JP6653145B2 - 弾性体の漏れ計測方法及び漏れ計測装置 - Google Patents

弾性体の漏れ計測方法及び漏れ計測装置 Download PDF

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本発明は、弾性体の漏れ流量を計測する漏れ計測方法及び漏れ計測装置に関する。
一般的に、競技用の弾性体(いわゆる競技用のボール)の漏れ流量の検査は、弾性体の内部に空気を充填した後、弾性体を1週間程度放置し、放置前後(空気充填後、1週間程度経過時)の圧力低下が規定圧力以下にならないことを確認するという方法で行われている。上記の漏れ流量の検査方法では、製造した製品(弾性体)を、1週間程度放置するために、工場内に広い保管場所が必要になる。漏れ流量の検査のための広い保管場所の敷地面積は、生産能力、弾性体の大きさ等にもよるが、数百平方メートルにも及ぶ場合がある。そのため、この保管場所を削減できれば、生産ラインの増設が可能になるなど、工場内の敷地を有効に活用することができる。
漏れ流量の検査のための広い保管場所を削減するためには、漏れ流量の検査時間を、弾性体が製造されるタクトタイム以内に短縮し、漏れ流量の検査をインライン化する必要がある。一般的に、漏れ流量の検査時間を短縮する方法としては、密封品チャンバ法等が推奨されている。
一方、この弾性体をチャンバ(拘束容器)等に密閉して漏れ流量を計測する場合には、弾性体の個々の大きさのばらつきにより、弾性体とチャンバとの隙間の体積がばらつく。それにより、漏れ計測のばらつきが発生し、漏れ流量を正確に判定できないという問題がある。そのため、検査する弾性体毎に、弾性体とチャンバとの隙間の体積を計測して、漏れ計測のばらつきを補正し、漏れ流量を正確に判定する必要がある。
また、チャンバ等で弾性体を覆うと、チャンバ内は密閉空間となるため、弾性体が漏れ流量による圧力変化により、その体積が変化すると、隙間の体積も変わる。よって、弾性体の体積変化も考慮して漏れ流量を判定する必要がある。
上記のように、弾性体の漏れ流量の検査をインライン化し、広い保管場所を削減して製造コストを低減させるためには、漏れ流量の検査時間を短縮するとともに、漏れ流量の判定の精度に影響を及ぼす弾性体特有の個々の体積のばらつきや、漏れ流量による弾性体の体積変化を考慮した漏れ流量の検査方法を構築することが不可欠である。
特許文献1には、被検査物の内側の密閉された第1の密閉空間に大気圧以上の気体を供給し、被検査物の外側の被検査物を取り囲む密閉された第2の密閉空間に非圧縮性流体を密閉して、第2の密閉空間の圧力変化を捉えて被検査物の漏れの有無を判定する発明が開示されている。
特許文献1に記載された発明は、被検査物がシリンダブロックのような金属製であり、その漏れ判定のための被検査物の内圧は1〜3MPa(Abs)である。また、第2の密閉空間には非圧縮性流体として水を使用している。
内圧を130kPa(Abs)程度にしかできない弾性体(競技用のボール等)では、特許文献1のように高い内圧で漏れ検出感度を上げてわずかな漏れ流量を計測するという方法は使用できない。また、弾性体特有の個々の体積のばらつきや漏れ流量による弾性体の体積変化による計測精度の影響に対する考慮がなされていないため、弾性体の漏れを正確に計測することはできない。更には、水を用いているため大気圧を使用する場合と比べて装置も大掛かりなものとなり、コストも高くなるという問題もある。
特許文献2には、皿状体の被検査物の漏れ検査方法が開示されている。特許文献2の被検査物は皿状体ではあるが、皿状体の内部を減圧して、その被検査物よりも僅かに大きく設定されたカプセルを被せて、被検査物とカプセルとの間の空間を大気圧としてその空間内の圧力変化をテスターで計測し、漏れを検査する。
特許文献2では、被検査物よりも僅かに大きく設計されたカプセルを使用することで、圧力計測のための体積を小さくして漏れ検出感度を向上させているが、特許文献1と同様に、弾性体特有の個々の体積のばらつきや、漏れ流量による弾性体の体積変化による計測精度の影響に対する考慮がなされていないため、弾性体の漏れを正確に計測することはできない。また、弾性体の被検査物では内部を減圧することができないという問題もある。
特開2004−347496号公報 特開平7−12008号公報
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、被検査物の個々の体積のばらつきや圧力の変化で体積が変化するという漏れ計測における弾性体特有の課題を解決して、短時間で正確に漏れ流量の判定を行うことができる計測方法及び装置を提供することである。
本発明は、内側を流体の収容空間として用いる被検査物の流体の漏れ流量を計測する漏れ計測方法において、前記被検査物の内側の密閉された第1の密閉空間と共に、前記被検査物の外側に前記被検査物を取り囲む密閉された第2の密閉空間を形成し、前記第1の密閉空間に大気圧以上の流体を供給すると共に、前記第2の密閉空間に大気圧の流体を密閉し、前記第2の密閉空間の圧力変化を計測することにより、前記被検査物の流体の漏れ流量を計測することを特徴とする漏れ計測方法又は漏れ計測装置である。
また、本発明は、第2の密閉空間の体積を可変することによって発生する圧力変化で第2の密閉空間の体積を計測し、前記被検査物の第1の密閉空間内の漏れ流量による圧力変化と体積変化の関係から、被検査物の個々の体積のばらつきと漏れ流量による体積の変化によって発生する漏れ計測の誤差を補正することを特徴とする漏れ計測方法又は漏れ計測装置である。
本発明によれば、個々の体積のばらつきと漏れ流量よって体積の変化が発生する弾性体の漏れ計測を高精度で、かつ短時間で実施することができる。
本発明において、第2の密閉空間の体積を算出し、該体積により、被検査物の漏れ計測時間、又は判定基準を変更すれば、一定の判定基準で漏れ流量を判定、又は一定の計測時間で漏れ流量を判定することができる。
本発明において、被検査物の内圧変化による体積変化がない場合に、第2の密閉空間への漏れ流量による圧力変化が第2の密閉空間の体積に反比例することにより、第2の密閉空間の体積に応じて補正した漏れ流量により被検査物の漏れ流量を判定すれば、被検査物が体積の個体差(ばらつき)を持つものであっても、補正した漏れ流量で被検査物の漏れ流量の判定を行うことができる。
本発明において、被検査物の圧力変化による体積変化がある場合、第2の密閉空間の圧力変化は、第2の密閉空間の体積が変化することにより、実際の漏れ流量による圧力変化より小さくなるため、補正した漏れ流量により被検査物の漏れ流量を判定すれば、被検査物が圧力変化によって体積変化があるものでも、補正した漏れ流量で被検査物の漏れ流量を判定することができる。
本発明において、第2の密閉空間の圧力変化と漏れ流量との関係は、被検査物の圧力変化による体積変化の値によって定まり、第2の密閉空間の圧力変化と被検査物の圧力変化による体積変化に基づき、漏れ流量を補正すれば、補正した漏れ流量で被検査物の漏れ流量を判定することができる。
本発明において、被検査物が球状弾性体又は断面楕円形状の弾性体であれば、漏れ計測を高精度で、かつ短時間で実施することができる。
本実施形態の漏れ計測装置の概略図である。 チャンバ内の隙間の差圧の変化を示す図である。 隙間体積の測定と漏れ流量算出の一般式を求めるために弾性体を密閉空間で包囲した概念図である。 弾性体の内圧変化及び隙間の圧力変化による体積変化を説明する図である。 漏れ流量とキャリブレーション流量による圧力変化の関係を示すブロック線図である。 本実施形態の漏れ計測装置の漏れ流量の良否判定のフロー図である。 漏れ計測時の隙間の差圧の変化の計測結果を示す図である。 別の漏れ計測装置における弾性体とチャンバを示す図である。 更に別の漏れ計測装置における弾性体とチャンバを示す図である。
本発明の漏れ計測装置の実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本実施形態の漏れ計測装置の概略図である。図1に示す本発明の実施形態に係る漏れ計測装置1は、被検査物としての弾性体3の第1の密閉空間2に注入された圧縮空気が弾性体3の外部に漏れていないか漏れているかを計測する装置であって、検査容器としてのチャンバ4、バルブ5、バルブ6、差圧計7、可変体積部8、制御部9を備えている。第1の密閉空間2は、弾性体3の内側に密閉状に形成された空間である。チャンバ4は、基部11、開閉可能な蓋部12、収容部13、感知器14を備えている。基部11と蓋部12との境界は、分割面15及び分割面16を形成している。
なお、図1では、弾性体3が収容部13の中に浮いた状態で収容された態様に図示されているが、弾性体3の外壁面の一部が収容部13を囲む内壁面の一部に接触して静止した状態、又は、複数個の図示のされていない支持部が収容部13を囲む内壁面から弾性体3の側に突出するように収容部13を囲む内壁面に設けられ、これらの支持部で弾性体3が図1に示した態様に支持されていてもよい。
チャンバ4は、圧力変化により変形しない構造で形成されている。収容部13は、基部11と蓋部12との双方にわたり、弾性体3の外形よりも大きな空間を構成するように、チャンバ4の内部に設けられている。蓋部12が開かれ、弾性体3が基部11側の収容部13に収容された後、蓋部12が閉じられると、弾性体3と収容部13との間に第2の密閉空間17が密閉状に構成される。この密閉状になった第2の密閉空間17には、大気圧の空気が閉じ込められる。
収容部13の形状は球体に限定されるものではないが、弾性体3が球体の場合は収容部13も球体に構成されるというように、弾性体3の形状と収容部13の形状とが相似形に構成されることにより、第2の密閉空間17の体積としての隙間体積を小さくできる。感知器14は、蓋部12が閉じられたことを検出した信号を制御部9に出力するように構成されている。可変体積部8は、内筒部18と可動部19とを備えている。
収容部13には、バルブ5、バルブ6及び差圧計7が、管部20、管部21、管部22で接続されている。具体的には、収容部13とバルブ5とが管部20で互いに接続され、収容部13とバルブ6とが管部21で互いに接続され、収容部13と差圧計7とが管部22で互いに接続されている。バルブ5には、内筒部18の一端部が管部23で接続される。管部23の接続された内筒部18の一端部は、内筒部18の体積が最小になる側である。可動部19は、制御部9からの出力により、内筒部18の体積を増減するように往復運動可能に構成されている。
バルブ5が開動作した状態になると第2の密閉空間17と内筒部18とが管部20及び管部23を経由して接続され、バルブ5が閉動作した状態になると第2の密閉空間17と内筒部18との接続が遮断される。バルブ6が開動作した状態になると第2の密閉空間17と大気とが管部21を経由して接続され、バルブ6が閉動作した状態になると第2の密閉空間17と大気との接続が遮断される。
制御部9は、図示のされていないCPU(Central Processing Unit)やメモリ及び入出力部を備えている。制御部9の入出力部には、バルブ5、バルブ6、差圧計7、可変体積部8、感知器14のそれぞれに設けられた入出力が信号伝達線24〜28で接続されている。具体的には、バルブ5の入出力と制御部9の入出力部とが信号伝達線25で互いに接続され、バルブ6の入出力と制御部9の入出力部とが信号伝達線24で互いに接続されている。
また、差圧計7の入出力と制御部9の入出力部とが信号伝達線26で互いに接続され、可変体積部8の入出力と制御部9の入出力部とが信号伝達線27で互いに接続され、感知器14の入出力と制御部9の入出力部とが信号伝達線28で互いに接続されている。信号伝達線24〜28は、無線又は有線により接続されている。
制御部9の図示のされていないCPUは、メモリとしてのROM(Read Only Memory)に格納されたプログラムにしたがい、メモリとしてのRAM(Random Access Memory)に記録されている情報と、データベースとして書き換え可能な不揮発性メモリ(NVRAM)に格納された情報とを使用しながら動作してバルブ5、バルブ6、差圧計7、可動部19を制御する。
制御部9には、設置検出手段31、体積算出手段32、漏れ流量補正手段33、良否判定手段34が設けられている。設置検出手段31、体積算出手段32、漏れ流量補正手段33、良否判定手段34のそれぞれの動作は、制御部9のCPUがROMに格納されたプログラムにしたがい動作することにより具現化される。
設置検出手段31は、蓋部12が閉じられたことを検出した信号を処理し、規定時間経過後に体積算出手段32に、体積算出開始の信号を出力する機能を備える。体積算出手段32は、可変体積部8を制御して第2の密閉空間17の体積を可変し、差圧計7の計測値から第2の密閉空間17の体積を算出する機能を備える。
また、漏れ流量補正手段33は、第2の密閉空間17の圧力変化から弾性体3の漏れ流量を算出し、弾性体3の体積変化に応じて漏れ流量を補正する機能を備えている。さらに、良否判定手段34は、漏れ流量補正手段33により算出及び補正された漏れ流量に基づき、基準値と比較し良否を判定する機能を備えている。
次に、制御部9を構成する体積算出手段32について、体積を算出するための圧力変化の計測とその算出方法について説明する。
ボイルの法則により、温度が一定な2つの状態は、下記の関係が成り立つ。
Figure 0006653145
ここで、式(1)及び以下で説明する定数は次の通りである。
Vs=弾性体3とチャンバ4間の隙間体積[m3]
Ps=弾性体3とチャンバ4間の隙間の圧力[Pa]
Vp=内筒部18による体積変化後の隙間体積[m3]
Pp=内筒部18による体積変化後の隙間の圧力[Pa]
ΔP=隙間の圧力変化値[Pa]
ΔV=内筒部18の体積[m3]
内筒部18の体積分だけ隙間体積が増加すると隙間の圧力が低下する。その時の隙間体積Vp隙間の圧力Ppは、
Figure 0006653145
式(1)を下記のように変形する。
Figure 0006653145
これらから弾性体3とチャンバ4間との隙間体積Vsは、式(2)で表される。
Figure 0006653145
よって、内筒部18の体積ΔVと隙間の圧力変化値ΔPがわかれば、隙間体積Vsが求められる。
図2はチャンバ4内の隙間の差圧の変化を示す図である。縦軸は隙間の差圧を示し、横軸は時間である。
内筒部18の底面積(可変体積部8の往復運動部が内筒部18の中心線に沿う方向に往復運動する方向と直交する方向に切断した横断面積と同義語)と往復運動の可動距離(ストロークと同義語)から内筒部18の体積ΔVが求まり、計測した圧力変化値ΔPから上記の式(2)により隙間体積Vsが求められる。
例えば、図2に示すように、差圧の変化が160Paとすると、内筒部18の体積が0.9896mlであったとすると、隙間体積Vsは625mlとなる。なお、Psは標準大気圧とした。
隙間体積Vsの違いにより、漏れ流量が同じでも、差圧の変化は、隙間体積Vsが小さい場合は、差圧の変化が大きくなる。逆に、隙間体積Vsが大きい場合は、差圧の変化が小さい。よって、上記の隙間体積の算出方法で求めた隙間体積Vsに応じて漏れ計測時間又は判定基準を変更して漏れ判定を行うことで、個々の体積のばらつきがある弾性体3の漏れ計測を正確に行うことが可能となる。
可変体積部8により変化させた体積ΔVが小さければ、安定時間は早い。また、変化する圧力値も小さい。従って、小さな体積の内筒部18を使用することにより、レンジの小さい差圧計7を用いることができるため、漏れ計測精度向上に繋がる。本実施形態の漏れ計測装置1では、数百Paレンジの差圧計7を用いて隙間の圧力と大気圧間の差圧を計測し、更に高精度の計測を可能としている。
以上で説明した隙間体積Vsを求める場合、チャンバ4内の弾性体3の体積は変わらないとしている。実際には、隙間の圧力が低下(又は増加)するため、隙間の圧力変化により弾性体3は僅かに体積が変化する。
ここで、隙間の圧力変化により弾性体3の体積が変化する場合の隙間体積の測定方法と、隙間の圧力変化に基づく漏れ流量の算出方法とを共通した算式で表す一般式を検討する。
図3はその隙間体積の測定と漏れ流量算出の一般式を求めるために弾性体を密閉空間で包囲した概念図である。
以下で使用する定数は次のとおりである。
Pb=弾性体3の内圧[Pa]
Ps=弾性体3とチャンバ4間の隙間の圧力[Pa]
Vb=弾性体3の体積[m3]
Vs=弾性体3とチャンバ4間の隙間体積[m3]
kt=弾性体3の圧力変化による体積変化[m3/Pa]
kl=漏れ流量の補正係数[Pa/kg]
Gl=漏れ流量(質量流量)[kg/s]
Gc=キャリブレーション流量(質量流量)[kg/s]
Wb=弾性体3の密閉空間の流体の質量[kg]
Ws=隙間体積の流体の質量[kg]
R =ガス定数[J/(kg・K)]
θa=室温[K]
なお、キャリブレーションに要する時間のキャリブレーション流量Gcの積算値は、ここでは内筒部18の体積ΔV内の流体の質量に相当する。
弾性体内の空気状態方程式を下記のとおりである。
Figure 0006653145
ここで、流体における質量保存の法則を示す式を「連続の式」という。漏れ流量Glにより弾性体内の体積が変化すると、弾性体の内圧が変化するが、体積変化の前後の総質量は変化しないため、質量保存の法則が成り立つ。
よって、質量保存の法則から、弾性体の内圧及び体積の変化(それぞれΔPb、ΔVbとする)による質量は、漏れ流量(質量流量)と時間の積と等しくなる。
また、漏れ流量Glは弾性体3から流出する方向を「−」とすると、
Figure 0006653145
Δtは所定の時間変化とし、式(4)に示すΔtは、漏れ流量を検討する場合には、チャンバの蓋部を閉じてから漏れ流量による隙間の圧力変化の計測時までとなる。
ここで、弾性体3の圧力変化による体積変化ktについて説明する。図4は、弾性体3の内圧変化及び隙間の圧力変化による体積変化ktを説明する図である。弾性体の内圧変化ΔPb及び弾性体とチャンバ間の隙間の圧力変化ΔPsの差により発生する体積変化ΔVbをktとすると、弾性体3とチャンバ4間の隙間が密閉空間の場合は、
Figure 0006653145
で、表される。
隙間が密閉空間ではなく大気圧に開放の場合、隙間の圧力Psは弾性体3の内圧Pbが変化しても圧力の変化はなく、弾性体3の圧力変化による体積変化ktは弾性体3の内圧Pbのみで表される。この場合、弾性体3の圧力変化による体積変化ktは、例えば、弾性体3の内圧Pbを変化させ、その時の弾性体3の周囲の長さを計測して、体積Vbの変化を算出する。
なお、隙間体積Vsの測定及び弾性体3の漏れ流量を計測する場合は、弾性体3の圧力変化による体積変化ktを事前に計測し、漏れ流量の計測前に制御部9のデータベース等に記憶させておく。
ここで、ΔVbを式(4)に代入すると、
Figure 0006653145
式(5)を微分形式に変形すると、
Figure 0006653145
一方、隙間の空気状態方程式は、
Figure 0006653145
上述した連続の式により、
Figure 0006653145
式(8)を微分形式に変形すると、
Figure 0006653145
ここで、弾性体の内圧変化ΔPbと隙間の圧力変化ΔPsとの圧力差により発生する体積変化ktを用いて、ΔVs=−ΔVbの関係から、
Figure 0006653145
弾性体3の圧力変化による体積変化ktから隙間体積の変化dVs/dtを算出し、式(9)に代入する。
Figure 0006653145
Figure 0006653145
変形して、
Figure 0006653145
弾性体3の内圧変化と隙間の圧力変化は、式(6)及び式(10)から、
Figure 0006653145
式(11)と式(12)は、下記のようにk、k、k、kを定義し置換える。
Figure 0006653145
式(11)と式(12)は、下記のとおりである。
Figure 0006653145
Figure 0006653145
図5は、式(13)と式(14)の関係について、漏れ流量Glとキャリブレーション流量Gcによる圧力変化の関係を示すブロック線図である。
式(13)のdPb/dtを式(14)に代入すると、
Figure 0006653145
よって、弾性体3とチャンバ4間の隙間の圧力変化は、
Figure 0006653145
ここで、キャリブレーション流量Gcの変化が短時間で終了し、その間の漏れ流量Gl=0と仮定すれば、式(15)は弾性体3の圧力変化による体積変化kt≠0の場合のキャリブレーション流量Gcによる隙間の圧力変化を表す式となる。
すなわち、
Figure 0006653145
キャリブレーションによる圧力変化の時間をΔt1とすると、以下に示すキャリブレーション流量GcとΔt1の積(Gc・Δt1)は、図1に示した内筒部18の流体の質量である。
ここで、隙間の圧力変化をΔPsとすると、
Figure 0006653145
の定義から、
Figure 0006653145
上記式のGc・Δt1は内筒部18の流体の質量に相当するから、内筒部の体積をΔVとすると、
Figure 0006653145
の関係から、
Figure 0006653145
の定義から、
Figure 0006653145
よって、
Figure 0006653145
さらに、
Figure 0006653145
隙間の圧力変化ΔPsは、キャリブレーション流量Gcが流出するので、隙間の差圧が低下しマイナスとなるため、隙間体積Vsの算出は、
Figure 0006653145
式(18)の右辺のPs・ΔV/ΔPsは、弾性体3の体積変化kt=0の場合の算出式であり、Ps・kt(1−k)は、隙間の圧力が変化することにより弾性体3の体積が変化して、それによっても隙間の圧力値が変化するため、正しい隙間体積を求める補正する項となっている。
また、弾性体3の圧力変化による体積変化kt=0の場合は、
Figure 0006653145
隙間の圧力変化をΔPsとし、体積変化kt≠0の場合と同様にキャリブレーションによる圧力変化の時間をΔt1とすると、
Figure 0006653145
ここで、上記の式(17)が成立することから、
Figure 0006653145
よって、この場合も、キャリブレーション流量は流出としていることから、ΔPsは圧力が低下しマイナスとなるため、
Figure 0006653145
上記の式(20)は、弾性体3の圧力変化による体積変化がない隙間体積を測定した場合であり、式(2)と同じものになる。
下記条件における、例えば係数kを算出すると、
Ps=1.01×10〔Pa〕
Pb=1.32×10〔Pa〕
kt=2.00×10−9〔m/Pa〕
Vb=4.00×10−3〔m
Vs=4.00×10−4〔m
Figure 0006653145
となる。
キャリブレーション(隙間体積Vsを測定)は、短時間で測定が行われるため、漏れ流量Gl=0と仮定して、式(13)は、上記のkを用いて、
Figure 0006653145
上記条件での弾性体3の内圧変化は、隙間の圧力変化の6%程度となる。
上記では、キャリブレーション流量Gcは、弾性体3とチャンバ間の隙間から流出する場合について説明したが、キャリブレーション流量Gcが弾性体3とチャンバ間の隙間に流入する場合も同様に求めることができる。この場合は、図1に示した内筒部18の体積分だけ弾性体3とチャンバ間の隙間に流入させることによって隙間体積Vsを測定する。
以上、隙間の圧力変化により弾性体3の体積が変化する場合の隙間体積Vsの算出方法について説明した。
次に、弾性体3とチャンバ4との隙間体積Vsの算出に基づき、漏れ流量補正手段33について、ここでは、弾性体3の漏れ流量による体積変化を考慮した漏れ流量の算出及び補正の方法について説明する。
チャンバ4内に入れた弾性体3からの漏れ流量は、隙間体積Vsの圧力変化を計測することにより算出する。
弾性体3は、その内部から流体が漏れれば、圧力が変化し体積も変化する。そのため、弾性体3とチャンバ4との隙間体積Vsも変化する。よって、漏れ流量を正確に算出するためには、弾性体3の体積変化も考慮する必要がある。
上記の式(15)のキャリブレーション流量Gc=0にした場合には、弾性体3が、漏れ流量によってその体積が変化する場合の隙間の圧力変化から漏れ流量を補正する算出式になる。
すなわち、
Figure 0006653145
ここで、
Figure 0006653145
よって、弾性体3の圧力変化による体積変化kt≠0の場合、
Figure 0006653145
ここで、漏れ流量の計測は、隙間の圧力と大気圧との差圧の計測開始時と終了時の差を求めるため、その漏れ流量の計測時間を「t」とし、隙間の圧力変化をΔPsとすると、
Figure 0006653145
となり、漏れ流量Glは、
Figure 0006653145
により、求められる。
隙間の圧力変化ΔPsが大きくなれば、漏れ流量も大となる。隙間の圧力変化ΔPsが同じでも、klの値によって、漏れ流量が変化する。例えば、弾性体3の圧力変化ktによる体積変化があれば、漏れ流量により弾性体3の体積が収縮して、それに伴い隙間の体積が増加して差圧の圧力変化が小さくなる。そのため漏れ流量の補正係数klにより補正する。さらに、計測時間が長いほど、漏れ流量は少ないことになる。
また、弾性体3の圧力変化による体積変化kt=0の場合、
Figure 0006653145
すなわち、式(23)は、
Figure 0006653145
上記の式(22)は、弾性体3の圧力変化による体積変化kt≠0の場合、すなわち、弾性体3の圧力変化による体積変化がある場合の漏れ流量の補正係数であり、弾性体3の内圧、体積、隙間体積等によって、変化する。
また、式(24)は、弾性体3の圧力変化による体積変化kt=0の場合の漏れ流量の補正係数であり、その係数は隙間体積Vsに反比例する。同じ圧力変化であれば、隙間体積が大きい場合は漏れ流量が大きくなることを意味する。この場合、チャンバ4内の弾性体3の体積が、通常の使用範囲では全く変化しない場合か、又は被検査物が金属製の場合である。
次に、図1に示した弾性体の漏れ計測装置1を用いた漏れ流量の計測方法について、図6に示すフロー図に基づいて説明する。図6は、漏れ計測装置1の漏れ流量の良否判定の手順を示したものである。
図1に示した制御部9が電力の供給により起動し、起動した制御部9からの制御によりバルブ5、バルブ6、差圧計7、可変体積部8、感知器14のそれぞれに電力が供給され、バルブ5、バルブ6、差圧計7、可変体積部8、感知器14のそれぞれが動作可能の状態となる。
弾性体3の第1の密閉空間2には、大気圧以上の予め設定された設定圧力になるように圧縮空気が注入される。この圧縮空気の注入された弾性体3がチャンバ4の蓋部12の開放された基部11側の収容部13に収容された後、蓋部12が基部11に密着するように閉じられ、収容部13が密閉される。蓋部12の開閉は、手動、電動のいずれでも適用可能である。電動の場合は、制御部9からの制御により蓋部12が開閉されるように構成される。
電力供給後の弾性体の漏れ計測装置1の初期状態は、バルブ5が閉動作された状態、バルブ6が開動作された状態、差圧計7が大気圧と第2の密閉空間17の圧力との差圧を検出する動作状態である。また、可変体積部8の可動部19は内筒部18の体積を最小に設定した状態、又は、可変体積部8の可動部19が内筒部18の体積を最大に設定した状態のいずれかになっている。以下の説明においては、内筒部18の体積が最小に設定された状態になっているものとする。
上記初期設定後において、蓋部12が閉じられると、感知器14が蓋部12の閉じられたことを検出した信号を制御部9に出力する。この感知器14から制御部9に入力された信号を設置検出手段31が検出すると、設置検出手段31が制御部9に設けられた図示のされていない時計手段又は計時手段を動作させて、感知器14から信号の入力されてからの経過時間を計測する。当該経過時間が制御部9に内蔵されたデータベースに書き込まれた規定時間と比較し経過時間が規定時間に到達した時に、設置終了と判断し(図4のS1001、YES)、設置検出手段31が体積算出手段32に体積算出開始信号を出力すると共にバルブ6を閉動作する状態に制御する。なお、S1001のNOの場合は、S1001の動作、すなわち、経過時間の計測を繰り返す。
上記規定時間は、蓋部12が閉じられ、第2の密閉空間17の圧力が、バルブ6の開動作による大気との接続により、大気圧に安定したとして実験を含む経験則から設定された時間である。よって、体積算出開始信号が設置検出手段31から体積算出手段32に入力された時点では、第2の密閉空間17の圧力が大気圧に安定した状態となっている。
次に、所定の時間が経過すると、体積算出開始信号が設置検出手段31から体積算出手段32に入力され(図6のS1002、YES)、体積算出手段32がバルブ5を開動作した状態になるように制御する。なお、S1002のNOの場合は、所定の時間が経過するまで時間の計測を繰り返す。
次に、体積算出手段32が差圧計7で検出した差圧を入力して、内筒部18の体積の増加する前の第2の密閉空間17の隙間の圧力Psを制御部9に内蔵されたメモリに記録し、更に、体積算出手段32が内筒部18の体積が増加するように可動部19を制御する。この制御部9による可動部19に対する制御は、制御部9に内蔵されたデータベースに書き込まれた可動距離(ストロークと同義語)だけ、可動部19を移動するようになっている。
なお、内筒部18の増加した体積ΔVは、既知の値であるので、制御部9のデータベースに書き込まれている。すなわち、上記可動距離と内筒部18を可動部19の往復移動方向と直交する方向に切断した場合の面積とを乗算することにより、内筒部18の増加した体積ΔVは求められる。
また、内筒部18の体積が増加した分だけ、第2の密閉空間17の圧力は低下する。内筒部18の体積ΔV分が増加した後に、差圧計7が差圧を検出して制御部9に出力する。この制御部9に入力された差圧を体積算出手段32が、第2の密閉空間17の圧力変化値としての隙間体積の圧力変化値ΔPとして制御部9のメモリに一時的に格納する。
次に、制御部9のメモリから読み出した内筒部18の体積の増加前の隙間の圧力Ps、データベースから読み出した内筒部18の増加した体積ΔV、制御部9のメモリから読み出した隙間の圧力変化値ΔP、Pp=Ps−ΔPより求めたPpを、上記の式(2)、すなわち、Vs=Pp×ΔV/ΔPに代入して、第2の密閉空間17の体積としての隙間体積Vsを求める(図6のS1003)。この算出した隙間体積Vsは、メモリに一時的に格納する。
また、体積算出手段32は、隙間体積Vsを測定する場合に弾性体3の体積Vbが変化するときは、隙間の圧力変化dPs/dtと弾性体3の圧力変化による体積変化ktから、式(16)又は式(20)により隙間体積Vsを補正して算出する(図6のS1003)。
隙間体積Vsの違いにより、漏れ流量が同じでも、差圧の変化は、隙間体積Vsが小さい場合は、差圧の変化が大きくなる。逆に、隙間体積Vsが大きい場合は、差圧の変化が小さい。よって、上記の隙間体積の算出により求めた隙間体積Vsに応じて漏れ計測時間又は判定基準を変更して漏れ判定を行うことで、個々の体積のばらつきがある弾性体3の漏れ計測を正確に行うことが可能となる。
次に、漏れ流量補正の開始時間に達すると(図6のS1004、YES)、体積算出手段32は漏れ流量補正開始信号を漏れ流量補正手段33に出力する。漏れ流量補正開始信号が体積算出手段32から漏れ流量補正手段33に入力されると、漏れ流量補正手段33は隙間体積の圧力変化値を差圧計7から入力する。
漏れ流量補正手段33が制御部9のメモリ等に格納された隙間体積の圧力変化値から、上記の式(21)に基づいて、漏れ流量Glを求める(図6のS1005)。
なお、漏れ流量を補正するために使用される定数や計測値は、測定開始前に制御部9のデータベース又はメモリに記憶されているか、計算されて記憶されているものとする。
計測した差圧値から求めた隙間の差圧の変化率から、上記の式(21)により漏れ流量を補正することで、漏れ計測中の隙間の差圧と弾性体3の内圧変化による漏れ流量の計測誤差を補正することができる。
次に、漏れ流量補正手段33は良否判定開始を良否判定手段34に出力する。良否判定開始信号が漏れ流量補正手段33から良否判定手段34に入力されると、良否判定手段34は漏れ流量補正手段33で求めた漏れ流量Glを制御部9のデータベースに格納された基準値と比較する。
漏れ流量Glが基準値未満の場合は、良否判定手段34がチャンバ4の収容部13に収容された弾性体3を良品と判定し(図6のS1006、YES)、良否判定手段34が上記良否の判定結果を図示のされていない表示部に表示する(図6のS1007)。
一方、漏れ流量補正手段33で求めた漏れ流量Glが基準値以上の場合は、良否判定手段34がチャンバ4の収容部13に収容された弾性体3を不良品と判定し(図6のS1006、NO)、良否判定手段34が上記良否の判定結果を図示のされていない表示部に表示する(図6のS1008)。
次に、良否判定手段34が良否の判定の処理を終了すると、蓋部12の開閉が手動の場合は、作業者が表示された良否の判定結果を確認し、蓋部12を開いて基部11の収容部13から弾性体3を取り出して良否の判定結果に応じて仕分けを行う。つまり、表示された良否の判定結果が良品の場合は、作業者が上記取り出した弾性体3を良品として仕分けする。表示された良否の判定結果が不良品の場合は、作業者が上記取り出した弾性体3を不良品として仕分けする。
蓋部12の開閉が電動の場合は、良否判定手段34は良否の判定結果を表示すると共に蓋部12の開閉を担う図示のされていない駆動部を制御し、当該駆動部への制御の開始から蓋部12が開かれた後、良否判定手段34は図示のされていない取り出し機構を制御する。この良否判定手段34による取り出し機構の制御は、良否の判定結果に基づくものである。すなわち、良否の判定結果が良品の場合は、取り出し機構が収容部13から取り出した弾性体3を良品として仕分ける。良否の判定結果が不良品の場合は、取り出し機構が収容部13から取り出した弾性体3を不良品として仕分ける。
なお、弾性体3を製造する工程に図1に示した弾性体3の漏れ計測装置1を使用する場合、弾性体3を製造する際の弾性体3に圧縮空気を大気圧以上の予め設定された設定圧力になるように注入する工程に続いて、図1に示した弾性体3の漏れ計測装置1を設置する。この場合、圧縮空気を大気圧以上の予め設定された設定圧力になるように注入する工程の、圧縮空気の注入された1個の弾性体3が排出されてから次に圧縮空気の注入されたもう1個の弾性体3が排出されるまでのタクトタイムの期間内に、1個の弾性体3に対する図6に示す全ての処理が終了するように計測時間を設定する。
以上、説明した実施形態により、密封品チャンバ法による漏れ計測時間の短縮と、個々の体積のばらつきと漏れ流量によって体積の変化が発生する弾性体3の漏れ計測結果の補正ができるため、タクトタイムで高精度の漏れ検査が実現可能となる。
なお、弾性体3の体積のバラツキが小さく、漏れ流量の補正への影響が許容できる場合、弾性体3の個々の隙間体積を測定しないで、例えば製造するロットの弾性体3の体積の平均値等を利用し、隙間体積Vsの測定時間を省き、漏れ計測時間の短縮を図ることもできる。
図7は、漏れあり(圧力変化大)、漏れあり(圧力変化中)、漏れなしの3つのパターンについて、漏れ計測時の隙間の差圧の変化の計測結果を示す図である。縦軸は隙間の差圧であり、横軸は時間である。漏れがある場合は、差圧が変化しており、漏れがない場合は差圧の増加は見られない。このように漏れがあれば、差圧の変化から漏れ流量が算出できるので、漏れ流量が基準値以上のときには不良と判定することができる。
例えば、図7に示す漏れあり(圧力変化大)の判定は不良である。この計測に用いた弾性体は、通常の使用範囲では弾性体3の圧力変化に対して体積変化が全くない弾性体であった。弾性体3の圧力変化による体積変化kt=0の場合に該当する。
次に、漏れあり(圧力変化中)の場合は、差圧変化は漏れあり(圧力変化大)の差圧変化の約1/4ある。圧力変化から計算される漏れ流量による判定は良となる。しかし、この漏れあり(圧力変化中)の弾性体は圧力変化による体積変化がある弾性体であった場合には、漏れ流量の補正が必要である。弾性体3の圧力変化による体積変化kt≠0の場合に該当する。
式(22)の計算で、弾性体3の圧力変化による体積変化kt=0の場合のklと比較して、klが1/4となるような弾性体3の圧力変化による体積変化ktの弾性体であった場合、漏れあり(圧力変化中)の弾性体は漏れあり(圧力変化大)とほぼ同等の漏れ流量となるので不良と判定する必要がある。
すなわち、圧力変化による判定は良であっても、その弾性体3の圧力変化による体積変化ktを考慮することにより、実際の漏れ流量に補正することができるため、誤判定を防ぐことができる。
以上のように、弾性体3をチャンバ4で覆うことによって、流体の漏れがあれば弾性体3とチャンバ4間の隙間の圧力が変化するため、差圧を計測することにより、漏れ流量の良否の判定をすることができる。また、漏れ流量がごく僅かであるため差圧の変化は小さいが、弾性体3の圧力変化による体積変化ktと隙間体積Vsを考慮することにより短時間で高精度の計測が可能である。
なお、上記説明では、弾性体3は球状のボールとしている。図8は、別の漏れ計測装置50における弾性体53とチャンバ54のみを示した図である。図8に示す漏れ計測装置50は、ラグビーボールのような断面楕円形状の弾性体53でも計測が可能である。ラグビーボールの弾性体53をチャンバ54で包囲することにより、ラグビーボールの体積、ラグビーボールの圧力変化に対する体積変化がわかれば、隙間体積を測定することにより、同様に漏れ流量を計測することができる。
図9は、更に別の漏れ計測装置60における弾性体63とチャンバ64のみを示した図である。図9に示す漏れ計測装置60は、弾性体63を含む被検査物でも測定が可能である。例えば、図9に示す被検査物は、救命ボートのような弾性体63を含む被検査物である。また、空気タイヤのように弾性体と金属で構成された被検査物でも、同様に漏れ流量を計測することができる。
1、50、60・・・漏れ計測装置、2・・・第1の密閉空間、3、53、63・・・弾性体、4、54、64・・・チャンバ、5、6・・・バルブ、7・・・差圧計、8・・・可変体積部、9・・・制御部、11・・・基部、12・・・蓋部、13・・収容部、14・・・感知器、15、16・・・分割面、17・・・第2の密閉空間、18・・・内筒部、19・・・可動部、20〜23・・・管部、24〜28・・・信号伝達線、31・・・設置検出手段、32・・・体積算出手段、33・・・漏れ流量補正手段、34・・・良否判定手段。

Claims (10)

  1. 内側を流体の収容空間として用いる被検査物の流体の漏れ流量を計測する漏れ計測方法において、
    前記被検査物の内側の密閉された第1の密閉空間と共に、前記被検査物の外側に前記被検査物を取り囲む密閉された第2の密閉空間を形成し、
    前記第1の密閉空間に大気圧以上の流体を供給すると共に、前記第2の密閉空間に大気圧の流体を密閉し、前記第2の密閉空間の圧力変化を計測することにより、前記被検査物の流体の漏れ流量を計測すると共に、
    前記第2の密閉空間の体積を計測し、該体積により前記被検査物の流体の漏れ流量の計測の誤差を補正することを特徴とする漏れ計測方法。
  2. 請求項1に記載された漏れ計測方法において、
    前記被検査物は、前記第1の密閉空間の内圧が変化すると、前記第1の密閉空間の体積が変化する弾性体又は該弾性体を含むものである漏れ計測方法。
  3. 請求項1又は2に記載された漏れ計測方法において、
    前記第2の密閉空間の体積を計測し、該体積により前記被検査物の漏れ計測時間又は判定基準を変更する漏れ計測方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載された漏れ計測方法であって、
    前記第2の密閉空間の圧力変化は、前記被検査物の圧力変化による体積変化がないとした場合、前記第2の密閉空間の体積に反比例することにより、前記第2の密閉空間の体積に応じて補正した漏れ流量により被検査物の漏れ流量を判定する漏れ計測方法。
  5. 請求項1乃至3のいずれかに記載された漏れ計測方法であって、
    前記第2の密閉空間の圧力変化は、前記被検査物の圧力変化による体積変化があるとした場合、前記第2の密閉空間の体積が変化することにより、実際の漏れ流量による圧力変化より小さくなるため、補正した漏れ流量により被検査物の漏れ流量を判定する漏れ計測方法。
  6. 請求項3乃至5に記載された漏れ計測方法において、
    前記第2の密閉空間の体積の計測及び前記第2の密閉空間の圧力変化と漏れ流量の2つに共通する算出式は、数1式及び数2式により表され、前記第2の密閉空間の圧力変化と前記被検査物の圧力変化による体積変化に基づき、前記第2の密閉空間の体積及び漏れ流量を補正することを特徴とする漏れ計測方法。
    Figure 0006653145
    Figure 0006653145
    ここで、
    Pb=第1の密閉空間の内圧[Pa]
    Ps=第2の密閉空間の圧力[Pa]
    Vb=第1の密閉空間の体積[m3]
    Vs=第2の密閉空間の隙間体積[m3]
    kt=被検査物の圧力変化による体積変化[m3/Pa]
    Gl=漏れ流量(質量流量)[kg/s]
    Gc=キャリブレーション流量(質量流量)[kg/s]
    R =ガス定数[J/(kg・K)]
    θa=室温[K]
  7. 請求項3及び6に記載された漏れ計測方法において、
    前記第2の密閉空間の体積を計測する場合に、前記第2の密閉空間の圧力変化に伴い前記第1の密閉空間の体積変化があるとき、前記第2の密閉空間の体積は、体積変化のない場合と比較して数3式により補正することを特徴とする漏れ計測方法。
    Figure 0006653145
  8. 請求項4乃至6に記載された漏れ計測方法において、
    前記第2の密閉空間の圧力変化と漏れ流量との関係は、数4式により表され、前記第2の密閉空間の圧力変化と前記被検査物の圧力変化による体積変化に基づき、漏れ流量を補正することを特徴とする漏れ計測方法。
    Figure 0006653145
  9. 請求項1乃至8に記載された漏れ計測方法において、
    前記被検査物が球状弾性体又は断面楕円形状の弾性体である漏れ計測方法。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載された漏れ計測方法を備えた漏れ計測装置。
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