JP4188570B2 - 電子写真用現像剤、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナー粒子と共に撹拌することによりトナー粒子に電荷を付与する電荷付与部材であるいわゆるキャリア粒子と、該トナー粒子を少なくとも含有する二成分現像剤、並びにこれを用いた画像形成方法に関し、特に、像担持体上に残存したトナーを現像に再使用する、いわゆるリサイクル機構を有する画像形成方法と、これに適した電子写真用現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式による画像形成では、光導電性物質等の像担持体上に静電荷による潜像を形成し、この静電潜像に対して、帯電したトナー粒子を付着させ可視像を形成している。トナーにより形成された可視像は、最終的に紙等の転写媒体に転写後、熱、圧力や溶剤気体等によって転写媒体に定着され、出力画像となる。
これらの画像形成方法は、可視像化のためのトナー粒子を帯電させる方法により、トナー粒子とキャリア粒子の撹拌・混合による摩擦帯電を用いる、いわゆる二成分現像方式と、キャリア粒子を用いずにトナー粒子への電荷付与を行う、いわゆる一成分現像方式とに大別される。また、一成分現像方式は、現像ローラーへのトナー粒子の保持に磁気力を使用するか否かにより、磁性一成分現像方式、非磁性一成分現像方式に分類される。
これまで、高速性、画像再現性が要求される複写機やこれをベースとした複合機等では、トナー粒子帯電の安定性や立上がり性、画像品質の長期安定性等の要求から、二成分現像方式が多く採用され、省スペース性、低コスト化等の要求が大きい、小型のプリンター、ファクシミリ等には、一成分現像方式が多く採用されている。
近年、環境影響への配慮から、主に一成分現像方式で採用されているユニットのリサイクル、リユースが実現されつつあるのと同時に、二成分現像方式においても、更なる現像剤の高寿命化の要求が高まってきている。
【0003】
更に、近年の省エネルギー化の機運に伴い、画像形成におけるトナーの定着エネルギーは低くなり、この為に、これまでよりも低い熱エネルギーで軟化する樹脂がトナー用の結着樹脂として採用される傾向がある。これらの樹脂は、常温でも粘着性が大きくなりやすく、この為に、常温下でのトナー粒子同士の結着防止によるトナー流動性確保のためや、トナー母体粒子組成成分のキャリア粒子表面への固着(いわゆる、トナースペント)を防止するために、流動性改良剤としての外添微粒子を多く含みがちである。しかしながら、このようなトナーでは、トナー母体粒子組成成分のキャリア粒子表面への固着は、抑制されるものの、トナー中多く含まれる外添微粒子の一部が遊離状態となることが多く、これら微粒子自身が、キャリア粒子表面へ撹拌等の外力の作用により強く付着し、キャリア粒子の電荷付与能力変動を始めとする現像剤特性の変動を引き起こすことがあった。
【0004】
一方、省資源の観点から、像担持体から紙等の画像転写媒体上へ、トナーを転写した後に像担持体上へ残った、いわゆる転写残トナーを機内で再使用するためのトナーリサイクル工程を含む画像形成方法が一般的になってきている。このようなトナーリサイクル工程を含む画像形成方法においては、トナーリサイクル工程において、トナー中の外添微粒子のトナー母体粒子への埋没が生じることがある。これに伴う、トナー流動性の変動を抑制するために、より多くの外添微粒子が使用され、その為に、トナー中の遊離した外添微粒子の量は多くなるため、これまでの電子写真用現像剤では、現像剤特性の経時変動が、より顕著に現れていた。
これらの、現像剤特性の変動が生じると、経時変化として、画像濃度の低下、地肌カブリの発生、解像力の低下等といった画像品質の劣化が現れ、更には、像担持体の物理的/電気的傷の発生、帯電部材汚染等の画像形成系の劣化をも引き起こすことがあり、画像形成装置自体の寿命を縮めることとなる。
【0005】
よって、長期間にわたり安定した良好な品質の画像を得るために、更には画像形成装置寿命を維持するためには、現像剤の特性が、使用期間により変動することなく、安定していることが重要となり、これまでにもキャリア粒子経時変動の抑制に着眼した様々な提案がなされてきている。
このような提案の例としては、表面が凹凸構造であるキャリアと表面が凹凸構造でないキャリアを同時に使用することにより、トナースペントを防止しつつ帯電の立ち上がりを良くしたもの(特開平6−43686号)、表面に微小な凹凸を有する中心粒径60〜100μmの磁性キャリアと、中心粒径5〜8μmの球形トナーを用いることにより、キャリア表面積を広くし、微粉トナーがキャリア表面に付着してもトナー帯電が可能なようにしたもの(特開平8−190224号)、平均球形度が1.1以上、1.5以下であり、球形度が1.3未満のものを70個数%以上有することにより、球形度に現れる程度のキャリア表面凹凸を抑制し、トナー微粉のスペントを防止したもの(特開平9−244301号)等が挙げられる。
しかしながら、これらの提案はキャリア粒子表面へのトナー母体組成成分の固着に着目したものであって、そこでは、更なる現像剤の長寿命化や省資源化を図る上で、前記したようなトナー中の添加微粒子のキャリア粒子表面への固定化を防止し、十分に安定した現像剤特性を有する電子写真用現像剤、画像形成方法、画像形成装置については全く検討されていない。
【0006】
一方、トナー自身の状態の経時変動を抑制することによる画質の維持や、感光体表面へのトナーフィルミングの防止、環境安定性の向上を目的として、トナーに含まれる添加剤の特性や種類については、これまでにも、特許第2704789号、特許第2754618号、特公平8−16802号、特開昭61−176946号、特開平1−126660号、特開平6−167827号、特開平6−258862号、特開平6−332236号、特開平7−84406号、特開平7−199539号、特開平7−261446号、特開平10−10773号、特開平10−186723号、特開平11−143118号、特開平11−174731号、特開平11−184145号、特開平11−327301号、2000−56511号、2000−56595号等を始めとして、多くの提案がなされている。しかしながら、これらの提案でも、キャリア粒子表面への添加微粒子の付着・固定化に関しては何ら検討されておらず、このために生じる現像剤品質の経時変動については全く言及されていない。
すなわち、これらの提案によっては、トナー自身の状態は維持できるものの、上述のようなトナー中の外添微粒子のキャリア粒子表面への付着・固定化は何ら改善されず、キャリア粒子特性変動に起因する現像剤品質の経時変動も改善されないのである。
このように、二成分現像剤において、更に長期間、現像剤特性変動を抑制する為の提案、特にトナー中の添加微粒子のキャリア粒子表面への固定化の抑制に関する提案は、未だなされることなく、現像剤の交換なしに高品質の画像を安定して得ることは非常に困難な課題として残されていたのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような現状の問題点に鑑み、現像剤特性の経時変動を実質上無視し得る程度に抑制し、極めて長期に渡り高品質の画像を保持でき、より低い定着エネルギーにより定着し得る、省エネルギー定着が可能なトナーに対しても高品質な画像を維持できる、極めて高機能の電子写真用現像剤を提供することを目的とする。
本発明の別の目的は、実質上廃棄トナーを極めて少なくできる、環境への影響が極めて小さな画像形成方法および画像形成装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
現像剤特性の変動を抑制するためには、摩擦電荷付与部材としてのキャリア粒子の表面特性の経時変動を抑制することが重要であり、中でもキャリア粒子表面の電荷付与特性変動を抑制することが特に重要である。
キャリア粒子表面の電荷付与特性変動は、トナーとの撹拌・摩擦時の衝撃力により、トナー組成成分がキャリア粒子表面へ移行して固着し、キャリア粒子表面を汚染することが大きな要因である。従って、このような現象の発生を抑制することにより、キャリア粒子の電荷付与特性変動を極めて小さくすることができる。
また、この電荷付与特性の経時変動には、上述のようにトナー母体粒子成分固着の影響もさることながら、その添加微粒子のキャリア粒子表面上への移行・固着による、トナーとキャリア粒子表面の略均質化の影響が極めて大きい。すなわち、十分なトナー流動性を保持させ補給トナーの現像剤中への速やかな拡散を保ちつつ、トナーに含まれる添加微粒子のキャリア粒子表面への移行をできるだけ少なくすることが、現像剤特性経時変動の抑制に重要である。
本発明者らは鋭意研究の結果、該添加微粒子のキャリア粒子表面への固着を大幅に抑制し得る、キャリア粒子表面の微細凹凸状態と、トナーに含まれる添加微粒子の一次粒子径範囲が存在し、これらの状態、範囲を特定することにより、トナー流動性を保ちつつ、初期現像剤特性を極めて長期間にわたり保持しうることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0009】
すなわち、本発明の第一は、少なくとも着色剤及び結着樹脂よりなるトナー母体粒子に2種以上の微粒子を外添してなるトナーと、キャリア粒子を混合してなる電子写真用現像剤において、該トナー中の2種以上の添加微粒子のうち、最小の平均一次粒子径を持つ1種の添加微粒子の平均一次粒子径が5〜50nmであり、該キャリア粒子が少なくとも磁性体よりなるコア材表面に樹脂相を含むコート層を設けて成る粒子であり、該粒子は、デジタル・インスツルメンツ社製走査型プローブ顕微鏡Nanoscope III a,Dimension3100で測定した結果、そのキャリア粒子表面に凹凸を有し、該キャリア粒子表面に存在する任意の凸部とこれに隣接する凹部との高低差が5nm以下である領域が該キャリア粒子表面の60%以上を占めることを特徴とする電子写真用現像剤である。
本発明の第二は、キャリア粒子表面の100nm×100nm領域内の表面粗さRzと、トナー中の2種以上の添加微粒子のうち、最小の平均一次粒子径を持つ1種の添加微粒子の平均一次粒子径Dminとが、次の式(1)を満たす請求項1記載の電子写真用現像剤である。
【数2】
本発明の第三は、キャリア粒子の表面コート層を形成する樹脂がシリコーン樹脂またはその変性物や弗素樹脂である請求項1又は2記載の電子写真用現像剤である。
本発明の第四は、キャリア粒子表面コート層に、主鎖および/または側鎖にシロキサン結合骨格を持つ化合物を含有させた請求項1、2又は3記載の電子写真用現像剤である。
本発明の第五は、トナー中の添加微粒子の、トナー母体粒子に対する割合が、0.5〜5重量%である請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真用現像剤である。
本発明の第六は、トナー中4.0μm以下のトナー粒子が、50個数%以下である請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真用現像剤である。
本発明の第七は、キャリア粒子のコア材及び/又はコート層にシランカップリング剤を含有させた請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真用現像剤である。
本発明の第八は、像担持体上に形成された静電潜像をトナーおよびキャリア粒子よりなる電子写真用現像剤によって現像する画像形成方法において、電子写真用現像剤が請求項1乃至7のいずれかに記載のものであることを特徴とする画像形成方法である。
本発明の第九は、像担持体をクリーニング工程にてクリーニングし、クリーニング工程により回収したトナーを現像工程にて再使用する請求項8記載の画像形成方法である。
本発明の第十は、像担持体上に形成された静電潜像をトナーおよびキャリア粒子よりなる電子写真用現像剤によって現像する画像形成装置において、電子写真用現像剤が請求項1乃至7のいずれかに記載のものであることを特徴とする画像形成装置である。
本発明の第十一は、少なくとも像担持体をクリーニングするクリーニング機構およびクリーニング機構で回収したトナーを現像機構へ搬送する搬送機構よりなるトナーリサイクル機構を備え、回収したトナーを再使用する請求項10記載の画像形成装置である。
【0010】
【発明の実施の形態】
トナー中への添加微粒子およびキャリア粒子表面構成を、本発明の第一のようにすることにより、該現像剤は、極めて良好な現像剤特性の経時安定性を示すようになる。
すなわち、本発明においては、キャリア粒子表面の微細凹凸スケール(60%以上が5nm以下)が添加微粒子のスケール以下、中でも最小の平均粒子径を持つ添加微粒子のスケール(5〜50nm)以下であるため、2種以上で形成されているそれぞれの添加微粒子が一旦キャリア粒子表面に移行したとしても、一定箇所に留まることなく速やかに転動する。これにより、トナー添加微粒子のキャリア粒子表面への固着は極めて少なくなり、表面形状制御をされていないキャリア粒子と比較して、長期に渡りキャリア粒子表面の変化を抑制することができ、安定した現像剤特性を発現させることができる。
キャリア粒子表面の大部分を占める、凹凸部の高低差が、5nmを上回るときには、該キャリア粒子表面の微細凹凸スケールは、添加微粒子スケールの少なくとも一種と同程度となるため、遊離した添加微粒子が多く存在した状態で、トナー流動性を付与しているような場合には、添加微粒子が、キャリア粒子表面の微細凹部にはまり込んで脱離できなくなり、この影響によりキャリア粒子表面特性を変化させてしまう。更には、この部分が核となり更にトナー組成成分の固着を増加させる。また、このような特定添加微粒子の選択的固定化は、トナー組成の変動につながり、経時品質面でより不利に働き易い。
該微細凹凸部の高低差が5nm以下の領域は、キャリア粒子表面の60%以上を占めることが必要であり、さらには70%以上を占めるのが好ましい。これより少ない占有領域の場合には、規定範囲外の領域に対する添加微粒子の固着によるキャリア粒子表面特性変動の影響が大きくなり、実質上、添加微粒子固着抑制による特性安定化効果を発揮させるのは困難となる。
【0011】
ここで、キャリア粒子表面の微細構造は、概略以下のようにして知ることができる。
まず、表面コート層を設けたキャリア粒子を、十分に剛性の高い支持体に固定する。この時、固定には、必要に応じて両面テープや接着剤等を用いてもよい。次に、粒子を固定した試料を、室温・常圧の環境下で、走査型プローブ顕微鏡(SPM)の測定部位にセットする。引き続き、測定部位を0.5〜10μm程度のスキャン範囲で、測定プローブを共鳴周波数で振動させつつ試料表面を走査する、いわゆるタッピングモード走査を行う。この時、プローブ先端の曲率半径は5〜20nm程度、タッピング周波数は150〜450kHz程度が好ましく用いられる。上記条件により、タッピングモード走査を行うことにより、微細な表面形状を観測することができる。
【0012】
本発明の現像剤において用いられるキャリア粒子については、本発明の第一の構成範囲を取り得る限り、材料は特に限定されるものではなく、従来公知のものが使用でき、例えば、キャリア粒子のコア材に使用できる無機/金属の磁性粒子の例としては、鉄、コバルト、ニッケル等の金属;マグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの合金や化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら磁性粒子は、単結晶/アモルファスの粒子、単独/複合の焼結体、単独/複合の粒子を樹脂等の高分子中に分散させた粒子等の、いずれのコア材形態で使用してもよい。また、磁性粒子を高分子中に分散させた粒子で、キャリア粒子の磁気特性と磁性粒子の分散性を両立させるには、これらの磁性粒子は0.5〜10μm程度の大きさの粒子を含むことが好ましい。
【0013】
次に、キャリア粒子のコア材粒子及び/又は表面コート層を形成する樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル樹脂(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン等のポリビニル系やポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂またはその変性物(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変性物);ペルヒドロポリシラザンまたはその変性物(部分酸化物を含む);ポリテトラフルオロエチレン、ポリ弗化ビニル、ポリ弗化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;ユリア樹脂;メラミン樹脂;ベンゾグアナミン樹脂;エポキシ樹脂等が挙げられ、中でも好ましいコート層材料としては、シリコーン樹脂またはその変性物や弗素樹脂、特にシリコーン樹脂またはその変性物が挙げられる。
シリコーン樹脂又はその変性物については特に限定されるものではないが、下記一般式で示されるオルガノシロキサン結合のみからなるストレートシリコーンや、アルキド樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタンなどで変性したシリコーン樹脂が好ましく挙げられる。
【0014】
【化1】
上記式中、R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基、R2およびR3は水素原子、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、炭素数2〜4のアリケニル基、炭素数2〜4のアルケニルオキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エチレンオキシド基、グリシジル基または下記式で示される基である。
【化2】
上記式中R4、R5はヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数2〜4のアルケニルオキシ基、フェニル基、フェノキシ基、k、l、m、n、o、pは1以上の整数を示す。
上記各置換基は未置換のもののほか、例えばアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、アルキル基、フェニル基、エチレンオキシド基、グリシジル基、ハロゲン原子のような置換基を有していてもよい。
【0015】
また前述のようにキャリアコア材粒子及び/又はコート層の電気抵抗を低抵抗材料粒子の分散により制御する際に用いられる材料は、従来公知のものでよく、その例としては、鉄、金、銅等の金属;フェライト、マグネタイト等の酸化鉄;カーボンブラック等の顔料が挙げられ、これらの中でも特にカーボンブラックの一つであるファーネスブラックとアセチレンブラックの混合物が少量の低抵抗微粉末の添加で効果的に導電性を調整しうるので好ましい。これらの低抵抗微粉末は、粒径0.01〜10μm程度のものが好ましく、コア材粒子またはコート層樹脂100重量部に対して2〜30重量部添加するのが好ましく、さらには5〜20重量部添加するのがより一層好ましい。これらの低抵抗微粉末は、キャリア粒子表面の微細凹凸の形成を抑制するためにも、コート層表面部分にはできる限り露出していないのが好ましい。
【0016】
また、キャリアコア材粒子及び/又はコート層には、これらの密着性を向上させたり抵抗制御材の分散性を向上させる目的でシランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤を助剤として含有させてもよい。これらカップリング剤の使用は、前述の低抵抗微粉末の表面露出抑制に対しても有効である。
このシランカップリング剤の例としては、下記一般式で示される化合物が挙げられる。
【化3】
YRSiX3
上記式中、Xはケイ素原子に結合している加水分解性基で、例えばクロル基、アルコキシ基、アセトキシ基、アルキルアミノ基、プロペノキシ基などである。
また、Yは有機マトリックスと反応する有機官能基で、例えばビニル基、メタクリル基、エポキシ基、グリシドキシ基、アミノ基、メルカプト基などである。
また、Rは炭素数1〜20のアルキレン基である。
このシランカップリング剤の中でも、特に負帯電性を有する現像剤を得るにはYがアミノ基のアミノシランカップリング剤が好ましく、正帯電性を有する現像剤を得るにはYがエポキシ基のエポキシシランカップリング剤が好ましい。
【0017】
コート層の形成法としては、従来と同様、コア材粒子の表面にコート層形成液を噴霧法、浸漬法等の手段で塗布すればよい。
被覆層の厚さは0.1〜20μmが好ましい。
【0018】
一方、本発明の現像剤に用いられるトナーについても、本発明の第一の構成範囲を取り得る限り、材料は限定されるものではなく、電子写真用トナーとして通常使用される材料を、特に制限無く、使用することができる。
例えば、トナー母体粒子に使用される結着剤樹脂の一例としては、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレンやその置換体の単重合体;スチレン/p−クロロスチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、スチレン/ビニルナフタレン共重合体、スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重合体、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン/α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ビニルメチルケトン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体等のスチレン系共重合体;ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル系単重合体やその共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等のポリビニル誘導体;ポリエステル系重合体、ポリウレタン系重合体、ポリアミド系重合体、ポリイミド系重合体、ポリオール系重合体、エポキシ系重合体、テルペン系重合体、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられ、これらは単独あるいは混合して使用できるが特にこれらに限定されるものではない。これらの中でも、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂及びポリオール系樹脂より選ばれた少なくとも1種が、電気特性、コスト面等からみて好ましく、更には、良好な定着特性を示すので、ポリエステル系樹脂および/またはポリオール系樹脂がより一層好ましい。
【0019】
また、トナー母体粒子に使用される着色剤については、従来からトナー用着色剤として使用されてきた顔料及び染料が使用することができ、具体的には、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6Cレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドンレッド、ベンジジンイエロー、ローズベンガル等が挙げられ、これらは単独であるいは混合して用いられる。
【0020】
また、必要により、トナー粒子自身に磁気特性を持たせるには、フェライト、マグネタイト、マグヘマタイト等の酸化鉄類、鉄、コバルト、ニッケル等の金属、或いはこれらと他の金属との合金等の磁性成分を単独でまたは混合して、トナー粒子へ含有させればよい。また、これらの成分は、着色剤成分として使用/併用することもできる。
【0021】
更に、トナー定着時にオイル等の離型剤を用いない、いわゆるオイルレス定着方式は、トナー粒子中に、ポリエチレンワックス、プロピレンワックス、カルナウバワックス等のワックス類を含有させることにより実現できる。これらワックスの含有量は、その種類や定着の方法にもよるが、0.5〜10.0重量%の範囲が好ましく、中でも3.0〜8.0重量%の範囲が更に好ましい。
【0022】
また、トナー母体粒子には、帯電の立ち上がりをより良くするために電荷制御剤を含有させることができる。電荷制御剤としては、一般に知られているもの、例えば、アミノ基含有ビニル系コポリマー、四級アンモニウム塩化合物、ニグロシン染料、ポリアミン樹脂、イミダゾール化合物、アジン系染料、トリフェニルメタン系染料、グアニジン化合物、レーキ顔料等の正帯電性電荷制御剤や、カルボン酸誘導体やその金属塩、アルコキシレート、有機金属錯体、キレート化合物等の負帯電性電荷制御剤を、単独でまたは混合して、トナー粒子中への混練物および/または添加物として用いることができる。これら電荷制御剤を分散状態で用いる場合、キャリア粒子表面との相互作用が略均等に生じるためには、その分散径は、2.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以下であることが更に好ましい。
【0023】
また、トナー母体粒子同士の合一化を抑制しつつ、トナー流動性を向上させ、また環境依存性を安定化するための添加剤としても、一般に公知のものが使用でき、例えば、酸化亜鉛、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化珪素、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸ランタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、マイカ、ドロマイト等の無機粉末や、これらの疎水化物を使用できる。この他の添加剤として、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂微粒子をトナー表面改質剤として使用してもよい。
添加微粒子の選択は、上記に代表される微粒子から、2成分以上を用いればよくこの選択には、例えば、粒度分布の異なる同種の組成物を2種類以上選択する場合も含まれる。
【0024】
本発明の現像剤中のトナーを製造するには、先ず上述のような原材料を、二本ロール、二軸押出し混練機、一軸押出し混練機等を用いて、公知の方法で混練し、これを機械式や気流式等の公知の方法で粉砕、分級を行いトナー母体粒子を調製する。この混練時には着色剤や磁性体の分散状態を制御するための分散剤等を併用してもよい。次いで、このトナー母体粒子に、前述の添加微粒子を加え、混合機等により混合し表面改質を施す。
このようにして、トナーが製造される。
【0025】
また、これらトナーの帯電電荷量は、実使用プロセスにより異なるため一概に決定できるものではないが、おおよそ、本発明の構成によるキャリア粒子との組み合わせにおいて、絶対値で3〜80μC/g程度の飽和電荷量であることが好ましく、更には5〜50μC/g程度の飽和電荷量であることがより好ましく、10〜40μC/g程度の飽和電荷量であることがより一層好ましい。
【0026】
本発明の現像剤においては、キャリア粒子表面の100nm×100nm領域内の表面粗さRzと、該トナー中の添加微粒子の内、最小の平均一次粒子径を持つ添加微粒子の平均一次粒子径Dminとが、下記式(1)を満たす関係にあることが好ましく、両者の大小関係が式1を逸脱するような場合には、該領域のキャリア粒子表面での添加微粒子の転動が生じにくくなり、現像剤の撹拌条件によっては、添加微粒子固着の発生を十分に抑制できないことがあるため、好ましくない。
【数3】
2.3×Rz<Dmin (1)
また、キャリア粒子表面コート層に、主鎖および/または側鎖にシロキサン結合骨格を持つ化合物を含有させることにより、その表面エネルギーの小ささとあいまって、該キャリア粒子表面への添加微粒子の固定化がより確実に抑制される。
【0027】
トナー母体粒子に対する添加微粒子の割合については、添加する材料の種類にもよるが、総量でおよそ0.5〜5重量%、最小の平均一次粒子径を持つ外添微粒子量でおよそ0.3〜2重量%であることが好ましい。また、これらの添加微粒子は、適当な混合機により混合してトナー粒子表面に付着、凝着或いは、少量のトナー粒子間隙での遊離状態になるよう調整し、用いることができる。
添加微粒子の総添加量が、0.5重量%を下回る場合には、トナー母体粒子表面の添加微粒子による被覆が不十分となり、トナー母体粒子同士の合一化が発生することがあるし、また、5重量%を上回る場合には、トナー母体粒子から遊離した添加微粒子が多く発生しやすく、遊離微粒子量の経時変化が大きくなることがあり、これにより生じるトナー自体の特性変動を、現像剤として十分に吸収できない場合が有る。添加微粒子の割合としては、トナー母体粒子に対して総量で0.7〜3重量%程度であれば、更に好ましいものである。
これらの添加微粒子を混合する際には、混合機中へトナー母体粒子と共に添加微粒子を一度に投入して撹拌・混合してもよく、順次投入して撹拌・混合してもよい。
【0028】
また、添加微粒子の平均一次粒子径の隔たりが、あまりにも大きすぎるような場合には、大きな平均一次粒子径を持つ添加微粒子表面に、他の添加微粒子が付着し所望の微粒子添加効果を発現しない場合がる為、該添加微粒子の内最大の平均一次粒子径は、最小の平均一次粒子径の100倍程度以下であることが好ましく、50倍程度以下であることが、より好ましい。
また更に、本発明の現像剤に用いるトナー中に、あまりにも多くの微細なトナー粒子が含まれるような場合には、該微細トナー粒子自体が、キャリア粒子表面上へ付着しキャリア粒子表面を変質させることがあるため、好ましくない。
このような影響は、粒子径が小さな粒子に特有であり、特に4.0μm程度の大きさを持つ微粒子の量を制限することにより、更に現像剤を安定して長寿命化することができる。従って、本発明の構成による電子写真用現像剤では、このような微小粒径のトナー粒子数はできるだけ少ない方が好ましく、具体的には、4.0μm以下の微小なトナー粒子が50個数%以下であることが好ましく、35個数%以下であることがより好ましい。
【0029】
また、像担持体上に形成された静電潜像をトナーおよびキャリア粒子よりなる電子写真用現像剤によって現像する画像形成方法において、該電子写真用現像剤として本発明の現像剤を用いることにより、長期間にわたって安定した高品質の画像が得られる。
さらに、像担持体をクリーニング工程にてクリーニングし、クリーニング工程により回収したトナーは、前述のとおり長期間にわたって安定した高品質の画像が形成できる特性を有するので、これを再び現像工程で再使用することにより、トナーの省資源化が図られる。
【0030】
また、これらの画像形成方法を行うための具体的画像形成装置としては、像担持体上に形成された静電潜像をトナーおよびキャリア粒子よりなる電子写真用現像剤によって現像する画像形成装置において、該電子写真用現像剤として本発明の現像剤を用いたものが挙げられる。
さらに、このような画像形成装置において、少なくとも像担持体をクリーニングするクリーニング機構およびクリーニング機構で回収したトナーを現像機構へ搬送する搬送機構よりなるトナーリサイクル機構を備え、回収したトナーを再使用するようにしたものが好ましい。
【0031】
以下に図を用いて、本発明の画像形成方法・装置について説明を加える。まず、図1は画像形成装置の一例の断面図である。ドラム状の像担持体1の周囲に、像担持体帯電部材2、像露光系3、現像機構4、転写機構5、クリーニング機構6、除電ランプ7が配置されていて、以下の動作で画像形成を行う。
【0032】
画像形成の一連のプロセスについては、ネガ−ポジプロセスを例として説明する。有機光導電層を有する感光体(OPC)に代表される像担持体1は除電ランプ7で除電され、帯電チャージャーや帯電ローラーといった帯電部材2で均一にマイナスに帯電され、レーザー光学系3より照射されるレーザー光で潜像形成(露光部電位の絶対値は、非露光部電位の絶対値より低電位となる)が行われる。
レーザー光は半導体レーザーから発せられて、高速で回転する多角柱の多面鏡(ポリゴン)等により像担持体1の表面を像担持体1の回転軸方向に走査する。このようにして形成された潜像が、現像機構4にある現像剤担持体である現像スリーブ41上に供給されたトナー粒子及びキャリア粒子の混合物からなる二成分現像剤により現像され、トナー可視像が形成される。潜像の現像時には、電圧印加機構(図示せず)から現像スリーブ41に、像担持体1の露光部と非露光部の間にある、適当な大きさの電圧またはこれに交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。
【0033】
一方、転写媒体(例えば紙)9が、給紙機構(図示せず)から給送され、上下一対のレジストローラー(図示せず)で画像先端と同期をとって像担持体1と転写部材51との間に給送され、トナー像が転写される。このとき転写部材51には、転写バイアスとして、トナー帯電の極性と逆極性の電位が印加されることが好ましい。その後転写媒体9は像担持体1より分離された後、定着装置8を経て出力画像として排出される。
また、像担持体上に残存するトナー粒子は、クリーニング部材61にて、クリーニング機構6内のトナー回収室62へ回収される。
回収されたトナー粒子は、トナーリサイクル手段(図示せず)により現像部および/またはトナー補給部に搬送し、再使用してもよい。
【0034】
図2は、画像形成装置の現像装置主要部の概略図である。像担持体(感光体ドラム)1の側方に配設された現像機構は、現像剤担持体としての現像スリーブ41、現像剤収容部材42、規制部材としてのドクターブレード43、支持ケース44等から主に構成されている。
像担持体(感光体ドラム)1側に開口を有する支持ケース44には、内部にトナー10を収容するトナー収容部としてのトナーホッパー45が接合されている。トナーホッパー45に隣接した、トナー10とキャリア粒子とからなる現像剤11を収容する現像剤収容部46には、トナー10とキャリア粒子を撹拌し、トナー粒子に摩擦/剥離電荷を付与するための、現像剤撹拌機構47が設けられている。
トナーホッパー45の内部には、図示しない駆動手段によって回動されるトナー供給手段としてのトナーアジテータ48及びトナー補給機構49が配設されている。トナーアジテータ48及びトナー補給機構49は、トナーホッパー45内のトナー10を現像剤収容部46に向けて撹拌しながら送り出す。
【0035】
像担持体(感光体ドラム)1とトナーホッパー45との間の空間には、現像スリーブ41が配設されている。図示しない駆動手段で図の矢印方向に回転駆動される現像スリーブ41は、キャリア粒子による磁気ブラシを形成するために、その内部に現像機構に対して相対位置不変に配設された、磁界発生手段としての図示しない磁石を有する。
現像剤収容部材42の、支持ケース44に取り付けられた側と対向する側には、規制部材(ドクターブレード)43が一体的に取り付けられている。規制部材(ドクターブレード)43は、その先端と現像スリーブ41の外周面との間に一定の隙間を保った状態で配設されている。
上記構成により、トナーホッパー45の内部からトナーアジテータ48、トナー補給機構49によって送り出されたトナー10は、現像剤収容部46へ運ばれ、現像剤撹拌機構47で撹拌されることによって、所望の摩擦/剥離電荷が付与され、キャリア粒子と共に現像剤11として、現像スリーブ41に担持されて像担持体(感光体ドラム)1の外周面と対向する位置まで搬送され、トナー10のみが像担持体(感光体ドラム)1上に形成された静電潜像と静電的に結合することにより、像担持体(感光体ドラム)1上にトナー像が形成される。
【0036】
【実施例】
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。また、ここで「部」は全て重量部を示す。
【0037】
製造例1
〔キャリア粒子(C1)の製造〕
ポリエチレンイミン/シリコーン樹脂(=50/50)グラフト重合体溶液
(固形分=10%相当) 500部
テトラエトキシシラン 25部
エチルアルコール 475部
上記処方の各成分を撹拌機で混合撹拌してコート層形成用の塗工液を調整した。
これを重量平均粒径50μmの球形フェライト粒子5000部の表面へ流動床型スプレーコート装置によりコートした後、160℃/2時間加熱して各樹脂相組成のものを反応させ、表面にコート層を持つキャリア粒子(C1)を得た。 ここで、キャリア粒子表面コート層の形状観測は、デジタル・インスツルメンツ社製走査型プローブ顕微鏡NanoscopeIIIa,Dimension3100を用いて行った。
測定サンプルであるキャリア粒子は、アルミニウム平板上へ、薄く塗った接着剤によって固定した。走査範囲は500nm四方とし、各サンプルについて独立した3箇所を観測して、これらの表面形状観測データを元にキャリア粒子表面の微細凹凸部の高低差が5nm以下に相当する領域の占める割合およびスキャンプロフィールから100nm×100nm領域の表面粗さ(Rz)を算出した。
キャリア粒子表面観測結果を表1に示す。
【表1】
【0038】
製造例2
〔トナー(T1)の製造〕
ポリエステル樹脂 79部
(ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加アルコール、ビスフェノールAの
プロピレンオキサイド付加アルコール、テレフタル酸及びトリメリット酸の縮合
重合物;Mw=12000、ガラス転移点=61℃)
カーボンブラック;三菱カーボン社製 #44 15部
電荷制御剤;AIZON SPILON BLACK TRH(保土谷化学工業
社製、クロム含金属染料) 1部
カルナウバワックス;野田ワックス社製 5部
上記処方の混合物を、二本ロール混練機にて30分間混練した後、機械式粉砕機・気流式分級機により粉砕・分級条件を調整しつつ粉砕・分級し、トナー母体粒子1を得た。
更に、該トナー母体粒子1に対して、表面をジメチルシラン処理した疎水性シリカ微粒子(平均一次粒子径=25nm)及び疎水性酸化チタン微粒子(平均一次粒子径=15nm)をそれぞれ1.0重量%及び0.5重量%の割合で加えて、ヘンシェルミキサーにより、トータル2分間混合しトナー(T1)を得た。
トナー(T1)の粒度分布をコールターカウンターTA2にて測定したところ、重量平均径D4=6.0μmであり、4.0μm以下のトナー粒子は45個数%であった。
【0039】
実施例1
キャリア粒子(C1)1000部及びトナー(T1)50部を混合して、電子写真用現像剤を調製し、リコー製複写機imagio MF−6550の改造機を用い、トナーリサイクルを行いつつ、A4版、画像面積率6%原稿60万枚の連続画像出図試験を行い、初期及び連続出図後の文字画像及びベタ画像を出力し画質評価を行った。画質評価としては、文字部分での地肌カブリ、ベタ画像での画像濃度の安定性及び各画像でのその他不具合の有無によった。画像濃度については、マクベス濃度計(RD−914)を用いて計測し、その他の項目については、目視により評価した。
画像出力時の像担持体上静電荷像は、地肌部=−700V、画像部=−200Vとした。また、現像スリーブには、直流の現像バイアス電位を印加した。
60万枚の連続画像出図試験終了後の現像剤を採取し、エアーブローにより表面に付着しているトナー粒子を除去後、残ったキャリア粒子の電荷付与能力を、初期の現像剤における電荷付与能力と比較評価した。電荷量の測定は、通常のブローオフ法により行い、トナーには、連続画像出図試験で用いたトナーと同じものを使用した。
初期及び60万枚後の各評価結果について、表2、表3に示す。
同様に、引き続き、100万枚連続画像出図試験を行ったところ、初期画像と比較して全く遜色のない高精細・高解像度の画像が得られた。
【0040】
製造例3
〔トナー(T2)の製造〕
製造例2と同様にして得られたトナー母体粒子1に対して、表面をジメチルシラン処理した疎水性シリカ微粒子(平均一次粒子径=15nm)および疎水性酸化チタン微粒子(平均一次粒子径=30nm)をそれぞれ0.8重量%の割合で加えて、ヘンシェルミキサーにより、トータル2分間混合しトナー(T2)を得た。
【0041】
実施例2
トナーとして(T2)を用いた以外は実施例1と同様にして現像剤を調製するとともに試験を行い評価した。その結果を表2、表3に示す。
【0042】
製造例4
〔トナー(T3)の製造〕
製造例2と同様にして得られたトナー母体粒子1に対して、表面をジメチルシラン処理した疎水性シリカ微粒子(平均一次粒子径=60nm)及び同様の疎水化処理をしたシリカ微粒子(平均一次粒子径=15nm)をそれぞれ2.0重量%および0.5重量%の割合で加えて、ヘンシェルミキサーにより、トータル2分間混合しトナー(T3)を得た。
【0043】
実施例3
トナーとして(T3)を用いた以外は実施例1と同様にして現像剤を調製するとともに試験を行い評価した。その結果を表2、表3に示す。
【0044】
製造例5
〔キャリア粒子(C2)の製造〕
上記処方の各成分を用いた以外は製造例1と同様にしてキャリア粒子(C2)を得た。キャリア粒子表面観測結果を表1に示す。
【0045】
実施例4
キャリア粒子(C2)を用いた以外は実施例1と同様にして現像剤を調製するとともに試験を行い評価した。その結果を表2、表3に示す。
【0046】
製造例6
〔トナー(T4)の製造〕
製造例2のトナー処方を用い、粉砕・分級条件を調整して、4.0μ以下のトナー粒子を多く含むトナー母体粒子2を得た。
更に、該トナー母体粒子2に対して、表面をジメチルシラン処理した疎水性シリカ微粒子(平均一次粒子径=60nm)および疎水性酸化チタン微粒子(平均一次粒子径=30nm)をそれぞれ2.0重量%及び0.5重量%の割合で加えて、ヘンシェルミキサーにより、トータル2分間混合しトナー(T4)を得た。
トナー(T4)の粒度分布をコールターカウンターTA2にて測定したところ、重量平均径D4=5.8μmであり、4.0μm以下のトナー粒子は60個数%であった。
【0047】
実施例5
トナー(T4)を用いた以外は実施例1と同様にして現像剤を調製するとともに試験を行い評価した。その結果を表2、表3に示す。
【0048】
製造例7
〔トナー(T5)の製造〕
製造例2と同様にして得られたトナー母体粒子1に対して、表面をジメチルシラン処理した疎水性シリカ微粒子(平均一次粒子径=25nm)および疎水性酸化チタン微粒子(平均一次粒子径=15nm)をそれぞれ0.3重量%及び0.1重量%の割合で加えて、ヘンシェルミキサーにより、トータル2分間混合しトナー(T5)を得た。
【0049】
実施例6
トナー(T5)を用いた以外は実施例1と同様にして現像剤を調製するとともに試験を行い評価した。その結果を表2、表3に示す。
【0050】
製造例8
〔トナー(T6)の製造〕
製造例2と同様にして得られたトナー母体粒子1に対して、表面をジメチルシラン処理した疎水性シリカ微粒子(平均一次粒子径=25nm)および疎水性酸化チタン微粒子(平均一次粒子径=15nm)をそれぞれ3.0重量%の割合で加えて、ヘンシェルミキサーにより、トータル2分間混合しトナー(T6)を得た。
【0051】
実施例7
トナー(T6)を用いた以外は実施例1と同様にして現像剤を調製するとともに試験を行い評価した。その結果を表2、表3に示す。
【0052】
製造例9
〔トナー(T7)の製造〕
製造例4と同様にして得られたトナー母体粒子1に対して、表面をジメチルシラン処理した疎水性シリカ微粒子(平均一次粒子径=25nm)および疎水性酸化チタン微粒子(平均一次粒子径=15nm)をそれぞれ3.0重量%の割合で加えて、ヘンシェルミキサーにより、トータル2分間混合しトナー(T7)を得た。
【0053】
実施例8
トナーとして(T7)を用いた以外は実施例1と同様にして現像剤を調製するとともに試験を行い評価した。その結果を表2、表3に示す。
【0054】
製造例10
〔キャリア粒子(C3)の製造〕
重量平均粒径50μmの球形フェライト粒子5000部およびポリエチレンパウダー50部をバッチ式混合機に投入し、90±10℃に加熱しつつ2時間せん断混合後、室温にて放冷し、ポリエチレン皮膜で表面改質したキャリア粒子(C3)を得た。キャリア粒子表面観測結果を表1に示す。
【0055】
実施例9
キャリア粒子として(C3)を用いた以外は実施例1と同様にして現像剤を調製するとともに試験を行い評価した。その結果を表2、表3に示す。
【0056】
実施例10
キャリア粒子として(C2)を用い、トナーとして(T2)を用いた以外は、実施例1と同様にして現像剤を調製するとともに試験を行い評価した。その結果を表2、表3に示す。
【0057】
実施例11
キャリア粒子として(C3)を用い、トナーとして(T7)を用いた以外は、実施例1と同様にして現像剤を調製するとともに試験を行い評価した。その結果を、表2、表3に示す。
【0058】
比較例1
ポリエチレンイミン/シリコーン樹脂(=50/50)グラフト重合体溶液
(固形分=10%相当) 500部
テトラエトキシシラン 100部
エチルアルコール 400部
コート層形成用の塗工液として上記処方のものを用いた以外は製造例1と同様にしてキャリア粒子(C4)を得た。キャリア粒子表面観測結果を表1に示す。
キャリア粒子として(C4)を用いた以外は実施例1と同様にして現像剤を調製するとともに試験を行い評価した。その結果を表2、表3に示す。
【0059】
製造例11
〔トナー(T8)の製造〕
製造例2と同様にして得られたトナー母体粒子1に対して、表面をジメチルシラン処理した疎水性シリカ微粒子(平均一次粒子径=4nm)および疎水性酸化チタン微粒子(平均一次粒子径=15nm)をそれぞれ1.0重量%及び0.5重量%の割合で加えて、ヘンシェルミキサーにより、トータル2分間混合しトナー(T8)を得た。
【0060】
比較例2
トナー(T8)を用いた以外は、実施例1と同様にして現像剤を調製するとともに試験を行い評価した。その結果を表2、表3に示す。
【0061】
製造例12
〔トナー(T9)の製造〕
製造例2と同様にして得られたトナー母体粒子1に対して、表面をジメチルシラン処理した疎水性シリカ微粒子(平均一次粒子径=60nm)および疎水性酸化チタン微粒子(平均一次粒子径=60nm)をそれぞれ1.0重量%の割合で加えて、ヘンシェルミキサーにより、トータル2分間混合しトナー(T9)を得た。
【0062】
比較例3
トナー(T9)を用いた以外は実施例1と同様にして現像剤を調製するとともに試験を行い評価した。その結果を表2、表3に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【発明の効果】
本発明の構成によれば、表1におけるキャリア粒子表面形状とトナー中への添加微粒子一次粒子径の関係及び、表2、表3に見られる実施例および比較例の対比から明らかなように、現像剤の劣化による、画像濃度の低下や、トナーチリ・地肌カブリといった画像劣化の無い、安定した画像を得るに必要な特質を持つと同時に、高精細・高解像度の高品質画像を非常に長期間に渡って得るのに、極めて有効な電子写真用二成分現像剤であり、同時に、省資源に対しても有効な、電子写真用二成分現像剤および画像形成方法であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像形成装置の一例の断面図。
【図2】画像形成装置の現像装置主要部の概略図。
【符号の説明】
1 像担持体(感光体ドラム)
2 帯電部材
3 像露光系
4 現像機構
5 転写機構
6 クリーニング機構
7 除電ランプ
8 定着装置
9 転写媒体
10 トナー
11 現像剤
41 現像スリーブ
42 現像剤収容部材
43 規制部材(ドクターブレード)
44 支持ケース
45 トナーホッパー
46 現像剤収容部
47 現像剤撹拌機構
48 トナーアジテーター
49 トナー補給機構
51 転写部材
52 除電ブラシ
61 クリーニング部材
62 トナー回収室
Claims (11)
- 少なくとも着色剤及び結着樹脂よりなるトナー母体粒子に2種以上の微粒子を外添してなるトナーと、キャリア粒子を混合してなる電子写真用現像剤において、該トナー中の2種以上の添加微粒子のうち、最小の平均一次粒子径を持つ1種の添加微粒子の平均一次粒子径が5〜50nmであり、該キャリア粒子が少なくとも磁性体よりなるコア材表面に樹脂相を含むコート層を設けて成る粒子であり、該粒子は、デジタル・インスツルメンツ社製走査型プローブ顕微鏡Nanoscope III a,Dimension3100で測定した結果、そのキャリア粒子表面に凹凸を有し、該キャリア粒子表面に存在する任意の凸部とこれに隣接する凹部との高低差が5nm以下である領域が該キャリア粒子表面の60%以上を占めることを特徴とする電子写真用現像剤。
- キャリア粒子の表面コート層を形成する樹脂がシリコーン樹脂またはその変性物や弗素樹脂である請求項1又は2記載の電子写真用現像剤。
- キャリア粒子表面コート層に、主鎖および/または側鎖にシロキサン結合骨格を持つ化合物を含有させた請求項1、2又は3記載の電子写真用現像剤。
- トナー中の添加微粒子の、トナー母体粒子に対する割合が、0.5〜5重量%である請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真用現像剤。
- トナー中4.0μm以下のトナー粒子が、50個数%以下である請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真用現像剤。
- キャリア粒子のコア材及び/又はコート層にシランカップリング剤を含有させた請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真用現像剤。
- 像担持体上に形成された静電潜像をトナーおよびキャリア粒子よりなる電子写真用現像剤によって現像する画像形成方法において、電子写真用現像剤が請求項1乃至7のいずれかに記載のものであることを特徴とする画像形成方法。
- 像担持体をクリーニング工程にてクリーニングし、クリーニング工程により回収したトナーを現像工程にて再使用する請求項8記載の画像形成方法。
- 像担持体上に形成された静電潜像をトナーおよびキャリア粒子よりなる電子写真用現像剤によって現像する画像形成装置において、電子写真用現像剤が請求項1乃至7のいずれかに記載のものであることを特徴とする画像形成装置。
- 少なくとも像担持体をクリーニングするクリーニング機構およびクリーニング機構で回収したトナーを現像機構へ搬送する搬送機構よりなるトナーリサイクル機構を備え、回収したトナーを再使用する請求項10記載の画像形成装置。
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