JP4078837B2 - 自動車のスリップ制御装置と無段変速機の総合制御装置 - Google Patents

自動車のスリップ制御装置と無段変速機の総合制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンチスキッドブレーキシステム、トラクションコントロールシステム及び無段変速機を備えた自動車のスリップ制御装置と無段変速機の総合制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両には、制動時に各車輪ごとのブレーキ力を個々に制御して良好な制動性能を実現するアンチスキッドブレーキシステムや、駆動輪に伝達されるトルクが過大であることによる車輪のスリップをエンジン出力やブレーキ力の制御によって解消して、良好な発進性能や加速性能を実現するトラクションコントロールシステムや、エンジンの回転動力を無段階に変速する、例えばベルト式の無段変速機等が搭載されるようになっている。
【0003】
例えば、アンチスキッドブレーキシステムと、無段変速機とが搭載された自動車では、アンチスキッドブレーキシステム作動時の急減速時においてエンジンブレーキが作用することを回避する目的で、アンチスキッドブレーキシステム作動時には、無段変速機の変速比(ベルト式の無段変速機の場合はプーリ比)を高速側の所定位置(変速比を最ローのそれよりも小さい値)に固定するようにしたものが知られている。
【0004】
これは、アンチスキッドブレーキシステムの作動時にエンジンブレーキが作用すると制御過剰となり、制御にハンチングが生ずるためであり、アンチスキッドブレーキシステム制御を安定化させるために、急減速時には無段変速機の変速比を高速側で固定して上記エンジンブレーキが作用しないようにするのである。ところがこうすると、次の発進時に発進性能が極めて悪化してしまう。
【0005】
そこで、アンチスキッドブレーキシステム付きの無段変速機においては、エンジンブレーキ量と次の発進性能とを両立させるべく、アンチスキッドブレーキシステムの作動時には、その変速比を比較的高速側の所定位置に固定するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、アンチスキッドブレーキシステムに加えて、トラクションコントロールシステムが付いた無段変速機においては、アンチスキッドブレーキシステムが作動して車両が停止した場合は路面μが低い可能性があり、次の発進時には無段変速機の変速比は上述の高速側の所定位置にあるので、トラクションコントロールシステムが作動し、次のような問題点が発生する。
【0007】
つまり、次の発進時にアクセルを踏込むと、変速比が高速側から低速側に向かって下がる一方、路面状況に応じてスリップを開放するためにトラクションコントロールシステムが作動する。ところが、変速比が下がってトルクが増加するためスリップが助長され、トラクションコントロールシステムによるスリップ抑制制御が低下する問題点があった。
【0008】
一方、特開平3−79852号公報には、トラクションコントロールシステムの作動時には、無段変速機の変速比の変化を抑制することにより、トラクション制御によるスリップ制御性能が低下しないように構成したものが開示されているが、こうして、トラクションコントロールシステムの作動時に無段変速機の変速比の変化を抑制した場合には、次のような問題が発生する虞がある。
【0009】
すなわち、アンチスキッドブレーキシステムの作動時に、無段変速機の変速比を高速側の所定位置にするとはいえ、アンチスキッドブレーキシステムが作動して車両が停止(駆動輪がロック)するまでの時間が短いと(例えば圧雪路等の低μ路においては短時間であることが多い)、無段変速機の変速比を上記の高速側所定位置にさせることができずに、この所定位置よりもさらに高速側の位置のときに停車してしまう場合がある。
【0010】
また、アンチスキッドブレーキシステムが作動して自動車が停車したときに限らず、自動車が急制動して停車したときにも、無段変速機の変速比が高速側の位置のときに停車してしまうことがある。
【0011】
ここで、無段変速機が、例えばクラッチと駆動輪との間に介設されるベルト式の無段変速機であるときには、停車しているとき(駆動輪が停止しているとき)には、変速比を変更することができない。このため、次の発進時には、無段変速機の変速比は、より高速側の位置のままであるが、この再発進時にトラクションコントロールシステムが作動したときは、無段変速機の変速比の変化が抑制されることになるため、変速比がその高速側の位置に固定されてしまい、その結果、発進性能が大幅に低下してしまう。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アンチスキッドブレーキシステムのスリップ抑制制御の性能を低下させることなくかつ、トラクションコントロールシステムによるスリップ抑制制御の性能を低下させることなく、しかも、再発進性能を確保可能な自動車のスリップ制御装置と無段変速機の総合制御装置の提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、自動車の停車後の再発進時に、トラクションコントロールシステムの作動を抑制することとした。
【0014】
具体的に、本発明は、自動車の駆動輪のスリップ率が所定値を超えた時に該駆動輪のロックを抑制するよう制動装置を制御するアンチスキッドブレーキシステムと、上記駆動輪に伝達される駆動力が過大であることによる該駆動輪のスリップを防止するトラクションコントロールシステムと、エンジンの回転動力を無段階に変速すると共に、上記駆動輪の停止中はその変速比の変更が不可能になる無段変速機とを備えた自動車のスリップ制御装置と無段変速機の総合制御装置を対象とする。
【0015】
そして、上記アンチスキッドブレーキシステムの作動時には、上記無段変速機の変速比を高速側の所定位置で規制すると共に、上記トラクションコントロールシステムの作動時には、上記無段変速機の変速比の変更を抑制するように構成し、さらに、上記アンチスキッドブレーキシステムが作動して停車した後の再発進時における所定期間は、上記無段変速機の変速比が高速側から低速側へ変更可能なように、上記トラクションコントロールシステムの作動を抑制するように構成することを特定事項とするものである。
【0016】
ここで、無段変速機は、例えばクラッチと駆動輪との間に介設されるベルト式の無段変速機で構成することができる。
【0017】
また、トラクションコントロールシステムの作動時に、無段変速機の変速比の変更を抑制することとしては、無段変速機の変速比を固定する(変速比の変更を禁止する)ことや、例えば実際の変速比(実変速比)と目標変速比と比較して、実変速比が目標変速比より低いとき(実変速比が目標変速比よりも高速側位置であるとき)に、目標変速比を実変速比に置換することで、無段変速機の変速比を固定することや、変速比の変更速度を低速に規制することがそれぞれ含まれる。
【0018】
そして、上記構成によれば、アンチスキッドブレーキシステムの作動時には、無段変速機の変速比を高速側の所定位置で規制することで、アンチスキッドブレーキシステム制御の外乱となるエンジンブレーキが作用するのが回避されて、アンチスキッドブレーキシステムのスリップ抑制制御の性能が低下することが防止される。
【0019】
一方、トラクションコントロールシステムの作動時には、上記無段変速機の変速比の変更を抑制することで、トラクションコントロールシステムの作動中に変速比が下がってトルクが増加することが防止され、その結果、トラクションコントロールシステムによるスリップ抑制制御の性能の低下が防止される。
【0020】
さらに、自動車の停車後の再発進時には、トラクションコントロールシステムの作動を抑制することで、例えば、無段変速機の変速比が自動車の発進に際して低すぎる高速側の位置であったとしても、トラクション制御が抑制されている間に無段変速機の変速比が変更可能になり、その変速比を比較的低速側の位置に変更することで、再発進性能を確保することが可能になる。
【0021】
ここで、トラクションコントロールシステムの作動を抑制することには、トラクションコントロールシステムの作動を禁止することも含む。
【0022】
こうした制御は、アンチスキッドブレーキシステムの作動の有無に拘わらず、急制動により停車した後の再発進時に有効である。つまり、急制動により停車した場合は、無段変速機の変速比がより高速側の位置(再発進不可能な位置)のままで停車してしまうことが往々にして起こり得るためである。また特に、アンチスキッドブレーキシステムが作動して停車した場合は、その再発進時にはトラクションコントロールシステムが作動することが十分に予想されるため、その再発進時にはトラクションコントロールシステムの作動を抑制することが好ましい。
【0023】
上記トラクションコントロールシステムの作動を抑制することは、特に、自動車が停車した時における無段変速機の変速比が所定以下の高速側位置にあるときの再発進時において行うようにしてもよい。
【0024】
ここで、所定の無段変速機の変速比とは、発進が不可能な変速比のうちで、最も低速側位置の変速比とすればよい。つまり、この所定の変速比以下の変速比(所定の変速比よりも高速側位置の変速比)であれば、再発進が不可能になるような変速比が、所定の変速比である。
【0025】
例えば無段変速機がベルト式の場合、自動車が停車(駆動輪が停止)している間は変速比を変更することができないため、自動車が停車した時における無段変速機の変速比が所定以下の高速側位置にあるときには、その高速側位置の変速比で再発進を行わなければならない。このため、その再発進時にトラクションコントロールシステムが作動すると、変速比の変更が抑制されることで発進性能が確保できない。
【0026】
そこで、トラクションコントロールシステムが作動することが十分に予想される、自動車が停車した時における無段変速機の変速比が所定以下の高速側位置にあるときの再発進時には、トラクションコントロールシステムの作動を所定期間だけ抑制することで、変速比が低速側に変更されて再発進性能を確保することができる。
【0027】
上記トラクションコントロールシステムの作動の抑制は、トラクションコントロールシステムの作動開始しきい値を上げること、及び該トラクションコントロールシステムの制御における駆動輪の目標スリップ量を上げることの、少なくとも一方によって行うようにすればよい。
【0028】
つまり、トラクションコントロールシステムの作動開始しきい値を上げることにより、トラクションコントロールシステムの作動自体が抑制される。一方、トラクションコントロールシステムの制御における駆動輪の目標スリップ量を上げることにより、トラクションコントロールシステムが作動しても、その作動が速やかに終了する(終了し易い)ため、結果としてトラクションコントロールシステムが作動することが抑制される。
【0029】
自動車の停車後の再発進時における所定期間は、トラクションコントロールシステムの作動を抑制する一方、無段変速機の変速比の変更を許容するように構成するのが好ましい。ここで、変速比の変更の許容は、変速比の変更を禁止しないだけでなく、変速比の変更速度の規制も行わないことを含む。
【0030】
こうすることで、トラクションコントロールシステムの作動が抑制されている間に、無段変速機の変速比を低速側に変更することが可能になり、これにより、再発進性能を確保することができるようになる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明における自動車のスリップ制御装置と無段変速機の総合制御装置によれば、先ず、アンチスキッドブレーキシステムの作動時に無段変速機の変速比を高速側の所定位置に規制することで、アンチスキッドブレーキシステムのスリップ抑制制御の性能が低下することを防止することができる。
【0032】
また、トラクションコントロールシステムの作動時には、変速比の変更を抑制することで、トラクションコントロールシステムによるスリップ抑制制御の性能が低下することを防止することができる。
【0033】
そして、自動車の停車後の再発進時には、特に自動車が急制動により停車した時における再発進時には、トラクションコントロールシステムの作動を所定期間だけ抑制することで、仮に無段変速機の変速比が自動車の発進に際して高速過ぎる位置にあったとしても、トラクション制御が抑制されている間に変速比を比較的低速側の位置にすることができ、これにより、再発進性能を確保することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0035】
図面は自動車のスリップ制御装置と無段変速機の総合制御装置を示すが、まず図1を参照して制御システムの全体構成について説明する。
【0036】
このシステムは制御手段としてのECU10を有し、このECU10に、各車輪の車輪速度をそれぞれ検出する車輪速センサ11,11…、ステアリングホイール(ハンドル)の操舵角を検出する舵角センサ12、車両に発生しているヨーレートを検出するヨーレートセンサ13、車両の横方向の加速度を検出する横加速度センサ14、エンジンのスロットル開度を検出するためのスロットル開度センサ15、アンチスキッドブレーキシステムの制御をキャンセルするためのストップランプスイッチ16、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ17、無段変速機の前進後退等のシフト位置を検出するシフト位置センサ18、ブレーキシステムにおける液圧発生源としてのマスターシリンダの液圧を検出する液圧センサ19、ブレーキシステムにおけるリザーバタンク内のブレーキ液面レベルを検出する液面レベルスイッチ20、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ21、及び後述するベルト式の無段変速機56における主プーリ72及び副プーリ73(図3参照)それぞれの回転信号を検出するプーリ回転センサ80からの信号がそれぞれ入力されるようになっている。
【0037】
また、このECU10からは、アンチスキッドブレーキシステム33が作動していることを示すアンチスキッドブレーキシステムランプ22、ブレーキシステムに第2液圧発生源として備えられた加圧ポンプを作動させる加圧モータ23、各車輪にそれぞれ備えられたブレーキ装置に対してブレーキ液の給排を行なうフロントソレノイドバルブ24及びリヤソレノイドバルブ25、マスターシリンダと各車輪のブレーキ装置との間を連通、遮断するTSWソレノイドバルブ26、マスターシリンダと上記加圧ポンプとの間を連通、遮断するASWソレノイドバルブ27、エンジン出力の制御を行なうエンジンコントローラ28、旋回時の車両姿勢制御がおこなわれているときに、これを運転者に知らせる警報装置29、無段変速機56のライン圧をコントロールするライン圧アクチュエータとしての変換切換バルブ30、及び無段変速機56の変速比をコントロールする変速アクチュエータとしての油圧サーボ装置31,32のそれぞれに制御信号を出力するようになっている。
【0038】
そして、このECU10は、上記の各センサ又はスイッチ11〜21,80からの信号を入力し、所定の処理を行って上記の各装置22〜32に制御信号を出力するために、次のように構成されている。
【0039】
すなわち、このECU10は、駆動輪のスリップ率が所定値を超えた時に駆動輪のロックを抑制するよう制動装置としてのブレーキを制御するアンチスキッドブレーキシステム33と、制動時に後輪がロックしないように制動力の配分を行なう制動力配分装置34と、駆動輪に伝達される駆動力が過大であることによる該駆動輪のスリップを防止するトラクションコントロールシステム35と、旋同時における車両のヨーイング方向の姿勢を制御する姿勢制御装置36と、後述する無段変速機の作動によって変速を実行すべくライン圧アクチュエータとしての変速切換バルブ30及び変速アクチュエータとしての油圧サーボ装置31,32の動作を制御する無段変速機制御装置37とを備えている。
【0040】
そして、このECU10においては、上記各車輪速センサ11,11…からの信号に基づき、車輪速演算部38及び推定車体速演算部39によって各車輪の車輪速及び推定車体速が演算されると共に、これらの値が上記アンチスキッドブレーキシステム33、制動力配分装置34、トラクションコントロールシステム35及び姿勢制御装置36に入力されるようになっている。
【0041】
また、上記ストップランプスイッチ16からの信号は、ストップランプ判断部40を介して、上記アンチスキッドブレーキシステム33、制動力配分装置34、トラクションコントロールシステム35及び姿勢制御装置36にそれぞれ入力される。
【0042】
また、上記エンジン回転数センサ17、スロットル開度センサ15及びシフト位置センサ18からの各信号は、それぞれエンジン回転数演算部41、スロットル開度取込み部42及びシフト位置判断部43を介して、上記トラクションコントロールシステム35、姿勢制御装置36及び無段変速機制御装置37に入力される。
【0043】
また、上記舵角センサ12、ヨーレートセンサ13、横加速度センサ14及び液圧センサ19からの信号は、それぞれ舵角演算部44、ヨーレート演算部45、横加速度演算部46及び液圧演算部47に入力され、これらの信号に基づいて舵角、ヨーレート、横加速度及びマスタシリンダ液圧がそれぞれ演算される。そして、これらの値が上記姿勢制御装置36、無段変速機制御装置37に入力される。
【0044】
さらに、上記液面レベルスイッチ20からの信号は、液面レベル判断部48を介して上記トラクションコントロールシステム35及び姿勢制御装置36にそれぞれ入力され、また、アクセル開度センサ21からの信号はアクセル開度演算部49を介して無段変速機制御装置37に入力される。
【0045】
加えて、上記プーリ回転センサ80からの回転信号に基づき、プーリ比演算部81により、その回転信号の周波数から各プーリ72,73の回転数が演算されると共に、その回転数比からプーリ比(無段変速機の変速比)が演算される。そして、この値が上記無段変速機制御装置37に入力される。尚、プーリ比演算部81は、図示は省略するが、プーリ回転センサ80からの回転信号に対してノイズの除去等を目的としたフィルタ処理を行うように構成されている。
【0046】
そして、上記アンチスキッドブレーキシステム33は、上記の各入力信号に基づいて制御量を演算し、その演算結果に応じて、アンチスキッドブレーキシステムランプ22、加圧モータ23、フロントソレノイドバルブ24、リヤソレノイドバルブ25に信号を出力し、これらの作動を制御する。また、上記制動力配分装置34は、リヤソレノイドバルブ25の作動を制御する。
【0047】
また、上記トラクションコントロールシステム35は、加圧モータ23、フロントソレノイドバルブ24、リヤソレノイドバルブ25、TSWソレノイドバルブ26及びエンジンコントローラ28に対して信号を出力し、これらの作動を制御する。
【0048】
さらに、上記姿勢制御装置36は、加圧モータ23、フロントソレノイドバルブ24、リヤソレノイドバルブ25、TSWソレノイドバルブ26、ASWソレノイドバルブ27、エンジンコントローラ28及び警報装置29に対して信号を出力し、これらの作動を制御する。
【0049】
そして、無段変速機制御装置37は、変速切換バルブ30及び油圧サーボ装置31,32に対して信号を出力し、これらの作動を制御する。
【0050】
図2はエンジン50から駆動輪51(前輪又は後輪)までの駆動系を概略的に示し、エンジン50にはクラッチ52を介して前後進切換装置53が接続され、この前後進切換装置53の主軸54と副軸55との間には、エンジン50の回転動力を無段階に変速可能なベルト式の無段変速機56が介設され、上述の副軸55には差動装置57を介して左右の駆動輪51,51が接続されている。
【0051】
図3はクラッチ52、前後進切換装置53を含む無段変速機56全体のユニットの構成を示し、このユニットは油圧で作動する機械式クラッチ52と、前進・後進を切換える前後進切換装置53と、無段変速機56とを備えている。上述のクラッチ52は、エンジン50の出力が入力される入力軸60と、クラッチ出力軸61に取付けられたクラッチディスク62と、クラッチディスク62を入力側に圧接する押圧プレート63とを有し、押圧プレート63はリンク64を介してクラッチシリンダ65の作動によって断接操作(ON、OFF操作)される。
【0052】
前後進切換装置53は、上記クラッチ出力軸61と主軸54との間に設けられ、クラッチ出力軸61に形成した前進用固定ギヤ66に常時噛合する被駆動ギヤ67(ドリブンギヤ)が主軸54に融合され、また、クラッチ出力軸61に形成した後進用固定ギヤ68に常時噛合するアイドラギヤ69が主軸54と平行に設置されている。
【0053】
さらに、主軸54に摺動自在にスプライン嵌合するスリーブ70が切換シリンダ71の作動に応じて移動し、該スリーブ70の移動によって上記前進用の被駆動ギヤ67(ドリブンギヤ)と主軸54とを連結状態とした図示の前進駆動状態と、スリーブ70の反対側への移動によってアイドラギヤ69とスリーブ70とを連結状態とした後進駆動状態とに切換えるものである。
【0054】
一方、無段変速機56は、上記主軸54に対し副軸55が平行配置され、両軸54,55にそれぞれ可変プーリとして主プーリ72(原動プーリ)と副プーリ73(従動プーリ)が設けられ、そして、両プーリ72,73の間にエンドレスの駆動ベルト74が巻き掛けられて構成されている。主プーリ72及び副プーリ73はそれぞれ固定プーリ72a,73aと可動プーリ72b,73bとを有し、各可動プーリ72b、73bには油圧サーボ装置31,32が付設されて送給油圧の制御によって駆動ベルト74の係合半径位置が連係して調節可能に設けられ、所定のプーリ回転数に調整された副軸55の回転が駆動輪51側に出力される。尚、図示は省略するが、上記主プーリ72と副プーリ73とにはそれぞれ、上記プーリ回転センサ80が設けられており、これにより、主プーリ72と副プーリ73とのプーリの回転数が検出可能に構成されている。
【0055】
一方、油圧系統は、油圧ポンプ75によって吐出された油圧がリリーフ弁76によって調圧され、このライン圧がクラッチ切換バルブ77を介してクラッチシリンダ65に送給される。このクラッチ切換バルブ77はソレノイド操作され、無段変速機制御装置37からの信号によって接続位置と切断位置とに切り換えられる。
【0056】
また、上記ライン圧は前後進切換バルブ78を介して切換シリンダ71に送給される。この前後進切換バルブ78は切換レバー79(シフトレバー)の操作によって前進位置と後退位置とに切り換えられる。
【0057】
さらに、上記ライン圧は変速切換バルブ30を介して主プーリ72と副プーリ73の各油圧サーボ装置31,32に送給される。この変速切換バルブ30はソレノイド操作され、無段変速機制御装置37からの信号によって増速位置と減速位置と共に切り換えられる。
【0058】
図4は図2、図3で示したベルト式無段変速機56の変速線図を示し、横軸に車速をとり、縦軸にプーリ回転数(詳しくは副プーリ73の目標プーリ回転数)をとっている。
【0059】
この図4の変速線図はトラクション連携制御マップとして無段変速機制御装置37に記憶されている。
【0060】
図4において実線で示す特性a,b,cはスロットル開度全開時の通常時の特性である。また、破線で示す特性d,e又は二点鎖線で示す特性f,gはトラクションコントロールシステム35の作動時におけるアクセル全開時の特性であって、トラクションコントロールシステム35の作動時においては無段変速機56の低速で用いる変速比領域を特性bから特性d,e又は特性f,gに示すように拡大補正すべく構成している。
【0061】
さらに、トラクションコントロールシステム35の作動時には、アクセル全開時におけるエンジンの最高回転に対する制約回転数を上方側に補正すべく構成している。例えば車速40km/hの所では本来、制約回転数が約3400rpmであるが、トラクションコントロールシステム35の作動時にはこの制約回転数を約4500rpm付近まで上方側に補正すべく構成している。
【0062】
また特性eと特性cとの対比から明らかなように、上述のトラクションコントロールシステム35作動時の制約回転数(特性e参照)を高速領域で許容する制約回転数の上限(上限回転数としての特性c参照)と同一に設定している。
【0063】
しかも、図4において図示の便宜上、ハッチングを施して示す領域Aは、トルクとの関係で無段変速機56の駆動ベルト74がすべるベルト信頼性懸念領域であって、上述の上限回転数(特性c参照)と特性cと一直線上の特性eと、ベルト信頼性懸念領域Aを回避する特性dとが直線として交差するように設定している。
【0064】
尚、トラクションコントロールシステム35の作動時で、かつアクセル全開時におけるエンジンの最高回転に対する制約回転数(特性e参照)を高速領域で許容する制約回転数(特性c参照)よりも高く設定(特性f,g参照)した場合には、トラクション制御の終了時においては同図に一点鎖線hで示すように、通常の変速比へ遅延させて移行するように構成している。
【0065】
このように構成した自動車のスリップ制御装置と無段変速機の総合制御装置の作用を図5及び図6に示すフローチャートを参照して以下に詳述する。
【0066】
まず図5のフローチャートを参照してアンチスキッドブレーキシステム連携制御について説明する。
【0067】
ステップSA1で、ECU10はアンチスキッドブレーキシステム33が作動か否かを判定し、アンチスキッドブレーキシステム作動時(YES判定時)には次のステップSA2に移行する一方、アンチスキッドブレーキシステム非作動時(NO判定時)には別のステップSA13に移行する。
【0068】
上述のステップSA2で、ECU10はフラグをF=1とする。次のステップSA3で、ECU10はロックアップをOFFにする。次にステップSA4で、ECU10は車速(推定車体速参照)の読込みを実行する。
【0069】
次にステップSA5で、ECU10は車速が80km/h以上か否かを判定し、YES判定時にはステップSA6に移行する一方、NO判定時には別のステップSA7に移行する。
【0070】
上述のステップSA6で、ECU10は無段変速機制御装置37を介して無段変速機56のプーリ比を0.8に固定する。尚、プーリ比:0.8は変速段の4〜5に相当する。
【0071】
上述のステップSA7で、ECU10は車速が30km/h〜80km/hの範囲内か否かを判定し、YES判定時にはステップSA8に移行する一方、NO判定時には別のステップSA9に移行する。
【0072】
上述のステップSA8で、ECU10は無段変速機制御装置37を介して無段変速機56のプーリ比を1.0に固定する。尚、プーリ比=1.0は変速段の3速に相当する。
【0073】
上述のステップSA9で、ECU10は車速が10km/h〜30km/hの範囲内か否かを判定し、YES判定時にはステップSA10に移行する一方、NO判定時には別のステップSA11に移行する。
【0074】
上述のステップSA10で、ECU10は無段変速機制御装置37を介して無段変速機56のプーリ比を1.5に固定する。プーリ比=1.5は変速段の2速強に相当する。
【0075】
上述の各ステップSA6,SA8,SA10の処理は、アンチスキッドブレーキシステム33の作動時に無段変速機56の変速比を高速側(つまり変速比が小さい側)の所定位置で規制する処理であり、これはアンチスキッドブレーキシステム制御の外乱となるエンジンブレーキが作用するのを回避するためである。
【0076】
上述のステップSA11で、ECU10は車速が10km/h以下か否かを判定し、NO判定時にはステップSA1にリターンする一方、YES判定時には次のステップSA12に移行する。
【0077】
このステップSA12で、ECU10は無段変速機制御装置37を介して無段変速機56のプーリ比を2.5に固定する。プーリ比=2.5は最ローに相当する。
【0078】
尚、各ステップSA6,SA8,SA10,SA12において無段変速機56のプーリ比を所定のプーリ比に変更するときには、その変更速度は、通常の変更速度(アンチスキッドブレーキシステム33が作動していないときの変更速度)よりも低下させることが好ましい。
【0079】
一方、前述のステップSA13で、ECU10はアンチスキッドブレーキシステム作動フラグがF=1か否かを判定し、NO判定時(F=0のとき)にはステップSA1にリターンする一方、YES判定時(F=1のとき)には次のステップSA14に移行する。
【0080】
このステップSA14で、ECU10はアンチスキッドブレーキシステム連携制御を解除し、次のステップSA15で、ECU10は通常制御にゆっくり移行する。さらに、次のステップSA16で、停止(停車)直前のプーリ比Gを確認する。この停止直前のプーリ比は、無段変速機56のプーリ比を随時、更新記憶することによって確認可能になる。そして、次のステップSA17でその停止直前のプーリ比Gが所定以下(ここでの所定のプーリ比とは、再発進が不可能であるプーリ比のうちで最ローのプーリ比、つまり、プーリ比が上記所定以下の高速側位置であれば、再発進が不可能であるプーリ比である)であるか否かを判定する。YES判定時には次のステップSA18に移行し、NO判定時には別のステップSA19に移行する。
【0081】
上述のステップSA18では、ECU10はフラグをF=1とし、ステップSA19では、フラグをF=0とする。
【0082】
このステップSA16,SA17の処理は、無段変速機56の変速比が所定位置になる前の、より高速側(つまり変速比が小さい)の位置にある状態で自動車が停車したか否かを判定する処理であり、この判定結果は、後述するトラクション連携制御に利用される。
【0083】
次に図6に示すフローチャートを参照してトラクション連携制御について説明する。
【0084】
ステップSB1で、ECU10は上記のフラグがF=1であるか否かを判定し、YES判定時には次のステップSB2に移行する一方、NO判定時には別のステップSB7に移行する。ここで、YES判定時は、アンチスキッドブレーキシステム33が作動して停車した場合であって、その停車時のプーリ比が、所定のプーリ比以下であるときに対応する。つまりフラグがF=1のときは、プーリ比が再発進が不可能なプーリ比であることが予想されるのである。
【0085】
上述のステップSB2では、プーリ比を計測する際のフィルタ処理を緩和する。これは、具体的には、プーリ比演算部81におけるフィルタ処理を、通常のフィルタ処理では、各プーリ72,73の回転信号を例えば10回検出した時点でその周波数を計測し各プーリ72,73の回転数を演算するところを、それよりも少ない数を検出した時点で(例えば3回や4回検出した時点で)その周波数を計測し各プーリ72,73の回転数を演算するようにする。
【0086】
次のステップSB3では、トラクションコントロールシステム35の制御開始しきい値を上げる補正を行うと共に、トラクション制御における駆動輪51の目標スリップ量を上げる補正を行う。これは、制御開始しきい値を上げることで、トラクションコントロールシステム35の制御が開始されることを抑制すると共に、目標スリップ量を上げることで、トラクション制御が開始した場合でもその制御を速やかに終了させるためである。
【0087】
そして、次のステップSB4で所定時間が経過したか否かを判定し、YES判定時には次のステップSB5に移行する一方、NO判定時には、ステップSB1にリターンする。
【0088】
上述のステップSB5では、ステップSB3において行った補正をリセット、つまり、トラクションコントロールシステム35の制御開始しきい値を通常のしきい値にすると共に、駆動輪の目標スリップ量を通常の目標スリップ量にし、次のステップSB6で、フラグを0にする。
【0089】
上記のステップSB2〜SB6は、例えば低いμ路において図5のフローチャートで示したようにアンチスキッドブレーキシステム33が作動して車両が停止した場合には、通常、次の発進時にスリップを防止するためにトラクションコントロールシステム35によるトラクション制御が作動するが、上記フラグがF=1であるときには、無段変速機56の変速比が再発進が不可能な高速側の位置にあることが予想されることから、この場合は、所定期間だけフィルタ処理を緩和してプーリ比を素早く計測すると共に、トラクションコントロールシステム35によるトラクション制御を抑制するのである。こうすることで、トラクション制御を抑制している間に、高速側の位置にあった無段変速機56のプーリ比を低速側にすることができて、再発進性能が確保される。
【0090】
上述のステップSB7では、ECU10はトラクションコントロールシステム35の作動か否かを判定し、YES判定時には次のステップSB8に移行する一方、NO判定時には別ステップSB13に移行する。
【0091】
上述のステップSB8で、ECU10はフラグをF=2とする。次にステップSB9で、ECU10は無段変速機56のプーリ比変更速度をプラス0.03/秒〜マイナス0.03/秒の範囲内に規制する。すなわちトラクション制御中においてプーリ比が変化するスピード、換言すればプーリ比の変更によりトルクが変化する速度を上記範囲内に抑止する。
【0092】
次にステップSB10で、ECU10はトラクション制御を図4で示したトラクション連携制御マップに切換える。
【0093】
次のステップSB11で、ECU10はスロットル開度と車速で決定される目標変速比に対して現時点での実変速に許容値αを加算した値が小さいか否かを判定する。
【0094】
例えば目標変速比が最ロー相当の2.5で、プーリ比から判別される現時点の実変速比が1.5の場合には、2.5>1.5+αとなる。そこで、上述のステップSB11でNO判定されるとステップSB1にリターンする一方、YES判定されると次のステップSB12に移行する。
【0095】
このステップSB12で、ECU10はトラクションコントロールシステム35の作動時で、かつ無段変速機56の実変速比が目標変速比よりも低いことに対応して、無段変速機56の目標変速比を実変速比に置換補正する。
【0096】
例えば上述のように目標変速比が最ロー相当の2.5で、現時点の実変速比が図5のフローチャートの処理により1.5の場合には目標変速比それ自体を1.5に変更する。
【0097】
このため目標変速比は、例えば、1.5となり、現時点の実変速比が例えば、1.5で、目標変速比=実変速比となるので、トラクションコントロールシステム35によるトラクションコントロールの作動中にあっては変速比不変で、トラクションコントロールシステム35の作動中に変速比が下がって、トルクが増加することを防止し得るので、トラクションコントロールシステム35によるスリップ抑制制御の性能を低下させない。
【0098】
ここで、上述の許容値αは図7に示すように実プーリ比(換言すれば実変速比)に対応して可変の値に設定してもよい。つまり、許容値αは実プーリ比が小さい高速段になる程、大きい値に設定し、実プーリ比が大きい低速段になる程、小さい値に設定してもよい。尚、高速段では許容値αを大きく設定してもトラクション制御時にスリップが生ずる懸念はない。
【0099】
またトラクション制御の作動中においては図4にトラクション連携制御マップで示したように通常時の特性bからトラクション作動中の特性d,e又は特性f,gで示したようにエンジン回転数(プーリ回転数参照)が高回転まで上昇するように設定しているので、本来ならばトラクション制御中においてはエンジン出力を下げて加速感が得られないが、このように領域を拡大補正することにより、トラクション作動中においてもスリップしない範疇で加速感を得ることができる。
【0100】
一方、前述のステップSB13で、ECU10はトラクション作動フラグがF=2か否かを判定し、NO判定時にはステップSB1にリターンする一方、YES判定時(トラクション制御の終了時)には次のステップSB14に移行する。
【0101】
このステップSB14で、ECU10は図4で示したマップによるトラクション連携制御を解除する。
【0102】
次にステップSB15で通常制御にゆっくり移行させる。具体的には、ECU10は目標変速比と実変速比との偏差量Δxに時定数βを乗算したプーリ比の変速速度、例えば変速速度=0.05/秒で実際の目標値にゆっくりと移行させる。
【0103】
つまり、トラクションコントロールの終了時においてはドライバの加速要求(アクセル操作)に追従させる目的で、上記偏差量Δxに応じたプーリ比の変更スピードを確保するために、時定数βを乗じてステップSB9で規制したスピード以上の速度にてプーリ比を変更するものである。
【0104】
次に、ステップSB16で、ECU10は偏差量Δxが零になるとフラグをF=0にする。このとき、上記時定数もβ=1にする。こうして、トラクションコントロールを終了する。
【0105】
このように本実施形態に係る自動車のスリップ制御装置と無段変速機の総合制御装置は、アンチスキッドブレーキシステム33の作動時に無段変速機56の変速比を高速側の所定位置で規制(各ステップSA6,SA8,SA10参照)するように構成されている。
【0106】
このため、アンチスキッドブレーキシステム33の制御の外乱となるエンジンブレーキが作用するのが回避されて、アンチスキッドブレーキシステム33のスリップ抑制制御の性能が低下することを防止することができる。
【0107】
一方、トラクションコントロールシステム35の作動時でかつ、無段変速機56の実変速比が目標変速比より低い時(ステップSB5のYES判定参照)には、目標変速比を実変速比に置換補正する。換言すれば、現行の実変速比を目標変速比とする。
【0108】
このため、トラクションコントロールシステム35の作動中に変速比が下がってトルクが増加することを防止し、この結果、トラクションコントロールシステム35によるスリップ抑制制御の性能を低下させない。
【0109】
さらに、自動車の停車後の再発進時には、上記無段変速機56の変速比を計測する際のフィルタ処理を所定期間だけ緩和させる(ステップSB2)。このことで、無段変速機56の変速比が素早く計測される。
【0110】
これと共に、所定時間だけトラクションコントロールシステム35の制御開始しきい値を上げる補正を行うと共に、トラクション制御における目標スリップ量を上げる補正を行う(ステップSB3)。こうすることで、再発進時にはトラクションコントロールシステム35の制御が抑制される。これにより、このトラクション制御が抑制されている間に、発進が不可能な程度の高速側位置にあった無段変速機56の変速比を、発進が可能な程度の低速側位置に変更することが可能になり、その結果、再発進性能を確保することができる。
【0111】
<他の実施形態>
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記実施形態におけるトラクション連携制御(図6参照)では、ステップSB1でフラグがF=1であるときには、フィルタ処理を緩和する(ステップSB2)と共に、トラクション制御を抑制する(ステップSB3)ようにしているが、例えば次のようにしてもよい。
【0112】
つまり、上記ステップSB2でフィルタ処理を緩和した上で計測したプーリ比が所定のときには(再発進可能な程度のプーリ比であるときには)、ステップSB3〜SB5に移行せず、ステップSB6に移行してフラグを0にした後、ステップSB7に移行する一方、プーリ比が所定以下のときにのみ(再発進が不可能な程度の高速側のプーリ比であるときにのみ)、上記ステップSB3〜ステップSB5を順次行い、所定期間だけトラクション制御を抑制するようにしてもよい。
【0113】
また例えば、上記実施形態のトラクション連携制御において、ステップSB2〜SB6に代えて、図8に示すステップSC1〜SC3を行うようにしてもよい。
【0114】
つまり、ステップSB1においてフラグがF=1のときに、ステップSC1に移行して、トラクションコントロールシステム35の作動を禁止する。これにより、トラクション連携制御(ステップSB9,SB11,SB12)も、当然に禁止される。
【0115】
次のステップSC2では、所定期間が経過したか否かを判定し、YES判定時には、次のステップSC3でフラグをF=0にして、ステップSB7に移行する。一方、NO判定時には、そのままステップSB1にリターンする。
【0116】
このように、フラグがF=1であるとき、換言すると無段変速機56の変速比が、再発進が不可能な高速側の位置にあることが予想されるときには、トラクションコントロールシステム35の作動自体を禁止することにより、変速比の変更が許容されることとなる。これにより、トラクション制御を禁止している間に発進が不可能な程度の高速側位置にあった無段変速機56のプーリ比を、発進が可能な程度の低速側位置にすることができて、再発進性能を確保することができる。
【0117】
また、上記実施形態では、トラクション連携制御におけるステップSB2で、フィルタ処理を緩和して、再発進時にプーリ比を素早く計測するようにしているが、アンチスキッドブレーキシステム連携制御において、停止直前のプーリ比Gを確認している(ステップSA6)ことから、上記フィルタ処理を緩和するステップは省略してもよい。
【0118】
さらに、上記実施形態では、トラクション連携制御におけるステップSB1で、フラグがF=1であるときに、具体的には、アンチロックブレーキシステム33の作動により停車した場合であって、その停車時におけるプーリ比が所定以下(再発進が不可能な程度のプーリ比)であるときに、フィルタ処理を緩和する(ステップSB2)と共に、トラクション制御を抑制する(ステップSB3)ようにしているが、フィルタ処理を緩和する(ステップSB2)こと、及びトラクション制御を抑制する(ステップSB3)ことの条件としては、アンチロックブレーキシステム33が作動しなくても、急制動により停車した場合としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動車のスリップ制御装置と無段変速機の総合制御装置の全体システムを示すブロック図である。
【図2】エンジンから駆動輪に至る駆動系を示す概略説明図である。
【図3】無段変速機ユニットの全体構成を示す系統図である。
【図4】トラクション連携制御マップを示す説明図である。
【図5】アンチスキッドブレーキシステム連携制御を示すフローチャートである。
【図6】トラクションコントロールシステム連携制御を示すフローチャートである。
【図7】実プーリ比と許容値との関係を示す説明図である。
【図8】他の実施形態に係るトラクションコントロールシステム連携制御の一部を示すフローチャートである。
【符号の説明】
33 アンチスキッドブレーキシステム
35 トラクションコントロールシステム
50 エンジン
56 無段変速機
51 駆動輪
80 プーリ回転センサ
81 プーリ比演算部

Claims (4)

  1. 自動車の駆動輪のスリップ率が所定値を超えた時に該駆動輪のロックを抑制するよう制動装置を制御するアンチスキッドブレーキシステムと、
    上記駆動輪に伝達される駆動力が過大であることによる該駆動輪のスリップを防止するトラクションコントロールシステムと、
    エンジンの回転動力を無段階に変速すると共に、上記駆動輪の停止中はその変速比の変更が不可能になる無段変速機とを備えた自動車のスリップ制御装置と無段変速機の総合制御装置であって、
    上記アンチスキッドブレーキシステムの作動時には、上記無段変速機の変速比を高速側の所定位置で規制すると共に、
    上記トラクションコントロールシステムの作動時には、上記無段変速機の変速比の変更を抑制するように構成され、
    上記アンチスキッドブレーキシステムが作動して停車した後の再発進時における所定期間は、上記無段変速機の変速比が高速側から低速側へ変更可能なように、上記トラクションコントロールシステムの作動を抑制するように構成されている
    ことを特徴とする自動車のスリップ制御装置と無段変速機の総合制御装置。
  2. 請求項1において、
    自動車が停車した時における無段変速機の変速比が所定以下の高速側位置にあるときの再発進時における所定期間は、トラクションコントロールシステムの作動を抑制するように構成されている
    ことを特徴とする自動車のスリップ制御装置と無段変速機の総合制御装置。
  3. 請求項1において、
    トラクションコントロールシステムの作動の抑制は、該トラクションコントロールシステムの作動開始しきい値を上げること、及び上記トラクションコントロールシステムの制御における駆動輪の目標スリップ量を上げることの、少なくとも一方によって行うように構成されている
    ことを特徴とする自動車のスリップ制御装置と無段変速機の総合制御装置。
  4. 請求項1において、
    自動車の停車後の再発進時における所定期間は、トラクションコントロールシステムの作動を抑制する一方、無段変速機の変速比の変更を許容するように構成されている
    ことを特徴とする自動車のスリップ制御装置と無段変速機の総合制御装置。
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