JP4371789B2 - 多層構造体 - Google Patents
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Description
ある種の物質に、その物質の伝導帯と価電子帯との間のエネルギーギャップ(バンドギャップ)よりも大きなエネルギーを持つ光、即ちその物質のバンドギャップに対応する光よりも波長の短い光(励起光)を照射すると、光エネルギーによって価電子帯中の電子の励起(光励起)が起こり、伝導帯に電子が、価電子帯に正孔が生成する。このとき、伝導帯に生成した電子の還元力および/または価電子帯に生成した正孔の酸化力を利用して、種々の化学反応を行うことができる。
この光触媒によって促進される化学反応の例としては、種々の有機物の酸化分解反応を挙げることができる。従って、この光触媒を種々の基材の表面に固定化させれば、基材の表面に付着した種々の有機物を、光エネルギーを利用して酸化分解することができることになる。
一方、ある種の光触媒に光を照射すると、その光触媒の表面の親水性が高まることが知られている。従って、この光触媒を種々の基材の表面に固定化させれば、光の照射によりその基材の表面の親水性を高めることができるようになる。
この場合、光触媒を種々の基材の表面に固定化するための方法や光触媒を含有する光触媒体の構造が非常に重要な役割を担う。
例えば、光触媒を固定化する基材として、プラスチック成形体、フィルム、有機塗膜等の有機基材を用いた場合、光触媒は光触媒作用により該有機基材を酸化分解し、有機基材と光触媒皮膜との間の界面劣化を生じ、長期にわたる耐久性を維持できないという欠点を有している為、光触媒の有機基材への固定化が大きな課題であった。
しかし、これらの方法では有機基材との中間層の親和性の不足や、中間層自体の柔軟性不足(有機基材の温度変化による伸縮に追随できない)、さらには光触媒層と中間層の親和力の不足により、中間層と有機基材の密着性や中間層と光触媒層の密着性が不十分となり、長期の耐久性に劣る欠点があった。
1.自己組織化により形成されてなる複数層のナノスケール粒子含有層から構成される多層構造体。
2.式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位、及びジフルオロメチレン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(b)でナノスケール粒子(a)を変性処理することによって得られる変性ナノスケール粒子(A)と該変性ナノスケール粒子(A)より表面エネルギーが大きいバインダー成分(B)を含有する変性ナノスケール粒子組成物(C)から形成されることを特徴とする多層構造体。
R3Si− (1)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。)
−(R2SiO)− (2)
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
3.該ナノスケール粒子(a)が、光触媒粒子(a1)であることを特徴とする発明1または2の多層構造体。
R1 pR2 qXrSiO(4−p−q−r)/2 (4)
(式中、各R1はフェニル基を表し、R2は各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。そしてp、q及びrは、0<p<4、0≦q<4、0≦r<4、及び0<(p+q+r)<4であり、そして0.05≦p/(p+q)≦1である。)
6.該バインダー成分(D)が、下式(5)で表されるアルキル基含有シリコーン(DA)であることを特徴とする発明5の多層構造体。
R2 uXvSiO(4−u−v)/2 (5)
(式中、R2は直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基から選ばれた1種以上からなる基を表す。Xは、式(4)で定義した通りである。0<u<4、0≦v<4、及び0<(u+v)<4である。)
7.該光触媒粒子(a1)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより光触媒活性及び/又は親水性を示すことを特徴とする発明3の多層構造体。
8.発明1〜7のいずれかの多層構造体が基材上に形成されてなる機能性複合体。
本発明は、自己組織化により形成されてなる複数層のナノスケール粒子含有層から構成される多層構造体に関する。
本発明において、自己組織化とは人工的な力によるのではなく、物質が自ら組織化しながら構造体を形成することを意味する。
また、本発明において多層構造とは、少なくとも2層、好ましくは3層以上のナノスケール粒子含有層を有する構造を意味する。
R3Si− (1)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。)
−(R2SiO)− (2)
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
本発明に用いることができる上記変性ナノスケール粒子組成物(C)は、それから形成する構造体が変性ナノスケール粒子(A)の分布について大きな自己傾斜性を有する。
ここで自己傾斜性とは、構造体の形成過程において変性ナノスケール粒子(A)が、該構造体が接する界面の性状(特に親水/疎水性)に対応して、変性ナノスケール粒子(A)の濃度勾配を有する構造を自律的に形成することを意味し、特に構造体が空気と接するように形成される場合は、変性ナノスケール粒子(A)は空気と接する光触媒体表面に多く存在するようになる。
この際、本発明の変性ナノスケール粒子組成物(C)から形成される多層構造体の膜厚は、好ましくは0.1〜5mm、より好ましくは0.5〜500μm、さらに好ましくは1〜100μmである。
本発明において変性とは、後述する少なくとも1種の変性剤化合物(b)を、ナノスケール粒子(a)の表面に固定化することを意味する。上記の変性剤化合物のナノスケール粒子表面への固定化は、ファン・デル・ワールス力(物理吸着)または化学結合によるものと考えられる。特に、化学結合を利用した変性は、変性剤化合物とナノスケール粒子との相互作用が強く、変性剤化合物がナノスケール粒子の表面に強固に固定化されるので好ましい。
ここで、光触媒活性とは、光照射によって酸化、還元反応を起こすことを言う。これらの光触媒活性は、例えば材料表面の光照射時における色素等の有機物の分解性を測定することにより判定することができる。光触媒活性を有する表面は、優れた汚染有機物質の分解活性や耐汚染性を発現する。
また、本発明において親水性とは、好ましくは20℃での水の接触角が60゜以下である場合を言うが、特に水の接触角が20゜以下の親水性を有する表面は、降雨等の水による自己浄化能(セルフクリーニング)による耐汚染性を発現するので好ましい。さらに優れた耐汚染性発現や防曇性発現の点からは表面の水の接触角は10゜以下であることが好ましく、更に好ましくは5゜以下である。
また、本発明に使用する光触媒粒子(a1)として、可視光(例えば約400〜800nmの波長)の照射により光触媒活性及び/又は親水性を発現することが出来る可視光応答型光触媒を選択すると、本発明の光触媒組成物から形成される光触媒体は、室内等の紫外線が十分に照射されない場所等においても抗菌・防汚効果等を十分に発現することが出来るため好ましい。
更に、上述した光触媒粒子(a1)は、好適にPt、Rh、Ru、Nb、Cu、Sn、Ni、Feなどの金属及び/又はこれらの酸化物を添加あるいは固定化したり、多孔質リン酸カルシウム等で被覆したり光触媒(例えば特開平10−244166号公報参照)して使用することもできる。
また、例えば酸化セリウムゾル(例えば特開平8−59235号公報参照)やTi、Nb、Ta、Vよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物のゾル(例えば特開平9−25123号公報、特開平9−67124号公報、特開平9−227122号公報、特開平9−227123号公報、特開平10−259023号公報等参照)等、様々な光触媒ゾルの製造方法についても酸化チタンゾルと同様に知られている。
また、実質的に有機溶媒を分散媒とし、その中に光触媒粒子が分散された光触媒オルガノゾルは、例えば上記光触媒ヒドロゾルをポリエチレングリコール類の如き相間移動活性を有する化合物(異なる第1の相と第2相との界面に第3の相を形成し、第1の相、第2の相、第3の相を相互に溶解及び/又は可溶化する化合物)で処理し有機溶媒で希釈したり(例えば特開平10−167727号公報)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤で水に不溶性の有機溶剤中に分散移行させてゾルを調整する方法(例えば特開昭58−29863号公報)やブチルセロソルブ等の水より高沸点のアルコール類を上記光触媒ヒドロゾルに添加した後、水を(減圧)蒸留等によって除去する方法等により得ることができる。また、実質的に有機溶媒を分散媒とし、その中に酸化チタン粒子が分散された酸化チタンオルガノゾルは市販されている(例えば、テイカ株式会社製「TKS−251」)。ここで、実質的に有機溶媒を分散媒とするとは、分散媒中に有機溶媒が80質量%程度以上含有されていることを意味する。
本発明において、変性光触媒(A)を得るのに用いられる少なくとも1種の変性剤化合物(b)は、式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位、及びフッ化メチレン(―CF2−)単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる。
R3Si− (1)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す)
−(R2SiO)− (2)
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
本発明において、光触媒粒子(a1)等のナノスケール粒子(a)の変性剤化合物(b)による変性処理は、水及び/又は有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、前述したナノスケール粒子(a)と、同じく前述した変性剤化合物(b)を好ましくは質量比(a)/(b)=1/99〜99.99/0.01、より好ましくは(a)/(b)=10/90〜99.5/0.5の割合で混合し、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜80℃にて加熱したり、(減圧)蒸留等により該混合物の溶媒組成を変化させる等の操作をすることにより得ることができる。
また、上記変性剤化合物(b)の他の例としては、例えばナノスケール粒子(a)とファン・デル・ワールス力、クーロン力等により相互作用する構造、例えばポリオキシアルキレン基、スルホン酸基、カルボキシル基等を有する、ケイ素化合物、フルオロアルキル化合物、フルオロオレフィン重合体等を挙げることができる。
HxRyQzSiO(4−x−y−z)/2 (6)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。
(あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
(い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基(本発明において環状酸無水物基と非環状酸無水物基をまとめて表す)、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
また、0<x<4、0<y<4、0≦z<4、及び(x+y+z)≦4である。)
本発明において、ナノスケール粒子(a)の上記組成式(6)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)による変性処理は、水及び/又は有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、ナノスケール粒子(a)と該Si−H基含有ケイ素化合物(b1)を好ましくは質量比(a)/(b1)=1/99〜99.99/0.01、より好ましくは(a)/(b1)=10/90〜99.5/0.5の割合で、好ましくは0〜200℃にて混合することにより実施できる。この変性の操作により混合液からは水素ガスが発生すると共に、ナノスケール粒子(a)としてゾルまたは分散液を用いた場合、その平均分散粒子径の増加が観察される。また、例えばナノスケール粒子(a)として酸化チタンを用いた場合、上記変性の操作により、Ti−OH基の減少がIRスペクトルにおける3630〜3640cm−1の吸収の減少として観測される。
本発明の上記式(6)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物において、Si−H基は光触媒を穏和な条件で選択性良く変性するために好ましい官能基である。これに対し、加水分解性基は、同様に光触媒の変性に利用することもできるが、副反応を抑制し、得られる変性光触媒の安定性を向上するためには、その含有量は少ない方が好ましい。
HxR’yQzSiO(4−x−y−z)/2 (7)
(式中、R’は各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基を表す。また、式中Qは式(6)で定義した通りである。また、0<x<4、0<y<4、0≦z<4、及び(x+y+z)≦4である。)
−O−(R4 2SiO)n−SiR4 3 ・・・(12)
(式中、R4はそれぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基から選ばれた1種以上からなる基を表す。また、nは整数であり、0≦n≦1000である。))
H−(R3 2SiO)m−SiR3 2−Q ・・・(9)
(式中、R3は式(8)で定義した通りである。Qは式(6)で定義した通りである。mは整数であり、0≦m≦1000である。)
H−(R3 2SiO)m−SiR3 2−H ・・・(10)
(式中、R3は式(8)で定義した通りである。mは整数であり、0≦m≦1000である。)
(R3HSiO)p(R3 2SiO)q(R3QSiO)r(R3 3SiO1/2)s
・・・(12)
(式中、R3は式(8)で定義した通りであり、Qは式(6)で定義した通りである。pは1以上の整数であり、q及びrは0又は1以上の整数であり、(p+q+r)≦10000であり、そしてsは0又は2である。但し、(p+q+r)が2以上の整数であり且つs=0の場合、該Hシリコーン化合物は環状シリコーン化合物であり、s=2の場合、該Hシリコーン化合物は鎖状シリコーン化合物である。)
本発明に用いることができる上記式(11)で表されるHシリコーン化合物としては、ナノスケール粒子の変性処理時における分散安定性(ナノスケール粒子の凝集の防止)の点より、数平均分子量が、好ましくは10000以下、より好ましくは5000以下、さらに好ましくは2000以下のHシリコーン化合物が好適に使用できる。
ここで機能性付与基含有基(Q)は下式(13)で表される基であることが好ましい。
−Z−(W)c ・・・(13)
(式中、Zは分子量14〜50,000のa価の有機基(当該有機基Zの珪素原子との結合以外にc価である基)を表し、Wは上記式(6)中の機能性付与基(あ)〜(う)からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、aは1〜20の整数である。)
また、例えば機能性付与基含有基(Q)として、分光増感基を有するものを選択すると、本発明の変性ナノスケール粒子(A)が変性光触媒粒子(A1)の場合は、紫外線領域だけでなく、可視光領域及び/又は赤外光領域の光の照射によっても触媒活性や光電変換機能を発現することができる。
増感色素としては、例えばキサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、ローダシアニン系色素、スチリル系色素、ヘミシアニン系色素、メロシアニン系色素、フタロシアニン系色素(金属錯体を含む)、ポルフィリン系色素(金属錯体を含む)、トリフェニルメタン系色素、ペリレン系色素、コロネン系色素、アゾ系色素、ニトロフェノール系色素、さらには例えば特開平1−220380号公報や特許出願公表平5−504023号公報に記載のルテニウム、オスミウム、鉄、亜鉛の錯体や、他にルテニウムレッド等の金属錯体を挙げることができる。
また、本発明に使用される変性剤化合物(b)として、例えばSi−H基、加水分解性シリル基(アルコキシシリル基、ヒドロキシシリル基、ハロゲン化シリル基、アセトキシシリル基、アミノキシシリル基等)、エポキシ基、アセトアセチル基、チオール基、酸無水物基等のナノスケール粒子と化学結合の生成が期待できる反応性基やポリオキシアルキレン基、、スルホン酸基、カルボキシル基等のナノスケール粒子との親和性が期待できる親水性基を有する、炭素数1〜30のフルオロアルキル化合物や数平均分子量100〜1,000,000のフルオロアルキレン化合物等のフッ素系化合物を使用すると、得られる変性ナノスケール粒子(A)の表面エネルギーは非常に小さくなり、本発明の変性ナノスケール粒子組成物は、自己組織化能力が非常に高くなるため好ましい。
CF3(CF2)g−Y−(V)w (14)
(式中、gは0〜29の整数を表す。Yは分子量14〜50000のw価の有機基を表す。wは1〜20の整数である。Vは、エポキシ基、水酸基、アセトアセチル基、チオール基、環状酸無水物基、カルボキシル基、スルホン酸基、ポリオキシアルキレン基、及び下式で表される基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を表す。
−SiWxRy
(式中、Wは炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、炭素数1〜20のアセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のオキシム基、エノキシ基、アミノキシ基、アミド基から選ばれた少なくとも1種の基を表す。Rは、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び置換されていないか或いは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基から選ばれる少なくとも1種の炭化水素基を表す。xは1以上3以下の整数であり、yは0以上2以下の整数である。また、x+y=3である。))
また、特に数平均分散粒子径が400nm以下の変性ナノスケール粒子ゾルまたは変性ナノスケール粒子分散液を本発明のナノスケール粒子組成物に用いると、それからは多層構造体が容易に形成されるため非常に好ましい。この様な変性ナノスケール粒子ゾルは、上記変性剤化合物(b)で変性処理をするナノスケール粒子(a)として前述したナノスケール粒子ゾルまたはナノスケール粒子分散液を用いることにより得ることができる。また、ナノスケール粒子粉体を変性剤化合物(b)で変性処理した場合は、変性処理後にビーズミル、ボールミル等で溶媒に分散させて本発明の変性ナノスケール粒子組成物に供するのが好ましい。
本発明の変性ナノスケール粒子組成物は、上述した変性ナノスケール粒子(A)と該変性ナノスケール粒子(A)より表面エネルギーが大きいバインダー成分(B)を含有することを特徴とする。
本発明の変性ナノスケール粒子組成物(C)における変性ナノスケール粒子(A)とバインダー成分(B)の質量比(A)/(B)は0.1/99.9〜95/5であることが好ましく、(A)/(B)が1/99〜50/50であることがより好ましい。
本発明の変性ナノスケール粒子組成物(C)において、変性ナノスケール粒子(A)より表面エネルギーの高いバインダー成分(B)としては、例えば合成樹脂及び天然樹脂、各種単量体等が挙げられ、また光触媒体の形成後に、乾燥、加熱、吸湿、光照射等により硬化するものを特に好ましく挙げることができる。
本発明において、上記表面エネルギーや表面エネルギーの相対差は、例えばPolymer Handbook(米国 A Wiley-interscience publication 出版)等を参照したり、ぬれ張力試験(JIS K 6768)や、さらには以下の方法等で測定することにより好ましく求めることができる。
例えば、バインダー成分(B)の皮膜を有する基材を調整し、脱イオン水を滴下して20℃における接触角(θ)を測定し、下記のSellとNeumannの実験式により、表面エネルギーを求めることもできる。
本発明の変性ナノスケール粒子組成物に用いるバインダー成分(B)としては、上述した変性ナノスケール粒子(A)より、表面エネルギーが好ましくは2mN/m以上、より好ましくは5mN/m以上、更に好ましくは10mN/m以上大きいものを選択すると、上記自己組織化能力が大きくなり非常に好ましい。
R1 pR2 qXrSiO(4−p−q−r)/2 (4)
(式中、各R1はフェニル基を表し、R2は各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。そしてp、q及びrは、0<p<4、0≦q<4、0≦r<4、及び0<(p+q+r)<4であり、そして0.05≦p/(p+q)≦1である。)
R1 sXtSiO(4−s−t)/2 (16)
(式中、R1はフェニル基を表し、Xは各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表し、s及びtは、0<s<4、0≦t<4、そして0<(s+t)<4である。)
また、バインダー成分(B)として上述したフェニル基含有シリコーン(BP)等のシリコーン樹脂を含有する場合であって、該シリコーン樹脂がヒドロキシシリル基及び/又は加水分解性シリル基を有する場合、従来公知の加水分解触媒や硬化触媒を、該シリコーン樹脂に対し、好ましくは0.01〜30質量%、より好ましくは0.1〜15質量%の割合で添加することができる。
また、本発明の光触媒組成物におけるバインダー成分(B)としては、水酸基及び/又は炭素数1〜20のアルコキシ基、エノキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの加水分解性基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体分子鎖の末端及び/又は側鎖に有するアクリル重合体も、表面エネルギーが比較的高く、耐候性に優れるため好ましく用いることができる。
R2 uXvSiO(4−u−v)/2 (5)
(式中、R2は直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基から選ばれた1種以上からなる基を表す。Xは、式(4)で定義した通りである。0<u<4、0≦v<4、及び0<(u+v)<4である。)
本発明の機能性複合体を得るのに用いられる基材としては、特に限定はされなく、例えば本発明で開示した用途に使用される基材は全て用いることができる。
本発明の機能性複合体を得るのに用いられる基材としては、例えば合成樹脂、天然樹脂等の有機基材や、金属、セラミックス、ガラス、石、セメント、コンクリート等の無機基材や、それらの組み合わせ等を挙げることができる。
本発明の多層構造体において、ナノスケール粒子(a)が光触媒粒子(a1)の場合、それに含まれる光触媒粒子(a1)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより親水性及び/又は光触媒活性、さらには光電変換機能を示す。
本発明において、光触媒粒子(a1)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光の光源としては、太陽光や室内照明灯等の一般住宅環境下で得られる光の他、ブラックライト、キセノンランプ、水銀灯、LED等の光が利用できる。
実施例、参考例及び比較例中において、各種の物性は下記の方法で測定した。
1.粒径分布及び数平均粒子径
試料中の光触媒含有量が1〜20質量%となるよう適宜溶媒を加えて希釈し、湿式粒度分析計(日機装製マイクロトラックUPA−9230)を用いて測定した。
ポリスチレン標品を用いて作成した検量線を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求めた。
GPCの条件は以下の通りである。
・装置:東ソー製HLC−8020 LC−3A型クロマトグラフ
・カラム:TSKgel G1000HXL、TSKgel G2000HXLおよびTSKgel G4000HXL(いずれも東ソー製)を直列に接続して用いた。
・データ処理装置:島津製作所製CR−4A型データ処理装置
・移動相:
テトラヒドロフラン(フェニル基含有シリコーンの分析に使用)
トルエン(フェニル基を含有しないシリコーンの分析に使用)
・流速:1.0ml/min.
・サンプル調製法
移動相に使用する溶媒で希釈(濃度は0.5〜2重量%の範囲で適宜調節した)して分析に供した。
日本分光製FT/IR−5300型赤外分光計を用いて測定した。
4.29Si核磁気共鳴の測定
日本電子製JNM−LA400を用いて測定した。
5.皮膜硬度
JIS−K5400に準じ、鉛筆硬度(皮膜のすり傷)として求めた。
6.紫外線照射後の皮膜硬度
皮膜表面に、東芝ライテック製FL20S BLB型ブラックライトの光を7日間照射後、上記の方法(5)にて測定した。
なおこのとき、日本国トプコン製UVR−2型紫外線強度計{受光部として、日本国トプコン製UD−36型受光部(波長310〜400nmの光に対応)を使用}を用いて測定した紫外線強度が1mW/cm2となるよう調整した。
皮膜の表面に脱イオン水の滴を乗せ、20℃で1分間放置した後、協和界面科学製CA−X150型接触角計を用いて測定した。
皮膜に対する水の接触角が小さいほど、皮膜表面は親水性が高い。
8.紫外線照射前後の、皮膜表面の親水性(疎水性)の変化
皮膜の表面に、上記6の方法で紫外線を7日間照射した後、上記7の方法にて水の接触角を測定した。
皮膜表面にメチレンブルーの5質量%エタノール溶液を塗布した後、上記6の方法にて紫外線を5日間照射した。
その後、光触媒の作用によるメチレンブルーの分解の程度(皮膜表面の退色の程度に基づき、目視で評価)に基づき、光触媒の活性を以下の3段階で評価した。
◎:メチレンブルーが完全に分解。
△:メチレンブルーの青色がわずかに残る。
×:メチレンブルーの分解はほとんど観測されず。
スガ試験器製DPWL−5R型デューパネル光コントロールウェザーメーターを使用して曝露試験(照射:60℃4時間、暗黒・湿潤:40℃4時間)を行った。曝露1000時間後の60°−60°鏡面反射率を最終的な光沢値として測定し、これを初期光沢値で割り、この値を光沢保持率として算出した。また、色差計でL値を測定し、初期L値との差から△Lを求めて外観変化の尺度とした。(△Lが小さいほど外観の変化は少ない)
耐候性試験(上記10)後の皮膜にセロハン粘着テープ(JIS Z1522)を貼り付けた後、一気に剥がして皮膜の目視観察を行い、以下の3段階で評価した。
◎:外観は全く変化せず。
△:若干の剥がれが生じる。
×:皮膜表層が全て剥がれる。
12.耐汚染性
試験板を一般道路(トラック通行量500〜1000台/日程度)に面したフェンスに3ケ月間張りつけた後、試験板表面を水洗し、汚染の度合いを目視にて評価した。
アクリルウレタン系のベースコート層を有するアルミ板上に形成させた皮膜の観察は、試料をDISCOエンジニアリングサービス製DAD321型ダイシングソーで粗切断した後、FIB(Focused Ion Beam)加工を行い、TEMによる皮膜断面の観察を実施した。
FIB加工条件は以下の通りである。
使用機器:日立製FB2000型
加工条件:加速電圧(30kV)
イオン源:Ga
また、TEM観察の条件は以下の通りである。
・装置:日立製HF2000型
・加速電圧:200kV
また、光触媒酸化チタンの存在場所は、Ti元素のEDX分析により解析した。
フェニル基含有シリコーン(BP)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にいれたジオキサン78gにフェニルトリクロロシラン26.0gを添加した後、室温にて約10分間撹拌した。これに水3.2gとジオキサン12.9gからなる混合液を、反応液を10〜15℃に保ちながら約30分かけて滴下した後、さらに10〜15℃で約30分撹拌し、続いて反応液を60℃に昇温させ3時間撹拌した。得られた反応液を25〜30℃に降温させ、392gのトルエンを約30分かけて滴下した後、再度反応液を60℃に昇温させ2時間撹拌した。
得られた反応液を10〜15℃に降温させ、メタノール19.2gを約30分かけて添加した。その後さらに25〜30℃にて約2時間撹拌を続行し、続いて反応液を60℃に昇温させ2時間撹拌した。得られた反応液から60℃で減圧下に溶媒を溜去することにより重量平均分子量2600のラダ−骨格を有するフェニル基含有シリコーン(CP)を得た。(得られたフェニル基含有シリコーン(CP)には、IRスペクトルにおけるラダ−骨格の伸縮振動に由来する吸収(1130cm−1及び1037cm−1)が観測された。)
また、29Si核磁気共鳴の測定結果より求めた上記フェニル基含有シリコーン(CP)の式は、(Ph)1(OCH3)0.58SiO1.21であった。(ここでPhはフェニル基を表す。)
アルキル基含有シリコーン(DA)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器に入れたメタノール300gにメチルトリメトキシシラン136g(1モル)、及びジメチルジメトキシシラン120g(1モル)を添加した後、室温にて約10分間撹拌した。これに氷冷下で、0.05Nの塩酸水溶液12.6g(0.7モル)とメタノール63gからなる混合液を、約40分かけて滴下し、加水分解を行った。滴下終了後、さらに10℃以下で約20分、室温で6時間それぞれ撹拌した。
その後、得られた反応液から60℃で減圧下に溶媒を溜去することにより重量平均分子量3600のアルキル基含有シリコーン(DA)を得た。得られたアルキル基含有シリコーン(DA)の構造を29Si核磁気共鳴によって測定したところ、T構造とD構造を示すシグナルが確認され、その比率はT構造:D構造=1:1であった。
また、29Si核磁気共鳴の測定結果より求めた上記アルキル基含有シリコーン(DA)の平均組成式は、(CH3)1.5(OCH3)0.27SiO1.12であった。
変性光触媒粒子(A1)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にいれたTKS−251{酸化チタンオルガノゾルの商品名(テイカ製)、分散媒:トルエンとイソプロパノールの混合溶媒、TiO2濃度20質量%、平均結晶子径6nm(カタログ値)}40gにビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン8gを40℃にて約5分かけて添加し、さらに40℃で12時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な変性光触媒オルガノゾル(A)を得た。この時、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシランの反応に伴い生成した水素ガス量は23℃において718mlであった。また、得られた変性酸化チタンオルガノゾルをKBr板上にコーティングしIRスペクトルを測定したところ、Ti−OH基の吸収(3630〜3640cm−1)の消失が観測された。
また、変性光触媒オルガノゾル(A)の粒径分布は単一分散(数平均粒子径は17nm)であり、さらに変性処理前のTKS251の単一分散(数平均粒子径は12nm)の粒径分布が大きな粒径側に平行移動していることが確認できた。
参考例1で合成したフェニル基含有シリコーン(BP)3.1gと参考例2で合成したアルキル基含有シリコーン(DA)3.1gを混合したものに、トルエン30.7g、イソプロパノール13.8gを添加し、室温で撹拌した後、1.7gのX−1044{テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウムの20質量%溶液(質量比がトルエン/メタンール=5/1)の商品名(松本製薬製)}を添加した。これに参考例3で調整した変性光触媒オルガノゾル(A1)7.8gを室温にて撹拌下において添加して変性光触媒組成物(C1)を得た。
得られた試験板(G1)をFIB加工し、TEMによる皮膜断面の観察を行った結果を図1(a)の写真に示す。また、図1(a)の写真のイラストレーションが図1(b)である。光触媒粒子含有層(図1(b)中の参照番号3で示す)を含む光触媒含有皮膜(図1(b)中の参照番号1で示す)と、基材である、顔料酸化チタン(図1(b)中の参照番号5で示す)を含むアクリルウレタン皮膜(図1(b)中の参照番号2で示す)との界面には変性光触媒粒子は存在せず、光触媒含有皮膜中には複数層の光触媒粒子含有層が存在することが観察される。即ち、得られた光触媒含有皮膜は多層構造体であることが観察された。
得られた試験板(G1)の紫外線(ブラックライト)照射後の鉛筆硬度は3Hであり、水の接触角は0゜であった。さらに光触媒活性評価の結果も全て非常に良好(◎)であった。
また、得られた試験板(G1)の耐汚染性評価の結果は、表面に全く汚れは見受けられず、非常に良好な耐汚染性を示した。
さらに、デューパネル光コントロールウェザーメーターによる曝露試験(1000時間後)による光沢保持率は92%であり、外観変化もなく(△Lは0.1)非常に良好な耐候性を示した。
本発明の多層構造体又は機能性複合体であって、光照射により20℃における水との接触角が60゜以下(好ましくは10゜以下)となった親水性のもの(親水性膜、及び該親水性膜で被覆された基材等)は、鏡やガラスの曇りを防止する防曇技術、さらには建築外装等に対する防汚技術や帯電防止技術等への応用が可能である。
また、本発明によって提供される、光照射によって水との濡れ性が変化(疎水性から親水性への変化、あるいは親水性から疎水性への変化)する部材は、オフセット印刷用原版等への応用に対し非常に有用である。
2 アクリルウレタン皮膜
3 光触媒粒子含有層
4 バインダー成分
5 顔料酸化チタン
Claims (5)
- 自己組織化により形成されてなる複数層の光触媒粒子含有層から構成される多層構造体であって、
以下の式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位、及びジフルオロメチレン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(b)で光触媒粒子(a)を変性処理することによって得られる変性光触媒粒子(A)と
R3Si− (1)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭
素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフル
オロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニ
ル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。)
−(R2SiO)− (2)
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
該変性光触媒粒子(A)より表面エネルギーが大きい、以下の式(4)で表されるフェニル基含有シリコーン(BP)からなるバインダー成分(B)と、
R 1 p R 2 q X r SiO (4−p−q−r)/2 (4)
(式中、各R 1 はフェニル基を表し、R 2 は各々独立に直鎖状または分岐状の炭素
数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または
分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水
酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキ
シ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。そしてp、q及びr
は、0<p<4、0≦q<4、0≦r<4、及び0<(p+q+r)<4であり、
そして0.05≦p/(p+q)≦1である。)
該変性光触媒粒子(A)と親和力を有する、以下の式(5)で表されるアルキル基含有シリコーン(DA)からな るバインダー成分(D)
R 2 u X v SiO (4−u−v)/2 (5)
(式中、R 2 は直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜
20のシクロアルキル基から選ばれた1種以上からなる基を表す。Xは、式(4)
で定義した通りである。0<u<4、0≦v<4、及び0<(u+v)<4であ
る。)
とを含有する変性光触媒粒子組成物(C)から自己組織化により形成されることを特徴とする多層構造体。 - 光触媒粒子(a)と変性剤化合物(b)との質量比(a)/(b)が10/90〜99.5/0.5、であり、変性光触媒粒子(A)とバインダー成分(B)及び(D)との質量比(A)/(B)が1/99〜50/50、(A)/(D)が30/70〜90/10であることを特徴とする請求項1に記載の多層構造体。
- フェニル基含有シリコーン(BP)が、アルキル基を含有しないフェニル基含有シリコーン(BP1)であることを特徴とする請求項1または2に記載の多層構造体。
- 該光触媒粒子(a1)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより光触媒活性及び/又は親水性を示すことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多層構造体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の多層構造体が基材上に形成されてなる機能性複合体。
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