JP4454477B2 - 変性光触媒粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、変性光触媒粒子に関する。更に詳しくは、本発明は、光触媒粒子を、モノオキシジオルガノシラン単位、ジオキシオルガノシラン単位およびジフルオロメチレン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を含む化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物を用いて変性処理することによって得られる変性光触媒粒子と、該変性光触媒粒子と単量体及び/又は樹脂とを含む変性光触媒組成物に関する。該変性光触媒組成物を用いて、基材の表面に変性光触媒を含む皮膜を形成させると、変性光触媒は、その活性を損なうことなく、穏和な条件下で、基材の表面に強固に固定化される上、形成された皮膜や、上記の皮膜によって被覆された基材が変性光触媒の作用で劣化することがない。そのうえ、上記の皮膜は透明性、耐久性、耐汚染性、硬度等に優れているので、種々の基材の表面への汚れの付着防止や曇りの防止等において極めて有用である。
また本発明は、上記の変性光触媒組成物を用いて形成された皮膜、並びに該皮膜およびそれによって被覆された基材からなる機能性複合体、並びに上記の変性光触媒組成物を用いて形成された成形体にも関する。
ある種の物質に、その物質の伝導帯と価電子帯との間のエネルギーギャップ(バンドギャップ)よりも大きなエネルギーを持つ光、即ちその物質のバンドギャップに対応する光よりも波長の短い光(励起光)を照射すると、光エネルギーによって価電子帯中の電子の励起(光励起)が起こり、伝導帯に電子が、価電子帯に正孔が生成する。このとき、伝導帯に生成した電子の還元力及び/又は価電子帯に生成した正孔の酸化力を利用して、種々の化学反応を行うことができる。
即ち、上記のような物質は、励起光照射下において触媒のように用いることができる。そのため、上記のような物質は光触媒と呼ばれており、その最も代表的な例として酸化チタンが知られている。
この光触媒によって促進される化学反応の例としては、種々の有機物の酸化分解反応を挙げることができる。従って、この光触媒を種々の基材の表面に固定化させれば、基材の表面に付着した種々の有機物を、光エネルギーを利用して酸化分解することができることになる。
一方、光触媒に光を照射すると、その光触媒の表面の親水性が高まることが知られている。従って、この光触媒を種々の基材の表面に固定化させれば、光の照射によりその基材の表面の親水性を高めることができるようになる。
近年、上記のような光触媒の特性を、環境浄化、種々の基材の表面への汚れの付着防止や曇りの防止を始めとする、種々の分野に応用するための研究が盛んになってきている。この場合、光触媒を種々の基材の表面に固定化するための方法が非常に重要な役割を担う。
光触媒を固定化する方法については、これまでに種々の提案がなされている。例えば、特許文献1では、光触媒をスパッタリング法により基材の表面に薄膜状にして固定化する方法が開示されている。
それらの方法のうち特に有用な方法の1つとして、光触媒を含む組成物によって基材の表面をコーティングし、光触媒を含む皮膜を形成させることにより、光触媒を基材の表面に固定する方法が注目されている。
この方法によって光触媒の固定化を行う場合、
(1) 光触媒の活性を損なうことなく、光触媒を基材の表面に強固に固定化できること、および
(2) 形成される皮膜およびその皮膜によって被覆された基材が、光触媒の作用で劣化しないこと
が要求される。
さらに、この方法の適応範囲を広げる上で、
(3) 穏和な条件下(例えば、温度の条件として室温〜100℃程度)で固定化を行うことができること
(4) 形成される皮膜が、透明性、耐久性、耐汚染性、硬度等に優れていることなどが望まれる。
コーティングによって光触媒を固定化する方法については、これまでに種々の提案がなされている。
例えば、特許文献2では、光触媒の前駆体、例えば有機チタネートを含有するゾルを基材の表面に塗布した後、焼成によって光触媒の前駆体をゲル化させ、光触媒に変換すると共に、生成した光触媒を基材の表面に固定化する方法が提案されている。しかしこの方法は、光触媒の微粒子状結晶を基材の表面で生成させる工程を含んでおり、この工程には高温での焼成が必要である。そのため、基材の表面積が広い場合には光触媒の固定化が困難になる、という欠点がある。
特許文献3では、光触媒含有ゾルを使用する(従って光触媒の微粒子状結晶の生成過程を必要としない)方法として、水中に解膠させた酸化チタンゾルを用いて基材の表面をコーティングする方法が提案されている。しかし、酸化チタンゾルは穏和な条件下では成膜性がないため、この方法においても高温度での焼成が必要である。その上、生成する被膜は脆く容易に破壊され、光触媒が基材の表面から脱落してしまうため、光触媒が基材の表面で効果を示すようにすることができなくなる、という欠点があった。
また、光触媒を混合した樹脂塗料を用いて基材の表面をコーティングする方法も提案されている。例えば、特許文献4および特許文献5では、フッ素樹脂やシリコーン樹脂等の、光触媒の作用によって分解されにくい樹脂を塗膜形成要素として含む樹脂塗料に光触媒を混合し、この樹脂塗料を用いて基材の表面をコーティングする方法が提案されている。しかしこれらの方法では、樹脂塗料に対する光触媒の分散性が悪いため、樹脂塗料が白濁してしまう。また、これらの方法によって良好な被膜を得るためには、上記の樹脂の使用量を多くする必要があるが、そのようにするとコーティングによって形成された皮膜の中に光触媒が埋没してしまい、十分な活性を示さないという欠点がある。
これらの欠点を克服するための方法として、特許文献6では、樹脂塗料と、その樹脂塗料を構成する溶剤に対する濡れ性を調整した光触媒粒子を併用する方法が提案されている。即ち、まず基材の表面に樹脂塗料を塗布し、次いでその樹脂塗料が硬化する前に、樹脂塗料の上に光触媒粒子を塗布する方法が提案されている。しかしこの方法では、工程が煩雑な上、均質で透明な塗膜が得られない欠点がある。なおこの特許公報中では、さらに、工程の簡略化を目的として、溶剤に対する濡れ性を調整した光触媒粒子を樹脂塗料中に混合したものを塗布することによりコーティングを行う方法も提案されている。しかし、溶剤に対する濡れ性を調整しただけでは、コーティングによって形成された皮膜の中への光触媒粒子の埋没を阻止することはできず、ほとんどの光触媒粒子が皮膜の中に完全に埋没してしまうので、光触媒粒子が十分な活性を示さないという欠点がある。
すなわち、コーティングによって光触媒を基材の表面に固定化する方法において、上記(1) 〜(4) の条件を全て満足するものは未だ知られていない。
特開昭60−044053号公報 特開昭60−118236号公報 特開平06−278241号公報 特開平07−171408号公報 特開平09−100437号公報 特開平09−314052号公報
かかる状況下において、本発明者は、上記(1) 〜(4) の条件を全て満足する、光触媒を基材の表面に固定化する方法を開発すべく、鋭意研究を行った。
その結果、意外にも、本発明者は、光触媒粒子を、モノオキシジオルガノシラン単位、ジオキシオルガノシラン単位およびジフルオロメチレン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を含む化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物を用いて変性処理することによって得られらる変性光触媒粒子と、該変性光触媒粒子より表面エネルギーが大きい単量体及び/又は樹脂を含む自己傾斜型光触媒組成物を用いて、基材の表面に変性光触媒を含む皮膜を形成させると、上記(1) 〜(4) の条件が全て満足され、変性光触媒が皮膜の中に埋没することもなく、皮膜の表面で十分な効果を示すことを見出した。
また、上記の自己傾斜型光触媒組成物を用いて形成された皮膜、並びに該皮膜およびそれによって被覆された基材からなる機能性複合体、並びに上記の自己傾斜型光触媒組成物を用いて形成された成形体は、その表面において変性光触媒が十分な効果を示すため、表面への汚れの付着や曇りが効果的に防止されることを見出した。
以上の新たな知見に基づき、本発明を完成するに至った。
従って、本発明の主な目的は、基材の表面に、変性光触媒を含む皮膜を形成させて、変性光触媒を、その活性を損なうことなく、穏和な条件下で、基材の表面に強固に固定化することを可能とする変性光触媒粒子、及び変性光触媒粒子と、該変性光触媒粒子より表面エネルギーが大きい単量体及び/又は樹脂を包含する自己傾斜型光触媒組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、表面への汚れの付着や曇りが効果的に防止される皮膜、並びに該皮膜およびそれによって被覆された基材からなる機能性複合体、並びに表面への汚れの付着や曇りが効果的に防止される成形体を提供することにある。 本発明の上記及びその他の諸目的、諸特徴ならびに諸利益は、添付の図面を参照しながら行なう以下の詳細な説明及び請求の範囲の記載から明らかになる。
本発明によれば、光触媒粒子を、下記式(1)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、及び式(3)で表されるジフルオロメチレン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物であって、酸無水物基、ケト基、ヒドラジン残基、環状カーボネート基からなる群より選ばれる少なくとも1つの反応性基及び/又はカルボキシル基及びその塩、リン酸基及びその塩、スルホン酸基及びその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの親水性基を含有する変性剤化合物を用いて脱水素縮合触媒の存在下で変性処理することによって得られる変性光触媒粒子を液体媒体に分散されてなり、該変性光触媒粒子の平均粒子径が体積平均径で800nm以下である変性光触媒粒子含有ゾルが提供される。
−(R1 2 SiO)− (1)
(式中、R1 、R2 は各々独立して水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基を表す)、及
−(CF2 )− (3)
次に、本発明の理解を容易にするために、本発明の基本的所特徴および好ましい態様を列挙する。
1.光触媒粒子を、式(1)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(2)で表されるジオキシオルガノシラン単位、及び式(3)で表されるジフルオロメチレン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物であって、酸無水物基、ケト基、ヒドラジン残基、環状カーボネート基からなる群より選ばれる少なくとも1つの反応性基及び/又はカルボキシル基及びその塩、リン酸基及びその塩、スルホン酸基及びその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの親水性基を含有する変性剤化合物を用いて脱水素縮合触媒の非存在下で変性処理することによって得られることを特徴とする変性光触媒粒子。
−(R12SiO)− (1)
(式中、R1、R2は各々独立して水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基を表す)、
Figure 0004454477
[式中、R1は式(1)で定義した通りである]、及び
−(CF2)− (3)
2.該変性光触媒粒子が液体媒体に分散されてなり、その平均粒子径が体積平均径で800nm以下であることを特徴とする前項1に記載の変性光触媒粒子。 3.該変性剤化合物が、水中で自己乳化性又は溶解性を示す化合物であることを特徴とする前項1又は2に記載の変性光触媒粒子。
4.該変性剤化合物が、少なくとも1つの水素原子が結合した少なくとも1つのケイ素原子を包含する化合物であることを特徴とする前項1〜3のいずれかに記載の変性光触媒粒子。
5. 液体媒体に分散されてなることを特徴とする前項1〜4に記載の変性光触媒粒子。
6. 前項5に記載の変性光触媒粒子を包含することを特徴とする変性光触媒ゾル。
7.前項1〜5のいずれかに記載の変性光触媒粒子と単量体及び/又は樹脂とを含む変性光触媒組成物。
8.該樹脂がシリコーン系樹脂及びフッ素系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする前項7に記載の変性光触媒組成物。
9.該単量体及び/又は樹脂が樹脂塗料であることを特徴とする前項7又は8に記載の変性光触媒組成物。
10.前項1〜5のいずれかに記載の変性光触媒粒子の存在下、ビニル化合物及び加水分解性シラン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を重合することによって製造される変性光触媒組成物。
11.前項1〜5のいずれかに記載の変性光触媒粒子を含む皮膜を基材上に形成して得られる機能性複合体。
12.前項7〜10のいずれかに記載の変性光触媒組成物を成形して得られる成形体。
13.前項7〜10のいずれかに記載の変性光触媒組成物を含む皮膜を基材上に形成して得られる機能性複合体。
14.光照射により親水性あるいは疎水性及び/又は光触媒活性を発現することを特徴とする前項12に記載の成形体。
15.光照射により親水性あるいは疎水性及び/又は光触媒活性を発現することを特徴とする前項11又は13に記載の機能性複合体。
16.光電変換機能を発現することを特徴とする前項12に記載の成形体。
17.光電変換機能を発現することを特徴とする前項11又は13に記載の機能性複合体。
本発明の変性光触媒粒子と、該変性光触媒粒子と単量体及び/又は樹脂とを含む変性光触媒組成物を用いて、基材の表面に変性光触媒を含む皮膜を形成させると、変性光触媒は、その活性を損なうことなく、穏和な条件下で、基材の表面に強固に固定化される上、形成された皮膜や、上記の皮膜によって被覆された基材が変性光触媒の作用で劣化することがない。そのうえ、上記の皮膜は透明性、耐久性、耐汚染性、硬度等に優れているので、種々の基材の表面への汚れの付着防止や曇りの防止等において極めて有用である。
また本発明の機能性複合体および成形体は、その表面において変性光触媒が十分な効果を示すため、表面への汚れの付着や曇りが効果的に防止される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の変性光触媒粒子は、光触媒粒子を、後述する少なくとも1種の変性剤化合物を用いて変性処理することによって得られる。
本発明において変性とは、後述する少なくとも1種の変性剤化合物を、光触媒粒子の表面に固定化することを意味する。上記の変性剤化合物を光触媒粒子の表面への固定化はファン・デル・ワールス力(物理吸着)やクーロン力または化学結合によるものと考えられる。特に、化学結合を利用した変性は、変性剤化合物と光触媒との相互作用が強く、変性剤化合物が光触媒粒子の表面に強固に固定化されるので好ましい。
本発明において使用可能な光触媒の例としては、TiO2 、ZnO、SrTiO3 、CdS、GaP、InP、GaAs、BaTiO3 、BaTiO4 、BaTi49 、K2 NbO3 、Nb25 、Fe23 、Ta25 、K3 Ta3 Si23 、WO3 、SnO2 、Bi23 、BiVO4 、NiO、Cu2 O、SiC、SiO2 、MoS2 、InPb、RuO2 、CeO2 等を挙げることができる。
また、Ti、Nb、Ta、Vから選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物(特開昭62−74452号公報、特開平2−172535号公報、特開平7−24329号公報、特開平8−89799号公報、特開平8−89800号公報、特開平8−89804号公報、特開平8−198061号公報、特開平9−248465号公報、特開平10−99694号公報、特開平10−244165号公報等参照)を用いることもできる。
更に、これらの光触媒に、Pt、Rh、Ru、Nb、Cu、Sn、Ni、Feなどの金属及び/又はこれらの酸化物を添加あるいは固定化したものや、多孔質リン酸カルシウム等で被覆された光触媒(特開平10−244166号公報参照)等を使用することもできる。
これらの光触媒のうち、TiO2 (酸化チタン)は無毒であり、化学的安定性にも優れるため好ましい。酸化チタンには、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型の3つの結晶形が知られているが、これらのうちのいずれを使用してもよい。
上記光触媒の結晶粒子径(1次粒子径)は1〜200nm、であることが好ましく、より好ましくは1〜50nmである。
本発明においては、用いる光触媒の性状が、変性光触媒ゾルの分散安定性、成膜性、及び種々の機能の発現にとって重要な因子となる。本発明においては、以下の理由から、光触媒として光触媒粉体ではなく光触媒ゾルを使用することが変性光触媒ゾルを得るのに最も好ましい方法である。一般に微細な粒子からなる粉体は、単結晶粒子(一次粒子)が強力に凝集した二次粒子を形成するため、無駄にする表面特性が多いが、一次粒子にまで分散させるのは非常に困難である。これに対して、光触媒ゾルの場合、光触媒粒子は溶解せずに一次粒子に近い形で存在しているため表面特性を有効に利用でき、それから生成する変性光触媒ゾルは分散安定性、成膜性等に優れるばかりか、種々の機能を有効に発現するので好ましく使用することができる。本発明に用いる光触媒ゾルにおいては、光触媒粒子は、一次粒子として存在していても一次粒子と二次粒子との混合物として存在していてもよいが、通常は一次粒子と二次粒子との混合物として存在している。
本発明で好適に使用できる光触媒ゾルとしては、平均粒子径が、体積平均粒子径で400nm以下のものが変性後の光触媒の表面特性を有効に利用できるために望ましい。
また平均粒子径が、体積平均粒子径で、200nm以下の光触媒ゾルを使用した場合、生成する変性光触媒ゾルからは透明な被膜を得ることができるため非常に好ましい。より好ましくは平均粒子径が、体積平均粒子径で、1〜100nm、さらに好ましくは3〜20nmの光触媒ゾルが好適に使用される。
該光触媒ゾルとして酸化チタンのゾルを例にとると、例えば実質的に水を分散媒とし、その中に酸化チタン粒子が解膠された酸化チタンヒドロゾル等を挙げることができる。(ここで、実質的に水を分散媒とするとは、分散媒中に水が80%程度以上含有されていることを意味する。)かかるゾルの調整は公知であり、容易に製造できる(特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等参照)。例えば、硫酸チタンや四塩化チタンの水溶液を加熱加水分解して生成したメタチタン酸をアンモニア水で中和し、析出した含水酸化チタンを濾別、洗浄、脱水させると酸化チタン粒子の凝集物が得られる。この凝集物を、硝酸、塩酸、又はアンモニア等の作用の下に解膠させ水熱処理等を行うことにより酸化チタンヒドロゾルが得られる。また、酸化チタンヒドロゾルとしては、酸化チタン粒子を酸やアルカリの作用の下で解膠させたものや、酸やアルカリを使用せず、必要に応じてポリアクリル酸ソーダなどの分散安定剤を使用し、強力なせん断力の下で水中に分散させたゾルも用いることができる。さらに、pHが中性付近の水溶液中においても分散安定性に優れる、粒子表面がペルオキソ基で修飾されたアナターゼ型酸化チタンゾルも特開平10−67516号公報で提案された方法によって容易に得ることができる。
上述した酸化チタンヒドロゾルはチタニアゾルとして市販されている。(例えば、石原産業株式会社製「STS−02」、田中転写株式会社製「TO−240」等)
上記酸化チタンヒドロゾル中の固形分は50重量%以下、好ましくは30重量%以下である。さらに好ましくは30重量%以下0.1重量%以上である。このようなヒドロゾルの粘度(20℃)は比較的低い。本発明においては、ヒドロゾルの粘度は、2000cps〜0.5cps程度の範囲にあればよい。好ましくは1000cps〜1cps、さらに好ましくは500cps〜1cpsである。
また、例えば酸化セリウムゾル(特開平8−59235号公報参照)やTi、Nb、Ta、Vよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物のゾル(特開平9−25123号公報、特開平9−67124号公報、特開平9−227122号公報、特開平9−227123号公報、特開平10−259023号公報等参照)等、様々な光触媒ゾルの製造方法についても酸化チタンゾルと同様に知られている。
また、上述した光触媒ゾルを用いると、これをそのまま上記の変成剤化合物で変性することによって、本発明の変性光触媒ゾルを直接に得ることができるので好ましい。
本発明において用いられる少なくとも1種の変性剤化合物は、下記式(1)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、下記式(2)で表されるジオキシオルガノシラン単位、及び下記式(3)で表されるジフルオロメチレン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる。
−(R12 SiO)− (1)
(式中、R1 、R2 は各々独立して水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基を表す)、
Figure 0004454477
[式中、R1 は式(1)で定義した通りである]、及び
−(CF2 )− (3)
変成剤化合物として、式(1)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位及び/又は式(2)で表されるジオキシオルガノシラン単位を有する化合物を用いた場合、本発明の変性光触媒ゾルまたは後述する本発明の変性光触媒組成物を用いて皮膜を形成するか、もしくは本発明の変性光触媒組成物を用いて成形体を形成すると、励起光照射により励起された変性光触媒は形成された皮膜や成形体の表面において種々な活性を示す。更に、変性光触媒粒子の近傍に存在する式(1)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位及び/又は式(2)で表されるジオキシオルガノシラン単位中のR1 およびR2 は、変性光触媒の作用により水酸基に置換される。その結果、上記の皮膜や成形体の表面の親水性が高まると共に、生成した水酸基同士の脱水縮合反応が進行することにより、上記の皮膜や成形体の硬度が非常に高くなる。
また、式(3)で表されるジフルオロメチレン単位を有する変成剤化合物を用いた場合、本発明の変性光触媒ゾルまたは後述する本発明の変性光触媒組成物からは、光触媒活性を有する、非常に疎水性の高い皮膜や成形体を得ることが可能となる。
本発明において用いる変性剤化合物は分光増感基を含有することが好ましい。 分光増感基とは、可視光領域及び/又は赤外光領域に吸収を持つ種々の金属錯体や有機色素(即ち、増感色素)に由来する基を意味する。分光増感基を有する変成剤化合物を用いると、本発明の変性光触媒ゾルは紫外線領域だけでなく、可視光領域及び/又は赤外光領域の光の照射によっても触媒活性や光電変換機能を発現することができる。
増感色素としては、例えばキサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、ローダシアニン系色素、スチリル系色素、ヘミシアニン系色素、フタロシアニン系色素(金属錯体を含む)、ポルフィリン系色素(金属錯体を含む)、トリフェニルメタン系色素、ペリレン系色素、コロネン系色素、アゾ系色素、ニトロフェノール系色素、さらには特開平1−220380号公報や特表平5−504023号公報に記載のルテニウム、オスミウム、鉄、亜鉛の錯体や、他にルテニウムレッド等の金属錯体を挙げることができる。
これらの増感色素の中で、400nm以上の波長領域で吸収を持ち、かつ最低空軌道のエネルギー準位(励起状態の酸化還元電位)が光触媒の伝導帯のエネルギー準位より高いという特徴を有するものが好ましい。このような増感色素の特徴は、赤外・可視・紫外領域における光の吸収スペクトルの測定、電気化学的方法による酸化還元電位の測定(T.Tani, Photogr. Sci. Eng., 14, 72 (1970); R.W.Berriman et al., ibid., 17. 235 (1973); P.B.Gilman Jr., ibid., 18, 475 (1974) 等) 、分子軌道法を用いたエネルギー準位の算定(T.Tani et al., Photogr. Sci. Eng., 11, 129 (1967); D.M.Sturmer et al., ibid., 17. 146 (1973); ibid., 18, 49 (1974); R.G.Selby et al., J. Opt. Soc. Am., 33, 1 (1970) 等) 、更には光触媒と増感色素によって作成したGratzel 型湿式太陽電池の光照射による起電力の有無や効率等によって確認することができる。
上記の特徴を有する増感色素の例としては、9−フェニルキサンテン骨格を有する化合物、2,2’−ビピリジン誘導体を配位子として含むルテニウム錯体、ペリレン骨格を有する化合物、フタロシアニン系金属錯体、ポルフィリン系金属錯体等を挙げることができる。
上記の増感色素に由来する分光増感基を有する変成剤化合物を得る方法には特に限定はないが、後述する反応性基を有する変成剤化合物と、この反応性基と反応性を有する増感色素を反応させることによって得ることができる。
また、本発明において用いる変性剤化合物は、エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、エステル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの反応性基を含有することが好ましい。
上記反応性基を有する変性剤化合物を用いて得られた変性光触媒ゾルは架橋性を有し、耐久性等に優れた皮膜を形成することができるので好ましい。
また、上記反応性基として式(6)で表されるヒドラジン残基及び/又はケト基を有する変成剤化合物を用いた場合、本発明の変性光触媒ゾルは低温硬化性と貯蔵安定性を兼ね備え、耐水性、耐汚染性、硬度等に優れた被膜を形成するのに有用なヒドラゾン(セミカルバゾン)架橋が可能となるため、特に好ましい。
−NR12NH2 (6)
(式中、R12は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
また、本発明で用いる変性剤化合物は、水中で自己乳化性又は溶解性を示す化合物であることが好ましい。そのような変成剤化合物は、親水性基を導入することによって得ることができる。親水性基の例としては、カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基が挙げられる。親水性基を有する変成剤化合物を用いると、得られる変性光触媒の水に対する分散安定性が非常に良好なものとなるため、本発明の体積平均粒子径が800nm以下の変性光触媒ゾル(ヒドロゾル)を容易に得ることができるので好ましい。
ここで、上記親水性基を含有する基の好ましい具体例として、例えば式(7)で表されるポリオキシエチレン基を含有する基や式(8)で表されるスルホン酸基あるいはその塩を含有する基、さらには式(9)で表されるカルボキシル基あるいはその塩を含有する基等を挙げることができる。
−CH2 CH2 CH2 O(CH2 CH2 O)m 7 (7)
(式中、mは1〜1000の整数を表す。R7 は、水素原子或いは直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基を表す。)
Figure 0004454477
[式中、nは1〜100の整数を表す。R8 は、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基を表す。Bは、水素原子、アルカリ金属、下記式で表されるアンモニウム又は置換アンモニウムを表す。
HNR91011
(R9 、R10、R11は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていないか或いは水酸基で置換されている直鎖状または分岐状の炭素数1〜20のアルキル基を表す。)]
Figure 0004454477
[式中、Bは各々独立して、水素原子、アルカリ金属、下記式で表されるアンモニウム又は置換アンモニウムを表す。
HNR91011
(R9 、R10、R11は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていないか或いは水酸基で置換されている直鎖状または分岐状の炭素数1〜20のアルキル基を表す。)]
本発明の変性光触媒ゾルを得るのに使用される上式(1)及び/又は上式(2)で表される構造単位を有する変成剤化合物としては、例えば後述するSi−H基、加水分解性シリル基(アルコキシシリル基、ヒドロキシシリル基、ハロゲン化シリル基、アセトキシシリル基、アミノキシシリル基等)、エポキシ基、アセトアセチル基、チオール基、酸無水物基等の光触媒粒子と化学結合の生成が期待できる反応性基を有するケイ素化合物やポリオキシアルキレン基等の光触媒粒子との親和性が期待できる親水性基を有するケイ素化合物等を挙げることができる。
これらの例としては、例えば平均組成式(4)で表される少なくとも1つの水素原子が結合した少なくとも1つのケイ素原子を包含する化合物(以下、屡々「Si−H基含有ケイ素化合物」と称す)や該Si−H基含有ケイ素化合物と下記式(5' )で表されるビニルシリコーン化合物とを反応させた生成物、さらには平均組成式(10)で表される加水分解性シリル基含有ケイ素化合物を挙げることができる。
p q r s SiO(4-p-q-r-s)/2 (4)
[式中、Rは、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素基を表し、Qは、
(1) 直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1 つの置換基で置換されている炭素数6〜20のアリール基、及び炭素数1〜30のフルオロアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの疎水性基、
(2) カルボキシル基及びその塩、リン酸基及びその塩、スルホン酸基及びその塩、及びポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの親水性基、
(3) エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、酸無水物基、ケト基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、及びエステル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの反応性基、及び
(4) 少なくとも1つの分光増感基、
からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基を表し、
Xは、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、ヒドロキシイミノ基、エノキシ基、アミノ基、アミド基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの加水分解性基を表し、0<p<4、0<q<4、0≦r<4、0≦s<2、
及び(p+q+r+s)<4である。]
CH2=CH-(R1R1SiO)e -(R1R1Si)-CH=CH2 (5' )
(式中、R1 は直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基から選ばれた1種もしくは2種以上からなる炭化水素基を表す。eは1以上10000以下の整数を表す。)
q X’s SiO(4-q-s)/2 (10)
(式中、Rは、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素基を表し、
X’は、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、エノキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基からなる群より選ばれる少なくとも1つの加水分解性基を表し、
0<q<4、0<s<4、及び0<(q+s)≦4である。)
また、本発明の変性光触媒粒子を得るのに使用される上式(3)で表される構造単位を有する化合物としては、例えばSi−H基、加水分解性シリル基(アルコキシシリル基、ヒドロキシシリル基、ハロゲン化シリル基、アセトキシシリル基、アミノキシシリル基等)、エポキシ基、アセトアセチル基、チオール基、酸無水物基等の光触媒粒子と化学結合の生成が期待できる反応性基やポリオキシアルキレン基等の光触媒粒子との親和性が期待できる親水性基を有する、炭素数1〜30のフルオロアルキル化合物や数平均分子量100〜1,000,000のフルオロアルキレン化合物を挙げることができる。
具体的には、式(11)で表されるフルオロアルキル化合物、及び式(12)で表されるフルオロオレフィン重合体が挙げられる。
CF3 (CF2g −Y−(V)w (11)
〔式中、gは0〜29の整数を表す。Yは分子量14〜50000のw価の有機基を表す。wは1〜20の整数である。
Vは、エポキシ基、水酸基、アセトアセチル基、チオール基、酸無水物基、カルボキシル基、スルホン酸基、ポリオキシアルキレン基、及び下式で表される基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を表す。
−SiWx y
(式中、Wは炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、炭素数1〜20のアシロキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のオキシム基、エノキシ基、アミノキシ基、アミド基から選ばれた少なくとも1種の基を表す。
Rは、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び置換されていないか或いは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基から選ばれる少なくとも1種の炭化水素基を表す。
xは1以上3以下の整数であり、yは0以上2以下の整数である。また、(x+y)=3である。)〕
Figure 0004454477
(式中、A1 〜A5 は同一でも異なっていても良く、それぞれフッ素原子、水素原子、塩素原子、炭素数1〜6のアルキル基、及び炭素数1〜6のハロ置換アルキル基から選ばれる1種を示す。
mは10以上1, 000, 000以下の整数であり、nは0以上1, 000, 000以下の整数を表す。
Yは分子量14〜50, 000のw価の有機基を表す。wは1〜20の整数である。Vは、式(11)で定義した通り。)
これらの具体的な例としては、例えば2−パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシラン類、ナフィオン樹脂、クロロトリフルオロエチレンやテトラフルオロエチレン等のフルオロオレフィン類とエポキシ基、水酸基、カルボキシル基、アセトアセチル基、チオール基、環状酸無水物基、スルホン酸基、ポリオキシアルキレン基等を有するモノマー類(ビニルエーテル、ビニルエステル、アリル化合物等)との共重合体等を挙げることができる。
さらに、本発明の変性光触媒粒子を得るのに使用される上式(1)及び/又は上式(2)と上式(3)で表される構造単位を有する変成剤化合物としては、例えばフルオロアルキル基とSi−H基、加水分解性シリル基(アルコキシシリル基、ヒドロキシシリル基、ハロゲン化シリル基、アセトキシシリル基、アミノキシシリル基等)、エポキシ基、アセトアセチル基、チオール基、酸無水物基等の光触媒粒子と化学結合の生成が期待できる反応性基を有するケイ素化合物等を挙げることができる。
本発明の変性光触媒粒子を含有する変性光触媒ゾルは、水及び/又は有機溶媒中において、前述した光触媒(A)と、同じく前述した変性剤化合物(B)とを、固形分重量比(A)/(B)=0.001〜10, 000、好ましくは(A)/(B)=0.1〜1, 000の割合で混合し、0〜200℃、好ましくは10〜80℃にて加熱したり、(減圧)蒸留等により該混合物の溶媒組成を変化させる等の操作をすることにより得ることができる。
ここで上記変性を行う場合、使用できる有機溶媒としては、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、アセトン、メチルエチルケトン、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、エタノール、メタノール等の親水性有機溶媒、及びトルエン、キシレン、ヘキサン等の疎水性有機溶媒が挙げられる。
本発明の変性光触媒粒子は、水及び/又は有機溶媒の非存在下において、光触媒粉体を、前述した変成剤化合物で変性した後、水及び/又は有機溶媒に分散させることによっても得ることができるが、この場合、光触媒の一次粒子の状態での変性は非常に困難であり、また生成する変性光触媒ゾルの体積平均分散粒子径も小さくできず不安定となるため好ましくない。
本発明の変性光触媒粒子を含有する変性光触媒ゾルを得るのに好ましい方法は、体積平均粒子径200nm以下、好ましくは体積平均粒子径が1〜100nmの光触媒(A)粒子を含む光触媒ゾルを使用し、変成剤化合物で前述した方法により変性する方法である。このような体積平均粒子径が比較的小さい光触媒粒子を含む光触媒ゾルは、例えば、光触媒として酸化チタンを例にとると、含水酸化チタンを塩酸、硝酸、アンモニア等の存在下で解膠させて、水熱処理をすることによって光触媒ゾルを得る際に、例えば、水熱処理の時間を調節することによって得ることができる。その際、水熱処理時間が短いほど体積平均粒子径の小さいものが得られる。
また、上記光触媒ゾルを変性剤化合物で変性する際、前述した変性の操作による光触媒部分の凝集が少ない(好ましくは無い)変性が特に好ましい。このような変性は例えば、上記のSi−H基含有化合物を変性剤化合物として用いることで行うことができる。
すなわち、本発明の変性光触媒粒子として好ましい形態は、体積平均粒子径が800nm以下である分散粒子が、光触媒部分を有し、該光触媒部分の体積平均粒子径が200nm以下のものである。(この様な形態は、例えば0.01重量%以下に希釈した変性光触媒ゾルから作成したサンプルのTEM観察等によって確認できる。)さらに、この様な形態が長期に持続する変性光触媒ゾル(例えば、30℃で100日の静置保存によっても体積平均粒子径が800nm以下を保つ等)は、それから得られる皮膜の物性等が安定しており、非常に好ましい。
この様な変性光触媒粒子を得るのに有用な変成剤化合物としては、例えば前述したSi−H基含有ケイ素化合物を挙げることができる。
本発明において、光触媒の変性に用いる変性剤化合物として、例えば上記平均組成式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物を選択した場合、上記変性の操作により混合液からは水素ガスが発生すると共に、光触媒粒子の変性に伴う体積平均粒子径の増加(光触媒粒子表面への変性剤化合物の固定化による体積平均粒子径の増加)が観察される。また、例えば光触媒として酸化チタンを用いた場合、上記変性の操作により、Ti−OH基の減少がIRスペクトルにおける3630〜3640cm-1の吸収の減少として観測される。
これらのことより、変成剤化合物としてSi−H基含有ケイ素化合物を選択した場合は、本発明の変性光触媒ゾルは、光触媒とSi−H基含有ケイ素化合物の単なる混合物ではなく、化学結合等の何らかの相互作用をもったものであることが予測できるため非常に好ましい。実際、この様にして得られた変性光触媒ゾルは、分散安定性や化学的安定性、耐久性等が非常に優れた物となる。
上記平均組成式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物の例としては、例えば下記式(5)で表されるSi−H基含有化合物等を挙げることができる。(R1 HSiO)a (R1 2SiO)b (R1 QSiO)c (R1 3SiO1/2d (5)
[式中、R1 は式(1)で定義した通りであり、Qは式(4)で定義した通りであり、aは1以上の整数であり、b、cは0又は1以上の整数であり、(a+b+c)≦10000であり、そしてdは0又は2であり、但し、(a+b+c)が2以上の整数であり且つd=0の場合、式(5)で表される化合物は環状シリコーン化合物であり、d=2の場合、式(5)で表される化合物は鎖状シリコーン化合物である。]
上記平均組成式(4)のSi−H基含有ケイ素化合物の他の例として、分子中に下記一般式(4’)で表される繰り返し単位、下記一般式(4’’)で表される繰り返し単位、末端基Aを各々有し、該末端基Aが1つの酸素原子を介して繰り返し単位中の珪素原子に結合しているシリコーン化合物等も挙げることができる。
Figure 0004454477
[式(4’)及び式(4’’)において、R3 は水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基から選ばれた1種もしくは2種以上からなる炭化水素基、又は下記(1) 〜(4) の機能性付与基を有する基である。
(1) 直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基、及び炭素数1〜30のフルオロアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの疎水性基。
(2) カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
(3) エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
(4) 少なくとも1つの分光増感基。
Aは、−SiR456 (R4 、R5 、R6 は同じであっても異なっていてもよく、水素原子または直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基から選ばれた炭化水素基を表す。)、水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基からなる群から選ばれた少なくとも1つの基を表す。
また、式(4’)及び式(4’’)で表される繰り返し単位を有する化合物は、少なくとも1個のSi−H基を有する。]
上記、分子中に式(4’)で表される繰り返し単位、式(4’’)で表される繰り返し単位、末端基Aを各々有し、該末端基Aが1つの酸素原子を介して繰り返し単位中の珪素原子に結合しているシリコーン化合物は、例えばジオキサン等の溶媒中で、トリクロロシラン及び/又はオルガノトリクロロシラン(必要に応じ、さらにジオルガノジクロロシラン)と水を反応させて加水分解縮重合し、その後アルコール及び/又は式(13)で表されるシリル化剤と反応させた後、必要に応じ後述するヒドロシリル化反応により機能性付与基を導入することによって得られる。
Z−SiR456 (13)
(R4 、R5 、R6 は同じであっても異なっていてもよく、水素原子または直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基から選ばれた炭化水素基を表す。Zはハロゲン原子又は水酸基を表す。)
本発明の平均組成式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物において、Si−H基は光触媒を穏和な条件で選択性良く変性するための必須の官能基である。これに対し、平均組成式(4)中の加水分解性基Xは、同様に光触媒の変性に利用することもできるが、副反応が多く、得られる変性光触媒ゾルの安定性を悪くするため、その含有量は少ない方が好ましい。上記平均組成式(4)のより好ましい形態は、加水分解性基Xを実質的に含まない系である。
また、上記平均組成式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物として、機能性付与基含有基(Q)を有するものを選択すると、本発明で得られる変性光触媒ゾルに種々の機能を付与できるため好ましい。機能性付与基含有基(Q)は下記式で表される基であることが好ましい。
−Y−(Z)w
(式中、Yは分子量14〜50,000のW価の有機基を表し、Zは上記機能性付与基(1)〜(4)からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、Wは1〜20の整数である。)
例えば機能性付与基含有基(Q)として、カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基(式(4)中の(2) )を有する基を選択すると、得られる変性光触媒の水に対する分散安定性が非常に良好なものとなるため、本発明の体積平均分散粒子径が800nm以下の変性光触媒ゾル(ヒドロゾル)を容易に得ることができるので好ましい。
ここで、上記親水性基の好ましい具体例として、例えば上記式(7)で表されるポリオキシエチレン基や上記式(8)で表されるスルホン酸基あるいはその塩、さらには上記式(9)で表されるカルボキシル基あるいはその塩等を挙げることができる。
また、例えば機能性付与基含有基(Q)として、疎水性基である炭素数1〜30のフルオロアルキル基を有する基を選択すると(この場合平均組成式(4)は式(1)及び/又は式(2)と式(3)の構造単位を有する化合物となる)、得られる変性光触媒は表面エネルギーの非常に小さいものとなり、本発明の変性光触媒ゾルは後述する自己傾斜性が大きくなるばかりか、非常に疎水性の高い皮膜を得ることも可能となるものとなる。
また、例えば機能性付与基含有基(Q)として、エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基(式(4)中の(3) )を含有する基を選択すると本発明の変性光触媒ゾルは架橋性を有し、耐久性等に優れた被膜を形成することができるので好ましい。
ここで、上記反応性基として上記式(6)で表されるヒドラジン残基を含む1価の基及び/又はケト基を含む1価の基を有するものを選択した場合、本発明の変性光触媒ゾルは低温硬化性と貯蔵安定性を兼ね備え、耐水性、耐汚染性、硬度等に優れた被膜を形成するのに有用なヒドラゾン(セミカルバゾン)架橋が可能となるため、特に好ましい。
また、例えば機能性付与基含有基(Q)として、上記した分光増感基(式(4)中の(4) )を有するものを選択すると、本発明の変性光触媒ゾルは、紫外線領域だけでなく、可視光領域及び/又は赤外光領域の光の照射によっても触媒活性や光電変換機能を発現することができる。
上記機能性付与基含有基(Q)は、上述したものから少なくとも1種以上を選択して用いることができる。特に、変性する光触媒として光触媒ヒドロゾルを選択した場合、親水性基(式(4)中の(2) )と他の機能性付与基(式(4)中の(1) 、(3) 、(4) )を併用した系は、生成する機能性付与基を有する変性光触媒ゾルの安定性が良好となるため好ましい。
本発明において、上述した平均組成式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物であって、機能性付与基含有基(Q)を有するもの(下記平均組成式(4a))を得る方法としては、
(a)下記平均組成式(14)で表されるSi−H基含有化合物と、機能性付与基(式(4)中の(1) 〜(4) )を有する炭素−炭素不飽和結合化合物をヒドロシリル化反応させる方法、
(b)下記平均組成式(14)で表されるSi−H基含有化合物と、反応性基(式(4)中の(3))を有する炭素−炭素不飽和結合化合物をヒドロシリル化反応させて反応性基を有するSi−H基含有化合物を得た後、該反応性基と反応性を有する機能性付与基含有化合物を反応させる方法が挙げられる。
p q r s SiO(4-p-q-r-s)/2 (4a)
(式中、R、Q、及びXは式(4)で定義した通り。0<p<4、0<q<4、0<r<4、0≦s<2であり、(p+q+r+s)<4である。)
(p+r) q s SiO(4-p-q-r-s)/2 (14)
(式中、R及びXは式(4)で定義した通り。0<p<4、0<q<4、0<r<4、0≦s<2であり、(p+q+r+s)<4である。)
まず、機能性付与基を有するSi−H基含有ケイ素化合物を得る方法として、上述した(a)の方法(以下(a)−方法)について説明する。
(a)−方法において、上記式(14)で表されるSi−H基含有化合物に、機能性付与基として直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基から選ばれた疎水性基を導入する場合に用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−ヘキセン、シクロヘキセン、5−ノルボルネンの如きオレフィン類、酢酸アリル、プロピオン酸アリル、2−エチルヘキサン酸アリル、安息香酸 アリル等のアリルエステル類、アリルメチルエーテル、アリルエチルエーテル、アリル−n−ヘキシルエーテル、アリルシクロヘキシルエーテル、アリル−2−エチルヘキシルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸エステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、スチレン、(メタ)アクリロニトリル、クロトン酸エステル類等の炭素−炭素不飽和結合化合物等が挙げられる。これらのうち、末端オレフィン類、5−ノルボルネン類、アリルエステル類、アリルエーテル類が反応性の面で好ましい。
上記式(14)で表されるSi−H基含有化合物に、機能性付与基として炭素数1〜30のフルオロアルキル基を導入する場合に用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、例えば式(15)で表されるパーフルオロアルキル基を有するオレフィン類、アリルエーテル類、アリルエステル類、ビニルエーテル類、(メタ)アクリル酸エステル類等を用いることができる。
−(CF2g CF3 (15)
(式中、gは0〜29の整数を表す。)
上記式(14)で表されるSi−H基含有化合物に親水性基を導入するのに用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基、環状酸無水物からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基を有するオレフィン類、アリルエーテル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン誘導体等が挙げられる。
上記親水性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の好ましい具体例として、例えば式(16)で表されるポリオキシエチレン基含有アリルエーテルや式(17)で表されるスルホン酸基あるいはその塩を含む1価の基を有するアリルエーテル、さらには5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物等を挙げることができる。
CH2 =CHCH2 O(CH2 CH2 O)m 7 (16)
(式中、mは1〜1、000の整数を表す。R7 は、水素原子或いは直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基を表す。)
Figure 0004454477
(式中、nは1〜100の整数を表す。R8 は、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基を表す。
Bは、水素原子、アルカリ金属、下記式で表されるアンモニウム又は置換アンモニウムを表す。
HNR91011
(R9 、R10、R11は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていないか或いは水酸基で置換されている直鎖状または分岐状の炭素数1〜20のアルキル基を表す。))
また、上記式(14)で表されるSi−H基含有化合物に反応性基を導入するのに用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1種の反応性基を有するオレフィン類、アリルエーテル類、アリルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン誘導体等が挙げられる。
上記反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の好ましい具体例として、例えばアリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリル、ジアリルエーテル、ジアリルフタレート、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、エチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、5−ヘキセン−2−オン、アリルイソシアネート、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、アリルアミン、アリルイソチオシアネート、アリルセミカルバジド、(メタ)アクリル酸ヒドラジド、4−アリルオキシメチル−2−オキソ−1,3−ジオキソラン等を挙げることができる。
また、上記式(14)で表されるSi−H基含有化合物に分光増感基を導入するのに用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、前述した分光増感基を有するオレフィン類、アリルエーテル類、アリルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン誘導体等が挙げられる。これらは、例えば前述した反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物と、該反応性基と反応性を有する増感色素との反応によって容易に得ることができる。
例えば、反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の反応性基がエポキシ基、(環状)酸無水物、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基、ケト基、(メタ)アクリロイル基の場合は、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、ヒドラジン残基、(メタ)アクリロイル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を有する増感色素であり、逆に反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の反応性基がアミノ基、カルボキシル基、水酸基、ヒドラジン残基、(メタ)アクリロイル基の場合は、エポキシ基、(環状)酸無水物、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基、ケト基、(メタ)アクリロイル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を有する増感色素が挙げられる。
上記反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物とそれに反応性を有する増感色素との反応は、各々の反応性基の種類に応じた反応温度、反応圧力、溶媒等の反応条件を選択して実施できる。その際、増感色素の安定性の点から、反応温度としては300℃以下が好ましく、150℃以下0℃以上がさらに好ましい。 (a)−方法において、上記炭素−炭素不飽和結合化合物と上記平均組成式(14)で表されるSi−H基含有化合物のヒドロシリル化反応は、好ましくは触媒の存在下、有機溶媒の存在下あるいは非存在下において0〜200℃で炭素−炭素不飽和結合化合物と平均組成式(14)で表されるSi−H基含有化合物を接触させることにより行うことができる。
ヒドロシリル化反応の触媒としては、白金族触媒、すなわちルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の化合物が適しているが、特に白金の化合物とパラジウムの化合物が好適である。白金の化合物としては、例えば塩化白金(II)、テトラクロロ白金(II)酸、塩化白金(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)酸、ヘキサクロロ白金(IV)酸アンモニウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸カリウム、水酸化白金(II)、二酸化白金(IV)、ジクロロ−ジシクロペンタジエニル−白金(II)、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−オレフィン錯体や白金の単体、アルミナやシリカや活性炭に固体白金を担持させたものが挙げられる。パラジウムの化合物としては、例えば塩化パラジウム(II)、酸化パラジウム(II)等が挙げられる。 また、ヒドロシリル化反応に使用できる有機溶媒としては、例えばトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等やこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
次に、機能性付与基を有するSi−H基含有ケイ素化合物を得る方法として、上述した(b)の方法(以下(b)−方法)について説明する。
(b)−方法において使用される反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物としては、(a)−方法において述べたものを挙げることができる。また、上記平均組成式(14)で表されるSi−H基含有化合物と該反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物とのヒドロシリル化反応は、(a)−方法で述べたヒドロシリル化反応と同じ条件で実施することができる。
(b)−方法によると、上記ヒドロシリル化反応によって下記式(18)で表される平均組成を有する、反応性基を有するSi−H基含有ケイ素化合物を得ることができる。
p q 3 r s SiO(4-p-q-r-s)/2 (18)
(式中、R及びXは式(4)で定義した通りであり、Q3 は、エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、酸無水物基、ケト基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基を有する1価の基を表し、0<p<4、0<q<4、0≦r<4、0≦s<2であり、(p+q+r+s)<4である。)
また、上記(b)−方法において、反応性基を有するSi−H基含有ケイ素化合物 [平均組成式(18)] と反応性を有する機能性付与基含有化合物としては、例えば、反応性基を有するSi−H基含有ケイ素化合物の該反応性基がエポキシ基、酸無水物、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基、ケト基、(メタ)アクリロイル基の場合は、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、ヒドラジン残基、(メタ)アクリロイル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を有する機能性付与基含有化合物であり、逆に該反応性基がアミノ基、カルボキシル基、水酸基、ヒドラジン残基、(メタ)アクリロイル基の場合は、エポキシ基、酸無水物、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基、ケト基、(メタ)アクリロイル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を有する機能性付与基含有化合物が挙げられる。ここで、機能性付与基含有基とは上述した平均組成式(4)中における機能性付与基含有基(Q)と同様である。
上記平均組成式(18)で表される反応性基を有するSi−H基含有ケイ素化合物とそれに反応性を有する機能性付与基含有化合物との反応は、各々の反応性基の種類に応じた反応温度、反応圧力、溶媒等の反応条件を選択して実施できる。その際、Si−H基の安定性の点から、反応温度としては300℃以下が好ましく、150℃以下0℃以上がさらに好ましい。
本発明の変性光触媒ゾルにおいて、上述した機能性付与基を有する変性光触媒ゾルを得る方法としては、
(I)光触媒ゾルを、上記平均組成式(4a)で表される機能性付与基を有するSi−H基含有化合物を用い、前述した方法で変性する方法、
(II)光触媒ゾルを、上記平均組成式(18)で表される反応性基を有するSi−H基含有ケイ素化合物で変性した後、同じく前述した該反応性基と反応性を有する機能性付与基含有化合物を反応させる方法を挙げることができる。
ここで、(II)の方法において反応性基を有するSi−H基含有ケイ素化合物で変性された光触媒ゾルと該反応性基と反応性を有する機能性付与基含有化合物との反応は、前述した(b)−方法における反応性基を有するSi−H基含有ケイ素化合物と該反応性基と反応性を有する機能性付与基含有化合物との反応と同様に行うことができる。
ところで、上述した平均組成式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物による光触媒の変性は、Si−H基に対し脱水素縮合触媒として働く物質が光触媒に固定された状態において0〜100℃で実施するのがより好ましい。
この場合、あらかじめ光還元法等の方法で脱水素縮合触媒として働く物質を光触媒に固定し、Si−H基含有ケイ素化合物で変性しても良いし、脱水素縮合触媒として働く物質の存在下にSi−H基含有ケイ素化合物で光触媒を変性しても良い。後者の場合、脱水素縮合触媒として働く物質は物理吸着や光還元によって光触媒に固定されSi−H基含有ケイ素化合物で変性されることになる。
ここでSi−H基に対し脱水素縮合触媒として働く物質とは、Si−H基と光触媒表面に存在する水酸基(酸化チタンの場合はTi−OH基)やチオール基、アミノ基、カルボキシル基等の活性水素基、さらには水等との脱水素縮合反応を加速する物質を意味し、該脱水素縮合触媒として働く物質を光触媒に固定化することにより温和な条件で選択的に光触媒表面を変性することが可能となる。
該Si−H基に対し脱水素縮合触媒として働く物質としては、例えば白金族触媒、すなわちルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の単体及びその化合物や、銀、鉄、銅、コバルト、ニッケル、錫等の単体及びその化合物が挙げられる。これらの中で白金族触媒が好ましく、白金の単体及びその化合物が特に好ましい。
以下、白金を光触媒ゾルに光還元法で変性する方法を例にとって説明する。
まず、白金溶液を光触媒ゾル溶液に固形分として0.001〜5重量%を添加する。ここで白金溶液のpHを光触媒ゾル溶液とほぼ同じにし、光触媒ゾルの溶液中のゼータ電位をなるべく変化させないようにすることにより、光触媒ゾルの単分散性を維持することが好ましい。
ここで白金溶液とは白金を含む塩と溶媒からなる溶液をいう。白金を含む塩としては、例えば塩化白金(II)、テトラクロロ白金(II)酸、塩化白金(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)酸、ヘキサクロロ白金(IV)酸アンモニウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸カリウム、水酸化白金(II)、二酸化白金(IV)、ジクロロ−ジシクロペンタジエニル−白金(II)、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−オレフィン錯体等を使用することができる。また溶媒としては水、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン等が使用できる。白金溶液における、白金を含む塩の濃度は、0.001〜80重量%が好ましい。
次に光触媒ゾル溶液と白金塩溶液との混合物を攪拌しながら、光触媒に電子と正孔を生成させることが可能な波長の光(好ましくは紫外線を含む光)を照射する。ここで光を照射する光源は、例えば紫外線ランプ、BLBランプ、キセノンランプ、水銀灯、蛍光灯などが挙げられる。
光の照射方法も基本的には問わないが、容器として透明のものを用いる場合でも容器の壁面が光を吸収するため、容器の開口部から光を照射するほうがよい。 光源と容器との距離は数cm〜数10cm程度がよい。近すぎると光源から発する熱により試料溶液の上面が乾くおそれがあり、遠すぎると照度が低下するからである。照射時間は光源の照度により異なるが数秒〜数10分程度照射すれば白金が光触媒粒子に強固に付着する。
本発明の変性光触媒粒子を含有する変性光触媒ゾルは、変性光触媒が水及び/又は有機溶媒に安定性良く分散したものである。
本発明の変性光触媒粒子を含有する変性光触媒ゾルにおける変性光触媒粒子の平均粒子径は、体積平均粒子径で、800nm以下である。なお、この平均粒子径は、変性光触媒ゾル中に分散している状態における平均粒子径を指すものであり、変性光触媒ゾル中から分離された状態における平均粒子径ではない。
変性光触媒粒子の平均粒子径が800nmより大きいと、該変性光触媒ゾルの分散安定性が悪く、変性光触媒ゾル自体はもとより、変性光触媒ゾルと樹脂とを包含する変性光触媒組成物でさえコーティング剤として用いることができない。 本発明において、変性光触媒ゾルの分散安定性をさらに優れたものにし、成膜性等の種々の機能が効率的に発現されるようにするためには、変性光触媒粒子の平均粒子径が、体積平均粒子径で400nm以下であることが好ましく、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは1nm以上100nm以下、特に好ましくは5nm以上80nm以下である。
なお、従来、二酸化チタンなどで単に粒径として表示されている数値は、多くの場合一次粒子径であり、凝集による二次粒子径を考慮した数値ではない。
本発明の変性光触媒ゾルは、液体媒体中に、上記のような変性光触媒粒子が、分散されてなるゾルである。本発明の変性光触媒ゾルにおいて、変性光触媒粒子の含有量は、変性光触媒ゾルの重量に対し0.01〜70重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜50重量%である。
液体媒体の種類には特に限定はないが、水及び/又有機溶媒を用いることができる。使用できる有機溶媒としては、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、アセトン、メチルエチルケトン、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、エタノール、メタノール等の親水性有機溶媒、及びトルエン、キシレン、ヘキサン等の疎水性有機溶媒が挙げられる。
また、変性する光触媒の形態として光触媒ヒドロゾル [実質的に水を分散媒とし、その中に光触媒粒子が解膠されたゾルを意味する(ここで、実質的に水を分散媒とするとは、分散媒中に水が80%程度以上含有されていることを意味する)] を用いた場合は、水系の変性光触媒ゾルを得ることができる。また、この様にして得られた水系の変性光触媒ゾルからは、その分散媒を有機溶媒に溶媒置換することによって変性光触媒オルガノゾル [実質的に有機溶媒を分散媒とし、その変性光触媒粒子が安定に分散されたゾルを意味する(ここで、実質的に有機溶媒を分散媒とするとは、有機溶媒が80%程度以上含有されている液を分散媒とすることを意味する)] を得ることもできる。
水系の変性光触媒ゾルを有機溶媒で溶媒置換する方法としては、例えば、
(i)水系の変性光触媒ゾルに有機溶媒を添加した後、水を減圧あるいは常圧下で加熱除去する方法、
(ii)水系の変性光触媒ゾルの水を減圧あるいは常圧下で加熱除去した後、有機溶媒を添加する方法、
(iii)水系の変性光触媒ゾル中の変性光触媒を有機溶媒で溶媒抽出する方法等が挙げられる。
ここで、溶媒置換するのに使用される有機溶媒としては、例えばトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、エタノール、n−ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコール誘導体類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジブチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン、酸類、アルカリ類等やこれらの1種以上の混合物が挙げられる。それらの中で方法(i)で溶媒置換する場合は、例えばブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、エチレングリコール、エタノール等の親水性有機溶媒の使用が好ましく、方法(iii)で溶媒置換する場合はトルエン、キシレン、ヘキサン、酢酸ブチル等の疎水性有機溶媒の使用が好ましい。
本発明の変性光触媒粒子を含有する変性光触媒ゾルは、そのまま変性光触媒コーティング剤として用いても良いし、後述する機能性物質とからなる光触媒組成物として使用することもできる。
本発明における光触媒組成物は、上記変性光触媒ゾル(C)と機能性物質(D)の固形分重量比(C)/(D)=0.0001〜100であることが好ましい。また、(C)/(D)=0.001〜10の割合からなることがより好ましい。
上記機能性物質として樹脂を用いる場合に関して以下に説明する。
本発明の光触媒組成物に使用できる樹脂としては、全ての合成樹脂及び天然樹脂が使用可能である。また、その形態については、ペレットであっても溶媒に溶解あるいは分散した形態であっても良く、特に制限はないが、コーティング用としての樹脂塗料の形態が最も好ましい。
本発明に使用できる樹脂塗料としては特に制限はなく、公知のものを用いることができる。樹脂塗料の例としては、油性塗料、ラッカー、溶剤系合成樹脂塗料(アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、フッ素樹脂系、シリコン−アクリル樹脂系、アルキド樹脂系、アミノアルキド樹脂系、ビニル樹脂系、不飽和ポリエステル樹脂系、塩化ゴム系等)、水系合成樹脂塗料(エマルジョン系、水性樹脂系等)、無溶剤合成樹脂塗料(粉体塗料等)、無機質塗料、電気絶縁塗料等を挙げることができる。
これらの樹脂塗料の中で、光触媒に対し難分解性であるシリコン系樹脂やフッ素系樹脂、さらにはシリコン系樹脂とフッ素系樹脂の併用系の樹脂塗料が好ましく用いられる。
このようなシリコン系樹脂としては、例えばアルコキシシラン及び/又はオルガノアルコキシシランやそれらの加水分解生成物(ポリシロキサン)及び/又はコロイダルシリカ、さらにはシリコン含有量1〜80重量%のアクリル−シリコン樹脂、エポキシ−シリコン樹脂、ウレタン−シリコン樹脂やアルコキシシラン及び/又はオルガノアルコキシシランやそれらの加水分解生成物(ポリシロキサン)及び/又はコロイダルシリカを1〜80重量%含有する樹脂等が挙げられる。これらのシリコン系樹脂は、溶剤に溶けたタイプ、分散タイプ、粉体タイプのいずれであっても良く、また架橋剤、触媒等の添加剤が含まれていても良い。
上記アルコキシシラン及び/又はオルガノアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n- プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、
2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のモノアルコキシシラン類等を挙げることができる。
これらのうち、トリアルコキシシラン類、ジアルコキシシラン類が好ましく、またトリアルコキシシラン類としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが好ましく、またジアルコキシシラン類としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。また、これらのアルコキシシラン及び/又はオルガノアルコキシシランは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
上記アルコキシシラン及び/又はオルガノアルコキシシランが加水分解生成物(ポリシロキサン)として使用されるとき、該部分縮合物のポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、好ましくは400〜100,000、さらに好ましくは800〜50,000である。
また、上記フッ素系樹脂としては、例えばPTFEやポリフッ化ビニリデン、さらにはフッ素含有量1〜80重量%のアクリル−フッ素樹脂、エポキシ−フッ素樹脂、ウレタン−フッ素樹脂やフルオロオレフィンと炭素−炭素不飽和化合物(ビニルエーテル類、ビニルエステル類、アリル化合物、(メタ)アクリル酸エステル類等)との共重合体等が挙げられる。これらのフッ素系樹脂は、溶剤に溶けたタイプ、分散タイプ、粉体タイプのいずれであっても良く、また架橋剤、触媒等の添加剤が含まれていても良い。
また、本発明の変性光触媒粒子が、エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、エステル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの反応性基を含有する化合物で変性されたものである場合、変性光触媒粒子が有する該反応性基と反応性を有する官能基を含有する化合物又は樹脂と混合して、光触媒組成物として使用することが好ましい。得られる光触媒組成物中には、変性光触媒ゾルに含まれる反応性基と上記化合物又は樹脂の官能基とが一部反応することもあるが(40℃以下の温度及び8時間の貯蔵期間における反応率が50%以下)、光触媒組成物の大部分は変性光触媒粒子と上記化合物又は樹脂との混合物からなる。
これらの中で、該反応性基としてヒドラジン残基及び/又はケト基を有する本発明の変性光触媒ゾルと、機能性物質としてポリヒドラジン化合物及び/又はポリカルボニル化合物とを含む光触媒組成物は、低温硬化性と貯蔵安定性を兼ね備え、耐水性、耐汚染性、硬度等に優れたヒドラゾン結合又はセミカルバゾン結合による架橋皮膜を形成するので特に好ましい。
上記ポリヒドラジン化合物としては、ポリヒドラジド化合物、ポリセミカルバジド化合物、炭酸ポリヒドラジド類等が挙げられる。
これらの中で好ましいポリヒドラジン化合物としては、アジピン酸ジヒドラジドや、国際出願公開公報第WO96/01252号明細書で提案されているポリセミカルバジド誘導体を挙げることができる。
また、上記ポリカルボニル化合物としては、例えばカルボニル基を含有する共重合体、特開平2−238015号公報に記載されているがごときヒドロキシアセトン等のカルボニル基のあるモノまたはポリアルコールを原料とするカルボニル基含有ポリウレタン類、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ヒドロキシアルキルセルロース等、及びこれらの併用が挙げられる。
これらの中で好ましいポリカルボニル化合物は、カルボニル基含有エチレン性不飽和単量体(イ)と、該単量体(イ)と共重合可能なエチレン性不飽和単量体(ロ)とを共重合することによって得られるカルボニル基を含有する共重合体であり、さらに好ましくはポリカルボニル化合物が、カルボニル基含有エチレン性不飽和単量体(イ)0.1〜30重量%と、該単量体(イ)と共重合可能なエチレン性不飽和単量体(ロ)70〜99.9重量%とを共重合することによって得られるカルボニル基を含有する共重合体である。
カルボニル基含有エチレン性不飽和単量体(イ)としては、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アクロレイン、ビニルメチルケトン、アセトアセトキシエチルメタクリレート、アセトアセトキシエチルアクリレート、ホルミルスチロール等や、その併用が挙げられる。
単量体(イ)と共重合可能なエチレン性不飽和単量体(ロ)としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、カルボキシル基を持つエチレン性不飽和単量体類、エポキシ基を持つエチレン性不飽和単量体類、アクリルアミド系単量体、メタクリルアミド系単量体、シアン化ビニル類等が挙げられ、(メタ)アクリル酸エステルの例としては、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシシクロヘキシル等が挙げられる。
(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸エチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、(メタ)アクリル酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレートの具体例としては、ジ(メタ) アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ) アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ) アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。
カルボキシル基を持つエチレン性不飽和単量体類として具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸、マレイン酸の半エステル、クロトン酸などがあり、(メタ)アクリルアミド系単量体類としては、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどがあり、シアン化ビニル類としては、例えば(メタ)アクリロニトリルなどがある。
エポキシ基を持つエチレン性不飽和単量体類として具体的には、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2,3−エポキシシクロヘキシル、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
また上記以外の具体例としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、ブタジエン等のジエン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類、酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニル等のカルボン酸イソプロペニルエステル類、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、酢酸アリル、安息香酸アリル等のアリルエステル類、アリルエチルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、さらにγ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピロメチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、(メタ) アクリル酸アリル等やそれらの併用が挙げられる。
ポリカルボニル化合物は、懸濁重合、乳化重合又は溶液重合により製造することが好ましく、乳化重合によって得られるラテックスであることはさらに好ましい。この場合、乳化剤として反応性乳化剤を使用すると、得られるラテックスと本発明の変性光触媒組成物から生成する皮膜は耐水性の良好なものとなるので好ましい。
上記ポリカルボニル化合物を得るに当たって、ラジカル重合触媒として、熱または還元性物質などによってラジカル分解してエチレン性不飽和単量体の付加重合を起こさせるもので、水溶性または油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等が使用される。その例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等があり、その量としてはエチレン性不飽和単量体に対して通常0.1〜1重量%配合される。
通常は常圧下、65〜90℃の重合温度で実施されるのが好ましいが、モノマーの重合温度における蒸気圧等の特性に合わせ、高圧下でも実施することができる。なお、重合速度の促進、及び70℃以下での低温の重合を望まれるときには、例えば重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いると有利である。さらに分子量を調節するために、ドデシルメルカプタン等の連鎖移動剤を任意に添加することも可能である。
また、上記ポリカルボニル化合物を重合する際あるいは重合後に、前述したアルコキシシラン及び/又はオルガノアルコキシシランやそれらの加水分解生成物(ポリシロキサン)及び/又はコロイダルシリカで該ポリカルボニル化合物を0.1〜80重量%の変性量で変性すると、本発明の変性光触媒ゾルとからなる光触媒組成物からは非常に耐候性の良好な被膜を得ることができるため好ましい。 本発明の光触媒組成物は、本発明の変性光触媒粒子を含有する変性光触媒ゾルと上述した樹脂等の機能性物質を混合することによって得ることができるし、また該変性光触媒ゾルの存在下にエチレン性不飽和単量体(上記カルボニル基を有する共重合体を得るのに例示したエチレン性不飽和単量体等)及び/又は加水分解性シラン化合物(上記アルコキシシラン及び/又はオルガノアルコキシシランやそれらの加水分解生成物等)をラジカル重合や重縮合させることによって得ることもできる。この際、本発明の変性光触媒ゾルが(メタ)アクリロイル基の如きエチレン性不飽和単量体と反応性を有する基及び/又はヒドロキシシリル基の如く加水分解性シラン化合物と反応性を有する基を含有すると、得られる変性光触媒組成物は該変性光触媒と樹脂とが化学結合を介して複合化された変性光触媒−樹脂複合組成物となるため好ましい。
また、本発明においては、上記の機能性物質として、該変性光触媒ゾル中の変性光触媒粒子より表面エネルギーの大きい化合物を用いることが好ましい。そのような化合物を含有する光触媒組成物は、変性光触媒の分布について自己傾斜性を有する(以下、屡々、「自己傾斜型の光触媒組成物」と称す)。従って、それから形成される皮膜を有する基材やそれから形成される構造材料等の成形体が、変性触媒の分布に関して異方性を有するものとなる。即ち、自己傾斜型の変性光触媒組成物は、上記の皮膜又は成形体の形成過程において変性光触媒が皮膜や成形体の内部から表面側に向かって多くなるような濃度勾配を有する構造を自律的に形成することができる(このような機能を以下、屡々、「自己傾斜機能」と称す)。該自己傾斜型の変性光触媒組成物から得られた皮膜や成形体等の表面における変性光触媒の含有率は、変性光触媒の総含有量に対し5〜100重量%、好ましくは50〜100重量%、内部(例えば、被膜の場合は基材との接触面、成形体の場合は中心部)において0〜50重量%、好ましくは0〜10重量%であり、かつ表面と内部との含有率の比が1.5以上となる。
上記の機能を発現するために、変性光触媒ゾルの体積平均粒子径が800nm以下であることが重要である。すなわち変性光触媒ゾルの体積平均粒子径が800nmより大きくなると、該変性光触媒ゾル中の変性光触媒の自己傾斜機能は非常に小さくなる。本発明で、自己傾斜型の変性光触媒組成物としてより好適に使用できる変性光触媒ゾルとしては、体積平均粒子径が200nm以下のものが自己傾斜機能の発現のために望ましい。より好ましくは100nm以下1nm以上、さらに好ましくは50nm以下5nm以上のものが特に好ましい。
また、上記自己傾斜型の変性光触媒組成物において、本発明の変性光触媒の自己傾斜機能を発揮する要因の1つは、上記(1)〜(3)の構造単位由来の低い表面エネルギーであると考えられる。よって本発明の自己傾斜型の変性光触媒組成物に使用される機能性物質は、その表面エネルギーが変性光触媒よりも大きい化合物であることが必要であり、表面エネルギーが変性光触媒よりも2ダイン/cm以上大きいものが好ましい。
ここで、上記表面エネルギーは例えば以下の方法で測定することができる。すなわち、上記自己傾斜型の変性光触媒組成物を構成する変性光触媒ゾル及び変性光触媒以外の化合物から各々それらの皮膜を有する基材や構造材料等の部材を調整し、脱イオン水を滴下して20℃における接触角(θ)を測定し、下記のSellとNeumannの実験式により、各々の表面エネルギーを求めることができる。
Figure 0004454477
[式中、γs は脱イオン水の接触角を測定した皮膜(または成形体)の表面エネルギー(ダイン/cm)を表し、γl は水の表面エネルギー{72.8ダイン/cm(20℃)}を表わす。]
本発明の変性光触媒組成物において、自己傾斜型の変性光触媒組成物に使用できる高表面エネルギー化合物としては、上記条件を満たす表面エネルギーを有すればよく特に制限されないが、各種単量体、合成樹脂及び天然樹脂等が挙げられ、また皮膜や成形体の形成後に、乾燥、加熱、吸湿、光照射等により硬化するものも挙げることができる。
また、本発明の上記自己傾斜型の変性光触媒組成物に用いることができる高表面エネルギー化合物としては、そのもの自体が組成物であり、その組成物のうちの変性光触媒に対する難分解性である成分の濃度が、皮膜や成形体の内部から表面に向かって高くなるような傾斜構造をとることができるシリコン系樹脂組成物及び/又はフッ素系樹脂組成物が好ましく用いられる。
上記シリコン系樹脂組成物及び/又はフッ素系樹脂組成物としては、例えば特開平10−72569号公報等で提案されている様な、アルコキシシラン及び/又はオルガノアルコキシシランやそれらの加水分解生成物(ポリシロキサン)を0.1〜50重量%含有するフッ素系樹脂組成物及び/又はアクリル系樹脂組成物等を挙げることができる。これらの樹脂組成物は、架橋剤、触媒等の添加剤が含まれていても良い。
また、自己傾斜型の変性光触媒組成物の形態については、ペレットであっても溶媒に溶解あるいは分散した形態であっても良く、特に制限はないが、コーティング用としての樹脂塗料の形態が最も好ましい。
本発明における変性光触媒組成物であって、自己傾斜型の変性光触媒組成物における上記変性光触媒(C’)と高表面エネルギー化合物(D’)の固形分重量比(C’)/(D’)=0.0001〜10であることが好ましい。また、(C’)/(D’)=0.001〜1の割合からなることがより好ましい。(C’)/(D’)=0.0001〜0.2という変性光触媒の含有量が非常に少ない範囲においてさえ形成される皮膜又は成形体は、光照射による十分な光触媒活性及び/又は親水性あるいは疎水性を発現することができる。
また、該自己傾斜型の変性光触媒組成物から得られる、変性光触媒粒子が内部から表面側に向かって多くなるような濃度勾配を有する構造を有する皮膜は基材との密着性に優れ非常に耐久性の良好な光触媒能を有する機能性複合体を提供することができる。
本発明においては、変性光触媒ゾルから液体媒体を除去して得られる、平均粒子径が、体積平均粒子径で、800nm以下の変性光触媒粒子と、上記の高表面エネルギー化合物とを混合して変性光触媒の分布について自己傾斜性を有する変性光触媒組成物を得ても良い。このような組成物は主にペレットの状態で取り扱うことが容易であり、変性光触媒が表面に多くなるような濃度勾配を有する構造の成形体を得るのに非常に適している。
本発明において、上記変性光触媒ゾルや該変性光触媒ゾルと機能性物質とからなる変性光触媒組成物、あるいは該変性光触媒ゾル中の変性光触媒とそれより表面エネルギーが大きい化合物とを含有する自己傾斜型の変性光触媒組成物から皮膜や成形体を得る方法としては、例えばそれらの形態が塗料の場合は、基材に塗布し、乾燥した後、必要に応じ熱処理等をする事により、光照射により疎水性あるいは親水性及び/又は光触媒活性、さらには光電変換機能を有する機能性複合体を得ることができる。塗布方法としては、例えばスプレー吹き付け法、フローコーティング法、ロールコート法、刷毛塗り法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、キャスティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等が挙げられる。
また、例えば変性光触媒組成物(自己傾斜型を含む)の形態がペレットの場合は、押出し成形、射出成形、プレス成形等によって光照射により疎水性あるいは親水性及び/又は変性光触媒活性、さらには光電変換機能を有する成形体を得ることができる。
本発明の変性光触媒ゾルあるいは変性光触媒組成物(自己傾斜型を含む)から得られる皮膜や成形体は、それに含まれる光触媒のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光(該変性光触媒が増感色素を有する場合は、該増感色素の吸収光を含む光)を照射することにより疎水性あるいは親水性及び/又は光触媒活性、さらには光電変換機能を示す。
この際、本発明の変性光触媒ゾルもしくは変性光触媒組成物(自己傾斜型を含む)から得られる皮膜や成形体は、それらに含まれる変性光触媒の変性光触媒周辺には光触媒の分解作用で分子骨格が分解されない構造単位(上記式(1)〜(3)の構造単位)を有する変性剤化合物が存在するため、バインダーあるいは構造材としての樹脂を光触媒作用で劣化することがない。
また、上記式(3)で表される構造単位を有する変成剤化合物を用いた場合、該変性光触媒ゾルあるいは変性光触媒組成物(自己傾斜型を含む)からは、非常に疎水性の高い皮膜や構造材料を得ることも可能である。
本発明において、光触媒のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光や増感色素の吸収光を含む光の光源としては、太陽光や室内照明灯等の一般住宅環境下で得られる光の他、ブラックライト、キセノンランプ、水銀灯等の光が利用できる。
また、本発明の変性光触媒ゾルあるいは変性光触媒組成物(自己傾斜型を含む)には、必要により通常塗料等に添加配合される成分、例えば顔料、充填剤、分散剤、光安定剤、湿潤剤、増粘剤、レオロジーコントロール剤、消泡剤、可塑剤、成膜助剤、防錆剤、染料、防腐剤等がそれぞれの目的に応じて選択、組み合わせて配合することができる。
本発明において、上記変性光触媒ゾルや変性光触媒組成物(自己傾斜型を含む)から形成される成形体、及び上記変性光触媒ゾルや変性光触媒組成物(自己傾斜型を含む)を含む皮膜を基材上に形成して得られる機能性複合体は、光照射により疎水性あるいは親水性及び/又は光触媒活性、さらには光電変換機能を発現することが可能である。即ち、本発明の別の態様においては、上記変性光触媒ゾルや変性光触媒組成物(自己傾斜型を含む)から形成される成形体や、上記変性光触媒ゾルや変性光触媒組成物(自己傾斜型を含む)を含む皮膜を基材上に形成して得られる機能性複合体が提供される。
本発明によって提供される上記成形体又は機能性複合体であって、有機物分解等の光触媒活性を有するものは、抗菌、防汚、防臭、NOx分解等の様々な機能を発現し、大気、水等の環境浄化等の用途に使用することができる。
本発明によって提供される上記成形体又は機能性複合体であって、光照射により20℃における水との接触角が60゜以下(好ましくは10゜以下)となった親水性のもの(親水性の成形体や親水性膜、及び該親水性膜で被覆された基材等)は、鏡やガラスの曇りを防止する防曇技術、さらには建築外装等に対する防汚技術や帯電防止技術等への応用が可能であり、窓ガラス、鏡、レンズ、ゴーグル、カバー、碍子、建材、建物外装、建物内装、構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、各種表示装置、照明装置、住宅設備、食器、台所用品、家庭用電気製品、磁気光記録メディアや光記録メディア等の用途に使用することができる。
本発明によって提供される上記成形体又は機能性複合体であって、光照射により20℃における水との接触角が70゜以上(好ましくは90゜以上)となった疎水性のもの(疎水性の成形体や疎水性膜、及び該疎水性膜で被覆された基材等)は、防滴性や水切れ性の付与、水系汚れの付着防止や流水洗浄性を利用した防汚技術、さらには着氷雪防止技術等への応用が可能であり、窓ガラス、風防ガラス、鏡、レンズ、ゴーグル、カバー、碍子、建材、建物外装、建物内装、構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、各種表示装置、照明装置、住宅設備、食器、台所用品、家庭用電気製品、屋根材、アンテナ、送電線、氷雪滑走具等の用途に使用することができる。
本発明によって提供される上記成形体又は機能性複合体であって光電変換機能を有するものは、太陽エネルギーの電力変換等の機能を発現することが可能であり、(湿式)太陽電池等に用いる光半導体電極等の用途に使用することができる。
また、本発明によって提供される、光照射によって水との濡れ性が変化(疎水性から親水性への変化、あるいは親水性から疎水性への変化)する部材は、オフセット印刷用原版等への応用に対し非常に有用である。
以下の実施例、参考例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
実施例、参考例及び比較例中において各種の物性は下記の方法で測定した。
(1) 平均粒子径(体積平均粒子径)
試料中の固形分の含有量が1−20wt%となるよう適宜溶媒を加えて希釈し、湿式粒度分析計(日機装製マイクロトラックUPA−9230)を用いて測定した。
(2) 重量平均分子量
ジメチルシリコーン標品を用いて作成した検量線を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求めた。
GPCの条件は以下の通りである。
・装置:東ソー製HLC−8020LC−3A型クロマトグラフ
・カラム:TSKgelG1000HXL、TSKgelG2000HXLおよびTSKgelG4000HXL(いずれも東ソー製)を直列に接続して用いた。
・データ処理装置:島津製作所製CR−4A型データ処理装置
・移動相:クロロホルム
・流速:1.0ml/min.
・サンプル調製法
クロロホルム溶液(濃度は0.5〜2重量%の範囲で適宜調節した)として分析に供した。
(3) 赤外線吸収(IR)スペクトル
日本分光製FT/IR−5300型赤外分光計を用いて測定した。
(4) 粘度
ブルックフィールド粘度計を用い、ローターNo.2、回転数60rpm、20℃の条件で測定した。
(5) 皮膜(または成形体)の表面エネルギー
下記(7) の方法で測定した、皮膜(または成形体)表面に対する水の接触角(θ)より、下記のSellとNeumannの実験式に従って算出した。
Figure 0004454477
[式中、γs は脱イオン水の接触角を測定した皮膜(または成形体)の表面エネルギー(ダイン/cm)を表し、γl は水の表面エネルギー{72.8ダイン/cm(20℃)}を表わす。]
(6) 皮膜中の変性光触媒の分布の測定
オーバーヘッドプロジェクター用フィルム(以降「OHPフィルム」と称する)上に膜厚が20μmとなるように変性光触媒組成物をキャストし、室温で2日間乾燥した後、50℃で3日間加熱乾燥することにより、OHPフィルム表面に平滑な皮膜を形成させた。
このOHPフィルムを、日新EM社製Quetol 812セットを用いてエポキシ樹脂内に包埋した後、皮膜ごと切断し、その断面をエネルギー分散型X線分光光度計(日本フィリップス製DX−4型X線分光光度計)を用いて分析し、皮膜中の各位置における光触媒の含有量を測定することにより行った。
(7) 皮膜(または成形体)表面に対する水の接触角
皮膜(または成形体)の表面に脱イオン水の滴を乗せ、20℃で1分間放置した後、協和界面科学製CA−X150型接触角計を用いて測定した。
皮膜(または成形体)に対する水の接触角が小さいほど、皮膜(または成形体)表面は親水性が高い。
(8) 紫外線照射前後の、皮膜(または成形体)表面の親水性又は疎水性の変化
皮膜(または成形体)の表面に、東芝ライテック製FL20SBLB型ブラックライトの光を1日間または3日間照射後、上記(7)の方法にて水の接触角を測定し、照射前のそれと比較した。
なおこのとき、トプコン製UVR−2型紫外線強度計{受光部として、トプコン製UD−36型受光部(波長310〜400nmの光に対応)を使用}を用いて測定した紫外線強度が1mW/cm2 となるよう調整した。
(9) 太陽光照射前後の、皮膜(または成形体)表面の親水性又は疎水性の変化
皮膜(または成形体)の表面に太陽光を3時間照射後、上記(7)の方法にて水の接触角を測定し、照射前のそれと比較した。
なおこのとき、上記UVR−2型紫外線強度計を用いて測定した紫外線強度(受光部として、上記UD−36型受光部を使用)が0.3mW/cm2 、同紫外線強度計を用いて測定した可視光強度{受光部として、トプコン製UD−40型受光部(波長370〜490nmの光に対応)を使用}が3mW/cm2 となるよう、太陽光強度をガラス板を透過させることにより調整した。
(10)紫外線をほとんど含まない光の照射前後の、皮膜(または成形体)の親水性又は疎水性の変化
皮膜(または成形体)の表面に、東芝ライテック製FL20S・N−SDLNU型蛍光ランプからの、紫外線をほとんど含まない光{この光の分光エネルギー分布を図1に示す。この光が波長380〜390nmの可視光線および紫外線(波長380nm未満)をほとんど含まないことを示している。}を24時間照射後、上記(7)の方法にて水の接触角を測定し、照射前のそれと比較した。
なおこのとき、紫外線をほとんど含まない光の強度を、上記UVR−2型紫外線強度計を用いて測定した可視光強度(受光部として、上記UD−40型受光部を使用)が0.3mW/cm2 となるよう調整した。
(11)皮膜(または成形体)表面における光触媒活性
皮膜(または成形体)表面にメチレンブルーの5重量%エタノール溶液を塗布した後、上記ブラックライトの光を5日間照射した。
なおこのとき、上記UVR−2型紫外線強度計(受光部として、上記UD−36型受光部を使用)を用いて測定した紫外線強度が1mW/cm2 となるよう調整した。
その後、光触媒の作用によるメチレンブルーの分解の程度{皮膜(または成形体)表面の退色の程度に基づき、目視で評価}に基づき、光触媒の活性を以下の3段階で評価した。
◎:メチレンブルーが完全に分解。
△:メチレンブルーの青色がわずかに残る。
×:メチレンブルーの分解はほとんど観測されず。
(12)皮膜の耐溶剤性
変性光触媒組成物をガラス板上に膜厚が30μmとなるようにスプレーコーティングした後、室温で1週間乾燥することにより、ガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成させた。
この皮膜をガラス板からはぎ取り、金網(200メッシュ)の袋に入れ、アセトン中に室温にて24時間浸漬した後、皮膜重量の保持率を、次の式に従って算出した。
Figure 0004454477
皮膜重量の保持率が高いほど、皮膜の耐溶剤性は高い。
〔参考例1〕{水溶性Si−H基含有ケイ素化合物(1)の合成}
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、ジオキサン500gと、KF9901{メチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマーの商品名(信越化学製)、Si−H基含量7.14mmol/g(カタログ記載値)、重量平均分子量3900}500gを入れ、撹拌下80℃に昇温した。これに、ユニオックスMUS−8{ポリオキシエチレンアリルメチルエーテルの商品名(日本油脂製)、重量平均分子量800(カタログ記載値)}1370gと塩化白金(IV)酸六水和物の5重量%イソプロパノール溶液5gをジオキサン2310gに溶解した溶液を、80℃にて撹拌下約1時間かけて添加し、さらに80℃にて2時間攪拌を続けた後室温にまで冷却することにより、Si−H基含有ケイ素化合物(1){以降「化合物(1)」と称する}を含む溶液を得た。
得られた化合物(1)を含む溶液4gに水100gを加えると、均一透明な溶液となった。また、この化合物(1)を含む溶液4gに、ブチルセロソルブ8gを添加・混合した後、1N水酸化ナトリウム水溶液8mlを添加すると、水素ガスが発生し、その体積は23℃において37mlであった。この水素ガス生成量から求めた、化合物(1)を含む溶液1g当りのSi−H基含量は、0.36mmol/g(KF9901 1g当りに換算したSi−H基含量は約3.5mmol/g)であった。
〔参考例2〕{水に対して自己乳化性を有するSi−H基含有ケイ素化合物(2)の合成}
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、ジオキサン170gと、HMS−301−100GM{メチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマーの商品名(チッソ製)、Si−H基含量4.523mmol/g、重量平均分子量5400)}100gを入れ、撹拌下80℃に昇温した。これに、ユニオックスMUS−8(参考例1で使用したものと同じ)50gと5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物25g及び塩化白金(IV)酸六水和物の5重量%イソプロパノール溶液1.07gをジオキサン170gに溶解した溶液を撹拌下80℃にて約1時間かけて添加し、さらに80℃にて3時間攪拌を続けた後室温にまで冷却することにより、Si−H基含有ケイ素化合物(2){以降「化合物(2)」と称する}を含む溶液を得た。
得られた化合物(2)を含む溶液4gに水100gを加えると、わずかに白濁した分散液となった。また、この化合物(2)を含む溶液2.119gに、ブチルセロソルブ8gを添加・混合した後、1N水酸化ナトリウム水溶液8mlを添加すると、水素ガスが発生し、その体積は22℃において31.0mlであった。この水素ガス生成量から求めた、化合物(2)を含む溶液1g当りのSi−H基含量は0.588mmol/g(HMS−301−100GM:1g当たりに換算したSi−H基含量は約2.58mmol/g)であった。
(実施例1)
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、タイノックA−6{アナターゼ型酸化チタンゾルの商品名(多木化学製)、アンモニア解膠型、ゾル中に分散した粒子の体積平均粒子径13nm、TiO2 濃度6重量%、平均結晶子径10nm(カタログ記載値)}200gを入れ、これに参考例1で得た化合物(1)を含む溶液12.5gを30℃にて撹拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて3時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な、体積平均粒子径20nmの変性酸化チタン粒子を含有するゾルを得た。この時、化合物(1)の反応に伴い水素ガスが発生し、その体積は23℃において125mlであった。
また、得られたゾルをKRS−5板上に塗布した後、50℃で2時間乾燥させることにより、KRS−5板上に皮膜を形成させたものをサンプルとしてIRスペクトルを測定したところ、変性前の酸化チタンのIRスペクトル中では観測されていた、チタン原子に直結した水酸基(以降「Ti−OH基」と称する)に基づく、3630〜3640cm-1の吸収の消失が観測された。
また、得られたゾルを30℃で100日間静置保存した後の体積平均粒子径は23nmであった。
得られたゾルを用い、ガラス板上に膜厚が2μmとなるようにスプレーコーティングした後、室温で1週間乾燥することにより、ガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成し、この皮膜の表面について、紫外線照射前後の親水性又は疎水性の変化(皮膜表面に対する水の接触角の変化に基づき評価)及び光触媒活性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、ナノチタニアNTB−1{ブルッカイト型酸化チタンゾルの商品名(昭和電工製)、塩酸解膠型、ゾル中の粒子の体積平均粒子径8nm、TiO2 濃度15重量%}200gに参考例1で得た化合物(1)を含む溶液70.2gを30℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて10時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な、体積平均粒子径15nmの変性酸化チタン粒子を含有するゾルを得た。この時、化合物(1)の反応に伴い水素ガスが発生し、その体積は23℃において274mlであった。
実施例1と同様の方法でIRスペクトルを測定したところ、変性前の酸化チタンのIRスペクトル中では観測されていた、Ti−OH基の吸収の消失が観測された。
また、得られたゾルを30℃で100日間静置保存した後の体積平均粒子径は21nmであった。
得られたゾルを用い、実施例1と同様の方法でガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成し、この皮膜の表面について、紫外線照射前後の親水性又は疎水性の変化及び光触媒活性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、TO−240{粒子表面がペルオキソ基で修飾されたアナターゼ型酸化チタンを含有するゾルの商品名(田中転写製)、ゾル中に分散した粒子の体積平均粒子径15nm、TiO2 濃度2.4重量%}420gを入れ、参考例1で得た化合物(1)を含む溶液23.4gを30℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて10時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な、体積平均粒子径17nmの変性酸化チタン粒子を含有するゾルを得た。この時、化合物(1)の反応に伴い化合物(1)の反応に伴い水素ガスが発生し、その体積は23℃において67.5mlであった。
また、得られたゾルを30℃で100日間静置保存した後の体積平均粒子径は17nmであった。
得られたゾルを用い、実施例1と同様の方法でガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成し、この皮膜の表面について、紫外線照射前後の親水性又は疎水性の変化及び光触媒活性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例4)
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、ジュピターF6−APS{粒子表面がアパタイトで修飾されたアナターゼ型酸化チタンを含有するゾルの商品名(昭和電工製)、ゾル中の粒子の体積平均粒子径36nm、TiO2 濃度23.7重量%)}316gを入れ、参考例1で得た化合物(1)を含む溶液78gを撹拌下30℃にて約30分かけて添加し、さらに30℃にて10時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な、体積平均粒子径61nmの変性酸化チタン粒子を含有するゾルを得た。この時、化合物(1)の反応に伴い化合物(1)の反応に伴い水素ガスが発生し、その体積は23℃において85.7mlであった。
実施例1と同様の方法でIRスペクトルを測定したところ、変性前の酸化チタンのIRスペクトル中では観測されていた、Ti−OH基の吸収の消失が観測された。
また、得られたゾルを30℃で100日間静置保存した後の体積平均粒子径は80nmであった。
得られたゾルを用い、実施例1と同様の方法でガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成し、この皮膜の表面について、紫外線照射前後の親水性又は疎水性の変化及び光触媒活性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例5)
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、STS−02{アナターゼ型酸化チタンゾルの商品名(石原産業製)、塩酸解膠型、ゾル中に分散した粒子の体積平均粒子径18nm、TiO2 濃度30重量%、平均結晶子径7nm(カタログ記載値)、粘度175cps}100gと水50gを入れ、撹拌下50℃に昇温した。これに参考例1で得た化合物(1)を含む溶液31gを50℃にて撹拌下約30分かけて添加し、さらに50℃にて3時間攪拌を続けた後室温にまで冷却することにより、非常に分散性の良好な、体積平均粒子径49nmの変性酸化チタン粒子を含有するゾルを得た。この時、化合物(1)の反応に伴い水素ガスが発生し、その体積は24℃において200mlであった。
実施例1と同様の方法でIRスペクトルを測定したところ、変性前の酸化チタンのIRスペクトル中では観測されていた、Ti−OH基に基づく吸収の消失が観測された。
得られたゾル44gに、撹拌下室温(23℃)でブチルセロソルブ48gを約10分かけて添加し、水をエバポレーターにて減圧除去した後、適量のブチルセロソルブを加え、固形分の含有量がゾルの全重量に対して6重量%となるようにすることにより、非常に分散性の良好な、体積平均粒子径53nmの変性酸化チタン粒子を含有し、ブチルセロソルブを分散媒とするオルガノゾルを得た。
得られたオルガノゾル10gにトルエン10gを添加した分散液は、室温で6ヶ月放置後においても、変性酸化チタン粒子の凝集が起こらず安定であった。
得られたオルガノゾルを用い、実施例1と同様の方法でガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成し、この皮膜の表面について、紫外線照射前後の親水性又は疎水性の変化及び光触媒活性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例6)
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、タイノックA−6(実施例1で使用したものと同じ)300gを入れ、これに参考例2で得た化合物(2)を含む溶液8.8gを30℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて24時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な、体積平均粒子径48nmの変性酸化チタン粒子を含有するゾルを得た。この時、化合物(2)の反応に伴い水素ガスが発生し、その体積は23℃において93mlであった。
実施例1と同様の方法でIRスペクトルを測定したところ、変性前の酸化チタンのIRスペクトル中では観測されていた、Ti−OH基に基づく吸収の消失が観測された。さらに化合物(2)の製造に用いた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物に由来する環状酸無水物基が開環していることも、上記IRスペクトルにより確認された。
また、得られたゾルを30℃で100日間静置保存した後の体積平均粒子径は78nmであった。
得られたゾルを用い、実施例1と同様の方法でガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成し、この皮膜の表面について、紫外線照射前後の親水性又は疎水性の変化及び光触媒活性を評価した。結果を表2に示す。
(実施例7)
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、タイノックA−6(実施例1で使用したものと同じ)300gを入れ、これに参考例2で得た化合物(2)を含む溶液19.7gを30℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて24時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な、体積平均粒子径190nmの変性酸化チタン粒子を含有するゾルを得た。この時、化合物(2)の反応に伴い水素ガスが発生し、その体積は23℃において72mlであった。
実施例1と同様の方法でIRスペクトルを測定したところ、変性前の酸化チタンのIRスペクトル中では観測されていた、Ti−OH基に基づく吸収の消失が観測された。さらに化合物(2)の製造に用いた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物に由来する環状酸無水物基が開環していることも、上記IRスペクトルにより確認された。
また、得られたゾルを30℃で100日間静置保存した後の体積平均粒子径は198nmであった。
得られたゾルを用い、実施例1と同様の方法でガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成し、この皮膜の表面について、紫外線照射前後の親水性又は疎水性の変化及び光触媒活性を評価した。結果を表2に示す。
〔参考例3〕(薄片状酸化チタン粒子を含有するゾルの製造)
ST−21{石原産業製酸化チタン粉末の商品名、平均結晶子径20nm(カタログ記載値)}10gと炭酸セシウム7.2gを乳鉢にて混合し、得られた混合物を蓋付白金ルツボに移し、電気炉中800℃で30分加熱・焼成して炭酸塩を分解した。得られた焼成物を再び乳鉢で摩砕して800℃で40時間焼成することにより、チタン酸セシウム(Csx Ti(2-x/4) 4 )(x=0.68)(斜方晶系の結晶性粉末)を得た。
得られたチタン酸セシウム9gに1規定の塩酸水溶液300gを添加し、室温で3日間撹拌し、得られた反応混合物をろ過(規格5Cのろ紙を使用)し、残査を得た。得られた残査をイオン交換水で洗浄し、100℃で3時間乾燥することにより、セシウムイオンが水素イオンで置換されたチタン酸(Hx Ti(2-x/4) 4 ・nH2 O)(x=0.68)(結晶性粉末)5.1gを得た。このものは層状の結晶構造を有することが知られている。
次に、このチタン酸5gに0.1mol/lのテトラブチルアンモニウム水酸化物水溶液1000gを加え、シェーカーで150rpmにて振とうすることにより、体積平均粒子径110nmの酸化チタン粒子(微細な薄片状)を含有するゾルを得た。
(実施例8)
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、参考例3で得た薄片状酸化チタン粒子を含有するゾル500gを入れ、参考例1で得た化合物(1)を含む溶液5.8gを30℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて10時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な、体積平均粒子径120nmの変性酸化チタン粒子を含有するゾルを得た。この時、化合物(1)の反応に伴い水素ガスが発生し、その体積は23℃において13.7mlであった。
また、得られたゾルを30℃で100日間静置保存した後の体積平均粒子径は143nmであった。
得られたゾルを用い、実施例1と同様の方法でガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成し、この皮膜の表面について、紫外線照射前後の親水性又は疎水性の変化及び光触媒活性を評価した。結果を表2に示す。
〔参考例4〕{水に対して自己乳化性を有し、ラダー型骨格を有するSi−H基含有ケイ素化合物(3)の合成}
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、ジオキサン1400g、トリクロロシラン25.9g及びメチルトリクロロシラン51.6gを入れ、室温にて約10分間撹拌し、得られた混合物に、水14.5gとジオキサン58gの混合溶媒を、温度を25〜30℃に保ちながら、攪拌下約30分かけて滴下した後、さらに25〜30℃で約30分、次いで60℃で3時間撹拌した。 得られた反応混合物を25〜30℃まで冷却した後、トリメチルクロロシラン65.5gを添加し、さらに、水5.4gとジオキサン22gの混合溶媒を、温度を25〜30℃に保ちながら、攪拌下約30分かけて添加した。その後さらに25〜30℃にて約2時間撹拌した。
得られた反応混合物を反応器から取り出し、約60℃で減圧下に溶媒を溜去することにより、ラダー型骨格を有する、重量平均分子量3900のSi−H基含有ケイ素化合物を得た。(以降「ラダー型ケイ素化合物」と称する。この化合物のIRスペクトルにおいては、ラダー型骨格に基づく吸収(1130cm-1及び1050cm-1)が観測された。)
得られた上記ラダー型ケイ素化合物0.4gをブチルセロソルブ8gに溶解し、得られた溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液8mlを添加すると、水素ガスが発生し、その体積は24℃において46.2mlであった。この水素ガス生成量から求めた、上記ラダー型ケイ素化合物のSi−H基含量は4.52mmol/gであった。
続いて、還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、上記ラダー型ケイ素化合物10gとテトラヒドロフラン20gを添加し、撹拌下30℃に保持した。これに白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の2.2重量%キシレン溶液を0.2g添加した後、アデカリアソープSE−10N{下式(19)で表される化合物の商品名(旭電化製)}1.5gをテトラヒドロフラン13.5gに溶解した溶液を、攪拌下30℃にて約2時間かけて添加し、さらに30℃にて3時間撹拌を続けることにより、水に対して自己乳化性を有し、ラダー型骨格を有するSi−H基含有ケイ素化合物(3)(以降「化合物(3)」と称する)を含む溶液を得た。
Figure 0004454477
得られた化合物(3)を含む溶液1.75gにブチルセロソルブ8gを添加・混合した後、1N水酸化ナトリウム水溶液8mlを添加すると、水素ガスが発生し、その体積は22℃において43.4mlであった。この水素ガス生成量から求めた、化合物(3)を含む溶液1g当りのSi−H基含量は、0.961mmol/g(化合物(3)1g当りに換算したSi−H基含量は約4.35mmol/g)であった。
〔参考例5〕{水に対して自己乳化性を有し、ラダー型骨格を有するSi−H基含有ケイ素化合物(4)の合成}
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、ジオキサン445gおよびメチルトリクロロシラン25.9gを入れ、室温にて約10分間撹拌し、得られた混合物に、水4.7gとジオキサン18.8gの混合溶媒を、温度を25〜30℃に保ちながら、攪拌下約30分かけて滴下した後、さらに25〜30℃で約30分、次いで60℃で3時間撹拌した。
得られた反応混合物を25〜30℃まで冷却した後、ジメチルクロロシラン25.1gを添加し、さらに、水1.56gとジオキサン6.24gの混合溶媒を、温度を25〜30℃に保ちながら、攪拌下約30分かけて添加した。その後さらに25〜30℃にて約2時間撹拌した。
得られた反応混合物を反応器から取り出し、約60℃で減圧下に溶媒を溜去することにより、ラダー型骨格を有する、重量平均分子量3100のSi−H基含有ケイ素化合物を得た。(以降「ラダー型ケイ素化合物」と称する。この化合物のIRスペクトルにおいては、ラダー型骨格に基づく吸収(1130cm-1及び1050cm-1)が観測された。)
得られた上記ラダー型ケイ素化合物0.44gをブチルセロソルブ8gに溶解し、得られた溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液8mlを添加すると、水素ガスが発生し、その体積は22℃において40.9mlであった。この水素ガス生成量から求めた、上記ラダー型ケイ素化合物のSi−H基含量は3.75mmol/gであった。
続いて、還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、上記ラダー型ケイ素化合物10gとジオキサン15gを添加し、撹拌下80℃に昇温した。これに、ユニオックスMUS−8(参考例1で使用したものと同じ)3gと塩化白金(IV)酸六水和物の5重量%イソプロパノール溶液0.1gをジオキサン2.25gに溶解した溶液を、80℃にて撹拌下約1時間かけて添加し、さらに80℃にて2時間攪拌を続けた後室温にまで冷却することにより、水に対して自己乳化性を有し、ラダー型骨格を有するSi−H基含有ケイ素化合物(4){以降「化合物(4)」と称する}を含む溶液を得た。
得られた化合物(4)を含む溶液1.42gにブチルセロソルブ8gを添加・混合した後、1N水酸化ナトリウム水溶液8mlを添加すると、水素ガスが発生し、その体積は22℃において28.0mlであった。この水素ガス生成量から求めた、化合物(4)を含む溶液1g当りのSi−H基含量は、0.795mmol/g(化合物(4)1g当たりに換算したSi−H基含量は約2.98mmol/g)であった。
参考実施例9)
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、タイノックA−6(実施例1で使用したものと同じ)500gを入れ、これに参考例4で得た化合物(3)を含む溶液15gを30℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて24時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な、体積平均粒子径53nmの変性酸化チタン粒子を含有するゾルを得た。この時、化合物(3)の反応に伴い水素ガスが発生し、その体積は23℃において40mlであった。
実施例1と同様の方法でIRスペクトルを測定したところ、変性前の酸化チタンのIRスペクトル中では観測されていた、Ti−OH基の吸収の消失が観測された。
また、得られたゾルを30℃で100日間静置保存した後の体積平均粒子径は63nmであった。
得られたゾルを用い、実施例1と同様の方法でガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成し、この皮膜の表面について、紫外線照射前後の親水性又は疎水性の変化及び光触媒活性を評価した。結果を表2に示す。
参考実施例10)
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、タイノックA−6(実施例1で使用したものと同じ)500gを入れ、これに参考例5で得た化合物(4)を含む溶液10.8gを30℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて8時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な、体積平均粒子径29nmの変性酸化チタン粒子を含有するゾルを得た。この時、化合物(3)の反応に伴い水素ガスが発生し、その体積は23℃において100mlであった。
実施例1と同様の方法でIRスペクトルを測定したところ、変性前の酸化チタンのIRスペクトル中では観測されていた、Ti−OH基の吸収の消失が観測された。
また、得られたゾルを30℃で100日間静置保存した後の体積平均粒子径は30nmであった。
得られたゾルを用い、実施例1と同様の方法でガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成し、この皮膜の表面について、紫外線照射前後の親水性又は疎水性の変化及び光触媒活性を評価した。結果を表2に示す。
(実施例11)
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、タイノックA−6(実施例1で使用したものと同じ)50gを入れ、これにAciplex( −SS950{スルホン酸基を有するフッ素樹脂の5重量%エタノール−水(重量比1:1)溶液の商品名(旭化成工業製)}6gを30℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて8時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な、体積平均粒子径150nmの変性酸化チタン粒子を含有するゾルを得た。 得られたゾルを30℃で100日間静置保存した後の体積平均粒子径は147nmであった。
得られたゾルを用い、実施例1と同様の方法でガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成し、この皮膜の表面について、紫外線照射前後の親水性又は疎水性の変化及び光触媒活性を評価した。結果を表3に示す。
(実施例12)
ビストレーターLNSC−200A{有機溶剤系シリコン−アクリルコーティング剤の商品名(日本曹達製)、固形分20重量%}(従来の光触媒含有コーティング剤用の、アンダーコート用塗料)100gに、実施例5で得たオルガノゾル150gを撹拌下室温にて約10分かけて添加し、変性光触媒組成物を得た。 得られた変性光触媒組成物を用い、ガラス板上に膜厚が30μmとなるようにスプレーコーティングした後、室温で1週間乾燥し、続いて50℃にて5日間加熱することにより、ガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成し、この皮膜の表面について、紫外線照射前後の親水性又は疎水性の変化及び光触媒活性を評価した。結果を表3に示す。
〔比較例1〕
実施例12で得られた変性光触媒組成物の代わりにビストレーターLNSC−200A(実施例12で使用したものと同じ)を用い、実施例12と同様の方法でガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成し、この皮膜の表面について、紫外線照射前後の親水性又は疎水性の変化及び光触媒活性を評価した。結果を表3に示す。
〔比較例2〕
ポリデュレックスG633{水系アクリル−シリコンエマルジョンの商品名(旭化成工業製)、固形分46重量%、pH8.8}250gに、成膜助剤としてCS−12{2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール−モノイソブチレートの商品名(チッソ製)}22.8gを撹拌下室温にて20分かけて添加した。次いで、同じく成膜助剤としてブチルセロソルブ水溶液(50重量%)22.8gを室温にて撹拌下20分かけて添加した後、さらに室温で3時間撹拌し、成膜助剤を含むアクリル−シリコンエマルジョンを得た。このエマルジョンにおける、固形分の含有量は38.6重量%であった。
実施例12で得られた変性光触媒組成物の代わりに上記のエマルジョンを用い、実施例12と同様の方法でガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成し、この皮膜の表面について、紫外線照射前後の親水性又は疎水性の変化及び光触媒活性を評価した。結果を表3に示す。
(実施例13)
比較例2で得られた成膜助剤を含むアクリル−シリコンエマルジョン100gに、実施例6で得たゾル75gを撹拌下室温にて約10分かけて添加し、変性光触媒組成物を得た。
得られた変性光触媒組成物を用い、実施例12と同様の方法でガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成し、この皮膜の表面について、紫外線照射前後の親水性又は疎水性の変化及び光触媒活性を評価した。結果を表3に示す。
〔比較例3〕
STS−02(実施例5で使用したものと同じ)100gを水50gで希釈して得られたゾルを用い、実施例1と同様の方法でガラス板表面に皮膜を形成したが、得られた皮膜はひび割れていたため、この皮膜の表面について、紫外線照射前後の親水性又は疎水性の変化及び光触媒活性を評価することはできなかった。 また、得られたゾル68gに、ブチルセロソルブ100gを撹拌下室温にて約10分かけて添加した後、水をエバポレーターにて減圧除去してオルガノゾルを得たが、ゾル中の粒子は液体媒体中に安定に分散した状態で保持されることなく沈殿してしまい、分散性の良好なオルガノゾルを得ることはできなかった。
〔比較例4〕
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、ST−01{石原産業製アナターゼ型酸化チタン粉末の商品名、平均結晶子径7nm(カタログ記載値)}30gに水120gを添加し、撹拌下50℃に昇温した。これに参考例1で得た化合物(1)を含む溶液31gを50℃にて撹拌下約30分かけて添加し、さらに50℃にて3時間撹拌を続けた後室温まで冷却した。得られた反応混合物中の粒子は分離・沈降した状態であり、体積平均粒子径は3μm以上であった。
また、この反応混合物にブチルセロソルブ200gを添加した後、水をエバポレーターにて減圧除去してオルガノゾルを得たが、ゾル中の粒子は液体媒体中に安定に分散した状態で保持されることなく沈殿してしまい、分散性の良好なオルガノゾルを得ることはできなかった。従って、このゾルを用い、ガラス板表面に皮膜を形成することはできなかった。
〔比較例5〕
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、STS−02{アナターゼ型酸化チタンゾルの商品名(石原産業製)、体積平均粒子径18nm、塩酸解膠型、TiO2 濃度30重量%、平均結晶子径7nm(カタログ記載値)}100gと水100gを入れ、これにメチルトリメトキシシラン7.5gをジオキサン7.5gに溶解した溶液を30℃にて撹拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて3時間撹拌することにより、体積平均粒子径900nmの変性酸化チタン粒子を含有するゾルを得た。
実施例1と同様の方法でIRスペクトルを測定したところ、変性前の酸化チタンのIRスペクトル中では観測されていた、Ti−OH基の吸収が小さくなっていたものの、消失してはいなかったことから、Ti−OH基がかなり残存していることが判明した。
得られたゾルを用い、実施例1と同様の方法でガラス板表面に皮膜を形成したが、白濁した、凹凸の大きな皮膜を有するしか得られなかった。
また、得られた変性酸化チタンゾルは、30℃での2ヶ月の保存によりゲル化したため、塗膜評価を実施することができなかった。
〔比較例6〕
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、タイノックA−6(実施例1で使用したものと同じ)200gを入れ、これにメチルトリメトキシシラン3gをジオキサン3gに溶解した溶液を攪拌下30℃にて約30分かけて添加し、さらに30℃にて3時間撹拌を続けることにより、体積粒子径1μmの変性酸化チタン粒子を含有するゾルを得た。
実施例1と同様の方法でIRスペクトルを測定したところ、変性前の酸化チタンのIRスペクトル中では観測されていた、Ti−OH基の吸収が小さくなっていたものの、消失してはいなかったことから、Ti−OH基がかなり残存していることが判明した。
得られた変性酸化チタンゾルは、30℃での1週間の保存によりゲル化したため、塗膜評価を実施することができなかった。
〔比較例7〕
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、STS−02(実施例5で使用したものと同じ)100gと水100gを入れ、これにAciplex−SS950(実施例11で使用したものと同じ)6gを30℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて8時間撹拌を続けることにより、体積平均粒子径3μm以上の変性酸化チタン粒子を含有するゾルを得た。
得られた変性酸化チタンゾルは経時的に沈殿を生じた為、スプレーコーティングが不可能であった。
Figure 0004454477
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〔参考例6〕{ケト基を有するSi−H基ケイ素含有化合物(5)の合成}
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、ジオキサン500gとKF9901(参考例1で使用したものと同じ)500gを入れ、撹拌下60℃に昇温した。これにジクロロ−ジシクロペンタジエニル−白金(II)の0.25重量%ジオキサン溶液16.3gを添加した後、ユニオックスMUS−8(参考例1で使用したものと同じ)250gをジオキサン250gに溶解した溶液を60℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに60℃にて30分間撹拌した後、5−ヘキセン−2−オン100gをジオキサン100gに溶解した溶液を攪拌下60℃にて約30分かけて添加した後、さらに60℃で1時間撹拌を続けることにより、ケト基を有するSi−H基ケイ素含有化合物(5){以降「化合物(5)」と称する}を含む溶液を得た。
得られた化合物(5)を含む溶液4gに水100gを加えると、わずかに白濁した分散液となった。また、この化合物(5)を含む溶液0.89gにブチルセロソルブ8gを添加・混合した後、1N水酸化ナトリウム水溶液8mlを添加すると、水素ガスが発生し、その体積は23℃において27.2mlであった。この水素ガス生成量から求めた、化合物(5)を含む溶液1g当りのSi−H基含量は1.2mmol/g(KF9901 1g当たりに換算したSi−H基含量は約4.1mmol/g)であった。
〔参考例7〕{メタクリロイル基を有するSi−H基含有ケイ素化合物(6)の合成}
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、ジオキサン100gとKF9901(参考例1で使用したものと同じ)100gを入れ、撹拌下60℃に昇温した。これにジクロロ−ジシクロペンタジエニル−白金(II)の0.25重量%ジオキサン溶液5gを添加した後、ユニオックスMUS−8(参考例1で使用したものと同じ)50gをジオキサン50gに溶解した溶液を60℃にて攪拌下約1時間かけて添加した。続いて、メタクリル酸アリル20gと重合禁止剤の4−メトキシヒドロキノン0.01gをジオキサン20gに溶解した溶液を60℃にて攪拌下約30分かけて添加した後、さらに60℃で1時間撹拌を続けることによりメタクリロイル基を有するSi−H基含有ケイ素化合物(6){以降「化合物(6)」と称する}を含む溶液を得た。
得られた化合物(6)を含む溶液4gに水100gを加えると、わずかに白濁した分散液となった。また、この化合物(6)を含む溶液1.25gにブチルセロソルブ8gを添加・混合した後、1N水酸化ナトリウム水溶液8mlを添加すると、水素ガスが発生し、その体積は23℃において42.0mlであった。この水素ガス生成量から求めた、化合物(6)を含む溶液1g当りのSi−H基含量は1.3mmol/g(KF9901 1g当たりに換算したSi−H基含量は約4.6mmol/g)であった。
〔参考例8〕{ケト基を有する、シリコン変性された重合体のエマルジョンの調製}
撹拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた反応器に、メタクリル酸8g、ダイアセトンアクリルアミド3g、メタクリル酸メチル34g、アクリル酸ブチル40g、メタクリル酸シクロヘキシル15g、水300g、ラテムルS−180A{エチレン性不飽和単量体と共重合可能な二重結合を分子中に持つスルホコハク酸ジエステルアンモニウム塩の商品名(花王製)}の20%水溶液20gを入れ、反応器内の温度を78℃に上げてから、過硫酸アンモニウム0.5gを添加して、78℃で1時間攪拌し、第一段階のシードラテックスを得た。得られた第一段階のシードラテックスのpHは1.8であった。
次に、第一段階のシードラテックスに、メタクリル酸3g、ジアセトンアクリルアミド12g、メタクリル酸メチル165g、アクリル酸ブチル160g、メタクリル酸シクロヘキシル60g、水330g、ラテムルS−180Aの20%水溶液20g、過硫酸アンモニウム1.0gを含む溶液と、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2.5g、ジメチルジメトキシシラン25g、メチルトリメトキシシラン25gを含む溶液とを、各々別の滴下槽から、攪拌下80℃で3時間かけて反応器中へ滴下した。滴下が終了後、反応器内の温度を85℃に上げ、6時間攪拌した。その後室温まで冷却し、反応器内容物の水素イオン濃度を測定したところ2.1であった。25%アンモニア水溶液を添加して反応器内容物のpHを8に調整してから、100メッシュの金網でろ過し、凝集物をろ去することにより、エマルジョンを得た。凝集物の乾燥重量は、使用した単量体の総重量に対して0.02%と非常にわずかであった。
得られたエマルジョンの固形分含有量は44.0重量%、体積平均粒子径は128μmであった。
〔参考例9〕(セミカルバジド誘導体水溶液の調製)
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、室温下イソプロピルアルコール230gとヒドラジン1水和物20gを入れ、これにデュラネート24A{ビウレット型ポリイソシアネートの商品名(旭化成工業製)、NCO含有量23.3重量%}42gをテトラヒドロフラン168gに溶解した溶液を、40℃にて攪拌下約1時間かけて添加し、さらに40℃にて3時間撹拌を続けた。得られた反応混合物中のテトラヒドロフラン、ヒドラジン、水等を減圧下に留去した後、適量の水を添加することにより、固形分30%のセミカルバジド誘導体水溶液を得た。
(実施例14)
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、タイノックA−6(実施例1で使用したものと同じ)300gを入れ、これに参考例6で得た化合物(5)を含む溶液15.3gを30℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて5時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な、体積平均粒子径18nmの変性酸化チタン粒子を含有するゾルを得た。この時、化合物(5)の反応に伴い水素ガスが発生し、その体積は23℃において122mlであった。
実施例1と同様の方法でIRスペクトルを測定したところ、変性前の酸化チタンのIRスペクトル中では観測されていた、Ti−OH基の吸収の消失が観測された。
また、得られたゾルを30℃で100日間静置保存した後の体積平均粒子径は23nmであった。
次に、参考例8で得た、ケト基を有する、シリコン変性された重合体のエマルジョン200gに、参考例9で得たセミカルバジド誘導体水溶液11.3gを撹拌下室温にて約20分かけて添加し、得られた混合物に、上記のゾル230gを撹拌下室温にて約30分かけて添加し、さらに室温にて3時間撹拌することにより、変性光触媒組成物を得た。
得られた変性光触媒組成物を用い、実施例12と同様の方法でガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成し、この皮膜の表面について光触媒活性を評価したところ良好(◎)であった。また、得られた皮膜のアセトン浸漬による皮膜重量の保持率は97%であり、耐溶剤性は非常に良好であった。
(実施例15)
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、STS−02(実施例5で使用したものと同じ)100gと水50gを入れ、これに参考例7で得た化合物(6)を含む溶液26gを30℃にて撹拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて7時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な、体積平均粒子径38nmの変性酸化チタン粒子を含有するゾルを得た。この時、化合物(6)の反応に伴い水素ガスが発生し、その体積は24℃において240mlであった。
実施例1と同様の方法でIRスペクトルを測定したところ、変性前の酸化チタンのIRスペクトル中では観測されていた、Ti−OH基の吸収の消失が観測された。
次いで、撹拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた反応器に、上記のゾル100g、水353g、アデカリアソープSE−1025N{界面活性剤の商品名(旭電化製)、25%水溶液)2gを投入し、反応器内の温度を80℃に上げてから、メタクリル酸6g、アクリル酸ブチル61g、メタクリル酸メチル70g、アクリルアミド1.2g、水80g、アデカリアソープSE−1025N2.7g、p−スチレンスルホン酸ナトリウム1.4g、過硫酸アンモニウム0.5gを含む溶液を反応容中へ滴下槽より攪拌下80℃で2時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で2時間攪拌した。その後室温まで冷却し、25%アンモニア水溶液を添加して反応器内容物のpHを8に調整してから、100メッシュの金網で濾過して凝集物をろ去し、固形分23.4%、平均粒子径95nmの変性光触媒組成物(変性光触媒−アクリル複合エマルジョン)を得た。
得られた変性光触媒組成物を用い、実施例12と同様の方法でガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成し、この皮膜の表面について光触媒活性を評価したところ良好(◎)であった。
〔参考例10〕{水に対して自己乳化性を有するSi−H基含有ケイ素化合物(7)の合成}
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、ジオキサン50gと、HMS−301−100GM(参考例2で使用したものと同じ)50gを入れ、撹拌下80℃に昇温した。これにユニオックスMUS−8(参考例1で使用したものと同じ)25gと塩化白金(IV)酸六水和物の5重量%イソプロパノール溶液0.53gをジオキサン62.5gに溶解した溶液を80℃にて攪拌下約1時間かけて添加し、さらに80℃にて2時間攪拌を続けた後室温にまで冷却することにより、Si−H基含有ケイ素化合物(7){以降「化合物(7)」と称する}を含む溶液を得た。
得られた化合物(7)を含む溶液4gに水100gを加えると、わずかに白濁した分散液となった。また、この化合物(7)を含む溶液2.23gにブチルセロソルブ8gを添加・混合した後、1N水酸化ナトリウム水溶液8mlを添加すると、水素ガスが発生し、その体積は21℃において45.2mlであった。この水素ガス生成量から求めた、化合物(7)を含む溶液1g当りのSi−H基含量は0.825mmol/g(HMS−301−100GM 1g当たりに換算したSi−H基含量は約3.1mmol/g)であった。
〔参考例11〕{水に対して自己乳化性を有し、フルオロアルキル基を有するSi−H基含有ケイ素化合物(8)の合成}
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、メチルエチルケトン50gと、HMS−301−100GM(参考例2で使用したものと同じ)50gを入れ、撹拌下60℃に昇温した。これにジクロロ−ジシクロペンタジエニル−白金(II)の0.25%ジオキサン溶液1.6gを添加した後、ユニオックスMUS−8(参考例1で使用したものと同じ)25gをメチルエチルケトン25gに溶解した溶液を60℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに60℃にて30分撹拌を続けた。これにパーフルオロオクチルエチレン10gとジクロロ−ジシクロペンタジエニル−白金(II)の0.25%ジオキサン溶液1.1gをメチルエチルケトン10gに溶解した溶液を60℃にて約1時間かけて添加し、さらに60℃にて8時間攪拌を続けた後室温にまで冷却することにより、フルオロアルキル基を有するSi−H基含有ケイ素化合物(8){以降「化合物(8)」と称する}を含む溶液を得た。
得られた化合物(8)を含む溶液4gに水100gを加えると、わずかに白濁した分散液となった。また、この化合物(8)を含む溶液1.094gにブチルセロソルブ8gを添加・混合した後、1N水酸化ナトリウム水溶液8mlを添加すると、水素ガスが発生し、その体積は17℃において25.5mlであった。この水素ガス生成量から求めた化合物(8)を含む溶液1g当りのSi−H基含量は0.962mmol/g(HMS−301−100GM:1g当たりに換算したSi−H基含量は約3.31mmol/g)であった。
〔参考例12〕(有機溶剤系アクリルコーティング剤の表面エネルギーの測定)
プラエース{有機溶剤系アクリルコーティング剤の商品名(武蔵塗料製)、固形分50重量%}をガラス板上に膜厚が20μmとなるようにキャストした後、室温で2日間乾燥し、50℃にて3日間加熱乾燥することにより、ガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成した。
得られた皮膜表面に対する、20℃における水の接触角は84゜であり、Sell−Neumannの実験式から求めた、上記皮膜の表面エネルギーは35.5ダイン/cm(20℃)であった。
〔参考例13〕(水系アクリル−シリコンエマルジョンの表面エネルギーの測定)
比較例2で調製した、成膜助剤を含むアクリル−シリコンエマルジョンを用いて、参考例12と同様の方法でガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成した。
得られた皮膜表面に対する、20℃における水の接触角は89゜であり、Sell−Neumannの実験式から求めた、上記皮膜の表面エネルギーは31.5ダイン/cm(20℃)であった。
参考実施例17)
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、タイノックA−6(実施例1で使用したものと同じ)400gと、参考例10で得た化合物(7)を含む溶液10.3gを室温30℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて3時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な、体積平均粒子径17nmの変性酸化チタン粒子を含有するゾルを得た。この時、化合物(7)の反応に伴い水素ガスが発生し、その体積は16℃において80mlであった。実施例1と同様の方法でIRスペクトルを測定したところ、変性前の酸化チタンのIRスペクトル中では観測されていた、Ti−OH基の吸収の消失が観測された。
得られたゾル100gにブチルセロソルブ100gを撹拌下室温(23℃)で約10分かけて添加し、水をエバポレーターにて減圧除去した後、適量のブチルセロソルブを加え、固形分の含有量がゾルの全重量に対して5.8重量%となるようにすることにより、非常に分散性の良好な、体積平均粒子径25nmの粒子を含むオルガノゾルを得た。
得られたオルガノゾルを用い、ガラス板上に膜厚が2μmとなるようにスプレーコーティングした後、50℃で1週間乾燥することにより、ガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成した。
得られた皮膜表面に対する、20℃における水の接触角は95.6゜であり、Sell−Neumannの実験式から求めた上記皮膜の表面エネルギーは26.5ダイン/cm(20℃)であった。
上記オルガノゾル20gを、プラエース(参考例12で使用したものと同じ)に撹拌下室温で約10分かけて添加することにより、変性光触媒組成物を得た。 得られた変性光触媒組成物をOHPフィルム上に膜厚が20μmとなるようにキャストし、室温で2日間乾燥した後、50℃にて3日間加熱乾燥することにより、OHPフィルム表面に平滑な皮膜を形成させた。
この皮膜の断面におけるチタン原子の分布を、エネルギー分散型X線分光器を用いて測定した結果を図2に示す。
基材であるOHPフィルムと皮膜との界面には酸化チタンは存在せず、皮膜内部から皮膜表面側(上記界面の反対側)に向かって、酸化チタンの含有量が高まってゆくような分布となっていることが分かる。
また、この皮膜の表面について光触媒活性を評価したところ良好(◎)であった。
参考実施例18)
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、タイノックA−6(実施例1で使用したものと同じ)300gと、参考例11で得た化合物(8)を含む溶液15.5gを室温30℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて5時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な、体積平均粒子径30nmの変性酸化チタン酸化チタン粒子を含有するゾルを得た。この時、化合物(8)の反応に伴い水素ガスが発生し、その体積は16℃において140mlであった。
実施例1と同様の方法でIRスペクトルを測定したところ、変性前の酸化チタンのIRスペクトル中では観測されていた、Ti−OH基の吸収の消失が観測された。
得られたゾル100gにブチルセロソルブ100gを撹拌下室温(23℃)で約10分かけて添加し、水をエバポレーターにて減圧除去した後、適量のブチルセロソルブを加え、固形分の含有量がゾルの全重量に対して7.1重量%となるようにすることにより、ブチルセロソルブを分散媒とする非常に分散性の良好なオルガノゾルを得た。
得られたオルガノゾルを用い、参考実施例17と同様の方法で、ガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成した。
得られた皮膜表面に対する、20℃における水の接触角は106.0゜であり、Sell−Neumannの実験式から求めた上記皮膜の表面エネルギーは19.2ダイン/cm(20℃)であった。
上記オルガノゾル20gを、プラエース(参考例12で使用したものと同じ)100gに室温(23℃)で撹拌下室温で約10分かけて添加することにより、変性光触媒組成物を得た。
得られた変性光触媒組成物をOHPフィルム上に膜厚が20μmとなるようにキャストし、室温で2日間乾燥した後、50℃にて3日間加熱乾燥することにより、OHPフィルム表面に平滑な皮膜を形成させた。
この皮膜の断面におけるチタン原子の分布を、エネルギー分散型X線分光器を用いて測定した結果を図3に示す。
基材であるOHPフィルムと皮膜との界面には酸化チタンは存在せず、皮膜内部から皮膜表面側(上記界面の反対側)に向かって、酸化チタンの含有量が高まってゆくような分布となっていることが分かった。
また、この皮膜の表面について光触媒活性を評価したところ良好(◎)であった。
参考実施例19〕
比較例2で得た、成膜助剤が添加された成膜助剤を含むアクリル−シリコンエマルジョン100gに、実施例18で得たゾル19gを室温(23℃)で撹拌下において約10分かけて添加することにより、変性光触媒組成物を得た。
得られた変性光触媒組成物を用い、参考実施例18と同様の方法でOHPフィルム表面に平滑な皮膜を形成させた。
この皮膜の断面におけるチタン原子の分布を、エネルギー分散型X線分光器を用いて測定した結果、皮膜内部から皮膜表面側(上記界面の反対側)に向かって、酸化チタンの含有量が高まってゆくような分布となっていることが確認された。
また、この皮膜の表面について光触媒活性を評価したところ良好(◎)であった。
〔比較例9〕
KS−247{アナターゼ型酸化チタンオルガノゾルの商品名(テイカ製)、平均粒子径6nm(カタログ記載値)、ミセル径30〜60nm(カタログ記載値)、固形分15重量%}を用い、ガラス板上に膜厚が0.5μmとなるようにスプレーコーティングした後、50℃で1週間乾燥し、ガラス板表面に皮膜を形成させた。
得られた皮膜表面に対する、20℃における水の接触角は69.8゜であり、Sell−Neumannの実験式から求めた上記皮膜の表面エネルギーは48.0ダイン/cm(20℃)であった。
次いで、上記KS−247 8gを、プラエース(参考例12で使用したものと同じ)100gに撹拌下室温(23℃)で約10分かけて添加し、得られた組成物を用いて、実施例18と同様の方法でOHPフィルム表面に平滑な皮膜を形成させた。
この皮膜の断面におけるチタン原子の分布を、エネルギー分散型X線分光器を用いて測定した結果、チタン原子の分布はランダムであり、皮膜内部から皮膜表面側(上記界面の反対側)に向かって、酸化チタンの含有量が高まってゆくような分布は観察されなかった。
また、この皮膜の表面について光触媒活性を評価したところ不良(×〜△)であった。
〔比較例10〕
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、ST−01(比較例4で使用したものと同じ)30gとトルエン120gを入れ、撹拌下50℃に昇温したが、反応器内容物中の粒子は液体媒体中に分散せず沈降してしまい、ゾルにはならなかった。
これに参考例10で得た化合物(7)を含む溶液12.9gを撹拌下50℃にて約30分かけて添加し、さらに50℃にて3時間撹拌を続けることにより、変性光触媒分散液を得た。この時、化合物(7)の反応に伴い水素ガスが発生し、その体積は19℃において70mlであった。得られた変性光触媒分散液は、変性光触媒粒子が液体媒体中に分散した状態のまま保持されず、経時的に沈降する不安定な分散液であった。
得られた変性光触媒分散液から液体媒体を50℃にて減圧除去し、得られた変性酸化チタン粉末を、赤外線吸収スペクトル測定用試料作成用錠剤成型器に入れ、圧力750kg/cm2 で圧縮し、ペレットを作成した。得られたペレットの表面に対する、20℃における水の接触角は93.0゜であり、Sell−Neumannの実験式から求めた上記ペレットの表面エネルギーは28.4ダイン/cm(20℃)であった。
次いで、上記変性酸化チタン粉末1.2gを、プラエース(参考例12で使用したものと同じ)100gに撹拌下室温(23℃)で添加することにより、組成物を得た。
得られた組成物を用いて、実施例17と同様の方法で、OHPフィルム表面に皮膜を形成させた。
この皮膜の断面におけるチタン原子の分布を、エネルギー分散型X線分光器を用いて測定した結果、Tiの分布はランダムであり、相当量の酸化チタンがOHPフィルムに接触していることが観察された。
また、この皮膜の表面について光触媒活性を評価したところ不良(×〜△)であった。
〔参考例14〕{環状酸無水物基を有するSi−H基含有ケイ素化合物(9)の合成}
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、ジオキサン168gとKF9901(参考例1で使用したものと同じ)100gを入れ、撹拌下80℃に昇温した。これにユニオックスMUS−8(参考例1で使用したものと同じ)50g、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物28g及び塩化白金(IV)酸六水和物の5重量%イソプロパノール溶液1.1gをジオキサン100gに溶解した溶液を80℃にて攪拌下約1時間かけて添加し、さらに80℃にて2時間攪拌を続けた後室温にまで冷却することにより、環状酸無水物基を有するSi−H基含有ケイ素化合物(9){以降「化合物(9)」と称する}を含む溶液を得た。
得られた化合物(9)を含む溶液1.4gにブチルセロソルブ8gを添加・混合した後、1N水酸化ナトリウム水溶液8mlを添加すると、水素ガスが発生し、その体積は21℃において35.8mlであった。この水素ガス生成量から求めた、化合物(9)を含む溶液1g当りのSi−H基含量はは1.02mmol/g(KF9901 1g当たりに換算したSi−H基含量は約4.5mmol/g)であった。
〔参考例15〕{分光増感基を有するSi−H基含有ケイ素化合物(10)の合成}
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、参考例14で得た化合物(9)を含む溶液30gを入れ、これに2,4−ジニトロフェニルヒドラジン0.23gをテトラヒドロフラン22.7gに溶解した溶液を20℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに20℃にて3時間撹拌を続けることにより分光増感基を有するSi−H基含有ケイ素化合物(10){以降「化合物(10)」と称する}を含む溶液を得た。
(実施例20){環状酸無水物基を有するSi−H基含有化合物(9)を用いる、変性光触媒ゾルの調製}
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、STS−02(実施例5で使用したものと同じ)200gと水100gを入れ、撹拌下30℃に加温した。これに参考例14で得た化合物(9)を含む溶液30gを30℃にて撹拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて3時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な、体積平均粒子径29nmの変性酸化チタン粒子を含有するゾルを得た。この時、化合物(9)の反応に伴い水素ガスが発生し、その体積は20℃において112mlであった。
実施例1と同様の方法でIRスペクトルを測定したところ、変性前の酸化チタンのIRスペクトル中では観測されていた、Ti−OH基に基づく吸収の消失が観測された。
(実施例21)
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、STS−02(実施例5で使用したものと同じ)100gと水50gを入れ、撹拌下30℃に加温した。これに参考例15で得た化合物(10)を含む溶液26gを30℃にて撹拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて3時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な、体積平均粒子径36nmのオレンジ色の変性酸化チタン粒子を含有するゾルを得た。この時、化合物(10)の反応に伴い水素ガスが発生し、その体積は20℃において110mlであった。
実施例1と同様の方法でIRスペクトルを測定したところ、変性前の酸化チタンのIRスペクトル中では観測されていた、Ti−OH基に基づく吸収の消失が観測された。
得られたゾルを用い、実施例1と同様の方法でガラス板表面に透明(オレンジ色)で平滑な皮膜を形成し、この皮膜の表面について、太陽光照射前後の親水性又は疎水性の変化を評価した。結果を表4に示す。
(実施例22)
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、実施例20で得たゾル100gを入れ、これに2,4−ジニトロフェニルヒドラジン0.07gをテトラヒドロフラン7gに溶解した溶液を攪拌下20℃にて約30分かけて添加し、さらに20℃にて3時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な、体積平均粒子径33nmのオレンジ色の変性酸化チタン粒子を含有するゾルを得た。
得られたゾルを用い、実施例1と同様の方法でガラス板表面に透明(オレンジ色)で平滑な皮膜を形成し、この皮膜の表面について、太陽光照射前後の親水性又は疎水性の変化を評価した。結果を表4に示す。
〔参考比較例1〕
実施例20で得たゾルを用い、実施例1と同様の方法でガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成し、この皮膜の表面について、太陽光照射前後の親水性又は疎水性の変化を評価した。結果を表4に示す。
Figure 0004454477
〔参考例16〕{分光増感基を有するSi−H基含有ケイ素化合物(11)の合成}
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、4−アミノフルオレセイン10gとジオキサン1400gを入れ、これにアリルイソシアネート2.4gをジオキサン22.6gに溶解した溶液を、撹拌下30℃にて約30分かけて添加し、さらに30℃で5時間撹拌した。得られた反応混合物に、KF9901(参考例1で使用したものと同じ)500gを添加し、撹拌下80℃に昇温した。これにユニオックスMUS−8(参考例1で使用したものと同じ)1370gと塩化白金(IV)酸六水和物の5重量%イソプロパノール溶液5gをジオキサン1370gに溶解した溶液を80℃にて約1時間かけて添加し、さらに80℃にて2時間攪拌を続けた後室温にまで冷却することにより分光増感基を有するSi−H基含有ケイ素化合物(11){以降「化合物(11)」と称する}を含む溶液を得た。
得られた化合物(11)を含む溶液4gに水100gを加えると、均一透明で蛍光色を持った水溶液となった。また、この化合物(11)を含む溶液4gにブチルセロソルブ8gを添加・混合した後、1N水酸化ナトリウム水溶液8mlを添加すると、水素ガスが発生し、その体積は23℃において33mlであった。この水素ガス生成量から求めた、化合物(11)を含む溶液1g当りのSi−H基含量は0.32mmol/g(KF9901 1g当りに換算したSi−H基含量は約3.1mmol/g)であった。
〔実施例23〕
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、タイノックA−6(実施例1で使用したものと同じ)200gを入れ、これに参考例16で得た化合物(11)を含む溶液12.5gを30℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて3時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な、体積平均粒子径23nmの蛍光色を有する変性酸化チタン粒子を含有するゾルを得た。この時、化合物(11)の反応に伴い水素ガスが発生し、その体積は23℃において120mlであった。
実施例1と同様の方法でIRスペクトルを測定したところ、変性前の酸化チタンのIRスペクトル中では観測されていた、Ti−OH基に基づく吸収の消失が観測された。
得られたゾルを用い、実施例1と同様の方法でガラス板表面に透明(黄色〜緑色)で平滑な皮膜を形成し、この皮膜の表面について、紫外線をほとんど含まない光の照射前後の親水性又は疎水性の変化を評価した。結果を表5に示す。
〔参考比較例2〕
実施例1において、ガラス板表面に形成した皮膜の表面について、紫外線をほとんど含まない光の照射前後の親水性又は疎水性の変化を評価した。結果を表5に示す。
〔比較例11〕
タイノックA−6(実施例1で使用したものと同じ)を用い、ガラス板上に膜厚が0.5μmとなるようにスプレーコーティングした後、室温で1週間乾燥することにより、ガラス板表面に透明で平滑な皮膜を形成し、この皮膜の表面について、紫外線をほとんど含まない光の照射前後の親水性又は疎水性の変化を評価した。結果を表5に示す。
Figure 0004454477
本発明の変性光触媒粒子を、および該変性光触媒粒子と機能性物質とを包含する変性光触媒組成物を用いて、基材の表面に変性光触媒を含む皮膜を形成させると、変性光触媒は、その活性を損なうことなく、穏和な条件下で、基材の表面に強固に固定化される上、形成された皮膜や、上記の皮膜によって被覆された基材が変性光触媒の作用で劣化することがない。そのうえ、上記の皮膜は透明性、耐久性、耐汚染性、硬度等に優れているので、種々の基材の表面への汚れの付着防止や曇りの防止等において極めて有用である。
また本発明の機能性複合体および成形体は、その表面において変性光触媒が十分な効果を示すため、表面への汚れの付着や曇りが効果的に防止される。
図1は、東芝ライテック製FL20S・N−SDLNU型蛍光ランプからの光の分光エネルギー分布を示すグラフである。 図2は、実施例17で製造した変性光触媒組成物を用いて、OHP(overhead projector)フィルム表面に形成された皮膜の断面におけるチタン原子の分布を、エネルギー分散型X線分光器を用いて測定した結果を示すグラフである。 図3は、実施例18で製造した変性光触媒組成物を用いて、OHPフィルム表面に形成された皮膜の断面におけるチタン原子の分布を、エネルギー分散型X線分光器を用いて測定した結果を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 光触媒粒子を、式(1)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、及び式(3)で表されるジフルオロメチレン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物であって、酸無水物基、ケト基、ヒドラジン残基、環状カーボネート基からなる群より選ばれる少なくとも1つの反応性基及び/又はカルボキシル基及びその塩、リン酸基及びその塩、スルホン酸基及びその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの親水性基を含有する変性剤化合物を用いて脱水素縮合触媒の存在下で変性処理することによって得られる変性光触媒粒子を液体媒体に分散されてなり、該変性光触媒粒子の平均粒子径が体積平均径で800nm以下であることを特徴とする変性光触媒粒子含有ゾル。
    −(R1 2 SiO)− (1)
    (式中、R1 、R2 は各々独立して水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基を表す)、及び
    −(CF2 )− (3)
  2. 該変性剤化合物が、水中で自己乳化性又は溶解性を示す化合物であることを特徴とする請求項1に記載の変性光触媒粒子含有ゾル。
  3. 該変性剤化合物が、少なくとも1つの水素原子が結合した少なくとも1つのケイ素原子を包含する化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の変性光触媒粒子含有ゾル。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の変性光触媒粒子含有ゾルの存在下、ビニル化合物及び加水分解性シラン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を重合することによって製造される変性光触媒組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の変性光触媒粒子含有ゾルを含む皮膜を基材上に形成して得られる機能性複合体。
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