図1は、本発明が適用されるハイブリッド車両6(以下、車両6という)に備えられた車両用駆動装置8を説明するための骨子図である。図1に示すように、車両用駆動装置8は、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスアクスルケース12(以下、「ケース12」という)、一般的に知られた自動車用ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンであるエンジン14、第1電動機MG1、第1遊星歯車装置20、第2遊星歯車装置22、および第2電動機MG2を備えている。エンジン14または第2電動機MG2の動力は、第1遊星歯車装置20および第2遊星歯車装置22のリングギヤR1,R2と一体回転する出力歯車24から、その出力歯車24を含むカウンタギヤ対32、ファイナルギヤ対34、差動歯車装置36および一対の車軸38等を順次介して一対の駆動輪40へ伝達される(図2参照)。
第1遊星歯車装置20は、エンジン14に連結された第1キャリヤCA1と、第1電動機MG1に連結された第1サンギヤS1と、出力歯車24と一体回転する第1リングギヤR1とを備えている。また、第2遊星歯車装置22は、ケース12に連結され回転不能な第2キャリヤCA2と、第2電動機MG2に連結された第2サンギヤS2と、出力歯車24と一体回転する第2リングギヤR2とを備えている。
第1電動機MG1及び第2電動機MG2は何れも、ジェネレータ(発電機)機能とモータ(発動機)機能との両方を備えた所謂モータジェネレータであり、例えば三相の同期電動発電機である。第1電動機MG1及び第2電動機MG2はそれぞれインバータ54(図2参照)を介して蓄電装置56に電気的に接続されており、第1電動機MG1と第2電動機MG2と蓄電装置56とは相互に電力授受可能な構成となっている。上記蓄電装置56は、例えば、鉛蓄電池などのバッテリ(二次電池)又はキャパシタなどである。第2電動機MG2は本発明の電動機に対応する。
上述のように構成された車両6は、走行用の駆動力源を、エンジン14のみ、第2電動機MG2のみ、或いは、エンジン14及び第2電動機MG2に適宜切り替えて走行することができる。すなわち、車両6は、走行用の駆動力源にエンジン14を含むエンジン走行、または、走行用の駆動力源が第2電動機MG2のみであるモータ走行をすることができる。
また、加速操作が解除された惰性走行であるコースト走行時には、第1電動機MG1が空転状態とされ第2電動機MG2が車両6の有する慣性エネルギーで回転駆動させられ、その慣性エネルギーが電力として回生され第2電動機MG2から蓄電装置56に充電される。或いは、上記コースト走行時において、第2電動機MG2も空転状態とされ車両用駆動装置8が制動力を発生させずに車両6が走行することもある。
また、フットブレーキ45が踏み込まれた車両減速時にも、第2電動機MG2が回生作動させられ、その第2電動機MG2は回生作動することにより回生制動力を発生させる。そして、その回生制動力で車両6が減速される。
図2は、車両6を制御するための電子制御装置60に入力される信号を例示した図であると共に、電子制御装置60に備えられた制御機能の要部を説明するための機能ブロック線図である。この電子制御装置60は、所謂マイクロコンピュータを含んで構成されている。電子制御装置60には、例えば図2に示すように、車速Vを表す車速センサ52からの信号、フットブレーキ45の踏込量を表すフットブレーキセンサ46からの信号、各車輪に設けられたホイールブレーキ装置が発生させる機械的車両制動力を表すホイールブレーキセンサ48からの信号、車両6の前後方向の車両加速度を表す加速度センサ50からの信号、アクセルペダル41の操作量であるアクセル開度Accを表すアクセル開度センサ42からの信号、蓄電装置56の充電残量(充電状態)SOCを表すその蓄電装置56からの信号等が、それぞれ供給される。
車両6は、図2に示すように、ナビゲーションシステム62(以下、ナビ62という)を備えている。そのナビ62は、例えばCD−ROMやDVD−ROMやHDD(hard disk drive)などの記憶媒体64を備え、記憶媒体64に記憶された道路地図情報を用いて公知のナビゲーション制御を実行する機能を有している。図3は、上記道路地図情報において、道路がどのようにして記憶されているかを説明するための図であり、図3(a)は実際の道路の概略図を示し、図3(b)は上記道路地図情報の一部として記憶された上記道路を表現するノードおよびリンクを示している。この図3に示すように、実際の道路は、上記道路地図情報では、複数のノードにより分割され各ノード間を結ぶ複数の区間としてのリンクで表現されている。すなわち、上記リンクの各々は道路の一区間に相当する。そして、各リンクには、図3(b)に示すように、リンクID(道路番号)が決められている。また、各リンクID毎に、ノードにより定義される始点座標及び終点座標、走行路情報としての平均曲率半径と道路長と道路勾配、一般道や高速道路や一方通行などの道路種別、交差点や直線路における通過点などの各ノードにおける情報、などが記憶媒体64に記憶されており、これらのリンクID毎の情報も上記道路地図情報に含まれている。例えば、ナビ62は、人工衛星からの信号を受信して車両6の位置すなわち自車位置(例えば緯度と経度)および進行方向を検出し、その自車位置を上記道路地図情報に照合して、車両6が現在走行している道路のリンクIDを特定する。そして、ナビ62は、上記自車位置に対応するリンクIDおよび車両6の進行方向を電子制御装置60に逐次出力する。また、ナビ62は、上記自車位置と運転者により入力された目的地とに基づいて、車両6がその目的地に向けて走行する予定の走行経路を求め、その走行経路を電子制御装置60に出力する。また、記憶媒体64は、電子制御装置60が上記道路地図情報を読み取れるようになっている。
ところで、前記コースト走行時や車両制動時に第2電動機MG2は回生作動させられるが、第2電動機MG2の回生作動により減速方向に生じる車両加速度には許容回生限度がある。そのため、急な車両6の減速では、運転者が要求する減速方向の車両加速度が上記許容回生限度を超えるので、その超過分については第2電動機MG2による回生はなされず、前記ホイールブレーキ装置が制動時に生じさせる摩擦熱になる。そこで、電子制御装置60は、上記運転者が要求する減速方向の車両加速度が上記許容回生限度を超えないように、または、その超過分が小さくなるように、第2電動機MG2の回生作動が早期に開始されるようにする回生早出し制御を実行する。減速方向の車両加速度を本実施例では車両減速度(減速方向を正方向とし、単位は例えばm/s2)という。例えば、道路上には、道路の曲率半径や道幅などに起因して車両6が所定車速にまで減速することになる場所すなわち車両減速箇所が存在し、前記回生早出し制御のために、そのような車両減速箇所が、前記リンクIDで予め特定されている。そして、その特定されている車両減速箇所に向かう走行経路を車両6が走行しているとナビ62からの情報を基に判断される場合には、上記回生早出し制御において、走行中の車両6の進路上で前記回生作動を開始させる予定の回生開始予定位置が決定される。そして、上記回生早出し制御では、例えば電子制御装置60は、走行中の車両6が上記回生開始予定位置に到達したときから、自動的に第2電動機MG2を回生作動させ始めたり、或いは、運転者に加速操作を解除することを促す表示を運転者の見易い位置に表示したりする。上記回生開始予定位置は、例えば、車両6が走行する度に学習される所定の学習値から決定される。
本実施例では、車両6の搭載部品である第2電動機MG2または蓄電装置56が交換されると前記回生開始予定位置に影響するので、その回生開始予定位置を決定するために用いられる学習値をその交換後に引き継ぐため、その学習値が更新される。その制御機能の要部について、前記図2を用いて説明する。その図2に示すように、電子制御装置60は、学習部としての学習手段70と、学習値変換部としての学習値変換手段72とを備えている。電子制御装置60は、その学習値変換手段72を有することで、車両6の搭載部品が交換された場合に前記学習値を更新する学習値更新制御装置として機能する。
学習手段70は、車両走行において前記回生早出し制御が実行された場合には、そのときの第2電動機MG2が回生作動を開始した回生開始位置と、その回生開始位置における車速Vである回生開始車速V0とを、所定の水準以上効率良く回生されたことを条件に、学習値として記憶する回生開始位置学習制御を行う。上記所定の水準以上効率良く回生されたとは、車両6の制動において前記ホイールブレーキ装置が発生させる前記機械的車両制動力があまり大きくなかったということであり、例えば、ホイールブレーキセンサ48により検出される上記機械的車両制動力を時間で積分した値が所定値以下であるか否かなどにより判断できる。
図4は、前記回生開始位置学習制御で学習される学習値すなわち前記回生開始位置および回生開始車速V0を説明するための図である。図4において実線Lrdは車両6が走行している道路を示している。図4の点Ptは、予め求められており複数存在する前記車両減速箇所の1つを示しており、前記道路地図情報では所定のノードで表される。図4の点P0は上記回生開始位置を示している。従って、その回生開始位置の学習値は、その回生開始位置の緯度および経度であってもよいが、本実施例では、前記道路地図情報において上記車両減速箇所は予め決まっているので、上記回生開始位置(=点P0)から上記車両減速箇所(=点Pt)までの減速回生距離Lxとして記憶される。また、上記車両減速箇所における目標車速Vtが、その車両減速箇所前後の道路の曲率半径や道幅に基づいて、上記車両減速箇所を安全に且つ速やかに通過できるように予め実験的に求められており、上記道路地図情報の一部として、上記車両減速箇所(所定のノード)を始点とする目標リンク80(図4参照)に関連付けされて予め記憶されている。言い換えれば、その目標リンク80のリンクIDに関連付けされて予め記憶されている。
図5は、前記道路地図情報を構成するリンクに関連付けされて記憶された上記学習値である回生開始車速V0および減速回生距離Lxの記憶状態を例示した図である。すなわち、図5に示す回生開始車速V0および減速回生距離Lxのそれぞれは、学習手段70が前記回生開始位置学習制御により記憶させた学習値、要するに、車両走行により得られた学習値である。その図5に示すように、過去の車両走行により得られた回生開始車速V0および減速回生距離Lxが、車両6の進行方向を表す往路または復路に分けて、前記目標リンク80(図4参照)のリンクID毎に記憶されている。例えば図5において1つのリンクIDに対して回生開始車速V0および減速回生距離Lxの複数の組合せが記憶されているが、それは、その複数の組合せ間において、回生開始車速V0と減速回生距離Lxとの一方または両方の値が互いに異なるからである。図5のように記憶された回生開始車速V0および減速回生距離Lxが、本発明の車両制御用学習値である。
例えば、前記図5に示すように記憶された回生開始車速V0および減速回生距離Lxである学習値が用いられて、前述したように前記回生早出し制御において前記回生開始予定位置が決定されるが、その決定過程を説明する。例えばその説明を簡潔にするために、図4において車両6が、ある車両減速箇所である点Ptに向けて、ある一定の車速Vで走行しているとする。その場合には、その一定の車速Vが、上記点Ptを始点のノードとする目標リンク80のリンクIDに関連付けされて学習値として記憶された何れかの回生開始車速V0に一致または略一致すれば、その回生開始車速V0に対応して記憶されている減速回生距離Lxと前記車両減速箇所(図4の点Pt)とから導出される位置(図4の点P0)が前記回生開始予定位置として決定される。また、上記一定の車速Vが、上記記憶された回生開始車速V0の何れにも一致または略一致もしなければ、上記目標リンク80のリンクIDに関連付けされて記憶された複数組の回生開始車速V0および減速回生距離Lxにより補完処理されて、前記回生開始予定位置が決定される。
次に、第2電動機MG2と蓄電装置56との一方又は両方が修理などで交換された場合に、図5に示された学習値をその交換後に引き継ぐために行われる学習値変換手段72の制御機能について説明する。例えばその説明では、第2電動機MG2の回生作動により減速方向に生じる車両加速度の許容値(許容回生限度)である回生可能減速度Gmax(減速方向を正方向とし、単位は例えばm/s2)が、第2電動機MG2および蓄電装置56の交換に起因して異なる値になった例を用いるものとする。上記回生可能減速度Gmaxは車速Vに応じて変わる許容値であり、その回生可能減速度Gmaxと車速Vとの関係(図6参照)は第2電動機MG2および蓄電装置56が定まっていれば自ずと定まる特性である。すなわち、上記回生可能減速度Gmaxは車両6の搭載部品(第2電動機MG2、蓄電装置56)の予め定められた特性である。換言すれば、その搭載部品の予め定められた許容値である。
上記学習値変換手段72は、車両6の搭載部品である第2電動機MG2と蓄電装置56との一方または両方が交換された場合に、交換後の上記搭載部品の特性、具体的には上記回生可能減速度Gmaxと車速Vとの関係を示す許容回生限度特性に基づいて、図5に示すような学習値を更新する。そのために、先ず、学習値変換手段72は、第2電動機MG2と蓄電装置56との一方または両方が交換されたか否かを判断し、その第2電動機MG2と蓄電装置56との少なくとも一方が交換された場合には、その交換後の上記許容回生限度特性がその交換前に対して異なるか否かを判断する。第2電動機MG2または蓄電装置56が交換されたか否かは、例えばその第2電動機MG2または蓄電装置56が交換された旨を修理作業者が電子制御装置60に登録することから判断できる。また、上記許容回生限度特性は、修理作業者が第2電動機MG2または蓄電装置56を交換する毎に電子制御装置60に予め設定するものであり、学習値変換手段72は、その交換前後の上記許容回生限度特性を相互に比較することで、その許容回生限度特性が互いに異なるか否かを判断する。図6に、上記交換後の上記許容回生限度特性がその交換前に対して異なる一例が示されている。
その図6において、横軸は車速Vを示し縦軸は回生可能減速度Gmaxを示しており、破線Lbfは上記搭載部品の交換前の許容回生限度特性を示し実線Laftは上記搭載部品の交換後の許容回生限度特性を示している。例えば実線Laftを用いて説明すると、許容回生限度特性の高車速側において車速Vが高いほど回生可能減速度Gmaxが零に近付く部分は蓄電装置56に充電される電流の制限により定まる特性であり、許容回生限度特性の全体での回生可能減速度Gmaxの最大値G1maxは第2電動機MG2の定格値により定まる値である。図6において車速範囲WV1は、上記搭載部品の交換後の回生可能減速度Gmaxがその交換前に対して小さくなっている許容回生限度縮小車速範囲であり、車速範囲WV2は、上記搭載部品の交換後の回生可能減速度Gmaxがその交換前に対して大きくなっている許容回生限度拡大車速範囲である。この図6の例では、実線Laftが示す許容回生限度特性が破線Lbfに対して異なっているので、学習値変換手段72は、上記搭載部品の交換後の許容回生限度特性がその交換前に対して異なると判断する。
学習値変換手段72は、上記搭載部品の交換後の許容回生限度特性がその交換前に対して異なると判断した場合には、その交換後の許容回生限度特性に基づいて、前記回生開始位置学習制御により学習された学習値を更新する。すなわち、図5のように記憶された減速回生距離Lxを更新する。詳細には効率的に学習値(減速回生距離Lx)を更新するため、図5のように記憶された学習値の中で、上記搭載部品の交換後の許容回生限度特性がその交換前に対して異なることが影響する上記学習値を更新するが、その一方で、上記許容回生限度特性が上記交換前に対して異なることが影響しない上記学習値については更新しない。その許容回生限度特性がその交換前に対して異なることが影響する学習値とは、例えば図6の許容回生限度特性において、図5に示す学習値である回生開始車速V0を横軸(車速V)に与えて特定される回生可能減速度Gmaxが上記交換前後で異なる場合のその回生開始車速V0に対応して記憶されている減速回生距離Lxである。一方で、上記許容回生限度特性が上記交換前に対して異なることが影響しない学習値とは、例えば図6の許容回生限度特性において、図5に示す学習値である回生開始車速V0を横軸(車速V)に与えて特定される回生可能減速度Gmaxが上記交換前後で異ならない場合のその回生開始車速V0に対応して記憶されている減速回生距離Lxである。例えば、図6の前記許容回生限度縮小車速範囲WV1または前記許容回生限度拡大車速範囲WV2内の回生開始車速V0に対応して図5にて記憶されている減速回生距離Lxは、その回生開始車速V0に基づき上記許容回生限度特性から定まる回生可能減速度Gmaxが上記交換前後で異なるので、上記許容回生限度特性が上記交換前に対して異なることが影響する学習値である。なお、本実施例では、上記回生開始車速V0を図6の横軸に与える車速Vの代表値として選択したので、その横軸に回生開始車速V0を与えているが、上記横軸に与える車速Vの代表値は他の車速値であることも考え得る。
具体的に、学習値変換手段72は、上記搭載部品の交換後の許容回生限度特性がその交換前に対して異なることが影響する上記学習値を更新するために、図5のように記憶された学習値(回生開始車速V0)のそれぞれについて、その学習値である回生開始車速V0が前記許容回生限度縮小車速範囲WV1(図6参照)内に入っているか否かを判断する。更に、その回生開始車速V0が前記許容回生限度拡大車速範囲WV2(図6参照)内に入っているか否かを判断する。そして、学習値変換手段72は、その回生開始車速V0が前記許容回生限度縮小車速範囲WV1または許容回生限度拡大車速範囲WV2内に入っている場合には、その回生開始車速V0に対応して記憶されている減速回生距離Lxを、上記搭載部品の交換後の許容回生限度特性(図6の実線Laft)に基づいて算出した減速回生距離Lxに更新する。具体的には、上記交換後の許容回生限度特性から回生開始車速V0に基づいて回生可能減速度Gmaxを求め、その求めた回生可能減速度Gmaxと回生開始車速V0とに基づいて、走行路が水平であれば下記式(1)から減速回生距離Lxを算出する。そして、その回生開始車速V0に対応する学習値である減速回生距離Lxを、その算出した減速回生距離Lxに更新する。例えば、図6に実線Laftで示す許容回生限度特性において、回生開始車速V0がV0_01であるとすれば、その回生開始車速V0に基づいて求められる回生可能減速度GmaxはGmax_01である。なお、下記式(1)においてVtは、下記式(1)に代入した回生開始車速V0に図5において対応するリンクIDに関連付けされて予め記憶されている前記目標車速Vtである。
Lx=(V02−Vt2)/(2×Gmax) ・・・(1)
図7は、電子制御装置60の制御作動の要部、すなわち、第2電動機MG2と蓄電装置56との一方又は両方が交換された場合に学習値を更新する制御作動を説明するためのフローチャートである。図7のフローチャートは、図5のように記憶された学習値(リンクIDと回生開始車速V0と減速回生距離Lxとの組合せ)の各々に対して1回ずつ実行される。図7に示す全ステップは、学習値変換手段72に対応する。この図7に示す制御作動は、単独で或いは他の制御作動と並列的に実行される。
先ず、ステップ(以下、「ステップ」を省略する)SA1においては、車両6の搭載部品である第2電動機MG2と蓄電装置56との一方または両方が交換されたか否かが判断される。このSA1の判断が肯定された場合、すなわち、第2電動機MG2と蓄電装置56との少なくとも一方が交換された場合には、SA2に移る。一方、このSA1の判断が否定された場合には、本フローチャートは終了する。
SA2においては、上記搭載部品の交換後の前記許容回生限度特性(図6参照)がその交換前に対して異なるか否かが判断される。例えば、蓄電装置56の交換によりその蓄電装置56に充電される電流の制限が変更された場合、或いは、第2電動機MG2の交換によりその第2電動機MG2の回生トルクの制限が変更された場合に、上記搭載部品の交換後の許容回生限度特性がその交換前に対して異なるものとなる。このSA2の判断が肯定された場合、すなわち、上記搭載部品の交換後の許容回生限度特性がその交換前に対して異なる場合には、SA3に移る。一方、このSA2の判断が否定された場合には、本フローチャートは終了する。
SA3においては、図5のように学習値として記憶された回生開始車速V0が、上記搭載部品の交換後の回生可能減速度Gmaxがその交換前に対して小さくなっている前記許容回生限度縮小車速範囲WV1(図6参照)内に入っているか否かが判断される。このSA3の判断が肯定された場合、すなわち、上記回生開始車速V0が上記許容回生限度縮小車速範囲WV1内に入っている場合には、SA4に移る。一方、このSA3の判断が否定された場合には、SA5に移る。
SA4においては、回生可能減速度Gmaxが、前記搭載部品の交換後の許容回生限度特性(図6の実線Laft)から上記回生開始車速V0に基づいて求められ、減速回生距離Lxがその回生可能減速度Gmaxで前記式(1)により再計算される。そして、学習値である減速回生距離Lxがその再計算された値に更新される。
SA5においては、図5のように学習値として記憶された回生開始車速V0が、前記搭載部品の交換後の回生可能減速度Gmaxがその交換前に対して大きくなっている前記許容回生限度拡大車速範囲WV2(図6参照)内に入っているか否かが判断される。このSA5の判断が肯定された場合、すなわち、上記回生開始車速V0が上記許容回生限度拡大車速範囲WV2内に入っている場合には、SA6に移る。一方、このSA5の判断が否定された場合には、本フローチャートは終了する。
SA6においては、前記SA4と同様にして、減速回生距離Lxが前記式(1)により再計算され、更新される。
このようにして図7のフローチャートが1回終了すると、図5のように記憶された次の学習値について再び図7のフローチャートが実行される。
本実施例では次のような効果(A1)から(A3)がある。(A1)本実施例によれば、学習値変換手段72は、車両6の搭載部品が交換された場合に、その交換後の搭載部品の特性に基づいて、図5のように記憶された学習値を更新する。従って、上記搭載部品の交換前までの車両走行により得られた学習値が、上記交換後の搭載部品の特性に合ったものに変換されるので、その学習値を上記搭載部品の交換後も引き継いで利用することができる。その結果、搭載部品交換後の車両6の制御(回生早出し制御)に適した学習値を、上記搭載部品の交換の際に学習値を初期化するよりも早期に得易くなる。
(A2)また、本実施例によれば、学習値変換手段72は、図5のように記憶された学習値を更新する際には、図5のように記憶された複数の学習値の中で、交換後の前記搭載部品の特性がその搭載部品の交換前に対して異なることが影響する学習値を更新する。従って、上記学習値を効率良く更新することが可能である。
(A3)また、本実施例によれば、図5のように記憶された学習値は、前記回生開始予定位置を決定するために用いられる学習値、すなわち、過去の車両走行により得られリンクID毎に記憶された回生開始車速V0および減速回生距離Lxである。また、具体的に、その学習値を更新する基になる前記搭載部品の特性とは、第2電動機MG2の回生作動により減速方向に生じる車両加速度の予め定められた許容値(回生可能減速度Gmax)と車速Vとの関係を示す前記許容回生限度特性、要するにその許容回生限度特性を構成する前記回生可能減速度Gmaxである。そして、学習値変換手段72は、交換後の上記搭載部品の特性がその搭載部品の交換前に対して異なる場合に、図5のようにリンクID毎に上記学習値として記憶された減速回生距離Lxを更新する。従って、搭載部品交換後に最初から、前記回生開始予定位置がそれまでの走行実績が加味されて決定されるので、例えば図5のように記憶された学習値が搭載部品交換時に初期値に戻される場合と比較して車両6の燃費を向上させ易くなる。
次に、本発明の他の実施例について説明する。なお、以下の実施例の説明において、実施例相互に重複する部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
例えば車両6が長い下り坂を走行している場合には第2電動機MG2が回生作動させられるが、その下り坂の途中で蓄電装置56が満充電になることがあり、そうなると、それ以上は回生できずに車両6の慣性エネルギーを無駄にすることになる。そこで、本実施例(実施例2)の電子制御装置160は、ナビ62から得られる車両6が走行する予定の走行経路において回生され蓄電装置56に充電される予定の回生充電量予測値を所定の学習値に基づいて算出し、蓄電装置56の満充電に起因して無駄にする上記車両6の慣性エネルギーをできるだけ少なくするように、その回生充電量予測値に基づいて蓄電装置56の充電残量SOCを予め減らしておく満充電防止制御を実行する。例えば、電子制御装置160は、上記長い下り坂の始点である頂上に向かって車両6が走行している途中で上記満充電防止制御を実行する。本実施例では、前記回生充電量予測値を算出する基になる学習値が車両走行において学習され、車両6の所定の搭載部品が交換された場合にはその学習値が更新されるので、その制御機能の要部について、図2の機能ブロック線図を用いて説明する。その図2に示すように、本実施例の電子制御装置160は、学習部としての学習手段162と、学習値変換部としての学習値変換手段164とを備えている。電子制御装置160は、その学習値変換手段164を有することで前記学習値更新制御装置として機能する。
学習手段162は、車両走行において、各リンク毎に、そのリンクの始点のノードでの車速Vである入口車速Vin、そのリンクの終点のノードでの車速Vである出口車速Vout、そのリンクにおける平均の前記車両減速度(平均車両減速度)、及び、そのリンクでの走行で回生され蓄電装置56に充電された回生充電量ΔSOC(単位は例えばAh)を学習する回生充電量学習制御を行う。例えば、上記入口車速Vinおよび出口車速Voutは車速センサ52により検出され、上記平均車両減速度は加速度センサ50により検出される。また、上記回生充電量ΔSOCは、上記始点のノードでの蓄電装置56の充電残量SOCと上記終点のノードでの蓄電装置56の充電残量SOCとの差分から算出される。図8は、その回生充電量学習制御で学習された学習値(車両制御用学習値)の記憶状態、すなわち、上記入口車速Vin、出口車速Vout、平均車両減速度、および回生充電量ΔSOCの記憶状態を例示した図である。その図8に示すように、車両走行により得られた各学習値は、車両6の進行方向を表す往路または復路に分けて、車両6が走行したリンクのリンクID毎に記憶される。例えば、同一リンクを同一方向に複数回にわたって車両6が走行した場合には、その走行毎に得られた各学習値はそれぞれ平均化され、往路と復路とのそれぞれでリンクID毎に1組にまとめられて図8のように記憶される。図8において、学習値である回生充電量ΔSOCは、蓄電装置56の充電残量SOCが増える方向が正方向、充電残量SOCが減る方向が負方向として記憶されており、充電残量SOCの増減が無ければ零として記憶されている。
図8に示すようにリンクID毎に記憶された学習値は、例えば前記満充電防止制御が実行される際に利用される。具体的には、ナビ62から得られる車両6が走行する予定の走行経路に該当する複数のリンクのリンクIDが前記道路地図情報から特定され、図8のように記憶された学習値の中で、その特定されたリンクIDに対応する回生充電量ΔSOCが合算される。そして、その回生充電量ΔSOCが合算されて得られた値が前記回生充電量予測値とされる。
次に、第2電動機MG2と蓄電装置56との一方又は両方が修理などで交換された場合に、図8に示された学習値をその交換後に引き継ぐために行われる学習値変換手段164の制御機能について説明する。例えばその説明では、前述の実施例1と同様に、図6に示す前記許容回生限度特性が第2電動機MG2および蓄電装置56の交換に起因して異なるものになった例を用いるものとする。
上記学習値変換手段164は、車両6の搭載部品である第2電動機MG2と蓄電装置56との一方または両方が交換された場合に、図6に示す交換後の許容回生限度特性に基づいて、図8に示すような学習値を更新する。そのために、先ず、学習値変換手段164は、前述の学習値変換手段72と同様に、第2電動機MG2と蓄電装置56との一方または両方が交換されたか否かを判断し、その第2電動機MG2と蓄電装置56との少なくとも一方が交換された場合には、その交換後の上記許容回生限度特性がその交換前に対して異なるか否かを判断する。
学習値変換手段164は、上記搭載部品の交換後の許容回生限度特性がその交換前に対して異なると判断した場合には、その交換後の許容回生限度特性に基づいて、前記回生充電量学習制御により学習された学習値を更新する。詳細には、図8のように記憶された複数の回生充電量ΔSOCのうち、上記許容回生限度特性が図6のように上記搭載部品の交換前後で異なることが影響する回生充電量ΔSOCを更新する。そのために、学習値変換手段164は、図8のように記憶された学習値(回生充電量ΔSOC)のそれぞれについて、その学習値である回生充電量ΔSOCが関連付けられているリンクIDのリンクで回生されているか否か、要するに、その回生充電量ΔSOCが正の値であるか否かを判断する。そして、学習値変換手段164は、その回生充電量ΔSOCが正の値である場合にはその回生充電量ΔSOCを、図6に示す交換後の許容回生限度特性に基づいて更新し、その一方で、その回生充電量ΔSOCが零または負の値である場合にはその回生充電量ΔSOCを更新しない。
例えば学習値変換手段164は、上記学習値である回生充電量ΔSOCを更新する場合には、先ず、その更新対象の回生充電量ΔSOCに対応して記憶されている入口車速Vinと出口車速Voutとの各々に基づいて上記交換後の許容回生限度特性(図6の実線Laft)から回生可能減速度Gmaxをそれぞれ求める。次に、その入口車速Vinと出口車速Voutとの各々に基づく2つの回生可能減速度Gmaxの小さい方と、上記更新対象の回生充電量ΔSOCに対応して記憶されている前記平均車両減速度とを比較する。この平均車両減速度と回生可能減速度Gmaxとを比較するのは、更新対象の回生充電量ΔSOCが関連付けられているリンクIDのリンクにおいて、その回生可能減速度Gmaxに到達しない程度の緩やかな減速しか行われていないことがあり得るからである。なお、上記2つの回生可能減速度Gmaxの小さい方が上記平均車両減速度と比較されるが、これは一例であり、例えばその2つの回生可能減速度Gmaxの平均値が上記平均車両減速度と比較されても差し支えない。
学習値変換手段164は、上記2つの回生可能減速度Gmaxの小さい方と上記平均車両減速度との比較の結果、小さい方の減速度を更新基準車両減速度として選択する。そして、更新対象の回生充電量ΔSOCが関連付けられているリンクIDのリンクに対応する道路の道路長とその更新基準車両減速度とに基づいて回生充電量ΔSOCを算出し、上記更新対象の学習値である回生充電量ΔSOCを、その算出した回生充電量ΔSOCに更新する。上記算出される回生充電量ΔSOCは、上記道路長が長いほど或いは上記更新基準車両減速度が大きいほど大きくなる値であるので、例えば、図9のように上記道路長に応じた上記更新基準車両減速度と回生充電量ΔSOCとの関係が予め実験的に求められ記憶されており、学習値変換手段164は、その図9に示す予め設定された関係から上記回生充電量ΔSOCを算出する。或いは、上記更新基準車両減速度と上記道路長とを含む予め実験的に設定された算出式によって上記回生充電量ΔSOCを算出してもよい。例えば以上のようにして、学習値である回生充電量ΔSOCが学習値変換手段164により更新される。
図10は、電子制御装置160の制御作動の要部、すなわち、第2電動機MG2と蓄電装置56との一方又は両方が交換された場合に学習値を更新する制御作動を説明するためのフローチャートである。図10のフローチャートは、図8のように記憶された学習値(リンクIDと入口車速Vinと出口車速Voutと平均車両減速度と回生充電量ΔSOCとの組合せ)の各々に対して1回ずつ実行される。図10に示す全ステップは、学習値変換手段164に対応する。この図10に示す制御作動は、単独で或いは他の制御作動と並列的に実行される。図10のSB1、SB2は図7のSA1、SA2とそれぞれ同じであるので、図10のSB3から説明する。
図10のSB2の判断が肯定された場合にSB3に移り、そのSB3においては、図8のように記憶された学習値である回生充電量ΔSOCが正の値であるか否かが判断される。このSB3の判断が肯定された場合、すなわち、上記回生充電量ΔSOCが正の値である場合には、SB4に移る。一方、このSB3の判断が否定された場合には、本フローチャートは終了する。
SB4においては、上記SB3で判断された更新対象の回生充電量ΔSOCに対応して記憶されている入口車速Vinと出口車速Voutとの各々に基づいた前記回生可能減速度Gmaxが、前記搭載部品の交換後の許容回生限度特性(図6の実線Laft)からそれぞれ求められる。SB4の次はSB5に移る。
SB5においては、上記入口車速Vinと出口車速Voutとの各々に基づく2つの回生可能減速度Gmaxの小さい方と、上記更新対象の回生充電量ΔSOCに対応して記憶されている前記平均車両減速度とが比較される。その比較の結果、小さい方の減速度が前記更新基準車両減速度として選択される。SB5の次はSB6に移る。
SB6においては、回生充電量ΔSOCが、上記更新対象の回生充電量ΔSOCが関連付けられているリンクIDのリンクに対応する道路の道路長と、上記SB5にて選択された更新基準車両減速度とに基づいて、例えば図9のように予め設定された関係から算出される。そして、上記更新対象の学習値である回生充電量ΔSOCが、その算出された回生充電量ΔSOCに更新される。上記道路長は前記道路地図情報から得られる。
本実施例によれば、学習値変換手段164は、車両6の搭載部品が交換された場合に、その交換後の搭載部品の特性に基づいて、図8のように記憶された学習値を更新するので、前述の実施例1における効果(A1)と同様の効果がある。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
例えば、前述の実施例1,2において、学習値変換手段72,164は、電子制御装置60,160に含まれているが、その電子制御装置60,160にではなく、車両6の修理の際などに電子制御装置60,160に一時的に接続される外部接続機器に含まれていても差し支えない。
また、前述の実施例1において、図7のSA6では前記減速回生距離Lxが前記回生可能減速度Gmaxで前記式(1)により再計算されるが、運転者が好む車両減速度が予め車両において学習されており、上記SA6では、その運転者が好む車両減速度と上記回生可能減速度Gmaxとの小さい方で、上記減速回生距離Lxが再計算されても差し支えない。そのようにしたとすれば、回生走行中において、運転者に違和感を与えないようにすることができる。
また、前述の実施例1,2において、車両6はハイブリッド車両であるが、走行用駆動力源としてエンジン14だけを有するエンジン車両であっても差し支えない。そのようなエンジン車両では、例えば、アクセルオフの惰性走行中にエンジン14の回転抵抗(フリクション)を駆動輪40に伝達せずに走行するNラン制御が実行される。例えば、そのNラン制御は緩やかな下り坂などで実行されることがあり、そのNラン制御により燃費向上が図られる。しかし、車両の空力抵抗、車輪の転がり抵抗、車重に基づく登坂時又は加速時の抵抗などに分類できる走行抵抗が小さい場合には、上記Nラン制御が実行されるよりもフューエルカットがなされた方が燃費が向上することがある。そこで、例えば上記Nラン制御の実行開始地点と実行終了地点とが車両走行において学習されており、その学習により得られた学習値である上記実行開始地点と上記実行終了地点とが、上記走行抵抗に影響する車両諸元である車重またはCdA値(空気抵抗係数と前面投影面積との積)が異なる車種に引き継がれる場合に、上記学習値である実行開始地点と実行終了地点とが更新されてもよい。例えば、セダンタイプからボックスタイプの車両に上記学習値が引き継がれる場合には、上記走行抵抗は全ての面で増加する傾向にあるので、上記Nラン制御の実行区間を増やすため、上記実行開始地点と実行終了地点とが互いに離れる方向にずれるように更新される。
また、前述の実施例1,2において、車両6で行われる車両制御として前記回生早出し制御と前記満充電防止制御とが説明されているが、それ以外に例えば、車両6において、所定の旋回路(コーナー)の最減速地点に向かって車両6を減速させることを支援するコーナー減速アシスト制御が実行されても差し支えない。例えば上記コーナー減速アシスト制御では上記最減速地点の手前で自動的に車両制動を開始したり運転者に対して警告したりする。このコーナー減速アシスト制御が実行されるとすれば、ドライバビリティ向上や走行中の運転者に安心感を与えることができる。また、上記コーナー減速アシスト制御を実行するために、車両走行において上記最減速地点での車速V(以下、最減速車速VLという)が上記所定の旋回路のリンクIDに関連付けられて学習され、その学習により得られた学習値である最減速車速VLが、コーナーリング性能の異なる車種に引き継がれる場合に、その学習値である最減速車速VLが更新されてもよい。例えば、同一の運転者が同じ走行感覚で旋回路を走行した場合に、例えば図11のタイムチャートに示すように、セダンタイプなどの一般車よりもスポーツタイプの車両での方が、サスペンションが硬い或いは車両の重心が低いなどの理由から、上記旋回路における径方向の加速度Gyが大きくなる。このようなことから、同じ走行感覚で走行したときの異なる車種間における上記加速度Gyの比を予め実験的に設定しておき、「Gy=V2/R」(Vは車速、Rは車両の旋回半径)という関係から、更新後の上記最減速車速VLを算出できる。
また、前述の実施例1,2において、車両6はハイブリッド車両であるが、電気自動車(EV車両)、または、外部電源から充電可能なプラグインハイブリッド車両(PHV車両)であっても差し支えない。そのようなEV車両またはPHV車両では、例えば、目的地まで最適効率で走行するための走行計画を作成する走行計画制御が実行される。具体的にその走行計画制御では、EV車両であれば、予め設定された走行経路に従って走行した場合に外部電源から充電せずに走行できる走行可能距離が予測され、PHV車両であれば例えば上記目的地で充電残量SOCを下限付近まで使い切れるように前記エンジン走行と前記モータ走行との最適な切替計画が作成される。また、上記走行計画制御の精度を向上させるためには道路の走行抵抗が加味されることが重要であるので、上記走行計画制御を実行するために、車両走行において各リンクにおける走行抵抗を表す指標値として電力消費量とエンジン14の燃料消費量とが学習されてもよい。そして、その学習により得られた学習値である上記電力消費量と燃料消費量とが異なる車種に引き継がれる場合に、その学習値である上記電力消費量と燃料消費量とが引継後の車両の車両諸元に合わせて更新されてもよい。
また、前述の実施例1において、図7のSA4,SA6では、学習値である減速回生距離Lxが更新される際には回生開始車速V0が用いられるが、例えば、更新後の上記学習値は、走行シミュレーションを行うことで生成されても差し支えない。例えばその走行シミュレーションを行うためには、第2電動機MG2または蓄電装置56が交換されることが、運転者によるボタン操作などの所定の入力方法によって車両6に対し事前に通知され、その通知後に、上記走行シミュレーションを行い学習値を生成するに足る走行情報(例えばアクセル開度Acc、フットブレーキ45の踏込量、車両6の前後方向及び横方向の加速度など)が一時的に詳細に学習される。
また、前述の実施例1において、図5のように記憶された学習値の中から、第2電動機MG2または蓄電装置56の交換後の許容回生限度特性がその交換前に対して異なることが影響する上記学習値が選別され、その選別された学習値が更新されるが、そのような選別がなされずに、上記学習値(減速回生距離Lx)の全てが更新対象とされて更新されても差し支えない。
また、前述の実施例1,2において、学習値として記憶されている減速回生距離Lxまたは回生充電量ΔSOCが、第2電動機MG2または蓄電装置56が交換された場合に更新されるが、その更新される学習値としては減速回生距離Lxおよび回生充電量ΔSOC以外の学習値も考え得る。また、第2電動機MG2および蓄電装置56以外の車両6の搭載部品が交換された場合に学習値が更新されることも考え得る。
また、前述した複数の実施例はそれぞれ、例えば優先順位を設けるなどして、相互に組み合わせて実施することができる。