JP4076115B2 - 電子写真用キャリア及び現像剤並びに画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナー粒子と共に撹拌することによりトナー粒子に電荷を付与する電荷付与部材である、いわゆるキャリア粒子、トナー粒子および該キャリア粒子を少なくとも含有する二成分現像剤、並びにこれを用いた画像形成方法に関し、特に、像担持体上に残存したトナーを現像にて再使用する、いわゆるリサイクル機構を有する画像形成方法と、これに適した電子写真用キャリアおよび電子写真用現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式による画像形成では、光導電性物質等の像担持体上に静電荷による潜像を形成し、この静電潜像に対して、帯電したトナー粒子を付着させ可視像を形成している。トナーにより形成された可視像は、最終的に紙等の転写媒体に転写後、熱、圧力や溶剤気体等によって転写媒体に定着され、出力画像となる。
これらの画像形成方法は、可視像化のためのトナー粒子を帯電させる方法により、トナー粒子とキャリア粒子の攪拌・混合による摩擦帯電を用いる、いわゆる二成分現像方式と、キャリア粒子を用いずにトナー粒子への電荷付与を行う、いわゆる一成分現像方式とに大別される。また、一成分現像方式では、現像ローラーへのトナー粒子の保持に磁気力を使用するか否かにより、磁性一成分現像方式、非磁性一成分現像方式に分類される。
これまで、高速性、画像再現性を要求される複写機やこれをベースとした複合機等では、トナー粒子帯電の安定性、立上がり性、画像品質の長期的安定性等の要求から、二成分現像方式が多く採用され、省スペース性、低コスト化等の要求が大きい、小型のプリンター、ファクシミリ等には、一成分現像方式が多く採用されてきていた。
【0003】
近年、環境影響への配慮から、主に一成分現像方式で採用されているユニットのリサイクル、リユースが実現されつつあるのと同時に、二成分現像方式においても、更なる現像剤の高寿命化の要求が高まってきている。
更に、近年の省エネルギー化の機運に伴い、画像形成におけるトナーの定着エネルギーは低くなり、このために、これまでよりも低い熱エネルギーで軟化する樹脂がトナー用の結着樹脂として採用される傾向がある。これらの樹脂は、常温でも粘着性が大きくなりやすく、このために、常温下でのトナー粒子同士の結着を防止し、トナー流動性を確保するために、流動性改良剤としての外添微粒子を多く含みがちである。このため、トナー組成中のトナー母体粒子と外添微粒子の消費挙動に差が生じやすく、これに伴い、トナー、現像剤特性の変動は更に大きくなりやすくなってきている。
【0004】
また、通常の定着エネルギーを必要とする、一般的なトナーにおいても、外添微粒子を多く含有させることがある。流動性改良剤としての外添微粒子が少な過ぎる場合には、現像剤中へ補給されたトナーが、速やかに、キャリア粒子と混和されず、現像剤中でトナー含有率の偏りが生じ、これに伴うトナーの帯電量に偏りが生じる場合がある。通常、こういった現象を抑制するためには、トナー自体の流動性を向上させることが試みられ、そのためにトナー中の外添微粒子量は、多くなりがちである。しかしながら、この場合においても、前記と同様に、トナー組成の消費挙動差による経時変動が発生しやすくなる。
【0005】
一方、省資源の観点から、像担持体から紙等の画像転写媒体上へ、トナーを転写した後に像担持体上へ残った、いわゆる転写残トナーを機内で再使用するためのトナーリサイクル工程を含む画像形成方法が一般的になってきているが、この様なトナーリサイクル工程を含む画像形成方法においては、トナーリサイクル工程における外力やトナーの組成変動に伴う、トナー、現像剤特性の経時変動が、より顕著に現れていた。
これらの、トナー、現像剤特性の変動が生じると、経時変化として、画像濃度の低下、地肌カブリの発生、解像力の低下等といった画像品質の劣化が現れ、更には、像担持体の物理的/電気的傷の発生、帯電部材汚染等の画像形成系の劣化をも引き起こすことがあり、画像形成装置自体の寿命を縮めることとなる。
【0006】
よって、長期間にわたり安定した良好な品質の画像を得るために、更には画像形成装置寿命を維持するためには、現像剤やトナーの特性が、使用期間により変動することなく、安定していることが重要となり、これまでにも経時変動の抑制に着眼した様々な提案がなされてきている。
これらの例としては、特開平5−197211号公報では、キャリア粒子が平均粒子径10〜300μmの曲面形状を呈し、ウレタン結合(内部)及び尿素結合(外壁)で架橋されて形成された複架橋構造を有することにより、キャリア粒子を破壊されにくくすることが、また特開平5−197212号公報では、樹脂粒子中に磁性粉が分散されてなる磁性粒子であり、その表面に(1〜20μm程度の)微小な凹凸を有することにより、トナー粒子との接触確率を上げることにより、衝撃力を低減しつつ帯電性を向上させることが、また特開平8−234500号公報では、キャリアコアの表面を触媒処理し、カーボンブラックの存在下キャリアコア表面にオレフィン系モノマーを供給し、キャリアコアの表面上で重合すると同時にカーボンブラックを取り込ませることにより、カーボンブラックの均一分散ができ、表面層の剥離も少なくなり、経時的に安定させることが、さらに特開平9−319161号公報では、マトリックス樹脂中に、臨界表面張力が20dyn/cm以上の熱硬化性樹脂微粒子を分散含有させ、マトリックス樹脂により帯電性付与能とスペント防止性を向上し、微粒子により機械的強度を向上させることが、さらにまた、特開平10−198078号公報では、キャリア粒子被覆層のマトリックス樹脂に樹脂微粒子及び導電性微粒子を分散し、かつ、マトリックス樹脂がトナーの結着樹脂を構成する樹脂成分と同じものを10%以上含有することにより、帯電性能に対するトナースペントの影響を受けにくくすること等が提案されている。
【0007】
しかしながら、これらの提案では、更なる現像剤の長寿命化が求められ、上記の様な省エネルギー化、省資源化が図られる中、これを十分に達成させられるだけの安定した、トナー、現像剤特性を有する電子写真用キャリア、電子写真用現像剤、画像形成方法は、未だ得られていない。
例えば、特開平5−197211号公報記載のものでは、キャリア粒子自身の破壊に関してはある程度防止できるが、キャリア粒子表面へのトナー成分の付着・固着に関しては、何ら抑制されるものではない。
また、特開平5−197212号公報記載のものでは、表面の1〜20μm程度の凹凸は、単にトナー粒子との接触確率を上げるためのものであり、キャリア粒子の耐久性に対しては関与せず、キャリア粒子の軽量化による衝撃力の低下によって、長寿命化を図ろうとするものである。しかしながら、この程度の大きさの表面凹凸は、一般的なトナー粒子の大きさと近く、トナー粒子がキャリア粒子表面の窪みに捕捉され、キャリア粒子が元来持っている電荷付与能力が十分に発揮されない場合がある。
さらに、特開平8−234500号公報記載のものに見られる表面層剥離を抑制する試みでは、キャリア粒子表面層の強度自体の向上効果は見込めるが、トナーの固着については必ずしも抑制されるとは限らない。
さらにまた、特開平9−319161号公報や特開平10−198078号公報に記載されたような方法では、キャリア表面の表面張力が大きな部分やトナーの結着樹脂成分と同じ成分の部分が、トナー粒子成分固着の基点となり易く、撹拌の初期から、トナー帯電量が分布を持ってしまい不安定な状態となる場合がある。
【0008】
このように、二成分現像剤において、更に長期間、トナー、現像剤特性変動を抑制するための提案は未だ十分になされておらず、現像剤の交換なしに高品質の画像を安定して得ることは非常に困難な課題である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の様な現状の問題点に鑑み、トナー、現像剤特性の経時変動を実質上無視し得る程度に抑制し、極めて長期に渡り高品質の画像を保持できる、非常に高機能なキャリア粒子を提供することを目的とする。
また、本発明は、より低い定着エネルギーにより定着し得る、省エネルギー定着が可能なトナーに対しても、上記の高品質な画像を維持できる電子写真用現像剤を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、実質上廃棄トナーを極めて少なくできる、自然環境への影響が極めて小さな画像形成方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、トナー、現像剤特性の変動を抑制するためには、
摩擦荷付与部材としてのキャリア粒子表面特性の経時変動を抑制することが重要であり、中でもキャリア粒子表面の電荷付与特性変動を抑制することが特に重要であること、
また、キャリア粒子表面の電荷付与特性変動は、トナーとの撹拌・摩擦時の衝撃力により、トナー組成成分がキャリア粒子表面へ移行して固着し、キャリア粒子表面を汚染することが大きな要因であり、従って、この様な現象の発生を抑制することにより、キャリア粒子の電荷付与特性変動を極めて小さくすることができること、
さらに、この電荷付与特性の経時変動には、トナー母体粒子成分固着の影響もさることながら、その外添微粒子のキャリア粒子表面上への移行・固着による、トナーとキャリア粒子表面の略均質化の影響が極めて大きい。すなわち、補給トナーの現像剤中への速やかな拡散を保ちつつ、トナーに含まれる外添微粒子の量をできるだけ少なくすることが、トナー、現像剤特性経時変動の抑制には重要であること
を確認するに至った。
そして、本発明者らは鋭意研究の結果、キャリア粒子自体の流動性を極めて高くし得る、表面構成を見出し、該構成のキャリア粒子を用いることにより、トナー中に含ませる外添微粒子量が少ない場合においても、十分に早い現像剤中トナー含有率の均等化が達成できることを確認し、これにより、初期のトナー、現像剤特性が、極めて長期間にわたり保持できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明によれば、下記の電子写真キャリア、それを用いた電子写真用現像剤、およびそれを用いた画像形成方法が提供される。
(1)少なくとも磁性体よりなるコア材表面に、樹脂を含むコート層を設けた粒子よりなる電子写真用キャリアにおいて、キャリア粒子表面に微少凸部とこれに隣接する凹部の高低差が5〜20nmである領域が、該キャリア粒子表面の60%以上であり、上記微小凸部が、キャリア粒子表面100nm四方に1個以上存在することを特徴とする電子写真用キャリア。
(2)キャリア粒子表面の上記微小凸部とこれに隣接する凹部の水平距離が、3nm以上であることを特徴とする上記(1)に記載の電子写真用キャリア。
(3)キャリア粒子表面のコート層が、主鎖および/または側鎖にシロキサン結合骨格を有する化合物を含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の電子写真用キャリア。
(4)少なくとも着色剤及び結着樹脂よりなるトナー母体粒子に微粒子を外添してなるトナーと、電子写真用キャリア粒子を混合してなる電子写真用現像剤において、該キャリア粒子が、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の電子写真用キャリアであることを特徴とする電子写真用現像剤。
(5)像担持体上に形成された静電潜像をトナーおよびキャリア粒子よりなる電子写真用現像剤によって現像する画像形成方法において、電子写真用現像剤として上記(4)に記載の電子写真用現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
(6)像担持体をクリーニング工程にてクリーニングし、クリーニング工程により回収したトナーを現像工程にて再使用することを特徴とする上記(5)に記載の画像形成方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
先ず、本発明の電子写真用キャリアは、少なくとも磁性体よりなるコア材表面に、樹脂を含むコート層を設けた粒子よりなる電子写真用キャリアにおいて、キャリア粒子表面に存在する任意の凸部とこれに隣接する凹部との高低差が5〜20nmである領域が、該キャリア粒子表面の60%以上を占めることを特徴とするものである。
【0013】
本発明において、キャリア粒子表面構成を、上記特定なものとすることにより、該キャリア粒子は、極めて良好な流動性とトナー拡散性を有するようになる。その理由は必ずしも明らかではないが、概ね次のように考えられる。
すなわち、本発明の表面構成を有するキャリア粒子は、その表面の微小な凸部により被接触物と接触している。この様な状態では、接触面積は極めて狭くなり、このために接触領域の相互作用力が小さくなるため、一般的な微小凹凸を有さないキャリア粒子と比較して、極めて良好な流動性を有する様になる。
キャリア粒子表面の大部分を占める領域の凹凸部の高低差が、5nmを下回るときには、該キャリア粒子表面は実質上平面となり、その相互作用力が発生する接触領域面積が広くなるため、十分な流動性が発現しない場合がある。一方、凹凸部の高低差が、20nmを超えるような場合は、凸部が急峻になり過ぎることがあり、この状態では、凸部自体が経時で摩耗等により消失してしまい、キャリア粒子表面特性の経時変動として現れることがある。
また、凹凸部の高低差が5〜20nmの領域が、キャリア粒子表面の60%未満では、該凹凸部による流動性付与効果が小さく、補給トナーの現像剤中への拡散が十分速やかに行われない場合がある。キャリア粒子表面内の該領域の割合は、70%以上であることが、より好ましい。
【0014】
ここで、キャリア粒子表面の凹凸部を含む微細構造は、概略以下のようにして、観測することができる。
まず、表面コート層を設けたキャリア粒子を、十分に剛性の高い支持体に固定する。この時、固定には、必要に応じて両面テープや接着剤等を用いても良い。次に、粒子を固定した試料を、室温・常圧の環境下で、走査型プローブ顕微鏡(SPM)の測定部位にセットする。引き続き、測定部位を0.5〜10μmのスキャン範囲で、測定プローブを共鳴周波数で振動させつつ試料表面を走査する、いわゆるタッピングモード走査を行う。この時、プローブ先端の曲率半径は5〜20nm、タッピング周波数は150〜450kHzが好ましく用いられる。上記条件により、タッピングモード走査を行うことにより、微細な表面形状を観測することができる。
【0015】
本発明のキャリアの構成は、前記特定の範囲のものである限り、それを構成する材料は限定するものではなく、従来公知のものが使用でき、例えば、キャリア粒子のコア材に使用できる無機または金属の磁性粒子の例としては、鉄、コバルト、ニッケル等の金属;マグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの合金や化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら磁性粒子は、単結晶またはアモルファスの粒子、単独または複合の焼結体、単独または複合の粒子を樹脂等の高分子中に分散させた粒子等の、いずれのコア材形態で使用しても良い。また、磁性粒子を高分子中に分散させた粒子で、キャリア粒子の磁気特性と磁性粒子の分散性を両立させるには、これらの磁性粒子は0.5〜10μm程度の大きさの粒子を含むことが好ましい。
【0016】
次に、キャリア粒子のコア材粒子及び/又は表面コート層を形成する樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル系樹脂(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂またはその変成品(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変性品);ペルヒドロポリシラザンまたはその変性品(部分酸化品を含む);ポリテトラフルオロエチレン、ポリ弗化ビニル、ポリ弗化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;ユリア樹脂;メラミン樹脂;ベンゾグアナミン樹脂;エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも本発明の構成要件を満たすために好ましいコート層材料としては、シリコーン樹脂またはその変性品、ペルヒドロポリシラザンまたはその変性品、弗素樹脂、特にシリコーン樹脂またはその変性品等の主鎖および/または側鎖にシロキサン結合骨格を有する化合物がより好ましい。
【0017】
シリコーン樹脂としては、従来から知られているいずれのシリコーン樹脂であってもよく、下記一般式で示されるオルガノシロキサン結合のみからなるストレートシリコーンおよびアルキド、ポリエステル、エポキシ、ウレタンなどで変性したシリコーン樹脂が挙げられる。
【化1】
(上記式中、R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基、R2およびR3は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、炭素数2〜4のアリケニル基、炭素数2〜4のアルケニルオキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エチレンオキシド基、グリシジル基または下記一般式で示される基である。
【化2】
R4、R5はヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数2〜4のアルケニルオキシ基、フェニル基、フェノキシ基、k、l、m、n、o、pは1以上の整数を示す。
上記各基は未置換のもののほか、例えばアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、アルキル基、フェニル基、エチレンオキサイド基、グリシジル基、ハロゲン原子のような置換基を有してもよい。)
【0018】
またキャリアコア材粒子及び/又はコート層の電気抵抗を低抵抗材料粒子の分散により制御することが好ましい。その際に用いられる材料は、従来公知の物で良く、その例としては、鉄、金、銅等の金属;フェライト、マグネタイト等の酸化鉄;カーボンブラック等の顔料が挙げられる。
この中でも特にカーボンブラックの一つであるファーネスブラックとアセチレンブラックの混合物を用いることにより、少量の低抵抗微粉末の添加で効果的に導電性の調整が可能であり、好ましく用いられる。
これらの低抵抗微粉末は、粒径0.01〜10μm程度のものが好ましく、コア材粒子またはコート層樹脂100重量部に対して2〜30重量部添加することが好ましく、さらには5〜20重量部が好ましい。
【0019】
さらに、キャリアコア材粒子及び/又はコート層中には、これらの密着性を向上させたり抵抗制御材の分散性を向上させる目的でシランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤を助剤として添加しても良い。
本発明で用いられるシランカップリング剤の例としては、下記一般式で示される化合物が挙げられる。
【化3】
YRSiX3
上記式中、Xはけい素原子に結合している加水分解性基で、クロル基、アルコキシ基、アセトキシ基、アルキルアミノ基、プロペノキシ基などである。
Yは有機マトリックスと反応する有機官能基で、ビニル基、メタクリル基、エポキシ基、グリシドキシ基、アミノ基、メルカプト基などである。
Rは炭素数1〜20のアルキル基またはアルキレン基である。
このシランカップリング剤の中でも、特に負帯電性を有する現像剤を得るにはYにアミノ基を有するアミノシランカップリング剤が好ましく、正帯電性を有する現像剤を得るにはYにエポキシ基を有するエポキシシランカップリング剤が好ましい。
【0020】
コート層の形成法としては、コア材粒子の表面にコート層形成液を噴霧法、浸漬法等の手段で塗布すればよい。キャリア粒子表面に存在する任意の凸部とこれに隣接する凹部との高低差が5〜20nmである領域が、該キャリア粒子表面の60%以上を示すようにするには、例えば、前記したコート樹脂の内、熱硬化性を有する成分(熱硬化性成分)と熱可塑性を有する成分(熱可塑性成分)を特定の割合でブロック重合し、これを、スプレーコート法、浸漬コート法等によって、均一に塗工後、熱硬化性成分の硬化温度以上、熱可塑性成分の軟化温度以上にかつ分解温度以下の温度範囲で焼成して、コート層成分の硬化および平滑化を同時に行うことにより、微細な凹凸を形成させることができる。コート層の厚さは0.1〜20μmが好ましい。
【0021】
また、キャリア粒子表面の該微小凸部は、100nm×100nmの範囲に少なくとも1個以上存在することが好ましく、100nm×100nmの範囲で微小凸部が存在しないような場合には、該領域の表面が平坦部として作用し、上記凹凸部高低差が小さい表面と同様の理由により、接触領域面積が広い部分がまだらに存在し、流動性が十分に発現されないことがある。
このようなキャリア粒子は、前記したコート樹脂中の熱可塑性成分を適正量に制御することにより得られ、具体的には、コート樹脂組成中の熱可塑性成分が30重量%以下であることが好ましく、これより多い含有量では、焼成温度として上記の範囲では、表面の平滑化が進みすぎることがあり、所望の微小凸部が得られない場合がある。
【0022】
さらに、キャリア粒子表面の該微小凸部と凹部との水平距離は3nm以上であることが好ましく、これ以下の場合には、凹凸部の高低差が5〜20nmの範囲であっても、凸部が針状の突起に近い形態となり、高低差が大きすぎる場合と同様に表面摩耗による特性変動が生じる場合がある。
このようなキャリア粒子は、前記したコート樹脂中の熱硬化性成分を適正量に保ち、かつ、充分な硬化反応を行わせることにより得られ、具体的にはコート樹脂組成中の熱硬化性成分が80重量%以下であることが好ましく、かつ、コート樹脂内での熱硬化性成分濃度が高い領域を存在させることにより得られる。その為には、該熱硬化性成分および熱可塑性成分はブロック重合またはグラフト重合体の形態であることがより好ましい。
このような形態を取ることにより、コート樹脂内の微小領域での熱硬化性成分濃度を高くすることができ、該領域の硬化が促進されて凸部となり、総熱硬化性成分含有率の制御により、微小凸部と凹部の水平距離を制御することができる。また、この時の焼成温度としても、上記したように、熱硬化性成分の硬化温度以上、熱可塑性成分の軟化温度以上かつ分解温度以下の温度範囲がより好ましく用いられる。
【0023】
さらにまた、本発明のキャリア粒子の表面のコート層は、主鎖および/または側鎖部分にシロキサン結合骨格を有する化合物を含有させることが好ましく、このような構成にすることのよりキャリア粒子の良好な流動性は、その表面エネルギーの小ささとあいまって、より確実なものとなる。
【0024】
次に、少なくとも結着樹脂及び着色剤よりなるトナー母体粒子に微粒子を外添してなるトナーと、電子写真用キャリア粒子を混合してなる電子写真用現像剤において、該キャリア粒子として前記本発明のキャリアを用いることにより、キャリア粒子の良好な流動性の効果を持つ電子写真用現像剤を得ることができる。
【0025】
本発明に使用するトナーは、通常、電子写真用トナーとして使用される材料を、特に制限無く使用することができる。
例えば、該電子写真用トナー母体粒子に使用される結着剤樹脂の一例としては、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単独重合体;スチレン/p−クロロスチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、スチレン/ビニルナフタレン共重合体、スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重合体、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン/α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ビニルメチルケトン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体等のスチレン系共重合体;ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル系単独重合体やその共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等のポリビニル誘導体;ポリエステル系重合体、ポリウレタン系重合体、ポリアミド系重合体、ポリイミド系重合体、ポリオール系重合体、エポキシ系重合体、テルペン系重合体、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられ、これらを単独あるいは混合して使用できるが特にこれらに限定するものではない。中でも、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂より選ばれる少なくとも1種以上であることが、電気特性、コスト面等から、より好ましいものである。更には、良好な定着特性を有するものとして、ポリエステル系樹脂および/またはポリオール系樹脂の使用が一層好ましい。
【0026】
また、該電子写真用トナーに使用される着色剤としては、従来からトナー用着色剤として使用されてきた顔料及び染料が使用でき、具体的には、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6Cレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドンレッド、ベンジジンイエロー、ローズベンガル等を単独あるいは混合して用いることができる。
【0027】
更に、必要により、トナー粒子自身に磁気特性を持たせるには、フェライト、マグネタイト、マグヘマタイト等の酸化鉄類、鉄、コバルト、ニッケル等の金属あるいは、これらと他の金属との合金等の磁性成分を単独または混合して、トナー粒子へ含有させればよい。また、これらの成分は、着色剤成分として使用/併用することもできる。
更に、トナー定着時にオイル等の離型剤を用いない、いわゆるオイルレス定着方式を使用するには、トナー粒子中に、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナウバワックス等のワックス類を含有させることにより実現できる。これらの使用量としては、用いる材料の種類や定着の方法にもよるが、およそ0.5〜10.0重量%程度の使用が好ましく、3.0〜8.0重量%程度の使用が更に好ましい。
【0028】
この他、帯電の立ち上がりをより良くするための電荷制御剤としては、一般に知られているものが使用でき、例えば、アミノ基含有ビニル系コポリマー、四級アンモニウム塩化合物、ニグロシン染料、ポリアミン樹脂、イミダゾール化合物、アジン系染料、トリフェニルメタン系染料、グアニジン化合物、レーキ顔料等の正帯電性電荷制御剤や、カルボン酸誘導体及びこの金属塩、アルコキシレート、有機金属錯体、キレート化合物等の負帯電性電荷制御剤を、単独または混合して、トナー粒子中への混練物および/または添加物とすることができる。これら電荷制御剤を分散状態で用いる場合、キャリア粒子表面との相互作用が略均等に生じるためには、その分散径は、2.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以下であることが更に好ましいものである。
【0029】
更にまた、トナー母体粒子同士の合一化を抑制し、また環境依存性を安定化するための添加剤として、一般に公知のものが使用でき、例えば、酸化亜鉛、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化珪素、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸ランタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、マイカ、ドロマイト等の無機粉末や、これらの疎水化物が単独または混合して使用できる。この他の添加剤として、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂微粒子をトナー表面改質剤として使用しても良い。
【0030】
本発明の現像剤を構成するトナー製造方法としては、上記のような原材料を、二本ロール、二軸押出し混練機、一軸押出し混練機等を用い、公知の方法で混練し、これを機械式や気流式等の公知の粉砕、分級を行いトナー母体粒子を作成することができる。また混練時に、着色剤や磁性体の分散状態を制御するための分散剤等を併用しても良い。更に、このトナー母体粒子は、前記の微粒子を添加し、混合機等により混合・表面改質を行なうことができる。
また、これらトナーの帯電電荷量は、実使用プロセスにより異なるため一概に決定できるものではないが、おおよそ、本発明の構成によるキャリア粒子との組み合わせにおいて、絶対値で3〜80μC/g程度の飽和電荷量であることが好ましく、更には5〜50μC/g程度の飽和電荷量であることがより好ましく、8〜30μC/g程度の飽和電荷量であることが一層好ましい。
【0031】
本発明の現像剤を構成するトナーにおいて、トナー中4.0μm以下のトナー粒子は、50個数%以下であることが好ましい。
本発明の現像剤に用いるトナー中に、あまりにも多くの微細なトナー粒子が含まれるような場合には、該微細トナー粒子が、外添剤微粒子による影響と類似した影響を及ぼし、キャリア粒子表面への付着・固着を引き起こしやすくなることがある。
このような影響は、粒子径が小さな粒子に特有であり、特に約4.0μm以下の大きさを持つ微粒子の量を制限することにより、更に現像剤を安定して長寿命化することができる。
従って、本発明の構成によるキャリア粒子を使用した電子写真用現像剤では、この様な微小粒径のトナー粒子数はできるだけ少ない方が好ましく、具体的には、4.0μm以下の微小なトナー粒子が50個数%以下であることが好ましく、35個数%以下であることがより好ましい。
【0032】
またトナーに外添する微粒子の平均一次粒子径は、20〜200nmであることが好ましく、また、トナー母体微粒子に対する外添微粒子の割合は、0.01〜2重量%であることが好ましい。
外添微粒子の一次粒子径が、200nmを上回る様な場合には、トナー母体粒子からの外添微粒子の脱離が生じやすく、現像や転写等でのトナー母体粒子と外添剤微粒子との消費挙動に差異が発生し、トナー特性変動として現れることがある。また、外添微粒子の一次粒子径が、20nmを下回るような場合には、外添微粒子の種類や外添方法によっては、外添微粒子がキャリア粒子表面の微細凹凸部分にトラップされてしまうことがあり、本発明のキャリア粒子の効果を十分に発揮させられない場合がある。
従って、微粒子の平均一次粒子径は、20〜200nmの範囲であることが好ましく、25〜150nmの範囲であることがより好ましい。
同様に、トナー母体粒子に対する外添微粒子の割合については、添加する材料の種類にもよるが、0.01〜2重量%であることが好ましい。また、これらの外添微粒子は、適当な混合機により混合してトナー粒子表面に付着、凝着或いは、少量のトナー粒子間隙での遊離状態になるよう調整し、用いることができる。
外添微粒子の添加量が、0.01重量%を下回る場合には、トナー母体粒子表面の外添微粒子による被覆が不十分となり、トナー母体粒子同士の合一化が発生することがあり、また、外添微粒子の添加量が、2重量%を上回る場合には、トナー母体粒子から遊離した外添微粒子が多く発生し、やはり、トナー母体粒子と外添微粒子の消費挙動に差異を発生させることがある。外添微粒子の割合としては、トナー母体粒子に対して0.05〜1重量%程度であれば、更に好ましいものである。
【0033】
さらに本発明の電子写真用現像剤に使用するトナーの軟化温度は80℃以下であることが、省エネルギー化のためには好ましい。
本発明のキャリア粒子を含有する電子写真用現像剤に用いるトナーは、勿論上記のようなトナーをはじめとして特に制限されることなく使用でき、トナー軟化温度が80℃を下回るような省エネルギー定着可能なトナーの使用に対しても、現像剤の性能を十分に長期間にわたり安定して保持することができる。よって、電子写真用現像剤に、本発明のキャリア粒子と軟化温度が80℃以下のトナーとを用いることにより、省エネルギー化と現像剤の長寿命化を両立させることができる。トナー軟化温度としては、45〜80℃の範囲であることが、実使用上、更に好ましいものである。
【0034】
そして、本発明の、像担持体上に形成された静電潜像をトナーおよびキャリア粒子よりなる電子写真用現像剤によって現像する画像形成方法において、電子写真用現像剤を前記本発明の電子写真用現像剤とすることにより、長期間にわたって安定した高品質の画像が得られる画像形成方法を提供できる。
更に、像担持体をクリーニング工程にてクリーニングし、クリーニング工程により回収したトナーを現像工程にて再使用することによっても、上記の高品質画像を省資源で得るための画像形成方法を提供することができる。
【0035】
以下に図を用いて、本発明の画像形成方法について説明する。
まず、図1は画像形成装置の一例の断面図である。ドラム状の像担持体1の周囲に、像担持体帯電部材2、像露光系3、現像機構4、転写機構5、クリーニング機構6、除電ランプ7が配置されていて、以下の動作で画像形成を行う。
画像形成の一連のプロセスは、ネガ−ポジプロセスで説明する。有機光導電層を有する感光体(OPC)に代表される像担持体1は除電ランプ7で除電され、帯電チャージャーや帯電ローラーといった帯電部材2で均一にマイナスに帯電され、レーザー光学系3より照射されるレーザー光で潜像形成(露光部電位の絶対値は、非露光部電位の絶対値より低電位となる)が行われる。
レーザー光は半導体レーザーから発せられて、高速で回転する多角柱の多面鏡(ポリゴン)等により像担持体1の表面を像担持体1の回転軸方向に走査する。このようにして形成された潜像が、現像機構4にある現像剤担持体である現像スリーブ41上に供給されたトナー粒子及びキャリア粒子の混合物からなる二成分現像剤により現像され、トナー可視像が形成される。潜像の現像時には、電圧印加機構(図示せず)から現像スリーブ41に、像担持体1の露光部と非露光部の間にある、適当な大きさの電圧またはこれに交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。
一方、転写媒体(例えば紙)9が、給紙機構(図示せず)から給送され、上下一対のレジストローラー(図示せず)で画像先端と同期をとって像担持体1と転写部材51との間に給送され、トナー像が転写される。このとき転写部材51には、転写バイアスとして、トナー帯電の極性と逆極性の電位が印加されることが好ましい。その後転写媒体9は像担持体1より分離された後、定着装置8を経て出力画像として排出される。
また、像担持体上に残存するトナー粒子は、クリーニング部材61にて、クリーニング機構6内のトナー回収室62へ回収される。
回収されたトナー粒子は、トナーリサイクル手段(図示せず)により現像部および/またはトナー補給部に搬送され、再使用されても良い。
【0036】
図2は、画像形成装置の現像装置主要部の概略構成図である。潜像担持体である感光体ドラム1の側方に配設された現像機構4は、現像剤担持体としての現像スリーブ41、現像剤収容部材42、規制部材としてのドクターブレード43、支持ケース44等から主に構成されている。
感光体ドラム1側に開口を有する支持ケース44には、内部にトナー10を収容するトナー収容部としてのトナーホッパー45が接合されている。トナーホッパー45に隣接した、トナー10とキャリア粒子とからなる現像剤11を収容する現像剤収容部46には、トナー粒子10とキャリア粒子11を撹拌し、トナー粒子に摩擦/剥離電荷を付与するための、現像剤撹拌機構47が設けられている。
トナーホッパー45の内部には、図示しない駆動手段によって回動されるトナー供給手段としてのトナーアジテータ48及びトナー補給機構49が配設されている。トナーアジテータ48及びトナー補給機構49は、トナーホッパー45内のトナー10を現像剤収容部46に向けて撹拌しながら送り出す。
感光体ドラム1とトナーホッパー45との間の空間には、現像スリーブ41が配設されている。図示しない駆動手段で図の矢印方向に回転駆動される現像スリーブ41は、キャリア粒子による磁気ブラシを形成するために、その内部に現像機構4に対して相対位置不変に配設された、磁界発生手段としての図示しない磁石を有する。
現像剤収容部材42の、支持ケース44に取り付けられた側と対向する側には、規制部材(ドクターブレード)43が一体的に取り付けられている。規制部材(ドクターブレード)43は、その先端と現像スリーブ41の外周面との間に一定の隙間を保った状態で配設されている。
上記構成により、トナーホッパー45の内部からトナーアジテータ48、トナー補給機構49によって送り出されたトナー10は、現像剤収容部46へ運ばれ、現像剤撹拌機構47で撹拌されることによって、所望の摩擦/剥離電荷が付与され、キャリア粒子と共に現像剤11として、現像スリーブ41に担持されて感光体ドラム1の外周面と対向する位置まで搬送され、トナー10のみが感光体ドラム1上に形成された静電潜像と静電的に結合することにより、感光体ドラム1上にトナー像が形成される。
【0037】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、ここで「部」、「%」は全て重量部、重量%を示す。
【0038】
上記処方を撹拌機で撹拌してコート層形成用の塗工液を調整した。
これを重量平均粒径50μmの球形フェライト粒子5000部の表面へ流動床型スプレーコート装置によりコート後、150℃で2時間加熱して表面に各樹脂組成のコート層を持つ、キャリア粒子(C1)を得た。
ここで、キャリア粒子表面コート層の形状観測は、デジタル・インスツルメンツ社製走査型プローブ顕微鏡NanoscopeIIIa、Dimension3100を用いて行った。
測定サンプルであるキャリア粒子は、アルミニウム平板上へ、薄く塗った接着剤によって固定した。走査範囲は500nm四方とし、各サンプルについて独立した3箇所を観測して、これらの表面形状観測データを元にキャリア粒子表面の微小凹凸部の高低差が5〜20nmに相当する領域の占める割合を算出した。
次に、各表面形状観測範囲について100nm四方内の、凸部の有無を目視にて観察・確認した。
引き続き、各表面形状観測範囲について凸部と凹部の水平距離を観測し、その内最も近接している凹凸の距離を求めた。
キャリア粒子表面観測結果を表1に示す。
上記組成の混合物を、二本ロール混練機にて30分間混練後、機械式粉砕機・気流式分級機により粉砕・分級条件を調整し、トナー母体粒子を得た。
更に、該トナー母体粒子に対して、0.4重量%の割合で表面をジメチルシラン処理した疎水性シリカ微粒子(平均一次粒子径=25nm)を加えて、ヘンシェルミキサーにより、トータル2分間混合しトナー(T1)を得た。
トナー(T1)の粒度分布をコールターカウンターTA2にて測定したところ、重量平均径D4=6.0μmであり、4.0μm以下のトナー粒子は45個数%であった。
また、このトナー(T1)の軟化温度を、フローテスターにより測定したところ、72℃であった。
更に、このキャリア粒子(C1)1000部及びトナー(T1)50部を混合して、電子写真用現像剤を調整した。
【0039】
参考例1
(キャリア粒子製造例2)
シリコーン樹脂/アクリル樹脂(=70/30)ブロック重合体溶液
(固形分=20%相当) 200部
アクリル樹脂(固形分=20%相当) 50部
トルエン 250部
コート層形成用の塗工液として上記処方を用いた以外はキャリア粒子製造例1と同様にしてキャリア粒子(C2)を得た。キャリア粒子(C2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真用現像剤を調整した。
【0040】
実施例2
(キャリア粒子製造例3)
シリコーン樹脂/アクリル樹脂(=85/15)ブロック重合体溶液
(固形分=20%相当) 200部
アクリル樹脂(固形分=20%相当) 50部
トルエン 250部
コート層形成用の塗工液として上記処方を用いた以外はキャリア粒子製造例1と同様にしてキャリア粒子(C3)を得た。キャリア粒子(C3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真用現像剤を調整した。
【0041】
実施例3
(キャリア粒子製造例4)
スチレン樹脂/アクリル樹脂ブロック重合体溶液
(固形分=20%相当) 250部
トルエン 250部
コート層形成用の塗工液として上記処方を用いた以外はキャリア粒子製造例1と同様にしてキャリア粒子(C4)を得た。キャリア粒子(C4)を用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真用現像剤を調整した。
【0042】
実施例4
(トナー製造例2)
スチレン−アクリル共重合樹脂 79部
カーボンブラック(三菱カーボン社製#44) 15部
電荷制御剤(クロム含金属染料;保土谷化学工業社製
AIZON SPILON BLACK TRH) 1部
カルナウバワックス(野田ワックス社製) 5部
トナー処方を、トナー製造例2の処方とした以外は、実施例1と同様にしてトナー(T2)を得た。トナー(T2)の粒度分布をコールターカウンターTA2にて測定したところ、重量平均径D4=7.0μmであり、4.0μm以下のトナー粒子は35個数%であった。また、このトナー(T2)の軟化温度を、フローテスターにより測定したところ、84℃であった。トナー(T2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真用現像剤を調整した。
【0043】
実施例5
(トナー製造例3)
トナー母体粒子に対する、疎水性シリカ微粒子添加の割合を、2.5重量%とした以外は、トナー製造例1と同様にして、トナー(T3)を得た。トナー(T3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真用現像剤を調整した。
【0044】
実施例6
(トナー製造例4)
トナー母体粒子に添加する微粒子として、ジメチルシラン処理した疎水性シリカ微粒子(平均一次粒子径=15nm)を用い、トナー母体粒子に対する微粒子添加の割合を、0.3重量%とした以外は、トナー製造例1と同様にして、トナー(T4)を得た。トナー(T4)を用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真用現像剤を調整した。
【0045】
実施例7
(トナー製造例5)
トナー母体粒子に添加する微粒子として、ジメチルシラン処理した疎水性シリカ微粒子(平均一次粒子径=200nm)を用い、トナー母体粒子に対する微粒子添加の割合を、1.5重量%とした以外は、トナー製造例1と同様にして、トナー(T5)を得た。トナー(T5)を用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真用現像剤を調整した。
【0046】
実施例8
(トナー製造例6)
トナー製造例1のトナー処方を用い、粉砕・分級条件を調整して、4.0μ以下のトナー粒子を多く含むトナー母体粒子を得た。更に、該トナー母体粒子に対して、0.5重量%の割合で表面をジメチルシラン処理した疎水性シリカ微粒子(平均一次粒子径=25nm)を加えて、ヘンシェルミキサーにより、トータル2分間混合しトナー(T6)を得た。トナー(T6)の粒度分布をコールターカウンターTA2にて測定したところ、重量平均径D4=5.8μmであり、4.0μm以下のトナー粒子は60個数%であった。トナー(T6)を用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真用現像剤を調整した。
【0047】
コート層形成用の塗工液として上記処方を用いた以外はキャリア粒子製造例1と同様にしてキャリア粒子(C5)を得た。
キャリア粒子(C5)を用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真用現像剤を調整した。
【0048】
コート層形成用の塗工液として上記処方を用いた以外はキャリア粒子製造例1と同様にしてキャリア粒子(C6)を得た。
キャリア粒子(C6)を用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真用現像剤を調整した。
【0049】
上記実施例及び比較例で得られた電子写真用現像剤について、リコー製複写機imagio MF−6550の改造機を用い、トナーリサイクルを行いつつ、A4版,画像面積率6%原稿60万枚の連続画像出図試験を行い、初期及び連続出図後の文字画像及びベタ画像を出力し画質評価を行った。画質評価としては、文字部分での地肌カブリ、ベタ画像での画像濃度の安定性及び各画像でのその他不具合の有無を評価した。画像濃度については、マクベス濃度計(RD−914)を用いて計測し、その他の項目については、目視により評価した。
画像出力時の像担持体上静電荷像は、地肌部=−700V、画像部=−200Vとした。また、現像スリーブには、直流の現像バイアス電位を印加した。
60万枚の連続画像出図試験終了後の現像剤を採取し、エアーブローにより表面に付着しているトナー粒子を除去後、残ったキャリア粒子の電荷付与能力を、初期の現像剤における電荷付与能力と比較評価した。電荷量の測定は、通常のブローオフ法により行い、トナーには、連続画像出図試験で用いたトナーと同じものを使用した。
初期及び60万枚後の、各評価結果について、表2、表3に示す。
尚、地肌カブリについての評価基準は下記のとおりである。
<地肌カブリの評価基準>
◎:地肌カブリがなく極めて優れている
○:地肌カブリが僅かにあるが実用上問題がない
△:地肌カブリが多少あるが許容レベルである
×:地肌カブリがあり使用不可能
また、、実施例1の現像剤について、引き続き、100万枚連続画像出図試験を行ったところ、初期画像と比較して全く遜色のない高精細・高解像度の画像が得られた。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、表1におけるキャリア粒子表面形状及び、表2及び表3に示した実施例および比較例の対比から明らかなように、トナー、現像剤の劣化による、画像濃度の低下や、トナーチリ・地肌カブリといった画像劣化の無い、安定した画像を得るのに必要な特性を持つと同時に、高精細・高解像度の高品質画像を非常に長期間に渡って得るのに極めて有効であり、同時に、省エネルギー、省資源に対しても有効な、電子写真用キャリア、電子写真用二成分現像剤および画像形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像形成装置の一例の断面図。
【図2】図1に示す画像形成装置の現像装置主要部の概略構成図。
【符号の説明】
1 像担持体
2 帯電部材
3 像露光系
4 現像機構
41 現像スリーブ
42 現像剤収容部材
43 規制部材(ドクターブレード)
44 支持ケース
45 トナーホッパー
46 現像剤収容部
47 現像剤撹拌機構
48 トナーアジテーター
49 トナー補給機構
5 転写機構
51 転写部材
52 除電ブラシ
6 クリーニング機構
61 クリーニング部材
62 トナー回収室
7 除電ランプ
8 定着装置
9 転写媒体
10 トナー
11 現像剤
Claims (6)
- 少なくとも磁性体よりなるコア材表面に、樹脂を含むコート層を設けた粒子よりなる電子写真用キャリアにおいて、キャリア粒子表面に微少凸部とこれに隣接する凹部の高低差が5〜20nmである領域が、該キャリア粒子表面の60%以上であり、上記微小凸部が、キャリア粒子表面100nm四方に1個以上存在することを特徴とする電子写真用キャリア。
- キャリア粒子表面の上記微小凸部とこれに隣接する凹部の水平距離が、3nm以上であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用キャリア。
- キャリア粒子表面のコート層が、主鎖および/または側鎖にシロキサン結合骨格を有する化合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用キャリア。
- 少なくとも着色剤及び結着樹脂よりなるトナー母体粒子に微粒子を外添してなるトナーと、電子写真用キャリア粒子を混合してなる電子写真用現像剤において、該キャリア粒子が、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用キャリアであることを特徴とする電子写真用現像剤。
- 像担持体上に形成された静電潜像をトナーおよびキャリア粒子よりなる電子写真用現像剤によって現像する画像形成方法において、電子写真用現像剤として請求項4に記載の電子写真用現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
- 像担持体をクリーニング工程にてクリーニングし、クリーニング工程により回収したトナーを現像工程にて再使用することを特徴とする請求項5に記載の画像形成方法。
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