JP4079685B2 - 内燃機関用オイルパン構造 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、内燃機関用オイルパンの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
図14または図15に示すように、内燃機関のシリンダブロック1に直接、あるいはアダプタープレート2を介して取り付けられるオイルパン3は、アルミニウム合金で形成された箱状のアッパー部3dと、鋼板またはアルミニウム合金で形成された蓋状のロア部3gで構成されているものを考えてみると、このオイルパン3は、図16に正面図で、図17に平面図で、図18に底面図で、また図19に側面一部破断面図で示すような構造となっている。
【0003】
即ち、オイルパン3を構成するアッパー部3dの上面には、シリンダブロック1に取り付けるための取付面3eが形成され、アッパー部3dの下面側はロア部3gを取り付けるためのロア取付面3fとなっており、クランクシャフト4の中心軸4aに対して垂直な左側の端面は開口されて開口端3aを形成しており、逆の右側端面は閉じられた閉塞端3bを形成している。
箱状のアッパー部3dには、内燃機関の運転中に発生する潤滑油面のばたつきを抑制するためのバッフルプレート3cが一体形成されている。
また、内燃機関内へ潤滑油を供給するオイルポンプ5は別体で構成されて、シリンダブロック1あるいはアダプタープレート2の下面に複数本のボルト6で固定されており、オイルポンプ軸5aにはスプロケット5bが設けられて、クランクシャフト4からチェーンまたはベルト,ギア等を介して、このスプロケット5bに回転力が伝えられて、オイルポンプ5が回転されるように構成されている。なお、オイルパン3内の潤滑油を吸い込むオイルストレーナー7が、オイルポンプ5の下面にボルト8で締結されているか、またはオイルポンプ5と一体で形成されている。
【0004】
このような構造においては、部品点数が多く、内燃機関全体のコストや重量が増大してしまうという問題点があり、また、オイルポンプ5が別体品で構成されているため、アッパー部3dのオイルポンプ5が配置される周辺には、オイルパン3の剛性を確保する補強リブが良好に配置できないことから、オイルパン3全体の剛性が不足して、内燃機関全体の振動が抑えられず、車両走行中の騒音が悪化するという問題点があった。
【0005】
なお、このような問題点を解決するために、図20に示すように、オイルポンプ5をクランクシャフト4の中心軸4aに同軸上に設け、オイルポンプ5が配置される側の開口面を覆うカバー9に一体化して、部品点数を少なくする構造も考えられるが、このような構造では、クランクシャフト4軸にオイルポンプ5を挿入しなければならないため、クランクシャフト4の軸線方向の長さを延ばす必要があり、結果的には、クランクシャフトの軸方向長さが長くなり、内燃機関を車両に搭載する上での制約を受けやすくなってしまうという欠点があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の問題点に着目したものであって、部品点数を少なくし、重量を低減させ、しかも剛性を高めることができ、内燃機関のクランク軸方向長さも最小限に抑えることができる内燃機関用オイルパン構造を提供せんことを目的とし、その第1の要旨は、シリンダブロックの底側に直接あるいはアダプタープレートを介して取り付けられるアッパー部と、該アッパー部の底側に覆設されるロア部で構成され、前記アッパー部には、クランクシャフトの中心軸に対して垂直な一端側が開口された開口端が形成されているとともに、潤滑油のばたつきを抑制するバッフルプレートがアルミニウム合金で一体形成されている内燃機関用オイルパンにおいて、前記アッパー部の開口端側寄りに、前記クランクシャフトの中心軸に垂直な縦壁が一体形成され、該縦壁に、内燃機関内に潤滑油を供給するオイルポンプが設けられており、オイルパン内の潤滑油をオイルストレーナーから前記オイルポンプへと導く下油通路が、前記縦壁または前記バッフルプレートを形成する壁面に一体形成されていることである。
また、第2の要旨は、潤滑油をオイルパンの吐出側からオイルフィルターへと導く上油通路が、前記クランクシャフトの中心軸と平行に、バッフルプレートまたはアッパー部の側壁面またはバッフルプレートと前記側壁面が繋がった部分に一体形成されていることである。
また、第3の要旨は、前記上油通路が一体形成されているアッパー部の側壁面側に、オイルフィルターを取り付けるボス部が一体形成されていることである。
【0007】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、前記図14または図15に示すように、シリンダブロック1に直接あるいはアダプタープレート2を介して取り付けられるオイルパン3の正面図を示し、また図2は、その平面図を示し、また図3は、その底面図を示し、また図4は、側面断面図を示すものである。
なお、前述した構造と同一の部分については、同一符号を付して説明する。
【0008】
オイルパン3は、アッパー部3dとロア部3gで構成されており、アッパー部3dは、クランクシャフトの中心軸4aに対して垂直な左右両端の面3a,3bのうち、左側が開口された開口端3aとなっており、右側は閉塞されて閉塞端3bを形成している。
また、アッパー部3dは、図5のA−A線断面図で示すように、そのクランクシャフト中心軸4aに平行な側壁面3p間にバッフルプレート3cがアルミニウム合金で一体形成されており、バッフルプレート3cの一部には下方へ凹み状に壁面3mが形成されている。
また、アッパー部3dの上面外周はシリンダブロック1またはアダプタープレート2に取り付けるための取付面3eとなっており、アッパー部3dの下面外周はロア部3gを取り付けるためのロア取付面3fとなっている。
このように箱状に形成されたアッパー部3dのクランクシャフト中心軸4aに垂直な開口端3a側寄りには、クランクシャフト中心軸4aに垂直な縦壁3hが一体形成されており、この縦壁3hにオイルポンプ5が取り付けられたものとなっている。
【0009】
なお、図6は、図4のB−B線断面図であり、また図7は、図6のC−C線断面図であり、また図8は、図4のD−D線断面図であり、図9は、図8のE−E線断面図であるが、クランクシャフト中心軸4aに対し垂直な縦壁3hは、図6,図7,図8に示すように、中空状に形成され、開口端3a側からオイルポンプ5がボルトで取り付けられて、オイルポンプ5のギア5cが縦壁3h内に配置され、このギア5cが内包された縦壁3h内は油室を形成しており、開口端3a側へオイルポンプの軸5aが突出されて、軸5aの先端にスプロケット5bが設けられ、このスプロケット5bにはチェーンまたはベルト,ギア等が掛装されて、クランクシャフト4からの回転力が伝えられるように構成されている。
【0010】
なお、アッパー部5dのバッフルプレート3cの底側には、ロア部3g側へ向かって下向きに吸入口7aを備えたオイルストレーナー7が設けられており、このオイルストレーナー7は、オイルパン3内に溜まる潤滑油中に埋没する位置に配置されている。
また、図5,図9に示すように、オイルストレーナー7の吸入口7aとオイルポンプ5のギア5cとを連通させる下油通路3jが、バッフルプレート3cを形成する壁面3mの底側にクランクシャフトの中心軸4aと略平行状に一体形成されて、縦壁3hに開口された吸入口7dを介して縦壁3h内の油室と連通されている。
従って、この下油通路3jは、オイルストレーナー7から吸い上げた潤滑油を吸入口7bからオイルポンプのギア5cに導くことができるものである。
【0011】
また、図5,図6,図7に示すように、オイルポンプ5の吐出側の滑らかな断面積変化部分7cからオイルフィルター8側へ潤滑油を導く上油通路3nが、クランクシャフト中心軸4aと平行状に、バッフルプレート3c、またはクランクシャフト中心軸4aと平行なアッパー部3dの一方側の側壁面3p、またはバッフルプレート3cと側壁面3pが繋がる部分に一体形成されている。
従って、オイルポンプのギア5cの回転により吐出される潤滑油は、この上油通路3nを通り、オイルフィルター8を通して内燃機関内に供給されるものである。
【0012】
なお、下油通路3j及び上油通路3nは、アルミ合金の鋳造方法でも比較的安価なプレッシャーダイガスト鋳造により、オイルパンのアッパー部3dに一体形成することができるものである。
また、前記縦壁3hも良好に一体形成することができ、この縦壁3h,下油通路3j,上油通路3nは、油通路としての機能の他に、アッパー部3dの剛性を高める剛性部材としても機能することができ、オイルパン3全体の剛性が向上されるものとなる。
【0013】
なお、図10の正面図で、また図11の平面図、図12の底面図、図13の側面断面図で示すものは、変更例であり、この図10,図12,図13で示すように、前述した上油通路3nと連通するボス部3qをアッパー部3dの側壁面3pに一体形成させておき、このボス部3qにオイルフィルター8を外側から取り付けできるように構成しておくことができ、このようにボス部3qを一体形成させておけばオイルフィルター8の交換等を容易に行なえるものとなり、このオイルフィルター8を通して潤滑油内のダストを良好に捕捉させて、ダストを除去した潤滑油を良好に内燃機関内に供給することができるものとなる。
【0014】
【発明の効果】
本発明は、シリンダブロックの底側に直接あるいはアダプタープレートを介して取り付けられるアッパー部と、該アッパー部の底側に覆設されるロア部で構成され、前記アッパー部には、クランクシャフトの中心軸に対して垂直な一端側が開口された開口端が形成されているとともに、潤滑油のばたつきを抑制するバッフルプレートがアルミニウム合金で一体形成されている内燃機関用オイルパンにおいて、前記アッパー部の開口端側寄りに、前記クランクシャフトの中心軸に垂直な縦壁が一体形成され、該縦壁に、内燃機関内に潤滑油を供給するオイルポンプが設けられており、オイルパン内の潤滑油をオイルストレーナーから前記オイルポンプへと導く下油通路が、前記縦壁または前記バッフルプレートを形成する壁面に一体形成されていることにより、部品点数を削減させ、重量も低減させることができ、コストの低減を図ることができ、しかもクランクシャフト軸線方向の長さを最小限に抑えることができて、内燃機関の車両への搭載の自由度を高めることができるものとなる。また、縦壁によりオイルパンの剛性が高められる効果がある。
また、下油通路が、縦壁またはバッフルプレートを形成する壁面に一体形成されていることにより、重量増を最小限に抑えることができ、しかも下油通路によりオイルパンの剛性が向上するものとなる。
【0015】
また、潤滑油をオイルパンの吐出側からオイルフィルターへと導く上油通路が、クランクシャフトの中心軸と平行に、バッフルプレートまたはアッパー部の側壁面またはバッフルプレートと側壁面が繋がった部分に一体形成されていることにより、重量増を最小限に抑えることができ、また、オイルパンの剛性を高めることができるものとなる。
【0016】
また、上油通路が一体形成されているアッパー部の側壁面側に、オイルフィルターを取り付けるボス部が一体形成されていることにより、外側からオイルフィルターをボス部に取り付けることができて、オイルフィルターの交換等が容易となる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 オイルパンの正面構成図である。
【図2】 図1の平面構成図である。
【図3】 図1の底面構成図である。
【図4】 図1の側面断面構成図である。
【図5】 図2のA−A線断面拡大図である。
【図6】 図4のB−B線断面拡大図である。
【図7】 図6のC−C線断面図である。
【図8】 図4のD−D線断面拡大図である。
【図9】 図8のE−E線断面図である。
【図10】 変更例を示すオイルパンの正面図である。
【図11】 図10の平面構成図である。
【図12】 図10の底面構成図である。
【図13】 図10の側面断面構成図である。
【図14】 シリンダブロックに直接オイルパンを取り付けた状態の正面構成図である。
【図15】 シリンダブロックにアダプタープレートを介しオイルパンを取り付けた状態の正面構成図である。
【図16】 従来のオイルパンの正面構成図である。
【図17】 図16の平面構成図である。
【図18】 図16の底面構成図である。
【図19】 図16の側面一部断面構成図である。
【図20】 従来の改良例を示すオイルパンの正面断面構成図である。
【符号の説明】
1 シリンダブロック
2 アダプタープレート
3 オイルパン
3a 開口端
3b 閉塞端
3c バッフルプレート
3d アッパー部
3e 取付面
3f ロア取付面
3g ロア部
3h 縦壁
3j 下油通路
3m 壁面
3n 上油通路
3p 側壁面
3q ボス部
4 クランクシャフト
4a クランクシャフト中心軸
5 オイルポンプ
5a オイルポンプ軸
5b スプロケット
5c ギア
7 オイルストレーナー
7a オイルストレーナーの吸入口
7b 吸入口
8 オイルフィルター
Claims (3)
- シリンダブロックの底側に直接あるいはアダプタープレートを介して取り付けられるアッパー部と、該アッパー部の底側に覆設されるロア部で構成され、前記アッパー部には、クランクシャフトの中心軸に対して垂直な一端側が開口された開口端が形成されているとともに、潤滑油のばたつきを抑制するバッフルプレートがアルミニウム合金で一体形成されている内燃機関用オイルパンにおいて、前記アッパー部の開口端側寄りに、前記クランクシャフトの中心軸に垂直な縦壁が一体形成され、該縦壁に、内燃機関内に潤滑油を供給するオイルポンプが設けられており、オイルパン内の潤滑油をオイルストレーナーから前記オイルポンプへと導く下油通路が、前記縦壁または前記バッフルプレートを形成する壁面に一体形成されていることを特徴とする内燃機関用オイルパン構造。
- 潤滑油をオイルパンの吐出側からオイルフィルターへと導く上油通路が、前記クランクシャフトの中心軸と平行に、バッフルプレートまたはアッパー部の側壁面またはバッフルプレートと前記側壁面が繋がった部分に一体形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用オイルパン構造。
- 前記上油通路が一体形成されているアッパー部の側壁面側に、オイルフィルターを取り付けるボス部が一体形成されていることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関用オイルパン構造。
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