JP3537424B2 - レーザビーム均一照射光学系 - Google Patents

レーザビーム均一照射光学系

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被照射物のレーザ
処理に際して照射面における照射レーザビームの均質性
を改善したレーザビーム均一照射用の光学系に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザ照射により加熱処理をする例とし
て、多結晶ケイ素膜の製造に際して、予め、適当な基
板、例えばガラス基板の上にCVDなどの気相形成法に
より非晶質のケイ素膜を被着形成しておき、この非晶質
ケイ素膜を、レーザビームで走査して、多結晶化する方
法が知られている。
【0003】ケイ素膜の多結晶化方法では、例えば、レ
ーザ光源からのレーザビームをレンズにより非晶質ケイ
素膜上に集光してレーザ照射をし、照射の際にケイ素膜
を走査させて、溶融凝固の過程で、結晶化させるものが
ある。このレーザビームは、照射位置でのビームの軸方
向強度プロフイルがレーザ源にプロフィルに依存して、
通常は、軸対称のガウス分布である。このようなビーム
の照射により成形した多結晶ケイ素膜は、結晶性の面方
向への均一性が非常に低く、これを半導体基板として薄
膜トランジスタを製造に使用するのは困難であった。
【0004】さらに、波長の短いエキシマレーザを用い
て、照射ビームのプロフイルを矩形状の分布にして半導
体膜に照射加熱する技術が知られている。例えば、特開
平11−16851及び同10−333077公報に
は、発振器からのレーザビームを、光軸に垂直な面内で
互いに交叉する2つのシリンドリカルレンズダアレイを
通して、その前方に収束レンズを通して、半導体膜表面
に収束させるものであった。この方法は、ガウス分布を
採るレーザビームを、2つのシリンドリカルレンズアレ
イにより、直交する2方向で均一な強度分布にするもの
であり、半導体膜表面での照射レーザビームは、半導体
表面上で、直交する2方向で異なった幅となっており、
照射レーザビームを掃引移動することにより、半導体膜
上に一定幅の多結晶帯域を繰り返し成形するものであっ
た。
【0005】レーザ光源からのレーザビームをこのよう
なシリンドリカルレンズアレイにより分割し、さらに照
射面で合成すると、照射面でレーザ光の干渉が生じて、
強度の高低の縞模様になる。このような照射面における
重ね合わせたビームに生じる干渉は、長方形状の照射レ
ーザビームを使用して半導体膜の加熱結晶化する場合、
レーザビームの移動方向の強度プロフィルが結晶成長に
大きく影響するので、ケイ素膜の結晶粒に大きく成長さ
せるには好ましくない。
【0006】この干渉による照射レーザ強度の不均一性
を除く方法が提案されており、特開2001−1270
03には、光源からビームをコリオメータにより平行光
にして、段階状の反射面を有するミラーに照射し、ミラ
ーにより分割したビームを合成するシリンドリカルレン
ズアレーと収束用のシリンドリカルレンズとにより照射
する構成の光学系を開示している。これは、分割したビ
ームに各反射面間の段差によって、レーザビームのコヒ
ーレント長さ以上の光路差を設けて、照射面における分
割ビーム間の干渉を防止するものである。
【0007】また、特開2001−244213公報
は、光源からのレーザビームをビームコリメータにより
平行光にして、小さな複数の反射鏡に照射し、各反射鏡
からの反射光を照射面に照射して重ね合わせるもので、
各平面鏡を反射するレーザビームの光路差をコヒーレン
ト長さ以上確保することにより、同様に、干渉を防止す
るものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のビーム均一化の
技術は、同一の光源からのレーザビームを分割して、照
射面で重ね合わせる際の干渉を、複数の反射面を有する
反射鏡を利用して光路差を設けて、防止するのである
が、これらの光学系は、特殊な反射鏡を必要としてい
た。特に、前述の特開2001−244213の光学系
は、反射鏡による光学系の光軸を曲げる配置が必要であ
り、さらに、光学系の各反射鏡は、多数の分割ビームに
対応して照射面に対して正確に特定の位置関係を満たす
ように配置する必要があり、反射鏡の配置が複雑とな
り、熱処理装置として配置すべき光学系の自由度が低く
なる問題があった。特に、全ての分割ビームに光路差を
設けるのは、時間的可干渉距離の大きいレーザ発振源に
対しては、装置が大きく且つ複雑になり、現実的でな
く、且つ、光学的調整が困難であった。
【0009】本発明は、上記の問題に鑑み、一般に、レ
ーザビームを分割した分割ビームを重ね合わせて照射面
上に均一な強度分布を備えた照射ビームを形成する光学
系において、照射面上での重ね合わせによる分割ビーム
間の干渉を防止して照射ビームの強度分布の一層の均一
化を図ることのできるレーザビーム均一照射光学系を提
供するものである。
【0010】本発明は、このような干渉を防止して照射
ビームの均一化をするための構成と調製とが簡単で容易
な均一照射光学系を提供しようとするものである。さら
に、本発明は、特に、被照射物として非晶質ケイ素膜に
適用してその多結晶化をするためのレーザ加熱装置に適
用して、結晶面域に亘って格子欠陥の少ない多結晶ケイ
素膜を製造可能にする光学系を提供しようとするもので
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のレーザビーム均
一照射光学系は、レーザ光源からのレーザビームをビー
ム断面において空間的に分割するレーザビーム分割手段
と、分割した複数のビームを照射面上で重ね合わて照射
する重ね合せ照射手段と、照射面上のビーム強度を均一
にする均一化手段とから、成るものであるが、均一化手
段が、隣り合う分割ビーム間で偏光角度を実質的に直交
させる旋光手段を含んで、照射面上で重ね合わせて所要
のプロフィルの照射ビームを形成する。この発明におい
ては、分割されたビームの間の偏光角度を互いに直交さ
せて、照射面上で各分割ビームを重ね合わせたときのレ
ーザビームの干渉を軽減して照射強度分布を均一化する
ものである。
【0012】本発明の光学系は、さらに、上記のレーザ
ビーム分割手段が、上記のビーム分割幅を、上記ビーム
断面における断面方向の空間的可干渉距離の1/2倍以
上とするように光源からのレーザビームを分割するもの
を含む。さらに、分割幅の規制によりレーザビームの断
面方向の空間的可干渉距離による干渉の要素と、偏光角
度の直交により光軸方向の時間的可干渉距離による干渉
の要素との両方とも低減するものであり、これにより、
照射面上の照射ビームの強度分布は、極めて、均一にす
ることができるのである。
【0013】本明細書において、ビームの分割幅は、レ
ーザビーム分割手段の出射端における分割ビームの幅に
より規定され、このとき、空間的可干渉距離は、光源か
らのレーザビームが当該出射端の位置に投射された時の
断面内における空間的可干渉距離を言う。この空間的可
干渉距離は、レーザビームが二つに分岐され、その後に
照射面上で、再び重ね合わせた時に生じる干渉が、後述
のビジビリティが1/eとなる時の2つのビームの最小
の重なり距離を言う。
【0014】本発明においては、分割ビーム幅のビーム
断面における断面方向の空間的可干渉距離に対する比を
1/2以上とするが、好ましくは、1/√2以上、さら
に、好ましくは、1以上とする。即ち、ビーム分割手段
により分割される分割ビームの幅は、好ましくは、空間
的可干渉距離の1/√2倍以上に、特に好ましくは、1
倍以上に設定される。
【0015】分割ビーム幅の上限は、レーザビームを分
割する分割数により決まるが、分割数は、少なくとも5
であり、好ましくは、7以上である。分割数が大きいほ
ど、照射レーザビームの強度の平坦化に有効ではある
が、分割数を大きくして、上記分割ビーム幅が、空間的
可干渉距離に対する比1/2未満になるのは好ましくな
い。実用的な、分割数は、5〜7が利用され、分割ビー
ム幅を空間的可干渉距離に対して1倍以上に設定する。
【0016】本発明は、レーザビーム分割手段に、導波
路とシリンドリカルレンズアレイとを含む。いずれも、
レーザビームを光軸に対して垂直ないずれか一方向に分
割して分割ビームを形成するものである。
【0017】導波路は、互いに対向する反射面を有する
中空の又は中実の透光体を含む。中空の導波路は、2つ
の鏡面を一定間隔で対向して配置したものが利用でき
る。中実の導波路は、板状で両方の主面を鏡面にした透
光体であり、通常は、光学ガラスの板を利用することが
できる。このような導波路においては、レーザビーム分
割手段には、レーザ源からの放射レーザビームを、導波
路内の反射面間に入射させる集光レンズを含む。
【0018】導波路の出射面からは、導波路内を、反射
面で反射しないで、透過する分割ビームと、対向する反
射面で反射する反射回数ごとに2組の分割ビームとが得
られる。
【0019】さらに、導波路は、反射しないで通過する
分割ビームを生じさせないような構造ないし配置が好ま
しい。この配置は、単一の旋光手段を、一定の群に分け
た複数の分割ビームにだけ挿入することにより、他方の
群に挿入することなく、上記一方の分割ビームを当該他
方の分割ビームに対して偏光させることができ、照射面
上での分割ビーム間の干渉を軽減でき、単一の旋光手段
の配置を簡便にできる利点がある。
【0020】このために、好ましくは、反射しないで通
過した分割ビームに遮蔽体を挿入して、遮蔽することが
できる。別の態様は、導波路への入射光を導波路中心軸
に対して非対称に入射させる構造が採用できる。このた
めに、導波路には、導波路に対する入射レーザ光の光軸
が上記の導波路の反射面間の中心軸と斜交して、反射面
の間を反射しないで通過する分割ビームを生じさせない
こともできる。さらに別の態様は、導波路には中実な透
光体を用いて、当該導波路の入射面が導波路の中心軸と
斜交する構成にして、入射光は、斜交した入射面で屈折
されて、少なくとも1回は反射面に反射させて、分割ビ
ームに構成することができる。これらの態様では、反射
しないて通過した分割ビームを斜光する構成に比して、
全ての分割ビームを照射に利用できる利点がある。
【0021】他方、レーザビーム分割手段としてのシリ
ンドリカルレンズアレイは、柱状で断面が凸レンズ状の
複数のシリンドリカルレンズを平行にして光軸に実質的
に直交する一方向に配列したものであり、各微小のシリ
ンドリカルレンズごとに対応する分割ビームを得ること
ができる。シリンドリカルレンズアレイを使用するレー
ザビーム分割手段には、好ましくは、シリンドリカルレ
ンズアレイに平行光を入射するコリメータをむ。
【0022】上記の旋光手段は、分割用のシリンドリカ
ルレンズアレイにより形成した複数の分割ビームを空間
的分離した領域において、互いに隣接する分割ビームの
いずれか一方を他方に対して偏光させるように配置され
るのが好ましい。このような旋光手段には、水晶結晶板
が使用され、透過される一方の分割ビームを、他方の分
割ビームに対して、ほぼ90°に旋光可能に形成され
る、このような旋光手段は、特に、半波長板と称する。
ここに、実質的に直交するとは、一方の分割ビームの偏
光面が、他方の分割ビームの偏光面との直交する時の角
度より±30°の偏移を含む。このような偏光面斜交に
よっても、2つのビーム間の実質的な干渉の低減を図る
ことができる。
【0023】上記の重ね合せ照射手段には、上記分割用
のシリンドリカルレンズアレイからの分割ビームを照射
面に転写する転写用シリンドリカルレンズアレイを含む
ことができる。特に好ましくは、上記の転写用シリンド
リカルレンズアレイが、旋光手段を通過する分割ビーム
を転写する微小シリンドリカルレンズと、旋光手段を挿
入しない分割ビームを転写する微小シリンドリカルレン
ズとが、異なる焦点距離に設定される。
【0024】さらに、上記一方の分割ビームには旋光手
段を介在させるので、これに伴ない、他方の分割ビーム
に対して光路差が生じ、これは、照射面上においてこれ
らの分割ビームの結像位置のずれを生じさせる。そこ
で、上記他方の分割ビームに光路長補償板を挿入して、
上記旋光手段挿入しない当該他方の分割ビームに、当該
一方の分割ビームの光路長さと実質的に同じ光路長さに
するのが好ましい。これにより、照射面における上記一
方及び他方の分割ビームの結像を鮮明にすることがで
き、合成した照射ビーム強度分布の均一化に寄与するこ
とがでるき。
【0025】上記旋光手段は、一方の分割ビームのレー
ザ光の偏光を回転さて、他の分割ビームの偏光と実質的
に直交させるものであり、このような旋光手段には、上
述のように水晶の半波長板が利用でき、他の旋光手段に
は、フレネルロムもまた、利用可能である。他方の光路
長補償板は、光路差を補償できる光透過長さを有する透
光性のガラス板ないしロッドが利用できる。
【0026】このような光学系は、ガラス基板上に化学
的気相形成法などにより被着形成した非晶質又は多結晶
のシリコン皮膜を、加熱溶融して、多結晶化するか又は
より粗大な結晶に成長させるためのアニーリング装置に
利用するのに適している。
【0027】特に、上記のアニーリング用光学系におい
ては、シリコン皮膜表面上に、細い広幅状にした線状の
照射ビームを形成しビーム線に直交する方向に走査する
ことにより、シリコン皮膜上をその幅で掃引して、均一
に加熱するようにして、結晶成長させることができ、干
渉模様の少ない均一なきょう度分布であるので、均一な
高い結晶性を備えた結晶シリコン膜を製造することがで
きる。
【0028】
【発明の実施の形態】実施の形態1.本発明の実施の形
態において、図1(A)と図1(B)には、レーザビー
ム均一照射光学系を示すが、この光学系は、照射面上に
y方向に均一な分布で広がり、x方向に線状に収束した
直線状の照射プロフィルを形成する例を示す。光学系
は、レーザビーム分割手段と、重ね合せ照射手段と、旋
光手段とを含み、レーザビーム分割手段3は、導波路4
を利用して、レーザビームを所望数の分割ビームに分割
し、分割ビームを重ね合せ照射手段により照射面上に直
線状のプロフィルに結像している。
【0029】この実施形態では、レーザビーム分割手段
3は、レーザ発振器からのレーザビーム1を導波路4内
に入射するための光学系を含み、平行ビームにするため
のビーム拡大レンズ31とy方向コリメートレンズ32
とx方向コリメートレンズ33を含み、次いでy方向に
集光して、導波路4内に入射させるシリンドリカルレン
ズの集光レンズ34を含む。
【0030】導波路4は、互いに対向する平行な主表面
が反射面41、42を有し、反射面41、42は、この
図1では、y方向に垂直である。両反射面の間をレーザ
ビーム1が貫通する入射端面43と出射端面44は、レ
ーザビームの光軸と直交している。入射したレーザビー
ム1は、反射面間を通過して出射端から放射する成分の
分割ビーム、反射面41と42のいずれかで1回反射
(m=1)した成分の2つ分割ビーム(m=+1,m=
−1)と、両方の反射面で2回反射(m=2)の成分の
2つの分割ビーム(m=+2, m=‐2)、さらに、3
回ないしそれ以上の回数の反射したそれぞれ一対の分割
ビームが、出射端から放射される各成分とに分割され
る。
【0031】導波路4からの分割ビームは、重ね合せ照
射手段6により、照射面90上に重ね合わせて投影され
るが、重ね合せ照射手段6は、分割ビームを照射面上に
y方向に転写するy方向の転写レンズ61(シリンドリ
カルレンズ)と、x方向に集光する集光レンズ62(シ
リンドリカルレンズ)から構成することができる。y方
向転写レンズ61は、x方向集光レンズ62を通して、
照射面90上にy方向に規定の長さで結像し、x方向集
光レンズ62が、x方向に線状に収束させ、これによ
り、照射面上には直線状プロフイルの照射ビーム19が
得られる。
【0032】重ね合せ照射手段6のy方向の転写レンズ
61は、各分割ビームが実焦点を作って、照射面19上
に投影するように設定され、実焦点位置近傍で分割ビー
ムが互いに空間的に分離した位置に、旋光手段として、
偏光旋回用の半波長板を、配置するが、旋光手段7は、
分割前に互いに隣り合う領域に有る分割ビームについ
て、いずれか一方を他方に対して偏光角度を実質的に直
交させ、照射面19上で重ね合わせた時の2つの分割ビ
ーム間の干渉を防止するものである。図1の例は、転写
レンズ61の出射側での実焦点位置で、分割ビーム一つ
おきに波長板を配置している。
【0033】さらに詳しくは、レーザビーム分割手段の
導波路について、図2は、レーザ発振器からのレーザビ
ームの分割の態様を示しているが、レーザ発振器(不図
示)からのレーザビームは、シリンドリカルレンズの集
光レンズ34により焦点F0を経て導波路4内に入射さ
れる。導波路内では、入射ビームの一部が反射せずに透
過する分割ビーム(反射回数m=0)があり、互いに対
向する反射面41又は42で1回だけ反射した分割ビー
ムがy方向に2種類あり(m=±1)、反射面41及び
42で2回反射した分割ビームが同様にy方向に2種類
あり(m=±2)、それぞれの分割ビームは、出射面4
3から放射される。
【0034】導波路がない時のビームの広がりを、出射
面位置の面上に投影したビームのプロフイルが円14で
あるとすると、この投影したレーザビーム14は、分割
ビームに対応した区分の成分に分解できる。レーザビー
ム1の断面での各成分を断面上で、y方向に、m=−
2,−1,0,+1,+2の順に区分すると、導波路4
の出射面44から放射する成分、即ち、分割ビームは、
y方向に、反射回数m=+2,−1,0,+1,−2の
成分の順の配列になることに注意を要する。図2では、
導波路4の出射面44から放射されるm=0,+1,+
2の成分の分割ビームの配置だけを示しており、m=+
1とm=+2の分割ビームは、反射面の中間面に対し
て、互いに反対方向に放射される。他方、m=−1、−
2の分割ビームは、m=+1,+2の反射面の中心面に
対して対称方向にあるが、図中には省略している。
【0035】図3(A)は、レーザビームを焦点F0か
ら、導波路4で反射させずに、導波路4の出射面44の
対応する平面上に投影したレーザビーム14における分
割ビームの分割幅を図式化したものである。これは、円
形プロフイルのレーザビーム14を、導波路により7分
割する例である。
【0036】導波路4においては、導波路4の出射面4
4では、互いに隣接する分割ビームが折り返されて重畳
される。それで、レーザビーム1の分割による互いに隣
接する成分は、その境界部位が、図3(B)において、
導波路の出射面での分割ビームの折り返し部で一致す
る。例えば、図3(A)において、m=+1の成分の境
界部IIIとこれに接するm=0の境界部iiiとは、図3
(C)に示すように、導波路の出射面44では折り返さ
れて重なり合う。
【0037】このような折り返した分割ビームを、y方
向転写レンズ61とx方向集光レンズ62などを介し
て、照射面90上に重ね合わせて投影されると、照射面
上で照射ビームに干渉を生じて、強度に波状分布が形成
される。
【0038】図4は、導波路からの分割ビーム2成分だ
け、例えば、反射回数m=+1とm=0の2つの成分
を、y方向転写レンズ61とx方向集光レンズ62など
を介して、照射面90上に重ね合わせて照射した時の照
射面上での強度分布図の例を示すが、元のレーザビーム
上で互いに隣接する分割ビーム境界部iiiとIIIでは大き
く干渉しあうが、同様にもとのレーザビーム上で互いに
離れた分割ビーム境界部IVとiiとでは、干渉のよる強度
分布の変動が小さい。この図で、横軸には、分割幅dを
取り、縦軸に相対的ビーム強度を取っている。但し、図
4は、レーザビームの強度分布をガウス分布に近似さ
せ、分割幅dが、空間的可干渉距離sと等しい場合であ
る。
【0039】本発明においては、照射面上の重ね合わせ
による干渉の程度は、分割幅dとその位置でのレーザビ
ーム空間的可干渉距離sとの比に依存する。ここに、空
間的可干渉距離sは、レーザビームのビーム断面におけ
る強度分布がガウス分布を保存するとしたとき、図5に
模式的に示すように、ビーム直径Dを強度が光軸強度の
1/e(ここにeは自然対数の底)になる時の円(1
/e円)の径Dであると規定し、単一のレーザビーム
を2つに分岐し照射面上で光軸を共通にして干渉させた
状態から、光軸を互いにずらしてオーバラップした照射
領域に干渉縞のビジビリティが1/eに低減した時の双
方の1/e円の中心間の距離と定義される。また、ビ
ジビリティとは、干渉した強度分布の最高強度と最低強
度の差を最高強度と最低強度との和で除した値であり、
干渉の程度を示す尺度である。
【0040】レーザビームの分割幅dを、d=s/2と
したとき、互いに隣り合う分割ビームの互いに近接する
領域の照射ビームの重なり部ではビジビリティは1に近
く、離れた領域の照射ビームの重なり部ではビジビリテ
ィは1/eとなる。その中間領域では、1から1/eに
漸減する。好ましい実施形態では、分割幅dは、d=s
/2以上であり、この場合の離れた領域の照射ビームの
重なり部ではビジビリティは、1/e以下に低減する。
【0041】さらに、レーザビームの分割幅dは、d=
s/√2以上としたときは、離れた領域の照射ビームの
重なり部ではビジビリティは1/eに低減する。最も
好ましい実施形態では、離れた領域の照射ビームの重な
り部ではビジビリティは1/e以下に低減する。
【0042】分割幅dをd=sにとって、図2に示すよ
うに導波路4によりレーザビームを7分割して、照射面
上に重ね合せた時の強度分布を図6に示すが、かなり改
善された強度分布を示す。この図で、発生する干渉縞の
周期Tは、T=λ/sinΔθで決まる。ここにλは、
波長であり、Δθは干渉を生じる2つの分割ビーム照射
面19上での入射角の差である。
【0043】さらに、本発明の光学系は、上記の均一化
手段が、上記の導波路により形成した分割ビームのうち
互いに隣接する隣接分割ビームの偏光角度を、いずれか
一方を他方に対して偏光角度を実質的に直交させる旋光
手段を含んでいる。この旋光手段は、互いに隣接する領
域からの分割ビームの偏光面を互いに直交させて、分割
ビーム相互の干渉を防止するものである。
【0044】旋光手段には、2つの分割ビームの相互に
干渉が実質的に起こらない程度に偏光角度を実質的に直
交するように旋光させるもので、好ましくは、石英から
成る半波長板が利用される。図1においては、導波路4
の前方のy方向転写レンズ61(シリンドリカルレン
ズ)の前方に焦点fを形成させ、半波長板7を、この焦
点位置に配置するが、5つの分割ビームのうち、反射回
数m=0,m=+2及びm=−2の三つの分割ビームに
のみ半波長板7を挿入し、他の反射回数m=+1とm=
−1には挿入していない。この構成は、y方向に配列し
た分割ビームの1つおきに半波長板を介在させている。
これにより、図3(A)を参照して、互いに隣り合う2
つの分割ビームのうちのいずれか一方にのみ半波長板7
を挿入して、他方の分割ビームに対して偏光角度を実質
的に直交させている。これにより、互いに隣り合うどの
ような組み合わせの2つの分割ビームにも、照射面90
で重ね合わせても干渉を生じない。従って、上記の分割
幅の規制と共に、実質的にする偏光ビームの重ね合わせ
により、照射ビームの均一性が改善される。
【0045】実施の形態2.上記実施の形態1.は、変
更手段として、y方向に配列した分割ビームの1つおき
に半波長板7を介在させているが、半波長板7、7の間
は隙間を設けて、他の分割ビームを透過させる必要があ
り、この半波長板の構造はいくらか複雑である。これを
解消するために、図8に示す光学系の構造に、特に、反
射回数m=0の場合の直進ビームを、y方向転写レンズ
の後の焦点位置fに配置した遮蔽体29により遮断する
ものある。m=0の直進ビームは、照射面に到達しない
ので、これが干渉に寄与することはない。従って、旋光
手段7としては、直進ビーム(m=0)に対して対称な
配置の分割ビームの群(m=+1,−2)又は(m=−
1,+2)のいずれか一方のみに挿通して、他方の群れ
は、旋光手段7を配置しないので、これにより、照射面
上の分割ビーム相互間の干渉を軽減且つ、旋光手段7
は、一方の分割ビーム群(m=+1,−2)をまとめて
透過させる一枚の半波長板が利用でき、光学系を簡素化
できる利点ある。遮蔽体29には、レーザビームを吸収
ないし反射させる固体、例えば、黒鉛、セラミックス、
金属などが、が利用でき、旋光手段と一体化して焦点位
置fに配置できる。
【0046】実施の形態3.図9は、図1に示した例に
おいて、当該他方の分割ビームに光路長補償手段とし
て、ガラス体の遅延板72を挿入した例である。上記の
一方の分割ビームは、上述の如く、旋光手段として半波
長板7が配置されるが、半波長板7の介装は、その分割
ビームの光路長を延長することになるが、2種類の分割
ビームに光路長が異なると、照射面上の結像位置が互い
にずれて、プロフイルが不鮮明になる。これを修正する
ために、他方の分割ビームに光路長補償手段として光路
長を延長する遅延板72を入れてある。この例は、光学
ガラス板をその厚みが、半波長板7による光路長と同じ
光路を生じる厚みに設定する。
【0047】実施の形態4.実施の形態2においては、
中心の分割ビームm=0を、遮蔽体29により遮断した
が、遮断した中心のビームm=1は、かなり大きなエネ
ルギーを有するので、これを利用しないのは効率を低下
させる点では、不経済である。この実施形態において
は、導波路に対する入射レーザ光の光軸が上記の導波路
の反射面間の中心軸と斜交して、反射面の間を反射しな
いで通過する分割ビームを生じさせないようにしてい
る。この場合には、反射回数mで区分した分割ビームの
対称性が崩れ、図10に示すように、反射が、1回の反
射から(m=1)、数回にまで(この例では、6回ま
で)反射し、2つ以上の反射分割ビームが、同数回反射
するのを防止し、しかも、図10及び図13に見られる
ように、奇数反射m=1,3.5と、偶数回反射m=
2、4、6と、の分割ビームが、焦点位置fにおいて群
を作ってまとまるので、無反射の分割ビームを捨てるこ
となく、単一の旋光手段7を、奇数反射m=1,3.5
または偶数回反射m=2、4、6の分割ビームに簡単に
配置することできる利点がある。
【0048】集光レンズ34の光軸と導波路4の中心軸
とを斜交させると、図12と図13に示すように、導波
路4内に入射させるシリンドリカルレンズの集光レンズ
34のビームの周辺成分が、導波路4の入射面43に
入射して、反射面41で少なくとも1回反射して出射面
44から放出される。集光レンズ34からの他のビーム
成分は、それぞれ反射面41と42の間で、2回
反射、3回反射、ないし4回反射され、他の成分がさら
に多数回反射されて、出射面44から放射されるよう
に、設定される。放射されて分割されたビームは、図1
2の放出面側に、反射回数mの数字1〜8で表されてい
る。
【0049】図13には、出射面44上の平面151に
おけるビーム断面の分割ビーム配置と、出射面における
分割ビームの重ね合わせを記載している。反射回数の順
番は、レーザビーム断面における分割ビームの配置の順
番を表している。従って、反射回数の順番が1つ違いの
分割ビーム同士は、照射面上で干渉しやすいので、いず
れか一方だけに、旋光手段として、半波長板7を配置す
るが、この配置は、図9に示すように、y方向転写レン
ズによる焦点f位置において、反射偶数回数(例えば、
m=2、4、6)の分割ビームは、奇数回数の分割ビー
ムに対して一方側に偏っているので、反射が偶数回数で
ある分割ビームを、単一の半波長板7を挿入することに
より、互いに隣り合った分割ビーム間の偏光の実質的直
交を簡単に実現できる。
【0050】図11は、図10に示した光学系におい
て、半波長板7挿入した反射偶数回数(例えば、m=
2、4、6)の分割ビーム以外の、分割ビーム(m=
1,3,5)に、光路長補償用の単一の遅延板72を挿
入して、一括して光路長を補償している。
【0051】他の変形例として、導波路4を中実な透光
体から構成して、当該導波路4の入射面44を導波路4
の中心軸と直交せずに適当に斜交するように形成し、光
源側の上記集光レンズ34から斜交した入射面44に入
射して屈折させ、その結果、反射面41、42の間を少
なくとも1回反射させることにより、図11と同様に、
反射しないで通過する分割ビームを生じさせないで、反
射回数が一回づつ増加するような分割ビームを設定する
ことができ、この場合も、単一の半波長板を遇数回のみ
又は奇数回のみ反射させた分割ビームに区分して、これ
ら区分された分割ビームの群を一括して偏光させること
ができる。この場合は、集光レンズ34の光軸を導波路
の中心軸と共軸的に配置できるので、光学系の設計組立
てが容易であり、しかも、図11と図12と同様の構成
と効果を実現することができる利点がある。
【0052】実施の形態4.本発明のシリンドリカルレ
ンズアレイを適用したレーザビーム均一照射光学系の例
として、図14に示す。光学系は、レーザ発振器からの
レーザビーム1をシリンドリカルレンズアレイ5に入射
するための光学系を含み、平行ビームにするためのビー
ム拡大レンズ31とy方向コリメートレンズ32とx方
向コリメートレンズ33を含み、コリメートレンズ33
からの平行ビームをシリンドリカルレンズアレイ5に入
射する。
【0053】シリンドリカルレンズアレイ5は、図中x
方向に柱状にして光軸に向けて断面凸レンズをy方向に
積重ねたレンズを指すが、図例は、5段の微小シリンド
リカルレンズ5a〜5eから構成され、これにより5つ
分割ビーム15a〜15eが形成される。
【0054】分割用のシリンドリカルレンズアレイ5か
らのy方向への分割ビームは、その前方に配置して別体
の転写用のシリンドリカルレンズアレイ51に入射さ
れ、転写用シリンドリカルレンズアレイ51からの分割
ビームは、x方向に集光する集光レンズ62(シリンド
リカルレンズ)により照射面90上に投射されて、y方
向に均一で、x方向には細く収束した線状プロフィルを
有する照射ビーム19に成形するものである。さらにフ
ィールドレンズ63が、転写用のシリンドリカルレンズ
アレイ51と集光レンズ62との間に配置されている。
【0055】分割用のシリンドリカルレンズアレイ5か
らy方向に分割した分割ビーム15a〜15eには、旋
光手段として、半波長板7が挿入されるが、半波長板7
は、1つおきの分割ビーム15a,15c,15dに挿
入され、他の分割ビーム15b,15dには、挿入しな
い。これにより、互いに互いに隣合う分割ビーム間(例
えば、分割ビーム15aと15bの間、分割ビーム15
bと15cとの間、あるいはその他の隣り合う分割ビー
ム間)では、偏光角度が実質的に直交して、照射面90
上での干渉が押さえられ、重ね合わせた照射ビーム19
の干渉のよる強度分布を均一化することができる。
【0056】図15は、シリンドリカルレンズアレイ5
におけるレーザビームの分割の態様を示すものである
が、各微小シリンドリカルレンズで分割されたビーム
は、前述の導波路による分割と異なって、照射面での重
ね合わせの際に、分割ビームの折り返しがなくて、単に
重畳されるだけであり(図15(B))、従って、2つ
の隣接する分割ビームを転写用シリンドリカルレンズア
レイ51とx方向集光レンズ62を介して照射面上にの
重ね合わせでも、合成後の強度分布は、y方向での干渉
に差異がない。図16は、シリンドリカルレンズアレイ
5でのビーム分割幅d(分割幅dは、図14(B)と図
15(A)に示す)を、上述の空間的可干渉距離sと等
しいとした時の互いに隣接する2つの分割ビームの照射
面上での重ね合わせによる強度分布は、y方向で一定
で、そのビジビリティが、1/eで一定であることを示
している。図17は、上記の7分割した分割ビームにつ
いて、分割幅dをd=sとして、照射面上で重ね合わせ
た時の強度分布を示すが、y方向で、かなり良い分布を
示す。
【0057】実施の形態5.図18は、図14に示した
例において、旋光手段を挿入していない当該他方の分割
ビーム(この例では、15b、15d)に光路長補償手
段として遅延板72用のガラス体を挿入した例である。
上記の一方の分割ビームは、上述の如く、旋光手段とし
て半波長板7が配置されるが、半波長板7の介装は、そ
の分割ビームの光路長を延長することになり、2種類の
分割ビームに光路長が異なると、照射面上の結像位置が
互いにずれて、プロフイルが不鮮明になる。これを修正
するために、他方の分割ビームに光路長を補償する手段
として光路長を延長する遅延板72を入れてある。この
例は、遅延板72の光学ガラス板を、半波長板7による
光路長と同じ光路長を生じる厚みに設定する。
【0058】実施の形態6.図19は、図14に示した
レーザビーム均一照射光学系の転写用シリンドリカルレ
ンズアレイ51において、半波長板7を挿入した分割ビ
ームについての微小シリンドリカルレンズ512と、半
波長板7を挿入していない分割ビームについての微小シ
リンドリカルレンズ511とは、照射面90での結像が
一様になるように異なる焦点距離を有するように調製さ
れている。分割用シリンドリカルレンズアレイ5により
y方向に配列分割された分割ビームの1つおきの分割ビ
ームに光路長さ用の半波長板7を挿入することにより、
挿入しない分割ビームに対して焦点位置fのずれが生ず
るが、焦点位置のずれを転写用シリンドリカルレンズア
レイ51の各微小レンズの焦点距離で補償するものであ
り、これにより、照射面上に結像される各分割ビームの
強度分布を均一にすることができる。
【0059】実施の形態7.図20は、図14に示した
レーザビーム均一照射光学系の変形例であるが、この例
は、y方向に分割されてビーム1つおきに半波長板7が
挿入されて、偏光した分割ビームを転写用レンズにより
照射面90に照射するが、ここでは、フィールドレンズ
63を調節して、各分割ビームを照射面上y方向にずら
して重ね合せることにより、分割ビーム間の干渉を防止
するものである。照射面90上に、分割ビームをずらし
て照射した時の照射ビーム19の強度分布を示すが、y
方向の照射ビーム19の両端部では、強度分布が階段状
に低減するけれども、両端部を除く主要な部分は、干渉
の少ない均一な分布が得られる。
【0060】
【発明の効果】本発明のレーザビーム均一照射光学系
は、レーザ光源からのレーザビームをビーム断面におい
て空間的に分割ビームに分割するレーザビーム分割手段
と、分割ビームを照射面上で重ね合せて照射する重ね合
せ照射手段と共に、照射面上のビーム強度を均一にする
均一化手段とを含み、上記の均一化手段が、上記の分割
したビームの互いに隣接する隣接分割ビームの一方を他
方に対して偏光方向を実質的に直交させる旋光手段を含
むので、互いに隣り合う分割ビーム間での照射面上での
干渉を軽減し、その照射ビームの強度分布の均一化を得
ることができる。
【0061】本発明において、レーザビーム分割手段を
上記の分割ビーム幅を、レーザビーム断面における断面
方向の空間的可干渉距離の1/2倍以上とすれば、さら
に、空間的可干渉距離に関連して、互いに隣り合う分割
ビーム間での照射面上での干渉をも軽減し、その照射ビ
ームの強度分布のさらに均一化を得ることができる。
【0062】さらに、上記のビーム分割幅が、空間的可
干渉距離の1/√2倍以上とすれば、互いに隣り合う分
割ビーム間での照射面上での干渉をも軽減し、その照射
ビームの強度分布のさらに均一化を得ることができる。
【0063】上記のビーム分割幅を、空間的可干渉距離
の1倍以上にすれば、さらに、互いに隣り合う分割ビー
ム間での照射面上での干渉を一層軽減でき、その照射ビ
ームの強度分布のさらに均一化を得ることができる。
【0064】上記のレーザビーム分割手段が、互いに対
向する反射面を有する一次元方向の導波路を利用すれ
ば、導波路により分割したビームの重ね合わせにおいて
も、均一な強度分布の照射ビームが得られる。
【0065】重ね合せ照射手段が、レーザビーム分割手
段からの分割ビームを照射面に転写する転写レンズを含
み、上記の旋光手段を、転写レンズにより形成した複数
の分割ビームを空間的分離した領域で、該空間的に分離
した隣接分割ビームのいずれか一方を他方に対して偏光
方向を直交させるように配置すれば、簡単な構成で、分
割ビーム間の干渉を防止することができる。
【0066】上記の導波路の反射面の間を反射しないで
通過した分割ビームを遮断するようにすれば、2群にま
とめた分割ビームのいずれか一群を、一括して、単一の
旋光手段により旋光することができ、構成が簡単化でき
る利点がある。
【0067】導波路に対する入射レーザビームの光軸が
上記の導波路の反射面間の中心軸と斜交して、反射面の
間を反射しないで通過する分割ビームを生じさせないよ
うにすれば、2群にまとめた分割ビームのいずれか一群
を、一括して、単一の旋光手段により旋光することがで
き、構成が簡単化でき、しかも、分割ビームの全部を照
射に利用できる利点がある。
【0068】さらに、導波路が、中実な透光体からな
り、当該導波路の入射面が導波路の中心軸と斜交して、
反射面の間を反射しないで通過する分割ビームを生じさ
せないようにすれば、同様に、2群にまとめた分割ビー
ムのいずれか一群を一括して単一の旋光手段により旋光
することができ、光軸を直線的配置にして構成が簡単化
でき、しかも、分割ビームの全部を照射に利用でき、る
利点がある。
【0069】上記のレーザビーム分割手段をレーザビー
ムを一次元的に分割する分割用のシリンドリカルレンズ
アレイとすれば、シリンドリカルレンズアレイにより分
割したビームを照射面上で重ね合わせにおいても、均一
な強度分布の照射ビームが得られる。
【0070】上記の旋光手段が、分割用のシリンドリカ
ルレンズアレイにより形成した複数の分割ビームを空間
的分離した領域において、互いに隣接する分割ビームの
いずれか一方を他方に対して偏光方向を直交させるよう
に配置すれば、旋光手段は簡単な構成で、配置して、所
要の分割ビームのみを旋光することができる。
【0071】重ね合せ照射手段が、上記分割用のシリン
ドリカルレンズアレイからの分割ビームを照射面に転写
する転写用シリンドリカルレンズアレイを含むようにす
れば、分割用のシリンドリカルレンズアレイによる分割
ビームを互いに平行なビームに構成して、且つ、分割用
のシリンドリカルレンズアレイと転写用シリンドリカル
レンズアレイとの間に上記の偏光手段を配置できる利点
がある。
【0072】上記の転写用シリンドリカルレンズアレイ
が、旋光手段を通過する分割ビームを転写する微小シリ
ンドリカルレンズと、旋光手段を挿入しない分割ビーム
を転写する微小シリンドリカルレンズとにおいて、異な
る焦点距離を有するようにすれば、焦点距離の設定によ
り、照射面状で鮮明な結像をえることができ、強度分布
の均一性に優れた照射ビームを得ることができる。
【0073】上記他方の分割ビームに挿入して、他方の
分割ビームを、当該一方の分割ビームの光路長さと実質
的に同じ光路長さにするための光路長補償板を配置すれ
ば、旋光手段の介装により結像位置の相異するのを、照
射面上で、当該一方及び他方の両方の分割ビームの結像
を鮮明にすることができ、強度分布の均一な照射ビーム
が得られる。
【0074】上記旋光手段を半波長板とすれば、構造が
極めて簡単な旋光手段が実現できる。
【0075】上記旋光手段をフレネルロムとすれば、構
造が極めて簡単な光学系が実現できる。
【0076】光路長補償板が、透光性のガラス板若しく
はガラスロッドとすれば構造が極めて簡単な光学系が実
現できる。
【0077】レーザ源を、固体レーザ又は半導体レーザ
の基本波又は高調波とすれば、良質のレーザ光源を用い
て、照射面上に均質な強度分布の照射ビームを形成する
ことができる。特に、高調波レーザは、半導体層に吸収
しやすい波長光を利用して、加熱効率を高めることがで
きる利点がある。
【0078】照射面を基板上に形成された非晶質若しく
は多結晶質の半導体膜であり、上記光学系が半導体膜ア
ニーリング用光学系とすれば、半導体膜の結晶化に有効
に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の導波路を利用した実施形態に係るレ
ーザビーム均一照射光学系の配置を示す図で、(A)
は、y方向から見た図、(B)は、x方向から見た図を
示す。
【図2】導波路におけるレーザビームの分割の態様を説
明する断面図。
【図3】導波路におけるレーザビームの分割の態様を説
明する図(A、B)。
【図4】 導波路により分割した互いに隣接する2つの
分割ビームを照射面上で重ね合わせたときの合成照射ビ
ームの強度分布とビジビリテイとを示す図(d=sのと
き)。
【図5】 レーザビームの空間的可干渉距離sの定義を
説明する図。
【図6】 導波路により7つに分割した分割ビームを照
射面上で重ね合わせたときの合成照射ビームの強度分布
とビジビリテイとを示す図(d=sのとき)。
【図7】 レーザビームの光路差とビジビリテイとの関
係を示す図。
【図8】 本発明の他の実施の形態に係るレーザビーム
均一照射光学系の配置を示す図1(B)相当の側面図。
【図9】 本発明の他の実施の形態に係るレーザビーム
均一照射光学系の配置を示す図1(B)相当の側面図。
【図10】 本発明の他の実施の形態に係るレーザビー
ム均一照射光学系の配置を示す図1(B)類似の図で、
入射光の光軸と導波路中心軸とを斜交した配置を示す。
【図11】 本発明の他の実施の形態に係るレーザビー
ム均一照射光学系の配置を示す図10同様図。
【図12】 入射光の光軸と導波路中心軸とを斜交した
配置におけるビーム分割を示す図。
【図13】 入射光の光軸と導波路中心軸とを斜交しし
て配置した導波路におけるレーザビームの分割の態様を
説明する図3同様図(A、B)。
【図14】 本発明の実施れに係る光学系であって、分
割用シリンドリカルレンズアレイと遅延板とを利用した
他の実施の形態に係るレーザビーム均一照射光学系の配
置を示す図で、(A)はy方向から見た図、(B)はx
方向から見た図をそれぞれ示す。
【図15】 分割用シリンドリカルレンズアレイにおけ
るレーザビームの分割の態様を説明する図(A、B)。
【図16】 分割用シリンドリカルレンズアレイにより
分割した互いに隣接する2つの分割ビームを照射面上で
重ね合わせたときの合成照射ビームの強度分布とビジビ
リテイとを示す図(d=sのとき)。
【図17】 分割用シリンドリカルレンズアレイにより
7つに分割した分割ビームを照射面上で重ね合わせたと
きの合成照射ビームの強度分布とビジビリテイとを示す
図(d=sのとき)。
【図18】 分割用シリンドリカルレンズアレイを使用
して、旋光手段と共に光路長補償手段を用いた図14
(B)同様図。
【図19】 分割用シリンドリカルレンズアレイを使用
して、転写用シリンドリカルレンズアレイの微小シリン
ドリカルレンズの異なる焦点距離を有する用にした図1
3(B)同様図。
【図20】 フィールドレンズを調整して、各分割ビー
ムをずらして結像した図14(B)同様図。
【符号の説明】
1 レーザビーム、29 遮蔽体、31 ビーム拡大レ
ンズ、32 y方向コリメートレンズ、33 x方向コ
リメートレンズ、34 集光レンズ、4 導波路、41
反射面、42 反射面、5 分割用シリンドリカルレ
ンズアレイ、51転写用シリンドリカルレンズアレイ、
61 転写レンズ、62 集光レンズ、7 半波長板、
72 光路長補償板、9 照射体、90 照射面。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 行雄 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内 (72)発明者 西前 順一 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内 (72)発明者 小川 哲也 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 27/00 G02B 27/28 H01L 21/268 H01S 3/10

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザ光源からのレーザビームをビーム
    断面において空間的に分割ビームに分割するレーザビー
    ム分割手段と、分割ビームを照射面上で重ね合せて照射
    する重ね合せ照射手段と、照射面上のビーム強度を均一
    にする均一化手段とから、成るレーザビーム均一照射光
    学系であって、 上記の均一化手段が、上記の分割したビームの互いに隣
    接する隣接分割ビームの一方を他方に対して偏光方向を
    実質的に直交させる旋光手段を含むことを特徴とするレ
    ーザビーム均一照射光学系。
  2. 【請求項2】 上記のレーザビーム分割手段が、上記の
    分割ビーム幅を、レーザビーム断面における断面方向の
    空間的可干渉距離の1/2倍以上とすることを特徴とす
    る請求項1に記載の光学系。
  3. 【請求項3】 上記のビーム分割幅が、空間的可干渉距
    離の1/√2倍以上である請求項2に記載の光学系。
  4. 【請求項4】 上記のビーム分割幅が、空間的可干渉距
    離以上である請求項2に記載の光学系。
  5. 【請求項5】 上記のレーザビーム分割手段が、互いに
    対向する反射面を有する一次元方向の導波路である請求
    項1ないし4いずれかに記載の光学系。
  6. 【請求項6】 重ね合せ照射手段が、レーザビーム分割
    手段からの分割ビームを照射面に転写する転写レンズを
    含み、 上記の旋光手段が、転写レンズにより形成した複数の分
    割ビームを空間的分離した領域で、該空間的に分離した
    隣接分割ビームのいずれか一方を他方に対して偏光方向
    を実質的に直交させるように配置された請求項5に記載
    の光学系。
  7. 【請求項7】 上記の導波路の反射面の間を反射しない
    で通過した分割ビームを遮断するようにした請求項5又
    は6に記載の光学系。
  8. 【請求項8】 導波路に対する入射レーザ光の光軸が上
    記の導波路の反射面間の中心軸と斜交して、反射面の間
    を反射しないで通過する分割ビームを生じさせないこと
    を特徴とする請求項5又は6に記載の光学系。
  9. 【請求項9】 導波路が、中実な透光体からなり、当該
    導波路の入射面が導波路の中心軸と斜交して、反射面の
    間を反射しないで通過する分割ビームを生じさせないこ
    とを特徴とする請求項5又は6に記載の光学系。
  10. 【請求項10】 上記のレーザビーム分割手段が、レー
    ザビームを一次元的に分割する分割用のシリンドリカル
    レンズアレイである請求項1ないし4いずれかに記載の
    光学系。
  11. 【請求項11】 上記の旋光手段が、分割用のシリンド
    リカルレンズアレイにより形成した複数の分割ビームを
    空間的分離した領域において、互いに隣接する分割ビー
    ムのいずれか一方を他方に対して偏光方向を直交させる
    ように配置された請求項10に記載の光学系。
  12. 【請求項12】 重ね合せ照射手段が、上記分割用のシ
    リンドリカルレンズアレイからの分割ビームを照射面に
    転写する転写用シリンドリカルレンズアレイを含む請求
    項10又は11に記載の光学系。
  13. 【請求項13】 上記の転写用シリンドリカルレンズア
    レイが、旋光手段を通過する分割ビームを転写する微小
    シリンドリカルレンズと、旋光手段を挿入しない分割ビ
    ームを転写する微小シリンドリカルレンズとが、異なる
    焦点距離を有する請求項11ないし12いずれかに記載
    の光学系。
  14. 【請求項14】 上記他方の分割ビームに挿入して、他
    方の分割ビームを、当該一方の分割ビームの光路長さと
    実質的に同じ光路長さにするための光路長補償板を配置
    したことを特徴とする請求項6又は11に記載の光学
    系。
  15. 【請求項15】 上記旋光手段が、半波長板である請求
    項1ないし14のいずれかに記載の光学系。
  16. 【請求項16】 上記旋光手段が、フレネルロムである
    請求項1ないし14のいずれかに記載の光学系。
  17. 【請求項17】 光路長補償板が、透光性のガラス板若
    しくはガラスロッドである請求項14に記載の光学系。
  18. 【請求項18】 レーザ源が、固体レーザ若しくは半導
    体レーザの基本波若しくは高調波である請求項1ないし
    17いずれかに記載の光学系。
  19. 【請求項19】 照射面が、基板上に形成された非晶質
    若しくは多結晶質の半導体膜であり、上記光学系が半導
    体膜アニーリング用光学系である請求項1ないし18い
    ずれかに記載の光学系。
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