JP2006168321A - 生分解性積層発泡シート及びその成形体 - Google Patents

生分解性積層発泡シート及びその成形体 Download PDF

Info

Publication number
JP2006168321A
JP2006168321A JP2004367805A JP2004367805A JP2006168321A JP 2006168321 A JP2006168321 A JP 2006168321A JP 2004367805 A JP2004367805 A JP 2004367805A JP 2004367805 A JP2004367805 A JP 2004367805A JP 2006168321 A JP2006168321 A JP 2006168321A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
biodegradable
aliphatic
foam sheet
layer
laminated foam
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004367805A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4583160B2 (ja
Inventor
Kazuhisa Tate
和久 舘
Hiroyuki Maehara
浩之 前原
Tadashi Ueda
正 植田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Japan Polypropylene Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Japan Polypropylene Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Japan Polypropylene Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2004367805A priority Critical patent/JP4583160B2/ja
Publication of JP2006168321A publication Critical patent/JP2006168321A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4583160B2 publication Critical patent/JP4583160B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】生分解性に優れ、軽量性、熱成形性に優れ、ポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂の発泡シートと遜色のない実用物性を有する生分解性積層発泡シートおよびそれからなる成形体の提供。
【解決手段】表裏2層の表面層と、前記表面層の間に配置された中間層との生分解性樹脂からなる積層体であって、前記中間層が、発泡倍率1.1〜30倍、平均気泡径が30〜300μmの生分解性樹脂発泡層からなることを特徴とする生分解性積層発泡シート及びその成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は、生分解性積層発泡シート及びその成形体に関するものであり、詳しくは、包装材分野等に用いられる容器、蓋などの成形品を熱成形により製造する場合に用いる、生分解性を有し、軽量性、熱成形性に優れ、かつ剛性、耐衝撃性等の機械物性に優れる生分解性積層発泡シートおよびその成形体に関するものである。
従来よりポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂は、発泡シートとし、軽量性、緩衝性、断熱性等の特性を持たせ、主に食品包装容器や緩衝材として用いられている。これらは殆どが生分解性を持たず、しかも多量に使用されていることから、近年廃棄物処理の問題となったり、環境負荷の観点からも問題となっている。これら環境問題の高まりとともに使用中は食品等の内容物の保護、保存、搬送に適した包装材、包装容器としての実用物性を損なわずに、使用後は土表面、土壌中、堆肥中、活性汚泥中、水中等の自然環境下で速やかに分解して原資化され得る包装材料の開発が望まれて来ている。
一方、最近は脂肪族ポリエステル、多糖類、その他多くの生分解性樹脂が実用化されて来ており、発泡シートとしての検討が試みられているが、とりわり実用化が先行している脂肪族ポリエステルは、一般に融点が低く、耐熱性や発泡適性がポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂に比べ劣っているため、材料あるいは成形加工からの改良が必要である状況にある。
脂肪族ポリエステル材料の発泡適性を改良する方法としては、多価カルボン酸とヒドロキシカルボン酸等との高分子量の分解性共重合体を用いる(例えば、特許文献1参照。)、長鎖分岐を有する脂肪族ポリエステルを用いる(例えば、特許文献2参照。)等の重合面からの検討、また、ポリヒドロキシカルボン酸樹脂に無水コハク酸などの酸無水物を添加し、溶融粘度を増大させることにより発泡化を容易にしたポリヒドロキシカルボン酸樹脂組成物を用いる(例えば、特許文献3参照。)、ポリ乳酸にイソシアネート化合物を反応させた樹脂組成物を用いる(例えば、特許文献4参照。)、脂肪族ポリエステル系樹脂を有機過酸化物を用いて架橋させてゲル化させて発泡させる(例えば、特許文献5参照。)、脂肪族ポリエステルとメタアクリル酸エステル等をラクチドの存在下に架橋発泡させる(例えば、特許文献6参照。)等の過酸化物や反応性化合物等と架橋化させる検討、さらに、生分解性直鎖状ポリエステル系樹脂とポリカプロラクトンとからなる混合物を用いる(例えば、特許文献7参照。)、脂肪族ポリエステルとポリカプロラクトンとポリオレフィン樹脂との樹脂組成物を用いる(例えば、特許文献8参照。)等の脂肪族ポリエステルに別の生分解性樹脂等を加えてブレンド改質する検討が行なわれてきている。
しかしながら、いずれの方法も品質、性能面の安定性あるいは製造工程の複雑化やコストアップ等をまねき、実用化の障害となっている。さらに、ポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂の発泡シートに近い熱成形性や熱成形品での実用物性を有し、かつ使用後の廃棄段階で要求される生分解性を兼ね備えた生分解性積層発泡シートは未だ報告されていない。
特開平10−7778号公報 特開2003−286360号公報 特開平11−60928号公報 特開2000−07037号公報 特開平10−324766号公報 特開2003−28360号公報 特開平8−188706号公報 特開2003−335881号公報
本発明は、上記問題点に鑑みて、使用後の生分解性に優れ、軽量性、熱成形性に優れ、ポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂の発泡シートと遜色のない実用物性を有する生分解性積層発泡シートおよびそれからなる成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、表裏2層の表面層と、表面層の間に配置された中間層を有する生分解性発泡積層シートにおいて、中間層を特定の発泡倍率、特定の平均気泡径の生分解性樹脂発泡層にすることにより、軽量性、熱成形性に優れ、ポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂の発泡シートと遜色のない実用物性を有する生分解性積層発泡シートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、表裏2層の表面層と、前記表面層の間に配置された中間層との生分解性樹脂からなる積層体であって、前記中間層が、発泡倍率1.1〜30倍、平均気泡径が30〜300μmの生分解性樹脂発泡層からなることを特徴とする生分解性積層発泡シートが提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記表面層が、生分解性樹脂100重量部に対し、充填剤5〜400重量部を配合した生分解性複合樹脂組成物からなる層であることを特徴とする生分解性積層発泡シートが提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記表面層及び中間層に用いられる生分解性樹脂が、脂肪族ポリエステルであることを特徴とする生分解性積層発泡シートが提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、前記脂肪族ポリエステルが、下記一般式(1)で表される分子構造単位を有する脂肪族または脂環式ジオール単位、および下記一般式(2)で表される分子構造単位を有する脂肪族または脂環式ジカルボン酸単位を必須成分とすることを特徴とする生分解性積層発泡シートが提供される。
−O−R−O− …(1)
(式(1)中、Rは、鎖中に酸素原子を有していてもよい2価の鎖状脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を示す。)
−OC−(R−CO− …(2)
(式(2)中、Rは脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を示し、nは0又は1を示す。)
また、本発明の第5の発明によれば、第4の発明において、前記脂肪族ポリエステルの脂肪族または脂環式ジオール単位が1,4−ブタンジオール単位、脂肪族または脂環式ジカルボン酸単位がコハク酸単位であることを特徴とする生分解性積層発泡シートが提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、前記表面層各層の厚み比が、前記生分解性積層発泡シートの全厚みの5%以上、かつ30%以下であることを特徴とする生分解性積層発泡シートが提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、前記表面層の外側に、厚み比率が全厚みの10%以下であるスキン層が設けられていることを特徴とする生分解性積層発泡シートが提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明の生分解性積層発泡シートを用いてなる成形体が提供される。
本発明によれば、表裏2層の表面層と、前記表面層の間に配置された中間層を有する生分解性積層発泡シートにおいて、中間層の生分解性樹脂の発泡倍率とそこに存在する気泡の気泡径を特定することにより、ポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂の発泡シートと遜色のない実用物性を有し、生分解性、軽量性、熱成形性、剛性、耐衝撃性に優れる生分解性積層シートを得ることができる。
本発明は、生分解性樹脂からなり、必要に応じて、充填剤を含む組成物からなる表裏2層の表面層、及び表面層の間に配置された生分解性樹脂の発泡体からなる中間層、さらに必要に応じて、スキン層等から構成される生分解性積層発泡シート、その成形体である。以下に詳述する。
1.生分解性積層発泡シートの各層
(1)表面層の構成成分
(i)生分解性樹脂
本発明の生分解性積層発泡シートの表面層に用いられる生分解性樹脂の種類は、特に制約はないが、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバリレート等の脂肪族ポリエステル及びその誘導体、ポリシクロヘキシレンジメチルアジペートの如き脂環式ポリエステル及びその誘導体、ヒドロキシブチレートーヒドロキシバリレート共重合体の如き脂肪酸エステル共重合体、ポリ乳酸等が挙げられ、樹脂の種類は複数であっても良い。
これらの中では、脂肪族ポリエステルが好ましく、特に、下記一般式(1)
−O−R−O− …(1)
(式(1)中、Rは、鎖中に酸素原子を有していてもよい2価の鎖状脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を示す。)
で表される分子構造を有する脂肪族または脂環式ジオール単位、及び下記一般式(2)
−OC−(R−CO− …(2)
(式(2)中、Rは脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を示し、nは0又は1を示す。)
で表される分子構造単位を有する脂肪族または脂環式ジカルボン酸単位を必須成分とするホモポリマー、コポリマー(ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、交互コポリマー等)の何れでもよい。
脂肪族または脂環式ジオール単位を与えるものとしては、下記一般式(4)
HO−R−OH …(4)
(式(4)中、Rは、鎖中に酸素原子を有していてもよい2価の鎖状脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を示す。)
で表されるジオール化合物が挙げられる。Rにおける鎖状脂肪族炭化水素基の炭素数は、通常2〜10、好ましくは2〜6である。また、Rにおける脂環式炭化水素基の炭素数は、通常3〜10、好ましくは4〜8である。鎖状脂肪族または脂環式ジオールの具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。これらの中では得られる重合体の物性の面から1,4−ブタンジオールが好ましい。
また、上記の他、鎖中に酸素原子を有するジオール化合物の具体例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合体、ジブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。これらの中では、分子量100〜200万のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合体、ポリテトラメチレングリコール等のジヒドロキシアルキレングリコール縮合体が好ましい。
脂肪族または脂環式ジカルボン酸単位を与えるものとしては、下記一般式(5)
HOOC−(R−COOH …(5)
(式(5)中、Rは脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を示し、nは0又は1を示す。)
で表されるジカルボン酸またはその誘導体が挙げられる。これらの中では、上記の一般式(5)において、nが0または1でありかつRが−(CH−(mは1〜10の整数を示す。)で表される鎖状脂肪族炭化水素基もしくは炭素数3〜10の2価の脂環式炭化水素基であるジカルボン酸、その低級アルキルエステル若しくは酸無水物が好ましい。特に、上記の一般式(5)において、nが0または1でありかつRが−(CH−(mは1〜6の整数を示す。)で表される鎖状脂肪族炭化水素基もしくは炭素数4〜8の2価の脂環式炭化水素基であるジカルボン酸、その炭素数1〜4の低級アルキルエステル若しくは酸無水物が好ましい。上記のジカルボン酸またはその誘導体の具体例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、これらの低級アルキルエステル(例えば、ジメチルエステル、ジエチルエステル等)、これらの酸無水物(例えば、無水コハク酸、無水アジピン酸など)等が挙げられる。得られる共重合体の物性面から、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、これらの低級アルキルエステル、これらの酸無水物が好ましく、特に、コハク酸、無水コハク酸またはこれらの混合物が好ましい。
また、脂肪族ポリエステルは、下記一般式(3)
−O−R−CO− …(3)
(式(3)中、Rは2価の脂肪族炭化水素基を示す。)
で表される分子構造を有する脂肪族オキシカルボン酸単位を含んでいてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、4−ヒドロキシメチルシクロヘキサンカルボン酸などが挙げられる。更に、これらの低級アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル等)や分子内エステルなどの誘導体であってもよい。これらのオキシカルボン酸またはその誘導体は、単独の他、混合物で使用してもよい。また、これらに光学異性体が存在する場合は、D体、L体、ラセミ体の何れでもよく、また、その使用形態は、固体、液体、水溶液の何れであってもよい。これらの中では乳酸またはグリコール酸が好ましい。特に、乳酸は、重合速度が大きく且つ入手が容易である点で好ましい。乳酸は、濃度30〜95重量%の水溶液として容易に入手することが出来る。
この脂肪族オキシカルボン酸の量は、脂肪族ポリエステルを構成する全構成成分中、下限が通常、0モル%、好ましくは、0.01モル%であり、上限が通常、30モル%、好ましくは20モル%である。
本発明で使用する脂肪族ポリエステルは、上記ジオールおよびジカルボン酸に加え、上記ジオールおよびジカルボン酸とは異なる官能基を3個以上有する脂肪族および/または脂環式多価アルコール、脂肪族または脂環式多価カルボン酸またはその無水物、または脂肪族多価オキシカルボン酸を共重合すると、得られる脂肪族ポリエステルの溶融粘度を高めることができ好ましい。官能基を3個有する脂肪族または脂環式多価アルコールの具体例としては、トリメチロールプロパン、グリセリンまたはその無水物が挙げられ、官能基を4個有する脂肪族または脂環式多価アルコールの具体例としては、ペンタエリスリトールが挙げられる。
官能基を3個有する脂肪族または脂環式多価カルボン酸またはその無水物の具体例としては、プロパントリカルボン酸またはその無水物が挙げられ、官能基を4個有する脂肪族または脂環式多価カルボン酸またはその無水物の具体例としては、シクロペンタンテトラカルボン酸またはその無水物が挙げられる。
また、官能基を3個有する脂肪族オキシカルボン酸成分は、(ア)カルボキシル基が2個とヒドロキシル基が1個を同一分子中に有するタイプと、(イ)カルボキシル基が1個とヒドロキシル基が2個のタイプとに分かれ、いずれのタイプも使用可能である。具体的には(ア)のタイプのリンゴ酸が挙げられる。また、官能基を4個有する脂肪族オキシカルボン酸成分は、(ア)3個のカルボキシル基と1個のヒドロキシル基とを同一分子中に有するタイプ、(イ)2個のカルボキシル基と2個のヒドロキシル基とを同一分子中に有するタイプ、(ウ)3個のヒドロキシル基と1個のカルボキシル基とを同一分子中に有するタイプとに分かれ、いずれのタイプも使用可能である。具体的には、クエン酸や酒石酸が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
このような官能基を3個以上有する化合物の量は、脂肪族ポリエステル系樹脂を構成する全構成成分中、下限が通常、0モル%、好ましくは、0.01モル%であり、上限が通常、5モル%、好ましくは2.5モル%である。
また、脂肪族ポリエステルは、生分解性および融点範囲の要件を損なわない範囲で芳香族オキシカルボン酸、芳香族多価アルコール、芳香族多価カルボン酸などの芳香族化合物を共重合したものも使用できる。共重合に使用される芳香族化合物の具体例は次の通りである。すなわち、芳香族オキシカルボン酸の具体例としては、ヒドロキシ安息香酸などが挙げられ、芳香族多価アルコールの具体例としては、ビスフェノールA、1,4−ベンゼンジメタノール等が挙げられ、芳香族多価カルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ピロリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、フェニルコハク酸、1,4−フェニレンジ酢酸またはその無水物が挙げられる。これら芳香族系化合物の導入量は、全脂肪族化合物に対し、通常50モル%以下、好ましくは30モル%以下である。
本発明で使用する脂肪族ポリエステルは、公知の方法で製造することができる。例えば、上記の脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分と脂肪族または脂環式ジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によっても製造することができるが、経済性ならびに製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う溶融重合でポリエステルを製造する方法が好ましい。また、重縮合反応は、重合触媒の存在下に行うのが好ましい。重合触媒の添加時期は、重縮合反応以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に添加しておいてもよく、減圧開始時に添加してもよい。
重合触媒としては、一般には、周期表で、水素、炭素を除く1族〜14族金属元素を含む化合物である。具体的には、チタン、ジルコニウム、錫、アンチモン、セリウム、ゲルマニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ナトリウムおよびカリウムからなる群から選ばれた、少なくとも1種以上の金属を含むカルボン酸塩、アルコキシ塩、有機スルホン酸塩またはβ−ジケトナート塩等の有機基を含む化合物、更には前記した金属の酸化物、ハロゲン化物等の無機化合物及びそれらの混合物が挙げられる。
これらの中では、チタン、ジルコニウム、ゲルマニウム、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム及びカルシウムを含む金属化合物、並びにそれらの混合物が好ましく、その中でも、特に、チタン化合物及びゲルマニウム化合物が好ましい。また、触媒は、重合時に溶融或いは溶解した状態であると重合速度が高くなる理由から、重合時に液状であるか、エステル低重合体やポリエステルに溶解する化合物が好ましい。
これらの重合触媒として金属化合物を用いる場合の触媒添加量は、生成するポリエステルに対する金属量として、下限値が通常、5ppm、好ましくは10ppmであり、上限値が通常、30000ppm、好ましくは1000ppm、より好ましくは250ppm、特に好ましくは130ppmである。使用する触媒量が多すぎると、経済的に不利であるばかりでなくポリマーの熱安定性が低くなるのに対し、逆に少なすぎると重合活性が低くなり、それに伴いポリマー製造中にポリマーの分解が誘発されやすくなる。
ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応の反応温度は、下限が通常150℃、好ましくは180℃、上限が通常260℃、好ましくは250℃である。反応雰囲気は、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下である。反応圧力は、通常、常圧〜10kPaであるが、常圧が好ましい。反応時間は、通常1時間以上であり、上限が通常10時間、好ましくは、4時間である。
その後の重縮合反応は、圧力を、下限が通常0.01×10Pa、好ましくは0.01×10Paであり、上限が通常1.4×10Pa、好ましくは0.4×10Paの真空度下として行う。この時の反応温度は、下限が通常150℃、好ましくは180℃であり、上限が通常260℃、好ましくは250℃の範囲である。反応時間は、下限が通常2時間であり、上限が通常15時間、好ましくは10時間である。
本発明において脂肪族ポリエステルを製造する反応装置としては、公知の縦型あるいは横型撹拌槽型反応器を用いることができる。例えば、溶融重合を同一又は異なる反応装置を用いて、エステル化及び/又はエステル交換の工程と減圧重縮合の工程の2段階で行い、減圧重縮合の反応器としては、真空ポンプと反応器を結ぶ減圧用排気管を具備した攪拌槽型反応器を使用する方法が挙げられる。また、真空ポンプと反応器とを結ぶ減圧用排気管の間には、凝縮器が結合されており、該凝縮器にて縮重合反応中に生成する揮発成分や未反応モノマーが回収される方法が好んで用いられる。
本発明において、目的とする融点の脂肪族ポリエステルとなるためのジオール単位とジカルボン酸単位とのモル比は、ジカルボン酸単位1モルに対するジオール単位の量が、下限が通常0.8モル、好ましくは、0.9モルであり、上限が通常1.5モル、好ましくは1.3モル、特に好ましくは1.2モルである。
本発明においては、生分解性に影響を与えない範囲で、上記脂肪族ポリエステルに、例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン、酸無水物、カルボジイミド化合物、過酸化物などを作用させ、分子量を高めたり、架橋させたものも使用することが出来る。
本発明で使用する脂肪族ポリエステルの分子量や分子量分布は、実質的に十分な機械物性などを有し、成形加工が可能であれば特に制限されないが、本発明に用いられる脂肪族ポリエステルのメルトフローインデックス(MFR)は、190℃、2.16kgで測定した場合、下限が通常、0.1g/10分であり、上限が通常、100g/10分、好ましくは50g/10分、特に好ましくは30g/10分である。
(ii)充填剤
本発明の生分解性積層発泡シートの表面層は、シートの剛性向上および熱成形性の向上の効果から、必要に応じて、生分解性樹脂に充填剤を配合した組成物からの層とすることができる。充填剤としては、無機充填剤と有機充填剤とに大別される。
無機充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、珪藻土、ゼオライト、ベントナイト、焼成パーライト、カオリン、カオリナイト、ガラス、石灰石、珪酸カルシウム、珪酸ナトリウム等の珪酸塩、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸第二鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、リン酸アルミニウム、硫酸バリウム等の塩類、などが挙げられる。
有機系充填剤としては、木粉、デンプン、セルロース、セルロース誘導体などが挙げられる。
これら充填剤は無機系及び有機系を問わず単独または二種以上を併用して使用することができる。これらの中でも、タルク、炭酸カルシウムが性能面および価格面から好ましい。タルクがより好ましい。
充填剤の粒径は、特に限定されないが、好ましくは平均粒径が0.1〜50μmである。特に好ましくは平均粒径が0.1〜20μmのタルク、炭酸カルシウムであり、最も好ましくは平均粒径が0.1〜20μmのタルクである。
充填剤の配合量は、生分解性樹脂100重量部に対して、400重量部以下が好ましく、より好ましくは5〜400重量部であり、さらに好ましくは5〜150重量部である。充填剤の配合量が400重量部を超えると積層発泡シートの押出性や逆に熱成形の延展性が悪化して好ましくない。
(iii)任意成分
本発明の生分解性積層発泡シートの表面層においては、本発明の目的を損なわない限り、従来公知の各種の添加剤を配合することも出来る。添加剤としては、例えば、結晶核剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、防曇剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、滑剤や各種界面活性剤などの樹脂用添加剤が挙げられる。
(2)中間層の構成成分
(i)生分解性樹脂
本発明の生分解性積層発泡シートの中間層に用いられる生分解性樹脂の種類としては、表面層に用いる生分解性樹脂を用いることができる。なお、中間層の生分解性樹脂は、表面層と異なった生分解性樹脂を用いてもよいが、同じ生分解性樹脂を用いる方が好ましい。
(ii)発泡
中間層の生分解性樹脂層は、発泡している必要があり、発泡倍率は1.1倍〜30倍、好ましくは3〜20倍である。発泡倍率が1.1倍未満では発泡化による軽量化等の実質的な効果が発揮されず、また発泡倍率が30倍を超える場合には連続気泡が増大し容器成形時のドローダウン性や容器の賦形性が低下してしまう。
また、本発明の中間発泡層の平均気泡径は、30〜300μm、好ましくは50〜100μmである。平均気泡径が300μmを超えると容器成形の際に気泡膜が破けやすく容器の賦形が得られ難い。
なお、平均気泡径の制御は、公知の方法、例えば、発泡核材の粒径や配合量、またはダイスから大気放出されるまでの圧力、発泡体が固化するまでの距離や樹脂温度を制御することにより行なうことができる。
本発明の中間層を発泡層化する方法としては、中間層を形成す生分解性樹脂に予め発泡剤を混合するか、あるいは生分解性樹脂を押出機で可塑化する段階で注入し、これを押出時に発泡させる方法が挙げられる。
ここで使用される発泡剤としては、公知の分解性発泡剤または気体もしくは揮発性の発泡剤が使用できる。
分解性発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、重曹、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、等の無機系分解性発泡剤、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノベンゼン、等のアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタンメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、等のニトロソ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、トリヒドラジノトリアジン、バリウムアゾジカルボキシレート、クエン酸、等が挙げられ、これらは単独もしくは2種以上を併用して用いることができる。これら、分解性発泡剤の使用割合は、生分解性樹脂100重量部に対して、0.1〜8重量部とすることが好ましい。
気体の発泡剤としては、窒素、炭酸ガス、プロパン、ネオペンタン、メチルエーテル、二塩化二フッ化メタン、n−ブタン、イソブタン、各種フロン、等が挙げられる。なお、ここで気体とは、常温で気体であることを意味する。
一方、揮発性の発泡剤としては、水、エーテル、石油エーテル、アセトン、ペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、ベンゼン、トルエン、各種アルコール、ハロゲン化炭化水素(例えば、メチルクロライド)、等が挙げられる。
気体もしくは揮発性の発泡剤の使用割合は、生分解性樹脂100重量部に対して、0.5〜20重量部とすることが好ましい。発泡剤としては、窒素、炭酸ガス、もしくは、水を、単独もしくはそれらの混合物として、発泡剤全量に対し5重量%の割合で含めることが好ましい。5重量%を下回ると、発泡剤の逸散にバラツキを生じ、得られる発泡体の安定性に乏しい。また、押出工程における加熱によって分解し、窒素、炭酸ガス、もしくは、水を発生することが可能な分解性発泡剤として配合してもよい。
本発明では、外観や気泡の緻密さの点から、重曹、クエン酸、炭酸ガス、もしくは、ブタンガス、から選ばれる分解性発泡剤、気体発泡剤の少なくとも1種の発泡剤を用いることが好ましい。これらの発泡剤には、分解温度、発生ガス及び分解速度を調節するために、他の公知の発泡助剤を併用してもよい。
なお、中間層の生分解性樹脂には、発泡剤の他、気泡調節剤として、タルク、シリカ等の無機粉末、多価カルボン酸等の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウム又は重曹との反応混合物等を配合してもよい。また、紫外線吸収剤、酸化防止剤、造核剤、着色剤等の他の添加剤も配合することができる。
2.生分解性積層発泡シートの層構成と製造
本発明の積層発泡シートの層構成は、少なくとも表裏2層の表面層と該表面層の間に配置された中間層とを含むものであり、かかる中間層を表面層で挟むサンドイッチ構造としたのは、中間層である発泡層の発泡段階におけるガス保持、セルの破泡・連続気泡化抑制効果と積層発泡シートとしての剛性や熱成形性、表面平滑性の維持の効果が極めて大きいためである。
本発明の積層発泡シートの層構成は、少なくとも上記サンドイッチ構造を有するものであればその層の種類、数、配置等に特に制限はない。例えば、前記2層の表面層及び中間層のみからなる2種3層のものであってもよく、また前記表面層の外側にさらに新たな層を設けた3種5層構造、あるいは前記表面層と中間層との間に新たな層を設けた3種5層もしくは4種7層構造等の種々の構造をとることもできる。
本発明のにおいて前記表面層の外側にさらに設ける新たな層または、前記表面層と中間層との間に設ける新たな層としては、例えば、目ヤニ防止、加飾性付与等の要求に応じ、表面層の外側(シートの最外層)に設けるスキン層等を挙げることができる。ここでスキン層の厚みは、全厚みの10%以下にすることにより、前記積層発泡シートの目的を損なうことなく、目的に応じたスキン層とすることができる。
表面層各層の厚み比は、積層発泡シートの全厚みの5%以上、かつ30%以下であることが好ましい。表面層各層の厚み比が積層発泡シートの全厚みの5%未満であると積層発泡シート表面の平滑性が低下し、熱成形の延展により表面層が破れ賦形を損ね易くなる。一方、30%を超えると積層シートの発泡化による軽量性、断熱性等の効果が低下する。
また、積層発泡シートの全厚みは、特に制限されず、使用目的等に応じた厚みを調整すればよいが、通常0.4〜3.0mm、特に一般の食品用容器では0.5〜2.5mmが好ましい。
本発明の生分解性樹脂積層シートの製造方法としては、前述の各層用の樹脂または組成物を用いて、公知の成形方法、例えば、単軸押出機、多軸押出機、タンデム押出機などのTダイおよびサーキュラーダイを含む押出機等、例えば、中間層を形成する押出機と表面層を形成する押出機の合流部により積層化する部分またはダイスを有する共押出機等を使用して共押出発泡法で製造することができる。
中間層用には、発泡剤を配合した組成物を用い、温度250〜100℃、好ましくは230〜80℃、圧力35〜3MPa、好ましくは15〜10MPa(以降、P1と称す。)の条件下で溶融混合し、得られた溶融混合物を、Tダイから、P1より低圧の工程領域へ押出し、次にTダイまたはサーキュラーダイから押出された溶融混合物を冷却ロールまたは冷却筒で冷却する。
押出機内で溶融混合された溶融混合物がダイス出口から押出されて冷却ロールまたは冷却筒に接触するまでの距離は、ダイから溶融混合物が押出されたときの発泡による体積膨張等によるコルゲートマークを解消する目的で、0.05〜5mmが好ましく、さらに好ましくは0.05〜3mmである。また、前記冷却ロールまたは冷却筒の表面温度は、緻密で、発泡体中に方向性を有しない気泡形状を形成する目的で、120℃以下、好ましくは、90℃以下であるような条件下で行うことが好ましい。
3.生分解性積層発泡シートの成形体
上記のようにして得られた生分解性積層発泡シートは、熱成形により各種容器、カップ、トレーに賦形される。容器成形は、一般に、プラスチックシートを加熱軟化して所望の型に押し当て、型と材料の間隙にある空気を排除し大気圧により型に密着させて成形する真空成形、及び大気圧以上の圧縮エアか、あるいは真空を併用して成形する圧空成形等の総称であり、方法としては、真空あるいは圧空を用い、必要により、更にプラグを併せて用いて金型形状に成形する方法(ストレート法、ドレープ法、エアスリップ法、スナップバック法、プラグアシスト法、プラグアシストリバースドロー成形法、マッチモールド成形法など)や固相プレス成形、スタンピング成形が挙げられる。これらの熱成形法の組み合わせ等による成形法であれば特に限定されない。熱成形温度や真空度、圧空の圧力または成形速度等の各種条件は、プラグ形状や金型形状または原料シートの性質等により適宜設定される。
本発明の生分解性積層発泡シートは、シート物性、加熱時の垂れ性が従来の生分解性樹脂の単独発泡シートに比べて大幅に改良され、これを加熱して真空成形、圧空成形等の二次成形に供することにより、ポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂シートに近い容器やカップ、トレーなどの成形品を得ることができる。
以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中の各項目の物性値等の測定方法、用いた生分解性樹脂の製造例を以下に示す。
1.測定方法
(1)シート密度(g/cm):積層発泡シートを10cm角に切り取り、その重量と厚みからシート全体の密度を求めた。
(2)中間層の発泡倍率(倍):積層発泡シートの全体の密度をもとに中間層密度を算出し、下式により計算した。
中間層発泡倍率=(発泡時の中間層密度)÷(未発泡時の中間層密度)
(3)中間層の平均気泡径(μm):積層発泡シートの押出方向に対し断面を切出し、ASTM−D3576に準拠し断面を顕微鏡などを用いて拡大投影をする。投影画像上にてシートの厚さ方向、シートの押出方向、およびそれらに直交する方向のそれぞれに相当する方向に直線を引いて、直線と交差する気泡数をカウントする。上記直線の真の長さを気泡数で除して得られた値を、シートの厚さ方向、シートの押出方向およびそれらに対し直交する方向のそれぞれを平均気泡径とし、更にこれを算術平均することで得られた値を発泡層の平均気泡径とした。
(4)中間層の気泡状態:ミクロトームで積層発泡シート断面(流れ方向に直角の方向)を10〜20μm程度にスライスして光学顕微鏡で観察、写真撮影し、以下の基準で評価した。
◎:独立気泡で気泡が均一、微細である。
○:独立気泡
△:若干連続気泡が存在
×:大半が連続気泡
(5)シート外観:目視により積層発泡シート表面を観察し、以下の基準で評価した。
◎:平滑
○:ほぼ平滑
×:凸凹がある
(6)容器成形性:得られた積層発泡シートを、間接加熱式圧空成形機((株)浅野研究所製、コスミック成形機)を使用して、シートから20cm離れた位置にある上下ヒータを325℃に保持して加熱した。シートは、加熱時間を12秒で、圧空圧力2kg/cmの条件で、縦24cm、横18cm、深さ4cmのリブ付き弁当容器を成形した。得られた容器を目視によって形状および外観を観察し、下記の評価基準にて判定した。
◎:容器の表面状態が良好で、細部にわたり賦形が完了している。
○:容器の表面状態が良好で、リブ形状部分や底コーナー部にて若干賦形があまいが略実用上は問題がない。
×:容器の表面のばたつき、曇り等があり、光沢が損なわれている又は、細部にわたり賦形が完了していない。
(7)生分解性試験:腐葉土と堆肥を1:1で混合した土壌を用いた圃場を屋外に設定し、各々得られたシートから打ち抜いたJIS2号ダンベル片を深さ約7cmの場所に埋設した。埋設開始より所定期間圃場中に放置した後に試験片を取り出し、付着した土を落とした後に重量測定を行い、重量残存率を測定した。試験中に圃場に与えた水分は自然降雨のみであり、人為的な水分の供給は行わなかった。
2.生分解性樹脂の製造
(製造例1)
攪拌装置、窒素導入管、加熱装置、温度計および助剤添加口を備えた容量1mの反応容器に、コハク酸134kg、1,4−ブタンジオール121L、酸化ゲルマニウムを予め1重量%溶解させた90%DL乳酸水溶液7.21kgを仕込んだ。攪拌下、窒素ガスを導入し、窒素ガス雰囲気下120℃から反応を開始し、1時間40分かけて200℃まで昇温した。引き続き、1時間25分かけて230℃に昇温すると同時に1mmHgまで減圧し、230℃、1mmHgにて4時間20分重合を行い、脂肪族ポリエステル(A1)を得た。得られた脂肪族ポリエステル(A1)のメルトフローレート(JIS−K7210、温度190℃、荷重2.16kgf)は4.2g/10分であった。
(製造例2)
攪拌装置、窒素導入管、加熱装置、温度計および助剤添加口を備えた容量1mの反応容器に、コハク酸134kg、1,4−ブタンジオール116L、DLリンゴ酸0.24kg、酸化ゲルマニウムを予め1重量%溶解させた90%DL乳酸水溶液7.21kgを仕込んだ。攪拌下、窒素ガスを導入し、窒素ガス雰囲気下120℃から反応を開始し、1時間40分かけて200℃まで昇温した。引き続き、1時間25分かけて230℃に昇温すると同時に1mmHgまで減圧し、230℃、1mmHgにて4時間20分重合を行い、脂肪族ポリエステル(A2)を得た。得られた脂肪族ポリエステル(A2)のメルトフローレート(JIS−K7210、温度190℃、荷重2.16kgf)は3.8g/10分であった。
(製造例3)
攪拌装置、窒素導入管、加熱装置、温度計および助剤添加口を備えた容量1mの反応容器に、コハク酸122kg、アジピン酸22.2kg、1,4−ブタンジオール115L、DLリンゴ酸0.23kg、酸化ゲルマニウムを予め1重量%溶解させた90%DL乳酸水溶液7.21kgを仕込んだ。攪拌下、窒素ガスを導入し、窒素ガス雰囲気下120℃から反応を開始し、1時間40分かけて200℃まで昇温した。引き続き、1時間25分かけて230℃に昇温すると同時に1mmHgまで減圧し、230℃、1mmHgにて4時間重合を行い、脂肪族ポリエステル(A3)を得た。得られた脂肪族ポリエステル(A3)のメルトフローレート(JIS−K7210、温度190℃、荷重2.16kgf)は4.0g/10分であった。
(実施例1〜7)
生分解性樹脂として製造例1〜3で得られた脂肪族ポリエステル(A1)〜(A3)、(A4:ポリブチレンサクシネート(昭和高分子社製「ビオノーレ1001」、メルトフローレート1.5g/10分))及びポリ乳酸(PLA:三井化学社製、商品名レイシア「H400」)を用いた。表層材は、あらかじめ生分解性樹脂と所定量の充填剤(タルク:富士タルク社製、粒径10μm)を配合し、200℃で二軸混練機にて混練しペレットとした。
中間層の発泡剤としてクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの1:1の混合物の無機系分解性発泡剤を用いた。
次に各実施例につき表1に示した各層配合にて、表面層用、中間層用それぞれ口径40mmφの押出機にて溶融しフィードブロック方式で共押出の後、Tダイより中間層が発泡した2種3層の積層発泡シートの溶融押出を行った。ダイスから出た溶融シートを40℃の温度調節を施した冷却水を流した小径ロールによりシートの冷却およびコルゲート抑制を行い、幅400mm、全厚900μm厚の生分解性積層発泡シートを作製した。このようにして得られた各積層シートについて、シート物性、容器成形性、および生分解性をそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。
(比較例1、2)
表1における実施例1において、表面層を設けず同じ全厚の単層発泡シートとしたもの、および表層から充填剤タルクを配合しないものをそれぞれ比較例1、2として、実施例と同様にシート成形及び測定を行った。その結果を表1に示す。
(実施例8、9)
実施例1および2の積層発泡シート構成において、中間層の発泡剤として気体発泡剤(n−ブタンガス)および気泡調整剤としてクエン酸モノモノナトリウムを用い、口径65mmφの押出機にて発泡層を形成し、共押出サーキュラーダイおよび冷却筒を備えた発泡シート装置により中間層が発泡した2種3層の積層発泡シートを得た。得られた積層発泡シートについて、シート物性、容器成形性、および生分解性をそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。
(比較例3)
比較例2の積層発泡シート構成において、発泡剤として気体発泡剤(n−ブタンガス)および気泡調整剤としてクエン酸モノナトリウムを用い、実施例8と同様の積層発泡シートの製造を実施したが、気体発泡剤の膨張率に対し、表面層には充填剤が配合されていないため表面層材の中間層の気体発泡剤の膨張力に対する溶融張力が不足し、中間層の気体が表面層を貫通して発泡体を得ることができなかった。
Figure 2006168321
本発明の、表裏2層の表面層と、前記表面層の間に配置された中間層を有する特定の生分解性積層発泡シ−トとすることで、使用後の生分解性に優れ、軽量性、熱成形性に優れ、剛性や耐衝撃性、等の実用物性も優れることから、環境への影響を配慮した各種容器、カップ、トレーなどの熱成形品に供される生分解性樹脂原反シートとして工業的価値は極めて高い。

Claims (8)

  1. 表裏2層の表面層と、前記表面層の間に配置された中間層との生分解性樹脂からなる積層体であって、前記中間層が発泡倍率1.1〜30倍、平均気泡径が30〜300μmの生分解性樹脂発泡層からなることを特徴とする生分解性積層発泡シート。
  2. 前記表面層が、生分解性樹脂100重量部に対し、充填剤5〜400重量部を配合した生分解性樹脂組成物からなる層であることを特徴とする請求項1記載の生分解性積層発泡シート。
  3. 前記表面層及び中間層に用いられる生分解性樹脂が、脂肪族ポリエステルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の生分解性積層発泡シート。
  4. 前記脂肪族ポリエステルが、下記一般式(1)で表される分子構造単位を有する脂肪族または脂環式ジオール単位、および下記一般式(2)で表される分子構造単位を有する脂肪族または脂環式ジカルボン酸単位を必須成分とすることを特徴とする、請求項3に記載の生分解性積層発泡シート。
    −O−R−O− …(1)
    (式(1)中、Rは、鎖中に酸素原子を有していてもよい2価の鎖状脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を示す。)
    −OC−(R−CO− …(2)
    (式(2)中、Rは脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を示し、nは0又は1を示す。)
  5. 前記脂肪族ポリエステルの脂肪族または脂環式ジオール単位が1,4−ブタンジオール単位、脂肪族または脂環式ジカルボン酸単位がコハク酸単位であることを特徴とする、請求項4に記載の生分解性積層発泡シート。
  6. 前記表面層各層の厚み比が、前記生分解性積層発泡シートの全厚みの5%以上、かつ30%以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の生分解性積層発泡シート。
  7. 前記表面層の外側に、厚み比率が全厚みの10%以下であるスキン層が設けられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の生分解性積層発泡シート。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の生分解性積層発泡シートを用いてなる成形体。
JP2004367805A 2004-12-20 2004-12-20 生分解性積層発泡シート及びその成形体 Active JP4583160B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004367805A JP4583160B2 (ja) 2004-12-20 2004-12-20 生分解性積層発泡シート及びその成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004367805A JP4583160B2 (ja) 2004-12-20 2004-12-20 生分解性積層発泡シート及びその成形体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006168321A true JP2006168321A (ja) 2006-06-29
JP4583160B2 JP4583160B2 (ja) 2010-11-17

Family

ID=36669554

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004367805A Active JP4583160B2 (ja) 2004-12-20 2004-12-20 生分解性積層発泡シート及びその成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4583160B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008075367A (ja) * 2006-09-22 2008-04-03 Toppan Printing Co Ltd 床材及びその製造方法
JP2008155432A (ja) * 2006-12-22 2008-07-10 Dainippon Printing Co Ltd バリア性を有するヒ−トシ−ル性フィルム
JP2008221733A (ja) * 2007-03-15 2008-09-25 Dainippon Printing Co Ltd バリア性を有するヒ−トシ−ル性フィルム
JP2016501741A (ja) * 2012-10-30 2016-01-21 コンパニ・ジェルベ・ダノン ポリ乳酸層を含む物品およびそれを作製する方法
JP2017154823A (ja) * 2017-06-16 2017-09-07 中央化学株式会社 容器および製造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06240037A (ja) * 1992-02-06 1994-08-30 Mitsui Toatsu Chem Inc 熱収縮性発泡複合シート
JPH09327877A (ja) * 1996-02-29 1997-12-22 Mitsubishi Chem Corp 生分解性複合材およびその製造方法
JPH1148436A (ja) * 1997-08-05 1999-02-23 Shin Etsu Polymer Co Ltd 農業用生分解性シート
JP2003268143A (ja) * 2002-03-15 2003-09-25 Mitsubishi Chemicals Corp 発泡体製造用脂肪族ポリエステル系樹脂及び発泡体

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06240037A (ja) * 1992-02-06 1994-08-30 Mitsui Toatsu Chem Inc 熱収縮性発泡複合シート
JPH09327877A (ja) * 1996-02-29 1997-12-22 Mitsubishi Chem Corp 生分解性複合材およびその製造方法
JPH1148436A (ja) * 1997-08-05 1999-02-23 Shin Etsu Polymer Co Ltd 農業用生分解性シート
JP2003268143A (ja) * 2002-03-15 2003-09-25 Mitsubishi Chemicals Corp 発泡体製造用脂肪族ポリエステル系樹脂及び発泡体

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008075367A (ja) * 2006-09-22 2008-04-03 Toppan Printing Co Ltd 床材及びその製造方法
JP2008155432A (ja) * 2006-12-22 2008-07-10 Dainippon Printing Co Ltd バリア性を有するヒ−トシ−ル性フィルム
JP2008221733A (ja) * 2007-03-15 2008-09-25 Dainippon Printing Co Ltd バリア性を有するヒ−トシ−ル性フィルム
JP2016501741A (ja) * 2012-10-30 2016-01-21 コンパニ・ジェルベ・ダノン ポリ乳酸層を含む物品およびそれを作製する方法
US9833969B2 (en) 2012-10-30 2017-12-05 Compagnie Gervais Danone Article comprising polylactic acid layers and process of making the same
JP2017154823A (ja) * 2017-06-16 2017-09-07 中央化学株式会社 容器および製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4583160B2 (ja) 2010-11-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0372846B1 (en) Process for producing polyester resin foam
JP4446385B2 (ja) 熱成形用多層ポリ乳酸系樹脂発泡体
JP5264176B2 (ja) 生分解性樹脂発泡体および生分解性樹脂成形容器
JP4794335B2 (ja) ポリ乳酸系樹脂製発泡シート製容器の製造方法
JP3772426B2 (ja) 発泡体及び積層体
JP2002003709A (ja) 生分解性耐熱樹脂組成物およびシート、成形体、発泡体
JP2005330318A (ja) 高耐衝撃性ポリ乳酸組成物
KR20190025352A (ko) 열성형성이 우수한 발포시트 및 이의 제조방법
JP2010059756A (ja) 高性能断熱材
JP2000136261A (ja) 発泡性粒子及びその製造方法
JP4583160B2 (ja) 生分解性積層発泡シート及びその成形体
JP2003268143A (ja) 発泡体製造用脂肪族ポリエステル系樹脂及び発泡体
CN110612209A (zh) 耐热性及加工性优异的食品容器用复合片材及其制备方法
JP3777338B2 (ja) 無架橋の生分解性ポリエステル系樹脂予備発泡粒子、及びその成形体と該予備発泡粒子の製造方法
JP3394063B2 (ja) 乳酸系ポリマー発泡体成形物及びその製造方法
JP5058473B2 (ja) 熱収縮性ポリエステル系樹脂発泡フィルム
JP4522000B2 (ja) 発泡体
KR101260224B1 (ko) 유연성이 개선된 생분해성 벽지 및 그 제조방법
JP2006142812A (ja) 生分解性樹脂積層シート及びその熱成形品
JP2004181821A (ja) 耐熱性を有する生分解性軽量パネル
JPH06220237A (ja) 複合発泡ポリエステルシート
JP2000136255A (ja) ポリ乳酸系発泡体及びその製造方法
CN111587270B (zh) 热成型性优异的发泡片材及其制备方法
JPH11199766A (ja) 気泡シート
JP7392881B1 (ja) 発泡シート、発泡シートの製造方法、製造物、及び成型体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071011

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100409

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100420

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100617

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100810

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100831

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4583160

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130910

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350