JP2001276208A - リン酸カルシウム系多孔体と金属との複合焼結体及びその製造方法 - Google Patents

リン酸カルシウム系多孔体と金属との複合焼結体及びその製造方法

Info

Publication number
JP2001276208A
JP2001276208A JP2000102144A JP2000102144A JP2001276208A JP 2001276208 A JP2001276208 A JP 2001276208A JP 2000102144 A JP2000102144 A JP 2000102144A JP 2000102144 A JP2000102144 A JP 2000102144A JP 2001276208 A JP2001276208 A JP 2001276208A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
calcium phosphate
composite sintered
based porous
sintered body
porous body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000102144A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsuneo Hiraide
恒男 平出
Yukio Kubota
幸雄 久保田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Pentax Corp
Original Assignee
Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd filed Critical Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd
Priority to JP2000102144A priority Critical patent/JP2001276208A/ja
Publication of JP2001276208A publication Critical patent/JP2001276208A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 リン酸カルシウム系多孔体と金属との複合焼
結体であって、優れた生体適合性及び高強度を有すると
ともに、リン酸カルシウム系多孔体が表面から脱落しな
いもの、及びかかる複合焼結体を短時間かつ低コストで
製造する方法を提供する。 【解決手段】 本発明のリン酸カルシウム系多孔体と金
属との複合焼結体は、その表面の少なくとも一部にリン
酸カルシウム系多孔体が露出している。かかる複合焼結
体を製造するには、リン酸カルシウム系多孔体を焼結開
始温度以上で予備焼成し、表面の少なくとも一部にリン
酸カルシウム系多孔体の表面が露出するようにリン酸カ
ルシウム系多孔体及び金属粉体から被焼結材を作製し、
被焼結材を加圧焼結すればよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い生体適合性を
有するリン酸カルシウム系多孔体が表面に露出したリン
酸カルシウム系多孔体/金属の複合焼結体、及びかかる
複合焼結体を短時間かつ低コストで製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】リン酸
カルシウム系化合物は生体適合性に優れ、人工歯根や骨
補強材等、歯科用セメント等の生体材料として利用され
ている。しかしながら、リン酸カルシウム系化合物は機
械的強度、特に曲げ強度に劣るため、高強度を必要とす
る部位には使用できない。そのため、人工歯根や骨補強
材等はチタンやステンレススチール等の人体為害性のな
い金属材料により形成されている。しかしながら、生体
適合性の観点からはリン酸カルシウム系化合物の方がは
るかに優れているため、リン酸カルシウム系化合物、な
かでもハイドロキシアパタイトを使用することが望まれ
ている。
【0003】以上の事情下で、リン酸カルシウム系化合
物をガラス材料や金属材料と複合化することが試みられ
ており、既に一部では実用化されている。ところがガラ
ス材料との複合化の場合、ガラスが生体内で経時的に溶
出するという問題がある。
【0004】またリン酸カルシウム系化合物と金属材料
との複合材に関しては、一般に金属枠内にリン酸カルシ
ウム系化合物粒子を埋設するか、金属粉体とリン酸カル
シウム系化合物粉体との混合物を焼結することにより得
られる。しかしながら前者の場合、生体内でリン酸カル
シウム系化合物のズレが生じる恐れがある。また後者の
場合、リン酸カルシウム系化合物粉体の気孔率が低く粒
子径も小さいため、複合焼結体の表面に露出しているリ
ン酸カルシウム系化合物粒子が脱落しやすいという欠点
がある。
【0005】従って、本発明の目的は、リン酸カルシウ
ム系多孔体と金属との複合焼結体であって、優れた生体
適合性及び高強度を有するとともに、リン酸カルシウム
系多孔体が表面から脱落しないもの、及びかかる複合焼
結体を短時間かつ低コストで製造する方法を提供するこ
とである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、リン酸カルシウム系多孔体とし
て、焼結開始温度以上で予備焼成した粉体からなる成形
体を使用して、リン酸カルシウム系多孔体/金属の被焼
結材の表面の少なくとも一部にリン酸カルシウム系多孔
体の一部が露出するようにして加圧焼結処理を施すと、
リン酸カルシウム系多孔体の一部が表面から脱落せずに
露出している複合焼結体が得られることを発見し、本発
明を完成した。
【0007】すなわち、本発明のリン酸カルシウム系多
孔体と金属との複合焼結体は、焼結体の表面の少なくと
も一部に前記リン酸カルシウム系多孔体の一部が露出し
ていることを特徴とする。
【0008】また本発明の複合焼結体は、複合焼結体の
表面に前記リン酸カルシウム系多孔体の一部が縞状に露
出しており、(リン酸カルシウム系多孔体の露出面積の
合計)/(複合焼結体の表面積)の割合(面積率)が5
〜50%であるのが好ましい。
【0009】さらに本発明の複合焼結体に含まれるリン
酸カルシウム系多孔体は、気孔率が20〜70%で、少なく
とも最小部分が1mm以上であって、その細孔内に少なく
とも部分的に金属が進入しており、もって前記リン酸カ
ルシウム系多孔体は金属相に強固に結合しているのが好
ましい。
【0010】本発明の複合焼結体に使用する金属として
は、Ti、Cr、Fe、Co、Cu、Mo、Ag、Au、Pd、Pt、Al及び
Niからなる群から選ばれた金属又はその合金であるのが
好ましい。またリン酸カルシウム系多孔体と金属との重
量比は1/50〜1/5であるのが好ましい。
【0011】また本発明のリン酸カルシウム系多孔体と
金属との複合焼結体を製造する方法は、リン酸カルシウ
ム系多孔体を焼結開始温度以上で予備焼成し、表面の少
なくとも一部に前記リン酸カルシウム系多孔体の一部が
露出するように前記リン酸カルシウム系多孔体及び金属
粉体から被焼結材を作製し、前記被焼結材を加圧焼結す
ることを特徴とする。
【0012】本発明の方法では、被焼結材を加圧焼結す
る際に複数の押圧部材を使用して、前記リン酸カルシウ
ム系多孔体と金属粉体の圧縮比を変えて行ってもよい。
この場合、複数の押圧部材はリン酸カルシウム系多孔体
を加圧する部材と金属粉体を加圧する部材の2種類から
なるのが好ましい。
【0013】また本発明の別の方法では、被焼結材を加
圧焼結する前に金属粉体を予備焼成してもよい。この場
合、金属粉体の予備焼成温度は500 〜1000℃とするのが
好ましい。
【0014】本発明の複合焼結体の製造方法で使用する
リン酸カルシウム系多孔体の予備焼成温度は、1000〜13
00℃であるのが好ましい。
【0015】また加圧焼結法として放電プラズマ焼結法
を行なうのが好ましく、焼結温度を500 〜1300℃とし、
前記焼結温度に保持する時間を5 〜30分とするのが好ま
しい。
【0016】
【発明の実施の形態】リン酸カルシウム系多孔体と金属
からなる本発明の複合焼結体及びその製造方法につい
て、以下詳細に説明する。
【0017】[1] 複合焼結体の製造方法 (A) リン酸カルシウム系多孔体 (1) リン酸カルシウム系多孔体の製造 リン酸カルシウム系多孔体の原料であるリン酸カルシウ
ム系化合物粉体は、Ca/Pのモル比が1.5 〜2.0 であ
り、具体的には、ハイドロキシアパタイト、フッ素アパ
タイト等のアパタイト類、リン酸三カルシウム、リン酸
四カルシウム等又はこれらのうち2種以上の混合粉体で
ある。
【0018】リン酸カルシウム系多孔体は公知の方法に
より製造できるが、特開平2-167868号に記載の方法や、
発泡法、熱分解性ビーズを添加する方法等を利用するの
が好ましい。特開平2-167868号に記載の多孔体の製造方
法は、リン酸カルシウム系化合物粉体と高分子物質と
を含むスラリー又は流動性ゲルを発泡させた後増粘又は
ゲル化し、得られた発泡成形体を必要に応じて仮焼する
方法、又はリン酸カルシウム系化合物粉体と高分子物
質と発泡剤とを含むスラリー又は流動性ゲルを増粘又は
ゲル化させ、加熱により発泡させた後、必要に応じて仮
焼する方法である。以下それぞれについて詳細に説明す
る。
【0019】の方法 高分子物質の分散液(溶液、コロイド溶液及び懸濁液の
いずれでも良い。)又は流動性ゲルに、平均粒径1〜50
μmのリン酸カルシウム系化合物粉体を混合し、激しく
撹拌することにより空気を抱き込ませ、多数の微細な気
泡を含んだスラリー又は流動性ゲルを得る。発泡スラリ
ー又は流動性ゲル中の気泡の大きさ及び量は撹拌によっ
て制御することができる。スラリー又は流動性ゲルの固
形分濃度は、全体を100 重量%として、リン酸カルシウ
ム系化合物粉体が7〜65重量%であり、高分子物質が0.
1 〜10重量%であるのが好ましい。発泡したスラリー又
は流動性ゲルを型に流し込み、乾燥させる。このように
してほぼ球形の気泡を有する高強度の発泡成形体が得ら
れる。
【0020】また高分子物質の分散液又は流動性ゲルを
予め撹拌して発泡させた後にリン酸カルシウム系化合物
粉体を混合してもよく、また粉状の高分子物質とリン酸
カルシウム系化合物粉体とを混合した後に分散媒を加え
てスラリーとし、撹拌して発泡させてもよい。
【0021】リン酸カルシウム系化合物粉体の分散媒と
して水を使用するのが普通であるので、高分子物質は水
溶性であるのが好ましいが、有機溶剤を用いる場合に
は、それに溶解するものであってもよい。このような高
分子物質としては、メチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロース等のセルロース誘導体、カードラン等の多
糖類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリア
クリルアミド、ポリビニルピロリドン等のポリマー類等
があげられる。
【0022】の方法 この方法は空気の抱き込みの代わりに発泡剤を使用する
こと以外、の方法と同じである。従って、この方法に
使用するリン酸カルシウム系化合物粉体及び高分子物質
は上記の通りである。
【0023】リン酸カルシウム系化合物粉体、発泡剤及
び高分子物質を分散媒中で混練し、スラリー又は流動性
ゲルとする。発泡剤としては、過酸化水素、卵白アルブ
ミン等を使用する。発泡剤の濃度や添加量を変化させる
ことにより、所望の気孔率を得ることができる。例えば
過酸化水素を単独で用いる場合、過酸化水素が0.01〜0.
5 重量%の量で存在するように加えれば十分である。
【0024】この方法で使用する高分子物質の添加量は
の方法より少量でよく、スラリー又は流動性ゲル全体
を100 重量%として、0.0001〜2.0 重量%程度で良い。
例えばメチルセルロースの場合0.001 〜1.5 重量%で良
く、ポリビニルアルコール(分子量2000)の場合0.0001
〜0.3 重量%で良く、ポリアクリル酸の場合0.0001〜0.
001 重量%で良く、ペクチンの場合0.005 〜0.1 重量%
で良い。
【0025】得られたスラリー又は流動性ゲルを70〜12
0 ℃に加熱し、発泡とともに乾燥させる。加熱工程の初
期には発泡が起こり、気泡は増粘したスラリーにそのま
ま抱き込まれ、複数の気泡が合わさったり、放出された
りしないようになる。そのため微細な気泡が均一に分散
した発泡成形体が得られる。
【0026】リン酸カルシウム系多孔体の形状は、特に
限定されるものではなく角柱形状や円柱形状等とするこ
とができる。またこのリン酸カルシウム系多孔体は、複
合焼結体の側面に露出し生体適合性を発揮するものであ
るから、あまり小さいと露出面積も小さくなってしまう
ため好ましくない。従って、その最小部分(厚さや高さ
等の長さ)は1mm以上とするのが好ましい。1mm以上と
することで、十分な露出面積が得られるとともに、十分
な強度も得られる。また最大部分は複合焼結体の高さ程
度までとするのが好ましい。
【0027】(2) 予備焼成 放電プラズマ焼結する際に焼結が実質的に進行しないよ
うにするためにリン酸カルシウム系多孔体の予備焼成を
行なう。この目的のために、予備焼成温度は焼結開始温
度以上とする必要がある。焼結開始温度以上で予備焼成
すると、プラズマ焼結時に多孔質を維持することができ
るので、金属がこの孔に侵入し、金属とリン酸カルシウ
ム系多孔体との密着性が向上する。好ましい実施例で
は、予備焼成温度は1000〜1300℃である。予備焼成温度
が1000℃より低いと、加圧焼結中に多孔体の焼結収縮が
生じたり、加圧により変形し気孔がつぶれてその多孔性
が失われるので、金属が細孔内へ十分に進入しなくな
る。また1300℃より高いと、リン酸カルシウム系化合物
の分解又は劣化が起こるので好ましくない。より好まし
い予備焼成温度は1000〜1200℃である。
【0028】予備焼成時間(上記予備焼成温度に保持す
る時間)は、1〜10時間が好ましい。予備焼成時間が1
時間未満であると予備焼成効果が得られず、また10時間
を超えて処理しても効果に変化が見られずコスト高とな
る。より好ましい予備焼成時間は2〜5時間である。ま
た予備焼成の雰囲気は特に限定されないが、リン酸カル
シウム系化合物の分解を防止する目的では、大気中で行
うのが好ましい。
【0029】本発明の複合焼結体の特徴は、リン酸カル
シウム系多孔体の細孔内に金属が進入することにより、
リン酸カルシウム系多孔体が金属相に強固に密着し、表
面から脱落しないことである。また、金属粉体と混合す
るリン酸カルシウム系多孔体は骨との結合性の点からも
多孔質である必要があり、その気孔率及び細孔径を調整
するのが好ましい。
【0030】気孔率は20〜70%であるのが好ましい。気
孔率が20%より小さいとリン酸カルシウム系多孔体の細
孔内に金属が十分に進入せず、密着性が劣る。また気孔
率が70%を超えると、リン酸カルシウム系多孔体自体の
機械的強度が不十分となるため好ましくない。また細孔
は大小様々であるが、少なくとも加圧焼結により金属が
進入するような大きさの細孔を有する必要があり、10〜
2000μmの径を有するのが好ましい。
【0031】(B) 金属粉体 金属粉体としては、Ti、Cr、Fe、Co、Cu、Mo、Ag、Au、
Pd、Pt、Al及びNiからなる群から選ばれた金属又はその
合金であるのが好ましく、特にTi、Fe、Pd又はその合金
がより好ましい。他の合金としてはステンレススチール
が好ましい。さらに金属粉体は1〜500 μmの平均粒径
を有するのが好ましい。金属粉体の平均粒径が500 μm
超であると、リン酸カルシウム系多孔体との混合物の相
対密度が低すぎ、リン酸カルシウム系多孔体の細孔内へ
の進入が不十分である。金属粉体の平均粒径の下限は特
に限定されないが、1μm未満にするとコスト高にな
り、また充填性が悪くなってそれに伴う効果の向上が得
られない。
【0032】(C) 加圧焼結 (1) 放電プラズマ焼結装置 本発明では複合焼結体を製造するのに放電プラズマ焼結
法を利用するのが好ましい。放電プラズマ焼結法とは、
電源に接続した一対の型の間に被焼結材(リン酸カルシ
ウム系多孔体と金属粉体)を充填し、加圧しながら電流
を流す方法である。被焼結材を構成するリン酸カルシウ
ム系多孔体は半導電性であり、金属粉体は導電性である
ので、型の両端に電圧が印加されると、これらを伝って
電流が流れる。この際被焼結材の粒子間等の空隙でスパ
ークが起こり、真空中では放電プラズマが発生する。そ
のため、リン酸カルシウム系多孔体及び金属粉体からな
る被焼結材は急速に焼結する。このように放電プラズマ
焼結法は放電現象による自己発熱を利用して複合焼結体
を製造するものであり、熱効率に優れ、高品位の焼結体
を製造することができる。
【0033】放電プラズマ焼結を行なう装置について図
1〜図3を参照して説明する。図1に示す放電プラズマ
焼結装置1は、真空ポンプ7が設けられた真空チャンバ
ー6と、その中に配置された成形型2と、成形型2内を
上下して成形型2内に充填された被焼結材3を加圧する
パンチ4a、4b及びそれらの加圧面に設けられたアルミナ
成形体12a 、12b と、各パンチ4a、4bを駆動するラム5
a、5bとを有する。成形型2内には、処理温度を測定す
るための熱電対(図示せず)が設けられている。また10
00℃以上の高温処理においては、放射型温度計を用いて
処理温度を測定する。
【0034】各ラム5a、5bは、加圧駆動機構9により駆
動されて被焼結材3を加圧するとともに、給電端子(図
示せず)を介して電源8と接続されており、パンチ4a、
4bにパルス電圧を印加する。パルス電圧は直流であるの
が好ましい。制御部10は加圧駆動機構9、電源8、真空
ポンプ7及び熱電対もしくは放射型温度計に接続されて
おり、成形型2内の焼結圧力及び焼結温度、真空チャン
バー6内の真空度等を制御する。
【0035】ここで、本発明で使用する成形型2、パン
チ4a、4b及びそれらの加圧面に設けられたアルミナ成形
体12a 、12b 等について図2及び図3を参照して説明す
る。成形型2は環状の一体構造を有し、断面が円筒状、
小判状、矩形等のキャビティー2aを有する。導電性の観
点から、成形型2はカーボン、各種の金属、超硬合金等
の導電性材料により形成するのが好ましく、なかでも低
コストの理由でカーボンが好ましい。成形型2の内周面
には導電性を有するカーボンペーパー11を設けるのが好
ましい。カーボンペーパー11は焼結体が成形型2の内壁
面に固着するのを防ぐクッション材として働くととも
に、被焼結材3に電圧を印加する際に抵抗が生じるのを
防ぐ。
【0036】各パンチ4a、4bは成形型2のキャビティー
2a内を上下動するように、キャビティー2aと同じで僅か
に小さい断面形状を有する。各パンチ4a、4bはラム5a、
5bに固定されており、被焼結材3にパルス電圧を印加す
る作用を有するので、成形型2と同様にカーボン等の導
電性材料により形成するのが好ましい。また各アルミナ
成形体12a 、12b の加圧面にもカーボンペーパー11を設
けるのが好ましい。アルミナ成形体12a 、12b はクッシ
ョンの作用及びパンチから直接熱が伝わらないようにし
て、焼結中に生じる被焼結体中の温度差を低減する作用
を有する。
【0037】(2) 被焼結材の作製 本発明の複合焼結体は、図4に示すようにリン酸カルシ
ウム系多孔体13の一部が複合焼結体の表面の少なくとも
一部に露出した構造となっている。このような複合焼結
体を得るには、被焼結材3を作製する段階で図4に示す
ような構造となるようにしなければならない。
【0038】以下、被焼結材3の作製方法について説明
する。まず、図2及び図3に示すように、成形型2の内
周をカーボンペーパー11で覆い、加圧面にカーボンペー
パー11を設けたアルミナ成形体12b を挿入した後で、成
形型2内に下パンチ4bを挿入する。形成されたキャビテ
ィー2a内にリン酸カルシウム系多孔体13をその壁面側に
所定の数(図4に示す例では4つ)装填する。その後、
金属粉体14を所定量充填して被焼結材3を作製し、加圧
面にカーボンペーパー11を設けたアルミナ成形体12a と
上パンチ4aを挿入する。
【0039】このとき、リン酸カルシウム系多孔体13と
金属粉体14の充填順序や金属粉体14の充填量を変えるこ
とで、図5(a) 、(b) に示すような複合焼結体を作製す
ることができる。
【0040】図5(a) に示す複合焼結体を得るには、ま
ず、所定量の金属粉体14をキャビティー2a内に充填し、
所定の数のリン酸カルシウム系多孔体13をキャビティー
2aの壁面側に設け、最後に金属粉体14をリン酸カルシウ
ム系多孔体13の上面まで充填して被焼結材3を作製すれ
ばよい。また図5(b) に示す複合焼結体を得るには、先
に所定量の金属粉体14を充填し、キャビティー2aの壁面
側に所定の数のリン酸カルシウム系多孔体13を設けて、
さらに金属粉体14をリン酸カルシウム系多孔体13の上面
より上まで充填して被焼結材3を作製すればよい。その
他、充填方法を適宜変えることでリン酸カルシウム系多
孔体13の露出状態を変化させることができる。
【0041】このようにして被焼結材3を作製すること
で、リン酸カルシウム系多孔体13の露出状態を種々に変
化させることができるが、特に図4に示すような構造と
する場合、焼結時のリン酸カルシウム系多孔体13と金属
粉体14との収縮率が異なるため、焼結が部分的に不十分
となりやすく、均一で十分な接合力を得るのは困難とな
ることがある。
【0042】かかる問題を解消するには、被焼結材3を
作製する際に図6に示すような複数の押圧部材(上部パ
ンチ)20a 、20b 及びアルミナ成形体21a 、21b を使用
して、金属粉体14とリン酸カルシウム系多孔体13を別々
に加圧し、最終的にリン酸カルシウム系多孔体13と金属
相14' との高さを一致させればよい。また予め金属粉体
14を予備焼成して、ある程度収縮させてから被焼結材3
を作製してもよい。以下これらの方法について説明す
る。
【0043】(i) 複数の押圧部材を使用する方法 図6(a) に示す複数の押圧部材20a 、20b は金属粉体14
を加圧する押圧部材20a とリン酸カルシウム系多孔体13
を加圧する押圧部材20b から構成されている。また押圧
部材20b を押圧部材20a の凹部30に嵌め込むとキャビテ
ィー2aにちょうど挿入できる形状となっており、これら
は図6(b) に示すような断面形状となっている。押圧部
材20a 、20b はいずれも上部パンチ4a及び下部パンチ4b
と同材質であって、特にカーボン製が好ましい。
【0044】図6に示す複数の押圧部材20a 、20b を使
用する場合は、図7に示すようにリン酸カルシウム系多
孔体13をキャビティー2aの壁面側に設け、リン酸カルシ
ウム系多孔体13のみを固定して加圧する押圧部材20b 及
び押圧部材20b と同一形状のアルミナ成形体21b を設置
する。次にリン酸カルシウム系多孔体13を固定した状態
で所定量の金属粉体14を充填する。充填する金属粉体14
の量は、焼結中の収縮を考慮した量とする。金属粉体14
を充填後金属粉体14のみを加圧するため、押圧部材20a
及び押圧部材20a と同一形状のアルミナ成形体21a を設
置し、図8に示すような状態とする。なお、リン酸カル
シウム系多孔体13と金属相14’の高さを等しくするた
め、押圧部材20a と20b 、アルミナ成形体21a と21b の
高さはそれぞれ同一のものを使用するのが好ましい。
【0045】この状態で上部ラム5aを下げて圧力を加え
て放電プラズマ処理を行うと、まずアルミナ成形体21a
及び押圧部材20a を介して金属粉体14が加圧される。リ
ン酸カルシウム系多孔体13の位置まで加圧されると、ア
ルミナ成形体21b 及び押圧部材20b に加圧力が加わり、
リン酸カルシウム系多孔体13及び金属粉体14が同時に加
圧される。そして最終的に図9に示すようにリン酸カル
シウム系多孔体13と金属相14’の高さが等しくなり、図
4に示すような複合焼結体が得られる。
【0046】またこのような方法でプラズマ焼結処理を
行えば、プラズマ焼結時の縮みをなくすことができるば
かりでなく、リン酸カルシウム系多孔体13と金属相14'
が十分に密着した複合焼結体が得られる。なお、押圧部
材20a 、20b 及びアルミナ成形体21a 、21b の形状は、
リン酸カルシウム系多孔体13を設ける数や複合焼結体の
形状に応じて適宜設定するのが好ましい。
【0047】(ii)金属粉体を予備焼成する方法 一方、複数の押圧部材20a 、20b を使用しない場合に
は、リン酸カルシウム系多孔体13をキャビティー2aの壁
面側に設けた後、予備焼成した金属粉体14を充填してプ
ラズマ焼結を行ってもよい。予備焼成により金属粉体14
がある程度収縮するため、プラズマ焼結時の収縮を低減
させることができる。金属粉体14の予備焼成温度は500
〜1000℃とするのが好ましい。予備焼成温度が1000℃よ
り高いと金属粒子の焼結が進み、粒子同士が結合するこ
とで粒径が大きくなりリン酸カルシウム系多孔体13の孔
に進入できなくなる。また、500 ℃より低いと予備焼成
の効果が得られず、プラズマ焼結時の縮みをなくすこと
ができなくなるため好ましくない。
【0048】(3) 放電プラズマ焼結処理 以上のような方法のいずれかにより被焼結材3を作製
し、図2又は図8に示すような状態とした後、真空チャ
ンバー6を密閉し、真空ポンプ7により脱気し、10-2To
rr程度の真空度に保つ。真空状態に保つことで、パルス
電圧の印加により放電プラズマが発生するようになる。
【0049】制御部10により加圧駆動機構9が作動し、
ラム5a、5bの少なくとも一方が互いに接近する方向に移
動し、これらに固定されたパンチ4a、4bは被焼結材3を
加圧する。パンチ4a、4bによる加圧力は100 〜2000kgf/
cm2 が好ましく、200 〜700kgf/cm2 がより好ましい。
加圧力が100 kgf/cm2 より小さいと金属粉体の緻密化が
困難であり、また2000kgf/cm2 より大きくしてもそれに
見合う緻密化効果の向上が得られず、成形型2の強度不
足の問題等が生じるだけである。
【0050】電源8より両パンチ4a、4b間にパルス電圧
を印加すると、両パンチ4a、4b間にある被焼結材3に電
流が流れるとともに、リン酸カルシウム系多孔体13及び
金属粉体14の空隙にスパークが生じ、発熱するととも
に、放電プラズマが発生する。これらの作用によりリン
酸カルシウム系多孔体13及び金属粉体14は加圧下で加熱
され、5〜20分程度で焼結温度に達する。
【0051】被焼結材3の加熱は、予め設定した昇温プ
ログラムに従って行なう。そのために、成形型2に設け
られた熱電対(図示せず)により被焼結材3の温度を検
出し、熱電対の出力を制御部10に入力する。制御部10で
は入力した温度データに基づき昇温プログラム通りに昇
温させるための信号を作成し、それを電源8に出力す
る。電源8は制御部10からの命令に従って適当なパルス
電圧をラム5a、5bに供給する。
【0052】好ましいパルス電圧は直流電圧のオン/オ
フパターンからなり、1回のオン状態の持続時間t1
オフ状態の持続時間t0 との比(t1 /t0 )は、1/
1〜12/1であり、例えば6/1である。t1 /t0
1/1より小さいと発熱が不十分で焼結時間が長くな
り、また12/1より大きいとパルス性が低下し、エネル
ギー効率が低下する。なおパルス電圧は数ボルトの精度
まで調節可能であり、パルス周波数は300 Hz〜30kHz ま
で調節可能である。パルスの電圧及び周波数は、被焼結
材3が所定の温度となるように制御部10により調節す
る。
【0053】焼結温度は500 〜1300℃であるのが好まし
く、700 〜1200℃がより好ましい。焼結温度が500 ℃よ
り低いと十分な焼結が起こらず、また得られる複合焼結
体の強度や靭性が不十分である。一方焼結温度が1300℃
より高いとリン酸カルシウム系化合物が分解してしま
う。
【0054】焼結時間(焼結温度に保持する時間)は5
〜30分とするのが好ましく、5〜15分とするのがより好
ましい。焼結時間が5分より短いと十分な焼結が行なわ
れず、また30分より長いと結晶粒の粗大化が起こるので
好ましくない。
【0055】焼結終了後、500 ℃以下まで放冷し、型開
きして複合焼結体を取出す。このようにして、表面にリ
ン酸カルシウム系多孔体13の一部が露出したリン酸カル
シウム系多孔体13と金属相14’の複合焼結体が得られ
る。焼結したままの複合焼結体では表面におけるリン酸
カルシウム系多孔体13の露出度が不十分な場合があれ
ば、表面を若干研削してもよい。これにより、リン酸カ
ルシウム系多孔体13の表面露出度は最大になる。
【0056】[2] 複合焼結体 本発明の複合焼結体は、少なくとも表面層にリン酸カル
シウム系多孔体13が存在しているため、高い生体適合性
を有する。また放電プラズマ焼結を行うと、内部の金属
粉体14がリン酸カルシウム系多孔体13の孔内に入り込ん
で焼結するため、高い密着性が維持され、リン酸カルシ
ウム系多孔体13の脱落が起こることがない。なお、リン
酸カルシウム系多孔体13の形状が角柱状で成形型2のキ
ャビティー2aが円筒形であっても、加圧によりリン酸カ
ルシウム系多孔体13が変形し全体としてはほぼ型通りの
形状となる。またプラズマ焼結中に金属粉体14がリン酸
カルシウム系多孔体13の外側にまわり込むこともない。
【0057】加圧焼結後のリン酸カルシウム系多孔体13
の収縮率は、30%未満であることが好ましく、5%未満
であることが特に好ましい。
【0058】本発明の複合焼結体の好ましい態様を図4
及び図5に示す。図4(a) は複合焼結体の上面を示す図
であり、リン酸カルシウム系多孔体13が複合焼結体の外
周側に設けられている。従って、図4(b) に示すよう
に、複合焼結体の側面には縞状にリン酸カルシウム系多
孔体13の一部が露出しており、図4(c) に示すような断
面構造を有している。図5は複合焼結体の別の好ましい
態様であって、図5(a)はリン酸カルシウム系多孔体13
が複合焼結体の外周側であり、その端面が上下いずれか
の面に露出した構造となっており、図5(b) はリン酸カ
ルシウム系多孔体13が複合焼結体の外周側であってその
端面が上下いずれの面にも露出しない構造となってい
る。
【0059】表面における(リン酸カルシウム系多孔体
13の露出面積の合計)/(複合焼結体の表面積)の割合
(面積率)は5〜50%であるのが好ましい。面積率が5
%未満であると、十分な生体適合性が得られず、また50
%を超えるとリン酸カルシウム系多孔体13の固定が不十
分となる。より好ましい面積率は5〜30%である。な
お、リン酸カルシウム系多孔体13の露出面積はメジャー
等を使用して容易に算出することができる。
【0060】このような面積率を得るためには、リン酸
カルシウム系多孔体と金属との重量比は1/50〜1/5
であるのが好ましく、1/30〜1/10であるのがより好
ましい。
【0061】
【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0062】実施例1 1重量%のメチルセルロースを含有する水溶液 500g
に、平均粒径10μmのハイドロキシアパタイト粉体250
gを加え混練した。得られた混練物を深さ20cmの型枠
内に流し込み成型し、乾燥後、所定形状に切削加工し
た。さらに大気炉で1200℃、2時間予備焼成を行い、気
孔率50%のハイドロキシアパタイト多孔体13a (3×3
×20mm)を3個作製した。3個のハイドロキシアパタイ
ト多孔体重量は、約0.85gであった。
【0063】図1及び図2に示す放電プラズマ焼結装置
1(住友石炭鉱業(株)製SPS-510L)のカーボン製成形
型2のキャビティー2aに3個のハイドロキシアパタイト
多孔体をキャビティー2aの壁面側に設け、SUS316L 粉体
(平均粒径25μm)20gを充填して被焼結材3を作製し
た。被焼結材3の上にカーボンペーパー11を設けたアル
ミナ成形体12a 及び上パンチ4aを装入した。
【0064】真空チャンバー6内を減圧して10-2Torrの
真空度とし、カーボン製上パンチ4aを降下させて、200k
gf/cm2 の加圧を行った。電源8より、両パンチ4a、4b
間にパルス電圧を印加した。パルス電圧は4Vで、t1
/t0 =12/2(33.3msec./5.55msec. )であった。
これにより被焼結材3を1000℃に加熱し、10分間保持し
て焼結させた。その後、加圧力を開放し室温まで冷却し
て、図10(a) 、(b) に示すような上面及び側面にハイド
ロキシアパタイト多孔体13a の一部が露出した複合焼結
体(φ15.5mm、高さ16.3mm)を得た。またこの複合焼結
体の断面は図10(c) に示すようにハイドロキシアパタイ
ト多孔体13a が最外層に存在する構造となっていた。得
られた複合焼結体の面積率は17.1%であり、ハイドロキ
シアパタイト多孔体13a は複合焼結体中に密接に接合し
ていた。
【0065】実施例2 1重量%のメチルセルロースを含有する水溶液 500g
に、平均粒径10μmのハイドロキシアパタイト粉体250
gを加え、実施例1に比べ激しく混練した。得られた混
練物を深さ20cmの型枠内に流し込み成型し、乾燥後、
所定形状に切削加工した。さらに大気炉で1200℃、4時
間予備焼成を行い、気孔率60%のハイドロキシアパタイ
ト多孔体13a (3×3×30mm)を3個作製した。3個の
ハイドロキシアパタイト多孔体重量は、約1.02gであっ
た。
【0066】図1に示す放電プラズマ焼結装置(住友石
炭鉱業株式会社製SPS-510L)用のカーボン製成形型2の
キャビティー2aに3個のハイドロキシアパタイト多孔体
13aをキャビティー2aの壁面側に設け、ハイドロキシア
パタイト多孔体13a の上面に図7に示すアルミナ成形体
21b 及び押圧部材20b を設けた。次に、SUS316L 粉体
(平均粒径150 μm)30gを充填した。充填後の金属粉
体14の上面に図7に示すようにアルミナ成形体21a 及び
押圧部材20a を設けて加圧を行い、両パンチ4a、4b間に
パルス電圧を印可して放電プラズマ処理を開始した。
【0067】放電プラズマ処理は、真空中(10-2Torr)
にて上下から350kgf/cm2 の加圧を行い、パルス電圧を
4Vとし、t1 /t0 =12/2(33.3msec. /5.55mse
c. )として圧縮通電系を加熱、950 ℃、5分間保持し
て行った。その後、加圧力を開放し室温まで冷却して図
10(a) 、(b) に示すような上面及び側面にハイドロキシ
アパタイト多孔体13a の一部が露出した複合焼結体(φ
15.0mm、高さ28mm)を得た。またこの複合焼結体の断面
は図10(c) に示すようにハイドロキシアパタイト多孔体
13a が最外層に存在する構造となっていた。得られた複
合焼結体の面積率は18.3%であり、ハイドロキシアパタ
イト多孔体13a は複合焼結体中に密接に接合していた。
【0068】実施例3 1重量%のメチルセルロースを含有する水溶液 500g
に、平均粒径10μmのハイドロキシアパタイト粉体250
gを加え実施例1に比べ穏やかに混練した。得られた混
練物を深さ20cmの型枠内に流し込み成型し、乾燥後、
所定形状に切削加工した。さらに大気炉で1100℃、2時
間予備焼成を行い、気孔率35%のハイドロキシアパタイ
ト多孔体13a (2×15×15mm)を2個作製した。2個の
ハイドロキシアパタイト多孔体重量は、約1.85gであっ
た。
【0069】図1に示すように放電プラズマ焼結装置
(住友石炭鉱業株式会社製SPS-510L)用のカーボン製成
形型2のキャビティー2aに2個のハイドロキシアパタイ
ト多孔体13a をキャビティー2aの壁面側に設けた。次
に、SUS316L 粉体(平均粒径25μm)40gを充填した。
充填後の金属粉体14の上面に図7に示すようにアルミナ
成形体21a 及び押圧部材20a を設けて加圧を行い、両パ
ンチ4a、4b間にパルス電圧を印可して放電プラズマ焼結
処理を開始した。
【0070】放電プラズマ処理は、真空中(10-2Torr)
にて上下から250kgf/cm2 の加圧を行い、パルス電圧を
4Vとし、t1 /t0 =12/2(33.3msec. /5.55mse
c. )として圧縮通電系を加熱、1000℃、10分間保持し
て行った。その後、加圧力を開放し室温まで冷却して図
11(a) 、(b) に示すような上面及び側面にハイドロキシ
アパタイト多孔体13a の一部が露出した複合焼結体(20
×20mm、高さ14.7mm)を得た。またこの複合焼結体の断
面は図11(c) に示すようにハイドロキシアパタイト多孔
体13a が最外層に存在する構造となっていた。得られた
複合焼結体の面積率は28.4%であり、ハイドロキシアパ
タイト多孔体13a は複合焼結体中に密接に接合してい
た。
【0071】
【発明の効果】以上の通り、本発明のリン酸カルシウム
系多孔体と金属粉体の複合焼結体は、少なくとも表面の
一部にリン酸カルシウム系多孔体の一部が露出している
ため、高い生体適合性を有し、かつ金属相を有するため
高い機械的強度、特に曲げ強度を有する。また表面のリ
ン酸カルシウム系多孔体の細孔内に金属が進入している
ため、リン酸カルシウム系多孔体の脱落を防止すること
ができる。かかる構造を有する本発明の複合焼結体は、
人工歯根や骨補強材等の用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法を実施するための放電プラズマ
焼結装置の構成を示す概略図である。
【図2】 図1の放電プラズマ焼結装置の成形型に被焼
結材を充填した状態を示す縦断面図である。
【図3】 図1の放電プラズマ焼結装置の成形部位を示
す分解図である。
【図4】 本発明の複合焼結体の一例としての構造を示
す図であり、(a) は上面を示し、(b) は側面を示し、
(c) は(a) のA−A断面を示す。
【図5】 本発明の複合焼結体の他の例としての構造を
示す断面図であり、
【図6】 本発明の方法に使用する押圧部材の一例を示
す図であり、(a) は上面を示し、(b) は(a) のA−A断
面を示す。
【図7】 複数の押圧部材を使用した場合の本発明の方
法を説明する図である。
【図8】 複数の押圧部材を使用した場合の本発明の方
法を説明する図である。
【図9】 複数の押圧部材を使用した場合の本発明の方
法を説明する図である。
【図10】 本発明の実施例の複合焼結体の構造を示す図
であり、(a) は上面を示し、(b) は側面を示し、(c) は
(a) のA−A断面を示す。
【図11】 本発明の他の実施例の複合焼結体の構造を示
す図であり、(a) は上面を示し、(b) は側面を示し、
(c) は(a) のA−A断面を示す。
【符号の説明】
1・・・放電焼結装置 2・・・成形型 2a・・・キャビティー 3・・・被焼結材 4a、20a・・・(上)パンチ 4b、20b・・・(下)パンチ 5a,5b・・・ラム 6・・・真空チャンバー 7・・・真空ポンプ 8・・・電源 9・・・加圧駆動機構 10・・・制御部 12a ,12b 、21a 、21b ・・・アルミナ成形体 13・・・リン酸カルシウム系多孔体 14・・・金属粉体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22F 3/11 B22F 3/11 A 3/14 3/14 R 101 101C C22C 1/05 C22C 1/05 A Fターム(参考) 4C059 AA01 4C081 AB03 AB06 BA17 BB08 CF011 CG01 DB03 EA04 EA12 EA15 4C089 AA13 BA03 BA16 BB01 BB03 BB04 BB06 BB07 CA04 CA06 4K018 CA01 EA22 JA16 KA70

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸カルシウム系多孔体と金属との複
    合焼結体において、前記複合焼結体の表面の少なくとも
    一部に前記リン酸カルシウム系多孔体の一部が露出して
    いることを特徴とする複合焼結体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のリン酸カルシウム系多
    孔体と金属との複合焼結体において、前記複合焼結体の
    表面に前記リン酸カルシウム系多孔体の一部が縞状に露
    出していることを特徴とする複合焼結体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の複合焼結体にお
    いて、(リン酸カルシウム系多孔体の露出面積の合計)
    /(複合焼結体の表面積)の割合(面積率)が5〜50%
    であることを特徴とする複合焼結体。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の複合焼
    結体において、前記リン酸カルシウム系多孔体は、気孔
    率が20〜70%で、少なくとも最小部分が1mm以上である
    ことを特徴とする複合焼結体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の複合焼
    結体において、前記リン酸カルシウム系多孔体の細孔内
    に少なくとも部分的に金属が進入していることを特徴と
    する複合焼結体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の複合焼
    結体において、前記金属が、Ti、Cr、Fe、Co、Cu、Mo、
    Ag、Au、Pd、Pt、Al及びNiからなる群から選ばれた金属
    又はその合金であることを特徴とする複合焼結体。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の複合焼
    結体において、前記リン酸カルシウム系多孔体と金属の
    重量比(リン酸カルシウム系多孔体/金属)が1/50〜
    1/5であることを特徴とする複合焼結体。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載のリン酸
    カルシウム系多孔体と金属との複合焼結体を製造する方
    法において、リン酸カルシウム系多孔体を焼結開始温度
    以上で予備焼成し、表面の少なくとも一部に前記リン酸
    カルシウム系多孔体の一部が露出するように前記リン酸
    カルシウム系多孔体及び金属粉体から被焼結材を作製
    し、前記被焼結材を加圧焼結することを特徴とする方
    法。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の複合焼結体の製造方法
    において、前記被焼結材を加圧焼結する際に複数の押圧
    部材を使用して、前記リン酸カルシウム系多孔体と金属
    粉体の圧縮比を変えることを特徴とする方法。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の複合焼結体の製造方法
    において、前記複数の押圧部材がリン酸カルシウム系多
    孔体を加圧する部材と金属粉体を加圧する部材の2種類
    からなることを特徴とする方法。
  11. 【請求項11】 請求項8〜10に記載の複合焼結体の製造
    方法において、前記被焼結材を加圧焼結する前に前記金
    属粉体を予備焼成することを特徴とする方法。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の複合焼結体の製造方法
    において、前記金属粉体の予備焼成温度が500 〜1000℃
    であることを特徴とする方法。
  13. 【請求項13】 請求項8〜12に記載の複合焼結体の製造
    方法において、前記リン酸カルシウム系多孔体の予備焼
    成温度が1000〜1300℃であることを特徴とする方法。
  14. 【請求項14】 請求項8〜13に記載の複合焼結体の製造
    方法において、前記加圧焼結法として放電プラズマ焼結
    法を行なうことを特徴とする方法。
  15. 【請求項15】 請求項8〜14のいずれかに記載の複合焼
    結体の製造方法において、焼結温度を500 〜1300℃と
    し、前記焼結温度に保持する時間を5〜30分とすること
    を特徴とする方法。
JP2000102144A 2000-04-04 2000-04-04 リン酸カルシウム系多孔体と金属との複合焼結体及びその製造方法 Pending JP2001276208A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000102144A JP2001276208A (ja) 2000-04-04 2000-04-04 リン酸カルシウム系多孔体と金属との複合焼結体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000102144A JP2001276208A (ja) 2000-04-04 2000-04-04 リン酸カルシウム系多孔体と金属との複合焼結体及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001276208A true JP2001276208A (ja) 2001-10-09

Family

ID=18616079

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000102144A Pending JP2001276208A (ja) 2000-04-04 2000-04-04 リン酸カルシウム系多孔体と金属との複合焼結体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001276208A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102409294A (zh) * 2011-12-05 2012-04-11 深圳市华星光电技术有限公司 玻璃基板薄膜溅射靶材及其制备方法
JP2014131749A (ja) * 2014-02-05 2014-07-17 Seiko Epson Corp 歯科用インプラント
CN104690811A (zh) * 2015-03-16 2015-06-10 中国科学院福建物质结构研究所 易脱模热压模具及其制备多孔结构陶瓷方法
CN106552940A (zh) * 2016-10-17 2017-04-05 昆明理工大学 一种梯度有序多孔TiAg合金的制备方法
CN110756799A (zh) * 2019-11-29 2020-02-07 安徽工业大学 一种泡沫铝发泡前驱体模压制备装置

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4148599B2 (ja) * 1999-07-01 2008-09-10 Hoya株式会社 多孔質リン酸カルシウム系化合物/金属複合焼結体及びその製造方法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4148599B2 (ja) * 1999-07-01 2008-09-10 Hoya株式会社 多孔質リン酸カルシウム系化合物/金属複合焼結体及びその製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102409294A (zh) * 2011-12-05 2012-04-11 深圳市华星光电技术有限公司 玻璃基板薄膜溅射靶材及其制备方法
JP2014131749A (ja) * 2014-02-05 2014-07-17 Seiko Epson Corp 歯科用インプラント
CN104690811A (zh) * 2015-03-16 2015-06-10 中国科学院福建物质结构研究所 易脱模热压模具及其制备多孔结构陶瓷方法
CN106552940A (zh) * 2016-10-17 2017-04-05 昆明理工大学 一种梯度有序多孔TiAg合金的制备方法
CN106552940B (zh) * 2016-10-17 2018-05-25 昆明理工大学 一种梯度有序多孔TiAg合金的制备方法
CN110756799A (zh) * 2019-11-29 2020-02-07 安徽工业大学 一种泡沫铝发泡前驱体模压制备装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2001098308A (ja) 多孔質リン酸カルシウム系化合物/金属複合焼結体及びその製造方法
US4969913A (en) Ceramics composites
JP4929286B2 (ja) 複合人工骨
JP2019503893A (ja) 3dプリント物を積層造形する方法
JP2001276208A (ja) リン酸カルシウム系多孔体と金属との複合焼結体及びその製造方法
KR100565562B1 (ko) 섬유단상공정을 이용한 세라믹 연속다공질체 및 그의제조방법
JP4148599B2 (ja) 多孔質リン酸カルシウム系化合物/金属複合焼結体及びその製造方法
JP2004041313A (ja) リン酸カルシウムブロックを含むリン酸カルシウム−合成樹脂複合体及びその製造方法
JP4443077B2 (ja) 多孔質リン酸カルシウム系セラミックス焼結体の製造方法及び多孔質リン酸カルシウム系セラミックス焼結体
JP4014698B2 (ja) リン酸カルシウム系セラミックス多孔体の作製方法
JP4083273B2 (ja) セラミックスと金属との接合方法
JP2001089227A (ja) 多孔質リン酸カルシウム系化合物/金属複合焼結体及びその製造方法
JP2004097794A (ja) リン酸カルシウム−合成樹脂−金属複合体及びその製造方法
JP2001019569A (ja) 多孔質リン酸カルシウム系化合物/金属複合焼結体及びその製造方法
JP2004115297A (ja) ハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の製造方法
JP4101070B2 (ja) リン酸カルシウム−合成樹脂複合材からなるスクリュー固定用素子及びその製造方法
JPH11222637A (ja) リン酸カルシウム系セラミックスと金属の複合体の製造方法および複合体
JPH10251057A (ja) リン酸カルシウム系セラミックスの焼結方法
JP4010774B2 (ja) 生体材料用リン酸カルシウム−合成樹脂複合体及びその製造方法
JP2000335962A (ja) リン酸カルシウム系セラミックス焼結体及びその製造方法
JP4083274B2 (ja) セラミックスと金属との接合方法
JP4083272B2 (ja) セラミックスと金属との接合方法および接合体
JPH11222607A (ja) セラミックスと金属との接合方法およびその接合体
JP2000095577A (ja) ハイドロキシアパタイト−金属複合体の製造方法およびハイドロキシアパタイト−金属複合体
JP2000086333A (ja) 高強度リン酸カルシウム系セラミックスの製造方法および高強度リン酸カルシウム系セラミックス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070315

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20080424

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132

Effective date: 20100818

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110105