JP2004347063A - 車両の制御装置および制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フレックスロックアップ制御中の急制動時にエンジンストールを防止する。
【解決手段】フレックスロックアップ制御を実行する制御装置は、フレックスロックアップ状態であって(S100にてYES)、ブレーキがオンされると(S200にてYES)、エンジン回転数NEを検知するステップ(S300)と、エンジン回転数の時間変化率を算出するステップ(S400)と、エンジン回転数の時間変化率の絶対値が予め定められたしきい値より大きいと(S500にてYES)、ライン圧を制御するリニアソレノイド(SLT)にライン圧を上昇させる指令を出力するステップ(S600)と、トランスミッションソレノイドにダウンシフト指令を出力するとともに、リニアソレノイド(SLU)にロックアップクラッチの解放指令を出力するステップ(S700)とを含む。
【選択図】 図5
【解決手段】フレックスロックアップ制御を実行する制御装置は、フレックスロックアップ状態であって(S100にてYES)、ブレーキがオンされると(S200にてYES)、エンジン回転数NEを検知するステップ(S300)と、エンジン回転数の時間変化率を算出するステップ(S400)と、エンジン回転数の時間変化率の絶対値が予め定められたしきい値より大きいと(S500にてYES)、ライン圧を制御するリニアソレノイド(SLT)にライン圧を上昇させる指令を出力するステップ(S600)と、トランスミッションソレノイドにダウンシフト指令を出力するとともに、リニアソレノイド(SLU)にロックアップクラッチの解放指令を出力するステップ(S700)とを含む。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロックアップクラッチのスリップ制御に関し、特に、急制動時においてもエンジンストールを回避する車両の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トルクコンバータの入力側と出力側とを直結可能とするロックアップクラッチを制御する際に、入力側のポンプ回転速度(エンジン回転速度に対応)と出力側のタービン回転速度との回転差に応じて、そのロックアップクラッチの係合力を所定の状態にフィードバック制御し(スリップ制御し)、これによってトルクコンバータのスリップ状態を適正に制御して振動および騒音の発生を防止するととともに、燃費性能の改善を図るようにした技術が知られている。
【0003】
このような制御は、高度な電子制御により、ロックアップ作動領域を拡大したフレックスロックアップ制御とよばれる。この制御においては、ロックアップクラッチによる機械的な動力伝達とトルクコンバータによる流体な動力伝達との動力伝達配分を走行状態に応じて、きめ細かく制御することにより、伝達効率を大幅に高めている。このフレックスロックアップ制御においては、中間モード(ロックアップクラッチに微小な滑りを与えるスリップ制御)を低車速域まで広げて設定し、ロックアップ領域をより拡大する。
【0004】
また、減速時においてもロックアップクラッチを作動させることにより、フューエルカットされている時間(燃料の供給が中止されている時間)をできるだけ長く維持して燃費の向上を図るとともに、適度なエンジンブレーキを確保するようにすることできる。すなわち、アクセルペダルが解放されると、一般にエンジンのフューエルカットが実施されるが、このフューエルカットはエンジン回転速度が予め定められた値以下になると中止される。従って、ロックアップクラッチのスリップ制御によってエンジン回転数が急激に低下しないようにすることにより、フューエルカットされている時間を長く保つことができ、同時にこの間は適度なエンジンブレーキを確保することができるものである。
【0005】
このように多くの長所を有する一方、フレックスロックアップ制御において、急制動が発生すると、エンジンストールを避けるべく、ロックアップクラッチの早急な解放を行なうとともに、出力軸回転数が急激に低下するのでダウンシフトを早急に行ない、タービン回転数を上昇させてエンジン回転がタービン回転の低下に引き摺られないようにする必要がある。ロックアップ制御中の急制動等に関して、以下のような様々な技術が開示されている。
【0006】
特開平5−52258号公報(特許文献1)は、減速運転時にロックアップクラッチを設定締結力にスリップ制御する場合、その後の解放動作を素早くして、急制動時でのエンストを防止する自動変速機の変速装置を開示する。この制御装置は、トルクコンバータの入力軸と出力軸とを直結するロックアップクラッチと、ロックアップクラッチに油圧制御回路のライン圧を生成した残余の余剰油を供給してロックアップクラッチの締結力を調整する締結力調整部と、エンジンの減速運転時を検出する減速時検出部と、減速時検出部により検出された減速運転時にロックアップクラッチの締結力を設定値にするよう締結力調整部を制御する締結力制御部と、減速時検出部により検出された減速運転時に油圧制御回路のライン圧をスロットル弁開度の全閉時に相当する最低ライン圧よりも低く補正するライン圧補正部とを備える。
【0007】
この制御装置によると、ロックアップクラッチが設定締結力に制御されている減速運転時には、ライン圧はライン圧補正部によって最低ライン圧未満に低く補正される。このことにより、油圧制御回路からの油のリーク量が減少するので、その分、油圧制御回路の余剰油が多くなって、ロックアップクラッチに供給される油量が増大し、ロックアップクラッチの解放動作が従来に比して素早く行なわれることになる。従って、この減速運転時に急制動があっても、ロックアップクラッチが未だ締結状態にあることに起因するエンストが効果的に防止される。しかも、上記の減速運転時に変速が行なわれる場合には、ライン圧の低下補正が禁止されて、ライン圧は通常通りスロットル弁開度に応じたライン圧に復帰するので、変速機構の各摩擦要素の締結動作が所期通り良好に確保されて、変速が支障なく行なわれる。その結果、スロットル弁開度を全閉にした減速運転時にロックアップクラッチを設定締結力に制御する場合に、ライン圧を強制的に最低ライン圧未満に低く補正したので、ロックアップクラッチへの油量を多く確保してロックアップクラッチの解放動作を素早くでき、エンストを有効に防止することができる。
【0008】
特開平7−174216号公報(特許文献2)は、急制動時の油の片寄りによるエンジンストールを防止する自動変速機の油圧制御装置を開示する。この油圧制御装置は、ロックアップクラッチにより入力要素と出力要素とを直結状態とすることが可能なトルクコンバータを有した自動変速機と、自動変速機のオイルポンプから吐出された作動油圧を調整してライン圧を形成するライン圧アクチュエータと、走行状態検出部からの入力に基づいて走行状態に応じたライン圧を形成すべくライン圧アクチュエータの作動を制御するライン圧制御部と、オイルポンプの吸引側のオイルストレーナの吸込口が油面から露出する状態を検出する露出状態検出部とを含み、ライン圧制御部は、露出状態検出部が吸込口が露出する状態を検出している間、ライン圧を高める露出時制御を行なう。
【0009】
この油圧制御装置によると、制動操作を行なって急減速することでオイルパン内の油が片寄って、オイルストレーナの吸込口が油面の上に露出する状態となった時には、露出状態検出部がその状態を検出し、これによって、ライン圧制御部が、ライン圧を高めるようにライン圧アクチュエータの作動を制御する。したがって、制動操作に対応してトルクコンバータのロックアップを解除すべくロックアップクラッチにリリース圧を供給した際に、吸込口が露出されてオイルポンプの吐出圧が低下したとしても、ライン圧を高める制御により、ライン圧は、オイルポンプの吐出圧の低下ほどまでは低下せず、リリース圧を確保してトルクコンバータのロックアップを解除させることができる。
【0010】
特開平8−28692号公報(特許文献3)は、アイドリング状態での減速時のブレーキングによってエンジンストールに至ることを未然に防止する自動変速機付き車両の制御装置を開示する。この制御装置は、流体継手における駆動側部材と従動側部材とを選択的に連結するロックアップクラッチを備え、減速時にそのロックアップクラッチを従動側部材の回転数が所定の下限回転数以上の場合にスリップ制御する自動変速機付き車両の制御装置であって、減速時におけるロックアップクラッチのスリップ制御中のスリップ回転数を検出するスリップ回転数検出部と、検出されたスリップ回転数に基づいて下限回転数を設定し、かつその下限回転数の値を、検出されたスリップ回転数が小さい場合にスリップ回転数が大きい場合より高回転数に設定するスリップ解除回転数設定部とを備える。
【0011】
この制御装置によると、減速時における従動側部材の回転数が所定の下限回転数以上であればロックアップクラッチがスリップ制御され、エンジンに連結されている駆動側部材と従動側部材との間でトルクの伝達が行なわれる。その状態での駆動側部材の回転数と従動側部材の回転数との差がスリップ回転数としてスリップ回転数検出部によって検出される。そしてスリップ制御を解除する下限回転数は、スリップ回転解除設定部によってスリップ回転数に応じた値に設定されるが、その値はスリップ回転数が小さいほど高回転数に設定される。たとえばスリップ回転数が小さいためにロックアップクラッチがほぼ完全に係合していると判断されるような場合には、ある程度以上のスリップ回転数が生じている場合に比較して高回転数に設定される。したがって、ロックアップクラッチがほぼ完全に係合していると判断されるような場合には、エンジン回転数がある程度高い状態でロックアップクラッチが解放されるので、ブレーキ操作によって従動側部材の回転数が急激に低下させられたとしても、エンジン回転数が過度に低回転数になる以前にロックアップクラッチが解放させられ、したがってエンジン回転数が大きく落ち込むことがないので、エンジンストールに至ることが未然に防止される。
【0012】
特開平8−86353号公報(特許文献4)は、急ブレーキ時のエンジンストールを確実に防止する、ロックアップ制御圧の油圧減と変速制御の油圧源とを共有する油圧制御ユニットを有する車両用自動変速機のロックアップと変速の総合制御装置を開示する。この総合制御装置は、その入力側がエンジンに出力側が変速機構に接続され、流体を介して動力を伝達する入出力間を直結可能なロックアップクラッチを有する流体伝動継手と、ロックアップクラッチの締結・解放制御圧と変速機構の変速操作制御圧を共通の油圧源からの作動圧に基づいて作り出す油圧制御ユニットと、油圧制御ユニットに設けられ、外部からの制御指令によりクラッチ締結・解放を任意に制御するロックアップ制御アクチュエータと、油圧制御ユニットに設けられ、外部からの制御指令により変速段あるいは変速比を変える変速操作を任意に制御する変速制御アクチュエータと、急ブレーキ操作時であるかどうかを検出する急ブレーキ操作検出部と、急ブレーキ操作検出時、ロックアップクラッチを解放するかもしくは解放を継続する制御指令をロックアップ制御アクチュエータに出力するとともに、変速機構での変速操作を禁止する制御指令を変速制御アクチュエータに出力するロックアップ・変速の総合制御部とを備える。
【0013】
この総合制御装置によると、急ブレーキ操作検出部により急ブレーキ操作が検出された時には、ロックアップ・変速の総合制御部において、ロックアップクラッチを解放するかもしくは解放を継続する制御指令がロックアップ制御アクチュエータに出力されるとともに、変速機構での変速操作を禁止する制御指令が変速制御アクチュエータに出力される。よって、油圧制御ユニットにおいて、ロックアップクラッチの締結・解放制御圧と変速機構の変速操作制御圧が共通の油圧源からの作動圧に基づいて作り出され、ロックアップ解放操作と変速操作を同時に行なうと、油圧源への流量負荷が大きくかかるため、ロックアップ解放のための流量が減少してロックアップ解放時間が長くかかることになる。しかし、この発明では、急ブレーキ操作時のロックアップ解放において、変速機構での変速操作を禁止する制御が併せて行なわれることで、油圧源への流量負荷が小さく抑えられ、ロックアップ解放のための流量が十分に確保され、早い解放速度によるロックアップクラッチの解放が達成される。この結果、急ブレーキをかけると短時間にてタイヤロックを生じてしまうような低μ路急ブレーキ操作時においても、急ブレーキ操作開始後、直ちにロックアップクラッチが解放され、高速でのタイヤロック現象に対してもエンジンストールを確実に防止することができる。
【0014】
特開平10−213219号公報(特許文献5)は、減速時に急に制動が行なわれたときにエンストが発生することがなく、かつ、フューエルカット制御領域を広くすることができる自動変速機のロックアップクラッチ制御装置を開示する。このロックアップクラッチ制御装置は、流体伝動装置に配設されたロックアップクラッチ装置と、ロックアップクラッチ装置を係合させるための係合側油室と、ロックアップクラッチ装置を解放するための解放側油室と、切換信号を発生させる切換信号発生部と、スロットル開度に対応する制御油圧を発生させる制御油圧発生部と、切換信号発生部から切換信号を受けて解放側位置と係合側位置とを採り、解放側位置において解放油圧を解放側油室に供給し、係合側位置において係合油圧を係合側油室に、制御油圧を解放側油室にそれぞれ供給する油圧供給部とを有する。
【0015】
このロックアップクラッチ制御装置によると、油圧供給部が解放側位置を採ると、解放側油室だけに解放油圧が供給され、係合側位置を採ると、係合側油室に係合油圧が、解放側油室に制御油圧がそれぞれ供給される。したがって、減速時に急に制動が行なわれても、解放側油室に制御油圧が供給されているので、ロックアップクラッチ装置を直ちに解放することができる。その結果、エンストが発生するのを防止することができる。また、ロックアップクラッチ装置を直ちに解放することができるので、その分ロックアップ領域を広くすることができる。したがって、減速時にエンジンの回転数を高めにすることができ、フューエルカット制御領域をその分広くすることができる。
【0016】
特開平10−246317号公報(特許文献6)は、急ブレーキ等で素早いダウンシフト操作をする必要がある場合、ライン圧油路からセカンダリ圧油路への流出を規制して、ロックアップ付きトルクコンバータの必要圧を確保しつつ、無段変速装置の急速なダウンシフト操作のための必要圧をも確保する無段変速機の油圧制御装置を開示する。この油圧制御装置は、油圧により変速比が変えられる無段変速装置と、無段変速装置とエンジン出力軸の間に介在し、ロックアップクラッチを有する流体伝動装置とを備えた無段変速装置において、オイルポンプの吐出圧をライン圧調圧部にて調圧して、調圧されたライン圧を無段変速装置の変速比変更部に供給するライン圧油路と、ライン圧をセカンダリ圧調圧部にて調圧して、調圧されたセカンダリ圧を流体伝動装置に供給するセカンダリ圧油路と、ライン圧油路とセカンダリ圧油路とを連通する連通油路と、連通油路に介在し、連通油路を流れる油量を変更する変更部とを備える。
【0017】
この油圧制御装置によると、ライン圧油路とセカンダリ圧油路とを連通する油路間を流れる油量の変更が可能となるので、ロックアップクラッチが引き摺らないようにセカンダリ圧を確保できるとともに、無段変速装置の急速な変速に必要なライン圧油路の油量をも確保することができ、ロックアップクラッチ付き流体伝動装置を備えた無段変速機の信頼性を向上することができる。
【0018】
【特許文献1】
特開平5−52258号公報
【0019】
【特許文献2】
特開平7−174216号公報
【0020】
【特許文献3】
特開平8−28692号公報
【0021】
【特許文献4】
特開平8−86353号公報
【0022】
【特許文献5】
特開平10−213219号公報
【0023】
【特許文献6】
特開平10−246317号公報
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した公報に開示された技術には、以下のような問題点がある。
【0025】
特許文献1に開示された自動変速機の制御装置では、ロックアップクラッチのスリップ制御時には、ライン圧が低く設定される。このような制御を一般的なフレックスロックアップ制御に適用した場合において、急制動が発生すると、ロックアップクラッチの解放動作とダウンシフト変速動作とが実行される。このとき、ライン圧が低く設定されて多量の作動油をロックアップクラッチへ供給することによりロックアップクラッチの解放動作を早めることができても、ダウンシフト変速動作はライン圧が低下しているので、逆に遅くなってしまう。この結果、減速フィーリングが所望の状態ではなくなる。特に、ダウンシフト変速動作が遅く、高速ギヤの状態が継続すると、燃料が噴射されていないエンジンの回転数が急激に低下するタービン回転数に引き摺られて低下してしまい、エンジンストールを発生するおそれがある。そのためには、ダウンシフトを速やかに行ない、タービン回転数を上昇させてタービン回転数によりエンジン回転数を低下させないようにする必要がある。
【0026】
特許文献2に開示された油圧制御装置では、ロックアップ制御時において急制動が発生した場合に、トルクコンバータのロックアップクラッチの解放を正常に行なうためにライン圧を高めることに言及したに過ぎない。たとえば、フレックスロックアップ制御において急制動が発生すると、ロックアップクラッチの急解放と変速機構の素早いダウンシフトとが必要になるが、このような状態を想定していない。
【0027】
特許文献3に開示された油圧制御装置では、スリップ制御を解除する下限回転数は、スリップ回転数が小さいほど高回転数に設定されるので、スリップ回転数が小さくロックアップクラッチがほぼ完全に係合していると判断されるような場合には高回転数に設定され、制動時にスリップが少ない場合(ほぼ完全に係合している場合)、高回転領域でスリップ制御を解除する。このため、急制動が発生することを前提として予めロックアップクラッチのスリップ制御を解除してしまうのでフレックスロックアップ制御の領域が狭まることになる。また、フレックスロックアップ制御において急制動が発生すると、ロックアップクラッチの急解放と変速機構の素早いダウンシフトとが必要になるが、このような状態を想定していない。
【0028】
特許文献4に開示された総合制御装置では、フレックスロックアップ制御時に適用すると、急制動が発生した場合に、ロックアップクラッチの急解放を実現できても、ダウンシフト変速が禁止されてしまい、高速ギヤ段のままロックアップクラッチの解放を優先させる。ロックアップクラッチの急解放と変速機構の素早いダウンシフトとが必要になるが、このような状態を想定していない。
【0029】
特許文献5に開示されたロックアップクラッチ制御装置では、係合側油室に係合油圧が、解放側油室に制御油圧がそれぞれ供給されているので、ロックアップが係合状態で急制動が発生した場合に、ロックアップクラッチを直ちに解放することができることに言及したに過ぎない。たとえば、フレックスロックアップ制御において急制動が発生すると、ロックアップクラッチの急解放と変速機構の素早いダウンシフトとが必要になるが、このような状態を想定していない。
【0030】
特許文献6に開示された油圧制御装置では、連通油路と、連通油路に介在し、連通油路を流れる油量を変更する変更部とを新たに備える必要があり、制御装置のコストアップにつながる。また、無段変速機に適用される油圧制御装置であって、遊星歯車式減速機構を有する有段の自動変速機に言及されていない。
【0031】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、コストアップになることなく、遊星歯車式減速機構を有する有段の自動変速機において、フレックスロックアップ制御時の急制動においてもエンジンストールの発生を防止できる車両の制御装置および制御方法を提供することである。
【0032】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る車両の制御装置は、エンジンと、ロックアップクラッチを備えた流体継手を有する自動変速機とを搭載した車両を制御する。自動変速機は遊星歯車式減速機構を有する有段式の自動変速機であって予め定められた摩擦係合要素を係合したり解放したりすることにより複数のギヤ比を切換える。この制御装置は、ロックアップクラッチが所望のスリップ状態になるように、ロックアップクラッチの係合力を制御するためのロックアップ制御手段と、摩擦係合要素の係合および解放を制御するための変速制御手段と、車両の急制動を検知するための検知手段と、ロックアップ制御手段によるロックアップクラッチのスリップ制御中に、急制動を検知すると、摩擦係合要素の係合および解放に用いられる作動油の油圧を上昇させるとともに、ロックアップクラッチの係合力の制御に用いられる作動油の油圧を上昇させるように、作動油の油圧回路を制御するための制御手段とを含む。
【0033】
第1の発明によると、ロックアップ制御手段は、低車速領域においてロックアップクラッチをスリップ制御させることにより動力伝達効率を高める、いわゆるフレックスロックアップ制御を実現する。このようなフレックスロックアップ制御中に車両の急制動が検知されると、摩擦係合要素の係合および解放に用いられる作動油の油圧を上昇させるとともに、ロックアップクラッチの係合力の制御に用いられる作動油の油圧を上昇させる。これにより、変速制御手段が制御する摩擦係合要素の係合および解放のための油圧が上昇して変速時間が短くなり、ロックアップ制御手段が制御するロックアップクラッチの解放のための油圧が上昇してロックアップクラッチの解放時間が短くなる。このように、ロックアップクラッチのスリップ制御中に急制動が発生した場合、出力軸回転数が急激に低下するので、ロックアップクラッチを速やかに解放しなければ、出力軸回転数にエンジン回転数が引き摺られてエンジン回転数が下がりすぎてエンジンストールする可能性がある。このためロックアップクラッチを速やかに解放する。これとともに、ダウンシフト変速制御を速やかに実行してギヤ比を大きくして出力軸回転数が低下してもタービン回転数を低下させないようにして、ロックアップクラッチの解放が遅れたとしてもタービン回転数によりエンジン回転数を低下させないようにする。その結果、コストアップになることなく、遊星歯車式減速機構を有する有段の自動変速機において、フレックスロックアップ制御時の急制動においてもエンジンストールの発生を防止できる車両の制御装置を提供することができる。
【0034】
第2の発明に係る車両の制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、変速制御手段は、急制動を検知すると、ギヤ比が大きくなるように制御するための手段を含む。
【0035】
第2の発明によると、ロックアップクラッチが解放されている時間にエンジンストールしないように、ダウンシフト変速制御を速やかに実行してギヤ比を大きくする。これにより、ロックアップクラッチの解放が遅れた場合においても、出力軸回転数が低下してもタービン回転数を低下させないようにして、タービン回転数によりエンジン回転数を低下させないで、エンジンストールを回避することができる。
【0036】
第3の発明に係る車両の制御装置においては、第1または2の発明の構成に加えて、ロックアップ制御手段は、急制動を検知すると、ロックアップクラッチを解放するように制御するための手段を含む。
【0037】
第3の発明によると、ロックアップクラッチのスリップ制御中に急制動が発生した場合、出力軸回転数が急激に低下しても、ロックアップクラッチを速やかに解放することができるので、出力軸回転数にエンジン回転数が引き摺られてエンジン回転数が下がりすぎてエンジンストールする可能性を低くすることができる。
【0038】
第4の発明に係る車両の制御装置においては、第1〜3のいずれかの発明の構成に加えて、摩擦係合要素の係合および解放に用いられる作動油の油圧はライン圧であって、ロックアップクラッチの係合力の制御に用いられる作動油の油圧は、ライン圧に基づいて調圧される。制御手段は、ライン圧が通常のダウンシフト時のライン圧よりも高くなるように、作動油の油圧回路に設けられたソレノイドバルブを制御するための手段を含む。
【0039】
第4の発明によると、通常ライン圧はスロットル開度やエンジン回転数などに基づいてコントロールされ、このライン圧でトランスミッションソレノイドを介して変速が行なわれる。ロックアップクラッチのスリップ制御中に給制動が発生すると、通常のダウンシフト時のライン圧よりも高い油圧に調圧される。たとえば、プライマリレギュレータバルブをリニアソレノイドバルブで制御する場合には、リニアソレノイドへの制御電圧(または制御電流)を変更する。また、プライマリレギュレータバルブに接続されたセカンダリレギュレータバルブにより調圧された油圧でロックアップクラッチを制御する場合には、ライン圧を高めることでセカンダリレギュレータバルブにより調圧された油圧を上昇させて、ロックアップクラッチを解放するための作動油の油圧を高めることができる。
【0040】
第5の発明に係る車両の制御装置においては、第1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、検知手段は、エンジンの回転数を検知するための手段と、エンジンの回転数の時間変化率を算出するための手段と、時間変化率に基づいて、車両の急制動を検知するための手段とを含む。
【0041】
第5の発明によると、車両の運転者がフットブレーキを大きく(深く)踏み込んで車両を急制動させると、エンジン回転数が出力軸回転数に引き摺られて急激に低下する。検知手段が、エンジンの回転数の時間変化率を算出して、この時間変化率の絶対値が予め定められたしきい値よりも大きいと、急制動が発生したことを検知することができる。
【0042】
第6の発明に係る車両の制御方法は、エンジンと、ロックアップクラッチを備えた流体継手を有する自動変速機とを搭載した車両を制御する。自動変速機は遊星歯車式減速機構を有する有段式の自動変速機であって予め定められた摩擦係合要素を係合したり解放したりすることにより複数のギヤ比を切換える、この制御方法は、ロックアップクラッチが所望のスリップ状態になるように、ロックアップクラッチの係合力を制御するロックアップ制御ステップと、摩擦係合要素の係合および解放を制御する変速制御ステップと、車両の急制動を検知する検知ステップと、ロックアップ制御ステップによるロックアップクラッチのスリップ制御中に、急制動を検知すると、摩擦係合要素の係合および解放に用いられる作動油の油圧を上昇させるとともに、ロックアップクラッチの係合力の制御に用いられる作動油の油圧を上昇させるように、作動油の油圧回路を制御する制御ステップとを含む。
【0043】
第6の発明によると、ロックアップ制御ステップにて、低車速領域においてロックアップクラッチをスリップ制御させることにより動力伝達効率を高める、いわゆるフレックスロックアップ制御を実現する。このようなフレックスロックアップ制御中に車両の急制動が検知されると、摩擦係合要素の係合および解放に用いられる作動油の油圧を上昇させるとともに、ロックアップクラッチの係合力の制御に用いられる作動油の油圧を上昇させる。これにより、変速制御ステップにて制御する摩擦係合要素の係合および解放のための油圧が上昇して変速時間が短くなり、ロックアップ制御ステップにて制御するロックアップクラッチの解放のための油圧が上昇してロックアップクラッチの解放時間が短くなる。このように、ロックアップクラッチのスリップ制御中に急制動が発生した場合、出力軸回転数が急激に低下するので、ロックアップクラッチを速やかに解放しなければ、出力軸回転数にエンジン回転数が引き摺られてエンジン回転数が下がりすぎてエンジンストールする可能性がある。このためロックアップクラッチを速やかに解放する。これとともに、ダウンシフト変速制御を速やかに実行してギヤ比を大きくして出力軸回転数が低下してもタービン回転数を低下させないようにして、ロックアップクラッチの解放が遅れたとしてもタービン回転数によりエンジン回転数を低下させないようにする。その結果、コストアップになることなく、遊星歯車式減速機構を有する有段の自動変速機において、フレックスロックアップ制御時の急制動においてもエンジンストールの発生を防止できる車両の制御方法を提供することができる。
【0044】
第7の発明に係る車両の制御方法においては、第6の発明の構成に加えて、変速制御ステップは、急制動を検知すると、ギヤ比が大きくなるように制御するステップを含む。
【0045】
第7の発明によると、ロックアップクラッチが解放されている時間にエンジンストールしないように、ダウンシフト変速制御を速やかに実行してギヤ比を大きくする。これにより、ロックアップクラッチの解放が遅れた場合においても、出力軸回転数が低下してもタービン回転数を低下させないようにして、タービン回転数によりエンジン回転数を低下させないで、エンジンストールを回避することができる。
【0046】
第8の発明に係る車両の制御方法においては、第6または7の発明の構成に加えて、ロックアップ制御ステップは、急制動を検知すると、ロックアップクラッチを解放するように制御するステップを含む。
【0047】
第8の発明によると、ロックアップクラッチのスリップ制御中に急制動が発生した場合、出力軸回転数が急激に低下しても、ロックアップクラッチを速やかに解放することができるので、出力軸回転数にエンジン回転数が引き摺られてエンジン回転数が下がりすぎてエンジンストールする可能性を低くすることができる。
【0048】
第9の発明に係る車両の制御方法においては、第6〜8のいずれかの発明の構成に加えて、摩擦係合要素の係合および解放に用いられる作動油の油圧はライン圧であって、ロックアップクラッチの係合力の制御に用いられる作動油の油圧は、ライン圧に基づいて調圧される。制御ステップは、ライン圧が通常のダウンシフト時のライン圧よりも高くなるように、作動油の油圧回路に設けられたソレノイドバルブを制御するステップを含む。
【0049】
第9の発明によると、通常ライン圧はスロットル開度やエンジン回転数などに基づいてコントロールされ、このライン圧でトランスミッションソレノイドを介して変速が行なわれる。ロックアップクラッチのスリップ制御中に給制動が発生すると、通常のダウンシフト時のライン圧よりも高い油圧に調圧される。たとえば、プライマリレギュレータバルブをリニアソレノイドバルブで制御する場合には、リニアソレノイドへの制御電圧(または制御電流)を変更する。また、プライマリレギュレータバルブに接続されたセカンダリレギュレータバルブにより調圧された油圧でロックアップクラッチを制御する場合には、ライン圧を高めることでセカンダリレギュレータバルブにより調圧された油圧を上昇させて、ロックアップクラッチを解放するための作動油の油圧を高めることができる。
【0050】
第10の発明に係る車両の制御方法においては、第6〜9のいずれかの発明の構成に加えて、検知ステップは、エンジンの回転数を検知するステップと、エンジンの回転数の時間変化率を算出するステップと、時間変化率に基づいて、車両の急制動を検知するステップとを含む。
【0051】
第10の発明によると、車両の運転者がフットブレーキを大きく(深く)踏み込んで車両を急制動させると、エンジン回転数が出力軸回転数に引き摺られて急激に低下する。検知ステップにて、エンジンの回転数の時間変化率を算出して、この時間変化率の絶対値が予め定められたしきい値よりも大きいと、急制動が発生したことを検知することができる。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0053】
以下、本発明の実施の形態に係る制御装置を含む車両のパワートレーンについて説明する。本実施の形態に係る制御装置は、図1に示すECU(Electronic Control Unit)1000により実現される。本実施の形態では、自動変速機を、流体継手としてトルクコンバータを備えた、遊星歯車式減速機構を有する自動変速機として説明する。
【0054】
図1を参照して、本実施の形態に係る制御装置を含む車両のパワートレーンについて説明する。本実施の形態に係る制御装置は、より詳しくは、図1に示すECU1000の中のECT(Electronic Controlled Automatic Transmission)_ECU1020により実現される。
【0055】
図1に示すように、この車両のパワートレーンは、エンジン100と、トルクコンバータ200と、自動変速機300と、ECU1000とから構成される。
【0056】
エンジン100の出力軸は、トルクコンバータ200の入力軸に接続される。エンジン100とトルクコンバータ200とは回転軸により連結されている。したがって、エンジン回転数センサ400により検知されるエンジン100の出力軸回転数NE(エンジン回転数NE)とトルクコンバータ200の入力軸回転数(ポンプ回転数)とは同じである。
【0057】
トルクコンバータ200は、入力軸と出力軸とを直結状態にするロックアップクラッチ210と、入力軸側のポンプ羽根車220と、出力軸側のタービン羽根車230と、ワンウェイクラッチ250を有するトルク増幅機能を発現するステータ240とから構成される。トルクコンバータ200と自動変速機300とは、回転軸により接続される。トルクコンバータ200の出力軸回転数NT(タービン回転数NT)は、タービン回転数センサ410により検知される。自動変速機300の出力軸回転数NOUTは、出力軸回転数センサ420により検知される。
【0058】
ロックアップクラッチ210は、油圧を供給するロックアップリレーバルブによって油圧の供給/排出が係合側と解放側とで切り換えられて作動させられ、ロックアップピストンが軸方向に移動することによって、ロックアップピストンとフロントカバーとが摩擦材を介して接離させる。また、ロックアップクラッチ210によってトルクコンバータ内が区画され、ロックアップピストンとフロントカバーとの間に、ロックアップクラッチ210を解放するための解放側油室が、ロックアップピストンとタービンランナとの間にロックアップクラッチ210を係合させるための係合側油室がそれぞれ形成され、解放側油室および係合側油室に、バルブボディ内の油圧回路から油圧が供給されるようになっている。このロックアップクラッチ210を作動させるための油圧は、セカンダリレギュレータバルブで調圧された油圧である。これらの油圧回路の詳細については、後述する。
【0059】
図2に自動変速機300の作動表を示す。図2に示す作動表によると、摩擦要素であるクラッチ要素(図中のC1〜C4)や、ブレーキ要素(B1〜B4)、ワンウェイクラッチ要素(F0〜F3)が、どのギヤ段の場合に係合および解放されるかを示している。車両の発進時に使用される1速時には、クラッチ要素(C1)、ワンウェイクラッチ要素(F0、F3)が係合する。
【0060】
また、車両走行中に急制動が発生すると、3rdから2nd、2ndから1stへとダウンシフト変速が実行される。たとえば、3rdから2ndへの変速が実行される場合には、クラッチ要素C3が係合状態から解放状態に制御される。このクラッチ要素C3を含む図2に示すクラッチやブレーキは、プライマリレギュレータバルブにより調圧されたライン圧により作動される。
【0061】
これらのパワートレーンを制御するECU1000は、エンジン100を制御するエンジンECU1010と、自動変速機300を制御するECT_ECU1020と、VSC(Vehicle Stability Control)_ECU1030とを含む。
【0062】
ECT_ECU1020には、タービン回転数センサ410からタービン回転数NTを表わす信号が、出力軸回転数センサ420から出力軸回転数NOUTを表わす信号が入力される。また、ECT_ECU1020には、エンジンECU1010から、エンジン回転数センサ400にて検知されたエンジン回転数NEを表わす信号と、スロットルポジションセンサにて検知されたスロットル開度を表わす信号とが入力される。
【0063】
これら回転数センサは、トルクコンバータ200の入力軸、トルクコンバータ200の出力軸および自動変速機300の出力軸に取り付けられた回転検出用ギヤの歯に対向して設けられている。これらの回転数センサは、トルクコンバータ200の入力軸、トルクコンバータ200の出力軸および自動変速機300の出力軸の僅かな回転の検出も可能なセンサであり、たとえば、一般的に半導体式センサと称される磁気抵抗素子を使用したセンサである。
【0064】
さらに、ECT_ECU1020には、VSC_ECU1030から、Gセンサにて検知された車両加速度を表わす信号と、運転者によりフットブレーキが操作されたことを表わす信号とが入力される。
【0065】
ECT_ECU1020から、自動変速機300に、リニアソレノイドSLTおよびSLUに対する制御信号と、トランスミッションソレノイド制御信号が出力される。
【0066】
図3および図4を参照して、この車両の油圧回路を説明する。図3に、ライン圧に関する油圧制御回路を、図4に、ロックアップクラッチ210を作動させる油圧制御回路をそれぞれ示す。
【0067】
図3に示すように、作動油がオイルポンプ500の吐出圧でオイルポンプ500からプライマリレギュレータバルブ510に供給される。プライマリレギュレータバルブ510は、リニアソレノイド(SLT)520からの制御油圧により所望のライン圧に作動油の油圧を調圧する。リニアソレノイド(SLT)520は、ECT_ECU1020に接続され、ECT_ECU1020からの制御信号(電圧信号)により制御される。
【0068】
ECT_ECU1020は、エンジンECU1010からエンジン100のスロットル開度、エンジン吸気量、エンジン水温、エンジン回転数NEなどを受信して、それらの値と、自動変速機300の入力軸回転数(たとえばクラッチC2のスプラインを利用して検知した回転数)、自動変速機300の油温、ギヤ段、ポジション等に基づいて演算を行ない、リニアソレノイド(SLT)520の制御信号を算出する。
【0069】
図3に示すように、リニアソレノイド(SLT)520は、ECT_ECU1020からの電圧信号とプライマリレギュレータバルブに供給する油圧とは、たとえば電圧が低いほど油圧が高いというリニアな関係を有する。
【0070】
ECT_ECU1020で演算され、リニアソレノイド(SLT)520のリニア特性によりプライマリレギュレータバルブ510が制御されて、オイルポンプ500の吐出圧が所望のライン圧に調圧される。この結果、このライン圧により自動変速機300のクラッチ、ブレーキおよびワンウェイクラッチの係合油圧を制御して、滑らかな変速特性を実現する。すなわち、自動変速機300の入力軸回転数センサや各種センサからの信号を監視して、クラッチなどの係合油圧をエンジン100の出力や車両の走行状況に応じて高精度かつきめ細やかに制御することができる。
【0071】
本実施の形態に係る制御装置を実現するECT_ECU1020は、フレックスロックアップ制御中に車両の急制動を検知すると、このライン圧を他の条件よりも優先させて上昇させるようにリニアソレノイド(SLT)520に制御信号を出力する。このようにすると、図2に示す摩擦係合要素である自動変速機300のクラッチ、ブレーキおよびワンウェイクラッチの係合および解放を素早く実行できるので、変速時間が短くなる。
【0072】
図4に示すように、フレックスロックアップ制御を実現するために、ECT_ECU1020は、リニアソレノイド(SLU)550に制御信号を出力する。ECT_ECU1020は、トルクコンバータ200の入力回転数(エンジン回転数)、トルクコンバータ200の出力回転数(自動変速機300の入力軸回転数)、エンジン100のスロットル開度および車速等に基づいて、低車速領域においてもロックアップクラッチ210をスリップ制御(フレックスロックアップ制御)させて、伝達効率の大幅な向上を実現する。
【0073】
この油圧回路は、ロックアップクラッチ210の係合状態と解放状態とを切換えるためのロックアップリレーバルブ530と、リニアソレノイド(SLU)550から出力されるスリップ制御用信号圧に基づいて係合側油室と解放側油室の圧力差を調節しロックアップクラッチのスリップ量を制御するためのロックアップコントロールバルブ540と、ロックアップクラッチ210の係合圧を発生させてスリップ制御を実現するためのスリップ制御用信号を発生させるリニアソレノイド(SLU)550とを備える。
【0074】
ロックアップリレーバルブ530およびロックアップコントロールバルブ540には、セカンダリレギュレータバルブにより調圧された油圧が供給される。セカンダリレギュレータバルブは、プライマリレギュレータバルブ510に接続され、プライマリレギュレータバルブ510から流入された作動油をスロットル圧に基づいて調圧することによりエンジン100の出力トルクに対応したセカンダリレギュレータ圧を発生させる。
【0075】
ロックアップリレーバルブ530は、ロックアップクラッチ210の解放側油室と連通する解放側ポートと、係合側油室に連通する係合側ポートと、セカンダリレギュレータ圧が供給される入力ポートと、ロックアップクラッチ210の解放時に係合側油室内の作動油が排出される第1排出ポートと、係合時に解放側油室内の作動油が排出される第2排出ポートとを備える。
【0076】
このような構成を有するロックアップリレーバルブ530は、ロックアップクラッチ210の係合側としての位置と、ロックアップクラッチ210の解放側位置としての位置とをそれぞれ採ることになる。ロックアップクラッチ210の係合側において、ロックアップクラッチ210に供給されたセカンダリレギュレータ圧は、ロックアップクラッチ210の係合側油室に係合油圧、すなわち、オン圧として供給され、ロックアップクラッチ210の解放側において、セカンダリレギュレータ圧は、解放側油室に解放油圧、すなわち、オフ圧として供給される。
【0077】
すなわち、ロックアップクラッチ210にオフ圧が供給されると、ロックアップクラッチ210の解放側油室内の油圧が係合側油室内の油圧よりも高められて、ロックアップクラッチが解放されると同時に係合側油室内の作動油が第1排出ポートや逆止弁を介してドレンへ排出される。一方、ロックアップクラッチ210にオン圧が供給されると、ロックアップクラッチ210の係合側油室内の油圧が解放側油室内の油圧よりも高められて、ロックアップクラッチが係合されると同時に解放側油室内の作動油が第2排出ポートやロックアップコントロールバルブ540を介してドレンへ排出される。
【0078】
リニアソレノイド(SLU)550は、ECT_ECU1020からの出力電圧に伴って大きくなるスリップ制御用信号圧を発生させ、このスリップ制御用信号圧をロックアップコントロールバルブ540に作用させる。
【0079】
ロックアップコントロールバルブ540は、セカンダリレギュレータ圧が供給されるライン圧ポートと、ロックアップリレーバルブ530の第2排出ポートから排出されるロックアップクラッチ210の解放油室側内の作動油を受け入れる受入ポートと、その受入ポートに受け入れられた作動油を排出するためのドレンポートとを備える。
【0080】
さらに、ロックアップコントロールバルブ540は、受入ポートとドレンポートとの間を連通させる第1位置と、受入ポートとライン圧ポートとの間を連通させる第2位置との間を移動可能に設けられたスプール弁と、そのスプール弁を第1位置に向かって付勢するためにそのスプール弁に当接可能に配置されたプランジャと、そのプランジャとスプール弁とにスリップ制御用信号圧を作用させて、それらプランジャおよびスプール弁に互いに離隔する方向の推力をそれぞれ発生させるためのスリップ制御用信号圧を受け入れる信号圧油室と、プランジャにロックアップクラッチ210の解放側油室内の作動油の油圧を作用させてそのプランジャ延いてはスプール弁に第1位置へ向かう推力を発生させるために油圧を受け入れる油室と、スプール弁にロックアップクラッチ210の係合側油室内の作動油の油圧を作用させてそのスプール弁にその第2位置へ向かう方向の推力を発生させるために油圧を受け入れる油室と、信号圧油室に収容されてスプール弁を第2位置へ向かう方向へ付勢するスプリングとを備える。
【0081】
このロックアップコントロールバルブ540では、スプール弁が第1位置にあるときには、受入ポートとドレンポートとが連通させられてロックアップクラッチ210の解放側油室内の作動油が排出させられることによりロックアップクラッチ210の係合側油室内の作動油の油圧と解放側油室内の作動油の油圧との圧力差が増加させられる。一方、このロックアップコントロールバルブ540では、スプール弁が第2位置にあるときには、受入ポートとライン圧ポートとが連通させられてロックアップクラッチ210の解放側油室内にセカンダリレギュレータ圧が供給させることによりロックアップクラッチ210の係合側油室内の作動油の油圧と解放側油室内の作動油の油圧との圧力差が減少させられる。
【0082】
このようにして、ロックアップコントロールバルブ540は、リニアソレノイド(SLU)550から出力されるスリップ制御用信号圧に基づいて、係合側油室と解放側油室の圧力差を調節して、ロックアップクラッチのスリップ量を制御する。これにより、ロックアップクラッチ210がスリップ制御される。なお、ECT_ECUは、通常のロックアップ領域より広い領域で、このようなロックアップクラッチ210のスリップ制御(フレックスロックアップ制御)を実行する。
【0083】
本実施の形態に係る制御装置を実現するECT_ECU1020は、フレックスロックアップ制御中に車両の急制動を検知すると、プライマリレギュレータバルブ510により調圧されるライン圧を他の条件よりも優先させて上昇させるようにリニアソレノイド(SLT)520に制御信号を出力する。このようにすると、セカンダリレギュレータバルブにより調圧されるセカンダリレギュレータ圧が上昇する。その結果、ロックアップクラッチ210の解放側において、解放側油室に解放油圧、すなわち、オフ圧として供給されるセカンダリレギュレータ圧が上昇するので、ロックアップクラッチ210の解放を素早く実行できるので、ロックアップクラッチ210の解放時間が短くなる。
【0084】
このように本実施の形態に係る油圧回路(図3、図4)の場合には、プライマリレギュレータバルブにより調圧されるライン圧を通常のダウンシフト変速時よりも高くすることにより、ダウンシフト変速時間とロックアップクラッチ210の解放時間とを短くすることができる。
【0085】
図5を参照して、本実施の形態に係る制御装置であるECT_ECU1020で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
【0086】
ステップ(以下、ステップをSと略す。)100にて、ECT_ECU1020は、フレックスロックアップがオン状態であるか否かを判断する。この判断は、図1に示すECT_ECU1020に入力される各種センサからの信号に基づいて行なわれる。フレックスロックアップがオン状態であると(S100にてYES)、処理はS200へ移される。もしそうでないと(S100にてNO)、この処理は終了する。
【0087】
S200にて、ECT_ECU1020は、ブレーキがオン状態であるか否かを判断する。この判断は、VSC_ECU1030からECT_ECU1020に入力されるブレーキ信号に基づいて行なわれる。ブレーキ信号は、車両の運転者がフットブレーキを踏むことによりオン状態にされる。ブレーキがオンであると(S200にてYES)、処理はS300へ移される。もしそうでないと(S200にてNO)、この処理は終了する。
【0088】
S300にて、ECT_ECU1020は、エンジンECU1010から入力されたエンジン回転数信号に基づいてエンジン回転数NEを検知する。S400にて、ECT_ECU1020は、エンジン回転数NEの時間変化率の絶対値(|ΔNE/Δt|)を算出する。
【0089】
S500にて、エンジン回転数NEの時間変化率の絶対値(|ΔNE/Δt|)が予め定められたしきい値α以上であるか否かを判断する。エンジン回転数NEの時間変化率の絶対値(|ΔNE/Δt|)がしきい値α以上であると(S500にてYES)、処理はS600へ移される。もしそうでないと(S500にてNO)、この処理は終了する。
【0090】
S600にて、ECT_ECU1020は、リニアソレノイド(SLT)520にライン圧を上昇させる指令を出力する。この指令に基づいて、リニアソレノイド(SLT)520がプライマリレギュレータバルブ510を制御して、ライン圧を上昇させる。これにより、プライマリレギュレータバルブ510からの変速制御用油圧が上昇するとともに、プライマリレギュレータバルブ510に接続されたセカンダリレギュレータバルブから供給されるトルクコンバータ200のロックアップクラッチ210を作動させるロックアップクラッチ作動油の油圧が上昇する。
【0091】
S700にて、ECT_ECU1020は、トランスミッションソレノイドにダウンシフト指令を出力するとともに、リニアソレノイド(SLU)550にロックアップクラッチ210の解放指令を出力する。
【0092】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係るECT_ECU1020を搭載した車両の動作について説明する。
【0093】
たとえば、車両がフレックスロックアップ領域において走行中であると(S100にてYES)、ECT_ECU1020からリニアソレノイド(SLU)550に出力される制御信号に基づいて、トルクコンバータ200のロックアップクラッチ210がスリップ制御される。トルクコンバータ200自体の流体継手としての作用と、ロックアップクラッチ210をスリップ制御することによる機械的結合とに基づいて、動力伝達効率が上昇する。
【0094】
このような状態において、車両の運転者が急に大きく(深く)フットブレーキを踏むと(S200にてYES)、ECT_ECU1020によりエンジン回転数NEがエンジン回転数センサ400からエンジンECU1010に入力された信号に基づいて検知される(S300)。エンジン回転数NEの時間変化率の絶対値(|ΔNE/Δt|)が算出され(S400)、車両の運転者がフットブレーキを急に大きく(深く)踏み込んでいるので、エンジン回転数NEの時間変化率の絶対値(|ΔNE/Δt|)が予め定められたしきい値α以上になるため(S500にてYES)、車両が急制動されたと判断される。
【0095】
ECT_ECU1020からリニアソレノイド(SLT)520にライン圧を上昇させるように指令が出力される(S600)。このようにリニアソレノイド(SLT)520にライン圧を上昇させる指令とは、図3に示すようにライン圧を高めるために電圧を低くするように、ECT_ECU1020からリニアソレノイド(SLT)520に制御信号が送信される。このような制御信号が送信されると、プライマリレギュレータバルブ510により、ポンプ500から吐出された油圧がライン油圧として調圧されるが、通常のライン油圧よりも高くなる。このライン油圧により変速制御が実行され、ライン油圧の上昇により、変速制御を実行する摩擦係合要素であるクラッチやブレーキおよびワンウェイクラッチの係合や解放時間を短くすることができる。
【0096】
また、プライマリレギュレータバルブ510に接続されたセカンダリレギュレータバルブにより調圧された作動油によりトルクコンバータ200のロックアップクラッチ210が解放される。ライン圧を上昇させることによりセカンダリレギュレータバルブから調圧された油圧を高めて、トルクコンバータ200のロックアップクラッチ210の作動油圧が高める。そのため、ロックアップクラッチ作動油圧を上昇させ、ロックアップクラッチ210の解放に要する時間を短くすることができる。
【0097】
このようにして、ライン圧を上昇させた状態で、トランスミッションソレノイドにダウンシフト指令が出力されるとともに、リニアソレノイド(SLU)550にロックアップクラッチ210の解放の指令が出力される。
【0098】
以上のような車両の動作を、図6に示すタイミングチャートを用いて説明する。図6には、本発明の実施の形態に係るECT_ECU1020を用いて制御された場合と、このような制御を行なわなかった場合とを併記している。
【0099】
図6に示すように、3rdギヤで走行中に車両の運転者がフットブレーキを急に大きく(深く)踏むことにより、エンジン回転数NEが急激に低下する。エンジン回転数NEの時間変化率の絶対値(|ΔNE/Δt|)が予め定められたしきい値αより大きいため急制動と判断され、リニアソレノイド(SLT)520にライン圧を上昇させるように指令が出力される。
【0100】
図6に示すように、従来は、このような制御が行なわれなかったため、変速制御に用いられる作動油の油圧であるライン圧が通常の状態であるのでギヤを3rdから2ndおよび1stに変速する時間がかかる。また、ロックアップクラッチ210の解放油圧であるセカンダリレギュレータ圧が通常の状態であるのでロックアップクラッチ210の解放に時間がかかる。これらのために、タービン回転数NTの低下(小さいギヤ比への変速が遅れているので)に引き摺られて(ロックアップクラッチの解放が遅れているので)エンジン回転数NEが低下する。このため、従来の状態においては、エンジン回転数NEがエンジンストールを発生することになる。
【0101】
一方、本実施の形態に係るECT_ECU1020による制御を実行した場合には、急制動と判断されると、ライン圧が上昇されるため、変速制御に用いられる作動油の油圧が上昇する。このため、3rdから2ndへの変速時間が短くなり、図6に示すように、出力軸回転数NOUTが急制動に伴い急激に低下しても、タービン回転数NTはギヤの変速動作に対応して上昇して、ロックアップクラッチ210の解放動作が遅れたとしてもエンジン回転数NEを低下させることにならない。
【0102】
さらに、ライン圧の上昇に伴いセカンダリレギュレータバルブからロックアップクラッチ210に供給される作動油の油圧も上昇するため、ロックアップクラッチ210を解放する時間も短くなる。
【0103】
そのため、これら2つの相乗効果(タービン回転数NTが変速時間が速くなることにより低下しないことおよびロックアップクラッチ210が早急に解放されることの2つの相乗効果)により、エンジン回転数NEはタービン回転数NTに引き摺られることなくエンジンストールが発生する回転数以上を維持することができる。
【0104】
以上のようにして、本実施の形態に係る車両の制御装置によると、フレックスロックアップ制御中に車両の急制動が検知されると、ダウンシフトを実行する摩擦係合要素の係合および解放に用いられるライン圧の油圧を上昇させるとともに、ロックアップクラッチを解放させるセカンダリレギュレータバルブから出力される作動油の油圧を上昇させる。これにより、有段式の自動変速装置のダウンシフトを実行するクラッチやブレーキを作動させるための油圧が上昇して変速時間が短くなるとともに、ロックアップクラッチの解放のための油圧が上昇してロックアップクラッチの解放時間が短くなる。
【0105】
従来においては、ロックアップクラッチのスリップ制御中に急制動が発生した場合には、ロックアップクラッチの解放が遅れたりダウンシフトが遅れたりして、出力軸回転数NOUTが急激に低下することによりエンジン回転数NEが出力軸回転数NOUTに引き摺られて、エンジン回転数NEが下がりすぎてエンジンストールする可能性があった。
【0106】
しかしながら、本実施の形態に係る制御装置によると、ロックアップクラッチが速やかに解放するとともにダウンシフト変速制御を速やかに実行してギヤ比を大きくすることができる。このようにするので、出力軸回転数NOUTが急激に低下してもタービン回転数NTが急激に低下しないようにしてタービン回転数NTによりエンジン回転数NEが引き摺られないようにするとともに、ロックアップクラッチを早急に解放させることができる。その結果、コストアップになることなく、遊星歯車式減速機構を有する有段の自動変速機において、フレックスロックアップ制御時の急制動が発生してもエンジンストールの発生を防止することができる。
【0107】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る自動変速機の制御ブロック図である。
【図2】図1に示す自動変速機の作動表である。
【図3】油圧回路を示す図(その1)である。
【図4】油圧回路を示す図(その2)である。
【図5】ECUで実行される急制動処理のプログラムの制御構造を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る自動変速機が搭載された車両の動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
100 エンジン、200 トルクコンバータ、210 ロックアップクラッチ、220 ポンプ羽根車、230 タービン羽根車、240 ステータ、250 ワンウェイクラッチ、300 自動変速機、310 入力クラッチ、400エンジン回転数センサ、410 タービン回転数センサ、420 出力軸回転数センサ、500 オイルポンプ、510 プライマリレギュレータバルブ、520 リニアソレノイド(SLT)、530 ロックアップリレーバルブ、540 ロックアップコントロールバルブ、550 リニアソレノイド(SLU)、1000 ECU、1010 エンジンECU、1020 ECT_ECU、1030 VSC_ECU。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロックアップクラッチのスリップ制御に関し、特に、急制動時においてもエンジンストールを回避する車両の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トルクコンバータの入力側と出力側とを直結可能とするロックアップクラッチを制御する際に、入力側のポンプ回転速度(エンジン回転速度に対応)と出力側のタービン回転速度との回転差に応じて、そのロックアップクラッチの係合力を所定の状態にフィードバック制御し(スリップ制御し)、これによってトルクコンバータのスリップ状態を適正に制御して振動および騒音の発生を防止するととともに、燃費性能の改善を図るようにした技術が知られている。
【0003】
このような制御は、高度な電子制御により、ロックアップ作動領域を拡大したフレックスロックアップ制御とよばれる。この制御においては、ロックアップクラッチによる機械的な動力伝達とトルクコンバータによる流体な動力伝達との動力伝達配分を走行状態に応じて、きめ細かく制御することにより、伝達効率を大幅に高めている。このフレックスロックアップ制御においては、中間モード(ロックアップクラッチに微小な滑りを与えるスリップ制御)を低車速域まで広げて設定し、ロックアップ領域をより拡大する。
【0004】
また、減速時においてもロックアップクラッチを作動させることにより、フューエルカットされている時間(燃料の供給が中止されている時間)をできるだけ長く維持して燃費の向上を図るとともに、適度なエンジンブレーキを確保するようにすることできる。すなわち、アクセルペダルが解放されると、一般にエンジンのフューエルカットが実施されるが、このフューエルカットはエンジン回転速度が予め定められた値以下になると中止される。従って、ロックアップクラッチのスリップ制御によってエンジン回転数が急激に低下しないようにすることにより、フューエルカットされている時間を長く保つことができ、同時にこの間は適度なエンジンブレーキを確保することができるものである。
【0005】
このように多くの長所を有する一方、フレックスロックアップ制御において、急制動が発生すると、エンジンストールを避けるべく、ロックアップクラッチの早急な解放を行なうとともに、出力軸回転数が急激に低下するのでダウンシフトを早急に行ない、タービン回転数を上昇させてエンジン回転がタービン回転の低下に引き摺られないようにする必要がある。ロックアップ制御中の急制動等に関して、以下のような様々な技術が開示されている。
【0006】
特開平5−52258号公報(特許文献1)は、減速運転時にロックアップクラッチを設定締結力にスリップ制御する場合、その後の解放動作を素早くして、急制動時でのエンストを防止する自動変速機の変速装置を開示する。この制御装置は、トルクコンバータの入力軸と出力軸とを直結するロックアップクラッチと、ロックアップクラッチに油圧制御回路のライン圧を生成した残余の余剰油を供給してロックアップクラッチの締結力を調整する締結力調整部と、エンジンの減速運転時を検出する減速時検出部と、減速時検出部により検出された減速運転時にロックアップクラッチの締結力を設定値にするよう締結力調整部を制御する締結力制御部と、減速時検出部により検出された減速運転時に油圧制御回路のライン圧をスロットル弁開度の全閉時に相当する最低ライン圧よりも低く補正するライン圧補正部とを備える。
【0007】
この制御装置によると、ロックアップクラッチが設定締結力に制御されている減速運転時には、ライン圧はライン圧補正部によって最低ライン圧未満に低く補正される。このことにより、油圧制御回路からの油のリーク量が減少するので、その分、油圧制御回路の余剰油が多くなって、ロックアップクラッチに供給される油量が増大し、ロックアップクラッチの解放動作が従来に比して素早く行なわれることになる。従って、この減速運転時に急制動があっても、ロックアップクラッチが未だ締結状態にあることに起因するエンストが効果的に防止される。しかも、上記の減速運転時に変速が行なわれる場合には、ライン圧の低下補正が禁止されて、ライン圧は通常通りスロットル弁開度に応じたライン圧に復帰するので、変速機構の各摩擦要素の締結動作が所期通り良好に確保されて、変速が支障なく行なわれる。その結果、スロットル弁開度を全閉にした減速運転時にロックアップクラッチを設定締結力に制御する場合に、ライン圧を強制的に最低ライン圧未満に低く補正したので、ロックアップクラッチへの油量を多く確保してロックアップクラッチの解放動作を素早くでき、エンストを有効に防止することができる。
【0008】
特開平7−174216号公報(特許文献2)は、急制動時の油の片寄りによるエンジンストールを防止する自動変速機の油圧制御装置を開示する。この油圧制御装置は、ロックアップクラッチにより入力要素と出力要素とを直結状態とすることが可能なトルクコンバータを有した自動変速機と、自動変速機のオイルポンプから吐出された作動油圧を調整してライン圧を形成するライン圧アクチュエータと、走行状態検出部からの入力に基づいて走行状態に応じたライン圧を形成すべくライン圧アクチュエータの作動を制御するライン圧制御部と、オイルポンプの吸引側のオイルストレーナの吸込口が油面から露出する状態を検出する露出状態検出部とを含み、ライン圧制御部は、露出状態検出部が吸込口が露出する状態を検出している間、ライン圧を高める露出時制御を行なう。
【0009】
この油圧制御装置によると、制動操作を行なって急減速することでオイルパン内の油が片寄って、オイルストレーナの吸込口が油面の上に露出する状態となった時には、露出状態検出部がその状態を検出し、これによって、ライン圧制御部が、ライン圧を高めるようにライン圧アクチュエータの作動を制御する。したがって、制動操作に対応してトルクコンバータのロックアップを解除すべくロックアップクラッチにリリース圧を供給した際に、吸込口が露出されてオイルポンプの吐出圧が低下したとしても、ライン圧を高める制御により、ライン圧は、オイルポンプの吐出圧の低下ほどまでは低下せず、リリース圧を確保してトルクコンバータのロックアップを解除させることができる。
【0010】
特開平8−28692号公報(特許文献3)は、アイドリング状態での減速時のブレーキングによってエンジンストールに至ることを未然に防止する自動変速機付き車両の制御装置を開示する。この制御装置は、流体継手における駆動側部材と従動側部材とを選択的に連結するロックアップクラッチを備え、減速時にそのロックアップクラッチを従動側部材の回転数が所定の下限回転数以上の場合にスリップ制御する自動変速機付き車両の制御装置であって、減速時におけるロックアップクラッチのスリップ制御中のスリップ回転数を検出するスリップ回転数検出部と、検出されたスリップ回転数に基づいて下限回転数を設定し、かつその下限回転数の値を、検出されたスリップ回転数が小さい場合にスリップ回転数が大きい場合より高回転数に設定するスリップ解除回転数設定部とを備える。
【0011】
この制御装置によると、減速時における従動側部材の回転数が所定の下限回転数以上であればロックアップクラッチがスリップ制御され、エンジンに連結されている駆動側部材と従動側部材との間でトルクの伝達が行なわれる。その状態での駆動側部材の回転数と従動側部材の回転数との差がスリップ回転数としてスリップ回転数検出部によって検出される。そしてスリップ制御を解除する下限回転数は、スリップ回転解除設定部によってスリップ回転数に応じた値に設定されるが、その値はスリップ回転数が小さいほど高回転数に設定される。たとえばスリップ回転数が小さいためにロックアップクラッチがほぼ完全に係合していると判断されるような場合には、ある程度以上のスリップ回転数が生じている場合に比較して高回転数に設定される。したがって、ロックアップクラッチがほぼ完全に係合していると判断されるような場合には、エンジン回転数がある程度高い状態でロックアップクラッチが解放されるので、ブレーキ操作によって従動側部材の回転数が急激に低下させられたとしても、エンジン回転数が過度に低回転数になる以前にロックアップクラッチが解放させられ、したがってエンジン回転数が大きく落ち込むことがないので、エンジンストールに至ることが未然に防止される。
【0012】
特開平8−86353号公報(特許文献4)は、急ブレーキ時のエンジンストールを確実に防止する、ロックアップ制御圧の油圧減と変速制御の油圧源とを共有する油圧制御ユニットを有する車両用自動変速機のロックアップと変速の総合制御装置を開示する。この総合制御装置は、その入力側がエンジンに出力側が変速機構に接続され、流体を介して動力を伝達する入出力間を直結可能なロックアップクラッチを有する流体伝動継手と、ロックアップクラッチの締結・解放制御圧と変速機構の変速操作制御圧を共通の油圧源からの作動圧に基づいて作り出す油圧制御ユニットと、油圧制御ユニットに設けられ、外部からの制御指令によりクラッチ締結・解放を任意に制御するロックアップ制御アクチュエータと、油圧制御ユニットに設けられ、外部からの制御指令により変速段あるいは変速比を変える変速操作を任意に制御する変速制御アクチュエータと、急ブレーキ操作時であるかどうかを検出する急ブレーキ操作検出部と、急ブレーキ操作検出時、ロックアップクラッチを解放するかもしくは解放を継続する制御指令をロックアップ制御アクチュエータに出力するとともに、変速機構での変速操作を禁止する制御指令を変速制御アクチュエータに出力するロックアップ・変速の総合制御部とを備える。
【0013】
この総合制御装置によると、急ブレーキ操作検出部により急ブレーキ操作が検出された時には、ロックアップ・変速の総合制御部において、ロックアップクラッチを解放するかもしくは解放を継続する制御指令がロックアップ制御アクチュエータに出力されるとともに、変速機構での変速操作を禁止する制御指令が変速制御アクチュエータに出力される。よって、油圧制御ユニットにおいて、ロックアップクラッチの締結・解放制御圧と変速機構の変速操作制御圧が共通の油圧源からの作動圧に基づいて作り出され、ロックアップ解放操作と変速操作を同時に行なうと、油圧源への流量負荷が大きくかかるため、ロックアップ解放のための流量が減少してロックアップ解放時間が長くかかることになる。しかし、この発明では、急ブレーキ操作時のロックアップ解放において、変速機構での変速操作を禁止する制御が併せて行なわれることで、油圧源への流量負荷が小さく抑えられ、ロックアップ解放のための流量が十分に確保され、早い解放速度によるロックアップクラッチの解放が達成される。この結果、急ブレーキをかけると短時間にてタイヤロックを生じてしまうような低μ路急ブレーキ操作時においても、急ブレーキ操作開始後、直ちにロックアップクラッチが解放され、高速でのタイヤロック現象に対してもエンジンストールを確実に防止することができる。
【0014】
特開平10−213219号公報(特許文献5)は、減速時に急に制動が行なわれたときにエンストが発生することがなく、かつ、フューエルカット制御領域を広くすることができる自動変速機のロックアップクラッチ制御装置を開示する。このロックアップクラッチ制御装置は、流体伝動装置に配設されたロックアップクラッチ装置と、ロックアップクラッチ装置を係合させるための係合側油室と、ロックアップクラッチ装置を解放するための解放側油室と、切換信号を発生させる切換信号発生部と、スロットル開度に対応する制御油圧を発生させる制御油圧発生部と、切換信号発生部から切換信号を受けて解放側位置と係合側位置とを採り、解放側位置において解放油圧を解放側油室に供給し、係合側位置において係合油圧を係合側油室に、制御油圧を解放側油室にそれぞれ供給する油圧供給部とを有する。
【0015】
このロックアップクラッチ制御装置によると、油圧供給部が解放側位置を採ると、解放側油室だけに解放油圧が供給され、係合側位置を採ると、係合側油室に係合油圧が、解放側油室に制御油圧がそれぞれ供給される。したがって、減速時に急に制動が行なわれても、解放側油室に制御油圧が供給されているので、ロックアップクラッチ装置を直ちに解放することができる。その結果、エンストが発生するのを防止することができる。また、ロックアップクラッチ装置を直ちに解放することができるので、その分ロックアップ領域を広くすることができる。したがって、減速時にエンジンの回転数を高めにすることができ、フューエルカット制御領域をその分広くすることができる。
【0016】
特開平10−246317号公報(特許文献6)は、急ブレーキ等で素早いダウンシフト操作をする必要がある場合、ライン圧油路からセカンダリ圧油路への流出を規制して、ロックアップ付きトルクコンバータの必要圧を確保しつつ、無段変速装置の急速なダウンシフト操作のための必要圧をも確保する無段変速機の油圧制御装置を開示する。この油圧制御装置は、油圧により変速比が変えられる無段変速装置と、無段変速装置とエンジン出力軸の間に介在し、ロックアップクラッチを有する流体伝動装置とを備えた無段変速装置において、オイルポンプの吐出圧をライン圧調圧部にて調圧して、調圧されたライン圧を無段変速装置の変速比変更部に供給するライン圧油路と、ライン圧をセカンダリ圧調圧部にて調圧して、調圧されたセカンダリ圧を流体伝動装置に供給するセカンダリ圧油路と、ライン圧油路とセカンダリ圧油路とを連通する連通油路と、連通油路に介在し、連通油路を流れる油量を変更する変更部とを備える。
【0017】
この油圧制御装置によると、ライン圧油路とセカンダリ圧油路とを連通する油路間を流れる油量の変更が可能となるので、ロックアップクラッチが引き摺らないようにセカンダリ圧を確保できるとともに、無段変速装置の急速な変速に必要なライン圧油路の油量をも確保することができ、ロックアップクラッチ付き流体伝動装置を備えた無段変速機の信頼性を向上することができる。
【0018】
【特許文献1】
特開平5−52258号公報
【0019】
【特許文献2】
特開平7−174216号公報
【0020】
【特許文献3】
特開平8−28692号公報
【0021】
【特許文献4】
特開平8−86353号公報
【0022】
【特許文献5】
特開平10−213219号公報
【0023】
【特許文献6】
特開平10−246317号公報
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した公報に開示された技術には、以下のような問題点がある。
【0025】
特許文献1に開示された自動変速機の制御装置では、ロックアップクラッチのスリップ制御時には、ライン圧が低く設定される。このような制御を一般的なフレックスロックアップ制御に適用した場合において、急制動が発生すると、ロックアップクラッチの解放動作とダウンシフト変速動作とが実行される。このとき、ライン圧が低く設定されて多量の作動油をロックアップクラッチへ供給することによりロックアップクラッチの解放動作を早めることができても、ダウンシフト変速動作はライン圧が低下しているので、逆に遅くなってしまう。この結果、減速フィーリングが所望の状態ではなくなる。特に、ダウンシフト変速動作が遅く、高速ギヤの状態が継続すると、燃料が噴射されていないエンジンの回転数が急激に低下するタービン回転数に引き摺られて低下してしまい、エンジンストールを発生するおそれがある。そのためには、ダウンシフトを速やかに行ない、タービン回転数を上昇させてタービン回転数によりエンジン回転数を低下させないようにする必要がある。
【0026】
特許文献2に開示された油圧制御装置では、ロックアップ制御時において急制動が発生した場合に、トルクコンバータのロックアップクラッチの解放を正常に行なうためにライン圧を高めることに言及したに過ぎない。たとえば、フレックスロックアップ制御において急制動が発生すると、ロックアップクラッチの急解放と変速機構の素早いダウンシフトとが必要になるが、このような状態を想定していない。
【0027】
特許文献3に開示された油圧制御装置では、スリップ制御を解除する下限回転数は、スリップ回転数が小さいほど高回転数に設定されるので、スリップ回転数が小さくロックアップクラッチがほぼ完全に係合していると判断されるような場合には高回転数に設定され、制動時にスリップが少ない場合(ほぼ完全に係合している場合)、高回転領域でスリップ制御を解除する。このため、急制動が発生することを前提として予めロックアップクラッチのスリップ制御を解除してしまうのでフレックスロックアップ制御の領域が狭まることになる。また、フレックスロックアップ制御において急制動が発生すると、ロックアップクラッチの急解放と変速機構の素早いダウンシフトとが必要になるが、このような状態を想定していない。
【0028】
特許文献4に開示された総合制御装置では、フレックスロックアップ制御時に適用すると、急制動が発生した場合に、ロックアップクラッチの急解放を実現できても、ダウンシフト変速が禁止されてしまい、高速ギヤ段のままロックアップクラッチの解放を優先させる。ロックアップクラッチの急解放と変速機構の素早いダウンシフトとが必要になるが、このような状態を想定していない。
【0029】
特許文献5に開示されたロックアップクラッチ制御装置では、係合側油室に係合油圧が、解放側油室に制御油圧がそれぞれ供給されているので、ロックアップが係合状態で急制動が発生した場合に、ロックアップクラッチを直ちに解放することができることに言及したに過ぎない。たとえば、フレックスロックアップ制御において急制動が発生すると、ロックアップクラッチの急解放と変速機構の素早いダウンシフトとが必要になるが、このような状態を想定していない。
【0030】
特許文献6に開示された油圧制御装置では、連通油路と、連通油路に介在し、連通油路を流れる油量を変更する変更部とを新たに備える必要があり、制御装置のコストアップにつながる。また、無段変速機に適用される油圧制御装置であって、遊星歯車式減速機構を有する有段の自動変速機に言及されていない。
【0031】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、コストアップになることなく、遊星歯車式減速機構を有する有段の自動変速機において、フレックスロックアップ制御時の急制動においてもエンジンストールの発生を防止できる車両の制御装置および制御方法を提供することである。
【0032】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る車両の制御装置は、エンジンと、ロックアップクラッチを備えた流体継手を有する自動変速機とを搭載した車両を制御する。自動変速機は遊星歯車式減速機構を有する有段式の自動変速機であって予め定められた摩擦係合要素を係合したり解放したりすることにより複数のギヤ比を切換える。この制御装置は、ロックアップクラッチが所望のスリップ状態になるように、ロックアップクラッチの係合力を制御するためのロックアップ制御手段と、摩擦係合要素の係合および解放を制御するための変速制御手段と、車両の急制動を検知するための検知手段と、ロックアップ制御手段によるロックアップクラッチのスリップ制御中に、急制動を検知すると、摩擦係合要素の係合および解放に用いられる作動油の油圧を上昇させるとともに、ロックアップクラッチの係合力の制御に用いられる作動油の油圧を上昇させるように、作動油の油圧回路を制御するための制御手段とを含む。
【0033】
第1の発明によると、ロックアップ制御手段は、低車速領域においてロックアップクラッチをスリップ制御させることにより動力伝達効率を高める、いわゆるフレックスロックアップ制御を実現する。このようなフレックスロックアップ制御中に車両の急制動が検知されると、摩擦係合要素の係合および解放に用いられる作動油の油圧を上昇させるとともに、ロックアップクラッチの係合力の制御に用いられる作動油の油圧を上昇させる。これにより、変速制御手段が制御する摩擦係合要素の係合および解放のための油圧が上昇して変速時間が短くなり、ロックアップ制御手段が制御するロックアップクラッチの解放のための油圧が上昇してロックアップクラッチの解放時間が短くなる。このように、ロックアップクラッチのスリップ制御中に急制動が発生した場合、出力軸回転数が急激に低下するので、ロックアップクラッチを速やかに解放しなければ、出力軸回転数にエンジン回転数が引き摺られてエンジン回転数が下がりすぎてエンジンストールする可能性がある。このためロックアップクラッチを速やかに解放する。これとともに、ダウンシフト変速制御を速やかに実行してギヤ比を大きくして出力軸回転数が低下してもタービン回転数を低下させないようにして、ロックアップクラッチの解放が遅れたとしてもタービン回転数によりエンジン回転数を低下させないようにする。その結果、コストアップになることなく、遊星歯車式減速機構を有する有段の自動変速機において、フレックスロックアップ制御時の急制動においてもエンジンストールの発生を防止できる車両の制御装置を提供することができる。
【0034】
第2の発明に係る車両の制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、変速制御手段は、急制動を検知すると、ギヤ比が大きくなるように制御するための手段を含む。
【0035】
第2の発明によると、ロックアップクラッチが解放されている時間にエンジンストールしないように、ダウンシフト変速制御を速やかに実行してギヤ比を大きくする。これにより、ロックアップクラッチの解放が遅れた場合においても、出力軸回転数が低下してもタービン回転数を低下させないようにして、タービン回転数によりエンジン回転数を低下させないで、エンジンストールを回避することができる。
【0036】
第3の発明に係る車両の制御装置においては、第1または2の発明の構成に加えて、ロックアップ制御手段は、急制動を検知すると、ロックアップクラッチを解放するように制御するための手段を含む。
【0037】
第3の発明によると、ロックアップクラッチのスリップ制御中に急制動が発生した場合、出力軸回転数が急激に低下しても、ロックアップクラッチを速やかに解放することができるので、出力軸回転数にエンジン回転数が引き摺られてエンジン回転数が下がりすぎてエンジンストールする可能性を低くすることができる。
【0038】
第4の発明に係る車両の制御装置においては、第1〜3のいずれかの発明の構成に加えて、摩擦係合要素の係合および解放に用いられる作動油の油圧はライン圧であって、ロックアップクラッチの係合力の制御に用いられる作動油の油圧は、ライン圧に基づいて調圧される。制御手段は、ライン圧が通常のダウンシフト時のライン圧よりも高くなるように、作動油の油圧回路に設けられたソレノイドバルブを制御するための手段を含む。
【0039】
第4の発明によると、通常ライン圧はスロットル開度やエンジン回転数などに基づいてコントロールされ、このライン圧でトランスミッションソレノイドを介して変速が行なわれる。ロックアップクラッチのスリップ制御中に給制動が発生すると、通常のダウンシフト時のライン圧よりも高い油圧に調圧される。たとえば、プライマリレギュレータバルブをリニアソレノイドバルブで制御する場合には、リニアソレノイドへの制御電圧(または制御電流)を変更する。また、プライマリレギュレータバルブに接続されたセカンダリレギュレータバルブにより調圧された油圧でロックアップクラッチを制御する場合には、ライン圧を高めることでセカンダリレギュレータバルブにより調圧された油圧を上昇させて、ロックアップクラッチを解放するための作動油の油圧を高めることができる。
【0040】
第5の発明に係る車両の制御装置においては、第1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、検知手段は、エンジンの回転数を検知するための手段と、エンジンの回転数の時間変化率を算出するための手段と、時間変化率に基づいて、車両の急制動を検知するための手段とを含む。
【0041】
第5の発明によると、車両の運転者がフットブレーキを大きく(深く)踏み込んで車両を急制動させると、エンジン回転数が出力軸回転数に引き摺られて急激に低下する。検知手段が、エンジンの回転数の時間変化率を算出して、この時間変化率の絶対値が予め定められたしきい値よりも大きいと、急制動が発生したことを検知することができる。
【0042】
第6の発明に係る車両の制御方法は、エンジンと、ロックアップクラッチを備えた流体継手を有する自動変速機とを搭載した車両を制御する。自動変速機は遊星歯車式減速機構を有する有段式の自動変速機であって予め定められた摩擦係合要素を係合したり解放したりすることにより複数のギヤ比を切換える、この制御方法は、ロックアップクラッチが所望のスリップ状態になるように、ロックアップクラッチの係合力を制御するロックアップ制御ステップと、摩擦係合要素の係合および解放を制御する変速制御ステップと、車両の急制動を検知する検知ステップと、ロックアップ制御ステップによるロックアップクラッチのスリップ制御中に、急制動を検知すると、摩擦係合要素の係合および解放に用いられる作動油の油圧を上昇させるとともに、ロックアップクラッチの係合力の制御に用いられる作動油の油圧を上昇させるように、作動油の油圧回路を制御する制御ステップとを含む。
【0043】
第6の発明によると、ロックアップ制御ステップにて、低車速領域においてロックアップクラッチをスリップ制御させることにより動力伝達効率を高める、いわゆるフレックスロックアップ制御を実現する。このようなフレックスロックアップ制御中に車両の急制動が検知されると、摩擦係合要素の係合および解放に用いられる作動油の油圧を上昇させるとともに、ロックアップクラッチの係合力の制御に用いられる作動油の油圧を上昇させる。これにより、変速制御ステップにて制御する摩擦係合要素の係合および解放のための油圧が上昇して変速時間が短くなり、ロックアップ制御ステップにて制御するロックアップクラッチの解放のための油圧が上昇してロックアップクラッチの解放時間が短くなる。このように、ロックアップクラッチのスリップ制御中に急制動が発生した場合、出力軸回転数が急激に低下するので、ロックアップクラッチを速やかに解放しなければ、出力軸回転数にエンジン回転数が引き摺られてエンジン回転数が下がりすぎてエンジンストールする可能性がある。このためロックアップクラッチを速やかに解放する。これとともに、ダウンシフト変速制御を速やかに実行してギヤ比を大きくして出力軸回転数が低下してもタービン回転数を低下させないようにして、ロックアップクラッチの解放が遅れたとしてもタービン回転数によりエンジン回転数を低下させないようにする。その結果、コストアップになることなく、遊星歯車式減速機構を有する有段の自動変速機において、フレックスロックアップ制御時の急制動においてもエンジンストールの発生を防止できる車両の制御方法を提供することができる。
【0044】
第7の発明に係る車両の制御方法においては、第6の発明の構成に加えて、変速制御ステップは、急制動を検知すると、ギヤ比が大きくなるように制御するステップを含む。
【0045】
第7の発明によると、ロックアップクラッチが解放されている時間にエンジンストールしないように、ダウンシフト変速制御を速やかに実行してギヤ比を大きくする。これにより、ロックアップクラッチの解放が遅れた場合においても、出力軸回転数が低下してもタービン回転数を低下させないようにして、タービン回転数によりエンジン回転数を低下させないで、エンジンストールを回避することができる。
【0046】
第8の発明に係る車両の制御方法においては、第6または7の発明の構成に加えて、ロックアップ制御ステップは、急制動を検知すると、ロックアップクラッチを解放するように制御するステップを含む。
【0047】
第8の発明によると、ロックアップクラッチのスリップ制御中に急制動が発生した場合、出力軸回転数が急激に低下しても、ロックアップクラッチを速やかに解放することができるので、出力軸回転数にエンジン回転数が引き摺られてエンジン回転数が下がりすぎてエンジンストールする可能性を低くすることができる。
【0048】
第9の発明に係る車両の制御方法においては、第6〜8のいずれかの発明の構成に加えて、摩擦係合要素の係合および解放に用いられる作動油の油圧はライン圧であって、ロックアップクラッチの係合力の制御に用いられる作動油の油圧は、ライン圧に基づいて調圧される。制御ステップは、ライン圧が通常のダウンシフト時のライン圧よりも高くなるように、作動油の油圧回路に設けられたソレノイドバルブを制御するステップを含む。
【0049】
第9の発明によると、通常ライン圧はスロットル開度やエンジン回転数などに基づいてコントロールされ、このライン圧でトランスミッションソレノイドを介して変速が行なわれる。ロックアップクラッチのスリップ制御中に給制動が発生すると、通常のダウンシフト時のライン圧よりも高い油圧に調圧される。たとえば、プライマリレギュレータバルブをリニアソレノイドバルブで制御する場合には、リニアソレノイドへの制御電圧(または制御電流)を変更する。また、プライマリレギュレータバルブに接続されたセカンダリレギュレータバルブにより調圧された油圧でロックアップクラッチを制御する場合には、ライン圧を高めることでセカンダリレギュレータバルブにより調圧された油圧を上昇させて、ロックアップクラッチを解放するための作動油の油圧を高めることができる。
【0050】
第10の発明に係る車両の制御方法においては、第6〜9のいずれかの発明の構成に加えて、検知ステップは、エンジンの回転数を検知するステップと、エンジンの回転数の時間変化率を算出するステップと、時間変化率に基づいて、車両の急制動を検知するステップとを含む。
【0051】
第10の発明によると、車両の運転者がフットブレーキを大きく(深く)踏み込んで車両を急制動させると、エンジン回転数が出力軸回転数に引き摺られて急激に低下する。検知ステップにて、エンジンの回転数の時間変化率を算出して、この時間変化率の絶対値が予め定められたしきい値よりも大きいと、急制動が発生したことを検知することができる。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0053】
以下、本発明の実施の形態に係る制御装置を含む車両のパワートレーンについて説明する。本実施の形態に係る制御装置は、図1に示すECU(Electronic Control Unit)1000により実現される。本実施の形態では、自動変速機を、流体継手としてトルクコンバータを備えた、遊星歯車式減速機構を有する自動変速機として説明する。
【0054】
図1を参照して、本実施の形態に係る制御装置を含む車両のパワートレーンについて説明する。本実施の形態に係る制御装置は、より詳しくは、図1に示すECU1000の中のECT(Electronic Controlled Automatic Transmission)_ECU1020により実現される。
【0055】
図1に示すように、この車両のパワートレーンは、エンジン100と、トルクコンバータ200と、自動変速機300と、ECU1000とから構成される。
【0056】
エンジン100の出力軸は、トルクコンバータ200の入力軸に接続される。エンジン100とトルクコンバータ200とは回転軸により連結されている。したがって、エンジン回転数センサ400により検知されるエンジン100の出力軸回転数NE(エンジン回転数NE)とトルクコンバータ200の入力軸回転数(ポンプ回転数)とは同じである。
【0057】
トルクコンバータ200は、入力軸と出力軸とを直結状態にするロックアップクラッチ210と、入力軸側のポンプ羽根車220と、出力軸側のタービン羽根車230と、ワンウェイクラッチ250を有するトルク増幅機能を発現するステータ240とから構成される。トルクコンバータ200と自動変速機300とは、回転軸により接続される。トルクコンバータ200の出力軸回転数NT(タービン回転数NT)は、タービン回転数センサ410により検知される。自動変速機300の出力軸回転数NOUTは、出力軸回転数センサ420により検知される。
【0058】
ロックアップクラッチ210は、油圧を供給するロックアップリレーバルブによって油圧の供給/排出が係合側と解放側とで切り換えられて作動させられ、ロックアップピストンが軸方向に移動することによって、ロックアップピストンとフロントカバーとが摩擦材を介して接離させる。また、ロックアップクラッチ210によってトルクコンバータ内が区画され、ロックアップピストンとフロントカバーとの間に、ロックアップクラッチ210を解放するための解放側油室が、ロックアップピストンとタービンランナとの間にロックアップクラッチ210を係合させるための係合側油室がそれぞれ形成され、解放側油室および係合側油室に、バルブボディ内の油圧回路から油圧が供給されるようになっている。このロックアップクラッチ210を作動させるための油圧は、セカンダリレギュレータバルブで調圧された油圧である。これらの油圧回路の詳細については、後述する。
【0059】
図2に自動変速機300の作動表を示す。図2に示す作動表によると、摩擦要素であるクラッチ要素(図中のC1〜C4)や、ブレーキ要素(B1〜B4)、ワンウェイクラッチ要素(F0〜F3)が、どのギヤ段の場合に係合および解放されるかを示している。車両の発進時に使用される1速時には、クラッチ要素(C1)、ワンウェイクラッチ要素(F0、F3)が係合する。
【0060】
また、車両走行中に急制動が発生すると、3rdから2nd、2ndから1stへとダウンシフト変速が実行される。たとえば、3rdから2ndへの変速が実行される場合には、クラッチ要素C3が係合状態から解放状態に制御される。このクラッチ要素C3を含む図2に示すクラッチやブレーキは、プライマリレギュレータバルブにより調圧されたライン圧により作動される。
【0061】
これらのパワートレーンを制御するECU1000は、エンジン100を制御するエンジンECU1010と、自動変速機300を制御するECT_ECU1020と、VSC(Vehicle Stability Control)_ECU1030とを含む。
【0062】
ECT_ECU1020には、タービン回転数センサ410からタービン回転数NTを表わす信号が、出力軸回転数センサ420から出力軸回転数NOUTを表わす信号が入力される。また、ECT_ECU1020には、エンジンECU1010から、エンジン回転数センサ400にて検知されたエンジン回転数NEを表わす信号と、スロットルポジションセンサにて検知されたスロットル開度を表わす信号とが入力される。
【0063】
これら回転数センサは、トルクコンバータ200の入力軸、トルクコンバータ200の出力軸および自動変速機300の出力軸に取り付けられた回転検出用ギヤの歯に対向して設けられている。これらの回転数センサは、トルクコンバータ200の入力軸、トルクコンバータ200の出力軸および自動変速機300の出力軸の僅かな回転の検出も可能なセンサであり、たとえば、一般的に半導体式センサと称される磁気抵抗素子を使用したセンサである。
【0064】
さらに、ECT_ECU1020には、VSC_ECU1030から、Gセンサにて検知された車両加速度を表わす信号と、運転者によりフットブレーキが操作されたことを表わす信号とが入力される。
【0065】
ECT_ECU1020から、自動変速機300に、リニアソレノイドSLTおよびSLUに対する制御信号と、トランスミッションソレノイド制御信号が出力される。
【0066】
図3および図4を参照して、この車両の油圧回路を説明する。図3に、ライン圧に関する油圧制御回路を、図4に、ロックアップクラッチ210を作動させる油圧制御回路をそれぞれ示す。
【0067】
図3に示すように、作動油がオイルポンプ500の吐出圧でオイルポンプ500からプライマリレギュレータバルブ510に供給される。プライマリレギュレータバルブ510は、リニアソレノイド(SLT)520からの制御油圧により所望のライン圧に作動油の油圧を調圧する。リニアソレノイド(SLT)520は、ECT_ECU1020に接続され、ECT_ECU1020からの制御信号(電圧信号)により制御される。
【0068】
ECT_ECU1020は、エンジンECU1010からエンジン100のスロットル開度、エンジン吸気量、エンジン水温、エンジン回転数NEなどを受信して、それらの値と、自動変速機300の入力軸回転数(たとえばクラッチC2のスプラインを利用して検知した回転数)、自動変速機300の油温、ギヤ段、ポジション等に基づいて演算を行ない、リニアソレノイド(SLT)520の制御信号を算出する。
【0069】
図3に示すように、リニアソレノイド(SLT)520は、ECT_ECU1020からの電圧信号とプライマリレギュレータバルブに供給する油圧とは、たとえば電圧が低いほど油圧が高いというリニアな関係を有する。
【0070】
ECT_ECU1020で演算され、リニアソレノイド(SLT)520のリニア特性によりプライマリレギュレータバルブ510が制御されて、オイルポンプ500の吐出圧が所望のライン圧に調圧される。この結果、このライン圧により自動変速機300のクラッチ、ブレーキおよびワンウェイクラッチの係合油圧を制御して、滑らかな変速特性を実現する。すなわち、自動変速機300の入力軸回転数センサや各種センサからの信号を監視して、クラッチなどの係合油圧をエンジン100の出力や車両の走行状況に応じて高精度かつきめ細やかに制御することができる。
【0071】
本実施の形態に係る制御装置を実現するECT_ECU1020は、フレックスロックアップ制御中に車両の急制動を検知すると、このライン圧を他の条件よりも優先させて上昇させるようにリニアソレノイド(SLT)520に制御信号を出力する。このようにすると、図2に示す摩擦係合要素である自動変速機300のクラッチ、ブレーキおよびワンウェイクラッチの係合および解放を素早く実行できるので、変速時間が短くなる。
【0072】
図4に示すように、フレックスロックアップ制御を実現するために、ECT_ECU1020は、リニアソレノイド(SLU)550に制御信号を出力する。ECT_ECU1020は、トルクコンバータ200の入力回転数(エンジン回転数)、トルクコンバータ200の出力回転数(自動変速機300の入力軸回転数)、エンジン100のスロットル開度および車速等に基づいて、低車速領域においてもロックアップクラッチ210をスリップ制御(フレックスロックアップ制御)させて、伝達効率の大幅な向上を実現する。
【0073】
この油圧回路は、ロックアップクラッチ210の係合状態と解放状態とを切換えるためのロックアップリレーバルブ530と、リニアソレノイド(SLU)550から出力されるスリップ制御用信号圧に基づいて係合側油室と解放側油室の圧力差を調節しロックアップクラッチのスリップ量を制御するためのロックアップコントロールバルブ540と、ロックアップクラッチ210の係合圧を発生させてスリップ制御を実現するためのスリップ制御用信号を発生させるリニアソレノイド(SLU)550とを備える。
【0074】
ロックアップリレーバルブ530およびロックアップコントロールバルブ540には、セカンダリレギュレータバルブにより調圧された油圧が供給される。セカンダリレギュレータバルブは、プライマリレギュレータバルブ510に接続され、プライマリレギュレータバルブ510から流入された作動油をスロットル圧に基づいて調圧することによりエンジン100の出力トルクに対応したセカンダリレギュレータ圧を発生させる。
【0075】
ロックアップリレーバルブ530は、ロックアップクラッチ210の解放側油室と連通する解放側ポートと、係合側油室に連通する係合側ポートと、セカンダリレギュレータ圧が供給される入力ポートと、ロックアップクラッチ210の解放時に係合側油室内の作動油が排出される第1排出ポートと、係合時に解放側油室内の作動油が排出される第2排出ポートとを備える。
【0076】
このような構成を有するロックアップリレーバルブ530は、ロックアップクラッチ210の係合側としての位置と、ロックアップクラッチ210の解放側位置としての位置とをそれぞれ採ることになる。ロックアップクラッチ210の係合側において、ロックアップクラッチ210に供給されたセカンダリレギュレータ圧は、ロックアップクラッチ210の係合側油室に係合油圧、すなわち、オン圧として供給され、ロックアップクラッチ210の解放側において、セカンダリレギュレータ圧は、解放側油室に解放油圧、すなわち、オフ圧として供給される。
【0077】
すなわち、ロックアップクラッチ210にオフ圧が供給されると、ロックアップクラッチ210の解放側油室内の油圧が係合側油室内の油圧よりも高められて、ロックアップクラッチが解放されると同時に係合側油室内の作動油が第1排出ポートや逆止弁を介してドレンへ排出される。一方、ロックアップクラッチ210にオン圧が供給されると、ロックアップクラッチ210の係合側油室内の油圧が解放側油室内の油圧よりも高められて、ロックアップクラッチが係合されると同時に解放側油室内の作動油が第2排出ポートやロックアップコントロールバルブ540を介してドレンへ排出される。
【0078】
リニアソレノイド(SLU)550は、ECT_ECU1020からの出力電圧に伴って大きくなるスリップ制御用信号圧を発生させ、このスリップ制御用信号圧をロックアップコントロールバルブ540に作用させる。
【0079】
ロックアップコントロールバルブ540は、セカンダリレギュレータ圧が供給されるライン圧ポートと、ロックアップリレーバルブ530の第2排出ポートから排出されるロックアップクラッチ210の解放油室側内の作動油を受け入れる受入ポートと、その受入ポートに受け入れられた作動油を排出するためのドレンポートとを備える。
【0080】
さらに、ロックアップコントロールバルブ540は、受入ポートとドレンポートとの間を連通させる第1位置と、受入ポートとライン圧ポートとの間を連通させる第2位置との間を移動可能に設けられたスプール弁と、そのスプール弁を第1位置に向かって付勢するためにそのスプール弁に当接可能に配置されたプランジャと、そのプランジャとスプール弁とにスリップ制御用信号圧を作用させて、それらプランジャおよびスプール弁に互いに離隔する方向の推力をそれぞれ発生させるためのスリップ制御用信号圧を受け入れる信号圧油室と、プランジャにロックアップクラッチ210の解放側油室内の作動油の油圧を作用させてそのプランジャ延いてはスプール弁に第1位置へ向かう推力を発生させるために油圧を受け入れる油室と、スプール弁にロックアップクラッチ210の係合側油室内の作動油の油圧を作用させてそのスプール弁にその第2位置へ向かう方向の推力を発生させるために油圧を受け入れる油室と、信号圧油室に収容されてスプール弁を第2位置へ向かう方向へ付勢するスプリングとを備える。
【0081】
このロックアップコントロールバルブ540では、スプール弁が第1位置にあるときには、受入ポートとドレンポートとが連通させられてロックアップクラッチ210の解放側油室内の作動油が排出させられることによりロックアップクラッチ210の係合側油室内の作動油の油圧と解放側油室内の作動油の油圧との圧力差が増加させられる。一方、このロックアップコントロールバルブ540では、スプール弁が第2位置にあるときには、受入ポートとライン圧ポートとが連通させられてロックアップクラッチ210の解放側油室内にセカンダリレギュレータ圧が供給させることによりロックアップクラッチ210の係合側油室内の作動油の油圧と解放側油室内の作動油の油圧との圧力差が減少させられる。
【0082】
このようにして、ロックアップコントロールバルブ540は、リニアソレノイド(SLU)550から出力されるスリップ制御用信号圧に基づいて、係合側油室と解放側油室の圧力差を調節して、ロックアップクラッチのスリップ量を制御する。これにより、ロックアップクラッチ210がスリップ制御される。なお、ECT_ECUは、通常のロックアップ領域より広い領域で、このようなロックアップクラッチ210のスリップ制御(フレックスロックアップ制御)を実行する。
【0083】
本実施の形態に係る制御装置を実現するECT_ECU1020は、フレックスロックアップ制御中に車両の急制動を検知すると、プライマリレギュレータバルブ510により調圧されるライン圧を他の条件よりも優先させて上昇させるようにリニアソレノイド(SLT)520に制御信号を出力する。このようにすると、セカンダリレギュレータバルブにより調圧されるセカンダリレギュレータ圧が上昇する。その結果、ロックアップクラッチ210の解放側において、解放側油室に解放油圧、すなわち、オフ圧として供給されるセカンダリレギュレータ圧が上昇するので、ロックアップクラッチ210の解放を素早く実行できるので、ロックアップクラッチ210の解放時間が短くなる。
【0084】
このように本実施の形態に係る油圧回路(図3、図4)の場合には、プライマリレギュレータバルブにより調圧されるライン圧を通常のダウンシフト変速時よりも高くすることにより、ダウンシフト変速時間とロックアップクラッチ210の解放時間とを短くすることができる。
【0085】
図5を参照して、本実施の形態に係る制御装置であるECT_ECU1020で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
【0086】
ステップ(以下、ステップをSと略す。)100にて、ECT_ECU1020は、フレックスロックアップがオン状態であるか否かを判断する。この判断は、図1に示すECT_ECU1020に入力される各種センサからの信号に基づいて行なわれる。フレックスロックアップがオン状態であると(S100にてYES)、処理はS200へ移される。もしそうでないと(S100にてNO)、この処理は終了する。
【0087】
S200にて、ECT_ECU1020は、ブレーキがオン状態であるか否かを判断する。この判断は、VSC_ECU1030からECT_ECU1020に入力されるブレーキ信号に基づいて行なわれる。ブレーキ信号は、車両の運転者がフットブレーキを踏むことによりオン状態にされる。ブレーキがオンであると(S200にてYES)、処理はS300へ移される。もしそうでないと(S200にてNO)、この処理は終了する。
【0088】
S300にて、ECT_ECU1020は、エンジンECU1010から入力されたエンジン回転数信号に基づいてエンジン回転数NEを検知する。S400にて、ECT_ECU1020は、エンジン回転数NEの時間変化率の絶対値(|ΔNE/Δt|)を算出する。
【0089】
S500にて、エンジン回転数NEの時間変化率の絶対値(|ΔNE/Δt|)が予め定められたしきい値α以上であるか否かを判断する。エンジン回転数NEの時間変化率の絶対値(|ΔNE/Δt|)がしきい値α以上であると(S500にてYES)、処理はS600へ移される。もしそうでないと(S500にてNO)、この処理は終了する。
【0090】
S600にて、ECT_ECU1020は、リニアソレノイド(SLT)520にライン圧を上昇させる指令を出力する。この指令に基づいて、リニアソレノイド(SLT)520がプライマリレギュレータバルブ510を制御して、ライン圧を上昇させる。これにより、プライマリレギュレータバルブ510からの変速制御用油圧が上昇するとともに、プライマリレギュレータバルブ510に接続されたセカンダリレギュレータバルブから供給されるトルクコンバータ200のロックアップクラッチ210を作動させるロックアップクラッチ作動油の油圧が上昇する。
【0091】
S700にて、ECT_ECU1020は、トランスミッションソレノイドにダウンシフト指令を出力するとともに、リニアソレノイド(SLU)550にロックアップクラッチ210の解放指令を出力する。
【0092】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係るECT_ECU1020を搭載した車両の動作について説明する。
【0093】
たとえば、車両がフレックスロックアップ領域において走行中であると(S100にてYES)、ECT_ECU1020からリニアソレノイド(SLU)550に出力される制御信号に基づいて、トルクコンバータ200のロックアップクラッチ210がスリップ制御される。トルクコンバータ200自体の流体継手としての作用と、ロックアップクラッチ210をスリップ制御することによる機械的結合とに基づいて、動力伝達効率が上昇する。
【0094】
このような状態において、車両の運転者が急に大きく(深く)フットブレーキを踏むと(S200にてYES)、ECT_ECU1020によりエンジン回転数NEがエンジン回転数センサ400からエンジンECU1010に入力された信号に基づいて検知される(S300)。エンジン回転数NEの時間変化率の絶対値(|ΔNE/Δt|)が算出され(S400)、車両の運転者がフットブレーキを急に大きく(深く)踏み込んでいるので、エンジン回転数NEの時間変化率の絶対値(|ΔNE/Δt|)が予め定められたしきい値α以上になるため(S500にてYES)、車両が急制動されたと判断される。
【0095】
ECT_ECU1020からリニアソレノイド(SLT)520にライン圧を上昇させるように指令が出力される(S600)。このようにリニアソレノイド(SLT)520にライン圧を上昇させる指令とは、図3に示すようにライン圧を高めるために電圧を低くするように、ECT_ECU1020からリニアソレノイド(SLT)520に制御信号が送信される。このような制御信号が送信されると、プライマリレギュレータバルブ510により、ポンプ500から吐出された油圧がライン油圧として調圧されるが、通常のライン油圧よりも高くなる。このライン油圧により変速制御が実行され、ライン油圧の上昇により、変速制御を実行する摩擦係合要素であるクラッチやブレーキおよびワンウェイクラッチの係合や解放時間を短くすることができる。
【0096】
また、プライマリレギュレータバルブ510に接続されたセカンダリレギュレータバルブにより調圧された作動油によりトルクコンバータ200のロックアップクラッチ210が解放される。ライン圧を上昇させることによりセカンダリレギュレータバルブから調圧された油圧を高めて、トルクコンバータ200のロックアップクラッチ210の作動油圧が高める。そのため、ロックアップクラッチ作動油圧を上昇させ、ロックアップクラッチ210の解放に要する時間を短くすることができる。
【0097】
このようにして、ライン圧を上昇させた状態で、トランスミッションソレノイドにダウンシフト指令が出力されるとともに、リニアソレノイド(SLU)550にロックアップクラッチ210の解放の指令が出力される。
【0098】
以上のような車両の動作を、図6に示すタイミングチャートを用いて説明する。図6には、本発明の実施の形態に係るECT_ECU1020を用いて制御された場合と、このような制御を行なわなかった場合とを併記している。
【0099】
図6に示すように、3rdギヤで走行中に車両の運転者がフットブレーキを急に大きく(深く)踏むことにより、エンジン回転数NEが急激に低下する。エンジン回転数NEの時間変化率の絶対値(|ΔNE/Δt|)が予め定められたしきい値αより大きいため急制動と判断され、リニアソレノイド(SLT)520にライン圧を上昇させるように指令が出力される。
【0100】
図6に示すように、従来は、このような制御が行なわれなかったため、変速制御に用いられる作動油の油圧であるライン圧が通常の状態であるのでギヤを3rdから2ndおよび1stに変速する時間がかかる。また、ロックアップクラッチ210の解放油圧であるセカンダリレギュレータ圧が通常の状態であるのでロックアップクラッチ210の解放に時間がかかる。これらのために、タービン回転数NTの低下(小さいギヤ比への変速が遅れているので)に引き摺られて(ロックアップクラッチの解放が遅れているので)エンジン回転数NEが低下する。このため、従来の状態においては、エンジン回転数NEがエンジンストールを発生することになる。
【0101】
一方、本実施の形態に係るECT_ECU1020による制御を実行した場合には、急制動と判断されると、ライン圧が上昇されるため、変速制御に用いられる作動油の油圧が上昇する。このため、3rdから2ndへの変速時間が短くなり、図6に示すように、出力軸回転数NOUTが急制動に伴い急激に低下しても、タービン回転数NTはギヤの変速動作に対応して上昇して、ロックアップクラッチ210の解放動作が遅れたとしてもエンジン回転数NEを低下させることにならない。
【0102】
さらに、ライン圧の上昇に伴いセカンダリレギュレータバルブからロックアップクラッチ210に供給される作動油の油圧も上昇するため、ロックアップクラッチ210を解放する時間も短くなる。
【0103】
そのため、これら2つの相乗効果(タービン回転数NTが変速時間が速くなることにより低下しないことおよびロックアップクラッチ210が早急に解放されることの2つの相乗効果)により、エンジン回転数NEはタービン回転数NTに引き摺られることなくエンジンストールが発生する回転数以上を維持することができる。
【0104】
以上のようにして、本実施の形態に係る車両の制御装置によると、フレックスロックアップ制御中に車両の急制動が検知されると、ダウンシフトを実行する摩擦係合要素の係合および解放に用いられるライン圧の油圧を上昇させるとともに、ロックアップクラッチを解放させるセカンダリレギュレータバルブから出力される作動油の油圧を上昇させる。これにより、有段式の自動変速装置のダウンシフトを実行するクラッチやブレーキを作動させるための油圧が上昇して変速時間が短くなるとともに、ロックアップクラッチの解放のための油圧が上昇してロックアップクラッチの解放時間が短くなる。
【0105】
従来においては、ロックアップクラッチのスリップ制御中に急制動が発生した場合には、ロックアップクラッチの解放が遅れたりダウンシフトが遅れたりして、出力軸回転数NOUTが急激に低下することによりエンジン回転数NEが出力軸回転数NOUTに引き摺られて、エンジン回転数NEが下がりすぎてエンジンストールする可能性があった。
【0106】
しかしながら、本実施の形態に係る制御装置によると、ロックアップクラッチが速やかに解放するとともにダウンシフト変速制御を速やかに実行してギヤ比を大きくすることができる。このようにするので、出力軸回転数NOUTが急激に低下してもタービン回転数NTが急激に低下しないようにしてタービン回転数NTによりエンジン回転数NEが引き摺られないようにするとともに、ロックアップクラッチを早急に解放させることができる。その結果、コストアップになることなく、遊星歯車式減速機構を有する有段の自動変速機において、フレックスロックアップ制御時の急制動が発生してもエンジンストールの発生を防止することができる。
【0107】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る自動変速機の制御ブロック図である。
【図2】図1に示す自動変速機の作動表である。
【図3】油圧回路を示す図(その1)である。
【図4】油圧回路を示す図(その2)である。
【図5】ECUで実行される急制動処理のプログラムの制御構造を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る自動変速機が搭載された車両の動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
100 エンジン、200 トルクコンバータ、210 ロックアップクラッチ、220 ポンプ羽根車、230 タービン羽根車、240 ステータ、250 ワンウェイクラッチ、300 自動変速機、310 入力クラッチ、400エンジン回転数センサ、410 タービン回転数センサ、420 出力軸回転数センサ、500 オイルポンプ、510 プライマリレギュレータバルブ、520 リニアソレノイド(SLT)、530 ロックアップリレーバルブ、540 ロックアップコントロールバルブ、550 リニアソレノイド(SLU)、1000 ECU、1010 エンジンECU、1020 ECT_ECU、1030 VSC_ECU。
Claims (10)
- エンジンと、ロックアップクラッチを備えた流体継手を有する自動変速機とを搭載した車両の制御装置であって、前記自動変速機は遊星歯車式減速機構を有する有段式の自動変速機であって予め定められた摩擦係合要素を係合したり解放したりすることにより複数のギヤ比を切換え、
前記制御装置は、
前記ロックアップクラッチが所望のスリップ状態になるように、前記ロックアップクラッチの係合力を制御するためのロックアップ制御手段と、
前記摩擦係合要素の係合および解放を制御するための変速制御手段と、
前記車両の急制動を検知するための検知手段と、
前記ロックアップ制御手段による前記ロックアップクラッチのスリップ制御中に、前記急制動を検知すると、前記摩擦係合要素の係合および解放に用いられる作動油の油圧を上昇させるとともに、前記ロックアップクラッチの係合力の制御に用いられる作動油の油圧を上昇させるように、前記作動油の油圧回路を制御するための制御手段とを含む、車両の制御装置。 - 前記変速制御手段は、前記急制動を検知すると、前記ギヤ比が大きくなるように制御するための手段を含む、請求項1に記載の車両の制御装置。
- 前記ロックアップ制御手段は、前記急制動を検知すると、前記ロックアップクラッチを解放するように制御するための手段を含む、請求項1または2に記載の車両の制御装置。
- 前記摩擦係合要素の係合および解放に用いられる作動油の油圧はライン圧であって、
前記ロックアップクラッチの係合力の制御に用いられる作動油の油圧は、前記ライン圧に基づいて調圧され、
前記制御手段は、前記ライン圧が通常のダウンシフト時のライン圧よりも高くなるように、前記作動油の油圧回路に設けられたソレノイドバルブを制御するための手段を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の車両の制御装置。 - 前記検知手段は、
前記エンジンの回転数を検知するための手段と、
前記エンジンの回転数の時間変化率を算出するための手段と、
前記時間変化率に基づいて、前記車両の急制動を検知するための手段とを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の車両の制御装置。 - エンジンと、ロックアップクラッチを備えた流体継手を有する自動変速機とを搭載した車両の制御方法であって、前記自動変速機は遊星歯車式減速機構を有する有段式の自動変速機であって予め定められた摩擦係合要素を係合したり解放したりすることにより複数のギヤ比を切換え、
前記制御方法は、
前記ロックアップクラッチが所望のスリップ状態になるように、前記ロックアップクラッチの係合力を制御するロックアップ制御ステップと、
前記摩擦係合要素の係合および解放を制御する変速制御ステップと、
前記車両の急制動を検知する検知ステップと、
前記ロックアップ制御ステップによる前記ロックアップクラッチのスリップ制御中に、前記急制動を検知すると、前記摩擦係合要素の係合および解放に用いられる作動油の油圧を上昇させるとともに、前記ロックアップクラッチの係合力の制御に用いられる作動油の油圧を上昇させるように、前記作動油の油圧回路を制御する制御ステップとを含む、車両の制御方法。 - 前記変速制御ステップは、前記急制動を検知すると、前記ギヤ比が大きくなるように制御するステップを含む、請求項6に記載の車両の制御方法。
- 前記ロックアップ制御ステップは、前記急制動を検知すると、前記ロックアップクラッチを解放するように制御するステップを含む、請求項6または7に記載の車両の制御方法。
- 前記摩擦係合要素の係合および解放に用いられる作動油の油圧はライン圧であって、
前記ロックアップクラッチの係合力の制御に用いられる作動油の油圧は、前記ライン圧に基づいて調圧され、
前記制御ステップは、前記ライン圧が通常のダウンシフト時のライン圧よりも高くなるように、前記作動油の油圧回路に設けられたソレノイドバルブを制御するステップを含む、請求項6〜8のいずれかに記載の車両の制御方法。 - 前記検知ステップは、
前記エンジンの回転数を検知するステップと、
前記エンジンの回転数の時間変化率を算出するステップと、
前記時間変化率に基づいて、前記車両の急制動を検知するステップとを含む、請求項6〜9のいずれかに記載の車両の制御方法。
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