JP2000095577A - ハイドロキシアパタイト−金属複合体の製造方法およびハイドロキシアパタイト−金属複合体 - Google Patents

ハイドロキシアパタイト−金属複合体の製造方法およびハイドロキシアパタイト−金属複合体

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JP2000095577A
JP2000095577A JP10287275A JP28727598A JP2000095577A JP 2000095577 A JP2000095577 A JP 2000095577A JP 10287275 A JP10287275 A JP 10287275A JP 28727598 A JP28727598 A JP 28727598A JP 2000095577 A JP2000095577 A JP 2000095577A
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hydroxyapatite
sintering
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producing
composite
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Tsuneo Hiraide
恒男 平出
Yukio Kubota
幸雄 久保田
Shotaro Miyake
正太郎 三宅
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Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】生体親和性に優れるとともに十分な機械的強度
および水中における安全性および安定性を備えるハイド
ロキシアパタイト−金属複合体の製造方法、およびかか
る製造方法により製造されるハイドロキシアパタイト−
金属複合体を提供する。 【解決手段】ハイドロキシアパタイトと金属材料とを放
電プラズマ焼結法により複合化してなるハイドロキシア
パタイト−金属複合体の製造方法において、ハイドロキ
シアパタイトを予め仮焼結する。該仮焼結は700〜1
300℃の温度で行われることが好ましく、焼結温度6
00℃以下で放電プラズマ焼結を行うことがより好まし
い。金属材料はチタンまたはチタン系合金が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明はハイドロキシアパタ
イト−金属複合体の製造方法、とくに強度および生体適
合性、安全性に優れたハイドロキシアパタイト−金属複
合体の製造方法およびその製造方法により製造されるハ
イドロキシアパタイト−金属複合体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ハイドロキシアパタイトは、骨の無機成
分の構造に似ているため優れた生体適合性を有し、人工
歯根や骨充填材、歯科用セメント等の生体材料として応
用されている。ところが、ハイドロキシアパタイトは機
械的強度、靱性等が十分ではなく、ハイドロキシアパタ
イト単独での使用には限界があった。
【0003】そこで、機械的強度、靱性等を十分に兼ね
備える生体材料を得るために、例えば強靱で成形性に優
れる金属材料とハイドロキシアパタイトとを焼結法によ
り複合化する方法等が提案されている。
【0004】例えば、放電プラズマ焼結法においては、
通常、型材料および被焼結材料の酸化・変質等を抑制す
るために、真空下または不活性ガス雰囲気下で焼結が行
なわれる。
【0005】しかし、金属材料とハイドロキシアパタイ
トとを真空下または不活性ガス雰囲気下で同時に焼結す
ると、金属材料とハイドロキシアパタイトとの間で酸化
還元反応が生じ、金属材料がハイドロキシアパタイト中
の酸素と結合して酸化される一方、ハイドロキシアパタ
イト中の酸素原子が金属材料に奪われる現象が生じる場
合がある。酸素原子を奪われたハイドロキシアパタイト
は、その組成および結晶構造等が変化し、崩壊し易く不
安定な物質となり、金属材料との良好な複合体を形成す
ることが困難になるという問題があった。
【0006】また、崩壊または分解したハイドロキシア
パタイトを含む複合体を水中に浸漬すると、酸化カルシ
ウム等のハイドロキシアパタイトの分解物が溶出し、浸
漬液のpH値が上昇するという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、生体
親和性に優れるとともに十分な機械的強度および水中に
おける安全性および安定性を備えるハイドロキシアパタ
イト−金属複合体の製造方法およびかかる製造方法によ
り製造されるハイドロキシアパタイト−金属複合体を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(13)の本発明により達成される。
【0009】(1) ハイドロキシアパタイトと金属材
料とを放電プラズマ焼結法により複合化してなるハイド
ロキシアパタイト−金属複合体の製造方法において、前
記ハイドロキシアパタイトを予め仮焼結することを特徴
とするハイドロキシアパタイト−金属複合体の製造方
法。
【0010】(2) 前記仮焼結は700〜1300℃
の温度で行われる上記(1)に記載のハイドロキシアパ
タイト−金属複合体の製造方法。
【0011】(3) 前記放電プラズマ焼結は前記仮焼
結の温度以下で行われる上記(1)または(2)に記載
のハイドロキシアパタイト−金属複合体の製造方法。
【0012】(4) 700〜1300℃の温度で仮焼
結した前記ハイドロキシアパタイトを用い、焼結温度6
00℃以下で放電プラズマ焼結を行う上記(1)ないし
(3)のいずれかに記載のハイドロキシアパタイト−金
属複合体の製造方法。
【0013】(5) 700〜1000℃(1000℃
を除く)の温度で仮焼結した前記ハイドロキシアパタイ
トを用い、焼結温度550℃以下で放電プラズマ焼結を
行う上記(4)に記載のハイドロキシアパタイト−金属
複合体の製造方法。
【0014】(6) 前記仮焼結を常圧付近の雰囲気下
で行う上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のハイ
ドロキシアパタイト−金属複合体の製造方法。
【0015】(7) 前記仮焼結を酸素存在雰囲気下で
行う上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のハイド
ロキシアパタイト−金属複合体の製造方法。
【0016】(8) 前記ハイドロキシアパタイトと前
記金属材料とを含む混合材料からなる上記(1)ないし
(7)のいずれかに記載のハイドロキシアパタイト−金
属複合体の製造方法。
【0017】(9) 前記混合材料は前記ハイドロキシ
アパタイトと前記金属材料との重量比が1/20〜1/
1である上記(8)に記載のハイドロキシアパタイト−
金属複合体の製造方法。
【0018】(10) 前記金属材料がチタンまたはチ
タン系合金である上記(1)ないし(9)のいずれかに
記載のハイドロキシアパタイト−金属複合体の製造方
法。
【0019】(11) 前記放電プラズマ焼結後加圧状
態を解除して放冷する上記(1)ないし(10)のいず
れかに記載のハイドロキシアパタイト−金属複合体の製
造方法。
【0020】(12) 上記(1)ないし(11)のい
ずれかに記載の方法で製造されたことを特徴とするハイ
ドロキシアパタイト−金属複合体。
【0021】(13) 生体材料として用いられる上記
(12)に記載のハイドロキシアパタイト−金属複合
体。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明のハイドロキシアパ
タイト−金属複合体の製造方法およびその方法により製
造されるハイドロキシアパタイト−金属複合体について
詳細に説明する。
【0023】本発明のハイドロキシアパタイト−金属複
合体(以下、「複合体」という)の製造方法は、ハイド
ロキシアパタイトと金属材料とを放電プラズマ焼結法に
より複合化するものであって、前記ハイドロキシアパタ
イトを予め仮焼結することを特徴とする。
【0024】このような仮焼結を行うことにより、ハイ
ドロキシアパタイトの結晶化度が大きくなり活性が低下
するため、放電プラズマ焼結の際、金属材料との反応に
よるハイドロキシアパタイトの還元的分解を抑制するこ
とができる。
【0025】ハイドロキシアパタイトの仮焼結は、70
0〜1300℃の温度で行なわれることが好ましい。仮
焼結温度が700℃未満であると、ハイドロキシアパタ
イトの活性を十分に低下させることができず、焼結時に
おいて金属との反応を抑制できない場合があり、一方、
1300℃を超えるとハイドロキシアパタイトが熱的に
分解したり、粒成長が過剰に進行し金属材料との複合体
を良好に形成することが困難になる等のおそれがある。
【0026】上記の効果を得る目的で行なわれるハイド
ロキシアパタイトの仮焼結は、仮焼結中の圧力について
は特に限定されないが、常圧付近で行なうことが好まし
い。また、焼結雰囲気については、例えば空気中等、酸
素存在雰囲気下で行なうことが好ましく、例えば大気炉
を用いて仮焼結を行なうことができる。
【0027】本発明の複合体の製造方法に用いられるハ
イドロキシアパタイトは、粉体状であってもブロック体
であってもよいが、粉体の場合、その平均粒径は1〜5
00μm程度であることが好ましく、10〜400μm
程度がより好ましい。
【0028】また、本発明の製造方法により製造される
ハイドロキアパタイト−金属複合体は、その形状、構造
等について特に限定されず、いかなるものであってもよ
い。例えばハイドロキシアパタイトを主とする層と、金
属材料を主とする層とが積層してなる複合体や、ハイド
ロキシアパタイトと金属材料とを含む混合材料からなる
複合体等が挙げられる。
【0029】ハイドロキシアパタイトと金属材料とを含
む混合材料を用いる場合、混合材料中のハイドロキシア
パタイトと金属材料との重量比が1/20〜1/1であ
ることが好ましい。
【0030】上記重量比が1/20より小さい場合、ハ
イドロキシアパタイトの割合が小さく、複合体の生体親
和性が損なわれるおそれがあり、バイオセラミックスと
しての特徴が発現されにくくなる場合がある。一方、1
/1よりも大きいと金属材料の割合が小さく機械的強度
の向上等が十分に達成されない場合がある。
【0031】すなわち、ハイドロキシアパタイトと金属
材料との重量比をこの範囲とすることにより、ハイドロ
キシアパタイトの生体親和性と金属材料のもつ高強度と
いう両者の望ましい特性と機能を顕著に発現する複合体
を得ることができる。
【0032】金属材料としては特に限定されないが、生
体為害性の小さい金属を用いることが好ましく、たとえ
ば、Ti、Cr、Fe、Co、Cu、Mo、Ag、A
u、Ni、Pd、Pt、Al、Nd、Sn、Zr等が挙
げられ、これらを1種または2種以上を組合わせて用い
ることができるが、なかでもTi(チタン)またはチタ
ン系合金がより好ましい。チタンは耐食性に優れ、また
生体為害性が極めて小さく、水中や体液中で金属イオン
が溶出することが殆どないため、生体材料として特に優
れている。
【0033】なお、ここでいう「チタン系合金」とは、
チタンを主とする合金を意味する。該チタン系合金を構
成するチタン以外の金属元素としては特に限定されない
が、耐食性に優れ生体に安全であるものが好ましく、例
えば、上記のような金属元素が挙げられ、これらを1種
または2種以上を組合わせて用いることができる。チタ
ン系合金中のチタン以外の金属元素の含有量は、5〜2
0wt%程度であることが好ましい。
【0034】金属材料は粉体状であってもブロック体で
あってもよく、粉体の場合、その平均粒径は20〜20
0μm程度であることが好ましい。
【0035】混合材料は、仮焼結を行ったハイドロキシ
アパタイトと金属材料とを乳鉢等を用いて混合し、調製
することができる。その他、使用し得る混合機として
は、例えばボールミル、ロッドミル、ダブルコートブレ
ンダ、V型混合機等が挙げられる。
【0036】なお、混合材料はハイドロキシアパタイト
と金属材料とが均一に混合・分散されたものであっても
よく、混合比が連続的または段階的に変化する傾斜材料
としてもよい。
【0037】以上のように、仮焼結されたハイドロキシ
アパタイトは、金属材料とともに放電プラズマ焼結法に
より焼結され、複合化される。
【0038】放電プラズマ焼結法は、圧粉体粒子間隙に
直接パルス状の電気エネルギーを投入し、火花放電によ
り瞬時に発生する高温プラズマの高エネルギーを熱拡散
・電解拡散等へ効果的に応用することで、昇温・保持時
間を含め5〜20分程度で焼結・複合化を可能とする。
【0039】このような放電プラズマ焼結法によれば、
例えば、ハイドロキシアパタイトと金属材料のように、
焼結温度および強度が大きく相違し、これまで複合化が
困難とされていた複合体を短時間でかつ高品位に製造す
ることができる。
【0040】また、通常困難とされる多孔質焼結を容易
に行うことができ、生体材料として適した複合体を製造
することができる。
【0041】図1は、本発明の製造方法に用いられる放
電プラズマ焼結装置の主要部を示す縦断面図である。
【0042】成形ダイ1は材料装入部11を有する筒形
状であって、両端に摺動可能に嵌合される1対の成形パ
ンチ2が配置されている。
【0043】成形ダイ1および成形パンチ2の構成材料
としては、例えば超硬金属、超硬合金、炭素系材料(黒
鉛、ガラス状カーボン等)等の導電性材料が用いられ
る。このような成形ダイ1に図1に示すように、ハイド
ロキシアパタイトと金属材料とを含む混合材料4が充填
される。
【0044】成形ダイ1の内周面および成形パンチ2の
押圧面はいずれもカーボンシート5で被覆されている。
これにより成形パンチ2を成形ダイ1の内周に食いつく
ことなく円滑に摺動させることができる。また、混合材
料4中の成分が成形ダイ1あるいは成形パンチ2に含ま
れるカーボンと反応する場合があるため、カーボンシー
ト5を介在させることにより、前記成分が内壁面に固着
すること等を防止することができる。
【0045】図2は、本発明の製造方法に用いられる放
電プラズマ焼結装置の主要部の他の一例を示す縦断面図
である。
【0046】この場合、成形ダイ1の材料装入部11に
ハイドロキシアパタイト4aとチタンまたはチタン系合
金からなる金属材料4bとが同心円状に充填されてい
る。また、ハイドロキシアパタイト4a、金属材料4b
を成形パンチ2a、2bにより個々に押圧するよう構成
されている。
【0047】このようにハイドロキシアパタイト4aと
金属材料4bとが同心円状になるよう充填し焼結する場
合、加圧方向と直交する方向(径方向)における温度お
よび圧力分布に関し均等にすることができ、強度に優れ
た複合体を作製することが可能となる。
【0048】放電プラズマ焼結は、成形ダイ1に所定量
の上記混合材料4を装入して成形パンチ2で挟み、図3
に示すような放電プラズマ焼結装置70にセットして行
う。
【0049】放電プラズマ焼結装置70は、真空チャン
バー76と、上下一対の加圧ラム74、75と、パルス
電圧を発生させる焼結用電源72と、加圧ラム74、7
5を昇降駆動する油圧式の加圧駆動機構73と、これら
を制御する制御部71とを有している。
【0050】上述した混合材料4を装入した成形ダイ1
は、真空チャンバー76内の加圧ラム74、75間にセ
ットされる。
【0051】真空チャンバー76内は、真空ポンプ77
により脱気され、真空状態(減圧状態)とされる。放電
プラズマ焼結は、空気中の酸素、窒素、水等が混合材料
4に含まれる反応性の高い成分等と反応し、複合体に好
ましくない影響を及ぼすおそれがあるため、予め真空チ
ャンバー76内を真空状態(減圧状態)または不活性ガ
ス雰囲気で焼結を行うことが好ましい。
【0052】制御部71は、成形ダイ1に設置された図
示しない温度センサー(熱電対)により検出される材料
温度が予め設定された昇温曲線に一致するように焼結用
電源72の出力を制御する。また、制御部71は、加圧
駆動機構73および真空ポンプ77の駆動を制御する。
【0053】上下一対の成形パンチ2は、各々加圧ラム
74および75に固定されており、加圧ラム74、75
内に設けられた給電端子(図示せず)により焼結用電源
72と電気的に接続されている。
【0054】加圧駆動機構73の作動により、加圧ラム
74、75を互いに接近する方向に移動し、これらに固
定された成形パンチ2で混合材料4を圧縮する。
【0055】圧縮時の加圧力は特に限定されないが、1
00〜600kgf/cm2 程度が好ましく、200〜500
kgf/cm2 程度がより好ましい。加圧力が小さ過ぎると、
焼結体の緻密性および強度が不十分となるおそれがあ
る。また焼結時間が長くなる等、製造効率が低下する。
一方、加圧力が大きすぎると成形ダイ1の耐圧性等が問
題となる。
【0056】混合材料4を圧縮し、成形パンチ2を通し
てパルス電圧を印可しパルス電流を通電して焼結を行
う。
【0057】印加するパルス電圧の条件は特に限定され
ず、例えば、パルス比(非通電時間:通電時間)が1:
1〜12:1程度、電圧1〜10V程度とすることがで
きる。
【0058】放電プラズマ焼結における焼結温度は、金
属材料の種類および存在量等により適宜設定されるが、
ハイドロキシアパタイトの仮焼結の温度以下で行われる
ことが好ましい。焼結温度が仮焼結温度を超えると、ハ
イドロキシアパタイトと金属材料との間で酸化還元反応
が起こり、ハイドロキシアパタイトは金属材料により分
子中の酸素を奪われて還元分解してしまうおそれがあ
る。この結果、複合体中に酸化カルシウムやホスフィン
等のハイドロキシアパタイトの分解生成物が含まれ、こ
のような複合体が水や体液等に接触すると、人体に有害
なこれらの分解生成物が水や体液等に溶出したり、pH
値が大きく上昇する等の問題がある。
【0059】放電プラズマ焼結における焼結温度は、ハ
イドロキシアパタイトの仮焼結を700〜1300℃で
行なった場合、600℃以下とすることが好ましく、仮
焼結温度が700〜1000℃(1000℃を除く)で
ある場合には、550℃以下とすることがさらに好まし
い。
【0060】このように仮焼結温度と放電プラズマ焼結
における焼結温度とをこのような関係とすることによ
り、上記の問題、すなわちハイドロキシアパタイトの分
解およびハイドロキシアパタイトの分解物による水や体
液等のpH値の上昇を防止することができる。
【0061】さらに、本発明の製造方法によれば、ハイ
ドロキシアパタイト−金属複合体を600℃以下の低温
焼結により製造することができるため、焼結過程で生じ
るハイドロキシアパタイトの熱的分解を効果的に抑制す
ることができる。
【0062】上述した焼結温度での保持時間は、2〜3
0分程度が好ましく、5〜15分程度がより好ましい。
この範囲の焼結時間とすることにより、焼結材料の過焼
結等を防止し、強度に優れた複合体とすることができ
る。
【0063】焼結温度で所定時間保持した後、除冷し、
成形ダイ1から焼結体(複合体)を取出す。
【0064】除冷の際、加圧状態を解除して焼結体を放
冷することが好ましい。加圧状態を維持しながら成形パ
ンチ等を介して焼結体を水冷する通常の方法では、ハイ
ドロキシアパタイトと金属材料との組み合わせのよう
に、熱膨張係数の差が大きい材料からなる複合体におい
ては、熱応力によるクラックや欠けが発生するおそれが
ある。したがって、本発明では加圧状態を解除して放冷
することが好ましい。
【0065】以上のようにして製造された本発明のハイ
ドロキシアパタイト−金属複合体は生体材料として用い
られることが好ましい。
【0066】本発明の複合体は、生体親和性に優れたハ
イドロキシアパタイトと、強度、靱性および加工性に優
れる金属材料とを複合化させたものであって、両者の優
れた特性が発現される。
【0067】とくに金属材料として生体為害性の極めて
小さいチタンまたはチタン系合金を用いた複合体は、生
体適合性とともに衝撃強度、靱性を十分に備え、また体
液中においても安定で有害物質が溶出せず、生体内で安
全に機能させることができる。
【0068】本発明の複合体が適用され得る生体材料と
しては、例えば、人工骨、人工歯根、人工関節、骨補填
材等が挙げられる。
【0069】以上、本発明のハイドロキシアパタイト−
金属複合体の製造方法およびその方法により製造された
ハイドロキシアパタイト−金属複合体について図を用い
て説明したが、本発明はこれに限定されるものではな
く、複合体には他の成分、例えばハイドロキシアパタイ
ト以外のセラミックス材料等が含まれていてもよい。
【0070】
【実施例】次に、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0071】1.ハイドロキシアパタイト−金属複合体
の作製 (実施例1)
【0072】大気炉を用いて1200℃で仮焼結した球
状ハイドロキシアパタイト粉体(平均粒径:80μm)
0.7gと、金属材料としてチタン粉体(平均粒径:2
5μm)2.8gとを混合し、混合材料4(HAp/T
i比=1/4)を調製した。
【0073】この混合材料4を、図1に示すように成形
ダイ1に装入し、その上下に一対の導電性カーボンから
なる成形パンチ2で挟むように配設した。なお、成形ダ
イ1の内周面および成形パンチ2の押圧面はカーボンシ
ート5で被覆した。
【0074】次に、成形ダイ1および成形パンチ2を図
3に示すような放電プラズマ焼結装置(住友石炭鉱業
(株)製SPS−510L)にセットし、真空中にて上
下から350kgf/cm2 で加圧し、パルス電圧(パルス条
件−12:2)を印可して圧縮通電系を加熱し、焼結温
度550℃、保持時間10分で焼結した。
【0075】その後、加圧状態を解除し焼結体を室温下
で放冷した。混合材料の組成、各材料の粒径、焼結条件
等を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】(実施例2)ハイドロキシアパタイトの仮
焼結温度を1100℃とした以外は実施例1と同様にし
て複合体を作製した。
【0078】(実施例3)ハイドロキシアパタイトの仮
焼結温度を1000℃とし、チタンの平均粒径を変えた
以外は実施例1と同様にして複合体を作製した。
【0079】(実施例4)ハイドロキシアパタイトの仮
焼結温度を900℃とした以外は実施例1と同様にして
複合体を作製した。
【0080】(実施例5)放電プラズマ焼結の焼結温度
を600℃とした以外は実施例1と同様にして複合体を
作製した。
【0081】(実施例6)放電プラズマ焼結の焼結温度
を600℃とし、チタンの平均粒径を変えた以外は実施
例2と同様にして複合体を作製した。
【0082】(実施例7)仮焼結温度を1050℃と
し、チタンの平均粒径を変えた以外は実施例6と同様に
して複合体を作製した。
【0083】(実施例8)混合材料の組成を変え、仮焼
結の温度を1300℃とした以外は実施例5と同様にし
て複合体を作製した。
【0084】(実施例9)混合材料の組成を変え、仮焼
結の温度を700℃とした以外は実施例3と同様にして
複合体を作製した。
【0085】(実施例10)混合材料の組成、ハイドロ
キシアパタイトの粒径および焼結時の加圧力を変えた以
外は実施例1と同様にして複合体を作製した。
【0086】(実施例11)混合材料の組成、ハイドロ
キシアパタイト、チタン粉末の粒径および焼結温度を変
えた以外は実施例1と同様にして複合体を作製した。
【0087】(比較例1)仮焼結を行わないハイドロキ
シアパタイトを用いた以外、実施例1と同様にして複合
体を作製した。
【0088】(比較例2)仮焼結を行わないハイドロキ
シアパタイトを用い、チタン粉末の粒径、焼結温度を変
えた以外は実施例1と同様にして複合体を作製した。
【0089】(比較例3)仮焼結を行わないハイドロキ
シアパタイトを用い、混合材料の組成、ハイドロキシア
パタイトの粒径および焼結温度を変えた以外は実施例1
と同様にして複合体を作製した。
【0090】2.複合体の品質評価 実施例1〜11および比較例1〜3で作製した複合体を
成形用型から取出した後カーボンシートを除去し、さら
に複合体表面のカーボンシートとの接触面をグラインダ
ーで除去した。
【0091】この状態で、複合体重量の約20倍量の純
水中に室温下で3日間浸漬した後、浸漬液のpH値をペ
ーハーメーターで測定した。
【0092】また、複合体を浸漬後、この浸漬液を純水
で5倍に希釈し、該希釈液中に含まれるカルシウムの含
有量を測定した。測定は高周波プラズマ発光分析装置を
用いて行った。
【0093】さらに、3日間浸漬した後の複合体の状態
を目視で観察し、崩壊現象の有無を確認した。これらの
結果を表2に示す。
【0094】
【表2】
【0095】表2の結果から、実施例で作製された各複
合体はいずれもハイドロキシアパタイトとチタンとが均
質に複合化されており、かかる複合体を3日間純水に浸
漬しても浸漬液のpH値の上昇や複合体の崩壊現象はみ
られなかった。また、浸漬液中(5倍希釈液)からは、
カルシウムは殆ど検出されなかった。
【0096】一方、各比較例で作製された複合体は、ハ
イドロキシアパタイトの仮焼結を行わなかったため、放
電プラズマ焼結中にハイドロキシアパタイトとチタンと
が反応し、ハイドロキシアパタイトが分解した。このた
め、複合体を3日間純水に浸漬した場合、浸漬液中(希
釈液中)から高濃度のカルシウムが検出された。
【0097】また、酸化カルシウムやホスフィン等のハ
イドロキシアパタイトの分解生成物が浸漬液に溶出し、
浸漬液のpH値が著しく上昇した。さらに、分解生成物
の溶出によりアルカリ性化した浸漬液は、ハイドロキシ
アパタイトの分解をさらに加速させることとなり、複合
体は浸漬液中で崩壊してしまった。
【0098】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のハイドロキ
シアパタイト−金属複合体の製造方法によれば、簡易な
方法で異種材料同士が良好に複合化した複合体を製造す
ることができる。
【0099】さらに、ハイドロキシアパタイトを仮焼結
することにより、放電プラズマ焼結中のハイドロキシア
パタイトの分解を抑制することができる。このため、本
発明の方法で製造された複合体は、水中等で有害な分解
生成物を溶出したり複合体自身が崩壊することがなく、
水中における安全性および安定性に優れている。
【0100】また、本発明の複合体は、ハイドロキシア
パタイトと金属材料の両方の特性を備えており、生体親
和性を備え、かつ強度および靱性に優れるものである。
【0101】したがって、このような特性を活かし、例
えば頸椎や腰椎において椎間板を切除した場合に用いら
れる骨補填材、人工歯根、人工骨、人工関節等の生体材
料として広く応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放電プラズマ焼結装置の要部の状態を
示す縦断面図である。
【図2】本発明の放電プラズマ焼結装置の要部の他の状
態を示す縦断面図である。
【図3】本発明の放電プラズマ焼結装置の構成例を示す
概略図である。
【符号の説明】
1 成形ダイ 11 材料装入部 2 成形パンチ 2a、2b 成形パンチ 4 混合材料 4a ハイドロキシアパタイト材料 4b チタン材料 5 カーボンシート 70 放電プラズマ焼結装置 71 制御部 72 焼結用電源 73 加圧駆動機構 74、75 加圧ラム 76 真空チャンバー 77 真空ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三宅 正太郎 東京都板橋区前野町2丁目36番9号 旭光 学工業株式会社内 Fターム(参考) 4C081 AB03 AB04 AB05 AB06 BA13 BA15 BB08 CF031 CG02 CG03 DA01 DC03 EA04 EA15 4C089 AA06 BA03 BA16 BB01 BB07 CA04 CA05 CA10 4G030 AA08 AA41 BA20 BA32 GA08

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハイドロキシアパタイトと金属材料とを
    放電プラズマ焼結法により複合化してなるハイドロキシ
    アパタイト−金属複合体の製造方法において、 前記ハイドロキシアパタイトを予め仮焼結することを特
    徴とするハイドロキシアパタイト−金属複合体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記仮焼結は700〜1300℃の温度
    で行われる請求項1に記載のハイドロキシアパタイト−
    金属複合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記放電プラズマ焼結は前記仮焼結の温
    度以下で行われる請求項1または2に記載のハイドロキ
    シアパタイト−金属複合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 700〜1300℃の温度で仮焼結した
    前記ハイドロキシアパタイトを用い、焼結温度600℃
    以下で放電プラズマ焼結を行う請求項1ないし3のいず
    れかに記載のハイドロキシアパタイト−金属複合体の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 700〜1000℃(1000℃を除
    く)の温度で仮焼結した前記ハイドロキシアパタイトを
    用い、焼結温度550℃以下で放電プラズマ焼結を行う
    請求項4に記載のハイドロキシアパタイト−金属複合体
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記仮焼結を常圧付近の雰囲気下で行う
    請求項1ないし5のいずれかに記載のハイドロキシアパ
    タイト−金属複合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記仮焼結を酸素存在雰囲気下で行う請
    求項1ないし6のいずれかに記載のハイドロキシアパタ
    イト−金属複合体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記ハイドロキシアパタイトと前記金属
    材料とを含む混合材料からなる請求項1ないし7のいず
    れかに記載のハイドロキシアパタイト−金属複合体の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 前記混合材料は前記ハイドロキシアパタ
    イトと前記金属材料との重量比が1/20〜1/1であ
    る請求項8に記載のハイドロキシアパタイト−金属複合
    体の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記金属材料がチタンまたはチタン系
    合金である請求項1ないし9のいずれかに記載のハイド
    ロキシアパタイト−金属複合体の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記放電プラズマ焼結後加圧状態を解
    除して放冷する請求項1ないし10のいずれかに記載の
    ハイドロキシアパタイト−金属複合体の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし11のいずれかに記載
    の方法で製造されたことを特徴とするハイドロキシアパ
    タイト−金属複合体。
  13. 【請求項13】 生体材料として用いられる請求項12
    に記載のハイドロキシアパタイト−金属複合体。
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