JP3901914B2 - 電子写真用キャリア及びその製造方法並びに電子写真現像剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナー粒子と共に撹拌することによりトナー粒子に電荷を付与する電荷付与部材である、いわゆるキャリア粒子及びその製造方法並びに該トナー粒子及びキャリア粒子を少なくとも含有する二成分現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式による画像形成では、光導電性物質等の像担持体上に静電荷による潜像を形成し、この静電潜像に対して、帯電したトナー粒子を付着させ可視像を形成している。トナーにより形成された可視像は、最終的に紙等の転写媒体に転写後、熱、圧力、溶剤気体等によって転写媒体に定着され、出力画像となる。
【0003】
これらの画像形成方法は、可視像化のためのトナー粒子を帯電させる方法により、トナー粒子とキャリア粒子の攪拌・混合による摩擦帯電を用いる、いわゆる二成分現像方式と、キャリア粒子を用いずにトナー粒子への電荷付与を行う、いわゆる一成分現像方式とに大別される。また、一成分現像方式では、現像ローラーへのトナー粒子の保持に磁気力を使用するか否かにより、磁性一成分現像方式と非磁性一成分現像方式に分類される。
【0004】
これまで、高速性、画像再現性を要求される複写機やこれをベースとした複合機等では、トナー粒子帯電の安定性、立上がり性、画像品質の長期的安定性等の要求から、二成分現像方式が多く採用され、省スペース性、低コスト化等の要求が大きい、小型のプリンター、ファクシミリ等には、一成分現像方式が多く採用されてきていた。
【0005】
近年、環境に対する影響への配慮から、主に一成分現像方式で採用されているユニットのリサイクル、リユースが実現されつつあるのと同時に、二成分現像方式においても、更なる現像剤の高寿命化の要求が高まってきている。一方、消費エネルギー低減の観点から、トナー像を定着する際の温度は更に低くなりつつあり、より低エネルギーで定着できる様にするため、トナー粒子はより低い温度で変形・固着し易くなってきている。
【0006】
二成分系現像剤の劣化の要因としては、(1)キャリア粒子表面の摩耗、(2)キャリア表面コート層の剥離、(3)キャリア粒子の破砕、(4)トナー粒子成分のキャリア粒子上への固着に伴う帯電性能の低下、所望の電気抵抗からの変移や、破片・摩耗粉といった異物の発生が挙げられ、これらの要因が元となり、画像濃度の低下、地肌カブリの発生、解像力の低下等といった画像品質の劣化や、像担持体の物理的又は電気的傷の発生、帯電部材汚染等の画像形成系の劣化を引き起こす。
【0007】
上述の様な課題を解消するために、これまでにもある程度の効果を持った、多くの提案がなされてきている。このうちキャリア粒子、中でも磁性粒子表面にコート層を設けた、いわゆるコートキャリア粒子のコート層に着目した提案としては、
特開平8−6308号公報では、特定のビスマレイミドを含有するポリイミドワニスを硬化させた被覆層を形成し、環境安定性の向上、地肌カブリの抑制、被覆層剥離の防止を図る、
特開平9−269614号公報では、マトリックス樹脂中に樹脂粒子及び導電性微粉末とを分散含有した樹脂被覆層を設け、トナーによるスペントを長期に防止する、
特開平9−311504号公報では、酸化鉄粒子粉末と硬化したフェノール樹脂とからなる球状複合体芯粒子の表面に硬化したアミノ基を含むフェノール樹脂からなる被覆層を有すると共に酸化鉄粒子含有率及びアミノ基含有率を規定することにより、安定した摩擦帯電と耐久性を得る、
特開平9−311505号公報では、酸化鉄粒子粉末と硬化したフェノール樹脂とからなる球状複合体芯粒子の表面にメラミン樹脂、アニリン樹脂及び尿素樹脂から選ばれる1種又は2種以上とフェノール樹脂の硬化した被覆層からなり、安定した摩擦帯電と耐久性を得る、
特開平10−198078号公報では、キャリア粒子被覆層のマトリックス樹脂に樹脂微粒子及び導電性微粒子を分散し、かつ、マトリックス樹脂がトナーの結着樹脂を構成する樹脂成分と同じものを10%以上含有することにより、帯電性能に対するトナースペントの影響を受け難くする、
特開平10−239913号公報では、ジオルガノシロキシ基を含有する繰り返し基を有するポリイミド樹脂と、1分子中にエポキシ基を2個以上含有する化合物よりなるコート層を形成し、安定した帯電量のキャリア粒子を得る、
等が挙げられる。
【0008】
しかしながら、上述の様な提案では、定着温度が更に低くなりながら、これまで以上にキャリア粒子の高寿命化が期待されている中で、未だ十分な効果が得られないことがあった。例えば、特開平8−6308、特開平9−269614、特開平9−311504、特開平10−239913号公報等では、マトリックス樹脂が単独でキャリア粒子表面の大部分を占めるため、トナー粒子成分の固着防止性の良否は、主としてマトリックス樹脂の表面状態によることとなり、スペント防止の機能が十分に発現するとは限らない。また、定着温度を低くし得るようなトナー粒子を用いると、特開平10−198078号公報のような方法では、キャリア表面のトナーの結着樹脂成分と同じ成分の部分がトナー粒子成分の固着の基点となり易く、撹拌の初期から、トナー帯電量が低い不安定な状態となる場合がある。
【0009】
一方、特開平9−311505号公報では、記載されている表面コート層樹脂の組み合わせ方及びその複合の状態を適正にすることにより、ある程度のトナー粒子への電荷付与能力と摩擦に対するキャリア粒子耐久性の両立を期待できるが、該提案におけるキャリア粒子表面は均一な硬化樹脂組成となるため、しなやかさに欠け、撹拌機構による強制的な現像剤の圧縮や、キャリア粒子同士の衝突といった衝撃に対する抗力が十分に発現されるとは限らない。
また、この他にも、シリコーン樹脂によりコート層を形成した提案も、これまで数多くなされているが、これらも未だ十分な耐久性を得るには至っていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
この様に、二成分現像剤において、トナー粒子とキャリア粒子を撹拌して、剥離帯電又は摩擦帯電させ、トナー粒子に十分な電荷量を付与しつつ、機械的耐久性を保持し、更にトナー粒子成分の固着を長期にわたって防止するという高機能な電子写真用キャリア粒子を得るためには、これまでのキャリア粒子表面コート層の構成では、未だ不十分であり、安定したトナー電荷量の付与とキャリア粒子の更なる長寿命化を両立させることは非常に困難な課題として残されていた。
【0011】
本発明は、上記の様な現状の問題点に鑑み、トナー粒子成分の固着を引き起こすことなく、また、コート層の摩耗が極めて少なく、キャリア粒子の高寿命化を計るために、特に必要なキャリア粒子表面層の形態を明らかにし、極めて長期にわたりキャリア粒子の特性が保持された、非常に高機能なキャリア粒子、これを用いた二成分現像剤を提供することを目的とする。更には、該キャリア粒子表面層の形態を得るために有用なコート層の組成及びコート層の形成方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
トナー粒子へ十分な電荷を付与しつつ、トナー粒子成分のキャリア粒子上への固着をなくし、キャリア粒子の摩耗を防止するには、トナー粒子とキャリア粒子が接触や摩擦をする際の、個々の微小な接触部分における、組成・付着性・摩擦性・粘弾性等からなる表面物性が適正な範囲を取り、各表面物性を持つ領域が適切に複合されている様に制御することが重要となる。
【0013】
本発明者らは鋭意研究の結果、キャリアコート層の持つ複合構造が、トナー粒子とキャリア粒子の撹拌・摩擦時に発生する局所的な衝撃力・摩擦力や、キャリア粒子同士の衝突・摩擦による衝撃に対する耐久性に寄与し、トナー粒子成分のキャリア粒子への固着発生や、キャリアコート層の摩耗・剥離の増減として現れ、現像剤寿命(耐久性)を大幅に変動させることを確認した。従って、キャリア粒子コート層の複合構造を特定することによって、トナー粒子とキャリア粒子の接触・剥離・摩擦といった、現像剤撹拌時に発生する状態を高度に制御でき、前述の様々な課題を解決し得ることを見出し、この時に必要なキャリア粒子コート層の構造を特定するに至り、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明の構成は、特許請求の範囲記載の通りであり、第1の構成としては、少なくとも磁性体よりなるコア材表面に、2種類以上の樹脂相を含むコート層を設けた電子写真用キャリアにおいて、該樹脂相が相互侵入高分子網目構造を形成しており、前記相互侵入高分子網目構造を形成する樹脂成分として2個のアルケニル基を持つアルケニル置換ナジイミドを熱重合した樹脂を含むことを特徴とする電子写真用キャリアである。上記のごとくキャリア粒子コート層の樹脂相が相互侵入高分子網目構造を形成していることにより、キャリア粒子とトナー粒子の摩擦又は剥離帯電によるトナー粒子電荷量の付与と、キャリア粒子へのトナー粒子成分の固着及びキャリア粒子表面のコート層摩耗の抑制を独立して制御し、高度に両立させることができる。
更に樹脂成分としてイミド系樹脂が好ましく、中でもナジック酸型イミド系樹脂、特に2個のアルケニル基を持つアルケニル置換ナジイミド樹脂が好ましく、この様な樹脂組成を使用することにより、耐摩耗性や耐衝撃性に優れた相互侵入高分子網目構造を容易に形成することができる。
【0015】
トナー粒子とキャリア粒子を混合・撹拌することにより、摩擦又は剥離帯電を行うには、トナー粒子表面又は表面近傍のトナー極性に見合った電荷を受容し得る部位と、キャリア粒子表面又は表面近傍のトナー極性に見合った電荷を供与し得る部位との間で、接触・摩擦・剥離等の力学的作用が必要となる。この様な方式で、大きな電荷の授受を速やかに行う場合、トナー粒子とキャリア粒子の摩擦・接離時等に生じる応力(以下、相互作用力)を大きくするという方法があるが、キャリア粒子表面全面で均等に相互作用力が大きい形態の場合には、トナー粒子とキャリア粒子が離れ易い部分が無いため、摩擦・剥離に必要以上の力がかかり、トナー粒子成分の固着やキャリア表面コート層の摩耗・剥離を引き起こす。逆に、均等に相互作用力が小さな形態では、トナー粒子成分の固着やキャリア表面コート層の摩耗・剥離は生じ難いものの、トナー粒子が安定した電荷を持つまでに長時間を要することとなる。
【0016】
本発明におけるキャリア粒子コート層の樹脂相は相互侵入高分子網目構造を形成し、従ってトナー粒子とキャリア粒子の相互作用力の異なる樹脂相を任意に選択できるため、相互作用力の大きな樹脂相で発生する大きな保持力の作用による、迅速かつ十分な摩擦又は剥離帯電と、相互作用力の小さな樹脂相での比較的小さな保持力による、トナー粒子のキャリア粒子表面特定箇所への滞留防止による固着抑制を両立させることができる。
【0017】
ここで、相互侵入高分子網目構造について説明を加える。相互侵入高分子網目構造は、高分子網目の人為的な重なり合いを利用し、各々の樹脂相成分ポリマーが形成する三次元網目が、互いに絡み合った構造をしている。この時、樹脂相間では架橋構造や共有結合等の化学結合を形成せず、従って、各樹脂相が単独で持つ特性を、ほぼそのまま発現させることができる。更に、各樹脂相を形成する高分子は大局的な網目構造を形成しているため、各々の樹脂相の持つ特質を維持しつつ、特定の樹脂相が単独で脱離、遊離や剥離することなく、網目構造が保持されるものである。
【0018】
更に、該構造を形成する樹脂相として、電荷付与部分を含む樹脂相と、摩耗量を制御する樹脂相を併用することにより、キャリア表面をリフレッシュしつつ、任意の帯電量を安定して付与し続けることもできる。
【0019】
また、上述の様に、該構造では樹脂相間に化学結合を形成しないため、各樹脂相成分の高分子ポリマー間では、外力の印加に対して大きな歪みをとることができる。従って、全ての樹脂相に塑性変形し難い、硬化性樹脂を用いた場合でも、衝突等の衝撃力を樹脂相間の歪みによって一時的に吸収し、各樹脂相内での分子切断を抑制させられるため、実質的に単一の樹脂相や単なるポリマーブレンドによるコート層の場合と比較して、機械的耐久性を大幅に向上させることができる。
【0020】
本発明の第2の構成としては、上記第1の構成において、相互侵入高分子網目構造を形成する樹脂成分の内、最も少ない樹脂成分の含有率が、相互侵入高分子網目構造を形成する樹脂成分全体の15重量%以上であることを特徴とする電子写真用キャリアである。
上記のごとく規定することにより均質な相互侵入高分子網目構造を形成することができ、本発明によって得られる効果を安定して得ることができる。
【0021】
本発明の第3の構成としては、上記第1又は第2の構成において、樹脂成分としてシリコーン樹脂を含むことを特徴とする電子写真用キャリアである。
該相互侵入高分子網目構造を形成する樹脂組成としては、シリコーン樹脂又はその変成品がより好ましく、これらによれば十分な電荷付与及びトナー成分の固着防止を発現することができる。
【0023】
本発明の第4の構成としては、少なくとも磁性体よりなるコア材表面に、2個のアルケニル基を持つアルケニル置換ナジイミドを少なくとも含む共重合しない2種類以上の熱反応性組成物を含むコート層形成液を塗布し、各熱反応性組成物を反応させることにより、2種類以上の樹脂相よりなる相互侵入高分子網目構造を持つコート層を形成することを特徴とする電子写真用キャリアの製造方法である。コート層の形成方法としては、コア材粒子の表面に上記コート層形成液を噴霧法又は浸漬法等の手段で塗布し、次にコート層を形成したキャリア粒子を加熱しコート層の重合反応を促進させることにより相互侵入高分子網目構造を制御性良く形成することができる。
【0024】
本発明の第5の構成としては、電子写真用キャリア粒子と、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含むトナー粒子を混合してなる電子写真用現像剤において、該キャリア粒子が、上記第1〜第3に記載したいずれかの電子写真用キャリアであることを特徴とする電子写真用現像剤である。上記本発明のキャリアを用いトナー粒子と混合して得られる現像剤によれば、キャリア粒子表面のコート層の摩耗やキャリア粒子表面へのトナー粒子の固着が少なく、それらに伴う画像濃度の低下や地肌かぶり等の劣化のない安定した画像を長期間にわたり得ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
まず、相互侵入高分子網目構造を形成するには、各樹脂相が網目構造を形成するに十分な量である必要があり、上記第2の構成における規定量を下回るような場合には、樹脂相の網目構造が局所的に形成されたり、十分に均質な高分子網目構造にならないことがある。この様な場合には、本発明の効果の発現が不均一になることがあり、本発明の効果を安定させるには、上記規定量は15重量%以上であることが好ましく、上記規定量が30重量%以上であることがより好ましい。
【0026】
また、各樹脂相に使用する組成成分は、本発明の要件を満たす限りにおいて、任意に使用することができるが、安定した相互侵入高分子網目構造を形成するには、その一組成として縮合反応型の熱硬化樹脂及び/又は熱ラジカル反応型の熱硬化樹脂を使用することが好ましい。
【0027】
これらの樹脂の具体的な例としては、アルキレン、スチレン、アクリル樹脂、アクリロニトリル、ビニルアセテート、ビニルアルコール、塩化ビニル、ビニルカルバゾール、ビニルエーテル等を含む架橋性共重合物;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂又はその変成品(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変成品);ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;ユリア樹脂;メラミン樹脂;ベンゾグアナミン樹脂;エポキシ樹脂;ポリイミド樹脂や、これらの誘導体等が挙げられる。
【0028】
中でも本発明の構成要件を満たすために好ましいコート層材料としては、縮合反応型の樹脂では、シリコーン樹脂又はその変成品、ペルヒドロポリシラザン又はその変成品が好ましく、特に、十分な電荷付与及びトナー成分の固着防止を発現させるための樹脂組成としては、シリコーン樹脂又はその変成品がより好ましい。
【0029】
シリコーン樹脂は、従来から知られているいずれかのシリコーン樹脂のうち、三次元網目構造を取り得る熱硬化型シリコーン樹脂を使用でき、例えば、下記化学式(I)で示されるオルガノシロキサン結合のみからなるストレートシリコーン及びアルキド、ポリエステル、エポキシ、ウレタンなどで変成したシリコーン樹脂が挙げられる。
【化1】
(上記式中R1は水素原子、炭素原子1〜4のアルキル基又はフェニル基、R2及びR3は水素原子、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、炭素原子数2〜4のアルケニル基、炭素原子数2〜4のアルケニルオキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エチレンオキシド基、グリシジル基又は下記化学式(II)で示される基である。)
【化2】
(上式中R4、R5はヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数2〜4のアルケニル基、炭素原子数2〜4のアルケニルオキシ基、フェニル基、フェノキシ基、k、l、m、n、o、pは1以上の整数を示す。)
上記各置換基は未置換のもののほか、例えばヒドロキシ基、カルボキシル基、アルキル基、フェニル基、ハロゲン原子のような置換基を有してもよい。
【0030】
一方、本発明に好適な、熱ラジカル反応型樹脂としては、その強度及び電気的な安定性の面から、イミド系樹脂が好ましく、中でもナジック酸型イミド系樹脂、特に2個のアルケニル基を持つアルケニル置換ナジイミド樹脂が好ましい。この様な、樹脂組成を使用することにより、耐摩耗性や耐衝撃性に優れた、本発明規定の相互侵入高分子網目構造を容易に形成することができる。これらのアルケニル置換ナジイミドポリマーとなる単量体の具体的構造としては、下記化学式(III)の構造が挙げられるが、これに限られるものではない。また、これらのイミド系組成物と他のラジカル反応性単量体を共重合体として用いても良い。
【化3】
(式中、R6及びR7はそれぞれ独立の水素又はメチル基を表し、Eは炭素数6以上の2価の炭化水素基を表す)
【0031】
本発明においては、第1の構成の範囲を取る限り、他の材料を限定するものではなく、従来公知のものが使用でき、例えば、キャリア粒子のコア材に使用できる無機/金属の磁性粒子の例としては、鉄、コバルト、ニッケル等の金属;マグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの合金や化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら磁性粒子は、単結晶/アモルファスの粒子、単独/複合の焼結体、単独/複合の粒子を樹脂等の高分子中に分散させた粒子等の、いずれのコア材形態で使用しても良い。また、磁性粒子を高分子中に分散させた粒子で、キャリア粒子の磁気特性と磁性粒子の分散性を両立させるには、これらの磁性粒子は0.5〜10μm程度の大きさの粒子を含むことが好ましい。磁性粉末を分散した樹脂粒子を用いる場合の、キャリア粒子のコア材粒子を形成する樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
また、キャリアコア材粒子及び/又はコート層の電気抵抗を低抵抗材料粒子の分散により制御する場合に用いられる材料も、従来公知の物で良く、その例としては、鉄、金、銅等の金属;フェライト、マグネタイト等の酸化鉄;カーボンブラック等の顔料が挙げられる。
この中でも特にカーボンブラックの一つであるファーネスブラックとアセチレンブラックの混合物を用いることにより、少量の低抵抗微粉末の添加で効果的に導電性の調整が可能であり、好ましく用いられる。これらの低抵抗微粉末は、粒径0.01〜10μm程度のものが好ましく、コア材粒子又はコート層樹脂100重量部に対して2〜30重量部添加されることが好ましく、さらには5〜20重量部が好ましい。
【0033】
磁性体分散タイプのコア材粒子には、これらの密着性を向上させたり抵抗制御材の分散性を向上させる目的でシランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤を助剤として添加しても良い。本発明で用いられるシランカップリング剤の例としては、下記一般式で示される化合物が挙げられる。
【化4】
(但し、Xはケイ素原子に結合している加水分解基でクロル基、アルコキシ基、アセトキシ基、アルキルアミノ基、プロペノキシ基などがある。Yは有機マトリックスと反応する有機官能基でビニル基、メタクリル基、エポキシ基、グリシドキシ基、アミノ基、メルカプト基などがある。Rは炭素数1〜20のアルキル基又はアルキレン基である。)
【0034】
コート層の形成法としては、従来公知の方法が使用でき、コア材粒子の表面にコート層形成液を噴霧法、浸漬法等の手段で塗布すればよい。また、コート層の厚さは0.01〜20μmが好ましく、0.3〜10μm程度であれば更に好ましい。更に、この様にしてコート層を形成したキャリア粒子を加熱することによりコート層の重合反応を促進させることが好ましい。特に、相互侵入高分子網目構造を制御性良く形成するためには、各樹脂相の反応温度に見合った温度にてコート層形成キャリア粒子を加熱保持し、三次元網目構造形成反応の度合を制御しつつ各樹脂相の重合を行えばよい。
【0035】
これらのキャリア粒子の加熱保持は、コート層形成後これに引き続きコート装置内で行っても良く、また、コート層形成後、通常の電気炉や焼成キルン等、別の加熱手段により行っても良い。
また、加熱保持温度は、使用する樹脂相用材料により異なるため、一概に決められるものではないが、前述のシリコーン樹脂やアルケニル置換ナジイミド樹脂等では、150〜400℃程度の温度が好ましく用いられる。
一方、相互侵入網目構造を形成させるには、各樹脂相を形成する組成成分の相溶性が良い方が好ましいが、同一の溶媒中に溶解した際に、目視にて無色又は有色の透明で有れば、実質的に好ましく使用できる。
【0036】
本発明に使用するトナー粒子は、通常、電子写真用トナーとして使用されるものを、特に制限無く、使用することができる。以下材料について例示する。
トナー粒子に使用される結着剤樹脂の例としては、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン/p−クロロスチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、スチレン/ビニルナフタレン共重合体、スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重合体、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン/α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ビニルメチルケトン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体等のスチレン系共重合体;ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル系単重合体やその共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等のポリビニル誘導体;ポリエステル系重合体、ポリウレタン系重合体、ポリアミド系重合体、ポリイミド系重合体、ポリオール系重合体、エポキシ系重合体、テルペン系重合体、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられ、単独であるいは混合して使用できるが特にこれらに限定するものではない。中でも、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂より選ばれる少なくとも1種以上であることが、電気特性、コスト面等から、より好ましいものである。更には、良好な定着特性を有するものとして、ポリエステル系樹脂及び/又はポリオール系樹脂の使用が、一層好ましい。
【0037】
また、トナー粒子に使用される着色剤としては、従来からトナー用着色剤として使用されてきた顔料及び染料が使用でき、具体的には、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6Cレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドンレッド、ベンジジンイエロー、ローズベンガル等を単独であるいは混合して用いることができる。
【0038】
また、必要により、トナー粒子自身に磁気特性を持たせるには、フェライト、マグネタイト、マグヘマタイト等の酸化鉄類、鉄、コバルト、ニッケル等の金属あるいは、これらと他の金属との合金等の磁性成分を単独で又は混合して、トナー粒子へ含有させればよい。また、これらの成分は、着色剤成分として使用/併用することもできる。
【0039】
更に、トナー定着時にオイル等の離型剤を用いない、いわゆるオイルレス定着方式を使用するには、トナー粒子中に、ポリエチレンワックス、プロピレンワックス、カルナウバワックス等のワックス類を含有させることにより実現できる。これらの使用量としては、用いる材料の種類や定着の方法にもよるが、およそ0.5〜10.0重量%程度の使用が好ましく、3.0〜8.0重量%程度の使用が更に好ましい。
【0040】
この他、帯電の立ち上がりをより良くするための電荷制御剤としては、一般に知られているものが使用でき、例えば、アミノ基含有ビニル系コポリマー、四級アンモニウム塩化合物、ニグロシン染料、ポリアミン樹脂、イミダゾール化合物、アジン系染料、トリフェニルメタン系染料、グアニジン化合物、レーキ顔料等の正帯電性電荷制御剤や、カルボン酸誘導体及びこの金属塩、アルコキシレート、有機金属錯体、キレート化合物等の負帯電性電荷制御剤を、単独で又は混合して、トナー粒子中への混練物及び/又は添加物とすることができる。これら電荷制御剤を分散状態で用いる場合、キャリア粒子表面との相互作用が略均等に生じるためには、その分散径は、2.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以下であることが更に好ましいものである。
【0041】
トナー流動性や環境依存性改良のための添加剤としても、一般に公知のものが使用でき、例えば、酸化亜鉛、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化珪素、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸ランタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、マイカ、ドロマイト等の無機粉末や、これらの疎水化物が単独又は混合して使用できる。この他の添加剤として、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂微粒子をトナー表面改質剤として使用しても良い。これらは、添加する材料の種類にもよるが、トナー母体粒子100重量部に対して、およそ0.1〜10重量部程度を外添し、必要であれば適当な混合機により混合してトナー粒子表面に付着、凝着、或いはトナー粒子間隙で遊離した状態になるよう調整し、用いることができる。
【0042】
本発明の現像剤中のトナー粒子製造方法としては、上述のような原材料を、二本ロール、二軸押出し混練機、一軸押出し混練機等の公知の方法で混練し、これを機械式や気流式等の公知の粉砕、分級を行いトナー母体粒子を作製することできる。また混練時に、着色剤や磁性体の分散状態を制御するための分散剤等を併用しても良い。更に、このトナー母体粒子は、前述の添加剤を添加し、混合機等により混合・表面改質を行っても良い。
また、これらのトナー粒子の帯電電荷量は、実使用プロセスにより異なるため一概に決定できるものではないが、おおよそ、本発明の構成によるキャリア粒子との組み合わせにおいて、絶対値で3〜40μC/g程度の飽和電荷量であることが好ましく、更には5〜30μC/g程度の飽和電荷量であることが、より好ましい。
また、トナー粒子の粒径としては、重量平均径D4=4〜10μm程度であることが好ましく、トナー粒子の個数基準10%径は、2.5μm以上であることが、より安定した画質を得るためには好ましい。
【0043】
【実施例】
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中、部はすべて重量部を表わす。
【0044】
実施例1
(キャリア粒子製造例1)
シリコーン樹脂溶液(固形分=10%相当) 250部
ビスアリルナジイミド(式(III)において、R6、R7が
共に水素原子、Eがジメチレンフェニル基) 25部
カーボンブラック 5部
トルエン 20部
上記処方をホモミキサーで30分間分散してコート層形成用の塗工液を調製した。これを重量平均粒径50μmの球形フェライト粒子5000部の表面へ流動床型スプレーコート装置によりコートした後、300℃/1時間加熱して各樹脂相組成を反応させ、表面にコート層を持つ、キャリア粒子1を得た。
(トナー粒子製造例)
ポリエステル樹脂(ビスフェノールAのエチレンオキサイド
付加アルコール、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド
付加アルコール、テレフタル酸,トリメリット酸の縮合重合物、
Mw=12000、ガラス転移点=61℃) 79部
カーボンブラック(三菱カーボン社製 #44) 15部
電荷制御剤(クロム含金属染料、
保土谷化学工業社製、AIZON SPILON BLACK TRH ) 1部
カルナウバワックス(野田ワックス社製) 5部
上記組成の混合物を、二本ロール混練機にて30分間混練後、機械式粉砕機・気流式分級機により粉砕・分級条件を調整し、トナー母体粒子を得た。
更に、各トナー母体粒子100部に対して、1部の割合で表面をジメチルシラン処理した疎水性シリカ微粒子を加えて、ヘンシェルミキサーにより、トータル2分間混合しトナー粒子を得た。
トナー粒子の粒度分布をコールターカウンターTA2にて測定したところ、重量平均径D4=6.3μm、累積個数分布から算出した個数基準10%径=2.7μmであった。
【0045】
キャリア粒子の電荷付与特性を評価するために、該キャリア粒子及びトナー粒子を用いて、撹拌によるトナー粒子帯電量の立ち上がり試験を行った。キャリア粒子とトナー粒子の混合比は、重量基準で95:5とし、撹拌時間は10秒、60秒、600秒とした。トナー帯電量の測定は、エレクトロメーター(ケスレー社製610C)を用い、気流によりトナー粒子とキャリア粒子を分離しつつ帯電電荷量を測定する、いわゆるブローオフ法によって行った。
【0046】
更に、このキャリア粒子及びトナー粒子を用いて、上述の混合比の電子写真用現像剤を調製し、リコー製複写機imagio MF−6550の改造機を用い、A4版,画像面積率6%原稿30万枚の連続画像出図試験を行い、初期及び連続出図後の文字画像及びベタ画像を出力し画質評価を行った。画質評価としては、文字部分での地肌カブリ,ベタ画像での画像濃度の安定性及び各画像でのその他不具合の有無を評価した。画像濃度については、マクベス濃度計(RD−914)を用いて計測し、その他の項目については、目視により評価した。
画像出力時の像担持体上静電荷像は、地肌部=−700V,画像部=−200Vとした。また、現像スリーブには、直流の現像バイアス電位を印加した。
【0047】
30万枚の連続画像出図試験終了後の各現像剤を採取し、エアーブローにより表面に付着しているトナー粒子を除去後、残ったキャリア粒子の一定量をトルエン中に分散して、上澄みを採取し、溶出したトナー粒子成分固着物の量を評価した。固着物量の評価には、対比として未使用のキャリア粒子を用い、同様の方法により採取した上澄み液における、白色可視光透過率と、試験サンプルの白色可視光透過率の差を表面固着成分量の差と捉え、各サンプルを相対評価した。透過率の測定には、分光光度計TC−1800(東京電色社製)を用い、C50光源を用いて行った。
同様に30万枚連続画像出図試験終了後の各現像剤より得たキャリア粒子表面コート層の削れ度合をSEMにより目視観察した。削れの程度は初期のキャリア表面SEM画像との比較により、その程度を判定した。
初期及び30万枚後の、各評価結果について、表1−1及び1−2に示す。
【0048】
実施例2
(キャリア粒子製造例2)
シリコーン樹脂溶液(固形分=10%相当) 350部
ビスアリルナジイミド(化学式(III)において、
R6、R7が共に水素原子、Eがジメチレンフェニル基) 15部
カーボンブラック 5部
トルエン 130部
コート層形成用の塗工液として上記処方を用いた以外はキャリア粒子製造例1と同様にしてキャリア粒子2を得た。
キャリア粒子2を用いた以外は、実施例1と同様にして、各評価を行った。評価結果を表1−1及び表1−2に示す。
【0049】
実施例3
(キャリア粒子製造例3)
シリコーン樹脂溶液(固形分=10%相当) 450部
ビスアリルナジイミド(化学式(III)において、
R6、R7が共に水素原子、Eがジメチレンフェニル基) 5部
カーボンブラック 5部
トルエン 40部
コート層形成用の塗工液として上記処方を用いた以外はキャリア粒子製造例1と同様にしてキャリア粒子3を得た。
キャリア粒子3を用いた以外は、実施例1と同様にして、各評価を行った。評価結果を表1−1及び表1−2に示す。
【0050】
実施例4
(キャリア粒子製造例4)
シリコーン樹脂溶液(固形分=10%相当) 50部
ビスアリルナジイミド(化学式(III)において、
R6、R7が共に水素原子、Eがジメチレンフェニル基) 45部
カーボンブラック 5部
トルエン 400部
コート層形成用の塗工液として上記処方を用いた以外はキャリア粒子製造例1と同様にしてキャリア粒子4を得た。
キャリア粒子4を用いた以外は、実施例1と同様にして、各評価を行った。評価結果を表1−1及び表1−2に示す。
【0051】
参考例1
(キャリア粒子製造例5)
シリコーン樹脂溶液(固形分=10%相当) 250部
アリルアクリレート/メチルアクリレート三次元
共重合物溶液(共重合比=1/9、固形分=20%) 125部
カーボンブラック 5部
トルエン 120部
コート層形成用の塗工液として上記処方を用い、加熱条件として200℃/3時間とした以外はキャリア粒子製造例1と同様にしてキャリア粒子5を得た。キャリア粒子5を用いた以外は、実施例1と同様にして、各評価を行った。評価結果を表1−1及び表1−2に示す。
【0052】
参考例2
(キャリア粒子製造例6)
ビスフェノールA型樹脂ポリエステル樹脂のエポキシ付加物 48部
フェニレンジアミン 2部
アリルアクリレート/メチルアクリレート三次元
共重合物溶液(共重合比=1/9、固形分=20%) 125部
カーボンブラック 5部
トルエン 320部
コート層形成用の塗工液として上記処方を用い、加熱条件として150℃/4時間とした以外はキャリア粒子製造例1と同様にしてキャリア粒子6を得た。キャリア粒子6を用いた以外は、実施例1と同様にして、各評価を行った。評価結果を表1−1及び表1−2に示す。
【0053】
比較例1
(キャリア粒子製造例7:比較用)
シリコーン樹脂溶液(固形分=10%相当) 500部
カーボンブラック 5部
コート層形成用の塗工液として上記処方を用いた以外はキャリア粒子製造例1と同様にしてキャリア粒子7を得た。
キャリア粒子7を用いた以外は、実施例1と同様にして、各評価を行った。評価結果を表1−1及び表1−2に示す。
【0054】
比較例2
(キャリア粒子製造例8:比較用)
ビスアリルナジイミド(化学式(III)において、
R6、R7が共に水素原子、Eがジメチレンフェニル基) 25部
カーボンブラック 5部
トルエン 470部
コート層形成用の塗工液として上記処方を用いた以外はキャリア粒子製造例1と同様にしてキャリア粒子8を得た。
キャリア粒子8を用いた以外は、実施例1と同様にして、各評価を行った。評価結果を表1−1及び表1−2に示す。
【0055】
比較例3
(キャリア粒子製造例9:比較用)
アクリル変性シリコーン樹脂(固形分=20%) 250部
カーボンブラック 5部
トルエン 245部
コート層形成用の塗工液として上記処方を用い、加熱条件として200℃/1時間とした以外はキャリア粒子製造例1と同様にしてキャリア粒子9を得た。
キャリア粒子9を用いた以外は、実施例1と同様にして、各評価を行った。評価結果を表1−1及び表1−2に示す。
【0056】
比較例4
(キャリア粒子製造例10:比較用)
シリコーン樹脂溶液(固形分=10%相当) 350部
ポリイミド樹脂粒子 15部
カーボンブラック 5部
トルエン 130部
コート層形成用の塗工液として上記処方を用いた以外はキャリア粒子製造例1と同様にしてキャリア粒子10を得た。
キャリア粒子10を用いた以外は、実施例1と同様にして、各評価を行った。評価結果を表1−1及び表1−2に示す。
【0057】
また、各キャリア粒子コート層及びこの樹脂相に使用した樹脂組成物について赤外分光分析(IR)を行い、各樹脂相間に新たな化学結合が形成されているかどうかを確認し、更に、各キャリア粒子コート層のTEMによる構造観察を行い、相互侵入高分子網目構造形成の有無を確認した。表1−1に相互侵入高分子網目構造形成の有無について併記して示す。
更に、この内アクリル系樹脂相又はビスアリルナジイミド系樹脂相を持つキャリアコート層の各樹脂相内での架橋構造形成の有無を確認するため、トルエン溶媒中にコートキャリア粒子を浸漬し、溶出分の有無を確認したところ、明確な溶出分は認められなかった。
最後に、実施例1の現像剤について、引き続き、100万枚連続画像出図試験を行ったところ、初期画像と比較して全く遜色のない高精細・高解像度の画像が得られた。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明は、コア材表面に、2種類以上の樹脂相を含むコート層を設けた電子写真用キャリアの、該樹脂相が相互侵入高分子網目構造を形成おり、前記相互侵入高分子網目構造を形成する樹脂成分として2個のアルケニル基を持つアルケニル置換ナジイミドを熱重合した樹脂を含むものであり、この電子写真用キャリアによれば、トナー粒子成分のキャリア粒子表面への固着を長期にわたって引き起こさず、しかもコート層の摩耗が極めて少ない、キャリア粒子を得ることができる。ナジック酸型イミド系樹脂、特に2個のアルケニル基を持つアルケニル置換ナジイミド樹脂が好ましく、この様な樹脂成分を使用することにより、耐摩耗性や耐衝撃性に優れた相互侵入高分子網目構造を容易に形成することができる。
【0061】
請求項2の発明は、上記構成において、相互侵入高分子網目構造を形成する樹脂成分の内、最も少ない樹脂成分の含有率が、相互侵入高分子網目構造を形成する樹脂成分全体の15重量%以上とするものであり、このように規定することによって均質な相互侵入高分子網目構造を形成することができ、本発明の効果を安定して得ることができる。
【0062】
請求項3の発明は、上記構成における樹脂成分としてシリコーン樹脂を含有させるもので、上記高分子網目構造を形成する樹脂成分としてシリコーン樹脂が好ましく、トナー粒子に対する十分な電荷付与とトナー成分のキャリア粒子表面への固着防止を十分に発現することができる。
【0064】
請求項4の発明は、上記キャリア粒子の製造方法として、コア材表面に、2個のアルケニル基を持つアルケニル置換ナジイミドを少なくとも含む共重合しない2種類以上の熱反応性組成物を含むコート層形成液を塗布し、該各熱反応性組成物を反応させることにより、2種類以上の樹脂相よりなる相互侵入高分子網目構造を持つコート層を形成するものであり、これによりキャリア粒子表面のコート層に相互侵入高分子網目構造を制御性良く形成することができる。
【0065】
請求項5の発明は、上記本発明のキャリアを用いトナー粒子と混合して得られる電子写真用現像剤であり、この現像剤によれば、キャリア粒子表面のコート層の摩耗やキャリア粒子表面へのトナー粒子の固着が少なく、それらに伴う画像濃度の低下や地肌かぶり等の劣化のない安定した画像を長期にわたって得ることができる。
Claims (5)
- 少なくとも磁性体よりなるコア材の表面に、2種類以上の樹脂相を含むコート層を設けた電子写真用キャリアにおいて、前記樹脂相が相互侵入高分子網目構造を形成しており、前記相互侵入高分子網目構造を形成する樹脂成分として2個のアルケニル基を持つアルケニル置換ナジイミドを熱重合した樹脂を含むことを特徴とする電子写真用キャリア。
- 請求項1記載の電子写真用キャリアにおいて、前記相互侵入高分子網目構造を形成する樹脂成分のうち最も少ない樹脂成分の含有率が、該相互侵入高分子網目構造を形成する樹脂成分全体の15重量%以上であることを特徴とする電子写真用キャリア。
- 請求項1又は2記載の電子写真用キャリアにおいて、前記相互侵入高分子網目構造を形成する樹脂成分としてシリコーン樹脂を含むことを特徴とする電子写真用キャリア。
- 少なくとも磁性体よりなるコア材の表面に、2個のアルケニル基を持つアルケニル置換ナジイミドを少なくとも含む共重合しない2種類以上の熱反応性組成物を含むコート層形成液を塗布し、該各熱反応性組成物を反応させることによりコア材表面に2種類以上の樹脂相よりなる相互侵入高分子網目構造を有するコート層を形成することを特徴とする電子写真用キャリアの製造方法。
- 電子写真用キャリア粒子と少なくとも結着樹脂及び着色剤を含むトナー粒子を混合してなる電子写真用現像剤において、前記キャリア粒子が請求項1〜3記載のいずれかの電子写真用キャリアであることを特徴とする電子写真用現像剤。
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