JP4718407B2 - セクション箇所架線切断防止装置 - Google Patents
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Description
すなわち、直流き電方式においては、変電所からトロリ線に電力供給する際、上記エアセクションを変電所直下及びき電区分所に設けることで、事故の際に変電所等に配備されている遮断器を開閉することにより、事故の他の区分に対する波及を防止している。一般に、エアセクションは変電所の目前の箇所に配置され、列車は原則として力行せずに惰行で走行してこのエアセクションを通過することと定められている。
この切り替わり部分は図9に示すように、異なるき電線に接続されるA線及びB線は直接に接続されておらず、大気により絶縁された状態となっている。図9は、トロリ線と電車との位置関係を上方から見た概念図である。
変電所,き電区分所及び断路器ポストなどの電力供給源200に対して、遮断器201及び202により分離されたき電線204,205各々に対して、トロリ線からなるA線及びB線がそれぞれ接続されている。遮断器201及び202は、電力供給源200からのき電線204,205への電力供給を制御する。
ここで、き電線の分離に対応して、A線及びB線がエアセクション203により絶縁されている。
図8は電車のパンタグラフと、A線及びB線との関係を示す横方向、図9は上方向から見た概念図である。
エアセクションにおけるトロリ線の損傷を防止する方法としては、セクションの所定の位置に投光器と光電センサとを用いて、電車がセクションに存在していることを検知し遮断器の制御を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記特許文献1の技術は、センサによる電車の検出により、セクション内に電車が存在していることを検出するが、電車が存在することと、この電車を介してトロリ線に電流が流れているか否かの相関関係がなく、遮断器に対して不要な制御を行う欠点がある。
また、パンタグラフによるエアセクションにおけるトロリ線の短絡に対して、セクションを複数個に分割し、それぞれ分割されたセクション区分にて、トロリ線に流れる電流の制御を行う技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、この特許文献3の技術は、き電線及びトロリ線からなる電車線設備の大規模な変更が必要となるため、変更を行う工事の工期及び費用がかかる欠点がある。
この場合、き電線やトロリ線に流れる電流を検出することのみでは、力行している電車に流れる負荷電流であるのか、エアセクションにおけるトロリ線の短絡により流れる電流であるのかの判別を行うことが困難である。
変電所において、電力供給源200は母線199に接続され、この母線199はき電線204及び205各々と、それぞれ遮断器201及び202を介して接続されている。これら遮断器201及び202は、き電線204,205とレール2とが地絡した際などに、母線199から各き電線を切り離すために設けられている。
このトロリ線206及び207は、従来例と同様にちょう架線208及び209により吊り下げられる構成となっている。
また、電車がき電線204または105とレール2との間に介挿された負荷として存在し、電車,トロリ線206,207(開閉手段を介して接続されたトロリ線及びセクション内トロリ線),き電線204,205,レール2及び変電所からなる「直流き電回路」が構成されている。
また、上記エアセクション3の存在する位置に対応、すなわちエアセクション3のパンタグラフにてショートする領域として、レール2にエアセクション区間が設定されており、この区間の両端各々より外側の位置に、レール電流検出器241及び242が設けられている。
また、電車の長さは図2に示すように、一般的に20mであり、負荷電流を取るモータ付きの車両(電車)は、全編成両数の半分前後の割合となっている場合が多い。
そこで、図3に示すように、レール電流検出器241及び242は、エアセクション3の直下の位置に、数十m(例えば、40m前後)の間隔にて設けられる。
エアセクション遮断器203は、エアセクション3に設けられており、開放されて絶縁状態にあるトロリ線206とトロリ線207とを電気的に接続するか、または開放するかの制御を行う。また、エアセクション遮断器203は、通常、開放状態となっており、異常の際に、保護制御部1により短絡状態とされる。
電車線電流検出器252は、遮断器202とき電線205との間に設けられ、トロリ線207に供給される電車線電流IT2を検出、すなわち測定する。
上記電車線電流検出器251及び252は、従来から母線199とき電線204,205との間に設けられており、新たに配設する構成ではない。
また、保護制御部1は、上記蓄積電圧VR21が予め設定した閾値電圧VAを超えるか否かの判定を行い、蓄積電圧VR21が閾値電圧VAを超えていることを検出した場合、遮断器201及び202を開放させ、蓄積電圧VR21が閾値電圧VAを超えていないことを検出した場合、遮断器201及び202を短絡させる。
上記閾値電圧VAは、電流値と時間との積に依存する値、すなわち電荷が一定以上蓄積されることにより、損傷が発生することが実験的に知られているため、各電車線毎の実験値から求めた数値として設定される。
保護制御部1は、微分電流ΔIT21が予め設定した閾値ΔIL(負の値)を超え、かつ上記差電流IT21がレール電流検出器241の検出するレール電流IR1を所定の割合より下回る時間が閾値時間Tを超えた場合、遮断器203を短絡して、惰行している電車のパンタグラフにより短絡電流を低減させる。
上述した閾値ΔIL及び閾値時間Tは、すでに説明した閾値電圧VAの設定と同様に、電荷が一定以上蓄積されることにより、損傷の発生することが実験的に知られているため、各電車線毎の実験値から求めた数値として設定される。
また、図5は図1における各電流検出器(241,242,252,253)の検出した電流と、それぞれから求められる差分電流ΔIR12,差分電流IT21,微分電流ΔIT21とを示す波形図であり、横軸が時刻を示し、縦軸が電流値を示している。
ここで、レール電流IR1は電車及びレール2を介して電力供給源200に対して流れる電流であり、レール電流IR2は電車及びレール2を介して電力供給源300に対して流れる電流である。
この位置において、電車の負荷電流は、電力供給源200が電力供給源300に対して、電車から近い位置に存在するため、ほぼ電力供給源200に流れる。
これにより、レール電流検出器241及び242ともに、電車に対してH方向に存在するため、ほぼ電流が流れず、同様の電流値のレール電流IR1及びIR2を検出している。
また、電車に流れる負荷電流は、トロリ線206を介して、き電線204から供給されているため、電車線電流検出器251にて検出される電車線電流IT1として検出されている。
また、モータ付き車両の電車がエアセクション区間に進入するため、モータ付き車両がレール電流検出器241とレール電流検出器242との間に位置することとなる。
これにより、上述したように、負荷電流がレール2を介して電力供給源200にほぼ流れるため、レール電流IR1がレール電流IR2に比較して大きな値となる。
このとき、保護制御部1は、レール電流IR1とレール電流IR2との差分である差分電流ΔIR12を積分回路により、電荷量として蓄積していく処理を行う。
このため、上記積分回路に蓄積された電荷量による電圧VR12は、閾値VAを超えることがなく、保護制御部1は各遮断器の制御を行うことはなく、積分回路に蓄積された電荷を放電し、積分回路の初期化を行う。
すなわち、保護制御部1は、電圧VR12が閾値VAを超えずに、レール電流IR1及びIR2が等しく、差分電流ΔIR12がほぼ「0」となると、積分回路の電荷の蓄積をリセットすることとなり、次のモータ付き車両がエアセクション3に進入する状況に対応することができる。
また、モータ付き車両の電車がエアセクション区間に進入するため、モータ付き車両の2車両目がレール電流検出器241とレール電流検出器242との間に位置することとなる。
これにより、上述したように、負荷電流がレール2を介して電力供給源200にほぼ流れるため、レール電流IR1がレール電流IR2に比較して大きな値となる。
このとき、保護制御部1は、時刻t3で記載したように、レール電流IR1とレール電流IR2との差分である差分電流ΔIR12を積分回路により、電荷量として蓄積していく処理を行う。
このため、上記積分回路に蓄積された電荷量による電圧VR12は、閾値VAを超えることがなく、保護制御部1は各遮断器の制御を行うことはなく、積分回路に蓄積された電荷を放電し、積分回路の初期化を行う。
また、モータ付き車両の電車がエアセクション区間に進入するため、モータ付き車両の3車両目がレール電流検出器241とレール電流検出器242との間に位置することとなる。
これにより、上述したように、負荷電流がレール2を介して電力供給源200にほぼ流れるため、レール電流IR1がレール電流IR2に比較して大きな値となる。
このとき、保護制御部1は、時刻t3で記載したように、レール電流IR1とレール電流IR2との差分である差分電流ΔIR12を積分回路により、電荷量として蓄積していく処理を行う。
そして、上述したように、保護制御部1は、積分回路の出力する電圧VR12が閾値VAを超えるか否かの検出処理を行い、電圧VR12が閾値VAを超えたことを検出すると、遮断器201及び202を短絡状態から開放状態へと移行させ、電車への負荷電流の供給を停止する。これにより、エアセクション3において、電車のパンタグラフにより短絡されているトロリ線206及び207の損傷を防止することができる。
また、上述したように、保護制御部1は、トロリ線206に短絡したトロリ線207に対して電流を供給する経路を切断するため、遮断器202を短絡状態から開放状態に移行する。すなわち、本実施形態におけるセクション箇所架線切断防止装置は、事故時の遮断器制御の動作に準じた取り扱いを行うものとする。
この検出時間TPは、一般的な低速で力行している編成車両全てがエアセクションを通過するのに必要な時間を、過去の統計値の平均を取ったものを使用しても良い。
そして、保護制御部1は、一端、遮断器201及び202を開放状態から短絡状態に移行させ、差分電流ΔIR12を求め、予め設定した電流値(差として問題があると実験的に得られた数値)を超えているか否かの検出を行う。
一方、保護制御部1は、差分電流ΔIR12が予め設定した電流値を超えていた場合、再度、遮断器201及び202を短絡状態から開放状態に移行させ、負荷電流の供給を停止させるとともに、管理者に再度通知を行う。
したがって、従来の手法である電車の速度検知やトロリ線での電流検出、ないしは電車線設備への測定のための新たな設備の追加などが、本実施形態においては不要である。
なお、上述した2つの電流検出器を用いて、この電流検出器に挟まれた領域内に、力行して進入する電車の負荷電流を検出する方法は、エアセクションに限定されず駅や車両基地などにも適用可能である。
図7は図6における各電流検出器(241,242,251,252)の検出したレール電流IR1,IR2及び電車線電流IT1,IT2と、それぞれから求められる差分電流ΔIR12,差分電流IT21,微分電流ΔIT21とを示す波形図であり、横軸が時刻を示し、縦軸が電流値を示している。ここで、電車500は惰行して負荷電流を消費していないため、エアセクション区間の外側に存在している場合も、エアセクション区間の内側に存在している場合も、図7に示すように、レール検出電流IR1及びIR2間における差はなく、同様の電流値であり、微分電流ΔIR21は「0」である。
このとき、電車線電流IT1は電車501からき電線204を介して母線199の方向に流れる回生電流であるため、負電流となっている。また、電車線電流IT2は電車502に対してき電線205を介して供給される負荷電流であるため、正電流となっている。
したがって、電車線電流IT2から電車線電流IT1との差電流IT21は、電車線電流IT1の絶対値と電車線電流IR2とを加算した大きな電流となっている。
このとき、差電流IT21の変化量を示す微分電流ΔIT21は、差電流IT21が一定のため、「0」となっている。また、エアセクション3に流れる電流IASは電車500がエアセクション区間に進入していないため「0」である。
このとき、通常、エアセクション3は電力供給源200の前に配置されているため、き電線204に比較して抵抗の大きなトロリ線206,207を介して電流(この例では回生線電流)が流れることはない。
このとき、保護制御部1は、微分電流ΔIT21が予め設定している閾値電流ΔILを超え、かつ差電流IT21がレール電流IR1(及びIR2)に比較して低いことを検出した場合、エアセクション区間に電車500が存在し、電車500のパンタグラフがエアセクション3を短絡させてエアセクション電流が流れていることを検出し、内部のタイマを起動し、時間のカウントを開始する。
ここで、保護制御部1は、タイマによりカウントした時間が閾値時間Tを超える前に、エアセクション3の微分電流IT21が正の電流値となったため、タイマのカウントを終了するとともに、タイマのカウント値を「0」にリセットする。
これにより、保護制御部1は、微分電流ΔIT21が予め設定している閾値電流ΔILを超え、かつ差電流IT21がレール電流IR1(及びIR2)に比較して低いことを検出した場合、エアセクション区間に電車500が存在し、電車500のパンタグラフがエアセクション3を短絡させてエアセクション電流が流れていることを検出し、内部のタイマを起動し、時間のカウントを開始する。
また、このとき、保護制御部1は、タイマを「0」にリセットするとともに、新たな時間のカウントを開始し、遮断器203を遮断している期間の設定値である時間TEを検出するためのカウントを開始する。
保護制御部1は、タイマのカウントした時間と、時間TEとの比較を行い、一致したか否かを検出することにより、遮断する期間が経過したことを検出する。
このとき、保護制御部1は、差電流IT21がレール電流IR1(及びIR2)より高い値であることを検出すると開放状態を維持する。
また、保護制御部1は、微分電流ΔIT21が予め設定した正の電流値を超えたことを検出すると開放状態を維持するようにしてもよい。
また、保護制御部1は、微分電流ΔIT21が予め設定した正の電流値を超えないことを検出すると、再度、遮断器203を開放状態から短絡状態に換え、再度、タイマを「0」にリセットして、時間のカウントを開始し、遮断時間TEが経過したか否かの検出処理を開始するようにしてもよい。
2…レール
3…エアセクション
200,300…電力供給源
199,299…母線
204,205,304,305…き電線
201,202,203,301,302…遮断器
206,207…トロリ線
208,209…ちょう架線
241,242…レール電流検出器
251,252…電車線電流検出器
500,501,502…電車
IAS…エアセクション3に流れる電流
IR1,IR2…レール電流
IT1,IT2…電車線電流
Claims (5)
- 直流き電回路の異なるき電区間の電車線に設けられるエアセクションにおける架線切断を防止するセクション箇所架線切断防止装置であり、
前記エアセクションにおけるセクション区間の一方の端部の位置に対応し、レールに設けられた該レールに流れる電流を測定する第1のレール電流検出器と、
前記セクション区間の他方の位置に対応し、前記レールに設けられた該レールに流れる電流を測定する第2のレール電流検出器と、
前記第1及び第2のレール電流検出器の測定した電流の差分を第1の差分電流として算出し、該第1の差分電流が予め設定された第1の閾値を超えるか否かを検出し、前記エアセクションにて力行する電車の存在の有無を検出する保護制御部と
を有することを特徴とするセクション箇所架線切断防止装置。 - 前記エアセクションの一方の電車線に流れる電流を検出し、第1の電車線電流として出力する第1の電車線電流検出器と、
前記エアセクションの他方の電車線に流れる電流を検出し、第2の電車線電流として出力する第2の電車線電流検出器と
をさらに有し、
前記保護制御部が前記第1及び第2の電車電流の差分を第2の差分電流として算出し、該第1の差分電流が第1の閾値を超えないことを検出した際、第2の差分電流が予め設定した第2の閾値を超えるか否かを検出し、前記エアセクションにて惰行する電車の存在の有無を検出することを特徴とする請求項1記載のセクション箇所架線切断防止装置。 - 前記エアセクションにおける一方及び他方の電車線を電気的に短絡または開放するエアセクション遮断器をさらに有し、
前記保護制御部が惰行している電車が予め設定した第1の存在時間を超えて、前記エアセクションに存在していることを検出すると、前記エアセクション遮断器を短絡することを特徴とする請求項2記載のセクション箇所架線切断防止装置。 - 変電所と一方の電車線との間を電気的に短絡または開放する第1の遮断器と、
前記変電所と他方の電車線との間を電気的に短絡または開放する第2の遮断器と
をさらに有し、
前記保護制御部が力行している電車が予め設定した第2の存在時間を超えて、前記エアセクションに存在していることを検出すると、前記第1及び第2の遮断器を開放することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のセクション箇所架線切断防止装置。 - 前記保護制御部が第1の差分電流を積分器にて電圧変換し、差分電流及び差分電流の流れている時間を、予め設定した閾値を超えたことを検出することにより、前記第2の存在時間を超えたと判定することを特徴とする請求項4記載のセクション箇所架線切断防止装置。
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