JP4083275B2 - セラミックスと金属との接合方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、セラミックスと金属との接合方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまでの通電焼結法等の焼結法では良好な焼結接合が困難とされていた焼結温度の異なる異種材料、例えばセラミックス−金属の接合を行なう方法として、放電プラズマ焼結法(SPS法)が開発されてきた。
【0003】
SPS法は、粒子間隙に直接パルス状の電気エネルギーを投入し、火花放電現象により瞬時に発生する放電プラズマの高エネルギーを熱拡散、電界拡散等へ効果的に応用した固体圧縮焼結の一種である。このようにSPS法は、放電による直接発熱方式のため、極めて熱効率に優れ、その放電点の分散による均等加熱で、均質高品位の焼結体が容易に得られるという利点を有しており、ホットプレス焼結法等の従来の焼結法に比べ、焼結エネルギーの制御性の良さ、取扱い操作の容易さ、安全性、確実性の良さ等の優れた特徴を持っている。
【0004】
特に、SPS焼結法の中でも傾斜接合法は、異種材料からなる接合物の中間層として、該両端接合物と同一材質の混合組成物を少なくとも1層挟み、焼結接合する方法であり、異種材料間に生じる応力の軽減等が図られている。
【0005】
しかし、セラミックスが高密度に焼結された場合には、熱処理後の冷却時にやはりその応力からセラミックス側で著しいクラックが発生し、また、低温焼結等により焼結温度が不十分である場合には、接合力の不足や焼結体をしばらく放置するとセラミックス側が崩壊する等の問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような問題点を解決し、簡易な方法でかつ高効率であって、かつ接合力に優れたセラミックスと金属との接合方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(3)の本発明により達成される。
【0008】
(1) ハイドロキシアパタイト粉体と第1の金属粉体とを少なくとも1層の中間層を介在させて焼結しこれらを接合する接合方法において、
前記焼結は、放電プラズマ焼結法により、800〜1100℃の温度で行われるものであり、
前記中間層は、ハイドロキシアパタイトおよび前記第1の金属の双方と、前記第1の金属以外の第2の金属とを含有する混合粉体で構成されており、
前記第1の金属は、TiまたはTi系合金であり、
前記第2の金属は、前記第1の金属より展延性に優れた貴金属または貴金属基合金であることを特徴とするセラミックスと金属との接合方法。
【0009】
(2) 前記貴金属はAuおよびAgのうち少なくとも一方を含む上記(1)に記載のセラミックスと金属との接合方法。
【0010】
(3) 前記中間層中の前記第2の金属の含有量は5〜90質量%である上記(2)に記載のセラミックスと金属との接合方法。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のセラミックスと金属との接合方法を添付図面に示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明のセラミックスと金属との接合方法の実施例を示す概略図である。この図に示すように、本発明の接合方法は、セラミックス12の粉体と第1の金属18の粉体とを少なくとも1層の中間層14を介在させて焼結し、これらを接合する接合方法であって、中間層14はセラミックス12の粉体および第1の金属18の粉体の双方と、前記第1の金属18以外の第2の金属粉体とを含有する混合粉体であることを特徴とする。
【0024】
このような中間層14を介在させることにより、融点やその他の熱的性質の異なる金属とセラミックスとが同じ温度で加熱、焼結、冷却される場合に生じる応力を緩和し、多くの場合に発生するセラミックス側の割れ等を防止することができる。
【0025】
また、中間層14に第1の金属18とは異なる第2の金属を含有させることにより、セラミックス12と第1の金属18との間に生じる温度差による応力をさらに効果的に軽減することができる。
【0026】
第2の金属としては、展延性に優れるものが用いられる。展延性に優れた第2の金属の柔軟性により、第1の金属18とセラミックス12との熱膨張率の相違に起因して生じる応力が吸収されるため、応力の差により発生するクラックを防止することができる。また、粉体間、特に各層間の結合性が向上し、接合力を向上させることができる。
【0027】
前記第2の金属は生体適合性を有する金属であることが好ましい。特に、バイオセラミックス等と組合せることにより、接合体を医療材料等として応用することが可能となる。
【0028】
前記第2の金属は貴金属または貴金属を主とする合金である。貴金属または貴金属を主とする合金は優れた安定性を有するため、接合体の安定性の向上を図ることができる。
【0029】
以上のような性質を備えた金属としては、例えばAu、Ag、Pt、Pd等が挙げられ、なかでもAu、Agが特に好ましく、これらを1種または2種以上混合して用いてもよい。
【0030】
中間層14における各成分の混合割合については特に限定されないが、上記第2の金属の含有量は5〜90質量%が好ましく、25〜50質量%がより好ましい。第2の金属の含有量が5質量%未満の場合、上記の効果が有効に発揮されず、一方、90質量%を超える場合、他の成分である第1の金属18またはセラミックス12の割合が小さくなり、第1の金属18またはセラミックス12との接合強度が低下するおそれがある。さらに含有量が増加しても効果の向上が図れず、また製造コストが大きくなる。
【0031】
中間層14は、上記のセラミックス12および第1の金属18の双方と、第2の金属とを含む混合粉体で構成されている。これにより、混合粉体の全体量や中間層14の成分組成比を自由に変化させることができる。例えば、中間層14中の成分比を連続的または段階的に変化させることが容易であり、接合させるセラミックス12および第1の金属18の種類等に応じて接合性および応力緩和性のよい中間層14を調製することができる。また、中間層14の厚さ、層数等を任意に選択することができ、加工性に優れる。
【0032】
本実施例では、中間層14は第1の中間層15と第2の中間層16とから構成されている。これにより、セラミックス12側から第1の金属18側へ組成を段階的に変化させることができる。例えば、第1の中間層15は、第2の中間層16よりもセラミックスの含有量が多く、一方、第1の金属の含有量が少なくなっている。このような構成とすることにより、中間層14とセラミックス12、中間層14と第1の金属18との接着強度を高めつつセラミックス12と第1の金属18との間に生じる温度差による材料の歪を軽減することができる。
【0033】
本実施例では、中間層14の成分比が段階的に変化する場合の接合方法であるが、中間層14の成分比をその厚さ方向に連続的に変化させることも可能である。例えば、各成分の混合比をさらに細かく変化させた中間層14を準備することにより、より連続的な機能変化をもたらすこともできる。具体例として、セラミックス12の粉体と第1の金属18の粉体と第2の金属の粉体とを連続的に供給量を変化させながら混合装置に送り込んで撹拌混合し、これを連続的にあるいは極少量づつバッチ方式により、後述する成形型30内に投入する方法等が挙げられる。
【0034】
中間層14を構成する混合粉体を調整するために、乳鉢等を用いることができ、その他の混合機としては、ボールミル、ロッドミル、ダブルコートブレンダ、V型混合機等を使用することができる。
【0035】
セラミックス12としては、ハイドロキシアパタイト(HAp)が用いられる。ハイドロキシアパタイトは生体適合性材料として、人工骨、人工歯根等多くの用途に応用できる。
【0036】
第1の金属としては、生体適合性を有するものが好ましく、具体的にはTiまたはTi系合金が用いられる。これにより、上記アパタイト等と組合せることにより、生体材料として生体適合性と強度・靱性を併せ持つ人工関節等、多くの分野への応用が可能になる。
【0037】
上述したセラミックスの粉体と第1の金属の粉体とは、中間層を構成する混合粉体を介して焼結により接合される。焼結方法には放電プラズマ焼結法が用いられる。
【0038】
放電プラズマ焼結法は、圧粉体粒子間隙に直接パルス状の電気エネルギーを投入し、火花放電により瞬時に発生する高温プラズマの高エネルギーを熱拡散・電界拡散等へ効果的に応用することで、ホットプレス法等に比べ、昇温、保持時間を含め、5〜20分程度の短時間の焼結あるいは焼結接合を可能とする。
【0039】
以下、放電プラズマ焼結による本発明のセラミックスと金属との接合方法を説明する。
【0040】
図3は、材料粉末の積層体を加圧・加熱する放電プラズマ焼結装置2の要部を示す概略図である。放電プラズマ焼結装置2は、積層体の接合および粉体の焼結等に用いられるものであり、積層体や粉体等の被加工物を圧縮するとともに、当該被加工物にパルス電圧を印可して加熱するものである。
【0041】
図3に示すように、セラミックス12の粉体、中間層14を構成する混合粉体、第1の金属18の粉体を順次成形型30に投入し積層体10を形成する。成形型30への装填工程において、上記の各粉体を装填する毎に予備加圧を行ってもよい。予備加圧を行った場合、境界が明確な接合体を得ることができ、一方、予備加圧を行わないで各成分を投入し、その後振動を加えることにより境界が不明瞭で連続的な接合体を得ることができる。
【0042】
次に、上下一対のパンチ(押圧子)32、34により加圧し、加圧下で放電プラズマ焼結を行なう。
【0043】
成形型30およびパンチ32、34は導電性のカーボンで形成されており、後述の焼結用電源により発生したパルス電流が、成形型30およびパンチ32、34を介して積層体10に流れるよう構成されている。
【0044】
また、パンチ32、34と成形型30の内周との間には、クッション材として導電性を有するカーボンペーパー36が介在している。これによりパンチ32、34は、成形型30の内周に食いつくことなく円滑に摺動することができる。また、第1の金属18は、成形型30あるいはパンチ32のカーボンと反応する場合があるため、カーボンペーパー36を介在させることにより、第1の金属18が内壁面に固着するのを防止することができる。
【0045】
焼結時の圧力は100〜2000kgf/cm2 程度が好ましく、200〜700kgf/cm2 程度がより好ましい。焼結時の圧力が低過ぎると接合体1の緻密性が不十分となるおそれがあり、一方、圧力が高すぎると成形型30の耐圧性が問題となる。
【0046】
この放電プラズマ焼結法は、成形型30に直接通電することによりプラズマを発生させ焼結を行なう。
【0047】
図4に、放電プラズマ焼結装置2の全体構成を示す。成形型30およびパンチ32、34は真空ポンプ26を備えた真空チャンバー25内に収容されている。空気中では、酸素、窒素、水等が金属やセラミックス材料に悪影響を及ぼす可能性があるため、焼結に先立ち、予め真空チャンバー25内を減圧し焼結時も減圧下で行なうのが好ましい。また、同様の理由から不活性ガス中で行うことも可能である。
【0048】
放電プラズマ焼結装置2の制御部20は、パルス電圧を発生させる焼結用電源22、積層体10を加圧する加圧駆動機構24、真空チャンバー25内の脱気を行なう真空ポンプ26を駆動制御するものである。
【0049】
制御部20は、成形型30に設けられた熱電対(図示せず)により検出される積層体10の温度が、予め設定された昇温曲線に一致するように焼結用電源22を制御する。なお、パンチ32、34は、加圧駆動機構24により昇降駆動される上下一対の加圧ラム42、44に各々固定されており、加圧ラム42、44内に設けられた給電端子(図示せず)により焼結用電源22と接続されている。
【0050】
このように構成された放電プラズマ焼結装置によって、積層体10を所定の押圧力で加圧するととともに、パルス電圧を印可する。積層体10を100〜2000kgf/cm2 の押圧力で加圧することにより、図1(b)に示す積層体10の未接合の境界が密着し、積層体10に通電することが可能になる。
【0051】
図5に、積層体10に印可されるパルス電圧の一例を示す。
パルス電圧は直流電圧のオン/オフパターンからなるパルスであり、1回のオン/オフが1パルスtを構成する。なお、1回のオン/オフにおいて、オン状態の持続時間t1 とオフ状態の持続時間t0 との比は、1:1〜12:1であることが好ましく、例えば、6:1であることが好ましい。このようなパルス電圧の印可により、積層体10自身のジュール熱によって急速に加熱される。
【0052】
図6に、積層体10の昇温曲線の一例を示す。
積層体10のピーク温度T(保持温度または焼結温度)は、セラミックス材料としてハイドロキシアパタイトを用いる場合、800〜1100℃とされる。焼結温度が低過ぎると十分な接合強度を得ることができない場合があり、焼結温度が高過ぎるとセラミックスにクラックが生じるおそれがある。さらに、焼結温度をこの範囲とすることにより、セラミックス材料の分解を防止しつつ、十分に緻密な焼結が可能となる。
【0053】
また、上記と同様の理由により、焼結温度での保持時間は5〜15分程度が好ましい。
【0054】
放電プラズマ焼結は、パルス電圧を印可することにより行なうことが好ましい。これにより、積層体10の未接合の境界(例えば、セラミックス12の粉体と第1中間層15との境界、第1中間層15と第2中間層16との境界、および第2中間層16と第1の金属18の粉体との境界)において放電現象や電界拡散効果が生じて、セラミックス12、中間層成分、第1の金属18の各粉体の表面の溶融と拡散が促進される。この粒子表面の溶融および拡散の促進によって、上記の境界部分での固相拡散が促進される。
【0055】
さらに、第1中間層15と第2中間層16には、展延性に優れる第2の金属が含まれているため、互いに固相拡散し易く、また、第1中間層15とセラミックス12の層、第1の金属18の層と第2中間層16との接合も、第2の金属の存在によってより接合力の向上を図ることができる。
【0056】
ピーク温度T(焼結温度)で所定時間保持した後、徐冷し、成形型30から焼結体を取り出して、本発明の接合方法により製造された接合体を得ることができる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の接合方法は、積層体10を加圧しつつパルス電圧を印可することによって積層体10をジュール熱により急速に加熱するとともに、積層体10において未接合の構成材料間の境界における放電現象および電界拡散効果を利用して第1の金属および第2の金属表面の溶融を促進し、これにより、当該境界における固相拡散を促進することによって、短時間かつ低温での接合を可能にするものである。
【0058】
また、各中間層15および16に含まれる第2の金属が展延性に優れるものであるため、第1の金属とセラミックスとの熱膨張率の差に起因する応力が吸収される。そのため、応力によって生じるセラミックスのクラックの発生を防止することができる。
【0059】
以上、本発明のセラミックスと金属との接合方法を図示の各実施例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば、第1の金属18の粉体、セラミックの粉体12は、各々予め任意の方法で加圧形成した圧粉体として用いてもよい。
【0060】
【実施例】
次に、本発明のセラミックスと金属との接合方法の具体的実施例について説明する。
【0061】
1.接合体の作製
(実施例1)
【0062】
セラミックス(HAp)粉体、第1の金属(Ti)の粉体の平均粒径、重量および中間層の構成、各成分の重量を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
まず、図7に示すようにSPS装置用の成形型30(カーボン製)に、表1に示すTi粉体180を充填した。続いて、乳鉢を用いて混合した大気炉で700℃焼成した球状HAp粉体、Au粉体、Ti粉体からなる中間層140を構成する混合粉体を充填し、さらに大気炉で700℃焼成した球状Ap粉体120を充填した。
【0065】
次に、住友石炭鉱業(株)製SPS−510L放電プラズマ焼結装置を用い、真空中にて上下から300kgf/cm2 の加圧を行い、パルス電圧(パルス条件−12:2)を印可して圧縮通電系を加熱し、950℃、5分間保持して焼結、加熱一体化し接合体を作製した。
焼結条件(焼結温度、焼成時間、加圧力)について表10に示す。
【0066】
【表10】
【0067】
(実施例2)
まず、図8に示すようにSPS装置用の成形型30(カーボン製)に、表2に示すTi粉体180を充填した。続いて、乳鉢を用いて混合した大気炉で700℃焼成した球状HAp粉体0.4g、Au粉体0.6g、Ti粉体1.0gからなる第2中間層16を構成する混合粉体と、大気炉で700℃焼成した球状HAp粉体1.0g、Au粉体0.6g、Ti粉体0.4gからなる第1中間層15を構成する混合粉体とを充填し、さらに大気炉で700℃焼成した球状HAp粉体120を充填した。
【0068】
次に、住友石炭鉱業(株)製SPS−510L放電プラズマ焼結装置を用い、上記実施例1と同様にして焼結、加熱一体化し接合体を作製した。
焼結条件(焼結温度、焼成時間、加圧力)について表10に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
(実施例3)
まず、図8に示すようにSPS装置用の成形型30(カーボン製)に、表3に示すTi粉体180を充填した。続いて、乳鉢を用いて混合した大気炉で700℃焼成した球状HAp粉体0.4g、Ag粉体0.6g、Ti粉体1.0gからなる第2中間層16を構成する混合粉体と、大気炉で700℃焼成した球状HAp粉体1.0g、Ag粉体0.6g、Ti粉体0.4gからなる第1中間層15を構成する混合粉体を充填し、さらに大気炉で700℃焼成した球状HAp粉体120を充填した。
【0071】
次に、住友石炭鉱業(株)製SPS−510L放電プラズマ焼結装置を用い、上記実施例1と同様にして焼結、加熱一体化し接合体を作製した。
焼結条件(焼結温度、焼成時間、加圧力)について表10に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
(実施例4)
焼結温度を800℃とした以外は実施例2と同様にして、Ti粉体180、第1の中間層16、第2の中間層15、HAp粉体120を焼結、加熱一体化し接合体を作製した。
焼結条件(焼結温度、焼成時間、加圧力)について表10に示す。
【0074】
(実施例5)
焼結温度を1100℃とした以外は実施例2と同様にして、Ti粉体180、第2中間層16、第1中間層15、HAp粉体120を焼結、加熱一体化し接合体を作製した。
焼結条件(焼結温度、焼成時間、加圧力)について表10に示す。
【0075】
(実施例6)
焼結時間を30分とした以外は実施例2と同様にして、Ti粉体180、第2中間層16、第1中間層15、HAp粉体120を焼結、加熱一体化し接合体を作製した。
焼結条件(焼結温度、焼成時間、加圧力)について表10に示す。
【0076】
(実施例7)
焼結時の加圧力を500[kgf/cm2] とした以外は実施例2と同様にして、Ti粉体180、第2中間層16、第1中間層15、HAp粉体120を焼結、加熱一体化し接合体を作製した。
焼結条件(焼結温度、焼成時間、加圧力)について表10に示す。
【0077】
(実施例8)
表4に示すように平均粒径22μmのTi粉体の代わりに、150mesh以下のTi粉体を使用した以外は実施例2と同様にしてTi粉体180、第2中間層16、第1中間層15、HAp粉体120を焼結、加熱一体化し接合体を作製した。
焼結条件(焼結温度、焼成時間、加圧力)について表10に示す。
【0078】
【表4】
【0079】
(実施例9)
表5に示すように平均粒径40μm球形のHAp粉体の代わりに大気炉で950℃焼成した平均粒径4μmの破砕状HAp粉体を用いた以外は実施例2と同様にしてTi粉体180、第2中間層16、第1中間層15、HAp粉体120を焼結、加熱一体化し接合体を作製した。
焼結条件(焼結温度、焼成時間、加圧力)について表10に示す。
【0080】
【表5】
【0081】
(実施例10)
表6に示すように各中間層の混合粉体の組成を変化させた以外は、実施例2と同様にしてTi粉体180、第2中間層16、第1中間層15、HAp粉体120を焼結、加熱一体化し接合体を作製した。
焼結条件(焼結温度、焼成時間、加圧力)について表10に示す。
【0082】
【表6】
【0083】
(比較例1)
中間層を設けないこととした以外は実施例1と同様にして表7に示すTi粉体180とHAp粉体120を焼結、加熱一体化し接合体を作製した。
焼結条件(焼結温度、焼成時間、加圧力)について表10に示す。
【0084】
【表7】
【0085】
(比較例2)
まず、図9に示すように、SPS装置用の成形型30(カーボン製)に表8に示すTi粉体180を充填した。
【0086】
さらに、第2の金属を包含しない中間層を構成する混合粉体を充填した。すなわち、乳鉢を用いて混合した大気炉で700℃焼成した球状HAp粉体0.25g、Ti粉体0.75gからなる第2中間層16を構成する混合粉体と、乳鉢を用いて混合した大気炉で700℃焼成した球状HAp粉体0.5g、Ti粉体0.5gからなる第3中間層17を構成する混合粉体と、大気炉で700℃焼成した球状HAp粉体0.75g、Ti粉体0.25gからなる第1中間層15を構成する混合粉体とを充填し、さらに大気炉で700℃焼成した球状HAp粉体120を充填した。
【0087】
次に、住友石炭鉱業(株)製SPS−510L放電プラズマ焼結装置を用い、真空中にて上下から300kgf/cm2 の加圧を行い、パルス電圧(パルス条件−12:2)を印可して圧縮通電系を加熱、950℃、5分間保持して焼結、加熱一体化し接合体を作製した。
【0088】
【表8】
【0089】
(比較例3)
焼結温度を700℃とした以外は実施例2と同様にして、Ti粉体180、第2中間層16、第1中間層15、HAp粉体120を焼結、加熱一体化し接合体を作製した。
焼結条件(焼結温度、焼成時間、加圧力)について表10に示す。
【0090】
【表9】
【0091】
(比較例4)
焼結温度を1200℃とした以外は実施例2と同様にして、表9に示すTi粉体180、第2中間層16、第1中間層15、HAp粉体120を焼結、加熱一体化し接合体を作製した。
焼結条件(焼結温度、焼成時間、加圧力)について表10に示す。
【0092】
2.接合体の接合力の評価
実施例1〜10および比較例1〜4で作製した接合体について3点曲げ強度を測定した。
【0093】
なお、強度は、スパン1.7cmの3点曲げ試験を行い、その測定値から以下の計算式(I)により算出した。
【0094】
強度(σf )[kgf/cm2] =(8×P×L)/(π×d3 )・・・(I)
【0095】
P・・・破壊荷重[kgf ]
L・・・スパン[cm]
d・・・供試体(接合体)直径[cm]
結果を表10に示す。
【0096】
以上の結果から、実施例1〜10で得られた接合体は、図2に示すようにセラミックス12、第1中間層15、第2中間層16および第1の金属18の各層はいずれも全体として一体化して焼結形成されたものであった。また、緻密性に優れクラック等が生じない強固なものであった。
【0097】
さらに圧力が同じであれば、焼結温度が高くなると原料粉末の粒成長が進行し緻密な接合体が得られ、一方、焼結温度を低くすると比較的空孔率の高い接合体が得られ、焼結温度を制御することにより接合体の接合力の加減が可能であることがわかった。
【0098】
比較例1では中間層を介在させないものであるため、焼結過程において、応力によって無数のクラックが発生して崩壊し、接合体を得ることができなかった。
【0099】
また、比較例2の第2の金属を含まない中間層を設けたものは、HApとTiが接合せずHApにクラックが入り崩壊した。
【0100】
比較例3は焼結温度が低過ぎたため十分な接合強度が得られず、比較例4は焼結温度が高過ぎるためHApとTiは接合したが、HApにクラックが入り崩壊した。
【0101】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のセラミックスと金属との接合方法によれば、セラミックスが高密度に焼結された場合であっても、加熱・冷却時等における応力によりクラックが発生することがなく、優れた接合力を維持することができる。また、短時間で製造できるため高効率で、信頼性の高い接合体を製造することができる。
【0102】
また、本発明の方法により得られた接合体は緻密に成形され、強度に優れるため、従来、二物質を接着していた部品の代替や、強度と靱性を併せ持つ生体材料等への応用等、多様な用途を広く展開することができる。さらに、焼結温度を制御することにより、接合力および空孔率の比較的高い接合体を作製することが可能であり、このような接合体は生体材料として広い用途が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミックスと金属との接合方法の実施例を示す図である。
【図2】図1に示す接合方法により得られた接合体の接合面を模式的に示す図である。
【図3】放電プラズマ焼結装置の要部を示す概略図である。
【図4】図3の放電プラズマ焼結装置の全体図を示す概略図である。
【図5】積層体に印加されるパルス電圧の一例を示す概略図である。
【図6】本発明の接合方法における昇温曲線の一例を示す概略図である。
【図7】本発明の接合方法の実施例において使用された原料混合粉体の断面図である。
【図8】本発明の接合方法の実施例において使用された原料混合粉体の断面図である。
【図9】本発明の接合方法の比較例において使用された原料混合粉体の断面図である。
【符号の説明】
1 接合体
2 放電プラズマ焼結装置
10 積層体
12 セラミックス
120 ハイドロキシアパタイト粉体
14 中間層
140 中間層
15 第1中間層
16 第2中間層
17 第3の中間層
18 第1の金属
180 Ti粉体
20 制御部
22 焼結用電源
24 加圧駆動機構
25 真空チャンバー
30 成形型
32 パンチ(押圧子)
34 パンチ(押圧子)
36 カーボンペーパー
42 加圧ラム
44 加圧ラム
Claims (3)
- ハイドロキシアパタイト粉体と第1の金属粉体とを少なくとも1層の中間層を介在させて焼結しこれらを接合する接合方法において、
前記焼結は、放電プラズマ焼結法により、800〜1100℃の温度で行われるものであり、
前記中間層は、ハイドロキシアパタイトおよび前記第1の金属の双方と、前記第1の金属以外の第2の金属とを含有する混合粉体で構成されており、
前記第1の金属は、TiまたはTi系合金であり、
前記第2の金属は、前記第1の金属より展延性に優れた貴金属または貴金属基合金であることを特徴とするセラミックスと金属との接合方法。 - 前記貴金属はAuおよびAgのうち少なくとも一方を含む請求項1に記載のセラミックスと金属との接合方法。
- 前記中間層中の前記第2の金属の含有量は5〜90質量%である請求項2に記載のセラミックスと金属との接合方法。
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