JP4086681B2 - 推進管の継手構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、推進管の継手構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
地中埋設管の敷設工法として、推進工法が知られている。
この工法は、管の後端に新たな管を接続しつつ、軸方向へ推進していくことで必要な長さの管路を敷設するものであるから、この工法に供される管は、どのような継手形式であっても、推進力を伝達できる構造とされていることが必要となる。
【0003】
このような継手として、継手部の本来の機能であるシール機能と別個に推進力伝達構造が設けられている継手、例えば、図12に示すように、挿口2と受口3との間のシールを、挿口1外面と受口3内面との間に介挿したシール用ゴム輪5を、受口3奥端から押しボルト9で圧縮することで行い、管1に対する推進力伝達は挿口2外面に形成したフランジ2aと受口3端面との間で行う構造のもの、あるいは図13に示すように、推進力伝達は挿口2先端と受口3奥端との間にスペーサ25を介挿し、このスペーサ25を介して挿口2から受口3奥端へと推進力を伝達し、挿口2外面と受口3内面との間のシール用ゴム輪5には何らの推進力が作用しない継手などがあり、これら継手は、いかに強大な推進力が作用しても、シール用ゴム輪に直接伝わることは無いのでシールなどについての問題はないが、図14に示すように、受口3開口部からシール用ゴム輪5を押輪6によって圧入するようにされた継手の場合、押輪6に直接推進力が加わるとシール用ゴム輪5が過剰に圧縮され、シール性に悪影響を及ぼす恐れがあるので、直接外力が加わらないようにスペーサ25を介挿するか、あるいは図15に示すように挿口1外面に設けたフランジ10から、押輪6用の締付けボルト9に伝えるようにすること(特許文献1)等が必要となる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−276284号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図14に示した継手の場合は、継手の外面から押輪6の締め付け作業を、また継手の内面からスペーサ装着作業を行うなど、二種の作業を管の内外にわたって行わなければならず、作業が非常に面倒となる問題があった。
【0006】
また、後者の押輪締め付けボルトを利用して直接推進力を伝達する工法は、推進過程において過大な負担がボルトに加わり、ボルトに屈曲などが生じると、直ちにシール用ゴム輪に対する圧縮力に過不足が発生してシール機能を損なう恐れが生じる問題があった。
【0007】
この発明は、上記問題を解消し、押輪を締め付けることでシールを行う形式の継手であっても施工性良く、しかも安全に推進していくことを可能とすることを課題としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明は、直管の一端が挿口、他端が前記挿口を受容できる受口とされ、外面に挿口部分を除いて受口先端から挿口部分まで同一外径となる外装材で被覆した推進管を接続し、受口端面に複数のボルトを適宜間隔で立設させて締結された押輪で、シール用ゴム輪を圧縮することにより接続部をシールした管継手において、前記外装材の端面と前記押輪、及び押輪と受口端面との間における、押輪を受口端面に締結する前記ボルトの間に、スペーサが介挿され、このスペーサを介挿した状態で推進されていくようにされた特徴とするものである。また、本発明は、スペーサがその管軸方向幅を調節可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
この構成により、推進力は外装材の端面から、スペーサ、押輪、スペーサに伝えられ、最後に受口端面に直接外力が伝えられるのでシール用ゴム輪には何らの外力は作用することがない。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の推進管の継手構造の実施の形態について説明する。
図1はこの発明の一実施の形態の管継手部の軸方向要部断面図、図2は図1のA−A線断面図である。
【0011】
この発明における推進管は、内面にライニング層1aの設けられた直管1の一端が挿口2、他端が受口3とされ、外面に挿口2部分を除いて受口3先端から挿口2部分まで同一外径となる外装材4で被覆されて構成されている。
【0012】
そして、この推進管の管継手部は、一方の推進管の受口3に他方の管の挿口2を接続し、挿口2外面と受口3内面とのシールを、シール用ゴム輪5を押輪6で圧縮することにより行う構造とされ、このような接続部における外装材4の端面4aと押輪6との間、及び押輪6と受口3端面3aとの間にそれぞれスペーサ7、8が介挿された構造とされている。
【0013】
そして、直管1に軸方向に推進力を付加した場合、外装材4からスペーサ7、押輪6、スペーサ8、受口端面3aと伝わり、シール用ゴム輪5には力が加わらないようにされている。なお、図中3bはロックリング、4bは外装材4中に埋入された補強筋を示す。
【0014】
スペーサ7、8はいずれも図2に示すように押輪6を受口端面3aに締結するためのボルト9…の間に配置され、また任意の隙間に対して適合できるようにスペーサは図3〜図6に示すような構造とされる。
【0015】
図3に示したスペーサ7、8は、管に対して軸方向に配列される二つのブロック10、11よりなり、二つのブロックは軸方向圧縮力Aが作用しても矢印B方向へ移動しない傾斜角θとされた斜面10a、11aを介して接し、矢印B方向へ打ち込むことによって軸方向幅を調節できるようにされている。
【0016】
図4に示したスペーサ7、8は、両側にテーパ面12、12を有した逆台形状のブロツク体13よりなり、矢印B方向へ打ち込むことにより軸方向幅を調節できるようにされている。
【0017】
図5に示したスペーサ7、8は、管に対して軸方向に配列される三つのブロック14、15、16よりなり、それぞれのブロックは軸方向圧縮力Aが作用しても移動しない傾斜角θとされた斜面14a、15a、16aを介して接し、中間の楔状のブロック15を両側のブロック14、16間に矢印B方向へ打ち込むことで矢印A方向の軸方向幅を調節できるようにされている。
【0018】
図6に示したスペーサ7、8は、押さえ板17とこれにねじ込まれるアジャストボルト18からなり、アジャストボルト18の押さえ板17に対するねじ込み量を調節することで軸方向幅が調節可能とされている。
【0019】
図7に示したスペーサ7、8は、一対の押さえ板19、19とこれにねじ込まれるアジャストボルト20とから構成され、アジャストボルト20の中間ナット部20aを挟んだ両側のねじ20b、20bのつる巻き角が逆方向とされ、同一方向の回転で一対の押さえ板19が近づいたり遠ざかるようにされ、ねじ込み量を調節することで軸方向幅が調節可能とされている。
【0020】
図8に示したスペーサ7、8は厚みの違う板21…の組み合わせとされたもので、これら組み合わせにより軸方向幅が調節可能とされている。
また、テーパ面12を利用したスペーサ7、8を使用する場合、図9に示すように押輪6の表裏面にテーパ面12と逆傾斜となるテーパ面22を有するリブ23…を形成し、このリブ23に対してスペーサ7、8を打ち込むようにしても良い。
【0021】
また、これらスペーサ7、8の使用される管継手としては、図1に示したものの他、図10、図11に示したものなどがある。
これらの継手は、押輪6でシール用ゴム輪5を圧縮している点、ロックリング3bで離脱防止を図る点では共通しているため、同一ないしは相当する部分には同じ符号を付すことにより詳細な説明は省略する。
【0022】
また、これらスペーサ7、8は、管敷設工事の際、推進圧力には耐え得るが、大地震時における強大な力が加わった時には圧縮破壊される程度の強度、あるいは、土中環境により比較的早期に腐蝕されスペーサとしての機能が消滅してしまうような金属材料により形成すれば、継手部が縮むことも可能となり、伸縮機能も継手に付加される。
【0023】
次に、この発明の推進管の継手構造の使用状態について説明する。
まず、一方の推進管の受口3内にロックリング3aをセットし、次いで受口3内に他方の推進管の挿口2を挿入する。なお、耐震離脱防止の機能を付与する場合は、挿口2端部から受口奥端まで継手部の管路長に対する所定の縮み量を確保できる隙間Sを有するように所定量挿入する。
【0024】
次いでシール用ゴム輪5を受口開口部から挿口2外面と受口3内面との間に挿入し、次いで押輪6をボルト9で締め付け、シール用ゴム輪5を圧縮する。
次いで、図3〜図8に示したスペーサのうちいずれかを、外装材4の端面4aと押輪6との間、及び押輪6と受口3端面3aとの間に打ち込んで、押輪6が軸方向に移動しないように固定する。
【0025】
なお、このときの作業はすべて管外面からの作業となり、管内面からの作業は一切ないので作業は容易となる。
その後、挿口2側から軸方向に押し力を加え、土中に管を推進していくのである。
【0026】
管の推進力はスペーサを介して挿口側から受口へと直接伝達されるので、押輪によってシール用ゴム輪が直接圧縮されるのが防止され、シール用ゴム輪の性能が損なわれるのが防止される。
【0027】
なお、スペーサ7、8の構成材料として土中雰囲気により比較的早期の内に腐蝕されてしまう材質とした場合は、早期の内にスペーサとしての機能が消失するので、所定のスペースを挿口端から受口奥部の間に設けたので、継手部で伸びるだけでなく縮むことも可能となり、管継手部の耐震性が強化されるのである。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の推進管の継手構造によれば、押輪でシール用ゴム輪を圧縮するようにした構造の継手を有した管を推進工法で敷設する場合、シール用ゴム輪に管の推進圧力が加わらないので、シール用ゴム輪を傷めることがなく安全に管を敷設することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の管壁要部の軸方向断面図である。
【図2】図1のA−A線矢視断面図である。
【図3】スペーサの説明断面図である。
【図4】他のスペーサの説明断面図である。
【図5】さらに他のスペーサの説明断面図である。
【図6】さらに他のスペーサの説明断面図である。
【図7】さらに他のスペーサの説明断面図である。
【図8】さらに他のスペーサの説明断面図である。
【図9】さらに他のスペーサの説明断面図である。
【図10】他の推進管の説明断面図である。
【図11】さらに他の推進管の説明断面図である。
【図12】従来の推進管の説明断面図である。
【図13】さらに他の従来の推進管の説明断面図である。
【図14】さらに他の従来の推進管の説明断面図である。
【図15】さらに他の従来の推進管の説明断面図である。
【符号の説明】
1 直管
1a ライニング層
2 挿口
3 受口
3a 受口端面
4 外装材
4a 外装材の端面
5 シール用ゴム輪
6 押輪
7 スペーサ
8 スペーサ
9 ボルト
Claims (2)
- 直管の一端が挿口、他端が前記挿口を受容できる受口とされ、外面に挿口部分を除いて受口先端から挿口部分まで同一外径となる外装材で被覆した推進管を接続し、受口端面に複数のボルトを適宜間隔で立設させて締結された押輪で、シール用ゴム輪を圧縮することにより接続部をシールした管継手であって、前記外装材の端面と前記押輪、及び押輪と受口端面との間における、押輪を受口端面に締結する前記ボルトの間に、スペーサが介挿され、このスペーサを介挿した状態で推進されていくようにされた推進管の継手構造。
- スペーサがその管軸方向幅を調節可能に構成されている請求項1記載の推進管の継手構造。
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