JP3663889B2 - 制動力保持装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の停止時に制動力を保持して坂道発進等の発進操作を容易に行なえるようにした、制動力保持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車等の車両において、ドライバのブレーキ操作の煩わしさを低減できるようにした制動力保持装置(坂道発進補助装置)が開発されている。
この制動力保持装置は、ブレーキ操作により車両が停止するとコントローラがこれを検出して、ドライバがブレーキペダルから足を離してもブレーキペダル踏み込み時のブレーキ液圧を保持するように構成されており、これによりドライバはブレーキペダルを踏み続けることなく車両の停止状態を保つことができるものである。また、クラッチが接続状態に移行すると、制動力保持装置の作動が解除されて、通常の走行ができるようになっている。
【0003】
このような装置について具体的に説明すると、例えば、車両のブレーキ装置の作動流体圧供給経路上には、流体圧を保持できるようにした制動力保持手段としてのアクチュエータ(例えば電磁弁)が設けられており、ブレーキペダルの操作により車両の停止状態が検出されると上記のアクチュエータを作動させてブレーキ液圧を保持し、車両の停止状態を保持するのである。
【0004】
また、変速段が中立(ニュートラル)以外である等の所定の発進条件を満たすと、アクチュエータの作動が解除され車両が走行可能となる。
これにより、ドライバは渋滞や信号待ちでブレーキペダルを踏み続ける必要がなくなり、肉体的,精神的な疲労を低減することができるようになるほか、坂道発進等も容易に行なうことができるようになる。
【0005】
ところで、このような制動力保持装置では、アクチュエータの作動解除時期をドライバの好みに応じて設定できるようになっている。すなわち、このような制動力保持装置をそなえた車両では、例えば運転席近傍に作動解除時期設定スイッチ(以下、リセットスイッチという)が設けられており、車両の発進時に、ドライバが発進操作を行ないながらリセットスイッチを操作すると、このリセットスイッチが操作されたときのクラッチストローク位置が作動解除基準位置(又は作動解除基準タイミングという)としてコントローラに記憶されるのである。そして、これ以降、車両の発進時には、変速段がニュートラル以外で、クラッチのストロークが上記の基準位置になると、アクチュエータの作動が解除されるようになり、これによりドライバの好みに応じたタイミングで車両を発進させることができるのである。
【0006】
また、上述のようにして設定されたアクチュエータの作動解除時期に対してさらにアクチュエータの解除時期を調整しうる調整スイッチも設けられている。この調整スイッチは、リセットスイッチと同様に運転席近傍に設けられており、ドライバがこの調整スイッチを操作することで、アクチュエータの作動解除時期を上記基準位置を中心にした所定の範囲内で調整することができる。なお、このような調整スイッチはクラッチのフェージングが磨耗してクラッチの断接ポイントが変化した場合の対策として設けられたものである。
【0007】
このような調整スイッチによる作動解除時期の調整について、図8を用いて簡単に説明すると、図中横軸はクラッチストローク(又はクラッチストロークセンサにより検出される電圧値であってクラッチストロークに対応している)を示しており、図中左側がクラッチの切断方向、右側がクラッチの接続方向である。
また、ここでは、トランスミッションは、ギアチェンジやクラッチ操作を自動で行なうようにした機械式オートマチックトランスミッションであって、図中に示すLE点は、車両発進時のクラッチ待機点(又は、発進待機点という)である。すなわち、LE点ではクラッチが切断されている。なお、この機械式オートマチックトランスミッションでは、変速段がニュートラル以外であって車速が0であると、自動的にクラッチストローク位置がこのLE点(発進待機点)になる。
【0008】
また、所定の条件が成立している場合には、アクチュエータの作動開始条件が成立して制動力が保持される。
そして、調整スイッチが第1段階から第5段階の5段階に調整可能なスイッチの場合であれば、上記のリセットスイッチにより設定された作動解除基準位置が中間位置の第3段階に自動的に設定され、この基準位置に対して、所定のクラッチストローク毎に、第1段階,第2段階及び第4段階の4段階のクラッチストローク位置が自動的に記憶される。また、クラッチストローク以外に、エンジン回転数が所定回転数となると、アクチュエータの作動を解除する第5段階も設定される。
【0009】
ここで、第1段階は、クラッチが接続方向へストロークを開始すると最も早いタイミングでアクチュエータの作動を解除する段階(FAST)であって、以降の各段階毎に、徐々にアクチュエータの作動解除タイミングが遅くなる。また、エンジン回転数で規定される第5段階は、通常は最も遅くアクチュエータの作動を解除する段階(SLOW)である。
【0010】
そして、ドライバが調整スイッチを第1段階から第5段階の何れかに設定することにより、アクチュエータの作動解除時期を上記の基準位置(第3段階)以外にも、微調整することができるのである。
ところで、コントローラでは、アクチュエータの作動状態や調整スイッチ等のスイッチ類の操作状況を監視しており、以下のような場合には、コントローラによりアクチュエータの作動解除基準位置が変更される。
【0011】
つまり、ドライバが調整スイッチを操作してアクチュエータの作動解除時期を基準位置(第3段階)以外に設定し、この状態で連続して所定回数(例えば100回)使用した場合には、図9に示すように、この調整された作動解除時期が新たにアクチュエータの作動解除基準位置として設定されるのである。
そして、この新たな作動解除基準位置に基づいて新たに第1段階〜第4段階の調整領域が設定される。なお、エンジン回転数で規定される第5段階はクラッチストロークに依存しないので、この第5段階は変更されない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の制動力保持装置では、上述のようにアクチュエータの作動解除基準位置の変更に応じて調整領域を変更すると、車両停止時に、アクチュエータの作動開始条件と作動解除条件とが同時に成立してしまう場合が考えられる。そして、このような場合には、アクチュエータの作動と作動解除とが繰り返し実行され、いわゆるハンチングを生じるおそれがある。
【0013】
すなわち、図8に示すように、調整スイッチによりアクチュエータの作動解除タイミングを基準位置(第3段階)よりも早いタイミング(ここでは第1段階)に設定して連続して所定回数使用すると、図9に示すように、この第1段階の作動解除タイミングが新たに作動解除基準位置となる。
しかしながら、このような場合には、新たに設定された基準位置に応じて設定される第1段階が、クラッチの発進待機点(LE点)よりも切断側となってしまうため、ドライバがあらためて調整スイッチを第1段階に設定すると、クラッチストローク位置が第1段階とLE点との間にあるときには、アクチュエータの作動条件と作動解除条件とが同時に成立して、アクチュエータの作動と非作動とが繰り返し実行されることになるのである。
【0014】
ところで、特開昭64−41450号公報には、調整スイッチの操作により制動力解除位置を設定する場合、クラッチの切断位置よりも切断側に解除位置が調整されると、この調整をキャンセルするようにした技術が開示されている。
しかしながら、このような技術では、調整領域(第1〜5段階までの領域)の一部がクラッチ切断位置よりも切断側となったら調整領域をキャンセルするようにした場合、基準位置はクラッチ切断位置まで余裕があるにもかかわらずキャンセルされる可能性があり、基準位置の設定範囲が極めて狭いものとなる。
【0015】
また、基準位置がクラッチ切断位置よりも切断側となったらキャンセルするようにした場合、基準位置を学習した後、ドライバがマニュアル調整によりクラッチ切断位置よりも切断側に基準位置を設定可能となってしまい、結果的にアクチュエータがハンチングを生じる可能性がある。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、上述のような制動力保持手段(アクチュエータ)のハンチングを確実に防止するようにした、制動力保持装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明の制動力保持装置では、制動力保持手段により車両の停止時には制動力が保持されるとともに、車両の発進時にはクラッチの接続動作に連動して制動力が解除される。そして、調整手段を操作することにより、クラッチの接続状態に対する制動力保持手段の解除位置が、基準位置を含む調整領域内で調整される。
【0017】
また、調整手段により制動力保持手段の解除位置が上記の基準位置から変更された状態で制動力保持手段の解除操作が所定回数連続して行なわれると、調整領域変更手段により上記の変更された位置が基準位置として新たに設定される。
そして、この調整領域変更手段により制動力保持手段の解除位置の調整領域が変更される際には、上記の変更後基準位置に基づいてクラッチの切断位置から接続位置までの半クラッチ領域の範囲内で調整領域が変更され、半クラッチ領域の範囲外となった調整領域がカットされる。なお、上記の「クラッチの切断位置」とは、クラッチが確実に切断されたと判定されるストローク位置であってこのストローク位置よりも切断側にあるときにはクラッチが完全に切断されるような位置であり、また、「クラッチの接続位置」とは、該クラッチが確実に接続されたと判定されるストローク位置であってこのストローク位置よりも接続側にあるときには該クラッチが完全に接続されるような位置である。
【0018】
これにより、制動力保持手段の作動解除位置がクラッチの切断位置よりも切断側に設定されることがなくなるので、制動力保持手段の作動条件と作動解除条件とが同時に成立するようなことがなくなり、制動力保持手段のハンチングを防止することができる。また、制動力保持手段の作動解除位置がクラッチの接続位置よりも接続側に設定されることがなくなり、制動力保持手段の作動解除が遅れるようなことも防止することができる。
【0019】
また、請求項2記載の本発明の制動力保持装置では、上記の構成に加え、クラッチ制御手段によりクラッチの作動が制御される。具体的には、車両の停車時にはクラッチが切断されるとともに車両の発進時にはクラッチが接続される。
ここで、クラッチ制御手段により、クラッチの状態に応じてクラッチの切断位置が変更されるが、変更されたクラッチ切断位置が調整領域内に変更されると、調整領域変更手段により、調整領域が上記変更後のクラッチ切断位置よりも接続側の領域となるように調整領域が変更される。
【0020】
また、請求項3記載の本発明の制動力保持装置では、クラッチ制御手段によりクラッチの作動が制御され、車両の停車時にはクラッチが切断されるとともに車両の発進時にはクラッチが接続される。また、このクラッチ制御手段によりクラッチの切断位置がクラッチの状態に応じて変更される。そして、制動力保持手段により車両の停止時には制動力が保持されるとともに、車両の発進時にはクラッチの接続動作に連動して制動力が解除される。
なお、「クラッチの切断位置」とは、クラッチが確実に切断されたと判定されるストローク位置であって、このストローク位置よりも切断側にあるときにはクラッチが完全に切断される位置である。
【0021】
また、解除位置設定手段によりクラッチの接続状態に対する制動力保持手段の作動解除位置が設定される。
そして、上記クラッチ制御手段によりクラッチ切断位置が作動解除位置よりもクラッチ接側に変更されると、作動解除位置変更手段により変更後のクラッチの切断位置よりもクラッチ接続側に作動解除位置が変更される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の一実施形態としての制動力保持装置について説明すると、この制動力保持装置は、ドライバがブレーキペダルを踏んで車両を停止させたときに、所定の条件を満たすと作動するものであって、このような所定条件を満たすと、サービスブレーキの作動流体供給経路上に設けられたアクチュエータ(制動力保持手段)を作動させてアクチュエータよりも下流側の作動流体圧を封じ込め、ドライバがブレーキペダルから足を離しても制動力を保持するようなものである。
【0023】
図1に示すように、アクチュエータ15は、制御手段としてのコントローラ(ECU)1によりその作動が制御されるようになっており、コントローラ1には、キースイッチ2,エンジン作動検出センサ3,メインスイッチ4,パーキングスイッチ5,作動判断スイッチ6,ストップランプスイッチ7,リセットスイッチ(解除位置設定手段)8,解除点調整スイッチ(調整手段)9,車速センサ10,ニュートラルスイッチ12,エンジン回転数センサ13及びクラッチストロークセンサ14がそれぞれ接続されている。
【0024】
ここで、キースイッチ2はエンジンキーの位置がオンか否かを検出するセンサであって、エンジン作動検出センサ3はエンジンが運転中か又はエンジンが停止しているかを検出するようなセンサである。
また、メインスイッチ4は、運転席の近傍に配設されたオンオフスイッチであって、このメインスイッチ4をオンにすると制動力保持装置が作動しうる状態となり、メインスイッチ4をオフにすると制動力保持装置が作動しないようになっている。
【0025】
パーキングスイッチ5は、パーキングブレーキレバーの操作位置に基づいてパーキングブレーキの作動状態を検出するものでありパーキングブレーキレバーが操作されるとオンとなるセンサである。また、作動判断スイッチ6はドライバのブレーキペダル踏力が所定値以上となるとオンとなるセンサである。
また、リセットスイッチ8については、上述の従来技術で説明したものと同様のものであって、アクチュエータ15の作動を解除するタイミングの設定を行なうためのスイッチである。すなわち、この制動力保持装置では、アクチュエータ15が作動している状態で車両が停止しているときに、ドライバが車両を発進させようとすると、この発進操作にともなってアクチュエータ15の作動を解除するようになっているが、このときの作動解除タイミングを所定の範囲内でドライバが設定することができるようになっている。また、このときの作動解除タイミングは、クラッチのストローク量に対応して設定されるものであり、コントローラ1では、クラッチストロークセンサ14からの検出情報に基づいてクラッチストローク位置がリセットスイッチ8で設定された基準位置になったと判定すると、アクチュエータ15の作動を解除するようになっている。
【0026】
なお、このような作動解除基準タイミングを、以下、単に基準位置又は基準タイミングともいう。
解除点調整スイッチ(以下、単に調整スイッチという)9は、リセットスイッチ8と同様に運転席近傍に設けられており、ドライバがこの調整スイッチ9を操作することで、アクチュエータ15の作動解除時期を上述の基準位置を含む調整領域内で調整することができるようになっている。
【0027】
つまり、上述したリセットスイッチ8によりクラッチストロークに対するアクチュエータ15の作動解除基準位置が設定されると、本実施形態では、この基準位置を中心にして所定の調整領域が設定されるようになっており、アクチュエータ15の作動解除タイミングを調整領域内で変更することができるようになっている。
【0028】
なお、本実施形態では、この調整領域内で5段階の調整が可能に構成されている。また、この調整スイッチ9についても上述の従来技術で説明したものと同様のものである。
また、車速センサ10及びエンジン回転数センサ13は、それぞれ車速情報やエンジン回転数情報を検出するものであり、ニュートラルスイッチ12は、変速段(ギア)がニュートラルになると、これを検出するセンサである。また、クラッチストロークセンサ14は、クラッチのストローク位置を検出するセンサである。
【0029】
さて、次に図2及び図3を用いてこの制動力保持装置の作動開始条件(又は単に作動条件ともいう)及び作動解除条件について説明する。
まず、作動開始条件について説明すると、コントローラ1内には図2に示すような論理回路(AND回路)が設けられており、例えば以下の1.〜7.の条件が全て成立した場合にアクチュエータ15を作動させて車両の停止状態を保持するようになっている。
【0030】
1.エンジン作動検出センサ3によりエンジンが作動中であることが検出されていること。これは、制動力保持装置は、あくまでも信号待ち等の一時的な停車状態を保持するために設けられているからであり、エンジンの非作動時には、基本的にはパーキングブレーキにより停車状態を維持して、制動力保持装置は作動させないようになっている。
【0031】
2.メインスイッチ4がオンであること。メインスイッチ4は制動力保持装置が作動しうる状態にするためのスイッチであり、このメインスイッチ4がオンであることが、本装置が作動を開始するための前提条件だからである。
3.パーキングスイッチ5がオフであること。つまり、パーキングブレーキが非作動であること。これは、上述の1.と同様に、制動力保持装置があくまでも一時的に停車状態を保持するための装置であるため、パーキングブレーキを操作した場合には、制動力保持装置を作動させないようになっている。
【0032】
4.作動判断スイッチ6がオンであること。つまり、ドライバが所定の踏力以上でブレーキペダルを踏んでいること。
5.ストップランプスイッチ7がオンであること。すなわち、ストップランプスイッチ7によりブレーキペダルが踏み込が検出されていること。
なお、上記4.と5.とはいずれもブレーキペダルを確実に踏んでいることを検出するための条件であるが、フェイルセーフを考慮して上記の2つの条件を独立して設定しているのである。また、これ以外にも、ブレーキペダルが踏み込まれているか否かを認識することにより、ブレーキ解除直後に、再び作動条件を満たしてアクチュエータ15が作動するのを防止する役割も担っている。
【0033】
6.リセットスイッチ8によりアクチュエータ15の作動解除タイミングが設定されていること。つまり、クラッチストローク位置に対する作動解除基準位置が設定されていること。これは、この作動解除基準位置が設定されていないと、コントローラ1では発進時にアクチュエータ15の作動解除タイミングを判定できないからである。
【0034】
7.車速センサ10により検出される車速が0であること。これは車両が確実に停止した後に制動力保持装置を作動させるためである。
そして、上述の1.〜7.の条件が全て満たされると、コントローラ1はアクチュエータ15に対する制御信号を設定して、アクチュエータ15を作動させるようになっているのである。
【0035】
なお、これらの条件以外にも、車輪のロック状態やABSの作動状態等を制動力保持装置の作動開始条件に付加してもよいが、ここでは省略する。
次に、アクチュエータ15の作動解除条件について説明すると、コントローラ1内には図3に示すような論理回路(AND回路)も設けられており、ニュートラルスイッチ12により、ギアがニュートラル以外であることが検出され、且つ所定の発進条件を満たしていることが検出されると、アクチュエータ15の作動が解除されるようになっている。つまり、このような条件が成立した場合には、ドライバに発進の意思があるものとして、コントローラ1によりアクチュエータ15の作動が解除されるようになっている。
【0036】
ここで、所定の発進条件とは、クラッチのストローク位置が調整スイッチ9により設定された設定値以下になったか(即ち、クラッチのストローク位置が設定値よりも接続側になったか)、又はエンジン回転数センサ13によりエンジン回転数が所定の回転数に達したかをいう。
したがって、アクチュエータ15の作動により車両の停車状態が保持されている場合において、ドライバがギアをニュートラル以外に操作して、クラッチが所定のストローク位置まで達したか又はエンジン回転数が所定値まで達したことが検出されると、アクチュエータ15の作動が解除されて車両が発進するのである。なお、本実施形態では、変速機に機械式オートマチックトランスミッションが適用されており、コントローラ1内に設けられたクラッチ制御手段1aによりクラッチの作動が制御されるようになっている。この場合には、ドライバのアクセルペダル操作に連動してクラッチのストローク量も制御されるので、ドライバはアクセルペダルを踏み込むだけで、アクチュエータ15の作動が解除されて容易に車両を発進させることができる。
【0037】
また、これらの解除条件以外にも、メインスイッチ4の検出情報等を取り込んでアクチュエータ15の作動解除条件に付加してもよいが、ここでは省略する。
さて、次に、本発明の制動力保持装置の要部構成について説明する。
従来技術において図8及び図9を用いて説明したものと同様に、本装置においても、リセットスイッチ8によりクラッチストローク位置に対するアクチュエータ15の作動解除の基準位置が設定された状態で、且つ調整スイッチ9によりアクチュエータ15の作動解除時期が基準位置(第3段階)以外に調整された状態で、アクチュエータ15が連続して所定回数(例えば100回)使用さると、この調整された作動解除時期が新たにアクチュエータ15の作動解除基準位置として設定されるようになっている。
【0038】
そして、この新たな作動解除基準位置があらためて第3段階に設定され、この第3段階に基づいて新たに第1段階から第4段階までの調整領域が変更されるようになっている。なお、第5段階は、エンジン回転数により設定された解除タイミングであって、クラッチストロークには依存しないので、ここでは変化しない。
【0039】
例えば、従来技術で図8を用いて説明したように、調整スイッチ9によりアクチュエータ15の作動解除タイミングが基準位置(第3段階)よりも早いタイミングとなる第1段階に設定されて、この状態で連続して所定回数だけアクチュエータ15の作動解除が行なわれると、図9に示すように、この第1段階の作動解除タイミングが新たに作動解除基準位置(第3段階)となる。
【0040】
そして、この作動解除基準位置に基づいて、アクチュエータ作動解除タイミングの調整領域が変更される。
しかし、このような場合には、変更された調整領域の一部が、クラッチの発進待機点(LE点)よりも切断側となってまうことが考えられる。この場合、従来は、アクチュエータ15の作動解除タイミングを新しく設定された第1段階に調整すると、クラッチストローク位置が第1段階とLE点との間にあるときには、アクチュエータ15の作動条件と作動解除条件とが同時に成立し、ハンチングが生じるおそれがある。
【0041】
そこで、本装置では、アクチュエータ15の作動解除タイミングが変更されたり、クラッチが磨耗してクラッチの断接ポイントが変化したりすることにより、アクチュエータ15の作動とクラッチストローク位置との整合性が取れなくなった場合であっても、アクチュエータ15にハンチング等を生じることがないように構成されている。
【0042】
すなわち、図1に示すように、コントローラ1内には、調整領域変更手段1bが設けられており、所定回数連続してアクチュエータ15の作動解除が実行された場合には、調整領域変更手段1bにより、クラッチストロークの切断位置(LE点)から接続位置までの間においてのみ、アクチュエータ15の作動解除タイミングの調整領域を変更するように構成されているのである。
【0043】
ここで、クラッチストロークにおける切断位置とは、コントローラ1によりクラッチが確実に切断されたと判定されるストローク位置であり、クラッチストロークが切断位置よりもさらに切断側にあるときには、クラッチが完全に切断されている。また、クラッチストロークにおける接続位置とは、コントローラ1によりクラッチが確実に接続されたと判定されるストローク位置であり、クラッチストロークが接続位置よりもさらに接続側にあるときには、クラッチが完全に接続されている。
【0044】
したがって、アクチュエータ15の作動解除タイミングの調整領域は、この切断位置と接続位置との間(いわゆる半クラッチの状態)に設定されるのが好ましく、本発明では、アクチュエータ15の作動解除タイミングの調整領域が変更される場合には、調整領域変更手段1bによりクラッチの切断位置と接続位置との間でのみ調整領域が変更されるようになっているのである。
【0045】
これを、図4及び図5を用いて具体的に説明すると、図4及び図5の横軸はクラッチのストローク位置を示し、図4ではクラッチの切断位置(LE点)から接続位置までの範囲内に、アクチュエータ15を最も早いタイミングで解除する第1段階からアクチュエータ15の作動を最も遅いタイミングで解除する第5段階までの全ての調整領域が存在している場合を示している。
【0046】
そして、このような状態において、調整スイッチ9によりアクチュエータ15の作動解除位置を例えば第1段階(FAST)に調整して、この解除タイミングで連続して所定回数だけアクチュエータ15の作動解除が実行されると、コントローラ1はこの解除タイミングを学習して、図5に示すように、このときの解除位置(第1段階)を中立位置として新たに設定するようになっている。つまり、もとの第1段階が、新たに作動解除基準位置(第3段階)として設定されるのである。
【0047】
そして、調整領域変更手段1bでは、この新たな作動解除基準位置に基づいて、アクチュエータ15の解除位置の調整領域を変更するようになっているが、このとき、図5に示すように、変更される調整領域がLE点よりもクラッチ切断方向になるような場合には、LE点を調整領域のクラッチ切断方向への変更限界位置とし、これよりもクラッチ切断方向には調整領域を設定しないようになっているのである。
【0048】
したがって、図5に示すような場合には、変更後の調整領域には本来の第1段階及び第2段階の作動解除タイミング(図中、破線で示す)が設定されず、アクチュエータ15の作動を最も早いタイミングで解除するのは変更限界位置となる。なお、この場合には、変更限界位置が第2段階として設定される。
また、調整領域変更手段1bにより調整領域がクラッチ接続方向に変更される場合には、クラッチ接続位置を調整領域の変更限界位置とし、この位置よりもクラッチ接続側には調整領域を設定しないようになっている。
【0049】
これは、アクチュエータの作動解除時期がクラッチ15の接続位置よりも遅くなるとエンストするおそれがあるからである。つまり、クラッチが接続されて車両が動きだそうとしているにもかかわらず、アクチュエータ15の作動が解除されていないと、車両は発進することができず、エンストしてしまうことが考えられ、このような事態を回避すべく、上述のようにクラッチの接続方向にも調整領域の限界を設けているのである。
【0050】
なお、調整領域変更手段1bにより調整領域が変更される場合には、LE点やクラッチ接続位置に所定のマージンを加味したストローク位置を調整領域の限界として設定してもよい。
つまり、LE点よりもクラッチ接続側に所定のマージンを考慮した位置をクラッチ切断側の調整領域変更限界位置とするとともに、クラッチ接続位置よりもLE点側に所定のマージンを考慮した位置をクラッチ接続側の調整領域変更限界位置として、これらの限界位置の間で調整領域を設定するようにしてもよい。また、クラッチ接続側又はクラッチ切断側のいずれか一方にのみこのようなマージンを設けてもよい。
【0051】
なお、上述したマージンは、クラッチストロークセンサ14の精度誤差やクラッチ切断接時の微妙な状態変化を考慮して設けられた任意の値である。
また、クラッチのフェージングが磨耗すると、LE点の位置がクラッチ接続側に変化することになるが、これにより、LE点が調整領域内に存在することになるような場合には、調整領域変更手段1bは、調整領域の限界位置をその都度LE点の変更量に応じて変更して、常にLE点よりもクラッチ切断側には調整領域が設定されないように調整領域を変更するようになっている。
【0052】
つまり、本実施形態で適用されるような機械式オートマチックトランスミッションでは、クラッチ制御手段1aの制御信号に基づいてクラッチアクチュエータが作動してクラッチの断接が実行されるようになっているが、クラッチが磨耗してクラッチの断接位置が変化すると、クラッチ制御手段1aでは、クラッチの断接状態を確実に制御するべくクラッチの切断位置(LE点)の変化を学習して、クラッチストロークに対してLE点の位置をクラッチ接続側に変更するようになっている。そして、これによりLE点が調整領域内に存在することになる場合には、調整領域変更手段1bでは、このLE点の変更と同時に調整領域のクラッチ切断側の限界位置を変更して、常にLE点よりもクラッチの切断側には調整領域が存在しないようになっているのである。
【0053】
なお、このようなLE点の学習については、例えば実公平7−28427号公報に開示された技術を適用することができるが、ここでは、LE点の学習についての詳細な説明については省略する。
ところで、上記調整領域変更手段1bに代えて、クラッチ制御手段1aによりLE点がアクチュエータ15の作動解除位置(基準位置相当)よりもクラッチ接続側に変更されると、該変更後のLE点よりもクラッチ接続側に作動解除位置を変更する作動解除位置変更手段(図示省略)を設けてもよい。
【0054】
このような作動解除位置変更手段は、例えば調整スイッチ9をそなえていない場合に特に有効である。つまり、調整スイッチ9をそなえていない場合には、調整領域が存在せず、リセットスイッチ8により設定された基準位置でのみアクチュエータ15の作動解除が行なわれることになる。この場合には、クラッチの磨耗によりクラッチのLE点が作動解除位置よりも接続側に変更されると、アクチュエータ15の作動開始条件と作動解除条件とが同時に成立して、やはりハンチングを起こすことが考えられる。
【0055】
そこで、作動解除位置変更手段により、基準位置が常にLE点よりもクラッチの接続側になるように基準位置を変更することにより、このようなハンチングを確実に防止することができるのである。
ところで、上述したように、クラッチストローク位置に対するアクチュエータ15の作動解除タイミングの基準位置は、ドライバがリセットスイッチ(解除位置設定手段)8を操作することにより設定されるようになっているが、このときには、基準位置の変更にともなって調整領域変更手段1bにより調整領域も変更されるようになっている。すなわち、調整領域は基準位置に基づいて設定されるため、この基準位置が変更されると調整領域も変更されるのである。
【0056】
そして、本装置では、このような基準位置の変更にともなって調整領域が変更される場合であっても、この調整領域が常にクラッチ切断位置から接続位置までの間でのみ存在するようになっているのである。
つまり、リセットスイッチ8によりアクチュエータ15の作動解除タイミングの基準位置を設定した場合、これにより変更される調整領域の一部がクラッチ切断位置(LE点)よりもクラッチ切断方向になってしまう場合や、設定領域の一部がクラッチ接続位置よりもクラッチ接続方向になってしまう場合には、やはりLE点及びクラッチ接続位置を調整領域の変更限界位置として、これよりもクラッチ切断方向及び接続方向には調整領域を設定しないようになっているのである。
【0057】
これを図6を用いて説明すると、ドライバがアクチュエータ15の作動解除基準位置を図6(a)に示すような接続位置近傍に設定した場合には、調整領域のうち第4段階は接続位置よりもさらにクラッチ接続側に存在してしまうことになるが、この場合には、図6(b)に示すように、コントローラ1ではクラッチ接続位置を調整領域の変更限界位置として、この接続位置よりもクラッチ接続側には調整領域を設定しないようになっている。なお、第5段階はクラッチストロークに依存しないアクチュエータ解除タイミングであるため、このような変更限界位置に関係なく存在するが、図6(a),(b)では、第5段階については破線で示し、クラッチストロークに対応する調整領域のみを実線で示した。
【0058】
また、図示はしないが、作動解除基準位置をLE点位置近傍に設定して、調整領域のうちの一部がLE点よりもさらにクラッチ切断側に存在してしまうような場合には、コントローラ1ではLE点を調整領域のクラッチ切断側の変更限界位置として、この変更限界位置(LE点)よりもクラッチ切断側には調整領域を設定しないようになっている。
【0059】
なお、この場合にも、クラッチのLE点がクラッチ磨耗等により変化したら、調整領域の限界位置をその都度LE点の変更量に応じて変更して、常にLE点よりもクラッチ切断側には調整領域が設定されないように調整領域を変更するようになっている。
これにより、ドライバがアクチュエータ15の作動解除基準タイミングを設定した時に、調整領域がLE点よりもクラッチ切断側に存在したり、接続位置よりもクラッチ接続側に存在したりすることがなくなり、アクチュエータ15のハンチングや車両のエンストを防止することができる。つまり、調整領域がLE点よりもクラッチ切断側に存在すると、アクチュエータ15の作動条件と作動解除条件とがともに成立してアクチュエータ15がハンチングする場合が考えられるが、上述のように構成することにより、このような事態を確実に回避することができるのである。また、調整領域が接続位置よりもクラッチ接続側に存在すると、車両発進時にクラッチが接続しているにもかかわらずクラッチがさらにストロークするまではアクチュエータ15の作動が解除されない場合も考えられるが、上述のように構成することにより、このような事態も確実に回避することができ、ドライバに違和感を与えることもない。
【0060】
なお、これらの場合にも、LE点位置又は接続位置に対して、クラッチストロークセンサ14の誤差等を考慮して所定のマージンを設けてもよい。
本発明の一実施形態としての制動力保持装置は、上述のように構成されているので、例えば図7に示すようなフローチャートにしたがって、アクチュエータ15の作動解除タイミングの調整領域が変更される。
【0061】
まず、ステップS1において、クラッチの発進待機点(切断位置又はLE点)をコントローラ1が学習したか否かが判定され、このLE点を学習済みであれば、ステップS2に進み、学習していない場合にはステップS3に進む。
また、ステップS2では、クラッチストロークに対するアクチュエータ15の解除位置を設定可能な範囲のうち、学習したLE点がクラッチ切断側の限界位置として設定される。
【0062】
そして、ステップS3において、アクチュエータ15の作動解除基準位置が設定されているか否かが判定され、基準位置が設定されていなければステップS4で基準位置が設定中か否かが判定される。ここで、基準位置が設定中でなければ、リターンする。なお、この基準位置は、ドライバが発進操作を行いながら所望の時期にリセットスイッチ8を操作することで設定される。
【0063】
そして、ステップS4で基準位置が設定中であれば、ステップS5に進み、基準位置の設定にともない設定される調整領域が所定の範囲内であるか否かが判定される。ここで、所定の範囲とは、クラッチストロークのLE点と接続位置とで規定される領域である。この調整領域が所定の範囲内であれば、リターンし、そうでなければステップS9に進んで所定の範囲外の調整領域を所定の範囲内に制限し、リターンする。
【0064】
一方、ステップS3において基準位置が設定されていると判定されると、ステップS6に進み、調整スイッチ9で設定された基準位置以外のタイミングで所定回数(例えば100回)連続してアクチュエータ15が作動解除されたか否かが判定される。
ここで、基準位置以外で所定回数連続してアクチュエータ15が作動解除されれたと判定されると、次にステップS7以下に進み、そうでなければそのままリターンする。
【0065】
そして、ステップS7に進んだ場合には、このときのアクチュエータ作動解除タイミングが新たにアクチュエータ15の作動解除の基準位置として設定され、、ステップS8ではこの新しい基準位置に基づいて変更される調整領域(エンジン回転数により設定されるタイミング、即ち本実施形態では第5段階の作動解除タイミングは除く)が上記の所定範囲内であるか否かが判定される。
【0066】
ここで、変更後の調整領域が所定範囲内にあれば、そのままリターンし、そうでない場合には、ステップS9に進み所定の範囲外の調整領域を所定の範囲内に制限する。
したがって、本発明の制動力保持装置では、クラッチの切断位置と接続位置との間で確実にアクチュエータ15の作動が解除されるようになり、ドライバビリティが大きく向上する利点がある。
【0067】
すなわち、アクチュエータ15が作動解除基準位置以外のタイミングで所定回数連続して使用され、このタイミングが新たに基準位置に設定される際に、調整領域がクラッチの切断位置(LE点)よりもクラッチの切断側に存在することがなくなり、これによりアクチュエータ15の作動条件と作動解除条件とが同時に成立することがなくなる。
【0068】
これに対して、クラッチのLE点よりもクラッチの切断側に調整領域が存在すると、ドライバがアクチュエータ15の作動解除タイミングをクラッチのLE点よりも切断側のタイミングに設定する場合が考えられる。この場合には、クラッチストローク位置が、LE点と上記により設定されたタイミング(このタイミングはクラッチストローク位置に対応する)との間にあると、アクチュエータ15の作動開始条件と作動解除条件とが重複してしまいアクチュエータ15がハンチングすることが考えられるが、本発明によれば、調整領域がクラッチのLE点よりもクラッチの切断側に存在することがなくなるので、このようなハンチングを確実に防止することができる。
【0069】
また、調整領域がクラッチの接続位置よりもクラッチの接続側に存在することもなくなり、発進時のエンストを確実に防止することができる利点もある。つまり、クラッチの接続位置よりもクラッチの接続側に調整領域が存在すると、ドライバがアクチュエータ15の作動解除タイミングをクラッチの接続位置よりも接続側のタイミングに設定する場合が考えられる。この場合には、車両発進時にクラッチが接続されてもアクチュエータ15の作動が解除されなくなる領域が生じ、車両の発進時にエンストすることが考えられるが、本発明によれば、調整領域がクラッチの接続位置よりもクラッチの接続側に存在することがないので、このようなエンストも確実に防止することができるのである。
【0070】
また、クラッチの磨耗等によりクラッチの切断位置(LE点)が変更された場合であっても、調整領域変更手段1bでは、LE点をアクチュエータ15の作動解除タイミング調整領域のクラッチ切断側変更限界位置とするので、このLE点よりもクラッチ切断側に調整領域が設定されることがない。
したがって、上述と同様にアクチュエータ15の作動条件と作動解除条件とが同時に成立することがなく、クラッチが磨耗して断接位置が変化してもアクチュエータ15がハンチングを生じることがない。
【0071】
また、ドライバがアクチュエータ15の作動解除基準位置を設定する際にも、クラッチのLE点から接続位置までの範囲内で調整領域が設定されるので、やはり上述と同様の利点がある
さらに、本装置では、従来の構成に対して新たな部品を追加する必要もなく、制御ロジックを変更するだけでよいので、コストや重量の増加を招くこともないという利点がある。
【0072】
なお、本発明の制動力保持装置は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上述では、クラッチアクチュエータによりクラッチの断接駆動が行なわれるようした機械式オートマチックトランスミッションを適用した例を説明したが、クラッチペダル操作によりクラッチの断接駆動が行なわれるな通常のマニュアルトランスミッションに本発明を適用してもよい。
【0073】
また、本実施形態では、アクチュエータ15の作動解除タイミングが調整スイッチ9により5段階に調整可能に構成されているが、調整スイッチはこのようなものに限定されるものではなく、複数段階に作動解除タイミングを切り替え可能なものであればよい。また、調整スイッチを可変ボリューム等により構成して、作動解除タイミングを調整領域内で連続的に無段階に設定できるようにしてもよい。
【0074】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の本発明の制動力保持装置によれば、調整手段により制動力保持手段の解除位置が基準位置から変更された状態で所定回数連続して制動力保持手段の解除操作が行なわれると、上記の変更された位置を基準位置として新たに設定するとともに、変更後基準位置に基づいて変更される調整領域をクラッチの切断位置から接続位置までの範囲内で変更するので、制動力保持手段の基準位置が新たに設定される際に、調整領域がクラッチの切断位置よりもクラッチの切断側に存在することがなくなり、これにより制動力保持手段の作動条件と作動解除条件とが同時に成立することを回避できる。したがって、制動力保持手段のハンチングを確実に防止することができるという利点がある。また、調整領域がクラッチの接続位置よりもクラッチの接続側に存在することがなくなり、車両発進時には確実に制動力保持手段の作動が解除されることになり、車両のエンストを確実に回避することかできるという利点もある。
【0075】
また、請求項2記載の本発明の制動力保持装置によれば、上記請求項1において、クラッチ制御手段により、クラッチの切断位置がクラッチの状態に応じて変更されるとともに、上記の変更されたクラッチ切断位置が調整領域内に変更されると、調整領域が上記変更後のクラッチ切断位置よりも接続側の領域となるように調整領域が変更されるので、クラッチの切断位置が変更された場合であっても制動力保持手段の作動条件と作動解除条件とが同時に成立することがなく、制動力保持手段のハンチングを確実に防止することができるという利点がある。
【0076】
また、請求項3記載の本発明の制動力保持装置によれば、クラッチ制御手段によりクラッチ切断位置が作動解除位置よりもクラッチ接続側に変更されると、変更後のクラッチ切断位置よりもクラッチ接続側に作動解除位置が変更されるので、やはり、クラッチの切断位置が変更された場合であっても制動力保持手段の作動条件と作動解除条件とが同時に成立することがなく、制動力保持手段のハンチングを確実に防止することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての制動力保持装置における要部構成を示す模式的なブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態としての制動力保持装置における制動力保持手段の作動開始条件を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態としての制動力保持装置における制動力保持手段の作動解除条件を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態としての制動力保持装置における制動力保持手段の作動解除タイミングを説明するため図である。
【図5】本発明の一実施形態としての制動力保持装置における制動力保持手段の作動解除タイミングを説明するため図である。
【図6】本発明の一実施形態としての制動力保持装置における制動力保持手段の作動解除タイミングを説明するため図である。
【図7】本発明の一実施形態としての制動力保持装置における作用を説明するためのフローチャートである。
【図8】従来の制動力保持装置のにおける制動力保持手段の作動解除タイミングを説明するための図である。
【図9】従来の制動力保持装置のにおける制動力保持手段の作動解除タイミングを説明するための図である。
【符号の説明】
1 コントローラ(制御手段)
1a クラッチ制御手段
1b 調整領域変更手段
2 キースイッチ
3 エンジン作動検出センサ
4 メインスイッチ
5 パーキングスイッチ
6 作動判断スイッチ
7 ストップランプスイッチ
8 リセットスイッチ(解除位置設定手段)
9 解除点調整スイッチ又は調整スイッチ(調整手段)
10 車速センサ
12 ニュートラルスイッチ
13 エンジン回転数センサ
14 クラッチストロークセンサ
15 アクチュエータ(制動力保持手段)

Claims (3)

  1. 車両の停止時には制動力を保持するとともに該車両の発進時にはクラッチの接続動作に連動して該制動力を解除する制動力保持手段と、
    該クラッチの接続状態に対する該制動力保持手段の解除位置を基準位置を含む調整領域内で調整可能な調整手段と、
    該制動力保持手段の作動を制御するとともに該クラッチの接続状態を判定する制御手段と、
    該調整手段により該解除位置が該基準位置から変更された状態で所定回数連続して上記制動力保持手段の解除操作が行なわれると、上記の変更された位置を基準位置として新たに設定するとともに、該調整領域を上記変更後基準位置に基づいて、該制御手段により該クラッチが確実に切断されたと判定されるストローク位置であってこのストローク位置よりも切断側にあるときには該クラッチが完全に切断されている該クラッチの切断位置から該制御手段により該クラッチが確実に接続されたと判定されるストローク位置であってこのストローク位置よりも接続側にあるときには該クラッチが完全に接続されている該クラッチの接続位置までの半クラッチ領域の範囲内で変更し、該半クラッチ領域の範囲外となった調整領域をカットする調整領域変更手段と
    をそなえたことを特徴とする、制動力保持装置。
  2. エンジンから駆動輪へ伝達される駆動力を断接する該クラッチを該車両の停車時には切断し該車両の発進時には接続するクラッチ制御手段をそなえ、
    該クラッチ制御手段は、該クラッチの切断位置を該クラッチの状態に応じて変更するとともに、
    該調整領域変更手段は、該クラッチ制御手段によりクラッチ切断位置が該調整領域内に変更されると、該調整領域が上記変更後のクラッチ切断位置よりも接続側の領域となるように該調整領域を変更する
    ことを特徴とする、請求項1記載の制動力保持装置。
  3. 両の停止時に制動力を保持するとともに該車両の発進時にエンジンから駆動輪へ伝達される駆動力を断接するクラッチの接続動作に連動して該制動力を解除する制動力保持手段と、
    該制動力保持手段の作動を制御するとともに該クラッチの接続状態を判定する制御手段と、
    該クラッチを該車両の停止時には切断し該車両の発進時には接続するとともに、該制御手段により該クラッチが確実に切断されたと判定されるストローク位置であってこのストローク位置よりも切断側にあるときには該クラッチが完全に切断されている該クラッチの切断位置を該クラッチの状態に応じて変更するクラッチ制御手段と、
    該クラッチの接続状態に対する該制動力保持手段の作動解除位置を設定する解除位置設定手段と、
    該クラッチ制御手段によりクラッチ切断位置が該作動解除位置よりもクラッチ接続側に変更されると、該変更後のクラッチ切断位置よりも該クラッチ接続側に該作動解除位置を変更する作動解除位置変更手段と
    をそなえたことを特徴とする、制動力保持装置。
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