JP4253542B2 - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機の制御技術に関し、特に、ガレージシフト時などの自動変速機が非駆動ポジションから駆動ポジションへ変速する際のショックを防止する制御技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載される自動変速機には、有段式と無段式の変速機があり、有段式の自動変速機は、トルクコンバータなどの流体継手と歯車式変速機構とから構成される。
【0003】
この有段式の自動変速機は、エンジンと、トルクコンバータ等の流体継手を介して接続される。有段式の自動変速機は、複数の動力伝達経路を有してなる変速機構(遊星歯車式減速機構)から構成され、たとえば、アクセル開度および車速に基づいて自動的に動力伝達経路の切換えを行なう、すなわち自動的に変速比(走行速度段)の切換えを行なうように構成される。有段式の自動変速機においては、摩擦要素である、クラッチ要素やブレーキ要素やワンウェイクラッチ要素が、所定の状態に係合および解放されることにより、ギヤ段が決定される。
【0004】
このような自動変速機において、一般的に、自動変速機を有した車両には運転者により操作されるシフトレバーが設けられ、シフトレバー操作に基づいて変速ポジション(たとえば、後進走行ポジション、ニュートラルポジション、前進走行ポジション)が設定されている。
【0005】
このような構成を有する自動変速機を搭載した車両が、道路走行前の車庫出しや道路走行後の車庫入れ等のために、パーキング(P)ポジションから後進走行のための後進走行(R)ポジション、あるいはニュートラル(N)ポジションから走行のための前進走行(D)ポジションまたは後進走行(R)ポジションへのシフト、いわゆるガレージシフトが行なわれる。
【0006】
このガレージシフトにおいて、自動変速機の状態が、非駆動ポジション(ニュートラル(N)ポジション)から駆動ポジション(前進走行(D)ポジションや後進走行(R)ポジション)に変更される場合が含まれる。このときに発生する種々の課題を解決するために、以下に示すような従来技術が開示されている。
【0007】
特開平5−157165号公報(特許文献1)は、自動変速機のニュートラルからリバースへのシフト時の変速ショックを防ぐ自動変速機のサーボ油圧制御装置を開示する。この自動変速機のサーボ油圧制御装置は、入力軸と出力軸との間に遊星歯車機構を備え、遊星歯車機構の変速要素をサーボ油圧の制御による摩擦係合手段の係合解放によりつなぎ変えて複数の速度段を達成する車両用自動変速機において、リバースレンジにおいて同時に係合される第1および第2の摩擦係合手段と、それら摩擦係合手段にサーボ油圧を供給する第1および第2のサーボ圧供給系統と、第1のサーボ圧供給系統中に介装されてサーボ油圧を調圧する調圧弁と、調圧弁を調圧制御するソレノイドと、ソレノイドに調圧弁を制御する信号を出力する電子制御装置と、リバースレンジへのシフトを検出するシフトレンジ検出装置とを備え、調圧弁の制御は、シフトレンジ検出装置のリバースレンジへのシフト検出時に、第2の摩擦係合手段の係合動作中に第1の摩擦係合手段の係合動作を包含させるべく電子制御装置の出力に応じたソレノイドにより成される。
【0008】
特許文献1に開示された自動変速機のサーボ油圧制御装置によると、リバースレンジへの切換時に、第1の摩擦係合手段の係合動作が第2の摩擦係合手段の係合動作中に包含されるため、第1の摩擦係合手段の係合動作による係合ショックを第2の摩擦係合手段の係合動作中に吸収させて、第2の摩擦係合手段の係合動作の円滑化を図るのみでシフトショックを抑制することができる。
【0009】
特開平10−227356号公報(特許文献2)は、N→Dセレクト時の第1速への変速に際し、一旦高速側変速段にして第1速にする場合に、第1速選択用摩擦要素の締結圧を適切に過渡制御する自動変速機の変速制御装置を開示する。この自動変速機の変速制御装置は、複数の摩擦要素を選択的に締結させることにより複数の変速段で入力軸から出力軸への動力伝達が可能な自動変速機に用いられ、複数の摩擦要素を全て解放させて入力軸から出力軸への動力伝達を不能にする中立レンジから、複数の変速段のどれかを選択可能な前進レンジへのレンジ切り換え時、先ず第1速よりも高速側の変速段を選択するに際して締結すべき第1速選択用摩擦要素および高速側変速段選択用摩擦要素のうち、単独では動力伝達を行わない高速側変速段選択用摩擦要素を締結させ、次いで第1速選択用摩擦要素を締結させて高速側変速段が選択された状態にし、その後に高速側変速段選択用摩擦要素を解放させて第1速選択状態にする変速制御装置であって、レンジ切り換えから設定時間が経過するまでの間、第1速選択用摩擦要素の締結を禁止するよう構成した。
【0010】
特許文献2に開示された自動変速機の変速制御装置によると、レンジ切り換えから設定時間が経過するまでの間、第1速選択用摩擦要素の締結を禁止するため、ライン圧が一時的に大きく低下している間は第1速選択用摩擦要素の締結、つまりこれへの作動油圧の供給を禁止することとなり、ライン圧が一時的に大きく低下しているために、第1速選択用摩擦要素への作動油圧の微妙な供給制御が叶わないにもかかわらず、第1速選択用摩擦要素への作動油圧の供給が実行されてスクォ−ト防止効果が得られなくなるといった問題を解消することができる。
【0011】
特開2003−106435号公報(特許文献3)は、Rレンジに少なくとも2つの締結要素を締結する自動変速機において、Nレンジ又はPレンジからRレンジに切り換えたとしても、ショックや異音が発生することなく、かつ、素早く切り換えることができる自動変速機の変速制御装置を開示する。この自動変速機の変速制御装置は、自動変速機の変速に関与する複数の摩擦要素への締結圧を制御する油圧制御手段を設け、変速判断時、油圧制御手段に対し変速要求内容に応じた締結圧または解放圧の制御指令を出力することで複数の前進ギア段を達成するとともに、複数の摩擦要素に締結指令を出力することで後退速を達成する変速制御手段を設けた自動変速機の変速制御装置であって、運転者が操作するシフトレバーのレンジ位置を検出するレンジ位置検出手段と、車速が所定値以下で、かつ、レンジ位置検出手段からのレンジ信号がパーキングレンジ又はニュートラルレンジのときに、後退速を達成する複数の摩擦要素の1つを締結するセレクト制御手段とを備える。
【0012】
特許文献3に開示された自動変速機の変速制御装置によると、セレクト制御手段において、車速が所定値以下で、かつ、レンジ信号がパーキングレンジ又はニュートラルレンジのときに、後退速を達成する複数の摩擦要素の1つが締結されることで、パーキングレンジ又はニュートラルレンジからリバースレンジに切り換えたときに、1つの摩擦要素のみ締結すればよく、ショックや異音が発生することなく、かつ、素早く切り換えることができる。
【0013】
【特許文献1】
特開平5−157165号公報
【0014】
【特許文献2】
特開平10−227356号公報
【0015】
【特許文献3】
特開2003−106435号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したいずれの特許文献も、N→RやN→Dの変速要求を検知した後の制御に関するものである。
【0017】
特許文献1には、摩擦係合要素(クラッチ要素やブレーキ要素)の係合圧をコントロールバルブによって直接調圧するように油圧回路を構成して、その調圧レベルをリニアソレノイドバルブによって変更するようにした直接圧制御(直圧制御、ダイレクトクラッチ制御等とも記載する)が開示されている。この直接圧制御は、0kPaから連続的に摩擦係合要素への供給油圧をコントロールして摩擦係合要素による伝達トルクを制御できる。また、摩擦係合要素からの排出油圧もコントロールできる。
【0018】
特許文献2には、N→D時のスクォート制御が開示されている。車両が停止した状態で、ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションに変更した場合には、車速が零であることにより走行状態に基づいて決まる変速段が第1速(1stギヤ段)となり、この第1速は前進段で最も変速比が大きいから、ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)レンジに変更した場合に、この第1速を直ちに設定するとすれば、出力トルクの変化幅が極めて大きくなる。そのため動力伝達系統の捩り弾性などによって車体の後部が沈み込むいわゆるスクォート現象が生じ、これが原因で乗り心地が悪化することがある。このような不都合を解消するために、従来、ニュートラル(N)ポジションやから前進走行(D)ポジションに変更した場合に、一時的に高速側の変速段を設定する変速を実行し、出力軸トルクの急激な増大を抑制するスクォート制御が行なわれている。このスクォート制御は、車両が実質的に停止している状態で、非駆動ポジションから駆動ポジションに変更された場合に、走行のための変速段を設定する間に許容される短時間のうちに、一時的に高速側の変速段を設定して、出力軸に現れるトルクを段階的もしくは滑らかに増大させる制御である。
【0019】
このように、ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションへの変速時に入力クラッチC1が解放状態から係合状態にされる。この入力クラッチC1は、前進走行(D)ポジションにおいて必ず係合状態にされる摩擦係合要素である。
【0020】
N→Dのとき、入力クラッチC1の係合ショックを発生させないように直接圧制御により入力クラッチC1の係合圧が制御される。その後、入力クラッチC1のクラッチ圧不足を回避するために入力クラッチC1にはライン圧が供給される。また、このときにスクォート制御が実行され、入力クラッチC1の係合圧が緩やかに上昇している過程において、入力クラッチC1が係合状態になるよりも先にスクォート制御を実現するブレーキ要素B2を係合させるようにしている。
【0021】
このような場合において、フェールセーフ上、油路構成やソレノイドパターンが、以下のように構成されている。
【0022】
N(R)ポジションにおいては、ニュートラルスタートスイッチのN接点(R接点)のフェール時においても、前進走行(D)ポジションにおける入力クラッチC1のトルク容量を確保するために、ニュートラル(N)ポジション時においても後進走行(R)ポジション時においても前進走行(D)ポジションの1stと同等となるソレノイドパターンを出力し、油路を構成していた。このとき、入力クラッチC1は、直接圧制御ではなくライン圧供給であって、また、スクォート制御を行なうためのブレーキ要素B2については解放側になっていた。
【0023】
このため、運転者のN→D操作に応答してマニュアルバルブのDポジション供給ポートが開いてからD接点信号に基づいてN→D時のソレノイドパターンを出力し、油路を構成するようにしていたのでは、入力クラッチC1を、ライン圧供給から直接圧制御に切換えるまでに、入力クラッチC1にライン圧が供給される可能性がある。このとき、入力クラッチC1が係合してしまい入力クラッチC1の急激な係合による変速ショックが発生する。
【0024】
さらに、この場合において、スクォート制御するブレーキ要素B2は解放側であることと、入力クラッチC1が急激に係合してしまうことから、ブレーキ要素B2に係合油が供給されて係合する前に入力クラッチC1が係合してしまい、スクォート制御が作用しなくなる。
【0025】
図7にこの状態をタイミングチャートで示す。図7に示すように、N→D時において、入力クラッチC1が直接圧制御になる自動変速機の場合、ニュートラル(N)ポジション中においては、1st定常状態である入力クラッチC1にはライン圧が供給される油路の状態になっている。N→D操作でマニュアルバルブのDポートが開くタイミングが、N→D時のソレノイドパターン(入力クラッチC1は直接圧制御)に切換わるタイミングよりも早いと、入力クラッチC1にライン圧が供給され、スクォート制御を行なうブレーキ要素B2の係合も間に合わないで、変速ショックや車体の後部が沈み込むいわゆるスクォート現象が生じる。図7に示すように、一時的に入力クラッチC1にライン圧が供給されてしまい、ブレーキ要素B2係合圧の供給が遅れ、ブレーキ要素B2が係合する前に入力クラッチC1が係合して、アウトプットトルクが変動して、変速ショックが生じる。
【0026】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、自動変速機の状態が、非駆動ポジションから駆動ポジションへ変更されたときに変速ショックを防止する、自動変速機の変速制御装置を提供することである。
【0027】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る自動変速機の変速制御装置は、エンジンからの出力を変速して動力を伝達する自動変速機を制御する。自動変速機は、駆動ポジションである場合に係合されて、非駆動ポジションである場合に解放される摩擦係合要素を含む。摩擦係合要素の係合圧は直接圧制御が可能であって、この変速制御装置では、非駆動ポジションであることを検知するための検知手段と、非駆動ポジションであることが検知されている場合において、予め定められた条件を満足すると、駆動ポジションから非駆動ポジションに変更されたときに摩擦係合要素が直接圧制御されるような油路を予め構成するための構成手段と、構成手段により油路が構成されている場合には、摩擦係合要素による動力の伝達が発生しないような油圧指令値を設定するための設定手段とを含む。
【0028】
第1の発明によると、非駆動ポジション(ニュートラル(N)ポジション)であっても、予め定められた条件が満足(たとえば、ブレーキオンであってアクセルオフであって停車時であるという条件を満足)すると、まもなく駆動ポジション(前進走行(D)ポジション)に変更されると判断する。このような場合、非駆動ポジションから駆動ポジションになったときに(ニュートラル(N)ポジションではなく前進走行(D)ポジションになったときに)、摩擦係合要素が直接圧制御されるように、油路を予め構成しておく。このときに、設定手段により、摩擦係合要素による動力の伝達が発生しないような油圧指令値が設定される。これにより、非駆動ポジション(ニュートラル(N)ポジション)の場合において、通常はライン圧制御になっている油路の状態を、直接圧制御する油路の状態に予め切換えておく。すなわち、非駆動ポジション(ニュートラル(N)ポジション)中においては、通常は、1st定常状態であるように、摩擦係合要素にはライン圧が供給される油路の状態になっている。この状態では、N→D操作でマニュアルバルブのDポートが開くタイミングが、N→D時のソレノイドパターンに切換わるタイミングよりも早いと、摩擦係合要素にライン圧が供給されてしまい、係合圧が上昇する。第1の発明では、N→D時の前において、予め定められた条件が成立すると、摩擦係合要素を直接圧制御できるような油路に予め切換えるとともに、摩擦係合要素による動力の伝達が発生しないようにしている。そのため、摩擦係合要素にライン圧が供給されてしまうことがなくなるともに、直接圧制御により不要な動力が伝達されることもない。その結果、自動変速機の状態が、非駆動ポジションから駆動ポジションへ変更されたときに変速ショックを防止する、自動変速機の変速制御装置を提供することができる。
【0029】
第2の発明に係る自動変速機の変速制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、摩擦係合要素の係合圧は、直接圧制御による調整圧であるかまたはライン圧であるかのいずれかである。構成手段は、摩擦係合要素にライン圧が供給される油路から、摩擦係合要素が直接圧制御されるような油路に切換えるための手段を含む。
【0030】
第2の発明によると、構成手段により、N→Dの操作前に、摩擦係合要素にライン圧が供給される油路から、摩擦係合要素が直接圧制御されるような油路に切換えるようにしている。このため、N→D操作でマニュアルバルブのDポートが開くタイミングが、N→D時のソレノイドパターンに切換わるタイミングよりも早くても、摩擦係合要素にライン圧が供給されることがなくなる。
【0031】
第3の発明に係る自動変速機の変速制御装置においては、第1または2の発明の構成に加えて、自動変速機は、スクォート制御を実行するためのスクォート摩擦係合要素をさらに含み、スクォート摩擦係合要素の係合圧は直接圧制御される。自動変速機の変速制御装置は、非駆動ポジションであって、予め定められた条件を満足すると、スクォート摩擦係合要素の油圧指令値を予め設定するためのスクォート油圧設定手段をさらに含む。
【0032】
第3の発明によると、非駆動ポジション(ニュートラル(N)ポジション)であっても、予め定められた条件が満足(たとえば、ブレーキオンであってアクセルオフであって停車時であるという条件を満足)すると、まもなく駆動ポジション(前進走行(D)ポジション)に変更されると判断する。このような場合、非駆動ポジションでなくなったとき(駆動ポジションになったとき)に備えて、直接圧制御されるスクォート摩擦係合要素の油圧指令値を予め設定しておく。このため、たとえ、駆動時に係合される摩擦係合要素にライン圧が供給されて急係合する可能性がある場合でも、スクォート摩擦係合要素の油圧指令値を予め設定しているので、スクォート制御を確実に行なうことができる。
【0033】
第4の発明に係る自動変速機の変速制御装置においては、第3の発明の構成に加えて、スクォート油圧設定手段は、摩擦係合要素により動力が伝達される油圧指令値が設定手段により設定される前に、スクォート摩擦係合要素の油圧指令値を設定するための手段を含む。
【0034】
第4の発明によると、駆動時に係合される摩擦係合要素もスクォート摩擦係合要素も直接圧制御が行なわれる場合において、駆動時に係合される摩擦係合要素が動力を伝達する前に、スクォート摩擦係合要素の油圧指令値が設定される。このため、駆動時に係合される摩擦係合要素に油圧が供給される前に、スクォート摩擦係合要素の油圧指令値が必ず設定されるので、スクォート制御を確実に行なうことができる。
【0035】
第5の発明に係る自動変速機の変速制御装置においては、第4の発明の構成に加えて、スクォート油圧設定手段は、アイドル時のエンジンのトルクに対してスクォート摩擦係合要素が必要なトルク容量を確保可能な値を、スクォート摩擦係合要素の油圧指令値として予め設定するための手段を含む。
【0036】
第5の発明によると、スクォート摩擦係合要素の油圧指令値としてアイドル時のエンジンのトルクに対してスクォート摩擦係合要素が必要なトルク容量を確保可能な値に設定されるので、スクォート制御を確実に行なうことができる。
【0037】
第6の発明に係る自動変速機の変速制御装置においては、第1〜5のいずれかの発明の構成に加えて、予め定められた条件は、ブレーキオンであってアクセルオフであって停車時であるという条件であるものである。ここで記載する停車時とは、所定車速以下または車速0を停車時と判断する。
【0038】
第6の発明によると、ブレーキオンであってアクセルオフであって停車時であると、非駆動状態(ニュートラル(N)ポジション)であっても、前進走行(D)ポジションに変更される可能性が高いので、構成手段により、前進走行ポジションで係合される摩擦係合要素を直接圧制御できるような油路を構成することができる。
【0039】
第7の発明に係る自動変速機の変速制御装置においては、第1〜6のいずれかの発明の構成に加えて、駆動ポジションは、前進走行ポジションであって、非駆動ポジションは、ニュートラルポジションであって、摩擦係合要素は入力クラッチである。
【0040】
第7の発明によると、ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションへの変速時に、入力クラッチへの油圧供給回路をライン圧側から直接圧側に切換えておく。このため、前進走行(D)ポジションに切換えられても、入力クラッチにライン圧が供給されることがなくなり、変速ショックが抑制できる、自動変速機の変速制御装置を提供することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0042】
本実施の形態に係る制御装置を含む車両のパワートレーンについて説明する。本実施の形態に係る制御装置は、図1に示すECU(Electronic Control Unit)1000により実現される。自動変速機は、流体継手であるトルクコンバータ200と、遊星歯車式変速機構である自動変速機構300とから構成される。
【0043】
図1を参照して、本実施の形態に係る制御装置を含む車両のパワートレーンについて説明する。本実施の形態に係る制御装置は、より詳しくは、図1に示すECU1000の中のECT(Electronic Controlled Automatic Transmission)_ECU1020により実現される。
【0044】
図1に示すように、この車両のパワートレーンは、エンジン100と、トルクコンバータ200と、自動変速機構300と、ECU1000とから構成される。
【0045】
エンジン100の出力軸は、トルクコンバータ200の入力軸に接続される。エンジン100とトルクコンバータ200とは回転軸により連結されている。したがって、エンジン回転数センサ400により検知されるエンジン100の出力軸回転数NE(エンジン回転数NE)とトルクコンバータ200の入力軸回転数(ポンプ回転数)とは同じである。
【0046】
トルクコンバータ200は、入力軸と出力軸とを直結状態にするロックアップクラッチ210と、入力軸側のポンプ羽根車220と、出力軸側のタービン羽根車230と、ワンウェイクラッチ250を有するトルク増幅機能を発現するステータ240とから構成される。トルクコンバータ200と自動変速機構300とは、回転軸により接続される。トルクコンバータ200の出力軸回転数NT(タービン回転数NT)は、タービン回転数センサ410により検知される。自動変速機構300の出力軸回転数NOUTは、出力軸回転数センサ420により検知される。
【0047】
ロックアップクラッチ210は、油圧を供給するロックアップリレーバルブによって油圧の供給/排出が係合側と解放側とで切換えられて作動させられ、ロックアップピストンが軸方向に移動することによって、ロックアップピストンとフロントカバーとが摩擦材を介して接離させる。また、ロックアップクラッチ210によってトルクコンバータ内が区画され、ロックアップピストンとフロントカバーとの間に、ロックアップクラッチ210を解放するための解放側油室が、ロックアップピストンとタービンランナとの間にロックアップクラッチ210を係合させるための係合側油室がそれぞれ形成され、解放側油室および係合側油室に、バルブボディ内の油圧回路から油圧が供給されるようになっている。
【0048】
図2に自動変速機構300の作動表を示す。図2に示す作動表によると、摩擦要素であるクラッチ要素(図中のC1〜C4)や、ブレーキ要素(B1〜B4)、ワンウェイクラッチ要素(F0〜F3)が、どのギヤ段の場合に係合および解放されるかを示している。車両の発進時に使用される1速時には、クラッチ要素(C1)、ワンウェイクラッチ要素(F0、F3)が係合する。これらのクラッチ要素の中で、特に、クラッチ要素C1を入力クラッチ(C1)310という。この入力クラッチ(C1)310は、前進クラッチやフォワードクラッチとも呼ばれ、図2の作動表に示すように、パーキング(P)ポジション、後進走行(R)ポジション、ニュートラル(N)ポジション以外の、車両が前進するための変速段を構成する際に必ず係合状態で使用される。したがって、ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションに変更されると、必ずこの入力クラッチ(C1)310が解放状態から係合状態に変更される。また、スクォート制御のために、2ndの変速段を形成するブレーキ要素B2が解放状態から係合状態にされる。これらの入力クラッチ(C1)310およびブレーキ要素B2に関連する油圧回路の詳細については、後述する。
【0049】
これらのパワートレーンを制御するECU1000は、エンジン100を制御するエンジンECU1010と、自動変速機構300を制御するECT(Electronic Controlled Automatic Transmission)_ECU1020と、VSC(Vehicle Stability Control)_ECU1030とを含む。
【0050】
ECT_ECU1020には、タービン回転数センサ410からタービン回転数NTを表わす信号が、出力軸回転数センサ420から出力軸回転数NOUTを表わす信号が入力される。また、ECT_ECU1020には、エンジンECU1010から、エンジン回転数センサ400にて検知されたエンジン回転数NEを表わす信号と、スロットルポジションセンサにて検知されたスロットル開度を表わす信号とが入力される。
【0051】
これら回転数センサは、トルクコンバータ200の入力軸、トルクコンバータ200の出力軸および自動変速機構300の出力軸に取り付けられた回転検出用ギヤの歯に対向して設けられている。これらの回転数センサは、トルクコンバータ200の入力軸、トルクコンバータ200の出力軸および自動変速機構300の出力軸の僅かな回転の検出も可能なセンサであり、たとえば、一般的に半導体式センサと称される磁気抵抗素子を使用したセンサである。
【0052】
さらに、ECT_ECU1020には、VSC_ECU1030から、Gセンサにて検知された車両加速度を表わす信号と、ブレーキがオン状態であることを表わす信号とが入力される。VSC_ECU1030は、ECT_ECU1020からブレーキ制御信号が入力され、車両のブレーキを制御する。VSC_ECU1030からECT_ECU1020にアクセル開度信号が送信される。
【0053】
ECT_ECU1020は、自動変速機構300の油圧回路のリニアソレノイド(SLT、SLU)や、オンオフソレノイドに、制御信号を出力する。これらの制御信号に基づいて、図2に示す所望の摩擦係合要素が係合されたり、解放されたりする。また、作動油の供給油路や排出油路が切換えられたり、さらに直接圧制御とライン圧制御(ライン圧が供給される制御)とが切換えられたりする。なお、ライン圧制御とは、直接圧制御を用いてリニアソレノイドバルブで調圧された油圧ではなく、ライン圧が摩擦係合要素に供給される場合の制御の状態を指し示し、以下の説明においては、このライン圧制御をライン圧供給とも記載する。
【0054】
本発明の実施の形態に係る制御装置であるECU1000では、自動変速機構300の状態が、ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションに変更されたことに応答して、ECT_ECU1020が、N→Dへの移行中は入力クラッチ(C1)310を直接圧制御を行ない、その後、入力クラッチ(C1)310のトルク容量不足を回避するために、より油圧の高いライン圧制御に切換える。このように入力クラッチ(C1)310が解放状態から係合状態に変更される。この入力クラッチ(C1)310の係合過程においてブレーキ要素B2は直接圧制御が継続される。
【0055】
ECU1000では、自動変速機構300の状態がニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションに変更される前において、N接点がオフする前から(当然D接点がオンする前である)、入力クラッチ(C1)310へ係合圧を供給する油圧回路をライン圧供給回路ではなく直接圧制御回路に変更しておく。なお、D接点やN接点(他の接点を含む)は、自動変速機構300本体の横に搭載されたニュートラルスタートスイッチ(NSW)の電気的接点であって、それらの接点信号のオンオフ状態がECT_ECU1020に入力される。
【0056】
図3を参照して、本実施の形態に係る制御装置により制御される入力クラッチ(C1)310およびスクォート制御を実行するブレーキ要素B2に関連する油圧回路について説明する。図3に示す油圧回路は、全体の油圧回路の一部を示す。
【0057】
この油圧回路の最大の特徴は、入力クラッチ(C1)310をリニアソレノイドバルブ(SL1)により直接圧制御できるとともに、入力クラッチ(C1)310が直接圧制御からライン圧制御に切換わっても、ブレーキ要素B2は直接圧制御を継続できることである。さらに、N→Dの切換え前から入力クラッチ(C1)310にはライン圧を供給する油路ではなく、直接圧制御を実行するための油路が接続されている。
【0058】
入力クラッチ(C1)310は、SRソレノイドバルブにより制御されるC4リレーバルブに接続されている。C4リレーバルブは、クラッチコントロールバルブおよびSL1リレーバルブを介してリニアソレノイドバルブ(SL1)に接続されている。SL1リレーバルブには、S4ソレノイドバルブにより制御される4−5シフトバルブを介して作動油が供給される。また、ブレーキ要素B2も以下に示すように、直接圧制御可能なように油圧回路が構成されている。
【0059】
ブレーキ要素B2は、S4ソレノイドバルブにより制御されるシーケンスバルブに接続されている。シーケンスバルブは、ブレーキコントロールバルブを介してリニアソレノイドバルブ(SL2)に接続されている。シーケンスバルブには、S4ソレノイドバルブにより制御される4−5シフトバルブを介して作動油が供給される。
【0060】
したがって、入力クラッチ(C1)310は、リニアソレノイドバルブ(SL1)により直接圧制御における油圧が調圧され、ブレーキ要素B2、リニアソレノイドバルブ(SL2)により直接圧制御における油圧が調圧される。また、SRソレノイドバルブがオフ(×)からオン(○)に切換わることにより、C4リレーバルブが左側の状態から右側の状態に切換わり、直接圧制御からライン圧制御に切換わる。
【0061】
この場合において、SRソレノイドバルブがオフ(×)からオン(○)に切換わっても、ブレーキ要素B2においては直接圧制御が継続される。ブレーキ要素B2は、S4ソレノイドバルブがオン状態(○)からオフ(×)に切換わることによって、4−5シフトバルブが右側の状態から左側の状態に切換わり、直接圧制御からドレン状態に切換わる。なお、ブレーキ要素B2の直接圧アプライおよび直接圧ドレンは、リニアソレノイド(SL2)への制御指令値により指示される。
【0062】
図4(A)に関連するソレノイドバルブの作動表を、図4(B)に作動表により作動された場合のタイミングチャートを示す。ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションに変速されたときに、入力クラッチ(C1)310の直接圧制御とライン圧制御とは、SRソレノイドバルブのオンオフにより切換えられる。SRソレノイドバルブがオフ(×)で直接圧制御、SRソレノイドバルブがオン(○)でライン圧制御される。この場合、他のソレノイドバルブは、S1ソレノイドバルブがオフ(×)、S2ソレノイドバルブ、S3ソレノイドバルブおよびS4ソレノイドバルブがオン(○)である。この直接圧制御により、入力クラッチ(C1)310の係合開始タイミングおよび係合圧を、ECT_ECU1020がリニアソレノイドバルブ(SL1)へ出力する指令信号値により制御することが可能である。
【0063】
図4(A)および図4(B)に示すように、入力クラッチ(C1)310が、直接圧制御からライン圧制御とに切換わっても、ブレーキ要素B2の制御は、直接圧制御のままである。
【0064】
また、N→Dの切換え前において、入力クラッチ(C1)310は直接圧制御になっている(従来は、図7に示すように、N→Dの切換え前において、入力クラッチ(C1)310はライン圧供給)。さらに、N→Dの切換え前において、ブレーキ要素B2の直接圧制御指令値(なお、直接圧制御指令値を単に直接圧指令値と記載する場合がある)を最大指令値にしている(従来は、図7に示すように、N→Dの切換え後にB2直接圧制御指令値を立ち上げていた)。
【0065】
なお、前進走行(D)ポジションの1stのギヤ段では、S1ソレノイドバルブがオフ(×)、S2ソレノイドバルブおよびS3ソレノイドバルブががオン(○)、S4ソレノイドバルブがオフ(×)、SRソレノイドバルブがオン(○)で、入力クラッチ(C1)310はライン圧制御される。このとき、ブレーキ要素B2は、ドレン状態とされて、スクォート制御が終了することになる。
【0066】
図5を参照して、本実施の形態に係る制御装置であるECT_ECU1020で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
【0067】
ステップ(以下、ステップをSと略す。)100にて、ECT_ECU1020は、ニュートラル(N)ポジションであるか否かを判断する。この判断は、ニュートラルスタートスイッチ(NSW)のN接点のオンオフ状態に基づいて行われる。ニュートラル(N)ポジションであると(S100にてYES)、処理はS110へ移される。もしそうでないと(S100にてNO)、処理はS200へ移される。
【0068】
S110にて、ECT_ECU1020は、ブレーキがオンかつアクセルがオフかつ車両が停止しているか否かを判断する。ブレーキがオンかつアクセルがオフかつ車両が停止していると(S110にてYES)、処理はS120へ移される。もしそうでないと(S110にてNO)、処理はS140へ移される。
【0069】
S120にて、ECT_ECU1020は、ガレージシフト制御中(R→N、D→N)でないか否かを判断する。ガレージシフト制御中でないと(S120にてYES)、処理はS130へ移される。もしそうでないと(S120にてNO)、処理はS150へ移される。
【0070】
S130にて、ECT_ECU1020は、Nポジション時C1直接圧制御回路のソレノイドパターンを出力する。このとき、C1直接圧指令値は最小値に、B2直接圧指令値は最大に設定される。
【0071】
S140にて、ECT_ECU1020は、通常ソレノイドパターンを出力する。このとき、通常C1直接圧指令値を最大値(すなわち、フェールセーフ上、係合側になるように)、通常B2直接圧指令値を最小値(すなわち、フェールセーフ上、解放側になるように)とする制御指令値が、ECT_ECU1020からリニアソレノイドバルブに出力される。
【0072】
S150にて、ECT_ECU1020は、ガレージシフト制御用C1直接圧制御回路のソレノイドパターンを出力する。このとき、ガレージシフト時の直接圧指令値がECT_ECU1020からリニアソレノイドに出力される。
【0073】
なお、S130、S140およびS150の処理の後、処理は終了する。
S200にて、ECT_ECU1020は、変速ポジションが後進走行(R)ポジションであるか否かを判断する。後進走行(R)ポジションであると(S200にてYES)、処理はS210へ移される。もしそうでないと(S200にてNO)、処理はS300へ移される。
【0074】
S210にて、ECT_ECU1020は、ブレーキオンかつアクセルオフかつ車両が停止しているか否かを判断する。ブレーキオンかつアクセルオフかつ車両停止状態であると(S210にてYES)、処理はS220へ移される。もしそうでないと(S210にてNO)、処理はS240へ移される。
【0075】
S220にて、ECT_ECU1020は、ガレージシフト制御中(N→R、D→R)でないか否かを判断する。ガレージシフト制御中でないと(S220にてYES)、処理はS230へ移される。もしそうでないと(S220にてNO)、処理はS250へ移される。
【0076】
S230にて、ECT_ECU1020は、Rポジション時C1直圧制御回路のソレノイドパターンを出力する。このとき、C1直接圧指令値は最小値になるようにリニアソレノイドに制御信号が出力される。
【0077】
S240にて、ECT_ECU1020は、通常ソレノイドパターンを出力する。このとき通常C1直接圧指令値を最大値(すなわち、フェールセーフ上、係合側になるように、通常B2直接圧指令値を最小値(すなわち、フェールセーフ上、解放側になるように)とする制御指令値が、ECT_ECU1020からリニアソレノイドバルブに出力される。
【0078】
S250にて、ECT_ECU1020は、ガレージシフト制御用C1直接圧制御回路のソレノイドパターンを出力する。このとき、ガレージシフト時の直接圧指令値がECT_ECU1020からリニアソレノイドに出力される。
【0079】
なお、S230、S240およびS250の処理の後、この処理を終了する。
S300にて、ECT_ECU1020は、変速ポジションが前進走行(D)ポジションであるか否かを判断する。前進走行(D)ポジションであると(S300にてYES)、処理はS310へ移される。もしそうでないと(S300にてNO)、この処理を終了する。
【0080】
S310にて、ECT_ECU1020は、N→D制御を開始する。S320にて、ECT_ECU1020は、N→D制御開始から一定時間が経過したか否かを判断する。N→D制御開始から一定時間が経過すると(S320にてYES)、処理はS340へ移される。もしそうでないと(S320にてNO)、処理はS330へ移される。
【0081】
S330にてECT_ECU1020は、C1油圧制御遅延処理を実行する。S340にて、ECT_ECU1020は、C1油圧制御開始を実行する。
【0082】
なお、このS330およびS340の処理の後、この処理は終了する。
図5に示すフローチャートにおいては、サイクルタイム(たとえば100msec)ごとにこのフローチャートが繰返し実行される。
【0083】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る制御装置であるECT_ECU1020を搭載した車両の動作について説明する。
【0084】
シフトレバーがニュートラル(N)ポジションにあると(S100にてYES)、車両の状態が判断される。ブレーキがオン状態であって、アクセルがオフ状態であってかつ車両が停止している状態であると(S110にてYES)、ガレージシフト制御中でないかあるかが判断される。
【0085】
ガレージシフト制御中でない場合には(S120にてYES)、ニュートラルポジション時C1直圧制御回路のソレノイドパターンがECT_ECU1020から油圧回路に出力される。これにより、従来はニュートラル(N)ポジションにおいては、入力クラッチ(C1)310によるライン圧が供給されるような油路が構成されていたが、入力クラッチ(C1)310には直接圧制御により調圧された油圧が供給されるような油路が構成される。また、このとき、入力クラッチ(C1)310のC1直接圧指令値は入力クラッチ(C1)310がトルク容量を有さずにトルクを伝達しないような値に設定される。これにより、入力クラッチ(C1)310がトルク容量を持つことはなく、トルクが伝達されることはない。また、ニュートラル(N)ポジションにおいて(S100にてYES)、ブレーキオンかつアクセルオフかつ車両が停止状態で(S110にてYES)、ガレージシフト制御中でないと(S120にてYES)、スクォート制御を実行するブレーキ要素B2について、B2の直接圧指令値がアイドル時のエンジンのトルクに対してブレーキ要素B2が必要なトルク容量を確保可能な値として出力される。従来は、ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションへの変更を検知して、B2直接圧制御指令値を変更するようにしていた。S130における処理においては、B2の直接圧指令値をニュートラル(N)ポジションにおいてもアイドル時のエンジンのトルクに対してブレーキ要素B2が必要なトルク容量を確保可能な値として設定している。
【0086】
運転者がシフトレバーを操作してニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションに変速すると(S100にてNO、S300にてYES)、N→D制御が開始される(S310)。N→D制御の開始から一定時間が経過するまでは(S320にてNO)、C1油圧制御遅延処理が実行される(S330)。このとき、入力クラッチ(C1)310に対するC1直接圧制御指令値が時間遅れをもって立上がることになる。この状態を図6のC1直接圧制御指令値およびC1係合圧に示す。N→D制御開始から予め定められた一定時間が経過すると(S320にてYES)、C1油圧制御開始処理が実行される(S340)。このとき、図6に示すように、C1直接圧制御指令値が、まずステップ状に立上がり、その後なだらかに上昇して、C1直接圧制御における最大値から、ライン圧制御に移行する。
【0087】
本実施の形態に係る制御装置であるECT_ECU1020においては、ニュートラル(N)ポジションにおいて予め定められた条件(ブレーキオンかつアクセルオフかつ車両停止)が成立し、かつガレージシフト制御中でない場合には、ニュートラルポジション時C1直圧制御回路のソレノイドパターンになるようにソレノイド信号が出力される。これにより、従来はニュートラル(N)ポジションにおいては入力クラッチ(C1)310に供給される作動油はライン圧が供給されるような油路が構成されていたが、予め定められた条件が満たされた場合にはニュートラル(N)ポジションであっても入力クラッチ(C1)310には直接圧制御により調圧された作動油が供給されるような油路が構成されるようになる。このとき、入力クラッチ(C1)310がトルク容量を有さずにトルクを伝達しないような値としてC1直接圧指令値が出力される。
【0088】
また、これに同期させて、スクォート制御を実行するブレーキ要素B2の直接圧指令値が最大値として出力される。従来は、ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションへの変更に応答してB2直接圧制御指令値を立上げていたが、本実施の形態に係る制御装置であるECT_ECU1020においてはニュートラル(N)ポジションにおいて予めB2直接圧制御指令値をアイドル時のエンジンのトルクに対してブレーキ要素B2が必要なトルク容量を確保可能な値として設定していた。図6に示すようにB2直接圧制御指令値がこれに対応する。ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションに油圧回路が変更されると、B2係合圧が時間遅れなく立上がる。
【0089】
また、ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションに変更されると図6に示すようにC1直接圧制御指令値が予め定められた一定の遅れ時間を有してC1油圧制御が開始される。このため、従来のように入力クラッチ(C1)がライン圧が供給されて、スクォート制御を実行するブレーキ要素B2の係合圧が上昇する前に、入力クラッチ(C1)310の係合圧が上昇することがなくなる。すなわち、図6に示すアウトプットトルクの変動(点線)がなくなり、変速ショックがなくなる。
【0090】
以上のようにして、本実施の形態に係る制御装置であるECT_ECUによると、ニュートラル(N)ポジションであっても、予め定められたブレーキやアクセルや車両の停止状態に関する条件を満たす場合には、入力クラッチ(C1)に油圧を供給する油圧回路をライン圧からの油圧回路ではなく、直接圧により調圧された油圧が供給される油圧回路に切換えた。また、ニュートラル(N)ポジションにおいてスクォート制御を実行するブレーキ要素B2の直接圧指令値をアイドル時のエンジンのトルクに対してブレーキ要素が必要なトルク容量を確保可能な値とした。このため、ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションへの変更が行なわれた場合、入力クラッチC1に係合圧を供給する油路は、既にライン圧を供給する油路ではなく直接圧制御により調圧された作動油を供給する油路に切換えられているため、ライン圧が入力クラッチC1に供給されることはなく入力クラッチC1が急に係合することはない。また、ニュートラル(N)ポジションにおいてスクォート制御を実行するブレーキ要素に対する直接圧制御指令値を最大値として設定した。このため、前進走行(D)ポジションへの変更後に、速やかにブレーキ要素B2の係合圧が上昇しスクォート制御を的確に実行することができる。また、このスクォート制御に関連させて入力クラッチC1の直接圧制御指令値の立上がりを遅らせてある。このため、入力クラッチC1の係合前に必ずブレーキ要素B2が係合しスクォート制御を実行することができる。
【0091】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る自動変速機の制御ブロック図である。
【図2】 図1に示す自動変速機の作動表である。
【図3】 本発明の実施の形態に係る自動変速機の油圧回路を示す図である。
【図4】 図3の油圧回路の作動表およびタイミングチャートである。
【図5】 本発明の実施の形態に係るECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図6】 本発明の実施の形態に係る自動変速機が搭載された車両の動作を示すタイミングチャートである。
【図7】 従来の自動変速機が搭載された車両の動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
100 エンジン、200 トルクコンバータ、210 ロックアップクラッチ、220 ポンプ羽根車、230 タービン羽根車、240 ステータ、250 ワンウェイクラッチ、300 自動変速機構、310 入力クラッチ、400 エンジン回転数センサ、410 タービン回転数センサ、420 出力軸回転数センサ、1000 ECU、1010 エンジンECU、1020 ECT_ECU。

Claims (7)

  1. エンジンからの出力を変速して動力を伝達する自動変速機の変速制御装置であって、前記自動変速機は、駆動ポジションである場合に係合されて、非駆動ポジションである場合に解放される摩擦係合要素を含み、前記摩擦係合要素の係合圧は直接圧制御が可能であって、
    前記非駆動ポジションであることを検知するための検知手段と、
    前記非駆動ポジションであることが検知されている場合において、前記非駆動ポジションから前記駆動ポジションへ変更されるということが予測される条件を満足すると、前記非駆動ポジションから前記駆動ポジションに変更されたときに前記摩擦係合要素が直接圧制御されるような油路を、前記非駆動ポジションから前記駆動ポジションに変更される前に、予め構成するための構成手段と、
    前記構成手段により油路が構成されている場合には、前記摩擦係合要素による動力の伝達が発生しないような油圧指令値を設定するための設定手段とを含む、自動変速機の変速制御装置。
  2. 前記摩擦係合要素の係合圧は、直接圧制御による調整圧であるかまたはライン圧であるかのいずれかであって、
    前記構成手段は、前記摩擦係合要素にライン圧が供給される油路から、前記摩擦係合要素が直接圧制御されるような油路に切換えるための手段を含む、請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。
  3. 前記自動変速機は、スクォート制御を実行するためのスクォート摩擦係合要素をさらに含み、前記スクォート摩擦係合要素の係合圧は直接圧制御され、
    前記自動変速機の変速制御装置は、前記非駆動ポジションであって、前記非駆動ポジションから前記駆動ポジションへ変更されるということが予測される条件を満足すると、前記スクォート摩擦係合要素の油圧指令値を、前記非駆動ポジションから前記駆動ポジションに変更される前に、予め設定するためのスクォート油圧設定手段をさらに含む、請求項1または2に記載の自動変速機の変速制御装置。
  4. 前記スクォート油圧設定手段は、前記摩擦係合要素により動力を伝達させる油圧指令値が前記設定手段により設定される前に、前記スクォート摩擦係合要素の油圧指令値を設定するための手段を含む、請求項3に記載の自動変速機の変速制御装置。
  5. 前記スクォート油圧設定手段は、アイドル時のエンジンのトルクに対してスクォート摩擦係合要素が必要なトルク容量を確保可能な値を、前記スクォート摩擦係合要素の油圧指令値として予め設定するための手段を含む、請求項4に記載の自動変速機の変速制御装置。
  6. 前記非駆動ポジションから前記駆動ポジションへ変更されるということが予測される条件は、ブレーキオンであってアクセルオフであって停車時であるという条件である、請求項1〜5のいずれかに記載の自動変速機の変速制御装置。
  7. 前記駆動ポジションは、前進走行ポジションであって、前記非駆動ポジションは、ニュートラルポジションであって、前記摩擦係合要素は入力クラッチである、請求項1〜6のいずれかに記載の自動変速機の変速制御装置。
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