JP3984077B2 - 電子写真用二成分現像剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式による画像形成方法において静電潜像を現像してトナー画像を形成するための電子写真用二成分現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
トナーを用いた画像形成方法には、カールソンプロセスの応用による電子写真方式が広く用いられている。電子写真方式を採用する画像形成装置は、たとえば有機光導電体(Organic Photoconductor 略称:OPC)系材料が表面に設けられた感光体ドラム、帯電部、露光部、現像部、転写部、定着部、クリーニング部および除電部を備える。
【0003】
画像形成装置における画像形成動作について以下に説明する。まず、暗所において感光体ドラムの表面は、帯電部によって一様に帯電される。露光部において画像情報に基づいた光が、一様に帯電された感光体ドラム表面に照射され、光が照射された部分の電荷が減衰されて感光体ドラム表面に静電潜像が形成される。次に現像部によって感光体ドラム表面にトナーが供給され、静電潜像が形成された部分にトナーが付着し、可視画像となる。転写部によってトナーとは逆極性の電荷を与えて記録媒体にトナーを転写させた後、定着部によって熱および圧力を加えトナーを記録媒体に定着させ安定な画像を形成する。
【0004】
感光体ドラム表面に残留するトナーはクリーニング部によって取除かれ、さらに感光体ドラム表面は除電部によって除電されて静電潜像の消去が行われる。以上の操作を繰返すことによって連続的な画像の形成が行なわれる。
【0005】
このような画像形成装置による画像の現像に使用される現像剤の1つとして二成分現像剤が知られている。図1は、二成分現像剤1の構成を簡略化して示す概略断面図である。図1(a)に示すように二成分現像剤1は、トナー2とキャリア3とからなる。トナー2は、図1(b)に示すようにトナー粒子4と1または2種以上の外部添加される微粉体5とからなる。トナー粒子4は、トナーの主たる特性を決定する成分である結着樹脂、画像を着色して可視化する着色剤、現像剤の摩擦帯電性を制御する帯電制御剤およびオフセットを防止するワックスなどを溶融混練し冷却して固化させた後、粉砕および分級する溶融混練粉砕法に代表される方法によって製造される。また、懸濁重合法または乳化重合法などによって製造されてもよい。さらに、トナーの粉体流動性および摩擦帯電性などを向上させるたとえばシリカ(SiO2)などの微細粒子からなる微粉体5を、前述のようにして製造されたトナー粒子4に外部添加してトナー粒子4の表面に付着させることによってトナー2が形成される。
【0006】
キャリア3は、磁性粒子であるキャリア芯材6と、キャリア芯材6を被覆する被覆材7とからなる。キャリア3は、たとえばフェライト(MO・Fe2O3:Mは2価の金属原子)などの磁性粒子からなるキャリア芯材6の表面がフッ素系ポリマーなどの樹脂からなる被覆材7によって被覆されて形成される。被覆材7の化学構造および被覆状態によって現像剤の帯電性および使用環境の変化に対する物性の安定性である環境特性などが決定される。
【0007】
トナー2は、キャリア3の被覆材7と摩擦されることによって帯電するので、トナー2を安定して帯電させるためには、キャリア芯材6および被覆材7の種類および被覆材7重量のキャリア芯材6の重量に対する百分率の最適化などのキャリア設計の検討が必要となる。また、複写機およびプリンタなどの画像形成装置における画像形成処理の高速化が進み用途が多様化するにつれて、現像剤の耐久性および環境特性の向上が必要とされる。このような必要性に応えて耐久性および環境特性に優れた二成分カラー現像剤を提供する技術が特開平4−177369号公報に開示されている。
【0008】
特開平4−177369号公報に開示される技術は、トナー粒子に酸化チタン(TiO2)またはアルミナ(Al2O3)を外部添加することによって帯電の安定性を損ねることなく流動性を付与し、現像剤の帯電を安定化する含窒素化合物を含む被覆材の重量を、キャリア芯材の重量に対する百分率で、0.1重量%〜5.0重量%とすることによって、二成分現像剤の耐久性および環境特性を向上させるというものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述した特開平4−177369号公報に開示された技術には、以下の問題がある。高速化および小型化がさらに進んだ画像形成装置において使用される現像剤は、前述したクリーニング部によって回収されて繰返し使用される頻度が増加すること、また現像部において攪拌される攪拌速度が速くなることなどによって、与えられる負荷が大きくなるので、さらなる耐久性および環境特性の向上が必要とされる。高速化および小型化された画像形成装置において、特開平4−177369号公報に開示された技術によって提供される二成分現像剤を用いて画像の現像を行なう場合、使用時間が長くなるのにともなって被覆材がキャリア芯材から剥がれてキャリア芯材の表面が露出し、キャリアの特性が使用開始時の特性と大きく異なるので、画像濃度の低下などを引起こす可能性があるという問題がある。すなわち、高速化および小型化された画像形成装置に使用する場合、前記先行技術に開示された二成分現像剤でも耐久性が充分とは言えない。
【0010】
前記耐久性の問題は、被覆材のキャリア芯材の重量に対する百分率を高くすることによって改善することができるけれども、前記百分率を高くすることによって環境特性は低下し、特に高温高湿条件下ではトナーとの摩擦時における帯電性が劣化することによるトナー飛散や、感光体上の非潜像部に現像された低帯電トナーおよび逆帯電トナーが記録媒体(紙面)上に転写されることによって起こる非画像部(白地部分)汚染現象であるいわゆる白地カブリなどが引起こされる。
【0011】
本発明の目的は、耐久性および環境特性に優れ、高い品質の画像を形成することができる電子写真用二成分現像剤を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、磁性を有する粒子であるキャリア芯材および被覆材からなりキャリア芯材の外周を被覆する1層の被覆層を含むキャリアと、導電性を有する粒子径0.30μmの微細粒子である導電性微粉体を外添剤として含むトナーとを含み、前記キャリア芯材の重量に対する前記被覆材の重量が、百分率で8.0重量%であることを特徴とする電子写真用二成分現像剤である。
【0013】
本発明に従えば、キャリア芯材の重量に対する被覆材の重量が百分率で8.0重量%となるように被覆材によってキャリア芯材を被覆することによって、現像槽内での摩擦磨耗に起因するキャリアの寿命低下を抑止し、キャリア芯材からの被覆材の耐剥離性を向上することができるので、キャリアすなわち二成分現像剤の耐久性を向上することができる。またトナーに導電性微粉体を外添剤として含ませることによって、高温高湿の条件下における帯電性の向上および安定化を図り、低帯電トナーおよび逆帯電トナーを減らすことができるので、トナー飛散および白地カブリを起こすことのない画像濃度の安定した画像を形成することができる。したがって、耐久性および環境特性に優れた電子写真用二成分現像剤を提供することが可能になる。さらに、導電性微粉体の粒子径は0.30μmである。導電性微粉体の粒子径が0.30μm未満であっても二成分現像剤の環境特性の向上は実現可能であるけれども、導電性微粉体の粒子径を0.30μmにすることによって、帯電性を向上させる働きが一層強くなるので、粒子径が0.30μm未満の場合に比べて少ない添加量によって二成分現像剤の環境特性の向上を実現することができ、対費用効果の改善が可能である。このことによって、粒子径が0.30μm未満の導電性微粉体を用いた場合よりも少ない添加量で環境特性を向上させることができる。
【0014】
また本発明は、前記導電性微粉体は、
トナーの重量に対する百分率で0.30重量%以上、2.0重量%以下になるように外部添加されることを特徴とする。
【0015】
本発明に従えば、導電性微粉体は、トナー重量に対する百分率で0.30重量%以上、2.0重量%以下になるように外部添加される。トナーに導電性微粉体を適正な範囲に外部添加することによって、二成分現像剤の環境特性を向上するとともに、現像時において過剰の導電性微粉体が感光体ドラム表面を擦過することがないので、感光体ドラム表面の感光層の損耗を抑制することができる。
【0018】
また本発明は、前記導電性微粉体は、マグネタイト(FeO・Fe2O3)であることを特徴とする。
【0019】
本発明に従えば、導電性微粉体はマグネタイトであり、マグネタイトは二成分現像剤の帯電量を安定させるのに好適な導電性を有し、安価かつ容易に入手することができるので、耐久性および環境特性に優れた電子写真用二成分現像剤を低い製造コストで実現可能である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態である電子写真用二成分現像剤(以後、現像剤と略称する)は、磁性を有する粒子であるキャリア芯材および被覆材からなりキャリア芯材の外周を被覆する1層の被覆層を含むキャリアと、導電性を有する微細粒子である導電性微粉体を含むトナーとを含む。
【0021】
キャリアは、キャリア芯材と、被覆材からなりキャリア芯材の外周を被覆する1層の被覆層とからなる。キャリア芯材は、たとえばフェライトなどの磁性粒子であり、画像形成装置の現像部に設けられる現像ロール内の磁気部材との相互作用によって形成される磁気ブラシの形状や、現像部内での現像剤の攪拌性を決定する。
【0022】
被覆材は、たとえばフッ素系のポリマーであり、トナーへの帯電付与を行うとともに、被覆材の化学構造およびコーティング状態によって現像剤の帯電量、環境特性および耐久性などが決定される。キャリア芯材の重量に対する被覆材の重量は、百分率で5.0重量%を超えるように構成される。
【0023】
被覆層のキャリア芯材に対する重量百分率が5.0重量%を超えるように限定されるのは、次の理由による。5.0重量%以下では、高速化および小型化された複写機などの画像形成装置で現像剤としてキャリアが使用されるとき、主として現像槽内での摩擦に起因する磨耗および剥離が生じやすく耐久寿命が短くなる。したがって、被覆材のキャリア芯材に対する重量百分率が5.0重量%を超える構成とした。
【0024】
トナーは、トナー粒子と、トナー粒子に外部添加される導電性微粉体とからなる。トナー粒子は、少なくとも、トナーの主たる特性を決定する成分である結着樹脂、画像を着色して可視化する着色剤、オフセットを防止するワックスおよび現像剤の摩擦帯電性を制御する帯電制御剤を含有し、必要に応じてその他の添加剤を含有する。
【0025】
結着樹脂としては、たとえばポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル−無水マレイン酸共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などがあり、これらの群から選ばれる1種が単独でまたは2種以上が混合されて使用される。また、前述した樹脂のブロック重合体またはグラフト重合体が使用される。さらに、樹脂は前述したものに限定されることなく分子量分布が前述した樹脂と同じである樹脂を使用することができる。
【0026】
また結着樹脂は、ガラス転移点Tgが40℃以上、70℃以下であるものが好ましい。40℃未満のガラス転移点を有する結着樹脂は、画像形成装置内の温度が上昇したとき、画像形成装置内がガラス転移点以上となって溶融し、トナー同士の凝集が発生する可能性が高いからである。また70℃を超えるガラス転移点を有する結着樹脂は、記録媒体への定着性能が低く結着樹脂として必要とされる機能を満たさないからである。
【0027】
着色剤としては、たとえばカーボンブラック、鉄黒、合金アゾ染料などの油溶性染料および顔料などがある。着色剤は、結着樹脂100重量部に対して1〜10重量部添加することが好ましい。混練時における結着樹脂との分散性を良好にすることができるからである。
【0028】
ワックスとしては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレンおよびエチレン−プロピレン重合体などのポリオレフィン系ワックス群などがある。これらのうち少なくとも1種類のワックスを、結着樹脂100重量部に対して1〜10重量部添加することが好ましい。混練時における結着樹脂との分散性を良好にすることができるからである。
【0029】
帯電制御剤には、正帯電性トナー用制御剤と負帯電性トナー用制御剤があり、正帯電性トナー用制御剤としては、たとえば四級アンモニウム化合物およびニグロシン系染料などがあり、負帯電性トナー用制御剤としては、アゾ系金属錯体およびカルボン酸金属錯体などがある。帯電制御剤は、結着樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部添加することが好ましい。混練時における結着樹脂との分散性が良好であり、この量で白地カブリなどの環境特性の低下を生じにくい電荷量に制御することができるからである。
【0030】
また、前記結着樹脂、着色剤、ワックスおよび帯電制御剤に加え、トナーに磁性を与えトナーの摩擦帯電量の低下を防ぐ磁性微粉体を添加してもよい。磁性微粉体としては、鉄、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウムおよびケイ素などの元素を含み、磁性を有する金属酸化物微粒子などからなる微粉体がある。
【0031】
トナー粒子に外部添加される導電性微粉体としては、酸化チタン、マグネタイトおよびフェライトなどの金属物微粉体があり、これらの群から選ばれる1種または2種以上が用いられる。また前述した導電性微粉体の中でもマグネタイトが好適に用いられる。
【0032】
さらに、これらの微粉体表面をジメチルジクロルシランおよびアミロシランなどのシランカップリング剤またはシリコーンオイルなどの処理剤によって処理し、もしくはフッ素含有成分などを付与して使用することができる。
【0033】
前述の導電性微粉体は、トナーの重量に対する百分率で0.30重量%以上、2.0重量%以下になるように外部添加される。導電性微粉体の外部添加する重量の範囲をトナーの重量に対する百分率で0.30重量%以上、2.0重量%以下とした理由は、以下のようである。0.30重量%以上、2.0重量%以下の範囲に外部添加することによって、現像剤の環境特性を向上するとともに、現像時において過剰のマグネタイトが感光体ドラム表面に擦過することがないので、感光体ドラム表面の感光層の損耗を抑制することができるからである。
【0034】
また導電性微粉体の粒子径は0.30μm以上である。粒子径を0.30μm以上にすることによって、帯電性を向上させる働きが一層強くなるので、粒子径が0.30μm未満の場合に比べて少ない添加量によって現像剤の環境特性の向上を実現することができ、対費用効果の改善が可能である。
【0035】
また導電性微粉体として好ましくはマグネタイトが用いられる理由は以下のようである。マグネタイトは、現像剤の帯電量を安定させるのに好適な導電性を有し、安易かつ容易に入手することができるので、耐久性および環境特性に優れた現像剤を低い製造コストで実現可能であるからである。
【0036】
(実施例)
以下本発明の実施例を説明する。トナー製造例は例示であって、これに限定されるものではない。
【0037】
(参考例I)
参考例Iでは、キャリア芯材の重量に対する被覆材の重量の適正範囲について検証した。参考例Iでは、以下に示すようにトナーを製造した。結着樹脂100重量部に対して、ワックスとしてポリエチレン(クラリアントジャパン社製:商品名PE130)を1重量部およびポリプロピレン(三井化学社製:商品名NP−505)を1.5重量部、帯電制御剤(保土ヶ谷化学工業社製:商品名S−34)を1重量部、磁性微粉体としてマグネタイト(関東電化社製:商品名KBC−100)を1.5重量部、着色剤としてカーボンブラック(キャボット社製:商品名330R)を5重量部加え、スーパーミキサ(川田社製:商品名V−20)によって十分混合し、得られた混合物を二軸混練機(池貝鉄工社製:商品名PCM−30)によって溶融混練した。得られた混練物をジェット式粉砕機(日本ニューマチック工業社製:商品名IDS−2)によって粉砕し、その後分級して体積平均粒子径で約7.5μmのトナー粒子を得た。トナー粒子100重量部に対してシリカ微粒子(日本アエロジル社製:商品名R972)を0.3重量部外部添加しトナーを得た。
【0038】
次にフェライトをキャリア芯材として用い、テトラフルオロエチレンを被覆材としてキャリア芯材を被覆した。このとき、キャリア芯材の重量に対する被覆材の重量が百分率で2.2重量%、4.1重量%、5.1重量%および8.0重量%となるように被覆した。得られたトナーと各キャリアとを混合し摩擦帯電させて現像剤を得た。ここで、キャリア芯材に対する被覆材の重量百分率が、2.2重量%、4.1重量%、5.1重量%および8.0重量%になるように被覆したキャリアを含む現像剤を試料番号a〜dと呼ぶ。
【0039】
現像剤の性能評価は以下のように行なった。市販のモノクロ複写機(シャープ社製:商品名AR−450)を用いて、得られた4種の現像剤によって初期に印刷された画像の画像濃度と、印字率が5%である原稿を5枚間欠で100,000枚(以後、100k枚と示す)画像形成後に形成された画像の画像濃度とを比較した。画像濃度は、マクベス反射濃度計(マクベス社製:商品名RD−914)によって測定し、100k枚通紙後の画像濃度が1.30未満の場合を不良(×と表記する)、1.30以上、1.32以下の場合を良(○と表記する)、1.32を超える場合を優良(◎と表記する)として評価した。表1に測定結果および評価結果を示す。
【0040】
【表1】
【0041】
キャリア芯材の重量に対する被覆材の重量が百分率で2.2重量%および4.1重量%である試料番号aおよびbの現像剤を用いて画像形成を行なった場合、100k枚印刷後の画像濃度が初期の画像濃度と比較して大きく低下していた。キャリア芯材の重量に対する被覆材の重量が百分率で5.1重量%および8.0重量%である試料番号cおよびd現像剤を用いて画像形成を行なった場合は、初期の画像濃度と100k枚通紙後の画像濃度とはほぼ同じ値であり、安定した画像を形成することができた。以上のように、5.0重量%を超える構成とすることによって、現像剤の寿命が長くなることが明らかとなった。
【0042】
(実施例I)
実施例Iでは、参考例Iにおいて明らかにした耐久性に優れたキャリアを含む現像剤による環境特性を評価した。
【0043】
(比較例1)
結着樹脂100重量部に対して、ワックスとしてポリエチレン(クラリアントジャパン社製:商品名PE130)を1重量部およびポリプロピレン(三井化学社製:商品名NP−505)を1.5重量部、帯電制御剤(保土ヶ谷化学工業社製:S−34)を1重量部、磁性微粉体としてマグネタイト(関東電化社製:商品名KBC−100)を1.5重量部、着色剤としてカーボンブラック(キャボット社製:商品名330R)を5重量部加え、スーパーミキサ(川田社製:商品名V−20)を用いて混合し、得られた混合物を二軸混練機(池貝鉄工社製:商品名PCM−30)によって溶融混練した。得られた混練物をジェット式粉砕機(日本ニューマチック工業社製:商品名IDS−2)によって粉砕し、その後分級して体積平均粒子径で約7.5μmのトナー粒子を得た。トナー粒子100重量部に対してシリカ微粒子(日本アエロジル社製:商品名R972)を0.3重量部、粒子径0.13μmであるマグネタイト(チタン工業社製)を0.3重量部(トナー重量に対する百分率で0.30重量%)を外部添加し、トナーを得た。
【0044】
つぎにフェライトをキャリア芯材として用い、テトラフルオロエチレンを被覆材として、キャリア芯材の重量に対する被覆材の重量が百分率で8.0重量%となるようにキャリア芯材を被覆した。得られたトナーとキャリアとを混合し摩擦帯電させて現像剤を得た。
【0045】
(比較例2)
トナー粒子100重量部に対するマグネタイトの外部添加量を0.50重量部(トナー重量に対する百分率で0.50重量%)にする以外は、比較例1と同じ処方で製造した現像剤。
【0046】
(比較例3)
トナー粒子100重量部に対するマグネタイトの外部添加量を1.0重量部(トナー重量に対する百分率で0.99重量%)にする以外は、比較例1と同じ処方で製造した現像剤。
【0047】
(比較例4)
トナー粒子100重量部に対するマグネタイトの外部添加量を2.0重量部(トナー重量に対する百分率で2.0重量%)にする以外は、比較例1と同じ処方で製造した現像剤。
【0048】
(実施例1)
粒子径が0.30μmであるマグネタイト(関東電化工業社製)を用いる以外は、比較例1と同じ処方で製造した現像剤。
【0049】
(実施例2)
トナー粒子100重量部に対するマグネタイトの外部添加量を0.50重量部(トナー重量に対する百分率で0.50重量%)にする以外は、実施例1と同じ処方で製造した現像剤。
【0050】
(実施例3)
トナー粒子100重量部に対するマグネタイトの外部添加量を2.0重量部(トナーの重量に対する百分率で2.0重量%)にする以外は、実施例1と同じ処方で製造した現像剤。
【0051】
(比較例5)
参考例Iにおける試料番号dの現像剤。
【0052】
(比較例6)
トナー粒子100重量部に対してマグネタイトの外部添加量を0.1重量部(トナー重量に対する百分率で0.10重量%)にする以外は、比較例1と同じ処方で製造した現像剤。
【0053】
(比較例7)
トナー粒子100重量部に対してマグネタイトの外部添加量を0.2重量部(トナー重量に対する百分率で0.20重量%)にする以外は、比較例1と同じ処方で製造した現像剤。
【0054】
(比較例8)
トナー粒子100重量部に対してマグネタイトの外部添加量を2.1重量部(トナー重量に対する百分率で2.1重量%)にする以外は、比較例1と同じ処方で製造した現像剤。
【0055】
(比較例9)
トナー粒子100重量部に対してマグネタイトの外部添加量を0.2重量部(トナー重量に対する百分率で0.20重量%)にする以外は、実施例1と同じ処方で製造した現像剤。
【0056】
環境特性の評価は以下のように行なった。市販のモノクロ複写機(シャープ社製:AR−450)を用いて高温高湿環境(温度:35℃、湿度80%)下で前記現像剤を画像形成装置に備わる現像部に供給後、17時間放置した。17時間放置した後、画像形成を行ない形成された画像の白地カブリを示すカブリ濃度を測定し、カブリ濃度に基づいて環境特性を評価した。カブリ濃度とともに、現像剤中のトナー濃度の上昇はトナー飛散要因となるため、その指標であるトナー補給時間を計測した。
【0057】
現像剤を17時間放置後に形成した画像のカブリ濃度を白度計(日本電色工業社製:ハンター白度計)によって測定した。カブリ濃度の値が0.5未満を優良(◎と表記する)、0.5以上、1.0未満を良(○と表記する)、1.0以上、1.5未満を可(△と表記する)、1.5以上を不良(×と表記する)とした。
【0058】
総合評価は、環境特性の評価結果およびトナーと感光体ドラム表面との摩擦によって感光体ドラム表面の有機導電体層の厚みが減少する量(以後、膜べり量と呼ぶ)の評価結果によって行った。膜べり量は、フィッシャースコープMMS(フィッシャー社製)によって測定した、評価基準は、モノクロ複写機AR−450における感光体ドラムライフが50k枚であるので、ライフを充分に超える80k枚以上のコピーが可能であるときを優良(◎と表記する)、50k枚以上、80k枚未満のコピーが可能であるときを良(○と表記する)、40k枚以上、50k枚未満のコピーが可能であるときを可(△と表記する)、40k枚未満のコピーが可能であるときを不良(×と表記する)とした。
表2に測定結果および評価結果を示す。
【0059】
【表2】
【0060】
実施例1〜3および比較例1〜7および9とから判るように、マグネタイトを0.3重量%以上添加したとき、環境特性の改善が見られた。一方、比較例8の2.1重量%のとき、感光体ドラムの膜減り量が著しく増加した。さらに比較例8では、感光体ドラム表面にトナー成分が広範囲に付着した状態であるいわゆるフィルミングを発生した。
【0061】
実施例1と比較例1との比較から明らかなように、マグネタイトの添加量が同じ場合には、マグネタイトの粒子径の大きい方実施例1の方が、そのカブリ濃度が小さく環境特性に優れる。また実施例2と比較例3および4との比較から明らかなように、マグネタイト粒子径が大きく添加量の少ない実施例2の方が、マグネタイト粒子径が小さく添加量の多い比較例3および4よりも、そのカブリ濃度が小さく環境特性に優れる。
【0062】
以上のように、キャリア芯材に対する被覆材の重量百分率を5.0重量%を超えるように添加し、マグネタイトの外部添加量をトナー重量に対して0.30重量%以上、2.0重量%以下とすることによって、耐久性と環境特性および耐膜べり性とに優れた二成分現像剤が得られた。なお、マグネタイトの粒子径を0.30μm以上とすることによって、少量の外部添加によって良好な環境特性が得られた。
【0063】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、キャリア芯材の重量に対する被覆材の重量が百分率で8.0重量%となるように被覆材によってキャリア芯材を被覆することによって、現像槽内での摩擦磨耗に起因するキャリアの寿命低下を抑止し、キャリア芯材からの被覆材の耐剥離性を向上することができるので、二成分現像剤の耐久性を向上することができる。またトナーに粒子径0.30μmの微細粒子である導電性微粉体を外添剤として含ませることによって、高温高湿の条件下における帯電性の向上および安定化を図り、低帯電トナーおよび逆帯電トナーを減らすことができるので、トナー飛散および白地カブリを起こすことのない画像濃度の安定した画像を形成することができる。したがって、耐久性および環境特性に優れた電子写真用二成分現像剤を提供することが可能になる。また導電性微粉体の粒子径を0.30μmにすることによって、粒子径が0.30μm未満の場合に比べて少ない添加量によって二成分現像剤の環境特性の向上を実現することができ、対費用効果の改善が可能である。
【0064】
また本発明によれば、トナーに導電性微粉体を適正な範囲に外部添加することによって、二成分現像剤の環境特性を向上するとともに、感光体ドラム表面の感光層の損耗を抑制することができる。
【0066】
また本発明によれば、マグネタイトは二成分現像剤の帯電量を安定させるのに好適な導電性を有し、安価かつ容易に入手することができるので、耐久性および環境特性に優れた電子写真用二成分現像剤を低い製造コストで実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】二成分現像剤1の構成を簡略化して示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 二成分現像剤
2 トナー
3 キャリア
4 トナー粒子
5 微粉体
6 キャリア芯材
7 被覆材
Claims (3)
- 磁性を有する粒子であるキャリア芯材および被覆材からなりキャリア芯材の外周を被覆する1層の被覆層を含むキャリアと、導電性を有する粒子径0.30μmの微細粒子である導電性微粉体を外添剤として含むトナーとを含み、前記キャリア芯材の重量に対する前記被覆材の重量が、百分率で8.0重量%であることを特徴とする電子写真用二成分現像剤。
- 前記導電性微粉体は、トナーの重量に対する百分率で0.30重量%以上、2.0重量%以下になるように外部添加されることを特徴とする請求項1記載の電子写真用二成分現像剤。
- 前記導電性微粉体は、マグネタイト(FeO・Fe2O3)であることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真用二成分現像剤。
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