JP2006122844A - 光触媒材料 - Google Patents

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Tatsuro Hitokuma
達郎 仁熊
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Abstract

【課題】 高い透明性を持つ光触媒皮膜と有機基材との間の界面劣化や、光触媒皮膜中のバインダーの劣化を生じることが無く、光照射により長期にわたり、その表面が光触媒活性及び/又は親水性を発現し、高い透明性を維持する耐久性に優れた機能性複合体を、煩雑な工程を必要とせずに再現性良く得る。
【解決手段】 光触媒(a)とバインダー成分(B)からなる光触媒体であって、該光触媒(a)とバインダー成分(B)の質量比(a)/(B)が0.01/99.99〜5/95であり、全光線透過率が95%以上であり、光触媒(a)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することによりその表面が光触媒活性及び/又は親水性を示すことを特徴とする光触媒体。
【選択図】 選択図なし

Description

本発明は、光エネルギーによって物質の分解作用や表面の親水化作用を示すことから、環境浄化や防汚、防曇等の分野へ応用が知られている酸化チタンに代表される光触媒の部材表面への固定化技術に関する。
ある種の物質に、その物質の伝導帯と価電子帯との間のエネルギーギャップ(バンドギャップ)よりも大きなエネルギーを持つ光、即ちその物質のバンドギャップに対応する光よりも波長の短い光(励起光)を照射すると、光エネルギーによって価電子帯中の電子の励起(光励起)が起こり、伝導帯に電子が、価電子帯に正孔が生成する。このとき、伝導帯に生成した電子の還元力および/または価電子帯に生成した正孔の酸化力を利用して、種々の化学反応を行うことができる。
即ち、上記のような物質は、励起光照射下において触媒のように用いることができる。そのため、上記のような物質は光触媒と呼ばれており、その最も代表的な例として酸化チタンが知られている。
この光触媒によって促進される化学反応の例としては、種々の有機物の酸化分解反応を挙げることができる。従って、この光触媒を種々の基材の表面に固定化させれば、基材の表面に付着した種々の有機物を、光エネルギーを利用して酸化分解することができることになる。
一方、ある種の光触媒に光を照射すると、その光触媒の表面の親水性が高まることが知られている。従って、この光触媒を種々の基材の表面に固定化させれば、光の照射によりその基材の表面の親水性を高めることができるようになる。
近年、上記のような光触媒の特性を、環境浄化、種々の基材の表面への汚れの付着防止や曇りの防止を始めとする、種々の分野に応用するための研究が盛んになってきている。この場合、光触媒を種々の基材の表面に固定化するための方法が非常に重要な役割を担う。
光触媒を固定化する方法については、これまでに種々の提案がなされているが、特に有用な方法の1つとして、光触媒を含む組成物によって基材の表面をコーティングし、光触媒を含む皮膜を形成させることにより、光触媒を基材の表面に固定する方法が注目されている。
この方法によって光触媒の固定化を行う場合、(1)光触媒の活性を損なうことなく、光触媒を基材の表面に強固に固定化できること、および(2)形成される皮膜およびその皮膜によって被覆された基材が、光触媒の作用で劣化しない耐久性を有すること、が要求される。
さらに、固定化する基材の適応範囲を広げるための好ましい条件として(3)固定化条件が穏和であり(室温〜150℃程度)、(4)コーティング膜は透明性に優れ、耐久性、耐汚染性、硬度等に優れた皮膜を形成することがあげられる。
コーティングによって光触媒を固定化する方法については、これまでに種々の提案がなされている。
例えば、特開昭60−118236号公報では、光触媒の前駆体、例えば有機チタネートを含有するゾルを基材の表面に塗布した後、焼成によって光触媒の前駆体をゲル化させ、光触媒に変換すると共に、生成した光触媒を基材の表面に固定化する方法が提案されている。しかしこの方法は、光触媒の微粒子状結晶を基材の表面で生成させる工程を含んでおり、この工程には高温での焼成が必要である。そのため、基材の表面積が広い場合には光触媒の固定化が困難になる、という欠点がある。
特開平6−278241号公報では、光触媒含有ゾルを使用する(従って光触媒の微粒子状結晶の生成過程を必要としない)方法として、水中に解膠させた酸化チタンゾルを用いて基材の表面をコーティングする方法が提案されている。しかし、酸化チタンゾルは穏和な条件下では成膜性がないため、この方法においても高温度での焼成が必要である。その上、生成する被膜は脆く容易に破壊され、光触媒が基材の表面から脱落してしまうため、光触媒が基材の表面で効果を示すようにすることができなくなる、という欠点があった。
また、光触媒を混合した樹脂塗料を用いて基材の表面をコーティングする方法も提案されている。例えば、特開平7−171408号公報、特開平9−100437号公報および特開平11−188271号公報では、フッ素樹脂やシリコーン樹脂等の、光触媒の作用によって分解されにくい樹脂を塗膜形成要素として含む樹脂塗料に光触媒を混合し、この樹脂塗料を用いて基材の表面をコーティングする方法が提案されている。しかしこれらの方法では、樹脂塗料に対する光触媒の分散性が悪いため、樹脂塗料が白濁してしまう。また、これらの方法によって良好な物性を示す被膜を得るためには、上記の樹脂の使用量を多くする必要があるが、そのようにするとコーティングによって形成された皮膜の中に光触媒が埋没してしまい、十分な活性を示さないという欠点がある。
さらに、光触媒を固定化する基材として、プラスチック成形体、フィルム、有機塗膜等の有機基材を用いた場合、上述した従来技術で得られる光触媒皮膜は光触媒作用により該有機基材を酸化分解し、有機基材と光触媒皮膜との間の界面劣化を生じ、長期にわたる耐久性を維持できないという欠点も有している。
特開平9−314052号公報では、樹脂塗料と、その樹脂塗料を構成する溶剤に対する濡れ性を調整した光触媒粒子を併用する方法が提案されている。即ち、まず基材の表面に樹脂塗料を塗布し、次いでその樹脂塗料が硬化する前に、樹脂塗料の上に光触媒粒子を塗布する方法が提案されている。しかしこの方法では、工程が煩雑な上、均質で透明な塗膜が得られない欠点がある。なおこの特許公報中では、さらに、工程の簡略化を目的として、溶剤に対する濡れ性を調整した光触媒粒子を樹脂塗料中に混合したものを塗布することによりコーティングを行う方法も提案されている。しかし、溶剤に対する濡れ性を調整しただけでは、コーティングによって形成された皮膜の中への光触媒粒子の埋没を阻止することはできず、ほとんどの光触媒粒子が皮膜の中に完全に埋没してしまうので光触媒作用による有機基材の劣化を防止する効果はない。
上述した従来技術の種々の欠点を克服するための方法として、我々は、表面エネルギーの低いシリコーン化合物で光触媒粒子の表面を変性した変性光触媒と、それより表面エネルギーの高いバインダーからなる光触媒組成物を提案した(国際公開2000−30747号公報)。該光触媒組成物は、光触媒粒子の濃度が有機基材と接する界面近傍では小さく、皮膜表面近傍では大きく分布するような表面方向に異方分布した皮膜(自己傾斜皮膜)を形成するため、光触媒作用による有機基材との界面劣化が無く、耐候性に優れた光触媒活性が大きい光触媒皮膜を形成する。しかし、非常に高い透明性が要求される用途において、高耐候性、光触媒活性の発現を両立した状態でさらなる透明性の向上が望まれていた。
特開昭60−118236号公報 特開平6−278241号公報 特開平7−171408号公報 特開平9−100437号公報 特開平11−188271号公報 特開平9−314052号公報 国際公開2000−30747号公報
本発明の課題は、高い透明性を持つ光触媒皮膜と有機基材との間の界面劣化や、光触媒皮膜中のバインダーの劣化を生じることが無く、光照射により長期にわたり、その表面が光触媒活性及び/又は親水性を発現し、高い透明性を維持する耐久性に優れた機能性複合体を、煩雑な工程を必要とせずに再現性良く得ることである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.光触媒(a)とバインダー成分(B)からなる光触媒体であって、該光触媒(a)とバインダー成分(B)の質量比(a)/(B)が0.01/99.99〜5/95であり、全光線透過率が95%以上であり、光触媒(a)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより光触媒活性及び/又は親水性を示すことを特徴とする光触媒体。
2.発明1に記載の光触媒体が基材上に皮膜を形成し、その膜厚が0.1〜100μmであることを特徴とする機能性複合体。
3.該光触媒体が光触媒(a)の分布について異方性を有し、光触媒(a)の濃度が、該光触媒体の基材に接する面より表面の方が高いことを特徴とする発明2に記載の機能性複合体。
4.該光触媒(a)が被覆表面に膜厚0.1μm以下の層を成すことを特徴とする発明2または3に記載の機能性複合体。
5.該光触媒(a)が基材に接する面に存在しないことを特徴とする発明2〜4に記載の機能性複合体。
6.該光触媒(a)が被膜表面以外に存在しないことを特徴とする発明2〜5に記載の機能性複合体。
7.光触媒(a)の表面エネルギーがバインダー成分(B)よりも小さいことを特徴とする発明1〜6に記載の光触媒体。
8.光触媒(a)が、表面エネルギーの小さい化合物で変性されてなる変性光触媒(A)であることを特徴とする発明1〜7に記載の光触媒体。
9.該バインダー成分(B)が、式(1)で表されるフェニル基含有シリコーン(BP)であることを特徴とする発明1〜8に記載の光触媒体。
SiO(4−p−q−r)/2 (1)
(式中、各Rはフェニル基を表し、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。そしてp、q及びrは、0<p<4、0≦q<4、0≦r<4、及び0<(p+q+r)<4であり、そして0.05≦p/(p+q)≦1である。)
10.該バインダー成分(B)がヒドロキシシリル基及び/又は加水分解性シリル基をさらに含有することを特徴とする発明1〜9に記載の光触媒体。
11.該光触媒(a)が可視光応答型光触媒であることを特徴とする発明1〜10に記載の光触媒体。
12.発明1〜11に記載の光触媒体を形成する光触媒組成物。
本発明の光触媒体は、光照射により長期にわたり、その表面が光触媒活性及び/又は親水性を発現し、高い透明性を維持する耐久性に優れたものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光触媒体は光触媒(a)とバインダー成分(B)からなり、該光触媒(a)とバインダー成分(B)の質量比(a)/(B)が0.01/99.99〜5/95である。
透明性の面から、光触媒(a)とバインダー成分(B)の質量比(a)/(B)は5/95以下であることが好ましく、光触媒活性及び/又は親水性の発現の面から光触媒(a)の質量比(a)/(B)は0.01/99.99以上であることが好ましい。さらに好ましくは、質量比(a)/(B)が0.1/99.9〜5/95であり、よりさらに好ましくは、質量比(a)/(B)が0.5/99.9〜5/95である。
本発明の光触媒体の全光線透過率は95%以上であり、例えばウインドウフィルム等の用途で特に高いことが好ましく98%以上、さらに好ましくは99%以上である。
本発明において光触媒活性とは、光照射によって酸化、還元反応を起こすことを言う。これらの光触媒活性は、例えば材料表面の光照射時における色素等の有機物の分解性を測定することにより判定することができる。光触媒活性を有する表面は、優れた汚染有機物質の分解活性や耐汚染性を発現する。
また、本発明において親水性とは、好ましくは20℃での水の接触角が60゜以下である場合を言うが、特に水の接触角が20゜以下の親水性を有する表面は、降雨等の水による自己浄化能(セルフクリーニング)による耐汚染性を発現するので好ましい。さらに優れた耐汚染性発現や防曇性発現の点からは表面の水の接触角は10゜以下であることが好ましく、更に好ましくは5゜以下である。
本発明の光触媒体は、皮膜状または成形体の様態であることが好ましい。
本発明における光触媒体を皮膜状とする場合は、光触媒組成物を基材に塗布し、乾燥した後、所望により好ましくは20℃〜500℃、より好ましくは40℃〜250℃の熱処理や紫外線照射等を行い、基材上に皮膜を形成することにより得ることができる。上記塗布方法としては、例えばスプレー吹き付け法、フローコーティング法、ロールコート法、刷毛塗り法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、キャスティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等が挙げられる。
本発明の皮膜の厚みは0.1〜100μmである。透明性の面から100μm以下の厚みであることが好ましく、下地保護性の面から0.1μm以上の厚みであることが好ましい。さらに好ましくは0.5〜75μmであり、よりさらに好ましくは1〜50μmである。
なお、本明細書では、皮膜という表現を使用しているが、必ずしも連続膜である必要はなく、不連続膜、島状分散膜等の態様であっても構わない。
この様にして得られた基材上に本発明の光触媒体である皮膜を有する機能性複合体は、光照射によりその表面が光触媒活性及び/又は親水性、さらには光電変換機能を発現することが可能である。
本発明の機能性複合体を得るのに用いられる基材としては、特に限定はされず、例えば本発明で開示した用途に使用される基材は全て用いることができる。
本発明の機能性複合体を得るのに用いられる基材としては、例えば合成樹脂、天然樹脂等の有機基材や、金属、セラミックス、ガラス、石、セメント、コンクリート等の無機基材や、それらの組み合わせ等を挙げることができる。
本発明の機能性複合体においては、光触媒で分解する有機基材を用いた場合でも、耐久性は非常に優れたものとなる。すなわち、本発明の光触媒体は、耐久性の問題から従来用いることができなかった有機基材に対しても、耐久性の優れた機能性複合体を提供することができる。
本発明の機能性複合体の製造方法は、基材上に本発明の光触媒体を形成する場合に限定されない。基材と本発明の光触媒組成物を同時に成形、たとえば、一体成形してもよい。また、本発明の光触媒組成物を成形後、基材の成形を行ってもよい。また、本発明の光触媒組成物と基材を個別に成形後、接着、融着等により機能性複合体としてもよい。上記方法で、本来の基材と接しない状態で成形する場合は別の基材を用いても良い。この場合の基材は固体に限定されず、本発明の効果を損なわない範囲で、液体、気体でも良い。
本発明の成形体または機能性複合体は、必要により、樹脂成形に用いる方法により、フィルム、シート、ブロック、ペレットさらに複雑な形状の成形体とすることができる。成形にあたり、本発明の効果を損なわない範囲で、他の樹脂と併用する事も可能である。
本発明において、バインダー成分(B)の表面エネルギーが光触媒(a)よりも大きいことが好ましく、その表面エネルギーの相対差が2mN/m以上であることが好ましい。より好ましくは5mN/m以上であり、よりさらに好ましくは10mN/m以上である。その差が大きいほど光触媒(a)の分布について大きな自己傾斜性を有することが可能である。
ここで自己傾斜性とは、光触媒体の形成過程において光触媒(a)が、光触媒体が接する界面の性状(特に親水性)に対応して、光触媒(a)の濃度勾配を有する構造を自律的に形成することを意味し、特に光触媒体が空気と接するように形成される場合は、光触媒(a)は空気と接する光触媒体表面に多く存在するようになる。
また、光触媒活性及び/又は親水性は光触媒体表面で発現するため、光触媒(a)の利用効率の面から皮膜表面に多く存在する方が好ましく、皮膜表面に層を成すことがより好ましい。また、光触媒(a)が基材と接する面に存在しないと、光触媒活性が発現した場合も基材を犯すことがないため、好ましい。
本発明の光触媒(a)は後述する少なくとも1種の表面エネルギーの小さい変性剤化合物(b)を用いて変性処理を行った変性光触媒(A)であることが好ましい。変性処理を行うことにより得られた変性光触媒(A)は、光触媒(a)よりも表面エネルギーを小さくすることが可能であるため、バインダー成分(B)との表面エネルギー差をより大きくすることが可能となる。ここで、表面エネルギーの小さい変性剤化合物としては、例えばその構造にオルガノシリル単位やフッ化メチレン単位、炭素数が4以上の長鎖アルキル基等を含有する化合物を好適に挙げることができる。
本発明において変性とは、後述する少なくとも1種の変性剤化合物(b)を、光触媒(a)の表面に固定化することを意味する。上記の変性剤化合物の光触媒の表面への固定化は、ファン・デル・ワールス力(物理吸着)、クーロン力または化学結合による。特に、化学結合を利用した変性は、変性剤化合物と光触媒との相互作用が強く、変性剤化合物が光触媒の表面に強固に固定化されるので好ましい。
本発明において、光触媒(a)の変性剤化合物(b)による変性処理は、水及び/又は有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、光触媒(a)と、変性剤化合物(b)を好ましくは質量比(a)/(b)=1/99〜99.99/0.01、より好ましくは(A)/(b)=10/90〜99.5/0.5の割合で混合し、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜80℃にて加熱したり、(減圧)蒸留等により該混合物の溶媒組成を変化させる等の操作をすることにより得ることができる。
ここで上記変性処理を行う場合、使用できる有機溶媒としては、例えばトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等やこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
本発明において、変性光触媒(A)を得るのに用いられる少なくとも1種の変性剤化合物(b)のうち、ファン・デル・ワールス力(物理吸着)により固定化される化合物としては、長鎖アルキル基を含有する化合物を挙げることが出来る。
ここで長鎖とは炭素元素が4個以上、好ましくは10個以上結合したもので、直鎖でも分岐していてもよい。
長鎖アルキル基を含有する化合物としては、アルキルポリオキシエチレンエーテル等の非イオン性界面活性剤、アルキルポリオキシエチレンエーテルリン酸塩、アルキルポリオキシエチレンエーテル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレンリン酸エステル、アルキルポリオキシエチレン硫酸エステル、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸等の陰イオン性界面活性剤等が挙げられる。
これらの具体例として、ラウリルポリオキシエチレンエーテルリン酸ナトリウム、ラウリルポリオキシエチレンエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルポリオキシエチレンリン酸エステル、ラウリルポリオキシエチレン硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸、ラウリルベンゼンスルホン酸、等が挙げられる。
これらの化合物は単独又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
本発明の変性光触媒(A)を得るのに使用される上記変性剤化合物(b)のうち、例えばSi−H基、加水分解性シリル基(アルコキシシリル基、ヒドロキシシリル基、ハロゲン化シリル基、アセトキシシリル基、アミノキシシリル基等)、エポキシ基、アセトアセチル基、チオール基、酸無水物基等の光触媒(a)と反応性を有する基を持つ化合物は、光触媒(a)と化学結合することが可能であり、光触媒(a)の表面に強固に固定化されるのでより好ましい。
本発明において、変性光触媒(A)を得るのに用いられる少なくとも1種の変性剤化合物(b)として、式(2)で表されるトリオルガノシラン単位、式(3)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(4)で表されるジオキシオルガノシラン単位、及びフッ化メチレン(―CF−)単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれると表面エネルギー低下の面でより好ましい。
Si− (2)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す)
−(RSiO)− (3)
(式中、Rは式(2)で定義した通りである。)
Figure 2006122844
(式中、Rは式(2)で定義した通りである。)
これらの化合物のうちSi−H基を有する化合物として、例えばビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)エチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−プロピルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)i−プロピルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−ブチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−ヘキシルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)シクロヘキシルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)フェニルシラン、ビス(トリエチルシロキシ)メチルシラン、ビス(トリエチルシロキシ)エチルシラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリス(トリエチルシロキシ)シラン、ペンタメチルジシロキサン、1,1,1,3,3,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,1,3,3,5,5,6,6−ノナメチルテトラシロキサン、トリメチルシラン、エチルジメチルシラン、メチルジエチルシラン、トリエチルシラン、フェニルジメチルシラン、ジフェニルメチルシラン、シクロヘキシルジメチルシラン、t−ブチルジメチルシラン、ジ−t−ブチルメチルシラン、n−オクタデシルジメチルシラン、トリ−n−プロピルシラン、トリ−i−プロピルシラン、トリ−i−ブチルシラン、トリ−n−ヘキシルシラン、トリフェニルシラン、アリルジメチルシラン、1−アリル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、クロロメチルジメチルシラン、7−オクテニルジメチルシラン等を挙げることができる。
加水分解性シリル基を有する化合物として、アルコキシシラン、シランカップリング剤等を挙げることが出来る。
アルコキシシランとして、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
シランカップリング剤として、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアネート基等を有する化合物が挙げられる。
ビニル基を有するシランカップリング剤の具体例として、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
エポキシ基を有するシランカップリング剤の具体例として、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
メタクリロキシ基を有するシランカップリング剤の具体例として、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
アクリロキシ基を有するシランカップリング剤の具体例として、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
また、本発明に使用される変性剤化合物(b)として、例えばSi−H基、加水分解性シリル基(アルコキシシリル基、ヒドロキシシリル基、ハロゲン化シリル基、アセトキシシリル基、アミノキシシリル基等)、エポキシ基、アセトアセチル基、チオール基、酸無水物基等の光触媒と化学結合の生成が期待できる反応性基やポリオキシアルキレン基、、スルホン酸基、カルボキシル基等の光触媒との親和性が期待できる親水性基を有する、炭素数1〜30のフルオロアルキル化合物や数平均分子量100〜1,000,000のフルオロアルキレン化合物等のフッ素系化合物を使用すると、得られる変性光触媒(A)の表面エネルギーは非常に小さくなり、本発明の光触媒組成物からは、光触媒活性が大きく、抗菌性、防汚性等に優れた光触媒体を得ることができるため好ましい。
上記フッ素系化合物としては、例えば式(5)で表されるフルオロアルキル化合物、及び式(6)で表されるフルオロオレフィン重合体が挙げられる。
CF(CF−Y−(V) (5)
(式中、gは0〜29の整数を表す。Yは分子量14〜50000のw価の有機基を表す。wは1〜20の整数である。Vは、エポキシ基、水酸基、アセトアセチル基、チオール基、環状酸無水物基、カルボキシル基、スルホン酸基、ポリオキシアルキレン基、及び下式で表される基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を表す。
−SiWxRy
(式中、Wは炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、炭素数1〜20のアセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のオキシム基、エノキシ基、アミノキシ基、アミド基から選ばれた少なくとも1種の基を表す。Rは、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び置換されていないか或いは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基から選ばれる少なくとも1種の炭化水素基を表す。xは1以上3以下の整数であり、yは0以上2以下の整数である。また、x+y=3である。))
Figure 2006122844
(式中、A〜Aは同一でも異なっていても良く、それぞれフッ素原子、水素原子、塩素原子、炭素数1〜6のアルキル基、及び炭素数1〜6のハロ置換アルキル基から選ばれる1種を示す。Yは分子量14〜50000のw価の有機基(当該有機基Yの主鎖との結合以外にw価である基、好ましくはフッ化メチレン単位を有する基、より好ましくはパーフルオロアルキル基を有する基)を表す。Vは、エポキシ基、水酸基、アセトアセチル基、チオール基、環状酸無水物基、カルボキシル基、スルホン酸基、ポリオキシアルキレン基、加水分解性シリル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を表す。kは0以上1000000以下の整数であり、lは1以上100000以下の整数を表す。ただし、k=0の時は、好ましくはA〜Aの少なくとも1つがフッ素原子、より好ましくはA、Aが共にフッ素原子を表す。wは1〜20の整数である。)
上記フッ素系化合物の具体的な例としては、例えば2−パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、2−パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、2−パーフルオロオクチルエチルメチルジメトキシシラン、トリフルオロメチルエチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルエチルトリエトキシシラン等のフルオロアルキルシラン類、ナフィオン樹脂、クロロトリフルオロエチレンやテトラフルオロエチレン等のフルオロオレフィン類とエポキシ基、水酸基、カルボキシル基、アセトアセチル基、チオール基、環状酸無水物基、スルホン酸基、ポリオキシアルキレン基等を有するモノマー類(ビニルエーテル、ビニルエステル、アリル化合物等)との共重合体等を挙げることができる。
本発明において、光触媒(a)の上記フッ素系化合物(b2)による変性処理は、水及び/又は有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、光触媒(a)と該フッ素系化合物(b2)を好ましくは質量比(a)/(b2)=1/99〜99.99/0.01、より好ましくは(a)/(b2)=10/90〜99.5/0.5の割合で好ましくは0〜200℃にて混合し、好ましくは(減圧)蒸留等により該混合物の溶媒組成を変化させる等の操作をすることにより得ることができる。
本発明における光触媒(a)あるいは変性光触媒(A)の好ましい形態は、変性光触媒の一次粒子と二次粒子との混合物の数平均分散粒子径が800nm以下、さらに好ましくは1nm以上400nm以下、特に好ましくは5nm以上100nm以下である。ゾルまたは分散液の状態であることが好ましい。
なお、従来、二酸化チタンなどで単に粒径として表示されている数値は、多くの場合一次粒子径(結晶子径)であり、凝集による二次粒子径を考慮した数値ではない。
本発明において使用可能な光触媒(a)の例としてはバンドギャップエネルギーが好ましくは1.2〜5.0eV、更に好ましくは1.5〜4.1eVの半導体化合物を挙げることができる。バンドギャップエネルギーが1.2eVより小さいと光照射による酸化、還元反応を起こす能力が非常に弱く好ましくない。バンドギャップエネルギーが5.0eVより大きいと、正孔と電子を生成させるのに必要な光のエネルギーが非常に大きくなるため好ましくない。
上記光触媒(a)の例としては、例えば、TiO、ZnO、SrTiO、CdS、GaP、InP、GaAs、BaTiO、BaTiO、BaTi、KNbO、Nb、Fe、Ta、KTaSi、WO、SnO、Bi、BiVO、NiO、CuO、SiC、MoS、InPb、RuO、CeO、Ta等、さらにはTi、Nb、Ta、Vから選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物(例えば特開昭62−74452号公報、特開平2−172535号公報、特開平7−24329号公報、特開平8−89799号公報、特開平8−89800号公報、特開平8−89804号公報、特開平8−198061号公報、特開平9−248465号公報、特開平10−99694号公報、特開平10−244165号公報等参照)を挙げることができる。
これらの光触媒(a)の中でTiO(酸化チタン)は無害であり、化学的安定性にも優れるため好ましい。酸化チタンとしては、アナターゼ、ルチル、ブルッカイトのいずれも使用できる。
また、本発明に使用する光触媒(a)として、可視光(例えば約400〜800nmの波長)の照射により光触媒活性及び/又は親水性を発現することが出来る可視光応答型光触媒を選択すると、本発明の光触媒組成物から形成される光触媒体は、室内等の紫外線が十分に照射されない場所等においても抗菌・防汚効果等を十分に発現することが出来るため好ましい。これらの可視光応答型光触媒のバンドギャップエネルギーは、好ましくは1.2〜3.1eV、より好ましくは1.5〜2.9eV、更に好ましくは1.5〜2.8eVである。
上記可視光応答型光触媒は、可視光で光触媒活性及び/又は親水性を発現するものであれば全て使用することが出来るが、例えばTaON、LaTiON、CaNbON、LaTaON、CaTaON等のオキシナイトライド化合物(例えば特開2002−66333号公報参照)やSmTi等のオキシサルファイド化合物(例えば特開2002−233770号公報参照)、Ta等の窒化化合物、CaIn、SrIn、ZnGa、NaSb等のd10電子状態の金属イオンを含む酸化物(例えば特開2002−59008号公報参照)、アンモニアや尿素等の窒素含有化合物存在下でチタン酸化物前駆体(オキシ硫酸チタン、塩化チタン、アルコキシチタン等)や高表面酸化チタンを焼成して得られる窒素ドープ酸化チタン(例えば特開2002−29750号公報、特開2002−87818号公報、特開2002−154823号公報、特開2001−207082号公報参照)、チオ尿素等の硫黄化合物存在下にチタン酸化物前駆体(オキシ硫酸チタン、塩化チタン、アルコキシチタン等)を焼成して得られる硫黄ドープ酸化チタン、酸化チタンを水素プラズマ処理したり真空下で加熱処理したりすることによって得られる酸素欠陥型の酸化チタン(例えば特開2001−98219号公報参照)、さらには光触媒をハロゲン化白金化合物で処理したり(例えば特開2002−239353号公報参照)、タングステンアルコキシドで処理(特開2001−286755号公報参照)することによって得られる表面処理光触媒等を好適に挙げることができる。
上記可視光応答型光触媒の中でオキシナイトライド化合物、オキシサルファイド化合物、ナイトライド化合物は可視光による光触媒活性が大きく、特に好適に使用することができる。
更に、上述した光触媒(a)は、好適にPt、Rh、Ru、Nb、Cu、Sn、Ni、Feなどの金属及び/又はこれらの酸化物を添加あるいは固定化したり、多孔質リン酸カルシウム等で被覆したり光触媒(例えば特開平10−244166号公報参照)して使用することもできる。
光触媒(a)の形態としては粉体、分散液、ゾルのいずれでも用いることが出来る。本発明における変性剤化合物(b)による変性処理は、効率性、均一性等の理由から光触媒ゾルまたは光触媒分散液を使用することが好ましい。ここで、本発明に用いる光触媒ゾルおよび光触媒分散液とは、光触媒が水及び/又は有機溶媒中に0.01〜80質量%、好ましくは0.1〜50質量%で一次粒子及び/または二次粒子として分散されたものである。
ここで、上記光触媒ゾルまたは光触媒分散液に使用される上記有機溶媒としては、例えばエチレングリコール、ブチルセロソルブ、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等、さらにはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
該光触媒ゾルとして酸化チタンのゾルを例にとると、例えば実質的に水を分散媒とし、その中に酸化チタン粒子が解膠された酸化チタンヒドロゾル等を挙げることができる。(ここで、実質的に水を分散媒とするとは、分散媒中に水が80質量%程度以上含有されていることを意味する。)かかるゾルの調整は公知であり、容易に製造できる(例えば特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等参照)。例えば、硫酸チタンや四塩化チタンの水溶液を加熱加水分解して生成したメタチタン酸をアンモニア水で中和し、析出した含水酸化チタンを濾別、洗浄、脱水させると酸化チタン粒子の凝集物が得られる。この凝集物を、硝酸、塩酸、又はアンモニア等の作用の下に解膠させ水熱処理等を行うことにより酸化チタンヒドロゾルが得られる。さらに、pHが中性付近の水溶液中においても分散安定性に優れる、粒子表面がペルオキソ基で修飾されたアナターゼ型酸化チタンゾルも例えば特開平10−67516号公報で提案された方法によって容易に得ることができる。
上述した酸化チタンヒドロゾルはチタニアゾルとして市販もされている。(例えば、石原産業株式会社製「STS−02」、田中転写株式会社製「TO−240」等)
また、例えば酸化セリウムゾル(例えば特開平8−59235号公報参照)やTi、Nb、Ta、Vよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物のゾル(例えば特開平9−25123号公報、特開平9−67124号公報、特開平9−227122号公報、特開平9−227123号公報、特開平10−259023号公報等参照)等、様々な光触媒ゾルの製造方法についても酸化チタンゾルと同様に知られている。
さらに、本発明で好適に使用できる可視光応答型の光触媒ゾルも市販されている。(例えば、昭和電工(株)製「NTB−200」、住友化学工業(株)製「TSS」等)
また、実質的に有機溶媒を分散媒とし、その中に光触媒粒子が分散された光触媒オルガノゾルは、例えば上記光触媒ヒドロゾルをポリエチレングリコール類の如き相間移動活性を有する化合物(異なる第1の相と第2相との界面に第3の相を形成し、第1の相、第2の相、第3の相を相互に溶解及び/又は可溶化する化合物)で処理し有機溶媒で希釈したり(例えば特開平10−167727号公報)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤で水に不溶性の有機溶剤中に分散移行させてゾルを調整する方法(例えば特開昭58−29863号公報)やブチルセロソルブ等の水より高沸点のアルコール類を上記光触媒ヒドロゾルに添加した後、水を(減圧)蒸留等によって除去する方法等により得ることができる。また、実質的に有機溶媒を分散媒とし、その中に酸化チタン粒子が分散された酸化チタンオルガノゾルは市販されている(例えば、テイカ株式会社製「TKS−251」)。ここで、実質的に有機溶媒を分散媒とするとは、分散媒中に有機溶媒が80質量%程度以上含有されていることを意味する。
また、光触媒分散液は、上述した光触媒(a)の粉体を、必要に応じて分散安定剤を添加し、強力なせん断力の下で水中及び/または有機溶媒中に分散させることにより得ることができる。
本発明において、バインダー成分(B)としては、例えば合成樹脂及び天然樹脂、各種単量体等が挙げられ、また光触媒体の形成後に、乾燥、加熱、吸湿、光照射等により硬化するものを特に好ましく挙げることができる。
上記合成樹脂としては、全ての熱可塑性樹脂と硬化性樹脂(熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂等)の使用が可能であり、例えばアクリル樹脂、メタクリル樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンスルホン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン−アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、さらには水ガラスやジルコニウム化合物、過酸化チタン等の無機系化合物等を挙げることができる。
また、上記天然高分子としては、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、天然ゴム等のイソプレン系樹脂、カゼイン等のタンパク質系樹脂やでんぷん等を挙げることができる。
本発明において、上記表面エネルギーや表面エネルギーの相対差は、例えばPolymer Handbook(米国 A Wiley-interscience publication 出版)等を参照したり、ぬれ張力試験(JIS K 6768)や、さらには以下の方法等で測定することにより好ましく求めることができる。
例えば、バインダー成分(B)の皮膜を有する基材を調整し、脱イオン水を滴下して20℃における接触角(θ)を測定し、下記のSellとNeumannの実験式により、表面エネルギーを求めることもできる。
Figure 2006122844
[式中、γsは脱イオン水の接触角を測定した表層部の表面エネルギー(mN/m)を表し、γlは水の表面エネルギー{72.8mN/m(20℃)}を表わす。]
本発明の光触媒組成物に用いるバインダー成分(B)としては、上述した変性光触媒(A)より、表面エネルギーが好ましくは2mN/m以上、より好ましくは5mN/m以上、更に好ましくは10mN/m以上大きいものを選択すると、上記自己傾斜性が大きくなり非常に好ましい。
本発明の光触媒体に用いることができる表面エネルギーの比較的大きなバインダー成分
(B)としては、例えば、下式(1)で表されるフェニル基含有シリコーン(BP)が、その骨格を成すシロキサン結合(−O−Si−)は光触媒作用による酸化分解がおこらないため、最も好適に使用できる。
SiO(4−p−q−r−s)/2 (1)
(式中、各Rはフェニル基を表し、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。Yは、各々独立に炭素数1〜20のエポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基を表す。そしてp、q、r及びsは、0<p<4、0≦q<4、0≦r<4、0<s<4及び0<(p+q+r+s)<4であり、そして0.05≦p/(p+q)≦1である。)
また、上記フェニル基含有シリコーン(BP)として、下記式(7)で表されるアルキル基を含有しないフェニル基含有シリコーン(BP1)は、表面エネルギーがより高くなり、好ましい。
SiO(4−t−u−v)/2 (7)
(式中、Rはフェニル基を表し、Xは各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。Yは、各々独立に炭素数1〜20のエポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基を表す。そして、t、u及びvは、0<t<4、0≦u<4、0<v<4であり、そして0<(t+u+v)<4である。)
本発明において、バインダー成分(B)として上述したフェニル基含有シリコーン(BP)等のシリコーン樹脂を含有する場合であって、該シリコーン樹脂がヒドロキシシリル基及び/又は加水分解性シリル基を有する場合、従来公知の加水分解触媒や硬化触媒を、該シリコーン樹脂に対し、好ましくは0.01〜30質量%、より好ましくは0.1〜15質量%の割合で添加することができる。
該加水分解触媒としては、酸性のハロゲン化水素、カルボン酸、スルホン酸、酸性あるいは弱酸性の無機塩、イオン交換樹脂などの固体酸などが好ましい。また、加水分解触媒の量は、ケイ素原子上の加水分解性基1モルに対して好ましくは0.001〜5モルの範囲内であることが好ましい。
また上記硬化触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、酢酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドのごとき塩基性化合物類;トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エタノールアミン類、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシランのごときアミン化合物;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネートのようなチタン化合物;アルミニウム−トリイソプロポキシド、アルミニウム−トリアセチルアセトナート、トリス−(エチルアセトアセトナト)アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウムのようなアルミニウム化合物;錫アセチルアセトナート、ジブチル錫オクチレート、ジブチル錫ジラウレートのような錫化合物;ジルコニウム−テトラアセチルアセトナート、テトラ−(エチルアセトアセトナト)ジルコニウム、ジルコニウム−トリブトキシ−アセチルアセトナート、ジルコニウム−ジブトキシ−ジアセチルアセトナート、ジルコニウム−ジクロロ−ジアセチルアセトナート、テトラブチルジルコネートのようなジルコニウム化合物;コバルトオクチレート、コバルトアセチルアセトナート、鉄アセチルアセトナートのごとき含金属化合物類;リン酸、硝酸、フタル酸、p−トルエンスルホン酸、トリクロル酢酸のごとき酸性化合物類などが挙げられる。
本発明において、上記硬化触媒のうち金属化合物を用いると、上述したように反応性基の反応性向上剤としての効果も発揮するため好ましい。なかでも、ジルコニウム化合物、好ましくはジルコニウム−テトラアセチルアセトナートを用いると、それから形成する光触媒体の硬度、耐薬品性、耐沸騰水性、耐候性等がさらに向上するため好ましい。
また、本発明の光触媒体におけるバインダー成分(B)としては、水酸基及び/又は炭素数1〜20のアルコキシ基、エノキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの加水分解性基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体分子鎖の末端及び/又は側鎖に有するアクリル重合体も、表面エネルギーが比較的高く、耐候性に優れるため好ましく用いることができる。
本発明の光触媒体において、バインダー成分(B)よりも表面エネルギーの小さいシリコーン系樹脂及びフッ素系樹脂から選ばれるバインダー成分(H)を質量比(H)/(B)=0.01/99.9〜95/5、好ましくは(H)/(B)=0.01/99.9〜50/50、さらに好ましくは(H)/(B)=0.01/99.9〜10/90で含むものは、該バインダー成分(H)が光触媒(a)の自己傾斜機能を助長する作用を有するため、優れた自己傾斜型の光触媒体となり、非常に好ましい。
本発明の光触媒体において、バインダー成分(H)として好適に使用できるフッ素系樹脂としては、例えば2−パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、2−パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、2−パーフルオロオクチルエチルメチルジメトキシシラン、トリフルオロメチルエチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルエチルトリエトキシシラン等のフルオロアルキルシラン類やその重縮合体、PTFEやポリフッ化ビニリデン、さらにはナフィオン樹脂、クロロトリフルオロエチレンやテトラフルオロエチレン等のフルオロオレフィン類とモノマー類(ビニルエーテル、ビニルエステル、アリル化合物等)との共重合体等を挙げることができる。これらのフッ素系樹脂は、単独でも、2種以上を同時に用いることもできる。
また、本発明の光触媒体において、バインダー成分(H)として好適に使用できるシリコーン系樹脂としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、アルコキシ基含有シリコーンオイル、シラノール基含有シリコーンオイル、ビニル基含有シリコーンオイル、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシリコーンオイル類、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、フロロアルキル変性シリコーン等の変性シリコーン類、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等の(アルキル)アルコキシシランのモノマー、オリゴマー、及び重合体、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤及びその反応生成物、シリコーン界面活性剤等である。これらのシリコーンは単独でも、2種以上を同時に用いることもできる。
本発明の光触媒体においてバインダー成分(B)として上述したフェニル基含有シリコーン(BP)を使用する場合、上記バインダー成分(H)として、フェニルメチルポリシロキサンを用いると、成膜性、硬度、耐熱性、耐汚染性、耐薬品性等の点で優れたものとなるため好ましい。
本発明の成形体または機能性複合体は繊維状とすることもできる。繊維状に加工するにためには、本発明の効果を阻害しない範囲で通常の紡糸方法が使用できる。当該紡糸方法としては溶融紡糸、溶液紡糸が用いられる。紡糸に当って、前述の他の樹脂とともに用いて繊維状に加工する事もできる。例えば、通常の樹脂(熱可塑性樹脂が成形上は好ましい)、たとえばポリエステル、ナイロン等に本発明の成形体または機能性複合体をブレンドしたり、あるいは本発明の成形体または機能性複合体とこれら樹脂を複合紡糸(鞘芯、サイドバイサイド型等)してもよい。
本発明の光触媒体、あるいは光触媒体が基材に固定化された上記の機能性複合体は、それに含まれる光触媒(a)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより親水性及び/又は光触媒活性、さらには光電変換機能を示す。
また、変性光触媒(A)を用いた際、上述した式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(b)で光触媒(a)を変性処理したものである場合、励起光照射により光触媒(a)の近傍に存在する該変性剤化合物(b)の珪素原子に結合した有機基(R)の少なくとも一部は、光触媒の分解作用により水酸基に置換される。その結果、本発明の光触媒体表面の親水性が高まると共に、生成した水酸基同士が脱水縮合反応してシロキサン結合が生成した場合には、該光触媒体の硬度が非常に高くなる。この様な状態は、本発明の様態において好ましい。
また、バインダー成分(B)として上述したシリコーン系樹脂を用いたときも同様に、励起光照射により光触媒(a)の近傍に存在するシリコーンの珪素原子に結合した有機基の少なくとも一部は、光触媒の分解作用により水酸基に置換され、本発明の光触媒体表面の親水性が高まると共に、生成した水酸基同士の脱水縮合反応が進行しシロキサン結合が生成した場合には、該光触媒体の硬度が非常に高くなる。この様な状態は、本発明の様態において好ましい。
本発明において、光触媒(a)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光の光源としては、太陽光や室内照明灯等の一般住宅環境下で得られる光の他、ブラックライト、キセノンランプ、水銀灯、LED等の光が利用できる。
本発明の光触媒体を得るための光触媒組成物は、無溶媒の状態(液体、固体)であっても溶媒に溶解あるいは分散した状態であっても良く、特に制限はないが、コーティング剤として用いる場合は、粘度調整の観点から溶媒に対し溶解あるいは分散した状態が好ましい。この際、該光触媒組成物中の光触媒(a)とバインダー成分(B)の総量は、好ましくは0.01〜95質量%、より好ましくは0.1〜70質量%である。
本発明の光触媒組成物には、沸点が150℃以上で分子量が1000以下の化合物を配合することが可能である。
沸点が150℃以上で分子量が1000以下の化合物を配合することにより、光触媒体形成過程における環境(温度、湿度、塗装条件等)の影響がより小さくなり、上述した光触媒(a)に関する自己傾斜光触媒体の形成再現性をより向上することが可能となる。
本発明の光触媒組成物において、沸点が150℃以上で分子量が1000以下の化合物としては、沸点が150℃以上の各種溶剤や可塑剤を挙げることができる。
上記溶剤としては、例えばブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のアルコール類、デカン、ウンデカン、ドデカン、ソルベッソ類等の炭化水素類、セロソルブアセテート等のエステル類、シクロヘキサノン等のケトン類、ジエチルカルビトール、ジブチルカルビトール等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は組み合わせて用いられる。
また、上記可塑剤としては、例えばアジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)等の脂肪族二塩基酸エステル類、リン酸トリ(2−エチルヘキシル)等のリン酸トリエステル類、グリコールエステル類、ジブチルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジラウリルフタレート等のフタル酸ジエステル類、テトラリンパラフィン、イソパラフィン等を挙げることができる。
この際、本発明の光触媒組成物に用いる粘度調整用の溶媒としては、上述した溶媒以外に沸点が150℃以下の溶媒を挙げることができる。これらの例としては、水やエチレングリコール、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類等が例示できる。これらの溶媒は、単独で又は組み合わせて用いられる。
また、本発明の光触媒組成物には、必要により通常、塗料や成型用樹脂に添加配合される成分、例えば、顔料、硬化触媒、架橋剤、充填剤、分散剤、光安定剤、湿潤剤、増粘剤、レオロジーコントロール剤、消泡剤、可塑剤、成膜助剤、防錆剤、染料、防腐剤等がそれぞれの目的に応じて選択、組み合わせて配合することができる。
本発明の光触媒体又は機能性複合体であって、有機物分解等の光触媒活性を有するものは、抗菌、防汚、防臭、NOx分解等の様々な機能を発現し、大気、水等の環境浄化等の用途に使用することができる。
本発明の光触媒体又は機能性複合体であって、光照射により20℃における水との接触角が60゜以下(好ましくは10゜以下)となった親水性のもの(親水性膜、及び該親水性膜で被覆された基材等)は、鏡やガラスの曇りを防止する防曇技術、さらには建築外装等に対する防汚技術や帯電防止技術等への応用が可能である。
本発明の光触媒体又は機能性複合体の防汚技術分野への応用例としては、例えば建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、住宅等建築設備、特に便器、浴槽、洗面台、照明器具、照明カバー、台所用品、食器、食器洗浄器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇等、また、乗物の外装および塗装、用途によってはその内装にも使用でき、車両用照明灯のカバー、窓ガラス、計器、表示盤等透明性が要求される部材での使用に効果があり、また、機械装置や物品の外装、防塵カバーおよび塗装、表示機器、そのカバー、交通標識、各種表示装置、広告塔等の表示物、道路用、鉄道用等の遮音壁、橋梁、ガードレールの外装および塗装、トンネル内装および塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー等外部で使用される電子、電気機器の外装部、特に透明部材、ビニールハウス、温室等の外装、特に透明部材、また、室内にあっても汚染のおそれのある環境、たとえば医療用や体育用の施設、装置等の用途を挙げることができる。
本発明の光触媒体又は機能性複合体の防曇技術分野への応用例としては、例えば鏡(車両用後方確認ミラー、浴室用鏡、洗面所用鏡、歯科用鏡、道路鏡等)、レンズ(眼鏡レンズ、光学レンズ、照明用レンズ、半導体用レンズ、複写機用レンズ、車両用後方確認カメラレンズ等)、プリズム、建物や環視塔の窓ガラス、乗物の窓ガラス(自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、ロープウェイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船等)、乗物の風防ガラス(自動車、オートバイ、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、スノーモービル、ロープウェイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船等)、防護用ゴーグル、スポーツ用ゴーグル、防護用マスクのシールド、スポーツ用マスクのシールド、ヘルメットのシールド、冷凍食品陳列ケースのガラス、保温食品の陳列ケースのガラス、計測機器のカバー、車両用後方確認カメラレンズのカバー、レーザー歯科治療器等の集束レンズ、車間距離センサー等のレーザー光検知用センサーのカバー、赤外線センサーのカバー、カメラ用フィルター等の用途を挙げることができる。
本発明の光触媒体又は機能性複合体の帯電防止技術分野への応用例としては、例えばブラウン管、磁気記録メディア、光記録メディア、光磁気記録メディア、オーディオテープ、ビデオテープ、アナログレコード、家庭用電気製品のハウジングや部品や外装および塗装、OA機器製品のハウジングや部品や外装および塗装、建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、乗物の外装および塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバーおよび塗装等の用途を挙げることができる。
本発明の光触媒体又は機能性複合体の抗菌、防カビ技術分野への応用例としては、例えば建材、建物外装、建物内装、窓枠、構造部材、住宅等建築設備、特に便器、浴槽、洗面台、照明器具、照明カバー、台所用品、食器、食器洗浄器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇、食器棚、飾り棚、浴室や洗面所の壁、天井、ドアノブ、さらには医療用や公共施設等、例えば病院内の部材、救急車の各種部材あるいは食品・医薬品工場、学校・体育館・駅などの公共施設、公衆浴場、公衆トイレ、旅館、ホテル、その他における衛生管理のために、壁面、床面や天井面、各所の什器、備品、ドアノブなどの用途を挙げることができる。特に、院内感染防止方法として病院内の部材に広範囲に用いることが可能である。該病院内の部材としては、例えば病室、診察室、廊下、階段、エレベーター、待合室、洗面所等、不特定多数のものが接触する場所における床、壁、天井、手すり、ドア把手、水道蛇口、各種診療機器等が挙げられる。また、病院内に限らず、救急車や食品保管室、食品調理室等の衛生を必要とする場所の各種部材に対しても効果的に抗菌性や防カビ性を付与することができる。
本発明の上記光触媒体又は機能性複合体であって光電変換機能を有するものは、太陽エネルギーの電力変換等の機能を発現することが可能であり、(湿式)太陽電池等に用いる光半導体電極等の用途に使用することができる。
以下の実施例、参考例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
実施例、参考例及び比較例中において、各種の物性は下記の方法で測定した。
1.粒径分布及び数平均粒子径
試料中の光触媒含有量が1〜20質量%となるよう適宜溶媒を加えて希釈し、湿式粒度分析計(日機装製マイクロトラックUPA−9230)を用いて測定した。
2.重量平均分子量
ポリスチレン標品を用いて作成した検量線を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求めた。
GPCの条件は以下の通りである。
・装置:東ソー製HLC−8020 LC−3A型クロマトグラフ
・カラム:TSKgel G1000HXL、TSKgel G2000HXLおよびTSKgel G4000HXL(いずれも東ソー製)を直列に接続して用いた。
・データ処理装置:島津製作所製CR−4A型データ処理装置
・移動相:
テトラヒドロフラン(フェニル基含有シリコーンの分析に使用)
トルエン(フェニル基を含有しないシリコーンの分析に使用)
・流速:1.0ml/min.
・サンプル調製法
移動相に使用する溶媒で希釈(濃度は0.5〜2重量%の範囲で適宜調節した)して分析に供した。
3.赤外線吸収スペクトル
日本分光製FT/IR−5300型赤外分光計を用いて測定した。
4.29Si核磁気共鳴の測定
日本電子製JNM−LA400を用いて測定した。
5.皮膜硬度
JIS−K5400に準じ、鉛筆硬度(皮膜のすり傷)として求めた。
6.紫外線照射後の皮膜硬度
皮膜表面に、東芝ライテック製FL20S BLB型ブラックライトの光を7日間照射後、上記の方法(5)にて測定した。
なおこのとき、日本国トプコン製UVR−2型紫外線強度計{受光部として、日本国トプコン製UD−36型受光部(波長310〜400nmの光に対応)を使用}を用いて測定した紫外線強度が1mW/cmとなるよう調整した。
7.透明性
日本電色工業製濁度計NDH2000を用いて、JIS−K7105に準じてヘイズ値、全光線透過率を測定した。
8.皮膜表面に対する水の接触角
皮膜の表面に脱イオン水の滴を乗せ、20℃で1分間放置した後、協和界面科学製CA−X150型接触角計を用いて測定した。
皮膜に対する水の接触角が小さいほど、皮膜表面は親水性が高い。
9.紫外線照射前後の、皮膜表面の親水性(疎水性)の変化
皮膜の表面に、上記6の方法で紫外線を7日間照射した後、上記8の方法にて水の接触角を測定した。
10.光触媒活性
皮膜表面にメチレンブルーの5質量%エタノール溶液を塗布した後、上記6の方法にて紫外線を5日間照射した。
その後、光触媒の作用によるメチレンブルーの分解の程度(皮膜表面の退色の程度に基づき、目視で評価)に基づき、光触媒の活性を以下の3段階で評価した。
◎:メチレンブルーが完全に分解。
△:メチレンブルーの青色がわずかに残る。
×:メチレンブルーの分解はほとんど観測されず。
11.耐候性(透明性)
スガ試験器製サンシャインウェザーメーターを使用して曝露試験(ブラックパネル温度63℃、降雨18分/2時間)を行った。曝露1000時間後の水の接触角、透明性を評価した。
12.耐汚染性
試験板を一般道路(トラック通行量500〜1000台/日程度)に面したフェンスに3ケ月間張りつけた後、汚染の度合いを目視にて評価した。
[参考例1]
フェニル基含有シリコーン(BP)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にいれたジオキサン78gにフェニルトリクロロシラン26.0gを添加した後、室温にて約10分間撹拌した。これに水3.2gとジオキサン12.9gからなる混合液を、反応液を10〜15℃に保ちながら約30分かけて滴下した後、さらに10〜15℃で約30分撹拌し、続いて反応液を60℃に昇温させ4時間撹拌した。得られた反応液を25〜30℃に降温させ、392gのトルエンを約30分かけて滴下した後、再度反応液を60℃に昇温させ3時間撹拌した。
得られた反応液を10〜15℃に降温させ、メタノール18.6gを約30分かけて添加した。その後さらに25〜30℃にて約2時間撹拌を続行し、続いて反応液を60℃に昇温させ2時間撹拌した。得られた反応液から60℃で減圧下に溶媒を溜去することにより重量平均分子量3200のラダ−骨格を有するフェニル基含有シリコーン(BP)を得た。(得られたフェニル基含有シリコーン(BP)には、IRスペクトルにおけるラダ−骨格の伸縮振動に由来する吸収(1130cm−1及び1037cm−1)が観測された。)
また、29Si核磁気共鳴の測定結果より求めた上記フェニル基含有シリコーン(BP)の式は、(Ph)(OCH0.51SiO1.25であった。(ここでPhはフェニル基を表す。)
[参考例2]
変性光触媒(A)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にいれた酸化チタンオルガノゾル、分散媒:トルエンとイソプロパノールの混合溶媒、TiO濃度20質量%、平均結晶子径6nm(カタログ値)40gにグリシジルプロピルトリメトキシシラン2gを40℃にて約5分かけて添加し、さらに40℃で12時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な変性光触媒オルガノゾル(A)を得た。
[参考例3]
アルキル基含有シリコーン(BA)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器に入れたメタノール300gにメチルトリメトキシシラン136g(1モル)を添加した後、室温にて約10分間撹拌した。これに氷冷下で、0.05Nの塩酸水溶液12.6g(0.7モル)とメタノール63gからなる混合液を、約40分かけて滴下し、加水分解を行った。滴下終了後、さらに10℃以下で約20分、室温で6時間それぞれ撹拌した。
その後、得られた反応液から60℃で減圧下に溶媒を溜去することにより重量平均分子量3600のアルキル基含有シリコーン(BA)を得た。得られたアルキル基含有シリコーン(BA)の構造を29Si核磁気共鳴によって測定したところ、T構造を示すシグナルが確認された。
[実施例1]
参考例1で合成したフェニル基含有シリコーン(BP)6.0gに、トルエン25.7g、イソプロパノール7.2gを添加し、室温で撹拌した後、1.7gのX−1044{テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウムの20質量%溶液(質量比がトルエン/メタノール=5/1)の商品名(松本製薬製)}を添加した。これに参考例2で調整した変性光触媒オルガノゾル(A)0.18gを室温にて撹拌下において添加して光触媒組成物(E−1)を得た。
5cm×5cmのアクリル樹脂板(厚み2mm)に上記光触媒組成物(E−1)を膜厚が1.2μmとなるようにスプレーコートした後、室温で30分乾燥し、80℃で60分加熱する事により、光触媒含有皮膜を有する試験板(G−1)を得た。
上記操作を、日を変えて9回繰り返し、同様の試験板(G−1)を10枚得た。得られた10枚の試験板(G−1)の試験・測定を実施し、それぞれの測定値の平均値として性能を評価した。
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(G−1)の平均鉛筆硬度は2Bであり、水との平均接触角は100゜であった。
透明性は平均ヘイズ値が0.0、全光線透過率が100%であり、外観の透明性も良好であった。
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(G−1)の紫外線(ブラックライト)照射後の鉛筆硬度はBであり、水の接触角は0゜であった。さらに光触媒活性評価の結果も全て非常に良好(◎)であった。
また、得られた試験板(G−1)の耐汚染性評価の結果は、全ての試験板で表面に全く汚れは見受けられず、非常に良好な耐汚染性を示した。
さらに、サンシャインウェザーメーターによる曝露試験(1000時間後)による透明性は平均ヘイズ値0.7、全光線透過率99%であり、外観変化もほとんどなく、水の接触角も0°と、非常に良好な耐候性を示した。
得られた試験板(G−1)をTEMによる皮膜断面の観察を行った結果を図1(a)の写真に示す。また、図1(a)の写真のイラストレーションが図1(b)である。光触媒含有皮膜(図1(b)中の参照番号1で示す)と、基材であるアクリル樹脂(図1(b)中の参照番号2で示す)との界面には変性光触媒は存在せず、光触媒含有皮膜方面に変性光触媒が存在することが観察される。
[実施例2]
参考例1で合成したフェニル基含有シリコーン(BP)6.0gに、トルエン25.7g、イソプロパノール7.2gを添加し、室温で撹拌した後、1.7gのX−1044{テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウムの20質量%溶液(質量比がトルエン/メタノール=5/1)の商品名(松本製薬製)}を添加した。これに長鎖アルキル基含有分散剤(ラウリルポリオキシエチレンエーテル硫酸ナトリウム)が添加された酸化チタンオルガノゾル(TiO濃度20質量%)0.18gを室温にて撹拌下において添加して光触媒組成物(E−2)を得た。
5cm×5cmのアクリル樹脂板(厚み2mm)に上記光触媒組成物(E−2)を膜厚が1.2μmとなるようにスプレーコートした後、室温で30分乾燥し、80℃で60分加熱する事により、光触媒含有皮膜を有する試験板(G−2)を得た。
上記操作を、日を変えて9回繰り返し、同様の試験板(G−2)を10枚得た。得られた10枚の試験板(G−2)の試験・測定を実施し、それぞれの測定値の平均値として性能を評価した。
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(G−2)の平均鉛筆硬度は2Bであり、水との平均接触角は100゜であった。
透明性は平均ヘイズ値が0.0、全光線透過率が100%であり、外観の透明性も良好であった。
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(G−2)の紫外線(ブラックライト)照射後の鉛筆硬度はBであり、水の接触角は0゜であった。さらに光触媒活性評価の結果も全て良好(◎)であった。
また、得られた試験板(G−2)の耐汚染性評価の結果は、全ての試験板で表面に全く汚れは見受けられず、非常に良好な耐汚染性を示した。
さらに、サンシャインウェザーメーターによる曝露試験(1000時間後)による透明性は平均ヘイズ値1.4、全光線透過率99%であり、外観変化もほとんどなく、水の接触角も0°と、非常に良好な耐候性を示した。
[比較例1]
変性光触媒(A)の配合量を6.0gに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い光触媒組成物(E−3)を得た。
5cm×5cmのアクリル樹脂板(厚み2mm)に上記光触媒組成物(E−3)を膜厚が1.2μmとなるようにスプレーコートした後、室温で30分乾燥し、80℃で60分加熱する事により、光触媒含有皮膜を有する試験板(G−3)を得た。
上記操作を、日を変えて9回繰り返し、同様の試験板(G−3)を10枚得た。得られた10枚の試験板(G−3)の試験・測定を実施し、それぞれの測定値の平均値として性能を評価した。
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(G−3)の平均鉛筆硬度は2Bであり、水との平均接触角は100゜であった。
透明性は平均ヘイズ値が14、全光線透過率が82%であり、外観も白濁しており不良であった。
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(G−3)の紫外線(ブラックライト)照射後の鉛筆硬度はBであり、水の接触角は0゜であった。さらに光触媒活性評価の結果も全て良好(◎)であった。
しかし、さらに、サンシャインウェザーメーターによる曝露試験後(500時間)には透明性は平均ヘイズ値22、全光線透過率75%であり、耐候性は不良であった。
[比較例2]
フェニル基含有シリコーン(BP)6.0gの代わりにアルキル基含有シリコーン(BA)6.0gを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い光触媒組成物(E−4)を得た。
5cm×5cmのアクリル樹脂板(厚み2mm)に上記光触媒組成物(E−4)を膜厚が1.2μmとなるようにスプレーコートした後、室温で30分乾燥し、80℃で60分加熱する事により、光触媒含有皮膜を有する試験板(G−4)を得た。
上記操作を、日を変えて9回繰り返し、同様の試験板(G−4)を10枚得た。得られた10枚の試験板(G−4)の試験・測定を実施し、それぞれの測定値の平均値として性能を評価した。
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(G−4)の平均鉛筆硬度はHであり、水との平均接触角は100゜であった。
透明性は平均ヘイズ値が0.0、全光線透過率が100%であり、外観の透明性も良好であった。
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(G−4)の紫外線(ブラックライト)照射後の鉛筆硬度はHであり、また、水の接触角は100゜と変化しなかった。さらに光触媒活性評価の結果は全て不良(×)であった。
本発明の光触媒組成物によって提供される上記光触媒体又は機能性複合体であって、有機物分解等の光触媒活性を有するものは、抗菌、防汚、防臭、NOx分解等の様々な機能を発現し、大気、水等の環境浄化等の用途に使用することができる。
図1は、実施例1で得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(G−1)の断面のTEM写真である。 図2は、図1のイラストレーションである。
符号の説明
1 光触媒含有皮膜
2 アクリル樹脂
3 変性光触媒(A)
4 バインダー成分(B)

Claims (12)

  1. 光触媒(a)とバインダー成分(B)からなる光触媒体であって、該光触媒(a)とバインダー成分(B)の質量比(a)/(B)が0.01/99.99〜5/95であり、全光線透過率が95%以上であり、光触媒(a)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することによりその表面が光触媒活性及び/又は親水性を示すことを特徴とする光触媒体。
  2. 請求項1に記載の光触媒体が基材上に皮膜状として形成されてなり、その膜厚が0.1〜100μmであることを特徴とする機能性複合体。
  3. 該光触媒体が光触媒(a)の分布について異方性を有し、光触媒(a)の濃度が、該光触媒体の基材に接する面より表面の方が高いことを特徴とする請求項2に記載の機能性複合体。
  4. 該光触媒(a)が皮膜表面に膜厚0.1μm以下の層を成すことを特徴とする請求項2または3に記載の機能性複合体。
  5. 該光触媒(a)が基材に接する面に存在しないことを特徴とする請求項2〜4に記載の機能性複合体。
  6. 該光触媒(a)が被膜表面以外に存在しないことを特徴とする請求項2〜5に記載の機能性複合体。
  7. 光触媒(a)の表面エネルギーがバインダー成分(B)よりも小さいことを特徴とする請求項1〜6に記載の光触媒体。
  8. 光触媒(a)が、表面エネルギーの小さい化合物で変性されてなる変性光触媒(A)であることを特徴とする請求項1〜7に記載の光触媒体。
  9. 該バインダー成分(B)が、式(1)で表されるフェニル基含有シリコーン(BP)であることを特徴とする請求項1〜8に記載の光触媒体。
    SiO(4−p−q−r)/2 (1)
    (式中、各Rはフェニル基を表し、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。そしてp、q及びrは、0<p<4、0≦q<4、0≦r<4、及び0<(p+q+r)<4であり、そして0.05≦p/(p+q)≦1である。)
  10. 該バインダー成分(B)がヒドロキシシリル基及び/又は加水分解性シリル基をさらに含有することを特徴とする請求項1〜9に記載の光触媒体。
  11. 該光触媒(a)が可視光応答型光触媒であることを特徴とする請求項1〜10に記載の光触媒体。
  12. 請求項1〜11に記載の光触媒体を形成する光触媒組成物。
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