JP4088538B2 - ナビゲーション装置の経路探索方法および交通情報表示方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナビゲーション装置に関し、特に車載用ナビゲーション装置の経路探索技術および交通情報表示技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、ナビゲーション装置において、ディスプレイに表示する地図上の所定道路の表示形態を渋滞度に応じて変化させる技術が開示されている。例えば、経路探索により探索された経路に前記所定道路が含まれている場合、前記所定道路の前記経路に含まれている部分を、過去の所定期間に収集された交通情報により判断される当該道路の渋滞度に応じた表示形態とする。ここで、過去の所定期間に収集された交通情報を所定の時間帯ごとに分類してもよい。このようして、道路の表示形態を決定するために採用する当該道路の交通情報を、時刻に合わせて変えることで、リアルタイムに変化する渋滞に合わせて当該道路の表示形態を変化させることができる。
【0003】
【特許文献1】
特開平10-82644号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載の技術では、過去に収集された交通情報を経路探索に利用することについて考慮されていないため、最小コスト(旅行時間)となる推奨経路を探索することができない可能性が高い。また、特許文献1に記載の技術では、道路の渋滞傾向が変化する条件として時間帯しか考慮していない。加えて、時間帯の変化による道路渋滞の変化を操作者が認識できるような表示形態について考慮していない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、過去に収集された交通情報を用いて、推奨経路をより精度よく探索できるようにすることにある。また、時間帯の変化による道路渋滞の変化を操作者が認識できるような表示形態で、道路の渋滞傾向をより詳細に場合分けして表示できるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の経路探索方法は、ナビゲーション装置の記憶装置に、地図上の道路を構成する各リンクのリンクデータを含む地図データを記憶しておく。また、過去に収集された前記各リンクの時間帯毎の、旅行時間あるいは移動速度を含む交通情報を記憶しておく。そして、ナビゲーション装置に、出発地、目的地および収集条件を設定する設定ステップと、前記記憶装置に記憶されている地図データ、および、前記記憶装置に記憶されている交通情報のうち前記設定ステップで設定された収集条件と各リンクの予想通過時間帯に対応する交通情報とを用いて、前記設定ステップで設定された出発地および目的地間の旅行時間が最も短くなる経路を推奨経路として探索する経路探索ステップと、を行わせる。
【0007】
このように、収集条件に合致した各リンクの交通情報を用いることで、最小コスト(旅行時間)となる推奨経路を精度よく探索することが可能となる。
【0008】
また、本発明の交通情報表示方法は、ナビゲーション装置の記憶装置に、地図上の道路を構成する各リンクのリンクデータを含む地図データを記憶しておく。また、過去に収集された交通情報の統計値より定まる前記各リンクの時間帯毎の渋滞度を示す統計データを、交通情報の収集条件毎に分類して記憶しておく。そして、ナビゲーション装置に、収集条件を設定する設定ステップと、表示装置に表示している地図の地図データに含まれる各リンクの統計データのうち前記設定ステップで設定された収集条件と予想通過時間帯に対応する統計データを、前記記憶装置から読み出す読出しステップと、前記読み出した統計データにより特定される各リンクの時間帯毎の渋滞度を、表示装置に表示している地図上に重ねて表示する交通情報表示ステップと、を行わせる。
【0009】
このように、収集条件に合致した各リンクの統計データを用いることで、道路の渋滞傾向をより詳細に場合分けして表示することが可能となる。また、リンクの統計データが示す時間帯毎の渋滞度を、地図中の当該リンク上に重ねて表示するので、時間帯の変化による道路渋滞の変化の把握が容易になる。
【0010】
本発明において、収集条件に、平日、休日、行事日(盆、正月など)といった日の種類、および、晴れ、雨、雪といった天気の種類の少なくとも1つを含めるとよい。道路の渋滞は、日の種類や天気の種類によって異なる傾向を示す。そこで、統計データを、その元となる交通情報の収集条件である日の種類や天気の種類毎に分類して記憶しておくことで、本発明の経路探索方法では、最小コスト(旅行時間)となる推奨経路をより精度よく探索することが可能となる。また、本発明の交通情報表示方法では、道路の渋滞傾向をより適切に場合分けして表示することが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の概略構成図である。
【0013】
図示するように、本実施形態の車載用ナビゲーション装置は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、地図・統計交通データ記憶装置3と、音声入出力装置4と、入力装置5と、車輪速センサ6と、地磁気センサ7と、ジャイロセンサ8と、GPS(Ground Positioning System)受信装置9と、天気情報受信装置10と、車内LAN装置11と、を有する。
【0014】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば、各種センサ6〜8やGPS受信装置9から出力される情報を基にして現在地を検出し、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データを地図・統計交通データ記憶装置3から読み出す。また、読み出した地図データをグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ2へ表示したり、地図・統計交通データ記憶装置3に記憶されている地図データおよび統計交通データを用いて、ユーザから指示された目的地と出発地(例えば現在地)とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索し、音声入出力装置4やディスプレイ2を用いてユーザを誘導する。
【0015】
ディスプレイ2は、演算処理部1で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットで、CRTや液晶ディスプレイなどで構成される。また、演算処理部1とディスプレイ2との間の信号S1は、RGB信号やNTSC(National Television System Committee)信号で接続するのが一般的である。
【0016】
地図・統計交通データ記憶装置3は、CD-ROMやDVD-ROMやHDDやICカードといった記憶媒体で構成されている。この記憶媒体には、地図データおよび統計交通データが記憶されている。
【0017】
図2は、地図・統計交通データ記憶装置3に記憶されている地図データの構成例を示す図である。図示するように、地図を複数に分割することで得られるメッシュ領域毎に地図データ31が記憶されている。地図データ31は、メッシュ領域の識別コード(メッシュID)311、および、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ312を有する。リンクデータ312は、リンクの識別コード(リンクID)3121、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報3122、リンクを含む道路の種別情報3123、リンクの長さを示すリンク長情報3124、リンクの旅行時間(あるいは移動速度)情報3125、2つのノードにそれぞれ接続するリンクのリンクID(接続リンクID)3126などを有する。なお、ここでは、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードとを区別することで、同じ道路の上り方向と下り方向とを、それぞれ別のリンクとして管理するようにしている。また、地図データ31には、対応するメッシュ領域に含まれている道路以外の地図構成物の情報(名称、種別、座標情報など)も含まれている。
【0018】
図3は、地図・統計交通データ記憶装置3に記憶されている統計交通データの構成例を示す図である。図示するように、上述のメッシュ領域毎に統計交通データ32が記憶されている。統計交通データ32は、メッシュ領域のメッシュID321、および、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクの交通情報統計値(過去に収集された交通情報の統計値)を管理するための管理データ322を有する。メッシュID321は、地図データ31のメッシュID311と同じもの用いている。管理データ322は、階層構造を有する複数のテーブル3221〜2224で構成されている。
【0019】
テーブル3221は、日の種類を登録するテーブルである。日の種類は、交通情報統計値が異なる傾向を示す単位毎に定めるとよい。ここでは、日の種類として、休日前の平日「平日(休日前)」、休日明けの平日「平日(休日後)」、盆、正月などといった特異日前の平日「平日(特異日前)」、特異日明けの平日「平日(特異日後)」、その他の平日「平日(一般)」、特異日の初日「休日(特異日初め)」、特異日の終日「休日(特異日終り)」、その他の休日「休日(一般)」を含めている。
【0020】
テーブル3222は、天気の種類を登録するためのテーブルであり、テーブル3221に登録されている日の種類毎に設けられている。天気の種類は、交通情報統計値が異なる傾向を示す単位毎に定めるとよい。ここでは、天気の種類として、「晴れ・曇り」、「雨」、「大雨」、「雪」、「大雪」を含めている。
【0021】
テーブル3223は、メッシュID321により登録されるメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクIDを登録するためのテーブルであり、テーブル3222に登録されている天気の種類毎に設けられている。リンクIDは、地図データ31のリンクID3121と同じもの用いている。
【0022】
テーブル3224は、時間帯毎の交通情報統計値を登録するためのテーブルであり、テーブル3223に登録されているリンクID毎に設けられている。時間帯毎の交通情報統計値は、これらの元となる複数の交通情報により特定されるリンク旅行時間(あるいは移動速度)、リンク旅行時間(あるいは移動速度)のばらつき度(分散度)、リンク渋滞度、および、前記複数の交通情報の入手元となる情報源(VICSなど)を含んでいる。また、時間帯毎の交通情報統計値は、これらの元となる交通情報の収集条件(元となる交通情報が収集された日の種類および天気の種類)と対象のリンクとによって分類される。つまり、あるテーブル3224に登録されている時間帯毎の交通情報統計値の対象リンクは、このテーブル3224に対応付けられているテーブル3223のリンクIDにより特定されるリンクであり、これらの統計値の元となる交通情報は、このリンクIDが登録されているテーブル3223に対応付けられているテーブル3222の天気の種類により特定される天気であって、かつ、この天気の種類が登録されているテーブル3222に対応付けられているテーブル3221の日の種類により特定される日に収集された交通情報である。
【0023】
なお、上述のように、交通情報統計値には、リンク渋滞度(図3では、渋滞、混雑および順調の3レベル)が含まれている。一般に、渋滞度を算出するには、各リンクの制限速度と交通情報統計値から得られる移動速度(リンク長と旅行時間から算出)を比較し決定する必要がある。渋滞度を予めを交通情報統計値に含めておくことで、各リンクの渋滞度を、各リンクの制限速度情報を用いることなく決めることができるので、リンクデータに制限速度情報をもたせる必要がなくなる。これにより、リンクデータのデータサイズを小さくできる。
【0024】
また、交通情報統計値には、これらの元となる複数の交通情報の入手元についての情報である情報源が含まれている。情報源を予めを交通情報統計値に含めておき、表示に利用することで、交通情報統計値の確からしさをユーザに判断させることが可能となる。
【0025】
また、交通情報統計値には、これらの元となる複数の交通情報により特定されるリンク旅行時間のばらつき度(分散度)が含まれている。ばらつき度を予めを交通情報統計値に含めておき、表示に利用することで、交通情報統計値より特定されるリンク旅行時間の信頼度をユーザに判断させることが可能となる。
【0026】
なお、地図・統計交通データ記憶装置3には、上述の地図データおよび統計交通データの他に、座標情報からその座標情報により特定される地点を含むメッシュ領域のメッシュIDを特定するための変換テーブル(第1変換テーブルと呼ぶこととする)が記憶されている。また、年月日からテーブル3221で管理されている日の種類を特定するための変換テーブル(第2変換テーブルと呼ぶこととする)が記憶されている。
【0027】
図15は、第2変換テーブルの構成例を示す図である。図示するように、日付331と、その日付331に対応する日の種類332とが対応付けられて登録されている。このような第2変換テーブルを用いることで、日付より日の種類を簡単に特定することができる。例えば、計算ロジックにより日付から日の種類を特定する処理を、車載用ナビゲーション装置に組み込まれたソフトウエアで実行する場合、日の種類の分類をさらに細分化するためには、車載用ナビゲーション装置に組み込まれているソフトウエアを書き換えなければならない。また、年末、盆、GWといった特異日の特定処理が複雑になる。この点、本実施形態では、図15に示すような変換テーブルを用いているので、地図・統計交通データ記憶装置3を構成するDVD-ROMやCD-ROMを交換するだけで、車載用ナビゲーション装置に組み込まれているソフトウエアの変更なしで、分類の細分化に対応することができる。また、特異日も変換テーブルから特定できるようにすることで、複雑な処理なしに対応することができる。
【0028】
図1に戻って説明を続ける。音声入出力装置4は、演算処理部1で生成したユーザへのメッセージを音声信号に変換し出力すると共に、ユーザが発した声を認識し演算処理部1にその内容を転送する処理を行う。
【0029】
入力装置5は、ユーザからの指示を受け付けるユニットで、スクロールキー、縮尺変更キーなどのハードスイッチ、ジョイスティック、ディスプレイ上に貼られたタッチパネルなどで構成される。
【0030】
センサ6〜8およびGPS受信装置9は、車載用ナビゲーション装置で現在地(自車位置)を検出するために使用するものである。車輪速センサ6は、車輪の円周と計測される車輪の回転数の積から距離を測定し、さらに対となる車輪の回転数の差から移動体が曲がった角度を計測する。地磁気センサ7は、地球が保持している磁場を検知し、移動体が向いている方角を検出する。ジャイロ8は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体が回転した角度を検出するものである。GPS受信装置9は、GPS衛星からの信号を受信し移動体とGPS衛星間の距離と距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在地、進行方向および進行方位を測定する。
【0031】
車内LAN装置11は、本実施形態の車載用ナビゲーション装置が搭載された車両の様々な情報、例えばドアの開閉情報、ライトの点灯状態情報、エンジンの状況や故障診断結果などを受ける。
【0032】
そして、天気情報受信装置10は、例えばFM多重放送を利用して、天気情報の提供サービスを行う気象センタなどから天気情報を入手する。ここで、天気情報は、対象とする地域に含まれるメッシュ領域のメッシュID(地図データ31のメッシュID311と同じもの)、その対象地域の天気の種別(統計交通データ32のテーブル3222に登録されている天気の種類)、および、その天気が続く時間帯(対象時間帯と呼ぶ)の情報を含んでいる。
【0033】
なお、天気情報受信装置10を設ける代わりに、本実施形態の車載用ナビゲーション装置が搭載された車両のワイパー作動状況や、当該車両に搭載された外気温センサの検出値を、車内LAN装置11を介して受信し、その受信結果に基づいて天気を判断する手段を設けてもよい。
【0034】
図4は、演算処理部1のハードウェア構成を示す図である。
【0035】
図示するように、演算処理部1は、各デバイス間をバス32で接続した構成としてある。演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Prosessing Unit)21と、地図・統計交通データ記憶装置3から読み出した地図データ、統計交通データや演算データを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、メモリ間およびメモリと各デバイスとの間のデータ転送を実行するDMA(Direct Memory Access)24と、グラフィックス描画を実行し且つ表示制御を行う描画コントローラ25と、グラフィックスイメージデータを蓄えるVRAM(Video Random Access Memory)26と、イメージデータをRGB信号に変換するカラーパレット27と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器28と、シリアル信号をバスに同期したパラレル信号に変換するSCI(Serial Communication Interface)29と、パラレル信号をバスに同期させてバス上にのせるPIO(Parallel Input/Output)30と、パルス信号を積分するカウンタ31と、を有する。
【0036】
図5は、演算処理部1の機能構成を示す図である。
【0037】
図示するように、演算処理部1は、ユーザ操作解析部41と、経路探索部42と、経路記憶部43と、経路誘導部44と、地図表示処理部45と、現在位置演算部46と、マップマッチ処理部47と、データ読込部48と、軌跡記憶部49と、メニュー表示処理部50と、グラフィックス処理部51と、を有する。
【0038】
現在位置演算部46は、車輪速センサ6で計測される距離パルスデータS5およびジャイロ8で計測される角加速度データS7を各々積分した結果得られる距離データおよび角度データを用い、そのデータを時間軸で積分していくことにより、初期位置(X,Y)から自車走行後の位置である現在地(X′,Y′)を定期的に演算し、マップマッチ処理部47に出力する処理を行う。ここで、自車の回転した角度と進む方位との関係を一致させるため、地磁気センサ7から得られる方位データS6と、ジャイロ8から得られる角加速度データS7を積分した角度データとを参照して、自車が進行している方向の絶対方位を推定する。なお、車輪速センサ6のデータおよびジャイロ8のデータを各々積分してゆくと、誤差が蓄積するため、ある時間周期でGPS受信装置9から得られた位置データS8をもとに蓄積した誤差をキャンセルするという処理を施して、現在地の情報をマップマッチ処理部47に出力する。
【0039】
マップマッチ処理部47は、データ読込部48によって読み込まれた現在地周辺の地図データと、後述する軌跡記憶部49に記憶されている走行軌跡とを互いに照らし合わせ、形状の相関が最も高い道路(リンク)上に、現在位置演算部46より出力された現在地を合わせ込むというマップマッチ処理を行う。現在位置演算部46で得られる現在地の情報にはセンサ誤差が含まれているため、さらに位置精度を高めることを目的に、マップマッチ処理を行う。これにより、現在地は、多くの場合、走行道路と一致するようになる。
【0040】
軌跡記憶部49は、マップマッチ処理部47でマップマッチ処理が施された現在地の情報を、軌跡データとして自車が所定距離走行する度に記憶する。なお、この軌跡データは、これまで走行してきた道路につき、対応する地図上の道路に軌跡マークを描画するために用いられる。
【0041】
ユーザ操作解析部41は、入力装置5に入力されたユーザからの要求を受け、その要求内容を解析して、その要求内容に対応する処理が実行されるように演算処理部1の各部を制御する。例えば、ユーザが推奨経路の探索を要求したときは、出発地および目的地を設定するため、地図をディスプレイ2に表示する処理を地図表示部45に要求し、さらに、出発地から目的地までの経路を演算する処理を経路探索部42に要求する。
【0042】
経路探索部42は、ダイクストラ法等を用いて、指定された2地点(出発地、目的地)間を結ぶ経路のうち最も短い時間で目的地へ到達可能な経路(コスト(旅行時間)の最も少ない経路)を、地図データから検索し、その結果得られた経路を推奨経路として経路記憶部43に蓄える。なお、本実施形態では、2地点間を結ぶ経路のコスト計算のために、地図・統計交通データ記憶装置3に記憶されている統計交通データ、つまり、日の種類や天気の種類などの条件毎に分類された各リンクの時間帯毎の交通情報統計値を用いるようにしている(図3参照)。
【0043】
経路誘導部44は、経路記憶部43に蓄えられた推奨経路の情報と、マップマッチ処理部47から出力された現在地の情報とを比較し、交差点等を通過する前に直進すべきか、右左折すべきかを音声出入力装置4を用いて音声でユーザに知らせたり、ディスプレイ2に表示された地図上に進行すべき方向を表示して、ユーザに推奨経路を通知する。
【0044】
また、経路誘導部44は、現在時刻と地図・統計交通データ記憶装置3に記憶されている統計交通データとを用いて、マップマッチ処理部47から出力された現在地から目的地までの予想旅行時間を計算する。そして、計算した予想旅行時間を現在時刻に加算することで、目的地への予想到着時刻を算出し、ユーザに通知する。
【0045】
さらに、経路誘導部44は、推奨経路の出発地からマップマッチ処理部47より出力された現在地に至るまでに要した実際の旅行時間を計測する。そして、この旅行時間と、経路探索部42がこの推奨経路の探索に用いたコスト(旅行時間)のうち前記出発地から前記現在地に至るまでの区間のコストとを比較し、その比較結果に応じて推奨経路の再探索の必要性を判断する。再探索の必要性ありと判断した場合には、マップマッチ処理部47から出力された現在地を出発地とし、現在時刻を出発時刻として、推奨経路の再探索を経路探索部42に要求する。
【0046】
データ読込部48は、ディスプレイ2への表示が要求される領域や、経路探索のために要求される領域(出発地および目的地を含む領域)にある地図データおよび統計交通データを、地図・統計交通データ記憶装置3から読み込み準備するように動作する。
【0047】
地図表示処理部45は、ディスプレイ2への表示が要求される領域にある地図データをデータ読込部48から受け取り、グラフィック処理部51が、指定された縮尺、描画方式で、道路、その他の地図構成物や、現在地、目的地、誘導経路のための矢印といったマークを描画するように、地図描画コマンドを生成する。また、ユーザ操作解析部41から出力される命令を受けて、ディスプレイ2への表示が要求される統計交通データをデータ読込部48から受け取り、ディスプレイ2に表示中の地図上に、各道路の交通情報統計値を重ねて表示するように、地図描画コマンドを生成する。
【0048】
メニュー表示処理部50は、ユーザ操作解析部41から出力される命令を受け、グラフィック処理部51が、様々な種類のメニューやグラフなどを描画するようにメニュー描画コマンドを生成する。
【0049】
グラフィックス処理部51は、地図表示処理部45およびメニュー表示処理部50で生成されたコマンドを受け、ディスプレイ2に表示する画像データをVRAM26にイメージ展開する。
【0050】
次に、上記構成の車載用ナビゲーション装置の動作について説明する。
【0051】
まず、推奨経路探索動作について説明する。
【0052】
図6は、本実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の推奨経路探索動作を説明するためのフロー図である。このフローは、ユーザ操作解析部41が、音声入出力装置4あるいは入力装置5を介してユーザより推奨経路の探索要求を受け付けることで開始される。
【0053】
まず、ユーザ操作解析部41は、出発地、目的地および出発時刻を経路探索部43に設定する(S1001〜S1003)。
【0054】
ここで、設定する出発地および目的地は、ユーザ操作解析部41が、メニュー表示処理部50およびグラフィックス処理部51を介してディスプレイ2に、データ読込部48を介して地図・統計交通データ記憶装置3から読み込んだ地図データに登録されている地図構成物の情報を表示させ、音声入出力装置4あるいは入力装置5を介してユーザより、この表示中の地図構成物の情報の中から選択させるようにしてもよい。あるいは、ユーザによって予めRAM22などの記憶装置に登録されている地点(登録地)の情報を表示させ、音声入出力装置4あるいは入力装置5を介してユーザより、この表示中の登録地の情報の中から選択させるようにしてもよい。さらには、ユーザ操作解析部41が、地図表示処理部45およびグラフィックス処理部51を介してディスプレイ2に、データ読込部48を介して地図・統計交通データ記憶装置3から読み込んだ地図データより特定される地図を表示させ、音声入出力装置4あるいは入力装置5を介してユーザより、地図上にて地点の指定を受け付けることで、選択されるようにしてもよい。
【0055】
なお、現在地を出発地に設定する場合は、ユーザによる出発地の指定を省略してもよい。また、現在時刻を出発時刻に設定する場合も、ユーザによる出発時刻の指定を省略してもよい。なお、本実施形態では、出発時刻を複数設定することが可能である。例えば、音声入出力装置4あるいは入力装置5を介してユーザより出発時刻を複数設定する旨の指示があった場合、ユーザ操作解析部41は、現在時刻あるいはユーザの指定時刻を最初の出発時刻として、所定時間間隔毎の複数の出発時刻を設定する。
【0056】
さて、以上のようにして出発地、目的地および出発時刻が経路探索部42に設定されたならば、ユーザ操作解析部41は、経路探索部42に経路探索指示を出力する。
【0057】
これを受けて、経路探索部42は、データ読込部48を介して地図・統計交通データ記憶装置3より、座標情報からその座標情報により特定される地点を含むメッシュ領域のメッシュIDを特定するための第1変換テーブルを読み出す。そして、第1変換テーブルを用いて、設定された出発地および目的地を含む領域に含まれる各メッシュ領域のメッシュIDを特定する。次に、データ読込部48を介して地図・統計交通データ記憶装置3より、特定したメッシュIDを持つ地図データ31各々に登録されている各リンクデータ312を入手する(S1004)。次に、データ読込部48を介して地図・統計交通データ記憶装置3より、年月日から統計交通データ32のテーブル3221で管理されている日の種類を特定するための第2変換テーブルを読み出す。そして、第2変換テーブルを用いて、今日(出発日)の日の種類を特定する(S1005)。
【0058】
なお、出発日の日付が第2変換テーブルに登録されていない場合は、計算ロジックにより日付から日の種類を特定する処理を、車載用ナビゲーション装置に組み込まれたソフトウエアで実行することで、出発日に対応する日の種類を特定するようにしてもよい。このようにすることで、第2変換テーブルに登録されている日付の範囲を超えた場合でも、処理を継続実行させることができる。
【0059】
さて、経路探索部43は、S1006で地図・統計交通データ記憶装置3から読み込んだリンクデータ312を用いて、後述するS1012でヒープテーブルから抽出されたリンク(抽出リンクと呼ぶ)の終了ノードを開始ノードとするリンクを、推奨経路を構成するリンクの候補(候補リンクと呼ぶ)として選出する。ただし、S1012での処理が行われていない場合、つまり、ヒープテーブルにリンクが登録されていない初期段階では、抽出リンクの終了ノードを開始ノードとするリンクを候補リンクとして選出する代わりに、出発地が存在あるいは出発地に近接する少なくとも1つのリンクを、候補リンクとして選出する(S1006)。
【0060】
ここで、ヒープテーブルとは、候補リンクのリンクデータを、出発地から当該候補リンクの終了ノードまでの総コスト(総旅行時間)と共に登録するためのテーブルであり、メモリ等の記憶装置に記憶される。
【0061】
次に、経路探索部43は、抽出リンクの終了ノードへの到着予想時刻を算出する。これは、出発時刻に、ヒープテーブルに登録されている抽出リンクの総コスト(総旅行時間)を加算することで算出できる。また、経路探索部43は、第1変換テーブルを用いて、抽出リンクの終了ノードが位置するメッシュ領域のメッシュIDを特定する。ただし、S1012での処理が行われていない場合、つまり、ヒープテーブルにリンクが登録されていない初期段階では、出発地が位置するメッシュ領域のメッシュIDを特定する。そして、天気情報受信装置10を介して天気情報の提供サービスを行う気象センタなどから、特定したメッシュIDと、抽出リンクの終了ノードへの到着予想時刻が属する対象時間帯(注目時間帯と呼ぶ)とを有する天気情報を入手する(S1007)。
【0062】
なお、車内LAN装置11を介して受信したワイパーの作動状況情報や外気温情報から天気を判断する手段が設けられている場合は、天気情報受信装置10の代わりに当該手段が判断した天気情報を入手してもよい。
【0063】
次に、経路探索部43は、地図・統計交通データ記憶装置3に記憶されているS1007で特定したメッシュIDを持つ統計交通データ32に、データ読込部48を介してアクセスする。そして、この統計交通データ32の管理データ322を用いて、候補リンク各々について、注目時間帯の交通情報統計値であって、且つ、S1005で特定した日の種類およびS1007で入手した天気情報により特定される天気の種類に対応付けられている交通情報統計値を入手する(S1008)。
【0064】
それから、経路探索部43は、候補リンク各々について、S1008で入手した交通情報統計値を用いて当該候補リンクのコスト(旅行時間)を求める(S1009)。交通情報統計値に旅行時間が含まれている場合は、これをコストとする。旅行時間の代わりに移動速度が含まれている場合は、この移動速度とリンクデータより特定されるリンク長とを用いてリンクの旅行時間を計算し、これをコストとする。なお、候補リンクのうち、S1008で交通情報統計値を入手できなかったものがある場合、このリンク候補のリンクデータ312に含まれている旅行時間、あるいは、当該リンクデータに含まれている移動速度およびリンク長を用いて計算したリンクの旅行時間を、当該候補リンクのコストとする。
【0065】
次に、経路探索部43は、候補リンク各々の総コスト(出発地から候補リンクの終了ノードまでの総旅行時間)を算出する。具体的には、ヒープテーブルに登録されている抽出リンクの総コストに、S1009で算出した候補リンクのコストを加算し、その加算結果を当該候補リンクの総コストとする。ただし、ヒープテーブルに抽出リンクが登録されていない初期段階では、S1009で算出した候補リンクのコストを当該候補リンクの総コストとする。それから、経路探索部43は、候補リンク各々のリンクデータおよび総コストをヒープテーブルに追加する(S1010)。
【0066】
次に、経路探索部43は、直前に行ったS1010にてヒープテーブルに新たに追加されたリンクの中に、目的地が存在あるいは目的地に近接するリンク(目的地リンクと呼ぶ)があるか否かを調べる(S1011)。
【0067】
S1011において目的地リンクがないと判断したならば、経路探索部43は、ヒープテーブルに登録されているリンクの情報を総コストの小さい順にソートし、最初に位置するリンクを抽出するなどして、ヒープテーブルから総コストが最小のリンクを抽出する(S1012)。それから、S1006に戻る。
【0068】
一方、S1011において目的地リンクがあると判断したならば、経路探索部43は、推奨経路決定処理を行う。具体的には、ヒープテーブルから、目的地リンクを発生させたリンク(目的地リンクの開始ノードを終了ノードとするリンクと呼ぶ)を検索し、検出したリンクを推奨経路を構成するリンク(構成リンクと呼ぶ)に決定する。次に、構成リンクが、出発地が存在あるいは出発地に近接するリンク(出発地リンクと呼ぶ)であるか否かを調べ、出発地リンクでないならば、この構成リンクを発生させたリンクを検索し、検出したリンクを構成リンクに決定して、それが出発リンクであるか否かをさらに調べる。この処理を、構成リンクが出発リンクであると判断されるまで繰り返すことで、推奨経路を構成する各構成リンクを決定する。それから、経路探索部43は、設定された出発時刻における推奨経路の情報として、推奨経路を構成する各構成リンクのリンクデータ312およびS1008で入手した交通情報統計値を、経路記憶部44に記憶する(S1013)。
【0069】
さて、経路探索部43は、S1013によりある出発時刻における推奨経路の情報を経路記憶部44に登録したならば、S1003で設定された全ての出発時刻(上述したように、複数の出発時刻を設定することが可能である)について、推奨経路の情報を経路記憶部44に登録したか否かを調べる。登録していないならば(S1014でNo)、ヒープテーブルの登録内容をクリアすると共に、S1003で設定された出発時刻であって推奨経路を探索していない出発時刻を、次に推奨経路を探索すべき出発時刻に設定し(S1015)、S1006に戻る。一方、全て登録したならば(S1014でYes)、S1016に移行して推奨経路の表示処理を行う。
【0070】
以上の処理により、推奨経路を構成する各構成リンクの旅行時間は、次のようになる。すなわち、推奨経路を構成する1番目のリンクの旅行時間として、出発時刻を含む時間帯に対応する交通情報統計値より求まる旅行時間が用いられる。また、推奨経路を構成するn番目(n≧2)のリンクの旅行時間として、当該n番目のリンクと接続するn-1番目のリンクの終了ノードへの予想到着時刻を含む時間帯に対応する交通情報統計値より求まる旅行時間が用いられる。
【0071】
図7は、図6のS1018における推奨経路の表示処理を説明するためのフロー図である。
【0072】
まず、経路探索部42は、経路記憶部44に登録した推奨経路の情報を用いて、当該推奨経路の予想旅行時間および目的地への予想到着時刻を求める(S2001)。
【0073】
具体的には、推奨経路の情報として経路記憶部44に登録されている、推奨経路を構成する各リンクのリンクデータおよび交通情報統計値を用いて、図6のS1009と同様の要領により各リンクのコストを算出する。そして、推奨経路を構成する各リンクのコストの総和を当該推奨経路の予想旅行時間とする。また、出発時刻にこの予想到着時間を追加した時刻を目的地への予想到着時刻とする。
【0074】
なお、経路記憶部43に、同じ出発地および目的地に対して出発時刻を異ならせた複数の推奨経路の情報が登録されている場合は、前記複数の推奨経路毎に予想旅行時間および予想到着時刻を求める。
【0075】
次に、経路探索部42は、S2001で求めた予想旅行時間および予想到着時刻の信頼度・推定誤差を求める(S2002)。
【0076】
具体的には、推奨経路の情報として経路記憶部44に登録されている、推奨経路を構成する各リンクの交通情報統計値に含まれるばらつき度を用いて、S2001で求めた推奨経路を構成する各リンクのコストの誤差を算出する。例えば、ばらつき度「小」の場合は誤差率3%、ばらつき度「中」の場合は誤差率5%、そして、ばらつき度「大」の場合は誤差率10%とする。そして、リンクのコストに、当該リンクのばらつき度に対応する誤差率を乗算して、当該リンクの誤差を算出する。この処理を推奨経路を構成する各リンクに対して行う。なお、交通情報統計値が登録されていないリンクについては、そのリンクのコストに所定の誤差率を乗じて当該リンクの誤差を算出する。ここで、所定の誤差率は、交通情報統計値が登録されているリンクの誤差率よりも大きくなるように(例えば15%)とするとよい。
【0077】
次に、各リンクのコストの誤差の総和を算出し、これを予想旅行時間および予想到着時刻の推定誤差とする。また、推定誤差の予想旅行時間に対する割合(誤差率)を求め、その値に応じて予想旅行時間および予想到着時刻の信頼度を決定する。例えば、前記割合が5%未満ならば信頼度「高」、10%未満ならば信頼度「中」、そして、10%以上ならば信頼度「低」に決定する。
【0078】
なお、S2001で複数の推奨経路毎に予想旅行時間および予想到着時刻が求められているならば、前記複数の推奨経路毎に予想旅行時間および予想到着時刻の信頼度・推定誤差を求める。
【0079】
次に、経路探索部42は、推奨経路の渋滞レベル表示区間および各表示区間の渋滞レベルを決定する(S2003)。本実施形態では、推奨経路を複数の区間(渋滞レベル表示区間)に分け、区間単位で渋滞レベルをディスプレイ2に表示できるようにしている。S2003ではこの区間を決定する処理を行う。
【0080】
この処理は、例えば次のようにして行う。すなわち、推奨経路を構成する各リンクの交通情報統計値に含まれる渋滞度を参照し、隣接するリンクが互い同じ渋滞レベルである場合、両リンクを同じ渋滞レベル表示区間に割り当てる。そして、当該区間を前記同じ渋滞レベルに設定する。
【0081】
あるいは、推奨経路を構成する各リンクの交通情報統計値に含まれる移動速度、もしくは、旅行時間およびリンクデータに含まれているリンク長より求まる移動速度の平均値を参照し、隣接するリンク各々の移動速度の平均値が、予め設定された複数の移動速度帯のうちの同じ移動速度帯に属し、且つ、前記隣接するリンク各々のリンクデータに含まれている道路種別や制限速度が同じである場合、前記隣接するリンク各々を同じ渋滞レベル表示区間に割り当てる。そして、当該区間を、前記移動速度帯と前記道路種別との組み合わせや、前記移動速度帯と前記制限速度と比に応じた渋滞レベルに設定する。
【0082】
あるいは、推奨経路を複数リンク毎に分割し、その結果得られた区間各々を渋滞レベル表示区間に設定する。そして、渋滞レベル表示区間各々について、当該区間に含まれる複数リンクの交通情報統計値に含まれている移動速度の平均値、もしくは、旅行時間の平均値および前記複数リンクのリンクデータに含まれているリンク長の総和より求まる移動速度の平均値を求める。また、前記複数リンクのリンクデータに含まれている制限速度の平均値を求める。そして、渋滞レベル表示区間各々について、当該区間の渋滞レベルを、前記移動速度の平均値と前記制限速度と比に応じた渋滞レベルに設定する。
【0083】
なお、交通情報統計値を持たないリンクについては、渋滞レベル不明の渋滞レベル表示区間として取り扱う。
【0084】
なお、S2001で複数の推奨経路毎に予想旅行時間および予想到着時刻が求められているならば、前記複数の推奨経路毎に渋滞レベル表示区間および各表示区間の渋滞レベルを決定する。
【0085】
以上のようにして、各推奨経路の予想旅行時間・予想到着時刻、信頼度・推定誤差、および、渋滞レベル表示区間・各区間の渋滞レベルが決定されたならば、経路探索部42は、これらの情報を、出発地、目的地、各推奨経路の出発時刻、および、各推奨経路の、当該経路を構成する各リンクの交通情報統計値に含まれる交通情報統計値の情報源と共に、メニュー表示処理部50に渡して、推奨経路表示を指示する。これを受けて、メニュー表示処理部50は、グラフィックス処理部51を介してディスプレイ2に、推奨経路を、予想旅行時間・予想到着時刻、および、渋滞レベル表示区間・各区間の渋滞レベルが分かるようにグラフ表示する。また、推奨経路の信頼度・推定誤差、および、予想旅行時間・予想到着時刻の算出に用いた交通情報統計値の情報源も表示する(S2004)。
【0086】
図8は、推奨経路のグラフ表示の一例を示している。この例では、同じ出発地801および目的地802について、それぞれ出発時刻803を異ならせた複数の推奨経路の情報が表示されている場合を示している。各推奨経路のグラフ804の長さはその予想旅行時間806に比例しており、操作者は、どの出発時刻における推奨経路が最も旅行時間が短いかを判断することができる。
【0087】
また、グラフ804は、渋滞レベル805を示す少なくとも1つの渋滞レベル表示区間で構成されており、この表示区間の長さも当該区間の旅行時間に比例している。操作者は、渋滞レベルの高い渋滞レベル表示区間のグラフに示す割合を確認することにより、各推奨経路の混雑状況を判断することができる。
【0088】
また、各推奨経路の予想旅行時間(予想到着時刻)806に対応付けられて、予想旅行時間(予想到着時刻)の信頼度(推定誤差)807が表示されており、操作者は、各推奨経路を使った場合に、どの程度の誤差が生じる可能性があるかを確認することができる。さらに、各推奨経路の予想旅行時間(予想到着時刻)806に対応付けられて、予想旅行時間(予想到着時刻)の算出に用いた交通情報統計値の情報源808が表示されている。操作者は、この情報源808を参照することでも、予想旅行時間(予想到着時刻)806の信頼度をおおよそ判断することができる。
【0089】
さて、推奨経路のグラフ表示が行われている状態において、ユーザ操作解析部41が音声入出力装置4あるいは入力装置5を介してユーザより、地図表示モードへの変更指示を受け付けると(S2005でYes)、その旨を経路探索部42に知らせる。経路探索部42は、各推奨経路の予想旅行時間・予想到着時刻、信頼度・推定誤差、および、渋滞レベル表示区間・各区間の渋滞レベルを、経路記憶部43に記憶されている各推奨経路を構成する各リンクのリンクデータ、および、各リンクの交通情報統計値に含まれる交通情報統計値の情報源と共に、地図表示処理部45に渡して、推奨経路表示を指示する。
【0090】
これを受けて、地図表示処理部45は、グラフィックス処理部51を介してディスプレイ2に、推奨経路を、渋滞レベル表示区間・各区間の渋滞レベルが分かるようにして、地図上に表示する。また、推奨経路の予想旅行時間・予想到着時刻、信頼度・推定誤差、および、予想旅行時間・予想到着時刻の算出に用いた交通情報統計値の情報源を表示する(S2006)。
【0091】
図9は、推奨経路の地図表示の一例を示している。
【0092】
地図上に、出発地903および目的地904間の推奨経路905が、各渋滞レベル表示区間での渋滞レベル906が識別できるようにして、地図909上に表示されている。また、図9において、符号907は目的地の予想旅行時間(予想到着時刻)、符号908は予想旅行時間(予想到着時刻)907の信頼度(推定誤差)、そして、符号911は予想旅行時間(予想到着時刻)907の算出に用いた交通情報統計値の情報源である。さらに、符号901は、ユーザより出発時刻の指定を受け付けるための時刻表示バーであり、経路記憶部44に記憶されている各推奨経路の出発時刻が一覧表示される。ユーザはカーソル902を操作することで、所望の出発時刻における推奨経路を、ディスプレイ2上に表示させることができる。なお、渋滞レベル表示区間毎に、その渋滞レベル表示区間に到達する予想到着時刻(その渋滞レベル表示区間の1つ前の渋滞レベル表示区間を構成する最終リンクの終了ノードへの予想到着時刻)を、地図上におけるその渋滞レベル表示区間の開始位置に合わせて表示するようにしてもよい。
【0093】
図10は、図7のS2006における推奨経路の地図表示処理を説明するためのフロー図である。
【0094】
まず、経路探索部42は、メニュー表示処理部50に、出発地および目的地を通知して、図9に示す時刻表示バー901の生成を指示する。これを受けて、メニュー表示処理部50は、経路記憶部43に記憶されている同じ出発地801および目的地802の各推奨経路の出発時刻を特定し、これらの出発時刻を含んだ時刻表示バー901を作成する(S3001)。
【0095】
次に、経路探索部42は、地図表示処理部45に、出発地および目的地を通知して、図9に示す地図909の生成を指示する。これを受けて、地図表示処理部45は、データ読込部48を介して地図・統計交通データ記憶装置3より第1変換テーブルを読み出す。そして、第1変換テーブルを用いて、経路記憶部43に記憶されている出発地801および目的地802を含むエリアを構成する少なくとも1つのメッシュのメッシュIDを特定し、特定したメッシュIDを持つ各メッシュの地図データ31を、データ読込部48を介して地図・統計交通データ記憶装置3から読み出す。それから、読み出した地図データ31を基に、出発地903および目的地904を含む地図909を作成する(S3002)。
【0096】
次に、経路探索部42は、メニュー表示処理部50に、ユーザ操作解析部41より受け取った、ユーザより指定された出発時刻(初期段階では、最も早い出発時刻といった、経路記憶部43に記憶されている各推奨経路の出発時刻のうちの所定の出発時刻)を通知して、図9に示す予想旅行時間(予想到着時刻)907、信頼度(推定誤差)908の生成を指示する。これを受けて、メニュー表示処理部50は、経路記憶部43から、経路探索部42より通知された出発時刻を含む推奨経路の情報を特定し、当該情報に基づいて予想旅行時間(予想到着時刻)907および信頼度(推定誤差)908の表示内容を作成する(S3003)。
【0097】
次に、経路探索部42は、地図表示処理部45に、S3003でメニュー表示処理部50へ通知した出発時刻を通知して、図9に示す推奨経路905の生成を指示する。これを受けて、地図表示処理部50は、経路記憶部43に記憶されている、経路探索部42より通知された出発時刻を含む推奨経路の情報に基づいて、推奨経路を構成する各リンクおよび各渋滞レベル表示区間の渋滞レベルなどを特定して、推奨経路905の表示内容を作成する(S3004)。また、渋滞レベル906の表示内容も作成する。
【0098】
グラフィック処理部51は、上記のS3001〜S3004で、メニュー表示処理部50および地図表示処理部45が作成した表示内容を合成し、図9に示すような表示画面を、ディスプレイ2に表示する(S3005)。
【0099】
さて、ユーザ操作解析部41は、入力装置5や音声入出力装置4を介して、ユーザによりカーソル902の表示位置が操作されたか否かを検出する(S3006)。カーソル902の表示位置が操作されたならば、新たな表示位置が指し示す出発時刻をユーザが指定した出発時刻に設定し、S3003に戻る。
【0100】
次に、経路誘導動作について説明する。
【0101】
図11は、本実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の推奨経路誘導動作を説明するためのフロー図である。このフローは、ユーザ操作解析部41が、音声入出力装置4あるいは入力装置5を介してユーザより、例えばディスプレイ2に表示中の、現在地、現在時刻と略同じ地点、時刻を出発地、出発時刻としている推奨経路について、経路誘導要求を受け付けることで開始される。
【0102】
まず、ユーザ操作解析部41は、ユーザより受け付けた経路誘導要求を経路誘導部44に通知する。これを受けて、経路誘導部44は、図示していない内蔵タイマなどを用いて旅行時間の測定を開始する(S4001)。また、経路記憶部43に記憶されている現在地、現在時刻と略同じ地点、時刻を出発地、出発時刻としている推奨経路の情報と、地図・統計交通データ記憶装置3に記憶されている地図データとを用いて、一般的な(既存の)経路誘導の技術を用いて、経路誘導を開始する(S4002)。
【0103】
さて、経路誘導部44は、経路誘導の処理中において、マップマッチ処理部47より現在地が新たに出力される(S4003)と、この現在地が経路誘導対象の推奨経路を構成するあるリンク(直前リンクと呼ぶ)からその次のリンクに移動したか否か判断する(S4004)。移動していないならば(S4004でNo)、S4003に戻って、マップマッチ処理部47から現在地が新たに出力されるのを待つ。
【0104】
一方、移動したならば(S4004でYes)、経路誘導部44は、そのときの旅行時間を検出し、これを直前リンクまでの旅行時間の実測値とする(S4005)。また、経路記憶部43に記憶されている、経路誘導対象の推奨経路の情報(交通情報統計値)に基づいて、経路誘導対象の推奨経路を構成する各リンクのうち、第1番目のリンクから直前リンクまでのリンク各々の予想旅行時間の総和を求める(S4006)。
【0105】
それから、経路誘導部44は、S4005で検出した直前リンクまでの旅行時間の実測値と、S4006で経路記憶部43に記憶されている推奨経路の情報より求めた直前リンクまでのリンク各々の予想旅行時間の総和との差分を求め、この差分を第1および第2の所定値と比較する(S4007、S4008)。
【0106】
ここで、第2の所定値は、目的地までの推奨経路の再探索の必要性を判断するための値であり、例えば、直前リンクまでのリンク各々の予想旅行時間の総和をA、推奨経路を構成する各リンクの予想旅行時間の総和をB、目的地までの予想旅行時間の推定誤差をCとした場合、(A/B)×Cに設定される。また、第1の所定値は、目的地の予想到着時刻の再計算の必要性を判断するための値であり、第2の所定値より小さい値、例えば第2の所定値の1/3程度に設定される。
【0107】
上述したように、本実施形態では、推奨経路を構成するリンクを決定するために用いる交通情報統計値として、当該リンクの開始ノードへの予想到着時刻を含む時間帯の交通情報統計値を用いている(図6のS1008などを参照)。したがって、直前リンクまでの旅行時間の実測値と、直前リンクまでのリンク各々の予想旅行時間の総和との差分が大きくなると、推奨経路を構成する直前リンクの次のリンク以降の各リンクを決定するために用いる交通情報統計値の見直しが必要になる。そこで、本実施形態では、S4007、S4008において、前記差分を第1、第2の所定値と比較するようにしている。
【0108】
さて、経路誘導部44は、前記差分が第1の所定値より小さいならば(S4007でNo)、S4003に戻ってマップマッチ処理部47から現在地が新たに出力されるのを待つ。
【0109】
また、経路誘導部44は、前記差分が第1の所定値以上であり、且つ、第2の所定値より小さいならば(S4007でYes、S4008でNo)、残リンク(直前リンクの次のリンクから最後のリンク(目的地リンク)までの各リンク)の交通情報統計値の再設定を行う(S4009)。
【0110】
具体的には、推奨経路を構成する各リンクのうち、直前リンクの次のリンクを1番目のリンク、最後のリンク(目的地リンク)をM番目のリンクとする。1番目のリンクの交通情報統計値として、経路記憶部43に記憶されている当該リンクの交通情報統計値と同じ日の種類および天気の種類に対応付けられている当該リンクの交通情報統計値であって、現在時刻を含む時間帯の交通情報統計値を、データ読込部48を介して地図・統計交通データ記憶装置3から読み出す。そして、経路記憶部43に記憶されている当該リンクの交通情報統計値を、この新たに読み出した交通情報統計値に更新する。また、m番目(1<m≦M)のリンクの交通情報統計値として、経路記憶部43に記憶されている当該リンクの統計交通情報と同じ日の種類および天気の種類に対応付けられている当該リンクの交通情報統計値であって、現在時刻に1番目のリンクからm-1番目のリンクまでの新たな交通情報統計値より求まる総旅行時間を追加した時刻を含む時間帯の交通情報統計値を、データ読込部48を介して地図・統計交通データ記憶装置3から読み出す。そして、経路記憶部43に記憶されている当該リンクの交通情報統計値を、この新たに読み出した交通情報統計値に更新する。この処理を、経路記憶部43に記憶されている2番目以降の各リンクの交通情報統計値が更新されるまで繰り返す。
【0111】
それから、経路誘導部44は、再設定した残リンクの交通情報統計値を用いて目的地の予想到着時刻を再計算し、その結果をディスプレイ2や音声入出力装置4から出力し、ユーザに知らせる(S4010)。ここで、目的地の予想到着時刻は、現在時刻に、現在時刻に残リンク各々の新たな交通情報統計値より求まる総旅行時間を追加することで、算出することができる。その後、経路誘導部44は、S4003に戻ってマップマッチ処理部47から現在地が新たに出力されるのを待つ。
【0112】
一方、経路誘導部44は、前記差分が第2の所定値以上であるならば(S4007、S4008で共にYes)、現在地、現在時刻を出発地、出発時刻として、出発地、目的地および現在地を、経路探索部42に設定する。そして、経路探索部42に、上述の推奨経路探索処理(図6参照)を行わせる(S4011)。そして、新たな推奨経路が経路記憶部43に記憶されたならばS4001に戻る。なお、このフローは、現在地が目的地に到達することで終了する。
【0113】
次に、渋滞地点表示動作について説明する。
【0114】
ここで、渋滞地点表示動作とは、地図・統計交通データ記憶装置3に記憶されている統計交通データより特定される道路を構成する各リンクの渋滞レベルを、地図に重ねて表示するための動作のことである。
【0115】
図12は、本実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の渋滞地点表示動作を説明するためのフロー図である。このフローは、ディスプレイ2に地図が表示されている状態において、ユーザ操作解析部41が、音声入出力装置4あるいは入力装置5を介してユーザより、渋滞地点表示要求を受け付けることで開始される。
【0116】
まず、ユーザ操作解析部41は、音声入出力装置4あるいは入力装置5を介してユーザより、日の種類(図3の符号3221参照)および天気の種別(図3の符号3222参照)の指定を受け付ける(S5001)。また、渋滞地点の表示モードの指定を受け付ける(S5002)。
【0117】
本実施形態では、代表的なリンクの各時間帯での渋滞レベルを示したグラフを、地図上の対応するリンクの表示位置に重ねて表示する代表リンク表示モード、および、時間帯別に各リンクの渋滞レベルを表示する時間帯別表示モードのいずれかの指定を受け付けるようにしている。
【0118】
さて、ユーザより受け付けた表示モードの指定が代表リンク表示モードである場合、ユーザ操作解析部41は、渋滞地点の表示モードとして代表リンク表示モードを地図表示処理部45に設定する(S5003)。
【0119】
これを受けて、地図表示処理部45は、ディスプレイ2に表示している地図上の各道路を構成するリンクの中から代表リンクを選択する(S5101)。代表リンクは、例えば国道といった主要道路の交差点を含むリンクとするとよい。リンクが構成する道路が主要道路であるか否かは、リンクデータ312に含まれる道路種別の情報3122を用いることで判断する。また、主要道路の交差点を含むか否かは、リンクデータに含まれる接続リンクの情報3126を用いて判断する。
【0120】
次に、地図表示処理部45は、データ読込部47を介して、地図・統計交通データ記憶装置3に記憶されている、ディスプレイ2に表示中の地図データと同じメッシュIDを持つ統計交通データから、S5001で指定された日の種類および天気の種類に対応する各代表リンクの時間帯毎の統計交通情報を入手する(S5102)。
【0121】
それから、地図表示処理部45は、入手した統計交通情報に含まれている渋滞度の情報を用いて、代表リンク毎に、各時間帯での渋滞レベルを示したグラフを作成する(S5103)。そして、作成したグラフ各々を、対応する代表リンクの表示位置に描画するように、グラフィック処理部51に要求する。これを受けて、グラフィック処理部51は、ディスプレイ2に表示中の地図に含まれている各代表リンク上に、対応するグラフを重ねて表示する(S5104)。なお、ユーザ操作解析部41は、渋滞地点の表示モードの指定(変更)を新たに受け付けたならば(S5105でYes)、S5003に戻る。
【0122】
図13は、代表リンク表示モードの場合における渋滞地点の表示例を示している。この例では、代表リンクの各時間帯の渋滞レベルを示した円グラフ915を、このグラフ915の作成に用いた統計交通情報に含まれている情報源917と共に、地図上の対応する代表リンクの表示位置(終了ノードの表示位置)近傍に表示している。操作者は、このグラフにより、各主要道路の時間帯毎の渋滞を把握することができる。また、各主要道路の時間帯毎の渋滞の情報源を知ることができる。
【0123】
一方、S5003において、ユーザより受け付けた表示モードの指定が時間帯別表示モードである場合、ユーザ操作解析部41は、渋滞地点の表示モードとして時間帯別表示モードを地図表示処理部45およびメニュー表示処理部50に設定する。これを受けて、メニュー表示処理部50は、渋滞情報の表示時間帯を指定するための、複数の時間帯を含んだ時刻表示バーを作成する(S5201)。
【0124】
次に、地図表示処理部45は、渋滞情報の表示時間帯を設定する(S5202)。後述するS5206においてユーザ操作解析部41がユーザより時間帯の指定を受け付けている場合は、この時間帯を渋滞情報の表示時間帯に設定する。ユーザより時間帯の指定を受け付けていない場合は、例えば現在時刻を含む時間帯といったデフォルト設定された時間帯を渋滞情報の表示時間帯に設定する。
【0125】
次に、地図表示処理部45は、データ読込部47を介して、地図・統計交通データ記憶装置3に記憶されている、ディスプレイ2に表示中の地図データと同じメッシュIDを持つ統計交通データから、S5001で指定された日の種類および天気の種類に対応する各リンクの統計交通情報であって、S5202で設定された時間帯における各リンクの統計交通情報を入手する(S5203)。
【0126】
それから、地図表示処理部45は、入手した統計交通情報に含まれている渋滞度の情報を用いて、リンク毎に、S5202で設定された時間帯での渋滞レベルを示したリンクのイメージを作成する(S5204)。そして、作成したイメージ各々を、対応するリンクに重ねて描画するように、グラフィック処理部51に要求する。これを受けて、グラフィック処理部51は、ディスプレイ2に表示中の地図に含まれている各リンク上に、対応するリンクのイメージを重ねて表示する(S5205)。
【0127】
なお、ユーザ操作解析部41は、入力装置5や音声入出力装置4を介して、渋滞情報の表示時間帯を指定を新たに受け付けたならば(S5206)、S5202に戻る。また、渋滞地点の表示モードの指定(変更)を新たに受け付けたならば(S5207でYes)、S5003に戻る。
【0128】
図14は、時間帯別表示モードの場合における渋滞地点の表示例を示している。この例では、各リンク925を、時刻表示バー901においてカーソル902が指し示す時間帯での渋滞レベルで表示している。操作者は、入力装置5や音声入出力装置4を介してカーソル902を操作することができる。ユーザ操作解析部41は、カーソル902が指し示す時間帯をユーザより指定された時間帯として、地図表示処理部45に通知する。
【0129】
以上、本発明の一実施形態について説明した。
【0130】
本実施形態において、地図・統計交通データ記憶装置3には、地図上の道路を構成する各リンクのリンクデータを含む地図データと、交通情報の収集条件である探索条件毎に分類された、過去に収集された交通情報の統計値より定まる前記各リンクの旅行時間あるいは移動速度を含む統計データと、が記憶されている。そして、車載用ナビゲーション装置は、地図・統計交通データ記憶装置3に記憶されている地図データと、地図・統計交通データ記憶装置3に記憶されている統計データのうち探索条件である日の種類および天気の種類に対応する統計データとを用いて、出発地および目的地間の推奨経路を探索する。このように、探索条件に合致した各リンクの統計データを用いることで、最小コスト(旅行時間)となる推奨経路を精度よく探索することが可能となる。
【0131】
また、統計データは、地図上の道路を構成する各リンクの時間帯毎の旅行時間あるいは移動速度を含む交通情報統計値を有している。そして、車載用ナビゲーション装置は、推奨経路を構成する1番目のリンクの交通情報統計値として、出発時刻を含む時間帯に対応する交通情報統計値を用いて、出発地に近接するリンクの中から1番目のリンクを決定する。また、推奨経路を構成するn番目(n≧2)のリンクの交通情報統計値として、推奨経路を構成する1番目からn-1番目までのリンク各々の交通情報統計値より定まる総旅行時間を出発地の出発時刻に追加した時刻を含む時間帯に対応する交通情報統計値を用いて、n-1番目のリンクに接続するリンクの中からn番目のリンクを決定する。このように、推奨経路を構成する各リンクを決定するために使用する交通情報統計値の時間帯を、出発地から各リンクの開始ノードまでの予想旅行時間に応じて変えることで、最小コスト(旅行時間)となる推奨経路をより精度よく探索することが可能となる。
【0132】
また、車載用ナビゲーション装置は、経路誘導処理において、推奨経路の出発地から現在地に至るまでに要した実際の旅行時間と、推奨経路の出発地から現在地に至るまでの区間を構成する各リンクの決定に用いた交通情報統計値より求まる当該区間の旅行時間とを比較し、その比較結果に応じて推奨経路の再探索の必要性を判断する。そして、推奨経路の再探索の必要性ありと判断された場合に、現在地を出発地とし、現在時刻を出発時刻として、目的地への推奨経路を再探索する。このようにすることで、経路誘導中において、現在の推奨経路上を走行中であっても、最小コスト(旅行時間)の経路上を走行するように、推奨経路の再探索を行うことができる。
【0133】
また、統計データは、地図上の道路を構成する各リンクの時間帯毎の渋滞度を含む交通情報統計値を有している。そして、車載用ナビゲーション装置は、ディスプレイ2に表示している地図の地図データに含まれる各リンクの統計データのうち、ユーザより指定された収集条件に対応する統計データにより特定される各リンクの時間帯毎の渋滞度を、前記地図上に重ねて表示する。このようにすることで、道路の渋滞傾向をより詳細に場合分けして表示することが可能となる。また、時間帯の変化による道路渋滞の変化の把握が容易になる。
【0134】
尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形が可能である。たとえば、上記の実施形態において、コスト計算に用いる交通情報統計値を決定するために用いる探索条件は、日の種類および天気の種類の組み合わせに限定されるものではない。日の種類あるいは天気の種類を、探索条件として単独で用いてもよい。あるいは、日の種類および天気の種類に別の条件を組み合わせて、交通情報統計値を管理するようにしてもよい。
【0135】
また、上記の実施形態では、本発明を車載用ナビゲーション装置に適用した例について説明したが、本発明は車載用以外のナビゲーション装置にも適用することができる。
【0136】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、過去に収集された交通情報を用いて、推奨経路を精度よく探索できる。また、時間帯の変化による道路渋滞の変化を操作者が認識できるような表示形態で、道路の渋滞傾向をより詳細に場合分けして表示できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】図2は、地図・統計交通データ記憶装置3に記憶されている地図データの構成例を示す図である。
【図3】図3は、地図・統計交通データ記憶装置3に記憶されている統計交通データの構成例を示す図である。
【図4】図4は、演算処理部1のハードウェア構成を示す図である。
【図5】図5は、演算処理部1の機能構成を示す図である。
【図6】図6は、本実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の推奨経路探索動作を説明するためのフロー図である。
【図7】図7は、図6のS1018における推奨経路の表示処理を説明するためのフロー図である。
【図8】図8は、ディスプレイ2への推奨経路のグラフ表示例を示す図である。
【図9】図9は、ディスプレイ2への推奨経路の地図表示例を示す図である。
【図10】図10は、図7のS2006における推奨経路の地図表示処理を説明するためのフロー図である。
【図11】図11は、本実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の推奨経路誘導動作を説明するためのフロー図である。
【図12】図12は、本実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の渋滞地点表示動作を説明するためのフロー図である。
【図13】図13は、代表リンク表示モードの場合におけるディスプレイ2への渋滞地点表示例を示す図である。
【図14】図14は、時間帯別表示モードの場合におけるディスプレイ2への渋滞地点表示例を示す図である。
【図15】図15は、日付から日の種類を特定するための第2変換テーブルの構成例を示す図である。
【符号の説明】
1…演算処理部、2・・・ディスプレイ、3・・・地図・統計交通データ記憶装置、4・・・音声出入力装置、5・・・入力装置、6・・・車輪速センサ、7・・・地磁気センサ、8・・・ジャイロ、9・・・GPS受信機、10・・・天気情報受信装置、11・・・車内LAN装置、21・・・CPU、22・・・RAM、23・・・ROM、24・・・DMA、25・・・描画コントローラ、26・・・VRAM、27・・・カラーパレット、28・・・A/D変換器、29・・・SCI、30・・・PIO、31・・・カウンタ、41・・・ユーザ操作解析部、42・・・経路探索部、43・・・経路記憶部、44・・・経路誘導部、45・・・地図表示処理部、46・・・現在位置演算部、47・・・マップマッチ処理部、48・・・データ読込部、49・・・軌跡記憶部、50・・・メニュー表示処理部、51・・・グラフィックス処理部
Claims (3)
- ナビゲーション装置の経路探索方法であって、
前記ナビゲーション装置は、地図上の道路を構成する各リンクのリンクデータを含む地図データと、交通情報の収集条件毎に分類された、過去に収集された交通情報の統計値より定まる前記各リンクの時間帯毎の、旅行時間あるいは移動速度および渋滞度を含む統計データと、を記憶する記憶装置を備えており、
出発地、目的地および前記統計データを検索するための検索条件を設定する設定ステップと、
前記記憶装置に記憶されている地図データと、前記記憶装置に記憶されている統計データとを用い前記検索条件に基づいて前記統計データから各リンクの予想通過時間帯に対応する旅行時間を検索し、前記設定ステップで設定された出発地および目的地間の旅行時間が最も短くなる経路を推奨経路として探索する経路探索ステップと、
前記推奨経路を構成する各リンクの旅行時間を用いて、前記推奨経路の旅行時間あるいは予想到着時刻を算出し、前記推奨経路を構成する各リンクの旅行時間あるいは移動速度に対応する時間帯での渋滞度を用いて、前記推奨経路を複数区間に分割した場合における各区間の渋滞度を決定する旅行時間算出ステップと、
前記推奨経路の前記区間について、出発する時間帯毎の渋滞度を示すグラフとして表示する旅行時間表示ステップと、を行うこと
を特徴とするナビゲーション装置の経路探索方法。 - 請求項1記載のナビゲーション装置の経路探索方法であって、
さらに、前記設定ステップは、複数の出発時刻の指定を受け付け、
前記経路探索ステップは、複数の出発時刻各々に対して、前記出発地および前記目的地間の推奨経路の探索を行い、
前記旅行時間算出ステップは、前記経路探索ステップで探索された前記複数の出発時刻各々に対する推奨経路各々について、前記推奨経路の各区間の旅行時間および渋滞度を算出し、
前記旅行時間表示ステップは、前記経路探索ステップで探索された前記複数の出発時刻各々に対する推奨経路各々について、前記推奨経路の各区間を前記グラフ状に表示すること
を特徴とするナビゲーション装置の経路探索方法。 - 請求項1記載のナビゲーション装置の経路探索方法であって、
前記旅行時間表示ステップは、前記推奨経路の各区間を当該区間の渋滞度に応じた表示形態で地図上に表示すること
を特徴とするナビゲーション装置の経路探索方法。
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