JP3932189B2 - 電子写真用キャリア、現像剤、画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷などにおける静電荷像現像に用いるキャリア、現像剤、画像形成方法、収納容器及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に電子写真法、静電写真法等の画像形成方法においては、潜像担持体上に形成された静電潜像を現像するために、トナーとキャリアとを撹拌混合することによって得られる現像剤が使用される。この現像剤は、適当に帯電された混合物であることが要求される。一般に静電潜像を現像する方法としては、トナーとキャリアとを混合して得られる二成分系現像剤を使用する方法と、キャリアを含まない一成分系現像剤を使用する方法が公知である。前者の二成分系現像剤を用いた現像方式は、比較的安定した良好な画像が得られる反面、キャリア劣化やトナーとキャリアの混合比の変動が発生しやすいといった欠点がある。一方、後者の一成分現像剤は前者の欠点は持たないが、帯電性が安定しにくいといった不都合を有している。
【0003】
また、二成分系現像剤を使用して静電潜像を繰り返し現像を行なう際に、現像剤中のトナーが消費されてトナー濃度が変動するため、印刷時に安定した画像を得るために、必要に応じてトナーを補給してこの変動を抑制する必要がある。一般的にトナー補給量を制御する方法として、複写機は透過性検知センサー、流動性検知センサー、画像濃度検知センサー、嵩密度検知センサー等を具備しているが、画像濃度検知センサーを使用するのが最近の主流である。該センサーは潜像担持体上に一定の画像パターンを現像して、反射光から画像濃度を検知することによって、トナー補給量を制御する方式である。
【0004】
このような二成分系現像方式に使用される粒状キャリアは、キャリア表面へのトナーのフィルミング防止、キャリア均一表面の形成、表面酸化防止、感湿性低下の防止、現像剤の寿命の延長、感光体のキャリアによるキズあるいは摩耗からの保護、帯電極性の制御または帯電量の調節等の目的で、通常適当な樹脂材料で被覆等を施すことにより固く高強度の被覆層を設けることが行なわれており、例えば特定の樹脂材料で被覆されたもの(特許文献1−特開昭58−108548号公報)、更にその被覆層に種々の添加剤を添加するもの(特許文献2−特開昭54−155048号公報、特許文献3−特開昭57−40267号公報、特許文献4−特開昭58−108549号公報、特許文献5−特開昭59−166968号公報、特許文献6−特公平1−19584号公報、特許文献7−特公平3−628号公報、特許文献8−特開平6−202381号公報)、更にキャリア表面に添加剤を付着させたものを用いるもの(特許文献9−特開平5−273789号公報)、更にコート膜厚よりも大きい導電性粒子をコート膜に含有させたものを用いるもの(特許文献10−特開平9−160304号公報)などが開示されている。また、特許文献11−特開平8−6307号公報には、ベンゾグアナミン−n−ブチルアルコール−ホルムアルデヒド共重合体を主成分としてキャリア被覆材に用いることが記載され、特許文献12−特許第2683624号公報には、メラミン樹脂とアクリル樹脂の架橋物をキャリア被覆材として用いることが記載されている。
【0005】
しかし、依然として耐久性が不十分であり、トナーのキャリア表面へのスペント、それに伴う帯電量の不安定化、ならびに被覆樹脂の削れによる抵抗低下等が問題であり、初期は良好な画像を得ることができるが、コピー枚数が増加するにつれ複写画像の画質が低下するため、改良をする必要がある。そこで、特許文献13−特開2001−188388号公報では、粒子径と結着樹脂膜厚の関係を規定し、かつ粒子の固有抵抗を規定することで、これらの課題が解決出来ると報告されている。確かにこれまでのものと比べるとその効果は顕著であるが、昨今の現像剤の耐久性に対する要望は更に大きくなっており、更なる改善が望まれている。また、離型剤を含むトナーと特開2001−188388号公報提案のキャリアとの組合せでは、離型剤を含まないトナー程の効果が得れないことが明かとなった。特開2001−188388号公報記載の市販のデジタルフルカラー複写機は離型剤を含まないトナーと現像剤で構成されている。
昨今においては、複写機とプリンター共に省スペース化の要望が多く、この要望に対しては定着オイルを省略したり、微量塗布することで定着部を小さくする対応がとられている。この場合、トナーは離型剤を含むトナー構成となるため、離型剤含むトナーとの組合せでも、高耐久であるキャリアの要望は大きい。
【特許文献1】
特開昭58−108548号公報
【特許文献2】
特開昭54−155048号公報
【特許文献3】
特開昭57−40267号公報
【特許文献4】
特開昭58−108549号公報
【特許文献5】
特開昭59−166968号公報
【特許文献6】
特公平1−19584号公報
【特許文献7】
特公平3−628号公報
【特許文献8】
特開平6−202381号公報
【特許文献9】
特開平5−273789号公報
【特許文献10】
特開平9−160304号公報
【特許文献11】
特開平8−6307号公報
【特許文献12】
特許第2683624号
【特許文献13】
特開2001−188388号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第一の目的は、上記事情に鑑みなされたものであり、より高耐久な二成分現像剤用キャリアを提供することである。第二の目的は、離型剤を含むトナーとの組合せでも高耐久な二成分現像剤用キャリアを提供することである。
【0007】
【発明を解決するための手段】
本発明によれば、上記目的は(1)「少なくとも結着樹脂と粒子を有するコート膜を有するキャリアにおいて、該粒子径(D)と該結着樹脂膜厚(h)が1<[D/h]<10であり、該粒子が下記一般式で表される1官能クロロシラン化合物
R3SiCl
(式中、3個のRは同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1から4のアルキル基、またはフェニル基を示す。ただし、水素は0または1個である。)
で表面処理されていることを特徴とする電子写真用キャリア」、(2)「少なくとも結着樹脂と粒子を有するコート膜を有するキャリアにおいて、該粒子径(D)と該結着樹脂膜厚(h)が1<[D/h]<10であり、コート膜が1官能クロロシラン化合物を含有することを特徴とする電子写真用キャリア」、(3)「少なくとも結着樹脂と粒子を有するコート膜を有するキャリアにおいて、該粒子径(D)と該結着樹脂膜厚(h)が1<[D/h]<10であり、該粒子が1官能クロロシラン化合物で表面処理されており、コート膜が1官能クロロシラン化合物を含有することを特徴とする電子写真用キャリア」、(4)「前記粒子の固有抵抗が1012(Ω・cm)以上であることを特徴とする前記(1)〜(3)記載の電子写真用キャリア」、(5)「前記粒子がアルミナまたは/及びシリカであることを特徴とする前記(1)〜(4)記載の電子写真用キャリア」、(6)「前記粒子の含有量がコート膜組成成分の40〜95wt%であることを特徴とする前記(1)〜(5)記載の電子写真用キャリア、(7)「前記結着樹脂の膜厚が0.05μm〜1.00μmであることを特徴とする前記(1)〜(6)記載の電子写真用キャリア」、(8)「前記結着樹脂が、少なくともアクリル樹脂とアミノ樹脂を架橋反応させた樹脂または/及びシリコーン樹脂を含有したものであることを特徴とする前記(1)〜(7)記載の電子写真用キャリア」、(9)「前記樹脂のTgが20〜100℃であることを特徴とする前記(1)〜(8)記載の電子写真用キャリア」、(10)「少なくとも結着樹脂と顔料とからなるトナーと前記(1)〜(9)記載の電子写真用キャリアとからなることを特徴とする電子写真用現像剤」、(11)「前記トナーが離型剤を含むことを特徴とする前記(10)記載の電子写真用現像剤」、(12)「前記(10)〜(11)記載の電子写真用現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法」、(13)「前記(10)〜(11)記載の電子写真用現像剤を用いることを特徴とする多色画像形成方法」、(14)「前記(10)〜(11)記載の電子写真用現像剤を充填収納したことを特徴とする収納容器」、(15)「前記(14)記載の電子写真用現像剤を充填収納した収納容器を搭載したことを特徴とする画像形成装置」によって達成される。
【0008】
以下に、本発明について更に具体的に詳しく説明する。本発明者らは、上記従来技術の問題点を解決するために検討を続けてきた結果、少なくとも結着樹脂と粒子を有するコート膜を有するキャリアにおいて、該粒子径(D)と該結着樹脂膜厚(h)が1<[D/h]<10であり、該粒子が1官能クロロシラン化合物で表面処理されていることで、改善効果が顕著であることがわかった。これは、コート膜に比べ粒子の方が凸となるので、現像剤を摩擦帯電させるための攪拌により、トナーとの摩擦あるいはキャリア同士の摩擦で、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和することができる。これにより、キャリアへのトナーのスペントを防止することが可能となるとともに、帯電発生箇所である結着樹脂の膜削れも防止することが可能となる。
【0009】
しかしながら、凸の部分、即ち、該粒子の部分は、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和するが故に該粒子自身は、常にコート膜から脱離しやすい状態にある。更なる高耐久性に対応するためには、該粒子の脱離を抑制しなければならず、本発明者によれば、該粒子を1官能クロロシラン化合物で表面処理することで、該粒子の脱離を抑制することが可能となった。これは、該粒子とコート膜中の結着樹脂との接着性が増したことにより、該粒子の脱離が抑制されたことによるものである。離型剤を含むトナーの場合、離型剤が中心となって該粒子の脱離を加速していたが、該粒子とコート膜中の結着樹脂との接着性が増したことにより、離型剤を含むトナーの場合と遜色ない効果が得れている。また、本発明者らによれば、[D/h]について、特定の範囲があることが明かとなった。[D/h]が1以下の場合、粒子は結着樹脂中に埋もれてしまうため、効果が著しく低下し好ましくない。
【0010】
従来では、[D/h]を5以上にすると、粒子と結着樹脂との接触面積が少ないため充分な拘束力が得られず、該粒子が容易に脱離してしまうため好ましくなかったが、該粒子が1官能クロロシラン化合物で表面処理されていることで、結着樹脂との接着性が増し、5以上で10以下の場合でも該粒子が脱離せず、被覆膜凸が得られることが可能となった。
【0011】
本発明に用いられる表面処理の方法は、処理剤を該粒子に表面処理出来れば、従来公知のいずれの方法を用いても構わないが、具体例としては、湿式、乾式の二通りが挙げられる。湿式法では、該粒子と1官能クロロシラン化合物とを溶剤中で分散し、1官能クロロシラン化合物を該粒子表面へ付着させる。分散方法としては、ボールミル、サンドミル等の一般の分散手段を使用することができる。次に、この分散溶液を乾燥機により乾燥させ溶剤を取り除いた後、更に熱処理を行って、1官能クロロシラン化合物を該粒子表面へ強固に付着させる。必要によっては、処理後の粒子に粉砕処理を施しても良い。
【0012】
一方、乾式処理においては、溶剤を用いずに1官能クロロシラン化合物と該粒子とを混合し混練を行うことによって、1官能クロロシラン化合物を粒子表面に付着させる。その後は、必要に応じて湿式処理と同様な熱処理、粉砕処理等を施して表面処理を完了する。更に処理液中に反応促進の為の触媒を添加しても構わない。
また、該粒子に対する1官能クロロシラン化合物の割合は、粒子の粒径や1官能クロロシラン化合物の構造等に依存するが、1〜50重量%が好ましく、より好ましくは3〜40重量%である。
ここで、1官能クロロシラン化合物は前記一般式で表されるが、特に好ましいものとして、表1に示す化合物を例示する。
【0013】
【表1】
【0014】
また、1官能クロロシラン化合物は該粒子に表面処理するばかりでなく、コート膜中に含有されても同様な効果が得られた。本発明において前記一般式で表される1官能クロロシラン化合物は、コート膜中に含有させる場合、樹脂固形分総量に対して0.01〜10重量%の範囲、好ましくは0.1〜5重量%の範囲がよいが、これに限定されるものではない。
更に、これらを該粒子に表面処理する場合とコート膜に含有する場合を併用するとその効果はより顕著に表れた。
本発明で用いられる1官能クロロシラン化合物を表1に例示する。しかし、これらに限定するものではなく、これら以外の1官能クロロシラン化合物を使用しても良い。
【0015】
また、本発明によれば、長期にわたる現像剤の保管に際して帯電量低下を抑制するには、該粒子の固有抵抗は1012(Ω・cm)以上であることが有効である。該粒子が芯材との接点を持ちながら表面に露出していても、電荷のリークが抑えられるので、安定した帯電性を得られからである。一方、該粒子の固有抵抗が1012(Ω・cm)未満の場合、電荷のリークが抑えられないため、安定した帯電性は得られず好ましくない。また、前記従来技術でも挙げたが、本発明に類似した技術で、コート樹脂膜厚よりも大きい導電性粒子をコート膜中に含有させたもの(特開平9−160304号公報)との相違点として、本発明において該粒子は、従来のように抵抗調節材として用いるのではなく、コート膜樹脂の保護材及び表面形状の調節材として用いていることに特徴がある。更には、その粒子の脱離抑制には1官能クロロシラン化合物が必須である。
【0016】
更に、粒子がアルミナでその含有率がコート膜組成成分の50〜95wt%の範囲、好ましくは70〜90wt%であることで、その効果は顕著である。更に、粒子がシリカでその含有率がコート膜組成成分の50〜95wt%の範囲、好ましくは70〜90wt%であることで、その効果は顕著である。また、アルミナとシリカを混合して用いてもよい。この粒子の含有率が50wt%よりも少ない場合には、キャリア粒子表面での結着樹脂の占める割合に比べ、該粒子の占める割合が少ないため、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和する効果が小さいので、十分な耐久性が得られず好ましくない。一方、95wt%よりも多い場合には、キャリア表面での結着樹脂の占める割合に比べ、該粒子の占める割合が多過ぎるため、帯電発生箇所である結着樹脂の占める割合が不十分となり、十分な帯電能力を発揮できない。それに加え、結着樹脂量に比べ粒子量が多過ぎるので、結着樹脂による粒子の保持能力が不十分となり、粒子が脱離し易くなるので、十分な耐久性が得られず好ましくない。
また、この粒子については、前記2種類に限定されるものではなく、それ以外の粒子でも効果を発揮することができる。たとえば、酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられ、これらを前記粒子と同様に用いることができる。また、粒径は、平均粒径で5μm以下が好ましい。
【0017】
また、先に挙げた本発明に類似する(特開平9−160304号公報)が、粒子の含有率範囲について本発明と異なっており、該技術が「コート樹脂の0.01〜50重量%」、即ち、本発明の含有率計算方法に換算すると、「コート膜組成成分の0.01〜33.33wt%」であり、この場合、従来に比べ耐久性は向上するが、先にも述べたとおり、キャリア粒子表面での結着樹脂の占める割合に比べ、該粒子の占める割合が少ないので、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和する効果が小さく、十分な耐久性が得られず好ましくない。
【0018】
本発明によれば、結着樹脂がアクリル樹脂とアミノ樹脂を架橋させた樹脂または/及びシリコーン樹脂を含有したものであることが好ましい。
このアミノ樹脂としては、従来知られているアミノ樹脂を用いることが可能であるが、グアナミン、メラミンを用いることで、帯電量付与能力が著しく向上する。
また、シリコーン樹脂も、従来知られているシリコーン樹脂を用いることが可能である。
【0019】
また、ここで挙げた樹脂以外にも、キャリア用被覆樹脂として一般的に用いられている樹脂を使用することができ、もちろん、上記の樹脂と併用して用いても構わない。例えば、ポリスチレン樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスルフィン酸系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリブチラール系樹脂、尿素系樹脂、ウレタン/ウレア系樹脂、ポリエチレン系樹脂、テフロン(登録商標)系樹脂等の各種熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂およびその混合物、ならびにこれらの樹脂の共重合体、ブロック重合体、グラフト重合体およびポリマーブレンド等であるが、これらに限るものではない。
【0020】
本発明によれば、これらの樹脂のTgは20〜100℃、好ましくは25〜80℃であるものを用いるのがよい。樹脂のTgがこの範囲内の場合、樹脂は適度な弾性を有しており、現像剤を摩擦帯電させるための攪拌における、トナーとキャリアとの摩擦あるいはキャリア同士の摩擦で、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触の際、該衝撃を吸収することができ、コート膜を破損することなく維持することが可能となる。また、Tgが20℃以下の場合は、常温に於いても結着樹脂がブロッキングするため、保存性が悪く実用上使用できないので好ましくない。一方、Tgが100℃以上の場合は、結着樹脂が硬く脆性が高くなり過ぎ前記衝撃を吸収することができず、その脆さから結着樹脂が削れると共に、該粒子を保持することができず、脱離しやすくなるので好ましくない。
【0021】
キャリアの芯材としては、静電潜像担持体へのキャリア付着(飛散)防止の点から、小さくとも20μm(平均粒径)の大きさのものを使用し、キャリアスジ等の発生防止等画質低下防止の点から、大きくとも100μmのものを使用する。具体的材料としては、電子写真用二成分キャリアとして公知のもの、例えば、フェライト、マグネタイト、鉄、ニッケル等、キャリアの用途、使用目的に合わせ適宜選択して用いればよい。
【0022】
帯電及び抵抗調節剤として、カーボンブラック或いは酸性触媒を単独または併用して用いることも可能である。カーボンブラックは、キャリアあるいはトナー用として一般的に使われているもの全てを用いることができる。酸性触媒は、触媒作用を持つものを用いることができる。例えば、完全アルキル化型、メチロール基型、イミノ基型、メチロール/イミノ基型等の反応性基を有するものであるが、これらに限るものではない。
本発明のキャリアはトナーと構成される二成分現像剤として用いられるが、構成されるトナーは黒トナーでも多色画像形成方法で用いられる多色トナーでも構わない。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面によって、本発明の画像形成装置について説明する。図1は、本発明の電子写真用キャリアを用いた現像剤を充填した容器を搭載する画像形成装置についての1例を示したものであって、画像形成装置本体内に装着された現像部(1)と、この現像部(1)に補給される本発明の電子写真用キャリアを用いた現像剤を充填収納した現像剤収納容器(2)と、この両者を接続する現像剤送流手段(3)を示す部分断面図である。
【0024】
図1において、現像部(1)は、トナーとキャリアを混合して成る液体状のニ成分系の現像剤(D)を収容した本発明の電子写真用キャリアを用いた現像剤を充填した現像ハウジング(4)と、現像剤(D)を攪拌混合する第1及び第2の攪拌スクリュー(5)、(6)と、現像ローラ(7)とを有していて、当該現像ローラ(7)が、潜像担持体の感光体(8)に対向して配置されている。感光体(8)は、矢印で示す方向に回転駆動され、その表面に静電潜像が形成される。図中符号(26)は、接続部材(24)の上にフィルター(25)を介して又は介さず嵌合されたキャップである。感光体(8)の周囲には、図示していない帯電手段、露光手段、転写手段、除電手段、クリーニング手段等、その他の公知のユニットが配置されたものである。
【0025】
第1及び第2の攪拌スクリュー(5)、(6)が回転することにより、現像ハウジング(4)内の現像剤(D)が攪拌され、そのトナーをキャリアが互いに逆極性に摩擦帯電される。かかる現像剤(D)が、矢印方向に回転駆動される現像ローラ(7)の周面に供給され、その供給された現像剤は現像ローラ(7)の周面に担持され、当該現像ローラ(7)の回転によって、その回転方向に搬送される。次いで、この搬送された現像剤は、ドクターブレード(9)によって量を規制され、規制後の現像剤が感光体(8)と現像ローラ(7)との間の現像領域に運ばれ、ここで現像剤中のトナーが、感光体表面の静電潜像に静電的に移行し、その静電潜像がトナー像として可視像化される。
【0026】
【実施例】
次に、実施例および比較例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。(ここで言う部とは、重量部を指す。)
トナー製造例1
<トナー製造例1>
ブラックトナー1
水 1200部
フタロシアニングリーン含水ケーキ(固形分30%) 200部
カーボンブラック(MA60、三菱化学社製) 540部
をフラッシャーでよく撹拌する。ここに、
エポキシ樹脂(Mn;3500) 1200部
を加え、150℃で30分混練後、
キシレン 1000部
を加えさらに1時間混練、水とキシレンを除去後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、マスターバッチ顔料を得た。
エポキシ樹脂(Mn;3500) 100部
上記マスターバッチ 5部
サリチル酸亜鉛誘導体(ボントロンE84、オリエント化学) 4部
上記材料をミキサーで混合後2本ロールミルで溶融混練し、混練物を圧延冷却した。その後粉砕分級を行ない、重量平均粒径7.8μmのトナーを得た。さらに、上記イエロートナー1と同様に添加剤を添加、ヘンシェルミキサーで混合し、ブラックトナー1を得た。
【0027】
<トナー製造例2>
ブラックトナー2
トナー製造例1にカルナウバワックスを5部添加した以外は全て製造例1と同様に製造した。
【0028】
<表面処理粒子製造例1>
アルミナ粒子1
表1/No.1/1官能クロロシラン化合物 35部
アルミナ(0.3μm、固有抵抗1014Ω・cm)粒子 100部
アセトン 250部
を、ボールミルで40時間分散し、続いて溶液を濾過し乾燥した後、150℃で2時間の熱処理を行って1官能クロロシラン化合物で表面処理したアルミナ粒子1を得た。
【0029】
<表面処理粒子製造例2>
アルミナ粒子2
表1/No.2/1官能クロロシラン化合物 35部
アルミナ(0.3μm、固有抵抗1014Ω・cm)粒子 100部
アセトン 250部
を、ボールミルで40時間分散し、続いて溶液を濾過し乾燥した後、150℃で2時間の熱処理を行って1官能クロロシラン化合物で表面処理したアルミナ粒子2を得た。
【0030】
<表面処理粒子製造例3>
アルミナ粒子3
表1/No.3/1官能クロロシラン化合物 35部
アルミナ(0.3μm、固有抵抗1014Ω・cm)粒子 100部
アセトン 250部
を、ボールミルで40時間分散し、続いて溶液を濾過し乾燥した後、150℃で2時間の熱処理を行って1官能クロロシラン化合物で表面処理したアルミナ粒子3を得た。
【0031】
<キャリア製造例1>
キャリア1
アクリル樹脂溶液(固形分50重量%) 56.0部
グアナミン溶液(固形分77重量%) 15.6部
アルミナ粒子1 160.0部
トルエン 900部
ブチルセロソルブ 900部
をホモミキサーで10分間分散し、被覆膜形成溶液を調合した。芯材として焼成フェライト粉[F−300:平均粒径;50μm(パウダーテック社製)]を用い、上記被覆膜形成溶液を芯材表面に膜厚0.15μmになるようにスピラコーター(岡田精工社製)により塗布し乾燥した。得られたキャリアを電気炉中にて150℃で1時間放置して焼成した。冷却後フェライト粉バルクを目開き100μmの篩を用いて解砕し、キャリア1とした。結着樹脂膜厚測定は、透過型電子顕微鏡にてキャリア断面を観察することにより、キャリア表面を覆う被覆膜を観察することができるため、その膜厚の平均値をもって膜厚とした。
【0032】
<キャリア製造例2>
キャリア2
キャリア製造例1のアルミナ粒子1をアルミナ粒子2に変更した以外は全てキャリア製造例1と同様に製造した。
【0033】
<キャリア製造例3>
キャリア3
キャリア製造例1のアルミナ粒子1をアルミナ粒子3に変更した以外は全てキャリア製造例1と同様に製造した。
【0034】
<キャリア製造例4>
キャリア4
アクリル樹脂溶液(固形分50重量%) 56.0部
グアナミン溶液(固形分77重量%) 15.6部
アルミナ粒子(0.3μm、固有抵抗1014Ω・cm) 160.0部
表1/No.1/1官能クロロシラン化合物 14.5部
トルエン 900部
ブチルセロソルブ 900部
上記の処方に変更した以外は全てキャリア製造例1と同様に製造した。
【0035】
<キャリア製造例5>
キャリア5
キャリア製造例4の表1のNo.1/1官能クロロシラン化合物を表1のNo.2/1官能クロロシラン化合物に変更した以外は全てキャリア製造例4と同様に製造した。
【0036】
<キャリア製造例6>
キャリア6
キャリア製造例4の表1のNo.1/1官能クロロシラン化合物を表1のNo.3/1官能クロロシラン化合物に変更した以外は全てキャリア製造例4と同様に製造した。
【0037】
<キャリア製造例7>
キャリア7
キャリア製造例4のアルミナ粒子をアルミナ粒子1に変更した以外は全てキャリア製造例4と同様に製造した。
【0038】
<キャリア製造例8>
キャリア8
アクリル樹脂溶液(固形分50重量%) 56.0部
グアナミン溶液(固形分77重量%) 15.6部
アルミナ粒子(0.3μm、固有抵抗1014Ω・cm) 160.0部
トルエン 900部
ブチルセロソルブ 900部
上記の処方に変更した以外は全てキャリア製造例1と同様に製造した。
【0039】
<実施例1>
こうして得たキャリア1とブラックトナー1を、トナー濃度5%になる様に混合し現像剤を得た。この現像剤とブラックトナー1を市販のデジタルフルカラー複写機(リコー社製imagioColor2800改造機)にセットし、600,000枚のランニング評価を行った。そして、このランニングを終えたキャリアの帯電低下量及び抵抗低下量を求めた結果を表3に示す。
【0040】
ここでいう帯電量低下量とは、初期のキャリア95重量%に対し、トナー5重量%の割合で混合し摩擦帯電させたサンプルを、一般的なブローオフ法[東芝ケミカル(株)製:TB−200]にて測定した帯電量(Q1)から、ランニング後の現像剤中のトナーを前記ブローオフ装置にて除去し得たキャリアを、前記方法と同様の方法で測定した帯電量(Q2)を差し引いた量のことをいい、目標値は7.0(μc/g)以下である。また、帯電量の低下の原因はキャリア表面へのトナースペントであるため、このトナースペントを減らすことで、帯電量低下を抑えることができる。抵抗低下量とは、初期のキャリアを抵抗計測平行電極:ギャップ2mmの電極間に投入し、DC200Vを印加し30sec後の抵抗値をハイレジスト計で計測した値を体積抵抗率に変換した値(R1)から、ランニング後の現像剤中のトナーを前記ブローオフ装置にて除去し得たキャリアを、前記抵抗測定方法と同様の方法で測定した値(R2)を差し引いた量のことをいい、目標値は2.0〔Log(Ω・cm)〕以下である。また、抵抗低下の原因は、キャリアの結着樹脂膜の削れであるため、この膜削れを減らすことで、抵抗低下量を抑えることができる。
【0041】
<実施例2>
実施例1のブラックトナー1をブラックトナー2に変更した以外は全て実施例1と同様に評価した。評価結果を表3に示した。
【0042】
<実施例3>
実施例2のキャリア1をキャリア2に変更した以外は全て実施例2と同様に評価した。評価結果を表3に示した。
【0043】
<実施例4>
実施例2のキャリア1をキャリア3に変更した以外は全て実施例2と同様に評価した。評価結果を表3に示した。
【0044】
<実施例5>
実施例2のキャリア1をキャリア4に変更した以外は全て実施例2と同様に評価した。評価結果を表3に示した。
【0045】
<実施例6>
実施例2のキャリア1をキャリア5に変更した以外は全て実施例2と同様に評価した。評価結果を表3に示した。
【0046】
<実施例7>
実施例2のキャリア1をキャリア6変更した以外は全て実施例2と同様に評価した。評価結果を表3に示した。
【0047】
<実施例8>
実施例2のキャリア1をキャリア7に変更した以外は全て実施例2と同様に評価した。評価結果を表3に示した。
【0048】
<比較例1>
実施例1のキャリア1をキャリア8に変更した以外は全て実施例1と同様に評価した。評価結果を表3に示した。
【0049】
<比較例2>
実施例2のキャリア1をキャリア8に変更した以外は全て実施例2と同様に評価した。評価結果を表3に示した。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
表2,3より、本発明のキャリアを用いることで、従来の耐久性に比べて倍以上の効果が得れてた。また、離型剤を含むトナーとの組合せにおいては、従来の結果に比べて5倍以上の効果が得れた。
【0053】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明により、従来より高耐久な二成分現像剤用キャリア、現像剤、画像形成方法、収納容器及び画像形成装置の提供が可能となる。また、離型剤を含むトナーとの組合せでも高耐久な二成分現像剤用キャリア、現像剤、画像形成方法、収納容器及び画像形成装置の提供が可能となる。
【0054】
【図面の簡単な説明】
【図1】電子写真用現像剤を充填、収納した容器を搭載した画像形成装置を示した図である。
【0052】
【符号の説明】
1 現像部
2 現像剤収納容器
3 現像剤送流手段
4 現像ハウジング
5 攪拌スクリュー
6 攪拌スクリュー
7 現像ローラ
8 感光体
9 ドクターブレード
24 接続部材
25 フィルター
26 キャップ
D 現像剤
Claims (15)
- 少なくとも結着樹脂と粒子からなるコート膜を有するキャリアにおいて、該粒子径(D)と該結着樹脂膜厚(h)が1<[D/h]<10であり、該粒子が下記一般式
R3SiCl
(式中、3個のRは同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基を示す。ただし、水素は0または1個である)
で表される1官能クロロシラン化合物で表面処理されていることを特徴とする電子写真用キャリア。 - 少なくとも結着樹脂と粒子からなるコート膜を有するキャリアにおいて、該粒子径(D)と該結着樹脂膜厚(h)が1<[D/h]<10であり、コート膜が1官能クロロシラン化合物を含有することを特徴とする電子写真用キャリア。
- 少なくとも結着樹脂と粒子からなるコート膜を有するキャリアにおいて、該粒子径(D)と該結着樹脂膜厚(h)が1<[D/h]<10であり、該粒子が1官能クロロシラン化合物で表面処理されており、コート膜が1官能クロロシラン化合物を含有することを特徴とする電子写真用キャリア。
- 前記粒子の固有抵抗が1012(Ω・cm)以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の電子写真用キャリア。
- 前記粒子がアルミナまたは/及びシリカであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の電子写真用キャリア。
- 前記粒子の含有量がコート膜組成成分の40〜95wt%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の電子写真用キャリア。
- 前記結着樹脂の膜厚が0.05μm〜1.00μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の電子写真用キャリア。
- 前記結着樹脂が、少なくともアクリル樹脂とアミノ樹脂を架橋反応させた樹脂または/及びシリコーン樹脂を含有したものであることを特徴とする請求項1〜7いずれか一つに記載の電子写真用キャリア。
- 前記樹脂のTgが20〜100℃であることを特徴とする請求項1〜8いずれか一つに記載の電子写真用キャリア。
- 少なくとも結着樹脂と顔料とからなるトナーと請求項1〜9のいずれか一つに記載の電子写真用キャリアとからなることを特徴とする電子写真用現像剤。
- 前記トナーが離型剤を含むことを特徴とする請求項10に記載の電子写真用現像剤。
- 請求項10または11記載の電子写真用現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
- 請求項10または11記載の電子写真用現像剤を用いることを特徴とする多色画像形成方法。
- 請求項10または11記載の電子写真用現像剤を収納したことを特徴とする収納容器。
- 請求項14記載の電子写真用現像剤を収納した収納容器を搭載したことを特徴とする画像形成装置。
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