JP2002273233A - 変性光触媒、それを用いた光触媒組成物 - Google Patents

変性光触媒、それを用いた光触媒組成物

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JP2002273233A
JP2002273233A JP2001369181A JP2001369181A JP2002273233A JP 2002273233 A JP2002273233 A JP 2002273233A JP 2001369181 A JP2001369181 A JP 2001369181A JP 2001369181 A JP2001369181 A JP 2001369181A JP 2002273233 A JP2002273233 A JP 2002273233A
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Japan
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photocatalyst
group
carbon atoms
formula
modified
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Application number
JP2001369181A
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English (en)
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Akira Nakabayashi
亮 中林
Kazuya Ota
一也 太田
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】光照射により長期にわたり、その表面が水の濡
れ性(親水性、疎水性)の制御能及び/又は光触媒活性
を発現する機能性複合体や成形体を得ることができる光
触媒材料を提供する。 【解決手段】光触媒が、式(1)で表されるSi−H基
含有化合物で変性処理されてなる変性光触媒。及び、該
変性光触媒と樹脂とからなる光触媒組成物。 (式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立に直鎖状または
分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基又はアルケニ
ル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、置換されて
いないか或いは炭素数1〜20のアルキル基又はアルコ
キシ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜
20のアリール基、もしくは式(2)で表されるシロキ
シ基である。) −O−(R44SiO)a−SiR444 (2)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光エネルギーによ
って物質の分解作用や表面の親水化作用を示すことか
ら、環境浄化や防汚、防曇等の分野へ応用が知られてい
る酸化チタンに代表される光触媒の部材表面への固定化
技術に関する。具体的には、光触媒の部材表面への固定
化が容易に行える変性光触媒およびそれを用いた光触媒
組成物に関し、さらにその光触媒等を固定化した光触媒
活性及び/又は水の濡れ性(親水性、疎水性)の制御能
を有する部材に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化チタンに代表される光触媒は光エネ
ルギーによって物質の分解作用や表面の親水化作用を示
すことが知られている。この光触媒を環境浄化や防汚、
防曇等の分野へ応用させる場合、光触媒の固定化技術が
非常に重要な役割を担う。光触媒の固定化技術の有用な
手段として、基材への光触媒のコーティングが注目され
ている。ここで、コーティングによる光触媒の固定化技
術に求められる最低限の条件として以下の項目が挙げら
れる。 (イ)光触媒活性を損なわずに強固に固定化。 (ロ)光触媒作用で基材及びコーティング自体が劣化し
ない安定性。 さらに、固定化する基材の適応範囲を広げるための好ま
しい条件として以下の項目が挙げられる。 (ハ)固定化条件が穏和である(室温〜150℃程
度)。 (ニ)コーティング膜は透明性に優れ、耐久性、耐汚染
性、硬度等に優れた皮膜を形成。
【0003】ところで、酸化チタンに代表される光触媒
のコーティングによる固定化技術については種々の提案
がなされている。例えば、光触媒をスパッタリング法や
ゾル・ゲル法で基材にコーティングする方法として特開
昭60−044053号公報ではスパッタリング法によ
り薄膜状の光触媒を基材に担持する方法、特開昭60−
118236号公報では有機チタネートを塗布した後、
焼成する方法が提案されている。しかし、これらの方法
は、基材上での光触媒粒子の生成、結晶化のために高温
度での焼成が必要であり、大面積の固定化ができにくい
という欠点がある。
【0004】また、光触媒粒子の生成、結晶化の過程を
必要としない光触媒ゾルを使用する方法として、例えば
特開平6−278241号公報では水中に解膠させた酸
化チタンゾルを基材にコーティングする方法が提案され
ている。この方法においても酸化チタンゾルに穏和な条
件下での成膜性がないため高温度の焼成が必要であり、
生成する被膜は脆く、容易に破壊されて触媒効果を失う
欠点があった。
【0005】さらに、樹脂塗料中に光触媒を混合し、こ
の樹脂塗料を基材にコーティングする方法も提案されて
いる。例えば、特開平7−171408号公報、特開平
9−100437号公報、特開平9−227831号公
報、特開平9−59041号公報、特開平9−1888
50号公報、特開平9−227829号公報ではフッ素
樹脂やシリコーン樹脂等の難分解性物質を光触媒と混合
する樹脂塗料として使用する方法が提案されている。し
かし、これらの方法では、十分な光触媒活性や親水化能
力を発現させるためには樹脂塗料の使用量を少なくする
必要があり、この場合には耐候性、硬度、密着性、耐屈
曲性、耐衝撃性、耐摩耗性等において良好な塗膜物性を
有する被膜を得る事ができない。(逆に、良好な塗膜物
性を発現するために樹脂塗料の使用量を多くすると、光
触媒が樹脂塗料中に埋没し十分な光触媒活性や親水化能
力を示さない。) すなわち、光触媒のコーティングによる固定化技術にお
いて上記(イ)〜(ニ)の固定化技術に求められる条件
を全て満足する技術は未だ開発されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、穏和
な条件で透明性や耐久性等に優れた皮膜や成形体を形成
することができる光触媒材料を提供することである。ま
た、光照射により長期にわたり、その表面が水の濡れ性
(親水性、疎水性)の制御能及び/又は光触媒活性を発
現する機能性複合体や成形体を得ることができる光触媒
材料を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは上記課題を解
決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち、
本発明の第1は、光触媒が、式(1)で表されるSi−
H基含有化合物で変性処理されてなる変性光触媒、及び
該変性光触媒と樹脂とからなる光触媒組成物である。
【0008】
【化4】
【0009】(式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立に直
鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、
炭素数が1〜30個のアルケニル基、炭素数5〜20の
シクロアルキル基、置換されていないか或いは炭素数1
〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ
基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20
のアリール基、もしくは式(2)で表されるシロキシ基
である。 −O−(R44SiO)a−SiR444 ・・・(2) (式中、R4はそれぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭
素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシク
ロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素
数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキ
シ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜2
0のアリール基から選ばれた1種もしくは2種以上から
なる炭化水素基を表す。また、aは0以上の整数であ
り、0≦a≦1000である。))
【0010】発明の第2は、光触媒が、数平均粒子径2
00nm以下の光触媒ゾルであることを特徴とする発明
の第1の変性光触媒である。発明の第3は、光触媒が、
酸化チタンであることを特徴とする発明の第1または第
2の変性光触媒である。発明の第4は、発明の第1〜第
3のいずれかの変性光触媒と樹脂とからなる光触媒組成
物である。発明の第5は、樹脂がシリコン系樹脂である
ことを特徴とする発明の第4の光触媒組成物である。発
明の第6は、シリコン系樹脂が、一般式(3)で表され
るラダー構造を含むことを特徴とする発明の第5の光触
媒組成物である。
【0011】
【化5】
【0012】(Rは、それぞれ独立に水素原子あるいは
炭素数1〜20の一価の有機基を表す。)
【0013】発明の第7は、シリコン系樹脂が、平均組
成式(4)で表されるフェニルシリコン化合物を含むこ
とを特徴とする発明の第5または第6の光触媒組成物で
ある。 R8 prSiO(4-p-r)/2 (4) (式中、R8はフェニル基を表し、Xは、水素原子、水
酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20
のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキ
シム基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくと
も1つの反応性基を表し、0<p<4、0<r<4、及
び0<(p+r)<4である。)
【0014】発明の第8は、シリコン系樹脂が、平均組
成式(5)で表されるアルキルシリコン化合物を含むこ
とを特徴とする発明の第5〜第7のいずれかの光触媒組
成物である。 R9 qsSiO(4-q-s)/2 (5) (式中、R9は直鎖状または分岐状の炭素数1〜30の
アルキル基を表し、Xは、水素原子、水酸基、炭素数1
〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ
基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロ
ゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの反応
性基を表し、0<q<4、0<s<4、及び0<(q+
s)<4である。)
【0015】発明の第9は、シリコン系樹脂が、平均組
成式(4)で表されるフェニルシリコン化合物と平均組
成式(5)で表されるアルキルシリコン化合物を混合物
として含むことを特徴とする発明の第8の光触媒組成物
である。
【0016】発明の第10は、平均組成式(5)で表さ
れるアルキルシリコン化合物が、式(6)で表されるモ
ノオキシジオルガノシラン単位と式(7)で表されるジ
オキシオルガノシラン単位の両方を有する構造であるこ
とを特徴とする発明の第7〜第9のいずれかの光触媒組
成物である。 −(R99SiO)− (6)
【0017】
【化6】
【0018】(式中、R9は直鎖状または分岐状の炭素
数1〜30のアルキル基を表す。)
【0019】発明の第11は、発明の第4〜第10のい
ずれかの光触媒組成物であって、自己傾斜性を有するこ
とを特徴とする光触媒組成物である。発明の第12は、
発明の第4〜第11のいずれかの光触媒組成物であっ
て、該光触媒組成物が基材上に塗布成膜されると、変性
光触媒が外気と接する皮膜表面側に向かって多くなるよ
うな膜厚方向に濃度勾配を有した傾斜組成皮膜を自律的
に形成することを特徴とする光触媒組成物である。発明
の第13は、発明の第4〜第11のいずれかの光触媒組
成物であって、該光触媒組成物から成形体を形成する
際、その形成過程において変性光触媒が成形体の内部か
ら表面側に向かって多くなるような濃度勾配を有する構
造を自律的に形成することを特徴とする光触媒組成物で
ある。発明の第14は、発明の第4〜第12のいずれか
の光触媒組成物を含む皮膜を基材上に形成して得られる
機能性複合体である。
【0020】発明の第15は、発明の第12の光触媒組
成物を含む皮膜を基材上に形成して得られる機能性複合
体であって、該皮膜が変性光触媒の膜厚方向の分布につ
いて異方性を有することを特徴とする機能性複合体であ
る。発明の第16は、発明の第4〜第11、第13のい
ずれかの光触媒組成物から形成された成形体である。発
明の第17は、発明の第13の光触媒組成物から形成さ
れた成形体であって、変性光触媒の内部から表面への分
布について異方性を有することを特徴とする成形体であ
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において変性光触媒に使用できる光触媒とは、そ
の結晶の伝導帯と価電子帯との間のエネルギーギャップ
よりも大きなエネルギー(すなわち短い波長)の光(励
起光)を照射したときに、価電子帯中の電子の励起(光
励起)が生じて、伝導電子と正孔を生成しうる物質をい
い、例えばTiO2、ZnO、SrTiO3、CdS、G
aP、InP、GaAs、BaTiO3、BaTiO4
BaTi49、K2NbO3、Nb25、Fe23、Ta
25、K3Ta3Si23、WO 3、SnO2、Bi23
BiVO4、NiO、Cu2O、SiC、MoS2、In
Pb、RuO2、CeO2等、さらにはTi、Nb、T
a、Vから選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状
酸化物(特開昭62−74452号公報、特開平2−1
72535号公報、特開平7−24329号公報、特開
平8−89799号公報、特開平8−89800号公
報、特開平8−89804号公報、特開平8−1980
61号公報、特開平9−248465号公報、特開平1
0−99694号公報、特開平10−244165号公
報等)を挙げることができる。また、これらの光触媒に
Pt、Rh、Ru、Nb、Cu、Sn、Ni、Feなど
の金属及び/又は金属の酸化物を添加あるいは固定化し
たものや、多孔質リン酸カルシウム等で被覆された光触
媒(特開平11−267519号公報)等も使用するこ
ともできる。
【0022】上記光触媒の結晶粒子径(1次粒子径)は
1〜200nm、好ましくは1〜50nmの光触媒が好
適に選択される。これらの光触媒の中でTiO2(酸化
チタン)は無害であり、化学的安定性にも優れるため好
ましい。酸化チタンとしては、アナターゼ、ルチル、ブ
ルッカイトのいずれも使用できる。また、窒素ドープ酸
化チタンや酸素欠陥型の酸化チタンの如き、可視光応答
型酸化チタン光触媒も好適に使用することができる。
【0023】一般に微細な粒子からなる粉体は、複数の
粒子が強力に凝集した二次粒子を形成するため、無駄に
する表面特性が多い上、一つ一つの一次粒子にまで分散
させるのは非常に困難である。これに対して、光触媒ゾ
ルの場合、光触媒粒子は溶解せずに一次粒子に近い形で
存在しているため表面特性を有効に利用でき、それから
生成する変性光触媒は分散安定性、成膜性等に優れるば
かりか、種々の機能を有効に発現するので好ましく使用
することができる。ここで、光触媒ゾルとは、光触媒粒
子が水及び/又は有機溶媒中に固形分0.01〜70重
量%、好ましくは0.1〜50重量%で分散されたもの
である。
【0024】本発明に使用される光触媒としては、一次
粒子と二次粒子との混合物の数平均分散粒子径が200
nm以下の光触媒が変性後の光触媒の表面特性を有効に
利用できるために好ましい。特に数平均分散粒子径が1
00nm以下の光触媒を使用した場合、生成する変性光
触媒からは透明性に優れた被膜を得ることができるため
非常に好ましい。より好ましくは80nm以下3nm以
上、さらに好ましくは50nm以下3nm以上の光触媒
が好適に選択される。これらの光触媒は、光触媒ゾルで
あることが好ましい。
【0025】該光触媒ゾルとして酸化チタンのゾルを例
にとると、例えば実質的に水を分散媒とし、その中に酸
化チタン粒子が解膠された酸化チタンヒドロゾル等を挙
げることができる。(ここで、実質的に水を分散媒とす
るとは、分散媒中に水が80%程度以上含有されている
ことを意味する。)かかるゾルの調整は公知であり、容
易に製造できる(特開昭63−17221号公報、特開
平7−819号公報、特開平9−165218号公報、
特開平11−43327号公報等)。例えば、硫酸チタ
ンや四塩化チタンの水溶液を加熱加水分解して生成した
メタチタン酸をアンモニア水で中和し、析出した含水酸
化チタンを濾別、洗浄、脱水させると酸化チタン粒子の
凝集物が得られる。この凝集物を、硝酸、塩酸、又はア
ンモニア等の作用の下に解膠させ水熱処理等を行うこと
により酸化チタンヒドロゾルが得られる。また、酸化チ
タンヒドロゾルとしては、酸化チタン粒子を酸やアルカ
リの作用の下で解膠させたものや、酸やアルカリを使用
せず必要に応じ分散安定剤を使用し、強力なせんだん力
の下で水中に分散させたゾルも用い得る。さらに、pH
が中性付近の水溶液中においても分散安定性に優れる、
粒子表面がペルオキソ基で修飾されたアナターゼ型酸化
チタンゾルも特開平10−67516号公報で提案され
た方法によって容易に得ることができる。
【0026】上述した酸化チタンヒドロゾルはチタニア
ゾルとして市販されている。(例えば、商品名「STS
−02」/石原産業(株)/日本、商品名「TO−24
0」/田中転写(株)/日本等) 上記酸化チタンヒドロゾル中の固形分は50重量%以
下、好ましくは30重量%以下である。さらに好ましく
は30重量%以下0.1重量%以上である。このような
ヒドロゾルの粘度(20℃)は比較的低く、例えば、2
000cps〜0.5cps程度の範囲にあればよい。
好ましくは1000cps〜1cps、さらに好ましく
は500cps〜1cpsである。
【0027】また、例えば酸化セリウムゾル(特開平8
−59235号公報)やTi、Nb、Ta、Vから選ば
れた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物のゾル
(特開平9−25123号公報、特開平9−67124
号公報、特開平9−227122号公報、特開平9−2
27123号公報、特開平10−259023号公報
等)等、様々な光触媒ゾルの製造方法についても酸化チ
タンゾルと同様に開示されている。
【0028】また、実質的に有機溶媒を分散媒とし、そ
の中に光触媒粒子が分散された光触媒オルガノゾルは、
例えば上記光触媒ヒドロゾルをポリエチレングリコール
類の如き相関移動活性を有する化合物(異なる第1の相
と第2相との界面に第3の相を形成し、第1の相、第2
の相、第3の相を相互に溶解及び/又は可溶化する化合
物)で処理し有機溶媒で希釈したり(特開平10−16
7727号公報)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム等の陰イオン界面活性剤で水に不溶性の有機溶剤中
に分散移行させてゾルを調整する方法(特開昭58−2
9863号公報)やブチルセロソルブ等の水より高沸点
のアルコール類を上記光触媒ヒドロゾルに添加した後、
水を(減圧)蒸留等によって除去する方法等により得る
ことができる。また、実質的に有機溶媒を分散媒とし、
その中に酸化チタン粒子が分散された酸化チタンオルガ
ノゾルは市販されている(例えば商品名「TKS−25
1」/テイカ(株))。ここで、実質的に有機溶媒を分
散媒とするとは、分散媒中に有機溶媒が80%程度以上
含有されていることを意味する。
【0029】本発明の変性光触媒は、前述した光触媒を
下式(1)で表されるSi−H基含有化合物で変性処理
することによって得られる。
【0030】
【化7】
【0031】(式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立に直
鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、
炭素数が1〜30個のアルケニル基、炭素数5〜20の
シクロアルキル基、置換されていないか或いは炭素数1
〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ
基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20
のアリール基、もしくは式(2)で表されるシロキシ基
である。 −O−(R44SiO)a−SiR444 ・・・(2) (式中、R4はそれぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭
素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシク
ロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素
数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキ
シ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜2
0のアリール基から選ばれた1種もしくは2種以上から
なる炭化水素基を表す。また、aは0以上の整数であ
り、0≦a≦1000である。))
【0032】本発明において、光触媒の上記式(1)で
表されるSi−H基含有化合物による変性処理は、水及
び/又は有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、
光触媒(A)と該Si−H基含有化合物(B)を固形分
重量比(A)/(B)=1/99〜99.9/0.1、
好ましくは(A)/(B)=10/90〜99/1の割
合で0〜150℃にて混合することにより実施できる。
この変性の操作により混合液からは水素ガスが発生する
と共に、光触媒として光触媒ゾルを用いた場合、その平
均分散粒子径の増加が観察される。また、例えば光触媒
として酸化チタンを用いた場合、上記変性の操作によ
り、Ti−OH基の減少がIRスペクトルにおける36
30〜3640cm−1の吸収の減少として観測され
る。これらのことより本発明の変性光触媒は、上記式
(1)で表されるSi−H基含有化合物と光触媒との単
なる混合物ではなく、両者の間には、化学結合等の何ら
かの相互作用が生じていることが予測できる。実際、こ
の様にして得られた変性光触媒は、有機溶媒に対する分
散安定性や化学的安定性、耐久性等等において非常に優
れたものとなっている。
【0033】ここで上記変性処理を行う場合、使用でき
る有機溶媒としては、例えばトルエンやキシレン等の芳
香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン
等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等
のエステル類、エチレングリコール、ブチルセロソル
ブ、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、
メタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルア
セトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロ
ロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合
物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等やこれ
らの2種以上の混合物が挙げられる。
【0034】本発明の変性光触媒を得るのに用いる上記
式(1)で表されるSi−H基含有化合物の構造の特徴
として以下の2つを挙げることができる。 (a)1分子中にSi−H基を1つだけ有する構造を有
する。 (b)易加水分解性の基(アルコキシシリル基、ハロゲ
ン化シリル基等)を有さない。 我々は、この様な構造を有するSi−H基含有化合物で
変性処理されてなる変性光触媒と後述する樹脂とからな
る光触媒組成物は貯蔵安定性に優れるとともに、該光触
媒組成物から形成される皮膜は、光照射による水の濡れ
性(親水性、疎水性)の制御能や光触媒活性が非常に大
きくなることを見いだした。
【0035】本発明において、上記式(1)で表される
Si−H基含有化合物の具体例としては、例えばビス
(トリメチルシロキシ)メチルシラン、ビス(トリメチ
ルシロキシ)エチルシラン、ビス(トリメチルシロキ
シ)n−プロピルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)
i−プロピルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−
ブチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−ヘキシ
ルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)シクロヘキシル
シラン、ビス(トリメチルシロキシ)フェニルシラン、
ビス(トリエチルシロキシ)メチルシラン、ビス(トリ
エチルシロキシ)エチルシラン、トリス(トリメチルシ
ロキシ)シラン、トリス(トリエチルシロキシ)シラ
ン、ペンタメチルジシロキサン、1,1,1,3,3,
5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,1,
3,3,5,5,6,6−ノナメチルテトラシロキサ
ン、トリメチルシラン、エチルジメチルシラン、メチル
ジエチルシラン、トリエチルシラン、フェニルジメチル
シラン、ジフェニルメチルシラン、シクロヘキシルジメ
チルシラン、t−ブチルジメチルシラン、ジ−t−ブチ
ルメチルシラン、n−オクタデシルジメチルシラン、ト
リ−n−プロピルシラン、トリ−i−プロピルシラン、
トリ−i−ブチルシラン、トリ−n−ヘキシルシラン、
トリフェニルシラン、アリルジメチルシラン、1−アリ
ル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、クロ
ロメチルジメチルシラン、7−オクテニルジメチルシラ
ン等を挙げることができる。
【0036】本発明に用いる上記Si−H基含有化合物
としては、光触媒の変性処理時におけるSi−H基の反
応性(脱水素縮合反応)の良さから、ビス(トリメチル
シロキシ)メチルシラン、トリス(トリメチルシロキ
シ)シラン、ペンタメチルジシロキサン等の分子中にシ
ロキシ基を有する下式(8)で表されるものが好まし
い。
【0037】
【化8】
【0038】(式中R5、R6、R7はそれぞれ独立に直鎖
状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭
素数が1〜30個のアルケニル基、炭素数5〜20のシ
クロアルキル基、置換されていないか或いは炭素数1〜
20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基、
又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のア
リール基、もしくは式(2)で表されるシロキシ基であ
り、かつR5、R6、R 7の中、少なくとも1つは式
(2)で表されるシロキシ基である。 −O−(R44SiO)a−SiR444 ・・・(2) (式中、R4はそれぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭
素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシク
ロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素
数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキ
シ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜2
0のアリール基から選ばれた1種もしくは2種以上から
なる炭化水素基を表す。また、aは0以上の整数であ
り、0≦a≦1000である。))
【0039】また、本発明の変性光触媒の好ましい形態
は、変性光触媒の一次粒子と二次粒子との混合物の数平
均分散粒子径が200nm以下、さらに好ましくは10
0nm以下である。また、ゾルの状態であることが好ま
しい。特に数平均分散粒子径が100nm以下の変性光
触媒ゾルは、後述する樹脂とからなる光触媒組成物から
は、透明性に優れた、光触媒活性が非常に大きい皮膜を
得ることができるため非常に好ましい。この様な変性光
触媒ゾルは、上記式(1)で表されるSi−H基含有化
合物で変性処理をする光触媒として前述した光触媒ゾル
を用いることにより得ることができる。
【0040】本発明において、光触媒の上記式(1)で
表されるSi−H基含有化合物による変性処理は、Si
−H基に対する脱水素縮合触媒が光触媒に固定された状
態において0〜100℃で実施することもできる。この
場合、あらかじめ光還元法等の方法で脱水素縮合触媒を
光触媒に固定し、上記式(1)で表されるSi−H基含
有化合物で変性処理しても良いし、脱水素縮合触媒の存
在下に上記平均組成式(1)で表されるSi−H基含有
化合物で光触媒を変性処理しても良い。後者の場合、脱
水素縮合触媒は物理吸着や光還元によって光触媒に固定
されながら上記式(1)で表されるSi−H基含有化合
物で変性されることになる。
【0041】ここでSi−H基に対する脱水素縮合触媒
とは、Si−H基と光触媒表面に存在する水酸基(酸化
チタンの場合はTi−OH基)やチオール基、アミノ
基、カルボキシル基等の活性水素基、さらには水等との
脱水素縮合反応を加速する物質を意味し、該脱水素縮合
触媒を光触媒に固定化することにより温和な条件で選択
的に光触媒表面を変性することが可能となる。
【0042】該脱水素縮合触媒としては、例えば白金族
触媒、すなわちルテニウム、ロジウム、パラジウム、オ
スミウム、イリジウム、白金の単体及びその化合物や、
銀、鉄、銅、コバルト、ニッケル、錫等の単体及びその
化合物が挙げられる。これらの中で白金族触媒が好まし
く、白金の単体及びその化合物が特に好ましい。本発明
の変性光触媒は、樹脂とからなる光触媒組成物として使
用することができる。この際、光触媒組成物における変
性光触媒(C)と樹脂(D)の固形分重量比は、(C)
/(D)=0.1/99.9〜99/1、好ましくは
(C)/(D)=1/99〜90/10である。
【0043】本発明の光触媒組成物に使用できる樹脂と
しては、全ての合成樹脂及び天然樹脂が使用可能であ
る。また、その形態については、ペレットであっても溶
媒に溶解あるいは分散した形態であっても良く、特に制
限はないが、コーティング用としての樹脂塗料の形態が
最も好ましい。本発明に使用できる樹脂塗料としては特
に制限はなく、公知のものを用いることができる。樹脂
塗料の例としては、油性塗料、ラッカー、溶剤系合成樹
脂塗料(アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹
脂系、シリコン樹脂系、フッ素樹脂系、シリコン−アク
リル樹脂系、アルキド樹脂系、アミノアルキド樹脂系、
ビニル樹脂系、不飽和ポリエステル樹脂系、塩化ゴム系
等)、水系合成樹脂塗料(エマルジョン系、水性樹脂系
等)、無溶剤合成樹脂塗料(粉体塗料等)、無機質塗
料、電気絶縁塗料等を挙げることができる。これらの樹
脂塗料の中で、光触媒に対し難分解性であるシリコン系
樹脂やフッ素系樹脂、さらにはシリコン系樹脂とフッ素
系樹脂の併用系の樹脂塗料が好ましく用いられる。
【0044】上記シリコン系樹脂としては、例えば下記
平均組成式(9)で示されるシリコン化合物や、該平均
組成式(9)で示されるシリコン化合物とシリカ(コロ
イダルシリカ、ヒュームドシリカ等)の混合物、さらに
は該平均組成式(5)で示されるシリコン化合物及び/
又はシリカ(コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等)
1〜90重量%含有する樹脂(例えばアクリル−シリコ
ン樹脂、エポキシ−シリコン樹脂、ウレタン−シリコン
樹脂)等を挙げることができる。 RtuSiO(4-t-u)/2 (9) (式中、Rは炭素数1〜30である一価の有機基の1種
もしくは2種以上からなる官能基を表す。Xは、水素原
子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1
〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20
のオキシム基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる少
なくとも一つの反応性基を表す。0≦t<4、0≦u<
4であり、0<(t+u)≦4である。)
【0045】上記平均組成式(9)で示されるシリコン
化合物としては、例えば一般式(3)、(10)、(1
1)及び(12)で表されるシリコン結合の少なくとも
1種の構造を含むシリコン化合物を挙げることができ
る。
【0046】
【化9】
【0047】 −(RRSiO)− ・・・(10)
【0048】
【化10】
【0049】
【化11】
【0050】(式中、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜3
0の一価の有機基を表す。)
【0051】上述した構造を含むシリコン化合物は、例
えば一般式RSiX3(式中、Rは炭素数1〜30の一
価の有機基を表す。Xは、水素原子、水酸基、炭素数1
〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ
基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロ
ゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも一つの反応
性基を表す。以下同様。)で表される3官能シラン誘導
体及び/又は一般式R2SiX2で表される2官能シラン
誘導体及び/又は一般式SiX4で表される4官能シラ
ン誘導体を部分的に加水分解・縮重合させ、必要により
一般式R3SiXで表される1官能シラン誘導体及び/
又はアルコール類によって末端停止させることにより調
製できる。この様にして得られるシラン誘導体モノマー
の部分縮合物のポリスチレン換算重量平均分子量は、好
ましくは200〜100,000、さらに好ましくは4
00〜50,000である。
【0052】これらの中で、上記平均組成式(9)で示
されるシリコン化合物として上記一般式(3)で表され
るラダー構造を10モル%以上、好ましくは40モル%
以上含むものを選択すると、本発明の光触媒組成物から
形成される塗膜は、硬度、耐熱性、耐候性、耐汚染性、
耐薬品性等の点で非常に優れたものとなるため好まし
い。
【0053】また、上記平均組成式(9)で示されるシ
リコン化合物として、Ph−Si結合(Ph:フェニル
基)をR−Si結合(R:炭素数1〜30の一価の有機
基)全体に対し10モル%以上有するフェニルシリコン
化合物を選択すると、該フェニルシリコン化合物と本発
明の変性光触媒からなる光触媒組成物から形成される皮
膜は、光照射による親水化能力が非常に大きくなるため
非常に好ましい。また、該親水化能力や有機樹脂に対す
る密着性は、上記R−Si結合全体に対するPh−Si
結合の割合が増えるに従い増大する。よって、本発明の
光触媒組成物に使用するフェニルシリコン化合物として
より好ましい構造は、R−Si結合全体に対するPh−
Si結合の割合が20モル%以上、さらに好ましくは5
0モル%以上、さらに好ましくは100モル%(下記平
均組成式(4))である。 R8 prSiO(4-p-r)/2 (4) (式中、R8はフェニル基を表し、Xは、水素原子、水
酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20
のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキ
シム基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくと
も1つの反応性基を表し、0<p<4、0<r<4、及
び0<(p+r)<4である。)
【0054】また、上記平均組成式(9)で示されるシ
リコン化合物として、上述したフェニルシリコン化合物
(E)と下記平均組成式(5)で表されるアルキルシリ
コン化合物(F)とを、固形分重量比(E)/(F)=
5/95〜95/5、好ましくは(E)/(F)=30
/70〜90/10で混合したものを用いると、本発明
の光触媒組成物から形成される塗膜は、成膜性、硬度、
耐熱性、耐汚染性、耐薬品性等の点で優れたものとなる
ため好ましい。 R9 qsSiO(4-q-s)/2 (5) (式中、R9は直鎖状または分岐状の炭素数1〜30の
アルキル基を表し、Xは、水素原子、水酸基、炭素数1
〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ
基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロ
ゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの反応
性基を表し、0<q<4、0<s<4、及び0<(q+
s)<4である。)
【0055】さらに、上述したフェニルシリコン化合物
(E)に混合するアルキルシリコン化合物(F)とし
て、式(6)で表されるモノオキシジオルガノシラン単
位(G)と式(7)で表されるジオキシオルガノシラン
単位(H)をモル比(G)/(H)=80/20〜5/
95の割合で有する構造のものを用いると、本発明の光
触媒組成物から形成される塗膜は、耐候性が非常に優れ
たものとなるため非常に好ましい。
【0056】 −(R99SiO)− (6)
【0057】
【化12】
【0058】(式中、R9は直鎖状または分岐状の炭素
数1〜30のアルキル基を表す。)
【0059】本発明の光触媒組成物に使用できる前述し
たシリコン系樹脂は、溶剤に溶けたタイプ、分散タイ
プ、粉体タイプのいずれであっても良く、また架橋剤、
触媒等の添加剤が含まれていても良い。また、本発明の
光触媒組成物に使用できるフッ素系樹脂としては、例え
ばPTFEやポリフッ化ビニリデン、さらにはフッ素含
有量1〜80重量%のアクリル−フッ素樹脂、エポキシ
−フッ素樹脂、ウレタン−フッ素樹脂やフルオロオレフ
ィンと炭素−炭素不飽和化合物(ビニルエーテル類、ビ
ニルエステル類、アリル化合物、(メタ)アクリル酸エ
ステル類等)との共重合体等が挙げられる。これらのフ
ッ素系樹脂は、溶剤に溶けたタイプ、分散タイプ、粉体
タイプのいずれであっても良く、また架橋剤、触媒等の
添加剤が含まれていても良い。
【0060】また、本発明の光触媒組成物には、必要に
より通常塗料等に添加配合される成分、例えば顔料、充
填剤、分散剤、光安定剤、湿潤剤、増粘剤、レオロジー
コントロール剤、消泡剤、可塑剤、成膜助剤、防錆剤、
染料、防腐剤等がそれぞれの目的に応じて選択、組み合
わせて配合することができる。
【0061】本発明の変性光触媒は、光触媒粒子表面が
表面エネルギーの非常に小さい構造を有するSi−H基
含有化合物で変性処理されているため、該変性光触媒と
樹脂とからなる本発明の光触媒組成物は、変性光触媒の
分布について自己傾斜性を有することが可能となる。こ
こで自己傾斜性とは、光触媒組成物から皮膜や成形体を
形成する際、その形成過程において変性光触媒が皮膜や
成形体が接する界面の性状(特に親水/疎水性)に対応
して、変性光触媒の濃度勾配を有する構造を自律的に形
成することを意味する。この場合、接した面に性状(親
水/疎水性)の差があれば、その差に対応して濃度勾配
が生じ、また、当該皮膜や成形体の内部と該界面の間で
濃度勾配が生じる。
【0062】例えば、上記自己傾斜性の光触媒組成物を
基材上に塗布成膜した場合、変性光触媒が基材でない他
の界面(例えば外気)と接する皮膜表面側に向かって多
くなるような膜厚方向に濃度勾配を有した傾斜組成皮膜
を得ることが可能となる。この際、全皮膜中の変性光触
媒含有量(濃度)100に対し、他の界面と接する表面
側近傍の相対濃度が120以上で光触媒能力や親水化能
力の向上効果が認められる。該表面側近傍の相対濃度は
好ましくは150以上、より好ましくは200以上であ
ることがよい。また、基材側界面近傍の相対濃度が80
以下であると界面劣化防止効果が認められる。該基材側
界面近傍の相対濃度は好ましくは50以下、より好まし
くは10以下であると良い。
【0063】本発明の光触媒組成物が自己傾斜性である
場合、該光触媒組成物において変性光触媒(C)と樹脂
(D)の固形分重量比は、(C)/(D)=0.1/9
9.9〜40/60、さらには(C)/(D)=0.1
/99.9〜30/70という変性光触媒の含有量が非
常に少ない範囲においてさえ、形成される皮膜又は成形
体は、光照射による十分な親水化能力(超親水化能力:
20℃における水の接触角が10゜以下)や光触媒活性
を有する。また、この様に光触媒含有量が少ない皮膜や
成形体はバインダーとしての樹脂本来の物性を発現する
ため、強度や柔軟性(耐屈曲性、耐衝撃性)等に優れた
ものとなる。
【0064】本発明の光触媒組成物から形成される成形
体や、上記光触媒組成物から形成される皮膜を基材上に
形成して得られる機能性複合体は、光照射により疎水性
あるいは親水性及び/又は光触媒活性、さらには光電変
換機能を発現することが可能である。即ち、本発明の別
の態様においては、上記光触媒組成物から形成される成
形体や、上記光触媒組成物から形成される皮膜を基材上
に形成して得られる機能性複合体が提供される。
【0065】本発明において上記光触媒組成物から機能
性複合体や成形体を得る方法としては、例えばそれらの
形態が塗料の場合は、基材に塗布し、乾燥した後、必要
に応じ熱処理等をする事により本発明の機能性複合体を
得ることができる。塗布方法としては、例えばスプレー
吹き付け法、フローコーティング法、ロールコート法、
刷毛塗り法、ディップコーティング法、スピンコーティ
ング法、スクリーン印刷法、キャスティング法、グラビ
ア印刷法、フレキソ印刷法等が挙げられる。また、例え
ば上記光触媒組成物の形態がペレットの場合は、押出し
成形、射出成形、プレス成形等によって本発明の成形体
を得ることができる。
【0066】本発明の光触媒組成物から形成される上記
の機能性複合体や成形体は、それに含まれる光触媒のバ
ンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照
射することにより疎水性あるいは親水性及び/又は光触
媒活性、さらには光電変換機能を示す。この際、本発明
の光触媒組成物から得られる機能性複合体や成形体は、
それらに含まれる変性光触媒の光触媒周辺には、光触媒
を下式(1)のSi−H基含有化合物で変性処理するこ
とによって生成する、光触媒の分解作用で分子骨格が分
解されない化合物が存在するため、バインダーあるいは
構造材としての樹脂を光触媒作用で劣化することがな
い。
【0067】
【化13】
【0068】(式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立に直
鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、
炭素数が1〜30個のアルケニル基、炭素数5〜20の
シクロアルキル基、置換されていないか或いは炭素数1
〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ
基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20
のアリール基、もしくは式(2)で表されるシロキシ基
である。 −O−(R44SiO)a−SiR444 ・・・(2) (式中、R4はそれぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭
素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシク
ロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素
数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキ
シ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜2
0のアリール基から選ばれた1種もしくは2種以上から
なる炭化水素基を表す。また、aは0以上の整数であ
り、0≦a≦1000である。))
【0069】また、光照射により該変性光触媒の光触媒
周辺に存在する、光触媒を上記Si−H基含有化合物
(式(1))で変性処理することによって生成する化合
物の珪素原子に結合した有機基は、光触媒作用で水酸基
に置換されて被膜や構造材料の表面は親水化されるとと
もに、さらに生成したSi−OH基同士の脱水縮合反応
が進むことにより非常に高硬度の皮膜や成形体を得るこ
とができる。さらに、このようにして得られた皮膜を有
する機能性複合体や成形体は種々の光触媒活性を示すこ
とが可能である。
【0070】本発明において、光触媒のバンドギャップ
エネルギーよりも高いエネルギーの光の光源としては、
太陽光や室内照明灯等の一般住宅環境下で得られる光の
他、ブラックライト、キセノンランプ、水銀灯等の光が
利用できる。本発明によって提供される上記成形体又は
機能性複合体であって、有機物分解等の光触媒活性を有
するものは、抗菌、防汚、防臭、NOx分解等の様々な
機能を発現し、大気、水等の環境浄化等の用途に使用す
ることができる。
【0071】本発明によって提供される上記成形体又は
機能性複合体であって、光照射により20℃における水
との接触角が60゜以下(好ましくは10゜以下)とな
った親水性のもの(親水性の成形体や親水性膜、及び該
親水性膜で被覆された基材等)は、鏡やガラスの曇りを
防止する防曇技術、さらには建築外装等に対する防汚技
術や帯電防止技術等への応用が可能であり、窓ガラス、
鏡、レンズ、ゴーグル、カバー、碍子、建材、建物外
装、建物内装、構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装
置や物品の外装、各種表示装置、照明装置、住宅設備、
食器、台所用品、家庭用電気製品、磁気光記録メディア
や光記録メディア等の用途に使用することができる。
【0072】本発明によって提供される上記成形体又は
機能性複合体であって、光照射により20℃における水
との接触角が70゜以上(好ましくは90゜以上)とな
った疎水性のもの(疎水性の成形体や疎水性膜、及び該
疎水性膜で被覆された基材等)は、防滴性や水切れ性の
付与、水系汚れの付着防止や流水洗浄性を利用した防汚
技術、さらには着氷雪防止技術等への応用が可能であ
り、窓ガラス、風防ガラス、鏡、レンズ、ゴーグル、カ
バー、碍子、建材、建物外装、建物内装、構造部材、乗
物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、各種表示装
置、照明装置、住宅設備、食器、台所用品、家庭用電気
製品、屋根材、アンテナ、送電線、氷雪滑走具等の用途
に使用することができる。
【0073】本発明によって提供される上記成形体又は
機能性複合体であって光電変換機能を有するものは、太
陽エネルギーの電力変換等の機能を発現することが可能
であり、(湿式)太陽電池等に用いる光半導体電極等の
用途に使用することができる。また、本発明によって提
供される、光照射によって水との濡れ性が変化(疎水性
から親水性への変化、あるいは親水性から疎水性への変
化)する部材は、オフセット印刷用原版等への応用に対
し非常に有用である。
【0074】実施例、参考例及び比較例中に用いられる
各種物性の測定方法は、下記の通りである。 [1]粒径分布及び数平均粒子径 粒径分布及び数平均粒子径は、試料中の固形分の含有量
が1−20wt%となるよう適宜溶媒を加えて希釈し、
湿式粒度分析計(日機装(株)製 マイクロトラック
UPA−9230)を使用して測定した。
【0075】[2]重量平均分子量 ゲルパーミィテーションクロマトグラフィーを用いて、
ポリスチレン標品検量線より求めた。 (使用機器) ・装置:東ソー(株)HLC−8020 LC−3A ・カラム:東ソー(株) TSKgel G−1000 HXL TSKgel G−2000 HXL TSKgel G−4000 HXL ・データ処理:島津製作所(株)CR−4A ・キャリヤー:テトラヒドロフラン
【0076】[3]赤外線吸収スペクトル 赤外線吸収スペクトルは、JASCO FT/IR−4
10で測定した。 [4]29Si核磁気共鳴の測定29 Si核磁気共鳴は、JNM−LA400(日本電子
(株)製)で測定した。 [5]塗膜硬度 塗膜の硬度は、JIS−K5400に準じ、鉛筆硬度
(塗膜のすり傷)として求めた。紫外線照射後の塗膜硬
度の測定は、塗膜に紫外線強度計(トプコン(株)製U
VR−2(受光部:UD−36(310〜400n
m))で測定した紫外線強度が1mW/cm2 となる
ように調整したブラックライト(東芝ライテック(株)
製 FL20S BLB)の光を3日間照射後、上記方
法にて測定することにより実施した。
【0077】[6]塗膜表面に対する水の接触角 塗膜の表面に脱イオン水の滴を乗せ、20℃で1分間放
置した後、接触角計(協和界面科学(株)製 CA−X
150)を用いて接触角を測定した。塗膜に対する水の
接触角が小さいほど、塗膜表面は親水性が高い。 [7]紫外線照射前後の、塗膜表面の親水性(疎水性)
の変化 塗膜の表面に、ブラックライト(東芝ライテック(株)
製 FL20S BLB)の光を3日間照射後、上記
[5]の方法にて水の接触角を測定し、照射前のそれと
比較した。なおこのとき、光の強度は紫外線強度計(ト
プコン(株)製 UVR−2(UD−36型受光部:波
長310〜400nmの光に対応))を用いて測定した
紫外線強度が1mW/cm2となるよう調整した。
【0078】[8]塗膜の光触媒活性 塗膜表面にメチレンブルーの5重量%エタノール溶液を
塗布した後、上記ブラックライトの光を5日間照射し
た。なおこのとき、上記UVR−2型紫外線強度計(受
光部として、上記UD−36型受光部を使用)を用いて
測定した紫外線強度が1mW/cm2となるよう調整し
た。その後、光触媒の作用によるメチレンブルーの分解
の程度(塗膜表面の退色の程度に基づき、目視で評価)
に基づき、光触媒の活性を以下の3段階で評価した。 ◎:メチレンブルーが完全に分解。 △:メチレンブルーの青色がわずかに残る。 ×:メチレンブルーの分解はほとんど観測されず。
【0079】[9]塗膜の耐候性(光沢保持率) 塗膜の耐候性はデューパネル光コントロールウェザーメ
ーター(スガ試験器(株)製、DPWL−5R)を使用
して曝露試験(照射:60℃4時間、暗黒・湿潤:40
℃4時間)を行った。曝露1000時間後の60°−6
0°鏡面反射率を最終的な光沢値として測定し、これを
初期光沢値で割り、この値を光沢保持率として算出し
た。
【0080】[10]光触媒の傾斜構造の評価 部材における光触媒の傾斜構造の評価は、部材の断面の
超薄切片を作成し、TEM観察(日立(株)製、HF2
000)により実施した。
【0081】
【参考例1】シリコン系樹脂(1)の合成。 還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にい
れたジオキサン78gにフェニルトリクロロシラン2
6.0gを添加した後、室温にて約10分間撹拌した。
これに水3.2gとジオキサン12.9gからなる混合
液を、反応液を10〜15℃に保ちながら約30分かけ
て滴下した後、さらに10〜15℃で約30分撹拌し、
続いて反応液を60℃に昇温させ3時間撹拌した。得ら
れた反応液を25〜30℃に降温させ、392gのトル
エンを約30分かけて滴下した後、再度反応液を60℃
に昇温させ2時間撹拌した。
【0082】得られた反応液を10〜15℃に降温さ
せ、メタノール19.2gを約30分かけて添加した。
その後さらに25〜30℃にて約2時間撹拌を続行し、
続いて反応液を60℃に昇温させ2時間撹拌した。得ら
れた反応液から60℃で減圧下に溶媒を溜去することに
より重量平均分子量3600のラダ−骨格を有するシリ
コン系樹脂(1)を得た。(得られたシリコン系樹脂
(1)には、IRスペクトルにおけるラダ−骨格の伸縮
振動に由来する吸収(1130cm-1及び1037cm
-1)が観測された。)
【0083】
【参考例2】シリコン系樹脂(2)の合成。 還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にい
れたジオキサン235gにメチルトリクロロシラン2
5.6g、フェニルトリクロロシラン15.5gを添加
した後、室温にて約10分間撹拌した。これに水6.6
gとジオキサン26.4gからなる混合液を、反応液を
10〜15℃に保ちながら約30分かけて滴下した後、
さらに10〜15℃で約30分撹拌し、続いて反応液を
60℃に昇温させ3時間撹拌した。得られた反応液を2
5〜30℃に降温させ、235gのトルエンを約30分
かけて滴下した後、再度反応液を60℃に昇温させ2時
間撹拌した。
【0084】得られた反応液を10〜15℃に降温させ
メタノール42.8gを約30分かけて添加した。その
後さらに25〜30℃にて約2時間撹拌を続行し、続い
て反応液を60℃に昇温させ2時間撹拌した。得られた
反応液から60℃で減圧下に溶媒を溜去することにより
重量平均分子量が3100で、ラダ−骨格を有するシリ
コン系樹脂(2)を得た。(得られたシリコン系樹脂
(2)には、IRスペクトルにおけるラダ−骨格の伸縮
振動に由来する吸収(1134cm-1及び1044cm
-1)が観測された。)
【0085】
【参考例3】シリコン系樹脂(3)の合成。 還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にい
れたジオキサン470gにメチルトリクロロシラン2
5.8gを添加した後、室温にて約10分間撹拌した。
これに水4.7gとジオキサン18.7gからなる混合
液を、反応液を10〜15℃に保ちながら約30分かけ
て滴下した後、さらに10〜15℃で約30分撹拌し、
続いて反応液の温度を60℃に昇温させ3時間撹拌し
た。得られた反応液を10〜15℃に降温させメタノー
ル30.2gを約30分かけて添加した。続いて25〜
30℃にて約2時間撹拌を続行し、その後さらに反応液
の温度を60℃に昇温させ3時間撹拌した。得られた反
応液から約60℃で減圧下に溶媒を溜去することにより
重量平均分子量2800のラダ−骨格を有するシリコン
系樹脂(3)を得た。(得られたシリコン系樹脂(3)
には、IRスペクトルにおけるラダ−骨格の伸縮振動に
由来する吸収(1128cm-1及び1044cm-1)が
観測された。)
【0086】
【参考例4】シリコン系樹脂(4)の合成。 還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器に入
れたメタノール300gにメチルトリメトキシシラン1
36g(1モル)、及びジメチルジメトキシシラン12
0g(1モル)を添加した後、室温にて約10分間撹拌
した。これに氷冷下で、0.05Nの塩酸水溶液12.
6g(0.7モル)とメタノール63gからなる混合液
を、約40分かけて滴下し、加水分解を行った。滴下終
了後、さらに10℃以下で約20分、室温で6時間それ
ぞれ撹拌した。その後、得られた反応液から60℃で減
圧下に溶媒を溜去することにより重量平均分子量360
0のシリコン系樹脂(4)を得た。得られたシリコン系
樹脂(4)の構造を29Si核磁気共鳴によって測定した
ところ、T構造とD構造を示すシグナルが確認され、そ
の比率はT構造:D構造=1:1であった。
【0087】
【実施例1】還流冷却器、温度計および撹拌装置を有す
る反応器にいれた酸化チタンオルガノゾル(商品名:T
KS−251、テイカ(株)製、分散媒:トルエンとイ
ソプロパノールの混合溶媒、TiO2 濃度20重量%、
平均結晶子径6nm(カタログ値)のもの)40gにビ
ス(トリメチルシロキシ)メチルシランの20重量%ト
ルエン溶液40gを50℃にて約5分かけて添加し、さ
らに50℃で12時間撹拌を続けることにより、非常に
分散性の良好な変性酸化チタンオルガノゾル(1)を得
た。この時、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン
の反応に伴い生成した水素ガス量は23℃において71
8mlであった。また、得られた変性酸化チタンオルガ
ノゾルをKBr板上にコーティングしIRスペクトルを
測定したところ、Ti−OH基の吸収(3630〜36
40cm-1)の消失が観測された。
【0088】また、図1、図2にそれぞれ変性処理前の
酸化チタンオルガノゾル(商品名:TKS−251、テ
イカ(株)製)及び変性酸化チタンオルガノゾル(1)
の粒径分布を湿式粒度分析計(日機装(株)製 マイク
ロトラック UPA−9230)を使用して測定した結
果を示す。得られた変性酸化チタンオルガノゾル(1)
の粒径分布は単一分散(数平均粒子径は25nm)であ
り、さらに変性処理前の酸化チタンオルガノゾルの単一
分散(数平均粒子径は12nm)の粒径分布が完全に消
失していることが分かる。
【0089】
【図1】
【0090】
【図2】
【0091】
【実施例2】還流冷却器、温度計および撹拌装置を有す
る反応器にいれた酸化チタンオルガノゾル(商品名:T
KS−251、テイカ(株)製、分散媒:トルエンとイ
ソプロパノールの混合溶媒、TiO2 濃度20重量%、
平均結晶子径6nm(カタログ値)のもの)40gにト
リス(トリメチルシロキシ)シランの10重量%トルエ
ン溶液40gを50℃にて約5分かけて添加し、さらに
50℃で12時間撹拌を続けることにより、非常に分散
性の良好な変性酸化チタンオルガノゾル(2)を得た。
この時、トリス(トリメチルシロキシ)シランの反応に
伴い生成した水素ガス量は23℃において230mlで
あった。また、得られた変性酸化チタンオルガノゾルを
KBr板上にコーティングしIRスペクトルを測定した
ところ、Ti−OH基の吸収(3630〜3640cm
-1)の消失が観測された。また、得られた変性酸化チタ
ンオルガノゾル(2)の粒径分布は単一分散(数平均粒
子径は21nm)であり、さらに変性処理前の酸化チタ
ンオルガノゾルの単一分散(数平均粒子径は12nm)
の粒径分布が完全に消失していた。
【0092】
【実施例3】還流冷却器、温度計および撹拌装置を有す
る反応器にいれた酸化チタンオルガノゾル(商品名:T
KS−251、テイカ(株)製、分散媒:トルエンとイ
ソプロパノールの混合溶媒、TiO2 濃度20重量%、
平均結晶子径6nm(カタログ値)のもの)40gに
1,1,1,3,3,5,5−ヘプタメチルトリシロキ
サンの20重量%トルエン溶液20gを50℃にて約5
分かけて添加し、さらに50℃で12時間撹拌を続ける
ことにより、非常に分散性の良好な変性酸化チタンオル
ガノゾル(3)を得た。この時、1,1,1,3,3,
5,5−ヘプタメチルトリシロキサンの反応に伴い生成
した水素ガス量は23℃において104mlであった。
また、得られた変性酸化チタンオルガノゾルをKBr板
上にコーティングしIRスペクトルを測定したところ、
Ti−OH基の吸収(3630〜3640cm-1)の消
失が観測された。また、得られた変性酸化チタンオルガ
ノゾル(3)の粒径分布は単一分散(数平均粒子径は1
8nm)であり、さらに変性処理前の酸化チタンオルガ
ノゾルの単一分散(数平均粒子径は12nm)の粒径分
布が完全に消失していた。
【0093】
【実施例4】参考例1で合成したシリコン系樹脂(1)
の20重量%トルエン溶液80gに実施例1で調整した
変性酸化チタンオルガノゾル(1)20gを室温で撹拌
下において添加した後、ブチルセロソルブを撹拌下に3
3g添加することにより光触媒組成物(1)を得た。得
られた光触媒組成物(1)をガラス板上に膜厚が2μm
となるようにスプレー塗布した後、室温で1週間乾燥
し、透明で平滑な光触媒塗膜を有するガラス板を得た。
得られた光触媒塗膜を有するガラス板の鉛筆硬度はHで
あり、水との接触角は111゜であった。また、得られ
た光触媒塗膜を有するガラス板の紫外線(ブラックライ
ト)照射後の鉛筆硬度は5H以上であり、水の接触角は
0゜であった。さらに光触媒活性評価の結果も非常に良
好(◎)であった。
【0094】
【実施例5】参考例2で合成したシリコン系樹脂(2)
の20重量%トルエン溶液80gに実施例1で調整した
変性酸化チタンオルガノゾル(1)20gを室温にて撹
拌下において添加した後、ブチルセロソルブを撹拌下に
33g添加し、さらに硬化触媒(DX175/信越化学
(株)製)1gを攪拌下に添加して光触媒組成物(2)
を得た。得られた光触媒組成物(2)をガラス板上に膜
厚が2μmとなるようにスプレー塗布した後、室温で1
週間乾燥し、透明で平滑な光触媒塗膜を有するガラス板
を得た。
【0095】得られた光触媒塗膜を有するガラス板の鉛
筆硬度は2Hであり、水との接触角は105゜であっ
た。また、得られた光触媒塗膜を有するガラス板の紫外
線(ブラックライト)照射後の鉛筆硬度は5H以上であ
り、水の接触角は0゜であった。さらに光触媒活性評価
の結果も非常に良好(◎)であった。
【0096】
【実施例6】参考例3で合成したシリコン系樹脂(3)
の20重量%トルエン溶液70gに実施例2で調整した
変性酸化チタンオルガノゾル(2)30gを室温にて撹
拌下において添加した後、ブチルセロソルブを撹拌下に
33g添加し、さらに硬化触媒(DX175/信越化学
(株)製)1gを攪拌下に添加して光触媒組成物(3)
を得た。
【0097】得られた光触媒組成物(3)をガラス板上
に膜厚が2μmとなるようにスプレー塗布した後、室温
で1時間乾燥し、140℃で30分加熱する事により、
透明で平滑な光触媒塗膜を有するガラス板を得た。得ら
れた光触媒塗膜を有するガラス板の鉛筆硬度は4Hであ
り、水との接触角は109゜であった。また、得られた
光触媒塗膜を有するガラス板の紫外線(ブラックライ
ト)照射後の鉛筆硬度は5H以上であり、水の接触角は
0゜であった。さらに光触媒活性評価の結果も非常に良
好(◎)であった。
【0098】
【実施例7】参考例1で合成したシリコン系樹脂(1)
の20重量%トルエン溶液85gに実施例3で調整した
変性酸化チタンオルガノゾル(3)15gを室温で撹拌
下において添加した後、ブチルセロソルブを撹拌下に3
3g添加することにより光触媒組成物(4)を得た。得
られた光触媒組成物(4)をガラス板上に膜厚が2μm
となるようにスプレー塗布した後、室温で1週間乾燥
し、透明で平滑な光触媒塗膜を有するガラス板を得た。
【0099】得られた光触媒塗膜を有するガラス板の鉛
筆硬度はFであり、水との接触角は111゜であった。
また、得られた光触媒塗膜を有するガラス板の紫外線
(ブラックライト)照射後の鉛筆硬度は5H以上であ
り、水の接触角は0゜であった。さらに光触媒活性評価
の結果も非常に良好(◎)であった。
【0100】
【実施例8】参考例1で合成したシリコン系樹脂(1)
の20重量%トルエン溶液92.5gに実施例2で調整
した変性酸化チタンオルガノゾル(2)7.5gを室温
で撹拌下において添加した後、ブチルセロソルブを撹拌
下に33g添加し、さらに硬化触媒(DX175/信越
化学(株)製)1gを攪拌下に添加して光触媒組成物
(5)を得た。
【0101】得られた光触媒組成物(5)をガラス板上
に膜厚が2μmとなるようにスプレー塗布した後、室温
で1時間乾燥し、140℃で30分加熱する事により、
透明で平滑な光触媒塗膜を有するガラス板を得た。得ら
れた光触媒塗膜を有するガラス板の鉛筆硬度は3Hであ
り、水との接触角は106゜であった。また、得られた
光触媒塗膜を有するガラス板の紫外線(ブラックライ
ト)照射後の鉛筆硬度は5H以上であり、水の接触角は
4゜であった。さらに光触媒活性評価の結果も非常に良
好(◎)であった。
【0102】
【実施例9】参考例1で合成したシリコン系樹脂(1)
6gと参考例4で合成したシリコン系樹脂(4)3gを
混合したものに、トルエン14.7g、イソプロパノー
ル29.8g、ブチルセロソルブ15.1gを添加し、
室温で撹拌する事によりシリコン系樹脂(1)とシリコ
ン系樹脂(4)の混合物溶液を得た。得られたシリコン
系樹脂の混合物溶液に実施例1で調整した変性酸化チタ
ンオルガノゾル(1)20gを室温にて撹拌下において
添加し、さらに硬化触媒(ジラウリル酸ジブチル)0.
5gを攪拌下に添加して光触媒組成物(6)を得た。
【0103】50mm×60mmに裁断した厚さ1mm
のアルミ板(JIS,H,4000(A1050P))
にアクリルウレタン樹脂塗料(日本ペイント社製、マイ
ティラック白、2液混合型)をスプレー塗布し、室温に
て3日間乾燥した。得られたアクリルウレタン塗装を行
ったアルミ板に上記光触媒組成物(6)を膜厚が2μm
となるようにスプレー塗布した後、室温で1時間乾燥
し、150℃で30分加熱する事により、光触媒塗膜を
有する試験板を得た。得られた光触媒塗膜の鉛筆硬度は
Hであり、水との接触角は105゜であった。
【0104】また、得られた光触媒塗膜を有する試験板
の紫外線(ブラックライト)照射後の鉛筆硬度は5H以
上であり、水の接触角は0゜であった。さらに光触媒活
性評価の結果も非常に良好(◎)であった。さらに、デ
ューパネル光コントロールウェザーメーターによる曝露
試験(1000時間後)による光沢保持率は98%であ
り、非常に良好な耐候性を示した。
【0105】
【実施例10】実施例9で得られた光触媒組成物(6)
をOHPフィルム上に膜厚が4μとなるようにスプレー
塗布した後、室温で2日間乾燥し、続いて50℃にて3
日間加熱することにより平滑な光触媒塗膜を有するOH
Pフィルムを得た。得られた光触媒塗膜を有するOHP
フィルム断面における酸化チタンの分布をTEM観察に
より実施したところ、基材のOHPフィルムと光触媒塗
膜との界面には酸化チタンは存在せず、光触媒塗膜表面
は全て酸化チタンで覆われていることが観察された。
【0106】
【比較例1】変性酸化チタンオルガノゾル(1)20g
の代わりに変性処理をしていない酸化チタンオルガノゾ
ル(商品名:TKS−251、テイカ(株)製)20g
を用いた以外は、実施例5と同様の操作を行い透明で平
滑な光触媒塗膜(酸化チタン含量は実施例5の2倍)を
有するガラス板を得た。得られた光触媒塗膜を有するガ
ラス板の鉛筆硬度は2Hであり、水との接触角は86゜
であった。得られた光触媒塗膜を有するガラス板に紫外
線(ブラックライト)を照射したが、水の接触角は変化
せず(86゜)、鉛筆硬度は3Hであった。さらに光触
媒活性評価も悪い結果(×)であった。
【0107】
【比較例2】参考例2で合成したシリコン系樹脂(2)
の20重量%トルエン溶液50gに変性処理をしていな
い酸化チタンオルガノゾル(商品名:TKS−251、
テイカ(株)製)50gを室温にて撹拌下において添加
した後、ブチルセロソルブを撹拌下に33g添加し、さ
らに硬化触媒(DX175/信越化学(株)製)1gを
攪拌下に添加して光触媒組成物(6)を得た。得られた
光触媒組成物(6)をガラス板上に膜厚が2μmとなる
ようにスプレー塗布した後、室温で1週間乾燥し、透明
で平滑な光触媒塗膜(酸化チタン含量は実施例5の5
倍)を有するガラス板を得た。得られた光触媒塗膜を有
するガラス板の鉛筆硬度は3Hであり、水との接触角は
83゜であった。得られた光触媒塗膜を有するガラス板
に紫外線(ブラックライト)を照射したところ、光触媒
塗膜には亀裂が入ったため物性評価が不可能であった。
【0108】
【比較例3】変性酸化チタンオルガノゾル(1)20g
の代わりに変性処理をしていない酸化チタンオルガノゾ
ル(商品名:TKS−251、テイカ(株)製)10g
を用いた以外は、実施例9と同様の操作を行い光触媒塗
膜(酸化チタン含量は実施例9と同量)を有する試験板
を得た。得られた光触媒塗膜の鉛筆硬度はHであり、水
との接触角は97゜であった。また、得られた光触媒塗
膜を有する試験板の紫外線(ブラックライト)照射後の
鉛筆硬度は3Hであり、水の接触角は60゜であった。
さらに光触媒活性評価は悪い結果(×)であった。さら
に、デューパネル光コントロールウェザーメーターによ
る曝露試験(1000時間後)による光沢保持率は10
%以下であり、チョーキング現象が観察された。
【0109】
【比較例4】変性酸化チタンオルガノゾル(1)20g
の代わりに変性処理をしていない酸化チタンオルガノゾ
ル(商品名:TKS−251、テイカ(株)製)10g
を用いた以外は、実施例9と同様の操作を行い光触媒組
成物(7)を得た。得られた光触媒組成物(7)をOH
Pフィルム上に膜厚が4μとなるようにスプレー塗布し
た後、室温で2日間乾燥し、続いて50℃にて3日間加
熱することにより平滑な光触媒塗膜を有するOHPフィ
ルムを得た。得られた光触媒塗膜を有するOHPフィル
ム断面における酸化チタンの分布をTEM観察により実
施したところ、基材のOHPフィルムと光触媒塗膜との
界面に存在する酸化チタンと光触媒塗膜表面に存在する
酸化チタンの量には差がないことが観察された。
【0110】
【発明の効果】本発明の変性光触媒を用いた光触媒組成
物からは、透明性や耐久性、硬度等に優れ、水の濡れ性
(親水性、疎水性)の制御が可能であり、光触媒活性を
有するコーティング被膜を穏和な条件で形成することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】変性処理前の酸化チタンオルガノゾル(商品
名:TKS−251、テイカ(株)製)の粒径分布を湿
式粒度分析計(日機装(株)製 マイクロトラック U
PA−9230)を使用して測定した結果を示す図であ
る。
【図2】実施例1で得られた変性酸化チタンオルガノゾ
ル(1)の粒径分布を湿式粒度分析計(日機装(株)製
マイクロトラック UPA−9230)を使用して測
定した結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 83/04 C08L 83/04 101/00 101/00 C09D 7/12 C09D 7/12 183/04 183/04 201/00 201/00 Fターム(参考) 4F071 AA65 AA67 AA81 AB18 AC16A AD03 AE22 AF04 AF25 AF57 AH19 BA02 BB02 BC02 4G069 AA02 AA08 BA04A BA04B BA21A BA22B BA37 BA48A BB04A BB06A BB09A BB13A BB15A BC03A BC12A BC13A BC17A BC18A BC21A BC22A BC25A BC27A BC31A BC35A BC36A BC43A BC50A BC54A BC55A BC56A BC59A BC60A BC66A BC68A BC70A BD05A BE32A BE32B CA01 CA10 CA11 CD10 EB18X EB18Y EB19 EC19 EC29 ED02 ED03 4J002 CP031 DE136 FB096 FB116 FD20 GT00 HA03 4J038 DL031 DL062 EA011 HA216 JC30 JC32 KA04 KA14 KA18 NA01 NA05 NA06 NA07

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光触媒が、式(1)で表されるSi−H
    基含有化合物で変性処理されてなる変性光触媒。 【化1】 (式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立に直鎖状または分
    岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、直鎖状または
    分岐状の炭素数が1〜30個のアルケニル基、炭素数5
    〜20のシクロアルキル基、置換されていないか或いは
    炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアル
    コキシ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6
    〜20のアリール基、もしくは式(2)で表されるシロ
    キシ基である。 −O−(R44SiO)a−SiR444 ・・・(2) (式中、R4はそれぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭
    素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシク
    ロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素
    数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキ
    シ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜2
    0のアリール基から選ばれた1種もしくは2種以上から
    なる炭化水素基を表す。また、aは0以上の整数であ
    り、0≦a≦1000である。))
  2. 【請求項2】 光触媒が、数平均粒子径200nm以下
    の光触媒ゾルであることを特徴とする請求項1記載の変
    性光触媒。
  3. 【請求項3】 光触媒が、酸化チタンであることを特徴
    とする請求項1または2に記載の変性光触媒。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項に記載の変
    性光触媒と樹脂とからなる光触媒組成物。
  5. 【請求項5】 樹脂がシリコン系樹脂であることを特徴
    とする請求項4記載の光触媒組成物。
  6. 【請求項6】 シリコン系樹脂が、一般式(3)で表さ
    れるラダー構造を含むことを特徴とする請求項5記載の
    光触媒組成物。 【化2】 (Rは、それぞれ独立に水素原子あるいは炭素数1〜2
    0の一価の有機基を表す。)
  7. 【請求項7】 シリコン系樹脂が、平均組成式(4)で
    表されるフェニルシリコン化合物を含むことを特徴とす
    る請求項5または6記載の光触媒組成物。 R8 prSiO(4-p-r)/2 (4) (式中、R8はフェニル基を表し、Xは、水素原子、水
    酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20
    のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキ
    シム基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくと
    も1つの反応性基を表し、0<p<4、0<r<4、及
    び0<(p+r)<4である。)
  8. 【請求項8】 シリコン系樹脂が、平均組成式(5)で
    表されるアルキルシリコン化合物を含むことを特徴とす
    る請求項5〜7のいずれか一項に記載の光触媒組成物。 R9 qsSiO(4-q-s)/2 (5) (式中、R9は直鎖状または分岐状の炭素数1〜30の
    アルキル基を表し、 Xは、水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ
    基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭
    素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子からなる群よ
    り選ばれる少なくとも1つの反応性基を表し、0<q<
    4、0<s<4、及び0<(q+s)<4である。)
  9. 【請求項9】シリコン系樹脂が、平均組成式(4)で表
    されるフェニルシリコン化合物と平均組成式(5)で表
    されるアルキルシリコン化合物を混合物として含むこと
    を特徴とする請求項8記載の光触媒組成物。
  10. 【請求項10】 平均組成式(5)で表されるアルキル
    シリコン化合物が、式(6)で表されるモノオキシジオ
    ルガノシラン単位と式(7)で表されるジオキシオルガ
    ノシラン単位の両方を有する構造であることを特徴とす
    る請求項7〜9のいずれか一項に記載の光触媒組成物。 −(R99SiO)− (6) 【化3】 (式中、R9は直鎖状または分岐状の炭素数1〜30の
    アルキル基を表す。)
  11. 【請求項11】 請求項4〜10のいずれか一項に記載
    の光触媒組成物であって、自己傾斜性を有することを特
    徴とする光触媒組成物。
  12. 【請求項12】 請求項4〜11のいずれか一項に記載
    の光触媒組成物であって、該光触媒組成物が基材上に塗
    布成膜されると、変性光触媒が外気と接する皮膜表面側
    に向かって多くなるような膜厚方向に濃度勾配を有した
    傾斜組成皮膜を自律的に形成することを特徴とする光触
    媒組成物。
  13. 【請求項13】 請求項4〜11のいずれか一項に記載
    の光触媒組成物であって、該光触媒組成物から成形体を
    形成する際、その形成過程において変性光触媒が成形体
    の内部から表面側に向かって多くなるような濃度勾配を
    有する構造を自律的に形成することを特徴とする光触媒
    組成物。
  14. 【請求項14】 請求項4〜12のいずれか一項に記載
    の光触媒組成物を含む皮膜を基材上に形成して得られる
    機能性複合体。
  15. 【請求項15】 請求項12の光触媒組成物を含む皮膜
    を基材上に形成して得られる機能性複合体であって、該
    皮膜が変性光触媒の膜厚方向の分布について異方性を有
    することを特徴とする機能性複合体。
  16. 【請求項16】 請求項4〜11、13のいずれか一項
    に記載の光触媒組成物から形成された成形体。
  17. 【請求項17】 請求項13に記載の光触媒組成物から
    形成された成形体であって、変性光触媒の内部から表面
    への分布について異方性を有することを特徴とする成形
    体。
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