JP4088137B2 - 導電性微粒子および異方導電材料 - Google Patents

導電性微粒子および異方導電材料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性微粒子およびその導電性微粒子を用いた異方導電材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
導電性微粒子は、バインダー樹脂や粘接着剤等と混合(混練)することにより、例えば、異方導電性ペースト、異方導電性インク、異方導電性粘接着剤、異方導電性フィルム(異方導電性シートも含む)等の異方導電材料として広く用いられている。
【0003】
これらの異方導電材料は、例えば、液晶表示ディスプレイ、パーソナルコンピュータ、携帯電話等の電子機器において、基板同士を電気的に接続したり、半導体素子等の小型部品を基板に電気的に接着したりするために、相対向する基板や電極端子の間に挟み込んで、圧着することにより使用されている。
【0004】
上記異方導電材料に用いられる導電性微粒子としては、従来より、金、銀、ニッケル等の金属粒子が一般的に用いられてきたが、金属粒子は、比重が大きく、形状も不定形であるため、バインダー樹脂中や粘接着剤中に不均一な状態で存在(分散)しやすくなり、得られる異方導電材料の導電性にムラを生じさせる原因になるという問題点がある。
【0005】
このため、金属粒子の代わりに、粒子径の均一なガラスビーズ、グラスファイバー、プラスチックボールなどの芯材粒子の表面に例えば無電解メッキ法により金属メッキを施して、金属メッキ層(導電層)を形成させた導電性微粒子が広く用いられるようになってきている。
【0006】
しかし、芯材粒子の表面に無電解メッキ法により金属メッキ層を形成させた導電性微粒子においては、一般的に芯材粒子から金属メッキ層が剥離しやすく、圧着時に金属メッキ層の破壊が生じて、電気抵抗が増大するという問題点がある。
【0007】
また、芯材粒子は一般的に微粒子であるため、芯材粒子の表面に金属メッキを施す際に、芯材粒子同士の凝集が生じやすく、後工程で物理的な力を加えて凝集を解砕する工程、いわゆる単粒子化工程が必要となるが、この単粒子化工程において、メッキ剥離やメッキ破壊を生じやすいという問題点がある。
【0008】
芯材粒子と金属メッキ層との密着性を高める方法として、一般的には種々の酸化剤等を用いて非導電性の芯材粒子をエッチングして、その表面に微小な凹凸を形成させ、その凹凸のアンカー効果(投錨効果)により密着性を高めるという手法が採られるが、芯材粒子として樹脂微粒子を用いる場合には、樹脂微粒子自身が酸化剤等に曝されることによって脆化するため、樹脂微粒子が本来有している芯材粒子としての耐圧性能等の低下を避けられないという問題点がある。
【0009】
このような問題点を解決するために、例えば、微細孔を有する樹脂微粒子(芯材粒子)に金属メッキ層を形成することにより、その微細孔のアンカー効果で金属メッキ層との密着性を向上させる導電性微粒子の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
しかし、上記製造方法の場合、密着性の優れた金属メッキ層を有する導電性微粒子を得ることはできるものの、樹脂微粒子の深部に至るまで微細孔が開孔しているため、芯材粒子として必要な機械的強度を高くすることができず、得られる導電性微粒子が圧着時に破壊されやすいという問題点がある。
【0011】
また、金属メッキ層中にリンを1.5〜4重量%の割合で含有させることによって耐食性を向上させ、金属メッキ層と樹脂微粒子との密着性を高めた導電性微粒子が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0012】
しかし、上記導電性微粒子の場合、金属メッキ層の変質は確かに少なくなるものの、金属メッキ層中のリン含有量が低くなると引っ張り応力が大きくなるため、圧着により凝集した導電性微粒子を解砕するための単粒子化工程において、メッキ剥離やメッキ破壊を生じやすいという問題点がある。
【0013】
このような金属メッキ層の剥離や破壊は、異方導電材料として用いた場合に導通性(導電性)不良や導通安定性(導電安定性)不良を来す原因となり、異方導電材料の導通信頼性(導電信頼性)を損ねるものである。
【0014】
このように、近年の電子機器の急激な進歩や発展に伴って要求されている異方導電材料の導通信頼性のさらなる向上を十分に満たす導電性微粒子は実用化されていないのが現状である。
【0015】
【特許文献1】
特公平6−89068号公報
【特許文献2】
特許第2507381号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、金属メッキ層と樹脂微粒子(芯材粒子)との密着性が優れ、圧着時や単粒子化工程において圧縮荷重などの物理的応力が負荷されてもメッキ剥離やメッキ破壊を生じにくく、したがって長期間にわたって優れた導通信頼性を発現する異方導電材料を得ることができる導電性微粒子、および、上記導電性微粒子を用いた異方導電材料を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明(本発明)による導電性微粒子は、樹脂微粒子の表面に金属メッキ層が形成されてなる導電性微粒子であって、上記金属メッキ層が、リン1〜10重量%およびコバルト0.1〜5重量%を含有し、かつ、上記金属メッキ層が、ニッケルメッキ層であることを特徴とする。
【0019】
請求項に記載の発明による導電性微粒子は、上記請求項1に記載の導電性微粒子において、さらに表面に金メッキ層が形成されてなることを特徴とする。
【0020】
請求項に記載の発明による導電性微粒子は、上記請求項1または2に記載の導電性微粒子において、樹脂微粒子が、平均粒子径が0.5〜100μmであり、粒子径の変動係数(Cv値)が10%以下であり、かつ、10%K値が1000〜15000MPaであることを特徴とする。
【0021】
また、請求項に記載の発明(本発明)による異方導電材料は、上記請求項1〜のいずれか1項に記載の導電性微粒子を用いて作製されていることを特徴とする。
【0022】
本発明の導電性微粒子は、後述する樹脂微粒子(芯材粒子)の表面に例えば無電解メッキ法により金属メッキ層(導電層)が形成されてなる。
【0023】
上記金属としては、特に限定されるものではないが、例えば、ニッケル、金、銀、銅、コバルト等が挙げられ、なかでも、導電性とコストとのバランスに優れることから、ニッケルが好適に用いられる。これらの金属は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0024】
一般的に、無電解メッキ法による金属メッキ層の形成工程は、エッチング工程、触媒化工程(活性化工程)および無電解メッキ工程の3工程からなる。
【0025】
エッチング工程は、例えば、クロム酸、硫酸−クロム酸混合液、過マンガン酸溶液などの酸化剤;塩酸、硫酸などの強酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの強アルカリ溶液等を用いて、樹脂微粒子の表面に微小な凹凸を形成させ、その凹凸のアンカー効果によって金属メッキ層の密着性を向上させる工程である。しかし、エッチング工程は、必ずしも必須の工程ではなく、過度のエッチングによって樹脂微粒子を脆化させたり、樹脂微粒子の有する本来の機械的強度等を損なったりする恐れがある場合には省略することも可能である。
【0026】
触媒化工程(活性化工程)は、樹脂微粒子の表面に次工程の無電解メッキ工程で施す無電解メッキの起点となりうる触媒層を形成させるとともに、この触媒層を活性化させる工程である。触媒層を活性化させることにより、無電解メッキ工程における金属の析出が促進される。上記触媒化工程で用いられる触媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、市販のアミン錯塩系触媒のようなアルカリ触媒(アルカリキャタリスト)等が挙げられる。これらの触媒は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0027】
触媒化工程の具体的な方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、塩化パラジウムと塩化スズとからなる溶液に樹脂微粒子を浸漬した後、硫酸、塩酸などの酸や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ溶液で活性化して、パラジウムを樹脂微粒子表面に析出させる方法や、硫酸パラジウムと2−アミノピリジンとからなる溶液にエッチングした樹脂微粒子を浸漬した後、ジメチルアミノボランなどの還元剤を含む溶液で活性化して、パラジウムを樹脂微粒子表面に析出させる方法等が挙げられる。これらの方法は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0028】
無電解メッキ工程は、触媒層が形成され活性化された樹脂微粒子を、次亜リン酸や錯化剤の存在下で、金属塩を含有する溶液中に浸漬し、形成された触媒層を起点として樹脂微粒子の表面に金属を析出させ、金属メッキ層を形成させる工程である。
【0029】
本発明の導電性微粒子に形成される金属メッキ層は、特に限定されるものではないが、ニッケルメッキ層であることが好ましい。上記無電解メッキ工程において、触媒層が形成され活性化された樹脂微粒子を、次亜リン酸や錯化剤の存在下で、ニッケル塩を含有する溶液中に浸漬し、形成された触媒層を起点として樹脂微粒子の表面にニッケルを析出させることにより、ニッケルメッキ層を形成させることができる。上記無電解メッキ工程を次亜リン酸や錯化剤の存在下で行うことにより、金属メッキ層、好ましくはニッケルメッキ層にリンが合金の形で取り込まれる。
【0030】
本発明の導電性微粒子は、金属メッキ層がリン1〜10重量%を含有していることが必要であり、好ましくはリン2〜8重量%を含有していることである。
【0031】
金属メッキ層にリンを含有させることにより、金属メッキ層は適度な可撓性を有するものとなり、樹脂微粒子に対する密着性がより向上する。
【0032】
金属メッキ層のリン含有率が1重量%未満であると、金属メッキ層の結晶性が高くなりすぎて可撓性が不十分となり、樹脂微粒子に対する密着性向上効果を十分に得られなくなり、逆に金属メッキ層のリン含有率が10重量%を超えると、得られる導電性微粒子の導電性が著しく低下する。
【0033】
金属メッキ層におけるリンの含有率は、金属メッキ液の組成やpH、無電解メッキ条件等を変えることにより、任意に制御することができる。例えば、次亜リン酸や錯化剤の量を増やせば、一般的にリンの含有率は高くなり、逆に次亜リン酸や錯化剤の量を減らせば、一般的にリンの含有率は低くなる。
【0034】
本発明の導電性微粒子は、金属メッキ層がコバルト0.1〜5重量%を含有していることが必要であり、好ましくはコバルト0.5〜4重量%を含有していることである。
【0035】
金属メッキ層にコバルトを含有させることにより、金属メッキ層は適度な被膜強度を有するものとなり、樹脂微粒子に対する密着性がさらに向上する。
【0036】
金属メッキ層のコバルト含有率が0.1重量%未満であると、金属メッキ層の被膜強度が不十分となって、樹脂微粒子に対する密着性向上効果を十分に得られなくなり、逆に金属メッキ層のコバルト含有率が5重量%を超えると、金属メッキ層の被膜強度が強くなりすぎて、物理的な応力が加わった際にメッキ剥離やメッキ破壊を生じやすくなったり、また、保磁力が強くなるので、得られる導電性微粒子が磁性を有した場合、導電性微粒子同士の凝集が起こりやすくなる。
【0037】
金属メッキ層にコバルトを含有させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、無電解金属メッキ液に硫酸コバルトなどのコバルト含有化合物を添加し、金属とともにコバルトを共沈させる方法等が挙げられる。金属メッキ層におけるコバルトの含有率は、無電解金属メッキ液中の金属/コバルト比を変えることにより、任意に制御することができる。例えば、金属/コバルト比を大きくすれば、一般的にコバルトの含有率は低くなり、逆に金属/コバルト比を小さくすれば、一般的にコバルトの含有率は高くなる。
【0038】
本発明の導電性微粒子を構成する金属メッキ層の厚みは、特に限定されるものではないが、0.005〜1μmであることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.5μmである。
【0039】
金属メッキ層の厚みが0.005μm未満であると、十分な導電性を得られなくなることがあり、逆に金属メッキ層の厚みが1μmを超えると、得られる導電性微粒子の比重が高くなりすぎたり、芯材粒子として用いられる樹脂微粒子が本来有している機械的強度や弾性回復率等の物性が十分に発現されなくなることがある。
【0040】
本発明の導電性微粒子は、導電性や耐食性をより向上させるために、さらに上記金属メッキ層、好ましくはニッケルメッキ層が形成された表面に金メッキ層が形成されていることが好ましい。
【0041】
金属メッキ層が形成された表面に金メッキ層を形成する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、無電解金メッキ法、置換金メッキ法、スパッタリング等の公知の各種金メッキ法で良い。これらの金メッキ法は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0042】
上記金メッキ層の厚みは、特に限定されるものではないが、0.005〜1μmであることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.5μmである。
【0043】
金メッキ層の厚みが0.005μm未満であると、金のメッキムラ(被覆ムラ)を生じやすくなって、導電性や耐食性の向上効果を十分に得られなくなることがあり、逆に金メッキ層の厚みが1μmを超えると、得られる導電性微粒子の比重が高くなりすぎて、バインダー樹脂や粘接着剤等に混合して異方導電材料を作製する際に沈降や凝集等を生じやすくなり、作業性や得られる異方導電材料の性能が不十分となることがある。
【0044】
本発明の導電性微粒子は、芯材粒子として樹脂微粒子を用いる。
【0045】
本発明で用いられる樹脂微粒子は、平均粒子径が0.5〜100μmであり、粒子径の変動係数(Cv値)が10%以下であり、かつ、10%K値が1000〜15000MPaであることが好ましい。
【0046】
本発明で用いられる樹脂微粒子は、平均粒子径が0.5〜100μmであることが好ましく、より好ましくは1〜20μmである。なお、上記平均粒子径とは、以下の方法で測定される平均粒子径を意味する。
〔平均粒子径の測定方法〕
レーザー回折散乱を利用した粒度分析計を用いて、導電性微粒子の粒子径を測定し、中心粒子径をもって平均粒子径とする。なお、上記粒度分析計の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、日機装社製の商品名「マイクロトラックUPA粒度分析計」等が挙げられる。
【0047】
樹脂微粒子の平均粒子径が0.5μm未満であると、金属メッキ層を形成する際に樹脂微粒子同士の凝集が起こりやすくなって、得られる導電性微粒子が隣接する電極間でショートを引き起こしやすくなることがあり、逆に樹脂微粒子の平均粒子径が100μmを超えると、得られる導電性微粒子の金属メッキ層が剥離しやすくなって、この導電性微粒子を用いて作製した異方導電材料の導通信頼性が損なわれることがある。
【0048】
本発明で用いられる樹脂微粒子は、粒子径の変動係数(Cv値)が10%以下であることが好ましい。なお、上記粒子径の変動係数(Cv値)は、下記計算式に示すように、粒子径の標準偏差を平均粒子径で除し、100を乗ずることによって算出される。
粒子径のCv値(%)=(粒子径の標準偏差/平均粒子径)×100
【0049】
樹脂微粒子の粒子径の変動係数(Cv値)が10%を超えると、得られる導電性微粒子と電極との接触面積にばらつきが生じやすくなって、異方導電材料の導通信頼性が損なわれることがある。
【0050】
本発明で用いられる樹脂微粒子は、10%K値が1000〜15000MPaであることが好ましく、より好ましくは2000〜10000MPaである。なお、上記10%K値とは、以下の方法で測定される10%K値を意味する。
〔10%K値の測定方法〕
微小圧縮試験器(例えば、島津製作所社製の商品名「PCT−200」)を用いて、圧縮速度0.27g/秒、最大圧縮荷重10gの条件で、樹脂微粒子を直径50μmのダイアモンド製円柱からなる平滑圧子端面で圧縮し、下記計算式により10%K値を算出する。
10%K値(MPa)=(3/√2)×F×S-3/2×R-1/2
ここで、F:樹脂微粒子の10%圧縮変形時における圧縮荷重(kg)
S:樹脂微粒子の10%圧縮変形時における圧縮変位(mm)
R:樹脂微粒子の半径(mm)
【0051】
樹脂微粒子の10%K値が1000MPa未満であると、得られる導電性微粒子の機械的強度が不十分となって、この導電性微粒子を用いて作製した異方導電材料を圧縮変形させた時に導電性微粒子の破壊が生じ、異方導電材料としての機能を果たさなくなることがあり、逆に樹脂微粒子の10%K値が15000MPaを超えると、得られる導電性微粒子が異方導電材料中において電極を傷つけることがある。
【0052】
また、本発明で用いられる樹脂微粒子は、弾性回復率が20%以上であることが好ましく、より好ましくは40%以上である。なお、上記弾性回復率とは、樹脂微粒子に1gfの荷重を負荷した後の弾性回復率を意味する。
【0053】
樹脂微粒子の弾性回復率が20%未満であると、得られる導電性微粒子を用いて作製した異方導電材料を圧縮した際に導電性微粒子が変形して元に戻らなくなり、導通不良(接続不良)を起こすことがある。
【0054】
本発明で用いられる樹脂微粒子の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法、分散重合法、分散シード重合法等が挙げられ、いずれの製造方法が採られても良い。
【0055】
上記樹脂微粒子の種類としては、好ましくは上記平均粒子径、粒子径の変動係数(Cv値)、10%K値、弾性回復率等の特性を満たすものであれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレンなどのオレフィン系樹脂;ポリスチレンなどのスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの塩化ビニル系樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの共役ジエン系樹脂;フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂などの縮合系樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド等からなる樹脂微粒子が挙げられ、なかでも、導電性微粒子の芯材粒子として必要な任意の機械的強度や弾性回復率等の物性を有する樹脂微粒子を得やすいことから、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体の1種類もしくは2種類以上を(共)重合させて得られる樹脂からなる樹脂微粒子が好適に用いられる。これらの樹脂微粒子は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。なお、上記(メタ)アクリレートとはアクリレートまたはメタクリレートを意味し、上記(共)重合とは単独重合または共重合を意味する。
【0056】
エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させて樹脂微粒子を得る場合、非架橋性単量体と架橋性単量体とを併用して共重合させることにより、樹脂微粒子を得ることが好ましい。架橋性単量体を併用することにより、得られる樹脂微粒子のゲル分率が向上して、樹脂微粒子ひいては導電性微粒子の機械的強度、弾性回復率、耐熱性等がより優れたものとなる。
【0057】
非架橋性単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、2,4,5−トリメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン、3,4−ジクロルスチレンなどのスチレン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸などのカルボン酸系単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート系単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの酸素原子含有(メタ)アクリレート系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル系単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテルなどのビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどのビニルエステル系単量体;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエンなどの不飽和炭化水素系単量体;塩化ビニル、フッ化ビニル、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレートなどのハロゲン基含有単量体等が挙げられ、なかでもスチレン系単量体が好適に用いられ、とりわけスチレンが特に好適に用いられる。これらの非架橋性単量体は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0058】
また、架橋性単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエンなどの多官能ビニル系単量体;テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシドジ(メタ)アクリレート、テトラエチレンオキシドジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート系単量体;ビニルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのシラン含有系単量体;トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテルなどのアリル基含有系単量体;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン系単量体等が挙げられる。これらの架橋性単量体は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0059】
非架橋性単量体と架橋性単量体とを併用する場合の架橋性単量体の使用量は、特に限定されるものではないが、架橋性単量体5重量%以上を含有することが 好ましく、より好ましくは架橋性単量体20重量%以上を含有することである。
【0060】
架橋性単量体の使用量が5重量%未満であると、得られる樹脂微粒子のゲル分率が十分に向上せず、前記10%K値や弾性回復率が不十分となったり、重合中に樹脂微粒子が粒子形状を保持できず、異形のものとなったり、樹脂微粒子同士の合着が起こって、前記平均粒子径や粒子径の変動係数(Cv値)が大きくなりすぎることがある。
【0061】
上記樹脂微粒子の製造に際しては、必要に応じて、重合開始剤、高分子保護剤(保護コロイド)、分散安定剤、膨潤助剤、連鎖移動剤、粘度調整剤、着色剤(染料や顔料等)、消泡剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が用いられても良い。
【0062】
重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ系化合物等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0063】
上記重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではないが、前記重合性単量体の合計量100重量部に対して、重合開始剤0.1〜10重量部であることが好ましい。重合性単量体の合計量100重量部に対する重合開始剤の使用量が0.1重量部未満であると、重合反応が円滑に進行しないことがあり、逆に重合性単量体の合計量100重量部に対する重合開始剤の使用量が10重量部を超えると、得られる樹脂微粒子の重合度(分子量)が低くなりすぎて、樹脂微粒子ひいてと導電性微粒子の機械的強度や耐熱性が不十分となることがある。
【0064】
高分子保護剤(保護コロイド)としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロースなどの水溶性高分子が挙げられる。これらの高分子保護剤(保護コロイド)は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0065】
分散安定剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩などの陰イオン性界面活性剤;脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩などの陽イオン性界面活性剤;カルボキシベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体などの両性界面活性剤;エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型などの非イオン性界面活性剤等が挙げられる。これらの分散安定剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0066】
膨潤助剤としては、シード重合法または分散シード重合法において、シード粒子(種粒子)への吸着もしくは吸収を促進させうるものであれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、エタノールなどのアルコール類や酢酸イソアミル等が挙げられる。これらの膨潤助剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0067】
連鎖移動剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルキルメルカプタンなどのメルカプタン系化合物等が挙げられる。これらの連鎖移動剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0068】
次に、本発明の異方導電材料は、上述した本発明の導電性微粒子を用いて作製されている。
【0069】
上記異方導電材料としては、例えば、異方導電性ペースト、異方導電性インク、異方導電性粘接着剤、異方性導電性フィルム、電磁波シールド用導電材、導電接続構造体等が挙げられるが、これらの異方導電材料のみに限定されるものではなく、導電性微粒子を用いて作製されるものであれば如何なる異方導電材料であっても良い。
【0070】
本発明の異方導電材料の作製方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、絶縁性のバインダー樹脂中や絶縁性の粘接着剤中に本発明の導電性微粒子を添加し、均一に混合して分散させ、例えば、異方導電性ペースト、異方導電性インク、異方導電性粘接着剤等とする方法や、絶縁性のバインダー樹脂中や絶縁性の粘接着剤中に本発明の導電性微粒子を添加し、均一に混合して導電性組成物を作製した後、この導電性組成物を必要に応じて有機溶媒中に均一に溶解(分散)させるか、または、加熱溶融させて、例えば離型紙や離型フィルムなどの離型材の離型処理面に所定のフィルム厚みとなるように塗工し、必要に応じて乾燥や冷却等を行って、例えば、異方導電性フィルム等とする方法等が挙げられ、作製しようとする異方導電材料の種類に対応して、適宜の作製方法を採れば良い。また、絶縁性のバインダー樹脂や絶縁性の粘接着剤と本発明の導電性微粒子とを、混合することなく、別々に用いて異方導電材料としても良い。
【0071】
絶縁性のバインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂等のビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド系樹脂などの熱可塑性樹脂;エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂およびこれらの硬化剤からなる硬化性樹脂;スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、これらの水素添加物等の熱可塑性ブロック共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴムなどのエラストマー類(ゴム類)等が挙げられる。これらの絶縁性のバインダー樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。また、上記硬化性樹脂は、常温硬化型、熱硬化型、光硬化型、湿気硬化型等のいずれの硬化形態であっても良い。
【0072】
絶縁性の粘接着剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記絶縁性のバインダー樹脂を主成分としてなる粘接着剤や、公知の各種粘接着剤等が挙げられる。これらの絶縁性の粘接着剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。また、上記絶縁性のバインダー樹脂および絶縁性の粘接着剤は、それぞれ単独で用いられても良いし、両者が併用されても良い。
【0073】
本発明の異方導電材料には、絶縁性のバインダー樹脂および/または絶縁性の粘接着剤、および、本発明の導電性微粒子に加えるに、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、増量剤、軟化剤(可塑剤)、粘接着性向上剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤、有機溶媒等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が添加されていても良い。
【0074】
【作用】
本発明の導電性微粒子は、樹脂微粒子(芯材粒子)の表面に金属メッキ層が形成されてなる導電性微粒子であって、上記金属メッキ層が特定量のリンおよび特定量のコバルトを含有しているので、金属メッキ層は適度な可撓性と適度な被膜強度とを兼備し、樹脂微粒子に対して優れた密着性を有するものとなるため、物理的応力が負荷されてもメッキ剥離やメッキ破壊を生じにくく、長期間にわたって優れた導通信頼性を発現する異方導電材料を得るに適する。
【0075】
また、本発明の導電性微粒子は、上記金属メッキ層をニッケルメッキ層とすることにより、上記性能がより優れたものとなる。
【0076】
また、本発明の導電性微粒子は、さらに表面に金メッキ層を形成することにより、より優れた導電性やより優れた耐食性を発現するものとなる。さらに、本発明の導電性微粒子は、特定の平均粒子径、特定の粒子径の変動係数(Cv値)および特定の10%K値を有する樹脂微粒子を用いることにより、さらに優れた導電性やより優れた機械的強度を発現するものとなる。
【0077】
本発明の異方導電材料は、上記本発明の導電性微粒子を用いて作製されているので、長期間にわたって優れた導通信頼性を発現する。
【0078】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0079】
(実施例1)
ジビニルベンゼンを主成分(主単量体)としてなり、表面に少量の水酸基を有し、かつ、前記方法で測定した平均粒子径が5μmであり、粒子径の変動係数(Cv値)が4.9%であり、10%K値が4900MPaであり、弾性回復率が60%である樹脂微粒子(商品名「ミクロパールSP−205」、積水化学工業社製)10gを、超音波洗浄機を用いて、パラジウム−錫系触媒(商品名「キャタリスト44」、シプレイ社製)5重量%を含有する塩酸水溶液100ml中に分散させた後、濾紙で微粒子を濾別し、さらに10重量%塩酸水溶液中に分散させてパラジウムを活性化させた。この微粒子を水洗した後、再度、蒸留水500mlを加えて十分に分散させ、微粒子懸濁液を調製した。この微粒子懸濁液を60℃で攪拌しながら、硫酸ニッケル0.23mol/L、硫酸コバルト0.02mol/L、次亜リン酸ナトリウム0.50mol/Lおよびクエン酸ナトリウム0.50mol/Lを含有してなり、pHをアンモニア水を用いて8.5に調整した無電解ニッケルメッキ液を徐々に添加し、無電解ニッケルメッキを行った。ニッケルメッキ層の厚みがおおよそ0.1μmになった時点で無電解ニッケルメッキ液の添加をやめ、濾紙で微粒子を濾別して、十分に水洗した後、乾燥させて、表面にニッケルメッキ層が形成された導電性微粒子(以下、「ニッケルメッキ導電性微粒子」と記す)を作製した。
【0080】
次いで、上記で得られたニッケルメッキ導電性微粒子を5g/Lのシアン化金カリウムを含有する置換金メッキ液(商品名「IM−gold ST」、日本高純度化学社製)中に投入し、80℃で攪拌しながら置換金メッキ層の厚みがおよそ0.04μmになるまで置換金メッキを行って、表面にさらに金メッキ層が形成された導電性微粒子(以下、「金メッキ導電性微粒子」と記す)を作製した。
【0081】
(実施例2)
無電解ニッケルメッキ液中における硫酸コバルトの量を0.01mol/Lとしたこと以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケルメッキ導電性微粒子および金メッキ導電性微粒子を作製した。
【0082】
(実施例3)
クエン酸ナトリウム0.50mol/Lの代わりに、酒石酸ナトリウム1.00mol/Lを含有させた無電解ニッケルメッキ液を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケルメッキ導電性微粒子および金メッキ導電性微粒子を作製した。
【0083】
(実施例4)
硫酸コバルトの量を0.01mol/Lとし、クエン酸ナトリウム0.50mol/Lの代わりに、酒石酸ナトリウム1.00mol/Lを含有させた無電解ニッケルメッキ液を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケルメッキ導電性微粒子および金メッキ導電性微粒子を作製した。
【0084】
(比較例1)
無電解ニッケルメッキ液中に硫酸コバルトを含有させなかったこと以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケルメッキ導電性微粒子および金メッキ導電性微粒子を作製した。
【0085】
(比較例2)
無電解ニッケルメッキ液中における硫酸コバルトの量を0.05mol/Lとしたこと以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケルメッキ導電性微粒子および金メッキ導電性微粒子を作製した。
【0086】
(比較例3)
次亜リン酸ナトリウム0.50mol/Lの代わりに、ジメチルアミノボラン0.05mol/Lを含有させた無電解ニッケルメッキ液を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケルメッキ導電性微粒子および金メッキ導電性微粒子を作製した。
【0087】
(比較例4)
硫酸ニッケル0.23mol/L、硫酸コバルト0.02mol/L、次亜リン酸ナトリウム0.50mol/L、クエン酸ナトリウム0.50mol/Lおよびホウ酸0.50mol/Lを含有してなり、pHを水酸化ナトリウムを用いて7.0に調整した無電解ニッケルメッキ液を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケルメッキ導電性微粒子および金メッキ導電性微粒子を作製した。
【0088】
実施例1〜実施例4および比較例1〜比較例4で得られたニッケルメッキ導電性微粒子の特性(▲1▼ニッケルメッキ層の厚み、▲2▼リン含有率、▲3▼コバルト含有率、▲4▼解砕破壊率)を以下の方法で測定した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0089】
▲1▼ニッケルメッキ層の厚み
ニッケルメッキ導電性微粒子0.5gを精秤し、硝酸を加えてニッケルメッキ層を完全に溶解させた後、この溶液を用いて、ICP発光分析にて、ニッケル(Ni)、リン(P)およびコバルト(Co)の重量を測定し、下記計算式によりニッケルメッキ層の厚み(Ni層厚)を算出した。
Ni層厚(μm)=(ρp×WNi×D)/{6×ρNi×(100−WNi)}
ここで、ρp:樹脂微粒子の比重
ρNi:ニッケルメッキ層の比重
D:樹脂微粒子の平均粒子径(μm)
WNi:ニッケルメッキ導電性微粒子に占めるNi、PおよびCoの含有率(重量%)
▲2▼リン含有率
▲1▼の場合と同様の操作を行い、下記計算式によりリン含有率を算出した。
リン含有率(重量%)=P重量/(Ni重量+P重量+Co重量)×100
▲3▼コバルト含有率
▲1▼の場合と同様の操作を行い、下記計算式によりコバルト含有率を算出した。
コバルト含有率(重量%)=Co重量/(Ni重量+P重量+Co重量)×100 ▲4▼解砕破壊率
ニッケルメッキ導電性微粒子1gをメノウ製乳鉢に採取し、3分間緩やかに攪拌した後、光学顕微鏡にて任意の微粒子1000個を観察し、ニッケルメッキ層の1/2以上が剥離している微粒子の割合(個数%)を計測した。
【0090】
次に、実施例1〜実施例4および比較例1〜比較例4で得られた金メッキ導電性微粒子の特性(▲5▼ニッケルメッキ層の厚み、▲6▼金メッキ層の厚み)を以下の方法で測定した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0091】
▲5▼ニッケルメッキ層の厚み、および、▲6▼金メッキ層の厚み
金メッキ導電性微粒子0.5gを精秤し、60重量%硝酸5mlおよび37重量%塩酸10mlからなる混合液を加えてニッケルメッキ層および金メッキ層を完全に溶解させた後、硫酸ヒドラジンの飽和水溶液20mlを加えて、80℃で1時間加熱し、金を沈殿させた。この沈殿した金を含む溶液を濾紙で濾別し、濾紙のままルツボに入れ、900℃で2時間焼却して、金を回収した。回収された金の重量を測定し、金メッキ導電性微粒子に占める金含有率(WAu)を算出した。また、濾液は正確に200mlにメスアップし、弱酸性下で、Cu−PANを指示薬として0.01mol/LのEDTA標準液にてニッケル含有率(WNi)を算出した。得られた金含有率およびニッケル含有率を用いて、下記計算式によりニッケルメッキ層の厚み(Ni層厚)および金メッキ層の厚み(Au層厚)を算出した。
Ni層厚(μm)=(ρp×WNi×D)/{6×ρNi×(100−WAu−WNi)}
Au層厚(μm)=(ρp×WAu×D)/{6×ρAu×(100−WAu−WNi)}
ここで、ρp:樹脂微粒子の比重
ρAu:金メッキ層の比重
ρNi:ニッケルメッキ層の比重
WAu:金メッキ導電性微粒子に占める金含有率(重量%)
WNi:金メッキ導電性微粒子に占めるニッケル含有率(重量%)
D:樹脂微粒子の平均粒子径(μm)
【0092】
次いで、実施例1〜実施例4および比較例1〜比較例4で得られた金メッキ導電性微粒子の性能(▲7▼導電性、▲8▼導電性破壊率)を以下の方法で測定した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0093】
▲7▼導電性
微小圧縮電気抵抗測定器(商品名「PCT−200改」、島津製作所社製)を用いて金メッキ導電性微粒子を圧縮し、粒子径を20%圧縮した時点で接触抵抗値を測定した。この測定は金メッキ導電性微粒子20個について実施し、その平均値を導電性(接触抵抗値:Ω/個)とした。
▲8▼導電性破壊率
微小圧縮電気抵抗測定器「PCT−200改」を用いて金メッキ導電性微粒子20個を圧縮し、粒子径を50%圧縮した時点でそれぞれの接触抵抗値を測定した。この接触抵抗値が10Ω以上であった金メッキ導電性微粒子を光学顕微鏡で観察したところ、メッキ層の剥離や破壊が発生していた。上記メッキ層の剥離や破壊が発生していた金メッキ導電性微粒子の比率を求め、導電性破壊率(個数%)とした。
【0094】
【表1】
Figure 0004088137
【0095】
表1から明らかなように、本発明による実施例1〜実施例4のニッケルメッキ導電性微粒子を用いて作製した金メッキ導電性微粒子は、いずれも接触抵抗値が低く、優れた導電性を発現した。また、上記金メッキ導電性微粒子は、いずれもメッキ剥離やメッキ破壊を起こしにくく、導電性破壊率が低かった。
【0096】
これに対し、ニッケルメッキ層がコバルトを含有していなかった比較例1のニッケルメッキ導電性微粒子を用いて作製した金メッキ導電性微粒子、ニッケルメッキ層のコバルト含有率が5重量%を超えていた比較例2のニッケルメッキ導電性微粒子を用いて作製した金メッキ導電性微粒子およびニッケルメッキ層がリンを含有していなかった比較例3のニッケルメッキ導電性微粒子を用いて作製した金メッキ導電性微粒子は、いずれもメッキ剥離やメッキ破壊を起こしやすく、導電性破壊率が高かった。また、ニッケルメッキ層のリン含有率が10重量%を超えていた比較例4のニッケルメッキ導電性微粒子を用いて作製した金メッキ導電性微粒子は、接触抵抗値が高く、導電性が劣っていた。
【0097】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の導電性微粒子は、金属メッキ層と樹脂微粒子(芯材粒子)との密着性が優れ、圧着時や単粒子化工程において圧縮荷重などの物理的応力が負荷されてもメッキ剥離やメッキ破壊を生じにくく、したがって長期間にわたって優れた導通信頼性を発現する異方導電材料を得ることができるので、例えば、異方導電性ペースト、異方導電性インク、異方導電性粘接着剤、異方導電性フィルム等の各種異方導電材料用として好適に用いられる。
【0098】
また、本発明の異方導電材料は、上記本発明の導電性微粒子を用いて作製されているので、長期間にわたって優れた導通信頼性を発現しうるものであり、例えば、液晶表示ディスプレイ、パーソナルコンピュータ、携帯電話などの電子機器や半導体素子等の電気的接続用として好適に用いられる。

Claims (4)

  1. 樹脂微粒子の表面に金属メッキ層が形成されてなる導電性微粒子であって、上記金属メッキ層が、リン1〜10重量%およびコバルト0.1〜5重量%を含有し、かつ、上記金属メッキ層が、ニッケルメッキ層であることを特徴とする導電性微粒子。
  2. さらに表面に金メッキ層が形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の導電性微粒子。
  3. 樹脂微粒子が、平均粒子径が0.5〜100μmであり、粒子径の変動係数(Cv値)が10%以下であり、かつ、10%K値が1000〜15000MPaであることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性微粒子。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の導電性微粒子を用いて作製されていることを特徴とする異方導電材料。
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