JP2004263182A - 防汚被覆用組成物 - Google Patents

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亮 中林
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Abstract

【課題】 部材に対する定着性が良く、良好な汚れ分解機能を発現すると共に、有機部材に応用した場合に於いても優れた防汚機能を長期にわたり発現できる光触媒を利用した防汚被覆用組成物を提供する。
【解決手段】 光触媒(a)を、トリオルガノシラン単位、モノオキシジオルガノシラン単位、ジオキシオルガノシラン単位、及びフッ化メチレン(―CF−)単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(b)を用いて変性処理することによって得られた変性光触媒(A)を含有することを特徴とする防汚被覆用組成物。
【選択図】 選択図なし。

Description

本発明は変性光触媒により、衣類等の繊維製品に付着した汚れ(汗、調味料、油等)や壁等に付着したタバコのヤニ等の分解、換気扇等の油汚れの分解、便器・タイル等の微生物等による汚れ防止などの生活空間の環境浄化に広く利用できる防汚被覆用組成物に関する。
近年、国民の生活水準の向上に伴い快適な生活空間の確保に対する要求も高まっており、衣食住の各分野において、防汚加工を施した製品や技術が実用化されている(例えば、特開平6-205977号公報、特開昭63-63465号公報、特開平1-119394号公報)。
通常、防汚加工では、抗菌剤あるいは撥水剤が防汚剤として用いられ、悪臭の原因となる雑菌やカビの繁殖を抑制し、または撥水剤により悪臭の原因になる有機物等の付着を防止している。また、これらの薬剤を用いた防汚加工としては、例えば、製品の製造段階において原料に前記薬剤を混入したり、染色や塗装、仕上げ処理等の各工程で処理加工が行われている。しかし、これらの方法では、製品全体に防汚加工を施すために、大がかりな装置と高い熟練度を必要とし簡便性に欠け、製品のデザインや処理に制約を受けたりする。
これに対して、防汚剤を溶解分散したスラリーあるいはスプレーを用いた防汚処理は、簡単に処理できる他、製品に対して直接処理が可能であり、デザイン等に問題を生じない。このような処理方法としては、例えば特開平7-229066号公報や特開平7-279058号公報には撥水剤を用いた防汚処理方法が提案されている。上記撥水剤を用いた防汚処理加工は、通常、フッ素系撥水剤を含有したエアゾールを製品に吹き付けたり、もしくはこの撥水剤を塩素系溶剤や石油系溶剤に溶解させこの液を塗布する方法であるが、撥水防汚処理された後の製品に、白いシミが目立ち外観を著しく損なうという問題がある。また、これらの撥水剤は、処理直後の撥水による防汚性は認められるものの、その効果の持続性が劣る。さらに、撥水剤を用いた防汚処理は、汚れの付着防止には効果を発現するが、汚れを分解し消失させるといった効果はなく、防汚性能が十分でない。
これらの課題に対して、光触媒を所定の部材に対して分散あるいは薄膜被覆し、その所定部材に防汚機能を付与することが注目されている。これは、酸化チタン等の光触媒性物質が、特定波長の光照射により酸化作用が活性化され、悪臭の原因となる有機物質(微生物、悪臭、有害化学物質など)自体を速やかに分解することを利用するものであり、生活環境の様々な場面における浄化が可能となる。
例えば特開平9−316435号公報では、このような優れた防汚機能を有する光触媒を含有するエアゾール組成物を用いたスプレーによる防汚処理方法を提案している。しかし、この方法では光触媒が部材に十分に接着せず、簡単に脱落してしまうため防汚機能が長期間維持できないという課題がある。さらに塗布する部材が有機物の場合、この方法では部材自体が光触媒作用により分解されてしまうという欠点もあった。
このような課題に対し、例えば特開平8−165215号公報では、部材との接着性を向上させる目的でチタネート系カップリング剤等の表面処理剤を添加した光触媒酸化チタン含有の防菌、防カビ、防汚、汚れ分解用噴霧剤を提案している。この方法は、光触媒酸化チタンと有機部材との間を該表面処理剤で結合することによって有機部材表面に強固に接着させるものである。この方法は、酸化チタンは有機部材の表面に接着された状態であるので、有機部材の分解速度が部材に直接坦持するよりも遅く、酸化チタンが脱落したとしても全く外観の変化がないという特徴がある。しかし、この方法では、有機部材の光触媒作用による分解を多少遅くする効果は期待できても、有機部材の分解を完全に防止することができないため、上述した課題を根本的に解決するものではない。
上記問題に対して、例えば特開平11−207871号公報等では、有機部材を保護するため、光触媒の酸化分解作用に対し難分解性化合物を用いたベースコートを施して保護層を形成させてから、光触媒を分散させたコート剤を塗布する方法が提案されている。しかし、ベースコートを施す作業は煩雑になるので、かねてよりベースコートを必要としない防汚被覆用組成物が切望されていた。
すなわち、部材に対する定着性が良く、有機部材に応用した場合に於いても優れた防汚機能を長期にわたり発現できる光触媒を利用した防汚被覆用組成物は未だ完成されていない。
特開平6-205977号公報 特開昭63-63465号公報 特開平1-119394号公報 特開平7-229066号公報 特開平7-279058号公報 特開平9−316435号公報 特開平8−165215号公報 特開平11−207871号公報
本発明の課題は、部材に対する定着性が良く、良好な汚れ分解機能を発現すると共に、有機部材に応用した場合に於いても優れた防汚機能を長期にわたり発現できる光触媒を利用した防汚被覆用組成物を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の変性剤化合物を用いて変性処理された変性光触媒を含有する防汚被覆用組成物により、良好な汚れ分解機能を発現すると共に、優れた防汚機能を長期にわたり発現できる部材を提供できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
発明の第1は光触媒(a)を式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位、及びフッ化メチレン(―CF−)単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(b)を用いて変性処理された変性光触媒(A)を含有することを特徴とする防汚被覆用組成物である。
Si− (1)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す)
−(RSiO)− (2)
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
Figure 2004263182
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
発明の第2は、該変性光触媒(A)がワックス性状を有することを特徴とする発明の第1の防汚被覆用組成物である。
発明の第3は、該変性光触媒(A)が、そのバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することによりBET表面積が増加することを特徴とする発明の第1または第2の防汚被覆用組成物である。
発明の第4は、該変性光触媒(A)が、そのバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより、20℃における水との接触角が光照射前より10°以上増加し、さらに該光照射を行うことにより20℃における水との接触角が光照射前より10°以上低下することを特徴とする発明の第1〜第3のいずれかの防汚被覆用組成物である。
発明の第5は、該変性剤化合物(b)が、一般式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)であることを特徴とする発明の第1の防汚被覆用組成物である。
SiO(4−x−y−z)/2 (4)
(式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
また、式中Qは、又は下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
(あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
(い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
(う)少なくとも1つの分光増感基。
また、0<x<4、0<y<4、0≦z<4、及び(x+y+z)≦4である。)
発明の第6は、該変性剤化合物(b)が、式(6)及び/または式(8)で表される機能性付与基含有基(Q)を有するSi−H基含有ケイ素化合物であることを特徴とする発明の第1〜第4のいずれかの防汚被覆用組成物である。
H−(RSiO)−SiR−Q (6)
(式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
また、式中Qは、又は下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
(あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
(い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
(う)少なくとも1つの分光増感基。mは整数であり、0≦m≦1000である。)
(RHSiO)(RSiO)(RQSiO)(RSiO1/2 (8)
(式中、RおよびQは式(6)で定義した通りである。
pは1以上の整数であり、q及びrは0又は1以上の整数であり、(p+q+r)≦10000であり、そしてsは0又は2である。但し、(p+q+r)が2以上の整数であり且つs=0の場合、該Hシリコーン化合物は環状シリコーン化合物であり、s=2の場合、該Hシリコーン化合物は鎖状シリコーン化合物である。)
発明の第7は、該変性剤化合物(b)がポリオキシアルキレン基を有することを特徴とする発明の第1〜第6のいずれかの防汚被覆用組成物。
発明の第8は、該変性剤化合物(b)が、式(13)で表される構造を有するフッ素系樹脂(b2)であることを特徴とする発明の第1〜第4の防汚被覆用組成物である。
Figure 2004263182
(式中、A〜Aは同一でも異なっていても良く、それぞれフッ素原子、水素原子、塩素原子、炭素数1〜6のアルキル基、及び炭素数1〜6のハロ置換アルキル基から選ばれる1種を示す。Yは分子量14〜50000のw価の有機基を表す。Vは、エポキシ基、水酸基、アセトアセチル基、チオール基、環状酸無水物基、カルボキシル基、スルホン酸基、ポリオキシアルキレン基、加水分解性シリル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を表す。kは0以上1000000以下の整数であり、lは1以上100000以下の整数を表す。wは1〜20の整数である。)
発明の第9は、該変性光触媒(A)が可視光応答型光触媒であることを特徴とする発明の第1〜第8のいずれかの防汚被覆用組成物である。
発明の第10は、噴射剤を更に含有することを特徴とする発明の第1〜第9のいずれかの防汚被覆用組成物である。
発明の第11は、該変性光触媒(A)より表面エネルギーの大きな樹脂を更に含有することを特徴とする、発明の第1〜第10のいずれかの防汚被覆用組成物である。
発明の第12は、発明の第1〜第11のいずれかの防汚被覆用組成物で処理された防汚性部材である。
本発明の防汚被覆組成物は、部材に対する定着性が良く、有機部材に応用した場合に於いても優れた防汚機能を長期にわたり発現できる。
以下、本発明について詳述する。
本発明の防汚被覆用組成物は、変性光触媒(A)を含有することを特徴とする。本発明の防汚被覆用組成物で処理された部材は、光照射により汚れが分解するとともに、長期にわたり優れた防汚性能を発現することが可能となる。
本発明の変性光触媒(A)は、光触媒(a)を、後述する少なくとも1種の変性剤化合物(b)を用いて変性処理することによって得られる。
本発明において変性とは、後述する少なくとも1種の変性剤化合物(b)を、光触媒(a)の表面に固定化することを意味する。上記の変性剤化合物の光触媒粒子の表面への固定化は、ファン・デル・ワールス力(物理吸着)、クーロン力または化学結合によるものである。と考えられる。特に、化学結合を利用した変性は、変性剤化合物と光触媒との相互作用が強く、変性剤化合物が光触媒粒子の表面に強固に固定化されるので好ましい。
本発明において上記光触媒(a)とは、光照射によって酸化、還元反応を起こす物質のことを言う。すなわち伝導帯と価電子帯との間のエネルギーギャップよりも大きなエネルギー(すなわち短い波長)の光(励起光)を照射したときに、価電子帯中の電子の励起(光励起)が生じて、伝導電子と正孔を生成しうる物質であり、このとき、伝導帯に生成した電子の還元力および/または価電子帯に生成した正孔の酸化力を利用して、種々の化学反応を行うことができる。例えば、種々の有機物の酸化分解反応を挙げることができる。
光触媒(a)としては、例えば、TiO、ZnO、SrTiO、CdS、GaP、InP、GaAs、BaTiO、BaTiO、BaTi、KNbO、Nb、Fe、Ta、KTaSi、WO、SnO、Bi、BiVO、NiO、CuO、SiC、MoS、InPb、RuO、CeO、Ta等、さらにはTi、Nb、Ta、Vから選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物(例えば特開昭62−74452号公報、特開平2−172535号公報、特開平7−24329号公報、特開平8−89799号公報、特開平8−89800号公報、特開平8−89804号公報、特開平8−198061号公報、特開平9−248465号公報、特開平10−99694号公報、特開平10−244165号公報等参照)を挙げることができる。
これらの光触媒(a)の中でTiO(酸化チタン)は無害であり、化学的安定性にも優れるため好ましい。酸化チタンとしては、アナターゼ、ルチル、ブルッカイトのいずれも使用できる。
また、本発明に使用する光触媒(a)として、可視光(例えば約400〜800nmの波長)の照射により光触媒活性及び/又は親水性を発現することが出来る可視光応答型光触媒を選択すると、本発明の防汚被覆用組成物で処理された防汚性部材は、室内等の紫外線が十分に照射されない場所等においても防汚効果を十分に発現することが出来るため好ましい。
上記可視光応答型光触媒は、可視光で光触媒活性及び/又は親水性を発現するものであれば全て使用することが出来るが、例えばTaON、LaTiON、CaNbON、LaTaON、CaTaON等のオキシナイトライド化合物(例えば特開2002−66333号公報参照)やSmTi等のオキシサルファイド化合物(例えば特開2002−233770号公報参照)、Ta等の窒化化合物、CaIn、SrIn、ZnGa、NaSb等のd10電子状態の金属イオンを含む酸化物(例えば特開2002−59008号公報参照)、アンモニアや尿素等の窒素含有化合物存在下でチタン酸化物前駆体(オキシ硫酸チタン、塩化チタン、アルコキシチタン等)や高表面酸化チタンを焼成して得られる窒素ドープ酸化チタン(例えば特開2002−29750号公報、特開2002−87818号公報、特開2002−154823号公報、特開2001−207082号公報参照)、チオ尿素等の硫黄化合物存在下にチタン酸化物前駆体(オキシ硫酸チタン、塩化チタン、アルコキシチタン等)を焼成して得られる硫黄ドープ酸化チタン、酸化チタンを水素プラズマ処理したり真空下で加熱処理したりすることによって得られる酸素欠陥型の酸化チタン(例えば特開2001−98219号公報参照)、さらには光触媒粒子をハロゲン化白金化合物で処理したり(例えば特開2002−239353号公報参照)、タングステンアルコキシドで処理(特開2001−286755号公報参照)することによって得られる表面処理光触媒等を好適に挙げることができる。
上記可視光応答型光触媒の中でオキシナイトライド化合物、オキシサルファイド化合物は可視光による光触媒活性が大きく、特に好適に使用することができる。
本発明において特に好適に使用できるオキシナイトライド化合物は、遷移金属を含むオキシナイトライドであり、光触媒活性が大きいものとして、好ましくは遷移金属がTa、Nb、Ti、Zr、Wからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とするオキシナイトライドであり、より好ましくは、アルカリ、アルカリ土類及びIIIB族の金属からなる群から選択される少なくとも1つの元素を更に含むことを特徴とするオキシナイトライドであり、更に好ましくはCa、Sr、Ba、Rb、La、Ndからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属元素を更に含むことを特徴とするオキシナイトライドである。
上記遷移金属を含むオキシナイトライドの例としては、LaTiON、LaCaTiON(v+w=3)、LaCaTaON(v+w=3)、LaTaON、CaTaON、SrTaON、BaTaON、CaNbON、CaWON、SrWON等の一般式AMO(A=アルカリ金属、アルカリ土類金属、IIIB族金属;M=Ta、Nb、Ti、Zr、W;x+y=3)で表される化合物やTaON、NbON、WON、LiLaTaN等を挙げることができる。これらの中で、LaTiON、LaCaTiON(v+w=3)、LaCaTaON(v+w=3)、TaONが可視光での光触媒活性が非常に大きいため好ましい。
本発明において特に好適に使用できるオキシサルファイド化合物は、遷移金属を含むオキシサルファイドであり、光触媒活性が大きいものとして、好ましくは遷移金属がTa、Nb、Ti、Zr、Wからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とするオキシサルファイドであり、より好ましくは、アルカリ、アルカリ土類及びIIIB族の金属からなる群から選択される少なくとも1つの元素を更に含むことを特徴とするオキシサルファイドであり、更に好ましくは希土類元素を更に含むことを特徴とするオキシサルファイドである。
上記遷移金属を含むオキシサルファイドの例としては、SmTi、NdTi、LaTi、PrTi、SmNbS等を挙げることができる。これらの中で、SmTi、NdTiが可視光での光触媒活性が非常に大きいため非常に好ましい。
また、本発明における光触媒(a)として、アパタイト結晶中の金属イオンの一部を、光触媒作用を有する金属酸化物の金属イオン(例えばチタンイオン等)とイオン交換してなる金属修飾アパタイト(特開2000−327315号広報参照)も、菌やウィルス、汚れ等に対する吸着特性が優れるため好適に使用できる。
更に、上述した光触媒(a)は、好適にPt、Rh、Ru、Nb、Cu、Sn、Ni、Feなどの金属及び/又はこれらの酸化物を添加あるいは固定化したり、多孔質リン酸カルシウム等で被覆したり光触媒(例えば特開平10−244166号公報参照)して使用することもできる。
本発明に使用する光触媒粒子(a)の形態としては、粉体、分散液、ゾルのいずれでも用いることが出来る。本発明における変性剤化合物(b)による変性処理は、効率性、均一性等の理由から光触媒ゾルまたは光触媒分散液を使用することが好ましい。ここで、本発明に用いる光触媒ゾルおよび光触媒分散液とは、
光触媒粒子が水及び/又は有機溶媒中に好ましくは0.01〜80質量%、より好ましくは0.01〜70質量%、さらに好ましくは0.1〜50質量%で一次粒子及び/または二次粒子として分散されたものである。
ここで、上記光触媒ゾルまたは光触媒分散液に使用される上記有機溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等、さらにはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
上記光触媒ゾルとして酸化チタンのゾルを例にとると、例えば、実質的に水を分散媒とし、その中に酸化チタン粒子が解膠された酸化チタンヒドロゾル等を挙げることができる。(ここで、実質的に水を分散媒とするとは、分散媒中に水が80%程度以上含有されていることを意味する。)かかるゾルの調整は公知であり、容易に製造できる(例えば特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等参照)。
例えば、硫酸チタンや四塩化チタンの水溶液を加熱加水分解して生成したメタチタン酸をアンモニア水で中和し、析出した含水酸化チタンを濾別、洗浄、脱水させると酸化チタン粒子の凝集物が得られる。この凝集物を、硝酸、塩酸、又はアンモニア等の作用の下に解膠させ水熱処理等を行うことにより酸化チタンヒドロゾルが得られる。また、酸化チタンヒドロゾルとしては、酸化チタン粒子を酸やアルカリの作用の下で解膠させたものや、酸やアルカリを使用せず、必要に応じてポリアクリル酸ソーダなどの分散安定剤を使用し、強力なせん断力の下で水中に分散させたゾルも用いることができる。さらに、pHが中性付近の水溶液中においても分散安定性に優れる、粒子表面がペルオキソ基で修飾されたアナターゼ型酸化チタンゾルも例えば特開平10−67516号公報で提案された方法によって容易に得ることができる。
上述した酸化チタンヒドロゾルはチタニアゾルとして市販もされている。(例えば、石原産業株式会社製「STS−02」、田中転写株式会社製「TO−240」等)
上記酸化チタンヒドロゾル中の固形分は好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。さらに好ましくは30質量%以下0.1質量%以上である。
また、酸化セリウムゾル(例えば特開平8−59235号公報参照)やTi、Nb、Ta、Vよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物のゾル(例えば特開平9−25123号公報、特開平9−67124号公報、特開平9−227122号公報、特開平9−227123号公報、特開平10−259023号公報等参照)等、様々な光触媒ゾルの製造方法についても酸化チタンゾルと同様に知られている。
さらに、本発明で好適に使用できる可視光応答型の光触媒ゾルも市販されている。(例えば、昭和電工(株)製「NTB−200」、住友化学工業(株)製「TSS−4110」等)
また、実質的に有機溶媒を分散媒とし、その中に光触媒粒子が分散された光触媒オルガノゾルは、例えば上記光触媒ヒドロゾルをポリエチレングリコール類の如き相間移動活性を有する化合物(異なる第1の相と第2相との界面に第3の相を形成し、第1の相、第2の相、第3の相を相互に溶解及び/又は可溶化する化合物)で処理し有機溶媒で希釈したり(例えば特開平10−167727号公報)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤で水に不溶性の有機溶剤中に分散移行させてゾルを調整する方法(例えば特開昭58−29863号公報)やブチルセロソルブ等の水より高沸点のアルコール類を上記光触媒ヒドロゾルに添加した後、水を(減圧)蒸留等によって除去する方法等により得ることができる。
また、実質的に有機溶媒を分散媒とし、その中に酸化チタン粒子が分散された酸化チタンオルガノゾルも市販されている(例えば、テイカ株式会社製「TKS−251」)。ここで、実質的に有機溶媒を分散媒とするとは、分散媒中に有機溶媒が20質量%程度以上含有されていることを意味する。
本発明においては、用いる光触媒粒子(a)の性状が、変性光触媒(A)の分散安定性、成膜性、及び種々の機能の発現にとって重要な因子となる。本発明に使用される光触媒粒子(a)としては、1次粒子と2次粒子との混合物(1次粒子、2次粒子何れかのみでも良い)の数平均分散粒子径が400nm以下の光触媒粒子が変性後の光触媒の表面特性を有効に利用できるために望ましい。特に数平均分散粒子径が100nm以下の光触媒粒子を使用した場合、生成する変性光触媒(A)からなる防汚被覆用組成物からは透明性に優れた皮膜を得ることができるため非常に好ましい。より好ましくは80nm以下3nm以上、さらに好ましくは50nm以下3nm以上の光触媒粒子が好適に選択される。なお、従来、二酸化チタンなどで単に粒径として表示されている数値は、その多くは一次粒子の径(結晶粒子径)であり、凝集による二次粒子径を考慮した数値ではない。
本発明の防汚被覆用組成物には、光触媒(a)を式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位、及びフッ化メチレン(―CF−)単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(b)を用いて変性処理した変性光触媒(A)を用いる。
Si− (1)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す)
−(RSiO)− (2)
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
Figure 2004263182
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
本発明において、光触媒(a)の変性剤化合物(b)による変性処理は、水及び/又は有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、前述した光触媒(a)と変性剤化合物(b)を好ましくは質量比(a)/(b)=1/99〜99.99/0.01、より好ましくは(a)/(b)=1/99〜99.99/0.1、さらに好ましくは(a)/(b)=10/90〜99.9/0.1の割合で混合し、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜80℃にて加熱、または(減圧)蒸留等により該混合物の溶媒組成を変化させる等の操作をすることにより得ることができる。
上記変性処理に使用できる有機溶媒としては、例えばトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等やこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
本発明の変性光触媒(A)を得るのに使用される上記変性剤化合物(b)としては、例えばSi−H基、加水分解性シリル基(アルコキシシリル基、ヒドロキシシリル基、ハロゲン化シリル基、アセトキシシリル基、アミノキシシリル基等)、エポキシ基、アセトアセチル基、チオール基、酸無水物基等の光触媒粒子(a)と反応性を有する、ケイ素化合物、フルオロアルキル化合物、フルオロオレフィン重合体等を挙げることができる。
また、上記変性剤化合物(b)の他の例としては、例えば光触媒粒子(a)とファン・デル・ワールス力、クーロン力等により相互作用する構造、例えばポリオキシアルキレン基、スルホン酸基、カルボキシル基等を有する、ケイ素化合物、フルオロアルキル化合物、フルオロオレフィン重合体等を挙げることができる。
本発明に使用される変性剤化合物(b)としては、一般式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)を用いると、非常に効率よく光触媒(a)の粒子表面を変性することができると共に、種々の機能性基を光触媒(a)に有効に導入することもできるため好ましい。
SiO(4−x−y−z)/2 (4)
(式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
また、式中Qは、又は下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
(あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
(い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
(う)少なくとも1つの分光増感基。
また、0<x<4、0<y<4、0≦z<4、及び(x+y+z)≦4である。)
本発明において、光触媒(a)の一般式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物による変性処理は、水及び/又は有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、光触媒(a)と該Si−H基含有ケイ素化合物(b1)を好ましくは質量比(a)/(b1)=1/99〜99.9/0.1、より好ましくは(a)/(b1)=10/90〜99/1の割合で好ましくは0〜200℃にて混合することにより実施できる。
この変性の操作により混合液からは水素ガスが発生すると共に、光触媒(a)として光触媒ゾルを用いた場合、その平均粒子径の増加が観察される。
また、光触媒(a)として酸化チタンを用いた場合、上記変性の操作により、Ti−OH基の減少がIRスペクトルにおける3630〜3640cm−1の吸収の減少、あるいは消失として観測される。
これらのことより、変性剤化合物(b)として一般式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)を選択した場合は、変性光触媒(A)はSi−H基含有ケイ素化合物(b1)と光触媒(a)との単なる混合物ではなく、両者の間には化学反応に伴う何らかの相互作用を生じていることが予測できる。
実際、この様にして得られた変性光触媒(A)は、溶媒に対する分散安定性、化学的安定性、耐久性等において非常に優れたものとなる。
本発明において、上記組成式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)において、Si−H基は光触媒を穏和な条件で選択性良く変性するための必須の官能基である。これに対し、ケイ素原子に結合したアルコキシ基や水酸基は、同様に光触媒の変性に利用することもできるが、副反応が多く、得られる変性光触媒(A)の安定性を悪くするため、その含有量は少ない方が好ましい。
本発明に好適に使用できる上記一般式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)としては、例えば式(5)や式(6)で表されるモノSi−H基含有化合物、式(7)で表される両末端Si−H基含有化合物、式(8)で表されるHシリコーン化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種のSi−H基含有ケイ素化合物を挙げることができる。
Figure 2004263182
(式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、もしくは式(9)で表されるシロキシ基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
−O−(RSiO)−SiR (9)
(式中、Rはそれぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基から選ばれた1種以上からなる基を表す。また、nは整数であり、0≦n≦1000である。))
H−(RSiO)−SiR−Q (6)
(式中、Rは式(5)で定義した通りである。
また、式中Qは、又は下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
(あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
(い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
(う)少なくとも1つの分光増感基。
mは整数であり、0≦m≦1000である。)
H−(RSiO)−SiR−H (7)
(式中、Rは式(5)で定義した通りである。mは整数であり、0≦m≦1000である。)
(RHSiO)(RSiO)(RQSiO)(RSiO1/2
(8)
(式中、Rは式(5)で定義した通りであり、Qは式(6)で定義した通りである。
pは1以上の整数であり、q及びrは0又は1以上の整数であり、(p+q+r)≦10000であり、そしてsは0又は2である。但し、(p+q+r)が2以上の整数であり且つs=0の場合、該Hシリコーン化合物は環状シリコーン化合物であり、s=2の場合、該Hシリコーン化合物は鎖状シリコーン化合物である。)
上記式(5)で表されるモノSi−H基含有化合物の具体例としては、例えばビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)エチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−プロピルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)i−プロピルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−ブチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−ヘキシルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)シクロヘキシルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)フェニルシラン、ビス(トリエチルシロキシ)メチルシラン、ビス(トリエチルシロキシ)エチルシラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリス(トリエチルシロキシ)シラン、ペンタメチルジシロキサン、1,1,1,3,3,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,1,3,3,5,5,6,6−ノナメチルテトラシロキサン、トリメチルシラン、エチルジメチルシラン、メチルジエチルシラン、トリエチルシラン、フェニルジメチルシラン、ジフェニルメチルシラン、シクロヘキシルジメチルシラン、t−ブチルジメチルシラン、ジ−t−ブチルメチルシラン、n−オクタデシルジメチルシラン、トリ−n−プロピルシラン、トリ−i−プロピルシラン、トリ−i−ブチルシラン、トリ−n−ヘキシルシラン、トリフェニルシラン、アリルジメチルシラン、1−アリル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、クロロメチルジメチルシラン、7−オクテニルジメチルシラン等を挙げることができる。
上記式(7)で表される両末端Si−H基含有化合物の具体例としては、例えば1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン等の数平均分子量50000以下で好ましくは50以上のH末端ポリジメチルシロキサン類や、1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタエチルテトラシロキサン等の数平均分子量50000以下で好ましくは50以上のH末端ポリジエチルシロキサン類や、1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサフェニルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタフェニルテトラシロキサン等の数平均分子量50000以下で好ましくは50以上のH末端ポリジフェニルシロキサン類や、1,3−ジフェニル−1,3−ジメチル−ジシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニル−トリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニル−テトラシロキサン等の数平均分子量50000以下で好ましくは50以上のH末端ポリフェニルメチルシロキサン類や、ジメチルシラン、エチルメチルシラン、ジエチルシラン、フェニルメチルシラン、ジフェニルシラン、シクロヘキシルメチルシラン、t−ブチルメチルシラン、ジ−t−ブチルシラン、n−オクタデシルメチルシラン、アリルメチルシラン等を例示することができる。
上記式(8)で表されるHシリコーン化合物としては、光触媒(a)の変性処理時における分散安定性(光触媒(a)粒子の凝集の防止)の点より、数平均分子量が好ましくは100000以下で好ましくは200以上、より好ましくは50000以下で500以上、さらに好ましくは20000以下で好ましくは1000以上のHシリコーン化合物が好適に使用できる。
また、一般式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)として、機能性付与基含有基(Q)を有するもの(式(6)、式(8)であってrが1以上の正数のもの等)を選択すると、本発明で得られる変性光触媒(A)に種々の機能を付与できるため好ましい。
ここで機能性付与基含有基(Q)は下式(10)で表される基であることが好ましい。
−Z−(W) (10)
(式中、Zは分子量14〜50,000のt価の有機基(当該有機基Zの珪素原子との結合以外にt価である基)を表し、Wは式(4)中の機能性付与基(あ)〜(う)からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、tは1〜20の整数である。)
例えば機能性付与基含有基(Q)として、カルボキシル基あるいはその塩を含む1価の基、リン酸基あるいはその塩を含む1価の基、スルホン酸基あるいはその塩を含む1価の基、アミノ基あるいはその塩を含む1価の基、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基[式(4)中の(あ)]を有するものを選択すると、得られる変性光触媒(A)の水に対する分散安定性が非常に良好なものとなる。
また、例えば機能性付与基含有基(Q)として、エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基[式(4)中の(い)]を含有する基を選択すると本発明の変性光触媒(A)は架橋性を有し、表面に強固に固定化されことができるので好ましい。
また、例えば機能性付与基含有基(Q)として、分光増感基を有するものを選択すると、本発明の変性光触媒(A)は、紫外線領域だけでなく、可視光領域及び/又は赤外光領域の光の照射によっても触媒活性や光電変換機能を発現することができる。
ここで、分光増感基とは、可視光領域及び/又は赤外光領域に吸収を持つ種々の金属錯体や有機色素(即ち、増感色素)に由来する基を意味する。
増感色素としては、例えばキサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、ローダシアニン系色素、スチリル系色素、ヘミシアニン系色素、メロシアニン系色素、フタロシアニン系色素(金属錯体を含む)、ポルフィリン系色素(金属錯体を含む)、トリフェニルメタン系色素、ペリレン系色素、コロネン系色素、アゾ系色素、ニトロフェノール系色素、さらには特開平1−220380号公報や特許出願公表平5−504023号公報に記載のルテニウム、オスミウム、鉄、亜鉛の錯体や、他にルテニウムレッド等の金属錯体を挙げることができる。
これらの増感色素の中で、400nm以上の波長領域で吸収を持ち、かつ最低空軌道のエネルギー準位(励起状態の酸化還元電位)が光触媒(a)の伝導帯のエネルギー準位より高いという特徴を有するものが好ましい。このような増感色素の特徴は、赤外・可視・紫外領域における光の吸収スペクトルの測定、電気化学的方法による酸化還元電位の測定(例えばT.Tani, Photogr. Sci. Eng., 14, 72 (1970); R.W.Berriman et al., ibid., 17. 235 (1973); P.B.Gilman Jr., ibid., 18, 475 (1974)等)、分子軌道法を用いたエネルギー準位の算定(例えばT.Tani et al., Photogr. Sci. Eng., 11, 129 (1967); D.M.Sturmer et al., ibid., 17. 146 (1973); ibid., 18, 49 (1974); R.G.Selby et al., J. Opt. Soc. Am., 33, 1 (1970)等)、更には光触媒(a)と分光増感色素によって作成したGratzel型湿式太陽電池の光照射による起電力の有無や効率等によって確認することができる。
上記の特徴を有する増感色素の例としては、9−フェニルキサンテン骨格を有する化合物、2,2−ビピリジン誘導体を配位子として含むルテニウム錯体、ペリレン骨格を有する化合物、フタロシアニン系金属錯体、ポルフィリン系金属錯体等を挙げることができる。
本発明において、上述した機能性付与基含有基(Q)を有するSi−H基含有ケイ素化合物を得る方法としては、
(Q−1)−方法として下記一般式(11)で表されるSi−H基含有化合物と、機能性付与基[式(4)中の(あ)〜(う)]を有する炭素−炭素不飽和結合化合物をヒドロシリル化反応させる方法。
(Q−2)−方法として下記一般式(11)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物と、反応性基[式(4)中の(い)]を有する炭素−炭素不飽和結合化合物をヒドロシリル化反応させて反応性基を有するSi−H基含有ケイ素化合物を得た後、該反応性基と反応性を有する機能性付与基含有化合物を反応させる方法が挙げられる。
(x+z)SiO(4−x−y−z)/2 (11)
(式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
また、0<(x+z)<4、0<y<4、及び(x+y+z)≦4である。)
まず、機能性付与基(Q)を有するSi−H基含有ケイ素化合物を得る方法として、上述した(Q−1)の方法[以下(Q−1)−方法]について説明する。
(Q−1)−方法において、上記式(11)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物に、機能性付与基として親水性基を導入するのに用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基、環状酸無水物からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基を有するオレフィン類、アリルエーテル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン誘導体等が挙げられる。
上記親水性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の好ましい具体例として、例えば式(12)で表されるポリオキシエチレン基含有アリルエーテルや、さらには5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、アリルコハク酸無水物等を挙げることができる。
CH=CHCHO(CHCHO) (12)
(式中、tは1〜1000の整数を表す。Rは、水素原子或いは直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基を表す。)
また、上記式(11)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物に反応性基を導入するのに用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1種の反応性基を有するオレフィン類、アリルエーテル類、アリルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン誘導体等が挙げられる。
上記反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の好ましい具体例として、例えばアリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリル、ジアリルエーテル、ジアリルフタレート、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、エチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、5−ヘキセン−2−オン、アリルイソシアネート、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、アリルアミン、アリルイソチオシアネート、アリルセミカルバジド、(メタ)アクリル酸ヒドラジド、4−アリルオキシメチル−2−オキソ−1,3−ジオキソラン等を挙げることができる。
また、上記式(11)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物に分光増感基を導入するのに用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、前述した分光増感色素を有するオレフィン類、アリルエーテル類、アリルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン誘導体等が挙げられる。これらは、例えば前述した反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物と、該反応性基と反応性を有する分光増感色素との反応によって容易に得ることができる。
例えば、反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の反応性基がエポキシ基、(環状)酸無水物、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基、ケト基、(メタ)アクリロイル基の場合は、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、ヒドラジン残基、(メタ)アクリロイル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を有する分光増感色素であり、逆に反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の反応性基がアミノ基、カルボキシル基、水酸基、ヒドラジン残基、(メタ)アクリロイル基の場合は、エポキシ基、(環状)酸無水物、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基、ケト基、(メタ)アクリロイル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を有する分光増感色素が挙げられる。
上記反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物とそれに反応性を有する分光増感色素との反応は、各々の反応性基の種類に応じた反応温度、反応圧力、溶媒等の反応条件を選択して実施できる。その際、分光増感色素の安定性の点から、反応温度としては300℃以下が好ましく、150℃以下0℃以上がさらに好ましい。
(Q−1)−方法において、上記炭素−炭素不飽和結合化合物と上記式(11)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物とのヒドロシリル化反応は、好ましくは触媒の存在下、有機溶媒の存在下あるいは非存在下において0〜200℃で炭素−炭素不飽和結合化合物(E)と式(11)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1’)を、好ましくは質量比(E)/(b1’)=0.01以上、より好ましくは(E)/(b1’)=0.01〜2、さらに好ましくは(E)/(b1’)=0.01〜1で接触させることにより行うことができる。
上記ヒドロシリル化反応の触媒としては、白金族触媒、すなわちルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の化合物が適しているが、特に白金の化合物とパラジウムの化合物が好適である。白金の化合物としては、例えば塩化白金(II)、テトラクロロ白金酸(II)、塩化白金(IV)、ヘキサクロロ白金酸(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)アンモニウム、ヘキサクロロ白金(IV)カリウム、水酸化白金(II)、二酸化白金(IV)、ジクロロ−ジシクロペンタジエニル−白金(II)、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−オレフィン錯体や白金の単体、アルミナやシリカや活性炭に固体白金を担持させたものが挙げられる。パラジウムの化合物としては、例えば塩化パラジウム(II)、塩化テトラアンミンパラジウム(II)酸アンモニウム、酸化パラジウム(II)等が挙げられる。
また、ヒドロシリル化反応に使用できる有機溶媒としては、例えばトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等やこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
次に、機能性付与基を有するSi−H基含有ケイ素化合物を得る方法として、上述した(Q−2)の方法[以下(Q−2)−方法]について説明する。
(Q−2)−方法において使用される反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物としては、(Q−1)−方法において述べたものを挙げることができる。また、上述した式(11)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物と該反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物とのヒドロシリル化反応は、(Q−1)−方法で述べたヒドロシリル化反応と同じ条件で実施することができる。
(Q−2)−方法によると、上記ヒドロシリル化反応によって反応性基を有するSi−H基含有ケイ素化合物を得ることができる。この反応性基を有するSi−H基含有ケイ素化合物とそれに反応性を有する機能性付与基含有化合物との反応は、各々の反応性基の種類に応じた反応温度、反応圧力、溶媒等の反応条件を選択して実施できる。その際、Si−H基の安定性の点から、反応温度としては300℃以下が好ましく、150℃以下0℃以上がさらに好ましい。
また、本発明に使用される変性剤化合物(b)として、一般式(13)で表される構造を有するフッ素系樹脂(b2)を使用すると、該フッ素系樹脂で変性された変性光触媒(A)は、防汚性と有機基材保護性の両立に優れるため好ましい。
Figure 2004263182
(式中、A〜Aは同一でも異なっていても良く、それぞれフッ素原子、水素原子、塩素原子、炭素数1〜6のアルキル基、及び炭素数1〜6のハロ置換アルキル基から選ばれる1種を示す。Yは分子量14〜50000のw価の有機基(当該有機基Yの主鎖との結合以外にw価である基、好ましくはフッ化メチレン単位を有する基、より好ましくはパーフルオロアルキル基を有する基)を表す。Vは、エポキシ基、水酸基、アセトアセチル基、チオール基、環状酸無水物基、カルボキシル基、スルホン酸基、ポリオキシアルキレン基、加水分解性シリル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を表す。kは0以上1000000以下の整数であり、lは1以上100000以下の整数を表す。ただし、k=0の時は、好ましくはA〜Aの少なくとも1つがフッ素原子、より好ましくはA、Aが共にフッ素原子を表す。wは1〜20の整数である。)
本発明において、光触媒(a)の式(13)で表される構造を有するフッ素系樹脂(b2)による変性処理は、水及び/又は有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、光触媒(a)と該フッ素系樹脂(b2)を好ましくは質量比(a)/(b2)=1/99〜99.99/0.01、より好ましくは(a)/(b2)=10/90〜99.9/0.1の割合で好ましくは0〜200℃にて混合し、好ましくは(減圧)蒸留等により該混合物の溶媒組成を変化させる等の操作をすることにより得ることができる。
上記フッ素系樹脂(b2)の好ましい例としては、例えば式(14)で表される構造を有するパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー(b2’)を挙げることができる。該パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー(b2’)は、エタノールと水の混合溶媒には溶解するが、水単独にはほとんど溶解しないため、例えば光触媒(a)とエタノールと水の混合溶媒に溶解させた該パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー(b2’)を、好ましくは質量比(a)/(b2’)=1/99〜99.9/0.1、より好ましくは(a)/(b2’)=10/90〜99/1の割合で好ましくは0〜200℃にて混合した後、該混合物からエタノールを(減圧)蒸留等により除去することにより効率的に光触媒(a)を変性することができる。
Figure 2004263182
(式中、xは1〜1000000の整数であり、yは1〜100000の整数を表す。また、mは0〜20の整数であり、nは0〜20の整数を表す。)
また、本発明の変性光触媒(A)の好ましい形態は、変性光触媒の一次粒子と二次粒子(1次粒子、2次粒子何れかのみでも良い)との混合物の数平均分散粒子径が400nm以下、さらに好ましくは1nm以上100nm以下、特に好ましくは5nm以上80nm以下である。ゾルまたは水分散体の状態であることが好ましい。数平均分散粒子径が小さいほど、少量で大きな面積をカバーでき、表面に付着したとき目立たないのでより望ましい。
本発明に用いる変性光触媒(A)としてワックス性状を有するものは、それを含有する防汚被覆用組成物の部材への塗布性能が良好となるため非常に好ましい。
ここで、本発明におけるワックス性状とはJIS K 2236試験における塗り広げやすさ及びふき取りやすさの評価に合格するものを意味する。
また、本発明におけるワックス性状を有する変性光触媒は、下記方法で測定した塗り伸ばし性が10cm以上あるものが好ましく、さらに塗り伸ばし性が50cm以上のものが好ましく、塗り伸ばし性が200cm以上のものが非常に好ましい。
(塗り伸ばし性試験)
1)5質量%となるように溶媒(沸点150℃以下の溶媒、好ましくは水)に分散させた変性光触媒の分散液を約0.03g(スポイトで1滴)ガラス板の上に滴下する。
2)サンプルを滴下したガラス板を105℃で30分間乾燥させる。
3)23℃、55%湿度の状態で30分冷却する。
4)乾燥した変性光触媒を、プラスチック製のヘラで伸ばし、形成する変性光触媒皮膜が途切れ始めるまでの長さを測定し、変性光触媒質量0.01gあたりの伸び(cm)を計算し、この値を塗り伸ばし性とする。
また、本発明に用いる変性光触媒(A)として、該変性光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光(該変性光触媒(A)が分光増感色素を有する場合は、該分光増感色素の吸収光を含む光)を照射することによりBET表面積が、好ましくは10m/g以上、より好ましくは20m/g以上、更に好ましくは50m/g以上増加するものを選択すると、変性光触媒(A)は部材に強固に固定化されたまま(該部材が有機基材の場合には、基材保護性を有した状態で)、優れた防汚性能や汚れ分解性能を発現するため好ましい。
ここで、変性光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光(該変性光触媒(A)が分光増感色素を有する場合は、該分光増感色素の吸収光を含む光)の光源としては、例えば太陽光や室内照明灯等の一般住宅環境下で得られる光の他、ブラックライト、キセノンランプ、水銀灯、LED等の光が利用できる。
また、本発明に用いる変性光触媒(A)であって、該変性光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより、20℃における水との接触角が光照射前より10°以上増加し、さらに該光照射を行うことにより20℃における水との接触角が光照射前より10°以上低下するものは、上述した光照射によるBET表面積の増加する能力が大きく好ましい。
上述したワックス性状及び/又は光照射によりBET表面積が増加する変性光触媒(A)は、例えば光触媒(a)を式(6)及び/または式(8)で表される機能性付与基含有基(Q)を有するSi−H基含有ケイ素化合物を変性剤化合物(b)として用いて変性処理することにより好適に得ることができる。
H−(RSiO)−SiR−Q (6)
(式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
また、式中Qは、又は下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
(あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
(い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
(う)少なくとも1つの分光増感基。mは整数であり、0≦m≦1000である。)
(RHSiO)(RSiO)(RQSiO)(RSiO1/2 (8)
(式中、RおよびQは式(6)で定義した通りである。
pは1以上の整数であり、q及びrは0又は1以上の整数であり、(p+q+r)≦10000であり、そしてsは0又は2である。但し、(p+q+r)が2以上の整数であり且つs=0の場合、該Hシリコーン化合物は環状シリコーン化合物であり、s=2の場合、該Hシリコーン化合物は鎖状シリコーン化合物である。)
また、例えば光触媒(a)をポリオキシアルキレン基を有する変性剤化合物(b)、例えば機能性付与基含有基(Q)としてポリオキシアルキレン基、好ましくは下式(17)で表されるポリオキシエチレン基を有する上記式(6)及び/または式(8)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物で変性処理して得られる変性光触媒(A)は、上述したワックス性状を発現しやすく、また上述した光照射によるBET表面積の増加能力も有するため好ましい。
−CHCHO(CHCHO) (17)
(式中、tは1〜1000の整数を表す。Rは、水素原子或いは直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基を表す。)
ここで、上記式(6)及び/または式(8)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物中の上記ポリオキシエチレン基の含有量は、好ましくは1〜99質量%、より好ましくは5〜90質量%である。
本発明の防汚被覆用組成物は、上記変性光触媒(A)が溶媒に対して分散した状態が好ましい。この際、該防汚被覆用組成物中の上記変性光触媒(A)の含有量は、好ましくは0.001〜30質量%、より好ましくは0.01〜30質量%である。防汚被覆用組成物中の変性光触媒(A)の含有量が0.001質量%未満では、部材に多量にスプレーしなければ十分な効果が得られず、また30質量%を越えると変性光触媒(A)が必要以上に何層にも部材に付着し効率的でない。
本発明の防汚被覆用組成物に用いる溶媒としては、例えば水及び/又は有機溶剤を挙げることができる。
上記有機溶剤としては、炭素数8〜20の炭化水素系溶剤、アルコール、多価アルコール等のアルコール系溶剤、エーテル系溶剤などが挙げられる。該炭化水素系溶剤の具体例としては、デカン、ウンデカン、ドデカン、パラフィンもしくはイソパラフィン等が挙げられ、アルコール系溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2―ブタノール、変性エタノール(8−アセチル蔗糖変性アルコール)、エチレングリコールもしくはグリセリン等が挙げられ、エーテル系溶剤の具体例としては、アルキル鎖の炭素数が1〜12のモノアルキルモノグリセリルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプ ロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコール モノブチルエーテル又はジないしテトラエチレングリコールモノフェニルエーテル等が挙げられる。
本発明の防汚被覆用組成物に好適に用いる溶媒としては、水及び/又は水溶性の有機溶剤が好ましく、該水溶性の有機溶剤としては上記具体例のうち、特にエタノール、変性エタノール、グリセリン、アルキル鎖の炭素数が3〜8のモノアルキルモノグリセリルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル又はジないしテトラエチレングリコールモノフェニルエーテルが好ましい。
本発明の防汚被覆用組成物は、噴射剤を含有するエアゾール組成物として使用すると、部材に吹き付けるだけで本発明の変性光触媒(A)等が部材に展着し、簡単に防汚効果を発現する部材を得ることができるため好ましい。
上記噴射剤としては、通常のエアゾールに使用されるいずれの噴射剤でもよく、例えば、窒素ガス、亜酸化窒素ガス、二酸化炭素、代替フロンガス、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエ−テルなどを単独又は組み合わせて使用できる。噴射剤の配合量としては、防汚被覆用組成物全体量に対して好ましくは30〜98質量%であり、より好ましくは80〜98質量%である。
本発明の防臭被覆用組成物に含有される変性光触媒(A)は、それ自身に成膜性を有するため、部材に密着性の良い皮膜を形成し、優れた防臭性能を発現できる。
また、本発明の防汚被覆用組成物には、部材への接着性を補助する目的で、樹脂(F)を、本発明の変性光触媒(A)に対し、質量比(A)/(F)=0.1/99.9〜99/1、好ましくは(A)/(F)=1/99〜90/10で含むものを使用することもできる。
本発明の防汚被覆用組成物に使用できる樹脂(F)としては、全ての合成樹脂及び天然樹脂が使用可能である。
上記合成樹脂としては、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂(熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂等)の使用が可能であり、例えばアクリル樹脂、メタクリル樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンスルホン樹脂ポリエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン−アクリル樹脂、シリコーン樹脂、さらには水ガラスやジルコニウム化合物、過酸化チタン等の無機系化合物等を挙げることができる。
また、上記天然高分子としては、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、天然ゴム等のイソプレン系樹脂、カゼイン等のタンパク質系樹脂やでんぷん等を挙げることができる。
上記樹脂(F)として本発明に用いる変性光触媒(A)より表面エネルギーが大きいもの(表面エネルギー差が、好ましくは2mN/m以上、より好ましくは5mN/m以上、更に好ましくは10mN/m以上のもの)を選択すると、本発明の防汚被覆用組成物は変性光触媒(A)の分布について大きな自己傾斜性を有することが可能となり好ましい。
ここで自己傾斜性とは、該変性光触媒(A)と樹脂(F)を含む防汚被覆用組成物から皮膜を形成する際、その形成過程において変性光触媒(A)が、皮膜が接する界面の性状(特に親水/疎水性)に対応して、変性光触媒(A)の濃度勾配を有する構造を自律的に形成することを意味し、光触媒表面が表面エネルギーの非常に小さい構造を有する変性剤化合物(b)で変性処理された変性光触媒(A)は空気と接する皮膜表面に多く存在するようになる。
なお、本明細書では、皮膜という表現を使用しているが、必ずしも連続膜である必要はなく、不連続膜、島状分散膜等の態様であっても構わない。
本発明において、上記表面エネルギーや表面エネルギーの相対差は、例えばPolymer Handbook(米国 A Wiley-interscience publication 出版)等を参照したり、以下の方法で測定したりすることにより好ましく求めることができる。
例えば、樹脂(F)の皮膜を有する基材を調整し、脱イオン水を滴下して20℃における接触角(θ)を測定し、下記のSellとNeumannの実験式により、表面エネルギーを求めることもできる。
Figure 2004263182
[式中、γsは脱イオン水の接触角を測定した表層部の表面エネルギー(mN/m)を表し、γlは水の表面エネルギー{72.8mN/m(20℃)}を表わす。]
本発明の防汚被覆用組成物に好適に用いることができる表面エネルギーの比較的大きな樹脂(F)としては、例えば、下式(15)で表されるフェニル基含有シリコーン(BP)を挙げることができる。
SiO(4−p−q−r)/2 (15)
(式中、各Rはフェニル基を表し、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。そしてp、q及びrは、0<p<4、0≦q<4、0≦r<4、及び0<(p+q+r)<4であり、そして0.05≦p/(p+q)≦1である。)
また、上記フェニル基含有シリコーン(BP)として、下記式(16)で表されるアルキル基を含有しないフェニル基含有シリコーン(BP1)は、表面エネルギーがより高くなり、好ましい。
SiO(4−s−t)/2 (16)
(式中、Rはフェニル基を表し、Xは各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表し、s及びtは、0<s<4、0≦t<4、そして0<(s+t)<4である。)
さらに、水酸基及び/又は炭素数1〜20のアルコキシ基、エノキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの加水分解性基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体分子鎖の末端及び/又は側鎖に有するアクリル重合体も、表面エネルギーが比較的高く、耐候性に優れるため、上記樹脂(F)として好ましく用いることができる。
また、本発明の防汚被覆用組成物には、部材や汚れ成分への濡れ性を良好にし、密着性や塗工性、塗り伸ばし性を向上させる目的で、界面活性剤を添加するのが好ましい。添加できる界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸、樹脂酸、酸性脂肪アルコール、硫酸エステル、高級アルキルスルフォン酸、スルフォン酸アルキルアリル、スルフォン化ひまし油、スルフォこはく酸エステル、アルケニルコハク酸等の塩に代表されるアニオン性界面活性剤、あるいはエチレンオキサイドと長鎖脂肪アルコールまたはフェノール類、リン酸類との公知の反応生成物に代表されるノニオン性界面活性剤、4級アンモニウム塩等を含有するカチオン性界面活性剤、(部分鹸化)ポリビニルアルコール等の高分子分散安定剤、シリコーンポリマー鎖にエチレングリコール鎖、もしくはプロピレングリコール鎖がブロックポリマー型、側鎖変性型、または末端変性型で結合したものに代表されるシリコーン界面活性剤、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール、パーフルオロアルキルアルコキシレート、フッ素化アルキルエステル等のフッ素系界面活性剤等やそれらの併用が挙げられる。
また、本発明の防汚被覆用組成物には、レベリング剤として、例えばジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-ブトキシ-2-プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1-プロポキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングコリールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチレンアルコール、流動パラフィン、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチル、ミリスチン酸ドデシル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、デカメチルシクロペンタシロキサン、シリコーン油、アボガド油、ホホバ油、ラノリン、2-エチルヘキサン酸セチル、ステアリン酸ブチル、ヘキサデシルアルコール、イソステアリン酸、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、フタル酸ブチル、オクタン酸セチル、アジピン酸ジイソアジペート等を添加することもできる。
また、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で、消泡剤、ワックス類、香料、殺菌剤、防カビ剤、キレート剤、酸化防止剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、無機フィラー等を配合することができる。
また、本発明の変性光触媒(A)は、光触媒(a)表面が光触媒活性によって骨格構造が変化しない変性剤化合物(b)で変性処理されているため、光触媒(a)が直接に部材や上記樹脂(F)等に接触しにくい。そのため、本発明の防汚被覆用組成物を有機部材の処理に用いる場合においても、有機部材を保護するためのベースコートを必要とせずに、変性光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光(該変性光触媒(A)が分光増感色素を有する場合は、該分光増感色素の吸収光を含む光)を照射することにより優れた汚れ分解性能を発現すると共に、防汚性能を長期にわたり発現することができる。
ここで、変性光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光(該変性光触媒(A)が分光増感色素を有する場合は、該分光増感色素の吸収光を含む光)の光源としては、例えば太陽光や室内照明灯等の一般住宅環境下で得られる光の他、ブラックライト、キセノンランプ、水銀灯、LED等の光が利用できる。
本発明の防汚被覆用組成物を部材に定着させる場合、その量は、前記変性光触媒(A)の部材への付着量によって決定され、該変性光触媒(A)の付着量は、汚れに接触する面積に対して、好ましくは0.0001g/m〜100g/mであり、より好ましくは0.001g/m〜10g/mである。
本発明における変性光触媒(A)を部材に付着させる方法としては、例えば上記防汚被覆用組成物を部材に塗布し、乾燥した後、所望により好ましくは20℃〜500℃、より好ましくは40℃〜250℃の熱処理や紫外線照射等を行う方法を挙げることができる。上記塗布方法としては、例えばスプレー吹き付け法、フローコーティング法、ロールコート法、刷毛塗り法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、キャスティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等が挙げられる。
この際、変性光触媒(A)の付着状態は、連続膜であっても、不連続膜、島状分散膜等の態様であっても構わない。
また、本発明の防汚被覆用組成物の商品形態は、スプレータイプ、のりタイプ、ウェットワイパータイプ、スクイージータイプ等、種々の形態から任意に選択できる。
さらに、本発明の防汚被覆用組成物に用いる変性光触媒(A)が上述したワックス性状の場合は、部材に塗り伸ばしながら付着する方法や、部材に過剰に塗布した後に布等で余剰分を拭き取る方法で変性光触媒(A)を好適に付着させることができる。
本発明の防汚被覆組成物を用いて変性光触媒(A)を付着させる部材の基材は、特に限定されるものではなく、幅広く様々な基材に適用できる。それらの基材としては、例えば合成樹脂、天然樹脂等の有機基材や、金属、セラミックス、ガラス、石、セメント、コンクリート等の無機基材や、それらの組み合わせや複合体、さらにはそれらが樹脂塗装もしくは金属メッキされた表面等を挙げることができる。
本発明の防汚被覆用組成物は、汚れ物質(油汚れ、汗等の汚れ、醤油やソース、カレー粉等の汚れ、微生物、微生物によるぬめり、有害化学物質等)で汚染された部材に塗布して上述した光照射を行うことにより、汚れ物質を分解し、部材を清潔で綺麗に浄化する機能を有する。
この際、本発明の防汚被覆用組成物に用いる変性光触媒(A)は、汚れ物質に親和力を持つことも可能であるため、汚れ物質を効率よく分解することができる。
本発明の防汚被覆用組成物は、上記汚れ物質分解作用を利用して、汚れ物質で汚染された衣類等の繊維製品、例えばYシャツの襟首の汚れ等に塗布して太陽光にあてることにより汚れを分解することができる。また、たばこのヤニがついた壁紙等に塗布し、蛍光灯等の光をあてることによりヤニを分解することもできる。
また、本発明の防汚被覆用組成物で処理された部材は、汚れ物質で汚染されても、部材に付着した変性光触媒(A)の作用で、光照射により汚れ物質を分解し、部材を清潔で綺麗に保つことができる。この際、部材として光触媒で分解する有機基材を用いた場合でも、耐久性は非常に優れたものとなる。すなわち、本発明の防汚被覆用組成物は、耐久性の問題から従来用いることができなかった有機基材に対しても、耐久性の優れた防汚性部材を提供することができる。
本発明の防汚被覆用組成物で汚れ分解処理及び/または汚れ防止処理をする部材としては、例えば繊維製品の場合、繊維の種類、織り方、繊維布の用途は限定されず、例えば寝具用シ−ツ、タオル、靴下、パンティ−ストッキング、下着、上着、カ−テン、テ−ブルクロス、スリッパ、帽子、マットレス、カ−ペット等や不織布、テント、帆、幌、ロ−プ、壁紙等に適用することができる。
また、本発明の防汚被覆用組成物は家具、電化製品、壁などといった物に関しても同様に、その種類、材質、用途によっては限定されず適用でき、例えば、タンス、クロ−ゼット、食器棚、テ−ブル、いす、ソファ−等の家具や冷蔵庫、エアコンのフィルター、掃除機の吹き出し口等の電化製品、住居の内外壁、ブラインド、浴室、トイレ、キッチン周り、自動車、鉄道車輌、飛行機、船舶等の内装等に適用することができる。
更に、本発明の防汚被覆組成物は、例えば建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、住宅等建築設備、特に便器、浴槽、洗面台、照明器具、照明カバー、台所用品、食器、食器洗浄器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇等、また、乗物の外装、車両用照明灯のカバー、窓ガラス、計器、表示盤等透明性が要求される部材での使用に効果があり、また、機械装置や物品の外装、防塵カバーおよび塗装、表示機器、そのカバー、交通標識、各種表示装置、広告塔等の表示物、道路用、鉄道用等の遮音壁、橋梁、ガードレールの外装および塗装、トンネル内装および塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー等外部で使用される電子、電気機器の外装部、ビニールハウス、温室等の外装、医療用や体育用の施設、装置等に適用することもできる。
以下の実施例、参考例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。実施例、参考例及び比較例中において、各種の物性は下記の方法で測定した。
1.粒径分布及び数平均粒子径
試料中の光触媒含有量が1〜20質量%となるよう適宜溶媒を加えて希釈し、湿式粒度分析計(日機装製マイクロトラックUPA−9230)を用いて測定した。
2.重量平均分子量
ポリスチレン標品を用いて作成した検量線を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求めた。
GPCの条件は以下の通りである。
・装置:東ソー製HLC−8020 LC−3A型クロマトグラフ
・カラム:TSKgel G1000HXL、TSKgel G2000HXLおよびTSKgel G4000HXL(いずれも東ソー製)を直列に接続して用いた。
・データ処理装置:島津製作所製CR−4A型データ処理装置
・移動相:
テトラヒドロフラン(フェニル基含有シリコーンの分析に使用)
クロロホルム(フェニル基を含有しないシリコーンの分析に使用)
・流速:1.0ml/min.
・サンプル調製法
移動相に使用する溶媒で希釈(濃度は0.5〜2重量%の範囲で適宜調節した)して分析に供した。
3.赤外線吸収スペクトル
日本分光製FT/IR−5300型赤外分光計を用いて測定した。
4.29Si核磁気共鳴の測定
日本電子製JNM−LA400を用いて測定した。
5.透明性
日本電色工業製ヘーズメーター(NDH2000)を用い、Haze値を測定することにより評価した。
6.ワックス性状(塗り広げやすさ、ふき取りやすさ)
JIS K 2236に準じて実施した。
7.ワックス性状(塗り伸ばし性)
下記手順に従い、評価した。
1)0.03gに秤量したの5質量%変性光触媒水分散液をスポイトでガラス板の上に滴下した。
2)サンプルを滴下したガラス板を105℃で30分間乾燥させた。
3)23℃、55%湿度の状態で30分冷却した。
4)乾燥した変性光触媒を、プラスチック製のヘラで伸ばし、形成する変性光触媒皮膜が途切れ始めるまでの長さを測定し、変性光触媒質量0.01gあたりの伸び(cm)を計算し、この値を塗り伸ばし性とした。
8.BET表面積
ユアサアイオニクス製窒素吸着装置(オートソーブ−1−MP)を用いて測定した。
9.水の接触角
試料の表面に脱イオン水の滴を乗せ、20℃で1分間放置した後、協和界面科学製CA−X150型接触角計を用いて測定した。
10.光触媒活性
試料表面にメチレンブルーの5質量%エタノール溶液を塗布した後、東芝ライテック製FL20S BLB型ブラックライトの光を24時間照射後、光触媒の作用によるメチレンブルーの分解の程度(皮膜表面の退色の程度に基づき、目視で評価)に基づき、光触媒の活性を以下の3段階で評価した。
なおこのとき、トプコン製UVR−2型紫外線強度計{受光部として、トプコン製UD−36型受光部(波長310〜400nmの光に対応)を使用}を用いて測定した紫外線強度が1mW/cmとなるよう調整した。
◎:メチレンブルーが完全に分解。
△:メチレンブルーの青色がわずかに残る。
×:メチレンブルーの分解はほとんど観測されず。
11.耐汚染性
試料の表面にオレイン酸を塗布し、試料表面を水平に保持しながら水槽に満たした水の中に浸漬した際の、オレイン酸の様子(目視で評価)に基づき、耐汚染性を以下の2段階で評価した。
○:オレイン酸は丸くなり、軽くこすることにより試料表面から離脱する。
×:オレイン酸は、試料表面から容易に離脱しない。
12.耐光性
試料に東芝ライテック製FL20S BLB型ブラックライトの光を30日間照射後、試料の外観(目視で評価)に基づき、耐光性を以下の3段階で評価した。
このとき、トプコン製UVR−2型紫外線強度計{受光部として、トプコン製UD−36型受光部(波長310〜400nmの光に対応)を使用}を用いて測定した紫外線強度が1mW/cmとなるよう調整した。
○:外観変化なし
△:光触媒層の剥がれ
×:部材の部分的分解
[参考例1]
変性光触媒ヒドロゾル(A−1)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、脱水したジオキサン50gと、HMS−301−100GM(メチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマーの商品名(チッソ製)、Si−H基含量4.52mmol/g、重量平均分子量5400)50gを入れ、撹拌下80℃に昇温した。これにユニオックスPKA−5118[ポリオキシエチレンアリルメチルエーテルの商品名(日本油脂社製)、重量平均分子量800]25gと塩化白金(IV)酸六水和物の5重量%イソプロパノール溶液0.53gを脱水したジオキサン62.5gに溶解した溶液を80℃にて攪拌下約1時間かけて添加し、さらに80℃にて2時間攪拌を続けた後室温にまで冷却することにより、Si−H基含有ケイ素化合物溶液(1)を得た。
得られたSi−H基含有ケイ素化合物溶液(1)4gに水100gを加えると、わずかに白濁した分散液となった。
また、得られたSi−H基含有ケイ素化合物溶液(1)2.23gにブチルセロソルブ8gを添加・混合した後、1N水酸化ナトリウム水溶液8mlを添加すると、水素ガスが発生し、その体積は21℃において45.2mlであった。この水素ガス生成量から求めた、Si−H基含有ケイ素化合物(1)を含む溶液1g当りのSi−H基含量は0.825mmol/g(HMS−301−100GMの1g当たりに換算したSi−H基含量は約3.1mmol/g)であった。
続いて、還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器にタイノックA6[アナターゼ型酸化チタンゾルの商品名(多木化学製)、アンモニア解膠型、TiO濃度6質量%、平均結晶子径10nm(カタログ記載値)]400gを入れ、これに合成したSi−H基含有ケイ素化合物溶液(1)10.3gを室温30℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて10時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な変性光触媒ヒドロゾル(A−1)を得た。この時、Si−H基含有ケイ素化合物溶液(1)の反応に伴い生成した水素ガス量は16℃において80mlであった。また、得られた変性酸化チタンヒドロゾルをKBr板上にコーティングしIRスペクトルを測定したところ、Ti−OH基の吸収(3630〜3640cm−1)の消失が観測された。
また、図1、図2にそれぞれ変性処理前のタイノックA6及び得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−1)の粒径分布を示す。得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−1)の粒径分布は単一分散(数平均粒子径は13nm)であり、さらに変性処理前のタイノックA6の単一分散(数平均粒子径は10nm)の粒径分布が大きな粒径側に平行移動していることが分かる。
[参考例2]
変性光触媒ヒドロゾル(A−2)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器に、LS−8600[1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの商品名(信越化学工業製)]474g、LS−8620[オクタメチルシクロテトラシロキサンの商品名(信越化学工業製)]76.4g、LS−8490[1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサンの商品名(信越化学工業製)408g、LS−7130[ヘキサメチルジシロキサンの商品名(信越化学工業製)40.5g、及び硫酸化ジルコニア20gを仕込み、50℃で3時間攪拌した後、さらに80℃に加熱したまま5時間攪拌した。硫酸化ジルコニアをろ過したのち、130℃、真空下で低沸分を除去し、重量平均分子量6600、Si−H基含量7.93mmol/gのメチルハイドロジェンシロキサン−メチルフェニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(合成シリコーン化合物)780gを得た。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、脱水したジオキサン100gと、上記合成シリコーン化合物100gを入れ、撹拌下90℃に昇温した。これにユニオックスPKA−5118[ポリオキシエチレンアリルメチルエーテルの商品名(日本油脂社製)、重量平均分子量800]160gと脱水したジオキサン155g、およびジクロロ−ジシクロペンタジエニル−白金(II)の0.25質量%ジオキサン溶液4.9gを混合した溶液を90℃にて攪拌下約1時間かけて添加し、さらに90℃にて5時間攪拌を続けた後室温にまで冷却することにより、Si−H基含有ケイ素化合物溶液(2)を得た。
得られたSi−H基含有ケイ素化合物溶液(2)4gに水100gを加えると、わずかに白濁した分散液となった。
また、得られたSi−H基含有ケイ素化合物溶液(2)0.88gにブチルセロソルブ8gを添加・混合した後、1N水酸化ナトリウム水溶液8mlを添加すると、水素ガスが発生し、その体積は21℃において41.0mlであった。この水素ガス生成量から求めた、Si−H基含有ケイ素化合物溶液(2)1g当りのSi−H基含量は1.89mmol/g(合成シリコーン化合物1g当たりに換算したSi−H基含量は約6.81mmol/g)であった。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、TKS−203[酸化チタンヒドロゾルの商品名(テイカ製)、中性、TiO濃度19.2質量%、平均結晶子径6nm(カタログ値)のもの]117.2gと水107.8gを入れた後、これに合成したSi−H基含有ケイ素化合物溶液(2)40.5gを30℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて12時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な変性光触媒ヒドロゾル(A−2)を得た。この時、Si−H基含有ケイ素化合物溶液(2)の反応に伴い生成した水素ガス量は20℃において940mlであった。また、得られた変性酸化チタンヒドロゾルをKBr板上にコーティングしIRスペクトルを測定したところ、Ti−OH基の吸収(3630〜3640cm−1)の消失が観測された。
また、得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−2)の粒径分布は単一分散(数平均粒子径は24nm)であり、さらに変性処理前のTKS203の単一分散(数平均粒子径は12nm)の粒径分布が大きな粒径側に平行移動していることが確認できた。
得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−2)は、JIS K 2236における塗り広げやすさ、ふき取りやすさの試験に合格し、ワックス性状であることが確認できた。また、塗り伸ばし試験は50cmで有り、良好な結果を示した。
更に、変性光触媒ヒドロゾル(A−2)から溶媒を除去することにより、変性光触媒粉体(A−2’)を得た。得られた変性光触媒粉体(A−2’)のBET表面積は10m/gであった。この変性光触媒粉体(A−2’)に東芝ライテック製FL20S BLB型ブラックライトの光[トプコン製UVR−2型紫外線強度計{受光部として、トプコン製UD−36型受光部(波長310〜400nmの光に対応)を使用}を用いて測定した紫外線強度が1mW/cmとなるよう調整]を10日間照射すると、BET表面積は50m/gに増加した。
[参考例3]
変性光触媒ヒドロゾル(A−3)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、NTB−200[可視光応答型酸化チタンゾルの商品名(昭和電工製)、TiO濃度2.5質量%、平均結晶子径10nm(カタログ記載値)]100gを入れた後、これに参考例2で合成したSi−H基含有ケイ素化合物溶液(2)4.5gを30℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて12時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な変性光触媒ヒドロゾル(A−3)を得た。この時、Si−H基含有ケイ素化合物溶液(2)の反応に伴い生成した水素ガス量は20℃において100mlであった。
また、得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−3)の粒径分布は単一分散(数平均粒子径は18nm)であり、さらに変性処理前のNTB−200の単一分散(数平均粒子径は16nm)の粒径分布が大きな粒径側に平行移動していることが確認できた。
[参考例4]
変性光触媒ヒドロゾル(A−4)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、NTB−200(参考例3で使用したものと同じ)120gを入れ、これにAciplex−SS910[パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーの5質量%エタノール−水(重量比1:1)溶液の商品名(旭化成製)]15gを30℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて1時間撹拌を続けた後、得られた分散液をエバポレーターにて90gまで濃縮し(この際、分散液からエタノール臭は消失)、水30gを添加することにより、非常に分散性の良好な変性光触媒ヒドロゾル(A−4)を得た。
得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−4)の粒径分布は単一分散(数平均粒子径は34nm)であり、さらに変性処理前のNTB−200の単一分散(数平均粒子径は16nm)の粒径分布が大きな粒径側に平行移動していることが確認できた。
[参考例5]
変性光触媒オルガノゾル(A−5)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にいれたTKS−251[酸化チタンオルガノゾルの商品名(テイカ製)、分散媒:トルエンとイソプロパノールの混合溶媒、TiO濃度20質量%、平均結晶子径6nm(カタログ値)]40gにビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン8gを40℃にて約5分かけて添加し、さらに40℃で12時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な変性光触媒オルガノゾル(A−5)を得た。この時、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシランの反応に伴い生成した水素ガス量は23℃において718mlであった。また、得られた変性酸化チタンオルガノゾルをKBr板上にコーティングしIRスペクトルを測定したところ、Ti−OH基の吸収(3630〜3640cm−1)の消失が観測された。
また、得られた変性光触媒オルガノゾル(A−5)の粒径分布は単一分散(数平均粒子径は17nm)であり、さらに変性処理前のTKS−251の単一分散(数平均粒子径は12nm)の粒径分布が大きな粒径側に平行移動していることが確認できた。
[参考例6]
フェニル基含有シリコーン(BSP−1)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にいれたジオキサン78gにフェニルトリクロロシラン26.0gを添加した後、室温にて約10分間撹拌した。これに水3.2gとジオキサン12.9gからなる混合液を、反応液を10〜15℃に保ちながら約30分かけて滴下した後、さらに10〜15℃で約30分撹拌し、続いて反応液を60℃に昇温させ3時間撹拌した。得られた反応液を25〜30℃に降温させ、392gのトルエンを約30分かけて滴下した後、再度反応液を60℃に昇温させ2時間撹拌した。
得られた反応液を10〜15℃に降温させ、メタノール19.2gを約30分かけて添加した。その後さらに25〜30℃にて約2時間撹拌を続行し、続いて反応液を60℃に昇温させ2時間撹拌した。得られた反応液から60℃で減圧下に溶媒を溜去することにより重量平均分子量2600のラダ−骨格を有するフェニル基含有シリコーン(BSP−1)を得た。(得られたフェニル基含有シリコーン(BSP−1)には、IRスペクトルにおけるラダ−骨格の伸縮振動に由来する吸収(1130cm−1及び1037cm−1)が観測された。)
また、29Si核磁気共鳴の測定結果より求めた上記フェニル基含有シリコーン(BSP−1)の平均組成式は、(Ph)(OCH0.58SiO1.21であった。(ここでPhはフェニル基を表す。)
[参考例7]
変性光触媒ヒドロゾル(A−6)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に参考例2で合成した合成シリコーン化合物40gを入れ、撹拌下80℃に昇温した。これにユニオックスPKA−5118[ポリオキシエチレンアリルメチルエーテルの商品名(日本油脂社製)、重量平均分子量800]200gと脱水したメチルエチルケトン200g、および塩化白金酸6水和物5質量%イソプロパノール溶液1.0gを混合した溶液を攪拌下で約1時間かけて添加し、さらに80℃にて5時間攪拌を続けた後室温にまで冷却することにより、Si−H基含有ケイ素化合物溶液(3)を得た。
得られたSi−H基含有ケイ素化合物溶液(3)4gに水100gを加えると、透明な水溶液となった。
また、得られたSi−H基含有ケイ素化合物溶液(3)3.97gにブチルセロソルブ8gを添加・混合した後、1N水酸化ナトリウム水溶液8mlを添加すると、水素ガスが発生し、その体積は21℃において21.0mlであった。この水素ガス生成量から求めた、Si−H基含有ケイ素化合物溶液(3)1g当りのSi−H基含量は0.22mmol/g(合成シリコーン化合物1g当たりに換算したSi−H基含量は約2.37mmol/g)であった。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、TKS−203[酸化チタンヒドロゾルの商品名(テイカ製)、中性、TiO濃度19.2質量%、平均結晶子径6nm(カタログ値)のもの]78.1gと水221.9gを入れた後、これに合成したSi−H基含有ケイ素化合物溶液(3)41.3gを40℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに40℃にて12時間撹拌を続けた後、減圧蒸留によりメチルエチルケトンを除去し、水を加えて5質量%の非常に分散性の良好な変性光触媒ヒドロゾル(A−6)を得た。この時、Si−H基含有ケイ素化合物溶液(3)の反応に伴い生成した水素ガス量は20℃において210mlであった。また、得られた変性酸化チタンヒドロゾル(A−6)をKBr板上にコーティングしIRスペクトルを測定したところ、Ti−OH基の吸収(3630〜3640cm−1)の消失が観測された。
また、得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−6)の粒径分布は単一分散(数平均粒子径は55nm)であり、さらに変性処理前のTKS203の単一分散(数平均粒子径は12nm)の粒径分布が大きな粒径側に平行移動していることが確認できた。
得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−6)は、JIS K 2236における塗り広げやすさ、ふき取りやすさの試験に合格し、ワックス性状であることが確認できた。また、塗り伸ばし試験は450cmで有り、非常に良好であった。
[参考例8]
変性光触媒ヒドロゾル(A−7)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、TSS4110[可視光応答型酸化チタンゾルの商品名(住友化学工業製)、光触媒濃度10質量%]15gと水15gを入れた後、これに参考例7で合成したSi−H基含有ケイ素化合物溶液(3)4.1gを40℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに40℃にて12時間撹拌を続けた後、減圧蒸留によりメチルエチルケトンを除去し、水を加えて5質量%の非常に分散性の良好な変性光触媒ヒドロゾル(A−7)を得た。この時、Si−H基含有ケイ素化合物溶液(3)の反応に伴い生成した水素ガス量は20℃において25mlであった。
また、得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−7)の粒径分布は単一分散(数平均粒子径は29nm)であり、さらに変性処理前のTSS4110の単一分散(数平均粒子径は13nm)の粒径分布が大きな粒径側に平行移動していることが確認できた。
得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−7)は、JIS K 2236における塗り広げやすさ、ふき取りやすさの試験に合格し、ワックス性状であることが確認できた。また、塗り伸ばし試験は400cmで有り、非常に良好であった。
[実施例1]
参考例2で得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−2)120gをLPG155gと共に充填して容量500mlの防汚被覆組成物入りスプレー缶(C−1)を得た。
ノズル径0.4mmを使用し、得られた防汚被覆用組成物入りスプレー(C−1)を5cm×5cmのアクリル板に1秒間塗布し、室温で2日乾燥した後、東芝ライテック製FL20SBLB型ブラックライトの光[トプコン製UVR−2型紫外線強度計(受光部:トプコン製UD−36型受光部)を用いて測定した紫外線強度が2mW/cmとなるよう調整]を24時間照射して光触媒担持試料(D−1)を作成した。
この試料(D−1)の耐汚染性評価の結果は良好(○)であった。また、この試料(D−1)の耐光性も良好(○)であった。
さらに、耐光性試験後の試料(D−1)を用いて再度耐汚染性を評価したところ、良好な耐汚染性(○)を保持していた。
[実施例2]
参考例2で得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−2)120gの代わりに、参考例1で得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−1)110gとS−753[水溶性アクリル樹脂ウォーターゾルの商品名(大日本インキ製)、固形分50%]10gの混合物を用いる以外は実施例1と同様の操作を行って光触媒担持試料(D−2)を作成した。
この試料(D−2)の耐汚染性評価の結果は良好(○)であった。また、この試料(D−2)の耐光性も良好(○)であった。
さらに、耐光性試験後の試料(D−2)を用いて再度耐汚染性を評価したところ、良好な耐汚染性(○)を保持していた。
[実施例3]
参考例2で得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−2)120gの代わりに、参考例5で得られた変性光触媒オルガノゾル(A−5)12gと、参考例6で得られたフェニル基含有シリコーン(BSP−1)6gをトルエン42gとイソプロパノール50gの混合溶媒に溶かした溶液との混合物を用いる以外は実施例1と同様の操作を行って光触媒担持試料(D−3)を作成した。
この試料(D−3)の耐汚染性評価の結果は良好(○)であった。また、この試料(D−3)の耐光性も良好(○)であった。
さらに、耐光性試験後の試料(D−3)を用いて再度耐汚染性を評価したところ、良好な耐汚染性(○)を保持していた。
[実施例4]
参考例3で得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−3)100gをLPG155gと共に充填して容量500mlの防汚被覆組成物入りスプレー缶(C−4)を得た。
ノズル径0.4mmを使用し、得られた防汚被覆用組成物入りスプレー(C−4)を5cm×5cmのアクリル板に1秒間塗布し、室温で2日乾燥した後、太陽光[トプコン製UVR−2型紫外線強度計{受光部として、トプコン製UD−40型受光部(波長370〜490nmの光に対応)を使用}を用いて測定した可視光強度が2〜3mW/cmとなるよう調整]を6時間照射して光触媒担持試料(D−4)を作成した。
この試料(D−4)の耐汚染性評価の結果は良好(○)であった。また、この試料(D−4)の耐光性も良好(○)であった。
さらに、耐光性試験後の試料(D−4)を用いて再度耐汚染性を評価したところ、良好な耐汚染性(○)を保持していた。
[実施例5]
参考例3で得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−3)100gの代わりに、参考例4で得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−4)100gを用いる以外は実施例4と同様の操作を行って光触媒担持試料(D−5)を作成した。
この試料(D−5)の耐汚染性評価の結果は良好(○)であった。また、この試料(D−5)の耐光性も良好(○)であった。
さらに、耐光性試験後の試料(D−5)を用いて再度耐汚染性を評価したところ、良好な耐汚染性(○)を保持していた。
[実施例6]
参考例2で得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−2)を水で2質量%に希釈した水分散体に10cm×10cmの和紙を浸漬させた後、室温で12時間乾燥させることにより光触媒担持試料(D−9)を作成した。
得られた試料(D−9)をメチレンブルーの0.1質量%エタノール溶液に浸漬させた後、室温で2時間乾燥し、着色試料(D−9’)を作成した。
この着色試料(D−9’)に東芝ライテック製FL20SBLB型ブラックライトの光[トプコン製UVR−2型紫外線強度計(受光部:トプコン製UD−36型受光部)を用いて測定した紫外線強度が2mW/cmとなるよう調整]を2日間照射すると、着色試料(D−9’)中のメチレンブルーは分解し、着色が消えた[試料(D−9’’)]。更に、上記光を3ヶ月間照射したが、試料(D−9’’)の外観は全く変化がなかった。
[実施例7]
参考例7で合成した変性光触媒ヒドロゾル(A−6)をスプレー缶に入れ、10cm×10cmのガラス板に吹き付け、室温で30分乾燥させた後、タオルで拭き伸ばすことにより光触媒担持試料(D−10)を作成した。
得られた試料(D−10)は、非常に透明であり(ヘイズ値は0.1)、水の接触角は10゜であった。試料(D−10)に東芝ライテック製FL20SBLB型ブラックライトの光[トプコン製UVR−2型紫外線強度計(受光部:トプコン製UD−36型受光部)を用いて測定した紫外線強度が2mW/cmとなるよう調整]を2時間照射すると、水の接触角は100゜となり、更に2時間照射すると水の接触角は0゜となった[試料(D−10’)]。
また、試料(D−10’)の光触媒活性は非常に良好(◎)であり、耐汚染性も良好(○)であった。
[実施例8]
参考例7で得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−6)の代わりに、参考例8で得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−7)用いる以外は実施例7と同様の操作を行って光触媒担持試料(D−11)を作成した。
得られた試料(D−11)は、非常に透明であり(ヘイズ値は0.2)、水の接触角は9゜であった。試料(D−11)に太陽光[トプコン製UVR−2型紫外線強度計{受光部として、トプコン製UD−40型受光部(波長370〜490nmの光に対応)を使用}を用いて測定した可視光強度が0.5〜0.6mW/cmとなるよう調整]を2時間照射すると、水の接触角は105゜となり、更に2時間照射すると水の接触角は0゜となった[試料(D−11’)]。
また、試料(D−11’)の光触媒活性は非常に良好(◎)であり、耐汚染性も良好(○)であった。
[実施例9]
参考例7で合成した変性光触媒ヒドロゾル(A−6)をスプレー缶に入れ、汗で汚れたYシャツの襟首に吹き付けた後、太陽光[トプコン製UVR−2型紫外線強度計{受光部として、トプコン製UD−40型受光部(波長370〜490nmの光に対応)を使用}を用いて測定した可視光強度が2〜3mW/cm]に3時間あてたところ、汗汚れはほとんど消失した。また、その際のYシャツの襟首は、外観や手触りは全く変化がなかった。
[比較例1]
参考例2で合成した変性光触媒ヒドロゾル(A−2)120gの代わりにTKS203(参考例2と同じ)60gを水60gで希釈したものを用いる以外は実施例1と同様の操作を行って光触媒担持試料(D−6)を作成した。 この試料(D−6)の耐汚染性評価の結果は良好(○)であったが、耐光性は非常に悪い結果(×)であった。
[比較例2]
参考例1で合成した変性光触媒ヒドロゾル(A−1)110gの代わりにタイノックA6(参考例1と同じ)110gを用いる以外は実施例2と同様の操作を行って光触媒担持試料(D−7)を作成した。
この試料(D−7)の耐汚染性評価の結果は良好(○)であった。しかし、この試料(D−7)の耐光性は悪かった(△)。
さらに、耐光性試験後の試料(D−7)を用いて再度耐汚染性を評価したところ、耐汚染性は悪い結果(×)を示した。
[比較例3]
参考例3で合成した変性光触媒ヒドロゾル(A−3)100gの代わりに、タイノックA6(参考例1と同じ)110gとS−753(実施例2と同じ)10gの混合物を用いる以外は実施例4と同様の操作を行って光触媒担持試料(D−8)を作成した。
この試料(D−8)の耐汚染性評価は悪い結果(×)であった。
[比較例4]
参考例2で合成した変性光触媒ヒドロゾル(A−2)の代わりにTKS203(参考例2と同じ)を用いる以外は実施例6と同様の操作を行って着色(D−13’)を作成した。
この着色(D−13’)に実施例6と同じ光を2日間照射すると着色が消えた(試料(D−13’’))が、更に光照射を続けると1週間の光照射で和紙の部分的な分解が観察され、1ヶ月の光照射で和紙は原形を留めなくなった。
[比較例5]
実施例6と同様の方法で、未処理の和紙をメチレンブルーで着色し、光照射を実施したが、着色は消えなかった。
[比較例6]
TKS203(参考例2と同じ)を5質量%に水で希釈したものをスプレー缶に入れ、10cm×10cmのガラス板に吹き付け、室温で30分乾燥させた後、タオルで拭き伸ばそうとしたが不可能であった。
本発明の防汚被覆用組成物は、衣類等の繊維製品に付着した汚れ(汗、調味料、油等)や壁等に付着したタバコのヤニ等の分解、換気扇等の油汚れの分解、便器・タイル等の微生物等による汚れ防止など、生活空間の環境浄化に広く利用できる。
図1は、変性処理前のタイノックA6(市販の酸化チタンヒドロゾル)の粒径分布を、湿式粒度分析計を使用して測定した結果を示す図である。 図2は、参考例1で上記タイノックA6を変性処理して得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−1)の粒径分布を、湿式粒度分析計を使用して測定した結果を示す図である。

Claims (12)

  1. 光触媒(a)を式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位、及びフッ化メチレン(―CF−)単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(b)を用いて変性処理された変性光触媒(A)を含有することを特徴とする防汚被覆用組成物。
    Si− (1)
    (式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す)
    −(RSiO)− (2)
    (式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
    Figure 2004263182
    (式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
  2. 該変性光触媒(A)がワックス性状を有することを特徴とする請求項1記載の防汚被覆用組成物。
  3. 該変性光触媒(A)が、そのバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することによりBET表面積が増加することを特徴とする請求項1または2に記載の防汚被覆用組成物。
  4. 該変性光触媒(A)が、そのバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより、20℃における水との接触角が光照射前より10°以上増加し、さらに該光照射を行うことにより20℃における水との接触角が光照射前より10°以上低下することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防汚被覆用組成物。
  5. 該変性剤化合物(b)が、一般式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防汚被覆用組成物。
    SiO(4−x−y−z)/2 (4)
    (式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
    また、式中Qは、又は下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
    (あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
    (い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
    (う)少なくとも1つの分光増感基。
    また、0<x<4、0<y<4、0≦z<4、及び(x+y+z)≦4である。)
  6. 該変性剤化合物(b)が、式(6)及び/または式(8)で表される機能性付与基含有基(Q)を有するSi−H基含有ケイ素化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防汚被覆用組成物。
    H−(RSiO)−SiR−Q (6)
    (式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
    また、式中Qは、又は下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
    (あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
    (い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
    (う)少なくとも1つの分光増感基。mは整数であり、0≦m≦1000である。)
    (RHSiO)(RSiO)(RQSiO)(RSiO1/2 (8)
    (式中、RおよびQは式(6)で定義した通りである。
    pは1以上の整数であり、q及びrは0又は1以上の整数であり、(p+q+r)≦10000であり、そしてsは0又は2である。但し、(p+q+r)が2以上の整数であり且つs=0の場合、該Hシリコーン化合物は環状シリコーン化合物であり、s=2の場合、該Hシリコーン化合物は鎖状シリコーン化合物である。)
  7. 該変性剤化合物(b)がポリオキシアルキレン基を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の防汚被覆用組成物。
  8. 該変性剤化合物(b)が、式(13)で表される構造を有するフッ素系樹脂(b2)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防汚被覆用組成物。
    Figure 2004263182
    (式中、A〜Aは同一でも異なっていても良く、それぞれフッ素原子、水素原子、塩素原子、炭素数1〜6のアルキル基、及び炭素数1〜6のハロ置換アルキル基から選ばれる1種を示す。Yは分子量14〜50000のw価の有機基を表す。Vは、エポキシ基、水酸基、アセトアセチル基、チオール基、環状酸無水物基、カルボキシル基、スルホン酸基、ポリオキシアルキレン基、加水分解性シリル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を表す。kは0以上1000000以下の整数であり、lは1以上100000以下の整数を表す。wは1〜20の整数である。)
  9. 該変性光触媒(A)が可視光応答型光触媒であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の防汚被覆用組成物。
  10. 噴射剤を更に含有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の防汚被覆用組成物。
  11. 該変性光触媒(A)より表面エネルギーの大きな樹脂を更に含有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の防汚被覆用組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の防汚被覆用組成物で処理された防汚性部材。
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