JP4466835B2 - トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真、静電印刷等に用いるトナーの製造方法に関する。
電子写真法では、光導電性物質を設けた感光体に形成した静電潜像を着色剤を含有したトナー粒子を用いて現像を行った後に、熱、圧力等により紙等の転写材にトナー画像を定着して複写物、印刷物を形成している。
このようなトナー粒子としては、粉砕トナーや重合トナーが知られているが、近年、電子写真法では高画質化が要求されるにつれて、トナーの粒径分布のシャープさや小粒径化が求められている。しかしながら、粉砕トナーにおいては、生産性等において限界があり、また、重合トナーはトナーの小粒径化に対応でき、また、生産性に優れるものではあるが、トナーの粒径分布をシャープにすることが困難である。
また、懸濁造粒法として、懸濁造粒法トナーの構成材料を有機溶媒に溶解分散した油相を多孔質ガラスの細孔を介して水相中に圧入し、エマルションを形成し、有機溶媒を除去してトナー粒子とする方法が知られている。このような方法としては、トナー構成材料としてモノマーを使用する場合と高分子樹脂を使用する場合がある。トナー構成材料がモノマーからなる場合には、形成したエマルションを重合させ、反応終了後にろ過、洗浄と乾燥工程を経てトナーを製造する方法が知られている(特許文献1)。また、トナー構成材料としてポリエステル樹脂等の高分子樹脂を用いる場合には、形成したエマルションから含有する有機溶媒を除去し、ろ過、洗浄、乾燥工程を経てトナーを製造する方法が知られている(特許文献2)。
前者におけるモノマーを用いる重合反応系では、残存するモノマーの除去を50ppm以下とすることが困難であり、また、モノマー種としてラジカル重合が可能なスチレン−アクリル系が主体であり、フルカラー用や高速システムで多用されるポリエステル系樹脂トナーを製造できないという問題がある。
また、後者における熱可塑性樹脂をトナー構成材料に用いる場合には、残存モノマーを気にする必要はなく、自由に樹脂を選択でき都合が良く、また、重合トナーに比してトナーの粒径分布をシャープにすることができるものの、エマルション微粒子を作る圧入過程で流動する水性液中に圧入しただけではトナーの粒度分布が広がり、トナー平均粒径として例えば6μmのものを得る場合には3μm以下の粒径の微粒子量が多く生成するという問題があり、トナーとして使用する際に逆帯電トナー量が増加し、現像ローラや有機感光体上へのフィルミングの発生原因となる。
特開平9−43898号公報 特開平5−134455号公報
本発明は、熱可塑性樹脂をトナー構成材料に用いる懸濁造粒法において、トナー平均粒径に比して小粒径の微粒子の生成量が極めて少なく、粒度分布がシャープなトナーの製造方法の提供を課題とする。
本発明のトナーの製造方法は、少なくとも熱可塑性樹脂からなるトナーの構成成分を有機溶媒中に分散・溶解した油性液を、多孔質ガラスの細孔を通して、分散安定剤と乳化剤を含有する水性液中に圧入して水性液中でエマルション油滴とするにあたり、多孔質ガラス上部の上方の水性液中に超音波素子を配置し、振動数を1KHz〜1MHz、振幅を5μm〜100μmとして水性液に対して上下方向に振動する縦方向の振幅を発生させ、多孔質ガラスの細孔から水性液中に圧入される段階でのエマルション油滴を前記超音波により縦振動させてトナー粒子サイズに対応するエマルション微粒子を造粒した後、エマルション微粒子から有機溶媒を除去することを特徴とする。
水性液中に攪拌手段を設け、造粒されたエマルション微粒子を水性液体中に分散させることを特徴とする。
製造されるトナーの平均円形度が0.97〜0.99であることを特徴とする。
本発明のトナーの製造方法は、トナー母粒子平均粒径に比して微小粒径のトナー母粒子の生成量が極めて少なく、粒度分布がシャープなトナーとできるので、分級工程が不要であることは勿論のこと、逆帯電トナー量が少なく、現像ローラや有機感光体上へのフィルミングを少ないトナーを製造することができる。また、本製造方法によると、平均円形度が0.97〜0.99のトナーとすることができるので、連続印字しても転写効率の変動が少なく、また、トナー表面の凹凸により外添剤の遊離が少ないものとでき、帯電量の安定したトナーを製造することができる。
本発明のトナーの製造方法で使用する装置の概要を図1(a)に、また、図1(a)におけるA部の拡大断面の概要を図1(b)に示す。図中1は、側面に多孔質ガラス1′が配置された円筒形状の油性液圧入部、2は油性液の導入方向、3は超音波素子、4は攪拌羽根、5は攪拌水面、6は油性液、7は水性液、8はエマルション油滴、9は容器底部である。
図1(a)(b)に示すように、本発明におけるトナー製造装置は、容器中に多孔質ガラス(油性液圧入部)が配置され、油性液圧入部の上部2より圧入された油性液は多孔質ガラス1′の細孔1″を通して水性液中に圧入され、トナー粒子サイズに対応するエマルション油滴を造粒するものである。本発明者は、油性液の水性液中への圧入時におけるエマルション油滴の形成過程として、多孔質ガラスの細孔出口において油滴の尾引き現象が生じ、尾の部分が切れて微小粒径の油滴が発生するのではないかと考え、多孔質ガラスにおける細孔部出口(噴出部)で形成される油滴8を振動させることにより、好ましくは油性液の水性液中への圧入方向に対して垂直方向に振動させることにより、尾引き現象を減少させることができ、微粒子成分の少ないシャープな粒度分布のトナー母粒子とできることを見いだした。
多孔質ガラスにおける細孔部出口におけるエマルション油滴を振動させるには、多孔質ガラス部の上方の水性液中に超音波素子3を配置し、縦方向の振幅を有する超音波を使用し、細孔出口における油滴に容器における上下方向での振動を与えるとよい。
超音波素子3は、超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製、モデルUS−300T、出力300W、振動子径:26mm)が例示され、水性液に対して上下方向に振動する縦方向の振幅を発生させるもので、振動数(周波数)と電圧により制御されるものであり、例えば振動数:20kHzとし、電圧を制御して400μAの電流値とすると縦方向で30μm、また、100μAの電流値とすると縦方向で10μmの振幅の振動を発生させることができる。
超音波素子における振動数は、1kHz〜1MHz、好ましくは3kHz〜800kHzとするとよい。1MHzを超えると油滴が微粒子となり、小粒径化するので好ましくなく、また、1kHz未満であると、細孔出口における油滴形成に際して微粒子の発生を防止できず、また、粒径が不揃いとなる傾向がある。また、超音波素子における縦方向での振幅は5〜100μm、好ましくは8〜60μmとするとよく、所望のトナー粒径とすることができる。縦方向での振幅が100μmを超えると油滴が小さくなりすぎ、また、5μm未満であると逆に油滴が大きくなりすぎる傾向となる。
超音波素子3の配置箇所としては、多孔質ガラスからの圧入方向に対して垂直方向に超音波の縦振動が付与できる位置であれば多孔質ガラスからの距離等に格別の限定はないが、水性液中に垂直方向に多孔質ガラスが配置される場合には、水性液中における多孔質ガラス面の上方部に10cm程度の距離をおいて配置するとよい。また、多孔質ガラスの真上でなくても、斜め上方であってもよい。
また、多孔質ガラスにおける細孔部出口におけるエマルション油滴を振動させるには、上述した超音波素子を水性液中に配置する方法の他に、直接、多孔質ガラス1自体を超音波振動で振動させてもよい。この場合には、振動数を低く押さえることが必要である。
多孔質ガラス1は、例えばシラスポーラスガラス(SPGテクノ(株)製)やエッチング加工膜等が挙げられ、断面は、図1(b)に示すようにその断面円筒状の貫通孔を多数有するものであり、その細孔径分布は狭い範囲にコントロール可能である。多孔質ガラスにおける細孔径は、2μm、3μm等種々の径とできるが、油性液の粘度、圧入条件、所望するトナー粒径、水性液の組成等を考慮して適宜選択されるとよい。また、油性液における顔料等の分散粒子径は細孔径より小さくしておくことが望ましい。多孔質ガラスの厚みとしては油性液の圧入に際しての機械的強度の観点から0.2〜5mmであり、また、表面特性としては油性液に対するより水性液に対する親和性(濡れ特性)が高いものが好ましい。
油性液の粘度としては、回転型粘度計を使用し、25℃で20〜500mP・s(cps)、好ましくは30〜300mP・s(cps)とするとよい。粘度が高すぎると多孔質ガラスが油性液を通過させるための臨界圧が高くなりすぎ、また、目詰まりを起こしやすくなり、また低すぎると溶媒量が多くなり、生産性に劣るものとなる。
図1(a)における多孔質ガラスを側面に有する油性液圧入部には、上部から矢印のごとく油性液が一定圧で圧入される。油性液に対する圧力は1×103 〜5×105 Pa、好ましくは5×103 〜3×105 Paであり、油性液の粘度や細孔径の大きさ、水性液の濃度、また、所望するトナー粒径を考慮して適宜選択されるとよい。細孔径が小さいと高い圧力で圧入する必要があるが、圧力が高すぎると生産性は向上するものの、得られるトナー粒径がばらつくという問題があり、また、低すぎると油性液が圧入されないという問題がある。
また、攪拌羽根4は、形成された油滴が合一しないように水性液を攪拌することを目的とするものであり、水性液を緩やかに攪拌するものであればよい。激しく攪拌すると、油滴形成に影響を与えるので好ましくない。
エマルション微粒子が形成される模式図を図2(a)〜(c)に示す。(a)で多孔質ガラスの細孔出口に形成された油滴は縦方向、すなわち水性液中への圧入方向に対して垂直方向の振動を受け、尾引きをすることなく、(b)に示すごとく多孔質ガラス表面から離れていき、直ちに水相中の分散剤や乳化剤を表面に取り込み、(c)のごとく、分散剤や乳化剤を油滴表面に有する安定したエマルション微粒子を形成すると考えられる。
油性液は、少なくとも熱可塑性樹脂からなるトナーの構成成分を有機溶媒中に分散・溶解したものである。
熱可塑性樹脂としてはトナー用樹脂として使用されている合成樹脂が使用可能であり、例えばポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、シリコーン変成エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂等が単独又は複合して使用できる。特に、スチレン−アクリル酸エステル系樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル系樹脂、ポリエステル樹脂が好ましく、ガラス転移温度が55〜75℃、フロー軟化温度が100〜150℃の範囲の樹脂が好ましい。
油性液には他のトナー構成材料である着色剤、離型剤等を含有させることができる。着色剤としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の染料および顔料を単独あるいは複合したトナー用着色剤が使用可能であり、少なくとも4色のトナーとされる。
例えばブラック(K)用着色剤としては、カーボンブラック、ランプブラック、マグネタイト、チタンブラック等が例示される。
イエロー(Y)用着色剤としては、クロムイエロー、ハンザイエローG、キノリンイエロー、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ソルベント・イエロー162、ベンジジンイエロー等が例示される。
また、マゼンタ(M)用着色剤としては、キナクリドン、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド184、ローダミン6G等が例示される。
また、シアン(C)用着色剤としては、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、カルコオイルブルー、ローズベンガル、マラカイトグリーンレーキ、C.I.ピグメント・ブルー5:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が例示される。
離型剤としては、トナー用離型剤が使用可能である。例えばパラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、キャデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等が挙げられる。中でもポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナバワックス、エステルワックス、ライスワックス等を使用することが好ましい。
また、必要に応じて荷電調整剤を添加してもよい。荷電調整剤としては、トナー用荷電調整剤が使用可能である。例えば、オイルブラック、オイルブラックBY、ボントロンS−22およびS−34(オリエント化学工業製)、サリチル酸金属錯体E−81、E−84(オリエント化学工業製)、チオインジゴ系顔料、銅フタロシアニンのスルホニルアミン誘導体、スピロンブラックTRH(保土ヶ谷化学工業製)、カリックスアレン系化合物、有機ホウ素化合物、含フッ素4級アンモニウム塩系化合物、モノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシルカルボン酸系金属錯体、芳香族ジカルボン酸系金属錯体、多糖類等が挙げられる。なかでもカラートナー用には無色ないしは白色のものが好ましい。
成分比としては、熱可塑性樹脂100質量部に対して、着色剤は0.5〜15質量部、好ましくは1〜10質量部であり、また、離型剤は1〜10質量部、好ましくは2.5〜8質量部であり、また、荷電制御剤は0.1〜7質量部、好ましくは0.5〜5質量部である。
油性液を調製するには、トナー母粒子の構成材料をニーダー、ローダミル或いは2軸押出機を用いて均一混練した後、粗粉砕し、次いで粗粉砕物を有機溶媒中に溶解・分散させ、均一分散した油性液とするとよい。或いは、上記の混練機でマスターバッチを作製した後、必要な熱可塑性樹脂を追加して均一混練した後、粗粉砕し、次いで粗粉砕物を極性有機溶媒中に溶解・分散させてもよく、また、均一混練工程を省略し、有機溶媒中に前述のトナー母粒子の構成材料を混合した後、高速攪拌機で微粒子状に溶解・分散させる方法、また、ポールミルを用いてトナー母粒子の構成材料を微分散させてもよい。
有機溶剤としては、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ベンジルアルコールエチルエーテル、ベンジルアルコールイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類が挙げられ、単独でも二種以上混合して用いることができる。上記のトナー構成材料を有機溶剤に溶解・分散させ、上述の油性液の粘度範囲とされる。
油性液が圧入される水性液としては、水に分散安定剤、乳化剤を溶解・分散した水溶液が使用される。分散安定剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、シリカ等の各種金属酸化物が挙げられる。 また、分散安定剤と併用される乳化剤としては、オレイン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等が例示される。
分散安定剤および乳化剤の添加量としては、圧入される油滴量(固形分重量)に対して、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。
図1に示す装置を使用して、有機溶媒中にトナー構成材料を溶解・分散した油性液を水性液中に圧入し、トナー粒子サイズに対応するエマルション微粒子を造粒した後、得られたエマルション溶液を有機溶媒の沸点以上の温度に加熱するか、または、エマルション溶液をスプレードライ装置等により有機溶媒の沸点以上の雰囲気下にスプレーすることにより有機溶媒を除去し、トナー母粒子とされる。加熱温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度以下で行うことによりトナー母粒子の凝集を防止することができる。
次に、外添処理について説明する。得られたトナー母粒子には、疎水性シリカ粒子等の外添剤が添加されてトナーとされる。疎水性シリカ粒子としては、負帯電性、流動性付与を目的として添加されるもので、ケイ素のハロゲン化物等から乾式で作製した粒子、およびケイ素化合物から液中で析出した湿式法によるもののいずれをも用いることができる。シリカ粒子の一次粒子の平均粒子径は、5nm〜50nmとすることが好ましく、10nm〜40nmとすることがより好ましい。また、シリカ粒子の一次粒子の平均粒子径が5nmより小さいと、トナーの母粒子に埋没しやすくなり、また、負に帯電しやすくなる。また、50nmを超えるとトナー母粒子の流動性付与効果が悪化し、トナーを均一に負に帯電させることが困難になる結果、逆帯電である正に帯電したトナー量が増加する傾向となる。なお、本発明における外添剤の粒径は、電子顕微鏡像によって観察して測定したもので、個数平均粒子径である。
疎水性シリカ粒子は平均粒径分布が異なるシリカ粒子を混合して用いることが好ましく、平均一次粒子径が5nm〜20nm、好ましくは7〜16nmの小粒径のシリカ粒子と平均一次粒子径が30nm〜50nm、好ましく30〜40nmの大粒径のシリカ粒子を併用することが好ましい。粒径が小さいシリカ粒子により、好ましい流動性、負帯電性を得ることができ、粒径が大きなシリカ粒子によりトナー母粒子中に外添剤粒子の埋め込みを防止できる。
疎水性シリカ粒子の添加量としては、トナー母粒子100質量部に対して0.05〜2質量部である。0.05質量部よりも少ない場合には流動性の付与に効果がなく、逆に2質量部を超えると定着性の悪化をもたらすので好ましくない。また、小粒径粒子と大粒径粒子との割合(重量比)は5:1〜1:5である。小粒径粒子が多過ぎると定着性の悪化をもたらし、少な過ぎると流動性の低下につながる。
また、外添粒子として、高流動性、帯電安定性を目的として疎水性酸化チタン粒子が添加されてもよい。疎水性酸化チタン粒子の結晶形態としてはルチル型、アナターゼ型、ルチル/アナターゼ混晶型のいずれの酸化チタン粒子でもよい。好ましくは、ルチル/アナターゼ混晶型酸化チタン粒子であり、例えば特開2000−128534号公報に記載される含水酸化チタン及び/又はアナターゼ型酸化チタンを含有するルチル型酸化チタン粒子てあり、粒子の長軸径が0.02〜0.10μmであり、軸比(長軸径/短軸径)が2〜8の紡錘状乃至板状の粒子形状を有し、トナー母粒子に外添されると、その形状によりトナー母粒子内に埋没し難いものとできる。疎水性酸化チタン粒子の添加量としては、トナー母粒子100質量部に対して0.05〜2質量部、好ましくは0.1〜1.5質量部とするとよく、0.05質量部よりも少ない場合には帯電安定性の付与に効果がなく、逆に2質量部を超えるとトナーの負帯電量が小さくなりすぎるので好ましくない。また、疎水性酸化チタン粒子の添加量は、疎水性シリカ粒子100質量部に対して10〜150質量部の添加割合とするとよい。10質量部よりも少ない場合には過帯電防止に効果がなく、逆に150質量部を超えるとトナーの負帯電量が小さくなりすぎ、好ましくない。
その他に、例えば、シリカの表面をチタン、スズ、ジルコニウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、水酸化物によって修飾した表面修飾シリカ粒子を含み、シリカ粒子に対して表面修飾シリカ粒子が重量比で1.5倍以下の比で含有されたもの、正帯電性シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、フッ化マグネシウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化チタン、窒化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、マグネタイト、二硫化モリブデン、チタン酸ストロンチウム等のチタン酸金属塩、ケイ素金属塩、アクリル樹脂、スチレン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂微粒子が例示される。
また、金属石けん粒子は、トナー粒子とした際の外添粒子の個数遊離率を低下させ、カブリの発生を防止すると共に感光体表面の傷発生防止や転写効率の向上等を目的として添加されてもよい。金属石けん粒子としては、高級脂肪酸の亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミウムから選ばれる金属塩であり、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸モノアルミニウム、ステアリン酸トリアルミニウム等が例示される。金属石けん粒子の平均粒子径は0.5〜20μm、好ましくは0.8〜10μmとするとよい。
金属石けん粒子の添加量は、トナー母粒子100質量部に対して0.05〜0.5質量部、好ましくは0.1〜0.3質量部である。0.05質量部より少ないと滑剤としての機能およびバインダーとしての機能が不十分であり、また、0.5質量部より多いと逆にカブリが増大する傾向にある。また、金属石けん粒子の添加量は、上述した疎水性シリカ粒子や疎水性酸化チタン粒子等の外添粒子100質量部に対して2〜10質量部の添加割合とするとよい。2質量部よりも少ない場合には滑剤やバインダーとしての効果がなく、逆に10質量部を超えると流動性の低下やカブリの増大につながるので好ましくない。
外添粒子は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等で疎水化処理して使用することが好ましい。疎水化率としては40%以上、好ましくは50%以上である。疎水化剤としては、例えばジメチルジクロルシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、シリコーンオイル、オクチル−トリクロルシラン、デシル−トリクロルシラン、ノニル−トリクロルシラン、(4−iso −プロピルフェニル)−トリクロルシラン、(4−t −ブチルフェニル)−トリクロルシラン、ジペンチル−ジクロルシラン、ジヘキシル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジノニル−ジクロルシラン、ジデシル−ジクロルシラン、ジドデシル−ジクロルシラン、(4−t −ブチルフェニル)−オクチル−ジクロルシラン、ジデセニル−ジクロルシラン、ジノネニル−ジクロルシラン、ジ−2−エチルヘキシル−ジクロルシラン、ジ−3,3−ジメチルペンチル−ジクロルシラン、トリヘキシル−クロルシラン、トリオクチル−クロルシラン、トリデシル−クロルシラン、ジオクチル−メチル−クロルシラン、オクチル−ジメチル−クロルシラン、(4−iso −プロピルフェニル)−ジエチル−クロルシラン等が例示される。
これらの外添粒子の全体としての添加量は、トナー母粒子100質量部に対して0.1ないし5質量部、より好ましくは0.5ないし4.0質量部である。0.1部より少ないと流動性付与や電荷調整が不十分となり、また、5質量部より多いと定着性の悪化だけでなく、帯電のバランスがくずれてしまう。
本発明のトナーは、トナー母粒子、または外添処理されトナー粒子とされた段階で、THF可溶分におけるポリスチレンを基準としたゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)測定での数平均分子量(Mn)が1,500〜20,000、好ましくは2,000〜15,000、より好ましくは3,000〜12,000のものである。数平均分子量(Mn)が1,500より小さいと、低温定着性に優れるものの、着色剤の保持性や耐フィルミング性、耐オフセット性、定着像強度、保存性に劣るものであり、また、20,000より大きいと低温定着性に劣るものとなる。また、重量平均分子量(Mw)は3,000〜300,000、好ましくは5,000〜50,000であり、Mw/Mnが1.5〜20、好ましくは1.8〜8である。
また、フロー軟化温度(Tf1/2)は100℃〜120℃の範囲にある。フロー軟化温度が100℃より低いと高温オフセット性に劣るものとなり、また、120℃より高いと低温での定着強度に劣るものとなる。また、ガラス転移温度(Tg)は55℃〜70℃の範囲にある。ガラス転移温度(Tg)が55℃より低いと保存性に劣るものとなり、また、70℃より高いとそれにともなってTf1/2が上昇し、低温定着性に劣るものとなる。また、本発明におけるトナーは、50%流出点における溶融粘度が2×103 〜1.5×104 Pa・sであり、オイルレス定着用トナーとして適したものとできる。
また、トナー母粒子、またトナーの個数平均粒径は、9μm以下とするとよく、8μm〜4.5μmであることがより好ましい。9μmよりも大きなトナー粒子では、1200dpi以上の高解像度で潜像を形成しても、その解像度の再現性が小粒子径のトナーに比べて低下し、また4.5μm以下になると、トナーによる隠蔽性が低下するとともに、流動性を高めるために外添剤の使用量が増大し、その結果、定着性能が低下する傾向があるので好ましくない。
また、トナー母粒子、また、トナーの形状としては、真球に近い形状のトナー粒子が得られる。具体的には、トナー母粒子は下記式(I)
R=L0/L1・・・(I)
{但し、式中、L1(μm)は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0(μm)は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円(完全な幾何学的円)の周囲長を表す。}
で表される平均円形度Rが0.97〜0.99とできるものであり、円形度に優れ、連続印字しても転写効率の変動が少なく、また、トナー表面の凹凸により外添剤の遊離が少ないものとでき、帯電量の安定したトナーを製造することができる。
なお、トナー母粒子やトナー粒子の平均粒径、また、円形度は、粒子像分析装置(シスメックス製 FPIA2100)で測定した値であり、個数平均粒径を意味する。
次に、トナー評価のために後述する実施例で使用するクリーナーレス方式のタンデムカラープリンタについて、図3により説明する。
図3に示す画像形成装置201は、有機感光体にクリーニング手段を有さないものであり、ハウジング202と、ハウジング202の上部に形成された排紙トレイ203と、ハウジング202の前面に開閉自在に装着された扉体204を有し、ハウジング202内には、制御ユニット205、電源ユニット206、露光ユニット207、画像形成ユニット208、排気ファン209、転写ユニット210、給紙ユニット211が配設され、扉体204内には紙搬送ユニット212が配設されている。各ユニットは、本体に対して着脱可能な構成であり、メンテナンス時等には一体的に取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
転写ユニット210は、ハウジング202の下方に配設され図示しない駆動源により回転駆動される駆動ローラ213と、駆動ローラ213の斜め上方に配設される従動ローラ214と、この2本のローラのみで間に張架されて図示矢印方向(反時計方向)へ循環駆動される中間転写ベルト215と、クリーニング手段216とを備え、従動ローラ214および中間転写ベルト215が駆動ローラ213に対して図で左側に傾斜する方向に配設されている。これにより中間転写ベルト215の駆動時のベルト張り側(駆動ローラ213により引っ張られる側)217が下方に位置し、ベルト弛み側218が上方に位置するようにされている。
駆動ローラ213は、後述する2次転写ローラ219のバックアップローラを兼ねている。駆動ローラ213の周面には、厚さ3mm程度、体積抵抗率が1×105 Ω・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、2次転写ローラ219を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラ213に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、2次転写部へ記録材が進入する際の衝撃が中間転写ベルト215に伝達しにくく、画質の劣化を防止している。
また、駆動ローラ213の径を従動ローラ214の径より小さくし、2次転写後の記録紙が記録紙自身の弾性力で剥離し易くしている。
また、中間転写ベルト215の裏面には、後述する画像形成ユニット208を構成する各色毎の単色画像形成ユニットY,M,C,Kの画像担持体220に対向して1次転写部材221が当接され、1次転写部材221には転写バイアスが印加されている。
画像形成ユニット208は、複数(本実施形態では4つ)の異なる色の画像を形成する単色画像形成ユニットY(イエロー用),M(マゼンタ用),C(シアン用),K(ブラック用)を備え、各単色画像形成ユニットY,M,C,Kにはそれぞれ、有機感光層、無機感光層を形成した感光体からなる画像担持体220と、画像担持体220の周囲に配設された、コロナ帯電器または帯電ローラからなる帯電手段222および現像手段223を有している。
各単色画像形成ユニットY,M,C,Kの画像担持体220が中間転写ベルト215のベルト張り側217に当接されるようにされ、その結果、各単色画像形成ユニットY,M,C,Kも駆動ローラ213に対して図で左側に傾斜する方向に配設される。画像担持体220は、図示矢印に示すように、中間転写ベルト215と逆方向に回転駆動される。
露光ユニット207は、画像形成ユニット208の斜め下方に配設され、内部にポリゴンミラーモータ224、ポリゴンミラー225、f−θレンズ226、反射ミラー227、折り返しミラー228を有し、ポリゴンミラー225から各色に対応した画像信号が共通のデータクロック周波数に基づいて変調形成されて射出され、f−θレンズ226、反射ミラー227、折り返しミラー228を経て、各単色画像形成ユニットY,M,C,Kの画像担持体220に照射され、潜像を形成する。なお、各単色画像形成ユニットY,M,C,Kの画像担持体220への光路長は折り返しミラー228の作用によって実質的に同一の長さにされている。
次に、現像手段223について、単色画像形成ユニットYを代表して説明する。各単色画像形成ユニットY,M,C,Kは図で左側に傾斜する方向に配設されているので、トナー収納容器229が斜め下方に傾斜して配置されている。
即ち、現像手段223は、トナーを収納するトナー収納容器229と、このトナー収納容器229内に形成されたトナー貯蔵部230(図のハッチング部)と、トナー貯蔵部230内に配設されたトナー撹拌部材231と、トナー貯蔵部230の上部に区画形成された仕切部材232と、仕切部材232の上方に配設されたトナー供給ローラ233と、仕切部材232に設けられトナー供給ローラ233に当接される帯電ブレード234と、トナー供給ローラ233および画像担持体220に近接するように配設される現像ローラ235と、現像ローラ235に当接される規制ブレード236とから構成されている。
現像ローラ235およびトナー供給ローラ233は、図示矢印に示すように、画像担持体220の回転方向とは逆方向に回転駆動され、一方、撹拌部材231は供給ローラ233の回転方向とは逆方向に回転駆動される。トナー貯蔵部230において撹拌部材231により撹拌、運び上げられたトナーは、仕切部材232の上面に沿ってトナー供給ローラ233に供給され、供給されたトナーは可撓性材料によって作製された帯電ブレード234と摺擦して供給ローラ233の表面の凹凸部への機械的付着力と摩擦帯電力による付着力によって、現像ローラ235の表面に供給される。
現像ローラ235に供給されたトナーは規制ブレード236により所定厚さに薄層化規制される。薄層化したトナー層は、画像担持体220へと搬送されて現像ローラ235と画像担持体220が近接する現像領域で画像担持体220の静電潜像を現像する。
また、画像形成時には、給紙ユニット211は、記録材Sの複数枚が積層保持されている給紙カセット238と、給紙カセット238から記録材Sを一枚ずつ給送するピックアップローラ239を備えている。
紙搬送ユニット212は、二次転写部への記録材Sの給紙タイミングを規定するゲートローラ対240(一方のローラはハウジング202側に設けられている)と、駆動ローラ213および中間転写ベルト215に圧接される二次転写手段としての二次転写ローラ219と、主記録材搬送路241と、定着手段242と、排紙ローラ対243と、両面プリント用搬送路244を備えている。定着手段242は、少なくも一方にハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵した回転自在な定着ローラ対245と、この定着ローラ対245の少なくも一方側のローラを他方側に押圧付勢してシート材に2次転写された2次画像を記録材Sに押圧する押圧手段を有し、記録材に2次転写された2次画像は、定着ローラ対245の形成するニップ部で所定の温度で記録材に定着される。
中間転写ベルト215が駆動ローラ213に対して図で左側に傾斜する方向に配設されているため、右側に広い空間が生じその空間に定着手段242を配設することができ、画像形成装置の小型化を実現することができると共に、定着手段242で発生する熱が、左側に位置する露光ユニット207、中間転写ベルト215および各単色画像形成ユニットY,M,C,Kへ悪影響をおよぼすことを防止するようにしている。
上記のクリーナレス方式のタンデムカラープリンタに使用する有機感光体、転写ベルト、現像ローラ及び規制ブレードは次のようにして作製した。
(有機感光体の作製)
導電性支持体として直径30mmのアルミ素管に、下引き層として、アルコール可溶性ナイロン(東レ(株)製「CM8000」)の6質量部とアミノシラン処理された酸化チタン微粒子4質量部をメタノール100質量部に溶解、分散させてなる塗工液を、リングコーティング法で塗工し、温度100℃で40分乾燥させ、膜厚1.5〜2μmの下引き層を形成した。この下引き層上に、電荷発生顔料のオキシチタニルフタロシアニン1質量部とブチラール樹脂(BX−1、積水化学(株)製)1質量部とジクロルエタン100質量部とを、φ1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで8時間分散させた。得られた顔料の分散液を、上記で作製した支持体を用いて、リングコーティング法で塗工し、80℃で20分間乾燥させ、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
この電荷発生層上に、下記構造式(1)のスチリル化合物の電荷輸送物質40質量部とポリカカーボネート樹脂(パンライトTS、帝人化成(株)製)60質量部をトルエン400質量部に溶解させ、乾燥膜厚が22μmになるように浸漬コーティング法で塗工、乾燥させて電荷輸送層を形成し、2層からなる感光層を有する有機感光体を作製した。
電荷輸送物質の構造式(1)
(中間転写ベルトの作製)
ポリブチレンテレフタレート85質量部、ポリカーボネート15質量部およびアセチレンブラック15質量部を、窒素ガス雰囲気下でミキサーにより予備混合し、得られた混合物を引き続き窒素ガス雰囲気下で二軸押出し機により混練し、ペレットを得た。このペレットを、環状ダイスを有する1軸押出し機により260℃にて外径170mm、厚さ160μmのチューブ状フィルムに押出した。次に押出した溶融チューブを、環状ダイスと同じ軸線上に支持している冷却インサイドマンドレルにより内径を規制し、冷却固化させてシームレスチューブを作製した。規定寸法に切断し、外径172mm、幅342mm、厚さ150μmのシームレスベルトを得た。この転写ベルトの体積抵抗は3.2×108Ω・cmであった。
(現像ローラの作製)
直径18mmのアルミニウムパイプ表面に、ニッケルメッキ(厚さ10μm)を施し、表面粗さ(Rz)4μmの表面を得た。
(規制ブレードの作製)
厚さ80μmのSUS板に厚さ1.5mmの導電性ウレタンチップを導電性接着剤で貼り付けた。
図3に示す画像形成装置は、前述の有機感光体1、現像ローラ、規制ブレード、転写ベルト1を装着し、有機感光体の周速を210mm/s、現像ローラの周速は感光体に対して周速比1.3とし、また、有機感光体と中間転写ベルトとの周速差を転写ベルトが3%早くなるように設定している。3%以上となると、予備実験で転写画像にチリの発生を確認しているため3%を上限とした。また、前記トナー規制ブレードの規制条件を現像ローラ上のトナー搬送量が約0.4mg/cm2 前後となるように調整した。また、作像条件は、現像ギャップを210μmに設定した非接触現像方式(暗電位−600V、明電位−80V、DC現像バイアス−300V、ACバイアス1.4kV、交流周波数2.5kHz)である。
以下、実施例により本発明を説明する。
(シアントナー母粒子1の作製)
芳香族ジカルボン酸とアルキレンエーテル化ビスフェノールAとの重縮合ポリエステルと該重合ポリエステルの多価金属化合物による一部架橋物の50:50(重量比)混合物(三洋化成工業(株)製、ハイマーES−803、ガラス転移温度61℃)100質量部、シアン顔料のピグメントブルー15:1を5質量部、離型剤として融点が80〜86℃のカルナウバワックス3質量部、および荷電制御剤としてのサリチル酸金属錯体E−81(オリエント化学工業(株)製)4質量部をヘンシェルミキサーを用い、均一混合した後、内温130℃の二軸押し出し機で混練し、冷却した。
次いで、冷却物を2mm角以下に粗粉砕し、この粗粉砕物の100質量部をトルエン150質量部と酢酸エチル100質量部の有機溶剤の混合溶液中に攪拌し、油相の均一混合分散溶液を作製した。この分散溶液の粘度は25℃で63mP・sであった。
次に、イオン交換水1100質量部にリン酸三カルシウムの微粉末(ボールミルで事前に粉砕し、粒子径が3μm以上のものが無い状態を確認)5質量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%の水溶液5部を添加し、攪拌を行い水相の均一混合分散溶液を作製した。
造粒には、図1(a)に示すように多孔質ガラス(細孔径:3μm、SPGテクノ(株)製)を側面に有する油性液圧入部、攪拌羽根、超音波素子とを備えた容器に前述の水性液を入れた後、形成されるエマルション微粒子が合一しないように事前に毎分10回転で攪拌すると共に、容器上部に固定された超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製、モデルUS−300T、出力300W、振動子の径:26mm、振動数は20kHz)に電圧を印加し、電流を100μA流して振動させておいた。次いで、油性液圧入部に直結しているパイプに、前述の油性液を14.7×104 Paの力で導入(図1の容器上部の矢印から)し、多孔質ガラス1の噴出孔から油性液を水性液中に圧入した。攪拌は油性液の圧入終了後も10分間続けた。
その後、形成されたエマルションを別に用意した攪拌槽に、図1に示す容器の底部より抜き取り、移した後、さらに攪拌しながら温度を55℃に保ち、含まれる有機溶媒を除去した。その後、5N規定の塩酸で洗浄、水洗濾過を繰返して乾燥することでシアントナー母粒子を得た。
得られたシアントナー母粒子の平均粒径、円形度を、Sysmex社製フロー式粒子像分析装置「FPIA−2100」を用い測定した。平均粒径は、個数基準で6.5μm、円形度0.980であった。図4に、FPIA−2100で測定した個数基準の粒度分布を示す。3μm以下の粒子径を積算で0.23%含んでいた。
また、実施例1のトナー母粒子の作製に際して、超音波の電流を400μA(縦方向の振幅:30μm)とした以外は同様にしてトナー母粒子を作製した。
超音波の電流を400μA(縦方向の振幅:30μm)として作製したトナー母粒子と、電流100μA(縦方向の振幅:10μm)で作製したトナー母粒子における走査型電子顕微鏡(倍率2000倍)写真をそれぞれ図5(a)、(b)に示す。
図5(a)のトナー母粒子は3μm以下のトナーが比較的見られ、またトナー母粒子上に微小のトナー母粒子が付着しているのが見られるが、図5(b)のトナー母粒子では、3μm以下のトナーがほとんど見られず、トナー母粒子上には微小のトナー母粒子がほとんど付着していないことが看取される。
(比較例)
実施例1のトナー母粒子の造粒に際して、超音波素子を振動させない以外は同様にトナー母粒子(A)を調製した。比較例のシアントナー母粒子(A)の平均粒径は個数基準で6.3μm、円形度0.978であった。図6に、個数基準の粒度分布を示す。
図6から明らかなように、超音波をかけないで作製したトナー母粒子の粒度分布は、3μm以下の粒子径を積算で5.15%含んでいた。
実施例1で得られたシアントナー母粒子1及び比較例シアントナー母粒子Aに対し、各100質量部を秤量し、それぞれのトナー母粒子に対して、質量比で流動性改良剤である平均一次粒子径が約12nmの疎水性シリカを0.8質量%、平均一次粒子径が約40nmの疎水性シリカを0.7質量%添加混合し、次いで平均一次粒子径が約20nmの疎水性酸化チタンを0.5質量%と一次粒子径が走査型顕微鏡写真で0.3μm〜0.6μmの範囲にある不定形の疎水性酸化チタンを0.2質量%を添加混合し、更に平均一次粒子径が約30nmの疎水性のシリカをアミノシランで表面処理した正帯電性疎水性シリカを0.45質量%添加混合し、シアントナー1と比較例のシアントナーAを作製した。
図3に示すクリーナレス方式のタンデムカラープリンタのシアン現像ユニットに作製したトナーを装填し、白色ベタ印字を行った後に、現像ローラ上のトナーの帯電特性を市販のホソカワミクロン(株)製の帯電量分布測定装置E−SPARTアナライザー3型で測定した。結果を表1に示す。
また、各色5%カラー原稿に相当する文字原稿を10000枚印字し、有機感光体上にフィルミングしたトナーをテープ転写法で測定した。その結果を同時に表1に示した。
なお、テープ転写法とは有機感光体上のトナーに住友3M製のメンディングテープを貼り付け、トナーをテープ上に転写し、テープ重量を測定することで、貼り付け前後のテープ重量差よりフィルミングしたトナーの重量を求める方法である。
本発明のトナー(シアントナー1)は+トナー個数%も少なく、10000枚の連続印字後の有機感光体上へのトナーフィルミング量は、比較用のシアントナーAに比して、減少されることがわかる。
実施例1において、シアン顔料の代わりに、マゼンタ顔料のカーミン6B、イエロー顔料のピグメントイエロー180、ブラック顔料のカーボンブラックに変えた以外は同様にして、マゼンタトナー母粒子2、イエロートナー母粒子3、ブラックトナー母粒子4をそれぞれ作製した。また、超音波をかけないでそれぞれ作製した比較用のマゼンタトナー母粒子B、イエロートナー母粒子C、ブラックトナー母粒子Dを同様にに作製した。
各トナーをFPIA−2100の分析装置を用い、個数基準の平均粒子径、平均円形度及び3μm以下の粒子径の積算値について求めた。結果を表2に示す。
本発明のトナー母粒子は実質上3μm以下のトナーをゼロに近いレベルまで押さえることができるが、超音波をかけなかったエマルションから作製したトナー母粒子は3μm以下のトナーの積算値は6%〜7%の値を示し、微粒子量が多いものである。
実施例1と同様にして、各色トナー母粒子を外添剤処理し、図3に示すクリーナレス方式のタンデムカラープリンタを用い、JISX9201−1995準拠の標準画像データのN−2A「カフェテリア」の画像を2000枚連続印字を行い、その後、各色毎の有機感光体表面を観察した。本発明のトナーではフィルミングがほとんど見られなかったが、比較例のカラートナーで連続印字した場合、うっすらとフィルミングが発生した。
図1は、本発明のトナーの製造方法で使用する装置の概略図であり、図1(a)はその要部、(b)は図1(a)のA部分の拡大断面の概略図である。 図2は、本発明における油滴が形成される模式図である。 図3は、実施例で使用した画像形成装置の概略である。 図4は、実施例1で得たトナー母粒子の個数基準粒度分布である。 図5(a)(b)は、実施例1で得たトナー母粒子における粒子構造についての走査型電子顕微鏡(倍率2000倍)写真である。 図6は、比較例で得たトナー母粒子の個数基準粒度分布である。
符号の説明
1は油性液圧入部、1′は多孔質ガラス、1″は細孔、2は油性液の導入方向、3は超音波素子、4は攪拌羽根、5は攪拌水面、6は油性液、7は水性液、8は油滴、9は容器底部

Claims (3)

  1. 少なくとも熱可塑性樹脂からなるトナーの構成成分を有機溶媒中に分散・溶解した油性液を、多孔質ガラスの細孔を通して、分散安定剤と乳化剤を含有する水性液中に圧入して水性液中でエマルション油滴とするにあたり、多孔質ガラス上部の上方の水性液中に超音波素子を配置し、振動数を1KHz〜1MHz、振幅を5μm〜100μmとして水性液に対して上下方向に振動する縦方向の振幅を発生させ、多孔質ガラスの細孔から水性液中に圧入される段階でのエマルション油滴を前記超音波により縦振動させてトナー粒子サイズに対応するエマルション微粒子を造粒した後、エマルション微粒子から有機溶媒を除去することを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 水性液中に攪拌手段を設け、造粒されたエマルション微粒子を水性液体中に分散させることを特徴とする請求項1記載のトナーの製造方法。
  3. 製造されるトナーの平均円形度が0.97〜0.99であることを特徴とする請求項1、または請求項2記載のトナーの製造方法。
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