JP3879838B2 - 電子写真用キャリア、現像剤、画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷などにおける静電荷像現像に用いるキャリア、現像剤、画像形成方法、収納容器及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に電子写真法、静電写真法等の画像形成方法においては、潜像担持体上に形成された静電潜像を現像するために、トナーとキャリアとを撹拌混合することによって得られる現像剤が使用される。この現像剤は、適当に帯電された混合物であることが要求される。一般に静電潜像を現像する方法としては、トナーとキャリアとを混合して得られる二成分系現像剤を使用する方法と、キャリアを含まない一成分系現像剤を使用する方法が公知である。前者の二成分系現像剤を用いた現像方式は、比較的安定した良好な画像が得られる反面、キャリア劣化やトナーとキャリアの混合比の変動が発生しやすいといった欠点がある。一方、後者の一成分現像剤は前者の欠点は持たないが、帯電性が安定しにくいといった不都合を有している。
【0003】
また、二成分系現像剤を使用して静電潜像を繰り返し現像を行なう際に、現像剤中のトナーが消費されてトナー濃度が変動するため、印刷時に安定した画像を得るために、必要に応じてトナーを補給してこの変動を抑制する必要がある。一般的にトナー補給量を制御する方法として、複写機は透過性検知センサー、流動性検知センサー、画像濃度検知センサー、嵩密度検知センサー等を具備しているが、画像濃度検知センサーを使用するのが最近の主流である。該センサーは潜像担持体上に一定の画像パターンを現像して、反射光から画像濃度を検知することによって、トナー補給量を制御する方式である。
【0004】
このような二成分系現像方式に使用されるキャリアは粒状であり、キャリア表面へのトナーのフィルミング防止、キャリア均一表面の形成、表面酸化防止、感湿性低下の防止、現像剤の寿命の延長、感光体のキャリアによるキズあるいは摩耗からの保護、帯電極性の制御または帯電量の調節等の目的で、通常適当な樹脂材料で被覆等を施すことにより固く高強度の被覆層を設けることが行なわれている。例えば特定の樹脂材料で被覆されたもの(特開昭58−108548号公報)、更にその被覆層に種々の添加剤を添加するもの(特開昭54−155048号公報、特開昭57−40267号公報、特開昭58−108549号公報、特開昭59−166968号公報、特公平1−19584号公報、特公平3−628号公報、特開平6−202381号公報)、更にキャリア表面に添加剤を付着させたものを用いるもの(特開平5−273789号公報)、更にコート膜厚よりも大きい導電性粒子をコート膜に含有させたものを用いるもの(特開平9−160304号公報)などが開示されている。また、特開平8−6307号公報には、ベンゾグアナミン−n−ブチルアルコール−ホルムアルデヒド共重合体を主成分としてキャリア被覆材に用いることが記載され、特許第2683624号公報には、メラミン樹脂とアクリル樹脂の架橋物をキャリア被覆材として用いることが記載されている。
【0005】
しかし、依然として耐久性が不十分であり、トナーのキャリア表面へのスペント、それに伴う帯電量の不安定化、ならびに被覆樹脂の削れによる抵抗低下等が問題であり、初期は良好な画像を得ることができるが、コピー枚数が増加するにつれ複写画像の画質が低下するため、改良をする必要がある。そこで、特開平2001−188388号公報では、粒子径と結着樹脂膜厚の関係を規定し、かつ粒子の固有抵抗を規定することで、これらの課題が解決出来ると報告されている。確かにこれまでのものと比べるとその効果は顕著であるが、昨今の現像剤の耐久性に対する要望は更に大きくなっており、更なる改善が望まれている。また、離型剤を含むトナーと特開平2001−188388号公報提案のキャリアとの組合せでは、離型剤を含まないトナー程の効果が得られないことが明らかとなった。特開平2001−188388号公報記載の市販のデジタルフルカラー複写機は離型剤を含まないトナーと現像剤で構成されている。
【0006】
昨今においては、複写機とプリンター共に省スペース化の要望が多く、この要望に対しては定着オイルを省略したり、微量塗布することで定着部を小さくする対応がとられている。この場合、トナーは離型剤を含むトナー構成となるため、離型剤含むトナーとの組合せでも、高耐久であるキャリアの要望は大きい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第一の目的は、上記事情に鑑みなされたものであり、より高耐久な二成分現像剤用の電子写真用キャリア、現像剤、画像形成方法、収納容器、及び画像形成装置を提供することである。第二の目的は、離型剤を含むトナーとの組合せでも高耐久な電子写真用キャリア、現像剤、画像形成方法、収納容器、及び画像形成装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記目的は下記手段により達成される。
即ち請求項1に記載の本発明は、少なくとも結着樹脂と粒子からなるコート膜を有する電子写真用キャリアにおいて、前記粒子の粒子径(D)と前記コート膜の膜厚(h)が、1<[D/h]<10の関係にあり、前記粒子が下記一般式(1)で示されるアルミニウム系カップリング剤を単独或いは2種以上で表面処理されていることを特徴とする電子写真用キャリアとする。
【化4】
(式中、R1〜R3は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよい芳香環基、置換基を有してもよいアシル基または置換基を有してもよいアルキルスルホニル基を示し、R1〜R3のうち少なくとも1つ以上は−R4−(CF2)nCF3(式中、R4は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよい芳香環基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基または=CF2を示し、nは0以上10以下の整数)である。)
請求項2に記載の本発明は、少なくとも結着樹脂と粒子からなるコート膜を有する電子写真用キャリアにおいて、前記粒子の粒子径(D)と前記コート膜の膜厚(h)が1<[D/h]<10の関係にあり、前記コート膜が下記一般式(1)で示されるアルミニウム系カップリング剤を単独或いは2種以上含有することを特徴とする電子写真用キャリアとする。
【化5】
(式中、R1〜R3は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよい芳香環基、置換基を有してもよいアシル基または置換基を有してもよいアルキルスルホニル基を示し、R1〜R3のうち少なくとも1つ以上は−R4−(CF2)nCF3(式中、R4は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよい芳香環基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基または=CF2を示し、nは0以上10以下の整数)である。)
請求項3に記載の本発明は、少なくとも結着樹脂と粒子からなるコート膜を有する電子写真用キャリアにおいて、前記粒子の粒子径(D)と前記コート膜の膜厚(h)が1<[D/h]<10の関係にあり、前記粒子が下記一般式(1)で示されるアルミニウム系カップリング剤を単独或いは2種以上で表面処理されており、前記コート膜が前記一般式(1)で示されるアルミニウム系カップリング剤を単独或いは2種以上含有することを特徴とする電子写真用キャリアとする。
【化6】
(式中、R1〜R3は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよい芳香環基、置換基を有してもよいアシル基または置換基を有してもよいアルキルスルホニル基を示し、R1〜R3のうち少なくとも1つ以上は−R4−(CF2)nCF3(式中、R4は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよい芳香環基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基または=CF2を示し、nは0以上10以下の整数)である。)
【0009】
請求項4に記載の本発明は、前記粒子の固有抵抗が1012(Ω・cm)以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の電子写真用キャリアとする。
請求項5に記載の本発明は、前記粒子がアルミナまたは/及びシリカであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の電子写真用キャリアとする。
請求項6に記載の本発明は、前記粒子の含有量がコート膜組成成分の40〜95wt%であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の電子写真用キャリアとする。
請求項7に記載の本発明は、前記結着樹脂の膜厚が0.05μm〜1.00μmであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか記載の電子写真用キャリアとする。
請求項8に記載の本発明は、前記結着樹脂が、少なくともアクリル樹脂とアミノ樹脂を架橋反応させた樹脂または/及びシリコーン樹脂を含有したものであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか記載の電子写真用キャリアとする。請求項9に記載の本発明は、前記結着樹脂のTgが20〜100℃であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか記載の電子写真用キャリアとする。
【0010】
請求項10に記載の本発明は、少なくとも結着樹脂と顔料とからなるトナーと、請求項1乃至9のいずれか記載の電子写真用キャリアとからなることを特徴とする電子写真用現像剤とする。
請求項11に記載の本発明は、前記トナーが離型剤を含むことを特徴とする請求項10記載の電子写真用現像剤とする。
請求項12に記載の本発明は、前記10又は11記載の電子写真用現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法とする。
請求項13に記載の本発明は、請求項10又は11記載の電子写真用現像剤を用いることを特徴とする多色画像形成方法とする。
請求項14に記載の本発明は、請求項10又は11記載の電子写真用現像剤を充填収納したことを特徴とする容器とする。
請求項15に記載の本発明は、請求項14記載の電子写真用現像剤を充填収納した容器を搭載したことを特徴とする画像形成装置とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について更に詳しく説明する。
本発明者らは、上記従来技術の問題点を解決するために検討を続けてきた結果、少なくとも結着樹脂と粒子からなるコート膜を有する電子写真用キャリアにおいて、前記粒子の粒子径(D)と前記コート膜の膜厚(h)が1<[D/h]<10の関係にあり、前記粒子が下記一般式(1)で示されるアルミニウム系カップリング剤を単独或いは2種以上で表面処理されていることで、改善効果が顕著であることがわかった。
【化7】
【0012】
式中、R1〜R3は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよい芳香環基、置換基を有してもよいアシル基または置換基を有してもよいアルキルスルホニル基を示し、R1〜R3のうち少なくとも1つ以上は−R4−(CF2)nCF3(式中、R4は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよい芳香環基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基または=CF2を示し、nは0以上10以下の整数)である。
【0013】
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、タ−シャリブチル基、ヘキシル基及びオクチル基等が挙げられ、アラルキル基としては、ベンジル基、スチリル基、シンナミル基、トリチル基及びフェネチル基等が挙げられ、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基等が挙げられ、芳香環基としては、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基等が挙げられ、アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられ、アルキルスルホニル基としては、ベンゼンスルホニル基、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、等が挙げられる。
上記基が有してもよい置換基としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、タ−シャリブチル基、ヘキシル基及びオクチル基等のアルキル基、フェニル基及びナフチル基等のアリ−ル基が挙げられる。
【0014】
これは、コート膜に比べ粒子の方が凸となるので、現像剤を摩擦帯電させるための攪拌により、トナーとの摩擦あるいはキャリア同士の摩擦で、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和することができる。これにより、キャリアへのトナーのスペントを防止することが可能となるとともに、帯電発生箇所である結着樹脂の膜削れも防止することが可能となる。
しかしながら、凸の部分、即ち、該粒子の部分は、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和するが故に、該粒子自身は常にコート膜から脱離しやすい状態にある。更なる高耐久性に対応するためには、該粒子の脱離を抑制しなければならず、本発明者によれば、該粒子を、前記一般式(1)で示されるアルミニウム系カップリング剤を単独或いは2種以上で表面処理することで、該粒子の脱離を抑制することが可能となった。これは、該粒子とコート膜中の結着樹脂との接着性が増したことにより、該粒子の脱離が抑制されたことによるものである。離型剤含むトナーの場合、離型剤が中心となって該粒子の脱離を加速していたが、該粒子とコート膜中の結着樹脂との接着性が増したことにより、離型剤を含むトナーの場合と遜色ない効果が得られている。
【0015】
また、本発明者らによれば、該粒子の粒子径(D)とコート膜の膜厚(h)の関係を示す[D/h]について、特定の範囲があることが明らかとなった。
[D/h]が1以下の場合、粒子は結着樹脂中に埋もれてしまうため、効果が著しく低下し好ましくない。従来では、[D/h]を5以上にすると、粒子と結着樹脂との接触面積が少ないため充分な拘束力が得られず、粒子が容易に脱離してしまうため好ましくなかったが、該粒子が前記一般式(1)で示されるアルミニウム系カップリング剤を単独或いは2種以上で表面処理されていることで、結着樹脂との接着性が増し、5以上で10以下の場合でも粒子が脱離せず、被覆膜凸が得られることが可能となる。
前記一般式(1)で示されるアルミニウム系カップリング剤の分子量は特に制限されるものではないが、表面処理作業の容易さからは、粘度が高過ぎないほうが良く、重量平均分子量で数百〜数万程度が適当である。
【0016】
本発明に用いられる表面処理の方法は、湿式、乾式の二通りがある。
湿式では、該粒子と前記一般式(1)で示されるアルミニウム系カップリング剤とを溶剤中で分散し、該アルミニウム系カップリング剤を該粒子表面に付着させる。分散の手段としてはボ−ルミル、サンドミル等の一般の分散手段を用いることができる。次に、この分散溶液を乾燥機により乾燥させ溶剤を取り除いた後、更に熱処理を行って、該アルミニウム系カップリング剤を該粒子表面に固着させる。必要によっては、処理後の該粒子に粉砕処理を施してもよい。
乾式処理では、溶剤を用いずに該アルミニウム系カップリング剤と導電性金属酸化物微粒子とを混合し混練を行うことによって、該アルミニウム系カップリング剤を微粒子表面に付着させる。その後は、湿式処理と同様に、熱処理、粉砕処理等を施して表面処理を完了する。
【0017】
また、該アルミニウム系カップリング剤は、該粒子に表面処理するばかりでなく、コート膜中に単独或いは2種以上含有されても同様な効果が得られる。
さらに、これらを該粒子に表面処理する場合とコート膜に含有する場合を併用するとその効果はより顕著である。
これらの量は、粒子の粒径や該アルミニウム系カップリング剤の構造に依存するが、該粒子100重量部に対して、0.01〜50重量部であることが望ましい。より好ましくは0.05〜40重量部であることが望ましい。
【0018】
前記一般式(1)で示されるアルミニウム系カップリング剤として好ましい化合物を以下の表1〜3に例示するが、本発明はこれ等の化合物に限定されるものではない。
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
また、本発明によれば、長期にわたる現像剤の保管に際して帯電量低下を抑制するには、該粒子の固有抵抗は1012(Ω・cm)以上であることが有効である。該粒子が芯材との接点を持ちながら表面に露出していても、電荷のリークが抑えられるので、安定した帯電性を得られからである。一方、該粒子の固有抵抗が1012(Ω・cm)未満の場合、電荷のリークが抑えられないため、安定した帯電性は得られず好ましくない。
また、前記従来技術でも挙げたが、本発明に類似した技術で、コート樹脂膜厚よりも大きい導電性粒子をコート膜中に含有させたもの(特開平9−160304号公報)との相違点として、本発明において該粒子は、従来のように抵抗調節材として用いるのではなく、コート膜樹脂の保護材及び表面形状の調節材として用いていることに特徴がある。更には、その粒子の脱離抑制には前記一般式(1)で示されるアルミニウム系カップリング剤が必須である。
【0022】
更に、該粒子がアルミナでその含有率がコート膜組成成分の40〜95wt%の範囲、好ましくは70〜90wt%であることで、その効果は顕著である。
更に、該粒子がシリカでその含有率がコート膜組成成分の40〜95wt%の範囲、好ましくは70〜90wt%であることで、その効果は顕著である。
また、アルミナとシリカを混合して用いてもよい。
該粒子の含有率が50wt%よりも少ない場合には、キャリア粒子表面での結着樹脂の占める割合に比べ、該粒子の占める割合が少ないため、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和する効果が小さいので、十分な耐久性が得られず好ましくない。一方、95wt%よりも多い場合には、キャリア表面での結着樹脂の占める割合に比べ、該粒子の占める割合が多過ぎるため、帯電発生箇所である結着樹脂の占める割合が不十分となり、十分な帯電能力を発揮できない。それに加え、結着樹脂量に比べ粒子量が多過ぎるので、結着樹脂による粒子の保持能力が不十分となり、粒子が脱離し易くなるので、十分な耐久性が得られず好ましくない。
【0023】
また本発明は、先に挙げた類似する従来技術とは、粒子の含有率範囲について異なっており、該技術が「コート樹脂の0.01〜50重量%」、即ち、本発明の含有率計算方法に換算すると、「コート膜組成成分の0.01〜33.33wt%」であり、この場合、従来に比べ耐久性は向上するが、先にも述べたとおり、キャリア粒子表面での結着樹脂の占める割合に比べ、該粒子の占める割合が少ないので、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和する効果が小さく、十分な耐久性が得られず好ましくない。
【0024】
本発明によれば、前記結着樹脂が、アクリル樹脂とアミノ樹脂を架橋させた樹脂または/及びシリーコン樹脂を含有したものであることが重要である。
アミノ樹脂としては、従来知られているアミノ樹脂を用いることが可能であるが、グアナミン、メラミンを用いることで、帯電量付与能力が著しく向上する。シリコーン樹脂としては、従来知られているシリコーン樹脂を用いることが可能である。
また、ここで挙げた樹脂以外にも、キャリア用被覆樹脂として一般的に用いられている樹脂を使用することができ、もちろん、上記の樹脂と併用して用いても構わない。
例えば、ポリスチレン樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスルフィン酸系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリブチラール系樹脂、尿素系樹脂、ウレタン/ウレア系樹脂、ポリエチレン系樹脂、テフロン(登録商標)系樹脂等の各種熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂およびその混合物、ならびにこれらの樹脂の共重合体、ブロック重合体、グラフト重合体およびポリマーブレンド等であるが、これらに限るものではない。
【0025】
本発明によれば、前記結着樹脂のTgは20〜100℃、好ましくは25〜80℃であるものを用いるのがよい。樹脂のTgがこの範囲内の場合、樹脂は適度な弾性を有しており、現像剤を摩擦帯電させるための攪拌における、トナーとキャリアとの摩擦あるいはキャリア同士の摩擦で、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触の際、該衝撃を吸収することができ、コート膜を破損することなく維持することが可能となる。
また、Tgが20℃以下の場合は、常温に於いても結着樹脂がブロッキングするため、保存性が悪く実用上使用できないので好ましくない。一方、Tgが100℃以上の場合は、結着樹脂が硬く脆性が高くなり過ぎ前記衝撃を吸収することができず、その脆さから結着樹脂が削れると共に、該粒子を保持することができず、脱離しやすくなるので好ましくない。
【0026】
キャリアの芯材としては、静電潜像担持体へのキャリア付着(飛散)防止の点から、小さくとも20μm(平均粒径)の大きさのものを使用し、キャリアスジ等の発生防止等画質低下防止の点から、大きくとも100μmのものを使用する。
具体的材料としては、電子写真用二成分キャリアとして公知のもの、例えば、フェライト、マグネタイト、鉄、ニッケル等、キャリアの用途、使用目的に合わせ適宜選択して用いればよい。
【0027】
また、所望の抵抗を得るための帯電及び抵抗調節剤として、カーボンブラック、酸性触媒、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ、酸化ジルコニウム等の超微粒子を用いることができる。これら抵抗調整剤を1種類または2種類以上混合して用いる。2種類以上混合した場合には固溶体または融着の形をとってもよい。
カーボンブラックは、キャリアあるいはトナー用として一般的に使われているもの全てを用いることができる。
酸性触媒は、触媒作用を持つものを用いることができる。例えば、完全アルキル化型、メチロール基型、イミノ基型、メチロール/イミノ基型等の反応性基を有するものであるが、これらに限るものではない。
キャリアはトナーと構成される二成分現像剤として用いられるが、構成されるトナーは黒トナーでも多色画像形成方法で用いられる多色トナーでも構わない。
【0028】
以下、図面によって、本発明の画像形成装置について説明する。
図1は、本発明の電子写真用キャリアを用いた現像剤を充填した容器を搭載する画像形成装置についての一例を示したものである。ここでは、画像形成装置本体内に装着された現像部(1)と、この現像部(1)に補給される本発明の電子写真用キャリアを用いた現像剤を充填した現像剤収納容器(2)と、この両者を接続する現像剤送流手段(3)とを示す部分断面図を示している。
【0029】
現像部(1)は、トナーとキャリアを混合したニ成分現像剤(D)を収容した現像ハウジング(4)と、現像剤(D)を攪拌混合する第1及び第2の攪拌スクリュー(5)、(6)と、現像ローラ(7)とを有していて、当該現像ローラ(7)が、潜像担持体の感光体(8)に対向して配置されている。感光体(8)は、矢印で示す方向に回転駆動され、その表面に静電潜像が形成される。図中符号(26)は、接続部材(24)の上にフィルター(25)を介して又は介さず嵌合されたキャップである。感光体(8)の周囲には、図示していない帯電手段、露光手段、転写手段、除電手段、クリーニング手段等、その他の公知のユニットが配置されている。
第1及び第2の攪拌スクリュー(5)、(6)が回転することにより、現像ハウジング(4)内の現像剤(D)が攪拌され、そのトナーをキャリアが互いに逆極性に摩擦帯電される。かかる現像剤(D)が、矢印方向に回転駆動される現像ローラ(7)の周面に供給され、その供給された現像剤は現像ローラ(7)の周面に担持され、当該現像ローラ(7)の回転によって、その回転方向に搬送される。
次いで、この搬送された現像剤は、ドクターブレード(9)によって量を規制され、規制後の現像剤が感光体(8)と現像ローラ(7)との間の現像領域に運ばれ、ここで現像剤中のトナーが、感光体表面の静電潜像に静電的に移行し、その静電潜像がトナー像として可視像化される。
【0030】
【実施例】
次に、実施例および比較例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に、トナーの製造例を示す。
<トナー製造例1:ブラックトナー1>
水:1200部、フタロシアニングリーン含水ケーキ(固形分30%):200部、カーボンブラック(商品名MA60;三菱化学社製):540部をフラッシャーでよく撹拌した。ここに、エポキシ樹脂(Mn;3500):1200部を加え、150℃で30分混練後、キシレン:1000部を加えさらに1時間混練、水とキシレンを除去後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、マスターバッチ顔料を得た。
次に、エポキシ樹脂(Mn;3500):100部、上記マスターバッチ顔料:5部、サリチル酸亜鉛誘導体(商品名ボントロンE84;オリエント化学):4部をミキサーで混合後2本ロールミルで溶融混練し、混練物を圧延冷却した。その後粉砕分級を行ない、重量平均粒径7.8μmのトナーを得た。さらに、流動性を付与するためにシリカ等の添加剤を添加、ヘンシェルミキサーで混合し、ブラックトナー1を得た。
【0031】
<トナー製造例2:ブラックトナー2>
トナー製造例1にカルナウバワックス:5部を添加した以外は全て製造例1と同様に製造した。
【0032】
以下に、表面処理された粒子の製造例を示す。
<表面処理粒子製造例1:アルミナ粒子1>
表1の例示化合物1に示すアルミニウム系カップリング剤:5重量部、アセトン:495重量部からなる溶液にアルミナ(0.3μm、固有抵抗1014Ω・cm)粒子:50重量部を加え2時間撹拌し、続いて濾過し溶媒を除去した後、120℃、2時間の乾燥を行い、前記例示化合物1のアルミニウム系カップリング剤で表面処理したアルミナ粒子1を得た。
【0033】
<表面処理粒子製造例2:アルミナ粒子2>
表1の例示化合物7に示すアルミニウム系カップリング剤:5重量部、アセトン:495重量部からなる溶液にアルミナ(0.3μm、固有抵抗1014Ω・cm)粒子:50重量部を加え2時間撹拌し、続いて濾過し溶媒を除去した後、120℃、2時間の乾燥を行って前記例示化合物7のアルミニウム系カップリング剤で表面処理したアルミナ粒子2を得た。
【0034】
<表面処理粒子製造例3:アルミナ粒子3>
表2の例示化合物13に示すアルミニウム系カップリング剤5:重量部、アセトン:495重量部からなる溶液にアルミナ(0.3μm、固有抵抗1014Ω・cm)粒子:50重量部を加え2時間撹拌し、続いて濾過し溶媒を除去した後、120℃、2時間の乾燥を行って前記例示化合物13のアルミニウム系カップリング剤で表面処理したアルミナ粒子3を得た。
【0035】
以下に、キャリアの製造例を示す。
<キャリア製造例1:キャリア1>
アクリル樹脂溶液(固形分50重量%):56.0部、グアナミン溶液(固形分77重量%):15.6部、アルミナ粒子1:1160.0部、トルエン:900部、ブチルセロソルブ:900部をホモミキサーで10分間分散し、被覆膜形成溶液を調合した。芯材として焼成フェライト粉(商品名F−300;平均粒径50μm;パウダーテック社製)を用い、上記被覆膜形成溶液を芯材表面に膜厚0.15μmになるようにスピラコーター(岡田精工社製)により塗布し乾燥した。得られたキャリアを電気炉中にて300℃で2時間放置して焼成した。冷却後フェライト粉バルクを目開き100μmの篩を用いて解砕し、キャリア1とした。結着樹脂膜厚測定は、透過型電子顕微鏡にてキャリア断面を観察することにより、キャリア表面を覆う被覆膜を観察することができるため、その膜厚の平均値をもって膜厚とした。
【0036】
<キャリア製造例2:キャリア2>
キャリア製造例1のアルミナ粒子1をアルミナ粒子2に変更した以外は全てキャリア製造例1と同様に製造した。
【0037】
<キャリア製造例3:キャリア3>
キャリア製造例1のアルミナ粒子1をアルミナ粒子3に変更した以外は全てキャリア製造例1と同様に製造した。
【0038】
<キャリア製造例4:キャリア4>
アクリル樹脂溶液(固形分50重量%):56.0部、グアナミン溶液(固形分77重量%):15.6部、アルミナ粒子(0.3μm、固有抵抗1014Ω・cm):160.0部、表1の例示化合物4に示すアルミニウム系カップリング剤:1.0部、トルエン:900部、ブチルセロソルブ:900部の処方に変更した以外は全てキャリア製造例1と同様に製造した。
【0039】
<キャリア製造例5:キャリア5>
キャリア製造例4の例示化合物4のアルミニウム系カップリング剤を表2の例示化合物10に変更した以外は全てキャリア製造例4と同様に製造した。
【0040】
<キャリア製造例6:キャリア6>
キャリア製造例4の例示化合物4のアルミニウム系カップリング剤を表2の例示化合物13に変更した以外は全てキャリア製造例4と同様に製造した。
【0041】
<キャリア製造例7:キャリア7>
キャリア製造例4のアルミナ粒子をアルミナ粒子1に変更した以外は全てキャリア製造例4と同様に製造した。
【0042】
<キャリア製造例8:キャリア8>
アクリル樹脂溶液(固形分50重量%):56.0部、グアナミン溶液(固形分77重量%):15.6部、アルミナ粒子(0.3μm、固有抵抗1014Ω・cm):160.0部、トルエン:900部、ブチルセロソルブ:900部の処方に変更した以外は全てキャリア製造例1と同様に製造した。
【0043】
<実施例1>
こうして得たキャリア1とブラックトナー1を、トナー濃度5%になる様に、ボールミルに入れて10分混合し現像剤を得た。この現像剤とブラックトナー1を市販のデジタルフルカラー複写機(imagioColor2800;リコー社製)にセットし、600,000枚のランニング評価を行なった。そして、このランニングを終えたキャリアの帯電低下量及び抵抗低下量を求めた結果を以下の表4に示す。
ここでいう帯電量低下量とは、初期のキャリア95重量%に対し、トナー5重量%の割合で混合し摩擦帯電させたサンプルを、一般的なブローオフ法による帯電量測定装置(TB−200;東芝ケミカル(株)製)にて測定した帯電量(Q1)から、ランニング後の現像剤中のトナーを前記ブローオフ装置にて除去し得たキャリアを、前記方法と同様の方法で測定した帯電量(Q2)を差し引いた量のことをいい、目標値は7.0(μc/g)以下である。また、帯電量の低下の原因はキャリア表面へのトナースペントであるため、このトナースペントを減らすことで、帯電量低下を抑えることができる。
抵抗低下量とは、初期のキャリアを抵抗計測平行電極:ギャップ2mmの電極間に投入し、DC200Vを印加し30sec後の抵抗値をハイレジスト計で計測した値を体積抵抗率に変換した値(1)から、ランニング後の現像剤中のトナーを前記ブローオフ装置にて除去し得たキャリアを、前記抵抗測定方法と同様の方法で測定した値(2)を差し引いた量のことをいい、目標値は2.0(Log(Ω・cm))以下である。また、抵抗低下の原因は、キャリアの結着樹脂膜の削れであるため、この膜削れを減らすことで、抵抗低下量を抑えることができる。
【0044】
<実施例2>
実施例1のブラックトナー1をブラックトナー2に変更した以外は全て実施例1と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0045】
<実施例3>
実施例2のキャリア1をキャリア2に変更した以外は全て実施例2と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0046】
<実施例4>
実施例2のキャリア1をキャリア3に変更した以外は全て実施例2と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0047】
<実施例5>
実施例2のキャリア1をキャリア4に変更した以外は全て実施例2と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0048】
<実施例6>
実施例2のキャリア1をキャリア5に変更した以外は全て実施例2と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0049】
<実施例7>
実施例2のキャリア1をキャリア6に変更した以外は全て実施例2と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0050】
<実施例8>
実施例2のキャリア1をキャリア7に変更した以外は全て実施例2と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0051】
<比較例1>
実施例1のキャリア1をキャリア8に変更した以外は全て実施例1と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0052】
<比較例2>
実施例2のキャリア2をキャリア8に変更した以外は全て実施例1と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0053】
【表4】
表4より、本発明のキャリアを用いることで、従来の耐久性に比べて倍以上の効果が得られた。また、離型剤を含むトナーとの組合せにおいては、従来の結果に比べて6倍以上の効果が得られた。
【0054】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、高耐久な二成分現像剤用の電子写真用キャリア、現像剤、画像形成方法、収納容器及び画像形成装置の提供が可能となる。また、離型剤を含むトナーとの組合せでも高耐久な電子写真用キャリア、現像剤、画像形成方法、収納容器及び画像形成装置の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真用現像剤を充填した容器及びその容器を搭載した画像形成装置を示した図である。
【符号の説明】
1 現像部
2 現像剤収納容器
3 現像剤送流手段
4 現像ハウジング
5 攪拌スクリュー
6 攪拌スクリュー
7 現像ローラ
8 感光体
9 ドクターブレード
24 接続部材
25 フィルター
26 キャップ
D 現像剤
Claims (15)
- 少なくとも結着樹脂と粒子からなるコート膜を有する電子写真用キャリアにおいて、
前記粒子の粒子径(D)と前記コート膜の膜厚(h)が、1<[D/h]<10 の関係にあり、
前記粒子が下記一般式(1)で示されるアルミニウム系カップリング剤を単独或いは2種以上で表面処理されている
ことを特徴とする電子写真用キャリア。
- 少なくとも結着樹脂と粒子からなるコート膜を有する電子写真用キャリアにおいて、
前記粒子の粒子径(D)と前記コート膜の膜厚(h)が、1<[D/h]<10 の関係にあり、
前記コート膜が下記一般式(1)で示されるアルミニウム系カップリング剤を単独或いは2種以上含有する
ことを特徴とする電子写真用キャリア。
- 少なくとも結着樹脂と粒子からなるコート膜を有する電子写真用キャリアにおいて、
前記粒子の粒子径(D)と前記コート膜の膜厚(h)が、1<[D/h]<10 の関係にあり、
前記粒子が下記一般式(1)で示されるアルミニウム系カップリング剤を単独或いは2種以上で表面処理されており、
前記コート膜が前記一般式(1)で示されるアルミニウム系カップリング剤を単独或いは2種以上含有する
ことを特徴とする電子写真用キャリア。
- 前記粒子の固有抵抗が、1012(Ω・cm)以上である
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の電子写真用キャリア。 - 前記粒子が、アルミナまたは/及びシリカである
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の電子写真用キャリア。 - 前記粒子の含有量が、コート膜組成成分の40〜95wt%である
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の電子写真用キャリア。 - 前記結着樹脂の膜厚が、0.05μm〜1.00μmである
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか記載の電子写真用キャリア。 - 前記結着樹脂が、少なくともアクリル樹脂とアミノ樹脂を架橋反応させた樹脂または/及びシリコーン樹脂を含有したものである
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか記載の電子写真用キャリア。 - 前記結着樹脂のTgが、20〜100℃である
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか記載の電子写真用キャリア。 - 少なくとも結着樹脂と顔料とからなるトナーと、請求項1乃至9のいずれか記載の電子写真用キャリアとからなる
ことを特徴とする電子写真用現像剤。 - 前記トナーが、離型剤を含む
ことを特徴とする請求項10記載の電子写真用現像剤。 - 請求項10又は11記載の電子写真用現像剤を用いる
ことを特徴とする画像形成方法。 - 請求項10又は11記載の電子写真用現像剤を用いる
ことを特徴とする多色画像形成方法。 - 請求項10又は11記載の電子写真用現像剤を充填収納した
ことを特徴とする容器。 - 請求項14記載の電子写真用現像剤を充填収納した容器を搭載した
ことを特徴とする画像形成装置。
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