JP4082967B2 - 防汚性目地構造体 - Google Patents

防汚性目地構造体 Download PDF

Info

Publication number
JP4082967B2
JP4082967B2 JP2002261150A JP2002261150A JP4082967B2 JP 4082967 B2 JP4082967 B2 JP 4082967B2 JP 2002261150 A JP2002261150 A JP 2002261150A JP 2002261150 A JP2002261150 A JP 2002261150A JP 4082967 B2 JP4082967 B2 JP 4082967B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
photocatalyst
carbon atoms
antifouling
joint structure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2002261150A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004100188A (ja
Inventor
亮 中林
淳一 小熊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Chemicals Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Chemicals Corp filed Critical Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority to JP2002261150A priority Critical patent/JP4082967B2/ja
Publication of JP2004100188A publication Critical patent/JP2004100188A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4082967B2 publication Critical patent/JP4082967B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B28/00Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements
    • C04B28/02Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements containing hydraulic cements other than calcium sulfates
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B2111/00Mortars, concrete or artificial stone or mixtures to prepare them, characterised by specific function, property or use
    • C04B2111/20Resistance against chemical, physical or biological attack
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B2111/00Mortars, concrete or artificial stone or mixtures to prepare them, characterised by specific function, property or use
    • C04B2111/20Resistance against chemical, physical or biological attack
    • C04B2111/2038Resistance against physical degradation
    • C04B2111/2061Materials containing photocatalysts, e.g. TiO2, for avoiding staining by air pollutants or the like
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B2111/00Mortars, concrete or artificial stone or mixtures to prepare them, characterised by specific function, property or use
    • C04B2111/20Resistance against chemical, physical or biological attack
    • C04B2111/27Water resistance, i.e. waterproof or water-repellent materials

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Sealing Material Composition (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は建築物の内外装に使用する建材において、特に防汚性が必要とされる建材に好適な目地構造体、並びに該目地構造体の製造、処理に使用される目地材処理剤に関する。ここで言う目地とは、タイル、大型陶板、石材等の板状建材の板間にあって、表面に露出している部分を言う。
【0002】
【従来の技術】
建築物の内外装に使用するタイルや大型陶板、石材等の建材の目地材には、セメントモルタルが使用されてきた。しかし、セメントモルタルには目地の白華や、表面からの吸水による汚れの付着、さらにはカビの発生等、意匠上の不具合となる汚染が生じやすい傾向があった。
これらの問題に対し、特開2000−73046号公報では、目地材表面に光触媒を固定化し、光照射による光触媒活性や親水化を利用して耐汚染性を付与する技術が提案されている。しかしながら、提案されている技術は白華の発生がないSiO−Al系粉体とアルカリ金属珪酸塩水溶液を主成分とする特殊な目地材にしか応用できず、セメントモルタル等の汎用目地材に該技術を応用した場合は、目地材の親水性が増加するため白華等が起こりやすくなり、かえって耐久性を悪くするという問題があった。
【0003】
【特許文献】
特開2000−73046号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記のような目地部の白華の発生、汚れの付着、カビの発生を防ぎ、優れた美観を維持できる目地構造体、及びそれら目地構造体の製造に有用な目地材処理剤を提供する事を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するため種々検討を行った結果、材料表面及び表面近傍より内部が水に対する親和性に関して特定の物性を示す以下の防汚性目地構造体を見出し、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
1.光触媒(a)と一般式(7)で表される塩基性窒素を含有する珪素化合物(b1)を含有することを特徴とする目地材処理剤。
2 e 3 f g SiO (4-e-f-g)/2 (7)
(式中、R 2 は同じか又は異なり、塩基性窒素を含有する炭素数1〜30である一価の有機基を表し、R 3 は同じか又は異なり、水素原子、又は塩基性窒素を含有しない炭素数1〜30である一価の有機基を表す。Xは同じか又は異なり、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも一つの反応性基を表す。
0<e<4、0≦f<4、0≦g<4であり、0<(e+f+g)<4である。)
【0006】
2.光触媒(a)と珪素化合物(b1)の質量比が(a)/(b)=0.01/99.9〜20/80であることを特徴とする発明1.に記載の材処理剤。
3.光触媒(a)が酸化チタンであることを特徴とする発明1.又は2.に記載の目地材処理剤。
【0007】
4.光触媒(a)の数平均粒子径が800nm以下であることを特徴とする発明1.〜3.のいずれかに記載の目地材処理剤。
5.光触媒(a)が、光触媒粒子を、式(3)で表されるトリオルガノシラン単位、式(4)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(5)で表されるジオキシオルガノシラン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(c)を用いて変性処理することによって得られた変性光触媒(a1)であることを特徴とする発明1.〜4.のいずれかに記載の目地材処理剤。
1 3 Si− (3)
−(R 1 2 SiO)− (4)
【0008】
【化2】
Figure 0004082967
【0009】
(式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基から選ばれた1種以上からなる基を表す。)
【0010】
6.該変性剤化合物(c)が、一般式(6)で表されるSi−H基含有珪素化合物(c1)であることを特徴とする発明5.に記載の目地材処理剤。
x 1 y z SiO (4-x-y-z)/2 (6)
(式中、R 1 は各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基から選ばれた1種以上からなる基を表す。 また、式中Qは、又は下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
(あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
(い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、酸無水物基、環状酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
(う)少なくとも1つの分光増感基。
また、0<x<4、0<y<4、0≦z<4、及び(x+y+z)≦4である。)
【0011】
7.ペースト状の含水組成物であることを特徴とする発明1.〜6.のいずれかに記載の目地材処理剤。
8.発明1.〜7.のいずれかに記載の目地材処理剤で処理され、表面が光触媒活性及び/又は親水性であり、表面近傍より内部が撥水性であることを特徴とする防汚性目地構造体。
9.表面に光触媒(a)が存在し、表面近傍より内部に上記一般式(7)で表される塩基性窒素を含有する珪素化合物(b1)が存在する発明8.に記載の防汚性目地構造体。
【0012】
10.光触媒(a)が酸化チタンである発明8.または9.に記載の防汚性目地構造体。
11.目地構造体を構成する目地材がセメントモルタルであることを特徴とする発明8.〜10.のいずれかに記載の防汚性目地構造体。
12.光照射及び/又は水によって、容易に汚れを除去できることを特徴とする発明8.〜11.のいずれかに記載の防汚性目地構造体。
13.表面が光触媒活性及び/又は親水性であり、表面近傍より内部が撥水性である防汚性目地構造体であって、目地構造体を構成する目地材がセメントモルタルであることを特徴とする防汚性目地構造体。
【0013】
14.表面に光触媒(A)が存在し、表面近傍より内部に一般式(1)で表される珪素化合物(B)が存在する発明13.に記載の防汚性目地構造体。
a b SiO (4-a-b)/2 (1)
(式中、Rは同じか又は異なり、水素原子又は炭素数1〜30である一価の有機基を表す。Xは同じか又は異なり、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも一つの反応性基を表す。
0<a<4、0≦b<4であり、0<(a+b)<4である。)
15.光触媒(A)が酸化チタンである発明13.または14.に記載の防汚性目地構造体。
16.光照射及び/又は水によって、容易に汚れを除去できることを特徴とする発明13.〜15.のいずれかに記載の防汚性目地構造体。
17.発明1.〜7.のいずれかに記載の目地材処理剤を表面に処理することを特徴とする発明8.〜13.のいずれかに記載の防汚性目地構造体の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下に具体的に説明する。
本発明の防汚性目地構造体は、撥水性物質の実質的に表面(大気界面)のみを光触媒活性及び/又は親水性にした構造であり、表面が光触媒活性及び/又は親水性であり、かつ表面近傍より内部が撥水性である該防汚性目地構造体は耐汚染性が良好で、かつ吸水防止性に優れるという特徴を有する。
【0015】
本発明において、光触媒活性とは、光照射によって酸化、還元反応を起こすことを言う。光触媒活性であるか否かは、例えば材料表面の光照射時における色素等の有機物の分解性を測定することによりを判定することができる。光触媒活性を有する表面は、汚染有機物質の分解による耐汚染性を発現する。
本発明において、親水性とは20℃での水の接触角が60゜以下である場合を言うが、特に水の接触角が20゜以下の親水性を有する表面は、降雨や水洗浄等の水による自己浄化能(セルフクリーニング)による耐汚染性を発現するので好ましい。さらに優れた耐汚染性発現の点からは表面の水の接触角は10゜以下であることが好ましい。
【0016】
本発明において撥水性とは20℃での水の接触角が90゜より大である場合を言う。
本発明に於いて、表面近傍より内部とは表面より1〜100μm程度より深い材料内部を言う。材料表面の水の接触角を測定することにより表面が親水性であるか否かを判定でき、材料を切断し表面より深い部分の水の接触角を測定することにより表面近傍より内部が撥水性であるか否かを判定できる。表面近傍の材料内部が撥水性であることにより、多孔性であるにも係わらず、表面から内部への水の進入を防止し、その耐久性が向上する。
【0017】
従来の浸透性吸水防止剤(特開平1−292089号公報、特開平4−249588号公報、特開平5−156164号公報、特開平5−221748号公報、特開平9−77780号公報、特許第3160231号公報等)による処理では材料表面、内部とも撥水性となり、耐汚染性の点で好ましくない。表面のみが光触媒活性及び/又は親水性、表面近傍より内部が撥水性であるという特異な構造を持つ本発明により、吸水防止性と耐汚染性を合わせ持った防汚性目地構造体を得ることが出来た。
【0018】
本発明においては光触媒(a)、及び一般式(2)で表される珪素化合物(b)を含有することを特徴とする目地材処理剤を提供する。
SiO(4−c−d)/2 (2)
(式中、Rは同じか又は異なり、水素原子又は炭素数1〜30である一価の有機基を表す。Xは同じか又は異なり、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも一つの反応性基を表す。
0<c<4、0≦d<4であり、0<(c+d)<4である。)
該目地材処理剤は浸透性であり、これを目地構造体表面に処理することにより光触媒(a)は材料表面に残存し、珪素化合物(b)は材料表面より、徐々に内部に浸透していき、その結果、本発明の防汚性目地構造体を得ることが出来る。
【0019】
本発明の目地材処理剤は材料表面に塗膜を形成することにより水の進入を防止するのではなく、珪素化合物(b)を材料内部に浸透させることにより撥水性を付与し、吸水を防止するものであり、材料の外観を変えない点や吸水防止性能の点から、塗膜を形成するタイプより優れた性質を持つものである。
【0020】
本発明の目地材処理剤に用いられる光触媒(a)とは、伝導帯と価電子帯との間のエネルギーギャップよりも大きなエネルギー(すなわち短い波長)の光(励起光)を照射したときに、価電子帯中の電子の励起(光励起)が生じて、伝導電子と正孔を生成しうる物質をいう。このとき、伝導帯に生成した電子の還元力および/または価電子帯に生成した正孔の酸化力を利用して、種々の化学反応を行うことができる。
この光触媒(a)によって促進される化学反応の例としては、種々の有機物の酸化分解反応を挙げることができる。従って、この光触媒(a)を目地構造体の表面に固定化させれば、目地構造体に付着した種々の有機物(汚染物質)を、光エネルギーを利用して酸化分解することができ、さらに目地構造体の表面を親水性に保つことが可能となる。
【0021】
本発明において、目地構造体の表面を光触媒活性及び/又は親水性にするの有用な目地材処理剤に用いられる光触媒(a)としては、例えばTiO、ZnO、SrTiO、CdS、GaP、InP、GaAs、BaTiO、BaTiO、BaTi、KNbO、Nb、Fe、Ta、KTaSi、WO、SnO、Bi、BiVO、NiO、CuO、SiC、MoS、InPb、RuO、CeO、Ta等、さらにはTi、Nb、Ta、Vから選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物(特開昭62−74452号公報、特開平2−172535号公報、特開平7−24329号公報、特開平8−89799号公報、特開平8−89800号公報、特開平8−89804号公報、特開平8−198061号公報、特開平9−248465号公報、特開平10−99694号公報、特開平10−244165号公報等参照)や、窒素ドープ酸化チタン(特開平13−278625号公報、特開平13−278627号公報、特開平13−335321号公報、特開平14−029750号公報、特開平13−207082号公報等参照)や、酸素欠陥型の酸化チタン(特開平13−212457号公報参照)の如き、可視光応答型酸化チタン光触媒も好適に使用することができる。また、TaON、LaTiON、CaNbON、LaTaON、CaTaON等のオキシナイトライド化合物やSmTi等のオキシサルファイド化合物は可視光による光触媒活性が大きく、好適に使用することができる。
【0022】
更に、これらの光触媒に、Pt、Rh、Ru、Nb、Cu、Sn、Ni、Feなどの金属及び/又はこれらの酸化物を添加あるいは固定化したものや、多孔質リン酸カルシウム等で被覆された光触媒(特開平10−244166号公報参照)等を使用することもできる。
上記光触媒(a)の結晶粒子径(1次粒子径)は1〜400nmであることが好ましく、より好ましくは1〜50nmの光触媒が好適に選択される。
【0023】
これらの光触媒のうち、酸化チタンは無毒であり、化学的安定性にも優れると共に、光照射により、酸化チタン自体の親水性が非常に高まるため好ましい。
該酸化チタンとしては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のうち、いずれの結晶形を使用してもよい。また、可視光応答性である上記窒素ドープ酸化チタンや酸素欠陥型の酸化チタンも、該酸化チタンとして好適に使用できる。
本発明の光触媒(a)の形態としては粉体、分散液、ゾルのいずれでも用いることが出来る。
【0024】
該光触媒(a)の数平均粒子径は800nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることが特に好ましい。該光触媒(a)の数平均粒子径が大きいと吸収防止剤の安定性が低下し、また処理した防汚性目地構造体表面に強固に固定化されないため耐汚染性の効果が十分発揮できないので好ましくない。
一般に微細な粒子からなる粉体は、複数の粒子が強力に凝集した二次粒子を形成するため、一つ一つの一次粒子にまで分散させるのは非常に困難である。そのため、本発明の目地材処理剤を調整するのに用いる光触媒(a)の形態は、光触媒ゾルであることが好ましい。
【0025】
ここで、上記光触媒ゾルとは、光触媒粒子が水及び/又は有機溶媒中に0.01〜70質量%、好ましくは0.1〜50質量%で一次粒子及び/または二次粒子として分散されたものである。
ここで、上記光触媒ゾルに使用される上記有機溶媒としては、例えばエチレングリコール、ブチルセロソルブ、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等、さらにはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0026】
該光触媒ゾルとして酸化チタンのゾルを例にとると、例えば実質的に水を分散媒とし、その中に酸化チタン粒子が解膠された酸化チタンヒドロゾル等を挙げることができる。(ここで、実質的に水を分散媒とするとは、分散媒中に水が80質量%程度以上含有されていることを意味する。)かかるゾルの調整は公知であり、容易に製造できる(特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等参照)。例えば、硫酸チタンや四塩化チタンの水溶液を加熱加水分解して生成したメタチタン酸をアンモニア水で中和し、析出した含水酸化チタンを濾別、洗浄、脱水させると酸化チタン粒子の凝集物が得られる。この凝集物を、硝酸、塩酸、又はアンモニア等の作用の下に解膠させ水熱処理等を行うことにより酸化チタンヒドロゾルが得られる。また、酸化チタンヒドロゾルとしては、酸化チタン粒子を酸やアルカリの作用の下で解膠させたものや、酸やアルカリを使用せず、必要に応じてポリアクリル酸ソーダなどの分散安定剤を使用し、強力なせん断力の下で水中に分散させたゾルも用いることができる。さらに、pHが中性付近の水溶液中においても分散安定性に優れる、粒子表面がペルオキソ基で修飾されたアナターゼ型酸化チタンゾルも特開平10−67516号公報で提案された方法によって容易に得ることができる。
【0027】
上述した酸化チタンヒドロゾルはチタニアゾルとして市販されている。(例えば、石原産業株式会社製「STS−02」、田中転写株式会社製「TO−240」等)
上記酸化チタンヒドロゾル中の固形分は好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。さらに好ましくは30質量%以下0.1質量%以上である。このようなヒドロゾルの粘度(20℃)は比較的低い。本発明においては、ヒドロゾルの粘度は、好ましくは0.5〜2000mPa・s程度の範囲にあればよい。さらに好ましくは1〜1000mPa・s、より好ましくは1〜500mPa・sである。
【0028】
また、例えば酸化セリウムゾル(特開平8−59235号公報参照)やTi、Nb、Ta、Vよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物のゾル(特開平9−25123号公報、特開平9−67124号公報、特開平9−227122号公報、特開平9−227123号公報、特開平10−259023号公報等参照)等、様々な光触媒ゾルの製造方法についても酸化チタンゾルと同様に知られている。
【0029】
また、実質的に有機溶媒を分散媒とし、その中に光触媒粒子が分散された光触媒オルガノゾルは、例えば上記光触媒ヒドロゾルをポリエチレングリコール類の如き相間移動活性を有する化合物(異なる第1の相と第2相との界面に第3の相を形成し、第1の相、第2の相、第3の相を相互に溶解及び/又は可溶化する化合物)で処理し有機溶媒で希釈したり(特開平10−167727号公報)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤で水に不溶性の有機溶剤中に分散移行させてゾルを調整する方法(特開昭58−29863号公報)やブチルセロソルブ等の水より高沸点のアルコール類を上記光触媒ヒドロゾルに添加した後、水を(減圧)蒸留等によって除去する方法等により得ることができる。また、実質的に有機溶媒を分散媒とし、その中に酸化チタン粒子が分散された酸化チタンオルガノゾルは市販されている(例えば、テイカ株式会社製「TKS−251」)。ここで、実質的に有機溶媒を分散媒とするとは、分散媒中に有機溶媒が80%程度以上含有されていることを意味する。
【0030】
本発明の目地材処理剤に用いる光触媒(a)として、光触媒粒子を、式(3)で表されるトリオルガノシラン単位、式(4)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(5)で表されるジオキシオルガノシラン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(c)を用いて変性処理することによって得られた変性光触媒(a1)用いると、本発明の目地材処理剤は貯蔵安定性に優れるとともに、該目地材処理剤で処理した防汚性目地構造体表面に該変性光触媒(a1)は強固に固定化され、耐汚染性の効果を有効に発揮できるため好ましい。
Si− (3)
−(R SiO)− (4)
【0031】
【化3】
Figure 0004082967
【0032】
(式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基から選ばれた1種以上からなる基を表す。)
【0033】
本発明において上記変性とは、後述する少なくとも1種の変性剤化合物(c)を、光触媒(a)の粒子表面に固定化することを意味する。上記の変性剤化合物の光触媒粒子の表面への固定化は、ファン・デル・ワールス力(物理吸着)やクーロン力または化学結合によるものと考えられる。特に、化学結合を利用した変性は、変性剤化合物と光触媒との相互作用が強く、変性剤化合物が光触媒粒子の表面に強固に固定化されるので好ましい。
【0034】
本発明において、光触媒(a)の変性剤化合物(c)による変性処理は、水及び/又は有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、前述した光触媒(a)と、同じく前述した変性剤化合物(c)を好ましくは質量比(a)/(c)=1/99〜99.9/0.1、より好ましくは(a)/(c)=10/90〜99/1の割合で混合し、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜80℃にて加熱したり、(減圧)蒸留等により該混合物の溶媒組成を変化させる等の操作をすることにより得ることができる。
【0035】
ここで上記変性処理を行う場合、使用できる有機溶媒としては、例えばトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等やこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0036】
本発明の変性光触媒(a1)を得るのに使用される上記変性剤化合物(c)としては、例えばSi−H基、加水分解性シリル基(アルコキシシリル基、ヒドロキシシリル基、ハロゲン化シリル基、アセトキシシリル基、アミノキシシリル基等)、エポキシ基、アセトアセチル基、チオール基、酸無水物基等の光触媒(a)と反応性を有する珪素化合物や、例えばポリオキシアルキレン基等の光触媒(a)とファン・デル・ワールス力、クーロン力等により相互作用する構造を有する珪素化合物等を挙げることができる。
【0037】
本発明において、上記変性剤化合物(c)として、一般式(6)で表されるSi−H基含有珪素化合物(c1)を用いると、非常に効率よく光触媒(a)の粒子表面を変性することができるため好ましい。
SiO(4−x−y−z)/2 (6)
(式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
【0038】
また、式中Qは、又は下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
(あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
(い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、酸無水物基、環状酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
(う)少なくとも1つの分光増感基。
また、0<x<4、0<y<4、0≦z<4、及び(x+y+z)≦4である。)
【0039】
本発明において、光触媒(a)の上記一般式(6)で表されるSi−H基含有珪素化合物(c1)による変性処理は、水及び/又は有機溶媒の存在下、あるいは非存在下において、光触媒(a)と該Si−H基含有珪素化合物(c1)を好ましくは質量比(a)/(c1)=1/99〜99.9/0.1、より好ましくは(a)/(c1)=10/90〜99/1の割合で0〜200℃にて混合することにより実施できる。この変性の操作により混合液からは水素ガスが発生すると共に、光触媒(a)として光触媒ゾルを用いた場合、その平均粒子径の増加が観察される。また、例えば光触媒(a)として酸化チタンを用いた場合、上記変性の操作により、Ti−OH基の減少がIRスペクトルにおける3630〜3640cm−1の吸収の減少として観測される。
【0040】
これらのことより、変性剤化合物(c)として上記一般式(6)で表されるSi−H基含有珪素化合物(c1)を選択した場合は、本発明の変性光触媒(a1)は、Si−H基含有珪素化合物(c1)と光触媒(a)との単なる混合物ではなく、両者の間には化学反応に伴う何らかの相互作用を生じていることが予測できるため非常に好ましい。実際、この様にして得られた変性光触媒(a1)は、溶媒や後述する珪素化合物(b)に対する分散安定性や化学的安定性、耐久性等において非常に優れたものとなる。
【0041】
本発明の上記組成式(6)で表されるSi−H基含有珪素化合物(c1)において、Si−H基は光触媒を穏和な条件で選択性良く変性するための必須の官能基である。これに対し、珪素原子に結合したアルコキシ基や水酸基は、同様に光触媒の変性に利用することもできるが、副反応を抑制し、得られる変性光触媒の安定性を向上するためには、その含有量は少ない方が好ましい。
本発明に好適に使用できる上記一般式(6)で表されるSi−H基含有珪素化合物(c1)としては、例えば式(8)や式(9)で表されるモノSi−H基含有化合物、式(10)で表される両末端Si−H基含有化合物、式(11)で表されるHシリコーン化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種のSi−H基含有珪素化合物を挙げることができる。
【0042】
【化4】
Figure 0004082967
【0043】
(式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、もしくは式(12)で表されるシロキシ基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
−O−(R SiO)−SiR ・・・(12)
(式中、Rはそれぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基から選ばれた1種以上からなる基を表す。また、nは整数であり、0≦n≦1000である。))
H−(R SiO)−SiR −Q ・・・(9)
(式中、Rは式(8)で定義した通りである。
【0044】
また、式中Qは、又は下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
(あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
(い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、酸無水物基、環状酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
(う)少なくとも1つの分光増感基。
mは整数であり、0≦m≦1000である。)
H−(R SiO)−SiR −H ・・・(10)
(式中、Rは式(8)で定義した通りである。mは整数であり、0≦m≦1000である。)
(RHSiO)(R SiO)(RQSiO)(R SiO1/2・・・(11)
(式中、Rは式(8)で定義した通りであり、Qは式(9)で定義した通りである。
pは1以上の整数であり、q及びrは0又は1以上の整数であり、(p+q+r)≦10000であり、そしてsは0又は2である。但し、(p+q+r)が2以上の整数であり且つs=0の場合、該Hシリコーン化合物は環状シリコーン化合物であり、s=2の場合、該Hシリコーン化合物は鎖状シリコーン化合物である。)
【0045】
本発明において、上記式(8)で表されるモノSi−H基含有化合物の具体例としては、例えばビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)エチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−プロピルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)i−プロピルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−ブチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−ヘキシルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)シクロヘキシルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)フェニルシラン、ビス(トリエチルシロキシ)メチルシラン、ビス(トリエチルシロキシ)エチルシラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリス(トリエチルシロキシ)シラン、ペンタメチルジシロキサン、1,1,1,3,3,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,1,3,3,5,5,6,6−ノナメチルテトラシロキサン、トリメチルシラン、エチルジメチルシラン、メチルジエチルシラン、トリエチルシラン、フェニルジメチルシラン、ジフェニルメチルシラン、シクロヘキシルジメチルシラン、t−ブチルジメチルシラン、ジ−t−ブチルメチルシラン、n−オクタデシルジメチルシラン、トリ−n−プロピルシラン、トリ−i−プロピルシラン、トリ−i−ブチルシラン、トリ−n−ヘキシルシラン、トリフェニルシラン、アリルジメチルシラン、1−アリル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、クロロメチルジメチルシラン、7−オクテニルジメチルシラン等を挙げることができる。
【0046】
本発明において、上記式(10)で表される両末端Si−H基含有化合物の具体例としては、例えば1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン等の数平均分子量50000以下のH末端ポリジメチルシロキサン類や、1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタエチルテトラシロキサン等の数平均分子量50000以下のH末端ポリジエチルシロキサン類や、1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサフェニルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタフェニルテトラシロキサン等の数平均分子量50000以下のH末端ポリジフェニルシロキサン類や、1,3−ジフェニル−1,3−ジメチル−ジシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニル−トリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニル−テトラシロキサン等の数平均分子量50000以下のH末端ポリフェニルメチルシロキサン類や、ジメチルシラン、エチルメチルシラン、ジエチルシラン、フェニルメチルシラン、ジフェニルシラン、シクロヘキシルメチルシラン、t−ブチルメチルシラン、ジ−t−ブチルシラン、n−オクタデシルメチルシラン、アリルメチルシラン等を例示することができる。
【0047】
本発明に用いる上記式(11)で表されるHシリコーン化合物としては、光触媒の変性処理時における分散安定性(光触媒粒子の凝集の防止)の点より、数平均分子量が好ましくは50000以下、より好ましくは10000以下、さらに好ましくは5000以下のHシリコーン化合物が好適に使用できる。
また、上記一般式(6)で表されるSi−H基含有珪素化合物(c1)として、機能性付与基含有基(Q)を有するもの(式(9)、式(11)であってrが1以上の正数のもの等)を選択すると、本発明で得られる変性光触媒(a1)に種々の機能を付与できるため好ましい。
【0048】
ここで機能性付与基含有基(Q)は下式(13)で表される基であることが好ましい。
−Z−(W) ・・・(13)
(式中、Zは分子量14〜50,000のt価の有機基を表し、Wは上記式(6)中の機能性付与基(あ)〜(う)からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、tは1〜20の整数である。)
例えば機能性付与基含有基(Q)として、カルボキシル基あるいはその塩を含む1価の基、リン酸基あるいはその塩を含む1価の基、スルホン酸基あるいはその塩を含む1価の基、アミノ基あるいはその塩を含む1価の基、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基[式(6)中の(あ)]を有するものを選択すると、得られる変性光触媒(a1)の水に対する分散安定性が非常に良好なものとなる。
【0049】
また、例えば機能性付与基含有基(Q)として、エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、酸無水物基、環状酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基[式(6)中の(い)]を含有する基を選択すると本発明の変性光触媒(a1)は架橋性を有し、防汚性目地構造体の表面に強固に固定化されことができるので好ましい。
【0050】
また、例えば機能性付与基含有基(Q)として、分光増感基を有するものを選択すると、本発明の変性光触媒(a1)は、紫外線領域だけでなく、可視光領域及び/又は赤外光領域の光の照射によっても触媒活性や光電変換機能を発現することができる。
ここで、分光増感基とは、可視光領域及び/又は赤外光領域に吸収を持つ種々の金属錯体や有機色素(即ち、増感色素)に由来する基を意味する。
【0051】
増感色素としては、例えばキサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、ローダシアニン系色素、スチリル系色素、ヘミシアニン系色素、メロシアニン系色素、フタロシアニン系色素(金属錯体を含む)、ポルフィリン系色素(金属錯体を含む)、トリフェニルメタン系色素、ペリレン系色素、コロネン系色素、アゾ系色素、ニトロフェノール系色素、さらには特開平1−220380号公報や特許出願公表平5−504023号公報に記載のルテニウム、オスミウム、鉄、亜鉛の錯体や、他にルテニウムレッド等の金属錯体を挙げることができる。
【0052】
これらの増感色素の中で、400nm以上の波長領域で吸収を持ち、かつ最低空軌道のエネルギー準位(励起状態の酸化還元電位)が光触媒の伝導帯のエネルギー準位より高いという特徴を有するものが好ましい。このような増感色素の特徴は、赤外・可視・紫外領域における光の吸収スペクトルの測定、電気化学的方法による酸化還元電位の測定(T.Tani, Photogr. Sci. Eng., 14, 72 (1970); R.W.Berriman et al., ibid., 17. 235 (1973); P.B.Gilman Jr., ibid., 18, 475 (1974)等)、分子軌道法を用いたエネルギー準位の算定(T.Tani et al., Photogr. Sci. Eng., 11, 129 (1967); D.M.Sturmer et al., ibid., 17. 146 (1973); ibid., 18, 49 (1974); R.G.Selby et al., J. Opt. Soc. Am., 33, 1 (1970)等)、更には光触媒と分光増感色素によって作成したGratzel型湿式太陽電池の光照射による起電力の有無や効率等によって確認することができる。
【0053】
上記の特徴を有する増感色素の例としては、9−フェニルキサンテン骨格を有する化合物、2,2−ビピリジン誘導体を配位子として含むルテニウム錯体、ペリレン骨格を有する化合物、フタロシアニン系金属錯体、ポルフィリン系金属錯体等を挙げることができる。
【0054】
本発明において、上述した機能性付与基含有基(Q)を有するSi−H基含有珪素化合物を得る方法としては、
(Q−1)−方法として、下記一般式(14)で表されるSi−H基含有化合物と、機能性付与基[式(6)中の(あ)〜(う)]を有する炭素−炭素不飽和結合化合物をヒドロシリル化反応させる方法。
(Q−2)−方法として、下記一般式(14)で表されるSi−H基含有珪素化合物とと、反応性基[式(6)中の(い)]を有する炭素−炭素不飽和結合化合物をヒドロシリル化反応させて反応性基を有するSi−H基含有珪素化合物を得た後、該反応性基と反応性を有する機能性付与基含有化合物を反応させる方法が挙げられる。
(x+z) SiO(4−x−y−z)/2 (14)
(式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
【0055】
また、0<(x+z)<4、0<y<4、及び(x+y+z)≦4である。)
まず、機能性付与基(Q)を有するSi−H基含有珪素化合物を得る方法として、上述した(Q−1)の方法[以下(Q−1)−方法]について説明する。
(Q−1)−方法において、上記式(14)で表されるSi−H基含有珪素化合物に、機能性付与基として親水性基を導入するのに用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基、環状酸無水物からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基を有するオレフィン類、アリルエーテル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン誘導体等が挙げられる。
【0056】
上記親水性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の好ましい具体例として、例えば式(15)で表されるポリオキシエチレン基含有アリルエーテルや、さらには5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、アリルコハク酸無水物等を挙げることができる。
CH=CHCHO(CHCHO) (15)
(式中、tは1〜1000の整数を表す。Rは、水素原子或いは直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基を表す。)
また、上記式(14)で表されるSi−H基含有珪素化合物に反応性基を導入するのに用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、酸無水物基、環状酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1種の反応性基を有するオレフィン類、アリルエーテル類、アリルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン誘導体等が挙げられる。
【0057】
上記反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の好ましい具体例として、例えばアリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリル、ジアリルエーテル、ジアリルフタレート、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、エチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、5−ヘキセン−2−オン、アリルイソシアネート、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、アリルアミン、アリルイソチオシアネート、アリルセミカルバジド、(メタ)アクリル酸ヒドラジド、4−アリルオキシメチル−2−オキソ−1,3−ジオキソラン等を挙げることができる。
【0058】
また、上記式(14)で表されるSi−H基含有珪素化合物に分光増感基を導入するのに用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、前述した分光増感色素を有するオレフィン類、アリルエーテル類、アリルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン誘導体等が挙げられる。これらは、例えば前述した反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物と、該反応性基と反応性を有する分光増感色素との反応によって容易に得ることができる。
【0059】
例えば、反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の反応性基がエポキシ基、酸無水物基、環状酸無水物基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基、ケト基、(メタ)アクリロイル基の場合は、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、ヒドラジン残基、(メタ)アクリロイル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を有する分光増感色素であり、逆に反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の反応性基がアミノ基、カルボキシル基、水酸基、ヒドラジン残基、(メタ)アクリロイル基の場合は、エポキシ基、酸無水物基、環状酸無水物基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基、ケト基、(メタ)アクリロイル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を有する分光増感色素が挙げられる。
【0060】
上記反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物とそれに反応性を有する分光増感色素との反応は、各々の反応性基の種類に応じた反応温度、反応圧力、溶媒等の反応条件を選択して実施できる。その際、分光増感色素の安定性の点から、反応温度としては300℃以下が好ましく、150℃以下0℃以上がさらに好ましい。
(Q−1)−方法において、上記炭素−炭素不飽和結合化合物と上記式(14)で表されるSi−H基含有珪素化合物とのヒドロシリル化反応は、好ましくは触媒の存在下、有機溶媒の存在下あるいは非存在下において0〜200℃で炭素−炭素不飽和結合化合物(D)と式(14)で表されるSi−H基含有珪素化合物(c1’)を、質量比(D)/(c1’)=0.01以上、より好ましくは(D)/(B’)=0.01〜2、さらに好ましくは(D)/(B’)=0.01〜1で接触させることにより行うことができる。
【0061】
上記ヒドロシリル化反応の触媒としては、白金族触媒、すなわちルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の化合物が適しているが、特に白金の化合物とパラジウムの化合物が好適である。白金の化合物としては、例えば塩化白金(II)、テトラクロロ白金酸(II)、塩化白金(IV)、ヘキサクロロ白金酸(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)アンモニウム、ヘキサクロロ白金(IV)カリウム、水酸化白金(II)、二酸化白金(IV)、ジクロロ−ジシクロペンタジエニル−白金(II)、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−オレフィン錯体や白金の単体、アルミナやシリカや活性炭に固体白金を担持させたものが挙げられる。パラジウムの化合物としては、例えば塩化パラジウム(II)、塩化テトラアンミンパラジウム(II)酸アンモニウム、酸化パラジウム(II)等が挙げられる。
【0062】
また、ヒドロシリル化反応に使用できる有機溶媒としては、例えばトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等やこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0063】
次に、機能性付与基を有するSi−H基含有珪素化合物を得る方法として、上述した(Q−2)の方法[以下(Q−2)−方法]について説明する。
(Q−2)−方法において使用される反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物としては、(Q−1)−方法において述べたものを挙げることができる。また、上述した式(14)で表されるSi−H基含有珪素化合物と該反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物とのヒドロシリル化反応は、(Q−1)−方法で述べたヒドロシリル化反応と同じ条件で実施することができる。
(Q−2)−方法によると、上記ヒドロシリル化反応によって反応性基を有するSi−H基含有珪素化合物を得ることができる。この反応性基を有するSi−H基含有珪素化合物とそれに反応性を有する機能性付与基含有化合物との反応は、各々の反応性基の種類に応じた反応温度、反応圧力、溶媒等の反応条件を選択して実施できる。その際、Si−H基の安定性の点から、反応温度としては300℃以下が好ましく、150℃以下0℃以上がさらに好ましい。
【0064】
本発明の目地材処理剤は、上述した光触媒(a)と一般式(2)で表される珪素化合物(b)とを含んでなる。
SiO(4−c−d)/2 (2)
(式中、Rは同じか又は異なり、水素原子又は炭素数1〜30である一価の有機基を表す。Xは同じか又は異なり、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも一つの反応性基を表す。
0<c<4、0≦d<4であり、0<(c+d)<4である。)
上記一般式(2)で示される珪素化合物(b)としては、例えば後述するシラン誘導体モノマーや式(16)、(17)、(18)及び(19)で表されるシロキサン結合の少なくとも1種の構造を含むシリコーンを挙げることができる。
【0065】
【化5】
Figure 0004082967
【0066】
−(RSiO)− ・・・(17)
【0067】
【化6】
Figure 0004082967
【0068】
【化7】
Figure 0004082967
【0069】
(式中、Rは同じか又は異なり、水素原子又は炭素数1〜30である一価の有機基を表す。)
【0070】
上述した構造を含むシリコーンは、例えば式RSiX3(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜30の一価の有機基を表す。Xは同じか又は異なり、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも一つの反応性基を表す。以下同様。)で表される3官能シラン誘導体モノマー及び/又は式R2SiX2で表される2官能シラン誘導体モノマー及び/又は式SiX4で表される4官能シラン誘導体モノマー、及び必要により式RSiXで表される1官能シラン誘導体モノマーを、有機酸又は無機酸の存在下、あるいは非存在下に、反応温度好ましくは0〜120℃、より好ましくは10〜60℃で、部分的に加水分解・縮重合させることにより調製できる。この様にして得られるシラン誘導体モノマーの部分縮合物のポリスチレン換算質量平均分子量は、好ましくは200〜10000、さらに好ましくは400〜5000である。
【0071】
上記有機酸及び無機酸としては、例えば塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、シュウ酸及びマレイン酸などから選ばれる少なくとも1種の酸が用いられるが、特に好適なのは酢酸、プロピオン酸である。また、加水分解の際は適度に溶剤で希釈した状態で行うことができる。溶剤としては、アルコール系溶剤が好適であり、特にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、第三ブチルアルコールが好適である。この溶剤の使用量は、上記シラン誘導体モノマーの総量100質量部に対して好ましくは5〜300質量部、特に好ましくは50〜200質量部である。また、これらの溶剤は反応終了後に、必要により除去することができる。
また、上記シラン誘導体モノマーを加水分解させるために加える水量は、上記シラン誘導体の総量1モルに対し0.05〜5モル量、特に0.5〜3.5モル量が好適である。
【0072】
本発明において、上述した一般式(2)で示される珪素化合物(b)を例示すると、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、アルコキシ基含有シリコーンオイル、シラノール基含有シリコーンオイル、ビニル基含有シリコーンオイル、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシリコーンオイル類、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、フロロアルキル変性シリコーン等の変性シリコーン類、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等の(アルキル)アルコキシシランのモノマー、オリゴマー、及び重合体、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤及びその反応生成物、シリコーン界面活性剤等である。これらの珪素化合物は単独でも、2種以上を同時に用いることもできる。
【0073】
本発明の上記珪素化合物(b)は、無溶媒の状態(液体、固体)であっても水や有機溶剤等の溶媒に溶解あるいは分散した状態であっても良く、特に制限はない。
上記有機溶剤としては、例えばエタノール、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ブチルセロソルブ等のアルコール類、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等、さらにはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0074】
本発明の上記珪素化合物(b)として、水に安定に溶解、あるいは分散するものを選択すると、該珪素化合物(b)を用いた目地材処理剤が、環境の側面から好ましい水系(水溶液、水性エマルジョン、水性ペースト等)の形態として製造できるため好ましい。
このような珪素化合物(b)としては、親水性基(カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基等)を有する珪素化合物を挙げることができるが、特に一般式(7)で表される塩基性窒素を含有する珪素化合物(b1)が、防汚性目地構造体への含浸性、吸水防止性能の付与の点から好ましい。
SiO(4−e−f−g)/2 (7)
(式中、Rは同じか又は異なり、塩基性窒素を含有する炭素数1〜30である一価の有機基を表し、Rは同じか又は異なり、水素原子、又は塩基性窒素を含有しない炭素数1〜30である一価の有機基を表す。Xは同じか又は異なり、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも一つの反応性基を表す。
0<e<4、0≦f<4、0≦g<4であり、0<(e+f+g)<4である。)
【0075】
本発明において、上記一般式(7)で表される塩基性窒素を含有する珪素化合物(b1)は、例えば、式RSiX3(式中、Rは水素原子、又は塩基性窒素を含有しない炭素数1〜30である一価の有機基を表す。Xは、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも一つの反応性基を表す。以下同様。)や式R 2SiX2、式R SiXで表される塩基性窒素を含有しないシラン誘導体モノマー(b1−1)と、式RSiX3(式中、Rは塩基性窒素を含有する炭素数1〜30である一価の有機基を表す。Xは、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも一つの反応性基を表す。以下同様。)や式R 2SiX2、式RSiX2、式R SiX、式R SiX、式R SiXで表される塩基性窒素を含有するシラン誘導体モノマー(b1−2)を、必用により式SiX4で表される4官能シラン誘導体モノマーを添加して、上述した有機酸又は無機酸の存在下、あるいは非存在下に、また上述した有機溶剤の存在下、あるいは非存在下に、反応温度0〜120℃、好ましくは10〜60℃で、部分的に加水分解・縮重合させることにより調製できる。
【0076】
この際、上記塩基性窒素を含有しないシラン誘導体モノマー(b1−1)と上記塩基性窒素を含有するシラン誘導体モノマー(b1−2)は、同時に加水分解・縮重合させてもよいし、別々に加水分解・縮重合させた後、混合して調整してもよい。さらに、同時に加水分解・縮重合させたものを、(b1−1)単独あるいは(b1−2)単独で加水分解・縮重合させたものと混合して調整してもよい。
【0077】
ここで、上記一般式(7)で表される塩基性窒素を含有する珪素化合物(b1)におけるR基の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert.−ブチル基、n−ペン チル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert.−ペンチル基;n−ヘキシル基のようなヘキシル基;n−ヘプチル基のようなヘプチル基;n−オクチル基のようなオクチル基および2,2,4−トリメチルペンチル基のようなイソオクチル基;n−ノニル基のようなノニ ル基;nーデシル基のようなデシル基およびn−ドデシル基のようなドデシル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基およびメチルシクロヘキシル基のようなシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、n−5−ヘキセニル基、4−ビニルシクロヘキシル基および3−ノルボルネニル基のようなアルケニル基;フェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基およびフェナントリル基 のようなアリール基;o−、m−、p−トリル基、キシリル基およびエチルフェニル基のようなアルカリール 基;ベンジル基、α−およびβ−フェニルエチル基のようなアラルキル基等を挙げることができる。これらの中で、非置換の炭素数1〜20のアルキル基およびフェニル基が好まく使用できる。
【0078】
また、上記一般式(7)で表される塩基性窒素を含有する珪素化合物(b1)におけるR基の具体例としては、
2N(CH23
2N(CH22NH(CH22
2N(CH22NH(CH23
2N(CH22
3CNH(CH23
25NH(CH23
3CNH(CH22
25NH(CH22
2N(CH24
2N(CH25
H(NHCH2CH23
49NH(CH22NH(CH22
シクロ−C611NH(CH23
シクロ−C611NH(CH22
(CH32N(CH23
(CH32N(CH22
(C252N(CH23
(C252N(CH22
を挙げることができる。
【0079】
また、上記一般式(7)で表される塩基性窒素を含有する珪素化合物(b1)におけるX基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec.−ブトキシ基、tert.−ブトキシ基;n−ペンチルオキシ基のようなペンチルオキシ基およびn−ヘキシルオキシ基のようなヘキシルオキシ基、塩素原子、臭素原子、水酸基等を挙ることができる。
【0080】
本発明の目地材処理剤は、上述した光触媒(a){変性光触媒(a1)を含む}と珪素化合物(b)を、好ましくは質量比(a)/(b)=0.01/99.9〜90/10で含有するものであるが、耐汚染性と耐水性を効率的に発揮させるには、質量比(a)/(b)=0.01/99.9〜20/80であることがより好ましい。さらに好ましくは、質量比(a)/(b)=0.05/99.5〜5/95である。該光触媒(a)の量が少ないと材料表面を光触媒活性及び/または親水性にする効果が十分でなく、該光触媒(a)の量が多いと珪素化合物(b)の材料内部への浸透を阻害し好ましくない。
【0081】
本発明の目地材処理剤の合成方法としては特に限定されないが、例えば以下の方法を挙げることができる。
(I)光触媒(a)と珪素化合物(b)を室温又は加熱下に混合、攪拌する。
(II)光触媒(a)の存在下、珪素化合物(b)の原料であるシラン誘導体モノマーやオリゴマー等を、上述した珪素化合物(b)を製造する条件で、加水分解・縮重合する。
【0082】
本発明の目地材処理剤は、無溶媒の状態であっても水や有機溶剤等の溶媒に溶解あるいは分散した状態であっても良く、特に制限はないが、水系(水溶液、水性エマルジョン、水性ペースト等)の形態が、地球環境の保護や、火災・中毒等の危険性を回避する観点から、非常に好ましい。
本発明において、水を溶媒とする水系の目地材処理剤は、水以外の成分が1〜95質量%のものが好適に使用されるが、水以外の成分が60〜95質量%であるペーストの状態が、作業性の点から最も好ましい。
【0083】
さらに、本発明の目地材処理剤であって、上記水系のペーストの状態であり、直立のセメントモルタルに、1mmの塗布厚さで吹き付け塗装または刷毛塗りにより塗布した際に安定であり、セメントモルタルまたは石灰質砂岩面により完全に吸収されてしまう前に、1cmより多く下方に流下しない安定なペーストは、作業性及び防汚性目地構造体への効率的な耐汚染性、耐水性の付与の観点から非常に好ましい。
本発明において、上記安定なペースト状である目地材処理剤は、例えば特許第3160231号公報で開示された方法と類似の操作によって製造することができる。
【0084】
すなわち、本発明において、安定なペースト状である目地材処理剤の製造方法としては、以下の2工程からなる方法が例示できる。
(第1工程)本発明の珪素化合物(b)を1〜20質量部と乳化剤0.1〜5質量部、及び水5〜40質量部を混合・強撹拌することにより水性エマルジョンを調整する。
(第2工程)第1工程で得た水性エマルジョンに珪素化合物(b)を40〜90質量部、及び水0〜30質量部を添加し、ペースト状の粘調度が達成されるまで混合・強撹拌する。
この際、光触媒(a){好ましくは変性光触媒(a1)}は、好ましくは光触媒ゾルの形態で、第1工程あるいは第2工程終了後に、固形分として0.04〜27.5質量部添加することにより本発明の目地材処理剤を得ることができる。また、上記第1工程に使用できる乳化剤としては、ノニオン系、カチオン系、アニオン系の全てが使用できるが、本発明ではノニオン系のものが好適に用いられる。
【0085】
上記ノニオン系乳化剤の中で、特に好ましく用いられるものとしては、酢酸ビニル単位を5〜50モル%、とくに8〜20モル%を有し、500〜3000の重合度を有するポリビニルアルコール、アルキルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリグリコールエーテル、エチレンオキシド/プロピレンオキシド−ブロック共重合体、炭素数8〜22個のアルキル基を有するアルキルアミンのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドとの付加生成物、セルロース等の天然物質およびその誘導体、極性基含有線状オルガノ(ポリ)シロキサン等を挙げることができる。
【0086】
本発明の目地材処理剤には、上述した乳化剤以外にも、増粘剤、流動調整剤、消泡剤、抑泡剤、発泡剤、着色剤、防腐剤、防かび剤、防蟻剤、水溶性アクリル樹脂、アクリルラテックス、SBRラテックス、コロイダルシリカ等の添加剤を必要に応じて配合することができる。
本発明の防汚性目地構造体は、目地構造体の実質的に表面(大気界面)のみを光触媒活性及び/又は親水性にした構造であり、表面が光触媒活性及び/又は親水性、表面近傍より内部が撥水性であれば特に限定されないが、表面に光触媒(A)が存在し、表面近傍より内部に珪素化合物(B)が存在する該材料が好ましく用いられる。
【0087】
この様な防汚性目地構造体は、上述した本発明の目地材処理剤をその表面に処理することで、該目地材処理剤を材料表面から内部に浸透させることにより製造するのが好ましい。より具体的な方法として、例えば、撥水性を発現する組成物と光触媒活性及び/又は親水性を発現する組成物を該目地構造体表面に別々に、逐次処理する方法を用いてもよいが、特に、本発明の目地材処理剤を用いることは、目地構造体の処理回数を1回で済ますことができ、前記逐次処理の方法に比べ、作業時間の短縮が図れ、省力化にも寄与し、より好ましい。
【0088】
すなわち、1回の処理の後、防汚性目地構造体の表面及び内部に存在する本発明の目地材処理剤のうち、表面に存在する部分においてのみ、太陽光等の光照射による目地材処理剤中の光触媒活性化が起こり、それにより、防汚性目地構造体の表面が光触媒活性及び/又は親水性を呈するようになる。一方、目地構造体内部においては、光照射の影響を受けないため、目地材処理剤中の光触媒活性化が起こらず、撥水性が保たれている。
【0089】
本発明の目地材処理剤の材料表面への処理方法としては特に限定されないが、スプレーコーティング、ディップコーティング、フローコーティング、スピンコーティング、ロールコーティング、刷毛塗り、スポンジ塗り等の方法を使用することが出来る。該目地材処理剤の処理量としては特に限定されないが珪素化合物(b)として1〜1000g/m2であるのが好ましい。該目地材処理剤を材料に塗布、又は浸せき後、室温下に放置、又は天日乾燥、加熱乾燥により本発明の防汚性目地構造体を得ることが出来る。
本発明において、防汚性目地構造体表面に存在する光触媒(A)としては、上述した本発明の目地材処理剤に用いられる光触媒(a)として例示したものを挙げることができる。
【0090】
本発明において、防汚性目地構造体の表面近傍より内部を撥水性にするのに有用な珪素化合物(B)としては、特に限定されないが、例えば一般式(1)で表される珪素化合物を挙げることができる。
SiO(4−a−b)/2 (1)
(式中、Rは同じか又は異なり、水素原子又は炭素数1〜30である一価の有機基を表す。Xは同じか又は異なり、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも一つの反応性基を表す。
0<a<4、0≦b<4であり、0<(a+b)<4である。)
上記珪素化合物(B)としては、本発明の目地材処理剤に使用する珪素化合物(b)や、該珪素化合物(b)と水及び/又は防汚性目地構造体との反応生成物等を挙げることができる。
【0091】
本発明の防汚性目地構造体を構成する目地材としては特に限定されないが、特にセメントモルタルが好ましく用いられる。
また、本発明の防汚性目地構造体に使用する建材としては、陶磁器質タイル、大型陶板、 セラミックタイル、石材、レンガ、ブロック等があげられるが、特にこれらの用途に限定されるものではない。 また、サイズや形状には特に制約があるものではない。
【0092】
【実施例】
以下の実施例、参考例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
実施例、参考例及び比較例中において、各種の物性は下記の方法で測定した。
[1]粒径分布及び数平均粒子径
試料中の固形分の含有量が1−20質量%となるよう適宜溶媒を加えて希釈し、湿式粒度分析計(日機装製マイクロトラックUPA−9230)を用いて測定した。
[2]赤外線吸収スペクトル
日本分光製FT/IR−5300型赤外分光計を用いて測定した。
[3]作業性
JIS−R5201(10.4)に準じて作成したモルタル(7×7×2cm)を直立させ、その表面の上から1cmの幅に浸透性目地材処理剤1g程度を刷毛塗りにより塗布し、浸透性目地材処理剤の流下の程度から以下の3段階で評価した。
○:良好(流下1cm未満)
△:やや良好(流下1〜3cm)
×:劣る(流下3cmより大)
【0093】
[4]紫外線照射後における試料表面の親水性の評価
試料表面に、東芝ライテック製FL20S BLB型ブラックライトの光を3日間照射後、試料表面に純水を滴下し、20℃、1分後の接触角を協和界面科学製CA−X150型接触角計で測定することにより、親水性を以下の3段階で評価した。
○:良好(接触角10゜未満)
△:やや良好(接触角10゜〜50゜)
×:劣る(接触角50゜より大)
なおこのとき、トプコン製UVR−2型紫外線強度計{受光部として、日本国トプコン製UD−36型受光部(波長310〜400nmの光に対応)を使用}を用いて測定した紫外線強度が1mW/cmとなるよう調整した。
【0094】
[5]試料表面の光触媒活性の評価
試料表面に上記[4]の方法にて紫外線を3日間照射した後、メチレンブルーの1質量%水溶液を塗布し、さらに上記[4]の方法にて紫外線を3日間照射した。
その後、光触媒の作用によるメチレンブルーの分解の程度(試料表面の退色の程度に基づき、目視で評価)に基づき、光触媒の活性を以下の3段階で評価した。
○:メチレンブルーが完全に分解。
△:メチレンブルーの青色がわずかに残る。
×:メチレンブルーの分解はほとんど観測されず。
【0095】
[6]撥水層深さ
試料を2つに切断し、切断面に水をかけて表面からの撥水層の深さを測定した。
[7]吸水性
試料(浸透性目地材処理剤を全面に塗布)を水中に28日間浸せき後の吸水率を測定し、吸水性を以下の3段階で評価した。
○:良好(吸水率2%未満)
△:やや良好(吸水率2−5%)、
×:劣る(吸水率5%より大)
[8]耐汚染性
試料を屋外で28日間曝露し表面全体及び、すじ状の汚染状態の程度(目視で評価)に基づき、耐汚染性を以下の3段階で評価した。
○:良好、△:やや良好、×:劣る
【0096】
[実施例1]
ワッカー社製BSクリームCJ(珪素化合物成分80%)125gにTKS−203(酸化チタンヒドロゾルの商品名、酸化チタン20質量%、数平均粒子径8nm、テイカ製)2.5gを混合、攪拌してクリーム状の目地材処理剤を得た。
JIS−R5201(10.4)に準じて作成したモルタル(7×7×2cm)の表面に得られた目地材処理剤を珪素化合物成分で200g/m2となるように塗布後、室温で乾燥し評価試料とした。この試料の評価結果を表1に示した。
【0097】
[実施例2]
TKS−203を25g使用した以外は実施例1と同様の方法で、目地材処理剤及びそれを用いた評価試料を得た。この試料の評価結果を表1に示した。
【0098】
[実施例3]
TKS−203を100g使用した以外は実施例1と同様の方法で、目地材処理剤及びそれを用いた評価試料を得た。この試料の評価結果を表1に示した。
【0099】
[参考例1]
KF9901(メチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマーの商品名、Si−H基含量7.14mmol/g、重量平均分子量3900、信越化学工業製)50g、ユニオックスMUS−8(ポリオキシエチレンアリルメチルエーテルの商品名、重量平均分子量800(カタログ値)、日本油脂製)137g、塩化白金酸六水和物0.025gをジオキサン280g中、80℃で3時間反応しSi−H基含有珪素化合物(1)を含む溶液を得た。
【0100】
得られたSi−H基含有珪素化合物(1)のジオキサン溶液4gにブチルセロソルブ8gを添加・混合した後、1N水酸化ナトリウム水溶液8mlを添加すると23℃において37mlの水素ガスが発生した。水素生成量から求めたSi−H基含有珪素化合物のジオキサン溶液におけるSi−H基量は0.36mmol/g(メチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー当たりに換算したSi−H基量は約3.5mmol/g)であった。
【0101】
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にいれたタイノックA−6(酸化チタンヒドロゾルの商品名、アンモニア解膠型、酸化チタン濃度6質量%、数平均粒子径10nm、多木化学製)200gに上記合成したSi−H基含有珪素化合物(1)のジオキサン溶液12.5gを30℃にて約30分かけて添加し、さらに3時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な、数平均粒子径15nmの変性酸化チタンゾル(1)を得た。この時、Si−H基含有珪素化合物(1)の反応に伴い生成した水素ガス量は23℃において125mlであった。また、得られた変性酸化チタンゾル(1)をKRS板上にコーティングしIRスペクトルを測定したところ、Ti−OH基の吸収(3630〜3640cm−1)の消失が観測された。
【0102】
[実施例4]
TKS−203に代えて参考例1で得られた変性酸化チタンゾル(1)を8.9g使用した以外は実施例1と同様の方法で、目地材処理剤及びそれを用いた評価試料を得た。この試料の評価結果を表1に示した。
【0103】
[参考例2]
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にいれたTKS−251(酸化チタンオルガノゾルの商品名、分散媒:トルエンとイソプロパノールの混合溶媒、酸化チタン濃度20質量%、数平均粒子径12nm、テイカ製)40gにビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン8gを50℃にて約5分かけて添加し、さらに50℃で12時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な数平均粒子径25nmの変性酸化チタンゾル(2)を得た。この時、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシランの反応に伴い生成した水素ガス量は23℃において718mlであった。また、得られた変性酸化チタンオルガノゾルをKBr板上にコーティングしIRスペクトルを測定したところ、Ti−OH基の吸収(3630〜3640cm−1)の消失が観測された。
【0104】
[実施例5]
TKS−203に代えて参考例2で得られた変性酸化チタンゾル(2)を3.0g使用した以外は実施例1と同様の方法で、目地材処理剤及びそれを用いた評価試料を得た。この試料の評価結果を表1に示した。
【0105】
[比較例1]
ワッカー社製BSクリームCJ(珪素化合物成分80%)のみを実施例1と同様の方法でモルタルに珪素化合物成分で200g/m2塗布、乾燥し評価試料を得た。この試料の評価結果を表1に示した。
【0106】
[比較例2]
酸化チタンゾル(テイカ製、TKS−203、水分散系、酸化チタン20質量%、平均粒径8nm)のみを実施例1と同様の方法でモルタルに酸化チタン成分で10g/m2塗布、乾燥し評価試料を得た。この試料の評価結果を表1に示した。
【0107】
【表1】
Figure 0004082967
【0108】
【発明の効果】
本発明の防汚性目地構造体は耐汚染性と吸水防止性を合わせ持つという優れた効果を有する。

Claims (17)

  1. 光触媒(a)と一般式(7)で表される塩基性窒素を含有する珪素化合物(b1)を含有することを特徴とする目地材処理剤。
    2 e 3 f g SiO (4-e-f-g)/2 (7)
    (式中、R 2 は同じか又は異なり、塩基性窒素を含有する炭素数1〜30である一価の有機基を表し、R 3 は同じか又は異なり、水素原子、又は塩基性窒素を含有しない炭素数1〜30である一価の有機基を表す。Xは同じか又は異なり、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも一つの反応性基を表す。
    0<e<4、0≦f<4、0≦g<4であり、0<(e+f+g)<4である。)
  2. 光触媒(a)と珪素化合物(b1)の質量比が(a)/(b)=0.01/99.9〜20/80であることを特徴とする請求項1に記載の材処理剤。
  3. 光触媒(a)が酸化チタンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の目地材処理剤。
  4. 光触媒(a)の数平均粒子径が800nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の目地材処理剤。
  5. 光触媒(a)が、光触媒粒子を、式(3)で表されるトリオルガノシラン単位、式(4)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(5)で表されるジオキシオルガノシラン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(c)を用いて変性処理することによって得られた変性光触媒(a1)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の目地材処理剤。
    1 3Si− (3)
    −(R1 2SiO)− (4)
    Figure 0004082967
    (式中、R1 は各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基から選ばれた1種以上からなる基を表す。)
  6. 該変性剤化合物(c)が、一般式(6)で表されるSi−H基含有珪素化合物(c1)であることを特徴とする請求項に記載の目地材処理剤。
    x 1 y z SiO(4-x-y-z)/2 (6)
    (式中、R1 は各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基から選ばれた1種以上からなる基を表す。 また、式中Qは、又は下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
    (あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
    (い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、酸無水物基、環状酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
    (う)少なくとも1つの分光増感基。
    また、0<x<4、0<y<4、0≦z<4、及び(x+y+z)≦4である。)
  7. ペースト状の含水組成物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の目地材処理剤。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の目地材処理剤で処理され、表面が光触媒活性及び/又は親水性であり、表面近傍より内部が撥水性であることを特徴とする防汚性目地構造体。
  9. 表面に光触媒()が存在し、表面近傍より内部に上記一般式(7)で表される塩基性窒素を含有する珪素化合物(b1)が存在する請求項に記載の防汚性目地構造体。
  10. 光触媒(a)が酸化チタンである請求項またはに記載の防汚性目地構造体。
  11. 目地構造体を構成する目地材がセメントモルタルであることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の防汚性目地構造体。
  12. 光照射及び/又は水によって、容易に汚れを除去できることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の防汚性目地構造体。
  13. 表面が光触媒活性及び/又は親水性であり、表面近傍より内部が撥水性である防汚性目地構造体であって、目地構造体を構成する目地材がセメントモルタルであることを特徴とする防汚性目地構造体。
  14. 表面に光触媒(A)が存在し、表面近傍より内部に一般式(1)で表される珪素化合物(B)が存在する請求項13に記載の防汚性目地構造体。
    a b SiO(4-a-b)/2 (1)
    (式中、Rは同じか又は異なり、水素原子又は炭素数1〜30である一価の有機基を表す。Xは同じか又は異なり、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも一つの反応性基を表す。
    0<a<4、0≦b<4であり、0<(a+b)<4である。)
  15. 光触媒(A)が酸化チタンである請求項13または14に記載の防汚性目地構造体。
  16. 光照射及び/又は水によって、容易に汚れを除去できることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の防汚性目地構造体。
  17. 請求項1〜7のいずれかに記載の目地材処理剤を表面に処理することを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の防汚性目地構造体の製造方法。
JP2002261150A 2002-09-06 2002-09-06 防汚性目地構造体 Expired - Lifetime JP4082967B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002261150A JP4082967B2 (ja) 2002-09-06 2002-09-06 防汚性目地構造体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002261150A JP4082967B2 (ja) 2002-09-06 2002-09-06 防汚性目地構造体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004100188A JP2004100188A (ja) 2004-04-02
JP4082967B2 true JP4082967B2 (ja) 2008-04-30

Family

ID=32261603

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002261150A Expired - Lifetime JP4082967B2 (ja) 2002-09-06 2002-09-06 防汚性目地構造体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4082967B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006045287A (ja) * 2004-08-02 2006-02-16 Inax Corp 弾性接着剤及びタイル張り壁面
FR2978759B1 (fr) * 2011-08-02 2014-08-15 Lafarge Sa Utilisation de siloxanes et de derives de silanes comme adjuvants pour betons
BE1020601A3 (nl) * 2012-04-03 2014-01-07 Marc Lambrecht Hydrofoberende methoden en producten voor fotokatalytische applicaties om zouten en andere restproducten te verwijderen.

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3991172B2 (ja) * 1997-02-06 2007-10-17 信越化学工業株式会社 コーティング組成物、親水性膜、及び親水性膜を有する被覆物品
JPH10287237A (ja) * 1997-04-15 1998-10-27 Toto Ltd 飛石事故防止性鉄道車両
JP2000017230A (ja) * 1998-07-02 2000-01-18 Showa Denko Kk 光触媒を含有するコーティング組成物及び塗膜形成方法
TW473400B (en) * 1998-11-20 2002-01-21 Asahi Chemical Ind Modified photocatalyst sol
JP2000318083A (ja) * 1999-05-11 2000-11-21 Toto Ltd 親水性複合部材
JP2001064625A (ja) * 1999-08-30 2001-03-13 Akira Fujishima 低汚染性建築用シーリング材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004100188A (ja) 2004-04-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1136125B1 (en) Modified photocatalyst composition
JP2003275597A (ja) 変性光触媒、及びそれを用いた光触媒組成物
JP4771574B2 (ja) 光触媒組成物
JP2002273233A (ja) 変性光触媒、それを用いた光触媒組成物
JP4082967B2 (ja) 防汚性目地構造体
JP4817596B2 (ja) 光触媒組成物、それから形成される光触媒体
JP4737972B2 (ja) 自己傾斜型光触媒組成物
JP4397161B2 (ja) 光触媒組成物、それから形成される光触媒体
JP4454476B2 (ja) 色素増感光触媒、及びそれを用いた光触媒組成物
JP2003146777A (ja) 吸水防止処理土木建築材料
JP4454477B2 (ja) 変性光触媒粒子
JP2004339038A (ja) 吸水防止処理土木建築材料
JP4342919B2 (ja) 光触媒組成物、それから形成される光触媒体及び機能性複合体
JP4428994B2 (ja) 光触媒組成物
JP2006136782A (ja) 光触媒アルミニウム部材
JP2004209345A (ja) 光触媒組成物、及びそれから形成される光触媒体
JP2004099637A (ja) 変性光触媒分散ポリッシュ
JP2004263182A (ja) 防汚被覆用組成物
JP4744065B2 (ja) 変性光触媒
JP2004111577A (ja) 防汚性能を有する太陽電池カバー
JP2004209344A (ja) 光触媒組成物、およびそれから形成される光触媒体
JP2011005495A (ja) 変性光触媒
JP2005224727A (ja) 変性光触媒
JP2004099838A (ja) 防汚性外壁用建築材料
JP2002282700A (ja) 光触媒組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050831

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070801

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070911

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071112

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20071112

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080212

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080212

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4082967

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110222

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110222

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110222

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110222

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120222

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120222

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130222

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130222

Year of fee payment: 5

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130222

Year of fee payment: 5

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140222

Year of fee payment: 6

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term