JP6816611B2 - 作業車両 - Google Patents

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Description

この発明は、耕うん機、トラクタ等の作業車両に関する。
トラクタ等の作業車両において、ブレーキ操作とクラッチとを連動させる構成として、特許文献1に記載の技術が公知である。
特許文献1(特開2012−116301号公報)には、ブレーキペダル(94L,94R)の踏み込み操作に応じて、クラッチ手段(38,39)をクラッチ切り状態にすると共に、再発進する際に、ブレーキペダル(96)の踏み込みが解除を検出しても、左・右ブレーキソレノイド(110L,110R)の通電状態を所定時間(T)だけ継続させておくことで、坂道発進でも後退しないようにする技術が記載されている。
特開2012−116301号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、車両停止中の保持制動力が調整できない問題があった。したがって、坂道に停止中に、燃料を補給して車重が重くなったり、作業機を重量の重いものに交換したり、体重の重い操縦者に交代したり等があって、車両がゆっくり動き出した場合に、ゆっくりな動きに合わせて操縦者が少ししかブレーキペダルを踏まないと制動力が一定なので停止しない問題があった。
本発明は、車両停止中に保持制動力を調整可能にすることを技術的課題とする。
本発明の上記課題は次の解決手段により解決される。
請求項1記載の発明は、エンジン(7)の駆動力を車輪(8,9)へ伝達する接続状態と、駆動力の車輪(8,9)への伝達を切断する切断状態とを切り替えるクラッチ(61)と、前記車輪(8,9)の回転を制動するブレーキ装置(40)と、前記ブレーキ装置(40)の制動力を保持する制動力保持装置(49)と、車両の車速を検出する車速センサ(68)と、を備え、前記ブレーキ装置(40)は、車両(1)停止後に前記制動力保持装置(49)により制動力を停止時の制動力である保持制動力に保持すると共に、前記保持制動力の保持中に、操縦者による前記ブレーキ装置(40)の操作が検出された場合は、前記ブレーキ装置(40)の機械的な操作が解除された分、前記制動力保持装置(49)が作動して制動力を増加させて前記保持制動力に保持すとともに、保持制動力の保持中に前記ブレーキ装置(40)が踏み込まれた場合は、前記保持制動力を、前記ブレーキ装置(40)が踏み込まれた分だけ増加した値に更新することを特徴とする作業車両である。
請求項2に記載の発明は、車両(1)の前後進を切り替える前後進レバー(12)と、前記前後進レバー(12)の操作位置を検出する前後進レバーセンサ(SN4)と、車両(1)の前後方向の傾斜を測定する傾斜センサ(SN1)と、前記クラッチ(61)における流体の圧力を検出するクラッチ圧センサ(103,104)と、を備え、前記ブレーキ装置(40)は、保持制動力の保持中に、前記クラッチ(61)が切断状態から接続状態に移行する場合に、進行方向が下りの傾斜でない場合は、前記クラッチ圧センサ(103,104)の検出結果に基づいて駆動力を演算し、前記駆動力が前記保持された保持制動力よりも大きくなると、前記保持制動力の保持を解除するとともに、進行方向が下りの傾斜である場合は、前記クラッチ(61)が切断状態から接続状態へ移行を開始すると共に、保持制動力の保持を解除することを特徴とする請求項1に記載の作業車両である。
請求項1記載の発明によれば、車両(1)停止後にブレーキ装置(40)が制動力を保持すると共に、保持制動力の保持中に操縦者によるブレーキ装置(40)の操作が検出された場合は、ブレーキ装置(40)の操作量に応じて制動力を増加させることで、車両停止中に保持制動力を調整可能にすることができる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、ブレーキ装置(40)が保持制動力の保持中に、クラッチ(61)が切断状態から接続状態に移行する場合に、進行方向が下りの傾斜である場合は、クラッチ(61)が切断状態から接続状態へ移行を開始すると共に保持制動力の保持を解除することで、下りの坂道の発進時に円滑に発進することができる。また、請求項2に記載の発明によれば、進行方向が下りの傾斜でない場合は、駆動力が保持制動力よりも大きくなると保持制動力が解除されることで、上りの坂道でも後退せずに円滑に発進することができる。
本発明の一実施形態のトラクタの左側面図を示す。 図2は実施例のトラクタの操作部の説明図である。 図3は実施例のトラクタにおける制動装置の要部説明図であり、図3(A)は平面図、図3(B)は側面図である。 図4は実施例のトラクタの動力伝達系の概略図である。 図5は本実施例の前後進クラッチの断面図である。 図6は実施例の前後進クラッチの制御機構の説明図である。 図7は実施例の制御部の機能ブロック図である。 図8は実施例のブレーキ制御の際に使用される設定の説明図であり、図8(A)は保持制動力の説明図、図8(B)は駆動力の説明図である。 図9は実施例の前後進クラッチ制御処理のフローチャートの説明図である。 図10は実施例のブレーキ制御処理のフローチャートの説明図である。 図11は実施例のトラクタにおけるブレーキやクラッチの制御の一例のタイムチャートである。
この発明の実施の形態を、以下に説明する。
図1には、本発明の一実施形態のトラクタの左側面図を示す。
図2は実施例のトラクタの操作部の説明図である。
本発明の作業車両の一例としてのトラクタ1は、図1に示すように、ミッションケース23上にキャビン3を搭載している。キャビン3室内には、後部に操縦席4が設けられている。図1、図2において、キャビン3の室内には、操縦席4からの操作範囲にステアリングハンドル5や、メインキー11、前後進レバー12、変速レバー10、坂道発進補助ON/OFFスイッチ13、4WD切り替えスイッチ(図示せず)が配置されている。また、ステアリングハンドル5の下方には、クラッチペダルP1や左ブレーキペダルP2、右ブレーキペダルP3等が配置されている。またキャビン3は、前後にフロントガラスとリヤガラスを設け、左右両側には一枚ガラス状のキャビンドアを開閉自由に取り付けて外部との気密性を確保できる構成である。
図1において、キャビン3の底部には、検知部材の一例として、トラクタ1の車体の傾斜を検知する傾斜センサSN1が配置されている。
そして、キャビン3の天井側のルーフ内にはエアコンや音響機器を装備して室内の居住性の向上を図り、作業能率を上げる工夫が施されている。
またトラクタ1は、キャビン3の前方に開閉自由のボンネットカバー6で覆ったエンジンルームを形成してエンジン7を搭載している。エンジン7は、ゴムマウント等から形成した支持部材(図示省略)を介して振動の伝達を幾分でも阻止できる支持構成としている。そして、トラクタ1は、左右一対の前輪8,8及び後輪9,9を設け、後輪のみを駆動する二輪駆動(2WD)と前後輪を駆動する四輪駆動(4WD)が可能な構成となっている。
また前記ミッションケース23内には主変速装置と副変速装置を備え、前記副変速装置は、上記操縦席4の横側に設けられた変速レバー10により機械的連動機構の押し引き操作を介して切り替える構成であり、主変速装置は、変速レバー10のグリップ部のアップ/ダウンスイッチの押し操作により1段ずつ主変速がアップダウンする構成である。尚、同トラクタ1の変速装置は、主変速8速と副変速3速の組み合わせで全24段の変速が可能である。そして、キャビン3の室内のメーターパネル上に車速や変速装置の変速位置(高速8段、中速8段、低速8段)が表示される。
トラクタ1のミッションケース23の後部には、ロワリンク31が前端を中心として回転可能に支持されている。ロワリンク31の後端には、作業機の一例としてのロータリ耕うん装置26が支持されている。ロワリンク31の上方には、リフトアーム33が前端を中心として回転可能に支持されている。リフトアーム33の前端はロワリンク31に連結されている。リフトアーム33は、ミッションケース23内の油圧・伝動装置の作動に伴って上下方向に移動可能に構成されている。よって、リフトアーム33の昇降にともなって、ロータリ耕うん装置26が昇降可能である。
図3は実施例のトラクタにおける制動装置の要部説明図であり、図3(A)は平面図、図3(B)は側面図である。
図3において、ミッションケース23の左右両側には、左ブレーキ機構41と右ブレーキ機構42とを有する制動装置(ブレーキ装置)40が配置されている。なお、右ブレーキ機構42と左ブレーキ機構41は、左右対称に配置されているだけで、同様に構成されているので、左ブレーキ機構41について説明し、右ブレーキ機構42に関しては詳細な説明を省略する。
左ブレーキ機構41は、第1ブレーキリンク46を有する。第1ブレーキリンク46は、後端が回転軸46aを中心として回転可能に支持されている。第1ブレーキリンク46の前端には、図示しない連結部材を介して、前記左ブレーキペダルP2に連結されている。なお、実施例では、左ブレーキペダルP2が踏み込まれると、第1ブレーキリンク46の前端が上方に移動するように連結されている。本実施例では、左ブレーキペダルP2の踏込量は、回転軸46aの回転を検出するブレーキペダルセンサSN3で検出される。
なお、第1ブレーキリンク46と左ブレーキペダルP2との間に、ペダルの遊び調整や、ペダルの高さ調整、ペダルの効き調整を行う機構を設置することが可能である。
第1ブレーキリンク46の回転軸46aには、下方に延びる第2ブレーキリンク47が支持されている。第2ブレーキリンク47の下端には、後方に延びる第3ブレーキリンク48の前端が回転可能に支持されている。第3ブレーキリンク48の後端には、制動力保持装置の一例としてのブレーキシリンダ49が接続されている。ブレーキシリンダ49の後端には、第4ブレーキリンク51の上端が連結されている。第4ブレーキリンク51は、後下方に伸びており、第4ブレーキリンク51の後下端は、回転軸51aを中心として回転可能に支持されている。回転軸51aは、左側の後輪9の制動を行う左ブレーキ52が接続されている。左ブレーキ52は、内蔵されているブレーキパッド(図示せず)が回転軸51aの回転に連動するように構成されており、回転軸51aの回転に伴って後輪9が制動される。なお、左右のブレーキ52に関しては、公知のディスクブレーキを採用可能であり、ドラムブレーキを採用することも可能である。
前記回転軸51aには、回転軸51aの回転量を検出することで、ブレーキのかかり具合を検知するブレーキセンサ(制動力センサ)SN2が配置されている。
左右のブレーキシリンダ49には、ミッションケース23の左側に支持された油圧制御バルブ56に配管57,58を介して接続されている。油圧制御バルブ56は、各ブレーキシリンダ49に圧油を入れる量を制御することで、油圧を制御して、ブレーキシリンダ49の伸縮量が制御され、左右の各第4ブレーキリンク51をそれぞれ回転させることが可能である。
図4は実施例のトラクタの動力伝達系の概略図である。
図4において、実施例のトラクタ1では、エンジン7の駆動は、前後進クラッチ61に伝達される。前後進クラッチ61は、前後進レバー12の操作(「前進」または「後進」)に応じて、前進用の駆動または後進用の駆動を主変速部62に出力する。主変速部62は、変速レバー10の主変速の操作に応じた駆動を副変速部63に出力する。副変速部63は、変速レバー10の副変速の操作に応じた駆動を、出力軸64に出力する。出力軸64には、第1伝達ギア66や後輪差動ギア67が支持されている。後輪差動ギア67は、後輪9,9に駆動を伝達する。左右の後輪9,9には、左右一対のブレーキ52が設置されている。
前記第1伝達ギア66の近傍には、検知部材の一例として、出力軸64の回転から車速を検知する車速センサ68が配置されている。第1伝達ギア66には、第2伝達ギア69が噛み合っている。第2伝達ギア69は、前方に延びる第1伝達軸70に支持されている。第1伝達軸70の駆動は、4WDクラッチ71に伝達される。4WDクラッチ71は、4WD切り替えスイッチの入力に応じて、4WDの場合は前方に延びる第2伝達軸72に駆動を伝達する。第2伝達軸72は前輪差動ギア73に駆動を伝達する。前輪差動ギア73は、駆動の伝達時に、前輪8,8を駆動する。
また、ステアリングハンドル5の操作に応じて、左右一対のステアリングシリンダ74が作動して、前輪8,8が進行方向に傾斜する。左側の前輪8の近傍には、切れ角センサ76が配置されている。切れ角センサ76は、前輪8の傾斜角(切れ角)を検知する。
前記切れ角センサ76の検知信号は、制御部80に入力される。制御部80は、外部との信号の入出力等を行う入出力インターフェースI/Oを有する。また、制御部80は、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶されたROM:リードオンリーメモリを有する。また、制御部80は、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM:ランダムアクセスメモリを有する。また、制御部80は、ROM等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU:中央演算処理装置を有する。したがって、実施例の制御部80は、小型の情報処理装置、いわゆるマイクロコンピュータにより構成されている。よって、制御部80は、ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
制御部80は、被制御要素の一例としてのブレーキ切替弁81に制御信号を送信可能である。ブレーキ切替弁81は、制御部80からの信号に応じて両ブレーキソレノイド81aが作動して、片ブレーキ弁81bと両ブレーキ弁81cとで切り替える。実施例では、回転半径の小さくする場合や4WDにおける内外輪差に対応するために左右のブレーキ52,52を個別に作動させる場合には、片ブレーキ弁81bに切り替えられ、左右両方のブレーキ52,52を同時に作動させる場合には、両ブレーキ弁81cに切り替えられる。
また、制御部80は、被制御要素の一例としての左右ブレーキ切替弁82に制御信号を送信可能である。左右ブレーキ切替弁82は、制御部からの信号に応じて作動する右ブレーキソレノイド82aと左ブレーキソレノイド82bとを有する。そして、右ブレーキソレノイド82aが作動した場合に、右片ブレーキ弁82cに切り替えられ、左ブレーキソレノイド82bが作動した場合に、左片ブレーキ弁82dに切り替えられる。また、各ブレーキソレノイド82a,82bの両方が作動していない場合に、中立弁82eに切り替えられる。なお、中立弁82eに接続された場合、左右のブレーキシリンダ49は、オイルタンクに接続される。
したがって、右側のブレーキ52のみを作動させる場合には、右片ブレーキ弁82cに切り替えられ、左側のブレーキ52のみを作動させる場合には、左片ブレーキ弁82dに切り替えられる。なお、両方のブレーキを同時に作動させる場合には、実施例では、右片ブレーキ弁82cに切り替えられる。
前記左右ブレーキ切替弁82は、比例弁83に接続されている。比例弁83は、制御部80からの信号に応じて、各ブレーキシリンダ49に向けて供給される圧油の量および圧力を制御する。
前記比例弁83には、圧油を供給するポンプ84が接続されている。ポンプ84には、安全弁の一例としてのリリーフバルブ85が並列に接続されている。
(前後進クラッチ)
図5は本実施例の前後進クラッチの断面図である。
図5において、前後進クラッチ(クラッチ部材)61では、エンジン7からの駆動が伝達される前進クラッチギヤ91は、筒状のクラッチ軸91aを有する。クラッチ軸91aは第二軸受B1及び第三軸受B2により前後進出力軸92に回動自在に支持されている。なお、前後進出力軸92は、主変速部62に入力される。クラッチ軸91aの後部には、複数の内側クラッチ板91bが支持されている。クラッチ軸91aの後部はクラッチケース93で覆われており、クラッチケース93の前部内側に固定されている押え板93aが複数の内側クラッチ板91bの前端の前方に位置している。
クラッチケース93内部の内側には複数の外側クラッチ板93bが内側クラッチ板91bどうしの間に挟まれるように交互に配置されており、内側クラッチ板91bは内側に複数の歯を有しているためクラッチ軸91aと一体となって回転し、外側クラッチ板93bは外側に複数の歯を有しているためクラッチケース93と一体となって回転する。
クラッチケース93の内部でクラッチ軸91aの後部にはクラッチピストン94が配置されている。クラッチピストン94は、クラッチケース93内において軸方向に移動可能に支持されている。クラッチピストン94は、ばね94aにより後方へ付勢されていて、クラッチピストン94の後部には圧油が供給される前側のシリンダ部93cの空間がある。前後進クラッチ61は前側のシリンダ部93cに圧油が供給され、その圧力がばね94aの弾性力を上回るとクラッチピストン94が前進し、内側クラッチ板91bと外側クラッチ板93bを押え板93aとの間で挟圧する(すなわち、前後進クラッチ61が、エンジン7からの動力を伝達する伝達位置に移動している)。挾圧された内側クラッチ板91bと外側クラッチ板93bは摩擦により互いに駆動力を伝達するようになり、前進クラッチギヤ91に伝達された駆動力がクラッチケース93に伝達され、クラッチケース93にスプライン嵌合している前後進出力軸92が回転し、前進方向の駆動が出力される。
シリンダ部93cに圧油が供給されず、圧力がかかっていない状態では、クラッチピストン94はばね94aの弾性力によって後方に押されるため、内側クラッチ板91bと外側クラッチ板93bは挾圧されない(すなわち、前後進クラッチ61が、エンジン7からの動力の伝達を遮断する遮断位置に移動する)。この状態では内側クラッチ板91b及び外側クラッチ板93bは互いに駆動力を伝達しないので、前後進クラッチ61は動力伝達を遮断した状態となり、前進クラッチギヤ91が回転しても、前後進出力軸92は回転しない。
クラッチケース93を挟んで反対側には後進クラッチギヤ96が支持され、同様の構成で後進側動力の伝達、遮断が行われる。
なお、図示は省略するが、エンジン7から後進クラッチギヤ96への伝達系には、前進クラッチギヤ91への伝達系に比べて、1つギヤが多く配置されている。したがって、後進クラッチギヤ96には、前進クラッチギヤ91とは逆方向の回転が伝達される。よって、後側のシリンダ部93dに圧油が供給されると、エンジン7から後進クラッチギヤ96に伝達された後進方向の駆動が前後進出力軸92に伝達される。
図6は実施例の前後進クラッチの制御機構の説明図である。
図6において、実施例の前後進クラッチ61は、前後進クラッチの制御機構101により制御される。実施例の前後進クラッチの制御機構101は、前後進切換弁102を有する。前後進切換弁102の出力側は、前後進クラッチ61のシリンダ部93c,93dに接続される。前後進切換弁102は、前進切換ソレノイド102aと後進切換ソレノイド102bとを有する。前進切換ソレノイド102aが作動した場合には、前進切替弁102cに切り換えられ、後進切換ソレノイド102bが作動した場合には、後進切換弁102dに切り換えられる。各ソレノイド102a,102bが作動しない場合は、中立弁102eに切り換えられる。中立弁102eに切り換えられた状態では、各シリンダ部93c,93dは、オイルタンクに接続され、油圧がかからない状態となる。
なお、前後進切換弁102と、各シリンダ部93c,93dとの間には、クラッチ圧センサの一例として、前進圧力センサ103および後進圧力センサ104とが配置されており、油圧を測定可能に構成されている。
前後進切換弁102の3つの入力のうち第1の入力102fは、クラッチ弁106に接続されている。なお、前後進切換弁102の残りの入力102g,102hは、オイルタンク108に接続されている。クラッチ弁106はクラッチペダルソレノイド106aを有する。クラッチペダルソレノイド106aは、クラッチペダルP1の踏み込みに連動して作動し、クラッチペダルP1が踏み込まれると作動し、踏み込みが解除されると非作動状態となる。実施例のクラッチ弁106は、クラッチペダルソレノイド106aが作動時に切断弁106bに切り換えられ、非作動時に接続弁106cに保持される。接続弁106cに切り換えられた状態では、オイルポンプ107が第1の入力102fに接続され、圧油が供給可能な状態となる。一方、切断弁106bに切り換えられた状態では、第1の入力102fがオイルタンク108に接続され、油圧が開放される。
前後進切換弁102の第1の入力102fには、安全部材の一例としてのリリーフ弁109が接続されている。したがって、第1の入力102fにおける油圧が所定の圧力に達すると第1の入力102fをオイルタンク108に接続する。
また、前後進切換弁102の第1の入力102fには、前後進昇圧弁110も接続されている。前後進昇圧弁110は、前後進昇圧ソレノイド110aを有する。実施例の前後進昇圧弁110は比例弁により構成されている。実施例の前後進昇圧弁110は、前後進昇圧ソレノイド110aの作動量に応じて、リリーフ弁109が作動する油圧を変動可能である。したがって、第1の入力102fにおける油圧を、前後進昇圧弁110で制御可能である。
図7は実施例の制御部の機能ブロック図である。
図7において、実施例の制御部80は、以下の機能手段(プログラムモジュール)を有する。
制御部80のクラッチ制御手段120は、前進圧力センサ103、後進圧力センサ104の検知結果に基づいて、クラッチペダルソレノイド106aや前後進昇圧ソレノイド110aを操作して、クラッチ圧を制御する。実施例のクラッチ制御手段120は、クラッチペダルP1が踏み込まれると、クラッチペダルソレノイド106aを操作して、クラッチ圧を開放し、駆動の伝達を遮断する(クラッチ切り)。また、実施例のクラッチ制御手段120は、前後進レバー12が「前進」または「後進」の場合(「中立」ではない場合)に、クラッチペダルP1の踏み込みが解消されると、エンスト(エンジンストップ)しないように、前後進昇圧ソレノイド110aを介して、予め設定された油圧の上昇率(上昇プロファイル)で油圧(クラッチ圧)を上昇させる。
制御部80のブレーキ制御手段121は、ブレーキペダルP2,P3の操作に応じて、ブレーキ装置40の制御を行う。実施例のブレーキ制御手段121は、ブレーキスイッチの制御手段121aと、車速の判別手段121bと、制動力の検知手段121cと、保持制動力の設定手段121dと、傾斜判別手段121eと、駆動力の判別手段121fと、切れ角の判別手段121gと、制動力の制御手段121hと、を有する。
ブレーキスイッチの制御手段121aは、ブレーキペダルP2,P3が踏み込まれると、ブレーキペダルP2,P3の操作をブレーキペダルセンサSN3が検知し、トラクタ1の車体に設置されているブレーキランプを点灯させるためのブレーキスイッチSW1をオンにし、各ブレーキペダルP2,P3の踏み込みが解除されるとブレーキスイッチSW1をオフにする。
車速の判別手段121bは、車速センサ68の検知結果に基づいて、車速がゼロになったか否かを判別する。
制動力の検知手段121cは、ブレーキセンサSN2の検知結果に基づいて、制動装置40が作用させている制動力を検知する。実施例の制動力の検知手段121cは、制動力そのものを演算するのではなく、制動力に連動し、ブレーキセンサSN2が検知する回転軸51aの回転量を使用する。
図8は実施例のブレーキ制御の際に使用される設定の説明図であり、図8(A)は保持制動力の説明図、図8(B)は駆動力の説明図である。
保持制動力の設定手段121dは、トラクタ1が停止した場合に、トラクタ1を停止した状態(車速ゼロの状態)で保持するための制動力を設定する。実施例では、図8(A)に示すように、車速がゼロになった際(停止時)に制動力の検知手段121cが検知した値(図8(A)の横軸の値)に対して、予め設定された係数α(α>1)を掛けた値を保持制動力(図8(A)の縦軸の値)に設定する。なお、係数αの値は、トラクタ1の重量等の仕様や設計、実験結果に応じて任意に変更可能であるが、一例として、α=1.5に設定可能である。
また、実施例の保持制動力の設定手段121dは、保持制動力でトラクタ1が停止した状態で、ブレーキペダルP2,P3が踏み込まれて、ブレーキセンサSN2の検知結果が予め設定された一定値以上変化すると、変化後のブレーキセンサSN2の検知結果と係数αから、保持制動力を更新する。
なお、実施例では、保持制動力を、ブレーキセンサSN2の検出値と係数αから導出する場合を例示したが、これに限定されず、例えば、傾斜センサSN1から傾きを導出して、傾きが急であるほど保持制動力を大きくしたり、作業機26の種類や重心位置等に応じて保持制動力を補正する等の変更が可能である。
傾斜判別手段121eは、傾斜センサSN1の検知結果に基づいて、トラクタ1の傾斜を判別する。実施例の傾斜判別手段121eは、傾斜センサSN1の検知結果に基づいて、トラクタ1が前傾しているか、後傾しているか、すなわち、トラクタ1が下り坂で停車しているか(前傾)、上り坂で停車しているか(後傾)を判別する。
駆動力の判別手段121fは、前後進クラッチ61のクラッチ圧に基づいて、トラクタが進行する駆動力を判別する。実施例の駆動力の判別手段121fは、図8(B)に示すように、前後進クラッチ61の各圧力センサ103,104の検知結果(図8(B)の横軸)から、駆動力(図8(B)の縦軸)を判別する。駆動力は、(クラッチ圧)×(ギア比)に連動して変化するため、図8(B)に示すように、変速レバー10の各ギア比に応じた関数f1,f2,…,fnが予め登録されている。したがって、実施例の駆動力の判別手段121fは、駆動力の判別を行う際の変速レバー10の設定に応じた関数を使用して、駆動力の判別を行う。
切れ角の判別手段121gは、切れ角センサ76の検知結果に基づいて、切れ角センサ76が予め設定された角度以上になったか否かを判別する。実施例の切れ角の判別手段121gは、切れ角が予め設定された角度以上の場合に、回転の内側の後輪9(内輪)にブレーキをかけて小さい回転半径で回転するために、切れ角が予め設定された角度以上か否かを判別する。
制動力の制御手段121hは、トラクタ1が転回せずに走行している場合は、ブレーキペダルP2,P3の操作に応じて制動装置40が作動するように、ブレーキ切替弁81や左右ブレーキ切替弁82のソレノイド81a,82a,82bはオフの状態で保持される。トラクタ1の転回に伴って切れ角センサ76が予め設定された角度以上になった場合は、制動力の制御手段121hは、後輪9,9の内輪が左側か右側かに応じて、右片ブレーキ弁82cまたは左片ブレーキ弁82dに切り換えられて、片側のブレーキ装置41,42を作動させる。また、実施例の制動力の制御手段121hは、ブレーキスイッチがオン、すなわち、ブレーキペダルP2,P3が踏み込まれた状態で、車速がゼロになった場合は、保持制動力で保持されるように、比例弁83の比例ソレノイド83aを制御する。
さらに、実施例の制動力の制御手段121hは、保持制動力で制御している状態で、ブレーキスイッチがオフ、すなわち、ブレーキペダルP2,P3の踏み込みが解除された場合は、駆動力が保持制動力に達するまでは、保持制動力を作用させる。そして実施例の制動力の制御手段121hは、駆動力が保持制動力に達した場合には、制動力を解除する(ブレーキオフ)。なお、本実施例では、駆動力が保持制動力に達した場合にブレーキを解除する構成としたが、これに限定されず、保持制動力に対して、予め設定された余裕(マージン)分大きいまたは小さい値を、予め設定された閾値として、駆動力が閾値に達した場合にブレーキを解除する構成とすることも可能である。
他にも、保持制動力が作用した状態で車速が0ではなくなった、すなわち、トラクタ1が移動を開始した場合に、駆動力が予め設定された制動力に達したと判別することも可能である。
なお、実施例の制動力の制御手段121hは、保持制動力で制御している状態で、ブレーキペダルセンサSN3がスイッチがオフになった後、ブレーキスイッチがオンになった場合(ブレーキペダルP2,P3が踏み込まれた場合)は、そのときに作用していた保持制動力を保持するために踏み込まれた量に応じてブレーキシリンダ圧力を低下させる(後述する図11の破線参照)のではなく、そのときに作用していたブレーキシリンダ圧力を保持するように制御する。そして、ブレーキセンサSN2(ブレーキ装置40の操作量)の検出値に応じて、保持制動力を再設定する。なお、ブレーキセンサSN2の検出値に基づいて保持制動力を再設定する構成に限定されず、ブレーキペダルセンサSN3の検出値(ブレーキペダルP2,P3の踏込量、ブレーキ装置40の操作量)に応じて保持制動力を設定する構成とすることも可能である。
さらに、実施例の制動力の制御手段121hは、保持制動力で制御している状態でブレーキスイッチがオフになった場合に、トラクタ1の進行方向が下り坂の場合には、速やかにブレーキシリンダ圧力を開放してブレーキを解除する。具体的には、傾斜判別手段121eの判別結果と、前後進レバー12の操作位置(「前進」または「後進」)を検知する前後進レバー位置センサ(前後進レバーセンサ)SN4の検知結果から、下り坂停止時に前進で発進する場合や登り坂停止時に後進で発進する場合には、ブレーキスイッチがオフになると、速やかにブレーキが解除される。
(流れ図の説明)
次に、実施例の制御部80における制御の流れを流れ図、いわゆるフローチャートを使用して説明する。
(前後進クラッチ制御処理のフローチャートの説明)
図9は実施例の前後進クラッチ制御処理のフローチャートの説明図である。
図9のフローチャートの各ステップSTの処理は、制御部80に記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理はトラクタ1の制御部80の他の各種処理と並行して実行される。
図9に示すフローチャートは、トラクタ1が起動された場合に開始される。
図9のST1において、前後進レバー12が「中立」であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST1を繰り返し、ノー(N)の場合はST2に進む。
ST2において、クラッチペダルP1の踏み込みが開放されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST3に進み、ノー(N)の場合はST1に戻る。
ST3において、予め設定された上昇率に応じて、クラッチ圧を上昇させる。なお、この場合、前後進レバーが「前進」の場合は、前側のシリンダ部93cに圧油が供給され、「後進」の場合は後側のシリンダ部93dに圧油が供給される。そして、ST4に進む。
ST4において、クラッチペダルP1が踏み込まれたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST5に進み、ノー(N)の場合はST4を繰り返す。
ST5において、各シリンダ部93c,93dをオイルタンクに接続して、前後進クラッチ61を駆動の伝達が遮断される状態にする。そして、ST1に戻る。
(ブレーキ制御処理のフローチャートの説明)
図10は実施例のブレーキ制御処理のフローチャートの説明図である。
図10のフローチャートの各ステップSTの処理は、制御部80に記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理はトラクタ1の制御部80の他の各種処理と並行して実行される。なお、図10のブレーキ制御処理は、坂道発進補助ON/OFFスイッチ13がオンの場合に実行される。坂道発進補助ON/OFFスイッチ13がオフの場合は、ブレーキペダルP2,P3の踏み込みに応じて機械的にブレーキ52が作動するのみなので、フローチャートの図示は省略する。
図10に示すフローチャートは、トラクタ1が起動された場合に開始される。
図10のST11において、トラクタ1の車速がゼロであるか否かを判別する。ノー(N)の場合はST12に進み、イエス(Y)の場合はST15に進む。
ST12において、ブレーキスイッチがオンであるか否かを判別する。ノー(N)の場合はST13に進み、イエス(Y)の場合はST11に戻る。
ST13において、切れ角が所定角度以上であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST14に進み、ノー(N)の場合はST11に戻る。
ST14において、切れ角に応じて、内輪側のブレーキ機構41,42を作動させる。そして、ST11に戻る。
ST15において、ブレーキスイッチがオンであるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST16に進み、ノー(N)の場合はST11に戻る。
ST16において、ブレーキセンサSN2の検出値を取得する。そして、ST17に進む。
ST17において、ブレーキセンサSN2の検出値に基づいて、保持制動力を設定する。そして、ST18に進む。
ST18において、制動装置40の制動力が、設定された保持制動力になるように、比例弁83を制御する。そして、ST19に進む。
ST19において、ブレーキスイッチがオフになったか否かを判別する。ノー(N)の場合はST20に進み、イエス(Y)の場合はST22に進む。
ST20において、ブレーキシリンダ圧力を保持する。そして、ST21に進む。
ST21において、ブレーキセンサSN2の検出値を取得する。そして、ST17に進む。
ST22において、傾斜センサSN1の検出結果を取得する。そして、ST23に進む。
ST23において、傾斜センサSN1の検知結果と前後進レバーの入力位置からトラクタ1の進行方向が登りであるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST24に進み、ノー(N)の場合はST26に進む。
ST24において、クラッチ圧から導出される駆動力が、保持制動力に達したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST26に進み、ノー(N)の場合はST25に進む。
ST25において、ブレーキセンサSN2の検出値が保持されるように、比例弁83を介してブレーキシリンダ49の圧力を制御する。そして、ST19に戻る。
ST26において、ブレーキシリンダ49の圧力を開放する。すなわち、ブレーキを解除する。そして、ST11に戻る。
図11は実施例のトラクタにおけるブレーキやクラッチの制御の一例のタイムチャートである。
図8〜図11において、前記構成を備えた実施例のトラクタ1は、ST11,ST15〜ST18に示すように、車両停止後に、ブレーキシリンダ49の油圧制御により保持制動力で停止した状態で保持される。よって、坂道に停車した状態で重力による前進、後退や、坂道発進時の後退を防ぐことができる。また、実施例のトラクタ1では、クラッチペダルP1の踏み込みが解除されると、クラッチ圧力が、図11に示すように、予め設定された上昇プロファイルで上昇する。そして、ST24〜ST26に示すように、クラッチ圧力に連動する駆動力が予め設定された値である保持制動力に達すると、制動力が解除される。よって、特許文献1に記載の技術のように、ブレーキ解除後に所定時間ブレーキを保持する技術に比べて、登り坂道発進時に後退せず且つスムーズに発進することができる。
特に、特許文献1に記載の技術のように、所定時間ブレーキを保持すると、駆動力が制動力に対して大きすぎたり、小さすぎたりする場合があり、急発進や登り坂道発進時に後退したり、エンストしたりする恐れもある。これに対して、実施例では、駆動力が保持制動力に達した場合に、制動力が解除されるので、登り坂でもスムーズに発進することができる。
また、実施例のトラクタ1では、係数αが1よりも大きいため、保持制動力は、トラクタ1の停止時の制動力よりも大きな値が設定されている。よって、坂道停止時にトラクタ1を確実に停止させておくことができる。
また、実施例のトラクタ1では、ブレーキペダルP2,P3の踏み込みが解除されても(ブレーキスイッチがオフになっても)、ST25や図11に示すように、ブレーキセンサSN2の検出値が保持されるように、ブレーキシリンダ49の油圧が上昇する。よって、ブレーキペダルP2,P3による機械的な踏み込みが解除された分もブレーキシリンダ49で制動力が作用し、全体として制動力が保持される。よって、トラクタ1が坂道で停止しても、停止した状態で保持される。
さらに、実施例のトラクタ1では、発進後は、ブレーキペダルP2,P3の操作が機械的に伝達されて、左右のブレーキ52,52が作動する。そして、保持制動力で停止中に、ブレーキペダルP2,P3を踏み込むことで、保持制動力が再設定、更新される。よって、停車後に設定された保持制動力では制動力が不足している場合は、ブレーキペダルP2,P3を踏み込むことで、保持制動力を更新することができる。このとき、停止時の踏込が甘く、トラクタ1が動き出す場合には、操縦者がブレーキペダルP2,P3を深く踏み込めば、それに応じた保持制動力に再設定される。また、坂道に停止中に、燃料を補給して車重が重くなったり、作業機を重量の重いものに交換したり、体重の重い操縦者に交代したり等があって、トラクタ1がゆっくり動き出した場合に、ゆっくりな動きに合わせて操縦者が少ししかブレーキペダルP2,P3を踏まなくても、踏込量に応じて保持制動力が更新される。よって、少し踏まれたブレーキペダルP2,P3を離した状態で、トラクタ1が停止する。
なお、更新後の保持制動力も、ブレーキセンサSN2の検出値と係数αとに基づいて導出されており、ブレーキペダルP2,P3の踏み込み量よりも大きなブレーキ力が設定される。
また、ブレーキセンサSN2の検出値が微小に触れただけでも保持制動力を再設定していると、敏感になりすぎるので、一定値(閾値、遊びに対応)を設けることで、ブレーキペダルP2,P3の踏み込みなのか、何かが当たって微小に動いただけなのかを判別可能である。
さらに、実施例では、左右のブレーキ52,52が各ブレーキペダルP2,P3の操作で作動可能であるとともに、切れ角に応じて自動的に内輪にブレーキが掛かる。よって、作業者の意思に沿って細やか且つスムーズな運転が可能である。
なお、実施例では、ブレーキセンサSN2は、ブレーキペダルP2,P3の遊び調整等の機構よりも、ブレーキ板の近くに配置されている。よって、遊び等の影響を受けずに、ブレーキの操作量を精度よく検出可能である。
また、実施例では、車速センサ68が、車軸と連動して回転する第1伝達ギア66の近傍に配置されている。よって、車軸と連動しない場合に比べて、車速を検知可能であるとともに、車体の動き始めも精度よく検知可能である。
また、実施例では、傾斜センサSN1でトラクタ1の傾斜を検知している。そして、トラクタ1が後傾、すなわち、上り坂に停車している状態で前進して発進する場合やトラクタ1が前傾、すなわち、下り坂に停車している状態で後進して発進する場合は、駆動力が保持制動力に達してからブレーキが解除される。一方、トラクタ1が水平または前傾の状態で前進して発進する場合やトラクタ1が水平または後傾の状態で後進して発進する場合は、進行方向に対して後退することがないため、ブレーキは速やかに解除され、クラッチ圧力の上昇にともなってスムーズに走行を開始する。
また、実施例では、駆動力が計算される際に、変速レバー10の設定に応じて使用する関数f1〜fnが選択される。したがって、変速レバー10の設定を考慮しない場合に比べて、精度よく駆動力が導出される。
なお、前記実施例では、坂道発進補助ON/OFFスイッチ13がオンの場合、停止時に制動力で保持し、駆動力が所定値に達すると制動力を解除する坂道発進補助機能がオンになる。一方、坂道発進補助ON/OFFスイッチ13がオフの場合、坂道発進補助機能がオフになる。よって、坂道発進補助ON/OFFスイッチ13を設けることで、作業者の好みに対応することができる。
本発明の作業車両は、トラクタなどの農作業用車両に限られず、各種作業用車両にも適用できる。
1 トラクタ 2 支持部材
3 キャビン 4 操縦席
5 ハンドル 6 ボンネットカバー
7 エンジン 8 前輪
9 後輪 10 変速レバー
11 メインキー 12 前後進レバー
13 坂道発進補助ON/OFFスイッチ
23 ミッションケース 26 作業機
31 ロワリンク 33 リフトアーム
40 制動装置(ブレーキ装置)
41 左ブレーキ機構 42 右ブレーキ機構
46 第1ブレーキリンク 46a 回転軸
47 第2ブレーキリンク 48 第3ブレーキリンク
49 制動力保持装置(ブレーキシリンダ)
51 第4ブレーキリンク 51a 回転軸
52 ブレーキ 56 油圧制御バルブ
57 配管 58 配管
61 前後進クラッチ 62 主変速部
63 副変速部 64 出力軸
66 第1伝達ギア 67 後輪差動ギア
68 車速センサ 69 第2伝達ギア
70 第1伝達軸 71 4WDクラッチ
72 第2伝達軸 73 前輪差動ギア
74 ステアリングシリンダ
76 切れ角センサ 80 制御部
81 ブレーキ切替弁 81a 両ブレーキソレノイド
81b 片ブレーキ弁 81c 両ブレーキ弁
82 左右ブレーキ切替弁 82a 右ブレーキソレノイド
82b 左ブレーキソレノイド
82c 右片ブレーキ弁 82d 左片ブレーキ弁
82e 中立弁 83 比例弁
84 ポンプ 85 リリーフバルブ
91 前進クラッチギヤ 91a クラッチ軸
91b 内側クラッチ板 92 前後進出力軸
93 クラッチケース 93a 押え板
93b 外側クラッチ板 93c 前側のシリンダ部
93d 後側のシリンダ部 94 クラッチピストン
94a ばね 96 後進クラッチギヤ
101 前後進クラッチの制御機構
102 前後進切換弁 102a 前進切換ソレノイド
102b 後進切換ソレノイド
102c 前進切替弁 102d 後進切換弁
102e 中立弁 102f 第1の入力
102g 入力 102h 入力
103 前進圧力センサ(クラッチ圧センサ)
104 後進圧力センサ(クラッチ圧センサ)
106 クラッチ弁
106a クラッチペダルソレノイド
106b 切断弁 106c 接続弁
107 オイルポンプ 108 オイルタンク
109 リリーフ弁(安全部材)
110 前後進昇圧弁 110a 前後進昇圧ソレノイド
120 クラッチ制御手段 121 ブレーキ制御手段
121a ブレーキスイッチの制御手段
121b 車速の判別手段 121c 制動力の検知手段
121d 保持制動力の設定手段
121e 傾斜判別手段 121f 駆動力の判別手段
121g 切れ角の判別手段
121h 制動力の制御手段
B1 第二軸受 B2 第三軸受
P1 クラッチペダル P2 左ブレーキペダル
P3 右ブレーキペダル SN1 傾斜センサ
SN2 ブレーキセンサ(制動力センサ)
SN3 ブレーキペダルセンサ(制動力センサ)
SN4 前後進レバー位置センサ(前後進レバーセンサ)
SW1 ブレーキスイッチ

Claims (2)

  1. エンジン(7)の駆動力を車輪(8,9)へ伝達する接続状態と、駆動力の車輪(8,9)への伝達を切断する切断状態とを切り替えるクラッチ(61)と、
    前記車輪(8,9)の回転を制動するブレーキ装置(40)と、
    前記ブレーキ装置(40)の制動力を保持する制動力保持装置(49)と、
    車両の車速を検出する車速センサ(68)と、
    を備え、
    前記ブレーキ装置(40)は、車両(1)停止後に前記制動力保持装置(49)により制動力を停止時の制動力である保持制動力に保持すると共に、前記保持制動力の保持中に、操縦者による前記ブレーキ装置(40)の操作が検出された場合は、前記ブレーキ装置(40)の機械的な操作が解除された分、前記制動力保持装置(49)が作動して制動力を増加させて前記保持制動力に保持すとともに、保持制動力の保持中に前記ブレーキ装置(40)が踏み込まれた場合は、前記保持制動力を、前記ブレーキ装置(40)が踏み込まれた分だけ増加した値に更新する
    ことを特徴とする作業車両。
  2. 車両(1)の前後進を切り替える前後進レバー(12)と、
    前記前後進レバー(12)の操作位置を検出する前後進レバーセンサ(SN4)と、
    車両(1)の前後方向の傾斜を測定する傾斜センサ(SN1)と、
    前記クラッチ(61)における流体の圧力を検出するクラッチ圧センサ(103,104)と、
    を備え、
    前記ブレーキ装置(40)は、保持制動力の保持中に、前記クラッチ(61)が切断状態から接続状態に移行する場合に、進行方向が下りの傾斜でない場合は、前記クラッチ圧センサ(103,104)の検出結果に基づいて駆動力を演算し、前記駆動力が前記保持された保持制動力よりも大きくなると、前記保持制動力の保持を解除するとともに、進行方向が下りの傾斜である場合は、前記クラッチ(61)が切断状態から接続状態へ移行を開始すると共に、保持制動力の保持を解除する
    ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
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