JP4081328B2 - 泡浴装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は泡浴装置に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、上記泡浴装置として、特開昭60−90523号に開示された「泡浴方法(以下、従来例1と称する)」や、実開平1−59481号に開示された「泡浴装置(以下、従来例2と称する)」が知られている。
従来例1は、浴槽内に満たされた石鹸泡内に入浴するようにした新しい泡浴方法を提供するもので、従来の入浴に比べて必要とする水量と熱量を減らすことができることが記載してある。この従来例1で開示されている泡発生装置は、泡発生装置内に高温の原液である石鹸水溶液が溜められ、石鹸水溶液中に空気を送ること及び撹拌することにより発泡させ、その泡を浴槽に供給する構成が開示してある。
【0003】
従来例2は、従来例1と同様に泡浴装置を提供する技術であり、シャワーノズルを備えたシャワーカプセル内に人が入れる泡浴室を設け、その泡浴室に連通して底面に多孔質板を配設した石鹸液槽を配置し、前記多孔質板の裏面側から空気を供給することにより、石鹸液槽内に泡を発生させ、シャワーカプセル内に石鹸泡を満たして泡浴を行えるように構成したものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の泡浴技術であれば、下記のような課題がある。
まず、従来例1では泡発生装置の具体的構成については、ほとんど記載されておらず、石鹸水溶液に空気を送ること及び撹拌することが記載されているにすぎない。このような泡発生装置は泡の発生手段としての一般的な常識を述べているにすぎない。
従来例2に開示された泡発生装置は、前記したように底面に多孔質板を配設した石鹸液槽を配置し、その多孔質板の裏面側から空気を供給するという構成が示されている。しかし、この構成ではバブリングにより生じた泡はその径が大きくまた、径が不均一で湿った泡であり、その泡をそのまま泡浴に使用する構成となっているので、入浴者が実際に入浴したときに、温水に入ったように気持ちが良いと感じることはできない。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、上記課題を解決できる新たな装置を提供することにある。
具体的な目的の一例を示すと、以下の通りである。
(a)入浴者が温水に入ったように気持ちが良いと感じる泡を、短時間で、大量に発生させることのできる実用的な泡浴装置を提供する。
(b)上記泡浴に適した温泡を浴槽に好ましい状態で供給できる泡浴装置を提供する。
なお、上記に記載した以外の発明の課題及びその解決手段は、後述する明細書内の記載において詳しく説明する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の構成は多面的に表現できるが、例えば、代表的なものを挙げると、次のように構成したものである。
第1発明の泡浴装置は、内部発泡室に泡剤液が収容され、空気を噴出する発泡具により温泡を発生させる発泡装置と、前記発泡装置によって発生した温泡を微細化する泡微細化装置と、微細化された温泡を泡浴のために収容する温泡収容手段とを含んで構成され、
前記泡微細化装置は、120メッシュ〜250メッシュ(例えば、網目の開口部の一辺の長さ141μm〜61μm、日本工業規格による単位名、以下同じ)の網体を3枚〜10枚備えており、それら網体間の間隔は、メッシュの目の大きさの30倍〜100倍の範囲に設定されていることを特徴とする。
【0007】
第2発明は、第1発明において、前記網体を4枚〜5枚備えていることを特徴とする。
第3発明は、第1発明〜第2発明のいずれか一つに記載の発明において、網体の間隔を、網体の目の大きさの50倍〜70倍の範囲に設定されていることを特徴とする。
第4発明は、第1発明〜第3発明のいずれか一つに記載の発明において、網体の大きさを150メッシュ〜200メッシュの大きさに設定したことを特徴とする。
第5発明は、第1発明〜第4発明のいずれか一つに記載の発明において、泡微細化装置が有する網体の第1層にかかる圧力が2.2kPa〜2.7kPaの範囲であることを特徴とする。
【0008】
第6発明は、第1発明〜第5発明のいずれか一つに記載の発明において、前記発泡具がノズル、オリフィス、メッシュ、散気板の少なくとも一つを備えている。
第7発明は、第1発明〜第5発明のいずれか一つに記載の発明において、前記発泡具が100メッシュ〜400メッシュの網体を取付けた空気噴出口を備えていることを特徴とする。
第8発明は、第1発明〜第7発明のいずれか一つに記載の発明において、前記発泡具を発泡装置の内部発泡室底壁に向けて配置し、底壁に溜まった泡剤液中に空気を噴出させることを特徴とする。
【0009】
第9発明は、第8発明において、発泡具の空気噴出口と発泡装置の内部発泡室底壁との距離を0.1mm〜1mmに設定し、さらに内部発泡室内に溜まる泡剤液の高さを底壁から1mm〜50mmに設定したことを特徴とする。
第10発明は、第1発明〜第9発明のいずれか一つに記載の発明において、泡微細化装置の入口を、内部発泡室内の泡剤液の液面上20mm〜300mmの位置に設けたことを特徴とする。
【0010】
第11発明は、第1発明〜第10発明のいずれか一つに記載の発明において、少なくとも一回の泡浴に必要な泡剤液を内部に保有し、泡剤液の温度を調節可能な加熱昇温装置を備えた昇温リザーバを設け、昇温リザーバからの泡剤液を前記発泡装置に供給するように構成したことを特徴とする。
第12発明は、第11発明において、昇温リザーバから泡剤液を前記発泡装置に供給し、空気を昇温リザーバ内に送ることにより、昇温リザーバ内を加圧するとともに昇温リザーバと発泡装置及び泡微細化装置との圧力を調整して、泡剤液を昇温リザーバから発泡装置へ流れやすく構成したことを特徴とする。
【0011】
第13発明は、第1発明〜第12発明のいずれか一つに記載の発明において、前記温泡収容手段が変形型温泡収容手段で構成されていることを特徴とする。
第14発明は、第13発明において、前記変形型温泡収容手段が人体を収容できる袋形に形成してあることを特徴とする。
第15発明は、第1発明〜第12発明のいずれか一つに記載の発明において、前記温泡収容手段を浴槽形に形成し、浴槽の長手方向に泡微細化装置の温泡放出口を形成するとともに、前記温泡放出口を前記浴槽の底壁近くの横側内壁に形成し、発泡装置と泡微細化装置とを前記浴槽に付設したことを特徴とする。
【0012】
第16発明は、第1発明〜第15発明のいずれか一つに記載の発明において、温泡収容手段に収容される温泡の水分と泡中の気体の40℃における体積比が水分:気体=1:50〜1:200の範囲にあることを特徴とする。
第17発明は、第1発明〜第16発明のいずれか一つに記載の発明において、温泡収容手段に収容される温泡の平均の直径が0.2mm〜2mmであることを特徴とする。
第18発明は、第1発明〜第17発明のいずれか一つに記載の発明において、泡剤液の泡発生剤として液状石鹸を使用し、その液状石鹸と、液状石鹸を溶かす水との重量比が3:97〜10:90の範囲にあることを特徴とする。
【0013】
以下、上記第1発明〜第18発明について、さらに説明する。
本明細書において「温泡」とは泡浴に対応した温度を有する泡を言う。「泡浴に対応した温度」は、高温泡浴、低温泡浴など使用者が希望する泡の温度や、後述する(泡の性質4)の記載内容や、温泡が発生してから浴槽などの温泡収容手段までの移動距離、周囲温度等によってそれぞれ異なるものである。
「温泡収容手段」とは動物(普通は人間)と温泡をともに共存させ、動物の周りに温泡を配置して、泡浴できる全ての収容手段を言い、形状、材質等は問わない。また、専用の温泡収容手段を新たに構成したものであっても、既存の浴槽等を利用するものであっても良い。
【0014】
本明細書において「泡剤液」とは泡を発生させる元となる液体を言う。「泡剤液」として、最も一般的に用いられるのは水分と泡発生剤を含んでいるものである。さらに、水に加えて所定の溶媒を含ませて泡を発生させるように構成しても良い。なお、その場合の溶媒は人体に優しい成分であることが好ましい。
【0015】
水を使用する場合、泡発生剤としては、例えば、身体を洗うための石鹸、例えば、液状石鹸(所謂、ボディソープ)、固形石鹸などを使用することができる。前記「泡剤液」として簡単で、好適に使用できるものは、例えば、液状石鹸を水に溶かした液である。
「網体」の目の形状は限定されない。網の目の形状としては格子状、菱形、亀甲などが例示できる。本発明の網体としては金網が好ましい。
なお、第1発明において、3枚〜10枚の網体を使用する場合に、網体の目の大きさが異なるものを使用する場合は、目の細かい網体を下流側に配置することが好ましい。
【0016】
一般に、気相−液相で泡を発生させるには、液中に気体を吹き込んで泡の内部の気圧を大気圧以上にする必要があり、泡の単粒子の大きさが小さいほど大きな圧力を要する。この圧力は、形成された泡の液膜の表面張力とつりあうため入浴に使用した場合、身体が受ける圧力は温水浴に比べて非常に小さく、大気圧とほとんど同じになる。さらに泡は密度が小さいため、中で身体を動かしても抵抗が少なく心肺機能に負担のかからない入浴ができる。
気相−液相の泡は液膜によって気体が包まれた状態でこの泡が多数集まって塊状をなしているが、本発明者が、上述した各発明を実現するにあたって考慮した泡の性質は下記のようなことである。
特に、下記(泡の性質2)〜(泡の性質7)は本発明者らが発見したものである。
【0017】
(泡の性質1)泡が常温よりも暖かい場合、泡の表層部では蒸発により短時間で温度が降下する。
(泡の性質2)一旦発生した泡塊は膜を構成する液分が重力によって下へ移動し、その結果、泡塊の温度が高い時は内部では温度差を生じて上部が冷たく、下部では熱くなる。また液分が分離するとその分離した部分は液としての熱容量を持つために身体に触れれば熱く感じる。この現象は泡の液分が多いほど、また石鹸分の濃度が小さいほど著しくなる。
(泡の性質3)泡はある温度で発生させると上記(1)(2)の場合を除いて短時間での昇温や降温が難しく、温度の制御が非常に困難である。
【0018】
(泡の性質4)泡は見かけ容積に対して液部の実容積が小さく、したがって泡塊の熱容量は同じ容積の温水の場合よりもずっと小さくなり、適度の温熱感を得るためには通常の温水浴よりも高い温度が必要になる。この温度は泡の細かさ、液膜温度、泡内の空気温度等によって変化するために発泡方法によって発泡気体や泡剤液の温度の検討が必要である。
(泡の性質5)泡はきめの細かい方が体感が良く、温度の降下がゆっくりしているがきめの粗い泡では体感が悪く、また同じ温度の場合に温度降下が早い。また、きめの細かい泡は互いに合体しやすく、きめの粗い泡に比べて消滅しやすい。
【0019】
(泡の性質6)発生した泡の移動は他の媒体を使用したり、あるいは連続して泡を発生させて泡自体を移動の動力源として使用することによって可能であるが、気体や液体と異なって移動経路中で泡を均等に分岐させたり移動経路の末端で多数の分岐を作り、その各々に均等に配分することは非常に困難である。
(泡の性質7)泡を発生させるための泡剤液は泡発生剤の濃度が大きい場合には発泡は良いが発泡量の増加は泡発生剤の濃度の増加に比例しない。泡は発生直後からその一部が液に戻り始めるが泡発生剤の濃度が小さすぎると、この傾向が大きく発泡量が極端に少なくなりすぐに泡が消えて液に戻る。このため発泡方法に最も適した泡発生剤濃度の検討が必要である。
【0020】
本発明は上記(泡の性質1)〜(泡の性質7)の各現象に対して解決策を講じて、一例として、30秒程度の短時間で人が泡浴して気持ちの良いムース状の細かな泡を大量に発生させることにより快適な泡浴を提供するものである。
【0021】
本発明者らは最初、暖めた泡剤液に加温された空気を噴出させれば、多量の温泡が発生し、その温泡を用いて快適な泡浴が実現できると考えた。しかし、この構成では、(泡の性質5)に示されるように、液分が多く、きめが粗い温泡しか発生できず、均一なムース状の温泡を発生させることはできなかった。このような不均一できめの粗い温泡で泡浴すると、浴槽内で部分的に冷たく又は熱く感じる部分ができて、泡浴した場合に満足するような快適な体感を得ることは難しい。
そこで、本発明者は、泡発生装置を、最初の温泡を発生させる発泡装置と、その発生した温泡を微細化する泡微細化装置に機能分離することを考えた。具体的には、発泡装置で発生した温泡を複数枚の網体を通過させることにより、温泡を微細化しようとした。そして、網体の目の大きさ、網体の枚数、網体の間隔などの条件が快適と感じる温泡の生成に大きく関係することを見出した。また、発泡装置、泡微細化装置、浴槽などの温泡収容手段などの具体的構成を誠意研究することにより、浴槽の大きさを一杯にするような多量の細かい温泡を短時間で供給する泡浴装置を現実に完成することができたのである。
【0022】
【発明の効果】
第1発明であれば、上記目の大きさ範囲の網体を上記枚数及び間隔で配設することにより、網体によって温泡を微細化し、かつ均一化する機能を良好に発揮させることができ、温水に入ったように気持ちが良いと感じる温泡を、短時間で、大量に発生させることのできる実用的な泡浴装置を提供できる。
【0023】
【実施の形態】
以下、本発明の泡浴装置について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は本発明の第1実施形態に係る泡浴装置の概略構成を示す斜視図である。この泡浴装置は、泡剤液を加温し、泡浴に適した暖かい温泡を発生させる温泡発生装置1と、発生した暖かい温泡を人体の周囲に満たす温泡収容手段としての温泡収容部2とを備えている。
温泡発生装置1は生成した温泡を温泡収容部2へ供給する温泡供給部を備えており、その温泡供給部は温泡供給管や、温泡収容部2の所定位置に設けられた供給口などによって構成される。
【0024】
この第1実施形態に係る構成では人が泡浴した後の温泡を温泡収容部から除去する温泡除去装置3が温泡発生装置に付設した構成が示してある。
温泡除去装置3は必要により設けられるものであり、温泡除去装置3としては、シャワー装置を備え、温泡に水又は温水をかけて温泡を消滅させる構成や、掃除機のような吸引によって温泡を吸引する温泡吸引装置などが例示できる。
【0025】
温泡収容部2は形が一定で変化しない固形型温泡収容部と、泡浴しない時は形が変化し、持ち運びなどに適した形になる変形型温泡収容部とに大別できる。
固形型温泡収容部の一例としては、一般の公衆浴場や家庭の風呂に使用される浴槽が挙げられる。変形型温泡収容部としては、袋のように人体を収容する袋形体(図11参照)や、空気を袋中に送り込み膨らませることによって人体を収容する浴槽のようなものを作る空気ベッドなどや、水分を漏らさない合成樹脂シートを現場において泡浴しようとする人の下面、側面を囲うように立設させる浴槽シート組立キットのようなものなどが例示できる。
【0026】
[第2実施形態]
図2は本発明の第2実施形態を示す図であり、固形型温泡収容部として一般的な浴槽を使用した泡浴装置を示した構成図である。
この泡浴装置も泡浴に適した暖かい温泡を発生させる温泡発生装置1と、温泡収容部2とを備えている。
温泡発生装置1は、発泡具を用いて大きな温泡を発生させる発泡装置5と、発泡装置で発生した大きな温泡を均一で小さく多量の温泡に変える泡微細化装置6を含んで構成してあり、前記したように、発泡装置5と泡微細化装置6が本実施形態の最も特徴的な構成要素となっている。
【0027】
さらに、この実施形態に係る泡浴装置は、温泡発生装置1、温泡収容部2の他に、泡剤液貯蔵槽7と、昇温リザーバ8と、空気供給装置9と、空気昇温装置10と、加熱昇温装置11と、制御装置12と、温泡収容部2としての浴槽31と、起動装置29とを含んで構成してある。
なお、図2においてV1,V2は、制御装置12からの指令により開度が調整できる制御弁、NV1,NV2,NV3は手動弁、M1,M2,M3は制御装置12の指令により熱流体の流量、電流などを調整する電動調整具である。
図2において泡剤液、空気が流れる流路は実線で示し、制御装置12の制御線は破線で示している。加熱昇温装置11の熱源装置13は熱源の供給が温水、蒸気などの流体で行われる場合と電気熱源等で行われる場合があるので一点鎖線で示している。
【0028】
図3は発泡装置の拡大縦断面図、図4は泡微細化装置の拡大縦断面図である。図3において、発泡装置5は内部発泡室14に泡剤液15と発泡具16を収容できるように構成してある。
内部発泡室14には加熱昇温装置11が設けられている。加熱昇温装置11の加熱方法としては電熱器や、加熱流体を循環させる熱交換器などが採用でき、図2に示すように加熱昇温装置11は熱源(電圧、加熱流体)を供給する熱源装置13が接続してある。
【0029】
図3において、内部発泡室14には温度センサ17が設けられ、検出された温度は制御装置12(図2参照)内の温度制御装置(図示せず)に入力されるように構成してある。そして発泡装置5は周囲への伝熱による温度降下を防ぐために加熱昇温装置11により内部を所定設定温度に保つように構成してある。
また、発泡装置5の内部発泡室14には泡剤液供給口18が設けられており、前記昇温リザーバから単位時間当たり一定量の泡剤液が供給され、内部発泡室14内の底壁19に泡剤液15が溜まるように構成してある。
【0030】
図5は発泡具の拡大斜視図である。図5に示すように発泡具16は筒体の一方側から加熱加圧空気を供給する空気供給管21を接続し、他方側に100メッシュ〜400メッシュの金網22を取り付けた構造となっている。
図3に示すように発泡具16はその空気噴出口23を発泡装置5の底壁19に向けて配設され、発泡具16の空気噴出口23から噴出する空気の圧力を1.0kPa以上、好ましくは1.5kPa〜10kPa、さらに好ましくは4kPa〜7kPaに設定し、空気噴出口23と底壁19との距離を0.1mm〜1mm、より好ましくは0.1mm〜0.5mmに設定し、さらに内部発泡室14内に溜まる泡剤液15の高さを底壁から1mm〜50mm、より好ましくは1mm〜20mmに設定する。
【0031】
発泡具16に空気を供給すると、発泡によって泡剤液15の表面が波立つが、この波立ちで泡剤液15が液のまま泡微細化装置に入ることを防ぐため、泡の微細化装置の入口は、泡剤液15の液面上50mm以上の位置に設置してある。
内部発泡室14の泡剤液15中では、泡は泡剤液15の深さが深いほど、液面に向かって細長く伸びた形状になりがちである。したがって泡剤液15が深ければ、泡は体積の大きいものになり、同時に泡の液膜として移動する泡剤液量も多くなる。この泡の体積をできるだけ小さくするため、上述のように、発泡開始時の内部発泡室14内での泡剤液15の深さを最大50mm以下、最適20mm以下となるように泡剤液15の供給量をニードル弁等で制御した。
なお、発泡装置5の発泡具16は上記のような金網だけでなく、適宜、ノズル、オリフィス、散気板等で構成することも可能である。
【0032】
図4に示す泡微細化装置6は、発泡装置5を温泡収容部2とは独立させて配置する方式のものを示すもので、微細な穴を多数有するオリフィス板24を上流側に配置し、その下流側に適切な目の細かさの金網25を配置した構成となっている。泡微細化装置6の温泡放出口26(図2参照)は浴槽31の内壁に形成してある。
発泡装置で発生した温泡は一般にきめの粗いものや巨大な気泡を含んでいるが、この泡微細化装置6を通すことにより、均一できめの細かい多量の温泡に変えることができる。このような温泡は、白いムース状の泡になり、従来例2のようにバブリングにより発生する泡をそのまま使用する形態とは、全く異なるものである。
【0033】
図2に示す構成では、発泡装置5に一つの泡微細化装置6を取り付けた構成を示したが、発泡装置5に複数の温泡出口27(図3参照)を設けるとともに、それらの温泡出口27に連通する泡微細化装置を設け、各泡微細化装置から細かい温泡が均等に増加して出るように構成することもできる。
泡微細化装置6は、図4に示したオリフィス板24と網体としての金網25の組み合わせだけでなく、必要により各部材を金網25に組み合わせたりすることができる。なお、金網25の目の大きさ、配設枚数、配設間隔などについては後述する。
【0034】
図2に示すように、泡剤液貯蔵槽7は、適切な一定濃度の泡剤液15を内部に貯蔵する貯蔵槽であり、必要に応じて泡剤液を電磁弁、電動弁等を介して、昇温リザーバ8に供給する機能がある。泡剤液は昇温したままで長時間保存すると変質するため、泡剤液貯蔵槽7自体の昇温は行わず、昇温リザーバ8で1回使用量ごとに必要温度に昇温する方が好ましい。
昇温リザーバ8は、内部に使用者1回当たりの泡剤液使用量を保有できる空間を備えており、その空間に加熱昇温装置11と液量検知装置(図示せず)と温度センサ17を設けている。そして内部に保有された泡剤液を昇温させ、その昇温された泡剤液を発泡装置5に送る。また、前記発泡装置5内の発泡具16から供給される空気の圧力および発泡装置5の温泡出口27に連通して設けた泡微細化装置6の通過抵抗で発泡装置5内の内部圧力が上昇するため、空気供給装置9からの空気の一部を昇温リザーバ8へ送って、昇温リザーバ8の内部を加圧して昇温リザーバ8と発泡装置5の圧力とをバランスさせ、泡剤液を流れやすくしている。
【0035】
空気供給装置9は、空気ポンプなどで構成され、発泡に必要な空気の量及び圧力を発泡装置5内の発泡具16へ送る機能がある。また、図2に示す構成では、前記昇温リザーバ8の内圧と発泡装置5内圧力とをバランスさせるために昇温リザーバ8にも空気を送るようになっている。
空気昇温装置10は、前記加熱昇温装置11を内蔵しており、空気供給装置9から送られる空気を温泡に適した温度に昇温させて発泡装置5の発泡具16に送る機能がある。
加熱昇温装置11は、昇温リザーバ8内、空気昇温装置10内、発泡装置5内に配設され、温度センサ17及び温度制御装置により必要とされる温度に加熱する。加熱される対象は、空気昇温装置10では空気、昇温リザーバ8・発泡装置5ではそれぞれ泡剤液と内部空気である。
【0036】
温泡収容部1は、使用者が内部に入り、立位、座位、仰臥などの体位で使用者の周りを温泡で囲み、温泡による泡浴を可能にする部材であれば、形状、構造、材質などは特に限定されない。図2に示す構成では、温泡収容部1は二重底とされた浴槽31で構成されている。二重底は浴槽31の底部にスノコ状板または穴明き板などの開口板28を設置することにより構成する。このように二重底の浴槽31とすることにより温泡から分離した高温の液部の排出を排水口から速やかに行うことができる。またこのような開口板を設けることで、浴槽内に溜められる温泡の状態を良好に維持できる。
図2に示すように起動装置29は、温泡収容部1自体又は温泡収容部1の近くに設けられ、使用者が手動で操作することにより、少なくとも温泡の発生及び停止を行えるようにする。なお、温泡除去装置の起動装置も合わせて設け、必要により使用者が温泡の除去を行えるように構成しても良い。
【0037】
上記構成の泡浴装置の作用について簡単に説明する。
図2において、使用者が浴槽に入って起動装置29を操作すると、制御装置12により空気供給装置9が作動し、空気昇温装置10によって昇温された空気が発泡装置5に送られる。同時に昇温リザーバ8内の適切な温度になった泡剤液が発泡装置5に送られ、発泡装置5内に設けられた発泡具16から吹き出す空気によって暖かい温泡が生成される。発生した温泡は発泡装置5の温泡出口27から泡微細化装置6に送られ、泡微細化装置6のオリフィス板24と金網25を通過することにより均一できめの細かい温泡が多量に発生し、浴槽31内に送られる。
【0038】
浴槽31内は短時間のうちに温泡で一杯になり、使用者が暖かい温泡の中でゆったりくつろいで泡浴を楽しむことができる。温泡の発生量は発泡装置5の形状、空気供給量及び泡剤液濃度と供給量によって決まるが、発泡自体は短時間で終わり、その後、適当な時間温風を送り続けることによって温泡が消え始めるまでの比較的長い時間使用できる。その後は、温泡除去装置としての温水シャワー装置(図示せず)などを駆動することにより残りの温泡を洗い流して1泡浴サイクルを終了する。前記温風を送る温風供給装置としては前記空気供給装置9と空気昇温装置10を用いれば良い。
なお、上記のように空気供給装置9と空気昇温装置10を連続運転として常時、温風が浴槽内に送られる場合でも、発泡装置5内に泡剤液がある場合においてのみ温泡が発生するので、発泡装置5内に泡剤液がない状態では発泡装置5、泡微細化装置6を介して温風が供給されるだけになるので、温風を供給しても泡が出続ける心配はない。この場合は、タイマなどよって自動的に洗い流し用の温水シャワーを出し、使用者に1泡浴サイクルの終了を知らせるようにしても良い。
【0039】
上記のような作用により使用者は浴槽31内に入って起動装置29を起動操作後、短時間で暖かく細かい温泡が浴槽31内を満たし、通常の温水浴に比べて心肺機能にかかる負担が小さく、のぼせたり湯疲れしたりすることがなく比較的長時間の入浴が可能になる。また、このような構成であれば、浴槽31への温泡の供給、温泡の除去が短時間に行えるので、ある人が使用した後の温泡を後の人が使用することなく、全く新しい温泡を用いて泡浴を行うことができる。
【0040】
次に、泡微細化装置の構成及び作用について詳細に説明する。
図14は泡微細化装置の網体の作用を説明するための模式的な図であり、図14(A)は網体としての金網を2枚、所定間隔で並べた構成を示す図であり、図14(B)は金網を4枚、所定間隔で並べた構成を示す図である。
(基本的な作用)
図14において、金網25を複数枚数、重ねて配置した場合、各々の金網25の目はきちっと同じ列に揃うことはなく、必ずズレを生じる。その結果、発生した泡は次の層の金網25に当たると、その何割かが細分化され、より細かい泡になる。このような過程を繰り返すことにより、泡は次々と細分化され、発泡装置内で発生した泡よりもずっと細かい均一な泡になる。
【0041】
(金網の枚数と配設間隔)
図14(A)に示すように、金網25の枚数が2枚であると細分化できる泡の程度が中程度で止まり、良好なムース状の泡を短時間で供給することが難しくなる。
泡の微細化のための金網25は、金網25の目の大きさの30〜100倍程度、より好ましい状態としては50〜70倍程度、離隔して設置した。これは、泡が周囲全方向に均等に近く伸びた形になるための時間を十分に持たせるためである。
【0042】
泡はその発生時には、金網25の目を通過して供給される空気の進行方向に伸びるが、後端が液膜で閉じられて供給空気から独立すると、泡の内部の空気の圧力で全方向に均等に近く伸びた形になる。そのため、単一の泡の体積は変わらないが、投影面積が金網25の目よりも大きくなり、次の金網25にあたると分割されやすくなる。
金網間の距離が長すぎる場合、例えば網の目の大きさの1000倍程度になると、泡と液が分離したり、隣接する泡同士が合体して大きくなって泡の数が減少し、泡の微細化の効果が小さくなった。
一方、金網の間隔が小さすぎる場合、例えば金網同士を必要以上に密着させると、泡は後端が閉じられないまま次の金網に当たって連続した変形の泡になり、結果として泡の体積は大きいものとなって十分に微細化されなかった。
【0043】
(金網の網目の大きさと枚数の組合せについて)
使用した金網の目の大きさと枚数の組合せでは、網の目の細かい250メッシュの金網を使用しても、金網の枚数が少ない場合、例えば、2枚程度では微細化された後の泡の径は平均で2mm〜5mmとなってバラツキが大きく、十分に細かい泡が得られなかった。同じ250メッシュの金網で枚数を多くした場合、例えば4枚〜5枚とすると泡微細化装置の通過抵抗が急激に増加して送風量が低下し、同じ泡の量を得るためには、長い時間を要する結果となった。
同じく金網の目と枚数の組合わせで、網の目のより大きい100メッシュを使用すると、4枚〜5枚を使用しても微細化された後の泡の径は平均で3mm〜10mmとなり、泡径が大きく、微細なムース状の泡は得られなかった。さらに、これ以上に枚数を増やしても、泡は微細なムース状にならなかった。
【0044】
(金網の目の大きさと圧力について)
前記250メッシュの網目を持つ発泡具16を使用して、深さ20mm〜25mmの液に浸った状態での発泡に、およそ1.0〜1.5kPaの風圧を要した。内部発泡室14内で発生した泡が、150メッシュの金網5枚を3mm〜5mmの間隔で構成した泡微細化装置6に達すると、泡が金網を通過する抵抗により、4.5kPa〜6.0kPaの風圧を要した。一方、泡微細化装置6を250メッシュの金網で4枚〜5枚とした場合、9kPaを超える風圧となった。
このように、発泡装置で発生された温泡が泡微細化装置6を通過するのに要する風圧が大きくなればなるほど、より能力の高い空気供給装置9が必要になるとともに、温泡発生装置1および泡微細化装置6の構成も精密かつ頑強なものが要求され、泡浴装置が高価になる問題がある。
【0045】
次に、発泡装置内の泡の発生に関する工夫について説明する。このような工夫は後述する第2実施形態〜第4実施形態においても同様に言えるものである。
▲1▼発泡具から噴出する空気の圧力で内部発泡室から泡微細化装置に向けて温泡が押し出され、かつ温泡と空気が分離しない状態で温泡が泡微細化装置の第1層の網体に達するようにする。つまり、泡微細化装置の第1層の網体に達する温泡は、大きさは不揃いでも良いが完全に泡になるようにし、また、発泡装置、泡微細化装置の間において連続した空気流の部分がないように発泡装置内で泡を発生させることが必要である。
【0046】
▲2▼さらに、浴槽などの温泡収容手段の75%程度の容積まで、短時間、例えば30秒程度で入浴可能な量の温泡を発生させることが好ましい。これに要する時間が長いと、泡の性質により、液分が重力によって泡塊の下方へ移動し、温度が泡塊の上下で不均一になって快適な浴感が得られなくなる。さらに待ち時間が長くなるため、体が冷えやすくなる。泡は微細なものほど発生直後から合体し始める。合体するよりも早く、次の泡を発生させるこが必要であり、この点からも発泡時間を短くすることが必要である。
【0047】
▲3▼発泡装置の発泡具によって発生する一次の温泡が泡微細化装置へ移動する場合に、温泡の液膜が移動できるようにする泡剤液の量が適量になるようにすること。適量とは、泡が分割される際、その泡の後端を閉じるのに十分な量の泡剤液が泡の移動時に液膜として移動することを意味する。
【0048】
[第3実施形態]
図6は本発明の第3実施形態を説明するための概略構成図である。この第3実施形態が前記第2実施形態と異なる点は、発泡装置5と泡微細化装置6とを前記浴槽31に一体的に付設した点と、使用者が操作できる泡浴状態設定装置30を設け、必要に応じて、運転時間の選択、温泡の温度操作の少なくとも一つの操作を実現できるようにした点である。
【0049】
まず、発泡装置5と泡微細化装置6とを前記浴槽31に一体的に付設した構成について説明する。
図7は発泡装置と泡微細化装置を前記浴槽に一体的に付設した浴槽の拡大正面図、図8は図7におけるVIII−VIII線縦拡大断面図である。
図8に示すように、この泡浴装置の浴槽31の下部両側位置には、泡微細化装置6の温泡放出口26が開口されている。その温泡放出口26は浴槽31の所定方向(通常は浴槽31の長手方向)に伸びる細長い長方形に形成してある。浴槽外部には温泡放出口26を覆うように発泡装置5と泡微細化装置6を収容したポケット部32が形成され、そのポケット部32は長手方向に延びるように立設された区画壁33により上流側室34と下流側室35に区画されている。そして上流側室34に発泡具16、加熱昇温装置11、泡剤液供給管36を配設し、上流側室34と下流側室35を連通する細長い長方形開口に複数の金網37が間隔をおいて複数層に重ねて配置されている。この複数枚の金網37が前記泡微細化装置6として機能する。下流側室35は、泡微細化装置6で発生した小さく多量の温泡を細長い長方形である温泡放出口26に導く導温泡室として機能する。
【0050】
また、図7に示すように空気昇温装置10からの加熱空気が一旦流れ込む容量の大きな送風管38に図5で示すような複数の発泡具16が一定間隔で下方に突出するように設けられている。加熱昇温装置11は、上流側室34内を一定温度に保つように温水が流れる熱交換器として配置されている。泡剤液供給管36には洩れ孔(図示せず)が一定間隔で開口されており、昇温リザーバ8からの泡剤液を上流側室34の長手方向に均等に泡剤液が供給されるように構成してある。なお、図7において泡剤液供給管36の位置、加熱昇温装置11の大きさなどは図7において線が重ならず分かりやすいように、図8に示す記載とは若干異ならせて記載してある。また、図9は上流側室34内で大きな温泡が形成され、泡微細化装置6で小さな温泡に変わる様子を模式的に描いた図である。
【0051】
上記発泡装置5と泡微細化装置6とを一体的に浴槽31に付設した構成であれば、下記の利点がある。
発泡装置5と泡微細化装置6とを一体的に浴槽31に付設することにより、発泡装置5と泡微細化装置6を配置する場合において浴槽とは独立した配置スペースが不要となり、泡浴装置全体を機能的に配置することができる。
また、ポケット部32を浴槽31の長手方向に設け、細長い長方形である温泡放出口26を備えることにより、多量の温泡を長手方向全域に同時に供給することができ、温泡の浴槽31への充填を迅速に行うことができる。さらに、このように構成することにより、浴槽31の長手方向において浴槽31内の温泡の状態をほぼ均一に構成することができ良好な泡浴を達成できる。
なお、図8に示す構成において、浴槽31の温泡放出口26と泡微細化装置6の間に、浴槽31の側壁から入り込んだ下流側室35を設けた理由は、泡微細化装置6の金網37を人体の接触等から守るためである。
【0052】
次に、使用者が操作できる高機能の泡浴状態設定装置30を設けることにより、泡浴装置に付加できる機能を説明する。
(1.運転温度の選択)
図6に示すように、入浴者が操作可能な位置に押しボタン式、ダイヤル式、デジタル表示操作盤などの泡浴状態設定装置30を設ける。泡浴状態設定装置30は、起動装置29と別体で設けても良いし、同じ操作盤内に含ませて設けても良い。制御装置12が使用者が行った泡浴状態設定装置30の操作を検出して、各加熱昇温装置11の加熱温度を設定することにより、使用者の好みの温かさの泡でゆったり泡浴することができるように構成する。なお、加熱昇温装置11が加温するものは、前記したように、空気温度、泡剤液温度である。
【0053】
(2.運転時間の選択)
図6に示すように、起動装置29と並べてタイマを設置し、使用者がタイマで泡浴装置の運転時間を制御できるようにすることで好みの時間、泡浴を行うことができる。このタイマも概念として前記泡浴状態設定装置30の中に含まれる。発泡量と発泡時間は泡剤液の供給量および空気供給装置からの送気量とで決まるが、温風は空気供給装置が運転している間は出し続けることができるために使用者は泡が消え始めるまでの時間泡浴に浸ることができる。泡浴時間が長くなっても泡浴媒体の泡はほとんど大気圧に等しく圧迫感がないため使用者はのぼせたり、湯疲れすることなく泡浴を楽しむことができる。
【0054】
[第4実施形態]
図10は本発明の第4実施形態に係る泡浴装置を示す概略斜視図であり、温泡収容部として袋を採用したものを示す図である。図11は泡浴時における袋の長手方向の断面図、図12は泡浴時における袋の横方向の断面図である。
図10において、前記袋は水分を漏らさない合成樹脂製のシート39などで構成されている。シート39の縁部にはファスナー等の開閉具40が取り付けてあり、開閉具40を閉じることにより、図11,12に示すような使用者を包込む寝袋のような袋形にすることができるように構成してある。
【0055】
図10においてシート39の一方側には使用者の頭を支える枕部42が取り付けてあり、身体を横たえるシート部分の両側位置に複数個の温泡供給口43が設けられ、シートの所定位置に複数個の温泡排出口44が設けてある。温泡発生装置(図示せず)からの温泡は温泡供給管45を介して温泡供給口43から袋41(図11参照)内に供給されるように構成してある。また、温泡排出口44には温泡排出管46が接続され、外部の吸引装置(図示せず)により袋41内の温泡を除去できるようにしてある。除去の仕方は吸引以外にも各種の方法があり、使用者の身体についた温泡を流す少量の温水を供給する方法などが採用できる。
このような泡浴装置であれば、寝たきりになった人が寝ているベッドなどの上で図10に示すようなシート39を広げ、そのシート39の上に寝たきりになった人を移動させる寝返り動作のような負担の少ない介添えで、温泡による泡浴を寝たきりになった人に楽しませることができる。
【0056】
図13は、温泡収容部として家庭で使用するような携帯型の泡浴装置に好適な泡浴装置の全体構成を示した図である。
家庭で小規模に実施する泡浴装置においては、使用する泡剤液は少量で済むため、図2に示すような昇温リザーバ8は省略して、容量の小さい泡剤液貯蔵槽7を設けるだけで十分である。なお、図13においては、泡剤液貯蔵槽7、熱源装置13、空気供給装置9、空気昇温装置10、発泡装置5などを別々に配置しているように描いているが、一つまたは二つ程度の携帯型容器内に上記各構成要素を収容して移動又は持ち運びに便利なように構成し、家庭用電源で泡浴が楽しめるように構成することが好ましい。
【0057】
【実施例】
以下、図6〜図9に示す泡浴装置の具体的構成などを示す。
(具体的構成)
図6に示す泡剤液貯蔵槽7の容積を40リットルとし、昇温リザーバ8の容積を12.5リットルとし、一回に供給される泡剤液の量は5リットルとした。 また、空気供給装置9は回転式ブロアーを使用し、加熱昇温装置11は蒸気熱源を使用した。
浴槽31の容積は360リットルとし、ポケット部32の上流側室34の容積は片側で11リットルとし、0.17リットル/毎秒の量で、30秒間、昇温リザーバ8から上流側室34に泡剤液を供給した。発泡装置5としての上流側室34の底壁19と発泡具16の空気噴出口23との間隔は、0.5mmに設定し、空気の噴出圧力は6.0kPaに設定した。
【0058】
なお、昇温リザーバ8の泡剤液の温度とポケット部32の泡剤液の温度は、前記泡の性質(4)の記載内容などによってかなり変化するが、室温が15℃程度であれば、浴槽で40℃の温泡による泡浴を実現するには、おおよそ、昇温リザーバ8内の泡剤液の温度を55℃〜60℃に設定し、ポケット部32内の泡剤液の温度を43℃〜48℃に設定すれば良好であった。
前記の条件で昇温リザーバ8からポケット部32に泡剤液を供給すると、ポケット部32の下流側室35の温泡放出口26からは10リットル/毎秒の温泡が発生し、約35秒で体重60Kgの大人一人が入った浴槽31内が温泡で一杯になった。その後、空気昇温装置10から45℃の温風を10分間供給することにより、ほぼ40℃の温泡を10分間維持することができ、泡浴に十分な時間とすることができた。
使用者による泡浴終了後、泡浴除去装置としての0.5リットル/毎秒の温水シャワー装置を起動させると、約30秒間で浴槽31内の温泡を消滅させることができた。
【0059】
上記泡浴装置により判明したことの一例を挙げると以下のような点であった。▲1▼(微細化された温泡の充満時間)
上記本実施例の大きさの浴槽を使用した場合、本実施例に係る泡浴装置は、約35秒で浴槽を温泡で一杯にすることができ、極めて短時間に泡浴可能状態にすることができた。
▲2▼(液濃度と発泡量)
実験では泡剤液に市販の液状ボディソープを前述の適切な濃度で使用することにより良い発泡が得られた。ボディソープ濃度が小さくなると前述したように発泡量が極端に少なくなり、発生した泡が直ぐに液に戻ってしまう現象が見られた。
【0060】
▲3▼(温泡供給後の温風の効果)
図6の構成において昇温リザーバ8、空気昇温装置10の温度、発泡装置5内の温度を適切に設定することにより、良い泡浴感が得られ、発泡終了後も温泡が消え始めるまでに浴槽31内に温風を均等に吹き出すことにより温泡層の上下での温度差を小さくすることができた。
【0061】
▲4▼(金網の目と泡の細かさ)
発泡具には前述した範囲の適切な目の細かさを持った金網を使用したが、発泡具だけでは均等な細かい泡にはならず微小なものから巨大な温泡までばらつきが大きかった。
泡微細化装置に前述した範囲の適切な目の細かさを持った金網を複数使用することにより短時間で多量の細かい均一な温泡を得ることができた。同じ枚数の金網ではメッシュ数の大きい目の細かいものほど泡は細かくなったが、発泡終了までの時間が長くなり発泡終了での温泡収容部内での泡量は余り多くはならなかった。これは発泡終了までの長くなった分の時間で、一旦発生した温泡が液に戻ってしまう量が多くなったことによる。金網の目が細かいものでも層の数が少ない場合は均一な温泡にならない場合が多く、また目の粗い金網では多数重ねても泡粒が大きく巨大温泡も多く含まれ、良い泡浴感を得ることは難しかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1実施形態に係る泡浴装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図2は本発明の第2実施形態を示す構成図である。
【図3】図3は発泡装置を示す拡大縦断面図である。
【図4】図4は泡微細化装置を示す拡大縦断面図である。
【図5】図5は発泡具の構成を示す拡大斜視図である。
【図6】図6は本発明の第3実施形態を示す構成図である。
【図7】図7は浴槽に発泡装置と泡微細化装置を付設した構成を説明するための拡大図である。
【図8】図8は図7のVIII−VIII線縦拡大断面図であり、ポケット部を説明するための図である。
【図9】図9はポケット部の使用時の状態を示す図である。
【図10】図10は本発明の第4実施形態を示す概略構成斜視図である。
【図11】図11は泡浴時における袋の長手方向の模式的な断面図である。
【図12】図12は泡浴時における袋の横方向の模式的な断面図である。
【図13】図13は携帯型の泡浴装置に好適な泡浴装置の概略構成図である。
【図14】図14(A)(B)はそれぞれ泡微細化装置の網体の作用を説明するための模式的な図である。
【符号の説明】
1…温泡発生装置、2…温泡収容部、3…温泡除去装置、5…発泡装置、6…泡微細化装置、7…泡剤液貯蔵槽、8…昇温リザーバ、9…空気供給装置、10…空気昇温装置、11…加熱昇温装置、12…制御装置、14…内部発泡室、16…発泡具、18…泡剤液供給口、19…底壁、22,25,37…金網、23…空気噴出口、26…温泡放出口、27…温泡出口、30…泡浴状態設定装置、31…浴槽、41…袋。
Claims (18)
- 内部発泡室に泡剤液が収容され、空気を噴出する発泡具により温泡を発生させる発泡装置と、前記発泡装置によって発生した温泡を微細化する泡微細化装置と、微細化された温泡を泡浴のために収容する温泡収容手段とを含んで構成され、
前記泡微細化装置は、120メッシュ〜250メッシュの網体を3枚〜10枚備えており、それら網体の間隔は、メッシュの目の大きさの30倍〜100倍の範囲に設定されていることを特徴とする、泡浴装置。 - 前記請求項1に記載の泡浴装置において、前記網体を4枚〜5枚備えている、泡浴装置。
- 請求項1ないし請求項2のいずれか一項に記載の泡浴装置において、前記網体の間隔を、網体の目の大きさの50倍〜70倍の範囲に設定されている、泡浴装置。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の泡浴装置において、網体の大きさを150メッシュ〜200メッシュの大きさに設定した、泡浴装置。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の泡浴装置において、泡微細化装置が有する網体の第1層にかかる圧力が2.2kPa〜2.7kPaの範囲である、泡浴装置。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の泡浴装置において、前記発泡具がノズル、オリフィス、メッシュ、散気板の少なくとも一つを備えている、泡浴装置。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の泡浴装置において、前記発泡具が100メッシュ〜400メッシュの網体を取付けた空気噴出口を備えている、泡浴装置。
- 請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の泡浴装置において、前記発泡具を発泡装置の内部発泡室底壁に向けて配置し、底壁に溜まった泡剤液中に空気を噴出させる、泡浴装置。
- 請求項8に記載の泡浴装置において、発泡具の空気噴出口と発泡装置の内部発泡室底壁との距離を0.1mm〜1mmに設定し、さらに内部発泡室内に溜まる泡剤液の高さを底壁から1mm〜50mmに設定した、泡浴装置。
- 請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の泡浴装置において、泡微細化装置の入口を、内部発泡室内の泡剤液の液面上20mm〜300mmの位置に設けた、泡浴装置。
- 請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の泡浴装置において、少なくとも一回の泡浴に必要な泡剤液を内部に保有し、泡剤液の温度を調節可能な加熱昇温装置を備えた昇温リザーバを設け、昇温リザーバからの泡剤液を前記発泡装置に供給するように構成した、泡浴装置。
- 請求項11に記載の泡浴装置において、前記昇温リザーバから泡剤液を前記発泡装置に供給し、空気を昇温リザーバ内に送ることにより、昇温リザーバ内を加圧するとともに昇温リザーバと発泡装置及び泡微細化装置との圧力を調整して、泡剤液を昇温リザーバから発泡装置へ流れやすく構成した、泡浴装置。
- 請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の泡浴装置において、前記温泡収容手段が変形型温泡収容手段で構成されている、泡浴装置。
- 請求項13に記載の泡浴装置において、前記変形型温泡収容手段が人体を収容できる袋形に形成してある、泡浴装置。
- 請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の泡浴装置において、前記温泡収容手段を浴槽形に形成し、浴槽の長手方向に泡微細化装置の温泡放出口を形成するとともに、前記温泡放出口を前記浴槽の底壁近くの横側内壁に形成し、発泡装置と泡微細化装置とを前記浴槽に付設した、泡浴装置。
- 請求項1ないし請求項15のいずれか一項に記載の泡浴装置において、温泡収容手段に収容される温泡の水分と泡中の気体の40℃における体積比が水分:気体=1:50〜1:200の範囲にある、泡浴装置。
- 請求項1ないし請求項16のいずれか一項に記載の泡浴装置において、温泡収容手段に収容される温泡の平均の直径が0.2mm〜2mmである、泡浴装置。
- 請求項1ないし請求項17のいずれか一項に記載の泡浴装置において、泡剤液の泡発生剤として液状石鹸を使用し、その液状石鹸と、液状石鹸を溶かす水との重量比が3:97〜10:90の範囲にある、泡浴装置。
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