JP4082033B2 - 交流電気鉄道の電源設備 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新幹線などの交流電気鉄道の電源設備に係り、特に電気車が異電源区間を通過するための電源切替セクションに関する。
【0002】
【従来の技術】
新幹線などの交流電気鉄道では、3相電力系から単相電力を得るのに、3相電圧不平衡を軽減するため、3相−2相変換器としてスコットトランスを用い、二次側に2つの単相(M座とT座)電源を得ている。他の方式として、ウッドブリッジトランスを用い、二次側に2つの単相(A座とB座)電源を得ている。
【0003】
このようなトランスを設けた電気鉄道変電所からトロリー線に電力供給するのに、変電所直下およびき電区分所には異電源突き合わせの切替セクションが設けられる。
【0004】
この切替セクション構成を図7に新幹線用の場合で示す。新幹線では先頭側車両と後尾側車両のパンタグラフ間をブス引き通し(ケーブル)で接続しており、切替セクションは、車両の最大パンタグラフ間隔以上になる距離(一般に1000m)で設けられるエアセクションD1,D2の間を中セクションとし、エアセクションD1,D2の両端と中セクション間に開閉器(切替遮断器)SW1,SW2を設けた構成とする。
【0005】
この構成により、全車両が中セクション範囲内に到達するまでは、開閉器SW1を閉、開閉器SW2を開としておくことで開閉器SW1側の電源から電力を供給し続け、全車両が中セクションを走行中に開閉器SW1を開、開閉器SW2を閉と切り替えることで開閉器SW2側の電源から電力の供給を開始する。これにより、開閉器の切換時に瞬時停電はあるが連続した電力供給を可能にし、新幹線の運転者は、異電源区間の通過を意識することなく、そのままエアセクションの走行運転ができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電源設備では、切替セクションに適用されている切替遮断器SW1,SW2は、電気車の通過の度に開閉動作を行うため、寿命が短く、定期的な設備点検及び設備更新が必要であり、コスト的に大きな負担となっている。
【0007】
また、切替遮断器の開閉サージは、投入位相等の条件によっては過大な電圧が発生することもあり、切替遮断器の極間短絡事故も起きている。
【0008】
上記の課題を解決する方法として、半導体素子をスイッチ手段とする静止形の切替遮断器の開発も試みられているが、未だ実用化に至っていない。
【0009】
本発明の目的は、上記の各課題を解決した交流電気鉄道の電源設備を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の課題を解決するため、切替遮断器に代えて、中セクションに電力を供給できる別電源装置を設け、この別電源装置の電圧を位相制御して、電気車が中セクションに進入する前および電気車の全車両が中セクションに進入するまでは「それまで電気車に電力を供給していた側の電源」と同等の電圧と位相に制御し、電気車が中セクションを抜け出す前および電気車の全車両が中セクションを抜け出すまでは「これから電気車に電力を供給する側の電源」と同等の電圧と位相に制御するようにしたものであり、以下の構成を特徴とする。
【0011】
(1)異電源突き合わせ箇所に切替セクションを設け、前記切替セクションは一対のエアセクションとその間に中セクションを設け、前記中セクションに電圧と位相を制御して電力を供給できる別電源装置を設け、
前記別電源装置は、電気車が前記中セクションに進入する前および電気車の全車両が中セクションに進入するまでは「それまで電気車に電力を供給していた側の電源」と同等の電圧と位相に制御し、電気車が前記中セクションを抜け出す前および電気車の全車両が中セクションを抜け出すまでは「これから電気車に電力を供給する側の電源」と同等の電圧と位相に制御する構成とした交流電気鉄道の電源設備において、
前記別電源装置は、前記両方の異電源からそれぞれ電圧変成した出力を得る一対のトランスと、前記異電源の一方を電源とし、前記一対のトランスの二次出力の合成電圧に直交しかつ180度回転させる位相制御をして該一対のトランスの出力と合成して前記中セクションに電力を供給できるインバータ電源装置とを備えたことを特徴とする。
【0014】
異電源突き合わせ箇所に切替セクションを設け、前記切替セクションは一対のエアセクションとその間に中セクションを設け、前記中セクションに電圧と位相を制御して電力を供給できる別電源装置を設け、
前記別電源装置は、電気車が前記中セクションに進入する前および電気車の全車両が中セクションに進入するまでは「それまで電気車に電力を供給していた側の電源」と同等の電圧と位相に制御し、電気車が前記中セクションを抜け出す前および電気車の全車両が中セクションを抜け出すまでは「これから電気車に電力を供給する側の電源」と同等の電圧と位相に制御する構成とした交流電気鉄道の電源設備において、
前記別電源装置は、前記異電源の一方を電源として充電しておく大容量キャパシタを直流電源とし、前記電圧と位相を制御して前記中セクションを走行中の電気車に電力を供給できるインバータ電源装置としたことを特徴とする。
【0016】
異電源突き合わせ箇所に切替セクションを設け、前記切替セクションは一対のエアセクションとその間に中セクションを設け、前記中セクションに電圧と位相を制御して電力を供給できる別電源装置を設け、
前記別電源装置は、電気車が前記中セクションに進入する前および電気車の全車両が中セクションに進入するまでは「それまで電気車に電力を供給していた側の電源」と同等の電圧と位相に制御し、電気車が前記中セクションを抜け出す前および電気車の全車両が中セクションを抜け出すまでは「これから電気車に電力を供給する側の電源」と同等の電圧と位相に制御する構成とした交流電気鉄道の電源設備において、
前記別電源装置は、変電所またはき電区分所に設備される負荷平衡補償装置の双方向電力変換器を直流電源とし、前記電圧と位相を制御して前記中セクションを走行中の電気車に電力を供給できるインバータ電源装置としたことを特徴とする。
【0017】
)前記インバータ電源装置は、2重系の負荷平衡補償装置の双方向電力変換器をそれぞれ直流電源とし、電気車の上り方面と下り方面の両切替セクションに対して個別に電力を供給できる双対のインバータ本体とその制御回路としたことを特徴とする。
【0019】
)前記切替セクションは、電気車の進行状態に応じて両異電源と前記中セクション間を接続できる一対のバックアップ用切替遮断器を設けたことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
(基本構成)
図1は、切替セクションの基本構成を示す。新幹線用の切替セクション構成において、切替遮断器SW1,SW2を省き、中セクションには電圧と位相を制御可能にした別電源装置PSを設ける。
【0021】
この別電源装置PSの電圧と位相制御は、電気車がM座(又はA座)電源から電力供給されて中セクションに進入するときにM座電源のそれに合わせておくことで、電気車が中セクションに進入および走行する際にM座電源と別電源装置との間に同期状態を得る。
【0022】
また、電気車が中セクションからT座(又はB座)電源側に進入するときに、別電源装置の電圧と位相をT座の電源のそれに合わせておくことで、電気車かT座電源に進入および中セクションから抜け出す際にT座電源と別電源装置との間に同期状態を得る。
【0023】
以上の切替セクション構成によれば、中セクションに電源を供給するための従来の切替遮断器SW1,SW2が不要となり、従来の切替セクションでの切替遮断器SW1,SW2の寿命、点検と更新の必要性、開閉サージの発生などの課題を解決することができる。
【0024】
なお、別電源装置の電圧制御と位相制御は、電気車の制御との兼ね合いで急激に制御すると互いに干渉しあうため、電気車が中セクションを通過する時間から割り出して数秒間に亙って徐々に変化させるのが好ましい。
【0025】
(実施形態1)
図1の別電源装置PSとして、インバータ電源装置を用いた場合の実施形態を図2に示す。インバータ電源装置のインバータ本体1は、IGBT等の半導体スイッチとフライホイールダイオードからなるアームの単相ブリッジ接続で電圧形逆変換部を構成し、そのスイッチのゲート制御によってコンバータ2から供給される直流電力を電圧と位相を制御した単相交流に変換し、この出力を出力トランス3を介して中セクションに供給する。コンバータ2は図示ではT座電源側から交流電力を取り込む場合を示すがM座電源側から電力を取り込むことでもよい。
【0026】
インバータ電源装置INVの制御回路4は、切換制御部4Aと位相制御部4Bと電圧制御部4Cおよび出力制御部4Dで構成し、インバータ本体1にM座電源またはT座電源に同期した出力を得るための制御を行う。
【0027】
切換制御部4Aは、選択指令に応じてM座電源とT座電源を切り換えてその位相と電圧信号をアナログ信号またはディジタル信号で取得する。これら信号は電圧変成器(PT)5、6によって適当なレベルに降圧したものから得る。
【0028】
位相制御部4Bは切換制御部4Aが選択した入力信号の位相を検出し、この位相に追従させた位相制御信号を発生する。電圧制御部4Cは切換制御部4Aが選択した入力信号の電圧を検出し、この電圧に追従させた電圧制御信号を発生する。
【0029】
インバータ出力制御部4Dは、位相制御部4Bと電圧制御部4Cからの位相および電圧制御信号に追従した交流出力を得るのに必要なゲート信号を生成し、このゲート信号でインバータ本体1の半導体スイッチをオン・オフ制御する。このゲート制御により、インバータ本体1にM座電源またはT座電源の周波数と位相および電圧で同期した交流出力を得る。なお、ゲート信号としては、インバータ本体の交流出力に正弦波を得るPWM制御できるものが好ましい。
【0030】
切換制御部4Aに与える選択指令は、中セクションに対する電気車の進行に応じたタイミングで発生する。この選択指令は、電気車の位置を基に発生するもので、電気車の位置は、例えば、切替セクションの前後位置でレール側に設けた誘導電流方式の電気車検知器で検出する方法とすることができる。
【0031】
以上の構成により、電気車がM座電源側から中セクションに進入する前および全車両が中セクションに進入するまでは、インバータ電源装置の運転をM座電源と同等の電圧と位相に制御しておくことで、電気車が中セクションに進入開始時および全車両が中セクションを通過中には、電気車には瞬時停電なくかつM座電源と同期した電力をインバータ電源装置から供給することができる。
【0032】
また、電気車が中セクションを抜け出す前および全車両が中セクションを抜け出すまでは、インバータ電源装置の運転をT座電源と同等の電圧と位相に制御しておくことで、電気車が中セクションから抜け出すとき及び全車両がT座電源側に進入するまでは、電気車には瞬時停電なくかつT座電源と同期した電力をインバータ電源装置から供給することができる。
【0033】
(実施形態2)
図1の別電源装置PSとして、インバータ電源装置とトランスを用いた場合の実施形態を図3の(a)に示す。
【0034】
インバータ電源装置7は、図2の場合と同様の構成要素(1、2、4〜6)を有して単相出力を得、出力トランス8の二次側に出力する。トランス9はM座電源を一次入力とし、二次側にM座電源と同じ位相で電圧変成した出力を得る。同様に、トランス10はT座電源を一次入力とし、二次側にT座電源と同じ位相で電圧変成した出力を得る。各トランス8〜10の二次出力は直列接続で合成して中セクションへ電力を供給する。
【0035】
この構成において、トランス9と10の二次出力には、それぞれM座電源とT座電源とは異相で電圧値が1/√2のものを得る。これにより、これらの合成出力には、図3の(b)に示すように、直交するM座電圧とT座電圧に対して電気角45度の電圧Vmtを得ることができる。
【0036】
一方、インバータ電源装置7は、M座電源またはT座電源の電圧を基準位相とし、電圧が1/√2で、位相が電圧Vmtに直交しかつ選択指令で180度回転できる電圧Vinvを得る。
【0037】
この電圧Vinvをトランス8に得ることで、トランス8〜10の合成出力は、図3の(b)に示すように、上記のVmtとVinvとの合成になる。これにより、中セクションに供給する交流出力には、電気車がM座電源側から中セクションに進入してしまうまでは、インバータ電源装置への選択指令によって、電圧および位相をM座電源のそれに一致させることができる。また、電気車が中セクションから抜け出すときには、インバータ電源装置への選択指令の切換えによって、中セクションに供給する交流出力には、T座電源の電圧および位相に一致させることができる。
【0038】
本実施形態は、実施形態1と同様の作用効果を得ることができる他、中セクションへ供給する電力のうち、インバータ電源装置の出力容量を実施形態1のそれよりも少なくすることができ、インバータ電源装置の小型化、コストダウン、信頼性向上を図ることができる。
【0039】
(実施形態3)
図1の別電源装置PSとして、インバータ電源装置と大容量キャパシタを用いた場合の実施形態を図4に示す。
【0040】
インバータ電源装置は、図2の場合と同様にインバータ本体1とコンバータ2や制御回路4などの構成要素(1〜6)を有し、電気車の進行状態に合わせて、M座電源とT座電源の電圧と位相に合わせた単相出力を中セクションに供給する。
【0041】
大容量キャパシタ11は、電解コンデンサまたは電気二重層キャパシタなど、電気車の走行に必要な電力程度の直流電力を放電できる容量を有し、インバータ本体1に対してコンバータ2と併用して直流電力を供給する。
【0042】
本実施形態によれば、インバータ電源装置から中セクションを通して電気車に電力を供給するとき、その電力の大部分を大容量キャパシタ11の放電で賄うことができる。そして、電気車が中セクションを抜け出した後には、コンバータ2から大容量キャパシタ11に小電流で充電しておくことができる。
【0043】
そして、インバータ電源装置が中セクションに電力を供給する時間は短時間(一般には数秒)になるため、その直流電源として大容量キャパシタ11を利用することで、コンバータ2の容量を小さく、かつ安価にできる。
【0044】
なお、本実施形態の構成は、図3に示すインバータ電源装置7に適用することができる。
【0045】
(実施形態4)
図1の別電源装置PSとして、電気車の上り方面と下り方面の2種系統のき電構成に適用するためのインバータ電源装置の実施形態を図5に示す。
【0046】
図5に示すインバータ電源装置は、上り方面のき電線と下り方面のき電線に対して、それぞれ出力トランス3A,3Bと、インバータ本体1A,1Bおよび制御回路4A,4Bを設け、コンバータ2は上り方面のT座を電源として両インバータ本体1A,1Bに直流電力を供給する共用方式とする。
【0047】
本実施形態において、インバータ本体1A,1Bの制御は前記までの実施形態と同様にされ、電圧と位相を切換制御して中セクションを通過する電気車に必要な電力を供給する。
【0048】
本実施形態のメリットは、コンバータ2の容量が増加する可能性があるが、その台数を半減させることができる。容量増加に対しては、数秒間の短時間定格のため、さらに上下両方面に電気車が位置する可能性が少ないため、コストアップや寸法等にあまり影響を及ぼすことはない。
【0049】
なお、コンバータ2の電源は、片方面のき電異常も有り得るため、切換スイッチ等によってき電線切換え可能としておくのが好ましい。
【0050】
また、本実施形態において、インバータ電源装置の構成として、実施形態2または実施形態3の構成を適用できる。
【0051】
(実施形態5)
図1の別電源装置PSとして、負荷平衡補償装置(RPC)を直流電源として利用したインバータ電源装置の構成を図8に示す。
【0052】
負荷平衡補償装置は、電鉄用変電所に設けられるスコットトランス12のM座,T座間の負荷を平衡化させ、電源の三相平衡化と電圧変動を抑制する。この装置構成は、スコットトランス12のM座側とT座側に、それぞれトランス13A,13Bと双方向電力変換器14A,14Bとを設け、電力変換器14A,14Bの直流側を互いに接続しておき、電力変換器14A,14Bの順/逆電力変換制御を可能にした制御装置15を設けておく。
【0053】
この構成により、電気車AがM座側を力行中で、スコットトランス12のM座側の負荷が大きく、T座側の負荷が小さくなる場合、電力変換器14Bから電力変換器14Aに電力融通を行うことで、M,T座間の負荷の平衡化と電圧変動を抑制する。逆に、電気車AがT座側を力行中には、電力変換器14Aから電力変換器14Bに電力融通を行い、M,T座間の負荷の平衡化と電圧変動を抑制する。
【0054】
本実施形態は、負荷平衡補償装置の電力変換器14A,14Bの直流側が互いに接続され、両電力変換器14A,14Bから直流電力を取り出せることを利用し、これを直流電源とすることで図2等におけるコンバータ2を不要にしたものである。
【0055】
図8において、電気車Aが中セクションを通過中には、電力変換器14A,14Bを通してインバータ本体1に直流電力を供給し、図2の場合と同様の制御装置4によりインバータ本体1の電圧と位相制御をし、インバータ本体1からM座またはT座と同期した交流電力をトランス3を通して電気車に供給する。
【0056】
したがって、インバータ電源装置としては、負荷平衡補償装置をコンバータとして利用でき、装置のコストダウンを図ることができる。
【0057】
また、電力変換器14A,14Bからインバータ本体1に供給する電力は、電気車が中セクション内を通過中のみであり、しかも電力変換器14A,14Bで負荷分散されるため、負荷平衡補償装置はその補償電力容量を高めることなく、既存のものをそのまま利用することができる。
【0058】
また、負荷平衡補償装置は、多数の電気車がM座側またはT座側の一方のみを走行中という最大の不平衡状態にも対応できるよう電力容量が設計されており、このような運行状態は実際には殆どなく、通常には低い補償電力容量領域で運用されているため、高価な装置ではあるがその稼働率が低いものであった。これに対して、本実施形態では負荷平衡補償装置をコンバータとして利用するため、負荷平衡補償装置自体を有効利用し、そのコストパフォーマンスを高めることができる。
【0059】
図9は、変電所に設置される負荷平衡補償装置を利用した場合の具体例を示す。負荷平衡補償装置は、通常、鉄道の上り線と下り線にそれぞれ設備した2重系構成にされるため、一対のインバータ本体1A,1Bから上り線と下り線の中セクションにそれぞれ電力供給を行い、しかもインバータ本体を双対とした2重系構成とするのに、それらの直流電力を2重系の負荷平衡補償装置からそれぞれ供給する構成とする。これにより、負荷平衡補償装置またはインバータ本体の一方の系に不具合が発生した場合にも、中セクションへの電力供給のための電源確保を確実にし、信頼性を高めることができる。
【0060】
同様に、図10は、き電区分所に設置される負荷平衡補償装置を利用した場合の具体例を示し、この場合にも中セクションへの電力供給のための電源確保を確実にし、信頼性を高めることができる。
【0061】
なお、本実施形態において、インバータ電源装置の構成として、実施形態2または実施形態3の構成を適用できる。
【0062】
(変形例1)
以上までの実施形態においては、従来の切替遮断器SW1,SW2を省いた構成を示すが、電気鉄道が公共設備になるため、別電源装置に不具合が発生したときに電気鉄道の停電と同様の運行不能を起こす恐れがある。
【0063】
この別電源装置PSの機能喪失時の対策として、図6に示すように、切替セクションには別電源装置に加えて、バックアップ用の切替遮断器SW1,SW2を設けておくこと、もしくは既存の切替セクションの切替遮断器SW1,SW2を撤去することなく残しておくことにより、別電源装置の不具合時に切替遮断器SW1,SW2による電源切替えを可能にする。
【0064】
この場合、切替遮断器SW1,SW2は、バックアップ用のため、その開閉制御の頻度は極めて小さくなることから、その寿命や開閉サージ等が問題となることはほとんどない。
【0065】
(変形例2)
以上までの実施形態において、電気車がき電線に対して回生制動する機能構成で、上記のバックアップ用の切替遮断器SW1,SW2を設けない切替セクション構成では、電気車が中セクションを通過中に制動運転すると、短時間ではあるがその回生電力を別電源装置が吸収する必要がある。
【0066】
この対策として、インバータ本体1の直流側に発電制動用の抵抗器とその投入スイッチを設けること、または大容量キャパシタ11の充電電力とすること、もしくはコンバータ2に双方向電力変換機能を設けて回生電力をき電線側に回生する構成とする。
【0067】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、中セクションに電力を供給できる別電源装置を設け、この別電源装置の電圧と位相制御により、電気車が切替セクションを通過する際に必要な電力を供給するようにしたため、従来の切替遮断器SW1,SW2による寿命、点検と設備更新、コスト、開閉サージの課題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の切替セクションの基本構成図。
【図2】本発明の実施形態1を示す構成図。
【図3】本発明の実施形態2を示す構成図。
【図4】本発明の実施形態3を示す構成図。
【図5】本発明の実施形態4を示す構成図。
【図6】本発明の変形例を示す構成図。
【図7】新幹線用の切替セクションの構成図。
【図8】本発明の実施形態5を示す構成図。
【図9】実施形態5の具体例を示す構成図。
【図10】実施形態5の具体例を示す構成図。
【符号の説明】
PS…別電源装置
SW1,SW2…切替遮断器
1、1A、1B…インバータ本体
2…コンバータ
4、4A、4B…制御回路
7…インバータ電源装置
8〜10…トランス
11…大容量キャパシタ
12…スコットトランス
13A,13B…トランス
14A,14B…インバータ本体
15…負荷平衡補償装置の制御装置

Claims (5)

  1. 異電源突き合わせ箇所に切替セクションを設け、前記切替セクションは一対のエアセクションとその間に中セクションを設け、前記中セクションに電圧と位相を制御して電力を供給できる別電源装置を設け、
    前記別電源装置は、電気車が前記中セクションに進入する前および電気車の全車両が中セクションに進入するまでは「それまで電気車に電力を供給していた側の電源」と同等の電圧と位相に制御し、電気車が前記中セクションを抜け出す前および電気車の全車両が中セクションを抜け出すまでは「これから電気車に電力を供給する側の電源」と同等の電圧と位相に制御する構成とした交流電気鉄道の電源設備において、
    前記別電源装置は、前記両方の異電源からそれぞれ電圧変成した出力を得る一対のトランスと、前記異電源の一方を電源とし、前記一対のトランスの二次出力の合成電圧に直交しかつ180度回転させる位相制御をして該一対のトランスの出力と合成して前記中セクションに電力を供給できるインバータ電源装置とを備えたことを特徴とする交流電気鉄道の電源設備。
  2. 異電源突き合わせ箇所に切替セクションを設け、前記切替セクションは一対のエアセクションとその間に中セクションを設け、前記中セクションに電圧と位相を制御して電力を供給できる別電源装置を設け、
    前記別電源装置は、電気車が前記中セクションに進入する前および電気車の全車両が中セクションに進入するまでは「それまで電気車に電力を供給していた側の電源」と同等の電圧と位相に制御し、電気車が前記中セクションを抜け出す前および電気車の全車両が中セクションを抜け出すまでは「これから電気車に電力を供給する側の電源」と同等の電圧と位相に制御する構成とした交流電気鉄道の電源設備において、
    前記別電源装置は、前記異電源の一方を電源として充電しておく大容量キャパシタを直流電源とし、前記電圧と位相を制御して前記中セクションを走行中の電気車に電力を供給できるインバータ電源装置としたことを特徴とする交流電気鉄道の電源設備。
  3. 異電源突き合わせ箇所に切替セクションを設け、前記切替セクションは一対のエアセクションとその間に中セクションを設け、前記中セクションに電圧と位相を制御して電力を供給できる別電源装置を設け、
    前記別電源装置は、電気車が前記中セクションに進入する前および電気車の全車両が中セクションに進入するまでは「それまで電気車に電力を供給していた側の電源」と同等の電圧と位相に制御し、電気車が前記中セクションを抜け出す前および電気車の全車両が中セクションを抜け出すまでは「これから電気車に電力を供給する側の電源」と同等の電圧と位相に制御する構成とした交流電気鉄道の電源設備において、
    前記別電源装置は、変電所またはき電区分所に設備される負荷平衡補償装置の双方向電力変換器を直流電源とし、前記電圧と位相を制御して前記中セクションを走行中の電気車に電力を供給できるインバータ電源装置としたことを特徴とする交流電気鉄道の電源設備。
  4. 前記インバータ電源装置は、2重系の負荷平衡補償装置の双方向電力変換器をそれぞれ直流電源とし、電気車の上り方面と下り方面の両切替セクションに対して個別に電力を供給できる双対のインバータ本体とその制御回路としたことを特徴とする請求項3に記載の交流電気鉄道の電源設備。
  5. 前記切替セクションは、電気車の進行状態に応じて両異電源と前記中セクション間を接続できる一対のバックアップ用切替遮断器を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の交流電気鉄道の電源設備。
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