JP2004115297A - ハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のセラミックス多孔質体の製造方法の問題点を解決乃至軽減しうるハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の新たな製造方法を提供することを主な目的とする。
【解決手段】以下の工程を備えたハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の製造方法:
(3)リン酸カルシウム系粉体と水系媒体とを混練して得た混合物を、圧力10〜100MPaおよび温度150〜350℃の水熱ホットプレス条件下に水熱固化反応させる工程、および
(2)工程(1)で得られた固化体を900〜1200℃で燒結する工程。
【選択図】なし
【解決手段】以下の工程を備えたハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の製造方法:
(3)リン酸カルシウム系粉体と水系媒体とを混練して得た混合物を、圧力10〜100MPaおよび温度150〜350℃の水熱ホットプレス条件下に水熱固化反応させる工程、および
(2)工程(1)で得られた固化体を900〜1200℃で燒結する工程。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、骨補填材、人工骨などに好適な生体親和性を有する人工生体材料としてとして極めて有用であり、さらに液体クロマトグラフィー用充填剤、気孔径の制御を要する分離膜、フィルター、触媒担体、各種の電気・電子材料、原子炉材料、セラミック発熱体などとしても有用なハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまでにも、生体材料としては、多種多様な材質のものが研究され、実用化されている。特に、リン酸カルシウム系化合物は、生体親和性、骨誘導機能性、無毒性、生体安定性などの多くの特性に優れているので、広く研究されており、既に歯科材料、人工骨などに適用されている。特に、ハイドロキシアパタイトは、生体内で安定であり、生体親和性に優れ、その焼結体は母床骨と軟部組織を介さずに直接結合し、また、新生骨では、カルシウムおよび燐イオンの補給源となり、生体骨に置換されることがあることは、既に知られている。
【0003】
生体にハイドロキシアパタイト焼結体を埋植する場合、多孔体であることが望ましいとされている。その主たる理由は、生体組織が生体埋植材料に滲入しやすくなるので、生体内へ埋植後、比較的短期間内に骨形成が認められるという好ましい結果が達成されるからである。
【0004】
従来、リン酸カルシウム系多孔質焼結体を製造する方法として、発泡剤添加法、熱分解性樹脂ビーズ添加法、高分子ゲル化法、放電プラズマ焼結法などの種々の方法が提案されている。
【0005】
発泡剤添加法は、例えばハイドロキシアパタイトのスラリーに過酸化水素水などの発泡剤を加え、発泡させて、生成物を多孔質化する方法である。しかしながら、この方法には、高い気孔率を有する多孔質体を得ることはできず、また製品ロット毎に均一な気孔径および気孔率に制御するのが困難であるという問題がある。
【0006】
熱分解性樹脂ビーズ添加法は、例えば、ハイドロキシアパタイトのスラリーに熱分解性樹脂ビーズを添加・混合し、成形し、成形体を乾燥した後、加熱により成形体中の樹脂ビーズを焼失させて、燒結体を多孔質化させる方法である(特許文献1)。しかしながら、この方法では、成形体の乾燥時に、樹脂ビーズは収縮しないため、成形体に歪みやクラックが発生するという問題があり、また多量に樹脂ビーズを使用するため、焼成に時間がかかり、さらに多量の炭酸ガスを発生するという問題がある。さらに、ハイドロキシアパタイト粒子同士を結合させるためには、通常1200℃を上回る高温度で焼成する必要があり、この様な高温度域ではハイドロキシアパタイトの結晶構造が壊れる可能性もある。
【0007】
水溶性高分子ゲル化法は、セラミックスと水溶性高分子化合物とのスラリーを攪拌することにより起泡させ、起泡したスラリーを成形し、成形体を加熱することによりゲル化させ、気泡を保持した状態で成形体を乾燥し、必要に応じて燒結する方法である(特許文献2)。この方法により得られた多孔質セラミックスは、気泡に由来する孔径20〜2000μmの球形のマクロポアと、セラミックス原料一次粒子の凝集体からなる球状二次粒子粉体の間隙によって形成される3次元連通孔とを有する。しかしながら、この方法において、攪拌による気泡の形成には、攪拌時間や攪拌力が微妙に影響し、常時一定の気泡を形成するのは難しい。また、この方法においても、上述の発泡剤添加法における同様に、ハイドロキシアパタイト粒子同士を結合させるためには、通常1200℃を超える高温度で成形体を焼成する必要があり、ハイドロキシアパタイトの結晶構造が壊れる可能性がある。
【0008】
放電プラズマ焼結法は、リン酸カルシウム系粉体を5〜50MPaで圧縮して圧粉体とするとともに、得られた圧粉体にパルス状電圧を印可して、650〜900°Cの温度に加熱することにより、相対密度35〜80%のリン酸カルシウム系多孔質体を作製する方法である(特許文献3)。この方法によれば、パルス状電圧を短時間印可することにより、リン酸カルシウム系セラミックス多孔質体を合成できる利点が得られるものの、複雑で大型の装置を必要とするので、経済性に劣り、また大電圧流を用いるので、安全性にも課題を残している。また、燒結体中でのハイドロキシアパタイト粒子同士の結合が、不十分であり、さらなる特性の改善が必要である。
【0009】
さらに、実際に販売されているハイドロキシアパタイト骨補填材料の一例のカタログによれば、気孔率と圧縮強度(kg/cm2)の関係は、気孔率40%、50%、55%および60%の場合に、圧縮強度はそれぞれ660kg/cm2、300kg/cm2、210kg/cm2および155kg/cm2であるとされている。この市販品は、気孔率が高い場合には、圧縮強度が急激に低下しており、特性的にさらに改善が必要である。
【0010】
【特許文献1】特公平2−54303号公報
【0011】
【特許文献2】特許3058174 号公報
【0012】
【特許文献3】特開平11−35379号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、従来のセラミックス多孔質体の製造方法の問題点を解決乃至軽減しうるハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の新たな製造方法を提供することを主な目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来技術の問題点に留意しつつ、研究を重ねた結果、リン酸カルシウム系粉体を水分の存在下に加圧加熱成形(水熱ホットプレス処理)した後、得られる水熱固化成形物を900〜1200℃で加熱する場合には、熱力学的に安定なハイドロキシアパタイト結晶を有し、高い気孔率を有し、かつ機械的強度の高いハイドロキシアパタイト多孔質燒結体が得られることを見出した。
【0015】
すなわち、本発明は、下記のハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の製造方法を提供する。
1.以下の工程を備えたハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の製造方法:
(2)リン酸カルシウム系粉体と水系媒体とを混練して得た混合物を、圧力10〜 100MPaおよび温度150〜350℃の水熱ホットプレス条件下に水熱固化反応さ せる工程、および
(2)工程(1)で得られた固化体を900〜1200℃で燒結する工程。
2.リン酸カルシウム系粉体が、非晶質リン酸カルシウム、リン酸−水素カルシウム化合物、リン酸三カルシウム化合物、リン酸八カルシウム化合物およびハイドロキシアパタイトからなる群から選ばれた少なくとも1種である上記項1に記載のハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の製造方法。
3.工程(1)における水系媒体が、水またはアルカリ性水溶液である上記項1に記載のハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
水熱ホットプレス技術とは、堆積岩の続成作用を実験室的に再現する方法であり、これまで山崎らによって数多くの研究成果が発表されている。元来、水熱合成技術は、微細でかつ均一なセラミックス粒子を合成する技術して、広く利用されている。例えば、生活に密接している具体的な材料として、住宅の外壁材で多く用いられる耐火ボード用の珪酸カルシウム、クウォーツ時計用の水晶などが水熱合成方法により、製造されている。水熱ホットプレス技術は、水熱条件下で化学反応を起こしながら、同時に圧力を加えて成形固化する技術であり、化学反応と圧搾成形とを同時に行う新しい技術である。これまで、ジルコニア、炭酸カルシウム、珪酸カルシウムなどの工業材料の固化、リン酸カルシウム系化合物の生体材料の固化などに関する研究がなされている。
【0017】
水熱ホットプレス技術を用いると、結晶粒子接点では、加圧による応力ひずみと水熱条件下での物質の溶解−析出反応で粒子接点の結合が進行し、やがて強固な結合が達成される。水熱条件下では、前述の通り結晶構造が均一な組織を形成しうるので、成形体中の結晶粒子接点でも、これら結晶構造が均一な組織を形成していると考えられる。従って、次工程の成形体焼成工程では、比較的低い温度で加熱処理することにより、高強度の燒結体を形成することが可能となる。
【0018】
以下、本発明製造方法およびそれにより得られるハイドロキシアパタイト多孔質燒結体について、詳細に説明する。
原料リン酸カルシウム系化合物
原料となるリン酸カルシウム系化合物としては、ハイドロキシアパタイト、非晶質リン酸カルシウム(ACP)、リン酸一水素カルシウム・二水和物(DCPD)、α−リン酸三カルシウム(α−TCP)、リン酸八カルシウム(OCP)などを用いることができる。
【0019】
非晶質リン酸カルシウム(ACP)は、市販されてはいないが、例えば、遠山らの手法により調製することができる(“無機マテリアル”、7号、19−25頁、2000年)。
【0020】
リン酸八カルシウム(OCP)は、市販されていないが、例えば、下記の方法により製造することができる。すなわち、非晶質リン酸カルシウム(ACP)、リン酸一水素カルシウム・二水和物(DCPD)、α−リン酸三カルシウム(α−TCP)などのリン酸カルシウム化合物の少なくとも1種を水中で或いは酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液中で撹拌混合することにより、容易に合成することができる。合成されたリン酸八カルシウム(OCP)は、固液分離後、乾燥させ粉末化して用いても良い。或いは、固液分離後、所定の水分量に調整したものを用いても良い。
【0021】
リン酸一水素カルシウム・二水和物(DCPD)、α−リン酸三カルシウム(α−TCP)は、市販品或いは公知の手法による合成品を用いることができる。
ハイドロキシアパタイト多孔質体の製造
出発原料となるリン酸カルシウム系化合物がハイドロキシアパタイトである場合には、そのまま用いる。
【0022】
ハイドロキシアパタイト以外のリン酸カルシウム系化合物を用いる場合には、リン酸カルシウム系化合物にCa系化合物またはリン酸化合物を添加した混合物を出発原料として使用する。使用するCa系化合物としては、水酸化カルシウム、硝酸カルシウムなどが例示される。また、リン酸化合物としては、リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムなどが例示される。これらの添加割合は、原料リン酸カルシウム系化合物の組成に応じて異なるが、水熱ホットプレス法による反応終了時に合成されるハイドロキシアパタイト多孔質体全体のCa/P比が、1.67(理論値)にできるだけ近くなるように設定することが望ましい。
【0023】
上記の出発原料に対し、水またはアルカリ水溶液を重量比で1〜40%程度、より好ましくは5〜20%程度添加した後、よく混練する。
【0024】
アルカリ水溶液としては、アンモニア水溶液(通常1〜30質量%程度)、水酸化ナトリウム水溶液(通常1〜30質量%程度)、水酸化カルシウム水溶液(飽和水溶液)などを用いることができる。
【0025】
水熱ホットプレス法は、例えば、特開昭61−51135号公報などに記載された公知の装置を用いて実施することができる。図1は、本発明で使用する水熱ホットプレス装置の一例を示す模式的断面図である。
【0026】
先ず、粉末状の出発原料に対し、水またはアルカリ水溶液を上記の割合で添加した湿潤状の被処理物(図1中の“Sample”)を調製した後、図1に示す水熱ホットプレス装置の型内の反応容器に挿入し、上下両方向からピストンロッドにより所定圧力まで加圧しつつ、電気ヒーターにより昇温加熱する。加圧圧力は通常10〜100MPa程度であり、好ましくは20〜60MPa程度である。昇温速度は、通常1〜20℃/分であり、好ましくは5〜10℃/分程度である。所定の反応温度(通常150〜350℃程度、より好ましくは200〜300℃程度)まで昇温した後、被処理物を30分間〜6時間程度にわたり所定の圧力と温度に保持する。
【0027】
反応終了後、反応容器を電気ファンで強制冷却した後、反応容器から水熱合成反応生成物を取り出し、脱イオン交換水で洗浄し、乾燥し、ハイドロキシアパタイト多孔質体を得ることができる。
ハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の製造
上記の水熱合成反応により得られたハイドロキシアパタイト多孔質体を電気炉などの焼成炉に入れ、通常900〜1200℃程度、好ましくは950〜1100℃程度の条件で焼成する。焼成時間は、多孔質体の寸法、形状などにより変わりうるが、通常30分間〜8時間程度、好ましくは2時間〜6時間程度である。
【0028】
燒結は、通常空気の存在下に行えばよいが、必要に応じてアルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガスの存在下に行っても良い。
【0029】
【発明の効果】
本発明によるハイドロキシアパタイト多孔質燒結体は、均質な材料であり、気孔径の分布が小さく、燒結体全体に均一に分散した気孔を有している。
【0030】
また、本発明によるハイドロキシアパタイト多孔質燒結体は、高い気孔率を有しているにもかかわらず、機械的強度に優れている。
【0031】
従って、本発明によるハイドロキシアパタイト多孔質燒結体は、骨補填材、人工骨などに好適な生体親和性を有する人工生体材料としてとして極めて有用である。さらに液体クロマトグラフィー用充填剤、気孔径の制御を要する分離膜、フィルター、触媒担体、各種の電気・電子材料、原子炉材料、セラミック発熱体などとしても有用である。
【0032】
【実施例】
以下に実施例および比較例を示し、本発明のハイドロキシアパタイト多孔質体の製造方法を具体的に説明する。本発明は、これらの実施例により、限定されるものではない。
【0033】
実施例1
原料リン酸カルシウム系化合物
原料としては、市販のハイドロキシアパタイト粉末(太平化学産業(株)製;HAp200)を用いた。
ハイドロキシアパタイト多孔質体の製造方法
原料となるハイドロキシアパタイトに水を重量比で10wt%添加し、よく混練して、湿潤状の粉体被処理物とした。
【0034】
次いで、得られた被処理物を図1と同様の構造を有する水熱ホットプレス装置の型内の反応容器(内径20mm)内部に装填した後、上下のピストンで所定圧まで加圧しつつ、電気ヒーターで加熱した。加圧・加熱条件は、圧力10MPa、昇温速度5℃/分、到達温度300℃であった。300℃に到達した後、被処理物を2時間にわたり同圧力と同温度に維持した。
【0035】
反応終了後、反応容器を電気ファンで強制冷却した後、反応成形体を取り出し、脱イオン交換水で洗浄し、乾燥し、ハイドロキシアパタイト多孔質体(直径20mm、高さ20mm)を得た。
【0036】
図2は、出発原料および合成されたハイドロキシアパタイト多孔質体のX線回折パターンを示す(上図=原料HAp、下図=合成物)。
ハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の製造
上記の手法により得られたハイドロキシアパタイト多孔質体を電気炉に入れ、昇温速度4℃/分で1100℃まで昇温した後、同温度で4時間保持して、焼成した。炉内雰囲気は空気であった。焼成終了後、電気炉を自然冷却して、目的とするハイドロキシアパタイト多孔質燒結体を得た。
【0037】
得られたハイドロキシアパタイト多孔質燒結体につき、細孔径分布測定(図3参照)、電子顕微鏡による微細構造観察(図4参照)および空隙率/圧縮強度測定(表1参照)を行った。
【0038】
実施例2
実施例1のハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の製造において、加圧圧力を20MPaとする以外は、実施例1と同様にしてハイドロキシアパタイト多孔質燒結体を得た。
【0039】
得られたハイドロキシアパタイト多孔質体燒結体につき、細孔径分布測定、電子顕微鏡による微細構造観察および空隙率/圧縮強度測定(表1参照)を行った。
【0040】
比較例1
実施例1と同様のハイドロキシアパタイト粉末を用いて、水を添加せずに、図1と同様の構造を有する水熱ホットプレス装置の型内の反応容器内部に装填した後、上下のピストンで10MPaまで加圧し、同圧力で10分間保持して、圧粉体を得た。得られた圧粉体を用いて、実施例1に示す焼結操作を実施し、最終ハイドロキシアパタイト多孔質燒結体を得た。
【0041】
得られたハイドロキシアパタイト多孔質燒結体につき、空隙率/圧縮強度測定(表1参照)を行った。
【0042】
比較例2
比較例1において、加圧成形時の圧力を10MPaとする以外は、比較例1と同様にして、ハイドロキシアパタイト多孔質燒結体を得た。
【0043】
得られたハイドロキシアパタイト多孔質燒結体につき、空隙率/圧縮強度測定(表1参照)を行った。
【0044】
【表1】
【0045】
表1に示す結果から、本発明方法により製造されたハイドロキシアパタイト多孔質燒結体は、空隙率が高いにもかかわらず、機械的強度が高いことが明らかである。
【0046】
また、図3に示す様に、本発明(実施例1)で得られたハイドロキシアパタイト多孔質体は、細孔分布において二峰性ピークを示さない。図示はしないが、実施例2で得られたハイドロキシアパタイト多孔質体の場合にも、同様であった。
【0047】
さらに、図4に示す様に、本発明(実施例1)で得られたハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の微細構造には、均一な細孔が形成されており、かつ結晶粒子接点の曲率が小さい。実施例2で得られたハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の場合にも、同様であった。このことは、本発明によるハイドロキシアパタイト多孔質燒結体においては、応力を緩和できることを示唆している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する水熱ホットプレス装置の一例を示す模式的断面図である。
【図2】実施例1において使用した原料と合成されたハイドロキシアパタイト多孔質体のX線回折測定結果をそれぞれ示すグラフである。
【図3】実施例1において得られたハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の細孔分布曲線を示すグラフである。
【図4】実施例1において得られたハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の微細構造を示す図面代用電子顕微鏡写真である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、骨補填材、人工骨などに好適な生体親和性を有する人工生体材料としてとして極めて有用であり、さらに液体クロマトグラフィー用充填剤、気孔径の制御を要する分離膜、フィルター、触媒担体、各種の電気・電子材料、原子炉材料、セラミック発熱体などとしても有用なハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまでにも、生体材料としては、多種多様な材質のものが研究され、実用化されている。特に、リン酸カルシウム系化合物は、生体親和性、骨誘導機能性、無毒性、生体安定性などの多くの特性に優れているので、広く研究されており、既に歯科材料、人工骨などに適用されている。特に、ハイドロキシアパタイトは、生体内で安定であり、生体親和性に優れ、その焼結体は母床骨と軟部組織を介さずに直接結合し、また、新生骨では、カルシウムおよび燐イオンの補給源となり、生体骨に置換されることがあることは、既に知られている。
【0003】
生体にハイドロキシアパタイト焼結体を埋植する場合、多孔体であることが望ましいとされている。その主たる理由は、生体組織が生体埋植材料に滲入しやすくなるので、生体内へ埋植後、比較的短期間内に骨形成が認められるという好ましい結果が達成されるからである。
【0004】
従来、リン酸カルシウム系多孔質焼結体を製造する方法として、発泡剤添加法、熱分解性樹脂ビーズ添加法、高分子ゲル化法、放電プラズマ焼結法などの種々の方法が提案されている。
【0005】
発泡剤添加法は、例えばハイドロキシアパタイトのスラリーに過酸化水素水などの発泡剤を加え、発泡させて、生成物を多孔質化する方法である。しかしながら、この方法には、高い気孔率を有する多孔質体を得ることはできず、また製品ロット毎に均一な気孔径および気孔率に制御するのが困難であるという問題がある。
【0006】
熱分解性樹脂ビーズ添加法は、例えば、ハイドロキシアパタイトのスラリーに熱分解性樹脂ビーズを添加・混合し、成形し、成形体を乾燥した後、加熱により成形体中の樹脂ビーズを焼失させて、燒結体を多孔質化させる方法である(特許文献1)。しかしながら、この方法では、成形体の乾燥時に、樹脂ビーズは収縮しないため、成形体に歪みやクラックが発生するという問題があり、また多量に樹脂ビーズを使用するため、焼成に時間がかかり、さらに多量の炭酸ガスを発生するという問題がある。さらに、ハイドロキシアパタイト粒子同士を結合させるためには、通常1200℃を上回る高温度で焼成する必要があり、この様な高温度域ではハイドロキシアパタイトの結晶構造が壊れる可能性もある。
【0007】
水溶性高分子ゲル化法は、セラミックスと水溶性高分子化合物とのスラリーを攪拌することにより起泡させ、起泡したスラリーを成形し、成形体を加熱することによりゲル化させ、気泡を保持した状態で成形体を乾燥し、必要に応じて燒結する方法である(特許文献2)。この方法により得られた多孔質セラミックスは、気泡に由来する孔径20〜2000μmの球形のマクロポアと、セラミックス原料一次粒子の凝集体からなる球状二次粒子粉体の間隙によって形成される3次元連通孔とを有する。しかしながら、この方法において、攪拌による気泡の形成には、攪拌時間や攪拌力が微妙に影響し、常時一定の気泡を形成するのは難しい。また、この方法においても、上述の発泡剤添加法における同様に、ハイドロキシアパタイト粒子同士を結合させるためには、通常1200℃を超える高温度で成形体を焼成する必要があり、ハイドロキシアパタイトの結晶構造が壊れる可能性がある。
【0008】
放電プラズマ焼結法は、リン酸カルシウム系粉体を5〜50MPaで圧縮して圧粉体とするとともに、得られた圧粉体にパルス状電圧を印可して、650〜900°Cの温度に加熱することにより、相対密度35〜80%のリン酸カルシウム系多孔質体を作製する方法である(特許文献3)。この方法によれば、パルス状電圧を短時間印可することにより、リン酸カルシウム系セラミックス多孔質体を合成できる利点が得られるものの、複雑で大型の装置を必要とするので、経済性に劣り、また大電圧流を用いるので、安全性にも課題を残している。また、燒結体中でのハイドロキシアパタイト粒子同士の結合が、不十分であり、さらなる特性の改善が必要である。
【0009】
さらに、実際に販売されているハイドロキシアパタイト骨補填材料の一例のカタログによれば、気孔率と圧縮強度(kg/cm2)の関係は、気孔率40%、50%、55%および60%の場合に、圧縮強度はそれぞれ660kg/cm2、300kg/cm2、210kg/cm2および155kg/cm2であるとされている。この市販品は、気孔率が高い場合には、圧縮強度が急激に低下しており、特性的にさらに改善が必要である。
【0010】
【特許文献1】特公平2−54303号公報
【0011】
【特許文献2】特許3058174 号公報
【0012】
【特許文献3】特開平11−35379号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、従来のセラミックス多孔質体の製造方法の問題点を解決乃至軽減しうるハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の新たな製造方法を提供することを主な目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来技術の問題点に留意しつつ、研究を重ねた結果、リン酸カルシウム系粉体を水分の存在下に加圧加熱成形(水熱ホットプレス処理)した後、得られる水熱固化成形物を900〜1200℃で加熱する場合には、熱力学的に安定なハイドロキシアパタイト結晶を有し、高い気孔率を有し、かつ機械的強度の高いハイドロキシアパタイト多孔質燒結体が得られることを見出した。
【0015】
すなわち、本発明は、下記のハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の製造方法を提供する。
1.以下の工程を備えたハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の製造方法:
(2)リン酸カルシウム系粉体と水系媒体とを混練して得た混合物を、圧力10〜 100MPaおよび温度150〜350℃の水熱ホットプレス条件下に水熱固化反応さ せる工程、および
(2)工程(1)で得られた固化体を900〜1200℃で燒結する工程。
2.リン酸カルシウム系粉体が、非晶質リン酸カルシウム、リン酸−水素カルシウム化合物、リン酸三カルシウム化合物、リン酸八カルシウム化合物およびハイドロキシアパタイトからなる群から選ばれた少なくとも1種である上記項1に記載のハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の製造方法。
3.工程(1)における水系媒体が、水またはアルカリ性水溶液である上記項1に記載のハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
水熱ホットプレス技術とは、堆積岩の続成作用を実験室的に再現する方法であり、これまで山崎らによって数多くの研究成果が発表されている。元来、水熱合成技術は、微細でかつ均一なセラミックス粒子を合成する技術して、広く利用されている。例えば、生活に密接している具体的な材料として、住宅の外壁材で多く用いられる耐火ボード用の珪酸カルシウム、クウォーツ時計用の水晶などが水熱合成方法により、製造されている。水熱ホットプレス技術は、水熱条件下で化学反応を起こしながら、同時に圧力を加えて成形固化する技術であり、化学反応と圧搾成形とを同時に行う新しい技術である。これまで、ジルコニア、炭酸カルシウム、珪酸カルシウムなどの工業材料の固化、リン酸カルシウム系化合物の生体材料の固化などに関する研究がなされている。
【0017】
水熱ホットプレス技術を用いると、結晶粒子接点では、加圧による応力ひずみと水熱条件下での物質の溶解−析出反応で粒子接点の結合が進行し、やがて強固な結合が達成される。水熱条件下では、前述の通り結晶構造が均一な組織を形成しうるので、成形体中の結晶粒子接点でも、これら結晶構造が均一な組織を形成していると考えられる。従って、次工程の成形体焼成工程では、比較的低い温度で加熱処理することにより、高強度の燒結体を形成することが可能となる。
【0018】
以下、本発明製造方法およびそれにより得られるハイドロキシアパタイト多孔質燒結体について、詳細に説明する。
原料リン酸カルシウム系化合物
原料となるリン酸カルシウム系化合物としては、ハイドロキシアパタイト、非晶質リン酸カルシウム(ACP)、リン酸一水素カルシウム・二水和物(DCPD)、α−リン酸三カルシウム(α−TCP)、リン酸八カルシウム(OCP)などを用いることができる。
【0019】
非晶質リン酸カルシウム(ACP)は、市販されてはいないが、例えば、遠山らの手法により調製することができる(“無機マテリアル”、7号、19−25頁、2000年)。
【0020】
リン酸八カルシウム(OCP)は、市販されていないが、例えば、下記の方法により製造することができる。すなわち、非晶質リン酸カルシウム(ACP)、リン酸一水素カルシウム・二水和物(DCPD)、α−リン酸三カルシウム(α−TCP)などのリン酸カルシウム化合物の少なくとも1種を水中で或いは酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液中で撹拌混合することにより、容易に合成することができる。合成されたリン酸八カルシウム(OCP)は、固液分離後、乾燥させ粉末化して用いても良い。或いは、固液分離後、所定の水分量に調整したものを用いても良い。
【0021】
リン酸一水素カルシウム・二水和物(DCPD)、α−リン酸三カルシウム(α−TCP)は、市販品或いは公知の手法による合成品を用いることができる。
ハイドロキシアパタイト多孔質体の製造
出発原料となるリン酸カルシウム系化合物がハイドロキシアパタイトである場合には、そのまま用いる。
【0022】
ハイドロキシアパタイト以外のリン酸カルシウム系化合物を用いる場合には、リン酸カルシウム系化合物にCa系化合物またはリン酸化合物を添加した混合物を出発原料として使用する。使用するCa系化合物としては、水酸化カルシウム、硝酸カルシウムなどが例示される。また、リン酸化合物としては、リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムなどが例示される。これらの添加割合は、原料リン酸カルシウム系化合物の組成に応じて異なるが、水熱ホットプレス法による反応終了時に合成されるハイドロキシアパタイト多孔質体全体のCa/P比が、1.67(理論値)にできるだけ近くなるように設定することが望ましい。
【0023】
上記の出発原料に対し、水またはアルカリ水溶液を重量比で1〜40%程度、より好ましくは5〜20%程度添加した後、よく混練する。
【0024】
アルカリ水溶液としては、アンモニア水溶液(通常1〜30質量%程度)、水酸化ナトリウム水溶液(通常1〜30質量%程度)、水酸化カルシウム水溶液(飽和水溶液)などを用いることができる。
【0025】
水熱ホットプレス法は、例えば、特開昭61−51135号公報などに記載された公知の装置を用いて実施することができる。図1は、本発明で使用する水熱ホットプレス装置の一例を示す模式的断面図である。
【0026】
先ず、粉末状の出発原料に対し、水またはアルカリ水溶液を上記の割合で添加した湿潤状の被処理物(図1中の“Sample”)を調製した後、図1に示す水熱ホットプレス装置の型内の反応容器に挿入し、上下両方向からピストンロッドにより所定圧力まで加圧しつつ、電気ヒーターにより昇温加熱する。加圧圧力は通常10〜100MPa程度であり、好ましくは20〜60MPa程度である。昇温速度は、通常1〜20℃/分であり、好ましくは5〜10℃/分程度である。所定の反応温度(通常150〜350℃程度、より好ましくは200〜300℃程度)まで昇温した後、被処理物を30分間〜6時間程度にわたり所定の圧力と温度に保持する。
【0027】
反応終了後、反応容器を電気ファンで強制冷却した後、反応容器から水熱合成反応生成物を取り出し、脱イオン交換水で洗浄し、乾燥し、ハイドロキシアパタイト多孔質体を得ることができる。
ハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の製造
上記の水熱合成反応により得られたハイドロキシアパタイト多孔質体を電気炉などの焼成炉に入れ、通常900〜1200℃程度、好ましくは950〜1100℃程度の条件で焼成する。焼成時間は、多孔質体の寸法、形状などにより変わりうるが、通常30分間〜8時間程度、好ましくは2時間〜6時間程度である。
【0028】
燒結は、通常空気の存在下に行えばよいが、必要に応じてアルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガスの存在下に行っても良い。
【0029】
【発明の効果】
本発明によるハイドロキシアパタイト多孔質燒結体は、均質な材料であり、気孔径の分布が小さく、燒結体全体に均一に分散した気孔を有している。
【0030】
また、本発明によるハイドロキシアパタイト多孔質燒結体は、高い気孔率を有しているにもかかわらず、機械的強度に優れている。
【0031】
従って、本発明によるハイドロキシアパタイト多孔質燒結体は、骨補填材、人工骨などに好適な生体親和性を有する人工生体材料としてとして極めて有用である。さらに液体クロマトグラフィー用充填剤、気孔径の制御を要する分離膜、フィルター、触媒担体、各種の電気・電子材料、原子炉材料、セラミック発熱体などとしても有用である。
【0032】
【実施例】
以下に実施例および比較例を示し、本発明のハイドロキシアパタイト多孔質体の製造方法を具体的に説明する。本発明は、これらの実施例により、限定されるものではない。
【0033】
実施例1
原料リン酸カルシウム系化合物
原料としては、市販のハイドロキシアパタイト粉末(太平化学産業(株)製;HAp200)を用いた。
ハイドロキシアパタイト多孔質体の製造方法
原料となるハイドロキシアパタイトに水を重量比で10wt%添加し、よく混練して、湿潤状の粉体被処理物とした。
【0034】
次いで、得られた被処理物を図1と同様の構造を有する水熱ホットプレス装置の型内の反応容器(内径20mm)内部に装填した後、上下のピストンで所定圧まで加圧しつつ、電気ヒーターで加熱した。加圧・加熱条件は、圧力10MPa、昇温速度5℃/分、到達温度300℃であった。300℃に到達した後、被処理物を2時間にわたり同圧力と同温度に維持した。
【0035】
反応終了後、反応容器を電気ファンで強制冷却した後、反応成形体を取り出し、脱イオン交換水で洗浄し、乾燥し、ハイドロキシアパタイト多孔質体(直径20mm、高さ20mm)を得た。
【0036】
図2は、出発原料および合成されたハイドロキシアパタイト多孔質体のX線回折パターンを示す(上図=原料HAp、下図=合成物)。
ハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の製造
上記の手法により得られたハイドロキシアパタイト多孔質体を電気炉に入れ、昇温速度4℃/分で1100℃まで昇温した後、同温度で4時間保持して、焼成した。炉内雰囲気は空気であった。焼成終了後、電気炉を自然冷却して、目的とするハイドロキシアパタイト多孔質燒結体を得た。
【0037】
得られたハイドロキシアパタイト多孔質燒結体につき、細孔径分布測定(図3参照)、電子顕微鏡による微細構造観察(図4参照)および空隙率/圧縮強度測定(表1参照)を行った。
【0038】
実施例2
実施例1のハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の製造において、加圧圧力を20MPaとする以外は、実施例1と同様にしてハイドロキシアパタイト多孔質燒結体を得た。
【0039】
得られたハイドロキシアパタイト多孔質体燒結体につき、細孔径分布測定、電子顕微鏡による微細構造観察および空隙率/圧縮強度測定(表1参照)を行った。
【0040】
比較例1
実施例1と同様のハイドロキシアパタイト粉末を用いて、水を添加せずに、図1と同様の構造を有する水熱ホットプレス装置の型内の反応容器内部に装填した後、上下のピストンで10MPaまで加圧し、同圧力で10分間保持して、圧粉体を得た。得られた圧粉体を用いて、実施例1に示す焼結操作を実施し、最終ハイドロキシアパタイト多孔質燒結体を得た。
【0041】
得られたハイドロキシアパタイト多孔質燒結体につき、空隙率/圧縮強度測定(表1参照)を行った。
【0042】
比較例2
比較例1において、加圧成形時の圧力を10MPaとする以外は、比較例1と同様にして、ハイドロキシアパタイト多孔質燒結体を得た。
【0043】
得られたハイドロキシアパタイト多孔質燒結体につき、空隙率/圧縮強度測定(表1参照)を行った。
【0044】
【表1】
【0045】
表1に示す結果から、本発明方法により製造されたハイドロキシアパタイト多孔質燒結体は、空隙率が高いにもかかわらず、機械的強度が高いことが明らかである。
【0046】
また、図3に示す様に、本発明(実施例1)で得られたハイドロキシアパタイト多孔質体は、細孔分布において二峰性ピークを示さない。図示はしないが、実施例2で得られたハイドロキシアパタイト多孔質体の場合にも、同様であった。
【0047】
さらに、図4に示す様に、本発明(実施例1)で得られたハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の微細構造には、均一な細孔が形成されており、かつ結晶粒子接点の曲率が小さい。実施例2で得られたハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の場合にも、同様であった。このことは、本発明によるハイドロキシアパタイト多孔質燒結体においては、応力を緩和できることを示唆している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する水熱ホットプレス装置の一例を示す模式的断面図である。
【図2】実施例1において使用した原料と合成されたハイドロキシアパタイト多孔質体のX線回折測定結果をそれぞれ示すグラフである。
【図3】実施例1において得られたハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の細孔分布曲線を示すグラフである。
【図4】実施例1において得られたハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の微細構造を示す図面代用電子顕微鏡写真である。
Claims (3)
- 以下の工程を備えたハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の製造方法:
(1)リン酸カルシウム系粉体と水系媒体とを混練して得た混合物を、圧力10〜 100MPaおよび温度150〜350℃の水熱ホットプレス条件下に水熱固化反応さ せる工程、および
(2)工程(1)で得られた固化体を900〜1200℃で燒結する工程。 - リン酸カルシウム系粉体が、非晶質リン酸カルシウム、リン酸−水素カルシウム化合物、リン酸三カルシウム化合物、リン酸八カルシウム化合物およびハイドロキシアパタイトからなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載のハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の製造方法。
- 工程(1)における水系媒体が、水またはアルカリ性水溶液である請求項1に記載のハイドロキシアパタイト多孔質燒結体の製造方法。
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