JP4072986B2 - 電子写真用キャリア及び電子写真用現像剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナー粒子と共に撹拌することによりトナー粒子に電荷を付与する電荷付与部材である、いわゆるキャリア粒子に関し、該トナー粒子及びキャリア粒子を少なくとも含有する二成分現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式による画像形成では、光導電性物質等の像担持体上に静電荷による潜像を形成し、この静電潜像に対して帯電したトナー粒子を付着させ可視像を形成している。トナーにより形成された可視像は、最終的に紙等の転写媒体に転写後、熱、圧力、溶剤気体等によって転写媒体に定着され、出力画像となる。
【0003】
これらの画像形成方法は、可視像化のためのトナー粒子を帯電させる方法によりトナー粒子とキャリア粒子の攪拌・混合による摩擦帯電を用いる、いわゆる二成分現像方式と、キャリア粒子を用いずにトナー粒子への電荷付与を行なう、いわゆる一成分現像方式に大別される。また、一成分現像方式では、現像ローラーへのトナー粒子の保持に磁気力を使用するか否かにより、磁性一成分現像方式と非磁性一成分現像方式に分類される。
【0004】
これまで、高速性、画像再現性を要求される複写機やこれをベースとした複合機等では、トナー粒子帯電の安定性、立上がり性、画像品質の長期的安定性等の要求から二成分現像方式が多く採用され、省スペース性、低コスト化等の要求が大きい小型のプリンター、ファクシミリ等には一成分現像方式が多く採用されてきていた。
【0005】
近年、環境影響への配慮から、主に一成分現像方式で採用されているユニットのリサイクル、リユースが実現されつつあるのと同時に、二成分現像方式においても、更なる現像剤の高寿命化の要求が高まってきている。
特に、帯電量、抵抗制御や非付着性の機能付与のために、主に磁性体よりなるコア材粒子表面にコート層を設けてなる、いわゆるコートキャリアにおいては、二成分現像剤寿命を制限する要因として、キャリア粒子表面コート層の磨耗や剥離に伴う帯電性能の低下、所望の電気抵抗からの変移や、破片・摩耗粉の発生が挙げられ、これらの要因が元となり、画像濃度の低下、地肌カブリの発生、解像力の低下等の画像品質の劣化や、像担持体の物理的、電気的傷の発生、帯電部材汚染等の画像形成系の劣化を引き起こしていた。
【0006】
上述の様な問題点を解消するために、これまでにもある程度の効果を持った、多くの提案がなされてきている。
このうちコートキャリア粒子のコート層に着目し、特にその強度に対しての提案として、特開平9−311504号公報には、酸化鉄粒子粉末と硬化したフェノール樹脂とからなる球状複合体芯粒子の表面に硬化したアミノ基を含むフェノール樹脂からなる被覆層を有すると共に酸化鉄粒子含有率及びアミノ基含有率を規定することにより、安定した摩擦帯電と耐久性を得ることが記載され、特開平9−311505号公報には、酸化鉄粒子粉末と硬化したフェノール樹脂とからなる球状複合体芯粒子の表面にメラミン樹脂、アニリン樹脂及び尿素樹脂から選ばれる1種又は2種以上とフェノール樹脂の硬化した被覆層からなり、安定した摩擦帯電と耐久性を得ることが記載され、特許第2825295号公報には、強磁性体微粒子と硬化フェノール樹脂よりなる粒子表面をメラミン樹脂で被覆し、高電気抵抗で嵩密度の小さい磁性キャリアを得ることが記載され、特許第2905563号公報には、強磁性体微粒子と硬化フェノール樹脂よりなる粒子表面をポリアミド層で均一に被覆し、高電気抵抗で嵩密度の小さい磁性キャリアを得ることが記載されている。
【0007】
しかしながら、上記の様な提案では、これまで以上にキャリア粒子の高寿命化が期待されている中で、未だ十分な効果が保持できないことがあった。
また、シリコーン樹脂コートキャリアに関する提案としては、特開平7−146592号公報には、表面を樹脂で被覆され、キャリア核体粒子として表面に存在するアルカリ金属塩の濃度を規定したマグネタイトを用いるキャリアが記載され、特開平10−78681号公報には、芯材表面の樹脂被覆層にシリコーン樹脂、アミノシランカップリング剤、酸化防止剤を含有するキャリアが記載され、特開平10−90954号公報には、芯材に四級アンモニウム塩構造を有するシランカップリング剤を含有させたシリコーン樹脂または変性シリコーン系樹脂からなる被覆樹脂を有するキャリアが記載されているが、これらの提案によっても、未だ、十分なコート層の耐久性を発現させることは困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の様な現状の問題点に鑑み、コート層の摩耗が極めて少なく、キャリア粒子の高寿命化を計り、長期に渡りキャリア粒子特性が保持された耐久性の高いキャリア粒子、及びこれを用いた二成分現像剤を提供することを目的とし、特に、シリコーン樹脂をコート層に含むキャリア粒子、及びこれを用いた二成分現像剤の提供を目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
キャリア粒子の摩耗を防止するには、トナー粒子とキャリア粒子が接触、摩擦をする際の、個々の微小な接触部分におけるキャリアコート層の耐摩耗性を上げることが重要となる。
本発明者らは鋭意研究の結果、少なくともシリコーン樹脂をキャリアコート層に使用する場合、耐摩耗性が極めて高くなる特定のコート層の構成が存在し、この様な構成を採ることにより、トナー粒子とキャリア粒子の撹拌・摩擦時に発生する局所的な衝撃力・摩擦力や、キャリア粒子同士の衝突・摩擦による衝撃によるキャリアコート層の摩耗・剥離に対する耐久性が向上し、現像剤寿命を大幅に延ばし得ることを見い出し、そのようなシリコーン樹脂構成を特定し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、上記課題は、本発明の(1)「少なくとも磁性体よりなるコア材表面に、少なくともシリコーン樹脂コート層を設けた電子写真用キャリアであって、該シリコーン樹脂が、重量基準分子量ピークが異なるシリコーン化合物の混合物を、樹脂コート層の厚み方向に対して該シリコーン化合物の比率を異ならせずに架橋してなり、重量基準分子量ピーク位置の最小値Mmin、最大値Mmax及び各ピークの大きさPmin、Pmaxが、下記の式(1)の関係にあることを特徴とする電子写真用キャリア、
【数2】
0.1≦(Mmin×Pmin)/(Mmax×Pmax)≦3.0 (1)」、(2)
「前記コート層組成物として更に有機高分子化合物を含むことを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真用キャリア」によって達成される。
【0011】
また、上記課題は、本発明の(3)「電子写真用キャリア粒子と、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含むトナー粒子を混合してなる電子写真用現像剤において、該キャリア粒子が前記第(1)項又は第(2)項に記載の電子写真用キャリアであることを特徴とする電子写真用現像剤」によって達成される。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の第1の構成は、少なくとも磁性体よりなるコア材表面に、少なくともシリコーン樹脂コート層を設けた電子写真用キャリアであって、該シリコーン樹脂が、重量基準分子量ピークを2つ以上持つシリコーン化合物を架橋してなることを特徴とする電子写真用キャリアである。
キャリア粒子コート層表面を本発明の構成とすることにより、キャリアコート層の耐摩耗性を極めて高くすることができ、キャリア粒子の寿命を大幅に向上させることができる。
【0013】
本発明の構成による耐摩耗性向上の発現は明確ではないが、概略以下のように考えられる。
通常、単一の分子量分布ピークを持つシリコーン化合物を架橋させた場合、分子鎖の長い分子同士が架橋して構造体を作り易くなり、架橋構造体の網目は、比較的粗くなりがちである。
摩擦等の外力は、キャリアコート層表面の分子鎖を切断する働きをするため、網目が粗い構造を持つコート層では、分子鎖の切断が少ない時点から摩耗が発生し易い。
これに対して、本発明の構成のように分子量分布ピークが2個以上ある場合には、高分子側シリコーン樹脂の架橋による網目内に、分子鎖の短い低分子のシリコーン化合物が入り込みつつ架橋することによって、より強固で架橋密度の高い、細かな網目構造が形成される。
したがって、摩擦等の外力により、高分子側シリコーン樹脂の架橋部分や高分子鎖部分が切断したとしても、未だこれらの末端が分離することがないため高い耐久性が得られる。
【0014】
これらコート層のシリコーン樹脂としては、本発明で規定する様に重量基準分子量ピークを2個以上持つ限り、従来公知のシリコーン樹脂を用いることができ、例えば、下記式で示されるオルガノシロキサン結合のみからなるストレートシリコーンおよびアルキド、ポリエステル、エポキシ、ウレタンなどで変成したシリコーン樹脂が挙げられる。
【0015】
【化1】
【0016】
上記式中、R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基、R2およびR3は水素基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数2〜4のアルケニルオキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エチレンオキシド基、グリシジル基または下記式で示される基を表わす。
【0017】
【化2】
【0018】
また、R4、R5はヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数2〜4のアルケニルオキシ基、フェニル基、フェノキシ基を表わし、k、l、m、n、o、pは1以上の整数を表わす。
【0019】
上記各置換基は、未置換のもののほか、例えばアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、アルキル基、フェニル基、エチレンオキサイド基、グリシジル基、ハロゲン原子のような置換基を有していてもよい。
【0020】
また、本発明の構成は、第1の構成範囲を取り得る限り、他に材料を限定するものではなく、従来公知のものが使用できる。例えば、キャリア粒子のコア材に使用できる無機/金属の磁性粒子の例としては、鉄、コバルト、ニッケル等の金属やマグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの合金や化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら磁性粒子は、単結晶/アモルファスの粒子、単独/複合の焼結体、単独/複合の粒子を樹脂等の高分子中に分散させた粒子等の、いずれのコア材形態で使用しても良い。また、磁性粒子を高分子中に分散させた粒子でキャリア粒子の磁気特性と磁性粒子の分散性を両立させるには、これらの磁性粒子は0.5〜10μm程度の大きさの粒子を含むことが好ましい。
【0021】
次に、本発明の第2の構成は、前記第1の構成において、重量基準分子量ピーク位置の最小値Mmin、最大値Mmax及び各ピークの大きさPmin、Pmaxが、式(1)の関係にあることを特徴とする電子写真用キャリアである。
【数3】
0.1≦(Mmin×Pmin)/(Mmax×Pmax)≦3.0 (1)
シリコーン化合物の分子量ピーク位置と、そのピークの大きさを式(1)の関係の範囲とすることにより、シリコーン樹脂の網目構造をより密にすることができ、更なる耐久性の向上を図ることができる。式(1)の下限を下回るような場合には、低分子量側の成分が乏しく、部分的に粗な網目構造となる場合がある。一方、式(1)の上限を上回るような場合には、低分子量側の成分が多すぎ、低分子量側成分のみの架橋が優位となる部位ができ、高分子量側成分単独での架橋の場合と同様に、かさ高く粗な網目構造をとることがある。
【0022】
大きな外力が掛かるような現像プロセスでは、粗な網目構造の部分はできるだけ無いことが好ましく、そのためには、各分子量ピークは、式(1)の関係にあることが好ましい。より確実に緻密な網目構造を得るには、(Mmin×Pmin)/(Mmax×Pmax)は、0.3〜1.5であることがより好ましい。
【0023】
更に、シリコーン化合物の分子量が10000を越える様な分子の使用は、その架橋による網目が大きすぎ、内部に低分子量のシリコーン化合物成分が入り架橋したとしても、架橋が十分に緻密にならないことがある。したがって、この様なシリコーン化合物の使用量は、総シリコーン化合物量の10重量%以下の程度であることが好ましく、5重量%以下であることが更に好ましい。
【0024】
また、本発明の第3の構成は、前記第1又は第2の構成において、コート層組成物として更に有機高分子化合物を含むことを特徴とする電子写真用キャリアである。
本発明構成のキャリア粒子コート層は、これまでに述べたように、極めて高硬度となり、外力による摩耗に対して、高い耐久性を持つようになる。
この様な構成のシリコーン樹脂と共に、有機高分子化合物をコート層に含有させることにより、柔軟性を付与することができ、外力の局所的な集中を抑制することができる。
【0025】
キャリア粒子のコア材粒子及び/又は本発明の構成によるシリコーン樹脂と共に用いられる表面コート層を形成する樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;ポリテトラフルオロエチレン、ポリ弗化ビニル、ポリ弗化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの有機高分子化合物成分の含有量は、前記シリコーン樹脂構成の特徴を阻害しない程度である必要があり、その量としてはシリコーン樹脂重量の半分以下であることが好ましく、更には1/3〜1/10であることが、より好ましい。
【0026】
また、キャリアコア材粒子及び/又はコート層の電気抵抗を低抵抗材料粒子の分散により制御する際に用いられる材料は、従来公知の物で良く、その例としては、鉄、金、銅等の金属;フェライト、マグネタイト等の酸化鉄;カーボンブラック等の顔料が挙げられる。この中でも、特にカーボンブラックの一つであるファーネスブラックとアセチレンブラックの混合物を用いることにより、少量の低抵抗微粉末の添加で効果的に導電性の調整が可能であり、好ましく用いられる。これらの低抵抗微粉末は、粒径0.01〜10μm程度のものが好ましく、コア材粒子またはコート層樹脂100重量部に対して2〜30重量部添加されることが好ましく、さらには5〜20重量部が好ましい。
【0027】
また、キャリアコア材粒子及び/又はコート層中には、これらの密着性を向上させたり抵抗制御材の分散性を向上させる目的でシランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤を助剤として添加しても良い。
【0028】
本発明で用いられるシランカップリング剤の例としては、下記一般式で示される化合物が挙げられる。
【0029】
【化3】
式中、Xはけい素原子に結合している加水分解基でクロル基、アルコキシ基、アセトキシ基、アルキルアミノ基、プロペノキシ基等を表わし、Yは有機マトリックスと反応する有機官能基でビニル基、メタクリル基、エポキシ基、グリシドキシ基、アミノ基、メルカプト基等を表わし、Rは炭素数1〜20のアルキル基またはアルキレン基を表わす。
【0030】
このシランカップリング剤の中でも、特に負帯電性を有する現像剤を得るには、Yにアミノ基を有するアミノシランカップリング剤が好ましく、正帯電性を有する現像剤を得るには、Yにエポキシ基を有するエポキシシランカップリング剤が好ましい。
【0031】
コート層の形成法としては、従来と同様、コア材粒子の表面にコート層形成液を噴霧法、浸漬法等の手段で塗布すればよい。被覆層の厚さは0.1〜20μmが好ましい。
【0032】
本発明の第4の構成は、電子写真用キャリア粒子と、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含むトナー粒子を混合してなる電子写真用現像剤において、該キャリア粒子が、前記第1の構成乃至第3の構成の電子写真用キャリアであることを特徴とする電子写真用現像剤である。
【0033】
本発明に使用するトナー粒子は、通常、電子写真用トナーとして使用されるものを、特に制限無く使用することができる。
例えば、該電子写真用トナーに使用される結着剤樹脂の一例としては、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン/p−クロロスチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、スチレン/ビニルナフタレン共重合体、スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重合体、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン/α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ビニルメチルケトン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体等のスチレン系共重合体;ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル系単重合体やその共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等のポリビニル誘導体;ポリエステル系重合体、ポリウレタン系重合体、ポリアミド系重合体、ポリイミド系重合体、ポリオール系重合体、エポキシ系重合体、テルペン系重合体、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられ、単独あるいは混合して使用できるが特にこれらに限定するものではない。中でも、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂より選ばれる少なくとも1種以上であることが、電気特性、コスト面等からより好ましいものである。更には、良好な定着特性を有するものとして、ポリエステル系樹脂および/またはポリオール系樹脂の使用が一層好ましい。
【0034】
また、該電子写真用トナーに使用される着色剤としては、従来からトナー用着色剤として使用されてきた顔料及び染料が使用でき、具体的には、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6Cレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドンレッド、ベンジジンイエロー、ローズベンガル等を単独あるいは混合して用いることができる。
【0035】
更に、必要により、トナー粒子自身に磁気特性を持たせるには、フェライト、マグネタイト、マグヘマタイト等の酸化鉄類、鉄、コバルト、ニッケル等の金属、あるいはこれらと他の金属との合金等の磁性成分を、単独または混合してトナー粒子へ含有させればよい。また、これらの成分は着色剤成分として使用/併用することもできる。
【0036】
更に、トナー定着時にオイル等の離型剤を用いない、いわゆるオイルレス定着方式を使用するには、トナー粒子中に、ポリエチレンワックス、プロピレンワックス、カルナウバワックス等のワックス類を含有させることにより実現できる。これらの使用量としては、用いる材料の種類や定着の方法にもよるが、およそ0.5〜10.0重量%程度の使用が好ましく、3.0〜8.0重量%程度の使用が更に好ましい。
【0037】
この他、帯電の立ち上がりをより良くするための電荷制御剤としては一般に知られているものが使用でき、例えば、アミノ基含有ビニル系コポリマー、四級アンモニウム塩化合物、ニグロシン染料、ポリアミン樹脂、イミダゾール化合物、アジン系染料、トリフェニルメタン系染料、グアニジン化合物、レーキ顔料等の正帯電性電荷制御剤や、カルボン酸誘導体及びこの金属塩、アルコキシレート、有機金属錯体、キレート化合物等の負帯電性電荷制御剤を単独または混合してトナー粒子中への混練物および/または添加物とすることができる。これら電荷制御剤を分散状態で用いる場合、キャリア粒子表面との相互作用が略均等に生じるためには、その分散径は2.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以下であることが更に好ましい。
【0038】
トナー流動性や環境依存性改良のための添加剤としても一般に公知のものが使用でき、例えば、酸化亜鉛、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化珪素、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸ランタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、マイカ、ドロマイト等の無機粉末や、これらの疎水化物が単独または混合して使用できる。この他の添加剤として、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂微粒子をトナー表面改質剤として使用しても良い。これらは、添加する材料の種類にもよるが、トナー母体粒子100重量部に対して、およそ0.1〜10重量部程度を外添し、必要であれば適当な混合機により混合してトナー粒子表面に付着、凝着、或いはトナー粒子間隙で遊離した状態になるよう調整し、用いることができる。
【0039】
本発明の現像剤中のトナー粒子製造方法としては、上述のような原材料を二本ロール、二軸押出し混練機、一軸押出し混練機等の公知の方法で混練し、これを機械式や気流式等の公知の粉砕、分級を行ないトナー母体粒子を作成することができる。また、混練時に着色剤や磁性体の分散状態を制御するための分散剤等を併用しても良い。更に、このトナー母体粒子は、前述の添加剤を添加し、混合機等により混合・表面改質を行なっても良い。
【0040】
また、これらのトナー粒子の帯電電荷量は、実使用プロセスにより異なるため一概に決定できるものではないが、おおよそ、本発明の構成によるキャリア粒子との組み合わせにおいて、絶対値で3〜40μC/g程度の飽和電荷量であることが好ましく、更には5〜30μC/g程度の飽和電荷量であることがより好ましい。
【0041】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、ここでの「部」は全て重量部を示す。
(キャリア粒子製造例)
表1に記載の処方比のコート層液を、乾燥後の層厚が約1μmとなる様に、流動層スプレーコートにより塗布、熱乾燥後焼成し、表面にコート層を持つキャリア粒子を得た。
【0042】
【表1】
Mp:分子量ピーク位置
ピーク強度比:低分子量側成分と高分子量側成分の分子量ピーク強度の比
【0043】
スプレーコート時の乾燥温度は80℃とし、また、焼成は電気炉にて大気雰囲気中で行ない、焼成温度は180±3℃、焼成時間は2時間とした。
ここで、全ての実施例、比較例において、コア材粒子としては、重量平均粒径50μmの球形フェライト粒子を用いた。
シリコーン樹脂のピーク位置及びピークの高さは、シリコーン樹脂のみの混合溶液を作成し、移動相としてトルエンを用いて、分子量分布をGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定して得た。但し、ピークの高さは、ピーク強度の相対値として得た。
【0044】
【0045】
上記組成の混合物を、二本ロール混練機にて30分間混練後、機械式粉砕機、気流式分級機により粉砕、分級条件を調整し、トナー母体粒子を得た。
更に、各トナー母体粒子100部に対して、1部の割合で表面をジメチルシラン処理した疎水性シリカ微粒子を加えて、ヘンシェルミキサーによりトータル2分間混合し、試験用のトナー粒子を得た。
各トナー粒子の粒度分布をコールターカウンターTAIIにて測定したところ、重量平均径D4=6.5μm、累積個数分布から算出した個数基準10%径=2.8μmであった。
【0046】
これらのキャリア粒子及びトナー粒子を用いて、リコー製複写機imagioMF−6550の改造機を用い、A4版、画像面積率6%原稿30万枚の連続画像出図試験を行ない、初期及び連続出図後の文字画像及びベタ画像を出力し画質評価を行なった。
【0047】
画質評価としては、文字部分での地肌カブリ、ベタ画像での画像濃度の安定性及び各画像でのその他不具合の有無を評価した。画像濃度については、マクベス濃度計(RD−914)を用いて計測し、その他の項目については、目視により評価した。
画像出力時の像担持体上静電荷像は、地肌部=−700V、画像部=−200Vとした。また、現像スリーブには直流の現像バイアス電位を印加した。
【0048】
30万枚連続画像出図試験終了後の各現像剤より得たキャリア粒子表面コート層の削れ度合を蛍光X線による元素分析を用いて測定した。測定は、コート層を設けないコア材、試験前のキャリア粒子及び試験後のキャリア粒子を同時測定し、特定元素のX線強度から、コート層の摩耗率(%)を算出した。
【0049】
また、キャリア粒子の電荷付与特性の変動を評価するために、画像出図試験前と後のキャリア粒子を用いて、撹拌によるトナー粒子帯電量の測定を行なった。キャリア粒子とトナー粒子の混合比は、重量基準で95:5とし、撹拌時間は600秒とした。トナー粒子は、上記トナー粒子製造例によるトナー粒子を用いた。
帯電量の測定は、エレクトロメーター(610C、ケスレー社製)を用い、気流によりトナー粒子とキャリア粒子を分離しつつ帯電電荷量を測定する、いわゆるブローオフ法によって行なった。
初期の各評価結果を表2−1に、30万枚後の各評価結果を表2−2に示す。
【0050】
【表2−1】
【0051】
【表2−2】
【0052】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明より明らかなように、本発明の構成によれば、キャリア粒子表面コート層の摩耗、剥離が長期に渡って極めて少なく、これに伴うトナー帯電量変動による画像濃度の低下や、地肌カブリ等の画像劣化の無い安定した画像を得るために極めて有効な電子写真用キャリア及び電子写真用二成分現像剤を提供できる。
Claims (3)
- 前記コート層組成物として更に有機高分子化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子写真用キャリア。
- 電子写真用キャリア粒子と、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含むトナー粒子を混合してなる電子写真用現像剤において、該キャリア粒子が請求項1又は2に記載の電子写真用キャリアであることを特徴とする電子写真用現像剤。
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