JP4081867B2 - 無機粉末及び無機粉末の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、金属粉末などの無機粉末及びその製造方法に関し、特に、導電ペースト用の金属粉末として用いるのに適した個々の粒子の分散性(単分散性)の良好な無機粉末(金属粉末)及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、セラミックコンデンサは、図1に示すように、セラミック1中に内部電極2が配設された素子3の両端側に、内部電極2と導通する外部電極4が配設された構造を有している。
【0003】
このようにセラミックの内部や表面に電極(内部電極2や外部電極4)が形成されたセラミック電子部品を製造する場合、電極は、通常、Ag、Pd、Cu、Ni、Ag−Pd合金などの導電金属粉末をガラスフリット及び有機ビヒクルを混練してペースト状にした導電ペーストを用い、これを塗布、印刷し、焼成する(焼き付ける)方法により形成されている。
【0004】
ところで、導電ペーストに用いられる導電金属粉末は、導電ペーストを塗布して焼き付ける(焼成する)ことにより形成される厚膜導体(厚膜電極)の特性を制御する必要上、凝集が少なくて、単分散性に優れていることが要求される。
【0005】
そして、この導電ペーストに用いられる導電金属粉末は、一般的に、以下に述べるような方法で製造されている。
【0006】
まず、第1の方法は、特開昭57−155301号公報に開示されているように、Cu粉末と油性樹脂をらいかい機にて混練し、ペースト状とした後、油性樹脂のみを溶剤で溶解してCu粉末を濾別し、乾燥する方法である。
【0007】
また、第2の方法は、乾燥した金属粉末と玉石を混合し、これに溶媒を添加して又は添加しないで、ポットミルなどを用いて解砕し、その後玉石と金属粉末を分離し、溶媒を添加したときには、これを乾燥除去して金属粉末を得る方法である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記第1の方法では、油性樹脂を溶剤で溶解してCu粉末を濾別した後の乾燥工程において、金属粉末どうしの直接的な接触が起こり、金属粉末の凝集が発生する。そのため、乾燥後の金属粉末に、多くの凝集粉末が含まれることになる。
【0009】
また、第2の方法では、金属粉末と玉石を混合し、ポットミルなどを用いて解砕し、凝集した金属粉末を再分散させることにより、単分散性を向上させるようにしているが、凝集した金属粉末の解砕には強い解砕力が必要となり、そのような強い力で解砕を行うと、特に粒径が1μm以下の金属微粉末の場合、解砕と同時に金属の塑性変形により、金属粉末の鱗片化及び合体が進み単分散した金属粉末を得ることが困難になる。なお、溶媒を添加して解砕するようにした場合、鱗片化及び粒子の合体はいくらか抑えられるが、溶媒を乾燥除去する際に粒子どうしの接触が起こり、乾燥後の金属粉末には多くの凝集粉末が含まれることになる。
【0010】
そして、上述のような方法で製造した金属粉末は、複数個の金属粉末が凝集した凝集粉末を多く含んでおり、これらの金属粉末を用いて製造した導電ペーストにより形成された厚膜導体(厚膜電極)は、表面粗さが粗く、例えば、積層セラミックコンデンサの内部電極に用いた場合、ショート率の増加を招くという問題点がある。
【0011】
なお、上記のような乾燥時の粒子の凝集の問題は、金属粒子の場合だけではなく、セラミック粒子などの場合にも当てはまるものである。
【0012】
本願発明は、上記問題点を解決するものであり、凝集が少なく単分散性に優れた金属粉末やセラミック粉末などの無機粉末及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本願発明(請求項1)の無機粉末の製造方法は、
所定の粒径の無機粉末と、溶媒と、60℃以下の融点を有し、前記溶媒に溶解するとともに、前記溶媒を蒸発させる際に実質的に蒸発せずに残留する高沸点有機化合物を含有し、かつ、前記高沸点有機化合物の含有割合が前記無機粉末100重量部に対して1重量部以上の割合であるスラリーを調整する工程と、
前記スラリーから溶媒を蒸発させて、表面に高沸点有機化合物が付着した無機粉末を得る工程と
を具備する無機粉末の製造方法であって、
前記高沸点有機化合物が、炭素数9以上のアルコールであることを特徴としている。
【0014】
高沸点有機化合物を含有させた状態でスラリーから溶媒を蒸発させることにより、無機粉末を構成する個々の粒子が高沸点有機化合物に覆われ、溶媒の蒸発工程(乾燥工程)で無機粉末どうしが直接的に接触することが抑制、防止されることから、無機粉末の凝集を抑制し、無機粉末を構成する個々の粒子が十分に分散した、単分散性の良好な無機粉末を得ることが可能になる。
【0015】
また、60℃以下の融点を有し、かつ、前記溶媒に溶解する高沸点有機化合物を用いるようにしているので、乾燥工程で高沸点有機化合物が溶融して液体となり、無機粉末の表面を確実に覆って、無機粉末どうしが直接的に接触することを阻止することが可能になり、無機粉末の凝集を効率よく防止することができるようになる。
【0016】
また、高沸点有機化合物として、炭素数9以上のアルコール(例えばオレイルアルコールなど)を用いるようにしているので、無機粉末として、導電ペースト用の金属粉末を製造した場合に、金属粉末に付着する高沸点有機化合物の、導電ペースト構成材料(有機ビヒクルなど)との相容性、及び導電ペーストの印刷性などを確保することが可能になり、本願発明をより実効あらしめることが可能になる。
【0017】
また、高沸点有機化合物の無機粉末に対する割合を、無機粉末100重量部に対して1重量部以上の割合としているので、乾燥工程での凝集を効率よく防止できるようになり、本願発明を実効あらしめることができる。
なお、高沸点有機化合物の割合が1重量部未満でもある程度の凝集防止効果は得られるが、無機粉末どうしの直接的な接触を抑制する効果は低下する。
また、高沸点有機化合物の割合の上限は、得られる無機粉末の用途により定まるものであり、特別の制約はないが、通常は、10重量部程度が上限となる。
【0018】
なお、所定の粒径の無機粉末と、溶媒と、溶媒を蒸発させる際に実質的に蒸発せずに残留する高沸点有機化合物とを含有するスラリーを調製する方法としては、特に制約はなく、例えば、金属塩溶液に還元剤を添加して金属粉末を沈殿させ、水もしくは有機溶剤で洗浄した後、無機粉末、溶媒、及び高沸点有機化合物が配合されたスラリーとする方法などが例示される。なお、このように金属塩溶液に還元剤を添加して金属粉末を沈殿させる方法の場合、粉砕媒体を用いて粉砕する場合に生じるような、粒子の鱗片化や合体を招くことがなく好ましい。但し、場合によっては、上記の方法で得たスラリーをさらにポットミルなどで湿式解砕することも可能である。
【0019】
また、無機粉末と、溶媒と、高沸点有機化合物を混合した状態で、ポットミルなどにより粉砕する方法や、無機粉末と溶媒とを混合した状態で、ポットミルなどにより粉砕した後、これに高沸点有機化合物を添加する方法などによりスラリーを調製することも可能である。
【0020】
なお、溶媒としては、水、アルコール、アセトンなど種々の物質を使用することが可能である。
【0021】
また、溶媒を蒸発させる方法(乾燥方法)としては、オーブン乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥などの種々の方法を用いることが可能である。
【0022】
また、無機粉末種としては、セラミック粉末や金属粉末が例示される。さらに、金属粉末としては、積層セラミックコンデンサの内部電極の形成に用いられる導電ペーストに使用される金属粉末である、Ag、Pd、Cu、Ni粉末や、Ag−Pd合金粉末などが例示される。
【0023】
また、請求項2の無機粉末の製造方法は、前記高沸点有機化合物が、200℃以上の沸点を有する有機化合物であることを特徴としている。
【0024】
200℃以上の沸点を有する高沸点有機化合物を用いることにより、蒸発工程での蒸発を確実に防止して無機粉末の凝集防止作用を奏させることが可能になる。なお、高沸点有機化合物と溶媒との沸点差を大きくした場合、乾燥条件の自由度を増大させることが可能になり、工程管理上有利である。
【0025】
また、請求項3の無機粉末の製造方法は、前記無機粉末が、粒径1μm以下の無機粉末であることを特徴としている。
【0026】
本願発明を、特に乾燥工程で凝集が起こりやすい、粒径が1μm以下の無機粉末の製造に適用した場合、微細で、単分散性に優れた無機粉末を得ることができて特に有意義である。なお、粒径が1μm以下になると特に凝集が起こりやすくなるのは、微粉末になるほど比表面積が大きくなり、無機粉末単位重量あたりの個々の粒子どうしの接触箇所が増大し、再分散しにくくなることによる。
【0027】
また、請求項4の無機粉末の製造方法は、前記無機粉末が、金属粉末であることを特徴としている。
【0028】
本願発明は、セラミック粉末の製造方法などにも適用することが可能であるが、金属粉末、特に粒径が1μm以下の微細な金属粉末を製造するのに適用した場合に、他の方法では製造しにくい、微細で単分散性に優れた金属粉末を得ることができて有意義である。
【0029】
本願発明(請求項5)の無機粉末は、請求項1〜4のいずれかに記載の方法により製造された無機粉末であって、表面に前記高沸点有機化合物が付着していることを特徴としている。
【0030】
本発明の無機粉末は、表面に高沸点有機化合物が付着しており、無機粉末どうしが直接に接触しないため、凝集がなく、優れた単分散性を備えており、種々の用途に好適に利用することが可能になる。
【0031】
また、請求項6の無機粉末は、前記無機粉末が、ガラスフリット及び有機ビヒクルと配合されて導電ペーストを構成する金属粉末であることを特徴としている。
【0032】
本願発明の方法で製造した、微細で、単分散性に優れた金属粉末を導電ペーストに用いた場合、その導電ペーストを用いて表面が滑らかで、ショートなどの発生しにくい信頼性の高い厚膜電極(厚膜導体)を確実に形成することが可能になる。したがって、本願発明の金属粉末を用いて製造した導電ペーストを、例えば、積層セラミックコンデンサの内部電極に用いた場合、ショート率が低く、所望の特性を備えた積層セラミックコンデンサを得ることが可能になる。
なお、本願発明の方法で製造した金属粉末を用いて導電ペーストを製造する場合の金属粉末の種類(金属種)には特別の制約はなく、Ag、Pd、Cu、Ni、Ag−Pd合金などの種々の金属の粉末を用いることが可能である。
また、導電ペーストを製造する場合に用いるガラスフリットや有機ビヒクルの種類や配合割合などについても特別の制約はなく、公知の種々のガラスフリットや有機ビヒクルを任意の割合で配合することが可能である。
本願発明の金属粉末を用いて製造した導電ペーストは、その他の種々のセラミック電子部品の電極や回路などを形成する場合に広く用いることができる。
【0033】
なお、本願発明の方法で製造した金属粉末を導電ペーストに用いた場合、金属粉末の表面に付着した高沸点有機化合物は、導電ペーストの焼き付け工程(焼成工程)で焼失するため、金属粉末の焼結特性や、セラミックの誘電体特性などに悪影響を与えることはない。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0035】
[本願発明の実施形態にかかるCu粉末の製造]
湿式合成により得た粒径0.2μmのCu粉末を水洗した後、アセトンで洗浄し、Cu粉末100gとアセトン300mlからなるスラリーを得た。
【0036】
それから、このスラリーに、高沸点有機化合物としてオレイルアルコール(化学式C18H36O、沸点205〜210℃/15mmHg)を、0.1〜5g(すなわち、Cu粉末100重量部に対して0.1〜5重量部)の割合で添加した後、1mmHgの減圧下で24時間乾燥した。
そして、この粉末を325メッシュのふるいで整粒することによりCu粉末(表1の試料番号1〜6の試料)を得た。
【0037】
このCu粉末について、レーザー回折散乱式粒度分布測定器を用いて粒度分布を測定し、分散の状態を調べた。
その結果を表1に示す。
【0038】
また、比較のため、以下の方法でCu粉末を製造した。
[比較例のCu粉末の製造]
(1)比較例1
高沸点有機化合物(オレイルアルコール)を添加しないことを除いては、上記の実施形態の場合と同様の方法で作成したスラリーを、同じ条件で乾燥することによりCu粉末を得た。このCu粉末について、レーザー回折散乱式粒度分布測定器を用いて粒度分布を測定し、分散の状態を調べた。
(2)比較例2
油性樹脂であるアルキッド樹脂20gと、0.2μmのCu粉末100gを混合し、らいかい機で20時間混練した後、アセトンを用いて樹脂を溶解し、Cu粉末を濾別してCu粉末を得た。このCu粉末について、レーザー回折散乱式粒度分布測定器を用いて粒度分布を測定し、分散の状態を調べた。
(3)比較例3
0.2μmのCu粉末をボールミルで10時間粉砕した。粉砕後のCu粉末について、レーザー回折散乱式粒度分布測定器を用いて粒度分布を測定し、分散の状態を調べた。
【0039】
上記試料番号1〜6のCu粉末と、上記比較例1〜3のCu粉末の粒度分布の測定結果を表1に併せて示す。
【0040】
【表1】
【0041】
表1に示すように、高沸点有機化合物を添加していない比較例1のCu粉末では、D50が1.50μmとなっており、乾燥工程でCu粉末が激しく凝集していることがわかる。
また、油性樹脂と金属粉末を混練した後、アセトンを用いて樹脂を溶解し、濾別した比較例2のCu粉末も、D50が1.20μmとなっており、乾燥工程でCu粉末がかなり凝集していることがわかる。
また、Cu粉末をボールミルで10時間粉砕した比較例3のCu粉末も、D50が1.20μmとなっており、乾燥工程でCu粉末がかなり凝集していることがわかる。
【0042】
これに対して、試料番号1〜6の、高沸点有機化合物を添加して乾燥を行ったCu粉末では、比較例1〜3に比べて、D50が小さくなっており、高沸点有機化合物の添加量が1重量部未満の0.1重量部の場合(試料番号1)でも、D50が0.70μm、0.2重量部(試料番号2)では、D50が0.40μm、0.5重量部(試料番号3)では、D50が0.30μmとなっていることが分かる。
そして、高沸点有機化合物の添加量が1.0重量部を超える(試料番号4〜6)と、ほぼ一定で、D50が0.22μm以下となっており、ほぼ単分散状にまで分散していることがわかる。
【0043】
このように、高沸点有機化合物を添加した試料番号1〜6のCu粉末は、比較例に比べて分散性が大幅に向上しており、特に高沸点有機化合物の添加量が1.0重量部を超えると十分な単分散性が得られることがわかる。
【0044】
なお、上記実施形態では、高沸点有機化合物として、オレイルアルコールを用いた場合について説明したが、高沸点有機化合物の種類は、これに限られるものではなく、その他の炭素数9以上のアルコール類を用いることも可能である。
【0045】
また、上記実施形態では高沸点有機化合物を5.0重量部までしか添加していないが、必要に応じて、さらに多くの高沸点有機化合物を添加することも可能である。
【0046】
また、上記実施形態ではCu粉末を製造する場合を例にとって説明したが、Cu粉末以外のAg、Pd、Ni、Ag−Pd合金などの金属粉末を製造する場合にも本願発明を適用することが可能である。
【0047】
また、本願発明は、金属粉末以外のセラミック粉末などの無機粉末を製造する場合にも適用することが可能である。
【0048】
本願発明は、さらにその他の点においても、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0049】
【発明の効果】
上述のように、本願発明(請求項1)の無機粉末の製造方法は、所定の粒径の無機粉末と、溶媒と、高沸点有機化合物とを含有するスラリーを調整し、このスラリーから溶媒を蒸発させるようにしているので、表面を高沸点有機化合物で覆って、溶媒の蒸発工程(乾燥工程)で無機粉末どうしが直接的に接触することを抑制、防止して、無機粉末の凝集を抑制することが可能になり、単分散性に優れた無機粉末を得ることが可能になる。
【0050】
また、60℃以下の融点を有し、かつ、溶媒に溶解する高沸点有機化合物を用いるようにしているので、乾燥工程で高沸点有機化合物が溶融して液体となり、無機粉末の表面を確実に覆って、無機粉末どうしが直接的に接触することを阻止し、凝集を効率よく防止することができる。
【0051】
また、高沸点有機化合物として、炭素数9以上のアルコールを用いるようにしているので、無機粉末として、導電ペースト用の金属粉末を製造した場合に、金属粉末に付着する高沸点有機化合物の、導電ペースト構成材料(有機ビヒクルなど)との相容性、及び導電ペーストの印刷性などを確保することが可能になり、本願発明をより実効あらしめることが可能になる。
【0052】
また、高沸点有機化合物の無機粉末に対する割合を、無機粉末100重量部に対して1重量部以上の割合としているので、乾燥工程での凝集を効率よく防止できるようになる。
【0053】
また、請求項2の無機粉末の製造方法のように、高沸点有機化合物として200℃以上の沸点を有する有機化合物を用いた場合、蒸発工程での蒸発を確実に防止して無機粉末の凝集防止作用を奏させることが可能になる。なお、高沸点有機化合物と溶媒との沸点差を大きくした場合、乾燥条件の自由度を増大させることが可能になり、工程管理上有利である。
【0054】
また、請求項3の無機粉末の製造方法のように、本願発明を、特に乾燥工程で凝集が起こりやすい、粒径が1μm以下の無機粉末の製造に適用した場合、微細で、単分散性に優れた無機粉末を得ることができて特に有意義である。
【0055】
また、本願発明は、セラミック粉末の製造方法などにも適用することが可能であるが、請求項4のように、金属粉末、特に粒径が1μm以下の微細な金属粉末を製造するのに適用した場合に、他の方法では製造しにくい、微細で単分散性に優れた金属粉末を得ることができて特に有意義である。
【0056】
本願発明(請求項5)の無機粉末は、請求項1〜4のいずれかに記載の方法により製造された無機粉末であって、表面に高沸点有機化合物が付着しており、無機粉末どうしが直接に接触しないため、凝集がなく、優れた単分散性を備えている。
【0057】
また、本願発明の方法で製造した、微細で、単分散性に優れた金属粉末を導電ペーストに用いた場合、その導電ペーストを用いて表面が滑らかで、ショートなどの発生しにくい信頼性の高い厚膜電極(厚膜導体)を確実に形成することが可能になる。したがって、本願発明の金属粉末を用いて製造した導電ペーストを、例えば、積層セラミックコンデンサの内部電極に用いた場合、ショート率が低く、所望の特性を備えた積層セラミックコンデンサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 セラミック電子部品の一例である積層セラミックコンデンサの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 セラミック
2 内部電極
3 素子
4 外部電極
Claims (6)
- 所定の粒径の無機粉末と、溶媒と、60℃以下の融点を有し、前記溶媒に溶解するとともに、前記溶媒を蒸発させる際に実質的に蒸発せずに残留する高沸点有機化合物を含有し、かつ、前記高沸点有機化合物の含有割合が前記無機粉末100重量部に対して1重量部以上の割合であるスラリーを調整する工程と、
前記スラリーから溶媒を蒸発させて、表面に高沸点有機化合物が付着した無機粉末を得る工程と
を具備する無機粉末の製造方法であって、
前記高沸点有機化合物が、炭素数9以上のアルコールであることを特徴とする無機粉末の製造方法。 - 前記高沸点有機化合物が、200℃以上の沸点を有する有機化合物であることを特徴とする請求項1記載の無機粉末の製造方法。
- 前記無機粉末が、粒径1μm以下の無機粉末であることを特徴とする請求項1または2記載の無機粉末の製造方法。
- 前記無機粉末が、金属粉末であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の無機粉末の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の方法により製造された無機粉末であって、表面に前記高沸点有機化合物が付着していることを特徴とする無機粉末。
- 前記無機粉末が、ガラスフリット及び有機ビヒクルと配合されて導電ペーストを構成する金属粉末であることを特徴とする請求項5記載の無機粉末。
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