JP4817596B2 - 光触媒組成物、それから形成される光触媒体 - Google Patents

光触媒組成物、それから形成される光触媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可視光の照射により優れた光触媒機能(防曇性、防汚性、防臭性、抗菌性、防カビ性、帯電防止性等)を発現する光触媒体、及び該光触媒体を形成することができる光触媒組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ある種の物質に、その物質の伝導帯と価電子帯との間のエネルギーギャップ(バンドギャップ)よりも大きなエネルギーを持つ光、即ちその物質のバンドギャップに対応する光よりも波長の短い光(励起光)を照射すると、光エネルギーによって価電子帯中の電子の励起(光励起)が起こり、伝導帯に電子が、価電子帯に正孔が生成する。このとき、伝導帯に生成した電子の還元力および/または価電子帯に生成した正孔の酸化力を利用して、種々の化学反応を行うことができる。
【0003】
即ち、上記のような物質は、励起光照射下において触媒のように用いることができる。そのため、上記のような物質は光触媒と呼ばれており、その最も代表的な例として酸化チタンが知られている。
この光触媒によって促進される化学反応の例としては、種々の有機物の酸化分解反応を挙げることができる。従って、この光触媒を種々の基材の表面に固定化させれば、基材の表面に付着した種々の有機物を、光エネルギーを利用して酸化分解することができることになる。
【0004】
一方、ある種の光触媒に光を照射すると、その光触媒の表面の親水性が高まることが知られている。従って、この光触媒を種々の基材の表面に固定化させれば、光の照射によりその基材の表面の親水性を高めることができるようになる。
近年、上記のような光触媒の特性を、環境浄化、種々の基材の表面への汚れの付着防止や曇りの防止を始めとする、種々の分野に応用するための研究として、光触媒を種々の基材の表面に固定化して、基材に光触媒活性を付与する方法が注目されている。
光触媒を基材に固定化する方法については、これまでに種々の提案がなされている。例えば、特許文献1では、光触媒酸化チタンをスパッタリング法により基材の表面に薄膜状にして固定化する方法が開示されている。また、特許文献2では、水中に解膠させた酸化チタンゾルを用いて基材の表面をコーティングする方法が提案されている。
【0005】
しかし、上述した光触媒の固定化方法において、光触媒活性を基材に付与する光触媒として用いられてきた酸化チタンは、吸収できる光が紫外光に限られており、太陽光や蛍光灯光などを効率的に利用することができないため、太陽光の下では若干は光触媒活性を示すものの、蛍光灯やランプが利用されている室内や車内では十分な光触媒活性を得ることは全く困難であった。このため、該酸化チタンが固定化された基材も、応用できる範囲が紫外線を十分に照射できる場所に制限されていた。
【0006】
これらの課題に対し、例えば特許文献3ではバンドギャップエネルギーが2.2〜3.1eVである光触媒粒子の基材への固定化が提案されている。しかし、該特許文献3において400〜800nmの可視光照射下での光触媒活性を示す光触媒として例示されているものは、ルチル型酸化チタン、三酸化タングステン、酸化第2鉄や、RuやCr等がドープされたアナターゼ型酸化チタンであり、いずれも可視光における光触媒活性が非常に小さく、実用性のないものばかりであった。
【0007】
また、特許文献3より可視光に対する光触媒活性が大きな光触媒を用いた基材への固定化技術として、例えば特許文献4では酸素欠陥型の酸化チタンの固定化方法が、さらに、例えば特許文献5〜8では窒素ドープ酸化チタンの固定化方法が提案されている。しかし、上記可視光応答型光触媒は、XRD分析で解析される構造はアナターゼ型及び/又はルチル型の酸化チタン構造であり、酸化チタン骨格に存在する少量の酸素欠陥や少量の窒素原子によって可視光応答性能が付与されているため、可視光領域において利用できる光は非常に少なく、結果として可視光に対する光触媒活性も小さいという課題があった。
【0008】
上記課題を解決する可視光応答型光触媒として、特許文献9では遷移金属を含むオキシナイトライド化合物が、特許文献10では窒化タンタルが、また特許文献11では遷移金属を含むオキシサルファイド化合物が提案されている。これらの化合物のXRD分析で解析される構造は、前駆体として用いられている酸化物とは異なる単一相構造を有する化合物であり、可視光領域において利用できる光も多く、結果として可視光に対する光触媒活性も非常に大きい優れた可視光応答型光触媒である。
しかし、上記可視光応答型光触媒(特許文献9〜11)は、水や有機溶媒等への分散性が不十分であり、種々の基材の表面に固定化させるのに有効なコーティング剤とすることが非常に困難であった。
【0009】
また、上記可視光応答型光触媒(特許文献9〜11)は、それ自体に成膜性や成形性を有さず、基材に強固に固定化する為に加熱を行うと構造が容易に変化して可視光応答性が低下あるいは消失する。(非特許文献1)、このため該可視光応答型光触媒の基材への固定化を大きく阻害していた。このため、該可視光応答型光触媒を基材に固定化する有効な技術が切望されていた。
【0010】
【特許文献1】
特開昭60−044053号公報
【特許文献2】
特開平6−278241号公報
【特許文献3】
特開平10−310653号公報
【特許文献4】
特開2001−98219号公報
【特許文献5】
特開2001−207082号公報
【特許文献6】
特開2002−28998号公報
【特許文献7】
特開2002−29749号公報
【特許文献8】
特開2003−48715号公報
【特許文献9】
特開2002−066333号公報
【特許文献10】
特開2002−233769号公報
【特許文献11】
特開2002−233770号公報
【非特許文献1】
Journal of the European Ceramic Society, 17 (1997) 1813-1818
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、可視光の照射により優れた光触媒機能(防曇性、防汚性、防臭性、抗菌性、防カビ性、帯電防止性等)を発現する光触媒体、及び該光触媒体を形成することができる光触媒組成物を提供する事である。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は以下の通りである。
1.Taオキシナイトライド、Taナイトライドよりなる群から選ばれる
少なくとも1種の化合物(a)からなる光触媒(A)と、バインダー成分(B)及び水(C)を含む光触媒組成物であって、該光触媒(A)が、式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(b)を用いて変性処理することによって得られるシリコン変性光触媒(A1)であることを特徴とする光触媒組成物
Si− (1)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。)
−(RSiO)− (2)
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
【0013】
【化3】
Figure 0004817596
【0014】
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
.該光触媒(A)が、シリコン変性光触媒(A1)から誘導されるシリカ変性光触媒(A2)であることを特徴とする1.に記載の光触媒組成物。
.該光触媒(A)が、シリコン変性光触媒(A1)に光照射することにより得られるシリカ変性光触媒(A2)であることを特徴とする1.に記載の光触媒組成物。
.該光触媒(A)の数平均粒子径が10μm以下であることを特徴とする1.〜.のいずれかに記載の光触媒組成物。
.該変性剤化合物(b)が、式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)であることを特徴とする.に記載の光触媒組成物。
SiO(4−x−y−z)/2 (4)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。
また、式中Qは、下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
(あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
(い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
(う)少なくとも1つの分光増感基。
また、0<x<4、0<y<4、0≦z<4、及び(x+y+z)≦4である。)
.該Si−H基含有ケイ素化合物(b1)が、式(5)又は式(6)で表されるモノSi−H基含有化合物、式(7)で表される両末端Si−H基含有化合物、式(8)で表されるHシリコーン化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種のSi−H基含有ケイ素化合物であることを特徴とする.に記載の光触媒組成物。
【0015】
【化4】
Figure 0004817596
【0016】
(式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、もしくは式(9)で表されるシロキシ基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
−O−(RSiO)−SiR ・・・(9)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。また、nは整数であり、0≦n≦1000である。))
H−(R SiO)−SiR −Q ・・・(6)
(式中、Rは式(5)で定義した通りである。Qは、下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。mは整数であり、0≦m≦1000である。)
(あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
(い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
(う)少なくとも1つの分光増感基。
H−(R SiO)−SiR −H ・・・(7)
(式中、Rは式(5)で定義した通りである。mは整数であり、0≦m≦1000である。)
(RHSiO)(R SiO)(RQSiO)(R SiO1/2・・・(8)
(式中、Rは式(5)で定義した通りであり、Qは式(6)で定義した通りである。aは1以上の整数であり、b及びcは0又は1以上の整数であり、(a+b+c)≦10000であり、そしてdは0又は2である。但し、(a+b+c)が2以上の整数であり且つd=0の場合、該Hシリコーン化合物は環状シリコーン化合物であり、d=2の場合、該Hシリコーン化合物は鎖状シリコーン化合物である。)
.該バインダー成分(B)がシリコーン化合物、ジルコニウム化合物、
過酸化チタン、フッ素系樹脂、水ガラスからなる群より選ばれる少なくとも1つの難分解性成分(B1)を含有することを特徴とする1.に記載の光触媒組成物。
【0017】
.1.〜.のいずれか一項に記載の光触媒組成物から形成されてなる光触媒体。
.該光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより光触媒活性及び/又は親水性を示すことを特徴とする.に記載の光触媒体。
10.皮膜であることを特徴とする.または.に記載の光触媒体。
1110.に記載の光触媒体が基材上に形成されてなる機能性複合体。
12.成形体であることを特徴とする.または.に記載の光触媒体。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光触媒組成物は、遷移金属を含むオキシナイトライド、遷移金属を含むオキシサルファイド、遷移金属を含むナイトライドよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(a)からなる光触媒(A)と、バインダー成分(B)及び/又は溶媒(C)を含むことを特徴とする。本発明の光触媒組成物からは可視光に対する光触媒活性が非常に大きく、長期にわたり光触媒活性及び/又は親水性を発現することが可能な光触媒体を形成することができる。
【0023】
本発明において光触媒活性とは、光照射によって酸化、還元反応を起こすことを言う。これらの光触媒活性は、例えば光照射時における色素等の有機物の分解性を測定することにより判定することができる。また、可視光に対する光触媒活性とは、少なくとも400〜800nmの可視光照射下での上記光触媒活性を意味する。光触媒活性を有する光触媒体は、優れた防臭性、抗菌性、防カビ性、汚染有機物質の分解活性や耐汚染性を発現する。
また、本発明において親水性とは、好ましくは20℃での水の接触角が60゜以下である場合を言うが、特に水の接触角が20゜以下の親水性を有する表面は、降雨等の水による自己浄化能(セルフクリーニング)による耐汚染性を発現するので好ましい。さらに優れた耐汚染性発現や防曇性発現の点からは表面の水の接触角は10゜以下であることが好ましく、更に好ましくは5゜以下である。
【0024】
本発明において好適に使用できる遷移金属を含むオキシナイトライドは、光触媒活性が大きいものとして、好ましくは遷移金属がTa、Nb、Ti、Zr、Wからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とするオキシナイトライドであり、より好ましくは、アルカリ、アルカリ土類及びIIIB族の金属からなる群から選択される少なくとも1つの元素を更に含むことを特徴とするオキシナイトライドであり、更に好ましくはCa、Sr、Ba、Rb、La、Ndからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属元素を更に含むことを特徴とするオキシナイトライドである。
【0025】
上記遷移金属を含むオキシナイトライドの例としては、LaTiON、LaCaTiON(v+w=3)、LaCaTaON(v+w=3)、LaTaON、CaTaON、SrTaON、BaTaON、CaNbON、CaWON、SrWON等の一般式AMO(A=アルカリ金属、アルカリ土類金属、IIIB族金属;M=Ta、Nb、Ti、Zr、W;x+y=3)で表される化合物やTaON、NbON、WON、LiLaTaN等を挙げることができる。これらの中で、LaTiON、LaCaTiON(v+w=3)、LaCaTaON(v+w=3)、TaONが可視光での光触媒活性が非常に大きいため好ましい。
【0026】
上記遷移金属を含むオキシナイトライドは、例えば、金属化合物と含窒素化合物との反応によって得ることができる。原料金属化合物としては、例えば金属酸化物、金属塩、金属錯体を用いることができ、これらの単体、あるいは混合物をアンモニア、アンモニウム塩、ヒドラジン、窒素、金属窒化物、金属アミド、金属アンミン錯体等の含窒素化合物と反応させることによって好ましく合成できる。特に、金属酸化物とアンモニアとの反応(好ましくは300〜1500℃での反応)が上記遷移金属を含むオキシナイトライドの合成方法として有利である。この反応ではアンモニアは、還元剤と窒素化試薬として働くと考えられる。
【0027】
また、上記遷移金属を含むオキシナイトライドにおいて、Pt、Rh、Ru、Ir、Cu、Sn、Ni、Fe、Wよりなる群から選ばれる少なくとも1種の遷移金属及び/又は該遷移金属の酸化物が坦持されたものは光触媒活性が向上するため好ましい。
本発明において好適に使用できる遷移金属を含むオキシサルファイドは、光触媒活性が大きいものとして、好ましくは遷移金属がTa、Nb、Ti、Zr、Wからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とするオキシサルファイドであり、より好ましくは、アルカリ、アルカリ土類及びIIIB族の金属からなる群から選択される少なくとも1つの元素を更に含むことを特徴とするオキシサルファイドであり、更に好ましくは希土類元素を更に含むことを特徴とするオキシサルファイドである。
【0028】
上記遷移金属を含むオキシサルファイドの例としては、SmTi、NdTi、LaTi、PrTi、SmNbS等を挙げることができる。これらの中で、SmTi、NdTiが可視光での光触媒活性が非常に大きいため非常に好ましい。
上記遷移金属を含むオキシサルファイドは、例えば該化合物を構成する希土類酸化物あるいは硫化物と遷移金属酸化物あるいはその硫化物とを所望の混合量で混合した後、耐熱性でコンタミネーションを起こさない反応管、例えば石英管、ニオブ管など管中に入れ、真空封緘後、昇温速度(昇温途中での一定温度の保持を含めて)、加熱時間などを制御して焼成することにより得ることができる。反応に用いる希土類酸化物としては酸化サマリウム(Sm)、酸化ランタン(La)、希土類硫化物としては硫化サマリウム(Sm)、硫化ランタン(La)等を好ましいものとして挙げることができる。また、遷移金属酸化物としては、酸化チタン(TiO)、酸化ニオブ(Nb)、遷移金属硫 化物としては硫化チタン(TiS)、硫化ニオブ(Nb)などを好ましいものとして挙げることができる。
また、上記遷移金属を含むオキシサルファイドにおいて、Pt、Rh、Ru、Ir、Cu、Sn、Ni、Fe、Wよりなる群から選ばれる少なくとも1種の遷移金属及び/又は該遷移金属の酸化物が坦持されたものは光触媒活性が向上するため好ましい。
【0029】
本発明において好適に使用できる遷移金属を含むナイトライドは、光触媒活性が大きいものとして、好ましくは遷移金属がTa、Nb、Ti、Zr、Wからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とするナイトライドである。この様な遷移金属を含むナイトライドは、光触媒活性が大きいため好ましい。
上記遷移金属を含むナイトライドの例としては、Ta、TiN、Zr、NbN、WN、WN、W等を挙げることができる。これらの中で、斜方晶系Taが可視光での光触媒活性が非常に大きいため好ましい。
上記遷移金属を含むナイトライドは、例えば、上述した遷移金属を含むオキシナイトライドの合成方法と同様の方法(金属化合物と含窒素化合物との反応)で、完全に窒化を進めることによって得ることができる。
また、上記遷移金属を含むナイトライドにおいて、Pt、Rh、Ru、Ir、Cu、Sn、Ni、Fe、Wよりなる群から選ばれる少なくとも1種の遷移金属及び/又は該遷移金属の酸化物が坦持されたものは光触媒活性が向上するため好ましい。
上述した遷移金属を含むオキシナイトライド、遷移金属を含むオキシサルファイド、遷移金属を含むナイトライドの形状は任意のものであることができるが、結晶粒子径(1次粒子径)が1nm〜100μmの粒子であることが好ましい。
【0030】
本発明の光触媒組成物に用いる光触媒(A)として、遷移金属を含むオキシナイトライド、遷移金属を含むオキシサルファイド、遷移金属を含むナイトライドよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(a)を、式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(b)を用いて変性処理することによって得られるシリコン変性光触媒(A1)を用いると、本発明の光触媒組成物は貯蔵安定性に優れるとともに、該光触媒組成物から形成される光触媒体は、光照射による水の濡れ性(親水性、疎水性)の制御能や光触媒活性が非常に大きくなる為、非常に好ましい。
Si− (1)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。)
−(RSiO)− (2)
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
【0031】
【化5】
Figure 0004817596
【0032】
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
本発明において変性とは、後述する少なくとも1種の変性剤化合物(b)を、光触媒(a)の表面に固定化することを意味する。上記の変性剤化合物の光触媒粒子の表面への固定化は、ファン・デル・ワールス力(物理吸着)または化学結合によるものと考えられる。特に、化学結合を利用した変性は、変性剤化合物と光触媒との相互作用が強く、変性剤化合物が光触媒粒子の表面に強固に固定化されるので好ましい。
【0033】
本発明において、上述した遷移金属を含むオキシナイトライド、遷移金属を含むオキシサルファイド、遷移金属を含むナイトライドよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(a)の変性剤化合物(b)による変性処理は、水及び/又は有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、前述した化合物(a)と、同じく前述した変性剤化合物(b)を好ましくは質量比(a)/(b)=0.0001〜10000、より好ましくは(a)/(b)=0.001〜1000の割合で混合し、好ましくは0〜300℃、より好ましくは10〜150℃にて加熱したり、(減圧)蒸留等により該混合物の溶媒組成を変化させる等の操作をすることにより得ることができる。また、変性処理後に未反応の変性剤化合物(b)は、必要に応じ、蒸留や濾過、抽出等によって除去することもできる。
【0034】
本発明の上記変性処理に於いて、化合物(a)と変性剤化合物(b)の比が0.0001以上で、変性剤化合物(b)と十分反応し、変性処理が効率的に行われる。また、化合物(a)と変性剤化合物(b)の比が10000以下で、変性処理による効果が十分に発現する。 ここで上記変性処理を行う場合、使用できる有機溶媒としては、例えばトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等やこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0035】
本発明のシリコン変性光触媒(A1)を得るのに使用される上記変性剤化合物(b)としては、例えばSi−H基、加水分解性シリル基(アルコキシシリル基、ヒドロキシシリル基、ハロゲン化シリル基、アセトキシシリル基、アミノキシシリル基等)、エポキシ基、アセトアセチル基、チオール基、酸無水物基等の光触媒(a)と反応性を有するケイ素化合物等を挙げることができる。
また、上記変性剤化合物(b)の他の例としては、例えば上記化合物(a)とファン・デル・ワールス力、クーロン力等により相互作用する構造、例えばポリオキシアルキレン基等を有するケイ素化合物等を挙げることができる。
【0036】
本発明において、上記変性剤化合物(b)として、式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)を用いると、非常に効率よく光触媒粒子表面を変性することができるため好ましい。
SiO(4−x−y−z)/2 (4)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。
【0037】
また、式中Qは、下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
(あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
(い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
(う)少なくとも1つの分光増感基。
また、0<x<4、0<y<4、0≦z<4、及び(x+y+z)≦4である。)
【0038】
本発明において、上述した遷移金属を含むオキシナイトライド、遷移金属を含むオキシサルファイド、遷移金属を含むナイトライドよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(a)の上記式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)による変性処理は、水及び/又は有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、化合物(a)と該Si−H基含有ケイ素化合物(b1)を好ましくは質量比(a)/(b1)=0.0001〜10000、より好ましくは(a)/(b1)=0.001〜1000の割合で、好ましくは0〜200℃にて混合することにより実施できる。この際の混合は、液相、気相、固相のいずれの状態であっても良い。また、上記変性処理による化合物(a)とSi−H基含有ケイ素化合物(b1)との反応は、反応に伴って発生する水素ガス量を測定することにより定量することができる。
【0039】
本発明において、上記化合物(a)のSi−H基含有ケイ素化合物(b1)による変性処理は、Si−H基に対する脱水素縮合触媒を使用して好ましくは0〜150℃で実施することもできる。
この場合、あらかじめ光還元法等の方法で脱水素縮合触媒を化合物(a)に固定し、上記Si−H基含有ケイ素化合物(b1)で変性処理しても良いし、脱水素縮合触媒の存在下に上記Si−H基含有化合物ケイ素(b1)で化合物(a)を変性処理しても良い。
ここでSi−H基に対する脱水素縮合触媒とは、Si−H基と化合物(a)の表面に存在する水酸基やチオール基、アミノ基、カルボキシル基等の活性水素基、さらには水等との脱水素縮合反応を加速する物質を意味し、該脱水素縮合触媒を使用することにより温和な条件で化合物(a)の表面を変性することが可能となる。
【0040】
該脱水素縮合触媒としては、例えば白金族触媒、すなわちルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の単体及びその化合物や、銀、鉄、銅、コバルト、ニッケル、錫等の単体及びその化合物が挙げられる。これらの中で白金族触媒が好ましく、白金の単体及びその化合物が特に好ましい。
ここで、上記白金の化合物としては、例えば塩化白金(II)、テトラクロロ白金酸(II)、塩化白金(IV)、ヘキサクロロ白金酸(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)アンモニウム、ヘキサクロロ白金(IV)カリウム、水酸化白金(II)、二酸化白金(IV)、ジクロロ−ジシクロペンタジエニル−白金(II)、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−オレフィン錯体等を使用することができる。
【0041】
また、本発明に好適に使用できるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)としては、例えば式(5)や式(6)で表されるモノSi−H基含有化合物、式(7)で表される両末端Si−H基含有化合物、式(8)で表されるHシリコーン化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種のSi−H基含有ケイ素化合物を挙げることができる。
【0042】
【化6】
Figure 0004817596
【0043】
(式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、もしくは式(9)で表されるシロキシ基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
−O−(RSiO)−SiR ・・・(9)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。また、nは整数であり、0≦n≦1000である。))
H−(R SiO)−SiR −Q ・・・(6)
(式中、Rは式(5)で定義した通りである。Qは、下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
【0044】
(あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
(い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
(う)少なくとも1つの分光増感基。
mは整数であり、0≦m≦1000である。)
H−(R SiO)−SiR −H ・・・(7)
(式中、Rは式(5)で定義した通りである。mは整数であり、0≦m≦1000である。)
(RHSiO)(R SiO)(RQSiO)(R SiO1/2・・・(8)
(式中、Rは式(5)で定義した通りであり、Qは式(6)で定義した通りである。aは1以上の整数であり、b及びcは0又は1以上の整数であり、(a+b+c)≦10000であり、そしてdは0又は2である。但し、(a+b+c)が2以上の整数であり且つd=0の場合、該Hシリコーン化合物は環状シリコーン化合物であり、d=2の場合、該Hシリコーン化合物は鎖状シリコーン化合物である。)
【0045】
本発明において、上記式(5)で表されるモノSi−H基含有化合物の具体例としては、例えばビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)エチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−プロピルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)i−プロピルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−ブチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−ヘキシルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)シクロヘキシルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)フェニルシラン、ビス(トリエチルシロキシ)メチルシラン、ビス(トリエチルシロキシ)エチルシラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリス(トリエチルシロキシ)シラン、ペンタメチルジシロキサン、1,1,1,3,3,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,1,3,3,5,5,6,6−ノナメチルテトラシロキサン、トリメチルシラン、エチルジメチルシラン、メチルジエチルシラン、トリエチルシラン、フェニルジメチルシラン、ジフェニルメチルシラン、シクロヘキシルジメチルシラン、t−ブチルジメチルシラン、ジ−t−ブチルメチルシラン、n−オクタデシルジメチルシラン、トリ−n−プロピルシラン、トリ−i−プロピルシラン、トリ−i−ブチルシラン、トリ−n−ヘキシルシラン、トリフェニルシラン、アリルジメチルシラン、1−アリル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、クロロメチルジメチルシラン、7−オクテニルジメチルシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、フェニルメチルメトキシシラン、ジフェニルメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリス(イソプロポキシ)シラン等を挙げることができる。
【0046】
これらのモノSi−H基含有化合物の中で、化合物(a)の変性処理時におけるSi−H基の反応性(脱水素縮合反応)の良さから、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、ペンタメチルジシロキサン等の分子中にシロキシ基を有するものや、ジメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、ジフェニルメトキシシラン、トリエトキシシラン等の分子中にアルコキシ基を有するものが好ましい。上記分子中にシロキシ基を有するモノSi−H基含有化合物は、化合物(a)の表面との反応選択性に優れるため、特に好ましい。
【0047】
本発明において、上記式(7)で表される両末端Si−H基含有化合物の具体例としては、例えば1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン等の数平均分子量50000以下のH末端ポリジメチルシロキサン類や、1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタエチルテトラシロキサン等の数平均分子量50000以下のH末端ポリジエチルシロキサン類や、1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサフェニルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタフェニルテトラシロキサン等の数平均分子量50000以下のH末端ポリジフェニルシロキサン類や、1,3−ジフェニル−1,3−ジメチル−ジシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニル−トリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニル−テトラシロキサン等の数平均分子量50000以下のH末端ポリフェニルメチルシロキサン類や、ジメチルシラン、エチルメチルシラン、ジエチルシラン、フェニルメチルシラン、ジフェニルシラン、シクロヘキシルメチルシラン、t−ブチルメチルシラン、ジ−t−ブチルシラン、n−オクタデシルメチルシラン、アリルメチルシラン等を例示することができる。
【0048】
本発明に用いる上記式(7)で表される両末端Si−H基含有化合物としては、光触媒の変性処理時におけるSi−H基の反応性(脱水素縮合反応)の良さから、好ましくは数平均分子量が10000以下、より好ましくは2000以下、さらに好ましくは1000以下の両末端Si−H基含有化合物が好適に使用できる。
本発明に用いることができる上記式(8)で表されるHシリコーン化合物としては、変性処理時における光触媒粒子の凝集防止の点より、数平均分子量が、好ましくは10000以下、より好ましくは5000以下、さらに好ましくは2000以下のHシリコーン化合物が好適に使用できる。
また、上記一般式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)として、機能性付与基含有基(Q)を有するもの(式(6)、式(8)であってrが1以上の正数のもの等)を選択すると、本発明で得られるシリコン変性光触媒(A)に種々の機能を付与できるため好ましい。
【0049】
ここで機能性付与基含有基(Q)は下式(10)で表される基であることが好ましい。
−Z−(W) ・・・(10)
(式中、Zは分子量14〜50,000の(a−1)価の有機基を表し、Wは上記式(4)中の機能性付与基(あ)〜(う)からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、aは1〜20の整数である。)
例えば機能性付与基含有基(Q)として、カルボキシル基あるいはその塩を含む1価の基、リン酸基あるいはその塩を含む1価の基、スルホン酸基あるいはその塩を含む1価の基、アミノ基あるいはその塩を含む1価の基、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基[式(4)中の(あ)]を有するものを選択すると、得られるシリコン変性光触媒(A)の水に対する分散安定性が非常に良好なものとなる。
【0050】
また、例えば機能性付与基含有基(Q)として、エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、環状酸無水物基、非環状酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基[式(4)中の(い)]を含有する基を選択すると本発明のシリコン変性光触媒(A)は架橋性を有する。
また、例えば機能性付与基含有基(Q)として、分光増感基を有するものを選択すると、本発明のシリコン変性光触媒(A)の可視光領域及び/又は赤外光領域の光の照射による光触媒活性や光電変換機能を向上させることができる。
【0051】
ここで、分光増感基とは、可視光領域及び/又は赤外光領域に吸収を持つ種々の金属錯体や有機色素(即ち、増感色素)に由来する基を意味する。
増感色素としては、例えばキサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、ローダシアニン系色素、スチリル系色素、ヘミシアニン系色素、メロシアニン系色素、フタロシアニン系色素(金属錯体を含む)、ポルフィリン系色素(金属錯体を含む)、トリフェニルメタン系色素、ペリレン系色素、コロネン系色素、アゾ系色素、ニトロフェノール系色素、さらには例えば特開平1−220380号公報や特許出願公表平5−504023号公報に記載のルテニウム、オスミウム、鉄、亜鉛の錯体や、他にルテニウムレッド等の金属錯体を挙げることができる。
【0052】
これらの増感色素の中で、400nm以上の波長領域で吸収を持ち、かつ最低空軌道のエネルギー準位(励起状態の酸化還元電位)が化合物(a)の伝導帯のエネルギー準位より高いという特徴を有するものが好ましい。このような増感色素の特徴は、赤外・可視・紫外領域における光の吸収スペクトルの測定、電気化学的方法による酸化還元電位の測定(例えばT.Tani, Photogr. Sci. Eng., 14, 72 (1970); R.W.Berriman et al., ibid., 17. 235 (1973); P.B.Gilman Jr., ibid., 18, 475 (1974)等)、分子軌道法を用いたエネルギー準位の算定(例えばT.Tani et al., Photogr. Sci. Eng., 11, 129 (1967); D.M.Sturmer et al., ibid., 17. 146 (1973); ibid., 18, 49 (1974); R.G.Selby et al., J. Opt. Soc. Am., 33, 1 (1970)等)、更には化合物(a)と分光増感色素によって作成したGratzel型湿式太陽電池の光照射による起電力の有無や効率等によって確認することができる。
【0053】
上記の特徴を有する増感色素の例としては、9−フェニルキサンテン骨格を有する化合物、2,2−ビピリジン誘導体を配位子として含むルテニウム錯体、ペリレン骨格を有する化合物、フタロシアニン系金属錯体、ポルフィリン系金属錯体等を挙げることができる。
【0054】
本発明において、上述した機能性付与基含有基(Q)を有するSi−H基含有ケイ素化合物を得る方法としては、
(Q−1):下記一般式(11)で表されるSi−H基含有化合物と、機能性付与基[式(4)中の(あ)〜(う)]を有する炭素−炭素不飽和結合化合物をヒドロシリル化反応させる方法。
(Q−2):下記一般式(11)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物と、反応性基[式(4)中の(い)]を有する炭素−炭素不飽和結合化合物をヒドロシリル化反応させて反応性基を有するSi−H基含有ケイ素化合物を得た後、該反応性基と反応性を有する機能性付与基含有化合物を反応させる方法が挙げられる。
(x+z)SiO(4−x−y−z)/2 (11)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基を表す。
【0055】
また、0<(x+z)<4、0<y<4、及び(x+y+z)≦4である。)
まず、機能性付与基(Q)を有するSi−H基含有ケイ素化合物を得る方法として、上述した(Q−1)の方法[以下(Q−1)−方法]について説明する。
【0056】
(Q−1)−方法において、上記式(11)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物に、機能性付与基として親水性基を導入するのに用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基、環状酸無水物からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基を有するオレフィン類、アリルエーテル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン誘導体等が挙げられる。
【0057】
上記親水性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の好ましい具体例として、例えば式(12)で表されるポリオキシエチレン基含有アリルエーテルや、さらには5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、アリルコハク酸無水物等を挙げることができる。
CH=CHCHO(CHCHO) (12)
(式中、bは1〜1000の整数を表す。Rは、水素原子或いは直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基を表す。)
【0058】
また、上記式(11)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物に反応性基を導入するのに用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1種の反応性基を有するオレフィン類、アリルエーテル類、アリルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン誘導体等が挙げられる。
【0059】
上記反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の好ましい具体例として、例えばアリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリル、ジアリルエーテル、ジアリルフタレート、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、エチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、5−ヘキセン−2−オン、アリルイソシアネート、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、アリルアミン、アリルイソチオシアネート、アリルセミカルバジド、(メタ)アクリル酸ヒドラジド、4−アリルオキシメチル−2−オキソ−1,3−ジオキソラン等を挙げることができる。
【0060】
また、上記式(11)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物に分光増感基を導入するのに用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、前述した分光増感色素を有するオレフィン類、アリルエーテル類、アリルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン誘導体等が挙げられる。これらは、例えば前述した反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物と、該反応性基と反応性を有する分光増感色素との反応によって容易に得ることができる。
【0061】
例えば、反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の反応性基がエポキシ基、(環状)酸無水物、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基、ケト基、(メタ)アクリロイル基の場合は、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、ヒドラジン残基、(メタ)アクリロイル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を有する分光増感色素であり、逆に反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の反応性基がアミノ基、カルボキシル基、水酸基、ヒドラジン残基、(メタ)アクリロイル基の場合は、エポキシ基、(環状)酸無水物、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基、ケト基、(メタ)アクリロイル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を有する分光増感色素が挙げられる。
【0062】
上記反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物とそれに反応性を有する分光増感色素との反応は、各々の反応性基の種類に応じた反応温度、反応圧力、溶媒等の反応条件を選択して実施できる。その際、分光増感色素の安定性の点から、反応温度としては300℃以下が好ましく、150℃以下0℃以上がさらに好ましい。
(Q−1)−方法において、上記炭素−炭素不飽和結合化合物と上記式(14)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物とのヒドロシリル化反応は、好ましくは触媒の存在下、有機溶媒の存在下あるいは非存在下において0〜200℃で炭素−炭素不飽和結合化合物(E)と式(11)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1’)を、重量比(E)/(b1’)=0.01以上、より好ましくは(E)/(b1’)=0.01〜2、さらに好ましくは(E)/(b1’)=0.01〜1で接触させることにより行うことができる。
【0063】
上記ヒドロシリル化反応の触媒としては、白金族触媒、すなわちルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の化合物が適しているが、特に白金の化合物とパラジウムの化合物が好適である。白金の化合物としては、例えば塩化白金(II)、テトラクロロ白金酸(II)、塩化白金(IV)、ヘキサクロロ白金酸(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)アンモニウム、ヘキサクロロ白金(IV)カリウム、水酸化白金(II)、二酸化白金(IV)、ジクロロ−ジシクロペンタジエニル−白金(II)、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−オレフィン錯体や白金の単体、アルミナやシリカや活性炭に固体白金を担持させたものが挙げられる。パラジウムの化合物としては、例えば塩化パラジウム(II)、塩化テトラアンミンパラジウム(II)酸アンモニウム、酸化パラジウム(II)等が挙げられる。
【0064】
また、ヒドロシリル化反応に使用できる有機溶媒としては、例えばトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等やこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0065】
次に、機能性付与基を有するSi−H基含有ケイ素化合物を得る方法として、上述した(Q−2)の方法[以下(Q−2)−方法]について説明する。
(Q−2)−方法において使用される反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物としては、(Q−1)−方法において述べたものを挙げることができる。また、上述した式(11)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物と該反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物とのヒドロシリル化反応は、(Q−1)−方法で述べたヒドロシリル化反応と同じ条件で実施することができる。
(Q−2)−方法によると、上記ヒドロシリル化反応によって反応性基を有するSi−H基含有ケイ素化合物を得ることができる。この反応性基を有するSi−H基含有ケイ素化合物とそれに反応性を有する機能性付与基含有化合物との反応は、各々の反応性基の種類に応じた反応温度、反応圧力、溶媒等の反応条件を選択して実施できる。その際、Si−H基の安定性の点から、反応温度としては300℃以下が好ましく、150℃以下0℃以上がさらに好ましい。
【0066】
本発明によって得られた上記シリコン変性光触媒(A1)は、有機溶媒分散性や樹脂相溶性の発現、架橋性能の発現等、様々な機能が付与され、熱安定性が向上した可視光応答性に優れる光触媒である。
また、本発明のシリコン変性光触媒(A1)は、例えば光照射や焼成等により親水性及び光触媒活性が増大したシリカ変性光触媒(A2)に誘導することができる。
【0067】
ここで、シリコン変性光触媒(A1)からシリカ変性光触媒(A2)への誘導とは、シリコン変性光触媒(A)の上記変性剤化合物(b)に由来する珪素原子に結合した有機基(R)の少なくとも一部(好ましくは5モル%以上、更に好ましくは50モル%以上)を水酸基及び/又は該水酸基の脱水縮合反応で生成するシロキサン結合に変換することを意味する。
上記シリコン変性光触媒(A1)からシリカ変性光触媒(A2)への誘導は、赤外線分光分析、29Si核磁気共鳴分析、X線光電子分光分析等により解析する事ができる。
【0068】
本発明において、シリコン変性光触媒(A1)の光照射によるシリカ変性光触媒(A2)への誘導は、シリコン変性光触媒(A1)に該シリコン変性光触媒(A1)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの波長を有する光を、好ましくは−50〜300℃で1分以上、更に好ましくは1時間以上照射することにより達成できる。
この際、シリコン変性光触媒(A1)への光照射は任意の方法でできるが、粉体の状態での光照射や、溶媒が共存した状態で撹拌下に光照射する方法が好ましい。
【0069】
また、シリコン変性光触媒(A1)の光照射によるシリカ変性光触媒(A2)への誘導は、例えばルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、銀、鉄、銅、コバルト、ニッケル、錫等の化合物の存在下に実施すると効率的に実施できるので好ましい。これらの中で白金族化合物は光触媒反応の助触媒として働く事ができるためより好ましく、白金化合物が特に好ましい。
ここで、上記白金化合物としては、例えば塩化白金(II)、テトラクロロ白金酸(II)、塩化白金(IV)、ヘキサクロロ白金酸(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)アンモニウム、ヘキサクロロ白金(IV)カリウム、水酸化白金(II)、二酸化白金(IV)、ジクロロ−ジシクロペンタジエニル−白金(II)、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−オレフィン錯体等を挙げる事ができる。
【0070】
上記シリコン変性光触媒(A1)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの波長を有する光の光源としては、太陽光や室内照明灯等の一般住宅環境下で得られる光の他、ブラックライト、キセノンランプ、水銀灯、LED等の光が利用できる。
本発明において、シリコン変性光触媒(A1)の焼成によるシリカ変性光触媒(A2)への誘導は、シリコン変性光触媒(A1)を空気中、真空中、窒素気流中、アルゴン気流中、ヘリウム気流中、アンモニア気流中、硫化水素気流中、水素気流中等の焼成雰囲気下で、好ましくは250〜1500℃、更に好ましくは300〜1100℃で、好ましくは1分以上、更に好ましくは1時間以上焼成することにより達成できる。
本発明によって得られる上記シリカ変性光触媒(A2)は、水分散性に優れ、強いルイス酸点を有し、熱安定性が向上した可視光応答性の良好な光触媒である。
【0071】
本発明に用いる遷移金属を含むオキシナイトライド、遷移金属を含むオキシサルファイド、遷移金属を含むナイトライドよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(a)は、可視光応答性が良好な光触媒であるが、加熱により可視光応答性低下あるいは消失し、(耐熱性が十分でない)利用できる範囲に制限がある。
【0072】
すなわち、上記遷移金属を含むオキシナイトライド及び遷移金属を含むナイトライドは、加熱により脱窒素反応が起こり、遷移金属を含む酸化物に変化することにより可視光に対する光触媒活性を失う。
また、上記遷移金属を含むオキシサルファイドは、加熱により脱硫黄反応が起こり遷移金属を含む酸化物に変化して可視光に対する光触媒活性を失う。
本発明の光触媒組成物に好適に用いる事ができる変性光触媒[シリコン変性光触媒(A1)及びシリカ変性光触媒(A2)]は、耐熱性が大きく向上したものである。このことにより、本発明の変性光触媒は、それ自体の耐久性が優れたものとなると同時に、光触媒活性を向上させる助触媒として働く遷移金属及び/又は該遷移金属の酸化物を担持するのに有効な400℃以上の高温での焼成が可能となる。
【0073】
本発明の光触媒組成物に好適に用いる変性触媒[シリコン変性光触媒(A1)及びシリカ変性光触媒(A2)]としては、Pt、Rh、Ru、Ir、Cu、Sn、Ni、Fe、Wよりなる群から選ばれる少なくとも1種の遷移金属及び/又は該遷移金属の酸化物が坦持された系が、光触媒活性が非常に高く好ましい。
本発明においては、用いる光触媒の性状が、光触媒(A)の分散安定性、成膜性、及び種々の機能の発現にとって重要な因子となる。本発明に使用される光触媒(A)としては、1次粒子と2次粒子との混合物(1次粒子、2次粒子何れかのみでも良い)の数平均粒子径が10μm以下、さらに好ましくは1nm以上1μm以下、特に好ましくは5nm以上800nm以下である。ゾルの状態であることが好ましい。特に数平均粒子径が200nm以下の光触媒粒子を使用した場合、本発明の光触媒組成物からは透明性に優れた光触媒体を得ることができるため非常に好ましい。より好ましくは100nm以下3nm以上、さらに好ましくは50nm以下3nm以上の光触媒粒子が好適に選択される。
【0074】
本発明の光触媒組成物は、上述した光触媒(A)とバインダー成分(B)及び/又は溶媒(C)を含むことを特徴とする。
本発明の光触媒組成物において、溶媒(C)を含有するものは光触媒(A)の塗布性が非常に良好となるため好ましい。
上記溶媒(C)としては、水及び/又は有機溶媒を例示できる。水は任意のpHで任意のイオン強度のものが使用できる。また、有機溶媒としては、例えばエチレングリコール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、変性エタノール、メタノール等のアルコール類、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、パラフィンもしくはイソパラフィン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は組み合わせて用いられる。
【0075】
本発明の組成物において、上記溶媒(C)を含有する場合、その含有量は光触媒(A)に対し、好ましくは質量比(A)/(C)=0.001/99.999〜99/1、より好ましくは(A)/(C)=0.01/99.99〜90/10である。
本発明の光触媒組成物において、バインダー成分(B)を含有するものは、強固な光触媒体を形成し、長期にわたり光触媒活性を発現する事ができるため非常に好ましい。
本発明の光触媒組成物において、バインダー成分(B)を含有する場合、その含有量は光触媒(A)に対し、好ましくは質量(A)/(B)=0.1/99.9〜90/10であり、(A)/(B)=1/99〜50/50で含むことがより好ましい。
【0076】
本発明において、光触媒(A)と共に含有させることができるバインダー成分(B)としては、例えば各種単量体、合成樹脂及び天然樹脂等が挙げられ、また光触媒体の形成後に、乾燥、加熱、吸湿、光照射等により硬化するものも挙げることができる。また、その形態については、無溶媒の状態(ペレット、粉体、液体等)であっても溶媒に溶解あるいは分散した形態であっても良く、特に制限はない。
【0077】
上記合成樹脂としては、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂(熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂等)の使用が可能であり、例えばアクリル樹脂、メタクリル樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンスルホン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン−アクリル樹脂、シリコーン樹脂、さらには水ガラスやジルコニウム化合物、過酸化チタン等の無機系化合物等を挙げることができる。
【0078】
また、上記天然高分子としては、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、天然ゴム等のイソプレン系樹脂、カゼイン等のタンパク質系樹脂やでんぷん等を挙げることができる。
本発明の光触媒組成物において、上述したバインダー成分(B)の少なくとも1種の成分として、光触媒の酸化分解作用に対し難分解性である、シリコーン化合物、ジルコニウム化合物、過酸化チタン、フッ素系樹脂、水ガラスからなる群より選ばれる少なくとも1つの難分解性成分(B1)を選択すると、該光触媒組成物から形成される本発明の光触媒体の耐候性は非常に優れたものとなるため好ましい。
【0079】
本発明の光触媒組成物において、バインダー成分(B)として好適に使用できる上記シリコーン化合物としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、アルコキシ基含有シリコーンオイル、シラノール基含有シリコーンオイル、ビニル基含有シリコーンオイル、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシリコーンオイル類、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、フロロアルキル変性シリコーン等の変性シリコーン類、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等の(アルキル)アルコキシシランのモノマー、オリゴマー、及び重合体、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤及びその反応生成物、シリコーン界面活性剤等である。これらのシリコーン化合物は単独でも、2種以上を同時に用いることもできる。
【0080】
また、上記シリコーン化合物の中で、ヒドロキシシリル基及び/又は加水分解性シリル基を有するシリコーン化合物を用いる場合、従来公知の加水分解触媒や硬化触媒を、該シリコーン化合物に対し、好ましくは0.01〜30質量%、より好ましくは0.1〜15質量%の割合で添加することができる。
さらに、上記シリコーン化合物の中で、Si−H基を有するシリコーン化合物を用いる場合、多官能アルケニル化合物のごとき架橋剤を、該Si−H基に対しアルケニル基が好ましくは0.01〜2当量、より好ましくは0.1〜1当量となるように添加することが好ましい。該多官能アルケニル合物としては、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基などの炭素数2〜30の1価不飽和炭化水素基を有するアルケニル基含有シリコーンが一般に用いられている。また、Si−H基と該多官能アルケニル化合物の反応を促進する目的で、触媒を該シリコーン系樹脂と多官能アルケニル化合物の総量に対し、好ましくは1〜10000ppm、より好ましくは1〜1000ppmの割合で添加しても良い。該触媒としては白金族触媒、すなわちルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の化合物が適しているが、特に白金の化合物とパラジウムの化合物が好適である。また、所望により白金族触媒の活性を抑制し、ポットライフを延長させる目的で、各種の有機窒素化合物、有機リン化合物、アセチレン系化合物などの活性抑制剤を添加してもよい。
【0081】
本発明の光触媒組成物において、バインダー成分(B)として好適に使用できる上記ジルコニウム化合物の例としては、酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、シュウ酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、 炭酸ジルコニウムカリウム、リン酸ナトリウムジルコニウム、プロピオン酸ジルコニウム、ジルコニウムアルコキシド類(ジルコニウムテトラメトキシド等)、ジルコニウムアルコキシド類の加水分解物、ジルコニウムキレート化合物(ジルコニウムのβ-ケトンエステル錯体、ジルコニウムのβ-ジケトン錯体、ジルコニウムのエタノールアミン類錯体、ジルコニウムのジアルキレングリコール錯体等)等を例示できる。これらのジルコニウム化合物は単独でも、2種以上を同時に用いることもできる。
【0082】
本発明の光触媒組成物において、バインダー成分(B)として好適に使用できる上記過酸化チタンは、ペルオクソチタン酸またはペルオキシチタン酸とも言われるもので、過酸化チタン基(Ti−O−O−H)を有する化合物をいい、例えば、その構造はHTiO、Ti(OOH)(OH)又はTiO・2HO等で示される。
また、本発明の光触媒組成物において、バインダー成分(B)として好適に使用できるフッ素系樹脂としては、例えばPTFEやポリフッ化ビニリデン、さらにはフッ素含有量1〜80質量%のアクリル−フッ素樹脂、エポキシ−フッ素樹脂、ウレタン−フッ素樹脂やフルオロオレフィンと炭素−炭素不飽和化合物(ビニルエーテル類、ビニルエステル類、アリル化合物、(メタ)アクリル酸エステル類等)との共重合体等が挙げられる。これらのフッ素系樹脂は、単独でも、2種以上を同時に用いることもできる。
【0083】
本発明の光触媒組成物において、上述したバインダー成分(B)の少なくとも1種の成分として、本発明に用いる光触媒(A)より表面エネルギーが大きいもの(表面エネルギー差が、好ましくは2mN/m以上、より好ましくは5mN/m以上、更に好ましくは10mN/m以上のもの)を選択すると、本発明の光触媒組成物から形成する光触媒体は光触媒(A)の分布について大きな自己傾斜性を有することが可能となり好ましい。
【0084】
ここで自己傾斜性とは、該変性光触媒(A)とバインダー成分(B)を含む光触媒組成物から光触媒体を形成する際、その形成過程において光触媒(A)が、光触媒体が接する界面の性状(特に親水/疎水性)に対応して、光触媒(A)の濃度勾配を有する構造を自律的に形成することを意味し、特に光触媒(A)として光触媒表面が表面エネルギーの非常に小さい構造を有する変性剤化合物(b)で変性処理されたシリコン変性光触媒(A1)を用いた場合に、光触媒は空気と接する光触媒体表面に多く存在するようになる。
【0085】
本発明において、上記表面エネルギーや表面エネルギーの相対差は、例えばPolymer Handbook(米国 A Wiley-interscience publication 出版)等を参照したり、以下の方法で測定したりすることにより好ましく求めることができる。
例えば、バインダー成分(B)の皮膜を有する基材を調整し、脱イオン水を滴下して20℃における接触角(θ)を測定し、下記のSellとNeumannの実験式により、表面エネルギーを求めることもできる。
【0086】
【数1】
Figure 0004817596
【0087】
[式中、γsは脱イオン水の接触角を測定した表層部の表面エネルギー(mN/m)を表し、γlは水の表面エネルギー{72.8mN/m(20℃)}を表わす。]
【0088】
本発明の光触媒組成物に光触媒(A)と共に好適に用いることができる表面エネルギーの比較的大きなバインダー成分(B)としては、例えば、下式(13)で表されるフェニル基含有シリコーン(BP)が、その骨格を成すシロキサン結合(−O−Si−)は光触媒作用による酸化分解がおこらないため、最も好適に使用できる。
SiO(4−p−q−r)/2 (13)
(式中、各Rはフェニル基を表し、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。そしてp、q及びrは、0<p<4、0≦q<4、0≦r<4、及び0<(p+q+r)<4であり、そして0.05≦p/(p+q)≦1である。)
【0089】
また、上記フェニル基含有シリコーン(BP)として、下記式(14)で表されるアルキル基を含有しないフェニル基含有シリコーン(BP1)は、表面エネルギーがより高くなり、好ましい。
SiO(4−s−t)/2 (14)
(式中、Rはフェニル基を表し、Xは各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表し、s及びtは、0<s<4、0≦t<4、そして0<(s+t)<4である。)
【0090】
さらに、水酸基及び/又は炭素数1〜20のアルコキシ基、エノキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの加水分解性基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体分子鎖の末端及び/又は側鎖に有するアクリル重合体も、表面エネルギーが比較的高く、耐候性に優れるため、上記バインダー成分(B)として好ましく用いることができる。
【0091】
また、本発明の光触媒組成物には、それから形成される光触媒体の硬度や耐擦傷性、親水性を向上させる目的でシリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、希土類酸化物等の金属酸化物微粒子を粉末あるいはゾルの状態で添加しても良い。ただしこれら金属酸化物微粒子は、本発明におけるバインダー成分(B)の様なバインダーとしての能力はなく、光触媒と同様に光触媒体の柔軟性(耐屈曲性、耐衝撃性)を低下させる。よって、該金属酸化物の添加量は、光触媒体中において光触媒(A)と金属酸化物の総重量が50質量%以下とすることが好ましい。
【0092】
本発明の光触媒組成物であって、光触媒(A)とバインダー成分(B)を含有する場合、無溶媒の状態(液体、固体)であっても上述した溶媒(C)に溶解あるいは分散した状態であっても良く、特に制限はないが、コーティング剤として用いる場合は、溶媒に対し溶解あるいは分散した状態が好ましい。この際、該光触媒組成物中の光触媒(A)とバインダー成分(B)の総量は、好ましくは0.01〜95質量%、より好ましくは0.1〜70質量%である。
また、本発明の光触媒組成物には、必要により通常、塗料や成型用樹脂に添加配合される成分、例えば顔料、硬化触媒、架橋剤、充填剤、分散剤、光安定剤、湿潤剤、増粘剤、レオロジーコントロール剤、消泡剤、可塑剤、成膜助剤、防錆剤、染料、防腐剤等がそれぞれの目的に応じて選択、組み合わせて配合することができる。
【0093】
本発明の光触媒組成物において、バインダー成分(B)を含み、光触媒(A)の自己傾斜性が非常に高い場合(即ち、光触媒体中の光触媒(A)含有量(濃度)100に対し、光触媒体の露出面と接する表面近傍の相対濃度が好ましくは150以上、より好ましくは200以上である場合)、該光触媒組成物において光触媒(A)とバインダー成分(B)の質量比は、好ましくは(A)/(B)=0.1/99.9〜40/60、より好ましくは(A)/(B)=0.1/99.9〜30/70という光触媒(A)の含有量が非常に少ない範囲においてさえ、形成される光触媒体は、光照射による十分な親水化能力(超親水化能力:20℃における水の接触角が10゜以下)や優れた光触媒活性を有する。また、この様に光触媒含有量が少ない光触媒体はバインダー成分(B)本来の物性を発現するため、強度や柔軟性(耐屈曲性、耐衝撃性)等に優れたものとなる。
【0094】
この際、本発明における光触媒体中における光触媒(A)の濃度は、光触媒体内部や光触媒体が基材と接する面から他方の露出面に向かって徐々に高くなっても良いし、単に光触媒体内部や光触媒体が基材に接する面での光触媒濃度が低く、他方の露出面における光触媒濃度が高く、その間の変化が不連続であっても良い。
【0095】
本発明の光触媒体は、皮膜状または成形体の様態であることが好ましい。
本発明における光触媒体を皮膜状とする場合は、例えば上記光触媒組成物を基材に塗布し、乾燥した後、所望により好ましくは20℃〜500℃、より好ましくは40℃〜250℃の熱処理や紫外線照射等を行い、基材上に皮膜を形成することにより得ることができる。上記塗布方法としては、例えばスプレー吹き付け法、フローコーティング法、ロールコート法、刷毛塗り法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、キャスティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等が挙げられる。
この際、本発明の光触媒組成物から形成される皮膜の膜厚は、好ましくは0.05〜200μm、より好ましくは0.1〜20μm、さらに好ましくは0.5〜10μmである。
【0096】
なお、本明細書では、皮膜という表現を使用しているが、必ずしも連続膜である必要はなく、不連続膜、島状分散膜等の態様であっても構わない。
この様にして得られた基材上に本発明の光触媒体である皮膜を有する機能性複合体は、光照射により疎水性あるいは親水性及び/又は光触媒活性、さらには光電変換機能を発現することが可能である。即ち、本発明の別の態様においては、上記光触媒組成物から形成される光触媒体として、成形体や、基材上に皮膜を有する機能性複合体が提供される。
【0097】
本発明の機能性複合体を得るのに用いられる基材としては、特に限定されるものではなく、幅広く様々な基材に適用できる。それらの基材としては、例えば合成樹脂、天然樹脂等の有機基材や、金属、セラミックス、ガラス、石、セメント、コンクリート等の無機基材や、それらの組み合わせや複合体、さらにはそれらが樹脂塗装もしくは金属メッキされた表面等を挙げることができる。
本発明の機能性複合体において、光触媒体が光触媒(A)の分布について上述した自己傾斜構造である場合、光触媒で分解する有機基材を用いた場合でも、耐久性は非常に優れたものとなる。すなわち、本発明の光触媒組成物は、耐久性の問題から従来用いることができなかった有機基材に対しても、耐久性の優れた機能性複合体を提供することができる。
【0098】
本発明の機能性複合体の製造方法は、基材上に本発明の光触媒体を形成する場合に限定されない。基材と本発明の光触媒組成物を同時に成形、たとえば、一体成形してもよい。また、本発明の光触媒組成物を成形後、基材の成形を行ってもよい。また、本発明の光触媒組成物と基材を個別に成形後、接着、融着等により機能性複合体としてもよい。上記方法で、本来の基材と接しない状態で成形する場合は別の基材を用いても良い。この場合の基材は固体に限定されず、本発明の効果を損なわない範囲で、液体、気体でも良い。
【0099】
本発明の成形体または機能性複合体は、必要により、樹脂成形に用いる方法により、フィルム、シート、ブロック、ペレットさらに複雑な形状の成形体とすることができる。成形にあたり、本発明の効果を損なわない範囲で、他の樹脂と併用する事も可能である。
上記成形や上記併用のための混合を、本発明の成形体または機能性複合体や他の樹脂を粉体あるいは予めペレットとして行うことができる。一部に液状成分を含んでも良い。また、混合後の樹脂を下記方法でペレットに成形し、さらに成形に供する方法も可能である。ペレットは本発明の成形体または機能性複合体を他の樹脂中に高濃度に含有した所謂マスターバッチとすることもできる。
【0100】
本発明のための成形方法は、押出し成形法、射出成形法、プレス成形法等が可能である。また、熱可塑性樹脂を併用する等、樹脂の選定によってはカレンダー成形法も可能である。また、天然繊維を含む有機繊維、ガラス等の無機繊維(及びこれらの織物を含む)などを補強材に用いて本発明の成形体または機能性複合体、及びこれらと他の樹脂混合物を含浸し、積層成形する事も可能である。
本発明の成形体または機能性複合体は繊維状とすることもできる。繊維状に加工するにためには、本発明の効果を阻害しない範囲で通常の紡糸方法が使用できる。当該紡糸方法としては溶融紡糸、溶液紡糸が用いられる。紡糸に当って、前述の他の樹脂とともに用いて繊維状に加工する事もできる。例えば、通常の樹脂(熱可塑性樹脂が成形上は好ましい)、たとえばポリエステル、ナイロン等に本発明の成形体または機能性複合体をブレンドしたり、あるいは本発明の成形体または機能性複合体とこれら樹脂を複合紡糸(鞘芯、サイドバイサイド型等)してもよい。
【0101】
繊維は、長繊維でも短繊維でもよく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、断面形状においても丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。
繊維状とした本発明の成形体または機能性複合体は織物や不織布(短繊維又は長繊維)として用いる事もできる。
又、使用できる繊維の形態は、糸条、糸条の集合体であるチーズ状、織物、編物、不織布等が挙げられ、他の樹脂の繊維と混用されていても良い。糸条の形態としては、原糸、仮撚糸(延伸仮撚糸を含む)、先撚仮撚糸、空気噴射加工糸、リング紡績糸、オープンエンド紡績糸等の紡績糸、マルチフィラメント原糸(極細糸を含む)、混繊糸等が挙げられる。又、混用する繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリビニル系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリウレタン系等の弾性繊維(酸化マグネシウ ム、酸化亜鉛に代表される金属酸化物、金属水酸化物等の塩素水劣化防止剤を添加したものを含む)等の合成繊維や、綿、麻、ウール、絹等の天然繊維やキュプラ、レーヨン、ポリノジック等のセルロース系繊維やアセテート系繊維がある。
【0102】
上記繊維状に加工した本願発明の成形体または機能性複合体は抗菌、防汚、防臭、有毒ガス分解を目的として衣料用、ガス、液体のフィルター用に用いることができる。
本発明の光触媒体、あるいは光触媒体が基材に固定化された上記の機能性複合体は、それに含まれる光触媒のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより疎水性あるいは親水性及び/又は光触媒活性、さらには光電変換機能を示す。
【0103】
本発明において、光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光(該光触媒(A)が分光増感色素を有する変性剤化合物(b)で変性処理されたシリコン変性光触媒(A1)の場合は、該分光増感色素の吸収光を含む光でも良い)の光源としては、太陽光や室内照明灯等の一般住宅環境下で得られる光の他、ブラックライト、キセノンランプ、水銀灯、LED等の光が利用できる。
【0104】
本発明によって提供される上記光触媒体又は機能性複合体であって、有機物分解等の光触媒活性を有するものは、抗菌、防汚、防臭、NOx分解等の様々な機能を発現し、大気、水や生活空間等の環境浄化等の用途に使用することができ、例えば建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、住宅等建築設備、特に便器、浴槽、洗面台、照明器具、照明カバー、台所用品、食器、食器洗浄器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇、食器棚、飾り棚、本箱、ドア−、浴室や洗面所の鏡、ドアノブ、眼鏡のレンズ、マスクやヘルメットのシ−ルド等や乗物の外装および内装、さらには医療用や公共施設等、例えば病院内の部材、救急車の各種部材あるいは食品・医薬品工場、学校・体育館・駅などの公共施設、タクシ−・電車・航空機などの大量交通手段、公衆浴場、公衆トイレ、旅館、ホテル、その他における衛生管理のために、壁面、床面や天井面、各所の什器、備品、ドアノブ、シ−ト、手摺などの表面の用途を挙げることができる。
【0105】
特に、本発明の光触媒体又は機能性複合体は、院内感染防止方法として病院内の部材に広範囲に用いることが可能である。該病院内の部材としては、例えば病室、診察室、廊下、階段、エレベーター、待合室、洗面所等、不特定多数のものが接触する場所における床、カーペット、壁、窓、天井、手すり、ドア、ドア把手、ベッド、水道蛇口、各種診療機器等が挙げられる。また、病院内に限らず、救急車や食品保管室、食品調理室等の衛生を必要とする場所の各種部材に対しても効果的に防曇性、防汚性、抗菌性や防カビ性を付与することができる。
【0106】
本発明によって提供される上記光触媒体又は機能性複合体であって、光照射により20℃における水との接触角が60゜以下(好ましくは10゜以下)となった親水性のもの(親水性膜、及び該親水性膜で被覆された基材等)は、鏡やガラスの曇りを防止する防曇技術、さらには建築外装等に対する防汚技術や帯電防止技術等への応用が可能である。
【0107】
本発明の光触媒体又は機能性複合体の防汚技術分野への応用例としては、例えば建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、住宅等建築設備、特に便器、浴槽、洗面台、照明器具、照明カバー、台所用品、食器、食器洗浄器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇等、また、乗物の外装および塗装、用途によってはその内装にも使用でき、車両用照明灯のカバー、窓ガラス、計器、表示盤等透明性が要求される部材での使用に効果があり、また、機械装置や物品の外装、防塵カバーおよび塗装、表示機器、そのカバー、交通標識、各種表示装置、広告塔等の表示物、道路用、鉄道用等の遮音壁、橋梁、ガードレールの外装および塗装、トンネル内装および塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー等外部で使用される電子、電気機器の外装部、特に透明部材、ビニールハウス、温室等の外装、特に透明部材、また、室内にあっても汚染のおそれのある環境、たとえば医療用や体育用の施設、装置等の用途を挙げることができる。
【0108】
本発明の光触媒体又は機能性複合体の防曇技術分野への応用例としては、例えば鏡(車両用後方確認ミラー、浴室用鏡、洗面所用鏡、歯科用鏡、道路鏡等)、レンズ(眼鏡レンズ、光学レンズ、照明用レンズ、半導体用レンズ、複写機用レンズ、車両用後方確認カメラレンズ等)、プリズム、建物や環視塔の窓ガラス、乗物の窓ガラス(自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、ロープウェイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船等)、乗物の風防ガラス(自動車、オートバイ、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、スノーモービル、ロープウェイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船等)、防護用ゴーグル、スポーツ用ゴーグル、防護用マスクのシールド、スポーツ用マスクのシールド、ヘルメットのシールド、冷凍食品陳列ケースのガラス、保温食品の陳列ケースのガラス、計測機器のカバー、車両用後方確認カメラレンズのカバー、レーザー歯科治療器等の集束レンズ、車間距離センサー等のレーザー光検知用センサーのカバー、赤外線センサーのカバー、カメラ用フィルター等の用途を挙げることができる。
【0109】
本発明の光触媒体又は機能性複合体の帯電防止技術分野への応用例としては、例えばブラウン管、磁気記録メディア、光記録メディア、光磁気記録メディア、オーディオテープ、ビデオテープ、アナログレコード、家庭用電気製品のハウジングや部品や外装および塗装、OA機器製品のハウジングや部品や外装および塗装、建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、乗物の外装および塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバーおよび塗装等の用途を挙げることができる。
【0110】
本発明によって提供される上記光触媒体又は機能性複合体であって、光照射により20℃における水との接触角が70゜以上(好ましくは90゜以上)となった疎水性のもの(疎水性の成形体や疎水性膜、及び該疎水性膜で被覆された基材等)は、防滴性や水切れ性の付与、水系汚れの付着防止や流水洗浄性を利用した防汚技術、さらには着氷雪防止技術等への応用が可能であり、窓ガラス、風防ガラス、鏡、レンズ、ゴーグル、カバー、碍子、建材、建物外装、建物内装、構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、各種表示装置、照明装置、住宅設備、食器、台所用品、家庭用電気製品、屋根材、アンテナ、送電線、氷雪滑走具等の用途に使用することができる。
【0111】
本発明によって提供される上記光触媒体又は機能性複合体であって光電変換機能を有するものは、太陽エネルギーの電力変換等の機能を発現することが可能であり、(湿式)太陽電池等に用いる光半導体電極等の用途に使用することができる。
また、本発明によって提供される、光照射によって水との濡れ性が変化(疎水性から親水性への変化、あるいは親水性から疎水性への変化)する部材は、オフセット印刷用原版等への応用に対し非常に有用である。
【0112】
【実施例】
以下の実施例、参考例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
実施例、参考例及び比較例中において、各種の物性は下記の方法で測定した。
1.重量平均分子量
ポリスチレン標品を用いて作成した検量線を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求めた。
GPCの条件は以下の通りである。
・装置:東ソー製HLC−8020 LC−3A型クロマトグラフ
・カラム:TSKgel G1000HXL、TSKgel G2000HXLおよびTSKgel G4000HXL(いずれも東ソー製)を直列に接続して用いた。
・データ処理装置:島津製作所製CR−4A型データ処理装置
・移動相:テトラヒドロフラン
・流速:1.0ml/min.
・サンプル調製法
移動相に使用する溶媒で希釈(濃度は0.5〜2重量%の範囲で適宜調節した)して分析に供した。
【0113】
2.赤外線吸収スペクトル
赤外線吸収スペクトルは、FT/IR−410(日本分光(株)製)を用いて測定した。また、光触媒の解析の場合は、デュラサンプラーIR(エス.ティ.ジャパン(株))で拡散反射スペクトルとして測定した。
3.29Si核磁気共鳴の測定
日本電子製JNM−LA400を用いて測定した。
4.熱安定性
熱安定性は、示差熱・熱重量同時測定装置(セイコー電子工業(株)製 TG/DTA200)を用い、大気下で30℃から1100℃まで毎分10℃の昇温を行い、重量変化開始温度を測定することにより評価した。
5.水の接触角
試料の表面に脱イオン水の滴を乗せ、20℃で1分間放置した後、協和界面科学製CA−X150型接触角計を用いて測定した。
【0114】
6.可視光照射後水の接触角
試料の表面に、紫外線遮蔽型の蛍光灯(ネオラインデラックスFL20S−N−SDL・NU/東芝ライテック製)を7日間照射した後、上記6の方法にて水の接触角を測定した。
なおこのときの光強度は、トプコン製UVR−2型紫外線強度計を用いて測定した紫外線強度(受光部として、上記UD−36型受光部を使用)が0.2〜0.3μW/cm、同紫外線強度計を用いて測定した可視光強度{受光部として、トプコン製UD−40型受光部(波長370〜490nmの光に対応)を使用}が750〜800μW/cmであった。
【0115】
7.光触媒活性
試料表面にメチレンブルーの5質量%エタノール溶液を塗布した後、上記7と同じ光強度に調整した紫外線遮蔽型の蛍光灯(ネオラインデラックスFL20S−N−SDL・NU/東芝ライテック製)を7日間照射した後、メチレンブルーの分解の程度(退色の程度に基づき、目視で評価)に基づき、光触媒の活性を以下の3段階で評価した。
◎:メチレンブルーが完全に分解。
△:メチレンブルーの青色がわずかに残る。
×:メチレンブルーの分解はほとんど観測されず。
【0116】
[参考例1]
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器に1.0gのLaTiONを添加し50℃に昇温した。これに5.0gのビス(トリメチルシロキシ)メチルシランを50℃にて撹拌下に約5分かけて添加し、さらに50℃で5時間撹拌を続けた。ビス(トリメチルシロキシ)メチルシランの反応に伴い生成した水素ガス量は23℃において5.0mlであった。続いて、反応液から未反応のビス(トリメチルシロキシ)メチルシランを減圧加熱除去し、シリコン変性LaTiONを得た。得られたシリコン変性LaTiONの赤外線吸収スペクトルを測定したところ、Si−CH基の吸収(1271cm−1)が観測された。
得られたシリコン変性LaTiONの熱安定性は、重量変化開始温度が570℃であり、LaTiON[重量変化開始温度:380℃]より大きく向上していた。
【0117】
[参考例2]
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器に1.25gのTaONを添加し70℃に昇温した。これに6.25gのビス(トリメチルシロキシ)メチルシランを70℃にて撹拌下に約5分かけて添加し、さらに70℃で5時間撹拌を続けた。ビス(トリメチルシロキシ)メチルシランの反応に伴い生成した水素ガス量は23℃において8.0mlであった。続いて、反応液から未反応のビス(トリメチルシロキシ)メチルシランを減圧加熱除去し、シリコン変性TaONを得た。得られたシリコン変性TaONの赤外線吸収スペクトルを測定したところ、Si−CH基の吸収(1271cm−1)が観測された。
得られたシリコン変性TaONの熱安定性は、重量変化開始温度が820℃であり、TaON[重量変化開始温度:750℃]より大きく向上していた。
【0118】
[参考例3]
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器に0.5gのTaを添加し50℃に昇温した。これに2.5gのジメチルエトキシシランを撹拌下に50℃にて約5分かけて添加し、さらに50℃で5時間撹拌を続けた。ジメチルエトキシシランの反応に伴い生成した水素ガス量は23℃において57.0mlであった。続いて、反応液から未反応のジメチルエトキシシランを減圧加熱除去し、シリコン変性Taを得た。得られたシリコン変性Taの赤外線吸収スペクトルを測定したところ、Si−CH基の吸収(1271cm−1)が観測された。
得られたシリコン変性Taの熱安定性は、重量変化開始温度が480℃であり、Ta[重量変化開始温度:400℃]より大きく向上していた。
【0119】
[参考例4]
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器に0.8gのSmTiを添加し50℃に昇温した。これに4.0gのビス(トリメチルシロキシ)メチルシランを50℃にて撹拌下に約5分かけて添加し、さらに50℃で5時間撹拌を続けた。ビス(トリメチルシロキシ)メチルシランの反応に伴い生成した水素ガス量は23℃において3.0mlであった。続いて、反応液から未反応のビス(トリメチルシロキシ)メチルシランを減圧加熱除去し、シリコン変性SmTiを得た。得られたシリコン変性SmTiの赤外線吸収スペクトルを測定したところ、Si−CH基の吸収(1271cm−1)が観測された。
得られたシリコン変性SmTiの熱安定性は、重量変化開始温度が800℃であり、SmTi[重量変化開始温度:500℃]より大きく向上していた。
【0120】
[参考例5]
フェニル基含有シリコーン(B−1)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にいれたジオキサン78gにフェニルトリクロロシラン26.0gを添加した後、室温にて約10分間撹拌した。これに水3.2gとジオキサン12.9gからなる混合液を、反応液を10〜15℃に保ちながら約30分かけて滴下した後、さらに10〜15℃で約30分撹拌し、続いて反応液を60℃に昇温させ3時間撹拌した。得られた反応液を25〜30℃に降温させ、392gのトルエンを約30分かけて滴下した後、再度反応液を60℃に昇温させ2時間撹拌した。
得られた反応液を10〜15℃に降温させ、メタノール19.2gを約30分かけて添加した。その後さらに25〜30℃にて約2時間撹拌を続行し、続いて反応液を60℃に昇温させ2時間撹拌した。得られた反応液から60℃で減圧下に溶媒を溜去することにより重量平均分子量2600のフェニル基含有シリコーン(B−1)を得た。
また、29Si核磁気共鳴の測定結果より求めた上記フェニル基含有シリコーン(B−1)の平均組成式は、(Ph)(OCH0.58SiO1.21であった。(ここでPhはフェニル基を表す。)
【0121】
[参考例6]
過酸化チタン水溶液(B−2)の合成。
四塩化チタン(TiCl4 )60質量%水溶液10gに、2.5質量%アンモニア水を約100g加えpH6〜7に中和させ、淡青味白色の水酸化チタン(Ti(OH))の沈殿物を得た。この沈殿物をデカンテーションを繰り返すことにより洗浄後、ウェット固形分40gにイオン交換水1.8kgを加えスラリーとし、これに30質量%過酸化水素水200gを添加することにより、黄色透明の過酸化チタン水溶液が得られた。これをエバポレーターで濃縮することにより、1.6質量%(酸化チタン換算)の過酸化チタン水溶液(B−2)を得た。
【0122】
参考実施例1]
参考例1で合成した0.1gのシリコン変性LaTiONと参考例5で合成したフェニル基含有シリコーン(B−1)の1質量%トルエン溶液10g及び硬化触媒(ジラウリル酸ジブチル錫)の1質量%ブチルセロソルブ溶液0.2gを混合し、シリコン変性LaTiONの分散性の良好な光触媒組成物(G−1)を得た。
得られた光触媒組成物(G−1)を50mm×100mmの硝子板にK−ハンドコーター・No.4(RK Print Coat Instruments Ltd製)を用いてバーコートした後、200℃で30分加熱し、光触媒含有皮膜を有する試験板(H−1)を得た。
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(H−1)の水との接触角は95゜であった。また、可視光照射後の水の接触角は5゜であった。
さらに、上記可視光照射後の光触媒含有皮膜を有する試験板(H−1)の光触媒活性は非常に良好(◎)であった。
【0123】
[実施例
参考例2で合成した0.1gのシリコン変性TaONと水10gを混合し、シリコン変性TaONが水面に浮いた混合物が得られた。この混合物に、撹拌下、300Wキセノンランプを用い、400nm以下の波長光をカットする波長フィルターを通した可視光を室温で24時間照射し、水に分散性が良好な試料(I−1)を得た。
光照射後の上記試料(I−1)中の水を120℃で1時間加熱除去し、赤外線吸収スペクトルを測定したところ、Si−CH基の吸収(1271cm−1)がほぼ消失し、代わりにSi−OH基に起因する3700〜3800cm−1の吸収が観測された。すなわち、シリコン変性TaONは、光照射を行うことによってシリカ変性TaONに変化したことを意味する。
上記シリカ変性TaONが水に分散した試料(I−1)2gに参考例6で合成した過酸化チタン水溶液(B−2)2gとNS−210[ポリエチレングリコール系アルキルフェノール型のノニオン性界面活性剤(日本油脂製)]の8質量%水溶液0.1gを添加して光触媒組成物(G−2)を得た。
【0124】
得られた光触媒組成物(G−2)を50mm×100mmの硝子板にK−ハンドコーター・No.4(RK Print Coat Instruments Ltd製)を用いてバーコートした後、80℃で30分加熱し、光触媒含有皮膜を有する試験板(H−2)を得た。
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(H−2)の水との接触角は35゜であった。また、可視光照射後の水の接触角は2゜であった。
さらに、上記可視光照射後の光触媒含有皮膜を有する試験板(H−2)の光触媒活性は非常に良好であった。
【0125】
[実施例
参考例3で合成した0.1gのシリコン変性Taと水10gを混合し、シリコン変性Taが水面に浮いた混合物が得られた。この混合物に、撹拌下、300Wキセノンランプを用い、400nm以下の波長光をカットする波長フィルターを通した可視光を室温で24時間照射し、水に分散性が良好な試料(I−2)を得た。
光照射後の上記試料(I−2)中の水を120℃で1時間加熱除去し、赤外線吸収スペクトルを測定したところ、Si−CH基の吸収(1271cm−1)がほぼ消失し、代わりにSi−OH基に起因する3700〜3800cm−1の吸収が観測された。すなわち、シリコン変性Taは、光照射を行うことによってシリカ変性Taに変化したことを意味する。
【0126】
上記シリカ変性Taが水に分散した試料(I−2)2gに参考例6で合成した過酸化チタン水溶液(B−2)2gとNS−210[ポリエチレングリコール系アルキルフェノール型のノニオン性界面活性剤(日本油脂製)]の8質量%水溶液0.1gを添加して光触媒組成物(G−3)を得た。
得られた光触媒組成物(G−3)を50mm×100mmの硝子板にK−ハンドコーター・No.4(RK Print Coat Instruments Ltd製)を用いてバーコートした後、80℃で30分加熱し、光触媒含有皮膜を有する試験板(H−3)を得た。
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(H−3)の水との接触角は42゜であった。また、可視光照射後の水の接触角は3゜であった。
さらに、上記可視光照射後の光触媒含有皮膜を有する試験板(H−3)の光触媒活性は非常に良好であった。
【0127】
参考実施例2
参考例4で合成した0.1gのシリコン変性SmTiとテトラn−ブトキシジルコニウムの1質量%トルエン溶液10g及び硬化触媒(ジラウリル酸ジブチル錫)の1質量%ブチルセロソルブ溶液0.2gを混合し、シリコン変性SmTiの分散性の良好な光触媒組成物(G−4)を得た。
得られた光触媒組成物(G−4)を50mm×100mmの硝子板にK−ハンドコーター・No.4(RK Print Coat Instruments Ltd製)を用いてバーコートした後、150℃で30分加熱し、光触媒含有皮膜を有する試験板(H−4)を得た。
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(H−4)の水との接触角は92゜であった。また、可視光照射後の水の接触角は6゜であった。
さらに、上記可視光照射後の光触媒含有皮膜を有する試験板(H−4)の光触媒活性は非常に良好(◎)であった。
【0128】
参考実施例3
0.1gのLaTiONと参考例5で合成したフェニル基含有シリコーン(B−1)の1質量%トルエン溶液10g及び硬化触媒(ジラウリル酸ジブチル錫)の1質量%ブチルセロソルブ溶液0.2gを混合し、光触媒組成物(G−5)を得た。
該光触媒組成物(G−5)におけるLaTiONの分散性は不良であったため、超音波処理5分間実施した後、50mm×100mmの硝子板にK−ハンドコーター・No.4(RK Print Coat Instruments Ltd製)を用いてバーコートし、200℃で30分加熱して光触媒含有皮膜を有する試験板(H−5)を得た。
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(H−5)の水との接触角は91゜であった。また、可視光照射後の水の接触角は56゜であった。
さらに、上記可視光照射後の光触媒含有皮膜を有する試験板(H−5)の光触媒活性は良好(○)であった。
【0129】
[比較例1]
0.1gのアナターゼ型酸化チタン(ST01/石原産業製)と参考例5で合成したフェニル基含有シリコーン(B−1)の1質量%トルエン溶液10g及び硬化触媒(ジラウリル酸ジブチル錫)の1質量%ブチルセロソルブ溶液0.2gを混合し、光触媒組成物(G−6)を得た。
該光触媒組成物(G−6)におけるアナターゼ型酸化チタンの分散性は不良であったため、超音波処理5分間実施した後、50mm×100mmの硝子板にK−ハンドコーター・No.4(RK Print Coat Instruments Ltd製)を用いてバーコートし、200℃で30分加熱して光触媒含有皮膜を有する試験板(H−6)を得た。
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(H−6)の水との接触角は89゜であった。また、可視光照射後の水の接触角は90゜であり、ほとんど変化しなかった。
さらに、上記可視光照射後の光触媒含有皮膜を有する試験板(H−6)の光触媒活性は不良(×)であった。
【0130】
[比較例2]
1質量%に水で希釈した酸化チタンヒドロゾル(TKS−203/テイカ製)を2gに参考例6で合成した過酸化チタン水溶液(B−2)2gとNS−210[ポリエチレングリコール系アルキルフェノール型のノニオン性界面活性剤(日本油脂製)]の8質量%水溶液0.1gを添加して光触媒組成物(G−7)を得た。)を50mm×100mmの硝子板にK−ハンドコーター・No.4(RK Print Coat Instruments Ltd製)を用いてバーコートした後、80℃で30分加熱し、光触媒含有皮膜を有する試験板(H−7)を得た。
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(H−7)の水との接触角は42゜であった。また、可視光照射後の水の接触角は41゜であり、ほとんど変化しなかった。
さらに、上記可視光照射後の光触媒含有皮膜を有する試験板(H−7)の光触媒活性は非常に悪い結果(×)であった。
【0131】
【発明の効果】
本発明の光触媒組成物から形成される光触媒体は、可視光の照射により優れた光触媒活性を発現することが可能である。

Claims (12)

  1. Taオキシナイトライド、Taナイトライドよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(a)からなる光触媒(A)と、バインダー成分(B)及び水(C)を含む光触媒組成物であって、該光触媒(A)が、式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(b)を用いて変性処理することによって得られるシリコン変性光触媒(A1)であることを特徴とする光触媒組成物
    Si− (1)
    (式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。)
    −(RSiO)− (2)
    (式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
    Figure 0004817596
    (式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
  2. 該光触媒(A)が、シリコン変性光触媒(A1)から誘導されるシリカ変性光触媒(A2)であることを特徴とする請求項1に記載の光触媒組成物。
  3. 該光触媒(A)が、シリコン変性光触媒(A1)に光照射することにより得られるシリカ変性光触媒(A2)であることを特徴とする請求項1に記載の光触媒組成物。
  4. 該光触媒(A)の数平均粒子径が10μm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の光触媒組成物。
  5. 該変性剤化合物(b)が、式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)であることを特徴とする請求項に記載の光触媒組成物。
    SiO(4−x−y−z)/2 (4)
    (式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。
    また、式中Qは、下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
    (あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
    (い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
    (う)少なくとも1つの分光増感基。
    また、0<x<4、0<y<4、0≦z<4、及び(x+y+z)≦4である。)
  6. 該Si−H基含有ケイ素化合物(b1)が、式(5)又は式(6)で表されるモノSi−H基含有化合物、式(7)で表される両末端Si−H基含有化合物、式(8)で表されるHシリコーン化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種のSi−H基含有ケイ素化合物であることを特徴とする請求項に記載の光触媒組成物。
    Figure 0004817596
    (式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、もしくは式(9)で表されるシロキシ基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
    −O−(RSiO)−SiR ・・・(9)
    (式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。また、nは整数であり、0≦n≦1000である。))
    H−(R SiO)−SiR −Q ・・・(6)
    (式中、Rは式(5)で定義した通りである。Qは、下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。mは整数であり、0≦m≦1000である。)
    (あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
    (い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
    (う)少なくとも1つの分光増感基。
    H−(R SiO)−SiR −H ・・・(7)
    (式中、Rは式(5)で定義した通りである。mは整数であり、0≦m≦1000である。)
    (RHSiO)(R SiO)(RQSiO)(R SiO1/2・・・(8)
    (式中、Rは式(5)で定義した通りであり、Qは式(6)で定義した通りである。aは1以上の整数であり、b及びcは0又は1以上の整数であり、(a+b+c)≦10000であり、そしてdは0又は2である。但し、(a+b+c)が2以上の整数であり且つd=0の場合、該Hシリコーン化合物は環状シリコーン化合物であり、d=2の場合、該Hシリコーン化合物は鎖状シリコーン化合物である。)
  7. 該バインダー成分(B)がシリコーン化合物、ジルコニウム化合物、
    過酸化チタン、フッ素系樹脂、水ガラスからなる群より選ばれる少なくとも1つの難分解性成分(B1)を含有することを特徴とする請求項1に記載の光触媒組成物。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の光触媒組成物から形成されてなる光触媒体。
  9. 該光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより光触媒活性及び/又は親水性を示すことを特徴とする請求項に記載の光触媒体。
  10. 皮膜であることを特徴とする請求項またはに記載の光触媒体。
  11. 請求項10に記載の光触媒体が基材上に形成されてなる機能性複合体。
  12. 成形体であることを特徴とする請求項またはに記載の光触媒体。
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