段との間に介在するクラッチと、
前記クラッチの接続状態を接続から切断まで連続的に変化させるために操作されるインチング操作手段と、
車輪にブレーキ力を与える制動手段と、
操作量を大きくする方向に前記インチング操作手段を操作する過程で、前記クラッチが切断されるタイミングと略同時期のタイミングでブレーキがかかるように、該インチング操作手段と連動操作されるブレーキ操作手段と、
前記インチング操作手段の操作に応じて作動制御される前記クラッチと、前記ブレーキ操作手段の操作に応じて作動される前記制動手段とを、それぞれの対応する前記操作手段の操作量を基にして電気的に制御する制御手段と、
前記インチング操作手段を操作する過程で、前記クラッチが切断されるタイミングと、前記制動手段にブレーキがかかるタイミングとのずれを補正する際に必要となる検出値を検出する検出手段と、
前記クラッチが切断されるタイミングと前記制動手段にブレーキがかかるタイミングとのずれが、目標の操作フィーリングに応じたずれになるように、前記検出手段の検出値を基に前記制御手段の制御内容を補正する補正手段と
を備え、
前記制動手段はクラッチ圧により制動力を発生させるクラッチ式制動手段であり、
前記補正手段は、前記クラッチが切断されるタイミングと前記クラッチ式制動手段にブレーキがかかるタイミングとを近づけるように前記クラッチを制御するための制御内容及び前記クラッチ式制動手段を制御するための制御内容の両方を補正可能に構成されるとともに、前記クラッチが切断されるタイミングにおける前記インチング操作手段の操作量が常に同じとなるように前記制御内容を補正する産業車両用の産業車両用のインチング操作フィーリング調整装置。 - 前記補正手段により補正された後の制御内容を記憶手段に記憶し、該記憶手段に記憶された前記制御内容を当該補正手段により再び補正し、この補正と記憶の動作を所定サイクルで繰り返し実行する学習手段を備えた請求項1に記載の産業車両用のインチング操作フィーリング調整装置。
- 車輪と走行駆動手段との間に介在するクラッチと、
前記クラッチの接続状態を接続から切断まで連続的に変化させるために操作されるインチング操作手段と、
車輪にブレーキ力を与える制動手段と、
操作量を大きくする方向に前記インチング操作手段を操作する過程で、前記クラッチが切断されるタイミングと略同時期のタイミングでブレーキがかかるように、該インチング操作手段と連動操作されるブレーキ操作手段と、
前記インチング操作手段の操作に応じて作動制御される前記クラッチと、前記ブレーキ操作手段の操作に応じて作動される前記制動手段のうち少なくとも一方を、それぞれの対応する前記操作手段の操作量を基にして電気的に制御する制御手段と、
前記インチング操作手段を操作する過程で、前記クラッチが切断されるタイミングと、前記制動手段にブレーキがかかるタイミングとのずれを補正する際に必要となる検出値を検出する検出手段と、
前記クラッチが切断されるタイミングと前記制動手段にブレーキがかかるタイミングとのずれが、目標の操作フィーリングに応じたずれになるように、前記検出手段の検出値を基に前記制御手段の制御内容を補正する補正手段と、
目標の操作フィーリングを選択操作するための選択手段と
を備え、
前記クラッチが切断されるタイミングと前記制動手段にブレーキがかかるタイミングとの関係が、当該選択手段からの選択値から決まる目標の操作フィーリングとなる関係を有するように、前記補正手段により前記制御内容が補正される産業車両用のインチング操作フィーリング調整装置。 - 前記補正手段により補正された後の制御内容を記憶手段に記憶し、該記憶手段に記憶された前記制御内容を当該補正手段により再び補正し、この補正と記憶の動作を所定サイクルで繰り返し実行する学習手段を備えた請求項3に記載の産業車両用のインチング操作フィーリング調整装置。
- 車輪と走行駆動手段との間に介在するクラッチと、
前記クラッチの接続状態を接続から切断まで連続的に変化させるために操作されるインチング操作手段と、
車輪にブレーキ力を与える制動手段と、
操作量を大きくする方向に前記インチング操作手段を操作する過程で、前記クラッチが切断されるタイミングと略同時期のタイミングでブレーキがかかるように、該インチング操作手段と連動操作されるブレーキ操作手段と、
前記インチング操作手段の操作に応じて作動制御される前記クラッチと、前記ブレーキ操作手段の操作に応じて作動される前記制動手段のうち少なくとも一方を、それぞれの対応する前記操作手段の操作量を基にして電気的に制御する制御手段と、
前記インチング操作手段を操作する過程で、前記クラッチが切断されるタイミングと、前記制動手段にブレーキがかかるタイミングとのずれを補正する際に必要となる検出値を検出する検出手段と、
前記クラッチが切断されるタイミングと前記制動手段にブレーキがかかるタイミングとのずれが、目標の操作フィーリングに応じたずれになるように、前記検出手段の検出値を基に前記制御手段の制御内容を補正する補正手段と、
制動部品の摩耗量を推定し、該摩耗量が所定値を超えたか否かを判断する摩耗測定手段と、
前記摩耗測定手段の判断結果に基づき、前記制動部品の部品交換が必要と判断されたときにその旨を報知する報知手段と
を備えた産業車両用のインチング操作フィーリング調整装置。 - 前記補正手段により補正された後の制御内容を記憶手段に記憶し、該記憶手段に記憶された前記制御内容を当該補正手段により再び補正し、この補正と記憶の動作を所定サイクルで繰り返し実行する学習手段を備え、
前記摩耗測定手段は、前記補正手段が最初に補正したときに決まる制御内容と、前記学習手段により所定回数補正が繰り返された後の制御内容との差を基に前記摩耗量を演算する請求項5に記載の産業車両用のインチング操作フィーリング調整装置。 - 前記制御手段により電気的に制御されるものは前記クラッチであり、前記制動手段は前記ブレーキ操作手段の操作量に応じて機械的に作動される機械的制動手段であって、
前記補正手段は、前記クラッチが切断されるタイミングを、前記機械的制動手段にブレーキがかかるタイミングに近づけるように、前記クラッチを制御するための前記制御内容を補正する請求項3〜6のうちいずれか一項に記載の産業車両用のインチング操作フィーリング調整装置。 - 前記制御手段により制御されるものは前記クラッチであり、前記制動手段は前記ブレーキ操作手段の操作量に応じて機械的に作動される機械的制動手段と、前記制御手段に制御されてクラッチ圧により制動力を発生させるクラッチ式制動手段とにより構成されており、
前記補正手段は、前記クラッチが切断されるタイミングを、前記機械的制動手段及びクラッチ式制動手段にブレーキがかかるタイミングに近づけるように、前記クラッチを制御するための前記制御内容を補正する請求項3〜6のうちいずれか一項に記載の産業車両用のインチング操作フィーリング調整装置。 - 前記補正手段は、前記クラッチが切断されるタイミングと、前記制動手段にブレーキがかかるタイミングとがほぼ同時となるように前記制御内容を補正する請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の産業車両用のインチング操作フィーリング調整装置。
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