JP4079293B2 - 熱可塑性樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂発泡体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主にトレイ、カップ、弁当箱、丼等に二次加工される食品包装用容器素材として好適に使用されるリサイクル性にすぐれたシート状又は板状の熱可塑性樹脂発泡体(以下、単に発泡体シートとも言う)及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、発泡ポリスチレンシートは、熱成形されてトレイ、弁当箱、丼、カップ等の各種容器に広く使用されている。しかし、発泡ポリスチレンシートは、耐油性、耐溶剤性に劣っていた。これらの発泡ポリスチレンシートの欠点を改良することを目的として、ポリエステルのフィルムを発泡ポリスチレンシートの片面や両面に貼りあわせた多層シートが検討されており、実開昭59−188875号公報では、発泡ポリスチレンシートの片面又は両面にポリエチレンテレフタレートを貼りあわせた多層シートが、実開昭60−18961号公報では、発泡ポリスチレンシートの片面や両面に無延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを貼りあわせた多層シートが検討されている。
一方、近年、プラスチック容器についてもリサイクルが望まれる中、前述したポリエチレンテレフタレートを貼りあわせた多層シートも例外なくリサイクルの必要に迫られている。
この多層シートをリサイクルする方法としては、▲1▼ポリエチレンテレフタレート部分を発泡ポリスチレンシートより剥離し各々ポリエチレンテレフタレートをフィルム層に、ポリスチレンを発泡ポリスチレンシートとしてリサイクルする方法、▲2▼多層シートを再溶融させて混合樹脂としてリサイクルする方法又は▲3▼前記▲2▼で得られた混合樹脂を更に分留して成分原料としてリサイクルする方法が考えられるが、▲1▼及び▲3▼の方法は工程数、設備等の面から困難性を伴い、結局▲2▼の方法の実施が最も容易である。しかしながら、▲2▼の方法で得た混合樹脂を再び使用して良好な発泡体シートを製造することができなかった。すなわち美麗な外観を持ち高い独立気泡率を有する発泡体シートを得るための原料としてリサイクルすることはできないものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリスチレン系樹脂と芳香族ポリエステル系樹脂との混合樹脂からなるリサイクル性にすぐれかつ外観良好で独立気泡率が高い発泡体を提供することをその課題とする。更に、トレーや丼等への熱成形に優れたものを提供することをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究の結果、従来のポリスチレン系樹脂と芳香族ポリエステル系樹脂との混合樹脂を用いても前記課題を解決することのできなかったのは、ポリエチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂が結晶性樹脂であるためであり、再溶融させたポリエチレンテレフタレートとポリスチレンの混合樹脂を再度発泡させようとした場合、ポリスチレンの最適発泡条件ではポリエチレンテレフタレートが結晶化物となって発泡体シート外観を悪化させたり、外観は良好であっても結晶化物の発生は発泡時に気泡が膨らむ際に破泡の原因となり発泡体シートの独立気泡率の低下を招くことに起因することを見出した。また、発泡体シートの熱成形性においても、発泡ポリスチレンシートの片面又は両面にポリエチレンテレフタレートを貼りあわせた多層シートの容器への熱成形が発泡ポリスチレンシート単独に比べて困難であるのは、発泡ポリスチレンシートの熱成形温度に比べてポリエチレンテレフタレートの熱成形温度が高いためであり、発泡ポリスチレンシートに最適な熱成形条件ではポリエチレンテレフタレートが硬くて伸びにくいために、得られた成形品にシワが入ったりポリエチレンテレフタレート層の裂けが生じやすく、ポリエチレンテレフタレートに最適な熱成形条件では発泡ポリスチレンシートの溶融が起こりやすいためであることを見出した。そこで、本発明者らは、更なる研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明によれば、100℃での半結晶化時間が30分以上である芳香族ポリエステル系樹脂30重量%以下(但し0重量%は含まず)とポリスチレン系樹脂70重量%以上との混合樹脂を主成分とする基材樹脂からなる独立気泡率60%以上の熱可塑性樹脂発泡体であって、該芳香族ポリエステル系樹脂が主たるジカルボン酸成分単位としてテレフタル酸成分単位を含み、主たるジオール成分単位としてエチレングリコール成分単位とシクロヘキサンジメタノール成分単位とを含むものである熱可塑性樹脂発泡体が提供される。
また、上記熱可塑性樹脂発泡体の少なくとも片面に、接着層を介して芳香族ポリエステル系樹脂がフイルム状で積層されていることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体が提供される。
更に、本発明によれば、押出機中にて熱可塑性樹脂を溶融させ発泡剤と混練した後、低圧条件下に押出す発泡体の製造方法において、該熱可塑性樹脂が100℃での半結晶化時間が30分以上である芳香族ポリエステル系樹脂30重量%以下(但し0重量%は含まず)とポリスチレン系樹脂70重量%以上との混合樹脂を主成分とするものであって、該芳香族ポリエステル系樹脂が主たるジカルボン酸成分単位としてテレフタル酸成分単位を含み、主たるジオール成分単位としてエチレングリコール成分単位とシクロヘキサンジメタノール成分単位とを含むものであることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体の製造方法が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の熱可塑性樹脂発泡体は、第一に100℃での半結晶化時間が30分以上の、主たるジカルボン酸成分単位としてテレフタル酸成分単位を含み、主たるジオール成分単位としてエチレングリコール成分単位とシクロヘキサンジメタノール成分単位とを含む芳香族ポリエステル系樹脂30重量%以下(但し0重量%は含まず)とポリスチレン系樹脂70重量%以上との混合樹脂を基材樹脂とする独立気泡率60%以上の発泡体であり、第二に前記記載の発泡体の少なくとも片面に、接着層を介して芳香族ポリエステル系樹脂が積層されていることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体である。本明細書で言う半結晶化時間は、結晶化速度測定器(コタキ商事株式会社製のMK−801型)を使用し、あらかじめ300℃に加熱した樹脂試料を、100℃に設定した結晶化浴に投入し、測定することができる。なお、測定試料は、フィルム状のものを用意する。この場合、そのフィルムの厚みは0.1±0.02mmのものとし、そのフイルムの寸法は15×15mmの四角とする。これを顕微鏡用カバーガラスに挟み込んだものを測定試料として使用する。また、光源ランプの輝度設定は指示値を3Vとする。前記コタキ商事株式会社製の結晶化速度測定器は、試料の結晶化と光の複屈折の関係より結晶化度を求める装置であり、本明細書で言う半結晶化時間とは前記測定方法により得られる図1に示すグラフ上の曲線から複屈折による光の量が一定になった値Aをグラフ上縦軸から読取り、その値に0.5を乗じたグラフ上縦軸の値Bに対応するグラフ上の曲線のグラフ上横軸の値Cとして求められる値である。
【0006】
本発明においては、発泡体の基材樹脂として、その主成分としてのポリスチレン系樹脂と、半結晶化時間が30分以上であって、主たるジカルボン酸成分単位としてテレフタル酸成分単位を含み、主たるジオール成分単位としてエチレングリコール成分単位とシクロヘキサンジメタノール成分単位とを含む芳香族ポリエステル系樹脂とを混合使用する。混合樹脂中の芳香族ポリエステル系樹脂の量は30重量%以下、好ましくは20重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。但し、0重量%は含まず、好ましくは1.0重量%以上である。芳香族ポリエステル系樹脂が30重量%を越えると基材樹脂の溶融粘性と溶融弾性の関係から定められる樹脂の発泡が可能な発泡温度では該芳香族ポリエステル系樹脂部分がポリスチレン系樹脂部分に比べて伸びにくくなり、かつ該芳香族ポリエステル系樹脂部分が気泡の膨張時に裂けやすくなるため、得られた発泡体シートの独立気泡率が低下する。半結晶化時間が30分未満である芳香族ポリエステル系樹脂を用いた場合では、発泡温度で押出発泡を行なうと結晶化物が発生し、美麗なシートが得られない。押出発泡時の芳香族ポリエステル系樹脂の結晶化防止の信頼性をより高めるためには、前記芳香族ポリエステル系樹脂の半結晶化時間が60分以上、より好ましくは90分以上であることが好ましい。また、本発明で使用される芳香族ポリエステル系樹脂は非結晶性のものが好ましく、半結晶化時間の上限値は定めることはできない。つまり、本発明における半結晶化時間が30分以上の芳香族ポリエステル系樹脂は結晶を有するもの以外に、結晶を有しないものも当然含まれる。
【0007】
本発明で用いる半結晶化時間が30分以上の芳香族ポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分とを重縮合させる方法やポリエステル単独重合体及び/又はポリエステル共重合体のエステル交換反応等により製造される。本発明で用いる該芳香族ポリエステル系樹脂のジカルボン酸成分について詳述すると、このジカルボン酸成分としては、ジカルボン酸或いはそのエステル形成性誘導体を使用できる。エステル形成性誘導体としては、ジメチルエステル、ジエチルエステルなどのエステル誘導体、ジアンモニウム塩などの塩、ジクロリドなどの酸ハロゲン化物などを挙げることができる。重合体樹脂中のジカルボン酸成分単位としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、3,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸或いはそのエステル形成性誘導体から誘導される成分単位、又はシュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸或いはそのエステル形成性誘導体から誘導される成分単位、又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸或いはそのエステル形成性誘導体から誘導される成分単位が挙げられる。本発明の芳香族ポリエステル系樹脂は、主たるジカルボン酸成分単位としてテレフタル酸成分単位を含む。本発明で用いる該芳香族ポリエステル系樹脂のジオール成分について詳述すると、このジオール成分としては、脂肪族系及び芳香族系ジオール(二価のフェノールを含む)を使用できる。重合体中のジオール成分単位としてはエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の脂肪族ジオール或いはそのエステル形成性誘導体から誘導される成分単位、又は1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,6−シクロヘキサンジオール等の脂環族ジオール或いはそのエステル形成性誘導体から誘導される成分単位、又はビスフェノールA等の芳香族ジオール或いはそのエステル形成性誘導体から誘導される成分単位を挙げることができる。本発明の芳香族ポリエステル系樹脂は、主たるジオール成分単位としてエチレングリコール成分単位とシクロヘキサンジメタノール成分単位とを含む。また、上記の芳香族ポリエステル系樹脂は、例えば少量の安息香酸、ベンゾイル安息香酸、メトキシポリエチレングリコール等のごとき単官能化合物から誘導される成分単位によって分子末端を封止されていてもよい。又、ピロメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多官能化合物から誘導される成分単位を少量含んでいてもよい。なお、芳香族ポリエステル系樹脂の半結晶化時間の調整は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸等2種以上使用してそれらジカルボン酸成分単位のモル比を変える方法や、ジオール成分としてエチレングリコールとシクロヘキサンジメタノール等2種以上使用してそれらジオール成分単位のモル比を変える方法等により調整することができる。本発明では、半結晶化時間が30分以上の芳香族ポリエステル系樹脂が、主たるジカルボン酸成分単位としてテレフタル酸成分単位を含み、主たるジオール成分単位としてエチレングリコール成分単位とシクロヘキサンジメタノール成分単位とを含むことにより、半結晶化時間が30分以上に調整された芳香族ポリエステル共重合体を用いる。特に好ましいものを例示すると、75〜40モル%のエチレングリコールと25〜60モル%のシクロヘキサンジメタノールからなるジオール成分とテレフタル酸からなるジカルボン酸成分とのポリエステル共重合体が挙げられる。
【0008】
本発明で用いるポリスチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体及び共重合体が包含され、その重合体中に含まれるスチレン系モノマー単位は少なくとも25重量%、好ましくは50重量%以上である。本発明で用いる好ましいポリスチレン系樹脂は、下記の一般式(1)で表される構造単位を樹脂中に少なくとも25重量%含有する樹脂である。
【化1】
Figure 0004079293
前記一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を示し、Zはハロゲン原子またはメチル基を示し、pは0または1〜3の整数である。
前記ポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリスチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとの混合物などが例示される。これらの樹脂に脆性改善等を目的としてスチレン−共役ジエンブロック共重合ゴムやその水添物をブレンドしたものも使用することができる。尚、ビカット軟化点が110℃以上のポリスチレン系樹脂を使用することにより、本発明の発泡体シートの耐熱性を向上させることができるためその使用は好ましい。尚、本明細書において、樹脂のビカット軟化点はJIS K7206(試験荷重はA法、伝熱媒体の昇温速度は50±5℃/時の条件)にて求められる値を指す。
上記のポリスチレン系樹脂の200℃剪断速度100sec-1における溶融粘度は2000poise以上100000poise未満であることが望ましい。溶融粘度が2000poise未満では発泡体シート成形時にダイスより押出された溶融樹脂が垂れてしまい成形が困難である。一方、100000poise以上では粘度が高すぎて押出圧力が上昇し押出発泡成形が困難で良好な発泡体シートに成形することが難しい。尚、本明細書において、剪断速度100sec-1の条件下での樹脂の溶融粘度は、オリフィス径が1.0mm、オリフィス長さが10mmのオリフィスを用い樹脂温度190℃の条件にてチアスト製レオビス2100で求められる値である。
【0009】
本発明の発泡体シートの基材樹脂は半結晶化時間が30分以上であって、主たるジカルボン酸成分単位としてテレフタル酸成分単位を含み、主たるジオール成分単位としてエチレングリコール成分単位とシクロヘキサンジメタノール成分単位とを含む芳香族ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂を主成分とするものであり、他の成分として変性ポリオレフィン樹脂、変性エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等の接着性樹脂、ポリカプロラクトン等の流動性改質剤、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂との相溶化剤やタルクや重曹、クエン酸等の造核剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、導電性付与剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、無機充填剤等の各種の添加剤を目的に応じて適量添加することができる。また、本発明の目的、効果を阻害しない範囲でポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂をおおむね20重量%以下の割合で基材樹脂に含有させることができる。基材樹脂に含有させる接着性樹脂の量は、特に、基材樹脂100重量%中に10重量%以下、好ましくは5重量%以下であることが好ましい。また、接着性樹脂の融点は、通常発泡温度よりも低い。その量が10重量%を越えると発泡体のガス抜けが早くなり押出発泡後に発泡体シートが収縮してしまったり、発泡体シートの熱成形時に気泡が溶融破泡してしまう虞がある。基材樹脂に含有させる流動性改質剤の量は、特に、基材樹脂100重量%中に2〜30重量%、好ましくは5〜20重量%であることが好ましい。基材樹脂に含有させる相溶化剤の量は、特に、基材樹脂100重量%中に0.3〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%であることが好ましい。
【0010】
本発明の熱可塑性樹脂発泡体は、好ましくは上記基材樹脂を高温高圧条件下で溶融し、その溶融物を発泡剤と混合し、低圧帯域に押出発泡させることにより得られる。
前記基材樹脂は、芳香族ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂を主成分とするものであるが、これらの樹脂は特定の重量比となるようにあらかじめドライブレンド、ニーダーによる混練等を行なった後、押出機に供給して押出発泡を行なっても、スクリューフィーダー等により特定の重量比となるように各々を押出機に供給し押出機中にて混練して押出発泡を行なっても本発明の熱可塑性樹脂発泡体を得ることができる。
【0011】
前記発泡剤としては、不活性ガス、飽和脂肪族炭化水素、飽和脂環族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、ケトン等が挙げられ、これらの単独又は2種類以上の組み合わせたものが使用される。
発泡剤を具体的に例示すると、炭酸ガス、窒素、水、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、メチルシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、1,1−ジメチルシクロプロパン、メチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、1,1,2−トリメチルシクロプロパン、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、1,1−ジクロロ−1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロ−1−クロロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド、エチレンクロライド、ジメチルエーテル、2−エトキシエタノール、アセトン、エチルメチルケトン、アセチルアセトン等で、これらの単独又は2種類以上の組み合わせたものが挙げられる。
更に、分解型発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。これらの分解型発泡剤は単独又は適宜混合して用いることができる。
発泡剤の使用量は、目的の発泡体シートの密度に応じて適宜使用されるが、おおむね基材樹脂100gあたり0.01〜0.1モルの範囲で選択することができる。
【0012】
前記基材樹脂を溶融し、その溶融物を発泡剤と混合して低圧帯域に押出発泡させ発泡体シートを得るにあたり、溶融混合と冷却をそれぞれ一台以上の押出機にて行なうことが望ましい。
すなわち、一般に押出発泡は樹脂を溶融し発泡剤を加えた後、樹脂が発泡に適した粘度に達するまで冷却することによって行なわれる。このため、樹脂と発泡剤との混練工程においては、押出機の混練機能を有するスクリューを高回転数で回転させ十分に混練することが望まれる。一方、冷却工程においては冷却効率を高めるために、可能な限りせん断発熱を抑制するためにスクリューの回転数を低くすることが望まれる。従って、溶融混合と冷却とを一台の押出機で行なうと十分な冷却を行なうためにはスクリューの回転数を低くしなければならず、混合樹脂の混練や樹脂と発泡剤との混練が不十分となり易く樹脂の発泡状態が悪化したり、押出機の吐出量が低下し、生産性が低下するといった不具合を生じることがある。本発明の熱可塑性樹脂発泡体を製造するために使用する押出機の種類及びスクリュー形状等は特に限定されるものではない。なお、前記押出機の構造として押出機とダイスとの間にスタティックミキサー、ギアポンプを取付けたものが、厚み、外観、密度等において良好な発泡体シートを得る上で好ましい。
【0013】
前記方法によって得られる単層の発泡体シートにおいて、その密度は好ましくは0.05〜0.7g/cm3更に好ましくは0.1〜0.5g/cm3である。密度0.05g/cm3未満では成形体の強度が不足することがあるばかリでなく、加熱成形するときに伸びが不足で成形体に穴が開くことがある。一方、0.7g/cm3を越えると軽量性、経済的にも問題があるが容器の断熱性が低下し容器に食品を入れて加熱すると、熱くて手で持てず発泡体シートとしての特徴である断熱性が不十分なことがある。
また、単層の発泡体シートの厚みは好ましくは0.5〜7mm、更に好ましくは1〜5mmである。厚み0.5mm未満では強度や断熱性の点で実用に耐えない虞がある。7mmを越えるものは、加熱成形の際にシート内部と外部の加熱ムラが起こりやすく、精密な温度制御が必要となる。特に熱成形用のものは0.7〜5mmのものが好ましい。
【0014】
本発明の発泡体シートの独立気泡率は60%以上、好ましくは70%以上のものである。独立気泡率60%未満では容器等の成形用素材として重要な発泡体シートの気体、水分等の非透過性が低下する等の不具合が発生する。また、熱成形等の際に発泡体シートの二次発泡性が低下するために発泡体シートの金型再現性悪化、成形体の厚み厚薄の発生等の熱成形性の低下が見られる。また、得られる成形体の強度も同じ密度では弱くなる。尚、本発明において発泡体シートの独立気泡率はASTM D2856、手順Cによって発泡体シートの実容積(独立気泡部分の容積と樹脂部分の容積との和)Vx(cm3)を求め、次式により算出した値である。
【数1】
Figure 0004079293
但し、Va:試験片の外形寸法から求められる見掛けの容積(cm3
ρf:試験片の密度(g/cm3
ρr:試験片の基材樹脂の密度(g/cm3
【0015】
次に、上述した特定の芳香族ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂を基材樹脂とする発泡体シートの少なくとも片面に、接着層を介して芳香族ポリエステル系樹脂フィルム状で積層されているものについて詳述する。
【0016】
接着層としては、変性ポリオレフィン樹脂、変性エチレンー酢酸ビニル共重合樹脂等の接着性樹脂が用いられ、その他、芳香族ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合物、更に該混合物に相溶化剤を添加したもの、更に、リサイクル性、コスト面で特に好ましいスチレン系のものとして、ハイインパクトポリスチレン等のゴム変性ポリスチレン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等のスチレン−共役ジエンブロック共重合体や、その水添物等も採用することができる。十分な接着性の面からは変性エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂を主成分とするものが好ましい。また、接着層の厚みは、0.01〜0.1mmが好ましく、特に0.02〜0.08mmが好ましい。0.01mm未満では十分な接着強度が得られ難く、0.1mmを越える場合はコスト高となってしまう。
【0017】
発泡体シートに積層される芳香族ポリエステル系樹脂としては、前述の発泡体シートを構成する芳香族ポリエステル系樹脂の説明にて詳述したジカルボン酸成分とジオール成分からなるもの等が挙げられる。尚、発泡体シートに積層されるフィルム状芳香族ポリエステル系樹脂は半結晶化時間が30分以上のものに限定されるものではなく、半結晶化時間が30分未満のものも使用することができる。但し、リサイクル性、多層の発泡体シートの熱成形性、芳香族ポリエステル系樹脂を内面として容器等に成形した場合のフランジ部の蓋材との接着性等の面から、半結晶化時間が30分以上、更には60分以上、特に90分以上の芳香族ポリエステル系樹脂を使用することが好ましい。また、該芳香族ポリエステル系樹脂の厚みは、0.01〜0.5mmが好ましく、特に0.02〜0.2mmが好ましい。0.01mm未満では熱成形する際に伸ばされて更に薄くなるために破れやピンホールが生じやすくなり、耐溶剤性の低下を起こし易く十分な耐油性が得られ難い。0.5mmを越える場合は発泡体シートとの接着が難しくなり、コスト高となってしまう。また、発泡体製品のリサイクル性の点からは、発泡体シート中に含まれる芳香族ポリエステル系樹脂とその発泡体シート上に積層される芳香族ポリエステル樹脂との合計量は、製品発泡体に対して、50重量%以下、好ましくは25重量%以下にするのがよい。
また、発泡体シートにフィルム状で積層される芳香族ポリエステル系樹脂には、必要に応じて各種の添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、導電性付与剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、無機充填剤等を適宜添加することができる。
また、リサイクル性の面からはあまり好ましくはないが、発泡体シートに積層されるフィルム状の芳香族ポリエステル系樹脂に加え更にフィルム状のポリアミド系樹脂、塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、アルミニウム箔等の他の機能性材料と組み合わせて多層シートとして発泡体シートに積層することもできる。
【0018】
本発明の多層の発泡体シートは、以下の方法で製造することができる。
代表的な方法としては、▲1▼押出機により単層の発泡体シートを製造し、その後、この発泡体シートに対して、製造ライン上または別ラインで、別の押出機より共押出法により芳香族ポリエステル系樹脂と接着層樹脂とを積層したものを熱ロール等を通して積層接着する方法、▲2▼押出機により共押出法によって発泡層の少なくとも片面に接着層を設けてた発泡体シートを製造し、その後、この発泡体シートに対して、製造ライン上または別ラインで、芳香族ポリエステル系樹脂を別な押出機より押出して積層接着する方法、▲3▼押出機により共押出法によって発泡層の少なくとも片面に接着層を設けてた発泡体シートを製造し、その後、製造ライン上または別ラインで、芳香族ポリエステル系樹脂フィルムを熱ロール等を通して積層接着する方法、▲4▼発泡体シート、接着層樹脂及び芳香族ポリエステル系樹脂の順に全てを共押出法によって積層接着する方法、▲5▼押出機により単層の発泡体シートを製造し、その後、この発泡体シートに対して、製造ライン上または別ラインで、別の押出機より押出された接着層樹脂を介して更に別の押出機より押出された芳香族ポリエステル系樹脂を積層接着する方法、▲6▼押出機により単層の発泡体シートを製造し、その後、この発泡体シートに対して、製造ライン上または別ラインで、別の押出機より押出された接着層を介して芳香族ポリエステル系樹脂フィルムを積層接着する方法等がある。
▲4▼の方法によって製造する場合、接着層の押出し時の樹脂温度は、発泡体シートの押出し時の樹脂温度プラス20℃以下好ましくは該樹脂温度プラス10℃以下であることが望ましい。該樹脂温度プラス20℃を越えるとシートの独立気泡率が低下する虞がある。尚、接着層の押出し時の樹脂温度の下限は溶融押出しが可能な温度であることは言うまでもない。また、発泡体シートに積層する芳香族ポリエステル系樹脂の溶融粘度は特に限定されるものではないが、共押出方法を考慮した場合、発泡体シートの構成成分の1つとして使用されるポリスチレン系樹脂に近い溶融粘度であることが望ましく、好ましくはポリスチレン系樹脂の4分の1以上4倍未満の範囲である。上記▲1▼〜▲6▼の積層接着方法のうち▲4▼の方法は、他の方法に比べて工程がシンプルで低コスト化が可能であり好ましい。
【0019】
ポリスチレン系樹脂発泡体シートの少なくとも片面に、接着層を介して芳香族ポリエステル系樹脂がフィルム状で積層された多層の発泡体シート全体の密度は好ましくは0.05〜0.7g/cm3、更に好ましくは0.1〜0.5g/cm3である。密度が0.05g/cm3未満では成形体の強度が不足することがあるばかリでなく、加熱真空成形するときに伸び不足で成形体に穴が開く場合がある。一方、0.7g/cm3を越えると軽量性、容器等の成形体の断熱性が低下し、容器に食品を入れて加熱すると、熱くて手で持てず発泡体シートとしての特徴である断熱性が十分生かされない恐れがある。また、該多層の発泡体シートの厚みは好ましくは0.5〜5mm、更に好ましくは1〜5mmである。厚みが0.5mm未満では真空成形等の加熱成形によって得られる成形体の厚みが薄く、強度や断熱性の点で実用に耐えない虞がある。厚みが5mmを越えるものは、加熱成形の際に発泡体シート内部と外部の加熱ムラが起こりやすく、精密な温度制御が必要となる。発泡体シートの厚さに対する芳香族ポリエステル系樹脂フィルム厚さの割合は、2〜25%、好ましくは5〜20%である。この芳香族ポリエステル系樹脂層の厚さは、最終製品である容器等の用途を考えて適宜の厚さとすればよい。
本発明の単層及び多層の発泡体シートは、これを加熱軟化させ、金型を使用し真空成形法及び/又は圧空成形法、更にはそれらを応用したマッチドモールド成形法、プラグアシスト成形法等の熱成形等を行なうことにより、主にトレイ、カップ、丼、弁当箱等に成形することができる。尚、多層の発泡体シートの場合、少なくとも容器等の成形体の内側に芳香族ポリエステル系樹脂積層面が位置するように成形することが好ましい。
【0020】
【実施例】
次に本発明を実施例により更に具体的に説明する。
【0021】
実施例1
押出機として、直径65mmと直径90mmの2台の押出機をタンデム型に連結して用い、その口金(ダイス)としては、直径84mm、隙間間隔0.5mmの円筒状スリットを有するものを用いた。
直径65mmの押出機で原料投入口より混合樹脂98重量部および添加剤としてタルクを1重量部投入し、その押出機内で加熱混練し、約200℃に調整された樹脂混合物に発泡剤1量量部を圧入し、次いで、直径90mmの押出機に供給し、樹脂温度165℃に調整して、口金より樹脂を押出した。
押出された円筒状発泡樹脂を、直径200mmの冷却された円筒に沿わせて引取り、その後切り開くことにより単層の発泡体シートを得、これを巻き取った。
この実施例においては、混合樹脂としては、下記に示すポリスチレン系樹脂A93.7重量部、ポリエステル系樹脂B2.5重量部及び接着性樹脂C1.8重量部からなるもの(合計98重量部)を用いた。
ポリスチレン系樹脂A:HH32、出光石油化学社製 溶融粘度20400poise
ポリエステル系樹脂B:PETG6763、イーストマンケミカル社製、半結晶化時間60分以上、溶融粘度50000poise
接着性樹脂(変性エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂)C:ヒロダイン7575、ヒロダイン社製
タルクとしては、松村産業社製ハイフィラー#12を用いた。
発泡剤としては、n−ブタン70重量%とiso−ブタン30重量%からなるブタン混合物を用いた。
【0022】
実施例2
混合樹脂として、ポリスチレン系樹脂A90重量部、ポリエステル系樹脂B4重量部及びポリエステル系樹脂B(II)3.4重量部からなるもの(合計97.4重量部)を用いるとともに、発泡剤1.6重量部を用いた以外は実施例1と同様にして発泡体シートを得た。
なお、前記ポリエステル系樹脂B(II)は、商品名TONEP787、ユニオンカーバイド社製のもので、その半結晶化時間は60分以上で、その溶融粘度は15000poiseである。
【0023】
実施例3
混合樹脂として、ポリスチレン系樹脂A(II)92.5重量部及びポリエステル系樹脂B3.5重量部からなるもの(合計96重量部)を用いるとともに、発泡剤3重量部を用いた以外は実施例1と同様にして発泡体シートを得た。
なお、前記ポリスチレン系樹脂A(II)は、商品名G9001、旭化成社製のもので、その溶融粘度は26800poiseである。
【0024】
比較例1
混合樹脂として、ポリスチレン系樹脂A61.2重量部、ポリエステル系樹脂B35.0重量部及び接着性樹脂C1.8重量部からなるもの(合計98重量部)を用いた以外は実施例1と同様にして発泡体シートを得た。
【0025】
比較例2
混合樹脂として、ポリスチレン系樹脂A93.4重量部及びポリエステル系樹脂B(III)4重量部からなるもの(合計97.4重量部)を用いるとともに、発泡剤1.6重量部を用いた以外は実施例1と同様にして発泡体シートを得た。
なお、前記ポリエステル系樹脂B(III)は商品名MA−2101、ユニチカ社製のもので、その半結晶化時間は30分未満である。
【0026】
実施例4(多層の発泡体シート)
実施例1で得られた発泡体シートに厚さ0.05mmの芳香族ポリエステル系樹脂Bのフィルムを厚さ0.04mmの接着層(接着性樹脂Cからなる層)を介してラミネートし多層の発泡体シートを得た。この場合、接着層は直径50mmの押出機で接着性樹脂Cを加熱混練し、樹脂温度230℃で幅650mmのTダイスより押出供給した。
【0027】
実施例5(多層の発泡体シート)
発泡体シート製造用の押出機として直径65mmと直径90mmの2台の押出機をタンデム型に連結して用いた。この場合、芳香族ポリエステル系樹脂層用の押出機としては直径50mmの押出機を、接着層製造用としては直径40mmの押出機を用い、口金としては、直径84mm、隙間間隔0.5mmの円筒状スリットを有するものを用いた。
直径65mmの押出機の原料投入口より発泡体シート製造用の混合樹脂98重量部及びタルク1重量部を投入し、押出機内で加熱混練し、約200℃に調整された樹脂混練物に対して発泡剤1重量部を圧入し、次いで、直径90mmの押出機に供給し、165℃の樹脂温度に調整した。一方、発泡体シートに積層される芳香族ポリエステル系樹脂Bはこれを直径50mmの押出機より220℃の樹脂温度に調整して押出し、接着層を構成する接着性樹脂Cはこれを直径40mmの押出機より150℃の樹脂温度押出し、それぞれを発泡体シートの片面に発泡体シート側から接着性樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂の順に積層されたものが得られるように供給し、ダイス内部で発泡性樹脂層と合流させ共押出した。
押出された円筒状発泡樹脂を、直径200mmの冷却された円筒に沿わせて引取ることにより、多層の発泡体シートを得、これを巻き取った。
この多層の発泡体シートにおいて、接着層の厚みは0.03mm、芳香族ポリエステル系樹脂層の厚みは0.04mmである。
この実施例においては、混合樹脂としては、前記ポリスチレン系樹脂A93.7重量部、ポリエステル系樹脂B2.5重量部及び接着性樹脂C1.8重量部からなるもの(合計98重量部)を用いた。
また、タルク及び発泡剤としては、前記したものを用いた。
【0028】
比較例3
混合樹脂として、ポリスチレン系樹脂A59.2重量部、ポリエステル系樹脂B35重量部及び接着性樹脂C1.8重量部からなるもの(合計96重量部)を用いるとともに、発泡剤3.0重量部を用いた以外は実施例5と同様にして多層の発泡体シートを得た。
【0029】
実施例6(多層の発泡体シート)
実施例2で得られた発泡体シートに厚さ0.05mmの芳香族ポリエステル系樹脂B(III)のフィルムを厚さ0.04mmの接着層(接着性樹脂Cからなる層)を介してラミネートし多層の発泡体シートを得た。この場合、接着層は直径50mmの押出機で接着性樹脂Cを加熱混練し、樹脂温度230℃で幅650mmのTダイスより押出供給した。
実施例7
混合樹脂としてポリスチレン系樹脂A76.2重量部、ポリエステル系樹脂B20.0重量部及び接着性樹脂C1.8重量部(合計98重量部)を用いた以外は実施例1と同様にして発泡体シートを得た。
実施例8(多層の発泡体シート)
接着層を構成する接着性樹脂Cを接着性樹脂C(II)に変更した以外は、実施例4と同様にして多層の発泡体シートを得た。
なお、前記接着性樹脂C(II)は商品名IT41、出光石油化学社製のゴム変性ポリスチレン樹脂である。
実施例9(多層の発泡体シート)
接着層を構成する接着性樹脂Cを接着性樹脂C(III)に変更した以外は実施例4と同様にして多層の発泡体シートを得た。
なお、前記接着性樹脂C(III)は商品名タフプレン125、旭化成工業社製のスチレン−共役ジエンブロック共重合体である。
実施例10(多層の発泡体シート)
接着層を構成する接着性樹脂Cを接着性樹脂C(IV)に変更した以外は実施例5と同様にして多層の発泡体シートを得た。
なお、前記接着性樹脂C(IV)は商品名タフテックL512、旭化成工業社製の水添スチレン−共役ジエンブロック共重合体である。
次に、前記実施例及び比較例で得た各発泡シートの物性を測定するとともに、その押出発泡性を評価し、さらにその熱成形性及び耐油性を下記のようにして評価した。その結果を表1に示す。
【0030】
(耐油性)
25mm×40mmの単層又は多層の発泡体シートの中央部(多層の発泡体シートの場合は芳香族ポリエステル系樹脂積層面の中央部)に米炊飯調味油(フレッシュロールホワイト、(株)ローリング製)を0.025ml滴下し均一に延ばした後、80℃で5分間加熱し、加熱前後の発泡体シート変化を調べた。
○:変化なし
×:シート表面に侵食有り
(熱成形性)
実施例及び比較例にて得られた単層又は多層の発泡体シートを単発成形機(三和興業株式会社製のPLAVAC−FE36HP型)にて開口部形状が縦150mm、横120mmの長方形、深さ30mmの容器成形用金型を取り付けて(多層の発泡体シートについては芳香族ポリエステル系樹脂積層面が容器の内側となるようにして)真空成形を行なった。尚、この成形テストにおいては、上ヒーターの電圧調整器の40個のダイヤル目盛りはすべて30に設定し、下ヒーターの電圧調整器の6個のダイヤル目盛りはすべて40に設定して行った。得られた成形体の外観、金型再現性、二次発泡性(加熱前のシート厚み(a)と加熱後のシート厚み(b)の比b/a)にて熱成形性の評価を行なった。
○:二次発泡性が1.5以上であり、金型再現性及び外観共に良好
△:二次発泡性は1.5以上であるが芳香族ポリエステル系樹脂部分にシワが発生
×:二次発泡性が1.5未満であり金型再現性が悪い
【0031】
この結果、実施例の発泡体シートはいずれも独立気泡率が高いものであって、そのために加熱真空成形においては金型再現性の良好な成形体を得ることができた。
一方、比較例2の発泡体シートは発泡体シート製造時に結晶化物が発生し良好なシートが得られなかった。また、比較例1、3のものは、発泡体シートが得られても独立気泡率が低いものであった。そのために加熱真空成形において金型再現性の極めて不充分な成形体しか得ることができなかった。また、実施例6に示したように発泡体シートに接着層を介してフィルム状で積層する芳香族ポリエステル系樹脂を半結晶化時間が30分未満の芳香族ポリエステル系樹脂とした多層の発泡体シートは、独立気泡率が高くとも加熱真空成形において発泡ポリスチレンの成形条件ではポリエステル部が十分伸びず、成形体表面にシワが発生した。
【0032】
【表1】
Figure 0004079293
【0033】
なお、表1に示した発泡体シートの性状において、多層の発泡体シートの場合は、その発泡シート部分(積層されている芳香族ポリエステル部分を含まない)についての性状を示す。
【0034】
【発明の効果】
本発明は、半結晶化時間が30分以上の芳香族ポリエステル系樹脂であって、主たるジカルボン酸成分単位としてテレフタル酸成分単位を含み、主たるジオール成分単位としてエチレングリコール成分単位とシクロヘキサンジメタノール成分単位とを含むものを用いることにより、従来得ることが困難であったポリスチレン系樹脂と芳香族ポリエステル系樹脂との混合樹脂を基材樹脂とする発泡体シートを製造可能とするものであり、それによって得られた新規な単層又は多層の発泡体シートは独立気泡率が高く、外観良好で、二次発泡性も良好な熱成形に好適なものである。このことにより耐油性に優れた芳香族ポリエステル系樹脂積層ポリスチレン系樹脂発泡体シート又はその成形体の回収リサイクル原料を再度、発泡体シート原料として使用することが可能となる。また、本発明の多層の発泡体シートは該ポリエステル系樹脂積層面において耐油性及びラップフィルム密着性に優れたものであり、このシート材又は板材は容器等の成形用素材として有効なものであり、又はそれらの成形体も耐油性、ラップフィルムとの密着性に優れ実用性、リサイクル性を兼ね備えたものとなる。また、特に多層の発泡体シートにおいて半結晶化時間が30分以上の芳香族ポリエステル系樹脂を発泡体シートに積層した場合は、リサイクル性、熱成形性、該芳香族ポリエステル系樹脂積層面のヒートシール性(容器に成形した場合のトップシール性等)が特に良好なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】結晶化時間測定のグラフを示す図である。
【符号の説明】
(I)結晶化と相関関係にある光量曲線
(II)結晶化浴温度
a 複屈折による光の量が一定となった時間
A aにおける複屈折による光の量
B A×0.5
C 半結晶化時間
D 結晶化浴設定温度

Claims (3)

  1. 100℃での半結晶化時間が30分以上である芳香族ポリエステル系樹脂30重量%以下(但し0重量%は含まず)とポリスチレン系樹脂70重量%以上との混合樹脂を主成分とする基材樹脂からなる独立気泡率60%以上の熱可塑性樹脂発泡体であって、該芳香族ポリエステル系樹脂が主たるジカルボン酸成分単位としてテレフタル酸成分単位を含み、主たるジオール成分単位としてエチレングリコール成分単位とシクロヘキサンジメタノール成分単位とを含むものであることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体。
  2. 請求項1に記載の熱可塑性樹脂発泡体の少なくとも片面に、接着層を介して芳香族ポリエステル系樹脂がフイルム状で積層されていることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体。
  3. 押出機中にて熱可塑性樹脂を溶融させ発泡剤と混練した後、低圧条件下に押出す発泡体の製造方法において、該熱可塑性樹脂が100℃での半結晶化時間が30分以上である芳香族ポリエステル系樹脂30重量%以下(但し0重量%は含まず)とポリスチレン系樹脂70重量%以上との混合樹脂を主成分とするものであって、該芳香族ポリエステル系樹脂が主たるジカルボン酸成分単位としてテレフタル酸成分単位を含み、主たるジオール成分単位としてエチレングリコール成分単位とシクロヘキサンジメタノール成分単位とを含むものであることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
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