JP4090586B2 - 樋の設置構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉛直に設けられたパラペットと傾斜する屋根との交差部に、樋を設置する樋の設置構造に関するものである。
【0002】
【背景の技術】
一般の住宅の屋根は、例えば、切妻や寄棟等の形状を有し、屋根の軒先が住宅の外壁よりも外側にでるように構成されており、該屋根の軒先に樋が取付けられている。従って、例えば、住宅が隣との境に近接して建てられる場合には、軒先と樋が隣との境の内側に納まるように、屋根の形状を変更したり、軒の出の長さを調整する必要がある。
【0003】
そこで、住宅等の建物において、切妻屋根等の傾斜する屋根の軒先側において、外壁からパラペットを立ち上げ、このパラペットの内側において屋根の軒先を納めているものがある。このような建物では、屋根の軒先が外壁より外側に出ることがないので、住宅が隣との境に近接して建てられる場合に、屋根の軒の出を気にする必要がなく、また、屋根の軒先がパラペットによって隠れるので、独自のデザインとすることができる。
【0004】
ところで、上記のような住宅においては、前記パラペットと屋根の軒先との交差部に屋根に降った雨水が流入するので、この交差部に樋を設けて該雨水を樋を通じて排出する必要がある。この交差部に、屋根の軒先に取付けられる、溝状の樋を取付けると、該樋の側壁が屋根の上面から立ち上がってしまうので、屋根に降った雨水を集めることが困難となる。
【0005】
そこで、先に本出願人は、パラペットと屋根の軒先との交差部に樋を形成する技術について特許出願を行った(特願平9−188531号)。
この技術について、図2を参照して簡単に説明する。図2において、符号1はパラペット、符号2は屋根を示す。前記パラペット1は外壁3の上端部から立ち上げた壁であり、その上端部には笠木4が取付けられている。前記屋根2は勾配屋根であり、その先端部(軒先部)の上面には、断面三角形状の長尺な結合桁5が固定されている。この結合桁5と対向するパラペット1の内側の表面には桟材6が固定されており、この桟材6と結合桁5との間には、合板から架設板7が架け渡され、該架設板7の幅方向両端部はそれぞれ前記桟材6と結合桁5の上面に固定されている。
【0006】
前記架設板7より上方の、前記パラペット1の内側の表面、前記架設板7の上面、および前記屋根2の屋根本体8の先端部上面には、防水シート9がパラペット1の内側の表面から架設板7の上面を通って前記屋根本体8の先端部上面まで連続するようにして敷設されており、該防水シート9の端部は屋根本体8の上面に設けられた屋根材10の下側に挿入されている。
【0007】
さらに、前記パラペット1の内側の表面、前記架設板7の上面、および前記屋根2の屋根本体8の先端部上面には、それぞれ防水性を有するボード11が前記防水シート9の上から取付けられている。そして、これらボード11…によって形成された溝部が樋13とされている。なお、前記屋根本体8の先端部上面に取付けられたボード11の端部上面には、水切り板12の先端部が当接されており、この水切り板12の基端部は前記屋根材10の下側に挿入されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記樋13は、上述したように、パラペット1と屋根2の軒先との間、つまりパラペット1と屋根2との交差部に架設板7を取付けたうえで、パラペット1の内側の表面、架設板7の上面、および前記屋根2の屋根本体8の先端部上面に、それぞれ防水性を有するボード11を前記防水シート9の上から取付けることで形成されるので、つまり、樋13は、現場で作製しつつ設置されるものであるので、その作業に非常に手間がかかるという問題があった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、パラペットと傾斜する屋根との交差部に、樋を容易かつ確実に設置することができる樋の設置構造を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の樋の設置構造は、例えば図1に示すように、傾斜する屋根22の先端から離れた外壁23の上端部から立ち上がって鉛直に設けられたパラペット21と前記屋根22との交差部に、樋40を設置する樋の設置構造であって、前記交差部であって前記屋根22の先端と前記外壁23の間の隙間の上には、予め横断面略コ字状に形成された樋40がその開口を上方に向けて設けられ、この樋40の屋根側における縁部と、前記屋根22の上面との間には、屋根22の上面に降った雨水を樋40に流す流し板41が、樋40側に向けて下方に傾斜して設けられ、前記流し板41の基端部が屋根22の屋根材34の裏面側に挿入され、前記流し板41の先端部には、樋40の開口縁部から下方に向けて垂下する水切り部42が形成され、前記パラペット21の内側の表面には、樋40の開口縁部まで延出する水切り45が固定され、前記パラペット21の上端に笠木24が取り付けられ、前記パラペット21側における前記水切り45の端部が前記笠木24の内側に挿入され、反対側の端部が前記樋40の開口縁部まで延出され、前記パラペット21と前記屋根22との交差部には、支持金具36が前記樋40の長手方向に所定間隔をおいて配置され、前記支持金具36の一端部はパラペット21に固定され、前記支持金具36の他端部は屋根22の上面に固定され、該支持金具36によって前記樋40が下方から支持され、前記流し板が前記支持金具の他端部を上から覆っているものである。
【0011】
前記樋40は、例えば、金属製の帯板を断面コ字状に折曲することにより形成されたもので、その幅および深さは、パラペット21と屋根22との交差部に形成された凹部35の幅および深さに応じて適宜設定される。
前記流し板41は、金属製の帯板で形成されたもので、その先端部は樋40の内側まで延出される。
【0012】
請求項1の樋の設置構造においては、パラペット21と屋根22との交差部に、予め横断面略コ字状に形成された樋40を設けることによって、従来と異なり、樋を現場で作製しつつ設置する必要がない。また、この樋40の屋根側における縁部と、前記屋根22の上面との間に、屋根22の上面に降った雨水を樋40に流す流し板41を、樋側に向けて下方に傾斜して設けることで、屋根22に降った雨水は確実に樋40内に流入する。
したがって、パラペット21と傾斜する屋根22との交差部に、屋根に降った雨水が確実に流れ込む樋40容易かつ確実に設置することができる。
【0013】
また、パラペット21の内側の側面に、樋40の開口縁部まで延出する水切り45を固定したので、パラペット21上に降って該パラペット21の内側の表面を流れる雨水は、該パラペット21と樋40との間に侵入することなく、水切り45から樋40内に確実に流入する。
【0016】
前記支持金具36は、金属製の帯板を折曲することにより形成されたもので、樋40の下方に位置する部分は、樋40の外形に沿って折曲形成される。また、前記支持金具36は、必ずしも樋40の長手方向に延在するものである必要はなく、例えば、樋40の長手方向に所定間隔で配置すればよい。
【0017】
持金具36は、その一端部をパラペット21に固定し、他端部を屋根22の上面に固定することで、前記交差部に固定されるので、前記樋40は支持金具36によって、前記交差部に確実に固定される。また、樋40は支持金具36によって下方から支持されるので、樋40の撓みが防止される。
【0019】
し板41の基端部を屋根材34の裏面側に挿入したので、屋根材34上に降った雨水が流し板41の下側に回り込むことがなく、よって雨水が流し板41上を流れて確実に樋40内に流入する。
【0021】
し板41の先端部に、樋40の開口縁部から下方に向けて垂下する水切り部42を形成したので、流し板41上を流れる雨水は樋40の外面側に回り込むことなく、水切り部41から樋40内に確実に流入する。
【0022】
請求項2の樋の設置構造は、請求項1において、前記屋根32の先端と前記外壁23の間の隙間の上に、前記屋根23の先端部上面から前記樋40の下方を通って前記パラペット21の内側の表面に至る不燃材39を設けたものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図1を参照して本発明の実施の形態の一例について説明する。
図1は、本発明の樋の設置構造の一例を示す側断面であり、この図において符号21はパラペット、符号22は屋根を示す。パラペット21は外壁23の上端部から立ち上げた壁であり、その上端部には笠木24が取付けられるようになっている。また、前記パラペット21は、複数の壁パネル25を水平方向に連結するとともに、これら複数の壁パネル25上に頭つなぎ材26を固定することで構成されており、該壁パネル25の外側の表面には、サイディング(外壁材)27が取付けられている。なお、前記壁パネル25は、桟材25aを矩形枠状に組むとともに、該枠体の表裏両面に合板等からなる面材25b,25bを貼設したものである。
【0025】
前記外壁23は、パラペット21と同様に壁パネル28で構成されたものであり、その外側の表面には前記サイディング27が取付けられ、該壁パネル28の上端面には補強梁30が設けられている。なお、サイディング27は壁パネル25,28に胴縁29を介して取付けられており、これによって、サイディング27と壁パネル25,28との間には、通気用の隙間が形成されている。
【0026】
前記屋根22は、屋根パネル32と、該屋根パネル32の上面に防水性を有するルーフィング33を介して敷設された屋根材34とから構成されており、該屋根材34は、屋根パネル32の先端から所定の間隔をあけた位置から棟側に向けて敷設されている。屋根パネル32は、桟材32aを矩形枠状に組み、この枠体の上面に合板等からなる面材32bを貼設したものである。
【0027】
前記パラペット21と屋根22との交差部には谷状の凹部35が形成されており、この凹部35には支持金具36が配設されている。この支持金具36は金属製の帯板を折曲することによって形成されたもので、凹状をなす支持金具本体36aと、この支持金具本体36aの右上縁部から水平に延出され、その先端で屋根パネル32側に向けて折曲され、さらに、その先端で屋根パネル32の上面に当接するように折曲されてなる取付部36bとから構成されている。
前記支持金具本体36aは、後述する樋40の外形に沿って形成されたもので、その左右の上縁部は、水平段部36c,36cが形成されている。
【0028】
そして、上記構成の支持金具36は、その左上縁部を釘37によって前記壁パネル25の内側の表面に固定するとともに、取付部36bの先端部を釘38によって屋根パネル32の上面に固定することによって、前記凹部35に固定されている。また、前記支持金具36は、樋40の長手方向(図1において紙面と直交する方向)に所定間隔で固定されている。
なお、前記支持金具36の下側には、屋根パネル32の先端部上面から支持金具本体36aの下方を通って、前記壁パネル25の内側の上端部側面に至る不燃材39が設けられている。
【0029】
上記のようにして、凹部35に固定された支持金具36には樋40が支持されている。この樋40は、金属製の帯板を断面コ字状に折曲することにより形成された長尺なもので、その左右の上縁部には凸条40a,40aが形成されている。そして、該樋40はその開口を上方に向けた状態で、前記支持金具36の支持金具本体36aに上方から挿入され、該支持金具本体36の水平段部36c,36cに、樋40の凸条40a,40aを当接するとともに、支持金具本体36cの底部に樋40の底部を当接することで、支持金具36によって支持されている。
【0030】
また、前記樋40の屋根側における上縁部と、屋根パネル32の上面との間には、流し板41が樋側に向けて下方に傾斜して設けられている。この流し板41は、屋根22の上面に降った雨水を樋40に流し込むためのもので、金属製の帯板によって形成されている。また、前記流し板41の先端部は、樋40の内側まで延出されており、その先端部には、樋40の開口縁部から下方に向けて垂下する水切り部42が形成されている。このように水切り部42を形成することによって、流し板上41を流れる雨水は樋40の外面側に回り込むことなく、よって水切り部42から樋40内に確実に流入する。
さらに、前記流し板41の基端部は、屋根22の屋根材34の裏面側でかつルーフィング33の裏面側に挿入されている。したがって、屋根22上に降った雨水は流し板41の下側に回り込むことがなく、流し板41上を流れて確実に樋40内に流入する。
【0031】
また、前記パラペット21の内側の表面には水切り45が固定されている。この水切り45の上端部は前記笠木24の内側に挿入され、下端部は樋40の開口縁部まで延出されている。したがって、パラペット上21に降って該パラペットの内側の表面を流れる雨水は、該パラペット21と樋40との間に侵入することなく、水切り45から樋40内に確実に流入する。
【0032】
上記のような樋の設置構造では、パラペット21と屋根22との交差部に、予め横断面略コ字状に形成された樋40を設けることによって、従来と異なり、樋を現場で作製しつつ設置する必要がない。また、この樋40の屋根側における縁部と、屋根22の上面との間に流し板41を、樋側に向けて下方に傾斜して設けたので、屋根22に降った雨水は確実に樋40内に流入する。
したがって、パラペット21と屋根22との交差部に、屋根22に降った雨水が確実に流れ込む樋40を容易かつ確実に設置することができる。
また、支持金具36が、その一端部をパラペット21に固定し、他端部を屋根パネル32の上面に固定することで、前記交差部に固定されるので、前記樋40を支持金具36によって、前記交差部に確実に固定することができる。また、樋40は支持金具36によって下方から支持されるので、樋40の撓みを防止することができる。
【0033】
次に、前記樋40をパラペット21と屋根22との交差部に設置する方法について説明する。
すなわち、まず前記支持金具36を前記交差部に形成された凹部35に固定する。この固定は、支持金具本体36aの左上縁部を釘37によって前記壁パネル25の内側の表面に固定するとともに、取付部36bの先端部を釘38によって屋根パネル32の上面に固定することによって行う。また、該支持金具36は設置すべき樋40の長手方向に所定間隔で配置して固定する。
【0034】
次いで、前記支持金具36に樋40を取付ける。この取付けは、樋40をその開口を上方に向けた状態で、支持金具本体36aに上方から挿入し、該支持金具本体36の水平段部36c,36cに、樋40の凸条40a,40aを当接するとともに、支持金具本体36cの底部に樋40の底部を当接することで行い。これによって樋40は支持金具36によって下方から支持される。
【0035】
次いで、前記水切り45をパラペット21の内側の表面に固定した後、前記流し板41を取付ける。この流し板41の取付けは、その先端部の水切り部42を樋40の開口縁部から樋40内に差し込むとともに、該流し板41が樋側に向けて下方に傾斜するようにして配置したうえで、釘46を支持金具36の取付部36bに打ち込むことで行う。
【0036】
最後に、屋根パネル32の上面にルーフィング33を敷設するとともに、該ルーフィング33の先端部を前記流し板41の基端部上に被せ、さらに、ルーフィング33上に屋根材34を敷設する。これによって、流し板41の基端部は屋根材34の裏面側に挿入された状態となる。
【0037】
上記のように、パラペット21と屋根22の交差部に支持金具36を取付固定した後、樋40を該支持金具36上に取付けることで、該樋40を前記交差部に容易に設置することができる。
そして、設置された樋40の屋根側における縁部と、屋根22の上面との間に、流し板41を樋側に向けて下方に傾斜して取付けることで、樋40内に雨水を確実に流入させることができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1の樋の設置構造によれば、パラペットと屋根との交差部に、予め横断面略コ字状に形成された樋をその開口を上方に向けて設け、この樋の屋根側における縁部と屋根の上面との間に、流し板を樋側に向けて下方に傾斜して設けたので、従来と異なり、樋を現場で作製しつつ設置する必要がない。したがって、パラペットと傾斜する屋根との交差部に、屋根に降った雨水が確実に流れ込む樋を容易かつ確実に設置することができる。
また、前記パラペットの内側の表面に、樋の開口縁部まで延出する水切りを固定したので、パラペット上に降って該パラペットの内側の表面を流れる雨水が、該パラペットと樋との間に侵入することなく、よって雨水を水切りから樋内に確実に流入させることができる。
【0039】
また、前記パラペットと屋根との交差部に支持金具を配設し、この支持金具の一端部をパラペットに固定し他端部を屋根の上面に固定し、該支持金具によって前記樋を下方から支持したので、該支持金具によって樋を交差部に確実に固定することができる。また、樋は支持金具によって下方から支持されるので、樋の撓みを防止することができる。
【0040】
また、前記流し板の基端部を、屋根の屋根材の裏面側に挿入したので、屋根材上に降った雨水が流し板の下側に回り込むことがなく、よって雨水を流し板上を流して確実に樋内に流入させることができる。
【0041】
また、前記流し板の先端部に、樋の開口縁部から下方に向けて垂下する水切り部を形成したので、流し板上を流れる雨水が樋の外面側に回り込むことなく、よって雨水を水切り部から樋内に確実に流入させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樋の設置構造の一例を示す側断面図である。
【図2】従来の樋の設置構造の一例を示す側断面図である。
【符号の説明】
21 パラペット
22 屋根
34 屋根材
36 支持金具
40 樋
41 流し板
42 水切り部
45 水切り

Claims (2)

  1. 傾斜する屋根の先端から離れた外壁の上端部から立ち上がって鉛直に設けられたパラペットと前記屋根との交差部に、樋を設置する樋の設置構造であって、
    前記交差部であって前記屋根の先端と前記外壁の間の隙間の上には、予め横断面略コ字状に形成された樋がその開口を上方に向けて設けられ、
    この樋の屋根側における縁部と、前記屋根の上面との間には、屋根の上面に降った雨水を樋に流す流し板が、樋側に向けて下方に傾斜して設けられ、
    前記流し板の基端部は、屋根の屋根材の裏面側に挿入され、
    前記流し板の先端部には、樋の開口縁部から下方に向けて垂下する水切り部が形成され、
    前記パラペットの内側の表面には、樋の開口縁部まで延出する水切りが固定され
    前記パラペットの上端に笠木が取り付けられ、
    前記パラペット側における前記水切りの端部が前記笠木の内側に挿入され、反対側の端部が前記樋の開口縁部まで延出され
    前記パラペットと前記屋根との交差部には、支持金具が前記樋の長手方向に所定間隔をおいて配置され、前記支持金具の一端部はパラペットに固定され、前記支持金具の他端部は屋根の上面に固定され、該支持金具によって前記樋が下方から支持され、
    前記流し板が前記支持金具の他端部を上から覆っていることを特徴とする樋の設置構造。
  2. 請求項に記載の樋の設置構造において、
    前記屋根の先端と前記外壁の間の隙間の上には、前記屋根の先端部上面から前記樋の下方を通って前記パラペットの内側の表面に至る不燃材が設けられていることを特徴とする樋の設置構造。
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