JP2006159929A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 自動変速機内のクラッチ油圧を制御し、運転状況に応じて変速時における駆動源側へのトルクダウン要求量を演算する変速機ECU40を設けると共に、運転状況に応じてエンジン1とモータ2のトルク配分量を演算して、その演算結果をエンジン制御部45とモータECU43に出力するトルク管理ECU41を設ける。トルク管理ECU41は、変速時に、変速機ECU40からトルクダウン要求量の情報を通信によって受け取り、このとき、エンジン1のトルクダウン分を優先して割り当て、残余のトルクダウン分をモータ2に割り当てる。変速時には、エンジン1を優先したトルクダウンが行われ、モータ2の能力の変動の影響を受け難くなる。
【選択図】 図2
Description
このため、従来、この半クラッチ状態を長引かせることなく変速ショックを低減する技術として、変速時に駆動源側のトルクを一時的に減少させる技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
これにより、変速時に、締結が解除されるクラッチと新たに締結されるクラッチが滑り始めたところで、最適タイミングで駆動源のトルクダウンが行われるようになる。
この場合、通信故障によって変速機コントローラのトルクダウン要求がエンジンやモータの出力に正確に反映できない状況下になると、変速機コントローラは、運転者のアクセル操作や車速等の入力情報(運転状況の入力)に基づいて駆動源側の現在の発生トルクを単独で演算し、自動変速機内のクラッチの滑りによって変速ショックを吸収するようにクラッチ油圧を制御する。
最初に、図1〜図5に示すこの発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、この発明を採用したハイブリッド車両の動力系を示す概略構成図である。この実施形態のハイブリッド車両は、車両の駆動源であるエンジン1とモータ2が機械的に連結された所謂パラレル式のものであり、発電機を兼ねるモータ2は走行状況に応じてエンジン1の駆動補助と制動時にエネルギー回生を行うようになっている。
(a) ブレーキペダルが踏み込まれたか否かを検出するブレーキスイッチ12
(b) アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルセンサ13
(c) エンジン回転数を検出するためのクランク角センサ14
(d) 自動変速機5の入力軸15の回転数を検出する入力軸回転センサ16
(e) 車速を検出するための車速センサ17
(f) 自動変速機5のシフトポジションを検出するシフトポジションセンサ18
(g) 自動変速機5内の変速用の各クラッチの油圧を検出するクラッチ圧センサ(図示せず)
(h) バッテリ19の残容量を検出する残容量センサ(図示せず)
(i) 自動変速機5内の作動油の温度を検出する油温センサ20(油温検出手段)
コントローラ群11は、図2に示すように主なコントローラとして以下の(1)〜(4)のようなものを備えている。
車両の運転状況に応じて油圧制御回路9(図1参照)を介して自動変速機5を制御し、かつ、変速時に、駆動源側に要求するトルクダウン要求量を演算する。このトルクダウン要求量は、例えば、現在の車速とアクセルペダル開度、変速段、クラッチ圧等を基にして演算する。
この変速機ECU40の場合、車速やアクセル開度等の駆動要求を判断し得る情報は基本的に直接変速機ECU40に入力されるようになっている。
運転者の駆動要求と車両の状態、バッテリ残容量等に応じて駆動源のエンジン1とモータ2のトルク配分量を演算し、その演算結果に基づいてエンジン1とモータ2にトルクを割り当てる。また、変速機ECU40から通信によってトルクダウン要求量の情報を受け、その要求量に応じたトルクダウン量をエンジン1とモータ2に割り当てる。このトルクダウン量の割り当てに際しては、まず、エンジン1のトルクダウン分を優先して(例えば、許容範囲内で最大になるように)割り当て、残余のトルクダウン分をモータ2に割り当てるようになっている。
なお、この実施形態の場合、トルク管理ECU41には、エンジン出力を燃焼操作ユニット10(図1参照)と電子制御スロットルを通して制御するエンジン制御部45が一体に組み込まれている。ただし、このエンジン制御部45は、トルク管理ECU45と別のエンジンECUとして構成し、トルク管理ECU45との間で通信を行うようにしても良い。また、エンジン1のトルクダウンは、例えば、燃焼操作ユニット10を通して各気筒の点火時期を遅らせることによって任意に調整することができる。
バッテリ19の残容量の管理や、PDU21を介したバッテリ19の充放電の制御を行う。
トルク管理ECU41でのトルク配分量の演算結果に基づいて、モータ2の出力トルクを制御する。なお、モータECU43は、この発明におけるモータ制御部を構成している。
<通常走行時>
自動変速機5内の変速段がある段に固定された通常走行時には、運転者の駆動要求信号(例えば、アクセルペダル開度信号)と車両状態信号(例えば、車速信号)に基づいてトルク管理ECU41の駆動トルク演算部46(図2参照)が必要駆動トルクを演算し、その一方で、トルク管理ECU41のモータ制限トルク演算部47が、バッテリECU42とモータECU43からの電源状態とモータ状態の情報(例えば、バッテリ19の充放電状態やモータ巻線の負荷状態の情報)を基にしてモータ2の制限トルクを演算する。トルク管理ECU41では、これらの演算結果を基にし、さらにトルク配分演算部48において、エンジン1とモータ2のトルク配分を演算する。ここで演算されたトルク配分の情報はエンジン制御部45とモータECU43に出力され、エンジン制御部45とモータECU43はその演算結果を反映させるようにエンジン1とモータ2の出力トルクを制御する。
走行中に自動変速機5の変速を行うときには、変速機ECU40が油圧制御回路9の各バルブ類に指令を出力し、自動変速機5内の変速に関与するクラッチの油圧を制御する。具体的には、例えば、車速の上昇に伴って自動変速機5の変速段を2速から3速に変速する場合であれば、2速用のクラッチの油圧を漸減し、かつ、3速用のクラッチの油圧を漸増するように油圧の制御を開始する。こうして油圧の制御が開始されると、両クラッチが次第に半クラッチ状態に移行する。このとき、変速機ECU40には、自動変速機5内のクラッチ油圧や入力側と出力側の回転差、または回転比等の情報が入力され、変速機ECU40はこれらの情報に基づいて、トルクダウン制御(駆動源の出力トルクを一時的に減少させる制御)を開始する。
変速機ECU40では、まず、図4のS101において、トルクダウン制御を開始する所定のタイミングに達したかどうかを判断する。このタイミングの判断は、上記のクラッチ油圧や入出力の回転差、回転比等の情報に基づいて行う。このS101において、所定のタイミングに達したと判断したときにはS102に進み、達していないと判断したときには以降のフローを抜ける。
S102においては、変速機ECU40に予め記憶されている変速段毎のテーブルを参照して、現在のアクセル開度と車速に応じたトルクダウン要求量を求める。そして、この後S103において、S102で求めた要求量をトルク管理ECU41に通信して変速機ECU40での処理を終了する。
即ち、この制御装置は、前述のように車速やアクセル開度等の運転者の駆動トルク要求を判断可能な信号が変速機ECU40に直接入力されるようになっているため、通信故障の発生によって駆動源側のトルクダウンが不可能になったときには、変速機ECU40が車速やアクセル開度等の信号を基にして駆動源側の現在の出力トルクを演算し、その演算結果に基づいて自動変速機内のクラッチ油圧を制御するようになっている。具体的には、変速の開始前に通信故障が発見されたときには、例えば、クラッチ締結を解放する際の油圧を調整し、それによって変速ショックを吸収する。
車両の運転状況に応じて油圧制御回路9を介して自動変速機5を制御し、変速時には、駆動源側のトルクに応じて自動変速機5内のクラッチ油圧を制御し、それによって変速ショックを吸収する。なお、この実施形態の制御装置の場合も、車速やアクセル開度等の駆動要求を判断し得る情報は、基本的に第1の実施形態と同様に直接変速機ECU40に入力されるようになっている。
この実施形態の変速機ECU40の場合、車速やアクセル開度等の直接入力される情報から運転者の駆動トルク要求量を演算し、その駆動トルク要求量に対応するクラッチ油圧を求めると共に、トルク管理ECU41から通信によって受け取ったモータトルク不足量情報を基にしてクラッチ油圧を補正する。
運転者の駆動要求と車両の状態、バッテリ残容量等に応じて駆動源のエンジン1とモータ2のトルク配分量を演算し、その演算結果に基づいてエンジン1とモータ2にトルクを割り当てる。
また、エンジンの全開トルクを超える駆動トルク要求がトルク管理ECU41に入った場合には、エンジン1側が全開トルク分だけトルクを分担し、残余のトルクをモータ2が分担するようにトルクの割り当てを行う(図6参照)。つまり、この実施形態のハイブリッド車両の場合、駆動トルク要求に対して常にエンジン1の出力のみでカバーし得る仕様にはなっておらず、ある値以上の駆動トルク要求に対してはエンジン1の全開トルクとモータ2のトルクの和によって対応するようになっている。
このようなハイブリッド車両においては、バッテリ19の残容量の減少等によってモータ2が所期のトルクを発生できなくなることがあり、この場合、図6に示すモータトルク不足量ΔMtが発生する。この実施形態のトルク管理ECU41においては、このモータトルク不足量ΔMtを求め、そのモータトルク不足量ΔMtの情報を変速機ECU40に通信する。
まず、S301においては、自動変速機5の変速開始条件が満たされたか否かを判断し、満たさないと判断したときには処理を抜け、満たしたと判断したときにはS302に進む。ここでは、現在の変速段と、車速とアクセルペダル開度に対応する(駆動トルク要求に対応する)最適なクラッチ油圧を求める。このクラッチ油圧は、例えば、車速とアクセルペダル開度に対応する値を規定した図7に示すようなテーブルを変速段毎に変速機ECU40に予め記憶させておき、このテーブルを検索することによって求める。なお、ここで「最適なクラッチ油圧」とは、半クラッチ状態を長引かせることなく変速ショックを確実に吸収し得る油圧のことを言う。
次のS303においては、トルク管理ECU41から受け取ったモータ2のトルク不足量情報を読み込み、トルク不足量に対応するクラッチ油圧補正値を求める。クラッチ油圧補正値は、例えば、図8に示すようなテーブルを変速段とアップシフト、ダウンシフト毎に変速機ECU40に予め記憶させておき、このテーブルを検索することによって求める。
この後、S304に進み、変速時における自動変速機5内のクラッチ油圧を、S302で求めたクラッチ油圧からS303で求めた補正値を差し引くことによって求め、その値になるようにクラッチ油圧を制御する。
Claims (4)
- 駆動源としてエンジンとモータを備え、これらエンジンとモータの駆動力が自動変速機を介して車輪に伝達されるハイブリッド車両に搭載され、自動変速機での変速時に、駆動源のトルクを一時的に減少させることによって変速ショックを低減する制御装置において、
自動変速機内のクラッチ油圧を制御すると共に、運転状況に応じて変速時における駆動源側へのトルクダウン要求量を演算する変速機コントローラと、
運転状況に応じて駆動源のエンジンとモータのトルク配分量を演算して、その演算結果をエンジン制御部とモータ制御部に出力するトルク管理コントローラと、を備え、
前記変速機コントローラとトルク管理コントローラは、変速機コントローラからトルク管理コントローラへのトルクダウン要求の通信が可能とされ、
前記トルク管理コントローラは、変速時に、変速機コントローラからトルクダウン要求量の情報入力を受けたときに、エンジンのトルクダウン分を優先して割り当て、残余のトルクダウン分をモータに割り当てることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 前記変速機コントローラは、自動変速機内のクラッチ油圧、入出力の回転差、回転比の少なくともいずれか一つを監視し、この監視情報を基にして所定タイミングでトルク管理コントローラに対するトルクダウン要求の通信を行うことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記変速機コントローラとトルク管理コントローラの間に通信故障が発生したときには、変速機コントローラは運転状況の入力に基づいて駆動源側の現在の発生トルクを演算し、その演算結果に基づいて自動変速機内のクラッチ油圧を制御することを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 駆動源としてエンジンとモータを備え、これらエンジンとモータの駆動力が自動変速機を介して車輪に伝達されるハイブリッド車両に搭載され、自動変速機での変速時に、自動変速機内のクラッチ油圧を制御して変速ショックを低減する制御装置において、
自動変速機内のクラッチ油圧を変速時の運転状況に応じて制御する変速機コントローラと、
運転状況に応じて駆動源のエンジンとモータのトルク配分量を演算して、その演算結果をエンジン制御部とモータ制御部に出力するトルク管理コントローラと、を備え、
前記変速機コントローラとトルク管理コントローラは、トルク管理コントローラから変速機コントローラへの情報通信が可能とされ、
前記トルク管理コントローラは、エンジンの全開トルクを超える駆動トルク要求を運転者側から受け、そのときモータがモータ分担分のトルクを発生できないときには、そのときのモータトルク不足量情報を変速機コントローラに通信し、
前記変速機コントローラでは、運転状況に応じて決まる自動変速機内のクラッチ油圧を、前記モータトルク不足量情報に基づいて補正することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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