JP2001064625A - 低汚染性建築用シーリング材 - Google Patents

低汚染性建築用シーリング材

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JP2001064625A
JP2001064625A JP24282999A JP24282999A JP2001064625A JP 2001064625 A JP2001064625 A JP 2001064625A JP 24282999 A JP24282999 A JP 24282999A JP 24282999 A JP24282999 A JP 24282999A JP 2001064625 A JP2001064625 A JP 2001064625A
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fine particles
silicone
oil
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JP24282999A
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English (en)
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Nobuyuki Nakada
信之 中田
Takashi Imai
貴志 今井
Hideo Fukui
英夫 福井
Nobuyuki Bansho
信幸 番匠
Akira Fujishima
昭 藤嶋
Kazuhito Hashimoto
和仁 橋本
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Original Assignee
YKK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外装建材上に付着して汚れを増大させる高分
子シーリング材に含有されている可塑剤や油脂分の滲み
出しを低減できる建築用シーリング材及びそれを用いて
施工された建築物外装を提供する。 【解決手段】 可塑剤、油脂等の有機物を含有するシー
リング材1、特にシリコーン系オイルを含有するシリコ
ーン系シーリング材において、光触媒微粒子3を共存せ
しめ、上記可塑剤、油脂等の有機物を光触媒作用で分解
又は変質させることにより該シーリング材からの滲み出
しを低減し、該有機物付着に起因する建築物の汚れを低
減するようにした。光触媒微粒子は、シーリング材中に
分散していてもよく、又は表面部に存在していてもよ
い。さらに、シーリング材上に必要に応じて光触媒作用
を阻害する層を介して光触媒微粒子含有層が形成されて
いてもよい。別の態様によれば、シーリング材の表面に
上記可塑剤、油脂等の有機物の滲み出しを防止する層が
形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物外装等の施
工に使用される各種シーリング材(予め成形された所定
形状の固体のシーリング材及び液状のシーリング材のい
ずれも含む。)に起因する汚れの低減技術に関し、さら
に詳しくは低汚染性の建築用シーリング材、特にシリコ
ーン系シーリング材及びそれを用いて施工された建築物
外装に関する。
【0002】
【従来の技術】カーテンウォール等の外装建材の場合、
ガラス、金属、石材等のパネル材を枠材に固定し、水密
性、気密性を持たせる為に有機高分子材料のシーリング
材が使用されている。これらのシーリング材は、適度な
弾力を持たせる為に各種の可塑剤や油脂分を含有してい
る。このようなシーリング材は、時間が経過すると、そ
の内部に含有された可塑剤や油脂分がシーリング材表面
に滲み出し、さらには、風雨等によって飛散してパネル
材や枠材の表面(室外側表面)に拡散、付着する。この
ような可塑剤や油脂分は、排気ガス、煤煙、塵埃などの
汚れを建材表面に固着させるバインダーとして作用し、
汚れの堆積を促進し、建築物外装の黒ずみ汚れの原因と
なり、さらに、建築物の美観を低下させる大きな問題と
なっている。
【0003】ところで、TiO2に代表される光触媒作
用を有する半導体微粒子が、その光触媒作用により有機
物の分解を行ない、その作用に基づき抗菌・防黴・防汚
・防臭作用を有することは従来から広く知られており、
最近ではそれらを利用して、細菌や黴が繁殖しにくい様
々な材料が研究、開発されている。また、TiO2に代
表される光触媒作用を有する半導体微粒子が存在する場
合、光照射下で基材に対する水の接触角を低下させ、親
水性を呈するようにするという現象も見出され、この作
用を利用した防汚建材が開発されている(特開平9−2
28602号)。さらに、本発明者らは、光触媒作用が
シーリング材から滲み出てくる可塑剤、油脂分に起因す
る汚れの防止及び易洗浄化に効果があることを見出し、
外装建材に、シーリング材に接する部位を除き、その近
傍表面に光触媒膜をコーティングすることを提案してい
る(特開平8−302856号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記したように、光触
媒を外装建材に応用すると、シーリング材から滲み出て
くる可塑剤、油脂分に起因する汚れの防止及び易洗浄化
に効果がある。しかし、外装建材のシーリング材下部等
の部位では、光触媒作用による分解除去速度や親水性に
よる洗浄速度を上回る速度で、可塑剤や油脂分が拡散、
滞留するために、汚れの除去効果が低下するという問題
が生じる。また、光触媒を利用した建材の場合、他の部
位は清浄性が維持されているため、シーリング材下部等
に汚れが堆積した場合、逆に目立ってしまうという問題
が生じる。
【0005】さらに、シリコーン系シーリング材に含有
されているようなシリコーン系オイルが滞留した場合、
このシリコーン系オイルが光触媒作用で変質し、強固に
光触媒表面に固着すると共に、光触媒膜の親水化を阻害
し、光触媒膜の防汚性、易洗浄性を著しく低下させるこ
とを本発明者らは明らかにした。以下、この点について
説明する。シリコーン系オイルの代表的なものとしてポ
リジメチルシロキサンの化学式を以下に示す。シリコー
ン系オイルは珪素−酸素結合を骨格としており、また珪
素にメチル基等のアルキル基が結合している。
【化1】
【0006】酸化チタン等の光触媒は、紫外線照射下で
空気中の水分や酸素を活性種に変化させる。この活性種
が、下記式に示すように、シリコーン系オイルのアルキ
ル基を酸化・分解し、珪素−酸素結合を生じさせてい
く。
【化2】
【0007】従来の光触媒膜の組成は、例えば特許第2
756474号公報に示されているように、光触媒膜の
親水性を向上させるために、あるいは暗時での水接触角
の増大を防止するために、無機系酸化物、特にシリカ系
酸化物やシリコーン樹脂が配合されている。このような
物質と前記珪素−酸素結合を生じて高分子化したシリコ
ーン系オイルは、同様の化学結合を有しているため化学
的親和性に優れており、一旦シリコーン系オイルが変質
して光触媒膜上に付着すると、その除去が非常に困難と
なる(下記化学式参照)。
【化3】
【0008】さらに、光触媒作用によるシリコーン系オ
イルのアルキル基の分解が不充分であった場合、このシ
リコーン系オイル変質物は、残存アルキル基によって撥
水性を示す。このような物質が光触媒膜表面に固着する
と、光触媒膜の親水化を阻害するため、水による易洗浄
性を大きく低下させる。易洗浄性が低下した光触媒膜表
面には各種汚れが堆積してしまい、光触媒膜表面を覆
い、この光触媒膜への光の入射量を著しく低減させてし
まう。従って、光触媒膜の有する有機物酸化分解効果が
低下し、シリコーン系オイル変質物の残存アルキル基の
分解が行なえなくなってしまう。また、光触媒膜の親水
化現象をも阻害してしまう。
【0009】上記のような理由により、シリコーン系オ
イルが光触媒膜表面に多量に付着すると、光触媒膜の有
する有機物分解効果及び親水化効果を阻害し、その除去
自体が困難になるばかりでなく、このシリコーン系オイ
ル変質物によって堆積した汚れを水によって除去するこ
とが非常に困難となることは明白である。
【0010】従って、本発明の目的は、外装建材上に付
着した場合に汚れの付着を増大させ、その美観、意匠性
を低減させる高分子シーリング材に含有されている可塑
剤や油脂分、特にシリコーン系シーリング材に含有され
ているシリコーン系オイルの滲み出しを低減でき、それ
によつて汚れの発生自体を低減できる建築用シーリング
材、特にシリコーン系シーリング材を提供することにあ
り、さらに、このような建築用シーリング材を用いるこ
とによって長期間に亘ってきれいな美観を維持できる建
築物外装を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の基本的な態様によれば、可塑剤、油脂等の
有機物を含有するシーリング材において、光触媒作用を
有する半導体微粒子もしくは半導体微粒子を含む粒子を
共存せしめ、上記可塑剤、油脂等の有機物を光触媒作用
で分解又は変質させることにより該シーリング材からの
有機物の滲み出しを低減し、該有機物付着に起因する建
築物の汚れを低減するようにしたことを特徴とする建築
用シーリング材が提供される。本発明のより特定的な態
様によれば、シリコーン系オイルを含有するシリコーン
系シーリング材において、光触媒作用を有する半導体微
粒子もしくは半導体微粒子を含む粒子を共存せしめ、上
記シリコーン系オイルを光触媒作用で分解又は変質させ
ることにより該シーリング材からのシリコーン系オイル
の滲み出しを低減し、該シリコーン系オイル付着に起因
する建築物の汚れを低減するようにしたことを特徴とす
る建築用シーリング材が提供される。
【0012】前記光触媒作用を有する半導体微粒子もし
くは半導体微粒子を含む粒子は、シーリング材中に分散
していてもよく、又は/及びシーリング材の表面部に存
在していてもよい。さらに、シーリング材上に光触媒作
用を有する半導体微粒子もしくは半導体微粒子を含む粒
子を含有する層が形成されていてもよく、あるいは、シ
ーリング材上に形成された光触媒作用を阻害する層の上
に、光触媒作用を有する半導体微粒子もしくは半導体微
粒子を含む粒子を含有する層が形成されていてもよい。
【0013】さらに本発明の別の態様によれば、可塑
剤、油脂等の有機物を含有するシーリング材において、
その表面に上記可塑剤、油脂等の有機物の滲み出しを防
止する層が形成され、該有機物付着に起因する建築物の
汚れを低減するようにしたことを特徴とする建築用シー
リング材が提供される。より特定的な態様によれば、シ
リコーン系オイルを含有するシリコーン系シーリング材
において、その表面に上記シリコーン系オイルの滲み出
しを防止する層が形成され、該シリコーン系オイル付着
に起因する建築物の汚れを低減するようにしたことを特
徴とする建築用シーリング材が提供される。さらに本発
明によれば、前記のような建築用シーリング材を用いて
施工された建築物外装も提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】前記した課題を解決するために、
本発明は、シーリング材に光触媒作用を有する半導体微
粒子(以下、光触媒微粒子という)を共存せしめ、その
光触媒作用で各種シーリング材に含有される可塑剤、油
脂等、特にシリコーン系シーリング材に含有されるシリ
コーン系オイルを分解あるいは変質させ、それらの滲み
出しを低下させるものである。光触媒微粒子は光照射下
で生じる活性酸素種により抗菌・防黴効果を発揮するこ
とが知られており、シーリング材に含有される可塑剤、
油脂分の滲み出しによる外装建材の汚れを低減できるの
みならず、菌や黴の発生によるシーリング材自体の意匠
低下をも防止することが可能となる。
【0015】光触媒作用を有する半導体としては、電子
−正孔移動度が比較的大きく、光触媒作用を有する半導
体であればいずれも使用可能であり、例えばTiO2
SrTiO3、ZnO、CdS、SnO2等が挙げられる
が、これらの中でも特にTiO2が好ましい。また、こ
のような光触媒作用を有する半導体と共に銀、銅、亜鉛
等の抗菌性金属又は抗菌性金属化合物を共存させれば、
例えばシーリング材中に半導体微粒子と共に分散させた
り、抗菌性金属又は抗菌性金属化合物を表面に析出させ
た半導体微粒子を添加したり、あるいはシーリング材の
表面に付着させたりすれば、光が照射されない夜間であ
っても抗菌・防黴性が維持されるようになる。
【0016】光触媒作用を有する半導体、抗菌性金属又
は抗菌性金属化合物の形態としては、個々の微粒子の形
態、光触媒微粒子の表面に抗菌性金属又は抗菌性金属化
合物が部分的に(又は一部の粒子は全体的でも構わな
い)付着している形態、光触媒微粒子の表面にシリカ等
の無機質バインダー微粒子が部分的に付着している形
態、光触媒微粒子の表面に無機質バインダー微粒子と抗
菌性金属又は抗菌性金属化合物が部分的に付着している
形態、抗菌性金属又は抗菌性金属化合物が付着している
無機質バインダー微粒子が光触媒微粒子の表面に付着し
ている形態など、種々の形態を採用できる。
【0017】使用する光触媒微粒子の粒径は、約5nm
以上、約1μm以下、好ましくは約10nm〜300n
mが適当である。粒径が5nmよりも小さくなると、量
子サイズ効果によりバンドギャップが大きくなり、高圧
水銀灯等の短波長光を発生する照明下でないと光触媒作
用が得られないといった問題がある。また、粒径があま
りに小さ過ぎると、取り扱いが困難であったり、シーリ
ング材中への分散性が悪くなるという問題も生じてく
る。取り扱い性の点からは10nm以上の粒径が好まし
い。一方、粒径が1μmを超えると、シーリング材表面
に比較的大きな光触媒微粒子が存在することになるた
め、表面の滑らかさが乏しくなり、またシーリング材表
面に露出した粒子が脱落し易くもなる。シーリング材表
面の平滑さ等を考慮すると300nm以下の粒径が好ま
しい。
【0018】シーリング材の材質としては、塩化ビニル
樹脂、アクリルゴム、ニトリルゴム(NBR)、ブチル
ゴム(IIR)、スチレン・ブタジエンゴム(SB
R)、エチレンプロピレンターポリマー(EPDM)、
シリコーン系シーラント、変成シリコーン系シーラン
ト、ポリサルファイド系シーラント等の適度の柔軟性と
強度を有するもので、内部に可塑剤や油脂分を含有する
ものであれば特に限定されず、用途に応じて適宜選定す
ることができる。
【0019】シーリング材に光触媒微粒子を共存せしめ
る態様としては、光触媒微粒子をシーリング材中に分散
させる態様、シーリング材表面部に存在させる(例え
ば、添着させる)態様、シーリング材表面に必要に応じ
て光触媒作用により侵されないあるいは光触媒作用を阻
害する中間層を介して光触媒微粒子を含有する層を形成
する態様など、種々の態様を採用することができる。但
し、多量の光触媒微粒子をシーリング材中に均一に分散
させた場合、シーリング材自体の柔軟性が損なわれ、千
切れ易くあるいは切れ易くなったりするように、シーリ
ング材の機械的強度が低下するという問題がある。ま
た、光触媒作用は光が照射される部位にのみ起きる現象
であり、シーリング材全体に光触媒微粒子を分散させて
も、内部に含有された光触媒微粒子は全く光が照射され
ないため無駄になるのみである。従って、シーリング材
に光触媒微粒子を均一に分散させる場合、その添加量が
制限され、シーリング材内部に含有された光触媒微粒子
の光触媒作用のみによってシーリング材から滲み出てく
る可塑剤、油脂分を分解あるいは変質させる効果は必ず
しも充分とは言えない。しかし、シーリング材から滲み
出てくる可塑剤、油脂分は少ないため、他の外装建材の
部分に光触媒膜をコーティングすれば、これらに起因す
る汚れの低減及び除去に対して充分な効果が得られる。
【0020】シーリング材自体が保持する光触媒微粒子
の光触媒作用のみによって、シーリング材から滲み出て
くる可塑剤、油脂分を充分に分解あるいは変質させる好
適な態様においては、建築用シーリング材は、光触媒微
粒子が高分子基材の少なくとも一方の表面(特にシーリ
ング材として施工されたときに外部に露出する部分)に
向かって多くなるように混在し、あるいは表面部のみ又
は表面近傍のみに存在している構造を有することが好ま
しい。
【0021】シーリング材中に光触媒微粒子を混在させ
る態様としては、図1に示すように、光触媒微粒子3が
シーリング材1の高分子基材2の外表面に向かって多く
なるような濃度勾配で混在している態様、図2に示すよ
うな断面が球状(もしくは円筒状)の場合は中心部から
表面もしくは側面に向かう方向、断面が凹状の場合は凹
面から外表面に向かう方向に、光触媒微粒子が多くなる
ように混在している構造などが挙げられる。また、シー
リング材の一方側外表面から他方側外表面に向かって多
くなるような濃度勾配で混在している態様、例えば板状
の場合は片側表面から他方側表面に向かう方向に光触媒
微粒子が多くなるように混在している構造とすることが
できる。このような構造とすれば、強度や柔軟性等の機
械的特性をそれほど損なうことなく、防汚性に優れたシ
ーリング材が作製可能である。いずれの態様を採るにし
ても、光触媒微粒子がシーリング材から滲み出てくる可
塑剤、油脂分を有効に分解し、これに起因する外装建材
の汚れを低減するためには、光触媒微粒子濃度が高い部
位が屋外になるように設置する必要がある。
【0022】前記したような態様において、光触媒微粒
子の混合量は、シーリング材の高分子基材に対し0.5
〜100重量%の範囲にあることが好ましい。0.5重
量%より少なくなると光触媒微粒子の量が不足し、ひい
ては充分な光触媒作用が得られず、一方、光触媒微粒子
の割合が100重量%を超えると、光触媒作用の発揮に
関しては問題ないが、シーリング材の機械的強度が低下
し、またシーリング材の水密気密性能が低下する恐れが
ある。
【0023】本発明のシーリング材の別の態様は、図3
に示すように、前記光触媒微粒子を混在させた層4と、
高分子材料だけからなる層5との二層構造を有する。こ
こで、光触媒微粒子を混在させる材料としては、シーリ
ング材と同一の高分子材料であってもよく、シリコーン
樹脂、フッ素樹脂等の無機・有機系の高分子材料あるい
はシリケート等の各種無機物、有機物であっても構わな
い。このような二層構造のシーリング材は、予め高分子
材料又は有機系もしくは無機系のバインダー材料に適量
の光触媒微粒子を混合し、充分混練したものをシーリン
グ材の表層材として用いることにより得られる。例え
ば、図4に示すように、この表層材6と、内部基材7を
構成する高分子材料を共押出用ダイ10から同時に共押
出しすることにより、図5に示すように、光触媒微粒子
3が分散した表層材6が内部基材7表面に強固に接合し
た二層構造のシーリング材とすることができる。
【0024】なお、光触媒微粒子が分散した表層材は、
必ずしも連続膜である必要はなく、シーリング材から滲
み出る可塑剤や油脂分を有効に分解できるならば、不連
続膜、島状分散膜等の態様であっても構わない。また、
上記の態様においても、表層材に混在する光触媒微粒子
の割合は、前記態様と同じ理由により、高分子材料ある
いは各種有機系、無機系バインダー固形分に対して0.
5〜100重量%(ここで100重量%とは、光触媒微
粒子と光触媒微粒子を分散させる材料の固形分の重量が
等しいことに相当する。)の範囲にあることが望まし
い。
【0025】また、シーリング材自体が光触媒作用によ
って分解・劣化されることを防止するには、通常のシー
リング材の上に、光触媒作用に耐えられるあるいは光触
媒作用を阻害する材料を中間層として成膜した後に、光
触媒微粒子を添加・混練した層を形成することも有効で
ある。さらに、建築物の目地部にシーリング材を施工す
る際に、まず、光触媒微粒子を含有していないシーリン
グ材を施工し、その後、光触媒微粒子を添加・混練した
材料を施工することでも、シーリング材から滲み出る可
塑剤や油脂分を有効に分解・除去できる。
【0026】本発明のシーリング材の別の態様として
は、図6に示すように、シーリング材1の高分子基材3
の表面にのみ光触媒微粒子3を担持させた構造を有す
る。この構造のシーリング材は、例えば、成形の際に、
まだ柔らかい状態にあるシーリング材表面に光触媒微粒
子又は光触媒微粒子を含む材料を吹き付けたり、あるい
は、施工後の硬化前のシーリング材表面に光触媒微粒子
又は光触媒微粒子を含む材料を吹き付ける、などの方法
で得られる。また、射出成形等の際に、金型内部に光触
媒微粒子又は光触媒微粒子を含む材料を予め吹き付けて
おき、その後、高分子材料を金型内に射出することによ
って、シーリング材表面にのみ光触媒微粒子が担持され
たシーリング材を作製することが可能となる。
【0027】シーリング材又は光触媒微粒子上に抗菌性
金属又は抗菌性金属化合物を析出させる方法は、硝酸銀
や塩化銅等の銀や銅等の抗菌性金属を含む適当な化合物
の水溶液を調製し、一つの方法としては、光触媒微粒子
を分散もしくは添着したシーリング材を該溶液中に浸
し、紫外線ランプやブラックライトなどで紫外線を照射
すると、光触媒微粒子の光触媒作用で生じた電子の作用
により抗菌性金属イオン又は抗菌性金属化合物イオンが
還元され、シーリング材表面に露出した光触媒微粒子上
に抗菌性金属又は抗菌性金属化合物が析出する。この場
合、抗菌性金属又は抗菌性金属化合物の析出量は、溶液
中の抗菌性金属イオン又は抗菌性金属化合物イオンの
量、すなわち調製した溶液の濃度や溶液中に添加するア
ルコールやEDTA等の還元剤の濃度や光照射時間によ
って制御できる。
【0028】また、別の方法としては、前記溶液を光触
媒微粒子を分散もしくは添着したシーリング材上にスプ
レー等の適当な方法で塗布した後、紫外線を照射する方
法がある。この方法では、溶液中の抗菌性金属イオン又
は抗菌性金属化合物イオンの量、すなわち調製した溶液
の濃度や溶液中に添加するアルコールやEDTA等の還
元剤の濃度や塗布量あるいは紫外線照射時間によって、
抗菌性金属又は抗菌性金属化合物の析出量が制御でき
る。
【0029】さらに別の方法としては、予め抗菌性金属
又は抗菌性金属化合物を析出させた光触媒微粒子をシー
リング材に混合もしくは添着することも可能である。光
触媒微粒子上に抗菌性金属又は抗菌性金属化合物を析出
させる方法としては、抗菌性金属又は抗菌性金属化合物
を含む適当な水溶液中に必要に応じてエタノールやED
TA等の還元剤を添加し、これに光触媒微粒子を分散さ
せ、攪拌しながら紫外線を照射する方法が好適である。
この場合にも、抗菌性金属又は抗菌性金属化合物の析出
量は、溶液中の抗菌性金属イオン又は抗菌性金属化合物
イオンの量、すなわち調製した溶液の濃度や溶液中に添
加する還元剤の濃度や紫外線照射時間によって制御でき
る。なお、上記のいずれの方法においても、抗菌性金属
又は抗菌性金属化合物で光触媒微粒子表面全体を被覆し
てしまうと、光触媒作用が発現できなくなるため、表面
全体を被覆しない程度の析出量に制御する必要がある。
【0030】本発明のシーリング材のさらに別の態様と
しては、シーリング材の表面に可塑剤、油脂分の滲み出
しを防止する層を設けることが挙げられる。このような
防止層の材質としては、有機物質の透過を阻害する物質
であって、適当な耐候性を有するものであれば特に限定
されるものではなく、有機物及び無機物のいずれであっ
てもよい。しかしながら、シーリング材としての性能等
(柔軟性、耐候性、使用実績等)を考慮すると、変成シ
リコーン系シーリング剤やポリサルファイド系シーリン
グ剤等が好ましい。
【0031】本発明のシーリング材は様々な用途に適用
可能であるが、とくにシーリング材に含有される可塑
剤、油脂等の滲み出しを生ずることがなく、それに起因
する汚れ防止に優れるため、建築用外装材、例えば枠
材、パネル材、シーリング材(特にシリコーン系シーラ
ント)からなる外装建材ユニット(例えばカーテンウォ
ール)、サイディング材、屋根材などの目地にシーリン
グ材を用いる外装建材、タイル材などの目地にシーリン
グ材を用いる内装あるいは外装建材、建材と壁材との接
合部にシーリング材を用いる外装建材などに特に有利に
適用できる。
【0032】前述したように、シーリング材自体に光触
媒微粒子を担持させ、その光触媒作用でシーリング材に
含有される可塑剤、油脂等を分解あるいは変質させて建
築物外装建材の汚れを低減させる方法に加えて、外装建
材の上に光触媒膜を形成したり、あるいはさらにこの光
触媒膜の光触媒活性や可塑剤、油脂等との化学的親和性
を制御することにより、可塑剤、油脂等の有機物に起因
する建築物外装の汚れを著しく低減することができる。
【0033】外装建材の上に形成される光触媒膜として
は、従来公知の種々の光触媒膜とすることができるが、
特に、光触媒膜中又は/及び光触媒膜表面に、酸化剤又
は/及び撥油剤を添加又は/及び担持させることによっ
て、光触媒膜自体の有機物に対する酸化分解活性を高
め、あるいは光触媒膜と可塑剤、油脂分との化学的親和
性を低下させる、すなわち撥油性を高めたものが好まし
い。これにより、高分子シーリング材に含有されている
可塑剤や油脂分、特にシリコーン系シーリング材に含有
されているシリコーン系オイルが滲み出て付着しても、
これらの可塑剤や油脂分自体及びこれらを媒介として付
着した汚れを速やかに分解でき、あるいは、可塑剤、油
脂分と光触媒膜の界面に水が入り込み易くなり、水によ
り容易に洗浄可能とすることができる。
【0034】前述したように、シーリング材から滲み出
てくる可塑剤や油脂分の拡散、滞留速度が、光触媒作用
による酸化分解速度や親水性による洗浄速度を上回った
場合、汚れが生じる。さらに、特にシリコーン系シーリ
ング材から滲み出てくるシリコーン系オイルの場合、こ
のオイル自体が光触媒作用で変質して光触媒膜との化学
的親和性に富んだものとなるため、その除去が困難にな
る。このような現象に起因する汚れの除去は、特に、光
触媒膜中又は/及び光触媒膜表面に酸化剤を添加又は/
及び担持させ、光触媒作用による有機物酸化分解と酸化
剤による有機物酸化分解の相乗効果で有機物酸化分解能
力を著しく向上させることによって効果的に行なうこと
ができる。また、シリコーン系オイルに関しても、酸化
分解によってその側鎖のメチル基を全て酸化分解すれ
ば、最終的には疎水性を示さなくなる。
【0035】このような酸化剤としては、例えば、Na
2CrO4等のクロム酸塩及びクロム酸関連化合物、KM
nO4等の過マンガン酸塩、AgNO3等の硝酸塩及び硝
酸関連化合物、CuSO4等の硫酸塩、FeCl3等の金
属塩化物類、CuO、Ag2O等の酸化物などが挙げら
れる。また、上記酸化剤の他に、光触媒膜中又は/及び
光触媒膜表面に、光触媒作用促進剤としてAu、Ag、
Pt、Pd、Cu等の金属や金属イオン、これらの金属
の塩化物、硫化物、硝酸化合物等の金属化合物の少なく
とも1種を添加又は/及び担持させることによって、光
触媒作用がさらに向上し、汚染をさらに低減することが
できる。なお、これらの金属や金属化合物の大部分は、
前述した抗菌性金属もしくは抗菌性金属化合物としても
作用する。
【0036】また、通常の光触媒膜は、光照射下で水の
接触角が小さくなるという親水化と同時に、各種油脂成
分の接触角も低下するという親油化現象を起こすことが
知られている。すなわち、光照射下の光触媒膜表面は、
水のみならず各種油脂成分に対する化学的親和性に優れ
ているため、油脂分が付着した場合、この油脂分と光触
媒膜の界面に水が入り込んで油脂分を浮かび上がらせる
ことが困難となっている。しかし、光触媒膜中又は/及
び光触媒膜表面に撥油剤を添加又は/及び担持させて光
触媒膜を撥油化し、光触媒膜表面と油脂分の化学的親和
性を小さくすれば、油脂分と光触媒膜の界面に水が入り
込んで油脂分を浮かび上がらせ易くなり、この浮かび上
がった油脂分は水で容易に洗い流すことが可能になる。
【0037】このような撥油剤としては、フッ素化合
物、シリコン化合物等の撥油性を示す化合物が挙げら
れ、光触媒膜中にこれらの撥油剤を添加したり、光触媒
膜表面に塗布するなど、種々の態様で実施できる。特に
フッ素化合物等の撥油性化合物を添加もしくは塗布する
と、光触媒膜に撥油性が付与され、シーリング材から滲
み出てくる可塑剤や油脂等と光触媒膜の化学的親和性が
小さくなり、これら油脂分を水で容易に洗い流すことが
可能になる。
【0038】以上のように、光触媒微粒子を担持させた
シーリング材を用いると共に、光触媒活性を向上させ、
又は可塑剤、油脂分との化学的親和性を低減させ、ある
いはこれら両方の対策を講じた光触媒膜を形成した外装
建材を用いることにより、可塑剤や油脂分に起因する汚
れを大きく低減でき、光触媒膜の親水性を長期間に亘っ
て維持できるので、防汚性、易洗浄性に優れたものとな
り、雨水等によって容易に汚れが洗い流されてきれいな
美観を維持できるセルフクリーニング性に優れた建築物
外装を提供できる。また、通常の清掃作業で取り除くこ
とが困難なシリコーン系オイルに起因する汚れを防止す
ることができ、建築物外装面の清掃等の頻度を大幅に低
減できるばかりでなく、光触媒作用による抗菌・防黴性
によって黴等に起因する汚れも防止することができる。
【0039】前記光触媒膜としては、光触媒作用を示す
半導体そのものからなる薄膜や、光触媒微粒子のみから
形成される薄膜、抗菌性金属又は抗菌性金属化合物の微
粒子を担持する光触媒微粒子から形成される薄膜、さら
には、光触媒微粒子あるいはさらに必要に応じて抗菌性
金属又は抗菌性金属化合物の微粒子を適当な無機系、有
機系のバインダーや塗料中に添加、分散した混合物から
形成した膜など、種々の態様を含む。また、光触媒膜の
構造は、連続薄膜、不連続薄膜、島状分散薄膜等のいず
れの構造であってもよく、さらに単一層に限られるもの
ではなく、多層構成としてもよい。例えば、半導体微粒
子もしくは半導体微粒子を含む材料からなる光触媒膜
と、さらに膜中又は/及び膜表面に前記したようにして
酸化剤又は/及び撥油剤あるいはさらに光触媒作用促進
剤を添加又は/及び担持させた光触媒膜との二層構造と
することもできる。
【0040】さらに、各種有機材料や有機被膜を形成し
た材料上に光触媒膜を形成する場合、光触媒作用によっ
て有機基材(有機被膜)が侵されないように、有機基材
(有機被膜)と光触媒膜との間に、光触媒作用により侵
されない材料からなる膜厚約3.2μm以上の中間層を
介在させることが好ましい。光触媒作用により侵されな
い中間層としては、シリカ、アルミナ、酸化インジウ
ム、酸化ジルコニウム、SiO2+MOx(MOxはP2
5、B23、ZrO2、Ta25等の少なくとも1種の金
属酸化物)、あるいは窒化物、酸窒化物、硫化物、炭化
物、カーボン等のセラミックス、金属などの各種無機材
料の薄膜を好適に用いることができる。また、光触媒作
用によって侵されない、もしくは非常に侵され難いシリ
コーン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等の有機材料
の薄膜も用いることができる。なお、これらの材料は光
触媒微粒子の分散塗料の基剤(バインダー)としても使
用できる。
【0041】
【実施例】以下、実施例、比較例及び試験例を示して本
発明の効果についてさらに具体的に説明するが、本発明
が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりで
ある。
【0042】比較例1 図7に示す形状及びサイズのアルミ合金A1100から
なる曲げ加工材11の凹部12に、信越シリコーン
(株)製シリコーン系シーリング剤「シーラント45」
を充填した。
【0043】比較例2 可塑剤としてジオクチルフタレイト(DOP)を40重
量%含有する塩化ビニルコンパウンドを押出成形し、断
面20mm平方の塩化ビニル樹脂成形体からなるシーリ
ング材を作製した。このシーリング材を、前記アルミ曲
げ加工材11の凹部12にエポキシ系接着剤を用いて貼
り付けた。
【0044】実施例1 前記アルミ曲げ加工材11の凹部12に、石原産業
(株)製酸化チタン粉末「ST−41」を30重量%添
加した信越シリコーン(株)製シリコーン系シーリング
剤「シーラント45」を充填し、図8に示すように、シ
リコーン系シーリング剤13中に酸化チタン微粒子14
を分散させた構造とした。
【0045】実施例2 前記アルミ曲げ加工材11の凹部12に、信越シリコー
ン(株)製シリコーン系シーリング材「シーラント4
5」を充填し、その乾燥・固化前に石原産業(株)製酸
化チタン粉末「ST−41」をエアスプレーで吹き付
け、図9に示すように、シリコーン系シーリング剤13
表面にのみ酸化チタン微粒子14を担持させた。
【0046】実施例3 前記アルミ曲げ加工材11の凹部12に、信越シリコー
ン(株)製シリコーン系シーリング剤「シーラント4
5」を凹部の底から18mmの高さだけ充填し、その乾
燥・固化前に石原産業(株)製酸化チタン粉末「ST−
41」を30重量%添加・混練した当該シーリング剤を
2mmの厚さに充填し、図10に示すように、シリコー
ン系シーリング剤13のみからなる層とシリコーン系シ
ーリング剤13中に酸化チタン微粒子14が分散した層
の二層構造とした。
【0047】実施例4 前記アルミ曲げ加工材11の凹部12に、比較例1と同
様に信越シリコーン(株)製シリコーン系シーリング剤
「シーラント45」を充填し、その乾燥・固化後、シー
リング部を除きアルミ曲げ加工材にマスキングを施し、
その後、石原産業(株)製光触媒膜コーティング薬剤
「ST−K03」をスプレーで塗布し、150℃で30
分間加熱して硬化させた。その後、マスキングテープを
取り除き、図11に示すように、シリコーン系シーリン
グ剤13のみからなる層と光触媒膜15の二層構造とし
た。
【0048】実施例5 前記アルミ曲げ加工材11の凹部12に、比較例1と同
様に信越シリコーン(株)製シリコーン系シーリング剤
「シーラント45」を充填し、その乾燥・固化後、シー
リング部を除きアルミ曲げ加工材にマスキングを施し、
その後、日本曹達(株)製シリコーン系コーティング薬
剤「ビストレーターL、NSC−200A」をスプレー
で塗布し、90℃で30分間加熱して硬化させ、さらに
この上に、日本曹達(株)製光触媒膜コーティング薬剤
「ビストレーターL、NSC−200C」をスプレーで
塗布し、120℃で30分間加熱して硬化させた。その
後、マスキングテープを取り除き、図12に示すよう
に、シリコーン系シーリング剤13のみからなる層の上
に中間層16を介して光触媒膜15を形成した三層構造
とした。
【0049】実施例6 比較例2と同様にして前記アルミ曲げ加工材11の凹部
12に接着した塩化ビニル樹脂成形体からなるシーリン
グ材上に、サンスター(株)製変成シリコーン系シーリ
ング剤「ペンギンシール2520」を用い、図13に示
すように、塩化ビニル樹脂成形体からなるシーリング1
7材上に厚さ2mmの変成シリコーン系シーリング剤層
18を形成した。
【0050】実施例7 前記アルミ曲げ加工材11の凹部12に、信越シリコー
ン(株)製シリコーン系シーリング剤「シーラント4
5」を凹部の底から18mmの高さだけ充填し、その乾
燥・固化前にサンスター(株)製変成シリコーン系シー
リング剤「ペンギンシール2520」を2mmの厚さに
充填し、図14に示すように、シリコーン系シーリング
剤13のみからなる層と変成シリコーン系シーリング剤
層18の二層構造とした。
【0051】試験例1 前記実施例1〜7及び比較例1、2において処理した各
アルミ曲げ加工材並びに凹部にシリコーン系シーリング
剤を充填していないアルミ曲げ加工材そのもの(対照)
を屋外に50日間暴露し、シーリング材下部(図7のA
部)及びアルミ曲げ加工材下端部(図7のB部)の汚染
状況を色差変化ΔEによって判定した。ここで、ΔE
は、暴露前の色相と暴露後の色相の差異を示し、この数
字が大きいほど汚染状況が顕著であったことを示す。そ
の結果を表1に示す。
【0052】
【表1】 表1に示す結果から、単なるアルミ曲げ加工材の対照に
比べて、比較例1、2のシーリング材を使用した試料の
方が色差が大きく、シーリング材に含有されている可塑
剤や油脂分が汚染原因となっていることが確認できる。
また、比較例1、2と実施例1〜7を比較すると、各実
施例の方が色差は著しく小さく、光触媒を利用あるいは
シーリング材上に可塑剤や油脂分の滲み出しを防止する
層を設けることで、可塑剤やシリコーン系シーリング剤
に含有されるシリコーンオイルに起因する汚れを防止で
きることが確認できる。
【0053】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、シーリ
ング材に光触媒微粒子を共存せしめ、その光触媒作用で
各種シーリング材に含有される可塑剤、油脂等、特にシ
リコーン系シーリング材に含有されるシリコーン系オイ
ルを分解あるいは変質させることにより、あるいは可塑
剤や油脂分の滲み出しを防止する層を設けることによ
り、効果的にそれらの滲み出しを低下させることができ
る。その結果、シーリング材に含有される可塑剤、油脂
等、特にシリコーン系シーリング材に含有されるシリコ
ーン系オイルの滲み出しに起因する建築物外装の汚染を
低減できる。この低減効果は光触媒作用によるものであ
り、光触媒自体は変化することがないため、長期間に亘
って建築物外装の汚れ低減を図ることができる。また、
光触媒微粒子は光照射下で生じる活性酸素種により抗菌
・防黴効果を発揮することが知られており、シーリング
材に含有される可塑剤、油脂分の滲み出しによる外装建
材の汚れを低減できるのみならず、菌や黴の発生による
シーリング材自体の意匠低下をも防止することが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の建築用シーリング材の一態様を示す概
略部分断面図である。
【図2】本発明の建築用シーリング材の別の態様を示す
概略部分断面図である。
【図3】本発明の建築用シーリング材のさらに別の態様
を示す概略部分断面図である。
【図4】本発明に従って共押出しにより二層構造のシー
リング材を製造する装置の一例の概略構成図である。
【図5】図4に示す装置で作製されたシーリング材の断
面図である。
【図6】本発明の建築用シーリング材のさらに他の態様
を示す概略部分断面図である。
【図7】試験例に用いたアルミ曲げ加工材の形状及びサ
イズを示す概略図(正面図(a)と縦断面図(b))で
ある。
【図8】実施例1で作製したシーリング材試料をアルミ
曲げ加工材の凹部に取り付けた状態を示す概略部分縦断
面図である。
【図9】実施例2で作製したシーリング材試料をアルミ
曲げ加工材の凹部に取り付けた状態を示す概略部分縦断
面図である。
【図10】実施例3で作製したシーリング材試料をアル
ミ曲げ加工材の凹部に取り付けた状態を示す概略部分縦
断面図である。
【図11】実施例4で作製したシーリング材試料をアル
ミ曲げ加工材の凹部に取り付けた状態を示す概略部分縦
断面図である。
【図12】実施例5で作製したシーリング材試料をアル
ミ曲げ加工材の凹部に取り付けた状態を示す概略部分縦
断面図である。
【図13】実施例6で作製したシーリング材試料をアル
ミ曲げ加工材の凹部に取り付けた状態を示す概略部分縦
断面図である。
【図14】実施例7で作製したシーリング材試料をアル
ミ曲げ加工材の凹部に取り付けた状態を示す概略部分縦
断面図である。
【符号の説明】
1 シーリング材 2 高分子基材 3 光触媒微粒子 4 光触媒微粒子混在層 5 高分子材料層 6 表層材 7 内部基材 10 共押出用ダイ 11 アルミ曲げ加工材 12 凹部 13 シリコーン系シーリング剤 14 酸化チタン微粒子 15 光触媒膜 16 中間層 17 塩化ビニル樹脂成形体製シーリング材 18 変成シリコーン系シーリング剤層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中田 信之 富山県黒部市堀切1300 (72)発明者 今井 貴志 富山県滑川市上小泉13 (72)発明者 福井 英夫 富山県黒部市三日市4016 (72)発明者 番匠 信幸 富山県黒部市天神新115 (72)発明者 藤嶋 昭 神奈川県川崎市中原区中丸子710番地5 (72)発明者 橋本 和仁 神奈川県横浜市栄区飯島町2073番地2 ニ ューシティ本郷台D棟213号 Fターム(参考) 2E001 DA01 DH00 DH23 FA03 FA09 FA10 FA16 FA51 GA01 GA03 GA06 GA86 HD11 HD13 HE01 JB01 MA02 MA06 4G069 AA08 BA04B BA48A BA48C BE32A BE32B BE32C CA10 CA11 FB24 4H017 AA04 AA24 AA39 AB15 AC07 AC14 AC16 AD06 AE03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可塑剤、油脂等の有機物を含有するシー
    リング材において、光触媒作用を有する半導体微粒子も
    しくは半導体微粒子を含む粒子を共存せしめ、上記可塑
    剤、油脂等の有機物を光触媒作用で分解又は変質させる
    ことにより該シーリング材からの有機物の滲み出しを低
    減し、該有機物付着に起因する建築物の汚れを低減する
    ようにしたことを特徴とする建築用シーリング材。
  2. 【請求項2】 シリコーン系オイルを含有するシリコー
    ン系シーリング材において、光触媒作用を有する半導体
    微粒子もしくは半導体微粒子を含む粒子を共存せしめ、
    上記シリコーン系オイルを光触媒作用で分解又は変質さ
    せることにより該シーリング材からのシリコーン系オイ
    ルの滲み出しを低減し、該シリコーン系オイル付着に起
    因する建築物の汚れを低減するようにしたことを特徴と
    する建築用シーリング材。
  3. 【請求項3】 光触媒作用を有する半導体微粒子もしく
    は半導体微粒子を含む粒子がシーリング材中に分散して
    いることを特徴とする請求項1又は2に記載の建築用シ
    ーリング材。
  4. 【請求項4】 光触媒作用を有する半導体微粒子もしく
    は半導体微粒子を含む粒子がシーリング材の表面部に存
    在していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか
    一項に記載の建築用シーリング材。
  5. 【請求項5】 シーリング材上に光触媒作用を有する半
    導体微粒子もしくは半導体微粒子を含む粒子を含有する
    層が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の建築用シーリング材。
  6. 【請求項6】 シーリング材上に形成された光触媒作用
    を阻害する層の上に、光触媒作用を有する半導体微粒子
    もしくは半導体微粒子を含む粒子を含有する層が形成さ
    れていることを特徴とする請求項1又は2に記載の建築
    用シーリング材。
  7. 【請求項7】 可塑剤、油脂等の有機物を含有するシー
    リング材において、その表面に上記可塑剤、油脂等の有
    機物の滲み出しを防止する層が形成され、該有機物付着
    に起因する建築物の汚れを低減するようにしたことを特
    徴とする建築用シーリング材。
  8. 【請求項8】 シリコーン系オイルを含有するシリコー
    ン系シーリング材において、その表面に上記シリコーン
    系オイルの滲み出しを防止する層が形成され、該シリコ
    ーン系オイル付着に起因する建築物の汚れを低減するよ
    うにしたことを特徴とする建築用シーリング材。
  9. 【請求項9】 前記請求項1乃至8に記載の建築用シー
    リング材を用いて施工された建築物外装。
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