JP3816669B2 - 内燃機関の自動停止装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車に利用する。本発明は、市内を走行する定期バスに利用するために開発された装置であるが、その他の自動車にも利用することができる。本発明は、内燃機関の停止操作を行うことなく、停留所で停車したときその他一定の条件で内燃機関の運転を自動的に停止させる装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
本願出願人は先願(特願平9−306025号、本願出願時において未公開)において、「ブレーキセンサの出力がブレーキ作動状態にあり、車速が零値になった時点からt秒後に、内燃機関を自動的に停止させる論理手段を備えたことを特徴とする内燃機関自動停止装置」を特許出願した。この装置は、主として地球環境改善のために、定期バス用の自動車が停留所で停車して乗客の乗り降りを行っている間に、運転者が特別の操作をしなくとも、内燃機関を自動的に停止させる装置である。乗客の乗り降りが終了した時に、左足で操作する特別の始動スイッチを操作することにより内燃機関を再始動する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明者らはこの車両の試験を繰り返す過程で次のような問題に当面した。すなわち、この装置はブレーキ作動状態にあり、車輪回転がなくなると車速が零になったものと判断して、t秒後(例えば1〜2秒後)に自動的に内燃機関を停止させるものであることから、車両がきわめて滑りやすい路面を走行中に、運転者が急ブレーキの操作を行い、車輪が回転を停止して路面を滑っている間に内燃機関が自動的に停止することがある。このとき、内燃機関が停止してもさらに車輪が滑っている状態が継続するようなことがなると、内燃機関の回転により発生している油圧がなくなることから、パワーステアリング装置が十分にきかなくなることが考えられる。
【0004】
本発明はこのような背景に行われたものであって、実際に車両が停車していないにもかかわらず、車速が零になったものとして内燃機関が自動的に停止する不都合を回避することができる装置を提供することを目的とする。本発明は、内燃機関により供給されている油圧系が不用意に減圧状態になることを回避することができる装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、自動停止装置を備えた車両の急ブレーキ時に、滑りによる車両の移動速度を検出し、この移動速度の変化が一定の条件を満たしたときには、車両は停車状態にないものとして内燃機関の停止を禁止することを特徴とする。
【0006】
すなわち、本発明は、ブレーキセンサの出力がブレーキ作動状態にあり車速が零値になった時点からt1 秒後に内燃機関を停止させる信号を発生する論理手段を備えた内燃機関の自動停止装置において、車速vが零値から第一の所定値v1 を越えてから後に第二の所定値v2 (ただしv2 <v1 )から第三の所定値v3 (ただしv3 <v2 )までの期間をきわめて短い時間t2 以下で経過して車速が零値に達したときには前記内燃機関を停止させる信号の発生を禁止する手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
ブレーキ操作が行われた状態にあって、車速vが所定値を越える値から最初に零値になり、引きつづきt1 秒(例えば約1秒)間にわたり車速が零値を示しているときには、操作によらずに内燃機関を自動停止する。
【0008】
このブレーキ操作による車速の変化を検出し、車速vが零値から第一の所定値v1 (例えば、8km/h)を越えて車両が走行状態になった後に、第二の所定値v2 (例えば、6km/h)から第三の所定値v3 (例えば、4km/h)までの期間をきわめて短いt2 (例えば、0.1秒)以下で経過し車速が零を示したときには、急ブレーキにより車輪がロックされ滑っている状態にあるものとして、内燃機関を停止させる信号の発生を禁止する。上記数値はあくまでも例示であって値を限定するものではない。
【0009】
これにより、ブレーキ操作により車輪がロックされた状態でスリップにより車両が移動しているときには、内燃機関の自動停止は行われず、内燃機関の駆動により供給されている油圧が不用意に減圧されるなどの不都合の発生を回避することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
【0011】
【実施例】
次に、本発明実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明実施例装置の要部の構成を示すブロック図、図2は本発明実施例装置に備えられた再始動スイッチの運転室内の配置位置を示す図である。
【0012】
本発明実施例は、運転席に運転者がその左足で操作するスイッチとして再始動スイッチ1が設けられ、制御情報を取込み内燃機関の自動停止および自動始動を制御する制御回路10が備えられる。
【0013】
制御回路10には、ブレーキセンサ2の出力がブレーキ作動状態にあり車速が零値になった時点を基点としt1 秒(例えば1.5秒)を経過するまでひきつづき零値であるときに運転者の操作によることなく内燃機関を自動的に停止させる手段、内燃機関が自動停止した状態で再始動スイッチ1が操作されたときにその内燃機関を自動的に始動させる手段、および左足で操作する再始動スイッチ1が操作されたときにその内燃機関を自動的に始動させる手段を含む論理手段11と、変速レバー3の設定位置にかかわらず論理手段11により内燃機関が停止する前に変速ギヤを自動的にニュートラル位置に設定する手段と、内燃機関の始動後に変速ギヤを変速レバー3の設定位置に自動的に設定する手段と、左足で操作する再始動スイッチ1が車速が零になる時点で操作されているときには内燃機関の自動停止を禁止する手段とが含まれる。
【0014】
さらに、本発明の特徴として、制御回路10に、車速vが零値から第一の所定値v1 (例えば8km/h)を越えてから後に第二の所定値v2 (ただしv2 <v1 、例えば6km/h)から第三の所定値v3 (ただしv3 <v2 、例えば4km/h)までの期間をきわめて短い時間t2 以下で経過して車速が零値に達したときには前記内燃機関を停止させる信号の発生を禁止する手段が備えられる。
【0015】
制御回路10には、運転者が左足で操作する再始動スイッチ1、ブレーキの作動状態を検出するブレーキセンサ2、変速位置を設定する変速レバー3、車両の走行速度を検出する車速センサ4、およびアイドル・ストップ・システムの起動または停止を行うアイドル・ストップ・スイッチ5の出力が接続される。アイドル・ストップ・スイッチ5は運転席のダッシュボードに設けられた手動のスイッチであり、このシステム全体をオン・オフするために利用される。
【0016】
また、制御回路10からは、内燃機関への燃料供給を遮断する燃料遮断バルブ6、内燃機関の始動を行う始動電動機7、および変速機8を操作して自動変速を行う自動変速制御手段9に制御信号が送出される。
【0017】
次に、このように構成された本発明実施例の動作について説明する。まず、本発明実施例装置による内燃機関の自動停止動作について説明する。図3は本発明実施例装置による内燃機関の自動停止動作の流れを示すフローチャートである。
【0018】
制御回路10の論理手段11はブレーキセンサ2、車速センサ4および再始動スイッチ1の出力を取込み、ブレーキが作動状態にあることを示すオン信号が出力され、車両が停車状態にあることを示す停車信号が出力され、かつ再始動スイッチ1が踏まれていない状態を示すオフ信号が出力されて、車速が所定値v0 から最初に零値になった時点後にt1 秒(例えば1.5秒)経過したときは、運転者が停車を意図してブレーキ操作を行ったものとして、自動変速制御手段9に制御信号を送出し、変速レバー3の位置(1、2、D、R)にかかわらず変速機8の変速ギヤをニュートラルの位置に自動的に設定し、燃料遮断バルブ6に制御信号を送出し燃料供給を遮断して内燃機関を停止する。この燃料遮断バルブ6は自動停止後に自動的に解放される。これにより運転者が手動操作により始動を行うことを妨げないようにする。
【0019】
再始動スイッチ1が車速が零値になる時点、すなわち車速が零値を示す前からすでに操作されているときには、車速センサ4が停車状態を示す信号が出力されていても、再始動スイッチ1の出力がオン信号を示しているので、燃料遮断バルブ6への制御信号の出力は行われず内燃機関の自動停止は禁止される。
【0020】
このような操作は、例えば路線バスで1人あるいは2人程度の乗降客があるきわめて短い停車の場合に行われ、この操作が行われることによって、内燃機関の自動停止後にただちに自動始動を行うような無益な操作を避けることができる。
【0021】
次に、本発明実施例装置による内燃機関の自動始動動作について説明する。図4は本発明実施例装置による内燃機関の自動始動動作の流れを示すフローチャートである。
【0022】
運転席に設けられたアイドル・ストップ・スイッチ5が操作されて自動変速モードを設定するオン信号が出力されているときには、ブレーキ・ペダルが踏まれブレーキが作動して内燃機関が停止した状態にあるときに、再始動スイッチ1が操作されると、論理手段11は始動電動機7に制御信号を送出して、始動電動機を駆動して内燃機関を自動的に始動する。
【0023】
内燃機関が自動始動すると自動変速制御手段9に制御信号を送出し、変速ギヤをニュートラル位置からレバー設定位置に自動的に設定する。
【0024】
ここで、本発明の特徴とするところの内燃機関の自動停止動作について説明する。図5は本発明実施例装置による内燃機関の自動停止動作の流れを示すフローチャートである。
【0025】
制御回路10は車速センサ4から車速vを取込み、取込んだ車速vが第一の所定値v1 (8km/h)を越えているか否かを判定する。図6に示すように車速vがv1 (8km/h)を越えていれば、内燃機関の自動停止を禁止するフラグを立てる。
【0026】
さらに、継続して車速センサ4から車速vを取込み、その車速vが第一の所定値(8km/h)以下の第二の所定値v2 (6km/h)よりも小さい値に変化したか否かを判定する。第二の所定値v2 (6km/h)よりも小さい値になっていなければフラグを立てたまま内燃機関自動停止の禁止状態を継続する。
【0027】
車速vが第二の所定値(6km/h)以下に変化していれば、その車速vが第二の所定値(6km/h)から第三の所定値(4km/h)までの範囲内に時間t2 秒(例えば0.1秒)以上あったことが示されたときに、停車のためのブレーキ操作が行われたものとして、フラグを下げて自動停止モードを設定する。次いで、車速センサ4から取込んだ車速vが零になっていればフラグの状態を確認し、フラグが立てられていなければ内燃機関を自動停止する。
【0028】
車速センサ4から取込んだ車速vが第二の所定値v2 (6km/h)から第三の所定値v3 (4km/h)までの範囲内を時間t2 秒以下で経過し低下したときは、急ブレーキ操作により車両は図6の破線で示すように滑りながらある速度で移動しているものとして、フラグを立てた状態を継続し内燃機関の自動停止を禁止する。
【0029】
これにより、車両がきわめて滑りやすい路面を走行中に急ブレーキ操作が行われて、車輪が回転を停止して路面を滑っている状態のときには、内燃機関の起動状態はそのまま継続されるので、内燃機関の停止により油圧が低下するなどの不都合が操作によらずに回避される。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、内燃機関の自動停止装置および自動始動装置を装備した車両のブレーキ操作による停車時に、路面スリップにより実際に車両が停車していないにもかかわらず、車速が零になったものとして内燃機関が自動的に停止する不都合の発生をなくすことができ、これにともなって内燃機関の駆動により供給されている油圧系が不用意に減圧状態になるようなことを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例装置の要部の構成を示すブロック図。
【図2】本発明実施例装置に備えられた再始動スイッチの運転席内の配置位置を示す図。
【図3】本発明実施例装置による内燃機関の自動停止動作の流れを示すフローチャート。
【図4】本発明実施例装置による内燃機関の自動始動動作の流れを示すフローチャート。
【図5】本発明実施例装置による内燃機関の自動停止動作の流れを示すフローチャート。
【図6】本発明実施例装置による内燃機関の自動停止モード設定解除を説明する図。
【符号の説明】
1 再始動スイッチ
2 ブレーキセンサ
3 変速レバー
4 車速センサ
5 アイドル・ストップ・スイッチ
6 燃料遮断バルブ
7 始動電動機
8 変速機
9 自動変速制御手段
10 制御回路
11 論理手段

Claims (1)

  1. ブレーキセンサの出力がブレーキ作動状態にあり車速センサの出力が示す値が零値になった時点からt1秒後に内燃機関を停止させる信号を発生する論理手段を備えた内燃機関の自動停止装置において、
    前記車速センサの出力が示す値vが零値から第一の所定値v1を越えてから後に、第二の所定値v2(ただしv2<v1)から第三の所定値v3(ただしv3<v2)までの期間をきわめて短い時間t2以下で経過して前記値vが零値に達し車輪がロックしスリップ状態となったと判定されたときには前記内燃機関を停止させる信号の発生を禁止する手段を備えたことを特徴とする内燃機関の自動停止装置。
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