JP4087773B2 - 洩れ検査装置の校正方法、洩れ検査装置 - Google Patents
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Description
検査モードでは電磁弁14A、14Bが開の状態に制御され、電磁弁14Aと、14Bを通じて被検査体17と基準タンク18に圧搾空気が印加される。この圧搾空気の印加状態を図5に示すように加圧期間T1と称している。
加圧期間T1が経過(T1=数秒)すると電磁弁14A、14Bが閉じられ、一定期間の安定期間が設けられる。この安定期間を一般に平衡期間T2と称している。平衡期間T2の期間に差圧検出器15が判定値NGを越える大きな差圧検出信号ΔDS(図5参照)を出力した場合は、判定手段20はそのときシール治具16に接続されている被検査体17は大きな洩れがあると判定し、表示器21にその判定結果を表示し、検査を終了する。
測定期間T3で差圧検出器15の検出信号が判定値NGを越えなかった場合は「微少な洩れ無し」と判定される。もし測定期間T3の期間内に差圧検出信号が判定値NGを越えると、この場合は「微少な洩れが有る」と判定する。
測定期間T3が終了すると3方電磁弁13はB−C間が導通状態に制御され、また電磁弁14A、14Bが開の状態に制御されて被検査体17及び基準タンク18内の圧縮空気を大気に排気し、初期状態に戻される。
この不都合を解消するためにドリフト補正が施される。図6乃至図8を用いて従来のドリフト補正の方法を説明する。図6に示す曲線P1は差圧検出器15が出力する差圧検出信号を示す。この差圧検出信号には曲線P2とP3に示すドリフト量と洩れ量とを含んでいる。
従って、このドリフトが一定値に収束した状態で真の洩れ量を測定することができる。つまり、検査期間T3を終了する時点で差圧値D1を測定しておき、その時点から更に差圧測定状態を維持し、所定の時間、例えば数10秒間程度経過した時点で差圧値D2を測定し、その測定時点から検査期間T3と同じ時間T3(数秒程度)を経過後に再び差圧値D3を測定する。この測定によりD3−D2は洩れによる圧力変化値である。よってD3−D2の減算結果が判定値NGより大きいか小さいかによって洩れの有無を判定すればドリフトに影響されずに正しい判定を下すことができる。
D=D1−ΔD3 ……… (1)
で求められる。このドリフト値Dを記憶しておくことにより次回以後の検査では第1測定結果D1からドリフト値Dを除去すれば短時間にドリフト値を除去した洩れ量を算出することができ、正しい判定を行うことができる。尚、差圧値D2とD3を測定し、ドリフト値Dを求める作業を一般にマスタリングと称している。
これに対し、図8に示すように断熱変化によるドリフトの温度特性のために第1測定値D1の温度差−差圧変化特性X1と第2測定値D2の温度差−差圧変化特性X2の傾斜が異なっている場合には、各温度差毎にドリフト補正量がDA,DB,DCのように異なる値をとるため、ドリフト補正量を求めた温度差以外の温度差では正しいドリフト補正を施すことができない不都合が生じる。
このような場合、被検査体とシール治具又は外気温度の温度差毎にドリフト補正値を予め求めて記憶しておくことも考えられるが、その作業は膨大であり実現は困難である。特に、被検査体の品種毎にその作業を行わなくてはならないため、更にその実現は困難である。
第1校正モードで洩れのない被検査体を用いて加圧・平衡期間を経て所定の第1測定期間における差圧変化値と、この第1測定期間終了時点から或る時間経過した第2測定期間の差圧変化値を環境温度と被検査体の温度の差毎に測定して第1温度差−差圧変化特性X1及び第2温度差−差圧変化特性X2として記憶し、第2校正モードではこの第2校正モード実行時点の環境温度と被検査体の温度の差ΔT1及びΔT2における第1温度差−差圧変化特性及び第2温度差−差圧変化特性の傾斜値a1とa2を求めると共に洩れ成分b2と初期断熱変化成分に洩れ成分b2を含む成分b1を発生する被検査体と基準タンクに加圧・平衡期間を経て第1測定期間と第2測定期間を与えて、第1測定期間の差圧変化値A1と第2測定期間の差圧変化値A2を測定し、これら差圧変化値A1とA2を
A1=a1・ΔT1+b1
A2=a2・ΔT2+b2
と規定し、これらの式から温度差が零の場合のドリフト値b1とb2を、
b1=A1−a1ΔT1
b2=A2−a2ΔT2
で求め、これらの演算値から温度差が零におけるドリフト補正値D1を
D1=b1−b2=(A1−a1ΔT1)−(A2−a2ΔT2)
で求め、このドリフト補正値D1により第1校正モードで求めた第1温度差−差圧変化特性を修正し、検査モードでは修正された第1温度差−差圧変化特性を用いて検査時のドリフト補正を施す、洩れ検査装置の校正方法を提案する。
D1=b1−b2=(A1−a1ΔT1)(A2−a2ΔT2)
により求めるドリフト補正量算出手段と、によって構成した洩れ検査装置を提案する。
ステップ1:温度差−差圧変化特性X1における温度差による傾きを或る関数f(ΔT)であるが温度差が小さいときは直線とみなされるので傾きa1は一定とする。
ステップ2:温度差−差圧変化特性X2においても同様に傾きa2を一定とする。
ステップ3:加圧・平衡・測定期間を経て第1測定値A1(図2参照)を測定する。第1測定値A1が図1に示す曲線X1″上に存在する測定値と仮定し、その曲線X1″の仮想切片をb1とする。このときの温度差はΔT1であった。
A1=a1ΔT1+b1 ……… (2)
b1成分の中には断熱変化成分と洩れ成分b2が含まれている。
A2=a2ΔT2+b2 ……… (3)
成分b2は洩れと見なされる差圧値、a2は温度差に依存する傾きである。
ステップ5:温度差零の原点の値、つまり曲線X1″とX2″の仮想切片b1とb2の値を算出する。
第1測定値A1の原点b1は
b1=A1−a1ΔT1 ……… (4)
同様に、第2測定値A2の原点b2は
b2=A2−a2ΔT2 ……… (5)
ステップ6:原点におけるドリフト量はb1−b2であるから、原点におけるドリフト補正量D1は
D1=b1−b2=(A1−a1ΔT1)−(A2−a2ΔT2)………(6)
で求められる。
検査モードでは、図1に示した温度差−差圧変化特性X1の原点における切片をドリフト補正量D1で修正し、修正された温度差−差圧変化特性X1´を用いて検査毎に測定した温度差に対応するドリフト補正量を読み出して検査を行えばよい。
判定手段20は一般にコンピュータで構成される。コンピュータはよく知られているように、CPUと呼ばれている中央演算処理装置1と、この中央演算処理装置1を起動させるためのプログラム等を記憶したROM2と、この発明による洩れ検査用プログラムを格納し、このプログラムを中央演算処理装置1で実行させるRAM3と、入力ポート4及び出力ポート5等により構成される。
RAM3に格納されている洩れ検査用プログラムは検査用シーケンス制御手段3Bを構成するプログラム、マスタリング用シーケンス制御手段3Cを構成するプログラム、温度差−差圧変化特性取得・記憶手段3Dを構成するプログラム、傾き算出手段3Eを構成するプログラム、仮想切片算出手段3Fを構成するプログラム、ドリフト補正量算出手段3Gを構成するプログラムである。
マスタリング用シーケンス制御手段3Cは3方電磁弁13と電磁弁14A、14Bを開閉制御し、加圧・平衡・測定期間を生成し、図2に示す第1測定値A1と第2測定値A2を得るまでの動作を繰返す制御を実行し、第1校正モードでは温度差−差圧変化特性X1とX2を測定する場合に起動される。また、第2校正モードでは上述したステップ3で説明したA1とA2を測定する場合に起動される。
傾き算出手段3Eは温度差−差圧変化特性取得・記憶手段3Dが記憶した温度差−差圧変化特性X1、X2を利用して上記した第2校正モードのステップ3で説明した傾きa1とa2を求める。
仮想切片算出手段3Fは上記した(4)式及び(5)式を用いて仮想切片b1とb2を算出する。
ドリフト補正量D1が算出されることにより、温度差−差圧変化特性X1をドリフト補正量D1に従って平行移動させ、各温度差毎に修正された温度差−差圧変化特性X1´(図2参照)を得る。
検査モードではこの修正された温度差−差圧変化特性X1´を用いて、各温度差におけるドリフト補正を行うことにより正しいドリフト補正を施すことができる。
この発明ではこの校正作業を短時間に済ませることができる校正方法をも提案することである。
ε1=AVLA1−AVShA1
ε2=AVLA2−AVShA2
これらの誤差値ε1とε2を予め求め記憶しておく、この誤差値ε1とε2は短い時間間隔で測定した場合の被検査体17内の内壁の温度変化による影響を受けた測定値ShA1、ShA2と、充分時間を掛けて測定した第1差圧変化値LA1と第2差圧変化値LA2の誤差である。この誤差値ε1とε2を予め記憶しておくことにより、以後短い時間間隔で第1差圧変化値ShA1と第2差圧変化値ShA2を測定し、これらの第1差圧変化値ShA1と第2差圧変化値ShA2を誤差値ε1とε2で補正すれば充分時間を掛けて測定した第1差圧変化値LA1と第2差圧変化値LA2を求めることができる。特に短い周期で第1差圧変化値ShA1と第2差圧変化値ShA2を複数回測定し、各測定値ShA1とShA2を誤差値ε1とε2で補正し、その補正した第1差圧変化値と第2差圧変化値のそれぞれの平均を求めることにより信頼性の高い差圧変化値LA1とLA2を求めることができる。
A2 第2測定期間の差圧変化値 14B 電磁弁
X1 第1温度差−差圧変化特性 15 差圧検出器
X2 第2温度差−差圧変化特性 16 シール治具
a1,a2 傾き 17 被検査体
10 空圧源 16A,17A 温度センサ
11 調圧弁 18 基準タンク
12 圧力計 19 可変利得増幅器
13 3方電磁弁 21 表示器
3A データ格納部 3B 検査用シーケンス制御手段
3C マスタリング用シーケンス制御手段
3D 温度差−差圧変化特性取得・記憶手段
3E 傾き算出手段 3F 仮想切片算出手段
3G ドリフト補正量算出手段
Claims (4)
- 被検査体と基準タンクに空気圧を印加し、両者間に発生する差圧値に応じて被検査体の洩れの有無を判定する洩れ検査装置において、
第1校正モードで洩れのない被検査体を用いて加圧・平衡期間を経て所定の第1測定期間における差圧変化値と、この第1測定期間終了時点から或る時間経過した第2測定期間の差圧変化値を環境温度と被検査体の温度の差毎に測定して第1温度差−差圧変化特性及び第2温度差−差圧変化特性として記憶し、
第2校正モードではこの第2校正モード実行時点の環境温度と被検査体の温度の差ΔT1及びΔT2における上記第1温度差−差圧変化特性及び第2温度差−差圧変化特性の傾斜値a1とa2を求めると共に洩れ成分b2と初期断熱変化成分に洩れ成分b2を含む成分b1を発生する被検査体と基準タンクに加圧・平衡期間を経て第1測定期間と第2測定期間を与えて、第1測定期間の差圧変化値A1と第2測定期間の差圧変化値A2を測定し、これら差圧変化値A1とA2を
A1=a1・ΔT1+b1
A2=a2・ΔT2+b2
と規定し、これらの式から上記温度差が零の場合のドリフト値b1とb2を、
b1=A1−a1ΔT1
b2=A2−a2ΔT2
で求め、これらの演算値から上記温度差が零におけるドリフト補正値D1を
D1=b1−b2=(A1−a1ΔT1)−(A2−a2ΔT2)
で求め、このドリフト補正値D1により上記第1校正モードで求めた第1温度差−差圧変化特性を修正し、
検査モードでは上記修正された第1温度差−差圧変化特性を用いて検査時のドリフト補正を施す、
ことを特徴とする洩れ検査装置の校正方法。 - 請求項1記載の洩れ検査装置の校正方法において、上記第2校正モードを複数回実行し、複数のドリフト補正量D1を算出し、この複数のドリフト補正量の平均値を求め、この平均値を真の温度差零におけるドリフト補正量として記憶することを特徴とする洩れ検査装置の校正方法。
- 請求項1記載の洩れ検査装置の校正方法において、予め充分長い周期で第1測定期間の差圧変化値LA1と第2測定期間の差圧変化値LA2を複数回測定し、各差圧変化値LA1とLA2のそれぞれの平均値AVLA1及びAVLA2を求めると共に、短い周期で第1測定期間の差圧変化値ShA1と第2測定期間の差圧変化値ShA2を複数回測定し、各差圧変化値ShA1とShA2のそれぞれの平均値AVShA1、AVShA2を求め、長い周期で測定した差圧変化値の平均値AVLA1とAVLA2及び短い周期で測定した差圧変化値の平均値AVShA1とAVShA2の各誤差ε1とε2をε1=AVLA1−AVShA1及びε2=AVLA2−AVShA2により求め、これらの誤差値ε1とε2を用いて以後に短い周期で測定される差圧変化値ShA1とShA2を補正して実質的に長い周期で測定した測定値LA1とLA2を求めることを特徴とする洩れ検査装置の校正方法。
- A.被検査体と基準タンクに空気圧を印加する加圧期間及び加圧期間の終了時点から安定期間、測定期間へと切替る検査モード用シーケンス制御手段と、
B.上記安定期間及び測定期間に上記被検査体と基準タンクとの間に発生する差圧値を測定する差圧検出器と、
C.被検査体と基準タンクに空気圧を印加する加圧期間及び加圧期間の終了時点から、安定期間、測定期間へと切替え、測定期間終了及び測定期間の終了時点から所定の時間が経過する時点まで、上記被検査体と基準タンクの空気圧の密封状態を維持する制御を実行するマスタリング用シーケンス制御手段と、
D.このマスタリング用シーケンス制御手段が起動されている状態で、上記被検査体の温度と環境温度の差毎に差圧変化を測定して温度差−差圧変化特性を取得し、記憶する温度差−差圧変化特性取得・記憶手段と、
E.上記温度差−差圧変化特性取得・記憶手段に記憶した第1温度差−差圧変化特性X1と第2温度差−差圧変化特性X2の傾きa1、a2を算出する傾き算出手段と、
F.この傾き算出手段が算出した傾きa1、a2と第1温度差−差圧変化特性X1と第2温度差−差圧変化特性X2の上記温度差零における仮想切片b1、b2を算出する仮想切片算出手段と、
G.上記傾き算出手段が算出した傾きa1、a2と、上記仮想切片b1、b2とから、温度差零におけるドリフト補正量D1を
D1=b1−b2=(A1−a1ΔT1)(A2−a2ΔT2)
により求めるドリフト補正量算出手段と、
によって構成したことを特徴とする洩れ検査装置。
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