JP4385603B2 - グラビア印刷用導電性インク、及び積層セラミック電子部品 - Google Patents

グラビア印刷用導電性インク、及び積層セラミック電子部品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グラビア印刷用導電性インク、及び積層セラミック電子部品に関し、より詳しくは積層セラミック電子部品の内部電極形成用に使用されるグラビア印刷用導電性インク、及び該導電性インクを使用して製造された積層セラミック電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話機に代表される各種電子機器の小型化に伴ない、これら電子機器に搭載される積層セラミック電子部品は、より一層の薄層・小型化及び低コスト化が望まれている。
【0003】
例えば、積層セラミックコンデンサでは、大容量化を実現するために誘電体セラミック層の厚みが5μm以下にまで薄層化され、また、誘電体セラミック層の積層数も300層以上に多層化されている。
【0004】
また、内部導体形成用導電性ペーストに含まれる導電性粉末の微粉化も進んでいる。
【0005】
また、内部導体に使用される導電性材料としては、AgやPdなどの貴金属材料に代えて、NiやCuなどの卑金属材料が使用され、これによりコストの低減化が図られている。
【0006】
そして、内部導体の形成方法としては、従来より、一般にスクリーン印刷が多用されてきたが、タクト時間の長いスクリーン印刷では生産性が低いことから、高速印刷が可能で、しかも低コストで内部導体を形成することのできるグラビア印刷方法を採用した技術が提案されている(特許文献1、2)。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−199331号公報
【特許文献2】
特開平10−335167号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、スクリーン印刷等に使用される内部電極用導電性ペーストは、導電性粉末の他、バインダ樹脂や有機溶剤が含有されているが、一般に、バインダ成分にはエチルセルロース樹脂が使用され、有機溶剤成分にはターピネオールが使用されている。そして、ターピネオールは、エチルセルロース樹脂の溶解度が高く、エチルセルロース樹脂を良く溶解する(以下、このようにバインダ成分に良く溶解する溶剤を「良溶媒」という)。
【0009】
したがって、バインダ樹脂であるエチルセルロース樹脂は、良溶媒中では有機溶剤と馴染み易くなるため、有機溶剤中に広がって存在し、バインダ樹脂同士の絡み合いが強くなる。このため、バインダ樹脂の添加量が増大するに伴い、粘度が高くなる。
【0010】
そして、このようにバインダ樹脂を良溶媒中に溶解させた樹脂溶液に導電性粉末を分散させた場合、バインダ樹脂−導電性粉末−バインダ樹脂という三次元的な網目構造が形成され、しかもバインダ樹脂が有機溶剤中に広がって存在することによってこれら三次元的な網目構造の絡み合いが一段と強くなり、粘度の上昇する度合いが大きくなる。
【0011】
したがって、この種の内部電極用導電性ペーストは、印刷適性を満足するためにはスクリーン印刷用導電性ペーストに比べ低粘度が要求されるグラビア印刷用導電性インクには不適切である。
【0012】
しかも、内部導体の薄層化に対応すべく導電性粉末を微粉化した場合、導電性粉末とバインダ樹脂との間で三次元的な網目構造の形成が更に促進されて構造粘性が高くなり、インク粘度が極端に上昇する。すなわち、バインダ樹脂に対し良溶媒の溶剤種のみを有機溶剤として使用した場合、特に微粉化された導電性粉末とバインダ樹脂との間で三次元的な網目構造の形成が促進され、インク粘度が極端に上昇する。このため、十分な転写性が得られず、カスレ等の印刷不良や塗膜形状の異常を引き起こすという問題点がある。
【0013】
一方、粘度を低下させる方策としては、導電性インク中の導電性粉末やバインダ樹脂の含有量を低下させることが考えられるが、この場合、膜厚の低下や塗膜強度の低下を招来し、その結果内部導体に要求される特性・品質を満足することができなくなるおそれがあるという問題点がある。
【0014】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであって、インク粘度の上昇を抑制することにより、良好な印刷性を確保し、これにより所望の電極面積を有する積層セラミック電子部品用内部導体を容易に形成することのできるグラビア印刷用導電性インク、及び該導電性インクを使用して製造された積層セラミック電子部品を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明者らが鋭意研究をしたところ、バインダ樹脂としてのエチルセルロース樹脂を良溶媒中に溶解させた樹脂溶液中に、バインダ樹脂を溶解し難い有機溶剤(以下、このような溶剤を「貧溶媒」という)を添加することにより有機溶剤とバインダ樹脂とが馴染み難くなり、バインダ樹脂は有機溶剤中で少し縮んで存在するようになる。そして、このような樹脂溶液中に微粉状の導電性粉末を分散させても、三次元的な網目構造を形成する能力を低下させることができ、インク粘度の上昇を抑制することができるという知見を得た。
【0016】
具体的には、バインダ樹脂の溶解度(溶液100g中に溶解する溶質のグラム数)が1.0以下の貧溶媒を、有機溶剤中、10重量%〜45重量%(以下、「wt%」と記す)の範囲内で含有させることにより、インク粘度の上昇を抑制することができる。
【0017】
また、バインダ樹脂の溶解度が1.0以下の溶剤種としては、ジイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ヘキサン、オクタン、ノナン、ジブチルエーテルのうちの少なくとも1種以上を使用することができる。
【0018】
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係るグラビア印刷用導電性インクは、少なくとも導電性粉末と、エチルセルロース樹脂からなるバインダ樹脂と、有機溶剤とを含み、前記有機溶剤は、前記バインダ樹脂の溶解度が1.0以下の溶剤種と、前記バインダ樹脂の溶解度が1.0を超える溶剤種とを含む2種以上の溶剤種からなると共に、前記溶解度が1.0以下の溶剤種は、ジイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ヘキサン、オクタン、ノナン、及びジブチルエーテルの中から選択された少なくとも1種以上であり、かつ、前記溶解度が1.0以下の溶剤種が、前記有機溶剤中に10重量%〜45重量%含有されていることを特徴としている。
【0019】
また、本発明のグラビア印刷用導電性インクは、前記溶解度が1.0を超える溶剤種が、ターピネオール、エチルベンゼン、αテルピネン、及びミルセンの中から選択された少なくとも1種以上であることを特徴としている。
さらに、本発明のグラビア印刷用導電性インクは、前記導電性粉末が、ニッケル粉末であることを特徴としている。
【0020】
また、本発明に係る積層セラミック電子部品は、セラミック焼結体に内部導体が埋設された積層セラミック電子部品であって、前記内部導体が、上記グラビア印刷用導電性インクを使用して形成されていることを特徴としている。
【0021】
上記積層セラミック電子部品によれば、内部導体が低粘度の導電性インクを使用したグラビア印刷で形成されるので、塗膜のカスレや塗膜強度の低下を招くことなく印刷性の良好な印刷塗膜を形成することができ、薄層化・多層化しても所望の高性能な信頼性に優れた積層セラミック電子部品を得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
【0023】
本発明の一実施の形態としてのグラビア印刷用導電性インク(以下、単に「導電性インク」という)は、少なくとも微粉状の導電性粉末と、バインダ樹脂としてのエチルセルロース樹脂と、バインダ樹脂の溶解度が1.0以下の溶剤種(貧溶媒)及び前記バインダ樹脂の溶解度が1.0を超える溶剤種(良溶媒)からなる有機溶剤とを含み、バインダ樹脂の溶解度が1.0以下の溶剤種である貧溶媒を、有機溶剤中、10wt%〜45wt%含有している。
【0024】
そして、これによりインク粘度が上昇するのを確実に防止することができ、グビア印刷を施しても十分な転写性を確保することができ、塗膜形状に異常が生じることもなく、印刷不良が生じることのない印刷塗膜を効率良く得ることができる。
【0025】
すなわち、導電性インクについて、スクリーン印刷用導電性ペーストと同様、バインダ樹脂としてエチルセルロース樹脂、有機溶剤として良溶媒のターピネオールを使用した場合、ターピネオールは、エチルセルロースの溶解度が高く、溶解したエチルセルロース樹脂はターピネオールと馴染み易いため、図1(a)に示すように、有機溶剤(ターピネオール)中に広がって存在し、エチルセルロース樹脂同士の絡み合いが強くなる。このため、エチルセルロース樹脂の添加量が増大するのに伴い、粘度が高くなる。そして、エチルセルロース樹脂を良溶媒中に溶解させた樹脂溶液中に導電性粉末を分散させた場合、エチルセルロース樹脂−導電性粉末−エチルセルロース樹脂という三次元的な網目構造が形成され、しかもエチルセルロース樹脂が樹脂溶液中に広がって存在することで、これら三次元的な網目構造の絡み合いが一段と強くなり、インク粘度の上昇する度合いが大きくなる。このため、グラビア印刷を施しても十分な転写性が得られず、カスレ等の印刷不良や塗膜形成の異常を引き起こしてしまう。
【0026】
そこで、本実施の形態では、良溶媒に貧溶媒を添加し、これによりインク粘度の上昇を抑制している。すなわち、良溶媒中に貧溶媒を添加することにより、有機溶剤とエチルセルロース樹脂とが馴染み難くなり、その結果、図1(b)に示すように、エチルセルロース樹脂は有機溶剤中で少し縮んで存在するようになる。そして、このような樹脂溶液中に微粉状の導電性粉末を分散させても、エチルセルロース樹脂−導電性粉末−エチルセルロース樹脂という三次元的な網目構造を形成する能力が低下し、インク粘度の上昇を抑制することができる。
【0027】
具体的には、本実施の形態では、貧溶媒としてエチルセルロース樹脂の溶解度が1.0以下の溶剤種を使用している。
【0028】
すなわち、エチルセルロース樹脂の溶解度が1.0を超えるとインク粘度が高くなって印刷図形に欠損部が生じたり、グラビアロールの凹部にインクが滞留して印刷パターンに目詰まりが生じる。このため積層セラミックコンデンサ等の積層セラミック電子部品を作製した場合、形成された電極パターンが印刷パターン(設計上の印刷図形)よりも小さくなり、したがって有効電極面積が小さくなる。
【0029】
そこで、本実施の形態では、貧溶媒としてエチルセルロース樹脂の溶解度が1.0以下の溶剤種を使用している。
【0030】
また、本実施の形態では、有機溶剤中、貧溶媒の含有量が10wt%〜45wt%となるように調製している。
【0031】
すなわち、貧溶媒の含有量が有機溶剤中で10wt%未満になると、貧溶媒の含有量が少なくなり、このためエチルセルロース樹脂が有機溶剤中に広がって存在し、上述した三次元的な網目構造が形成され、斯かるエチルセルロース樹脂同士の絡み合いが強くなり、粘度が高くなる。
【0032】
一方、貧溶媒の含有量が有機溶剤中で45wt%を超えると、貧溶媒の含有量が過剰となり、エチルセルロースを有機溶剤中に十分に溶解させることができなくなって未溶解物が発生してしまう。
【0033】
そこで、本実施の形態では、有機溶剤中における貧溶媒の含有量を10wt%〜45wt%としている。
【0034】
ここで、貧溶媒としては、バインダ樹脂であるエチルセルロース樹脂の溶解度が1.0以下であれば特に限定されることはなく、例えばジイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ヘキサン、オクタン、ノナン、ジブチルエーテルの中から選択された1種を単独で、或いはこれら2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0035】
また、良溶媒としては、エチルセルロースの溶解度が1.0を超えたものであればよく、例えば、ターピネオール、エチルベンゼン、αテルピネン、ミルセン等を使用することができる。
【0036】
また、導電性粉末としては、同時焼成するセラミックグリーンシートの焼成温度及び雰囲気に耐えるものであれば良く、例えばPd、Ag、Au、Pt、Ni、Cu等を単体或いはこれらの混合物、合金粉末を使用することができるが、コストの低減化を図る観点からは、Ni、Cu等の卑金属材料を使用するのが好ましい。
【0037】
また、導電性インク中の導電性粉末の含有量は、30wt%〜70wt%が好ましく、この範囲で導電性粉末の比率を調整することにより、所望膜厚の印刷塗膜を安定して得ることができる。
【0038】
また、導電性インク中のエチルセルロース樹脂の含有量は、1wt%〜10wt%が好ましい。
【0039】
さらに、導電性粉末、エチルセルロース樹脂に加え、必要に応じて可塑剤や分散剤等を添加するのが好ましい。この場合、分散剤としては、アニオン性分散剤や脂肪酸系分散剤を適宜用いることができ、分散剤含有量は、0.05wt%〜5.0wt%が好ましい。
【0040】
そして、これら導電性粉末、バインダ樹脂、分散剤等を除いた残部重量が有機溶剤(良溶媒及び貧溶媒)ということになる。
【0041】
次に導電性インクの製造方法を詳述する。
【0042】
まず、有機溶剤中の貧溶媒の含有量が10wt%〜45wt%となるように有機溶剤を調製する。次いで、導電性粉末、前記有機溶剤、及び必要に応じて分散剤を所定量秤量し、これら秤量物を玉石等の粉砕媒体と共に樹脂製ポットに投入して調合し、樹脂製ポットを一定速度で所定時間回転させて分散処理を行ない、スラリー状混合物を作製する。
【0043】
次に、前記スラリー状混合物に含有されている有機溶剤と同一成分組成の有機溶剤、及びエチルセルロース樹脂を含有した有機ビヒクルを樹脂製ポット中で前記スラリー状混合物に添加し、樹脂製ポットを一定速度で所定時間回転させて分散処理を行ない、所定の加圧濾過処理を行って導電性インクを作製する。
【0044】
次に、上記導電性インクを使用して製造された積層セラミック電子部品としての積層セラミックコンデンサについて詳述する。
【0045】
図2は上記積層セラミックコンデンサの一実施の形態を模式的に示した断面図である。
【0046】
該積層セラミックコンデンサは、BaTiOを主成分とする誘電体材料からなるセラミック焼結体1に内部電極(内部導体)2(2a〜2f)が埋設されると共に、該セラミック焼結体1の両端部には外部電極3a、3bが形成され、さらに該外部電極3a、3bの表面にはめっき皮膜4a、4bが形成されている。
【0047】
各内部電極2a〜2fは積層方向に並設されると共に、内部電極2a、2c、2eは外部電極3aと電気的に接続され、内部電極2b、2d、2fは外部電極3bと電気的に接続されている。そして、内部電極2a、2c、2eと内部電極2b、2d、2fとの対向面間で静電容量を形成している。
【0048】
次に、上記積層型セラミックコンデンサの製造方法を説明する。
【0049】
まず、BaとTiとのモル比Ba/Tiが所定比となるように調製されたセラミックスラリーに対し、ドクターブレード法等で成形加工を施し、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のベースフィルム上にBaTiOを主成分とするセラミックグリーンシート(以下、「セラミックシート」という)を作製する。
【0050】
次いで、前記導電性インクを使用して前記セラミックシートにグラビア印刷を施し、所定パターンの印刷塗膜を有するセラミックシートを作製する。
【0051】
次に、印刷塗膜の形成されたセラミックシートと印刷塗膜の形成されていないセラミックシートとを適宜積層して積層体を形成し、該積層体に対し所定温度で焼成処理を施し、内部電極(内部導体)2が埋設されたセラミック焼結体1を作製する。
【0052】
そしてこの後、Cu等の導電性粒子を含有した導電性ペーストを使用し、セラミック焼結体1の両端部に前記導電性ペーストを塗布した後、焼付処理を施して外部電極3a、3bを作製し、次いで、無電解めっき或いは電解めっきを適宜施し、該外部電極3a、3bの表面にSn、やNi、はんだ等からなるめっき皮膜4a、4bを作製し、これにより積層セラミックコンデンサが製造される。
【0053】
このように本実施の形態では、エチルセルロースに対する溶解度が1.0以下の貧溶媒を、有機溶剤中に10〜45wt%含有させているので、有機溶剤とエチルセルロース樹脂とが馴染み難くなり、その結果、エチルセルロース樹脂は有機溶剤中で少し縮んで存在するようになる。したがって、このような樹脂溶液中に導電性粉末を分散させても、エチルセルロース樹脂−導電性粉末−エチルセルロース樹脂という三次元的な網目構造を形成する能力が低下し、インク粘度の上昇を抑制することができる。
【0054】
したがって、上記導電性インクを使用して得られた積層セラミックコンデンサは、薄層化・多層化した場合であっても印刷図形に欠損部が生じたり、グラビアロールの凹部にインクが滞留して印刷パターンに目詰まりが生じることもなく、カスレ等の印刷不良や塗膜形状の異常が生じることのない所望の電極面積を有する積層セラミックコンデンサを容易に得ることができる。
【0055】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本実施の形態では、積層セラミックコンデンサについて説明したが、積層セラミックインダクタ、積層セラミックLC部品、多層セラミック基板等の積層セラミック電子部品についても適用可能であるのはいうまでもない。
【0056】
【実施例】
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0057】
〔バインダ溶解度の調査〕
まず、11種の溶剤(ターピネオール、ミルセン、αテルピネン、エチルベンゼン、ジイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ヘキサン、オクタン、ノナン、ジブチルエーテル)を使用し、バインダ樹脂としてのエチルセルロース樹脂に対し、各種溶剤の溶解度を測定した。
【0058】
すなわち、各溶剤200g中にエチルセルロース樹脂20gを添加し、攪拌機により均一に混合した。その後、上澄液を遠心分離機にかけて遠心分離処理を行ない、上澄液を100g採取した。
【0059】
次に、採取した上澄液を50℃、1330Pa(10torr)に調製された真空オーブン中で24時間乾燥処理を施し、乾燥後に残った粉末(エチルセルロース樹脂)重量(g)を測定し、これにより各溶剤種に対するバインダ溶解度を算出した。
【0060】
表1はその測定結果を示している。
【0061】
【表1】
Figure 0004385603
この表1から明らかなように試料No.1〜4は、バインダ溶解度が9.4〜16.4であり、バインダ溶解度が大きく、エチルセルロース樹脂に対し良溶媒である。
【0062】
一方、試料No.5〜11は、バインダ溶解度が1.0以下であり、バインダ溶解度が小さく、エチルセルロース樹脂に対し、貧溶媒である。
【0063】
〔第1の実施例〕
良溶媒としてターピネオール、貧溶媒として表1の試料No.5〜11の溶剤を使用し、貧溶媒の含有量が30wt%となるように良溶媒と貧溶媒とを混合し、有機溶剤を作製した。
【0064】
次に、平均粒径0.5μmのNi粉末:55wt%、ポリアクリル酸−ポリアクリル酸エステル系分散剤:0.8wt%、上記有機溶剤:34.2wt%となるようにNi粉末、ポリアクリル酸−ポリアクリル酸エステル系分散剤及び有機溶剤を秤量した。次いで、これら秤量物を直径5mmの玉石と共に容積1.0×10−3の樹脂製ポットに投入し調合した。次に、調合済みの樹脂製ポットを回転速度4.17s−1(250rpm)で12時間回転させて分散処理を行い、スラリー状混合物を作製した。
次に、エチルセルロース樹脂:20wt%、上記有機溶剤:80wt%となるように有機ビヒクルを調製した後、該有機ビヒクルの含有量が10wt%となるように樹脂製ポット中のスラリー状混合物に前記有機ビヒクルを添加し、樹脂製ポットを回転速度回転速度4.17s−1(250rpm)で12時間回転させて分散処理を行った。
【0065】
次いで、目開きが20μm、10μm、5μm、3μm、及び1.0μm(Ni粉末の平均粒径の2倍)のメンブレン式フィルターを用い、圧力1.47×10Pa(1.5kg/cm)未満の加圧濾過により塊状物を除去し、実施例1〜7の導電性インクを作製した。
【0066】
また、有機溶剤として良溶媒であるターピネオール及びエチルベンゼンを使用し、エチルベンゼンの含有量が30wt%となるように有機溶剤を調製し、上記実施例1〜7と同様の手順で比較例1の導電性インクを作製した。
【0067】
表2は、実施例1〜7及び比較例1における良溶媒種と貧溶媒種、及び貧溶媒の含有量を示している。
【0068】
【表2】
Figure 0004385603
次に、本発明者らは、インク粘度を回転式粘度計により測定した。具体的には、25±0.5℃において、ズリ速度10s−1下のインク粘度を測定した。
【0069】
また、矩形状印刷パターンを使用し、セラミックシートにグラビア印刷を施した。そして、光学顕微鏡を使用し、グラビアロール上の印刷パターンに対し、形成された印刷図形に欠損部が有るか否か、及び印刷後にグラビアロールの凹部にインクが滞留して印刷パターンに目詰まりが生じたか否かを観察した。
【0070】
さらに、グラビア印刷後のセラミックグリーンシート上で、欠損部などの不具合が生じずに所望の均質な電極が形成された部分を有効電極面積とし、印刷パターンの図形面積に対する有効電極面積の割合を光学顕微鏡で観察して算出した。
【0071】
表3は実施例1〜7及び比較例1の各測定結果を示している。
【0072】
【表3】
Figure 0004385603
この表3から明らかなように比較例1は、有機溶剤が良溶媒同士を混合させたものであるため、インク粘度が3.6Pa・sと高く、印刷図形に欠損部が生じたり印刷パターンに目詰まりが生じており、このため印刷塗膜の有効電極面積が55%に低下することが分かった。
【0073】
これに対し実施例1〜7では、インク粘度が0.4〜0.8Pa・sであり、1.0Pa・s以下であるので、印刷図形での欠損部や印刷パターンの目詰まりといった不具合が認められず、有効電極面積も100%であり、良好な印刷性を得ることができることが確認された。
【0074】
〔第2の実施例〕
良溶媒としてターピネオールを使用し、貧溶媒としてヘキサンを使用し、良溶媒と貧溶媒との混合比率の異なる導電性インクを作製した。
【0075】
すなわち、有機溶剤中の貧溶媒(ヘキサン)の含有量を10wt%、45wt%とし、その他は第1の実施例と同様の手順・方法で実施例11及び実施例12の導電性インクを作製した。
【0076】
また、有機溶剤中の貧溶媒(ヘキサン)の含有量を8wt%、46wt%とし、その他は第1の実施例と同様の手順・方法で比較例11及び比較例12の導電性インクを作製した。
【0077】
表4は、実施例11、12及び比較例11、12における良溶媒種と貧溶媒種、及び貧溶媒の含有量を示している。
【0078】
【表4】
Figure 0004385603
次に、第1の実施例と同様の方法でインク粘度、印刷図形の欠損部や印刷パターンの目詰まりの有無、及び有効電極面積を算出した。
【0079】
表5はその実験結果を示している。
【0080】
【表5】
Figure 0004385603
この表5から明らかなように比較例11は有機溶剤中の貧溶媒の含有量が8wt%であり、10wt%未満であるので、良溶媒の含有量が過剰となり、このためインク粘度が2.1Pa・sと高く、印刷図形での欠損部や印刷パターンに目詰まりが生じている。そして、この欠損部や目詰まりのために、印刷塗膜の有効電極面積が63%に低下することが分った。
【0081】
また、比較例12は有機溶剤中の貧溶媒の含有量が46wt%であり、45wt%を超えているので、エチルセルロースが有機溶剤中で十分に溶解することができなかった。
【0082】
これに対して実施例11、12は、有機溶剤中の貧溶媒の含有量が10wt%又は45wt%であるので、インク粘度も1.0Pa・s以下に制御することができ、印刷図形での欠損部や印刷パターンでの目詰まりが生じず、良好な印刷塗膜を得ることのできることが確認された。
【0083】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明に係る導電性インクは、少なくとも導電性粉末と、エチルセルロース樹脂からなるバインダ樹脂と、有機溶剤とを含み、前記有機溶剤は、前記バインダ樹脂の溶解度が1.0以下の溶剤種と、前記バインダ樹脂の溶解度が1.0を超える溶剤種とを含む2種以上の溶剤種からなると共に、前記溶解度が1.0以下の溶剤種は、ジイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ヘキサン、オクタン、ノナン、及びジブチルエーテルの中から選択された少なくとも1種以上であり、かつ、前記溶解度が1.0以下の溶剤種が、前記有機溶剤中に10重量%〜45重量%含有されているので、導電性粉末が微粉化してもインク粘度を1Pa・s以下の低粘度に抑制することができ、十分な転写性を確保することができ、カスレ等の印刷不良や塗膜形状の異常発生を防止することができる。
【0084】
また、前記溶解度が1.0を超える溶剤種として、ターピネオール、エチルベンゼン、αテルピネン、及びミルセンの中から選択された少なくとも1種以上を使用することにより、容易に上記効果を奏することができる。
【0085】
また、本発明に係る積層セラミック電子部品は、セラミック焼結体に内部導体が埋設された積層セラミック電子部品であって、前記内部導体が、上記グラビア印刷用導電性インクを使用して形成されているので、導電性インク中の導電性粉末の含有量や、バインダ樹脂の含有量を下げることもなく、所望の低粘度を有する導電性インクを使用してグラビア印刷を施すことができ、塗布膜のカスレや塗膜強度の低下が生じることもなく印刷性の良好な印刷塗膜を形成することができ、薄層化・多層化しても高性能な信頼性に優れたセラミック電子部品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】良溶媒に貧溶媒を添加したときの樹脂の状態変化を模式的に示した図である。
【図2】本発明の導電性インクを使用して製造された積層セラミック電子部品としての積層セラミックコンデンサの一実施の形態を模式的に示した断面図である。
【符号の説明】
1 セラミック焼結体
2 内部導体

Claims (4)

  1. 少なくとも導電性粉末と、エチルセルロース樹脂からなるバインダ樹脂と、有機溶剤とを含み、
    前記有機溶剤は、前記バインダ樹脂の溶解度が1.0以下の溶剤種と、前記バインダ樹脂の溶解度が1.0を超える溶剤種とを含む2種以上の溶剤種からなると共に、
    前記溶解度が1.0以下の溶剤種は、ジイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ヘキサン、オクタン、ノナン、及びジブチルエーテルの中から選択された少なくとも1種以上であり、
    かつ、前記溶解度が1.0以下の溶剤種が、前記有機溶剤中に10重量%〜45重量%含有されていることを特徴とするグラビア印刷用導電性インク。
  2. 前記溶解度が1.0を超える溶剤種は、ターピネオール、エチルベンゼン、αテルピネン、及びミルセンの中から選択された少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1記載のグラビア印刷用導電性インク。
  3. 前記導電性粉末は、ニッケル粉末であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のグラビア印刷用導電性インク。
  4. セラミック焼結体に内部導体が埋設された積層セラミック電子部品であって、
    前記内部導体が、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のグラビア印刷用導電性インクを使用して形成されていることを特徴とする積層セラミック電子部品。
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