JP2003200763A - 自動車のスリップ制御装置と無段変速機の総合制御装置 - Google Patents

自動車のスリップ制御装置と無段変速機の総合制御装置

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JP2003200763A
JP2003200763A JP2002000285A JP2002000285A JP2003200763A JP 2003200763 A JP2003200763 A JP 2003200763A JP 2002000285 A JP2002000285 A JP 2002000285A JP 2002000285 A JP2002000285 A JP 2002000285A JP 2003200763 A JP2003200763 A JP 2003200763A
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ratio
speed
gear ratio
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Toshiaki Tsuyama
俊明 津山
Haruki Okazaki
晴樹 岡崎
Hiroshi Sasaki
佐々木  寛
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Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アンチスキッドブレーキシステム33のスリ
ップ抑制制御の性能を低下させることなくかつ、トラク
ションコントロールシステム35によるスリップ抑制制
御の性能を低下させることなく、しかも、再発進性能を
確保可能な自動車のスリップ制御装置と無段変速機56
の総合制御装置の提供する。 【解決手段】 アンチスキッドブレーキシステム33の
作動時には、無段変速機56の変速比を高速側の所定位
置で規制すると共に、トラクションコントロールシステ
ム35の作動時には、無段変速機56の変速比の変更を
抑制するように構成する。さらに、自動車の停車後の再
発進時における所定期間は、無段変速機56の変速比の
計測に際し行うフィルタ処理を緩和して、変速比を素早
く計測する。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、アンチスキッドブ
レーキシステム、トラクションコントロールシステム及
び無段変速機を備えた自動車のスリップ制御装置と無段
変速機の総合制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、車両には、制動時に各車輪ごとの
ブレーキ力を個々に制御して良好な制動性能を実現する
アンチスキッドブレーキシステムや、駆動輪に伝達され
るトルクが過大であることによる車輪のスリップをエン
ジン出力やブレーキ力の制御によって解消して、良好な
発進性能や加速性能を実現するトラクションコントロー
ルシステムや、エンジンの回転動力を無段階に変速す
る、例えばベルト式の無段変速機等が搭載されるように
なっている。 【0003】例えば、アンチスキッドブレーキシステム
と、無段変速機とが搭載された自動車では、アンチスキ
ッドブレーキシステム作動時の急減速時においてエンジ
ンブレーキが作用することを回避する目的で、アンチス
キッドブレーキシステム作動時には、無段変速機の変速
比(ベルト式の無段変速機の場合はプーリ比)を高速側
の所定位置(変速比を最ローのそれよりも小さい値)に
固定するようにしたものが知られている。 【0004】これは、アンチスキッドブレーキシステム
の作動時にエンジンブレーキが作用すると制御過剰とな
り、制御にハンチングが生ずるためであり、アンチスキ
ッドブレーキシステム制御を安定化させるために、急減
速時には無段変速機の変速比を高速側で固定して上記エ
ンジンブレーキが作用しないようにするのである。とこ
ろがこうすると、次の発進時に発進性能が極めて悪化し
てしまう。 【0005】そこで、アンチスキッドブレーキシステム
付きの無段変速機においては、エンジンブレーキ量と次
の発進性能とを両立させるべく、アンチスキッドブレー
キシステムの作動時には、その変速比を比較的高速側の
所定位置に固定するようにしている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】ところが、アンチスキ
ッドブレーキシステムに加えて、トラクションコントロ
ールシステムが付いた無段変速機においては、アンチス
キッドブレーキシステムが作動して車両が停止した場合
は路面μが低い可能性があり、次の発進時には無段変速
機の変速比は上述の高速側の所定位置にあるので、トラ
クションコントロールシステムが作動し、次のような問
題点が発生する。 【0007】つまり、次の発進時にアクセルを踏込む
と、変速比が高速側から低速側に向かって下がる一方、
路面状況に応じてスリップを開放するためにトラクショ
ンコントロールシステムが作動する。ところが、変速比
が下がってトルクが増加するためスリップが助長され、
トラクションコントロールシステムによるスリップ抑制
制御が低下する問題点があった。 【0008】一方、特開平3−79852号公報には、
トラクションコントロールシステムの作動時には、無段
変速機の変速比の変化を抑制することにより、トラクシ
ョン制御によるスリップ制御性能が低下しないように構
成したものが開示されているが、こうして、トラクショ
ンコントロールシステムの作動時に無段変速機の変速比
の変化を抑制した場合には、次のような問題が発生する
虞がある。 【0009】すなわち、アンチスキッドブレーキシステ
ムの作動時に、無段変速機の変速比を高速側の所定位置
にするとはいえ、アンチスキッドブレーキシステムが作
動して車両が停止(駆動輪がロック)するまでの時間が
短いと(例えば圧雪路等の低μ路においては短時間であ
ることが多い)、無段変速機の変速比を上記の高速側所
定位置にさせることができずに、この所定位置よりもさ
らに高速側の位置のときに停車してしまう場合がある。 【0010】また、アンチスキッドブレーキシステムが
作動して自動車が停車したときに限らず、自動車が急制
動して停車したときにも、無段変速機の変速比が高速側
の位置のときに停車してしまうことがある。 【0011】ここで、無段変速機が、例えばクラッチと
駆動輪との間に介設されるベルト式の無段変速機である
ときには、停車しているとき(駆動輪が停止していると
き)には、変速比を変更することができない。このた
め、次の発進時には、無段変速機の変速比は、より高速
側の位置のままであるが、この再発進時にトラクション
コントロールシステムが作動したときは、無段変速機の
変速比の変化が抑制されることになるため、変速比がそ
の高速側の位置に固定されてしまい、その結果、発進性
能が大幅に低下してしまう。 【0012】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、アンチスキッ
ドブレーキシステムのスリップ抑制制御の性能を低下さ
せることなくかつ、トラクションコントロールシステム
によるスリップ抑制制御の性能を低下させることなく、
しかも、再発進性能を確保可能な自動車のスリップ制御
装置と無段変速機の総合制御装置の提供することにあ
る。 【0013】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、自動車の停車後の再発進時に、上記無段
変速機の変速比を素早く計測し、これにより、トラクシ
ョンコントロールシステムが作動する前にその変速比を
確認することとした。 【0014】具体的に、本発明は、自動車の駆動輪のス
リップ率が所定値を超えた時に該駆動輪のロックを抑制
するよう制動装置を制御するアンチスキッドブレーキシ
ステムと、上記駆動輪に伝達される駆動力が過大である
ことによる該駆動輪のスリップを防止するトラクション
コントロールシステムと、エンジンの回転動力を無段階
に変速する無段変速機とを備えた自動車のスリップ制御
装置と無段変速機の総合制御装置を対象とする。 【0015】そして、上記アンチスキッドブレーキシス
テムの作動時には、上記無段変速機の変速比を高速側の
所定位置で規制すると共に、上記トラクションコントロ
ールシステムの作動時には、上記無段変速機の変速比の
変更を抑制するように構成し、さらに、上記自動車の停
車後の再発進時における所定期間は、上記無段変速機の
変速比の計測に際し行うフィルタ処理を緩和するように
構成することを特定事項とするものである。 【0016】ここで、無段変速機は、例えばクラッチと
駆動輪との間に介設されるベルト式の無段変速機で構成
することができる。 【0017】また、トラクションコントロールシステム
の作動時に、無段変速機の変速比の変更を抑制すること
としては、無段変速機の変速比を固定する(変速比の変
更を禁止する)ことや、例えば実際の変速比(実変速
比)と目標変速比と比較して、実変速比が目標変速比よ
り低いとき(実変速比が目標変速比よりも高速側位置で
あるとき)に、目標変速比を実変速比に置換すること
で、無段変速機の変速比を固定することや、変速比の変
更速度を低速に規制することがそれぞれ含まれる。 【0018】また、フィルタ処理を緩和することとは、
処理を緩和することによって無段変速機の変速比をより
素早く計測することである。例えば、この無段変速機が
ベルト式であるときには、このベルトが巻きかけられた
2つのプーリそれぞれの回転信号の周波数を計測するこ
とで各プーリの回転数を計測して、その回転数の比によ
って、無段変速機の変速比(プーリ比)は計測可能であ
るが、通常のフィルタ処理では、プーリの回転信号を例
えば10回検出した時点でその周波数を計測するところ
を、フィルタ処理を緩和することとして、それよりも少
ない数の回転信号を検出した時点で(例えば3回や4回
検出した時点で)その周波数を計測することとしてもよ
い。こうしたフィルタ処理の緩和により、無段変速機の
変速比をより素早く計測することができる。 【0019】そして、上記構成によれば、アンチスキッ
ドブレーキシステムの作動時には、無段変速機の変速比
を高速側の所定位置で規制することで、アンチスキッド
ブレーキシステム制御の外乱となるエンジンブレーキが
作用するのが回避されて、アンチスキッドブレーキシス
テムのスリップ抑制制御の性能が低下することが防止さ
れる。 【0020】一方、トラクションコントロールシステム
の作動時には、上記無段変速機の変速比の変更を抑制す
ることで、トラクションコントロールシステムの作動中
に変速比が下がってトルクが増加することが防止され、
その結果、トラクションコントロールシステムによるス
リップ抑制制御の性能の低下が防止される。 【0021】さらに、自動車の停車後の再発進時には、
上記無段変速機の変速比を計測する際のフィルタ処理を
所定期間だけ緩和させることで、無段変速機の変速比が
素早く計測される。 【0022】これにより、この計測した変速比に基づい
て、その変速比が自動車の発進に際して高速過ぎる位置
であるときには、言い換えると、この変速比でトラクシ
ョンコントロールシステムが作動して変速比の変更が抑
制されると、発進性能が確保できないときには、例えば
トラクションコントロールシステムの制御開始を所定期
間だけ抑制したり(例えば制御開始しきい値を高くす
る)、例えばトラクション制御における目標スリップ量
を上げることで、トラクションコントロールシステムの
制御が開始されても、その制御が速やかに終了するよう
にしたりする。こうすることで、トラクション制御が抑
制されている間に、無段変速機の変速比が変更可能にな
り、その変速比を比較的低速側の位置にすることで、再
発進性能を確保することが可能になる。 【0023】このように、自動車の停車後の再発進時
に、無段変速機の変速比を素早く計測することによっ
て、その変速比が再発進が不可能な高速位置にあったと
しても、再発進が可能となるような対策を素早く行うこ
とが可能になり、これにより、再発進性能を確保するこ
とができる。 【0024】こうして、無段変速機の変速比を素早く計
測することは、アンチスキッドブレーキシステムの作動
の有無に拘わらず、急制動により停車した後の再発進時
に有効である。つまり、急制動により停車した場合は、
無段変速機の変速比がより高速側の位置(再発進不可能
な位置)のままで停車してしまうことが往々にして起こ
り得るためである。また特に、アンチスキッドブレーキ
システムが作動して停車した場合は、その再発進時には
トラクションコントロールシステムが作動することが十
分に予想されるため、発進性能を確保するために、フィ
ルタ処理を緩和させて無段変速機の変速比を素早く計測
することが好ましい。 【0025】また、無段変速機の変速比の計測に際し行
うフィルタ処理は、例えばノイズ等による計測精度の低
下を防止するためであることから、フィルタ処理を緩和
する時間は、余り長時間にならない方が好ましい。 【0026】 【発明の効果】以上説明したように、本発明における自
動車のスリップ制御装置と無段変速機の総合制御装置に
よれば、先ず、アンチスキッドブレーキシステムの作動
時に無段変速機の変速比を高速側の所定位置に規制する
ことで、アンチスキッドブレーキシステムのスリップ抑
制制御の性能が低下することを防止することができる。 【0027】また、トラクションコントロールシステム
の作動時には、変速比の変更を抑制することで、トラク
ションコントロールシステムによるスリップ抑制制御の
性能が低下することを防止することができる。 【0028】そして、自動車の停車後の再発進時には、
変速比の計測に際し行うフィルタ処理を所定期間だけ緩
和することで、その変速比を素早く計測することが可能
になる。このため、例えばこの計測した変速比に基づい
て、例えばトラクションコントロールシステムの作動を
抑制する等によって、発進性能を確保することができ
る。 【0029】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基いて説明する。 【0030】図面は自動車のスリップ制御装置と無段変
速機の総合制御装置を示すが、まず図1を参照して制御
システムの全体構成について説明する。 【0031】このシステムは制御手段としてのECU1
0を有し、このECU10に、各車輪の車輪速度をそれ
ぞれ検出する車輪速センサ11,11…、ステアリング
ホイール(ハンドル)の操舵角を検出する舵角センサ1
2、車両に発生しているヨーレートを検出するヨーレー
トセンサ13、車両の横方向の加速度を検出する横加速
度センサ14、エンジンのスロットル開度を検出するた
めのスロットル開度センサ15、アンチスキッドブレー
キシステムの制御をキャンセルするためのストップラン
プスイッチ16、エンジン回転数を検出するエンジン回
転数センサ17、無段変速機の前進後退等のシフト位置
を検出するシフト位置センサ18、ブレーキシステムに
おける液圧発生源としてのマスターシリンダの液圧を検
出する液圧センサ19、ブレーキシステムにおけるリザ
ーバタンク内のブレーキ液面レベルを検出する液面レベ
ルスイッチ20、アクセル開度を検出するアクセル開度
センサ21、及び後述するベルト式の無段変速機56に
おける主プーリ72及び副プーリ73(図3参照)それ
ぞれの回転信号を検出するプーリ回転センサ80からの
信号がそれぞれ入力されるようになっている。 【0032】また、このECU10からは、アンチスキ
ッドブレーキシステム33が作動していることを示すア
ンチスキッドブレーキシステムランプ22、ブレーキシ
ステムに第2液圧発生源として備えられた加圧ポンプを
作動させる加圧モータ23、各車輪にそれぞれ備えられ
たブレーキ装置に対してブレーキ液の給排を行なうフロ
ントソレノイドバルブ24及びリヤソレノイドバルブ2
5、マスターシリンダと各車輪のブレーキ装置との間を
連通、遮断するTSWソレノイドバルブ26、マスター
シリンダと上記加圧ポンプとの間を連通、遮断するAS
Wソレノイドバルブ27、エンジン出力の制御を行なう
エンジンコントローラ28、旋回時の車両姿勢制御がお
こなわれているときに、これを運転者に知らせる警報装
置29、無段変速機56のライン圧をコントロールする
ライン圧アクチュエータとしての変換切換バルブ30、
及び無段変速機56の変速比をコントロールする変速ア
クチュエータとしての油圧サーボ装置31,32のそれ
ぞれに制御信号を出力するようになっている。 【0033】そして、このECU10は、上記の各セン
サ又はスイッチ11〜21,80からの信号を入力し、
所定の処理を行って上記の各装置22〜32に制御信号
を出力するために、次のように構成されている。 【0034】すなわち、このECU10は、駆動輪のス
リップ率が所定値を超えた時に駆動輪のロックを抑制す
るよう制動装置としてのブレーキを制御するアンチスキ
ッドブレーキシステム33と、制動時に後輪がロックし
ないように制動力の配分を行なう制動力配分装置34
と、駆動輪に伝達される駆動力が過大であることによる
該駆動輪のスリップを防止するトラクションコントロー
ルシステム35と、旋同時における車両のヨーイング方
向の姿勢を制御する姿勢制御装置36と、後述する無段
変速機の作動によって変速を実行すべくライン圧アクチ
ュエータとしての変速切換バルブ30及び変速アクチュ
エータとしての油圧サーボ装置31,32の動作を制御
する無段変速機制御装置37とを備えている。 【0035】そして、このECU10においては、上記
各車輪速センサ11,11…からの信号に基づき、車輪
速演算部38及び推定車体速演算部39によって各車輪
の車輪速及び推定車体速が演算されると共に、これらの
値が上記アンチスキッドブレーキシステム33、制動力
配分装置34、トラクションコントロールシステム35
及び姿勢制御装置36に入力されるようになっている。 【0036】また、上記ストップランプスイッチ16か
らの信号は、ストップランプ判断部40を介して、上記
アンチスキッドブレーキシステム33、制動力配分装置
34、トラクションコントロールシステム35及び姿勢
制御装置36にそれぞれ入力される。 【0037】また、上記エンジン回転数センサ17、ス
ロットル開度センサ15及びシフト位置センサ18から
の各信号は、それぞれエンジン回転数演算部41、スロ
ットル開度取込み部42及びシフト位置判断部43を介
して、上記トラクションコントロールシステム35、姿
勢制御装置36及び無段変速機制御装置37に入力され
る。 【0038】また、上記舵角センサ12、ヨーレートセ
ンサ13、横加速度センサ14及び液圧センサ19から
の信号は、それぞれ舵角演算部44、ヨーレート演算部
45、横加速度演算部46及び液圧演算部47に入力さ
れ、これらの信号に基づいて舵角、ヨーレート、横加速
度及びマスタシリンダ液圧がそれぞれ演算される。そし
て、これらの値が上記姿勢制御装置36、無段変速機制
御装置37に入力される。 【0039】さらに、上記液面レベルスイッチ20から
の信号は、液面レベル判断部48を介して上記トラクシ
ョンコントロールシステム35及び姿勢制御装置36に
それぞれ入力され、また、アクセル開度センサ21から
の信号はアクセル開度演算部49を介して無段変速機制
御装置37に入力される。 【0040】加えて、上記プーリ回転センサ80からの
回転信号に基づき、プーリ比演算部81により、その回
転信号の周波数から各プーリ72,73の回転数が演算
されると共に、その回転数比からプーリ比(無段変速機
の変速比)が演算される。そして、この値が上記無段変
速機制御装置37に入力される。尚、プーリ比演算部8
1は、図示は省略するが、プーリ回転センサ80からの
回転信号に対してノイズの除去等を目的としたフィルタ
処理を行うように構成されている。 【0041】そして、上記アンチスキッドブレーキシス
テム33は、上記の各入力信号に基づいて制御量を演算
し、その演算結果に応じて、アンチスキッドブレーキシ
ステムランプ22、加圧モータ23、フロントソレノイ
ドバルブ24、リヤソレノイドバルブ25に信号を出力
し、これらの作動を制御する。また、上記制動力配分装
置34は、リヤソレノイドバルブ25の作動を制御す
る。 【0042】また、上記トラクションコントロールシス
テム35は、加圧モータ23、フロントソレノイドバル
ブ24、リヤソレノイドバルブ25、TSWソレノイド
バルブ26及びエンジンコントローラ28に対して信号
を出力し、これらの作動を制御する。 【0043】さらに、上記姿勢制御装置36は、加圧モ
ータ23、フロントソレノイドバルブ24、リヤソレノ
イドバルブ25、TSWソレノイドバルブ26、ASW
ソレノイドバルブ27、エンジンコントローラ28及び
警報装置29に対して信号を出力し、これらの作動を制
御する。 【0044】そして、無段変速機制御装置37は、変速
切換バルブ30及び油圧サーボ装置31,32に対して
信号を出力し、これらの作動を制御する。 【0045】図2はエンジン50から駆動輪51(前輪
又は後輪)までの駆動系を概略的に示し、エンジン50
にはクラッチ52を介して前後進切換装置53が接続さ
れ、この前後進切換装置53の主軸54と副軸55との
間には、エンジン50の回転動力を無段階に変速可能な
ベルト式の無段変速機56が介設され、上述の副軸55
には差動装置57を介して左右の駆動輪51,51が接
続されている。 【0046】図3はクラッチ52、前後進切換装置53
を含む無段変速機56全体のユニットの構成を示し、こ
のユニットは油圧で作動する機械式クラッチ52と、前
進・後進を切換える前後進切換装置53と、無段変速機
56とを備えている。上述のクラッチ52は、エンジン
50の出力が入力される入力軸60と、クラッチ出力軸
61に取付けられたクラッチディスク62と、クラッチ
ディスク62を入力側に圧接する押圧プレート63とを
有し、押圧プレート63はリンク64を介してクラッチ
シリンダ65の作動によって断接操作(ON、OFF操
作)される。 【0047】前後進切換装置53は、上記クラッチ出力
軸61と主軸54との間に設けられ、クラッチ出力軸6
1に形成した前進用固定ギヤ66に常時噛合する被駆動
ギヤ67(ドリブンギヤ)が主軸54に融合され、ま
た、クラッチ出力軸61に形成した後進用固定ギヤ68
に常時噛合するアイドラギヤ69が主軸54と平行に設
置されている。 【0048】さらに、主軸54に摺動自在にスプライン
嵌合するスリーブ70が切換シリンダ71の作動に応じ
て移動し、該スリーブ70の移動によって上記前進用の
被駆動ギヤ67(ドリブンギヤ)と主軸54とを連結状
態とした図示の前進駆動状態と、スリーブ70の反対側
への移動によってアイドラギヤ69とスリーブ70とを
連結状態とした後進駆動状態とに切換えるものである。 【0049】一方、無段変速機56は、上記主軸54に
対し副軸55が平行配置され、両軸54,55にそれぞ
れ可変プーリとして主プーリ72(原動プーリ)と副プ
ーリ73(従動プーリ)が設けられ、そして、両プーリ
72,73の間にエンドレスの駆動ベルト74が巻き掛
けられて構成されている。主プーリ72及び副プーリ7
3はそれぞれ固定プーリ72a,73aと可動プーリ7
2b,73bとを有し、各可動プーリ72b、73bに
は油圧サーボ装置31,32が付設されて送給油圧の制
御によって駆動ベルト74の係合半径位置が連係して調
節可能に設けられ、所定のプーリ回転数に調整された副
軸55の回転が駆動輪51側に出力される。尚、図示は
省略するが、上記主プーリ72と副プーリ73とにはそ
れぞれ、上記プーリ回転センサ80が設けられており、
これにより、主プーリ72と副プーリ73とのプーリの
回転数が検出可能に構成されている。 【0050】一方、油圧系統は、油圧ポンプ75によっ
て吐出された油圧がリリーフ弁76によって調圧され、
このライン圧がクラッチ切換バルブ77を介してクラッ
チシリンダ65に送給される。このクラッチ切換バルブ
77はソレノイド操作され、無段変速機制御装置37か
らの信号によって接続位置と切断位置とに切り換えられ
る。 【0051】また、上記ライン圧は前後進切換バルブ7
8を介して切換シリンダ71に送給される。この前後進
切換バルブ78は切換レバー79(シフトレバー)の操
作によって前進位置と後退位置とに切り換えられる。 【0052】さらに、上記ライン圧は変速切換バルブ3
0を介して主プーリ72と副プーリ73の各油圧サーボ
装置31,32に送給される。この変速切換バルブ30
はソレノイド操作され、無段変速機制御装置37からの
信号によって増速位置と減速位置と共に切り換えられ
る。 【0053】図4は図2、図3で示したベルト式無段変
速機56の変速線図を示し、横軸に車速をとり、縦軸に
プーリ回転数(詳しくは副プーリ73の目標プーリ回転
数)をとっている。 【0054】この図4の変速線図はトラクション連携制
御マップとして無段変速機制御装置37に記憶されてい
る。 【0055】図4において実線で示す特性a,b,cは
スロットル開度全開時の通常時の特性である。また、破
線で示す特性d,e又は二点鎖線で示す特性f,gはト
ラクションコントロールシステム35の作動時における
アクセル全開時の特性であって、トラクションコントロ
ールシステム35の作動時においては無段変速機56の
低速で用いる変速比領域を特性bから特性d,e又は特
性f,gに示すように拡大補正すべく構成している。 【0056】さらに、トラクションコントロールシステ
ム35の作動時には、アクセル全開時におけるエンジン
の最高回転に対する制約回転数を上方側に補正すべく構
成している。例えば車速40km/hの所では本来、制
約回転数が約3400rpmであるが、トラクションコ
ントロールシステム35の作動時にはこの制約回転数を
約4500rpm付近まで上方側に補正すべく構成して
いる。 【0057】また特性eと特性cとの対比から明らかな
ように、上述のトラクションコントロールシステム35
作動時の制約回転数(特性e参照)を高速領域で許容す
る制約回転数の上限(上限回転数としての特性c参照)
と同一に設定している。 【0058】しかも、図4において図示の便宜上、ハッ
チングを施して示す領域Aは、トルクとの関係で無段変
速機56の駆動ベルト74がすべるベルト信頼性懸念領
域であって、上述の上限回転数(特性c参照)と特性c
と一直線上の特性eと、ベルト信頼性懸念領域Aを回避
する特性dとが直線として交差するように設定してい
る。 【0059】尚、トラクションコントロールシステム3
5の作動時で、かつアクセル全開時におけるエンジンの
最高回転に対する制約回転数(特性e参照)を高速領域
で許容する制約回転数(特性c参照)よりも高く設定
(特性f,g参照)した場合には、トラクション制御の
終了時においては同図に一点鎖線hで示すように、通常
の変速比へ遅延させて移行するように構成している。 【0060】このように構成した自動車のスリップ制御
装置と無段変速機の総合制御装置の作用を図5及び図6
に示すフローチャートを参照して以下に詳述する。 【0061】まず図5のフローチャートを参照してアン
チスキッドブレーキシステム連携制御について説明す
る。 【0062】ステップSA1で、ECU10はアンチス
キッドブレーキシステム33が作動か否かを判定し、ア
ンチスキッドブレーキシステム作動時(YES判定時)
には次のステップSA2に移行する一方、アンチスキッ
ドブレーキシステム非作動時(NO判定時)には別のス
テップSA13に移行する。 【0063】上述のステップSA2で、ECU10はフ
ラグをF=1とする。次のステップSA3で、ECU1
0はロックアップをOFFにする。次にステップSA4
で、ECU10は車速(推定車体速参照)の読込みを実
行する。 【0064】次にステップSA5で、ECU10は車速
が80km/h以上か否かを判定し、YES判定時には
ステップSA6に移行する一方、NO判定時には別のス
テップSA7に移行する。 【0065】上述のステップSA6で、ECU10は無
段変速機制御装置37を介して無段変速機56のプーリ
比を0.8に固定する。尚、プーリ比:0.8は変速段
の4〜5に相当する。 【0066】上述のステップSA7で、ECU10は車
速が30km/h〜80km/hの範囲内か否かを判定
し、YES判定時にはステップSA8に移行する一方、
NO判定時には別のステップSA9に移行する。 【0067】上述のステップSA8で、ECU10は無
段変速機制御装置37を介して無段変速機56のプーリ
比を1.0に固定する。尚、プーリ比=1.0は変速段
の3速に相当する。 【0068】上述のステップSA9で、ECU10は車
速が10km/h〜30km/hの範囲内か否かを判定
し、YES判定時にはステップSA10に移行する一
方、NO判定時には別のステップSA11に移行する。 【0069】上述のステップSA10で、ECU10は
無段変速機制御装置37を介して無段変速機56のプー
リ比を1.5に固定する。プーリ比=1.5は変速段の
2速強に相当する。 【0070】上述の各ステップSA6,SA8,SA1
0の処理は、アンチスキッドブレーキシステム33の作
動時に無段変速機56の変速比を高速側(つまり変速比
が小さい側)の所定位置で規制する処理であり、これは
アンチスキッドブレーキシステム制御の外乱となるエン
ジンブレーキが作用するのを回避するためである。 【0071】上述のステップSA11で、ECU10は
車速が10km/h以下か否かを判定し、NO判定時に
はステップSA1にリターンする一方、YES判定時に
は次のステップSA12に移行する。 【0072】このステップSA12で、ECU10は無
段変速機制御装置37を介して無段変速機56のプーリ
比を2.5に固定する。プーリ比=2.5は最ローに相
当する。 【0073】尚、各ステップSA6,SA8,SA1
0,SA12において無段変速機56のプーリ比を所定
のプーリ比に変更するときには、その変更速度は、通常
の変更速度(アンチスキッドブレーキシステム33が作
動していないときの変更速度)よりも低下させることが
好ましい。 【0074】一方、前述のステップSA13で、ECU
10はアンチスキッドブレーキシステム作動フラグがF
=1か否かを判定し、NO判定時(F=0のとき)には
ステップSA1にリターンする一方、YES判定時(F
=1のとき)には次のステップSA14に移行する。 【0075】このステップSA14で、ECU10はア
ンチスキッドブレーキシステム連携制御を解除し、次の
ステップSA15で、ECU10は通常制御にゆっくり
移行する。さらに、次のステップSA16で、停止(停
車)直前のプーリ比Gを確認する。この停止直前のプー
リ比は、無段変速機56のプーリ比を随時、更新記憶す
ることによって確認可能になる。そして、次のステップ
SA17でその停止直前のプーリ比Gが所定以下(ここ
での所定のプーリ比とは、再発進が不可能であるプーリ
比のうちで最ローのプーリ比、つまり、プーリ比が上記
所定以下の高速側位置であれば、再発進が不可能である
プーリ比である)であるか否かを判定する。YES判定
時には次のステップSA18に移行し、NO判定時には
別のステップSA19に移行する。 【0076】上述のステップSA18では、ECU10
はフラグをF=1とし、ステップSA19では、フラグ
をF=0とする。 【0077】このステップSA16,SA17の処理
は、無段変速機56の変速比が所定位置になる前の、よ
り高速側(つまり変速比が小さい)の位置にある状態で
自動車が停車したか否かを判定する処理であり、この判
定結果は、後述するトラクション連携制御に利用され
る。 【0078】次に図6に示すフローチャートを参照して
トラクション連携制御について説明する。 【0079】ステップSB1で、ECU10は上記のフ
ラグがF=1であるか否かを判定し、YES判定時には
次のステップSB2に移行する一方、NO判定時には別
のステップSB7に移行する。ここで、YES判定時
は、アンチスキッドブレーキシステム33が作動して停
車した場合であって、その停車時のプーリ比が、所定の
プーリ比以下であるときに対応する。つまりフラグがF
=1のときは、無段変速機56のプーリ比が再発進が不
可能なプーリ比であることが予想されるのである。 【0080】上述のステップSB2では、プーリ比を計
測する際のフィルタ処理を緩和する。これは、具体的に
は、プーリ比演算部81におけるフィルタ処理を、通常
のフィルタ処理では、各プーリ72,73の回転信号を
例えば10回検出した時点でその周波数を計測し各プー
リ72,73の回転数を演算するところを、それよりも
少ない数を検出した時点で(例えば3回や4回検出した
時点で)その周波数を計測し各プーリ72,73の回転
数を演算するようにする。 【0081】次のステップSB3では、トラクションコ
ントロールシステム35の制御開始しきい値を上げる補
正を行うと共に、トラクション制御における駆動輪51
の目標スリップ量を上げる補正を行う。これは、制御開
始しきい値を上げることで、トラクションコントロール
システム35の制御が開始されることを抑制すると共
に、目標スリップ量を上げることで、トラクション制御
が開始した場合でもその制御を速やかに終了させるため
である。 【0082】そして、次のステップSB4で所定時間が
経過したか否かを判定し、YES判定時には次のステッ
プSB5に移行する一方、NO判定時には、ステップS
B1にリターンする。 【0083】上述のステップSB5では、ステップSB
3において行った補正をリセット、つまり、トラクショ
ンコントロールシステム35の制御開始しきい値を通常
のしきい値にすると共に、駆動輪の目標スリップ量を通
常の目標スリップ量にし、次のステップSB6で、フラ
グを0にする。 【0084】上記のステップSB2〜SB6は、例えば
低いμ路において図5のフローチャートで示したように
アンチスキッドブレーキシステム33が作動して車両が
停止した場合には、通常、次の発進時にスリップを防止
するためにトラクションコントロールシステム35によ
るトラクション制御が作動するが、上記フラグがF=1
であるときには、無段変速機56の変速比が再発進が不
可能な高速側の位置にあることが予想されることから、
この場合は、所定期間だけフィルタ処理を緩和してプー
リ比を素早く計測すると共に、トラクションコントロー
ルシステム35によるトラクション制御を抑制するので
ある。こうすることで、トラクション制御を抑制してい
る間に、高速側の位置にあった無段変速機56のプーリ
比を低速側にすることができて、再発進性能が確保され
る。 【0085】上述のステップSB7では、ECU10は
トラクションコントロールシステム35の作動か否かを
判定し、YES判定時には次のステップSB8に移行す
る一方、NO判定時には別ステップSB13に移行す
る。 【0086】上述のステップSB8で、ECU10はフ
ラグをF=2とする。次にステップSB9で、ECU1
0は無段変速機56のプーリ比変更速度をプラス0.0
3/秒〜マイナス0.03/秒の範囲内に規制する。す
なわちトラクション制御中においてプーリ比が変化する
スピード、換言すればプーリ比の変更によりトルクが変
化する速度を上記範囲内に抑止する。 【0087】次にステップSB10で、ECU10はト
ラクション制御を図4で示したトラクション連携制御マ
ップに切換える。 【0088】次のステップSB11で、ECU10はス
ロットル開度と車速で決定される目標変速比に対して現
時点での実変速に許容値αを加算した値が小さいか否か
を判定する。 【0089】例えば目標変速比が最ロー相当の2.5
で、プーリ比から判別される現時点の実変速比が1.5
の場合には、2.5>1.5+αとなる。そこで、上述
のステップSB11でNO判定されるとステップSB1
にリターンする一方、YES判定されると次のステップ
SB12に移行する。 【0090】このステップSB12で、ECU10はト
ラクションコントロールシステム35の作動時で、かつ
無段変速機56の実変速比が目標変速比よりも低いこと
に対応して、無段変速機56の目標変速比を実変速比に
置換補正する。 【0091】例えば上述のように目標変速比が最ロー相
当の2.5で、現時点の実変速比が図5のフローチャー
トの処理により1.5の場合には目標変速比それ自体を
1.5に変更する。 【0092】このため目標変速比は、例えば、1.5と
なり、現時点の実変速比が例えば、1.5で、目標変速
比=実変速比となるので、トラクションコントロールシ
ステム35によるトラクションコントロールの作動中に
あっては変速比不変で、トラクションコントロールシス
テム35の作動中に変速比が下がって、トルクが増加す
ることを防止し得るので、トラクションコントロールシ
ステム35によるスリップ抑制制御の性能を低下させな
い。 【0093】ここで、上述の許容値αは図7に示すよう
に実プーリ比(換言すれば実変速比)に対応して可変の
値に設定してもよい。つまり、許容値αは実プーリ比が
小さい高速段になる程、大きい値に設定し、実プーリ比
が大きい低速段になる程、小さい値に設定してもよい。
尚、高速段では許容値αを大きく設定してもトラクショ
ン制御時にスリップが生ずる懸念はない。 【0094】またトラクション制御の作動中においては
図4にトラクション連携制御マップで示したように通常
時の特性bからトラクション作動中の特性d,e又は特
性f,gで示したようにエンジン回転数(プーリ回転数
参照)が高回転まで上昇するように設定しているので、
本来ならばトラクション制御中においてはエンジン出力
を下げて加速感が得られないが、このように領域を拡大
補正することにより、トラクション作動中においてもス
リップしない範疇で加速感を得ることができる。 【0095】一方、前述のステップSB13で、ECU
10はトラクション作動フラグがF=2か否かを判定
し、NO判定時にはステップSB1にリターンする一
方、YES判定時(トラクション制御の終了時)には次
のステップSB14に移行する。 【0096】このステップSB14で、ECU10は図
4で示したマップによるトラクション連携制御を解除す
る。 【0097】次にステップSB15で通常制御にゆっく
り移行させる。具体的には、ECU10は目標変速比と
実変速比との偏差量Δxに時定数βを乗算したプーリ比
の変速速度、例えば変速速度=0.05/秒で実際の目
標値にゆっくりと移行させる。 【0098】つまり、トラクションコントロールの終了
時においてはドライバの加速要求(アクセル操作)に追
従させる目的で、上記偏差量Δxに応じたプーリ比の変
更スピードを確保するために、時定数βを乗じてステッ
プSB9で規制したスピード以上の速度にてプーリ比を
変更するものである。 【0099】次に、ステップSB16で、ECU10は
偏差量Δxが零になるとフラグをF=0にする。このと
き、上記時定数もβ=1にする。こうして、トラクショ
ンコントロールを終了する。 【0100】このように本実施形態に係る自動車のスリ
ップ制御装置と無段変速機の総合制御装置は、アンチス
キッドブレーキシステム33の作動時に無段変速機56
の変速比を高速側の所定位置で規制(各ステップSA
6,SA8,SA10参照)するように構成されてい
る。 【0101】このため、アンチスキッドブレーキシステ
ム33の制御の外乱となるエンジンブレーキが作用する
のが回避されて、アンチスキッドブレーキシステム33
のスリップ抑制制御の性能が低下することを防止するこ
とができる。 【0102】一方、トラクションコントロールシステム
35の作動時でかつ、無段変速機56の実変速比が目標
変速比より低い時(ステップSB5のYES判定参照)
には、目標変速比を実変速比に置換補正する。換言すれ
ば、現行の実変速比を目標変速比とする。 【0103】このため、トラクションコントロールシス
テム35の作動中に変速比が下がってトルクが増加する
ことを防止し、この結果、トラクションコントロールシ
ステム35によるスリップ抑制制御の性能を低下させな
い。 【0104】さらに、自動車の停車後の再発進時には、
上記無段変速機56の変速比を計測する際のフィルタ処
理を所定期間だけ緩和させる(ステップSB2)。この
ことで、無段変速機56の変速比が素早く計測される。 【0105】これと共に、所定時間だけトラクションコ
ントロールシステム35の制御開始しきい値を上げる補
正を行うと共に、トラクション制御における目標スリッ
プ量を上げる補正を行う(ステップSB3)。こうする
ことで、再発進時にはトラクションコントロールシステ
ム35の制御が抑制される。これにより、このトラクシ
ョン制御が抑制されている間に、発進が不可能な程度の
高速側位置にあった無段変速機56の変速比を、発進が
可能な程度の低速側位置に変更することが可能になり、
その結果、再発進性能を確保することができる。 【0106】<他の実施形態>尚、本発明は上記実施形
態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を
包含するものである。すなわち、上記実施形態における
トラクション連携制御(図6参照)では、ステップSB
1でフラグがF=1であるときには、フィルタ処理を緩
和する(ステップSB2)と共に、トラクション制御を
抑制する(ステップSB3)ようにしているが、例えば
次のようにしてもよい。 【0107】つまり、上記ステップSB2でフィルタ処
理を緩和した上で計測したプーリ比が所定のときには
(再発進可能な程度のプーリ比であるときには)、ステ
ップSB3〜SB5に移行せず、ステップSB6に移行
してフラグを0にした後、ステップSB7に移行する一
方、プーリ比が所定以下のときにのみ(再発進が不可能
な程度の高速側のプーリ比であるときにのみ)、上記ス
テップSB3〜ステップSB5を順次行い、所定期間だ
けトラクション制御を抑制するようにしてもよい。 【0108】また、上記実施形態では、トラクション連
携制御におけるステップSB1で、フラグがF=1であ
るときに、具体的には、アンチロックブレーキシステム
33の作動により停車した場合であって、その停車時に
おけるプーリ比が所定以下(再発進が不可能な程度のプ
ーリ比)であるときに、フィルタ処理を緩和する(ステ
ップSB2)と共に、トラクション制御を抑制する(ス
テップSB3)ようにしているが、フィルタ処理を緩和
する(ステップSB2)こと、及びトラクション制御を
抑制する(ステップSB3)ことの条件としては、アン
チロックブレーキシステム33が作動しなくても、急制
動により停車した場合としてもよい。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の自動車のスリップ制御装置と無段変速
機の総合制御装置の全体システムを示すブロック図であ
る。 【図2】エンジンから駆動輪に至る駆動系を示す概略説
明図である。 【図3】無段変速機ユニットの全体構成を示す系統図で
ある。 【図4】トラクション連携制御マップを示す説明図であ
る。 【図5】アンチスキッドブレーキシステム連携制御を示
すフローチャートである。 【図6】トラクションコントロールシステム連携制御を
示すフローチャートである。 【図7】実プーリ比と許容値との関係を示す説明図であ
る。 【符号の説明】 33 アンチスキッドブレーキシステム 35 トラクションコントロールシステム 50 エンジン 56 無段変速機 51 駆動輪 80 プーリ回転センサ 81 プーリ比演算部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B60K 41/26 B60K 41/26 B60T 8/58 B60T 8/58 D Z F16H 9/00 F16H 9/00 A 61/02 61/02 (72)発明者 佐々木 寛 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 Fターム(参考) 3D041 AA30 AA48 AA49 AB01 AC01 AC15 AC26 AD02 AD10 AD31 AD41 AD50 AD51 AE03 AE31 AE36 AE41 AF01 3D046 BB28 BB29 GG02 HH05 HH07 HH08 HH16 HH17 HH36 JJ06 KK06 3J552 MA06 MA13 NA01 NB01 PA40 SA31 SB12 SB13 UA06 UA07

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 自動車の駆動輪のスリップ率が所定値を
    超えた時に該駆動輪のロックを抑制するよう制動装置を
    制御するアンチスキッドブレーキシステムと、 上記駆動輪に伝達される駆動力が過大であることによる
    該駆動輪のスリップを防止するトラクションコントロー
    ルシステムと、 エンジンの回転動力を無段階に変速する無段変速機とを
    備えた自動車のスリップ制御装置と無段変速機の総合制
    御装置であって、 上記アンチスキッドブレーキシステムの作動時には、上
    記無段変速機の変速比を高速側の所定位置で規制すると
    共に、 上記トラクションコントロールシステムの作動時には、
    上記無段変速機の変速比の変更を抑制するように構成さ
    れ、 上記自動車の停車後の再発進時における所定期間は、上
    記無段変速機の変速比の計測に際し行うフィルタ処理を
    緩和するように構成されていることを特徴とする自動車
    のスリップ制御装置と無段変速機の総合制御装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015021522A (ja) * 2013-07-16 2015-02-02 ジヤトコ株式会社 ベルト式無段変速機の制御装置
JP2017202808A (ja) * 2016-05-13 2017-11-16 株式会社アドヴィックス 車両の制御装置

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015021522A (ja) * 2013-07-16 2015-02-02 ジヤトコ株式会社 ベルト式無段変速機の制御装置
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