JP4086932B2 - レーザー照射装置及びレーザー処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本明細書で開示する発明は、線状にビーム加工されたレーザー光を走査して照射する構成に関する。本明細書で開示する発明は、レーザー光の照射を利用した半導体装置の作製プロセス、レーザー光の照射を利用した露光プロセス等に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
近年、ガラス等の絶縁基板上に形成された非晶質半導体膜や結晶性半導体膜(単結晶でない、多結晶、微結晶等の結晶性を有する半導体膜)を形成する技術が研究されている。
【0003】
この技術としては、非晶質珪素膜や結晶性の低い珪素膜に対してレーザーアニールを施して、結晶化させたり、結晶性を向上させる技術が、広く研究されている。
【0004】
ガラス基板は、従来よく使用されてきた石英基板と比較し、安価で加工性に富んでおり、大面積基板を容易に作製できる利点を持っている。これが上記研究が行われる理由である。また、結晶化に好んでレーザーが使用されるのは、ガラス基板の融点が低いからである。レーザーは基板の温度をあまり変えずに非単結晶膜にのみ高いエネルギーを与えることができる。
【0005】
レーザーアニールを施して形成された結晶性珪素膜は、高い移動度を有するため、この結晶性珪素膜を用いて薄膜トランジスタ(TFT)を形成することができる。
【0006】
この技術を利用すると、一枚のガラス基板上に、画素駆動用と駆動回路用のTFTを配置したモノリシック型の液晶電気光学装置を得ることができる。
【0007】
レーザーアニールで得られる結晶性珪素膜は多くの結晶粒からできているため、多結晶珪素膜、あるいは多結晶半導体膜と呼ばれる。
【0008】
上述のレーザーアニール技術においては、レーザー光を10cm角以上の面積に対して照射する必要があるめにその照射方法を工夫する必要が生じる。
【0009】
このレーザービームの照射方法の工夫としては、
(1)レーザービームを、被照射面において、数cm角の四角いスポットにし、それを走査しながら照射する。
(2)レーザービームを、数ミリ幅×数10cmの線状となるように光学系にて加工し、この線状のレーザービームを走査して照射する。
といった方法がある。
【0010】
これらの方法のうち、(1)の方法は、レーザービーム同士の重なりあう部分が多くなり、照射効果にむらが出やすい。また生産性も悪い。
【0011】
他方、(2)の方法は(1)の方法に比較すれば照射むらもでにくく、また生産性も高い。
【0012】
特に(2)の方法は、前後左右の走査が必要なスポット状のレーザービームを用いた場合とは異なり、線状レーザーの線方向(長手方向)に直角な方向だけの走査で被照射面全体にレーザー照射を行うことができるため、高い量産性が得られる。線方向に直角な方向に走査するのは、それが最も効率のよい走査方向であるからである。この高い量産性により、現在レーザーアニールには線状レーザービームを使用することが主流になりつつある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記線状に加工されたパルスレーザービームを走査させて、非単結晶半導体膜に対してレーザーアニールを施す場合、いくつかの問題が生じることが判明している。
【0014】
その中でも特に深刻な問題の1つは、レーザーアニールが膜面全体に一様に為されないことである。
【0015】
線状レーザーが使われ始めた頃は、ビームとビームの重なりの部分で縞ができてしまう現象が目立ち、これらの縞の一本一本で膜の半導体特性が著しく異なってしまう問題があった。
【0016】
図1aに示すのは、紙面の横方向に長手状を有する線状のレーザービームをその幅方向(紙面の上下方向)に走査して照射することによって得られた結晶性珪素膜の表面状態を写した写真である。
【0017】
図1aから明らかなように線状レーザー光の重なり具合が結晶性に反映されて、縞模様が現れている。
【0018】
例えばこの縞模様が観察される珪素膜を使用して液晶ディスプレイを作製した場合、この縞が画面にそのまま出てしまう不都合が生じる。
【0019】
これは、縞模様状の結晶性の違いがTFTアレイの特性反映される結果であると考えられる。
【0020】
この問題は、レーザー光の照射対象である非単結晶半導体膜の改良や、線状レーザー光の走査ピッチ(隣り合う線状レーザービームの間隔)を細かくすること、さらに線状のレーザー光の走査条件を最適化、等の工夫を施すことにより、大きく改善することができる。具体的には、液晶ディスプレイへの応用に関しては、線状レーザー光の重なり具合が直接画質に影響してしまうことを抑制することができる。
【0021】
上記の縞模様が目立たなくなってくると、今度はビーム自身のエネルギー分布の不均一が目立つようになる。
【0022】
一般に線状レーザービームを形成する場合、元が長方形状(または正方形状、または円形状)のビームを適当な光学系に通して線状に加工する。
【0023】
前記長方形状のビームはアスペクト比が2から5程度である。このビームを光学系により、アスペクト比100が以上の線状ビームに変形される。例えば、幅が1mm、長さが200mmというような線状のレーザービームに成形される。
【0024】
このレーザービームの成形は、レーザービーム内でのエネルギー分布が均質なものとなるように工夫される。具体的には、ビームホモジェナイザーと呼ばれる光学系を利用して、レーザービーム内のエネルギー密度の均質化が行われる。
【0025】
線状レーザービームを照射する装置の構成の概略を図2に示す。図2には、201で示されるレーザー発振器、202、203、204、205のレンズの組み合わせでなるビームホモジェナイザー、ミラー206、対物レンズ207が示されている。
【0026】
ここで、レンズ203と205との組み合わせが、線状レーザービームの長手方向におけるエネルギー分布を改善するためのビームホモジェナイザーである。
【0027】
また、レンズ202と204との組み合わせが、線状レーザービームの幅方向におけるエネルギー分布を改善するためのビームホモジェナイザーである。
【0028】
ビームホモジェナイザーの作用は、元の長方形のビームを複数のビームに分割し、それを各々拡大し再び重ね合わせることにある。
【0029】
ビームホモジェナイザーによって、分割し再構成されたビームは、一見、分割が細かければ細かいほどエネルギーの分布が均質になるように思える。
【0030】
しかしながら、実際にこのビームを半導体膜に照射すると分割の細かさにかかわらず、図1bに見られるような縞模様が膜にできてしまう。
【0031】
この縞模様は、線状レーザービームの長手方向に直交する様に無数に形成される。このような縞模様の形成は、元の長方形ビームのエネルギー分布が縞状であることに起因するか、光学系に起因するかのいずれかである。
【0032】
〔発明に至る過程〕
本発明人は上記いずれに縞形成の原因があるのか、突き止めるべく簡単な実験を行った。
【0033】
この実験は、光学系に長方形状のレーザービームが入射する前の状態のレーザービーム、即ち発振器から出力されたレーザービームを回転させることにより、上記縞模様がどう変化するかを調べるものである。
【0034】
結果は全く変化しなかった。よって、本縞模様の形成に関与しているものは元の長方形ビームではなく、光学系であることが結論される。
【0035】
図2に示すような光学系は、単一波長の位相の揃ったビーム(レーザーは位相を揃えて強度を得るものであるから、レーザー光の位相は揃っている)を分割再結合させることにより均質化を図るものであるから、該縞は光の干渉縞であると説明できる。
【0036】
光の干渉は、位相の揃った同一波長の光が光路差をもって重なりあった場合の位相のずれに生じる。即ち、周期的に光が強めあったり、弱めあったりすることによって生じる。
【0037】
現象である。図3に5つのスリット301を通過した光が干渉する様子を模式的に示す。ここでは、スリットの左側から入射した光がスリットも右側でそのような干渉を起こすか、光の強度Iをパラメータとして示している。
【0038】
5つのスリット301が等間隔で並んでいる場合、該スリット群の中央Aに対応する部分に干渉のピークの中心が発生する。
【0039】
そして、そのピークを中心にして干渉縞が形成される。
【0040】
図3に示す干渉縞の発生原理を図4に示したシリンドリカルレンズ群401とシリンドリカルレンズ402とに当てはめて考える。
【0041】
なお、図4のシリンドリカルレンズ群401は、図2におけるシリンドリカルレンズ群203に対応する。また、図4のシリンドリカルレンズ402は、図2におけるシリンドリカルレンズ205に対応する。
【0042】
また、図4におけるA、B、Cの部分は、図3に示すA、B、Cの部分にそれぞれ対応する。
【0043】
図4において、シリンドリカルレンズ群401によるビームの分割数が、図3におけるスリットの数に対応している。
【0044】
図4に示す構造の場合、図3に示すような原理に従って、A、B、Cの部分に干渉のピーク(強め合う部分)が発生する。
【0045】
実際のレーザーによる干渉縞は、図3に示すような明確な強弱を完全な周期性をもって示すものではない。これは、光学系における光学的な微妙なズレや半導体膜中で熱伝導によるエネルギーの分散があるためであると考えられる。
【0046】
図2において、シリンドリカルレンズ群202とシリンドリカルレンズ204との組合せは、シリンドリカルレンズ群203とシリンドリカルレンズ205との組合せと全く同様の作用をレーザービームに与えるものであるから、線状レーザービーム内のビーム幅方向にも同様の光干渉は起きている。
【0047】
しかし、線状レーザービームの幅方向におきる光干渉は、幅が数mm以下の領域に発生するものであり、ほとんど目立たない。即ち、特に問題とはならない。
【0048】
上述したような線状のレーザービーム内における光の干渉状態を模式的に図6に示す。図6において、601が線状のレーザービームの被照射面である。また、602が干渉のピークが強い部分である。
【0049】
模式的には、図6に示すように線状のレーザービームの被照射領域には、格子状に干渉のピーク602が分布する。ただし、前述したように線状レーザービーウの幅方向における干渉のピークは観察されない。
【0050】
一般に干渉のピークの分布は、一様な間隔を有したものとはならない。これは、線状ビームは球面波を線状に合成していることに起因する。(球面波を直線で切ると、同位相同士の間隔は一定でないの)
【0051】
もし、干渉のピーク間隔をほぼ 一定にしたいならば、図5に示すような光学系を利用し、平面波を線状に合成すればよい。(平面波を斜めに直線で切ると、同位相同士の間隔は一定となる)
【0052】
図5に示す光学系の図4と比較して異なる点は、ビーム入射側のシリンドリカルレンズ群501が分割したレーザービームが、後続のシリンドリカルレンズ502により平行光線に加工されることである。
【0053】
このような光学系は図4の前方のシリンドリカルレンズ群401と後方のシリンドリカルレンズ402との間の距離を適当に選ぶことにより簡単に得られる。
【0054】
この様にすれば、シリンドリカルレンズ群501で分割されたどのビームもシリンドリカルレンズ502により平面波に加工される。本光学系により加工されたビームを使用すると該縦縞の間隔はほぼ一定となる。
【0055】
上記で説明した通り、線状レーザービームは、そのビーム内に格子状に干渉のピークを分布させる。
【0056】
よって、線状レーザービームの幅方向にレーザービームを走査して照射すると、ビーム内の干渉の強度の強いもしくは弱い光が、繰り返し被照射物の同一箇所に照射されてしまう。
【0057】
その結果、ビームの走査方向に沿って、強い光による縞もしくは弱い光による縞が形成される。即ち、レーザー光の走査方向に沿った縞模様がレーザー照射のむらとして現れる。
【0058】
上述の縞模様は、線状レーザーの線方向に直角な方向に分布する光干渉のピークが線状レーザーをビーム巾より十分細かいピッチで重ね合わせることにより、特に強調される。
【0059】
線状レーザーに垂直に交差する縞が形成される様子は図7に模式的に示す。線状レーザービーム701はその線方向に光干渉に起因する周期的エネルギーの強弱が見られる。(すでに述べたように線状レーザービームは、その巾方向にも光干渉による周期的エネルギーの強弱が見られるが、本発明にあまり影響しない。)
【0060】
これらを図7に示すように重ね合わせると縞が強調されてしまう。
【0061】
図7に示すような縞模様が強調されないようにするには、線状レーザービームを図8のように斜めに重ね合わせると大変効果的である。この発明に関しては、本出願人による出願である特願平9−61781号に記載されている。
【0062】
このようにすると干渉のピーク部分が同じ場所に何度も当たらないで分散するので、縞模様の形成を抑制することができる。
【0063】
しかしながら、図8のような処理方法では、レーザービームの長さを最大限に利用できないという問題がある。
【0064】
【発明が解決しようとする課題】
本明細書で開示する発明は、図1bに示すような線状のレーザー光の照射におけるその幅方向に延在する縞模様の発生を抑制する技術を提供することを課題とする。
【0065】
【課題を解決するための手段】
(発明1)
図2記載の光学系の中で、線状のレーザービームの長手方向におけるエネルギー分布を補正するシリンドリカルレンズ群203とシリンドリカルレンズ205との形状を図11に示すような形状とする。
【0066】
この形状は、角が90度でない平行四辺形状のものとする。つまり、レンズ作用を持つ曲面と対向する平面の形状が平行四辺形であり、図11a、bに示すこれら平行四辺形の内角X、Yが直角ではない形状のものとする。こうすることにより、線状レーザービーム内に形成される干渉のピークの分布(図6参照。)を図12に示すような分布に変える。
【0067】
この線状レーザービームは、干渉のピークの位置が一直線上に並んでいないので、縞の発生を抑制することができる。
【0068】
図11aの1102で示されるシリンドリカルレンズ群の1つ1つは、所定の断面形状1101を、該断面を含まない所定の方向に平行移動させたときに画く軌跡が形成する立体形状を有している。
【0069】
所定の断面形状1101を平行移動させる方向は、図11aに示したシリンドリカルレンズ群の1つ1つで互いに等しいとする。図11aに示したシリンドリカルレンズ群の1つ1つは、互いに合同であったほうがよい。合同であれば、レンズ加工が容易だからである。
【0070】
また、図11bに示したシリンドリカルレンズは、他の所定の断面形状1103を、該断面形状を含まない所定の方向に平行移動させたときに画く軌跡が形成する立体形状を有している。
【0071】
断面形状1101、さらに他の断面形状1103は、2次元空間の平行光線を1点に集光させることのできる形状を有している。
【0072】
以上のように定義された図11aのシリンドリカルレンズ群を平行四辺形状シリンドリカルレンズ群1105と呼ぶことにする。
【0073】
同様にして定義された図11bのシリンドリカルレンズを平行四辺形状シリンドリカルレンズ1106と呼ぶことにする。
【0074】
また、図11a、bの斜線部で示される平行四辺形の内角X、Yは、それぞれ断面形状1101を含む平面と前記平行移動の方向とがなす角度をX、前記断面形状1103を含む平面と前記平行移動の方向とがなす角度をYと定義される。
【0075】
発明1では角度Xは角度Yに等しいとする。
発明1では、
図11記載の諸レンズはレーザー光の光路に挿入されており(または、レーザー光路に挿入される物であり)、
前記断面形状を含む平面は前記レーザー光の進行方向に平行であり、
図11a記載の諸レンズの焦点の集合で形成される線のそれぞれは、互いに平行であり、
図11記載の諸レンズの焦点の集合で形成される線は、前記レーザー光の進行方向に直交し、かつ前記断面形状を含む平面に垂直でない角度で交わっている光学系を特徴とする。
【0076】
上記発明1で示す光学系(ビームホモジェナイザー)は、図11aにおいて、断面形状1101と斜線部で示される平行四辺形1102とが直交している。
【0077】
また、発明1で示す光学系は、図11bにおいて、断面形状1103と斜線部で示される平行四辺形1104とが直交している。
【0078】
発明1で使用する平行四辺形状シリンドリカルレンズの特徴を、別の表現で述べると、以下のようになる。
【0079】
すなわち、発明1で使用する平行四辺形状シリンドリカルレンズのうち任意に選んだ1つは、任意の方向から平行光を入射させたとき形成される焦点の集合が成す平面と先に定義した所定の断面形状を含む平面とが互いに直交する形状であり、
前記所定の断面形状と先に定義した所定の方向が角度Yを成し、該角度Yは各平行四辺形状シリンドリカルレンズにおいて互いに等しく(ここではX=Y)、
かつ前記角度Yは、直角でないことを特徴とする。
【0080】
ここで、図12の様なエネルギー分布が得られる理由を説明する。
【0081】
まず、図2に示す光学系に図11に示す構成を適用した場合を考える。ここでは、図2のシリンドリカルレンズ群203とシリンドリカルレンズ205は、それぞれ図11に示す平行四辺形状のレンズに置換されているとする。
【0082】
即ち、シリンドリカルレンズ群203は、図11aに示す形状とし、シリンドリカルレンズ205は、図11bに示すものとする。
【0083】
ここで、シリンドリカルレンズ群202の中で任意のレンズを1つ選び、そのレンズと、シリンドリカルレンズ群202以外のレンズ群で形成される線状レーザービームを考える。
【0084】
この線状レーザービームの被照射面における干渉状態を図13に示す。図13には、1301で示されるような干渉縞が発生する。
【0085】
線状レーザービームの形状は、図13の1302で示すように平行四辺形状シリンドリカルレンズ群203(1105)と平行四辺形状シリンドリカルレンズ205(1106)の形状を反映した平行四辺形となる。
【0086】
シリンドリカルレンズ群202中、任意のレンズに対して図13に示した干渉縞が得られるが、各レンズによってビームが形成される場所がわずかに異なる。(該形成場所は線状レーザービームの線方向に互いにずれる)
【0087】
なぜならば、シリンドリカルレンズ群202の1つ1つのレンズの作る光束の、平行四辺形状シリンドリカルレンズ205(1106)に入射する場所が互いに異なるからである。これらのビームを図14に示すように上手く重ね合わせると干渉のピークがビーム内に分散化されて干渉縞をより作りにくいビーム1401を作ることができる。
【0088】
図13のビームを単純に重ね合わせると、ビーム1401の様になるが、実際は、ビームの幅方向に干渉がおこり、ビーム1201(図12)の様になる。
【0089】
図14のように重ね合わせるためには、以下に示す条件を満たすようにすればよい。
【0090】
まず、図2に示した光学系が形成する干渉縞の間隔dを定義する。次にシリンドリカルレンズ群202に入射するレーザービーム1501(図15参照)の両端に位置するシリンドリカルレンズの中央同士の距離Dを定義する。
【0091】
そして、シリンドリカルレンズ202のレンズ1つ当たりの幅をWとし、|tan X| =(D+W)/d で定義される角度X(図11aで定義される角度X)をもつ図11のシリンドリカルレンズ群1105と、シリンドリカルレンズ1106とを使用すればよい。(この場合X=Yとする)
【0092】
このような角度を選択すると、干渉縞の間隔が、従来の光学系(図2記載のもの)に比較し狭くなり、かつ干渉縞の強度分布がビーム内でより分散化される。
【0093】
すなわち、よりビーム内のエネルギー分布が一様になる。なお、角度Xは厳密に定義する必要はない。なぜならば、干渉縞の間隔dが厳密に一様でないからである。
【0094】
なおここで、|tan X| =W/d で定義される角度Xをもつ図11のシリンドリカルレンズ群1105とシリンドリカルレンズ1106とを使用すると、シリンドリカルレンズ202の1つ1つを通る光束が干渉縞の間隔dずつずれて重なり合うので本発明が特徴とする効果を得られない。
【0095】
また、角度Xが、nW/d=|tan X|(nは整数、かつ、2W≦nW≦D)であると、干渉のピークがビーム内で効果的に分散される。またレーザーパワーも効率良く利用される。なお、W/d>|tan X|の範囲ではビーム長が短くなりすぎて処理効率を落とす。
【0096】
よって、角度Xは、少なくとも、W/d<|tan X|の範囲で定義されなければならない。
【0097】
また、角度Xは、2W/d≦|tan X|≦(D+W)/dの範囲で定義されるとよりよい効果が期待できる。一方、|tan X|≫(D+W)/dの範囲では干渉のピークがビーム内で十分に分散化されない。
【0098】
ここで、シリンドリカルレンズ群203とシリンドリカルレンズ群205の焦点距離は等しいとする。また、シリンドリカルレンズ205とシリンドリカルレンズ1106の焦点距離は等しいとする。即ち、焦点距離が等しいものと交換したものとする。なお、図2に示した光学系が形成する干渉縞の間隔dは、必ずしも一定ではないので、それらの間隔の平均値をdと定義する。
【0099】
(発明2)
ここでは、シリンドリカルレンズ1106(図11参照)の形がビーム形状を決定している事実に着目する。即ち、図24に示すようにシリンドリカルレンズ205に対して、シリンドリカルレンズ群203の位置を図24の平面上でいかように変えても左側に形成されるビームの位置は変わらないことから結論できる事実に着目する。
【0100】
ここでは、図2の光学系中、シリンドリカルレンズ205を、考案1で規定した平行四辺形状シリンドリカルレンズ1106(図11b参照)に置換した光学系を用いてビームがどうなるかを実験した。
【0101】
結果は、考案1で示した光学系とほぼ同様の効果があった。しかしながら、考案1と比較しややビーム内の干渉の様子が不規則となった。
【0102】
また、考案1で示した光学系のシリンドリカルレンズ1106(図2の光学系の203の代わりに配置)の角度Yを固定したまま、シリンドリカルレンズ群1105(図2の光学系の205の代わりに配置)の角度Xを自由に変えて、コンピューターシミュレーションを行った。
【0103】
この結果、シリンドリカルレンズ群1105の角度Xはビームの内部干渉縞の間隔にほとんど関与しないことが判明した。
【0104】
また、シリンドリカルレンズ群1105と平行四辺形状シリンドリカルレンズ1106との距離を変えても、あまりビーム内の干渉縞の間隔は変わらないことが判明した。
【0105】
よって、平行四辺形状シリンドリカルレンズ群1105のレンズ1つ1つは図17に示すような形態であればよいと結論できる。
【0106】
図17は3面図である。図17の形状を具体的に文章で示すと以下のようになる。
【0107】
この形状は、同一波長を持つ2次元の平行光線を、1点に集めることができる2次元の仮想レンズを前記2次元平面を含まない方向に平行移動させたときに該仮想レンズが描く軌跡をそのまま立体とした形状と表現できる。
【0108】
発明1と比較し、発明2はビーム干渉の分布が不規則となる。発明2が発明1に比較して優れている点は、図2に示した光学系の内、シリンドリカルレンズ205のみを平行四辺形状シリンドリカルレンズ1106に置換すればよいという点である。
【0109】
即ち、より簡便な変更で光干渉のビーム内分布を分散化できる点である。この意味でコストや手間の点を考慮するならば、発明2の方が発明1を凌いでいる。
【0110】
〔発明3〕
本発明人はここでさらに、平行四辺形状シリンドリカルレンズ1106(図二の205の代わりに配置する)を図18に描かれた形態を提唱する。
【0111】
この構成では、
(1)焦点の集合が形成する線と入射するレーザービームの方向ベクトルとは直交していない。
(2)断面形状1103の延在方向を含む線と焦点の集合が形成する線とを含む面は、断面形状1103の面と直交している。
(3)角度Yが直角でない。
といった特徴を有している。
【0112】
ここで焦点の集合というのは、レーザービームの入射方向(光路方向)から照射された平行光が結ばれる点の集合として定義される。
【0113】
この場合、シリンドリカルレンズの焦点の集合(この場合は線。)を含む線は図9に示す照射面1901にある1点1902で交差している。(即ち、焦点の集合は照射面に対して斜めになっている)
【0114】
この様な場合、図2に示すシリンドリカルレンズ群202のレンズ1つ1つを通過するレーザー光が照射面に作る像は、図20のようになる。
【0115】
図20にはビーム内の干渉の様子が描かれている。シリンドリカルレンズ群203が平行四辺形状シリンドリカルレンズ1801(図2の205の代わりに配置される)と面対称な位置にあると実線の四角で描かれた場所に干渉のピーク2001ができる。
【0116】
ところが、面対称でない位置にそれらを配置すると図20の2002で示されるように干渉のピークが斜めに分布し、これらが重なり合うと、考案1、2と同様に干渉のピークが線状レーザービーム2003内で分散化する。
【0117】
発明3の優れた点は、考案1、2と比較すると以下のようになる。シリンドリカルレンズ群203と平行四辺形状シリンドリカルレンズ1801の相対的な位置を前述のように変えることにより、ビーム内の干渉の状態を変えられる点がそうである。
【0118】
これは、光学系に入射する光の波長、大きさ等により変化する干渉縞の周期(隣り合う縞の間隔)がいかように変わろうとも、光学系の配置を少し変えるだけで、干渉縞が最もビーム内で分散化されるレンズ配置を選ぶことが可能となる。
【0119】
発明1、2の光学系は角度Yが干渉縞の間隔に依存するので、干渉縞の間隔があまりに異なるビームを作る光源に対して互換性がない。しかし、発明3の場合には、適用範囲を広くすることができる。
【0120】
しかしながら、発明3の光学系はビーム内の干渉の分布の規則性が、発明2の光学系に対して同程度かやや劣る。
【0121】
発明1乃至3であたえた制限を持たない平行四辺形状シリンドリカルレンズ群1105と、平行四辺形状シリンドリカルレンズ1106とを使用してもよい。
【0122】
このとき、図2のような組合せを選ばない限り、干渉のピークのビーム内での分散化が期待できる。
【0123】
発明2、3で考察したビームの特徴を合わせ持つビームが得られる組合せもある。しかしながら、平行四辺形状シリンドリカルレンズ1106の形状が、シリンドリカルレンズ205の形状から著しく異なっていると、ビーム長が得られず本発明に適さなくなる。
【0124】
発明1乃至3の光学系を介して形成されたレーザービームは干渉のピークの分布が分散化されたとはいえ、依然としてそのビーム内に存在する。
【0125】
光学系の配置が微妙にずれていて、ビーム内のレーザーエネルギーの強度が局所的に強く、あるいは弱くなりすぎることもありうる。
【0126】
しかしながら、それらの干渉縞は基板に線状ビームをずらしながら重ね合わせることでほとんど見えなくなる。一方、重ね合わせ方によっては、該干渉縞が強調されてしまう場合が出てくるので、線状レーザービームの走査のピッチを微妙に変えたり、線状レーザービームの走査方向を微調整することにより、線状レーザービームの重なり方を調節すると、より良い効果がある。上記微調整でうまく行かない場合は、光学系の配置を再調整する必要がある。
【0127】
ここで、上記説明の走査方向の微調整につき、より詳しく記述する。この場合、線状レーザービームを、該ビームの線方向と直交しかつ該線状レーザービームが形成する面を含む方向より該平面内で角度yだけずれた方向に走査させながらレーザー処理すると、より効果的に干渉縞の消える角度が見つかる。前記角度yは|tan y|≦0.1 の範囲で十分である。
【0128】
発明1乃至3いずれの場合も角度Yは、1.5 ≦|tan Y|≦600の範囲である。またより好ましくは、12≦|tan Y|≦300の範囲からYを設定するといよい。
【0129】
案1、2、3を簡素化した光学系の例を以下に示す。この簡素化はビームの幅方向の分割を省いたものである。
【0130】
すなわち、図2に示す構成において、シリンドリカルレンズ群202とシリンドリカルレンズ204とを省いた光学系の例である。
【0131】
このような光学系が形成する線状レーザービームの干渉縞は、シリンドリカルレンズ群202によるレーザー光の分割がないため、シリンドリカルレンズ群202の任意の1つのレンズが作る干渉縞と同様となる。すなわち、図13のようになる。本光学系では、干渉のピーク1301がビーム内で分散化されることはない。
【0132】
しかしながら、該線状レーザービーム1302を、線状ビームの線方向に直角な方向(処理効率が最大の方向)に重ね合わせると、図21の様に重なり合うので、干渉のピークが何度も重なり合うことがない。
【0133】
よって、線状ビーム内の光干渉のピークが強調されることがなく、縞模様がほとんど見えなくなる。本方法の利点は、図8の方法と比較して、線状レーザーの処理効率をほぼ最大に利用できることにある。
【0134】
発明1乃至3に記載の光学系を介して半導体膜のレーザーアニールを行い、多結晶半導体膜とし、例えばTFT液晶ディスプレイのようなデバイスを作製すると、個々のTFTの特性のばらつきが抑えられて、高画質なものを得ることができる。
【0135】
勿論、TFT液晶ディスプレイ以外に各種集積回路を作製する際に利用することができる。
【0136】
また、TFT液晶ディスプレイと同一の基板上に各種集積回路を搭載したSOP(システムオンパネル)と呼ばれるような構成を作製する際に本明細書で開示する発明を利用することが有用である。
【0137】
即ち、比較的大面積に均一なレーザーアニールを施さなければならない場合に本明細書で開示する発明は有効である。
【0138】
本明細書で開示する発明の第1は、光を分割する役割を果たす平行四辺形状シリンドリカルレンズ群と、前記分割された光を再結合させる役割を果たす平行四辺形状シリンドリカルレンズとを含む光学系から構成されるビームホモジェナイザーである。
【0139】
ここで、平行四辺形状というのは、角の角度が90度でないものとして定義される。
【0140】
光を分割する役割を果たす平行四辺形状シリンドリカルレンズ群というのは、図2に203に対応する。また、分割された光を再結合させる役割を果たす平行四辺形状シリンドリカルレンズとは、図2の205に対応する。
【0141】
本発明の第2は、光を分割する役割を果たすシリンドリカルレンズ群と、前記分割された光を再結合させる役割を果たす平行四辺形状シリンドリカルレンズを含む光学系から構成されるビームホモジェナイザーである。
【0142】
本発明の第3は、所定の断面形状を所定の方向に平行移動させた軌跡により形成される平行四辺形状シリンドリカルレンズを有し、
前記断面形状は、ある特定の波長を持つ2次元空間の平行光線を一点に集光させることのできる形状であることを特徴とするビームホモジェナイザーである。
【0143】
本発明の第4は、光を分割する役割を果たすシリンドリカルレンズ群と、所定の断面形状を所定の方向に平行移動させた軌跡により形成される平行四辺形状シリンドリカルレンズとを有し、前記断面形状は、ある特定の波長を持つ2次元空間の平行光線を一点に集光させることのできる形状であり、
前記平行四辺形状シリンドリカルレンズは、前記分割された光を再結合させる役割を果たすことを特徴とするビームホモジェナイザーである。
【0144】
本発明の第5は、光を分割する役割を果たす平行四辺形状シリンドリカルレンズ群と、所定の断面形状を所定の方向に平行移動させた軌跡により形成される平行四辺形状シリンドリカルレンズとを有し、
前記断面形状は、ある特定の波長を持つ2次元空間の平行光線を一点に集光させることのできる形状であり、
前記平行四辺形状シリンドリカルレンズは、前記分割された光を再結合させる役割を果たすことを特徴とするビームホモジェナイザーである。
【0145】
本発明の第6は、
光を分割する役割を果たすシリンドリカルレンズ群と、所定の断面形状を所定の方向に平行移動させた軌跡により形成される平行四辺形状シリンドリカルレンズとを有し、
前記断面形状は、ある特定の波長を持つ2次元空間の平行光線を一点に集光させることのできる形状であり、
前記平行四辺形状シリンドリカルレンズは、前記分割された光を再結合させる役割を果たしており、前記平行四辺形状シリンドリカルレンズは、任意の方向から平行光を入射させたとき形成される焦点の集合が成す平面と先に定義した所定の断面形状を含む平面とが互いに直交する形状であり、かつ、前記所定の断面形状と先に定義した所定の方向が角度Yを成す形状であり、かつ前記角度Yは、直角でないことを特徴とするビームホモジェナイザーである。
【0146】
本発明の第7は
光を分割する役割を果たす平行四辺形状シリンドリカルレンズ群と、所定の断面形状を所定の方向に平行移動させた軌跡により形成される平行四辺形状シリンドリカルレンズとを有し、
前記断面形状は、ある特定の波長を持つ2次元空間の平行光線を一点に集光させることのできる形状であり、
前記平行四辺形状シリンドリカルレンズは、前記分割された光を再結合させる役割を果たしており、前記平行四辺形状シリンドリカルレンズは、任意の方向から平行光を入射させたとき形成される焦点の集合が成す平面と先に定義した所定の断面形状を含む平面とが互いに直交する形状であり、かつ、前記所定の断面形状と先に定義した所定の方向が角度Yを成す形状であり、かつ前記角度Yは、直角でないことを特徴とするビームホモジェナイザー。
【0147】
本発明の第8は
所定の断面形状を所定の方向に平行移動させた軌跡により形成される平行四辺形状シリンドリカルレンズを複数個組み合わせた平行四辺形状シリンドリカルレンズ群と、前記平行四辺形状シリンドリカルレンズと同様な特徴を持つ平行四辺形状シリンドリカルレンズとを有し、
前記断面形状は、ある特定の波長を持つ2次元空間の平行光線を一点に集光させることのできる形状であり、
前記平行四辺形状シリンドリカルレンズのうち任意に選んだ1つは、任意の方向から平行光を入射させたとき形成される焦点の集合が成す平面と先に定義した所定の断面形状を含む平面とが互いに直交する形状であり、かつ、前記所定の断面形状と先に定義した所定の方向が角度Yを成す形状であり、該角度Yは各平行四辺形状シリンドリカルレンズにおいて互いに等しく、かつ前記角度Yは、直角でないことを特徴とするビームホモジェナイザー。
【0148】
本発明の第6乃至第8の角度Yは、1.5 ≦|tan Y|≦600とすることが好ましい。さらには、角度Yを12≦|tan Y|≦300の範囲から選択することはより好ましい。
【0149】
本発明の第9は、レーザビームを発生させる手段と、
前記レーザービームを分割後拡大しつつ最終加工形状である線状レーザービームの線方向のエネルギー分布を均一化させる役割を果たす平行四辺形状のシリンドリカルレンズ群と他の平行四辺形状シリンドリカルレンズとから構成されるレンズ群と、
該レーザービームを線状に収束させるシリンドリカルレンズと、
一方向に動く移動テーブルと、
から構成されることを特徴とするレーザーアニール装置である。
【0150】
本発明の第10は、レーザビームを発生させる手段と、
前記レーザービームを分割後拡大しつつ最終加工形状である線状レーザービームの線方向のエネルギー分布を均一化させる役割を果たす平行四辺形状のシリンドリカルレンズ群と平行四辺形状シリンドリカルレンズとから構成されるレンズ群と、
該レーザービームを分割後再結合させることにより線状に収束させる役割を果たすシリンドリカルレンズ群とシリンドリカルレンズとから構成されるレンズ群と、
一方向に動く移動テーブルと、
から構成されることを特徴とするレーザーアニール装置である。
【0151】
本発明の第11は、レーザビームを発生させる手段と、
前記レーザービームを分割後拡大しつつ最終加工形状である線状レーザービームの線方向のエネルギー分布を均一化させる役割を果たす平行四辺形状のシリンドリカルレンズ群と平行四辺形状シリンドリカルレンズとから構成されるレンズ群と、
該レーザービームを線状に収束させるシリンドリカルレンズと、
移動方向が可変である移動テーブルと、
から構成されることを特徴とするレーザーアニール装置である。
【0152】
本発明の第12は、レーザビームを発生させる手段と、
前記レーザービームを分割後拡大しつつ最終加工形状である線状レーザービームの線方向のエネルギー分布を均一化させる役割を果たす平行四辺形状のシリンドリカルレンズ群と平行四辺形状シリンドリカルレンズとから構成されるレンズ群と、
該レーザービームを分割後再結合させることにより線状に収束させる役割を果たすシリンドリカルレンズ群とシリンドリカルレンズとから構成されるレンズ群と、
移動方向が可変である移動テーブルと、
から構成されることを特徴とするレーザーアニール装置である。
【0153】
上記本発明で使用するレーザービームは、エキシマレーザーであるとよい。
【0154】
本発明の第13は
半導体被膜が成膜された基板に対して線状のレーザー光を走査しつつ照射する工程で、レーザービームを、平行四辺形状シリンドリカルレンズを含むビームホモジェナイザーによりレーザービームのエネルギー分布を均質化しつつ線状レーザービームに加工する工程と、
該線状レーザービームを、走査させながらレーザー処理する工程とを特徴とする半導体デバイスのレーザー処理方法である。
【0155】
本発明の第14は、
半導体被膜が成膜された基板に対して線状のレーザー光を走査しつつ照射する工程で、レーザービームを、平行四辺形状シリンドリカルレンズを含むビームホモジェナイザーによりレーザービームのエネルギー分布を均質化しつつ線状レーザービームに加工する工程と、
該線状レーザービームを、該ビームの線方向と直交しかつ該線状レーザービームが形成する面を含む方向より該平面内で角度yだけずれた方向に走査させながらレーザー処理する工程とを特徴とし、前記角度yは|tan y|≦0.1 の範囲である半導体デバイスのレーザー処理方法である。
【0156】
上記本発明の第13または第14で使用するレーザービームは、エキシマレーザーであるとよい。
【0157】
本発明の第15は、平行四辺形状シリンドリカルレンズを介したレーザ光により、レーザーアニールされた半導体膜を使用し作製されることを特徴とする半導体デバイスである。
【0158】
【作用】
本発明は、非単結晶半導体膜にレーザー光線を分割後再構成し線状に加工されたレーザービームを使用してレーザーアニールを施し結晶化また結晶性を向上させるに際し、該線状レーザービーム内に形成される光干渉によるエネルギーの周期的不均一を、前記非単結晶半導体膜に反映させないものである。
【0159】
例えば、図2に示される光学系により形成される線状レーザービームのエネルギーは、その線幅方向にエネルギーの強弱の周期的繰り返しが見られる。
【0160】
このようなエネルギー分布を持つ線状レーザービームを、半導体膜に対し、線状レーザーの線方向に直角な方向に重ねながら走査し照射すると、線状レーザービーム内のエネルギーの分布が該膜内で強調されてしまう。
【0161】
本発明では、角は90度でない平行四辺形状のビームホモジェナイザーを使って線状レーザービーム内の干渉の分布を従来のものより分散化させる。
【0162】
あるいは、本発明の平行四辺形状のビームホモジェナイザーを使って線状レーザービーム内の干渉の分布を従来のものより変化させることにより、該ビーム内のエネルギーの最大の部分または最少の部分が繰り返し半導体膜の同じ部分に当たらないようにする。
【0163】
このようにすれば、線状レーザービーム内のエネルギー分布が半導体膜内で分散化されて、より一様にレーザーアニールを行うことができる。
【0164】
【実施例】
〔実施例1〕
実施例の作製工程で、まず、レーザー照射される膜の作成方法を示す。レーザー照射される膜は、本明細書中で3種類である。いずれの膜に対しても、本発明は効果的である。
【0165】
まず、3種類いずれの膜も、基板として、127mm角のコーニング1737ガラス基板(勿論他のガラス基板でもよい)上に、下地膜としての酸化珪素膜を2000Å厚、その上に非晶質珪素膜を500Å厚の厚さに成膜する。これらは、共にプラズマCVD法にて連続的に成膜される。該膜を今後、出発膜と呼ぶ。
【0166】
(膜Aの作製手順)
出発膜を、450℃の熱浴に1時間さらす。本工程は非晶質珪素膜中の水素濃度を減らすための工程である。膜中の水素が多すぎると膜がレーザーエネルギーに対して耐えきれないので本工程が必要となる。
【0167】
該膜内の水素の密度は1020atoms /cm3 オーダーが適当である。この膜を非単結晶珪素膜Aと呼ぶ。
【0168】
(膜Bの作製手順)
10ppmの酢酸ニッケル水溶液が、スピンコート法により、出発膜上に塗布され、酢酸ニッケル層が形成される。酢酸ニッケル水溶液には、界面活性剤を添加するとより好ましい。酢酸ニッケル層は、極めて薄いので、膜状となっているとは限らないが、以後の工程において問題はない。
【0169】
次に、上記のようにして各膜が積層された基板に、600℃で4時間の熱アニールを施し、非晶質珪素膜を結晶化させる。こうして、非単結晶珪素膜である結晶性珪素膜Bが形成される。
【0170】
このとき、触媒元素であるニッケルが結晶成長の核の役割を果たし、結晶化が促進される。600℃、4時間という低温、短時間で結晶化を行うことができるのは、ニッケルの機能による。詳細については、特開平6−244104号に記載されている。
【0171】
触媒元素の濃度は、1×1015〜1019原子/cm3 であると好ましい。1×1019原子/cm3 以上の高濃度では、結晶性珪素膜に金属的性質が現れ、半導体としての特性が消滅、または低下する。
【0172】
本実施例において、結晶性珪素膜中の触媒元素の濃度は、膜中のおける最小値で、1×1017〜5×1018原子/cm3 である。これらの値は、2次イオン質量分析法(SIMS)により分析、測定したものである。
【0173】
(膜Cの作製手順)
出発膜の上からさらに酸化珪素膜を700Å成膜する。成膜方法はプラズマCVD法を用いる。次に該酸化珪素膜の一部をフォトリソパターニング工程によって完全に開孔する。さらに、該開孔部に薄い酸化膜を形成するために酸素雰囲気中でUV光を5分間照射する。この薄い酸化膜は、後に導入するニッケル水溶液に対する上記開孔部の濡れ性改善のために形成されるものである。
【0174】
そして、100ppmの酢酸ニッケル水溶液が、スピンコート法により、該膜上に塗布され、酢酸ニッケルが上記開孔部分に入る。酢酸ニッケル水溶液には、界面活性剤を添加するとより好ましい。
【0175】
次に、600℃で8時間の熱アニールが施され、ニッケル導入部分から横方向に結晶が成長してゆく。このとき、ニッケルが果たす役割は膜Bと同様のものである。今回の条件では横成長量として40μm程度が得られる。このようにして非晶質珪素膜が結晶化し、非単結晶珪素膜である結晶性珪素膜Cが形成される。その後、結晶性珪素膜上の酸化珪素膜をバッファーフッ酸を用い剥離除去する。
【0176】
このようにして得られる非単結晶珪素膜A、B、Cを結晶化させる、あるいは、結晶性をさらに高めるために、エキシマレーザーを用いてレーザーアニールを行う。
【0177】
図9に、実施例におけるレーザー照射システムを示す。図9は、レーザー照射システムの概観である。
【0178】
図9において、レーザー照射システムは、レーザー発振装置201から照射され、光学系901により断面形状が線状に加工されたパルスレーザービームを、ミラー206で反射させ、シリンドリカルレンズ207にて集光されつつ、被処理基板902に照射される機能を有している。
【0179】
光学系901、ミラー206、及びシリンドリカルレンズ207は図2に示した。ただし、図2に示したレンズ群中、シリンドリカルレンズ群203は、平行四辺形状シリンドリカルレンズ群1105に置き換えられている。また、シリンドリカルレンズ205は、平行四辺形状シリンドリカルレンズ群1106に置き換えられている。
【0180】
平行四辺形状シリンドリカルレンズ群1105と該平行四辺形状シリンドリカルレンズ1106は考案1に示した形態であり、角度Xは88度とする。
【0181】
ここで角度Xを決定する方法を記載する。図2における光学系がつくり出す干渉じまのピッチが0.2 mmで、これが、先に定義したdにあたる。また、先に定義したD、Wが本光学系ではそれぞれ、12mm、3mmである。
【0182】
先に示したように、|tan X| =(nW)/d(n≧2)で算出される角度Xが、干渉のピークを線状レーザービーム内で効果的に分散化できる角度であるから、該式にd、Wの値を代入すればよい。なお、ここではn=2とした。
【0183】
図2のような光学系を用いるのは、光学系に入射する前のビームのエネルギー不均質を分割後重ね合わせることにより平均化しつつ、ビーム形状を線状に加工することが出来るからである。
【0184】
本発明で使用する線状レーザービームはすべて図2記載の光学系に準じたものを使用している。図2のようなタイプのレンズ群の役割を以下に記述する。
【0185】
シリンドリカルレンズ群202、1105はビームを縦横に分割する役割を果たしている。該分割された光束をシリンドリカルレンズ204、1106が1領域、本発明では線状の形を成す領域に集める役割を果たしている。本実施例では、元のビームを横に4分割、縦に7分割しているので28分割されたビームを一つにすることにより、ビームのエネルギー分布を平均化している。ビームの縦横の長さの比はレンズ群の構造上、可変であるが、レンズの大きさ、焦点距離の組合せにより、造りやすいビーム形状は制限される。なお、本光学系においてビームの長辺の長さを変えることはできない。
【0186】
本実施例は、図4あるいは図5、何れの記載の配置のレンズ群を用いても効果があった。なお、シリンドリカルレンズ群202、1105は凸レンズ群であるが、凹レンズ群もしくは、凹凸混合のレンズ群を用いても本発明の本質になんら影響しない。あるいは、凸レンズ群凹レンズ群ともに、レンズの大きさが異なっていても良い。
【0187】
図11記載のシリンドリカルレンズ群1105を、同様の作用を持つ凹凸混合のレンズ群に置き換えると、例えば図22に示すもののようになる。
【0188】
ただし、凹凸混合レンズ群に代表されるような、互いに合同でないレンズ群を使用する場合は、それらのレンズで加工される平行光線の、加工後の拡がりの角度が同じであるレンズ群で構成されなければならない。
【0189】
さもなければ、分割したビームが再結合されるとき、個々のビームが異なる大きさや形で重なり合い、ビームの輪郭が不明瞭となる。
【0190】
レーザー発振装置201は、ここでは、XeClエキシマレーザー(波長308nm)を発振するものを用いる。他に、KrFエキシマレーザー(波長248nm)等を用いてもよい。
【0191】
また図9に示すように被処理基板902は、台903上に配置される。そして、台903は、移動機構1007によって、線状レーザービームの線方向に対して直角方向(線状レーザービームを含む平面を含む。)に真っ直ぐに移動され、被処理基板902上面に対しレーザービームを走査しながら照射することを可能とする。
【0192】
図10に示す装置の説明をする。ロード/アンロード室1005に、被処理基板902が多数枚、例えば20枚収納されたカセット1003が配置される。ロボットアーム1005により、カセット1003から一枚の基板がアライメント室に移動される。
【0193】
アライメント室1002には、被処理基板902とロボットアーム1004との位置関係を修正するための、アライメント機構が配置されている。アライメント室1002は、ロード/アンロード室1005と接続されている。
【0194】
基板は、ロボットアーム1004によって基板搬送室1001に運ばれ、さらにロボットアーム1004によって、レーザー照射室1006に移送される。
【0195】
図9において、被処理基板902上に照射される線状レーザービームは、幅0.4mm×長さ135mmとする。本ビームは図5記載のレンズ配置で形成されている。被照射面におけるレーザービームのエネルギー密度は、100mJ/cm2 〜500mJ/cm2 の範囲で、例えば300mJ/cm2 とする。
【0196】
台903を1.2 mm/sで一方向に移動させながら行うことで、線状レーザービームを走査させる。
【0197】
レーザーの発振周波数は30Hzとし、被照射物の一点に注目すると、10ショットのレーザービームが照射される。前記ショット数は5ショットから50ショットの範囲で適当に選ぶ。
【0198】
レーザー照射終了後、被処理基板902はロボットアーム1004によって基板搬送室1002に引き戻される。
【0199】
被処理基板902は、ロボットアーム1004によって、ロード/アンロード室1005に移送され、カセット1003に収納される。
【0200】
こうして、レーザーアニール工程が終了する。このようにして、上記工程を繰り返すことにより、多数の基板に対して、連続的に一枚づつ処理できる。
【0201】
本実施例は線状レーザーを用いたが、線状から正方形状にいたるまでいずれのビーム形状を本発明に使用しても本発明が特徴とする効果があった。また、本実施例において、平行四辺形状シリンドリカルレンズ群1105を使用せず、シリンドリカルレンズ群203で代用しても本明細書の開示する効果が得られた。
【0202】
上記レーザーアニールされた半導体膜を活性層とするTFTを作製すると、Nチャネル型、Pチャネル型、いずれも作製できる。また、Nチャネル型とPチャネル型とを組み合わせた構造も得ることが可能である。
【0203】
また、多数のTFTを集積化して電子回路を構成することもできる。以上のことは、他の実施例で示した光学系を介してレーザーアニールされた半導体膜についてもいえる。本発明の光学系を介してレーザーアニールされた半導体膜を利用して、TFTで構成される液晶ディスプレイを作製した場合、個々のTFT特性のバラツキの少ない高画質なものが得られた。
【0204】
〔実施例2〕
実施例1にて、縞模様が上手く消えない場合は、光学系の配置が適当でない為であるか、線状レーザービームの重ね合せの間隔が不適当か、あるいは平行四辺形状シリンドリカルレンズ1106の角度Yが不適当であるかである。
【0205】
実際、光学系を設計する段階で、干渉のピーク配置を計算し、いちいちその条件に最適の角度を出していては、平行四辺形状シリンドリカルレンズ1106は、オーダーメイドで作製されなければならない。
【0206】
これでは、該レンズが非常に高価な物となってしまう。角度Yが適当でないと、干渉のピークが線状レーザービーム内で十分に分散化されないことは、先に説明の通りである。
【0207】
そこで、この欠点を、図8の様な走査方向の決定方法で、補うこととする。
【0208】
すなわち、平行四辺形状シリンドリカルレンズ1106をふくむビームホモジェナイザーでできた干渉のピークの配置が図23記載の、干渉のピークの分散化が不十分である線状レーザービーム2301のようなものとなった場合、走査方向変更装置904(図9)により基板の走査方向を微調整し、図23記載の矢印方向を走査方向に選択すれば、干渉のピークがより一様に基板に分散される。
【0209】
〔実施例3〕
本実施例では図16に示した光学系を用いて、非単結晶珪素膜A、B、Cを結晶化させる、あるいは、結晶性をさらに高めるために、エキシマレーザーを用いてレーザーアニールを行う。
【0210】
平行四辺形状シリンドリカルレンズ群1105(光学系901内に内蔵されている)はビームを横に分割する役割を果たしている。該分割された光束を平行四辺形状シリンドリカルレンズ1601が1領域に集める役割を果たしている。
【0211】
本実施例では、元のビームを横に10分割することでビームのエネルギー分布を平均化している。レーザービームを線状に集束させるレンズはシリンドリカルレンズ207である。
【0212】
理想的にはレーザー光を完全な線に集束させることができるレンズだが、ここでは、やや該シリンドリカルレンズ207の焦点を照射面からわずかにずらし、ビーム幅0.3 mmのビームを作った。本実施例では、干渉縞が図13のようにストライプ状に形成される。なぜならば、本実施例はビーム幅方向の分割を行っていないからである。このような干渉縞に対しても、本発明が有効に作用することは言うまでもない。
【0213】
このとき、レーザー遮光板1601を用いて、線状ビームの走査方向側にある長辺を構成する輪郭の直線性を高めるとより一様にレーザーアニールを行うことができる。
【0214】
線状レーザービームの走査方向にある側のビームの長辺の直線性の方が、他の長辺の直線性よりも、レーザーアニールの一様性に寄与するところがはるかに大きいことが経験的にわかっているので、レーザー遮光板は1枚で十分である。しかしながら、レーザー発振器から出されるレーザービームの形があまりにもいびつな形状をしている場合は、スリットを用いて、レーザービームを線状に整形しなければならない。
【0215】
本実施例は、図4あるいは図5、何れの記載の配置のレンズ群を用いても効果がある。
【0216】
なお、シリンドリカルレンズ群1105は凸レンズ群であるが、凹レンズ群もしくは、凹凸混合のレンズ群を用いても本発明の本質になんら影響しない。詳細は実施例1にて記載した。
【0217】
レーザー発振装置201は、ここでは、XeClエキシマレーザー(波長308nm)を発振するものを用いる。他に、KrFエキシマレーザー(波長248nm)等を用いてもよい。
【0218】
被処理基板902は、台903上に配置される。そして、台903は、移動機構1007によって、線状レーザービームの線方向に対して直角方向(線状レーザービームを含む平面を含む。)に真っ直ぐに移動され、被処理基板902上面に対しレーザービームを走査しながら照射することを可能とする。
【0219】
本実施例は線状レーザーを用いたが、線状から正方形状にいたるまでいずれのビーム形状を本発明に使用しても本発明が特徴とする効果がある。
【0220】
〔実施例4〕
実施例3にて、縞模様が上手く消えない場合は、光学系の配置が適当でない為であるか、線状レーザービームの重ね合せの間隔が不適当か、あるいは平行四辺形状シリンドリカルレンズ1106の角度Yが不適当であるかである。実際、光学系を設計する段階で、干渉のピーク配置を計算し、いちいちその条件に最適の角度を出していては、平行四辺形状シリンドリカルレンズ1106は、オーダーメイドで作成されなければならない。これでは、該レンズが非常に高価な物となってしまう。
【0221】
そこで、この欠点を図8の様な走査方向の決定方法で、おぎなうこととする。すなわち、実施例2で示した方法と同様の手続きをとればよい。
【0222】
〔実施例5〕
本実施例では考案3に示した光学系を用いて、非単結晶珪素膜A、B、Cを結晶化させる、あるいは、結晶性をさらに高めるために、エキシマレーザーを用いてレーザーアニールを行う。
【0223】
本実施例では、図2で示した光学系のシリンドリカルレンズ205を考案3で示した特徴を持つ平行四辺形状シリンドリカルレンズ1801に置換している。角度Yは、88度とする。
【0224】
ここで、シリンドリカルレンズ群203のレンズ1つ1つの幅(口径)は5mmである。本実施例では、シリンドリカルレンズ群203と平行四辺形状シリンドリカルレンズ1801とを、非面対称に配置しなければならない。それらの配置を微調整した後(本実施例では、1.5 mm互いに横にずらせばよかった。)
実施例1と同様の手順でレーザーアニールを行えばよい。
【0225】
〔実施例6〕
本実施例では考案3に示した光学系のうちビームの幅方向の分割を省いた光学系を用いて、非単結晶珪素膜A、B、Cを結晶化させる、あるいは、結晶性をさらに高めるために、エキシマレーザーを用いてレーザーアニールを行う。
【0226】
本実施例では、図2で示した光学系のシリンドリカルレンズ205を考案3で示した特徴を持つ平行四辺形状シリンドリカルレンズ1801に置換している。角度Yは、88度とした。
【0227】
ここでシリンドリカルレンズ群203のレンズ1つ1つの幅(口径)は5mmである。また、シリンドリカルレンズ群202とシリンドリカルレンズ204は除かれている。すなわち、図16で示した光学系配置と全く同様である。
【0228】
このとき、レーザー遮光板1601を用いて、線状ビームの走査方向側にある長辺を構成する輪郭の直線性を高めるとより一様にレーザーアニールを行うことができた。線状レーザービームの走査方向にある側のビームの長辺の直線性の方が、他の長辺の直線性よりも、レーザーアニールの一様性に寄与するところがはるかに大きいことが経験的にわかっているので、レーザー遮光板は1枚で十分である。しかしながら、レーザー発振器から出されるレーザービームの形があまりにもいびつな形状をしている場合は、スリットを用いて、レーザービームを線状に整形しなければならない。
【0229】
なお、シリンドリカルレンズ群203は凸レンズ群であるが、凹レンズ群もしくは、凹凸混合のレンズ群を用いても本発明の本質になんら影響しない。詳細は実施例1にて記載した。
【0230】
本実施例では、シリンドリカルレンズ群203と平行四辺形状シリンドリカルレンズ1801とを、非面対称に配置しなければならない。それらの配置を微調整した後(本実施例では、1.5 mm互いに横にずらせばよかった。)、実施例1と同様の手順でレーザーアニールを行えばよい。
【0231】
【発明の効果】
本発明により、分割再結合によりレーザービームを均質化したレーザービームによるレーザーアニールの効果の面内均質性を大幅に向上させることができる。即ち、線状に加工されたレーザービームを走査させて照射する場合の縞模様状の照射むらの問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 線状レーザーによりレーザー結晶化された珪素膜の写真。
【図2】 レーザー照射装置の概略を示す図。
【図3】 光干渉の原理を示す図。
【図4】 線状レーザーを形成する光学系により、ビームを分割、再結合させるときの光路。
【図5】 線状レーザーを形成する光学系により、ビームを分割、再結合させるときの光路。
【図6】 線状のレーザー光の照射面における干渉のピークを示す図。
【図7】 光干渉を強調するレーザー照射の様子を示す図。
【図8】 光干渉を目立たなくするするレーザー照射の様子を示す図。
【図9】 実施例におけるレーザー照射システムを示す図。
【図10】実施例におけるレーザーアニール装置の上面図。
【図11】 平行四辺形状シリンドリカルレンズの構成図。
【図12】 平行四辺形状シリンドリカルレンズを使った光学系により加工された線状レーザービーム内の光干渉の様子を示す図。
【図13】 平行四辺形状シリンドリカルレンズを使った光学系により加工された線状レーザービーム内の光干渉の様子を示す図。
【図14】 平行四辺形状シリンドリカルレンズを使った光学系により、線状レーザービーム内の光干渉が分散化される様子を示す図。
【図15】 シリンドリカルレンズ群202のサイズを規定する図。
【図16】 実施例におけるレーザー照射室を示す図。
【図17】 平行四辺形状シリンドリカルレンズを示す図。
【図18】 平行四辺形状シリンドリカルレンズを示す図。
【図19】 平行四辺形状シリンドリカルレンズを含む光学系により加工された線状レーザービーム内の光干渉の様子を変化させる方法を示す図。
【図20】 平行四辺形状シリンドリカルレンズを使った光学系により、線状レーザービーム内の光干渉が分散化される様子を示す図。
【図21】 光干渉を目立たなくするするレーザー照射の様子を示す図。
【図22】 凹凸混合シリンドリカルレンズの例を示す図。
【図23】平行四辺形状レンズ群を使った光学系により加工された線状レーザービーム内の光干渉の様子によって変化する、最も光干渉を目立たなくするレーザービームの走査方向を示す図。
【図24】シリンドリカルレンズの配置による光路の変化を示す図。
【符号の説明】
201 レーザー発振装置
202 レーザー光分割のためのシリンドリカルレンズ群
203 レーザー光分割のためのシリンドリカルレンズ群
204 レーザー光、再結合のためのシリンドリカルレンズ
205 レーザー光、再結合のためのシリンドリカルレンズ
206 ミラー
207 線状ビームを集光するためのシリンドリカルレンズ
301 スリット
401 レーザー光分割のためのシリンドリカルレンズ群
402 レーザー光、再結合のためのシリンドリカルレンズ
501 レーザー光分割のためのシリンドリカルレンズ群
502 レーザー光、再結合のためのシリンドリカルレンズ
601 線状レーザービーム
602 干渉のピーク位置
701 線状レーザービーム
901 光学系
902 被処理基板
903 台
904 走査方向変更装置
1001 基板搬送室
1002 アライメント室
1003 カセット
1004 ロボットアーム
1005 ロード/アンロード室
1006 レーザー照射室
1007 移動機構
1101 断面形状
1102 平行四辺形
1103 断面形状
1104 平行四辺形
1105 平行四辺形状シリンドリカルレンズ群
1106 平行四辺形状シリンドリカルレンズ
1201 線状レーザービーム
1301 干渉縞
1302 線状レーザービーム
1401 線状レーザービーム
1501 レーザービーム
1601 スリット
1801 平行四辺形状シリンドリカルレンズ
1901 照射面
1902 平行四辺形状シリンドリカルレンズ1801の焦点の集合を含む線と照射面と の交点2001 干渉縞
2002 干渉縞
2003 線状レーザービーム
2301 干渉のピークの分散化が不十分である線状レーザービーム

Claims (14)

  1. シリンドリカルレンズ群と、平行四辺形状シリンドリカルレンズを含む光学系を有し、
    前記平行四辺形状シリンドリカルレンズは、レンズ作用を持つ曲面と対向する平面の形状が平行四辺形であり、かつ、前記平行四辺形の内角は直角でない平行四辺形状シリンドリカルレンズであることを特徴とするレーザー照射装置。
  2. 行四辺形状シリンドリカルレンズ群と、平行四辺形状シリンドリカルレンズとを含む光学系を有し、
    前記平行四辺形状シリンドリカルレンズは、レンズ作用を持つ曲面と対向する平面の形状が平行四辺形であり、かつ、前記平行四辺形の内角は直角でない平行四辺形状シリンドリカルレンズであり、
    前記平行四辺形状シリンドリカルレンズ群は、レンズ作用を持つ曲面と対向する平面の形状が平行四辺形であり、かつ、前記平行四辺形の内角は直角でない平行四辺形状シリンドリカルレンズを複数個組み合わせた平行四辺形状シリンドリカルレンズ群であることを特徴とするレーザー照射装置。
  3. 請求項1または請求項において、
    前記平行四辺形状シリンドリカルレンズにおける前記平行四辺形の内角を角度Yとしたとき、
    角度Yは1.5≦|tanY|≦600の範囲であることを特徴とするレーザー照射装置。
  4. 請求項1または請求項において、
    前記平行四辺形状シリンドリカルレンズにおける前記平行四辺形の内角を角度Yとしたとき、
    角度Yは12≦|tanY|≦300の範囲であることを特徴とするレーザー照射装置。
  5. 線状レーザービームを照射するレーザー照射装置であって、
    レーザービームを発生させる手段と、
    シリンドリカルレンズ群と平行四辺形状シリンドリカルレンズとを含み、前記線状レーザービームの線方向のエネルギー分布を均一化するためのビームホモジェナイザーと、
    該レーザービームを収束させるシリンドリカルレンズと、
    を有し、
    前記平行四辺形状シリンドリカルレンズは、レンズ作用を持つ曲面と対向する平面の形状が平行四辺形であり、かつ、前記平行四辺形の内角は直角でないシリンドリカルレンズであることを特徴とするレーザー照射装置。
  6. 線状レーザービームを照射するレーザー照射装置であって、
    レーザービームを発生させる手段と、
    平行四辺形状シリンドリカルレンズ群と平行四辺形状シリンドリカルレンズとを含み、前記線状レーザービームの線方向のエネルギー分布を均一化するためのビームホモジェナイザーと、
    該レーザービームを収束させるシリンドリカルレンズと、
    を有し、
    前記平行四辺形状シリンドリカルレンズは、レンズ作用を持つ曲面と対向する平面の形状が平行四辺形であり、かつ、前記平行四辺形の内角は直角でないシリンドリカルレンズであり、
    前記平行四辺形状シリンドリカルレンズ群は、レンズ作用を持つ曲面と対向する平面の形状が平行四辺形であり、かつ、前記平行四辺形の内角は直角でない平行四辺形状シリンドリカルレンズを複数個組み合わせたシリンドリカルレンズ群であることを特徴とするレーザー照射装置。
  7. 線状レーザービームを照射するレーザー照射装置であって、
    レーザービームを発生させる手段と、
    平行四辺形状シリンドリカルレンズ群と平行四辺形状シリンドリカルレンズとを含み、前記線状レーザービームの線方向のエネルギー分布を均一化するためのビームホモジェナイザーと、
    該レーザービームを収束させるシリンドリカルレンズと、
    移動テーブルと、
    を有し、
    前記平行四辺形状シリンドリカルレンズは、レンズ作用を持つ曲面と対向する平面の形状が平行四辺形であり、かつ、前記平行四辺形の内角は直角でないシリンドリカルレンズであり、
    前記平行四辺形状シリンドリカルレンズ群は、レンズ作用を持つ曲面と対向する平面の形状が平行四辺形であり、かつ、前記平行四辺形の内角は直角でない平行四辺形状シリンドリカルレンズを複数個組み合わせたシリンドリカルレンズ群であることを特徴とするレーザー照射装置。
  8. 請求項5乃至請求項7のいずれか一項において、
    前記レーザービームを発生させる手段は、エキシマレーザーを発振することを特徴とするレーザー照射装置。
  9. シリンドリカルレンズと、シリンドリカルレンズ群とを介したレーザー光により、半導体膜に対してレーザーアニールを行うレーザー処理方法であって、
    前記シリンドリカルレンズは、レンズ作用を持つ曲面と対向する平面の形状が平行四辺形であり、かつ、前記平行四辺形の内角は直角でない平行四辺形状シリンドリカルレンズであることを特徴とするレーザー処理方法。
  10. シリンドリカルレンズと、シリンドリカルレンズ群とを介したレーザー光により、半導体膜に対してレーザーアニールを行うレーザー処理方法であって、
    前記シリンドリカルレンズは、レンズ作用を持つ曲面と対向する平面の形状が平行四辺形であり、かつ、前記平行四辺形の内角は直角でない平行四辺形状シリンドリカルレンズであり、
    前記シリンドリカルレンズ群は、レンズ作用を持つ曲面と対向する平面の形状が平行四辺形であり、かつ、前記平行四辺形の内角は直角でない平行四辺形状シリンドリカルレンズを複数個組み合わせた平行四辺形状シリンドリカルレンズ群であることを特徴とするレーザー処理方法。
  11. レーザービームをシリンドリカルレンズ群とシリンドリカルレンズを含む光学系により前記レーザービームのエネルギー分布を均質化しつつ線状レーザービームに加工し、
    該線状レーザービームを、半導体被膜が成膜された基板に対して走査させながら照射するレーザー処理方法であって、
    前記シリンドリカルレンズは、レンズ作用を持つ曲面と対向する平面の形状が平行四辺形であり、かつ、前記平行四辺形の内角は直角でない平行四辺形状シリンドリカルレンズであることを特徴とするレーザー処理方法。
  12. レーザービームをシリンドリカルレンズ群とシリンドリカルレンズとを含むビームホモジェナイザーにより前記レーザービームのエネルギー分布を均質化しつつ線状レーザービームに加工し、
    該線状レーザービームを、半導体被膜が成膜された基板に対して走査させながら照射するレーザー処理方法であって、
    前記シリンドリカルレンズは、レンズ作用を持つ曲面と対向する平面の形状が平行四辺形であり、かつ、前記平行四辺形の内角は直角でない平行四辺形状シリンドリカルレンズであり、
    前記シリンドリカルレンズ群は、レンズ作用を持つ曲面と対向する平面の形状が平行四辺形であり、かつ、前記平行四辺形の内角は直角でない平行四辺形状シリンドリカルレンズを複数個組み合わせた平行四辺形状シリンドリカルレンズ群であることを特徴とするレーザー処理方法。
  13. 請求項1または請求項1において、
    被照射面において、該線状レーザービームを、該レーザービームの線方向と直交する方向から角度yだけずれた方向に走査させながら照射し、
    前記角度yは|tany|≦0.1の範囲であることを特徴とするレーザー処理方法。
  14. 請求項1乃至請求項13のいずれか一項において、前記レーザービームはエキシマレーザーであることを特徴とするレーザー処理方法。
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