JP4080682B2 - 半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体装置に関するもので、特に静電気放電(ESD:Electro Static Discharge)による破壊を防止するための、ESD保護抵抗の配置に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にESDは、半導体装置を人間若しくは機械が運搬する場合などに生じる。ESDの発生時には、数百V〜数千Vの電圧が極短時間の間に半導体装置の2端子間に印加される。このESDによる破壊に半導体装置は非常に弱い。そのため、半導体装置の外部端子(ボンディングパッド)に例えば保護ダイオードを設け、半導体装置が破壊される前に静電気の放電を行うことで、ESD破壊の発生を防止している。
【0003】
しかし、特に車載用の半導体装置等では、その使用環境が厳しいために保護ダイオードだけではESD破壊の発生を十分に防止できない場合がある。また、例えばモータードライブ用の半導体装置では、モーターの逆起電力により保護ダイオードを介して電流が流れて寄生トランジスタが動作してしまい、予期せぬ不具合が生じることがある。そのためこの場合には、半導体装置の動作の信頼性の観点から、保護ダイオードの使用は不可能である。
【0004】
これらの問題に対処するために、従来は半導体装置の外部端子と内部回路との間に保護抵抗を接続し、この保護抵抗を介して静電気の放電を行うことで、内部回路におけるESD破壊の発生を防止していた。
【0005】
しかしながら、保護ダイオードを使わずに保護抵抗を用いて静電気の放電を行った場合、保護抵抗自身においてESD破壊が生じるという問題があった。これは、保護抵抗のコンタクト部における電荷の集中が原因である。
【0006】
そのため、複数の保護抵抗を並列に接続することで、この電荷を各保護抵抗に分散させて、保護抵抗自身のESD破壊を防止する試みが行われている。この構造について図14(a)乃至(c)を用いて説明する。図14(a)乃至(c)は、半導体装置における外部端子と内部回路との間の領域を示しており、(a)図は平面図、(b)図は(a)図におけるA−A’線に沿った断面図、(c)図は等価回路である。
【0007】
図示するように、各半導体素子が形成された半導体基板100上に半導体素子を保護するための絶縁膜110が設けられ、この絶縁膜110中にESD破壊防止用の保護抵抗R100〜R130となる半導体層120が設けられている。この半導体層120は例えば多結晶シリコン等により形成される。また、絶縁膜110上には内部回路及び外部端子に接続する金属配線層130、140が設けられ、これらの金属配線層130、140は上記半導体層120にコンタクトホールを介して接続されている。ここで、金属配線層130、140がそれぞれ内部回路及び外部端子(ボンディングパッド)に接続されるノードを、それぞれノードIN、ノードOUTと表すことにする。
【0008】
上記半導体層120からなる保護抵抗R100〜R130は、ノードOUTとノードINとの間に並列に設けられており、この構造は図14(c)のような等価回路により表すことが出来る。
【0009】
前述の通り、ノードOUTとノードINとの間に保護抵抗を用いた場合における電荷の集中箇所は、保護抵抗のコンタクト部である。このコンタクト部は、図14(a)乃至(c)の構造においては、保護抵抗R100〜R130となる半導体層120と金属配線層140とのコンタクト部であり、特にその角部A1、A2での電荷集中が顕著である。本構造は、上記コンタクト部に集中する電荷量を並列に接続した4つの保護抵抗に分散させることにより、各保護抵抗単体のコンタクト部において集中する電荷の絶対量を低減させようというものである。
【0010】
しかしながら、図14(a)乃至(c)の構造において、4つの保護抵抗R100〜R130に均等に電荷を分散させることは非常に困難である。すなわち、電荷の分散にばらつきが生じてしまい、その結果、保護抵抗R100〜R130のうちのいずれかのコンタクト部で集中する電荷量を低減できたとしても、他の保護抵抗のコンタクト部での電荷量を殆ど低減できないといった現象が生じる。このように、電荷量の低減が図れない保護抵抗が存在すれば、その保護抵抗でESD破壊が生じてしまう。その結果、わざわざ複数の保護抵抗を設けたにもかかわらず、その効果が殆ど得られず、半導体装置のESD耐性の向上が図れないという問題があった。
【0011】
また、複数の保護抵抗への電荷の分散を図る他の構造が、特開平9−22948号に開示されている。上記公報に記載の半導体装置は、パッド中心を通り、且つ半導体装置の辺に垂直な直線に対して線対称となるように、2つの保護抵抗、保護回路、及びそれらの間を接続する金属配線をパッドと内部回路との間に配置することで、各抵抗に電荷を対称的に分散しようとするものである。本構造では、パッドから進入した静電気電流は左右対称に配置された2つの保護抵抗に分かれて、更に各々の保護抵抗の先に設けられた保護回路に流れていく。この保護回路の一方はnチャネルMOSトランジスタから構成され、他方はpチャネルMOSトランジスタから構成されている。そして、それぞれの保護回路へ流れ込んだ静電気電流は、MOSトランジスタのチャネルを経由して電源電位または接地電位へと吸収される。上記のように、保護抵抗、保護回路及び金属配線を、パッド中心を通る直線に対して完全に左右対称に配置すれば、各保護抵抗に電荷を1/2ずつ分散させることが出来る。しかし、これは全ての要素が理想的な場合に初めて実現できるのであって、特にnチャネルMOSトランジスタ及びpチャネルMOSトランジスタから各々構成される2つの保護回路を、完全な対称性を有するように形成することは容易でない。その結果、図14(a)乃至(c)に示した構成に比べれば、2つの保護抵抗への電荷分散はより均等には近づくが、電荷を2つの保護抵抗に確実に1/2ずつ分散させることは事実上非常に困難である。
【0012】
また、仮に全ての要素が理想的な状況にあるとしても、各保護抵抗に分散される電荷量は、パッドから進入した総電荷量の1/2であり、1つの保護抵抗に進入する電荷量をこれ以上低減することは不可能である。そのため、非常に大きな静電気が印加された場合、十分に静電気放電が行われない恐れがある。
【0013】
更に、保護抵抗、保護回路、及び金属配線等の全てを、パッド中心を通り、半導体装置の辺に垂直な直線に対して線対称に配置しなければならず、半導体装置のレイアウトに大きな制約を与えるという問題があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の半導体装置では、半導体装置内の内部回路と外部端子との間に保護抵抗を接続し、この保護抵抗を介して静電気の放電を行うことで、ESD破壊から内部回路を防止していた。更に、この保護抵抗を並列接続により複数設けることで、各保護抵抗における電荷量を低減させて、この保護抵抗自身でのESD破壊の発生を防止する試みも行われてきた。
【0015】
しかし、複数設けた保護抵抗に均等に電荷を分散させることは非常に困難であり、単に保護抵抗を並列接続しただけでは、その効果は十分ではなかった。
【0016】
また、パッド中心を通り、且つ半導体装置の辺に対して垂直な直線に対して線対称となるように、2つの保護抵抗、保護回路、及びそれらの間の金属配線を、パッドと内部回路との間に配置することで各抵抗に電荷を分散させる構造も提案された。
【0017】
しかし、それぞれがnチャネル、pチャネルMOSトランジスタから構成される保護回路を、対称軸に対して完全に線対称に形成するのは容易なことではなく、2つの保護抵抗への電荷分散を確実に行うことは事実上非常に困難である。仮に、理想的な状況を実現して電荷分散をほぼ均等に出来たとしても、2つの保護抵抗で電荷分散を行う以上、各々の保護抵抗に分散される電荷量は総電荷量の1/2が限界であり、電荷量を更に低減させることは不可能であった。また、保護回路の全ての構成要素を、パッド中心を通り、半導体装置の辺に垂直な直線に対して線対称に配置しなければならず、半導体装置のレイアウトに大きな制約を与えるという問題があった。
【0018】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、回路配置に大きな制約を与えずに、複数の保護抵抗に確実に均等に電荷を分散させて各保護抵抗に集中する電荷量を低減することにより、ESD耐性を向上できる半導体装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この発明の一態様に係る半導体装置は、外部端子に接続されるノードと、内部回路に接続されるノードとの間にn個の保護抵抗(nは2以上の自然数)を設け、該保護抵抗によって静電気放電を行い、内部回路を保護する半導体装置であって、前記保護抵抗は、同心円の中心から放射状に配置され、前記同心円の内側の円周上に配置された一端は、前記外部端子に接続されるノードに接続され、前記同心円の外側の円周上に配置された他端は、前記内部回路に接続されるノードに接続され、前記同心円の中心を回転軸とするn回回転対称である。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図面を参照して説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。
【0029】
この発明の第1の実施形態に係る半導体装置について図1(a)乃至(c)を用いて説明する。図1(a)乃至(c)は、半導体装置における外部端子と内部回路との間の領域を示しており、(a)図は平面図、(b)図は(a)図におけるB−B’線に沿った断面図、(c)図は等価回路である。
【0030】
図示するように、各半導体素子が形成された半導体基板10上に、それらの半導体素子を保護するための絶縁膜11が設けられ、この絶縁膜中にESD破壊から半導体装置を保護するための保護抵抗R10、R11となる2つの半導体層12、12が設けられている。この半導体層12、12は例えば多結晶シリコン等により形成される。また、絶縁膜11上には内部回路及び外部端子に接続する金属配線層13、14が設けられ、これらの金属配線層13、14は上記半導体層12、12にコンタクトホールを介してそれぞれ接続されている。ここで、金属配線層13、14がそれぞれ内部回路及び外部端子(ボンディングパッド)に接続されるノードをそれぞれ、ノードIN、ノードOUTと表すことにする。
【0031】
上記半導体層12、12により形成される保護抵抗R10、R11は、図1(c)の等価回路に示すように、ノードINとノードOUTとの間に並列接続されたものである。
【0032】
従来技術で説明したように、外部端子と内部回路との間にESD破壊防止用の保護抵抗を設けた場合、電荷は金属配線層14と半導体層12とを接続するコンタクトホールの角部A1、A2に集中する。
【0033】
本実施形態における半導体装置では、図1(a)に示すように、2つの保護抵抗R10、R11を仮想的な同一直線上に配置している。図中ではB−B’線がその直線に該当する。そして、保護抵抗R10、R11の一端を金属配線層14によりノードOUTに共通に接続し、更に外部端子へ接続している。一方、保護抵抗R10、R11の他端も金属配線層13によりノードINへ共通に接続し、更に内部回路へ接続している。そして、上記保護抵抗R10、R11は、ノードINと金属配線層13、ノードOUTと金属配線層14との接続点の中点を結び、且つB−B’線と直交するC−C’線に対して線対称の関係にある。そのため、ノードOUTから侵入した電荷の流れが特定の経路に集中することを防止出来、2つの保護抵抗R10、R11に電荷を均等に分散させることが出来る。また、本実施形態では、ESD破壊を対策するための要素を保護抵抗のみで構成しているため、対称性を配慮すべき対象もほぼ2つの保護抵抗R10、R11に限定できるので、その対称性を実現するのはプロセス上非常に容易である。すなわち、2つの保護抵抗R10、R11におけるコンタクトホールの角部A1、A2に集中する電荷量がほぼ完全に同量となり、2つの保護抵抗R10、R11を使用することで、保護抵抗が1つの場合に比べた場合の保護抵抗1つあたりの電荷集中量を確実に1/2にする事が出来る。このように、保護抵抗をESD破壊からの保護に効果的に使用できる。また、金属配線層13に、C−C’線に対する線対称の関係を持たせることで、同時に各保護抵抗R10、R11からノードINまでの抵抗値を、この2つの経路につきほぼ同じにする事が出来る。
【0034】
また、本実施形態では、内部回路及び外部端子と、保護抵抗R10、R11との間を金属配線層13、14により接続している。そのため、保護抵抗の配置における自由度が高い。すなわち、外部端子及び内部回路から比較的距離のある場所に保護抵抗を配置しても、それらの間を金属配線層により接続すれば良いので、例えば半導体チップの空きエリアを用いて保護抵抗を設けることも出来る。このように、半導体装置のレイアウトに大きな制約を課すことなく、保護抵抗を比較的自由に配置できる。
【0035】
なお、図2(a)、(b)は本実施形態の変形例について示しており、(a)図は半導体装置の平面図、(b)図は(a)図におけるD−D’線に沿った断面図である。
【0036】
図示するように、絶縁膜11及び金属配線層13、14上に更に絶縁膜15が設けられ、この絶縁膜15上に更に金属配線層16が設けられている。この金属配線層16は外部端子に接続される配線層であり、絶縁膜15中に設けられたコンタクトホールにより金属配線層14と接続されている。
【0037】
このように、ノードOUTとなる金属配線層を多層配線層によって形成してもかまわない。
【0038】
以上のように、本実施形態に係る半導体装置によれば、回路配置に大きな制約を与えずに、2つの保護抵抗に確実に均等に電荷を分散させることにより、ESD耐性に優れた半導体装置を実現できる。
【0039】
次にこの発明の第2の実施形態に係る半導体装置について図3(a)、(b)を用いて説明する。図3(a)、(b)は、半導体装置における外部端子と内部回路との間の領域を示しており、(a)図は平面図、(b)図は等価回路である。
【0040】
本実施形態は、上記第1の実施形態において、保護抵抗の数を2つから3つに増やしたものである。図示するように、3つの保護抵抗R10〜R12を、ノードOUTを中心として放射状に、且つ等間隔に配置している。そして、各々の保護抵抗R10〜R12の一端を金属配線層14を介してノードOUTに接続し、各々の他端を金属配線層13によって共通に接続し、この金属配線層13をノードINに接続している。
【0041】
本構成によれば、金属配線層14に接続する一端部が第1の円の円周上に位置し、金属配線層13に接続する他端部が、仮想的な第1の円と同一の位置に中心を有する仮想的な第2の円の円周上に位置し、互いに3回回転対称(互いに120°ずれて位置している)となるように、3つ(n=3)の保護抵抗R10〜R12を配置している。
【0042】
但し、ここで使用する回転対称という文言は、対称要素の一つを意味し、ある直線を軸として360°/n(nは2以上の自然数)だけ構造全体を回転しても初めの状態と完全に合同になる場合に、この構造をn回回転対称であるとする。すなわち、本実施形態で3つの保護抵抗が、第1、第2の円の中心を回転軸として3回回転対称である、とは、第1、第2の円の中心を軸に、360°/3=120°回転させたとき、その位置関係が回転前と不変であることを意味する。なおこのような観点によれば、上記第1の実施形態は、2つの保護抵抗が2回回転対称になっているものと見なすことも出来る。
【0043】
更に、ESD破壊を対策するための要素を保護抵抗のみで構成しているため、ここでの3つの保護抵抗R10、R11、R11についてのみ着目して、最小限それらが回転対称性を有するように配置すれば良く、それは非常に容易に実現できる。こうして、ノードOUTから侵入した電荷の流れが特定の経路に集中することを防止し、3つの保護抵抗R10〜R12に確実に均等に分散させることが出来る。すなわち、それぞれの保護抵抗R10〜R12と金属配線層14とを接続する3つのコンタクトホールに集中する電荷量を互いにほぼ同量とすることが出来、3つの保護抵抗R10〜R12を使用することで、保護抵抗が1つの場合に比べて保護抵抗1つあたりの電荷集中量を確実に1/3にする事が出来る。そのため、第1の実施形態と比較して、半導体装置のESD破壊に対する耐性を更に向上できる。
【0044】
次にこの発明の第3の実施形態に係る半導体装置について図4(a)、(b)を用いて説明する。図4(a)、(b)は、半導体装置における外部端子と内部回路との間の領域を示しており、(a)図は平面図、(b)図は等価回路である。
【0045】
本実施形態は、上記第2の実施形態において、保護抵抗の数を3つから4つに増やしたものである。図示するように、保護抵抗R10〜R13をノードOUTを中心として放射状に、且つ等間隔に配置している。すなわち、図4(b)の等価回路に示すように、4つの保護抵抗の一端を金属配線層14によってノードOUTに接続し、それぞれの他端を金属配線層13によって共通に接続し、この金属配線層13をノードINに接続している。
【0046】
金属配線層13は正方形の内部を除去したような形状である。また、正方形の4つの辺のうちの1辺の中点にノードINを有しており、その対角線の交点にノードOUTを有している。そして、正方形の4つの辺の中点と、正方形の対角線の交点にあるノードOUTとの間に保護抵抗R10〜R13が配置されている。
【0047】
本構成によれば、金属配線層14に接続する一端部が仮想的な第1の円の円周上に位置し、金属配線層13に接続する他端部が、第1の円と同一の位置に中心を有する仮想的な第2の円の円周上に位置し、互いに4回回転対称(互いに90°ずれて位置している)となるように、4つ(n=4)の保護抵抗R10〜R13を配置している。更に、ESD破壊を対策するための要素を保護抵抗のみで構成しているため、回転対称性については、最小限この4つの保護抵抗R10、R11、R12、R13についてのみ着目すればよい。こうして、ノードOUTから侵入した電荷の流れが特定の経路に集中することを防止し、4つの保護抵抗R10〜R13に確実に均等に分散させることが出来る。すなわち、それぞれの保護抵抗R10〜R13と金属配線層14とを接続する4つのコンタクトホールに集中する電荷量を互いにほぼ同量とすることが出来、4つの保護抵抗R10〜R13を使用することで、保護抵抗が1つの場合に比べて保護抵抗1つあたりの電荷集中量を確実に1/4にする事が出来る。そのため、第2の実施形態と比較して、半導体装置のESD破壊に対する耐性を更に向上できる。
【0048】
図5は本実施形態の第1の変形例に係る半導体装置について説明するためのもので、(a)図は平面図、(b)図は等価回路である。本変形例は上記実施形態と比して、ノードINに接続する金属配線層13と保護抵抗R10〜R13との位置関係を変えたものである。
【0049】
図示するように、この金属配線層13は上記実施形態と同様に、正方形の内部を除去したような形状をしており、その対角線の交点にノードOUTを有している。しかし、ノードINは正方形の4つの角のうちの1カ所に設けられ、また、正方形の4つの角と、正方形の対角線の交点にあるノードOUTとの間に保護抵抗R10〜R13が配置されている。
【0050】
このように保護抵抗R10〜R13を配置しても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
図6は本実施形態の第2の変形例に係る半導体装置の平面図である。本変形例は、図4(a)、(b)に示した構造において、保護抵抗R10〜R13とノードINとを接続する金属配線層13の抵抗分を考慮に入れたものである。通常、金属配線層13の材料にはAlが用いられる。Alは低抵抗の配線材料として広く用いられている材料であるが、この抵抗分を考慮に入れない場合には、金属配線層13は図4(a)に示したような形状でかまわない。しかし、Alの抵抗分まで考慮に入れる必要がある場合、各保護抵抗R10〜R13とノードINとの間の抵抗値を等しくしてやる必要がある。すなわち、図6に示すように、ノードINから最も遠い位置にある保護抵抗R12とノードINとの間の金属配線層13については、その幅を広く設計し、ノードINに最も近い位置にある保護抵抗R10とノードINとの間の金属配線層13の幅は狭く設計し、保護抵抗R11、R13についてはその中間の値で設計する。そのように金属配線層13を設計することで、各保護抵抗R10〜R13とノードINとの間の抵抗値をほぼ等しく設定することが出来る。
【0052】
更に図7は本実施形態の第3の変形例について示しており、半導体装置の平面図である。本変形例は、図5(a)、(b)に示した構造において、保護抵抗R10〜R13とノードINとを接続する金属配線層13の抵抗分を考慮に入れたものであり、保護抵抗R10〜R13とノードINとの間の抵抗が略等しくなるよう設計している。
【0053】
また、図8(a)、(b)は本実施形態の第4の変形例に係る半導体装置について示しており、(a)図は平面図、(b)図は(a)図におけるE−E’線に沿った断面図である。本変形例は、ノードOUT上に外部端子を直接設けたものである。
【0054】
図示するように、保護抵抗R10〜R13となる半導体層12の一端に接続するようにして設けられた、ノードOUT側の金属配線層14上に、外部端子(PAD)となる例えばAl層17を設けている。なお、この外部端子の中心が、4つの保護抵抗R10〜R14の回転対称性の対称軸となる。
【0055】
回路の配置上、このように保護抵抗の中心に外部端子を設けることが可能であれば、外部端子と内部回路との間の抵抗を最小限に押さえることが出来るので、より好ましいと言うことが出来る。
【0056】
次にこの発明の第4の実施形態に係る半導体装置について図9(a)、(b)を用いて説明する。図9(a)、(b)は、半導体装置における外部端子と内部回路との間の領域を示しており、(a)図は平面図、(b)図は等価回路である。
【0057】
本実施形態は、上記第3の実施形態において、保護抵抗の数を4つから更に8つに増やしたものである。図示するように、保護抵抗R10〜R17をノードOUTを中心として放射状に、且つ等間隔に配置している。すなわち、図9(b)の等価回路に示すように、8つの保護抵抗の一端を金属配線層14によってノードOUTに接続し、それぞれの他端を金属配線層13によって共通に接続し、この金属配線層13をノードINに接続している。
【0058】
本構成によれば、金属配線層14に接続する一端部が仮想的な第1の円の円周上に位置し、金属配線層13に接続する他端部が、第1の円と同一の位置に中心を有する仮想的な第2の円の円周上に位置し、互いに8回回転対称(互いに44.5°ずれて位置している)となるように、8つ(n=8)の保護抵抗R10〜R17を配置している。更に、ESD破壊を対策するための要素を保護抵抗のみで構成しているため、回転対称性については、最小限この8つの保護抵抗R10〜R17についてのみ着目すればよい。こうして、ノードOUTから侵入した電荷の流れが特定の経路に集中することを防止し、8つの保護抵抗R10〜R17に確実に均等に分散させることが出来る。すなわち、それぞれの保護抵抗R10〜R17と金属配線層14とを接続する8つのコンタクトホールに集中する電荷量を互いにほぼ同量とすることが出来、8つの保護抵抗R10〜R17を使用することで、保護抵抗が1つの場合に比べて保護抵抗1つあたりの電荷集中量を確実に1/8にする事が出来る。そのため、第3の実施形態と比較して、半導体装置のESD破壊に対する耐性を更に向上できる。
【0059】
図10は本実施形態の変形例に係る半導体装置の平面図である。本変形例は、ノードOUT上に外部端子(PAD)を直接設け、且つAl配線層の抵抗分を考慮に入れたものである。
【0060】
本変形例によれば、上記第3の実施形態の第2、第4の変形例で説明したような効果を同時に得ることが出来る。
【0061】
次にこの発明の第5の実施形態に係る半導体装置について図11(a)、(b)及び図12を用いて説明する。図11(a)、(b)は、半導体装置における外部端子と内部回路との間の領域を示しており、(a)図は平面図、(b)図は(a)図におけるF−F’線に沿った断面図、図12は図11(a)、(b)の等価回路である。
【0062】
図示するように、各半導体素子が形成された半導体基板10上に、それらの半導体素子を保護するための絶縁膜11が設けられ、この絶縁膜中にESD破壊から半導体装置を保護するための保護抵抗R18となる半導体層12が設けられている。この半導体層12は例えば多結晶シリコンから形成され、中央部が空洞となった円形の形状、言い換えれば環状の形状を有している。また、絶縁膜11上には内部回路及び外部端子にそれぞれ接続する金属配線層13、14が設けられ、これらの金属配線層13、14はそれぞれ上記半導体層12にコンタクトホールを介して接続されている。外部端子に接続される金属配線層14は、上記環状の保護抵抗R18と同一の位置に中心を有する円形の形状を有している。一方、内部回路に接続される金属配線層13は、ノードINからの距離が遠い領域では、ほぼ半導体層12と同様の形状をしており、ノードINに近い領域では、その幅が小さくなるような形状を有している。これは前述の通り、保護抵抗R18からノードINまでの間の抵抗値を全領域で等しくするためである。そして、上記金属配線層13、14及び絶縁膜11上に更に絶縁膜15が設けられ、この絶縁膜15中の前記金属配線層14上には、この金属配線層14の中心の位置と同一の位置に中心を有する円形の金属配線層16(ノードOUT)が形成されている。
【0063】
上記のように環状の形状を有する保護抵抗を用い、その保護抵抗の内周を第1の円、外周を第1の円と同一の位置に中心を有する第2の円とすれば、保護抵抗はこの第1、第2の円の中心を原点としたときの反転変換に対して対称である。そのため角部A1、A2には、半導体層12と金属配線層14とのコンタクトホールの円周に沿って電荷が確実に均等に分散することになる。そして、保護抵抗は、ノードOUTを中心にして円周上に配置されていることから、上記第1乃至第4の実施形態に比べて更にESD破壊に対する耐性を向上できる。
【0064】
図13(a)、(b)は本実施形態の変形例について示しており、(a)図は平面図、(b)図は断面図である。本変形例は、ノードOUT側の金属配線層14上に、外部端子(PAD)となる例えばAl層17を設けている。なお外部端子はその中心が環状の保護抵抗の中心と略一致するように配置される。回路の配置上、このように保護抵抗の中心に外部端子を設けることが可能であれば、外部端子と内部回路との間の抵抗を最小限に抑えることが出来るので、より好ましいと言うことが出来る。
【0065】
上記第1の実施形態によれば、半導体装置のESD破壊を対策するための要素を2つの保護抵抗で構成し、この保護抵抗のそれぞれの一端を金属配線層により1本に纏めて外部端子に接続し、それぞれの他端も金属配線層により1本に纏めて内部回路に接続している。そしてこれらの保護抵抗に線対称の関係を持たせている。そのため、2つの保護抵抗に電荷を均等に分散させることが可能となる。また、対称性について考慮すべき対象をほぼ各保護抵抗に限定できることから、対称性を実現するのはプロセス上、非常に容易である。その結果、2つの保護抵抗に電荷を確実に均等に分散させることが出来、半導体装置のESD耐性を向上できる。更に、外部端子及び内部回路と保護抵抗との間を金属配線層によって接続することで、保護抵抗の配置場所における制約を低減でき、半導体装置としてのレイアウトの自由度を高めることが出来る。
【0066】
上記第2乃至第5の実施形態によれば、半導体装置のESD破壊を対策するための要素を保護抵抗のみで構成し、この保護抵抗が対称性を有するように配置している。
【0067】
例えば、n個の保護抵抗(nは2以上の自然数)を放射状に設け、各保護抵抗の中心を回転軸とするn回回転対称であるような配置である。
【0068】
上記のような構成であると、対称性について着目すべき対象をほぼ保護抵抗に限定でき、この保護抵抗、更に必要に応じて金属配線層が対称性を有するように配置することはプロセス上非常に容易に実現できる。そのため、外部端子から静電気等のサージが半導体装置に侵入した際に、各保護抵抗に電荷を確実に均等に分散させることが可能となる。すなわち、単一の保護抵抗を用いた場合に比べて、各保護抵抗に集中する電荷量を確実に1/nとすることが出来る。そのため、複数設けた保護抵抗をESD破壊の回避のために非常に効果的に使用でき、半導体装置のESD破壊に対する耐性を向上できる。
【0069】
また、別の配置法は、内部に空洞を有する環状、言い換えればドーナツ状の形状を有する保護抵抗を用いる、すなわち保護抵抗の中心を原点とする反転変換に関して対称であるように配置する方法である。
【0070】
環状の保護抵抗を用いるということは、上記の例で考えると、その形状はnを無限大にしたものと見なすことが出来る。そのため、電荷の集中しやすい箇所を無くすことが出来、ESD破壊に対する耐性の向上を最も効果的に実現できる。
【0071】
また、内部回路及び外部端子と、保護抵抗との間を金属配線層により接続している。そのため、上記第1の実施形態と同様に、内部回路及び外部端子の位置関係にそれほどの影響を受けずに済み、保護抵抗の配置における自由度が比較的高い。例えば、半導体チップの空きエリアを用いることも出来る。そのため、半導体装置のレイアウトに大きな制約を課さずに、保護抵抗を配置できる。
【0072】
なお、上記第1乃至第4の実施形態では、実施形態毎に保護抵抗の数を2つ、3つ、4つ、8つというように増加させた半導体装置について説明を行ってきた。当然ながら、各保護抵抗のコンタクト部に集中する電荷の絶対量を少なくするためには保護抵抗の数を多く設けることが効果的である。その観点から見ると、本第5の実施形態はノードOUTの周辺を全て保護抵抗にしたもの、すなわち、保護抵抗を無限に設けたものと見ることも出来、複数の保護抵抗の配置方法としては最適な形態と言うことが出来る。
【0073】
なお、本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、回路配置に大きな制約を与えずに、複数の保護抵抗に確実に均等に電荷を分散させ、各保護抵抗に集中する電荷量を低減することにより、ESD耐性を向上できる半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る半導体装置におけるESD破壊に対する保護抵抗の配置について示しており、(a)図は平面図、(b)図は(a)図におけるB−B’線に沿った断面図、(c)図は等価回路。
【図2】この発明の第1の実施形態の変形例に係る半導体装置におけるESD破壊に対する保護抵抗の配置について示しており、(a)図は平面図、(b)図は(a)図におけるD−D’線に沿った断面図。
【図3】この発明の第2の実施形態に係る半導体装置におけるESD破壊に対する保護抵抗の配置について示しており、(a)図は平面図、(b)図は等価回路。
【図4】この発明の第3の実施形態に係る半導体装置におけるESD破壊に対する保護抵抗の配置について示しており、(a)図は平面図、(b)図は等価回路。
【図5】この発明の第3の実施形態の第1の変形例に係る半導体装置におけるESD破壊に対する保護抵抗の配置について示しており、(a)図は平面図、(b)図は等価回路。
【図6】この発明の第3の実施形態の第2の変形例に係る半導体装置におけるESD破壊に対する保護抵抗の配置についての平面図。
【図7】この発明の第3の実施形態の第3の変形例に係る半導体装置におけるESD破壊に対する保護抵抗の配置についての平面図。
【図8】この発明の第3の実施形態の第4の変形例に係る半導体装置におけるESD破壊に対する保護抵抗の配置について示しており、(a)図は平面図、(b)図は(a)図におけるE−E’線に沿った断面図。
【図9】この発明の第4の実施形態に係る半導体装置におけるESD破壊に対する保護抵抗の配置について示しており、(a)図は平面図、(b)図は等価回路。
【図10】この発明の第4の実施形態の変形例に係る半導体装置におけるESD破壊に対する保護抵抗の配置についての平面図。
【図11】この発明の第5の実施形態に係る半導体装置におけるESD破壊に対する保護抵抗の配置について示しており、(a)図は平面図、(b)図は(a)図におけるF−F’線に沿った断面図。
【図12】この発明の第5の実施形態に係る半導体装置におけるESD破壊に対する保護抵抗の配置について示しており、図11(a)、(b)の等価回路。
【図13】この発明の第5の実施形態の変形例に係る半導体装置におけるESD破壊に対する保護抵抗の配置について示しており、(a)図は平面図、(b)図は(a)図におけるG−G’線に沿った断面図。
【図14】従来の半導体装置におけるESD破壊に対する保護抵抗の配置について示しており、(a)図は平面図、(b)図は(a)図におけるA−A’線に沿った断面図、(c)図は等価回路。
【符号の説明】
10、100…半導体基板
11、110…絶縁膜
12、120…半導体層
13、14、16、130、140…金属配線層
15…絶縁膜
17…ボンディングパッド
Claims (3)
- 外部端子に接続されるノードと、内部回路に接続されるノードとの間にn個の保護抵抗(nは2以上の自然数)を設け、該保護抵抗によって静電気放電を行い、内部回路を保護する半導体装置であって、前記保護抵抗は、
同心円の中心から放射状に配置され、前記同心円の内側の円周上に配置された一端は、前記外部端子に接続されるノードに接続され、前記同心円の外側の円周上に配置された他端は、前記内部回路に接続されるノードに接続され、前記同心円の中心を回転軸とするn回回転対称である
ことを特徴とする半導体装置。 - 前記同心円と同一の位置に中心を有し、前記同心円の内側の円周近傍で、前記n個の保護抵抗の一端が共通に接続され、更に前記外部端子に接続されるノードに接続される第1金属配線層と、
前記n個の保護抵抗の他端が共通に接続され、更に前記内部回路に接続されるノードに接続される第2金属配線層と
を更に備えることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。 - 前記第2金属配線層は、前記内部回路に接続されるノードから遠い位置における保護抵抗とこのノードとの間で配線幅が広く、近い位置における保護抵抗とこのノードとの間で配線幅が狭い形状を有する
ことを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
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